1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十二日(水曜日)
午前十一時四十八分開議
出席委員
委員長 田口長治郎君
理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君
理事 中村庸一郎君 理事 山中日露史君
理事 日野 吉夫君 理事 小高 熹郎君
中村 清君 夏堀源三郎君
濱田 幸雄君 赤路 友藏君
淡谷 悠藏君 田中幾三郎君
辻 文雄君 松田 鐵藏君
中村 英男君
出席国務大臣
農 林 大 臣 保利 茂君
国 務 大 臣 塚田十一郎君
出席政府委員
水産庁長官 清井 正君
委員外の出席者
農林事務官
(水産庁漁政部
長) 立川 宗保君
専 門 員 徳久 三種君
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七月二十一日
委員遠藤三郎君辞任につき、その補欠として緒
方竹虎君が議長の指名で委員に選任された。
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七月二十一日
南洋群島内漁業基地復活に関する請願(大橋忠
一君紹介)(第四八〇五号)
見島漁港整備に関する請願(田中龍夫君紹介)
(第四八三三号)
内水面漁業免許料及び許可料撤廃に関する請願
外一件(鈴木善幸君紹介)(第四八三四号)
妻鹿漁港整備に関する請願(堀川恭平君紹介)
(第四八三五号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
漁業法の一部を改正する法律案(鈴木善幸君外
三十四名提出、衆法第四〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/0
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001・田口長治郎
○田口委員長 これより会議を開きます。
漁業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。松田鐵藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/1
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002・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 塚田長官にお尋ねいたしますが、漁業法が制定されてから今までの間に、昭和二十六年度だと私は記憶しておるのでありますが、漁業権税、また地方の附加税というものが撤廃されたのであります。その額は大体において、漁業権税は一億円くらいあつたろうと私は記憶しております。附加税も従つて同額の一億円くらいであつたろうと思つております。それからかつては船税というものがあつた。また漁業を営むについて、この漁業法の制定を見ないまでは、十指を折るほどのいろいろな税を漁民は払つておる。この日本の漁業を解放せんとする新しい制度によつての漁業法が制定されて、そうした従来あつた税金のすべてが解消されて、免許料、許可料によつて整理された形になつた。さて、ただいま当委員会においては、この漁業法の一部を改正して、免許料、許可料を全廃せんとしているのであります。そこで塚田長官は、自由党政府として税制改革をお考えになつておるやいなや、この点を承りたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/2
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003・塚田十一郎
○塚田国務大臣 お尋ねは、一般的に税制改革を考えておるかどうかというお尋ねのように伺つたのですが、そのように今考えて、地方制度調査会に諮問をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/3
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004・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 その内容につきまして、これは国会が承認したわけでもなければ、あなたの所管における単なる一つの案としてお考えになつておられることだろうと思う。よつて、もしさしつかえなかつたならば、この法律が制定されて免許料、許可料が撤廃されたあかつきにおいて——他の業種であれば、免許料とか許可料というようなものは、全般的のうちに一部分はあることにはなつておりますが、ほとんどそういうものがない。所得税、事業税というものはありましようが、漁業においてのみは所得税あり、またそれに類似した税があり、そのほかに免許料、許可料というものをとられておる。そこであなたのお考えになつておる中において、この免許料、許可料が撤廃されたとする場合に、水産業者に対して、単なる所得税または事業税のみであとは考えていないというようなお考えを持つておられるかどうか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/4
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005・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは今度の地方税改革をやつたぐあいにやるか、ただいま申し上げましたように、地方制度調査会の意見を聞くなど、また自治庁といたしましても慎重にいろいろと案練りながら、最終的にはその練つた案を地方制度調査会にお諮りして、一応皆さんの意見を聞いて政府としての意見をきめるという段階になると思うのですが、今のところではまだ具体的にどういう税をどういうぐあいにというようなまとまつたものは何一つ持つておりません。しかしこの問題を私がいろいろ伺つたときに考えましたことは、前に漁業権税をやめましたのは、やめたときに理由があつてやめたのであり、そして免許料ができたのは、免許料を独自につくる理由があつてつくつたものであり、その間に相互関係があるとは私は思つておりません。従つて、今度この免許料が廃止になりましたにいたしましても、免許料は国の収入であり、免許料が廃止になつたから、地方の税収入にそれだけ欠陥が出るわけでもありませんし、従つて免許料が廃止になるということと、地方に新しく漁業権税その他漁民にかかる税ができなければならない理由は毛頭ない、こういうふうに考えております。ただ制度改革全般のときに、どういうぐあいな税をどういうぐあいに組み立てて新しい地方の自治体の財源にするかということは、総合してその観点から考えて、あるいは適当であるということであればそういうものも出て来るかもしれません。少くとも免許料廃止という問題と相関関係は全然ないし、そういうようにつながらしてこの問題を考える意思は毛頭持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/5
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006・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 まことに透徹した御意見で、私も非常に意を強うするものであります。しかしだ、要はこの免許料、許可料というものによつて現在漁民の負担している額は約六億、日本国民がその他の業によつて免許料、許可料を出している額が約四億、大体十億を免許料、許可料という名称によつて徴収されておるのであります。そうして行つている今日、もしこれが撤廃されたときにおいては、そこにおいて財源というものを失うことになります。さて、それはただいまのあなたの透徹された御議論によつて私は非常に満足するが、要は、あなたは自由党の所属代議士があり、しかも閣僚であられるので、税制改革に対しては、あなたの所管によつているくと論議されていることであると思う。このときにあたつて、われわれの一番憂している点は、免許料、許可料六億が、他のかわつた形によつて、たとえば地方税であろうと町村税であろうとまたは国税であろうと、そういうものによつて漁民が負担をしなければならないような事態が起るのではないかという憂を持つておるのですが、長官は今どのようにお考えになつているか、この点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/6
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007・塚田十一郎
○塚田国務大臣 私が直接責任を持つてお答えできますのは地方税の範囲だけでありますが、しかし一国務大臣といたしまして、国税というものを総合して考えましても、私は将来どういう税が創設されるかということは、国及び地方の財政需要がどうであるか、従つてその財政需要を満すためにどういう人たちにどういう形でどの程度のものを負担していただくかということを、総合的に勘案してきめるということになるのであり、その場合に、たとえば地方税の場合でありますならば、その土地の住民の負担がこういう新しい税をつくることによつて非常に過重になる、またそれによつてその土地が何ら利益を得ることがないというような結論になれば、そういう税は決して創設されるはずはないものでありますし、私どもといたしましても創設はしないつもりであります。従つて将来、かりに皆さん方が御心配になつておりまする漁業権税というようなものが具体的な問題になるときには、土地の漁民の方々のお立場から見ても、またその土地の自治団体の立場から見ても、なるほどこれはもつともなものである、やむを得ないものであると御了解の行くという、大体そういう形のものでなければ、新しくそういう税は創設されないし、またすべきでない、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/7
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008・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 そういたしますと、ただいまの長官の御意見を総合してみますと、免許料、許可料というものと、たとえば将来どのような形になつて起きて来るかは存じないが、漁業税だとかまたは船税だとか、こういうようなものは、国税として今日漁民から徴収するというようなお考えを持つていないと判断してさしつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/8
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009・塚田十一郎
○塚田国務大臣 国税の方は、私も先ほど申し上げたように、責任を持つた回答はできないのであります。また国税としても地方税としても、そういう税を全然創設しないということをはつきり申し上げられる段階にはまだ参つておらぬのでありますが、しかし少くとも先ほども漠然と申し上げましたように、漁民の方々にある税が何か考えられるというときには、それは必ず漁民の方も御納得くださるようなものでなければ、そういうものは考えられませんし、また政府は実際に考えません、こういうことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/9
