1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年六月二十日(土曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 田口長治郎君
理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君
理事 中村庸一郎君 理事 山中日露史君
理事 日野 吉夫君 理事 小高 熹郎君
高橋 英吉君 中村 清君
夏堀源三郎君 濱田 幸雄君
椎熊 三郎君 白浜 仁吉君
赤路 友藏君 淡谷 悠藏君
田中幾三郎君 辻 文雄君
松田 鐵藏君 中村 英男君
出席政府委員
調達庁長官 根道 広吉君
総理府事務官
(調達庁総務部
長) 山内 隆一君
総理府事務官
(調達庁不動産
部長) 山中 一朗君
外務事務官
(国際協力局
長) 伊関佑二郎君
農林政務次官 篠田 弘作君
水産庁長官 清井 正君
委員外の出席者
農 林 技 官
(水産庁漁政部
経理課長) 高橋 泰彦君
専 門 員 杉浦 保吉君
専 門 員 徳久 三種君
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六月十七日
以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ
漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関
する法律案(内閣提出第三九号)
日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為に
よる特別損失の補償に関する法律案(内閣提出
第四二号)
同月一日
焼尻漁港築設促進の請願(松浦周太郎君紹介)
(第二二〇号)
頓別漁港を第三種に指定等の請願(松浦周太郎
君紹介)(第二二一号)
斜内漁港を第一種に指定等の請願(松浦周太郎
君紹介)(第二二二号)
差閉港を漁港に指定等の請願(玉置信一君紹
介)(第二二三号)
枝幸漁港掘さくに関する請願(玉置信一君紹
介)(第二二四号)
焼尻村西浦地域に簡易船入ま築設の請願(松浦
周太郎君紹介)(第二二七号)
同月四日
大樹町沿岸に漁港築設の請願(伊藤郷一君紹
介)(第三一二号)
同月八日
焼尻漁港築設促進の請願(椎熊三郎君紹介)(
第四七二号)
焼尻村西浦地に簡易船入ま築設の請願(椎熊三
郎君紹介)(第四七三号)
同月十三日
密漁船取締強化等に関する請願(床次徳二君紹
介)(第七三一号)
同月十五日
船越漁港修築等に関する請願(井谷正吉君外三
名紹介)(第八四九号)
土々呂漁港を第二次整備計画に編入の請願(甲
斐政治君紹介)(第八五〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同月八日
水産業の振興発展に関する陳情書
(第一一七号)
同月十日
三井楽漁港の改修に関する陳情書
(第三一二号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会に関する件
以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ
漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関
する法律案(内閣提出第三九号)
日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為に
よる特別損失の補償に関する法律案(内閣提出
第四二号)
漁業損害に関する件
北洋さけ・ます漁業に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/0
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001・田口長治郎
○田口委員長 これより会議を開きます。
ただいまより、内閣提出、以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律案を議題として審査を進めます。
まず政府より提案理由の説明を求めます。篠田農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/1
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002・篠田弘作
○篠田政府委員 ただいま提案されました以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律案につきまして、提案理由の御説明をいたしたいと存じます。
以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ漁業につきましては、講和後の漁場の拡大に応じまして資源の開発に努めなければならないのはもちろんでありますが、他方資源の保護並びに国際的な関連をも十分に考慮いたしますことが必要であり、また沿岸漁業と漁場関係を調整し、遠洋漁船としての装備の改善、近代化、適正船型への大型化をはかり、もつて漁業の合理化、経営の安定を促進いたしますことが、これらの漁業の健全な発展を期するために肝要であると存ずるのであります。
このため、まず、かつて以西底びき網漁船でありまして、マ・ラインの評定に伴う減船整理の際、東経百三十度以西、東経百二十七度三十分以東の海域に操業を制限されました総トン数五十トン未満の中型底びき網漁船、並びに、マ・ラインによる漁場制限があつたため、多数集中しております総トン数七十トン以上百トン未満の中型かつお・まぐろ漁船のうち、希望するものに対しまして、拡大された漁場に適合した船型への移行を認め、その装備の改善、近代化をはかることが妥当な措置であると存ずるのであります。その際、底びき網漁船が五十トン以上となり、またかつお・まぐろ漁船が百トン以上になりますためには、指定遠洋漁業としての以西機船底びき網漁業または遠洋かつお・まぐろ漁業の新規の許可を必要といたしますので、漁業法第五十八条に規定する抽籤制度によらなければならないわけでありますが、これらの漁船につきましては、いずれも優先的に許可を行うことが妥当と考えられますので、臨時に二年間を限りまして、抽籤の制度によらずに許可ができるよう法的措置を講じたいと存ずるのであります。
以上、本法律案の提案理由の大要を申し述べましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/2
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003・田口長治郎
○田口委員長 本案に対する質疑は次会より行います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/3
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004・田口長治郎
○田口委員長 次に内閣提出、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案を議題として審議を進めます。
政府より提案理由の説明を求められております。根道政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/4
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005・根道広吉
○根道政府委員 ただいま提案になりました、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
本法伊案は、前の特別国会にこれを提案いたしまして、衆議院において可決された後、参議院において審議中のところ、衆議院の解散に伴いまして、審議未了となつたものでありますが、今回も、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いて日本国内及びその付近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍、海軍または空軍によりまして、東京湾口及び佐世保湾口の防潜網、水中聴音器その他の水中工作物の設置または維持、あるいは芦屋の防風林のような防風施設または防砂施設の除去または損壊等が行われたことによりまして、従来適法に農業、林業、漁業その他の事業を営んでおりました者が、その事業の経営上損失をこうむつたときは、国がその損失を適正に補償する必要が現在もなおあるのでありまして、これが再度本法律案を提案する理由であります。
この法律案の内容は前に提案いたしましたものと全く同一でございまして、第一条には前述の趣旨を規定しているのでありますが、補償すべき損失の原因となるアメリカ合衆国の陸軍、海軍、空軍の行為としては、一、防潜網、その他水中工作物の設置または維持、二、防風施設または防砂施設の除去または損壊、そのほかに、三、その他政令で定める行為を掲げ、行為の種類を政令で定めることといたしております。
なお損失の補償を受けるべき事業といたしましては、農業、林業、漁業を規定しているのでありますが、それ以外の事業については、政令で定めることとしております。
この損失の補償は、漁船の操業制限法、民事特別法等の他の法律により国が損害賠償または損失補償の責に任ずべき損失については適用しないこととし、また補償する損失は通常生ずべき損失としております。
次にこの損失の補償の手続については、第二条に規定しておりまして、この損失の補償を受けようとする者は、総理府令の定めるところによつて、自己の住所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して損失補償申請書を内閣総理大臣に提出しなければならないことといたしました。都道府県知事は、該申請書を受理したときは、当該事案に関する意見書を添えて、これを内閣総理大臣に送付し、内閣総理大臣は、補償すべき損失の有無と損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを都道府県知事を経由して当該申請者に通知しなければならないこととしております。
この内閣総理大臣の補償すべき損失の有無及び補償額の決定に不服のある者は前述の通知を受けた日から三十日以内に内閣総理大臣に対して異議の申立てをすることができることとし、内閣総理大臣はこの申立てのあつた日から三十日以内に、これについて決定の上申立人に通知しなければならないこととしております。
