1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十五日(土曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 千葉 三郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君
理事 坊 秀男君 理事 内藤 友明君
理事 佐藤觀次郎君 理事 島村 一郎君
有田 二郎君 宇都宮徳馬君
大上 司君 大平 正芳君
黒金 泰美君 藤枝 泉介君
宮原幸三郎君 福田 繁芳君
本名 武君 小川 豊明君
久保田鶴松君 楯 兼次郎君
春日 一幸君 平岡忠次郎君
福田 赳夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵事務官
(管財局長) 阪田 泰二君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
国税庁長官 平田敬一郎君
中小企業庁長官 岡田 秀男君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 細田 吉藏君
委員外の出席者
農林事務官
(食糧庁総務部
主計課長) 厚味莊之助君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部労政課
長) 鈴木 大三君
日本国有鉄道参
与
(職員局長) 吾孫子 豐君
日本国有鉄道参
事
(職員局給与課
長) 八木 利眞君
国民金融公庫総
裁 櫛田 光男君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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七月二十五日
委員木原津與志君及び山村新治郎君辞任につき、
その補欠として楯兼次郎君及び中川俊思君が
議長の指名で委員に選任された。
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七月二十四日
国有財産法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第四五号)(参議院送付)
証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
第四九号)(参議院送付)
証券投資信託法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七八号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十四日
揮発油税軽減に関する陳情書(第一一九〇号)
同(第二九一号)
石油関税の減免措置延期に関する陳情書(第一
一九二号)
同(第一一九三号)
同(第一一九四号)
信用保証協会に対する政府の財政的援助に関す
る陳情書(第一二一一号)
信用協同組合の員外預金取扱に対する反対の陳
情書(第一二六七号)
昭和二十六年度所得税徴収減免に関する陳情書
(第一二六八号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に律した事件
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六二号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六三号)
特別減税国債法案(内閣提出第九八号)
関税定率法等の一部を改正する等の法律案(内
閣提出第一一六号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四三号)
信用金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三号)
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八三号)
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八四号)
国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
一〇三号)
産業投資特別会計法案(内閣提出第一一三号)
厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一一五号)
信用保証協会法案(内閣提出第一二五号)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約
第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産
の管理に関する法律の一部を改正する法律案(
岡良一君外二十六名提出、衆法第二〇号)
積雪寒冷単作地帯における麦類又は菜種の収穫
に因る農業所得に対する所得税の臨時特例に関
する法律案(竹谷源太郎君外二十四名提出、衆
法第二一号)
国有財産法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第四五号)(参議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/0
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001・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。
法人税法の一部を改正する法律案外十四法案を一括議題として質疑を続行いたします。
なお昨日予備審査を行つて参りました国有財産法等の一部を改正する法律案につきましては、昨日修正されて参議院から送付されて参りましたので、この際本審査に切りかえ、参議院の修正点につきまして、便宜政府当局から説明を聴取いたしたいと存じます。阪田管財局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/1
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002・阪田泰二
○阪田政府委員 国有財産法等の一部を改正する法律案につきましては、先般この内容につきまして御説明申し上げたわけでありますが、その後参議院におきまして審議いたしました結果、一部修正案が参議院で成立いたしまして、こちらに参つておりますので、一応その参議院の修正を私どもの方から御説明申し上げておきたいと思います。
参議院の修正点は第十三条でありまして、政府の原案におきましては、従来の第十三条におきまして公共福祉用財産、あるいは皇室用財産、このような財産を取得するとか、あるいは他の財産をこれらの財産に振りかえるとか、あるいはこれらの公共福祉用財産、皇室用財産の用途を廃止しよう、こういうときには、それぞれ国会の議決を経る、かようなことに相なつておつたわけであります。それで今回の政府の改正案は、この十三条の規定を改正いたしまして、まず第一に、皇室用財産につきましては、非常にこまかい財産まで取得するたびに一々国会の議決を経るということは適当と思われませんので、三百万円以上の財産であるとか、年間を通じまして合計額が三千万円以上に達する場合、こういう場合に限つて国会の御議決を経る、かように規定をかえました。
その次に、公共福祉用財産につきまして国会の議決を経る点につきましては、今回他の第三条の方の改正におきまして、公共福祉用財産の分類等が廃止されました関係等もありまして、その規定を削除したわけであります。それに対しまして参議院の修正は、この公共福祉用財産につきまして削除しました点を一部復活いたしましてこの改正規定にありますように、公園または広場、これは今回の新しい分類におきましては公共用財産ということに相なるわけでありますが、この公園または広場につきまして、これを用途を廃止する、あるいは変更する、あるいは公共用財産以外の行政財産としよう、つまり公園または広場というものを他のものにかえようという場合には、国会の御議決を経なければならない。これもしかし但書がございまして、三百万円以下の小さいもの、あるいは年間を通じまして、そういう用途を廃止したりする財産の価格の合計額が三千万円以下の場合、かような場合には国会の議決を経る必要がない、かような趣旨の修正案があつたわけでございます。それで、これは現実の問題としましては、国の財産であります公園または広場というものは、現在のところ皇居前の広場、それから新宿御苑、それから京都の御苑、この三つしか指定されておりません。地方公共団体が国有地を借り受けて公園にしておるといつたようなものは、ほかにたくさんあるわけでございますが、ここにある国有財産で、直接に公園または広場として指定されておりますものは、ただいま申し上げました三つだけであります。またその三つにつきましても、常識的に考えまして、これを廃止するとか他の用途にかえるというようなことは想像されませんので、政府の原案におきましては、特にそういうものにつきまして規定を設けておく必要もなかろうと考えたわけであります。しかし特にこういう規定がありましても、政府の方の取扱いといたしましては、さようなわけでありますので、別段支障はないであろうというふうに考えております。なお但書が参議院の修正におきましても付せられておりまして、三百万円以下のもの、あるいは年間を通じて三千万円以下の場合には、国会の御議決を受ける必要はないというふうになつておるわけであります。これは新宿御苑とか、ああいう場合を考えてみましても、一部の建物等につきまして、用途を廃止してとりこわすとか、移築するとか、こういうような場合も起り得るわけでありますので、こういうような場合には、やはり但書のような規定が必要であろうというふうに考えております。さような意味におきまして、参議院で御修正になりました点は、これまでの規定をしなくてもできるものと私どもは考えておりましたが、こういう規定が入りましても、別段支障はないというふうに私どもとしては考えておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/2
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003・千葉三郎
○千葉委員長 質疑を許します。小川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/3
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004・小川豊明
○小川(豊)委員 私はきのう食糧庁長官に伺つて、大体了解したのですが、了解した後にいろいろな問題が出ておりますので、これはどうも化かされたのじやないかと思いますが、そこで国税庁長官にお伺いしたいことは、この前の例の黄変米ですが、これは三社か五社に国税庁長官の申請で払い下げておるわけですね。あれは申請しつぱなしで、あとはあなたの方ではそれに対する監督とか、責任は全然持たなくてもいいわけですか。それとも持つべきなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/4
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005・平田敬一郎
○平田政府委員 先般申し上げました払下げの件でございますが、今御指摘の三つに売渡しを受けました件は、昨年一番初めにやりました件でございまして、食糧庁から売り渡してもいいというような話がありまして、指名入札に参加し得る適格者を推薦してもらいたい、こういうことでございましたので、業界に希望者を聞きまして、その中から適格者といたしまして、実は五名ほど指名入札に参加し得る資格のものとして推薦いたしたわけでございます、そのうち一人は入札に参加しないで、結局三人が落札したということでございまして、そのあとの現物の入手につきましては、その当時といたしましては、もつばら食糧庁の米を売り渡すことでございますので、国税庁といたしましては関与いたしておりません。ただその後、次のものは、入札の状況その他から見まして、先般も食糧庁から話がありましたように、もう少し丁寧にいたしまして、希望の価格と数量を実はこちらから聞きまして、それを調べまして、適当と認める額をそれぞれの業者につきましてきめまして食糧庁長官に必要な数量の黄変米を払い下げてほしい、こういうことを国税庁といたしていたしたわけであります。その際に、先般もお話がございましたように、どういう人を通じて売渡しを受けるかということについても、あわせてしてもらつてほしいという希望がありましたので、食糧庁と相談いたしまして、その当時は、御指摘のようなある会社を通じて売るようにということにいたしたのでございます。しかし、その後さらにいろいろ私ども検討いたしました結果、本年さらに売渡しの問題がございますが、これにつきましては、国税庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、業界から希望の数量と価格を募りまして、それが食糧庁の大体予定するところに達したものを選定いたしまして、食糧庁に対しまして、そのものに必要な数量を一定の価格で売り渡してもらうように、こういうことにいたすつもりでございます。その際において、さらにどういう米穀の取扱い業者を通じて入手せしめるかということは、どうも国税庁としまして、そこまで吟味して指定して行きますのは少し行き過ぎではなかろうかと思いますので、この方はもつぱら食糧庁でやつてもらうということがよろしかろう。こちらといたしましては、単に各酒類業者の希望の数量をまとめまして、一定の条件でそれを査定いたしまして、必要な数量を食糧庁に申し込む。現物化につきましては、やはり食糧庁においてやつてもらう、ただ現物化された後におきまして、原料米が倉に入りましたあとは、私どものところで原料の検査はできるわけでございます。これは酒税法によつてできますので、食管法上の検査ではございませんが、酒税法に基きます検査はこちらにいたしましてもよくやりまして、先般小川さんが御心配になりましたことも今後におきましてはないように、私どもといたしましても食糧庁の検査に協力してやつて参りたい。ただ倉に入るまでのことにつきましては、こちらといたしましてはいかんともいたしがたいので、その点は、もつばら食糧庁の方でやつてもらうことにしたらどうであろうかということで、大体そういう方向でその辺をはつきりいたしまして、間違いが起る余地がないようにして行くことにしたらどうかということで、食糧庁と目下相談中で、大体そういうことになるだろうと思つておりますが、そうやりますれば、御懸念のようないろいろな問題もはつきりして参りまして、問題が起るようなこともまずなくて済むようになりはしないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/5
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006・小川豊明