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010・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 さて長官の現在の責任として、今中央集権になつている今日の姿において「あらゆる地方の陳情ば、新聞で報道するだけでも、一日に四千人が上京しているということを報道されておる。ま各町村においてもいろいろな要件が伴われて、また場合によつては町長、村長の自己の保身のために、町会議員、村会議員を伴うて上京して、運動しておるという額というものは莫大なものでありましよう。かつて北海道の新聞には、北海道庁として年々一億ないし三億かかるというようなことも報道されておつたこともある。かかる費用が地方税によつて、地方の住民によつてまかなわれておる今日ということは、長官においても選挙区の事情もよくのみ込んでおられることであろうと思つて、その内容は御存じであろうと思う。これらに対してあなたはどのようにこれを改正しようというお考えであるか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/10
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011・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは制度を改正しないでも、やる方が気をつけていただけばそれだけでも直るはずのものだとは思うのでありますけれども、しかしまたそんなことを言うておつたのでは政治にはなりませんから、まずそういうものが起るのは、そうしなければ自分の自治団体の運営がうまく行かないという今の財政制度そのものにあるのでありますから、制度改革をいたしますときには、そういうことが少しでも少くなるようにという考え方で当りたい。どういうことかと申しますと、今のように、中央から平衡交付金でありますとか、補助金でありますとか、そういう形で非常にたくさんの金が中央に一度集めて地方にわけられるという形になつておるものでありますから、そういう傾向が非常に強くなる。これはかりに中央から出しますにしても、そういう特殊の動きによつて左右されるところが全然ない、もしくは全然なくすることができなければ非常に少いというようにすれば、もしまた、中央から金をさし上げるという形でなしに、同じ地方の需要を満すために、独自に税源を与えて、地方でかつてにおとりください、税種目はこうこうこういうものですよ、というようにしてさしあげることになれば、それもまた一つの方法だ。とにかくそういうようにして、制度の上でも、あまり輿にちよこく出ておいでにならないでもやつていけるということもあわせて考え、それと同時に各理事者その他の地方の議会、そういう人たちにも、そういう動きをなるべく少くするように御協力願うということで、これは直して行きたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/11
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012・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 ただいまの議論は、この問題とは関係のない間接的な関係のものであるのであります。ただいまの長官の御意見だというと、それはその場限りのやむを得ざる事情であるから、やむを得ない。これは良心的に地方の議会なり地方の理事者なりが考慮すればいいのだ、それよりして見ようがない、というようなお考えのように私には受取れるのでありまするが、これでは一体あなたの責任が全うされますか。この点に対する国の経済の状態から地方の経済というものを見て、私は塚田長官はもつともつとりつぱな抱負をお持合せがあつたものだと思つて、実はこの機会に承りたいと思つて、それを唯一の楽しみにしておつたのでありまするが、それ以外に何らお持合せがないということであるならば、私はまことに落胆する。かつて同志であり、常に尊敬しておつた塚田長官に対して、ちよつと度合いがはずれておるように私は考えておるのでありますが、もし木村長官のように私案がないというようなことでその場を濁してしまつて行こうということであつたならば、これはまたいたしかたがないのだが、もつともつと塚田言は抱負を持つておられると私は確信しておる。自由党においても財政通であり、あなた以上の人はそうあるべきものではないのだ。よつて名誉ある吉田内閣の閣僚として、今日令名赫々たるあなたがそのようなことでは、私はちよつと受取れないのでありまするが、ひとつ抱負があつたなら、まあちよつぴり出す程度でもけつこうでありまするが、われわれに対して——これからあなたの方の与党の方々も、国会が終れば選挙区へ帰りますが、そうした場合において、われわれは国を同じうしている越後の出なんです。そこで越後から出た塚田長官はこういう抱負を持つているのだということで、国の自慢にもしたいのでありまするが、あつたならば、その辺でちよつぴりでもいいから、ひとつ抱負を披瀝を願えればたいへんけつこうだと思うのであります。なければこの程度でもけつこうでありますが、ありましたならば、ひとつその抱負の一端を示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/12
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013・塚田十一郎
○塚田国務大臣 抱負の一端は先ほどから申し上げたつもりでありまして、普通ならば、それは地方でお気をつけくださるならば、今の制度のままでも直せるはずなんだけれども、そんなことを言つておるのなら政治家としてはまつたく落第なんで、私はそうは考えておらない。やはりそういう動きが出るのは、制度自体にも欠陥があるから、これを直して行かなければならぬ。そこでどういうぐあいにそれを直すかという方法、具体的にはまだ案がまとまつておりませんけれども、直す方法というものはこうなんだ。それは中央依存というものがなくなるように、独自の財源をよけい与えるという方向に直す。しかしそうは申しましても、日本のように非常に大きさの違う幾つかの自治団体かありますときには、その間に財源なんかの非常な偏在が出て参りますから、ある程度は、中央からこれを調整する意味において、国で税金をとつて、地方へ返して行くという方法はやめられない。それをやめられないとすれば、それをやりながらなお今までのような欠陥が起らないようにするためには、もう中央へ運動にいらしてもむだですよというように、額はもう法律できちんときめて、それからきめて地方にお知らせする時期も早くお知らせして、もう地方から中央に出ていらつしやるようなことはむだであるというようなことに持つて行くことによつて、これは直るし、またそういうような方法で直したい。ですからそれだけ申し上げれば、確かに松田委員が御指摘になつている一端だけは十分申し上げてあるつもりでありますから、この程度でひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/13
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014・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 私はただいまの長官の御意見に対しては、ほんとうはまつたく悲哀を感ずるのです。それは吉田内閣というものが今まで何年続いておるか。この第五次吉田内閣の間において、あなたは党の幹部として、そうして今は名誉ある大臣として、ただそういうようなお言葉でもつて委員会においての御発表は、あまりにも吉田内閣の無為無策をここで暴露するようなものであります。この点に対するもつともつと熱意ある、親切なる吉田内閣の方針というものがなければならない。その一番のポイントを持つておられるのがあなたであるものだから、私は先ほど申したように、同じ国から出た越後衆でもあるので、この場合ひとつ塚田長官のもつと親切な名論を聞きたいと思つておつたのでありますが、時間も非常に急がれておるようでありますから、この程度で終りますが、要は当委員会二十五名の定員のうち二十四名がこの漁業法一部改正の提案者になつておるのであります。私はたつた一人名誉あるその署名をしないものであります。しかしてこの問題は、日本の財政に及ぼす影響をも考え、自由党のかつて行つて来た政策においても、われわれは責任を持つておつたものであります。その責任を持つて、漁民及び日本国民全体の利益に供せんとする論議をしたくて名誉ある提案者の署名に私は同調しないものである。この点におけるあなたのただいまの御答弁は、残念ながら乙の下くらいの点数をつけて、きようはこのくらいで終ります。
次に水産庁長官にお伺いする。それは二十七年度の免許料、許可料の未納額と未納件数のおもなるもの、しかもどういう会社がこれを未納しておるか、こういう点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/14
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015・清井正
○清井政府委員 ただいま松田委員からの御質問の、昭和二十七年度の免許料、許可料の調定及びその収納額の現状を申し上げます。これは五月三十一日現在でございますが、全体の総調定額は六億五百万円でございます。それに対しまして総収納額は二億二千七百万円、三七・六%という状況になつておるのであります。件数は十五万四千件強であります。その内訳を申し上げますれば、免許漁業の方は、調定額三億六千七百万円に対して収納額は一億七千三百万円、約四七・一%ということになつております。それから知事の許可事業であるとか、中型の機船底びき網であるとか、まき網であるとかいうようないわゆる沿岸漁業につきましては、調定額が約五億に対しまして収納額が二億二千五百万円でありまして、その率は四五・三%となつております。それから遠洋漁業の方は、遠洋漁業はいろいろございますが、小計で調定額が一億八百万円に対しまして現在のところ収納額は二百二十六万円で、二・一%という状況に相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/15
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016・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 重ねてお伺いいたしますが、捕鯨に対してはどのようになつているか、小型捕鯨とか、大型捕鯨とか、以西トロールとか、以西底びきとか、または母船式とかいうようなものの大体でけつこうでありますが、この徴収額がどのようになつているか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/16
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017・清井正
○清井政府委員 これは先ほど申し上げました通り五月三十一日現在でございまして、徴収中と思いますので、途中の段階でございますから御了承願いたいのであります。先ほど遠洋漁業の小計は二・一%と申し上げたのでありますが、その内容といたしましては、小型捕鯨業が約四一%と見ております。それから以西の機船底びき網漁業が一・一%、それからかつお・まぐろ漁業が四・二%、それから鮭鱒流し網漁業が二八一八%となつておりまして、母船式鮭鱒あるいは母船式まぐろ、大型捕鯨、以西トロール、母船式鯨漁業等はいまだ納付になつていない状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/17
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018・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 大型捕鯨とは南洋捕鯨でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/18