次に補償金の交付については、第四条に規定し、前述の異議の申立てがないときは、異議申立て期間満了の日から三十日以内に補償を受けるべき者に対しまして、当該補償金を交付し、異議の申立があつたときは、異議の申立てに基く決定を通知した日から三十日以内に補償を受けるべき者に対し、当該補償金を交付することとしております。
次に第五条においては、増額請求の訴えについて規定し、この法律により決定された補償金の額に不服がある者は、その決定の通知を受けた日から九十日以内に国を被告とする訴えをもつてその増額を請求することができることとしております。
次に附則第二項におきまして、この補償事務の担当庁を調達庁とするため調達庁設置法の一部を改正して、同庁不動産部の所掌事務を規定している同法第八条に第六号といたしまして、この法律の施行に関することを挿入することといたしました。さらに調達庁の付属機関たる中央調達不動産審議会が調達庁長官の諮問に応じこの法律による損失の補償についても、その基準その他の一般的事項を調査審議することができるようにするとともに、調達局の付属機関たる地方調達不動産審議会において、この法律による損失の補償についても、調達局長の諮問に応じ調査審議できるよう、同庁設置法に所要の改正を加えることとしているのであります。
以上が本法律案の概要でございますが、よろしく御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/5
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006・田口長治郎
○田口委員長 本案に対する質疑は次会より行います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/6
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007・田口長治郎
○田口委員長 この際お諮りいたします。ただいま政府より提案理由の説明を聴取いたしました日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案について、農林委員会より連合審査会を開催せられたいとの申出があります。これにつきましては、先刻理事会におきまして御協議願つたのでありますが、この申出に応じ連合審査会を開くことにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/7
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008・田口長治郎
○田口委員長 御異議ないと認めます。それではさように決定いたします。
なお連合審査会の開会日及び時間等につきましては、両委員長協議の上、後日公報をもつてお知らせいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/8
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009・田口長治郎
○田口委員長 次に漁業損害に関する件について議事を進めます。石川県内灘その他各地における漁業損害の問題について、各委員より発言を求められております。この際順次これを許します。松田鐵藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/9
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010・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 まず私は伊関局長に現在一番問題になつておる内灘演習場に関して、その概要を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/10
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011・伊関佑二郎
○伊関政府委員 最初から申し上げますと非常に長くなりますが一応御説明申し上げます。昨年の夏、八、九月ごろに米軍からこうした試射場が一つほしいという要請がございまして、農林省の方で全国を探しまして、大体適当な所を三箇所見つけたわけであります。その三箇所が内灘と愛知県の伊良湖と静岡県の御前崎でございます。それにつきまして技術的にあるいは地形的にあるいは気象、それから経済的な諸般の考慮をいたしまして、内灘が最も適当であるという結論に到達したわけであります。そして十一月末内灘に参りまして交渉いたしました。最初は非常に地元の反対が強かつた。その理由のおもなものは風紀問題ということであつたわけであります。われわれの方としましては、風紀問題は一応現地で試射を開始してみればわかるのではないか、そうすれば反対の理由がないということも村民にわかつてもらえるというふうな考慮もございましたし、それからあの村というものが非常に貧困である。近年非常に生活に困つて来ております。ですからこういうふうな村としていやがることを頼む以上は、村の将来について政府としては十分考慮しようというふうな考えもございました。そういうふうな村の将来に対する案を立てますのにも多少時間がかかる。そこで昨年は一応四箇月という交渉をいたしまして、そして試射が始まりまして風紀上の影響もない、その間に政府が将来に打つ手、村に対してやる施策もきまりました上で、あらためて交渉をしようということで帰つて参つたわけであります。ところが総選挙とぶつかりましたので、四月末までにその交渉ができません。そこで四月末までという約束でありますので、一応試射を中止いたしました。そして一箇月間中止いたしたわけであります。その一箇月間に県当局、村当局と折衝をしようといたしたのでありますが、だんだん反対が強くなり、村の方は折衝に応じないというふうな態度に出て参りまして、また今月の十五日まで半月延ばしたわけであります。だんだん反対が強くなつて、そうして政府は交渉しようとしましても、地元の方は交渉に応じないという状況になりましたので、やむを得ず今回のような措置をとつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/11
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012・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 私はただいまの局長のお話は、新聞でもその内容はわかつておるのであります。私は局長でなくして、外務大臣に質問をしたいのであります。委員長は外務大臣をここへ呼んでくださらないようでありますが、せめて外務政務次官でもけつこうでありますから、至急御出席を願えるようにならなければ、私の議論が立つて行かないのであります。政策的な問題から行かなければいかぬ、かように考えておるのでありますから、よろしくおとりはからい願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/12
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013・田口長治郎
○田口委員長 政務次官は出張中だそうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/13
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014・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 では後日に保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/14
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015・淡谷悠藏
○淡谷委員 関連して、伊関局長にお尋ねしたいのでございます。最初の内灘の使用計画は、四箇月という正規の契約書が入つておることは確かでございましようか。それからあの演習地が目下石川県の農地委員会と国との間に、その所有に関して訴訟が起つておるやに承りましたが、これは事実でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/15
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016・伊関佑二郎
○伊関政府委員 契約は四箇月になつております。その通りであります。あの国有地につきまして係争があるということは聞いておりますが、詳細は私存じません。詳細の経緯につきましては農林省の方でよくわかつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/16
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017・淡谷悠藏
○淡谷委員 そこで四箇月のはつきりいたしました契約があるのは、初めから永久使用の目的があつて、ただ地元の反対があつたから緩和する、冷却期間としてああいうものをおつくりになつたように聞いておりますが、現地の漁民はあの契約を文字通りとつております。それから風紀上のことは別段起らなかつたというようなただいまのお話でございましたが、四箇月の使用期間における風紀上以外の思わざる障害が特に漁業に関して起つておりまするが、このことを先般局長が現地へ出張なされましたときに、調査する余裕がございましたかどうか。あの県庁の前の争擾によつて、この調査が阻害されて、あるいは調査漏れになつておるかとも思いますので、その点を明確にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/17
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018・伊関佑二郎