○小川(豊)委員 きのう食糧庁の長官にお聞きしたところによりますと、通産省の方の関係へ行くものに対しては、食糧庁としては倉出しまでの責任である。通産省の方は、自分の倉庫に入つてからの責任であるが、途中は責任はないという一つの欠陥がわかつて来たので、これは是正してもらわなければならぬということになつたのです。そこで、今あなたのお答えで適格者を推薦なすつたということです。この表の例で申しますと、東洋醸造に三千トンあなたの申請で払い下げられた。これは、あなたの方では適格者と判断されて申請した。ところがこの東洋醸造は、私はつい二、三日前までは、一社へ千二百トン、あと百トンか二百トンかを和歌山県にやつたということであつたと思つていたが、東洋醸造はまだほかへも出しておる。そうすると、東洋醸造は自分で払下げを受けたけれども、自分では使つていないんじやないかという数量が出て来る。そうすると、適格者として、こういう目的でこういう用途に使う、こういうことが査定されて払下げを申請されたと思うのですが、その適格者が、私どもから見るとひとつも適格者ではなく、自分では何も使つていないんじやないか、こういうことになると、あなたの申請がまことにあやふやな申請じやなかつたか、こういうふうに考えるわけであります。こういう目的なり用途なりがはつきりして、その目的、用途に基いて払い下げられたものが、その目的、用途が変更されてしまつて他へ流したり流されたり、非常によくない形でそれが使われていることに対する監督責任は、あなたの方でとるべきではないか、この場合は、こういうことが起つても、これに対して何らの措置がとられていないということになると、これはいけないので、これに対する申請者としての監督責任をあなたの方は負うべきじやないか、こう思つて私はお尋ねするのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/6
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007・平田敬一郎
○平田政府委員 ただいまも申しましたように、昨年中に二度ほど実はやつておるわけでございますが、今御指摘のものは、昨年五月、最初に払下げを受けたケースでございます。最初の際は、先ほどから申し上げましたように、石数とか数量とかには全然こちらは関与しませんで、ただこういう業者が希望しておる、これは、しようちゆうなり合成酒等に黄変米を使うに適する事業をやつておるから、競争入札に参加しても適当である、こういう意味で希望を募りまして、実は五人ほど推薦いたしまして、競争入札をやつてもらつたわけでございます。その入札の際に、御指摘の通りに、東洋醸造が三千トンでございますか入札したこれは事実でございます。その数量は、競争入札でございますから、こちらからは何ら指定いたしておりません。それからその後さらに、先般も食糧庁長官からお話になりましたように、その中から、用途変更をする場合には、食糧庁長官の承認を要することになつているようでございまして、その承認を受けまして、協和醗酵という会社にたしか千二百トンでございますか、譲り渡しているようでございます。ただこれは、先般も食糧庁長官から話がありましたように、成規の消費の手続を経ております。それから食糧庁といたしましても、同じく酒造用の原料に使うのなら、人は違うが同じ用途であるからよかろうという意味で、承認されたものと考えておるのでございまして、それは今御指摘の通りでございます。
そのほかに、今御指摘の、一部が和歌山地方かどこかへ、どうも途中で横流れしている事件がある。これはいろいろ問題だと思うのでございますが、私の方は、先ほご申し上げましたように、業者のこういうものが競争入札に参加する資格ありということで、実は推薦いたしているわけでありまして、その現物化につきまして、こちらで一一その当時考慮してどうする、こうするというところまで行きますのは、どうも少し筋が違う。これはむしろ売渡す予定の米を、どういう方法でどういうところに払下げするかという、その手続の問題になつて来るわけでありまして、これは主として食管法の円滑適正な運用ということになるのではないかと思います。ただ、もちろん先ほど申し上げましたように、私ども税の取締りをやつておりまするが、その取締りの規定できる範囲内におきまして食管法の適切な施行に協力するということも当然のことでございまして、そのし得る点は、先ほども申し上げましたように、現物が倉に入つた後は、税務署で検査権限がありますので、その検査権限を適用いたしまして、必要な監督を加えて行くということは当然であろうと存じまするし、それは今後もして行きたい。それから、さらに今申し上げましたような若干不都合な点がございましたので、二回目からはそういう方法をとらないで、第二回目は、数量も実は国税庁で希望を聞きまして、必要な数量を割当てたのでございます。これは、この間お配りした表に出ておりますように、十二、三工場あつたかと思いますが、同じような業者に全部照会を発して、希望の数量と価格を言わせまして、総わくがございますものですから、その総わくの中において、能力とか値段の方を見て公平に割当てまして、その米を、先ほど申しましたようにある会社を通じて食管から売り渡してもらつた。これは指名競争契約でなくて、随意契約で売り渡している。むしろこの方が、売渡しの方法としましては、よけいな数量を得て適当にするといつたような競争入札上の問題も少くなりまするので、数量を明細に厳密によく見てやりますれば、その方がいいのじやないかということで、そういう方法をとつておりまして、この方法を今後やりますれば、今御懸念のような問題も大体なくて済むようになるのではないかと思います。そして現物の取締りにつきましては、私どもはやはり今後におきましても、はたして倉に入つたかどうか、これは当然一定の期間に調べて、必要な措置をとつてもいいと思いますが、主としましては、倉に入つた後において原料の検査をいたしまして、それによつて横流れ等のないようにする、そのことには、私どもといたしましても十分食管法に協力する意味で、監督を加えて行くようにし、そういう点をずつと明らかにいたしまして、運用上誤りのないようにいたしたい、このように実は考えている次第でございます。昨年のやり方が、最初のときと二度目と少しかわつておりますので、その点御了承願いたいと思つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/7
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008・内藤友明
○内藤委員 関連して……。平田さん、私はここに盲点があるのじやないかと思うのです。それは、食糧庁の方は自分の倉庫から出す、そこまで責任がある。あなたの方は、酒屋さんの倉庫へ入る、それから責任がある。この間が盲点になつている。あなた方は、何でも権限を少しでもとろうとろうという非常に御熱心な方々なんでございますが、この盲点をほつたらかしになさつておるのでございますね。それで和歌山県へ行つたりどこへ行つたりするということになるのでありまして、これはひとつ食糧庁とよく御相談いただきましてこの盲点のないようにしなければ、やはりこれは妙なところへ流れて行くのではないかと思うのであります。少しでも権限を御熱望のお役所なんでございますから、——これはまことにいいことなんでございますが、どこが盲点かを突き詰めなければならぬと思うのです。将来も黄変米が出て来ると、こういうことが起るということはよくないことでありますから、できるだけこういう盲点をなくするように、両者よく御相談の上でやつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/8
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009・春日一幸
○春日委員 私も同一の問題について質問をいたし、同一の疑惑を強くしたのでありますが、昨日食糧庁長官からの御説明によりますと、農林省では、前金でなければ米は出さない、通産省では、荷物が着いてからでなければ金が払えない、ここにギヤツプがある。だれか中に入つて、この荷物を運んだり、代金授受の代行をする会社が必要になつて来る、いわくトンネル会社が必要になつて来る、こういうことであろうと思うのであります。ただいま内藤さんが指摘なさつたのも、その盲点であるギヤツプに対しての問題だろうと思うのでありますが、私どもがさらに強調しなければならないことは、このギヤツプのために、たとえば黄変米の処分にしろ、砂糖の処分にしろ、砕米の処分にしろ、ここで実に大きな利益がトンネル会社にあげられておることである。この利益たるや、このギヤツプさえなければ、当然それだけ高く農林省は処分をすることができたであろうと思うのであります。私が指摘したいことは、お互いの血税でもつて高い外米を買つたのだから、一銭でも高く処分をしなければならないのに、その盲点があるために安く処分をして、中間トンネル会社に巨利を博せしめ、ほしいままにせしめて、これに対して何とも手の下しようのない状態です。先般来小川君が指摘いたしましただけでも、何億という金額になろうと思います。トン六千円としましても、一つの取引で何千万円というものが何回かにわたつて行われておるわけであります。私どもはこういうような盲点は、すべからく予算決算及び会計令ですか、それの必要な改正を行いまして、少くとも砕米や変質米を処分しようと思うときの代金授受については、必ずしもそういうしやくし定規の法律に拘泥することなく、実際的な取引で処分が行われて、国民がかつて負担したところの輸入に関する高い代金を少しでもカバーできるような態勢をおとりになることが、私は政府を通じての責任でなければならぬと思うわけであります。日本糧穀にしろ、東洋醸造にしろ、まるでうぐいすの谷渡りみたいなもので、その間をあちらに渡りこちらに渡りというようなことで、その間に何億という金を現実に占めておる。あなた方はこういうことにお気づきにならぬはずはない。私が非常に遺憾に思うことは、小川さんの指摘されたことによつて国会の論議の的になり、しかも国民は大きな関心をこの一点に集中しておるのですが、われわれが気づく前に、当然政府間においてこういう盲点があり、トンネル会社に大きな利益を占められておるのだから、これは何とかしなければならぬとお気づきなされてしかるべきだと思う。指摘されて、それを改正しようという積極的な御答弁も、これは国税庁長官からも、通産省からも、あるいは食糧庁長官からも、一ぺんも言明されたことがないのです。今の御答弁によりましても、あなた方は、その辺の盲点をいかに是正して行こうかという積極的、具体的な施策が示されておりません。これについてどういう対策をお持ちになつておるか、将来長くこういうトンネル会社を残して、そのトンネル会社に巨利を得せしめ、国民の税金をさらに加重せしめることをなお看過せんとする御意向であるかどうか、この点について平田さんの御意見を伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/9
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010・平田敬一郎
○平田政府委員 この問題に関しまして、いろいろ御意見、御注意を承つているのでございますが、これは私ども、しごくごもつともな御注意が大部分じやないかと実は存じておるのでございます。そこで私は、こういう問題に対しましては、御指摘のようにできるだけ責任の限界を明らかにして、そこではつきりした仕事をやつて行くということが、何と申しましても一番大事なことではなかろうか、その意味におきまして、国税庁としましては、国税庁として責任を負うべき分野を最初から明らかにいたしまして、その限りにおきましては、きつちりとした仕事をやる、それから食糧庁は食糧庁として、どこまでどういう方法で責任を負うて行くか、通産省の方は通産省としてどうするか、その辺のところを、まずお互いによく法令等を明らかにいたしまして、はつきりきめてかかつたらどうだろうか、これが私どもの一つの考え方でございます。なおちよつとそれにつけ加えておきますが、その際におきましても、主としてやるにいたしましても、お互いに協力し得るという関係も成り立ち得る。食糧庁の主として責任を負うべき問題につきましても、私どものできる範囲におきまして、できるだけ協力してやる、こういう分野もあつていいと思いますが、その辺のところをあらかじめ明らかにしておきましてやりますると、御指摘のような問題を起す余地が非常に少くなつて済むんじやないか、そういう方向できめたい。
それからもう一つは、その際におきまして、横流れがないようにしなければならぬ、これは御指摘の通りでございます。それにはどういう方法がいいか。それから中間の業者をして扱わしめた方がいいかどうか、これは、私ども率直に申し上げまして主として会計法規と、それから食糧庁の米の取扱いに関する大体の方針と申しますか、そういうものに関連して来ると思いますが、そういう点につきましても、先ほどから御指摘のように、どうすれば最もコストが少くて、しかも横流れのおそれがない方法で行き得るか、これはもちろんそういう角度で検討すべき問題だと考えております。しかしこの問題は、率直に申しまして、主として食糧庁が自分の米を利用者に売り渡す仕事でございますから、私の意見としましては、食糧庁が主としてその問題については責任を負つてやつて行く、これが率直に申し上げまして筋ではないか、食糧庁の方がおられませんが、私はかように考えております。その際におきまして、私どもも、もちろん需要者を選定しまして申請しました関係もございますので、その荷物が一定の時までに確実に入つているか、入つていないか、入つたあとどういうふうに監督を加えて行くか、これは食糧庁に対する協力という関係で、私どももやはり監督を加えて行つたらいいのではないか、このように考えております。会上計法あるいはその他にも問題がありまして、こういう場合におきまして、なかなか一般的な適切な措置がとれない場合も過去においては例があるようでございます。そういう問題につきましても、よく検討いたしまして、再び国会でおしかりを受けるようなことにならぬように、私どもとしましても十分配意いたしまして、やつてみたいと実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/10
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011・春日一幸