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019・清井正
○清井政府委員 これは南洋の方は母船式捕鯨でございます。それ以外の内地の中の大型捕鯨の方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/19
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020・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 内地にある大型捕鯨の会社はどこくでございますか。会社名を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/20
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021・清井正
○清井政府委員 ちよつと会社名は覚えておりませんが、大体母船式捕鯨をやつている会社は大型捕鯨もやつております。そのほかに大型捕鯨だけ専門にやつている会社もあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/21
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022・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 水産庁では大型捕鯨会社の名前をおわかりにならないのですか、それともまた名前を言うことをはばかるものでありますか、この点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/22
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023・清井正
○清井政府委員 ただいまちよつと申し落しましたが、大体沿岸の大型捕鯨に従事いたしておりますのはいわゆる母船式捕鯨に従事しておりますところの日本水産、大洋漁業、極洋捕鯨のほかに日東捕鯨、それから日本近海捕鯨、大体この五社がただいまこれに従事いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/23
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024・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 これは水産庁長官または係官でもよろしいですが、日東捕鯨とはどういうような形態の捕鯨会社でありますか、また日本近海捕鯨とはどのような形態の捕鯨会社でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/24
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025・清井正
○清井政府委員 御質問に対してはつきりした御答弁を申し上げられないのは残念でございますが、これはたしか終戦後できました捕鯨会社でございまして、東北方面と近畿方面とを根拠地といたしますところの、主として沿岸関係の方々でつくられた捕鯨会社ではないかと思つておりますが、正確なことは今申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/25
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026・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 ただいまの長官の御答弁から行きますと、私はここに非常におもしろい資料を得られたのであります。これは大臣に対して質問をしたいのでありますが、予行演習としてひとつお話をいたします。
母船式の漁業、以西トロール、大型捕鯨、母船捕鯨、これらは日本を代表する資本漁業会社であります。また以西底びきにおいても、そうした資本漁業会社がある。近海捕鯨に対しては、五大会社のうちの日水、大洋、極洋というものがある。母船式捕鯨に対しても日水、大洋、極洋というものがある。こうした資本漁業は、私は特権漁業だと考えおる。これはおのおの見解によつて異なるかは存じませんが、何ゆえに特権漁業かというならば、母船式捕鯨というものは、今日はどうなつているかは存じませんけれども、日本政府に連合国から下付されたものであつて、個々の会社に対して免許を与えたものではない。ですから、こうした国策的の事業は大資本漁業によつて行われておる。また以西トロールもその通りだ。しかして、これらの資本漁業は今までにおいて、現在において特権を与えられておる。なぜならば二、三日前の新聞にも、七百トン型とか八百トン型とかいう、日本で初めてできるトロール船三そうを建造する計画が立つたということが報道されておる。かくして日本の産業の樹立のためにあらゆる努力をしておられることに対しては敬意を表する。しかし、こうした会社は何のために法律できめられておる二十七年度の許可料を未納に終つておるか。今日沿岸の漁業というものは、非常な苦難の道を歩んでおる、しかも今までの状態からいつて、われわれは次に沿岸漁業に対する金融の方法を考えて行かなければならないと欲しており、昨日委員長からも、各委員にこの問題が協議されておる。そうした沿岸の漁民に、わずかに二十億か三十億か五十億の、たとえば建造資金でも与えることになつたらば、どれだけ沿岸漁民は今日の実態からいつて価値を得られて、産業の確立がなり、経済の安定を来すかということは、諸君もよく御存じのことと思う。しかるにこの資本漁業が日本政府よりあらゆる援助を与えられておるじやないか、開発銀行からの融資の道もある、また銀行からの融資の道は政府は裏づけをしておる、国策なるがゆえに、国の産業の基本なるがゆえにかくした援助をしてあるのであります。これらわずかに三億の許可料の中で一億がこの資本漁業者の納付しなければならない許可料であります。これが納付されていないということは、一体どういう議論によつてこれがなされておるか、要は今日免許料、許可料の全廃に対しては、沿岸漁民の名において彼らが利益を得んとするものである、その構想を如実に現わしておる、私は全廃に対していて反対するものではないが、国会を通じて資本漁業のその頭の切りかえを要求するものである、これに対して水産庁においてもあらゆる努力をされておることであろうが、なかなか根強いのが資本漁業者の考え方だ、ちよつとやそつとではでき得るものではない。諸君はどのようにお考えになつておるかは存じませんが、この実態を見て何とお考えになつておるか。まず社会党の諸君は、こういう問題に対して徹底的な論議を進めて府かなければならないものと私は考える。私はこの問題はこの程度で終りますが、これは後刻大臣とも話合いをしなければならない。まず私は社会党の党の性格から言つて、こういうものに対するあなた方の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/26
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027・日野吉夫
○日野委員 松田委員にひとつ伺いますが、あなたの曖昧模糊たる態度は賛成なのか反対なのか、とにかく資本漁業が多額の税金を負担し、滞納しておるから、零細な沿岸漁民から免許料、許可料をとれというのですか、あなたの主張はどういう意味なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/27
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028・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 日野君の議論はまだ私の議論の多くを御存じないから、そういう御質問をされるのでありまして、これから私の議論というものは奥があるのであります。その奥を何もかにも公開してしまつては実もふたもありません。どうかこの程度のところであなた方の御議論をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/28
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029・辻文雄
○辻(文)委員 関連して。松田委員から社会党にということでしたが、私ども三人は、実際を申し上げると、水産の方にはまことに浅い知識しか持つておりませんでした。それが前国会から入つておりまして、水産委員会における皆様の質疑応答あるいは討論をお聞きしておるうちに、私ども考えさせられるところがあつたのであります。そこでときたまそういうことについてはお話をしておりましたが、この問題についても、本国会になつて私は気がついて来る面があつたのであります。しかし今度のこの法案については、附帯決議もつくことと思いますが、現在滞納をしておる人たちは大きな漁業会社であるということがわかりましたので、これはお互いに十分研究しなければならぬことであるけれども、このことが全体の零細な漁民にも波及して、その人たちが大きな利益を得て助かるということで、一応私どもはこれは了承しなければならぬと思つておりますけれども、一面の悪さについては、ここに長官もおいでですが、清井長官が長崎の中間漁区の問題について現地調査においでになつたときに、平戸でお会いしたのですが、そのとき長官に別にお会いして御意見を伺い、私も気のついたところを申し上げましたが、社会党としては、今後日本を米に次いでの水産国としてどう発展させるかということについて、十分援助もしなければならぬが、一面の悪さについては、こういうところに私どもは気がついた。ですから沿岸漁民に対しては、今後新たにさようなことの起きないような対策を立てなければならぬが、長官はどうお考えですかということを、これは私的の会見でお話したら、長官も気がついておられたし、長官と御一緒の人も、なるほど私どももそういうふうに見受けるというようなことを一口言つていただいたこともありますので、私どもは今後今松田委員が言われるような点を十分研究いたしまして、社会党としてはずかしくない、労働者の基盤の上に立つた政策で進む決意をしておりますから、御安心をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/29
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030・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 提案者の方から一言申し上げたいのであります。ただいま免許料、許可料の徴収につきまして、松田委員の質問に答えて水産庁長官より御発表があつたわけでありますが、二十七年度の免許料、許可料は、二十八年度の予算の中に六億五百万円程度組まれておるのでありまして、これを納付の期間内に完納せしむる所存であります。このことはこの改正法律案の中にも、社会党右派の方からは、当初二十七年度の分までさかのぼつて全廃すべきであるという御意見もございましたけれども、ただいま長官から御発表がございました通り、すでに沿岸漁業を中心としまして約三十六、七パーセントのものがすでに納付をしております。その件数は十二万四千件に上つておる。こういうまじめな、国の制度に対して協力いたします正直者がばかを見ないように、遅れておりますものにつきましても、納付の期間内には完納せしむるという前提のもとに、二十八年度分からこれを撤廃せんとすることにこの法律案の内容はできておるのであります。この二十七年度の分につきまして、特に水産当局におかれましては、許可漁業、指定遠洋漁業の面につきまして、徴収について格段の努力を払われんことを期待いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/30