○伊関政府委員 契約は四箇月になつておりますが、私たちが村長並びに村の理事者といろいろ話をしておりますうちに、この四箇月の間に事態がはつきりして来れば、将来の問題について交渉しようということだけははつきりして帰つて来ております。それから風紀以外の漁業について意外な問題が起きたとおつしやいますが、私は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/18
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019・淡谷悠藏
○淡谷委員 この演習地の着弾地域というものは、非常に隣接の町村が近かつたがために、今まで聞いたことのない演習地のあの大音響のために、魚群に変化を来たし、あるいはその他企業に大きな障害を来たしておりますので、この点で地元が執拗な反対を続けておるような実情がはつきりあるのであります。従つて内灘の補償につきましては、十分になお調査する必要があると思いますし、特に基本をなします国有地の関係が、農林省の所轄で訴訟上の問題にもなつており、特に第一審は石川県の農地委員会が勝つておるようにも承つておりますので、私はさらに農林大臣にひとつ御出席を願いましてその点を確めたい。それからなおあの演習地の着弾地域における音響がどの程度に漁業その他の事業に影響いたしますか、水産庁関係の責任者の御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/19
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020・清井正
○清井政府委員 ただいまの御質問の弾丸の衝撃、それによる水産関係の被害の問題でありますが、直接にその衝撃によつて、どの程度の被害があつたかということは、ただいま数字的にはつまびらかにいたしておりません。しかしある程度の影響のあることは考えられるかと思います。しかし問題は当該海面が一定面積だけ操業禁止になつておることは御承知の通りでありますので、そのために地元の地びき網等の漁業権あるいは地元の海面に出漁上ますところの地元の零細な漁業がそれだけ操業が制限されるということになりますので、その方面には相当の損害がある。こういうふうに実は考えております。われわれ水産庁といたしましても、当該地域におきます漁業の実態にかんがみまして、よつて起る損害につきましては、十分補償を考えるようにして行かなければならぬというふうに考えて、政府部内におきましても、せつかく努力いたしておる最中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/20
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021・田口長治郎
○田口委員長 川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/21
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022・川村善八郎
○川村委員 私はやはり駐留軍の射撃場にならんとしつつある大島付近について、伊関局長にお聞きしておきたいと思います。私らは以前から艦砲射撃を大島付近でやるといつたようなことを聞いておりまして、いよいよそのことが具体的に申入れがあつたということで、水産庁並びに関係庁が御調査なすつたようでありますが、去る十四日の新聞に、大島射撃場たな上げ、内灘が片づくまでしばらくという見出しで出ておりますが、はたしてこれが永久にたな上げされるかどうかという問題は、これはこの字句から見まして、内灘が解決つくというと、大島のあの離島を艦砲射撃場にするということが予想されて記事に現われているのであります。そこでまず第一点といたしまして、内灘が片づけば、また大島の射撃場を外務省の方並びに関係官庁で日米合同委員会にかけて決定するのかどうか、この一点をまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/22
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023・伊関佑二郎
○伊関政府委員 二の大島の艦砲射撃と申しますのは、たしか年に九回、一回五時間程度と思つております。その程度でありますので、どの程度漁業というものに影響があるかという点につきまして、今関係庁で検討いたしておりますが、漁業に対する影響等がはつきりいたしまして、地元の納得を得ましたならば、私の方はこれを使いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/23
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024・川村善八郎
○川村委員 この新聞を見ますと、七項目にわけて書いてございます。一つはまずナ島海岸に対し艦砲射撃をしない。一、射撃十五日以前に予告する。射撃方向は日本政府にまかす。一、危険地域は周辺六マイル、一、視野十マイル以下のときは射撃を中止する。一、射撃中は立入りを禁止する。一、射撃は年九回、一回の射撃時間は五時間、大体こういう項目に示しておりますが、今の伊関局長のお話によると、使いたいということでありますが、使いたいという言葉は、おそらく使うのだという前提で、私は申し上げてよいのではないか、かように考えます。そういたしますと、もちろんそれには調査した上でという言葉がありますが、そこで水産庁にお伺いしますのは、調査をした結果どのような被害があるか。あるいは地元民が一体どういう感情を持つておるかという、この点をお伺いしてから、さらに私は地元であるだけにあの漁業地を中心としたあらゆる観点からまず申し上げて参考にして、しかして水産庁並びに外務省と相談をして是か非か、この点をあなた方御相談してきめていただきたい、かように考えております。まず調査の結果どういうふうなことになつているか、水産庁の長官が調査に行つたのではなかろうと思いますから、調査に行つた関係官からひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/24
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025・清井正
○清井政府委員 ただいま大島地区の問題につきまして御質問がございましたが、調査に参りました担当課長も出席しておりますので、御要求がありますれば係官から御説明申し上げますが、その前に一言私から申し上げておきます。
大島地区の問題につきましては、私どもといたしましても水産の関係から考えまして、非常に重要な問題であるというふうに考えまして、つぶさに実情を調べましてその結果妥当な結論を得たい、かように考えまして、過日担当の課長を現地に派遣をいたしたのであります。結論的にはいまだはつきりした結論をくだすまでに至つておらないのでありますが、問題は射撃の回数及び時間等は一年を通じてきわめてわずかではございますけれども、当該地域はいわゆる南方より北上する魚群の回遊路になつているような状況でありますし、また同島周辺が付近零細漁民の漁場になつている関係もありますし、あるいは同島にしばらく滞在して漁擁するところの漁民の飲料水の供給地であるように聞いております。いろいろな関係からみまして本水域の使用につきましては、水産という点から相当重要な問題を含んでいるように考えます。しかしながら水産庁としては、今ただちにこうだという結論をくだすに至つておりません。慎重にいろいろな事情を考え、また地元の調査をいたしまして、慎重に考慮いたしたいと考えておりますので、それを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/25
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026・川村善八郎
○川村委員 調査に行かれました担当課長から御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/26
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027・高橋泰彦
○高橋説明員 それでは私が大島の調査に参りましたので、大島の事情を御説明申し上げます。演習の内容はただいま川村委員の言われた通りでございます。それに対して大島の漁業者の方の意向といたしましては、結論的に申しますと一応反対の意向を漏らしております。その理由といたしましては、大島が火山岩でできておりますので、射撃によつて非常にくずれやすいということ、従いまして射撃時間が短かい割には被害が、かなり一年分の被害まで出て来るおそれがある、こういう点を非常に憂えておつたのであります。
それから第二点といたしましては、ただいま長官からも言われましたように、大島は本村から相当離れた距離にありますのでわかめ、こんぶ、あわびなどとるためには、どうしても夏の期間中は大島へ仮小屋をつくりましてそこへ居住をしないといかぬような状況にありますので、従つて今大島に出ております一日約一石の水が生命線というふうに漁業者が申しております。従いましてただいま出ております一石の水がもし射撃の結果途絶えるようなことになりますと、大島の漁業価値がほとんどなくなるのではないか、海草、貝類はあつてもとりに行く価値がなくなる。その島へ行つて仮小屋をつくつて住まうことができなくなるという点を非常におそれておつたのであります。
それから第三点は、ただいま長官の言われますように、射撃によつて魚群が散逸しはしないかという点、特に大島の周辺についておるいそ魚が壊滅的なことになりはしないだろうかということを非常におそれておつたような次第でございます。まだ被害額その他についてははつきりした結論は出ておらないのでございますけれども、現地の状況は以上の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/27
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028・川村善八郎