○春日委員 この問題につきまして、国税庁長官の立場においては、十二分の配慮を加えるということで了解をいたしましたが、問題は、依然としてこれは食糧庁と通産省との間にあろうと思うのであります。こういうような法律の盲点があるということは国民は知りません。私どもも小川君がたまたまこれを強く指摘し、これはいろいろ討議して行く過程において明らかになつて参りました。しかもこのトンネル会社たるや、歴代の食糧庁長官の前歴のある諸君が、その社長である、こういう点において、国民の疑惑はさらに深いと思うのであります。私は、これらの法律の運用を通じてこれは政府部内における共同謀議といつてもいいくらいのもので、当然そういうような大きな負担を国民にかけるということがわかつておるならば、その法の盲点は当然是正すべき義務があると思う。私はできる限り誠実な努力が加えられていいと思う。ところが本日まで、それに対して積極的な努力が加えられておらない。依然として将来も、この法律の存する限りそういうようなトンネル会社があつて、一トンについて六千円とか七千円とかいう途方もない巨利をかせいで行く。国民は税金を納めて途方もない高い米を輸入して、それが安い値段で払下げられて行くということを、指をくわえてみていなければならぬ。このようなことは、私どもは国会を通じて、厳重にこれを是正する必要があると思います。
そこで私は委員長に申込みたいことは、この政府部内において、農林省と通産省との間において、砕米、変質米、こういうようなものを処分する場合における操作についてやはりこれが合理的に、もう少し適切妥当に、国民の納得できるような規模とケースにおいてこれが処分されるよう、厳重に当局に対して私は注意を喚起されたいと思います。これが取扱いについては委員長に御一任を申し上げますから、当局に対する適切な申入れと、それに対する推進をひとつお願いいたしたいと思います。
以上をもつて私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/11
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012・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの春日君のお申出はまことにごもつともと思いますので、委員長におきましては、さようとりはからいたいと思います。
では次に小川豊明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/12
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013・小川豊明
○小川(豊)委員 国税庁長官の方は、今春日委員から私の言わんとすることを質問なさいましたので、私はこれでおきます。
次に、銀行局長にお伺いをいたしまが、大体関連して来るのですけれども、国民金融公庫の問題でお尋ねしたいと思います。どうも金融公庫に対して非常に大きな期待が持たれていながら、国民金融公庫は、金融機関としての仕事が簡単にはかどらないというような非難を受けておる。聞いてみると、これは非常に人手が足らないのじやないかと思われる点がある。仕事の分量に対して人手が足りない、それからもう一つは、予算か何かの関係だろうと思いますが、出張をすることができないというようなことまで聞かされる。もう一つは、先般もストライキか何かのことがちよつと問題になつたが、ここの待遇はやはり、私はよくないのじやないか、こういうのは、少くとも一般金融機関の平均までは引上げてやることの方が重要じやないか、こういうように考えておるが、これに対する御答弁をいただきたい。
もう一つは、この金融公庫は、相互銀行あるいは信用金庫を代理店にしてやつておるらしい。そこで、この場合にこういう問題が出て来るのです。これを代理店にしていると、そこに借入れに行く、そうすると、借入れられた場合に、やはり金庫なり相互銀行なりは日掛もしくは月掛の預金をさせるが、公庫は、そういうことはさせもしませんが、できないわけで、代理店がそういうことをさせるということは、非常に利用者を困らせている。こういう事実があるのですけれども、こういうことに対して、あなたの方ではどういう措置をとられようとしておられるか、お尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/13
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014・河野通一
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。国民金融公庫の人員及び経費の問題でありますが、これはたびたび本委員会でも御質問を受けております。なかなか小口の貸出でありますために、非常に人手を要することはその通りであります。今般の予算におきましても、ある程度人員の増加もはかつて参つておりますし、また経費等につきましても、必要最小限度のものは計上して参つておるわけであります。ただ問題は、それで十分かどうかという点であります。この点は、言葉は非常に悪いのでありますけれども、おのずから程度もあろうかと思います。各従業員の方が非常にお忙しい状態にあることは、私はよく承知をいたしておりますが、さればといつて、非常に大幅に人員をふやすということも、この政府機関としての立場からやはり考えなければならぬ点もありますので、私どもは、業務の遂行に支障のない限りにおいて、必要最小限度の人員の充実ということをはかつて参りたい。今後におきましても、これらの実情をよく見ました上で、人員の強化が必要でありますならば、この点についても考えて参りたい、かように存じております。
次に、給与の問題でありますが、これは御案内のように、昨年の春、国民金融公庫の従業員が公務員の適用を解除いたされたのに応じまして、相当大幅なる引上げを行つて参つております。現在は大体一万八千円というペースになつておりますが、同種の政府の各種の機関、ことに金融機関でありますところの日本開発銀行でありますとか、日本輸出入銀行でありますとか、そういつたものといろいろにらみ合せたり、あるいは公共企業体でありますところの専売公社でありまするとか、あるいは国有鉄道、こういつたものにおける給与との権衡等も考えながら、今きめられておる給与のぺースにつきましては、私は決して他の類似の機関に比べて、はなはだしく低いとは考えておりません。しかし今後の実情に応じて、これがはなはだしく権衡を失して低いということが事実として現われて参りますれば、この点について私どもは是正をするのにやぶさかではないのであります。
それから代理店は、国民金融公庫といたしましても、支所等につきましておのずから制限があり、従つて手の届きませんところは、他の一般の民間の金融機関に対して業務の代理を委託いたしておるわけでありますが、これらの機関が、今お示しのように、国民金融公庫からの貸出しを行うにあたりまして、その資金と一部を預金として強制的に預託させるといつたような、言葉は非常に悪いのであります交いわゆる両建を強制いたすというような事実がありますならば、これははなはだよくないことだと思います。従いまして、そういう強制的な両建ということが行われておるようでありますれば、これは即刻とりやめるように、国民金融公庫からそういう指令を各代理店に対して出させるように配慮いたしたいと思います。なおこの点は、本日国民金融公庫の総裁も見えておりますから、そちらの方からもお聞き取りを願いたいと思います。ただ問題は、取引者の間におきまして、預金というものは必ずあるわけです。金融機関におきましては、貸出し、預金というもは、両建という言葉は悪いのですが、両方必ずあるわけです。普通の企業は、金を借りても、その金はやはり預金として置いておいて、それを小切手なりいろいろな手形で落して行くということが普通でありますから、ある瞬間をとらえますれば、預金と貸出しというものは両方が立つておるのが普通の状態であります。従いまして、普通の企業におきましては、いやしくも金を借りた人間は、その銀行なり他の銀行に対する預金を一文も持つことがおかしいとは言えない、かように考えております。問題は、結局その両建が非常に強制されて、かつ不当に多額なものが支払われるといつたようなことがいけないのだと私は考えております。これは、単に国民金融公庫とその代理店との間の関係ではなくて、ことしの春以来、この両建問題については、私は全金融機関に対して非常にやかましく自粛方を要望しております。だんだんよくなつておると思いますけれども、なお具体的に、そういつた点が非常に行き過ぎになつているような点につきましては、私からさらに十分指導させるように注意をいたしたい。国民金融公庫の代理店に関する限りは、国民金融公庫から、十分そういう点について、しかるべく措置をとらせるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/14
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015・小川豊明
○小川(豊)委員 もちろん金を借りると同時に、預金するということは当然あり得る。そういうことは私にもわかる。ただ、その国民金融公庫を利用するという者は、非常に零細企業である。そういうところが、この金融公庫から融通を受けると同時に、目掛や月掛が代理店から発生しているということは、これは強制と見るよりほかない。また現に利用した人たちが、これだけの金を借りたけれども、これだけかけさせられていると言つているのだから、確かである。これについては、あなたの方で十分にそういうことをなからしめるということを期待するほかない。もう一つは、私先ほどお尋ねしてお答えがなかつたと思うのですが、業務上の予算がないので、調査等にとうてい出られない、出張等はほとんどなし得ない状態であるがゆえに、どうしても代理店にのみ頼む。代理店に頼めばこういう問題が出て来る。これはそれを押えればよいわけですが、国民金融公庫は、政府が相当もうけておる。だから、これは出張が十分にできるようにしてやることが必要なことじやないか、こう思うのですが、総裁がおいでになれば、総裁から承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/15
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016・櫛田光男
○櫛田説明員 出張の問題でありますが、御承知のように、私どもの店は各県に一つずつが原則であります。その管轄地域内にでき言だけ広い範囲に、まんべんなくということをとりますると、出張を相当頻繁にいたしませんと、直接貸しがさばき切れない状況でありますが、出張の関係は、何分人員の関係が中心になりますので、今の人員をもつてしては、思う通りの出張ができない。やはり計画的に、重点的に行わざるを得ない状態にありますのみならず、相当広範囲にわたります関係上、代理所はいかにしても活用して行かなければならぬ状況にあります。店が各県に原則として一つであるということに大きな制約があるのです。そういう関係で、代理所が現在五百六十数軒あつて、働いてもらつておるわけでありますが、代理所は、代理貸しでありますので、私どもと同じように貸付をしていただけばよろしいのであります。その点を何とかできる限り実現いたしまするように、常に指導監督と申しますか、それを怠らずやつておるわけでありますが、いろいろな関係からいたしまして、先ほど御指摘のようなことができますることは、まことに遺憾に存じます。今後とも十分に気をつけて、それはやつて行きたいと思つております。それからなお、もうけておるようだというお話でありますが、予算の方は、御承知のように国会でおきめになつておりまするそれに従つていたしております。剰余金は、全部国庫に納付いたすという建前になつておりますので、納付金がある程度今年度は残つたというわけでございますが、経費の点につきましては、大蔵御当局ともいろいろ御相談を進めて、できる限り円滑に、国民大多数の方々の御期待に沿い得るような仕事ができるように、逐時御配慮を願つておる状況にございますので、御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/16
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017・春日一幸
○春日委員 ちよつと総裁にお伺いをしたいのでありますが、第十九条の第三項でございますね。業務方法書の中で、私が伺いたいのは、この第三項にいうところの貸付の限度、それから期限、これはどういうふうに申請されておりますか。ちよつとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/17
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018・櫛田光男
○櫛田説明員 業務方法書で定めております貸付の限度と、それから期限の問題でありますが、業務方針に定めております貸付は、普通貸付と更生貸付の二つにわかれております。普通貸付につきましては、それがまた甲種と乙種と二うにわかれております。甲種につきましては、金額が一人二十万円、但し連帯の場合は五十万円まで、期限は三年以内ということになつております。乙種は一人五十万円、連帯の場合は二百万円まで貸すことができる。但し百万円を越します場合には、不動産その他適当なる担保を原則として徴さなければならない。期限は五年以内となつております。それから更生資金につきましては、限度が五万円、期限は五年以内、かように定められておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/18
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019・春日一幸
○春日委員 私は先般新潟県下を遊説いたしましたときに、次のような陳情を受けました。それは栃尾の町でありますが、その地方は、化繊の工業が非常に盛んなところであるそうであります。その諸君が言うのには、あらかじめこういうようなことで三年以内とあるけれども、大体二十箇月の月賦返済ということに聞いておるが、栃尾の町では、一箇年間しか認められない。しかも代行機関として、信用協同組合がその任務を受けておる。信用協同組合においては、借受けの申込みがありました場合、それを審査する者として三人の審査委員をあげておるが、それはその地方における大きな財閥である。何百万円、何千万円という企業の主人であるとか、あるいはそういうような階層を代表する人であつて、実際的には、中小企業者の機微に徹しないような人がなつている。従つて、その三人の審査委員が申込書を受付けて、機械的に審査をして行くので、せつかく国民金融公庫の機関があるけれども、零細金融を受けるための機微をわかつてもらえない。従つて、全然これが活用されていないから、何とか国会を通じて、法の前には平等であるという均霑を受けるように是正してもらいたい。こういう強い要請を受けて参りました。私は、問題は重大だろうと思うのであります。あなた方がそういうような業務方針書を出して、許可を受けておられるならば、あくまで同じ条件下においてそれを実行して行くのでなければ、これは特に不平等のそしりを免かれません。私はこの機会に申し述べたいことは、たまたまそういうような陳情を受けたのでありますけれども、同様のケースが、おそらく全国各地にあろうと思います。ただいま同僚議員からも御指摘がありましたように、あなた方が信用協同組合や信用金庫、その他の金融機関にこの事務を代行せしめておられるところでは、独自の方針によつて、たとえばこの事業方針書の範囲を越えて、あるいはその範囲に至らないで、かつてな執行をしておるところが私は多々あろうと思うのであります。従つてこの機会に、それぞれ代行機関を全部御調査願いまして、はたしてこの事業方針書の通り代行事務を忠実に履行しておるかどうか、この点を御調査の上、もし非常に方法書に違反をしたとか、あるいは極度の制限をしておるというような、ゆがめられた運営をしておるようなところがありましたならば、厳重にこれを調整していただいて、この法律に定められた通り、日本人である限り、同一の適用を受けられるように御善処を願いたいと思います。これが第一点でございます。