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031・辻文雄
○辻(文)委員 鈴木さんから今お話がありましたが、松田委員の発言の深い意味につきましては、私どもも慎重に考えますが、当初社会党が全廃をとなえましたことについてお話があり、また今日沿岸漁民の方々がよけいに納めて、大きな会社の方が納めていないということも、だんだんわかつて参つたのでありますが、私どもから言えば、今の鈴木さんのお話の中に、正直な人がばかを見るということがありましたので、そのお言葉のはしをとるのではありませんが、その御真意はよくわかつております。しかし実情として、正直であつてもどうしても納められないような人がおるのではないか、こういうふうな点があれば、そういう人たちには恩情を持たなければならぬ、こういう考え方も含んでおつたことをひとつ御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/31
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032・日野吉夫
○日野委員 大体本案が共同提案になる根拠は、この免許料、許可料というものは不合理だから廃止するというのでありまして、その中には、今松田さんか言われたようないろいろな内容はありましよう。しかしわれわれは、不合理なものはやはり筋を通して廃止する、そういう意味から、二十七年度も同時に廃止すべきだという主張をしたのでありますが、鈴木委員が言われたような事情等もあり、予算の操作の関係から、二十七年度についてはあとで附帯決議をつけようと思うのでありますが、救済の方法を考えて、全面的にこの不合理的なものを廃止するということを共同提案しようということで賛成しておるのでありまして、われわれは個々の不合理とか、資本漁業と沿岸漁民との関係だけを考えておるのではなく、そうした大漁業者の利益というふうなものに対しては、別個の方法で考えらるべきであつて、このことがあるによつて二十四人の輝ける提案者の署名を拒否しようとする松田さんの態度は、どうも解せない。政治というものに対する考え方に徹底せざるものがあると思われるのでありまして、ここまで論議されれば、松田さんも、われわれがいたずらに沿岸漁民を犠牲にして、資本漁業に奉仕するかのごとき口吻を漏らされたようでありますが、そういうことはないのでありまして、筋を通して、釈然と各党一致して提案される共同提案に御署名願つて、満場一致これを通過させたい、こう考えるので、松田さんの変化された心境をひとつ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/32
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033・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 どうも日野君は急進的で、急がれるので困る。私は昨日ごの提案に署名しない理由をはつきりと申し上げておる。それで皆さん方の御協力によつて、委員長の取扱いによつて今日の委員会も開かれておる。憲法の命ずるところによる国会議員としての審議権を私は一番主張したものであります。しかもまた提案者に対しては、今のところ質問の要ないということをはつきり申し上げておる。私は何もかも割切つて考えておる。この問題に関連した昨日の私の発言に対して了承ができ得ないというのであつたならば、これはあなた方はカをもつて押し通そうということに相なるのであります。それではせつかく昨日あの通り議論したことに対して、また各位が本日の委員会を開かれたことに対しても何も意味をなさぬ。私は将来の問題に対して、大蔵大臣と農林大臣に対する、また塚田長官に対する質疑を要求しておるのだが、不幸にして今日まだ見えられない。委員長の報告によれば、昼の時間に必ず来るというお話であるがゆえに、私は、今日十二時から党の緊急議員総会を開いておるので、今小高君に行つてもらつたのです。これは皆さん方よくお考えを願いたい。党議できまつたものだという御意見であるが、しかし党議できまつたといえども、われわれの方の党議でも決定しておるのだ。しかし政策による、イデオロギーによる重大問題であつたならば、その党議の決定というものに対しては、これは服従しなければなりますまい。しかし、おのおの選挙区の問題や、その人々の立場によつて、そうその党の重大な問題とかけ離れたならば、その党議に対してもあらゆる努力をして、しかしてその党議に対しての是正をしなければならないであろう。予算案に対してすら、党議で決定した自由党は、われわれ三派同調の線をのんだじやないか。党議の変更は如実にこの国会において現われておるではありませんか。われわれの党で決定した党議といえども、私が昨日申し上げた理由によつて、納得ができ、日本国民の利益になり、しかして漁民の利益になり、水産行政、水産振興のために、少しでも利益になることであつたならば、あえて私は党議に対して皆さん方の意見の結集を見た上は、党にも了解をさせる努力をすることは自分でも考えておるものであります。こういう点からいつて、日野君もどうか私の今日の立場というもの、私の議論に対して、いま少し奥があるのだから、その奥を見詰めてから御議論のほどを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/33
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034・日野吉夫
○日野委員 議員の審議権を尊重するという建前においては、私、徹底的にその主張者なんであります。そのゆえをもつて昨日松田委員の提案に対して本日の大臣招致の賛成をしたはずであります。その点は松田さんからとがめられる理由は毛頭ないと思うのであります。ただ来るか来ないか、その点明確でないならば、議事の進行について、もう一つ考えなければならないと思うのであります。いつ来るかしれないものを一時になろうとしているのに、いつまで開いて待つておるのか。このまま松田さんと水かけ論をするのも本意ではありませんし、一応議論はすでに尽きておると思いますので、委員長から休憩を宣せられて、理事会を開き、大臣の出席される時間を見きわめられてから開かれたらいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/34
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035・田口長治郎
○田口委員長 今、農林大臣は、参議院の予算委員会からこちらにすぐ着く、総理府の会議はあとにまわすという約束をしておつたのでありますが、参議院の超過奨励金の問題で話が少し長くなり、総理府の会議の時間が切迫したから、そこへちよつと行つて、多分二十分か三十分したらそれが終るから、終つたらすぐこちらの方に飛んで来る、こういう話です。それから大蔵大臣は、昼の時間にでもお伺いいたしますから、こういうことで、それではどうしても参議院の予算委員会の都合があれば、十二時から一時半くらいまで水産委員会は飯を食べずに待つておるからぜひ出席しろ、承知したということになつております。使いをやりましたから、すぐ来ると思いますが、休憩をして待ちますか、あるいはこのままでしばらく待つておりますか。
〔「休憩」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/35
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036・田口長治郎
○田口委員長 では暫時休憩をいたします。
午後零時四十八分休憩
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午後一時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/36
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037・田口長治郎
○田口委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
暫時休憩いたします。
午後一時六分休憩
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午後三時四十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/37
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038・田口長治郎
○田口委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
漁業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。松田鐵藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/38
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039・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 農林大臣にお尋ねいたしますが、まず皆さんからいろいろと注意があるので、ごく簡単に御答弁を願いたいと存じます。
私は今日までのこの法律に対しての私の立場を一応大臣に申し上げてみたいと思うのであります。漁業法の一部改正にあたりまして、昨日上程され、それに対して私は委員会二十五名のうち二十四対一の光栄ある提出の署名を拒否したものであります。しかして委員長に要望したことは、国会議員としての審議権を十分尊重されんことを要望し、委員長は昨日来あらゆる努力をもちまして、大臣も非常に御多忙中にもかかわらず、出席を見るように努力されたことは、委員長のこの委員会運営に当る努力の点を非常に多とするのであります。私は昨日日の委員会においても、当初申したことは、審議権の尊重と、また提案者に対しては論議はないのであるということを申したと同時に、水履行政と水産振興のために、この機会に、われわれ委員会の意見を大臣が直接御聴取あり、国の政策に対する御努力あらんことを希望する次第であります。
その点から行きまして、私は大臣にまず第一にお伺いしたいことは、自由党吉田内閣において制定された漁業の中央審議会であります。この中央審議会の意見というものは、大臣の諮問機関であり、しかしてこの意見を徴して行政を民主的に持つて行こうという構想であるのでありましよう。しかして従来からの行き方から行きまして、かつて三国漁業協定において、あれほど努力された藤田長官は、アメリカの圧力に対して政府が屈服いたしまして、越佐海峡の不手ぎわという名において藤田長官は首になつたものであります。これも中央審議会の議決を経たあの当時の問題であります。次に昨年までわれわれすべて農林省における唯一の名長官と思つておつた塩見長官、あれまでに水産行政のために努力をされたあの塩見長官も、中間漁区の問題によつて他に転出せざるを得ないような結果になつております。人格高潔であり、しかもものやわらかな現長官が今日非常に苦悶されている問題は、中央審議会において決定されたさんまの問題でありましよう。この問題も今や自由党の諸君その他の人々のいろいろな議論があり、大臣は中央審議会の諮問機関の意見を聞き、しかして告示されたこのさんま漁期の問題は、一体どのような結果になるか、非常に憂えているものであります。予算委員会においても透徹した答弁を聞くとき、保利農林大臣に対しては全幅の信頼を持つものであります。部下のやられる行政に対しては、大臣は必ずやこれを守り、それを擁護することであろうと信じているものでありますが、今日問題になつているさんまの問題に対しては、どのようなお考えを持つておらるるか、この点を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/39