○川村委員 現地の大島だけの調査を行つたのだと私は考えておりますが、これを大きく、いわゆる北海道的いな東北と北海道とを結んで考えましたときに、あの魚田は非常に大きな役割をしておるということは、水産庁は御承知のはずでございます。特に北海道の総合開発の中に大島、小島の魚田開発が含まれておりまするし、さらに奥尻という島の周辺の漁場、これは北海道の南端の最も優秀な漁場でございまして、先ほど長官も言われましたように、この周辺は、回遊魚は申すに及ばず、根つぎ漁業の最も多いところでございます。従いまして、この付近の漁村、特に松前郡の六箇町村並びに檜山管内の十一箇町村等は、これらの周辺並びにこの周辺を通過する魚をもつて漁業をなしておるということが明らかでございます。さらにまた青森県、秋田県、山形県、新潟県、石川県、福井県、富山県等は、これらの周辺においていかつり漁業をするために入漁をしておる所でございます。青森県のごときは、特に地元から出漁して来る漁場でございまして、これらの漁業者に及ぼす影響はまことに大きいことは、調査の結果おわかりだと思つております。さらにまた私の体験から申し上げますと、かつて函館の重砲兵連隊が駒ヶ岳山麓におきまして演習をしたことがございます。そこで、もちろん駒ヶ岳に射撃をする場合には、駒ヶ岳にはあまり木もありませんし、大した被害がございませんけれども、海にいかだを引航してあの大きな砲で射撃をしたことがございます。その射撃をした当時は、魚が驚いて岸にどんどん寄つて来た。射撃によつて大漁ができたといつて弄んでおつた時代もありましたが、さてその射撃後における魚群というものはまつたく去つてしまつて、その一年間は漁業ができなかつたという実例も数回われわれは知つておるのでございます。あの島を一つ取上げてみますと、火山で突起した島でございまして、あれにどんどん射撃をしましたならば、音響で島の周辺におる根つぎ魚というものは壊滅してしまいますし、おそらく島から岩がどんどん落ちて行つて海草を壊滅することも明らかでございます。飲料水の問題等はおそらく船で運べば解決する。しかし私は漁業の専門家の立場から考えますと、それよりも恐ろしいのはいわゆる根つぎ魚がいなくなるということ、それから回遊魚があの周辺を通る場合に、猛烈な射撃をされますと、それの魚道がかわつてあの周辺につかなくなるのではないかということになりまして、あの付近の漁村は漁業ができなくなるばかりではなく、先ほど申し上げましたように内地各県にも非常に大きな影響があると思いますので、私とすれば、あの大きな魚田を選んで、無人島であるから艦砲射撃をするというようなことは、あの地方の漁業を壊滅するものであるから、これはどうしてもやめてもらわなければならぬということを考えております。そこで、私もちようど高橋課長のあとに調査に行つて参りましたが、各地でそういう意見が起きております。すなわち檜山管内にも行つて参りましたし、大島管内もまわつて見ましたが、私と同じ意見で、どうしても反対せざるを得ない、特に北海道におきましては、総合開発の中に魚田開発として入れておるのでございますから、これを北海道漁民の名において反対をしなければならぬということで、札幌におきまして漁民大会を開いて、あの大島の艦砲射撃に反対という意思表示をしております。今のところは比較的平穏になつておるようでありますけれども、これをもし内地付近に呼びかけましたならば、おそらく青森県は筆頭に反対の気勢を上げるだろうことは想像にかたくないのでありますし、さらに先ほど申し上げました関係各県は、こぞつてこれも反対するのではなかろうか。そうしますと、内灘の問題は石川県だけでとどまりますし、今日ここに私らが入手した表を見ますと、漁業としてはあまり大きな漁獲もございませんけれども、あの大島、小島周辺等を漁場とする漁業は一億や一億や三億でございません。おそらく内地を含めたならば何十億という巨額になるのでなかろうか、これは想像にかたくありません。そうした優秀な漁場を、無人島の離れ小島を艦砲射撃をするということで、簡単に考えてこれに処してもらうと大きなあやまちを生ずるということを、私はこの際申し上げておきます。どうかもう一回、外務省の方も必要であるならば調査に行つてもらつた方がよいし、内地方面の意見も関係各県に長官が聞いてもらえばよくわかると思いますが、ただ単に大島村に行つて、大島村が反対した、大島村は千戸あまりのところであつて、小さな村でございますので、これも内灘同様に大した経済的影響がない、困つておるから国家補償をやればあの方面の漁民が生きるのじやないかという簡単なお考えをもつてこれを艦砲射撃の基地ということになりますと、相当これは考えが違いますから、どうかその点を十分考慮に入れてこの問題を解決せられんことを特に私から申し上げておきます。私はこの際特に声を大にして、あの大島、離れ小島の射撃だけは絶対反対をしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/28
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029・田口長治郎
○田口委員長 山中日露史君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/29
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030・山中日露史
○山中(日)委員 私はこの機会に北海道の日高門別町の演習地の問題について伊関局長にお尋ねをいたしたいと思います。実は去る六月十二日に私現地に行つて調査をいたして参りましたが、非常に反対の空気が強いのであります。昭和二十六年において高射砲の演習と連絡飛行場として七十三町歩という土地が接収をされて今日に至つておるのでありますが、今回さらに三千五百町歩という実に五十倍に相当する莫大な地域を、上陸用舟艇による上陸作戦、それに呼応する空軍、陸軍の総合演習が行われるということで接収する。しかもその土地は北海道の火山地として有名な日高の牧場あるいは既墾地となつております農地、水田といつた土地でありまして、これを接収するということについては町長を初めとし、農民、漁民いずれも大会を開いてこれに反対運動を起しておるということを調査いたして参つたのであります。それでお尋ねしたいことは、この三千五百町歩という土地を接収するその演習の目的、あるいはこれに対する地元のいろいろな反対等も十分御承知と思うのでありますが、これに対する局長の今日までの交渉の経過を詳細ひとつ承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/30
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031・伊関佑二郎
○伊関政府委員 ただいまの大島の問題でもそうでありますし、門別の問題でもそうでありますが、演習場の問題は、合同委員会に分科委員会を設けてありまして、陸上演習場、あるいは海上演習場等の分科委員会がございます。今の大島にいたしましても、門別にいたしましても、そういう分科委員会で検討いたしておるわけでありまして、その結論が出ましてから、合同委員会の方へ来るわけでありますから、私も大体のことは承知しておりますが、詳しい非常に詳細な点につきましては、あまり存じておりません。ただ門別につきましては、何度かこちらから調査団を派遣いたしまして、現地で十分御相談をいたしております。それで軍側の演習計画、それから現地の方の要請というものを両立させるように、何べんかやつておりますから、どこかで妥協点が見出せるのではないか、こういうふうに考えております。詳しい点につきましては、私ただいまのところ御説明するものを持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/31
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032・山中日露史
○山中(日)委員 さらに水産庁長官にお尋ねしたいのでありますが、ただいまの門別町の昭和二十六年度に接収せられました七十三町歩の接収による漁民の被害の補償の問題でありますが、二十六年度におきましては、単に見舞金としてわずかに八十万円の金が漁民に交付されまして、それが二戸当りたつた二千円にしか該当しないそうであります。しかも五十数日間という長い間操業ができなかつたというその損害に対する補償がそういう状態なのであります。しかるに二十七年度、すなわち昨年度におきましては、演習の期間も相当長かつたのでありますが、その漁業損害に対しましては、いまだに一銭の金も払われていない現状でありますが、これはどうしたわけか、この点をひとつお尋ねいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/32
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033・清井正
○清井政府委員 門別の演習地の問題につきまして、ただいま御質問があつたのでありますが、二十六年度に八十万円程度の見舞金しか出さなかつた、こういうのでございましたが、そのときは講和発効前の状況でもございましたし、その他いろいろそのときにおきます漁業の制限の実態にかんがみまして適当なりと思料いたしますところの見舞金を算定いたしたのであります。二十七年度以降の金額につきましては、これはただいま特別調達庁の方におきまして、その該当金額を算定中でございまして、近くその金額が決定を見るのではないかと私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/33
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034・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 大体今までいろいろと極端な議論が出ているのですが、私はどうしても外務大臣に出席を願つて聞かなければならぬと思う。一体演習をしなければならない実態にあるのかどうか、この問題が基本になるのだと思う。それから行く政治問題でなければならない。局部の問題を取上げていろいろ言つてみたところで、基本がきまらない以上、これはいつまでたつてもだめだ。米軍の演習というものは何のために必要であるか、日本の現在の国防上必要であるかどうかという、その点が一番の論議の焦点になるのであります。それがどうしても必要であつたらやらなければならない、必要でないものならばやめてもらわなければならない、この点なんです。その基本方針、これはきまつているものだろうと思うが、そういうことが外務大臣、吉田総理の国会における議論とは相当食い違いがある。そこに一番私どもは重点を置いて議論を進めて行かなければならない。であるから今イゼキだかハゼキだかという局長が来てとやかく議論してみたところで、局長ではわけがわからぬだろうと思う。金を出すことであつたならば、幾らでも出せばいいだろうけれども、それより、やめてくれというのだ。やめてくれというのが日本の国防の上からいつて必要であるのか必要でないのか、この点が一番重要なポイントでなければならない。であるから、どうか外務大臣の出席を願つて、そうして本会議の議論はごまかしの議論であるかないかということを、よくひとつ確かめなければならないだろうと私は考えますから、外務大臣の出席を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/34