それから次は、これも先般来非常に問題になつていると思いますが、あなたの方の仕事は、非常に渋滞している、遅々として運ばない。たとえば、最近は非常に緩和されたかと思いますが、二月先、三月先のものを審査しておつて、申し込んでから数箇月経なければ、現実に金がいただけないという非難の声が非常に強くございました。従つてそれに対しては、定員増の要求もあつたり、あるいはその資格について、公務員のわくからはずしてくれとか、給与がたくさんもらえるようにとか、いろいろ要求もあつて、逐次一つ一つの問題の解決は推進されて参つたと思いますが、この零細融資といえども、現実に金が必要になつたから申し込むのであつて、やはりほしいときに金が貸してもらえる、腹が減つたときに食事が与えられるということでなければ、金融の基本線というものはどうかと思われます。現在大体どういうふうな事務状況になつておるのか、この点について、ひとつ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/19
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020・櫛田光男
○櫛田説明員 お答えいたします。第一点の代理事務のことであります。先ほども申し上げましたように、代理につきましては、代理貸しでありますので、私ども公庫が直接やつておりますことと同じようにやつてもらわなければならぬのであります。それに反しますところが間々あるようでありますから、おつしやいましたように、今後さらに厳重に監督し、指導を加えまして、同じように仕事が取運べるようにとりはからつて行きたい、かように考えております。
第二の点でありますが、処理日数が非常にかかる点、これが私どもに対するお客さん方からの苦情の一番大きなものの一つであります。これが過去におきましては、御承知のように、人手の関係、また急激にお客さんがふえて来たというような関係から、あるいは三箇月かかつた場合がないでもございませんでしたが、最近におきましては、能率の増進とか、その処理の仕方、その他人員をある程度ふやしまして、全力をあけてと申しますか、職員の諸君も、いつかも申し上げたことでありますが、その日のうちに片づかない仕事は、うちまで持つて行つてやるということで、昼夜兼行してやつておる状況におきまして、どうやら少しずつ短縮することができて参りました。最近調査したところによりますと、申込みを受けましてから処理をいたしますまでの間の全国平均の日数は、近接地と遠隔地とにわかれておりますが、近接地関係では、その月以内にどうやら大部分のものは処理できる、大体平均四週間ぐらいで処理できるところまでこぎつけました。もちろん中には、二週間ぐらいで済むものもあれば、あるいは三十五日ぐらいかかるものもあります。それから遠隔地になりますと、どうしても出張の関係その他がありますので、日を定めて一週間に一日とか、十日に一日とか出かけますような関係から、若干延びまして、大体五週間という程度にまでこぎつけることができたのであります。おつしやいます通りに、できるだけ早くいたしますことが、お客さんのほんとうの利用に相なるわけでありますから、今後も十分この期間を短縮するように努力いたしたいと思います。ただこれは、一つは人手の関係があり、一つは、最近の状況におきましては、いかようにいたしましても、お客さんが連日ふえる一方であります。それがために忙殺されておるという事情も、お含み願いたいと思います。できる限り努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/20
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021・春日一幸
○春日委員 本年度の貸出しせんとする財源は、先般の修正を含んで三百億円になんなんとするかと思うのでありますが、これが八月以降三月まで、大体八箇月間において消化されるという点において、事務のスピート・アツプは、私は特に御注意を願いたいと思うのであります。ただいまお話のように、二箇月、三箇月かかつたものが、平均して四週間、長いところで五週間ということは、非常に同慶にたえません。しかしながら、それをもつて満足すべきものではなく、さらに、予算が通過いたしました場合の事務の輻輳等を考えまして、これに対するあらかじめの対策は、いろいろ詳細にお立てではありましようけれども、少くとも国の機関としてこれを執行される上からにおきましては、あらゆる態勢において、必要にして十分という態勢をひとつ確保願いたいと思うのであります。そのことは、すなわち定数の問題にも関連するでありましようし、あるいは従業員の給与の点にも関連するでありましようが、かつて公庫の諸君がストライキをやつたり何かすることによつてはからざる迷惑を及ぼしたこともありました。そういうような点も考えて、少くとも向う八箇月間において、われわれ国会が用事をいたしましたこの資金が、最もスピーディに必要とする諸君の手元に流れ出るように、最大の努力を払われることを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/21
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022・平岡忠次郎
○平岡委員 総裁に簡単に一言御質問します。中小企業金融公庫が発足いたしますと、国民金融公庫は零細者金融の本来の使命に立ち返るために、乙種の貸付をとりやめるというふうなことが、中小企業庁の金融指導要領ですか、何かにうたわれておりますが、そういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/22
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023・櫛田光男
○櫛田説明員 さような事実は、私はまだ聞き及んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/23
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024・小川豊明
○小川(豊)委員 先ほど春日委員の質問に対して、あなたの方で非常に取扱いの時日が短縮された、こう言われておるのですが、これはあなたは総裁だから、偉いからそんなことはわからないかもしれませんが、これは、あなたの方で短縮しろ、短縮しろというものですから、公庫ではすぐ受付けないのです。書類は扱つておるけれども受付けない。だから処理する間は短かいけれども、本人が待つ間は非常に長い。あなたはこういうことをほうつておいて、ただ短縮された、短縮されたでは済まされませんよ。そういうことを、あなた今度各府県に出てよくごらんになつたらいい、書類は早く出ている、ただそれを、あなたの方でしかつてばかりいるから、正直に受付けない。だから、受付けてから決定するまでは短かくなつているが、たいへん迷惑する。これは答弁しろといつても、困るからいいですが、そういうこともある。
次に、信用組合のことですが、商工中金をこの親銀行のようにすることによつて、信用組合というものが非常に強化されるのではないかという考え方をちよつと持つているのです。これは私確信を持つてお聞きするのではないのですが、そういう気がするのです。そういうことに対するお考えはどうかということと、それから、最近信用金庫の員外預金を取扱わせないようにしてくれという要請を私ども受けているのです。それで、信用金庫と信用組合というものとどこにどう違いがあるかということを、私ども調べてみたがよくわからない。ただ、一つは大蔵省の所管であり、一つは地方庁の所管である。この違いはよくわかるのですが、あと業務内容的な相違というものは、私どもにはわからないのですが、これは、何かそういう点から、同じような仕事をしているものでも、一つは大蔵省の所管であるから格が上だ。片方は地方庁の所管だから格が下だとごたごた言つているなら、いつそのこと、こういうものは所管を一つにしてしまつたらいいんじやないかという気がするのですが、こういう二つの点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/24
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025・河野通一
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。第一の商工中金と信用組合との取引関係の問題であります。これは御案内だと思いますが、現在でも相当多数の信用組合が商工中金と取引を開いております。もちろん信用組合は相当数が多いのでございますから、全部が全部というわけに参つておりませんが、取引は開いております。ただこの問題につきましては、いろいろな観点から取上げられておるのでありますが、金融制度として一つの系統をつくろうという一つの考え方と、もう一つは、信用協同組合を商工中金の傘下に収めることによつて、その信用協同組合の持つておる資金をできるだけ商工中金に預金をさせて、それで商工中金の資金源を充実と申しますか、資金難を緩和しようといつたような考え方、これが第二の考え方であります。もう一つの考え方は、逆に商工中金の持つている資金を信用協同組合に使わせようという考え方で、三つあるわけであります。第一の問題としてのこの信用制度、あるいは金融制度としての問題につきましては、いろいろ考え方があると思いますので、私どもいろいろ研究はいたしておりますが、まだ結論に至つておりません。また第二の商工中金の資金源の非常な枯渇と申しますか、不足を信用協同組合と取引を開くことによつて緩和しようという点につきましては、そういうことは考えられ得るのでありますけれども、現在の実情におきましては、信用協同組合自体がそんなに資金の余裕がありませんから、商工中金の資金源を楽にするという意味の効果と申しますか、そういう点につきましては、多くを期待することはできないと思います。それから逆の場合におきましても、商工中金が今申し上げたように非常に資金に困つておるのでありますから、商工中金から信用協同組合に資金を流して、信用協同組合の資金を楽にしてやるというようなことも、現在の状態ではなかなかむずかしい、こういうような状態になつております。しかしながら、両者の間で話し合つて取引を開いて参つて、だんだんその後数もふえて参つておりますし、現に商工中金に政府から指定預金をいたしましたものの中の一部は、これらの取引を開いております信用協同組合には、商工中金を通じて流してやるというようなこともやつておりますので、事実上必要な範囲においてはこういう取引の関係は逐次行われて参つておる、こういう状態にあることを御了承願いたいと思います。
それから第二の問題でありますが、これはかねがね問題になつております信用金庫と信用協同組合との差異はどこにあるかという点であります。これは一昨年でありますか、信用金庫法ができたときに、この金融制度としての信用協同組合と信用金庫というものの制度は、はつきりここで画然とされたわけです。今お話のように、監督権が府県知事にあるか、あるいは大蔵大臣にあるかという問題も、もちろんこの差異の一つでありますけれども、一番大きな問題は、やはり信用金庫においては、員外の預金を取扱うことを認めているが、信用協同組合においては、その地域的な組合組織といつたような点に重点を置きまして、員外からの預金はこれを取扱わせない、もちろん組合員の家族とか親戚とかいつたようなものの範囲につきましては、員外であつても取引を認めておりますが、その他については、これを認めないというのが信用金庫と信用組合との最も大きな差異であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/25
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026・小川豊明
○小川(豊)委員 信用金庫は員外の扱いができる、信用組合の方は員外の扱いができないということでありますが、そうすると、信用組合に員外の扱いをさせてはいけないという理由は、どういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/26
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027・河野通一
○河野(通)政府委員 これは、金融制度としていろいろ程度の差異はあろうかと思います。信用組合というものは、地方のその限られた範囲のお互いの間の組合員が金を集め合つて、そうしてその金を組合員に貸すという仕組みになつておる。ところが信用金庫は、ややそれが開放的になつて参りまして、会員外の預金も集め、その集まつた預金を会員に対して貸し出すことを認めているわけであります。これは、程度の差異といえば程度の差異でありますが、おのずから金融機関として完全な姿になります場合には、オープンであることが適当である。しかしその信用状況その他から見てそこまで拡大することは、つまり一般の公衆に対して預金について門戸を開くということまでは、認めることが適当でないという金融機関もあり得るわけであります。従つて、そういうものにつきましては、預金者保護という点について私どもは非常にやかましく言う、そのやかましく言う度合いが、員外からの預金を集めません場合においては、ややクローズされておりますから、割合預金者保護についても、大きな心配をしなくてもお互い同士の間で信用関係ができておりますから、そこまで心配しなくてもいい。こういう程度の差異によつてできておるのでありまして、金融制度全体としての立場から、信用金庫と信用組合というものをわけて考えましたところでは、そういうような点で線を引いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/27
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028・千葉三郎
○千葉委員長 小川君、他に質疑が大分ありますから、適当にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/28
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029・小川豊明