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040・保利茂
○保利国務大臣 私は過去のいきさつはいろいろの問題について詳しくは存じておりませんけれども、ただいまお話の中にございました、あるいは中間漁区等の問題について、農林省の一つの方針のきまつたものがまたひつくり返る、そういうふうな事例が二、三ある。それは水産業の発展を期して行かなければならない水鹿行政の信頼をかちとるゆえんではない。そういうやり方はこれはとるべきことではなかろう。さんまの問題につきましては、一応の経過も伺い、私として多少疑問とするところもございましたが、それらについてよく事務当局の考え方もただして、今年における調整措置は、すでに告示手続をいたしておりますることによつて行うことが妥当であるという私自身の判断によつていたしたことでございますから、今年これを変更するということは私は全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/40
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041・田口長治郎
○田口委員長 松田委員に申しますが、なるべくひとつ本問題に関連した点だけを要約して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/41
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042・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 当委員会には、大臣にはこれで二回目であります。委員長は、各委員といえども、大臣の水産行政に対する意見も相当聞きたいことでありましよう。そういう点に対しては、われわれに対するあなたの御心配のない程度に切り上げますから、どうかでき得るだけの質疑をお許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/42
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043・田口長治郎
○田口委員長 なるべくひとつポイントを…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/43
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044・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 これが一番大事なところなんだ。このただいま上程されておる一部改正の法律において、私は非常に懸念しておる問題があるのであります。先ほども農林省の最高幹部の方々と会つてよく協議をして参りました。大臣はお聞きになつたかどうかは知りませんが…。法律においてはまつたく異なつておるものでありまするが、その実質的内容については、私は同様な意味合いを持つものでないかという懸念を持つものであります。それは漁業法の免許料、許可料というものは、財産権を国が買収いたしまして漁民に開放したものである。買収の価格は百八十一億余であります。しかしてこれが政府の所有になつた、実質的には登記や何もしたものではありませんが、所有とみなしてもいいものであり、それを一時漁民に開放したものであり、しかして五年間というその経営を今やらしておるものであります。それにはいろいろと海区調整委員の問題もいろいろな問題がありましよう。結果的にそこへ到達しておるものであります。それでこの漁業法の骨子から行つて、財産権であつたものを、五年間その財産をゆだねておるものであります。しかしてこれは現在は財産という名称にはなれますまい。しかしそれを実質的に経営しておるものであり、それに対する免許料というものが徴収される法律となつて現われておるものであります。しかしてこれを今全廃せんとする法律案として今日現われておるものであります。私はここにおいて一番憂する問題は、法律では全然異なるものでありまするが、農地改革の問題であります。農地改革は地主の持つておつた土地を国が買収したものではありません。しかし買収すると同様な行為をもつて農民に開放したものであります。農民はその所有権を今日持つておるものであります。しかし農民の所有権は登記はされております。しかしこれは担保権がありません。それから賃借権はありません。また規定によつて、これを売買することも禁ぜられております。つまり一口に言うならば、耕作権とひとしいものであります。これからいろいろ改正される点はありましようが……。しかして農地証券をもつて、一時これを買収の形をとつてやり、農民はこれに対する年賦をもつて払おうとしたものであるが、現存の状態から言つたならば、農民は、長期の年賦よりも、ほとんど完納したものでありましよう。そこで所有権はきちんと農民にありまするが、ただいま申したような次第であつて、いわば耕作権のようなものでありましよう。さて漁業権においては、財産権であつた漁業権も今日は耕作権とほぼ似たようなものになつておるものでありましよう。それはいろいろ議論がありましよう。法律においてもそれはかわつた形のものになることでありましよう。しかしその使用権、耕作権と同様な漁業の免許されておる免許権は、行使権と言おうか、法律ではどういう名称になつておるか私はわかりませんが、そうしたものが、たとえば国がよそから、個人からでも買い上げた土地土地を、また買うとしようか、これを必要な人々に貸し与えて、貸し与えたときにおいて地代金であり、使用料であるこういうものを、これに匹敵するものを全部とらないというようになつたならば、私はこれに対して将来農民がこうした問題によつて起きる自己の利益のために、金は払つたのだけれども、こうした方法があつたじやないか、われわれにその売買した金額を、金利をつけて返せなどという議論が、場合によつては矯激なる思想を持つておる人々の扇動によつて行われないともだれかこれを保証できないではないかという考え方を持つものであります。そこで国の秩序というものからいつても、国の財政の面からいつても、二の点が非常に心配な点だと思つておつたものでありまするが、こういうものに対して、農林大臣は日も浅いことでもあるし、御研究されておるかどうかは存じませんが、もしそういう問題に対して御研究されておられるならば、どういうようにされるものか、もし片鱗でもありましたならばお聞かせ願いたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/44
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045・保利茂
○保利国務大臣 日本民主化の大きな一環として、漁業民主化という線から現行漁業法ができ上つているわけでございますが、その中に今お話の漁業権に対する免許料、許可料を徴収することがどうであろうか、これは相当論議の末に、国会においてもこういう論議があり、その結果法律の施行を見ておるわけでございますから、われわれとしましては、この法律に従つて措置を講じて参ることは当然のことでございますけれども、根本の考え方をどういうふうに考えるかということになりますれば、とにかくこれはそういう国のあり方で、あらゆる制度の民主化をはからなければならぬ。従つて既往漁業権者の漁業権を一切政府が買い上げて、再び民主化に逆行するような方向にしないという配慮から、こういうことが行われておるわけであります。お話のように、十分農地改革の面等とも関連して考えて行くべきものであろうということは、むろんそう思います。しかし農地改革の方はとにかく耕作をする農民が土地を持ちたい、この熾烈な要求があり、そうして今日からいえば、経済的にはそろばんにおそらく棄らないような価格でもつて土地の所有がやられておる。お話のような、一部にはそういう意見が将来出るかもしれない。この問題に手をつければ、そういう意見が出るかもしれないということは、これは十分想像し得られることと思うのでありますが、現行法を前に置いて、この法律がいいかどうかということになりますれば、これはごの法律もできるにはできる理由があつてできておりますから、一概に論じがたいのでございますけれども、国の必婆によつて漁業権を買い上げる、そうして漁業民主化をやつたのでありますから、従つて本来なら根本的には国の犠牲において制度の改正をやるべきものである。それを将来漁業を営みたいという人の負担においてやるということについては、これは根本論としては大いに意見のあるところであり、従つて今日各地で強くその不合理から七十五条をめぐつているくな意見が出おるのは、私も無理からぬと実は思つております。しかしこれをどうするかということについては、私どもとしてはまだ実は結論を得ていないわけでございます。これを正直に申し上げるほかはなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/45
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046・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 ただいま大臣個人の御意見としてそういうような御意見を持たれておるということを聞き、私はもはや論議をする必要がなくなるほど喜ばしいものであります。必ずや今の大臣の政治力をもつて、諸君が全部考えておるようなことが到達できるものであると思うのであります。すなわちこの法律というものが不当なものであるというように裏づけられる言質のように聞くものであります。先ほどの農地改革との関係の考え方は一つの私の憂でありますが、将来非常な大きい問題に進展するような気がしてならないものであります。十分に気をつけて農林行政に善処あらんことを希望するのであります。
次に大臣に対して私の質問をしたい問題は、本年の予算の面から見ましても免許料、許可料の全部の金額は十億一千万余になつておるのであります。そのうちただいま問題になつておるのが水産関係が六億万百万であります。この六億五百万というものを漁民が支払わなければならないという今日の法律、これを全廃しなければならないという議員諸君の意見であります。ただいまの大臣の個人のお考えを聞いて、私は非常に喜びとするものであります。さてここにおいて、私どもは過去の問題を申し上げるわけでもないが、われわれは漁業法の制定にあたり、当初補償料は六十億くらいだと思つておつた。その六十億くらいだと思つておつたその金額を出されて、われわれはただいまの大臣の御意見のように、国の方針が決定して民主化しようというのであつたならば、免許料、許可料というものはとるべきじやないという議論を強く主張したものであります。ところが占領政策の至上命令によつてどうしてもこれは許されない、とらなければならないという議論になつたのであります。それじやこんなわずかじやいけないじやないかというので、百億になり、百二十億になり、百五十億になり、百八十一億までこぎつけたものであります。さてその責任というものは、私ども当時審議した者に責任があるのであります。その責任があるがために、政治的な道義というものをよく考えなければならない。これは国の方針によつてただいまの大臣の御意見と同じよう議論をわれわれはした。しかしこれは全国民の税によつてまかなわれたものであり、よつてやむなくこの六億余というものは昨年から払わなければならないという決心をし、払いつつあるのであります。ところが昭和二十六年だと思いますが、この法律ができない前までには漁業権税というものがあり、それから船の税があり、何だかんだと地方税その他を通じて十幾種類の漁民が負担する税金があつたのであります。