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035・椎熊三郎
○椎熊委員 今の質問に関連して伊関局長にちよつとお伺いしたいのですが、国会における現政府の弁明にもかかわらず、日本に対する軍事援助と申しましようか、MSAと申すのですか、それの交渉はすでにアメリカ政府との間になされておる。昨日以来日本の通信機関に、向うからアメリカの下院におけるこの問題の論争の速記録が全部到達しております。それはおそらく二十三日の日本の有力なる新聞の朝刊に掲載せられる運びとなつているということですが、本日私は共同通信の方からその原稿をもらつて拝見した。それを見ると、日本に対する援助の問題は、実に具体的に詳細にアメリカの国会で論議されているのです。きのうの本会議における岡崎外務大臣の弁明、総理大臣の発言にもかかわらず、それとはまつたく違つた方向に日本の政府との間に具体的の相談がとりきめられていることが、このアメリカ国会の速記録によつて明らかに暴露されておる。これを読みますと、ことにスタツセンなどの発言を見ますと、この援助によつて逐次急速に日本からアメリカの兵隊を引揚げる方針であるということが明らかにされておる。こういう状況にある際に、日本内地における基地の問題がひんぴんとして起つておる。こういう重大な、そうしてアメリカの軍隊が今にも引揚げる、しかも急速にという文字を使つておる。それを補充するために日本の保安隊を強化する。それは日本の防衛軍ではあるが、日本の国民感情によつて保安隊と称するも警備隊と称するも、あえてさしつかえなかろうという言葉まで使つて論議されておる。どう言われるにしてもこれは軍隊たることに間違いないことは、アメリカの国会の論議によつて明らかである。しかもそれが急速にアメリカとしてはこの軍隊を引揚げたいという意図のもとに出ておることも明らかになつている。それであるならば、これほど国内に重大な問題を惹起するという今日の状況において、内灘のごときはすでに着手しているのですからやむを得ないとしても、これからやらんとする門別の問題であるとか、大島の問題であるとか、そういうものはあなた方のアメリカとの交渉の間に、一時これはそういう問題がはつきり解決するまでは、停止状態にしておくというような交渉ができないものでしようかどういうものでしようか。そうすると国民も安心しますし、次から次へと起るこういう問題は、私はおのずから解消して行くと思うのです。日本はアメリカの援助を受けて、国防のためにそういう軍事力といいますか、防衛力と申しましようか、そういうものを完全にアメリカの注文通り持とうとし、持たんがための交渉でございましよう。それならば日本人自体が日本国家を守るための基地その他が必要ならば、おそらく今のような問題の起し方はしないだろうと思う。国民は迷惑いたしましても国民の祖国を愛するの心からいつて、今米軍に使用されておるような感覚ではなしに、この問題に対処することは私はできると思う。現に急速にアメリカ軍隊を引揚げるという用意のもとに、日本政府と交渉しておるというならば、この交渉の結論を得るまでは、基地の問題は新たに米軍に提供して問題をさらに拡大するということは慎まなければならぬことであつて、日本政府としては、この相談の解決まではしばらく基地の問題は停止するというあなた方の御主張はできないものかどうかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/35
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036・伊関佑二郎
○伊関政府委員 ただいま御質問のような問題は、一局長のお答えする問題ではないと思いますが、ただもしおつしやるような方向に進むといたしましても、そう半年や一年でそこに行くというような問題ではなかろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/36
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037・椎熊三郎
○椎熊委員 それはちよつとおかしいですな。アメリカの政府は、この日本の自衛力に対する援助は七月から実施するということが建前でやつておると、私どもは新聞その他で聞いているのです。これは来年度の予算にそれを盛り込んでいるからアメリカの国会の問題になつているのです。解決は半年や一年の将来のことではなしに、この七月からアメリカの実施予算がそれに着手する段階に入らんとしているのです。今もはや六月でございましよう。どういうことなんでしよう。それは半年一年先のことを今御協議になつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/37
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038・伊関佑二郎
○伊関政府委員 私が申し上げましたのは、アメリカの政府の最高方針でありますから、私あたりが申し上げることではありませんし、存じませんが、たといそういうふうな方向に進みましても、米軍が撤退したいと申しておりましても、そう半年や一年で撤退できるものではない。その間はやはり米軍は日本の防衛をしなければならぬという点を申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/38
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039・淡谷悠藏
○淡谷委員 関連して——これは単なる内灘一つだけの問題ではありませんで、北海道から九州まで、全国を貫く大きな問題であると思います。青森県のごときも、夏堀委員は発言をしたいような顔をしておりますが、あらかじめ申し上げておきます。大三沢、関根地区は、北海道と同じように全然補償を見ていないような惨状に置かれております。伊関局長さんの御答弁は、訴訟問題もはつきりわからないというし、またさまざまな影響も調査しておりませんというので、まことに不満足でございますので、この際外務大臣とともに農林大臣にも御出席を願つて、はつきり質問しなおしたいと思います。右お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/39
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040・田口長治郎
○田口委員長 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/40
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041・夏堀源三郎
○夏堀委員 演習地の問題、補償の問題、この関連事項において二、三質問いたします。まず軍事基地、演習地、これは平和条約に基く安全保障条約あるいは行政協定の中にはつきり明記しておるものでありますか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/41
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042・伊関佑二郎
○伊関政府委員 安全保障条約に基きまして結びました行政協定の中に、必要なる施設並びに区域を提供することがはつきり出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/42
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043・夏堀源三郎
○夏堀委員 私もそのように聞いております。しからば日本は国防上どうしても軍事基地はなくてはならない、むしろ日本の方からお願いというようなものじやないかとも考えておりますが、ただ程度の問題である。先ほど椎熊委員からも御意見がありましたが、現在の情勢下においてだんだんと演習地が拡大されつつあるということは、実際の情勢において必要であるかどうかということです。なおこの問題は設定だけの問題ではなしに、当分これは静観して、あとの情勢を見てから処理すべき問題ではなかろうかとも私は考えておりますが、それはそれとして補償の問題であります。補償とは何ぞや。零細漁民の補償である。それは生活の保障ではないか。そういたしますると、生活の保障は、その日その日漁獲して、その魚を売つて生活しなければならぬ漁民を保障することであります。そういたしますと、大体演習地はすでに計画によつて定められておることであれば、あらかじめその補償の方法と金額は査定しておかなければならない。予算や起債のように先の公共事業のために云々ということではない。いわゆる生活のことなんだ。そうしたようなことを非常に怠つて、二十七年度の補償、それがまだ決定しておらないのであります。そうして漁民はほとんど餓死せんとするような状態になつており、はなはだしきはたまに当つて死んだ方がよい、こういう悲観的なことも言つております。これは事実であります。ただ問題は、大きく政治問題化するその地区は、何かしら含みのある方法でえらい運動をする、そのために金もいるでありましようけれども、私青森県でありますが、青森県のような貧乏な県には陳情する金もないのであつて、まことに消極的である、ただ餓死を待つばかりである、こういう消極的な状態であるのであります。これは政府当局をいじめたところでしかたがないのですけれども、なぜこのように補償を延ばしておくか、これはどうしても政府当局の怠慢である、こう申し上げてはばからないのであります。一箇年先に調査する、一箇年後に、しかも二十七年度の分もまだきまらない、調達庁の方では長官はきようお見えになつておりますが、関根の分もこの間は千九百万円に決定済みと開いておるけれども、大蔵省の方はそれはまだわからぬ、再調査とか何とかいつてまだぐずぐずしている、大三沢もその通り、その他の地も全部その通り、そり間漁民の生活を一体どうしようとするのか、これに対して水産長官と各担当の長官から御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/43