○小川(豊)委員 それから次に保証協会の問題ですが、これは各県の県庁が大部分出資をして、それに対して、あるいは他の団体の市とか町とか商工組合とかいうものが何ぼか出資してやつておるようですが、これは保証限度が十倍になつております。これに対して政府は別に出資的なめんどうは見ておらないようですが、こういうようなものには、もつとめんどうを見てしかるべきであるかということが一つ考えられる。それから次に、再保険が許されておる。しかもこれは、今度六割の再保険ができるようになつた、これは非常にいいことだと思います。これはほんとうはもつと増額を認めてやることの方が、私はこういう形での使命を果すゆえんではないかと思うのですけれども、あなたの方としては、再保険をもつと高めて行く意思があるのかどうかということと、先ほどの質問の二点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/29
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030・河野通一
○河野(通)政府委員 今お尋ねの二つの問題は、実は関連いたしておるわけであります。私どもは、信用保証協会に対して国が出資をしたらどうか、あるいは基金に対してある程度出損をしたらどうかという御議論を十分承つております。この問題につきましては、私どもといたしましては、国はこの信用保証協会制度に、第二点で御質問になりました再保険という形を通じて、これに対して相当援助をしておる、こういう形で、国が直接出資をするかわりに、その保証したものの再保険という形で国が相当な負担をし、相当な基金でもつてそれをカバーしておる。こういう形でもつて、国は間接に信用保証協会制度に対してバツクをしておる。現在の段階では、この程度でまず満足すべきではないかという考え方に立つております。
それから第二の、信用保証協会の保証したものに対する再保険の率が、現在五〇%、今度は今御提案申し上げておりまするように六〇%に上るのでありますが、この点は、私どもも五〇%がいいか、六〇%がいいか、あるいは七〇%がいいかという問題は、程度の問題としていろいろ議論があると思いますけれども、これに対して、たとえば国が全額まで再保険することは、私どもは適当でないと思つております。と申しますのは、やはり保証協会の保証というものに対する府県自体の負担というものも、私どもはどうしても考えて行かなければならぬ。もしかりに国が全額これを再保険いたしますことになりますると、府県の負担というものは実はなくなるわけなんです。この信用保証協会の制度というものは、府県自治体と国とが、両方で助け合つてこの制度をもり立てて行こうという考え方に立つております以上は、府県自体におきましても、やはりある程度自分の負担という面が残るべきだ、かように考えますがゆえに、私どもは、国における再保険を一〇〇%にすることは適当でないと考える次第であります。しかし問題は、程度問題として、六十がいいか、七十がいいかということになりますと、これは必ずしもはつきりと六十でなければいかぬ、七十でなければいかぬということは出て来ないと思いますけれども、これは国の財政状態その他の関係からにらみ合せまして考えて参らなければならぬことではないかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/30
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031・久保田鶴松
○久保田(鶴)委員 関連して銀行局長に伺いたい。今の保証協会の問題ですが、国民金融信用保証協会というような非常に長たらしい名前でありますが、しかしこれは、今の銀行制度から行きますると、私は悪いとは思わぬ。今の銀行制度は、大体中以上の資本を有する人たちに融資する機関が多くて、中以下の人に金融をする機関というものは私はないと思うのです。そこで国民金融公庫に保証してもらつて銀行から金を借りる、こういうことになつておりますけれども、実際は、銀行の認証がなければ、保証協会の方では保証しない。そこでこの保証協会の保証は、府県が今非常に財源難で困つておるので、府県に保証させるということでなくて、国の方の保証にこれを切りかえるというようなことにしたらどうかということも私は考えておるのですが、局長はこの点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/31
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032・河野通一
○河野(通)政府委員 あるいは御質問をはき違えてお答え申し上げるかもしれませんが、そういう場合には、また御質問願いたいと思います。銀行及び民間の金融機関が、中小の金融に全然寄与していないという点でありますが、これは、御見解としてはよく承つておきたいと思いますけれども、私どもはそうは考えてないのであります。銀行の中でも、地方銀行等は相当中小の企業に対する融資が中心になつております。相互銀行等は、今私の手元にはつきり数字を持つておりませんが、一件の金額五万円以下の貸出しが、件数にいたしますと、総貸出し件数の三十数パーセントないし四十パーセント近くまで占めておるといつたようなわけでありまして、普通にいわれておりますように、これらの民間の金融機関が中小の金融に対して全然無関心であるとか、あるいは非常に冷淡であるということは、私は言えないと思います。しかしこの点は、あるいは見解の相違ということになるかもしれませんけれども、その程度で御説明をいたしておきたいと思います。
それから第二点は、国が信用保証協会の制度をみずから運用したらどうかという御意見のように今私は承つたのでありますが、それは私は、国はやはり国として中小信用保険制度というものがあつて、これで、信用保証協会と結びつかない部分にも、国が直接保険をいたしておる、これは御承知の通りであります。また国が信用保証協会の制度、つまり何と申しますか、地方公共団体でやつておりますものを再保険するという形で、国もこれにバツクをしておる。しかしその上に地方公共団体自体も、財政は非常にお苦しいと思いますけれども、やはり地方における中小企業を育てるために、その金融がうまくつくようにしてやることに対して応分の分担をしていただくことが、現在の制度としては、私はやはり適当ではないか、従つて、これらの中小企業に対する信用保険なり、信用保証の制度をすべて国で一元的に取扱うというところまで踏み切る必要はない。信用保証協会の制度は、まだいろいろ欠陥がありますけれども、しかし中小企業の金融難を打開するために寄与しておるところは、非常に大きいと思うのであります。この制度を今のラインでますます育て上げることが、目下としては一番適当な措置ではないか、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/32
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033・久保田鶴松
○久保田(鶴)委員 それでは、私はもつと具体的に申し上げたいのですが、今名前はかわりましたが、千代田銀行、富士銀行というような銀行が、これは地方においては別でしようが、多いのです。関西地方におきましては、こうした銀行と取引をいたしておりまする人たちは、たとえたら、今まで百万円を銀行と取引をしておる場合、その百万円のわくがある。ところが今度は、ここに二百万円の保証をしてもらうということになると、今まで銀行と個人取引いたしておりましたわくを銀行は保証の中に入れてしまう。今の銀行はやり方が非常にずるいのです。そういうような今の銀行のやり方に、監督が十分にされておるか、私はされておらないのじやないかと思う。こういうことであります。それから、続いてもう一つ私は金融公庫の問題についてお伺いしたいのです。
今の金融公庫の制度は、これはよいと思います。今の零細業者といいますか。中小企業の方々等に対しまして、一番金の借りやすいのは、金融公庫です。この国民金融公庫から金を借りることについて、先ほども総裁からいろいろお話がありましたが、なかなか二箇月や三箇月では借りられやしません。たとえば十万円の金、二十万円の金を申し込みまして、そうして明くとか明かぬとかの通知をもらうときには、もう役に立たぬような四箇月も五箇月もたつてからで、まだ金の回収が十分でございませんから、次にしてくださいというはがき一枚の断りが来る。こういうような今日の国民金融公庫の取扱い方なんです。そこで、先ほどからいろいろお話のありました人の問題ですが、こういうことでは、せつかく設けられた今日の金融公庫を、零細業者の人たちが、これを十分に運営できない、借りられないというような問題について、どういうふうにしてもつと早く金を貸せるようにするか、その方法をどういうふうにしようと思つておられるか、一応伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/33
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034・河野通一
○河野(通)政府委員 便宜私からお答え申し上げます。第一の問題でありますが、信用保証の制度を特に大銀行等が濫用といいますか、悪用しておる、こういう点がございましたら、それは、できるだけそういうことのないように指導はいたします。ただ問題は、具体的にやはり判断をしなければいけないのであつて、ただ従来からわくがあつた、そのわくまでも信用保証協会の保証にひつぱり込んだということがすべていけないとは言えないと思う。原則としては、こういうことは適当ではない、やはり新しい取引に対して信用保証して行くのがよいと思いますが、そこは具体的に判断しなければいけないと私は思います。
それから国民金融公庫のことにつきましては、総裁からあとで詳しい御説明があると思いますが、できるだけ御指摘のように、長期間にわたらないで、できるものならば、なるべく早く片づけて貸出しを決定するというように、今後も努力いたしたいと思います。ただ問題は、やはり国民金融公庫の相手方というのは、大体最初の取引先、つまり初めて来られる方々が多いようであります。銀行等におきまする常時取引があつて、十分その信用状態を見ておるというような場合には、すぐ右から左に出すということも可能でありますが、初めての方でありますと、やはり調査もしなければならないと思いますので、そういつた関係で、やはり国の大事な租税かう成り立つておる資金でもありますから、そうむやみやたらに貸し出すことはできない、そこらあたりが、やはり結局度合いの問題でありまして、方針としては、できるだけ早く円滑に資金を出すように心がけなければならぬことは、まつたくその通りに私どもも指導して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/34
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035・櫛田光男
○櫛田説明員 遅れがちになるということは、たいへん恐縮に存じております。結局人手の関係と、それから申込みの件数が非常に多くなつて来る状況に対して、人手の方がそれに応じて増強ができないような現況にあるというところに、基本的には一つの欠点がある。私どもとしては、与えられた条件の範囲内において、できるだけそれを短縮したいということで日夜頭を悩ましておるわけであります。能率をよくするとか、いろいろの点においてもつと手続を簡素にするとか、できるだけ勉強いたすつもりでありますので、しばらく日時をかしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/35
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036・久保田鶴松
○久保田(鶴)委員 銀行局長は、今調査云々とおつしやいましたが、取引しておりました銀行で、その銀行を通してでなければ国民金融公庫は金を貸さぬのですよ。中小企業信用保証協会は銀行の認証がなければ金を貸さぬ、その銀行が調査もへちまもない。その内容をよく知つているのです。あなたそれだけわからぬのです。局長としての立場におられて、下のことは知りはせぬ。だからそういう間抜けな答弁をしなければならぬ。私はそういう点は納得できぬ。
それから金融公庫の問題ですが、これま今各府県において、その中小衛星都市に出張所ができております。この出張所を通して取扱いをされておりますが、これは特に遅れる。これは申し込んでから六箇月くらいたたなければこの返事が来ない。そういうことは、あなたのような偉い人は御存じはありますまい。そういう点をもつと調査してもらいたい、あなたはほんとうにわからない、どうですか。この二つの点についての食い違いが、私が納得行くようにひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/36
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037・河野通一
○河野(通)政府委員 先ほど私がお答え申し上げましたのは、国民金融公庫の問題についてお答えいたしたのでありまして信用保証協会と一般の銀行とのつながりにつきましては、やはり別の問題として考えなければならぬと思う。私は信用保証協会が保証したものは、必ず銀行が貸すという制度にはすべきではないと思います。従いまして、信用保証協会が保証いたしましても、銀行としては、やはり自分の立場から調べなければならぬ点もありますので、調べるということはやむを得ないと思います。しかし、銀行が貸すということをきめなければ、信用保証協会は保証しないということは、筋としておかしいと思う。信用保証協会が保証したものに対して銀行は貸すか、貸さぬかということを判断し、——大体私は、信用保証協会が保証したときには貸すのが筋だと思いますが、その点は、やはり銀行が認証しなければ、信用保証協会が保証しないということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/37
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038・千葉三郎
○千葉委員長 福田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/38
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039・福田赳夫
○福田(赳)委員 銀行局長にお伺いいたしますが、ただいま日本側の銀行がアメリカにおいて業務をやつている。その業務の内容は、州法とか連邦法とかいろいろ制限がありますが、大体においてどういう業務を許されているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/39
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040・河野通一