そういうようなことでは漁民はすべてのものを国に買い上げられて免許料、許可料を払つている以上は、そうした税金は撤廃すべきであるというので、われわれは漁業税というものを撤廃させた。先ほど午前中に塚田大臣に委員会に御出席を願つていろいろと質疑した。ところが、塚田君にしてまつたく要領を得ない、税制改革は考えることは考えておるがと、木村保安庁長官と同じような態度であるようなお話であつて、何らここにまだ成案がないのだという御意見であつた。この言質は速記録によつてよくわかる。ただ私は先ほど申した農地と漁業制度改革とのかみ合せで、将来非常な禍根になるものではないかという老婆心から、自由党の幹部とただいままで論議をして参りました。それから農林省の高官ともいろいろ論議して参りました。ところが私はここに非常にとんでもない論議を当の自由党の総務会長から聞いて参つた。それは、この法律を制定するにあたり、党議を決定するまでの間にいろいろと議論されたそうであります。そのときに自由党の諸君は、将来必ずこれは撤廃されるが、漁業権税というものによつて調整されるのだということを1益谷総務会長から、党の撤廃せよという議論に対して、財政上の措置が困るという話があつたそうでありまするが、そのときにそういうことを言われておるということを聞いた。これは野党諸君にはとんでもないことである。今は党勢拡張のために漁民にこびるために全廃をしようとしておる、だが次に来るものは漁業権税というものか、船税というものか、それによつてまかない得るようになるということを、自由党の諸君が総務会長に言うておるということを、ぼくは聞いて来た。私は、今まで自由党諸君のお考えは、提案者に質疑をしておりませんからわかりませんでしたが、かかる問題があるということであつたならば、これは非常な問題であります。私は、でき得ることであつたならば——近く政府として税制改革を根本的に行う考え方を持つておられることだろうと思つておる。よつてその間たとえば暫定的に三年という筋を出したことも、近い将来の税制改革とにらみ合せて、その間において調整するまでの間、これを眠らせてとらないようにしておくことが、法律の上から正しいことであり、しかして漁民が利益を得ることであり、実質的には同じことであろうという考え方を持つておつたものであります。それが、先日の協議会において、党議によつて決定したものであり、これが最善の方法であると論議されて、私の意見に対しては、耳をかす必要のないものだということで、二十四対一で、今日まで自分は意見を吐露して参らなかつたものであります。しかるにただいまあの温厚な、うそを言うことの絶対にない益谷総務会長が私に対して、次に来るものは漁業権税であり、船税であり、これに埋め合せる財政措置ができ得るようになるものだということを言われております。私はここにおいてどなたがどういうお話をされたか存じません。今ここで名前を言うなどということはいけないと思う。私は提案者に対して、その理由だけを聞いて内容を聞いていない、質疑をしないという前提のもとに立つたものだ。しからばこの法律の奥にそういうことがあつたかないかはわかりませんが、益谷会長の言を借りて言うならば、党利党略以外に何ものもなかつたのではないかという感覚を持つたものであります。まことに残念なことと思うのであります。しかしそれはまた別として、まず大臣に私はつつ込んで御意見を聞きたいことは、二十八年度の予算の問題であります。この予算の問題については、十二月三十一日に大蔵省から内示されて、しかしてこれに対して各局は猛然とその復活に立つたものである。昨日も私は申し上げた。それにあらゆる努力をして、大事な選挙区へ一月に帰ることができずして、今日落選のうき目を見ておる前委員長福永君がおります。大臣も御承知の通り、あの福永君の努力というものは並たいていなものではありませんでした。私もその驥尾に付して、一月の二十三日まで二人でやりました。最後まで残つたのは二人きりでした。私は一月の二十三日に心身ともに疲れて、伊豆の伊東に朝行つて昼に着いて、ふろに入つて、翌日の朝の九時までこんこんと眠つてからだの回復をしたものであります。かくして大臣の外部的の非常な御尽力はあつたが、水産庁の予算というものは、漁民の、また水産庁当局の期待する何ものもないものであります。まず漁港の予算については、先輩諸君の御努力によつて、今や二十三億六千万円までにはなりましたが、現在第一次整備計画によつて四百五十港、ところが着工は二百というような状態になつておる。しかも指定した数は二千六百十六港、それから第二次整備計画を要望されておるのが六百四十六港あり、この漁港の整備のみで年々五十億なり七十億の予算の計上がなかつたならば、漁港も漁民の期待する半分にも満たないような状態になつておるのであります。今日は予算編成の一番重要な時期であります。漁港一つにおいても、大臣はこうした委員会及び水産庁、漁民の要望に対して、相当認識を改めて行かなければならない問題であろうと思うのであります。また水産行政の面から行きましても、せつかく水産庁があらゆる努力をしてなさつておる対馬暖流の調査も、まだ半ばも終らないような状態であります。漁業の調整費は二億二千七百万あります。しかし要望はその三倍、四倍になつておりましよう。これらに対しても、相当大幅の予算の拡充を見なかつたならば、水産庁の行政もなかなか満足に行かないことでありましよう。その他金融の問題とか、いろいろな問題が山積しおります。大臣も御多忙であるがゆえに、当委員会にもなかなか御出席のできないことを私は了とするものであります。この問題に対しては、委員各位も大臣奪うした歴においてのいろいろの論議もあることと存じますが、水産行政の面に対して、大臣の政治力によつて、一層の御努力を私は希望するものであります。また水産振興の面から行きましても、先日大臣と私的に会談いたしまして、金融の問題も論議いたしましたが、幸いにして委員長は昨日各委員に満期保険に対する金融の道をも努力せんとはかられております。こうした点からいつて、これらに対してもあらゆる努力をお願い申し上げなければならないと考えておるのであります。これらに対する大臣の御所見を承ることができたならば、非常に幸いに存ずるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/46
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047・保利茂
○保利国務大臣 本件の取扱いが今国会でどういうふうになつておりますか、つまびらかにいたしませんが、おそらく松田委員の御趣意は、予算、金融を中心として、水産行政の上に打開して行かなければならぬ問題がある。それが非常に差迫つておる。その際におけるこの種の問題の取扱い方というものは、よほど注意をしてやらないと、みんなが水産行政の発展のために苦労をして行つても、なかなかうまく行かぬ場合が出て来るということを懸念されての御趣意ではないかと思うわけであります。まことにその老婆心に対して感謝にたえないわけで、特に本年度の予算編成期におきまして、私もその末席におりましたが、松田委員の御努力によつて、満足できないながらも、ともかく今年度の水産関係の予算が獲得されているのは、まつたく御努力の現われだということを、よく承知もいたし、また今百口行政の衝に立ちまして、そのことを回想いたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、金融上、あるいは漁港整備等の計画を予定のごとく進めて参ります上におきましても、予算問題というものは、何さま一番大きい懸案になるわけでございますから、これは私は前会も申し上げましたけれども、むろんから手形をお出しするわけに参りませんし、のみならず、かなり国費の出費を要請せられ、また出費しているというような状態、かてて加えて災害相次ぐというような状態のもとにおきましては、非常な困難を感じて来るだろうということも考えております。しかし水産発展のためには、できるだけ努力を払つて行きたい。漁業法の問題は漁業法の問題、予算の問題は予算の問題といつても、なかなか同じ人間の扱うことでございますから、私は関連、影響はないということを断言し得る勇気は、実はありません。けれどもそれはそれとして、とにかく予算、金融の問題については、御趣意も十分わかることでございますし、現状もまたそうなつておると思いますから、努力はいたして参るつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/47
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048・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 つけ加えて大臣に御参考までに申し上げておきますが、予算の問題から行きまして、私どもは先ほど申したように、免許料、許可料というものは、とるべきではないという議論は、当初からしておつたものであります。その議論があるがゆえに、その感覚があるがゆえに、漁港の予算の面においても、今回の漁船損害補償法においても、これがあるじやないかというて、唯一の財源にしておつたものであります。そうして、これは、内輪の、農林大臣と水産委員の中であるから申し上げ得るのでありますが、もしこの予算をよこさなかつたら、こいつは撤廃するぞといつておどかして、われわれはこれを一つの予算をとる道具にして来ておつた。それほどこれは不当なものであるということだけはよくわかつておる。しかし六十億を百八十一億までとつたということに対する政治的な道義をわれわれは考えて、議論を進めて来ておつたものでありますりただいまの大臣のような透徹した、割切つた御意見によつて、この問題は別だ、この法律は法律で行き得るのだ、しかたがないのだと言えば——予算に対してはあなたの政治力は、党内において随一だと私は常に尊敬しておるものでありますので、農林大臣としてのあなたの努力が報いられることを期待する。しかして災いを転じて福となすこと、すなわち政治力である。これによつて水産行政、水産振興のために再度の努力を期待するものであり、お願い申し上げるものであります。
次に、ついでというとまことにおこがましい話でありますが、先ほどもちよつとお話申し上げたように、また大臣と個人的に私は論議をしたこともある水産の金融の問題であります。それは先日の委員会における水産庁の説明から行くと、過去三箇年の、一年平均は建造資金は百二十億円平均になつておると言われております。私は五十億くらいだと思つておつた。そのうちに農林特融による漁業協同組合の自営船にも出ている。それからまた開発銀行から出ておる。中小企業や、かつお、まぐろの船に対して若干出ておる。まあ大型の資本漁業は別であるけれども、中小漁業に対してそうしたようなものが出ておる。わずかに十億に足らないものでありましよう。私は五十億くらいと思つておつたのが百二十億平均ということを発表されて、実に意外に思つておつた。ところがこれかすべてが自己資金によつてまかなわれて来た建造資金であります。よつて水産に対する経済のしわ寄せが百二十億によつて方々へ波及しておるものであります。この点は水産長官からも後刻よく大臣に御報告願いたいと思いますが、そういうような結果からして、今は戦時中の漁船も、もはや老朽船になつて、漸次大型の、大臣の希望のような、あのわれわれに与えた演説のように、沿岸から沖合に、沖合から遠洋にという大臣の水産に対する抱負を達せんとするならば、これは莫大な建造資金というものが要するようになります。幸いにして政府は満期保険の制度をも提出されて、今日その制定を見ることになり、衆議院を通過したのであります。しかしてこの満期保険の制度はたといできても、その資金に対する裏づけというものは、なかなか容易なものではありません。まず満期保険の制度から行くならば、三年、六年、九年という三つの段階によつておのおのが自己の建造せんとする船の積立て預金をして行こうという制度であります。