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044・根道広吉
○根道政府委員 ただいま夏堀委員かりお話がございました漁民の窮状、まことに見かねるものがあることも承知いたしております。補償の問題を直接に扱います調達庁といたしましては、できるだけ迅速に適切なる補償をいたしたいと心を砕いておる次第であります。今おあげになりました関根の問題は、すでに昨年中にも払つてもらいたいというような陳情がございまして、これもまことにもつともだと思いました。しかしその後査定金額を出しますのに時間がかかりまして、一応の数字は出ておるわけでありますが、ただその数字を大蔵省の方に持つて参りまして、予算の配付を受けなければならぬ段階になつておりますので、ただいま関係官を督励いたしまして、一日もすみやかに払うようにということを鞭撻いたしておるわけでありますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/44
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045・清井正
○清井政府委員 ただいま調達庁長官からも御答弁があつたのでありますが、たしかにその年度の終りに補償をいたすという事務上の手続になつておりますことは、当該の被害を受けております漁民の生活に非常な影響があるということは十分承知をいたしております。これを何とか早目にやる方法はないものかということも、私個人としては実は考えておるのであります。会計の問題等もございますので、またあるいは漁業の関係でございますから、年々確定金額をきめるのに、事務的に相当その要素が違つて来るというようなこともあろうかと思います。しかしながら問題は生活に困窮しておる被害漁民に対しての補償でありますから、私個人の考えでございますけれども、何とかできるならば、なるべく早目に概算払い程度のことをいたしまして、あとから精算するというような方法がないものだろうかというふうに考えております。しかしこれは個人の考えでございますので、なお責任官庁でございます調達庁とも十分連絡いたしまして、すみやかに補償金額の支払い促進に努力して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/45
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046・夏堀源三郎
○夏堀委員 一時のがれの御答弁でありまして、まことに憤慨せざるを得ないのであります。できるだけ急いでというのは一体期日はどういう程度にお考えになつての御発言でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/46
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047・根道広吉
○根道政府委員 期日のことは今何月何日と申し上げるわけには参りませんが、私の考え方といたしましては、前月中にも可能であろうかとさえ考えたのでありますが、ただ今少しく停滞しておりますので、さらに督励して、できるだけすみやかに、こう申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/47
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048・夏堀源三郎
○夏堀委員 そういう抽象的な答弁では納得することができませんので、きようは大蔵省の方からはまだ見えておりませんが、いずれこの点は大蔵省の方から伺うことにしたい。この間、質を置いて辛うじて生活をしておる連中に対して、水産庁は何か方法を御研究を願いたい。今ただちに御答弁はいりませんが、これに対する一つの対策を考えてもらいたいということをぜひ要望いたしまして、私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/48
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049・田口長治郎
○田口委員長 日野吉夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/49
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050・日野吉夫
○日野委員 本委員会にかかつておる調査事項は非常に重大でありまして、今国内で起つておる最も大きい問題がここにかかつておるのであります。本会議等でも大分問題になり、今椎熊委員あたりから言われたように、重大なる外交的関係を持つ、次々に起るであろうこれらの問題に対し、十分なる方針を持つて調査しなければならぬことであろうと考えるのであります。さらにきよう提案されました特別損失の補償法の問題等も本委員会にかかつているのでありますが、これらも従来説明された通常生ずべき損失という法律理念ではとうてい解決つかぬような問題があると思う。本委員会はこれを重大に扱われて、外務大臣の出席を求め、さらに淡谷君から提案になつております土地の係争等の問題は農林大臣等の出席を求めて、その上で基本方針をきめて、調査方針を立てられて、現地調査の必要あるものは現地調査をする、あるいは参考人をもつて調査するものは調査するということに進行されることが最も適当じやないか。ここで漫然と質問しても結論に到達しないであろう、こういう考えを持つのでありまして、本日はただちにこの程度で打切られて、責任者の出席を求めて調査方針のすみやかなる樹立、そして必要ならば現地調査あるいは参考人を呼び出すというように、調査方法をひとつ確立されんことを希望いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/50
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051・田口長治郎
○田口委員長 了承いたしました。小高熹郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/51
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052・小高熹郎
○小高委員 この問題は、大体現在と過去と将来という三つの問題が輻輳して論議されておるのでありますが、東京湾の防潜網の問題にいたしましても、昨年末までは支払われておるが、その後において三月まで未払いである、何ゆえにこれを遅延させるのだという声をしばしば漁民から聞くのでありますが、こういう点について何ゆえに遅れておるのであるか。それから損失補償法がここに提案されまして、この内容については次会に審議するということでありますので、その点は避けたいと思うのでありまするが、日本とアメリカとの行政協定に基く土地使用に関する法律とか、あるいは水面利用に関する法律とか、それに当てはまらないもの全部を含めて損失補償法というものが提案されておるのであるか。またこの法律案が上程された以上、これに対して損失補償箇所が何十箇所あるか、それに対して予算の裏づけがどの程度であつて、ただちに予算が通過すれば出せるかどうか。今までは話だけはきまつておつたのでありますが、きまつてばかりおつて一向現金が手元に届かないうらみがあつたのでありまして、これらについて政府はどういうようなお考えを持つておるか。まずお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/52
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053・根道広吉
○根道政府委員 ただいま東京湾の防潜網に関する被害の損失補償が遅れておるというお話でありますが、昨年の十二月までの分につきましてはすでに支払済みであります。なお一月以降三月分のものにつきましては目下手続中であります。もちろんこの法律が通りませんとこの法律に基く補償という名称は与えられないのでありますが、実質的には補償なのでありまして、補償が法律的にできるときがありますれば、この補償があつたものというように考えるという御説明も前国会におきまして申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/53
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054・小高熹郎
○小高委員 この法律が通つてから計算すべきものであるという長官の答弁でありますが、それでは、この法律案が近く通るでありましようが、通りましたならばただちに現金の交付をなさる手配を、今から用意しておいてもらいたいということが一点。それからその補償額については、この次の機会において十分に審議いたしたいと思つております。山をかけないまじめな数字を出したものが不利にならないように、これらの基本的な調査基準について意見を開陳いたしたいと思つております。
なおいま一つつけ加えたいことは九十九里の補償の問題でありますが、九十九里の補償金もいまだに交付されておりません。たいへん延びております。この額の問題について、他地方との比較上漁民は非常に今動揺いたしております。この決定はいつごろになるか。灰関するところによりますと、近く最終決定があるやに聞くのでありますが、数字の決定の日取りの見通しをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/54
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055・根道広吉
○根道政府委員 九十九里の問題につきましては、私も直接陳情を受けております。他地方との比較の面におきまして不公平にわたらないよう十分注意いたしましよう、こうお約束を申し上げております。またその数字につきましては、目下検討中でありまして、ただいま明確にその日を申し上げるわけに行きませんが、できるだけすみやかにしなければならぬということも、千葉県の当局及び漁民の代表とお話いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/55