○河野(通)政府委員 日本の銀行がアメリカに出ました場合、支店の場合でありますが、これはアメリカの州銀行法によつて規制を受けるわけであります。アメリカの州法は、四十八州いろいろありますが、大部分の州におきましては、外国の銀行の支店に対して、預金業務の取扱いを制限いたしております。これは、一日本側の支店銀行に限らず、あらゆる国の支店銀行に対して限つている。それから、日本側から出ている銀行といたしましては、いわゆるローカル・バンクと称しております。戦前からあつたのでありますが、西部の海岸地方におきまして、日本の銀行がある程度出資をいたして、向うの地場銀行を設立いたしました。この銀行につきましては、向うの銀行と同じような扱いになつておりまして、預金等に対する制限はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/40
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041・福田赳夫
○福田(赳)委員 逆に、アメリカの銀行が日本に来ているものも最近たくさんあると思います。その銀行は、占領中から相当広汎なる業務をやつておつたと思いますが、現状はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/41
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042・河野通一
○河野(通)政府委員 まずアメリカ側の銀行のことについて申し上げます。現在まで出ておりますアメリカ側の銀行は、ナシヨナル・シティ外二行であります。そのうちの一つは、戦前からずつとあつた、あとの二つは、戦後において出て参りました。これらの銀行の業務においては、現在のところ法律的には業務の制限はいたしておりません。しかし、その運用の状況を見ますと、大体為替関係の業務が大部分を占めております。国内の預金は、ちよつと的確な数字を今持つておりませんが、大体アメリカ側三行で、円預金が七十億程度ではないかと思います。従いまして、国内における金融の取引をいたしているものといたしましても、大勢には大した影響もございませんし、業務の運用状況を見ますと、国内の金融界とごく友好的に業務が行われている、かように私どもは見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/42
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043・福田赳夫
○福田(赳)委員 ただいまの話を伺いますと、実際上はそう大したあれはないように見受けられますが、潜在的、法的には、非常に大きな開きがあるように思います。今回日米通商航海条約が締結されて、それによると、戦争中からあるアメリカの銀行の日本における既得権というものは、そのまま認められるのだというふうに文言上は書かれるように承知しておりますが、そういたしますと、日本側のアメリカにおける金融機関の権利というものも、相当与えられてしかるべきではないかと考える。もし日本側が、アメリカにおいてそういう預金業務をしてはいかぬという制限を受けるならば、逆に日米通商航海条約において、アメリカ側の日本における支店というものも、さような業務制限をされるべきではないかと思いますが、その点、日米通商航海条約ではどういうふうになつているのか、その真相を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/43
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044・河野通一
○河野(通)政府委員 日米通商航海条約におきましては、第七条において、銀行の預金業務はいわゆる第一項においての制限業種として扱われ、従つて制限ができるという規定になつております。しかしその二項において、この条約が発効いたします当時における既得の権利は、これをお互いに認めて行こう、こういうふうな書き方になつているわけであります。それで、いろいろ私どもこの問題につきまして検討いたしたのでありますが、現在のアメリカ側の銀行の日本国内での活動の状況からみまして、形といたしましては、まさに平等でない点もあるのでありますけれども、現在のところは、その既得権を認めてもさしたる支障はあるまいというような考え方に立つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/44
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045・福田赳夫
○福田(赳)委員 そうすると、今おつしやられる既得権というのは、一体どういう法的意味を持つているのか。占領が終つたのは、講和条約の効力が発生してから終つた、あるいは今回の日米通商航海条約による批准によつて、日本の国内法としては効力が発生するわけですが、その国内法的な立場によるのか、いずれの標準で既得権というものをきめて行くのか、その法的解釈をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/45
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046・河野通一
○河野(通)政府委員 通商航海条約が発効のときにおいて、アメリカ側の銀行の日本における支店が持つております業務に対する権利と申しますか、つまり条約の発効いたします現在において持つている業務の許された範囲、これが既得権ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/46
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047・福田赳夫
○福田(赳)委員 そうしますと、これははつきりお尋ねしておきたいのですが、ただいまの状況では、まだ日本側も正式には認めていない。日本側の国会における日米通商航海条約の承認手続を経るまでは、正式にはアメリカの既得権というものはまだ成立していない、かように考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/47
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048・河野通一
○河野(通)政府委員 国内法の問題は別として、国際的な条約上の関係からいいますと、おわかりのように、現在のところでは通商航海条約はできておりませんから、現在の状況では、航海条約によつての既得権というものはないわけであります。ただ問題は、今日米間の経済関係を離京いたしておりますのは、平和条約が一つあるわけでありましてその平和条約の第十二条によりますと、お互いに既得権があるということになつております。但しその場合は、相互主義の原則をとろう、そういうことが平和条約の十二条の中に書いてございますから、相互主義に基く限りにおいて、既得権を認めよう、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/48
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049・福田赳夫
○福田(赳)委員 そうしますと、これは非常に重大な問題であると思います。平和条約では、明らかに相互主義というものが認められている。しかるに今回の日米通商航海条約によると、これがまつたく不平等な立場に置かれているということになる。しかし今法的なお話を伺いますと、まだこれを是正するチヤンスがありそうな感じがするのですが、これはあるのかないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/49
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050・河野通一
○河野(通)政府委員 現在のところでは、通商航海条約及びそれについております附属議定書及び現在その効力を持つております平和条約の三つの関係についてでありますが、方法といたしましては、その既得権を制限するチヤンスは、法律的にはあると思います。しかし、これは非常に重要な問題でありますので、そういうことをやることがいいか悪いかは慎重に検討しなければならぬ。かように考えておりますし、私どもといたしましては、実態的には、現在のアメリカ側の銀行の国内における支店の業務の状況から見まして、この既得権を特に制限する措置は必要であるまい、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/50
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051・福田赳夫
○福田(赳)委員 これは非常に重大な問題であります。とにかく国会といたしましても、日本の当然主張し得る権利というものを放置しておくわけにはいかない。そこで、これは大蔵大臣から適当な機会に説明してもらうことを要求いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/51
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052・平岡忠次郎
○平岡委員 愛知政務次官にお尋ねをいたします。先ほどの私の質問に対しまして櫛田総裁は、中小企業金融公庫が設置せられても、国民金融公庫の乙種融資をやめることはないと言明せられました。しかしながら六月一日付の「中小企業金融対策の現況」と題するパンフレツトにおいて、中小企業庁は次のような見解を発表しております。重要な点だけを読みますと、中小企業金融公庫の成立により、例外的に二百万円までの融資を行つていた国民金融公庫は、本来の零細な小口貸付の使命に立ち返り、とかく金融から取残されがちな国民大衆の生業資金を重点的に供給することになる、かように申しております。次官会議なり閣議なりにおいても、金融制度の問題で、政府の統一的な結論が出ていることと思います。おそらくこの決定に基きまして、中小企業庁の発表となつていると思うのでありますが、この食い違いに対しまして、次官の明快な御見解を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/52
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053・愛知揆一
○愛知政府委員 ただいまお尋ねの中小企業庁で出しましたその書類は、私実はまだ自分で見たことがないのであります。私の記憶と経験からいたしますれば、今お読み上げになつたようなことを閣議等できめたことはないと思うのでありますが、なお慎重を期しまして、きつそく調査をいたした上で御答弁申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/53
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054・春日一幸
○春日委員 私は、この問題は非常に重大だと思います。国民金融公庫に期待をいたしまして、多くの中小企業者たちがその融資を受けよりと思つて、この法案の通るのを待つておりましよう。そこで、一方中小企業者を保護育成する中小企業庁が、これは中小企業金融公庫法案が通ればやめるのだ、またやめる方向に彼らがいろいろと立法しておるといたしますれば、これは重大問題であります。またそれがうそであるとするならば、そういうような虚構を弄して国民をまどわす者は、これは見のがしておくことができません。私は午後の会議におきまして、中小企業庁長官をここへ招致いたされまして、これが閣議なり政府の統一した意見に基いて出たものであるかどうか、こういう問題をつまびらかにして、こういうような疑義を一掃する必要があると思います。従いまして、愛知次官におかれましても、当然この経緯について御調査を願うと同時に、岡田中小企業庁長官を本委員会に御招致を願いまして、この問題の疑義を一掃いたしたいと思いますので、委員長において、しかるべく御処置をお願いいたしたいと思います。
なお私の質問は、河野銀行局長に対してたくさんありますが、同僚の議員が食事を急いでおりますので、午後の冒頭に私の質問をお許しあらんことをお願いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/54
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055・千葉三郎
○千葉委員長 午後二時まで休憩いたします。
午後零時三十一分休憩
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午後二時二十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/55
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056・千葉三郎
○千葉委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
午前中と同様、法人税法の一部を改正する法律案外十四法案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。佐藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/56
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057・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 銀行局長にお尋ねしたいのですが、先般福岡で行われました銀行ストにつきましてその後どういうような経過になりましたか、その点について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/57
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058・河野通一
○河野(通)政府委員 福岡銀行のストライキにつきましては、先般中間的に経過を御報告申し上げたのでありますが、その後今週の火曜日に地労委の第二次のあつせん案が出ました。その第二次のあつせん案を両者が受諾をいたしまして、ストライキは解決いたしまして、ストライキをやつておりました各営業店は、即日業務を開始することになつたのであります。現在のところでは、その後円滑に業務が行われているように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/58