さてそれに積立て預金をして行くことによつて、それによつて保険をかけて行こう、要は、一年または二年かけたならば政府からその五〇%に対して利子補給を得て、スムーズに船を建造せんとするのがあの法律の内容であります。ところが積立金というものは、まず水産庁のリストから行きますと、一年に二十億くらいになるようになつておる、三年後には五十億くらいになるようになつておるのである。それは五割が加入したと見ておる。ところがそれは加入者の一年、二年、三年と積立てて行つた金であります。先ほど申したように、現在でさえ百二十億という自己資金をもつてやつておるがために、漁民の経済にしわ寄せがある。よつてこれらに対しては、その建造資金を得るのに、どうしても融資をしてもらわなければならないが、そういう道を開くというのがあの法律の趣旨であります。そこでそれに対してはわれわれも、よりより協議しおりますが、現在の日本の金融というものは、たとい基金協会制度ができましても、中小の漁業者にはその建造資金の借り得る道はありません。基金協会の主としてねらうところは、七割までを流動資金でやる、着漁資金でやる。三割は施設に使い得ることになつておりますが、銀行に対しては日本銀行が一年間の手形の九割まで裏づけをすることになつておりますが、長期の資金は借りられないのであります。かかる点から行つたならば、水産当局に資金はどこから持つて来るかと質問したところが、基金協会の補助によつて得られるではないかという御意見であつたが、それはとうていでき得ないのであります。資本漁業は開発銀行があつて融資をする道がある。零細漁民は系統機関の農林中金から融資を受ける道があるが、中小の漁民は個人々々として造船意欲に燃えても、その融資を受ける対象がないのであります。私はこの間自分のカン詰め工場を売つた。現金を半分と手形をとつたが、一流の会社でさえもその手形は割れない一流会社の株券を担保にするからと占つても、どうにもならない。日本銀行に毎日手形の不渡りで三拝九拝しているのだから、どうか遠慮してくれということであつた。それほど経済界、金融界は恐慌時代になつていることを大臣もよく御認識があると思います。予算の成立を見ないのも、その一つの原因でありましよう。しからば中小の漁民が船の建造をしようとしても、銀行は相手にしない。開発銀行は共同融資の形をもつてこれまたとうてい中小の漁民というものは、その恩典に浴することは微微たるものである。しからばこれをあの満期保険の制度をしてやつたとしても、法律はできても、その漁民の希望することが不可能なのが現在の姿であります。よつて公庫法の第十八条の改正によつて財政資金を個人に貸し与えるような制度をつくらなければならないことを、先日も大臣に私は申し上げた。これに対しても農林当局の意見を聞くと、みな賛成のようであります。それは当然しなければならないというような御意見を長官初め官房長も、経済局長も言われておりました。また私は公庫の総裁ともいろいろその問題について議論をして参りましたが、非常に賛成しておりました。大臣の御意見もよくわかつているのです。そこでこれらに対して私どもは、大臣の政治力にお願いを申し上げ、しかして公庫法の一部改正をすると同時に、大蔵当局が非常にきらうことではあるが、あの財政資金は限度がある、二百三十億、本年の返還によつて使える金は十億、合計二百四十億よりない。それは農林当局とすれば、予算が成立しようとしまいと全部もう割当がきまつておる。水産関係には何ぼ、土地改良には幾ら、何がしには幾らというように、大体割当はきまつておられることでありましよう。財政資金を持つて来なかつたならば、それによつてやられなかつたならば、地方銀行から借りるわけにはいかない。それから農林中金から借りることもでき得ないのが、その中小漁業者の個人々々であります。よつてどうしても財政資金によつてまかなわなければならない。しからば二百四十億のうちから、もしそれを三十億なり四十億なりとつて来たならば、大臣の理解によつてとれるとしたならば、当然二百四十億には穴があくことでありましよう。そうしたならば、当初の計画というものがそこで非常に狂いを生じ、他の部門に迷惑のかかることでありましよう。これを調整するものは、今金を持つておるものは、中金以外にないのであります。中金の自己資金であります。中金は上手に自己資金がたまるようになりました。さてその中金の自己資金をねらつておるものは、もうあらゆる角度からこれをねらつております。まず第一にどうしても出してやらなければならないものは、あのみじめな、見た者でなければ話のできないという九州の災害、和歌山県の災害でありましよう。これらに対しても営農資金なり何なり、いかなることがあつても、これを出してやらなければなりますまい。また農林省においては、今年は北海道においても凶作だ、まつたくみじめなような寒さが来ております。これらに対しても、また中金を通じて救済の道を講じなければなりますまい。百億や百五十億あつたところで、その使い道なんというものはもうひつぱりだこだ。むこ八人よりも、むこ十六人もあるくらいのものだ。これを上手に、早いうちに大臣の努力によつて、農林中金当局とお話合いを願つて、これを獲得しなかつたならば、どうにもならないことでありましよう。さてそれには現在つなぎ資金の制度をもつて、考え方を持つて、系統機関に流してはおりますが、私どもはこれに対して、たとえば二十億か三十億でもいい、これが一定の限度によつて、公庫は、保険の保の字を書いた保障をすることによつて、そのうちの二割か三割でもいいと思う、こういうようなことで中金の自己資金を、中命に安心をさせる手段として法制化して、これを使い得るようにして、先ほどの議論の、穴埋めをそれによつてまかなうというような考え方を農林当局もしておるようでありまするし、われわれも何とかその方法を大臣の政治力によつてなし遂げたいと考えておるものでありまするが、大臣はどのようにお考えになつておるか。もしそれに対する御意見がありましたならば、希望ある御意見を承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/48
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049・保利茂
○保利国務大臣 その問題に関しましては、先日も御意見を伺いまして、資本大漁業に流れる開発銀行の融資の道、系統機関を通じて流れる中金の融資の道、そのいずれにも均霑し得られない中小の個人経営者に対して、融資の道を開くことの必要を私は感じております。そこで御意見を承りまして、ただちに事務当局にもその意見を申し伝えまして、どうすれば一体その道があくか——ただいまお話のいろいろな手段があると存じますが、あるいは公庫法を改正して、あるいは公庫法を改正する予想を持つて、中金へ公庫の保障をさせるというようなこと、いずれにいたしましても、その方法で個人業者に対して融資の道が新たに開かれるように努力をいたしたい。事務当局もまつたくその方針のもとに、今関係当局と、これはおざなりでなしに、努力をいたしております。結論が出ておりませんことを非常に遺憾に思いますが、その方向で努力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/49
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050・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 大臣に対する約束の時間ももうわずかよりありませんから実は質問したいことは一日くらい質問したいので、資料はたまつておるのですが、そういうわけにも参らぬので、先ほど話合いしたものですから、またいずれ懇談でもつていろいろと意見を申し上げたいと思いまするが、ひとつ参考までに頭の中にとどめておいていただきたいものがあるのであります。これは制度改革ができて、民主化された日本の漁民の姿に立ち返らなければならない漁業において、現在なお特権漁業というものがあるのであります—それは私がその特権漁業という名称をつける理由は、その漁業というものは資本漁業でありまして、日本の国是として、どうしてもやらなければならない漁業でありましよう。日本の産業の確立、日本漁民の遠洋へという希望に燃える点から行きましても、私はこの漁業の奨励、国の援助というものは必然的に必要なものと考えております。たとえば南極の捕鯨漁業、また北洋における鮭鱒の母船漁業、北洋における捕鯨漁業、こうした漁業は日本の産業として、国是として応援して行かなければならない漁業であります。よつてこれらが非常な国の援助を要求する、またそれを満たしております。そうした満たされた大資本漁業が、今日の昼の当委員会において、許可料において、わずか三億の許可料のうち、一億を負担しておるのである。その一億というもののうち、ほとんどこの種の漁業者が一つもその許可料を今日は払つていない。そういうことが明らかになつたものであります。私は先ほど申したように、この種の漁業に対しては、国が援助をし、国があらゆる努力をすべきものであるという結論を持つておるし、考え方を持つておるものであるが大型の近海の捕鯨漁業だとか、以西のトロール漁業だとか、南極の母船捕鯨たとかは許可料は一銭も払つていない。これが明らかになつておる。しかも以西トロール漁業というものに対しては、きのうの新聞に百トンか八百トンの船を建造するということが報道されております。それはたとい八百トンであつても、一億なり三億なりかかるものでありましよう。そういう一億、三億かかるものも平気で日本の商業のために努力をするがために建造する大会社が、一億の免許料を四社、五社をもつて一銭も払つていないという現実の姿が、先ほどの委員会でわかつたのであります。これには、食糧、金融の道も、資材の道は今日容易でありましようが、こういう方法によつて国が援助をしておる。しかるに零細な漁民はなけなしの金から四三%まで払つておる。しかるにこの資本漁業は一銭も払つていない。ただ以西底びきが一・一%払つておる。私は大臣の前でそういうことを申し上げるのは、実ははばからなければならぬが、資本主義の自由党内閣において、私も資本主義である。かくした大会社が一銭も払つていないという現実の姿に対して、これはただ本年中に払わせるように努力するという水産庁長官の答弁だけでは、とうていこれは了承のできない問題である。ややともすれば、国会を取巻く赤旗の波、一日四千人から国会に陳情に来ておる。こうした行動はどこから出て来ておるか、自由党の政策を攻撃することは今日はばかりますが、ただいまのこの資本漁業のこういう例から見ても、零細な漁民大衆は非常な思想の動揺、また国の保護に対して反感を持つて行くようになるのではないかという重大なことを私は、先ほど午前中において発見したものであります。資本主義の自由党の農林大臣は、これに対してどういう御見解を持たれるか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/50
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051・保利茂
○保利国務大臣 これは漁業形態によりまして、食糧とか金融とかいろいろのめんどうの見方の相違もあるかと思います。性質は同じであつても、程度の差はあると思います。しかしこの特権的な存在を許すということは、これはもう絶対にあり得ることではございませんつまたあつてはならない。お話のように、免許可料の納付状況が御指摘のようになつておることは非常に遺憾に思います。しかし国としてとるべきものはどんなことがあつてもとらなければならぬ。そこに差別があつてはならない。いやしくも差別的な特権的な扱いを国がいたすというようなことは、もう絶対にいたさないつもりでおります。われわれの方に怠つておることがあれば、ただちにこれは改める、やらなければなりません。必ず確保いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/51