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056・田口長治郎
○田口委員長 漁業損害の件につきましては、日野君の動議もありましたから、動議に添うて具体的に進んで行きたいと思いまして、本日はこの問題についてはこの程度で打切つておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/56
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057・田口長治郎
○田口委員長 次に北洋鮭鱒漁業の問題について鈴木善幸君より発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/57
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058・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 農林御当局に対しまして、北洋の主としてアリューシャン海域におきますところの操業区域の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。本年はアリューシャン海域におきますところの漁業成績は、昨年度に比較いたしまして非常な不漁を今のところ続けておるということを私ども承知いたしておるのでありますが、まず昨年に比較いたしましていかような漁獲の成績を収めておるか。またこれに対しまして操業区域を拡張する等の具体的な措置を御考慮なさつておられるかどうか。関係漁業者の間におきましては、距岸三十海里程度まで漁区を拡張すべきである、もしさような操業区域拡張の措置が講ぜられなければ、北洋漁業は将来に対して非常に重大な影響を及ぼす、こういうことが言われておりますが、操業区域拡張に対して、きわめて近い機会に農林当局では手を打たれる御方針であるかどうか、この二点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/58
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059・清井正
○清井政府委員 ただいま北洋鮭鱒漁業の実績についての御質問と、それから漁区拡張についての御質問と、二点の御質問であつたように考えます。順次お答え申し上げたいと思います。
本年は北洋鮭鱒漁業の試験操業第二年目でありますことは御承知の通りであります。本年は船団は昨年と同様三船団でありますけれども、独航船を八十五隻、それから調査船二十隻をもつて編成いたしまして、さらに政府の調査船八隻を加えまして、四月二十九日に函館を出発して現在操業中であります。操業の開始当初は、水温が一般に低い状況がありまして、船団が最初非常に近接して操業いたしましたために、きわめて操業成績が不良であつたのでございましたが、その後漁場を少し南方に移しましてから、大体平均の罹網率二・四から二・九尾程度にだんだんと好転して参りまして、去る五月二十日以後、漁業をだんだんと西の方に動して操業しておるのでございますが、六月に入つてからは非常に漁獲が増大して参りまして、最近では一反当りの平均罹網率が六・一尾というような成績を上げいるのであります。この調子で参りますれば、おおむね計画を達成し得るのではないかというふうに考えておる次第であります。なお数学的にいま少しく詳しく申し上げますと、大体漁期は五月十一日から八月十日までを一応予定して出漁したのでありますが、ただいままでの経過日数の予定漁期に対する割合が三九%であります。ところが漁獲の方の割合は、明晴丸の船団が二四%、海幸丸の船団が二六%、天洋丸の船団が二四%となつておりまして、期日の経過割合に比較しては少いのでありますけれども、これはただいま申し上げました通り、操業当初の成績が非常に悪かつたための影響でありまして、その後非常に成績が上つて参つておりますので、予定の計画通り漁獲も上げ得るものというふうに考えておる次第であります。
さらに御質問の点の操業区域の問題でございますが、この点はただいまは西方区域はカムチヤツカに対しまして約七十海里程度を離しまして区域をきめておるのでございます。この問題につきましては、一部の業者からもさらにこれを少し西方に動かすようなことを考てえもらいたいという意味の陳情等があつたのでございます。私どもといたしましては、この問題は申し上げるまでもなく外交関係とも密接な関連がございますし、その方面に対する影響等も十分考えて参らなければならぬのでありますが、一方また漁獲成績の点も考えて参らなければならぬし、この問題についてはいろいろ慎重に考えて参らねばならぬと思つております。ただいま監督官と政府の職員等が現地に出ておりますので、ただいま現地に出ております係官より操業に実際従事しておられる方々の率直な御意見を聞こうということで、監督官を通じて御意見を聞いている最中でございます。業者からの一般の陳情並びに実地に操業しておられる方々の意見、あるいは翻つてその他のいろいろな問題等を十分勘案いたしまして、この問題につきましては処置をしなければならぬものと考えておりますので、ただいまのところは、まだいずれともきまつておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/59
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060・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 ただいまの長官の御説明で、操業日数はおおむね予定操業日数の四割を経過しておるが、漁獲の割合は予定の二十四、五%程度にとどまつているということでございますが、昨年の今ごろの漁獲成績に比較いたしましてどのような割合になつておりまするか、その点を重ねてお伺いいたしたいと存じます。
さらにもう一点は、西海岸に三十海里程度寄せてはどうかという私の意見に対しまして、外交関係云々を考慮されているというお話でございましたが、これはソ連等に対して外交交渉でもなさつて、七十海里以西には寄せたいとか、三十海里程度には寄らないとか、そういうような話合いがなされておりますかどうか、おそらくそのような交渉はないだろうと思うのであります。ただ日本側が向うの海上警備等との関係を顧慮しての配慮と思うのでありますが、私ども国際通念からいたしましても、三十海里程度に接岸いたしましても、決して国際間の摩擦を起すようなことは絶対にないものと確信いたしておるのでありまして、北洋漁業に対して非常な国民的な期待が寄せられております際に、しかも試験操業第二年度において不成績に終るようなことがありますれば、今後の北洋漁業に対する施策にも大きな影響があるわけでありまするので、この三十海里程度に接岸することに対して国際間の摩擦なり危険が伴うという根拠について、もう一ぺん納得するような御説明を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/60
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061・清井正
○清井政府委員 ただいまの御質問の最初にございました数字の点につきましては、ただいま手元にございませんので、いずれ詳細に調査いたしましてからお答え申し上げますが、ただ、今年の操業も当初は非常に成績が悪かつたけれども、その後非常に成績が上つて来ているところから、予定通りの操業ができるだろうという概括的な判断だけを申し上げたのであります。
それから今の操業区域の変更の問題でございますが、これはただいま申し上げました通り、漁獲の問題と直接関通いたしますので、相当に漁獲が好成績であればさほどのことはないかと考えますが、かりに、漁獲が思うように行きませんと、この問題も相当実的際にむずかしい問題になつて来るとも考えております。ただこの問題につきましては、ただいま御指摘の通り相手国と直接に外交交渉をする方法は現在ございませんので、ただ私どものいろいろな事情を判断いたしましての処置しかないのでございます。ソビエト方面に最近つかまつておりますけれども、船も二、三帰つて来ておるような状況でありますので、もとより特に悪くなつているという状況にはないように思います。けれども、この問題につきましては、やはりあの方面には向うの軍事上の必要の相当重要性のあるものがあるやに聞いておる関係もありますし、いろいろその辺を十分考えませんと、かりに一度操業を許可いたしまして、そのために事故を起すようなことがありますと、将来にも実は非常な悪影響を与えることになるだろう、いささか慎重に考え過ぎるというような御批判があるかもわかりませんけれども、われわれといたしましては、一度無理をいたしましてかえつて悪影響を及ぼしますと、これは将来に非常な影響を及ぼすだろうというような観点からいたしまして、やはりこの漁区の拡張の問題につきましては、慎重に考えなければならない問題というふうに私どもは結論づけております。ただ、ただいまも御説明申し上げました通り、この問題は現地で実際に操業しておる方の意見を目下聞いておる最中でありますので、それらの方々の御意見も十分参照いたしまして、いろいろな事情を勘案いたしまして処置いたしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/61
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062・川村善八郎
○川村委員 北洋漁業の漁区の問題については、私も鈴木君と同様な考えを持つておりまして、すみやかに拡張すべしという議論を持つておるのであります、もちろん長官は外交関係を考慮して後顧の憂いのないようにして慎重を期すというお言葉でございますから、その限りでは量のいかんその他の問題を勘案して漁区の拡張も考えられる御意思のほどははつきりしました。そこで長官の御答弁になりました通り、昨今の拿捕された船の状況は、私この間北海道に行つて聞いて参りましたところが、おもにスパイ関係だけを非常に目標にして追及しておる、そうでないものはわずか二日くらいで帰されたといつたような例から見ましても、魚をとるということについては、そう深く関心を持つているようなことはないという観測を持つて来たわけでありますから、この点を早く結論を出して、そうして業者の望むところに従つて第二年度の試験操業の完璧を期してもらいたいということを、私からも一言申しておきます。