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059・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 社会通念上、銀行員に対しては比較的高額な賃金が与えられているということになつておりますが、今回こういう初めてのストライキが起きたのには、その原因があると思います。将来銀行局長は、こういう問題についてどういうような処置をされて行く考えがあるのか、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/59
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060・河野通一
○河野(通)政府委員 一般論から申し上げますと、私どもは原因のいかんはあれ、公共的な性格が非常に強い金融機関、ことに銀行においてストライキが起り、公益を非常に害するといつたような事態が起ることは、はなはだ遺憾だと存じております。今後に対しましては、私どもは、そういつたストライキによつて、非常に公益が害されるというような事態が起らないことを期待いたしておるのでありますが、私どもの立場から申しますと、現行のいろいろな法律、ことに私どもの立場から言いました場合における金融関係の諸法規から言いますと、これらの労働争議行為等に対して的確なる法制上の措置をとる道は、現在与えられておりません。私どもといたしましては、そういつた問題が起らないように期待をいたしますとともに、万一最悪の場合において、そういうストライキが起りました場合においては、一日もすみやかにこれらが解決せられて、一般の公衆に対して迷惑をかけることが少しでも緩和されるように期待いたすよりほか、現在の法律及びこれに基くわれわれの措置としては、それ以上のことをなすことができないような状態になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/60
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061・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それに関連しまして、本委員会でも問題になりました国民金融公庫のストに対して、櫛田総裁はその後どういう処置をとられたか、また少くとも銀行などよりもつと公共性のある、しかも国の予算でやつている国民金融公庫に対しまして、どういうような対策を講ぜられる意思があるのか、その点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/61
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062・櫛田光男
○櫛田説明員 私どもの一月前の六月二十五日に起きました事態につきましては、非常に残念に存じております。関係のお客様方に御迷惑をかけた事実もありますので、恐縮いたしておる次第でありますが、その後話合いを進めまして、一応闘争態勢を解除いたさせました。なお現在各種の問題について、円満に片がつくように話合いを進めております。将来こういうようなことが二度と起きないように、私といたしましては話合いで、公庫の職員全体がもつと理解を深め、その良識を喚起することによつて、事態を円満に解決して行きたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/62
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063・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 きよう午前中、同僚の小川委員から銀行局長にいろいろお尋ねがありまして、そのときにも櫛田総裁から、現在国民金融公庫に対するいろいろな調査の費用がないとか、あるいは出張の旅費がないとか、いろいろな事態があげられたわけでありますが、こういう現実において、国民金融公庫の資金をせつかくふやしても、運用をなめらかにして、中小企業者のためにもつと便宜をはかることに対して、銀行局長はどういう処置をとられる意思があるか、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/63
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064・河野通一
○河野(通)政府委員 非常に広汎にわたる御質問でありまして、あるいはお答えが一部に限られることになるかと思いますが、私どもは国民金融公庫が一般の金融機関から受けられない中小の金融について、補完をいたします重要なる使命にかんがみまして、何に一番重点を置いて考えなければならぬかといいますと、やはり私は、国民金融公庫の資金量をできるだけふやしてやることが、まず第一であると思う。この点は、従来からも努力をいたして参りましたし、今後においても、財政の許します限り国民金融公庫の資金量をふやすということについては、努力をいたして参りたいと考えております。第二に、かりに資金量が、十分とは申せませんでも、ある程度充実したといたしましても、今後それらの資金を借入れる方々に対して、どういうふうにしてサービスを向上して行くかの問題であります。これは各窓口における国民金融公庫の従業員の一人々々が、十分にサービスの精神に徹底して借入れをする方々に対して十分なる奉仕をするという精神で、一人々々がやつていただくことを期待するよりほかないのでありますが、そのほかに、あるいは給与の問題、あるいは午前中も御指摘のありました旅費の問題であるとか、あるいはその他経費一般について、非常に事務の円滑なる運行に支障を来しておるという事実がありますならば、これらについても、必要なる改善措置をとつて参らなければならぬと思います。しかし午前中申し上げましたように、現在の国民金融公庫の給与につきましては、私どもは他の類似の機関との均衡から考えまして、決して不当に低いとは考えておりません。なお人員が足りない点等につきましても、従来からいろいろこの問題も考えて参つておりますが、業務量がだんだんふえて参りますに応じまして、また支所その他を増設いたしますに応じまして、必要最小限度の人員の増加につきましては、今回においても、その問題を予定いたしておるような次第であります。なおこれらの点につきましては、必要に応じまして、さらに増員等につきましても考慮をいたして参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/64
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065・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 先日この委員会におきまして、一萬田日銀総裁、あるいは銀行局長からもお話のありました。不渡り手形の問題でありますが、この不渡り手形の問題が、今の日本の中小企業者、あるいは財界に相当強い影響を与えておるのでありますが、政府当局、あるいは銀行の偉い人は不渡りは、ただ一時的に高い金利を借りているからこういうことになつたのだ、思惑があつたのだろうということを、一概に言われておるのでありますが、不渡り手形の現在の事情はどういう状況になつて来たか、はたして好転して来たかどうかという問題について、銀行局長の所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/65
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066・河野通一
○河野(通)政府委員 不渡り手形の問題につきましては、一時のように、相当大企業といわれるようなものに対してまで、不渡りが及んで来たという事態は、今のところは一応治まつております。しかし不渡り手形自体の問題につきましては、そう一朝一夕においてこれが改善されるということは、私は期待しがたいと思います。現在でも、不渡り手形は相当の量及び金額に上つておると思いますが、これらはやはりその原因にさかのぼつて、いろいろな観点からこれに対する対策を講じなければならぬと思います。かりに金融の面から、これの措置か誤つているかために、それに原因して不渡りが起つている部面があるとすれば、この点については、今後具体的に対策を講じて参らなければならぬと思つております。現に一面においては、これらの是正策を講じて参つております。ただ不渡りの問題は、単に金融だけの面から起つているとは私は考えないのでありまして、経済界全体におけるもろもろの条件が重なつて、こういう問題に集約されていると思うのでありまして、これらの問題を個々に解決いたさぬ限り、いたずらにただ放漫なる金融資金をつけるということだけで問題が解決しないことは、これは佐藤委員もよくおわかりではないかと思います。私どもの立場といたしましては、金融の面から是正すべきものについては、即刻これらの点を研究し、対策を立てて参つておるのであります。なお今後におきましても、そういつた点は十分注意をいたして参るつもりであります。ただ、不渡り不渡りとよくいわれますが、不渡りの枚数及び不渡りの金額においては、相当ふえて参つておりますけれども、総手形交換枚数及び総手形交換金額に対する不渡りの枚数なり金額の比率等は、必ずしもそうふえて参つておりません。一件あたりの金額にいたしましても、さように見られるのでありまして、手形交換全体が、金額も件数もふえて参るに応じまして、絶対数としてもふえて参つておりますが、率としては、そんなに著しく不渡りの率はふえているとも、実は見ておりません。さればといつて、今の不渡りの程度のことは心配することはないということを申し上げているのではないので、これはできるだけ不渡りというものがなくなるように、今後とも、私どもの努めなければならぬ部面においては、十分努めて参りたい、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/66
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067・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 不渡り手形が減つたということになりましても、少くとも信用を重んずる商業道徳において、不渡り手形が出ることそれ自体が、国際的にいろいろ信用を失うことになるので、今の銀行局長の楽観論には、われわれは賛成しがたいのであります。少くとも不渡り手形が出ないようなそういう政策が望ましいというような考えを持つておるのでありますが、その考えが間違つておるでありましようか、ひとつお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/67
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068・河野通一
○河野(通)政府委員 そういうことが、非常に望ましいことは同感であります。しかし、不渡りを一切出さないような政策というものがあるかと言われると、これは私はなかなかむずかしいと思います。ただ政策でそういうことをやろうといつても、ことに私どもが担当いたしております金融の面だけからこの問題を解決するということは、なかなかむずかしい。しかしできるだけ減らすように努力はいたす、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/68
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069・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 愛知政務次官にお尋ねしたいのですが、九州の災害、あるいは和歌山のひどい災害を見まして、一番問題になるのは、その土地においては、むろんえらい損害でございまして、これはもうやむを得ませんけれども、しかしこれと関連いたしまして、私どもの愛知県でも、静岡県でもこれらとの取引の関係で、中小商工業者が非常に困つておるわけであります。こういうような観点から参りまして、一番国民が困つているのは、税金の高い問題と、もう一つは金融の面で非常に困つている。最近貸金金融、あるいは類似金融というようなことが問題になりまして、当委員会におきましても、論議したのはそういう関係でございますが、少くとも現在中小企業者が助かるのには、税金の問題と、もう一つは少くとも二十万、三十万の金を借りられる金融の道が現在の状況においてあるかどうか、これは先ほどいろいろ議論になりまして、国民金融公庫の方は、前よりはいいのだというようなことを言つてはおりますけれども、しかし信用保証協会におきましても、なかなかりくつ通りに参らない。わずかの間に、もしつなぎ資金がなければ倒れるというような中小商工業者が非常に多いわけであります。特に最近はこういう災害がありまして、これらと関係のある問題が出て参りましたので、これに対して、政府はもう少し中小企業以下の金融に対して、何らかの措置をする考えがあるかどうか。これは大蔵大臣にかわつて、愛知さんは銀行局長を長くやつておられましたし、今大蔵大臣以上の仕事をやつておられるということを聞いておりますので、ひとつ責任のあるお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/69
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070・愛知揆一
○愛知政府委員 災害地に対します金融措置でございますが、これはすでに当委員会におきましても、政府からお答えをし、御説明をしていると思いますけれども、たとえば国民金融公庫におきましては、将来の資金計画は資金計画として、とりあえず六億円をこのために融資に向けることに決定いたしましたし、政府といたしましても、災害地に対して、指定頭金をさしあたり二十五億円増加する、その増加いたしましたものは、いわゆる庶民金融機関を通じて、少額の資金の需要に応ずるように特別のくふうをすることにしているほか、すでに期限の来ておりまする指定預金の引揚げは、災害地については、当分の間回収を延期するというような措置を講じております。なお開発銀行の関係におきましても、中小企業部においては、やはり特段の災害地に対する対策を講じているわけでございます。なお開銀の中小金融につきましては、その金利についても、特別に六分五厘に引下げる、先ほど申しました国民金融公庫の方といたしましても、その金利を六分五厘程度にするということで、資金の量と、機構上における特別の配意並びに金利についても、特別の措置を講じているような次第でございまして、今後におきましても、さらに実情が判明するに従つて、適宜の措置を続けて参りたいと存じます。
なお蛇足と思いまするが、今回の災害におきましては、制度として従来災害の復旧の対象に考えられておらなかつたような、たとえば都会地における特定の中小企業の受けた損害が非常に顕著であるというようなことにかんがみましても、中小金融の面において特別の配慮をしなければならぬというのが、今回の災害の特色でもあり、また対策の特色でもなければならぬと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/70