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052・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 それは大臣ちよつと甘いんだ。ほんとうは農林省では手に負えないんだ。これに対しては、なめてかかつておるから、相当強硬な御意見を持つて行かなければならない。ひとつ保利農林大臣の腕前を見せてもらわなければならないと私は考えておるのであります。全部の免許料、許可料でもつて六億五百万、ところがこの大資本漁業者が一億というものを未納しておる。よつて私は悪く解釈すれば、零細漁民の名をかつて、資本漁業者はこの免許料、許可料の問題に対して、われわれの意思も彼らは察知して、これを扇動をしたように見る。大臣ここが大事なんだ。そうして彼らはあわよくばこの一億の金も払わないようにしたいと思つたんだ。ところが社会党諸君の御意見は、二十七年度も廃止をしようという意見だ。ここにおいて彼らはこの一億という金を払わないことができ得るのではないかと拍手をしたものだと私は思う。ところが賢明で、すつかりごまかされてしまつて、二十八年度からということになつた。一億も今度は農林大臣の手腕によつてただちにとるという御意見であるから、彼らは当てがはずれた。こういうようなこともあるのでありまして、先ほどの資本漁業というものは、国の政策として援助もして行かなければならないものだという前提のもとに、これらを御認識願いたいという気持は十分御了承できると思う。しかしわずか一億の金をも払わないので、漁民に対する悪影響を及ぼすような結果が今日現われておることも十分に認識されて、今後の彼らに対する指導監督の面、なかなか根強いから、これを十分されることを私は希望いたしまして、約束の時間一分も間違いなく、これにて農林大臣に対する質問を残念ながら打切るものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/52
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053・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 大蔵大臣がお見えになります暫時の間私に質問があつたわけではございませんけれども、提案者の意が十分徹底しておらない点につきまして、私はこの際明らかにしておきたいと思うのであります。まず第一点は、自由党におきまして免許料、許可料の徴収の制度を撤廃いたす漁業法の一部を改正する法律案の党議決定までの過程におきまして、政府をあずかつておりますところの与党の立場から、財源その他あらゆる観点から慎重にこれを検討したことは当然のことでございます。私どもはその際に、この免許料、許可料の制度を撤廃するごとによつて、なるほどその面においては国の財政収入は減るのであるが、所得税等におきましては、十億前後の免許料、許可料が免除されることによつて、これに対する所得税の課税等によりまして、少くとも四億四千万円程度の国に実質的な収入が入る。また徴収費として計上しております五千万円程度の経費も節約ができる。こう考えて参りますと、ここに五億程度の財源が生れまして、かりに二百三十一億というようなものが関連して考えられるとしましても、四十七箇年の間にこの穴埋めができるものである。私どもはこの問題は関連して考うべきものでないと考えておりますが、かりに百歩を譲りましても、そのような事情に相なるのであります。また漁業者の現在の負担の状況から見て参りますと、私どもは事業税の制定当時猛烈に反対したものでありますが、今日主食生産農家は事業税を免除されておるのでありますが、魚は米麦とともに非常に貴重な食糧でありながら、この食糧生産に従事しておりますところの漁業者は、ただ統制がしかれていないという立場からいたしまして、事業税を賦課されまして、毎年三十六億円農業者が負担せざるところの事業税を負担しておる。このようなぐあいに、漁業者は農民その他に比較して、国に対して御迷惑をかけ、他の産業経済界の負担に依存をして、それに寄生して寄生虫的に生活を依存しておるのではない、漁業者は漁業者なりの立場で、国家に対して相当の税を納めておるものであるということも申しておるのであります。また地方税の漁業権税あるいは漁業税というような問題も、要するに漁業法が制定される以前にあつた制度でございますが、その問題にもいろいろ議論があつたのであります。しかしながら、私どもとしましては、この制度を撤廃するから、免許料、許可料をすぐにこうしなければいかぬというような、そのような関連をもつて考うべき問題ではないと考えておるのであります。午前中に地方税を主管いたしておりますところの塚田自治庁長官が言われましたように、これは別個の問題であり、地方税の改正の問題は、地方制度調査会等の答申をまつて、総合的)全体的に考えらるべき問題であるという見解を私ども持つておるのであります。私どもとしては、あくまでも二百三十一億と見合つてこれを穴埋めしなければならないという、この悪循環を断ち切つて、ほんとうに漁業者が国民の一員として当然納めるへき妥当な税は納めるべきである。これは漁業者の諸君が陳情に参りました際にも、私どもはしばしば申しておるのであります。漁業者の諸君も、旧漁業権者がもらつたところの税を、新漁業権者がひもつきでこれの穴埋めをすることはごめんこうむる。こんな矛盾した悪制度は撤廃してもらいたい。漁業者が当然納めるべき妥当な税は、国民の一員として拒否するものではないということは、漁業者諸君みずからも十分理解しておるのであります。こういう問題は、政府与党としてこの制度を撤廃する際に論議され、いろいろ検討されたことは当然のことと私は思うのであります。従いまして、自由党がこれを、党利党略というような言葉を松田委員は使つておりますが、さような考え方ではありません。真に漁民諸君の要望にこたえて、党としてここに党議を決定し、改進党、両派社会党、鳩山自由党の方々とここに協議をいたしまして、そうして漁民の熱烈なる要望にこたえますために、この悪制度を撤廃することに今日共同提案をもつて対処せんといたしておるようなわけであります。
また今後の水産予算の問題と、免許料、許可料との関連についてでありますが、私はこれは別個の問題であると考えておるのであります。漁業者は一年に六億五百万円や十億程度の免許料、許可料よりは、土千五百億円以上の漁業生産を上げ、それに対して所得税を国に納めております。また先ほど申し上げましたように三十六億の事業税も納めておる。そうして漁港予算等についても、われわれはもつと高い国家的な立場から、あくまで漁業を農業とともに育成して行かなければならないという観点から、水産予算は検討され取扱わるべきものであつて、これはおそらく各党各派とも同じようなお考えでおられることと思うのであります。今後私どもは、税にあらざる税、非常な不合理と欠陥に満ちたものは、あくまで撤廃をし、合理的な、漁業者が国民の一員として当然負担すべきものは負担いたしまして、そうして水産予算につきましても、要求すべきものは堂堂と要求するという立場をとつて参りたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/53
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054・日野吉夫
○日野委員 時間の余裕があるそうですから、まだ一つも論議になつていない点を提案者に質問してみたいと思うのであります。私も提案者でございますが、共同研究でございますから、御意見を伺つてみたいのであります。今まで大分論議された中で、松田さんからもいろいろ議論が出ましたが、問題は、不合理なものだからこれを撤廃するというのが根本的な条件であります。松田さんもこの点については認められておる。以前の交渉経過はよくわれわれ承知していませんが、ここまで来て不合理な税金でとるべきものでないから、これを廃止するという各党一致の意見が打出されて、ただ問題となるのは、三七%の一万五千五百人の納税者の還付手続がめんどうくさいから、ことしだけは残そう、こういうことのようです。しかも今鈴木さんの説明では、この六億が廃止になつても、いろいろの点で五億の自然増が見込めるということになるなら、きわめて少額の問題が欠損になるだけであつて、どうせここまで割切つてこれを廃止するということにきめたなら、二十七年度分もさか上つてこれを廃止して、すつきりしたものになつたら松田さんも釈然とし、これに賛成するのではないかと思うので、いかがでしようか、法案の範囲を出たようですが、共同研究ですから、ここで二十七年度分も廃止する、こういうことにしたらいかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/54
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055・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 これは共同研究でありますから、私も申し上げるのでありますが、これは改進党、鳩山自由党等も御賛成を願いまして、昭和二十八年度予算案は衆議院を通過いたしておるわけであります。そこで私どもといたしましては、せつかく衆議院を通過いたしまして、この成立を待望いたしております国民諸君の要望にもこたえる必要がある、こう考えておるのでありまして、先ほど御指摘にありましたように、少額ではございまするけれども、予算を補正するという問題、あるいは還付の手続き、しかも金利をそれにつけて還付しなければならないというようなめんどうな手続、いろいろそこにあるわけであります。そこでこれは御相談でございますが、日野委員が御要求になつておりますように、二十八年度予算に計上されておる二十七年度分、この中にはカムチャッカ沖あるいは十勝沖等の津波災害に伴う減免の措置等も講ぜられていないというような点も指摘されておるわけでございますので、これは附帯決議でそういうような減免の措置を十分に講ずるというようなことで、お約束申し上げました原案の通り進めて参りたい、こう思うものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/55
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056・日野吉夫
○日野委員 これは共同研究ですから、私もその主張を一応取下げて、原案に賛成して附帯決議をつけることにしたのですが、今までの話合いで予算は衆議院を通過したことはわかつていますが、予算措置の点ならばまだ参議院で審議中ですから、参議院から修正の形で衆議院に回付されて、両院協議会で相談すれば可能性はあるのです。そこで問題は、すつきりとした姿で汚点を残さずに、きれいにするために、できればそうしたらどうかと思うのです。そうすれば満場一致で松田さんも賛成されると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/56
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057・田口長治郎
○田口委員長 ちよつと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/57
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058・田口長治郎
○田口委員長 速記を始めてください。
本日はこの程度にとどめ、明日は委員室の関係もありますから、午前九時
に開会いたしたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604562X01519530722/58
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