それとは別個の問題でございますけれども、やはりこれも鮭鱒の問題でございますが、聞くところによりますと、何か北海道の独航船側と三社側との共同経営の問題でまだ決定はしておらないということを聞きますが、御承知の通り現長官ではございませんが、塩見長官の時代に、たしか昨年の十一月十四日と十一月二十七日の両日にわたつて永野生産部長並びに塩見長官が、本年の北洋漁業の母船式鮭鱒流し網漁業も、昨年と同様にどこまでも共同の形式をもつて経営させるということを繰返して申しておりまするし、私の質問に対してもそのことには間違いがないのだということで、それにいろいろ議論なり意見なりをつけて説明しておるのでございます。これは速記録に正しく載つております。もしこのことが実現できなければ、双方の意見がまとまらなければ許可証を渡さないとまではつきりと、速記を見ましたところが残つておるのでございますが、ところであの四月二十九日の函館から出帆する際に、北海道側と会社側との問題が起きた場合に、水産庁は何か書類を入れて必ず解決をつけてやるから明日船を出してくれという意味のことを申されて出したのだ、ところが今日になりましてもまだ共同経営ということではつきり約束ができておらぬということを聞き及びますが、その点はどうなつておりますか。はたして十一月十四日と二十七日に長官なり生産部長が説明されたような方法に持つて行くという気持に今日もかわりがないのか。また三社側の意見を尊重してやらせるというような方法をとろうとしておるのか、その点を明らかにしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/62
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063・清井正
○清井政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、この点につきまして共同経営と申しますか、北海道側の独航船と母船側との契約の締結につきまして、いろいろ前に御議論がありました点は十分承知いたしております。ただ第二回目の操業のときには、御承知の通りそういう趣旨もうたつておつたのでありますが、一般的にはこれは第二年度の形態は三社と申しますか、母船側と独航船とがその経営形態についてはよく相談してきめるようにというような形に実はなつていたと思います。ところが内地側の魚価につきましては協定が済んだのでございますが、北海道側につきましては未決定のまま推移いたしまして、出漁期になりましたので、未決定のままでやつては相ならぬということで、後日必要があれば役所側であつせんをするからというようなことでごあつせんだけをお約束しましで、とにかく出ていただくということで出ていただいたわけでございます。従いましてその後私ども母船側のお話も十分承つております、またその前の共同経営云々のお話も承つておりますので、まあそういう話も含めまして、独航船側と話をつけまして、この問題についてすみやかに解決づけるようにということを、じきじき母船側の首脳部に先日お話したようなわけもあるのであります。いまだ解決に至らないのははなはだ残念でありますけれども、三社側の首脳部に対しましても約束をいたしておりますし、近く何らかの形においてこの問題は解決がつくものと私は確信しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/63
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064・川村善八郎
○川村委員 長官の御好意ある言葉で感謝いたします。ただ一点だけどうもふに落ちない点がありますので、永野生産部長にお伺いいたしますが、永野生産部長は本委員会で答弁されたが、たとえて言えば、いわゆるどの独航船をどの母船につけるとか、あるいは網をどうするとか、あるいは漁獲物の額をどうするとかいうような問題を話合いをして、それがきまらないうちは許可証を出しませんとはつきり速記録に残つておりますが、それは許可証を出してやつたところでこの問題でもし陳情が来て、帰るまでにきまらないときには、一体その責任を長官がとるのですか、永野部長がとるのですか、まあ長官がおつてそういう説明をさせたから長官が責任をとると思いますけれども、私に言わしむれば、今まさに漁期が半ばにならんとしておるときにまだきまらないというのは、ただ単にあつせんあつせんといつてあつせんがきまつてもきまらなくてもよいということになりますか、もちろんそんなことは考えていないでしようけれども、とにかく今日まできまらないということは、これはひとり漁業者同士の問題ばかりではなく、北洋漁業はいずれの方が判断しても、国際的な漁業であるからという考えから行きますと、やはり国際間の漁業だと私らも判断しておりますが、あまり漁業者がまとまらないということは、国際的にはずかしくないかというふうに考える向きがございますし、それからそれよりももつと大きな問題は、許可証を出さなければこういう問題は早く解決がついた。あつせんするから出て行け、あとで解決すると言つてだましとつて行つたということになつて、今日それからもうすでに一箇月半も経過してきまらないとなれば、あまりに無責任ではないか。私はあなた方をいじめるとか、けんかするとかいう気持はないけれども、軽いあつせんでなくて、強いあつせんで早く解決をつけたならば漁民も喜びましようし、会社の方だつて安心するでありましようし、あなた方も、行政的に考えたときに安心するだろう、私はかように考えますので、一日も早くその解決をつけられることを念願するが、もしこの問題が解決つかない場合には、一体どういうふうな処置をとるかということを、あまり責任を追究するという気分はないが、見通しの点をどうかひとつお話願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/64
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065・清井正
○清井政府委員 ただいま川村委員から生産部長という御指定かありましたが、私から御答弁させていただきたいと思います。この問題は、ちようど永野生産部長は当時南方に出張をいたしておりましたので、この問題を決定いたすときには不在でありました。その点ひとつ……。確かにこの問題につきましては、今まで荏苒日を過しておつたということは、関係者にたいへん御迷惑をかけたことと思います。しかしながらこの問題は、先ほど申し上げた通り、私も先般直接話合いをするようにということでもつて、母船側も確かにこの問題は早く解決するということを約束しておりますので、これは近く何らかの形において解決できるものというふうに確信いたしておるのでございます。むろんこれは値段の問題でございます。役所側がしいるとか何とかいうことは不穏当でございますので、これはあくまでも母船側と船団側との話合いということをあつせんするという形でもつて進めて参りたいというふうに思つておるのでございます。私どもそういうことで近く何らかの形できまるものと確信をいたしておりますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/65
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066・川村善八郎
○川村委員 私は両者が円満なる解決をすることを望むのであるが、ただ本委員会に、そうした問題が決定しないうちは許可書を渡しませんとはつきり言つておるのを渡したのだから、今問題を起しておることは即、もう責任が永野生産部長にかかつておる。ですからあつせんして解決するという御努力はまことにけつこうでありますが、国会をだましたと言つても私は過言でないと思う。もし必要であれば私はその速記録を全部とつておりますから、この次の委員会に読み上げて、あなた方の頭にしつかり入れて、言つたことのないことは速記には必ず残つておらないはずでありますから、そのことを明らかにして、そしてあなた方に早く解決をつけさせたい、私はこういう念願でありますので、どうか永野君も苦しいだろうけれども、来週中にでも解決つけるようにでもしてもらわなければ、北海道から来ておる人は高い旅費を使つて、高い宿賃をかけて、そして長くたてばたつほどそういう経費がかかる。経費がかかるということになると、魚の価格も上げてもらわなければならぬ。上げるとすれば母船側が承服しない。そして解決つかないで、最後にはこのしわ寄せの損はどこに行くかというと、決して母船側は負わないで、独航船側に負わせるのじやないかということを私は考えますので、とにかく許可書を渡したという責任を責めておるということは直接の問題ではありますけれども、間接的には早く解決をつけさせたいという念願を私は持つておるのでありますから、来週中に遅くとも解決をつけていただくならば、この問題はあえて再び追究はいたしませんから、来週中に解決つけられるかどうかという問題について、あなたのお考えを漏らしていただけばけつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/66
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067・清井正
○清井政府委員 その点十分了承をいたすのであります。ただいままで遅れておることははなはだ残念でございますが、すみやかにこの問題は解決をいたしたいと考えております。しばらくひとつお待ちを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/67
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068・田口長治郎
○田口委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は来る二十三日、午前十時より開会いたします。これにて散会いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X00319530620/68
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