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071・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 けさ午前中にも、銀行局長から信用協同組合の員外貯金の問題についていろいろの御意見ががざいました。銀行局長が大蔵省の銀行局長である限りは、取締り的な考え方を持たれるのはもつともでありますけれども、しかし今の現実の問題は、きようなりくつ通りに行かないのでございまして、大蔵省の机の前で思うように、今中小企業の金融というものは円滑に行つておりません。これはわれわれがたびたび論じたのでございまして、われわれは、そういう点でいろいろな議論がありますけれども、信用協同組合にも員外貯金を認めてやつたらどうかというような考え方は、現実に資金難に悩んでいる中小企業者を前にし、また協同組合の立場上から、こういうものを認めるのが当然だという考え方から、われわれはそうい考えを持つているわけでありますが、少くとも愛知大蔵政務次官は、どんなお考えを持つておられるのか、その一点を最後にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/71
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072・愛知揆一
○愛知政府委員 ごもつともと思うのでございますが、ただこれは、釈迦に説法で恐縮でございますが、二年前の信用金庫法の制定のときからの経緯を考えてみ、またあの制定の必要性を今翻つて考えてみましても、その事情に私は変更がないように思うのであります。要するに、中小企業等協同組合法に基く信用協同組合というのは、ほんとうに組合を組織しておる人たちの、俗な言葉で言えば、内部関係の組合員相互の互助機関である。その関係からいつていわば無尽の講のようなものではなかろうかと思うのであります。そういうことから申すならば、信用協同組合は信用協同組合員相互の福利を考えるということに徹すべきであつて、これが員外貯金を取扱うという金融機関としての特色を、比重としてより強く打出す場合におきましては、私は信用金庫法に基く免許をとられて信用金庫になつていただく方が、金融機構の体系としては、筋が通るのではなかろうかと考えておるのでございます。中小金融、あるいは庶民金融を育成しなければならないということは、今日世をあげての命題でございます。その点について、佐藤さんのお考えと私は同様でございますが、それだからといつて、信用協同組合に員外貯金を認めることは、必ずしもその結論としてそうなりはしないのではなかろうか、私はこういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/72
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073・春日一幸
○春日委員 午前中お伺いをいたしました中小企業金融金庫と国民金融公庫との関連につきまして、中小企業庁長官の御出席を得ましたので、この点について長官にお伺いをしたいと思うのであります。それは昭和二十八年六月一日、中小企業庁発行の「中小企業金融対策の現況」というパンフレツトの中の二十ページの第六にこういうようなことが明確に示されております。これはわが党の平岡君によつて指摘されたものでありますが、それを朗読いたしますと、この国民金融公庫との関連におきましては、こういうようなことが述べられております。公庫は現在例外的に二百万円までの融資を行つているが、これは本来の零細小口貸付の使命に立ち返り、とかく金融から取残されがちな国民大衆の生業資金を重点的に供給することとなる。この任務を中小企業金融金庫が負うことに、ここに明確に述ベられておると思うのであります。この点は重大な問題でありますので、七前田の委員会において銀行局長、愛知大蔵政務次官、国民金融公庫総裁等に伺いましたところが、そういうような話は聞いたこともない。こういうお話でございました。このことは、政府部内における重大なる意見の不統一を示すものでありまして、今や吉田内閣の末路を思わせるものがあるのでありますが、しかしながら、問題は非常に重大でありますので、一体こういうパンフレツトの中に書かれてあることは、中小企業庁の厳たる主張であるのか、あるいはこういう方針に向つて中小企業庁は努力いたしておつたのであるか、あるいは、こういうような中小企業庁のパンフレツト文書としてこれが一般に発表されました理由は、次官会議を経た、あるいは閣議の了解を得た、相当政府機関として権威あるそれぞれの機関の意見の統一をはかられた後の発表であると思うが、一体どういうような経緯をたどつてこういう発表に至つたものであるか、しかもここに書かれた通りであるかどうか、この点を明らかにいたされたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/73
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074・岡田秀男
○岡田(秀)政府委員 お答え申し上げます。このパンフレツトは、私どもが中小企業者に、中小企業金融の手引きみたいな意味合いにおきまして、参考資料としてつくりましたものでございます。これが当委員会で問題になりまするほど皆さんに御利用願つておるということにつきましては、私ども非常に光栄と存じておるのであります。実は私も先ほどそのことを聞きまして、読んでみたのでございます。この点は、少し筆足らずで、説明の仕方が少しまずかつたように思うのであります。ここべ書きました趣旨は、開発銀行が、従来主として大口の国家的大企業に対する国家資金の貸付を担当しておる。それから金融公庫は、比較的零細な部面に対します金融を担当しておるので、今度できまする公庫は、そのちようど中を埋めるような役割をするものであるということを表現せんといたしまして、いささか筆がすべりまして、少し誤解を招きますような言葉を使いましたことを遺憾と存ずるのでございまして、これは、私どもの方からここで訂正さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/74
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075・春日一幸
○春日委員 これは筆足らずとか、説明が適切でなかつたとかいうような問題で、許されるべき問題ではありません。少くとも中小企業庁の名において発表されたものであつて、公文書的性格を持つものであります。国民大衆に虚構を弄してそうして誤つた事実無根の宣伝を行うというがごときは、中小企業者を保護、育成するその重任を負う中小企業庁として、まつたく軽卒のそしりをまぬがれざるもはなはだしいものである。しかのみならず、私ども国会議員たるものは、こういうものを資料として審議しておる。われわれにこういうインチキの資料を提供することによつて、われわれの審議おやあまたしめんとする、こういうようなことは、中小企業庁の何らかの謀略ではないかとすらわれわれは考えるものであります。問題は非常に重大であります。このことは事実無根であるということを、これを発行された同じ部数を同じく発行されて、訂正される必要があると思うし、なおわれわれ国会議員に対して、全然間違つた資料を提供するというよなことは、国会に対して大きな罪悪を犯すことになるのである。私は、委員長を通じて厳重に申し述べたいことは、官庁名をもつて発行する印刷物は、少くともその内容に対して十二分に検討を加えられる必要がある。現実の問題としまして、全国でこれを読んだ諸君は、今までの二百万円のものは、少くとも五十万円、百万円という乙種の適用を受けるものは、だめになつてしまうのだ。そうならば中小企業金融公庫なんかやめてくれ、こういうようなものができたその片方で、恩典を受けておる既得権益が剥奪されてしまつては、同じことじやないか、こういうような論難、糾弾すらも受けておる。こういう大きな波紋を生ぜしめた責任は、あなたは一体どう考えておられるのか、ただ問題は、筆足らずで、筆がすべつたという単純な問題ではなく、全然事実無根の、しかも全然相反するところの表現がここに行われておるのです。だから、あなたがそういうことをお考えになりましたならば、十分これに対する対策をお立てになることは当然のことであろうと思うが、これに対する解決措置はいかに講ぜられる御所存であるか、これをお伺いすると同時に、私は委員長を通じて、少くとも官庁が発行するところのこういう文書に対して、かくのごとくずさんに、そういう内容を発表すべきものではない。厳重戒告されまして、その責任者を処罰されたい。それが措置は委員長に一任をいたしますが、今後こういうようなあやまちを繰返さないよう、委員長の責任において、国会の権威において、万全の措置を講ぜられるよう厳重に要求いたします。岡田さんの答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/75
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076・千葉三郎
○千葉委員長 委員長より一言いたします。ただいまのお申出はごもつともでございますから、さようとりはからいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/76
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077・岡田秀男
○岡田(秀)政府委員 ここに書いてありますのを読みますと、若干誤解を招くようなきらいがあります点を遺憾とするという意味で答弁を申し上げたのでありまして、この公庫法に関連いたしまして、衆議院でも参議院でも、いろいろ御質疑がありました場合に、私のお答えいたしましたのは、ここに書いてありますような誤解を招かないように、御説明をいたしておるのでございまして、なおあらゆる機会を利用いたしまして、国民金融公庫が従来二百万円まで連帯で貸しておつたのをやめるのではないということを、普及宣伝するように大いに努めたいと存じますし、今後かようなパンフレツトを出します場合には、一行一句間違いのないように、細心の注意を払いますことをお誓い申し上げまして、御答弁といたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/77
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078・春日一幸
○春日委員 それは答弁になつておりません。それをあなたがお読みになつておるかどうか知らないが、例外的に二百万円までの融資を行つていた国民金融公庫は、今度は本来の零細小口貸付の使命に立ち返つて、こういうことになつております。今までやつておつたことは、もう小品専門になつてしまつて、国民金融公庫がやつておつたことは、今後中小企業金融公庫がその任務を継承するのだ、こういうことがここに明白に表明されておる。読んで字のごとしだ。そういうことは、あなたが説明が足りなくて、人に誤解を与えるとか何とかいうことではなくして、全然説明せんとする、表現せんとするその内容が違つておるのです。あなた方がそういうことを考えられたことが、一ぺんあつたかもしれないが、そういうことは、全然政府においても、あるいはその他の機関との調整においても意見が通らなくて、その後あなた方の考えもだんだんかわつて来たのだと私は思うが、そういうような過渡期においてこれを発表されたものであつて、これが、いずれにしても対外的にこういうものが発表されて、大きな反響を与えておるという責任は、依然としてあなたにある。あなたはその責任を負われて、こういうような印象を払拭するための努力を払われることは当然の義務である。従いまして、あなたが多少筆まわしが足らなかつた、舌足らずであつたというようなこととは物事が違う。まことに申訳なかつた。こういうことで問題はだんだん進めて行かなければなりませんので、私は深くは追究いたしませんけれども、ほんとうに大きな影響を与えておるという責任こそ、あなたが率直に考えられて、現実に多くの国民が、金融公庫に期待をしておつた諸君が、その望みを失つておる、こういう誤てる宣伝を修正するだけの努力を払われんことを強く要望いたします。
次に、銀行局長にお伺いをいたしたいのでありますが、午前中久保田君の信用保証協会に対する質問に対する銀行局長の答弁に関連をするのでありますが、実はその保証協会が保証する、そうすると、今の銀行とつながりを持つておりました商社、これはおのずから大なり小なり銀行のわくを持つておりましよう。そうした場合、今まで百万円のわくを持つておつたか、今度保証協会から二百万円の保証を得た、そうした場合、そのわくをやはりその中に含めてしまう。そうして県なり保証協会なりが、せつかくの負担と犠牲をもつて保証の挙に出た。そのことを、銀行はすでに約束をしておるところのわくをも包含して、ますます自分の危険を少くすることに努力しつつある。このことは、私はカンニングではないか、便乗をすることによつて、自分の危険をできるだけ回避しようとするカンニング的な作為がそこの中にひそめられておる。このことは、私どもは認めなければならぬと思うのであります。そもそも銀行に貸倒れのことを、あらかじめ権利として私どもは要求するわけではありませんけれども、少くとも金融機関でありまする限り、これが営利事業として行われておるので、そこで貸倒れのある場合ということも想定して、政府は貸倒れの準備金を積み立てることを許し、これに対して課税からこれを除外をいたしております。本人たちは一応の危険に対して国家保証を受けておる。そこで私が申したいことは、地方自治団体が乏しい財源をもつて保証協会をつくつて、そこで貸倒れが起きたときには補償するというのだから、これだけ貸してやつてくれといつて銀行へ要求した場合、彼らがすでに長い取引の慣例と実績の上において持つておるそのわくをもその中へ便乗させてしまうということは、卑劣な、あまりにも営利追求第一主義のあり方だと思います。しかしながら、もとよりあなたには強制権はないでしようけれども、あなたが指導して行かれる立場において、このことは大きく影響力を与えていただける筋合いのものだと思いますので、そのことは銀行の自由だというようなことで言いつぱなしてしまわないで、貸倒れの場合には別の補償もあるし、しかもその既存のわくたるや、業者が多年にわたる実績の上にようやく築いた実績なんだから、新しく公共的性格を帯びるところの保証を得た融資に対しては、そのわくを食うことのないように善処されたい、こういうような通牒を発せられたり、あるいは銀行協会の講演会等で、あなたが大きな影響力を与えることのために積極的な行動に出ていただくということは、私は別に行き過ぎたことではないと思いますが、これに対して局長はどうお考えであるか。
それから他の一点でありますが、もう一つ承つておきたいことは、この保証協会が保証した分に対して、銀行はその歩積みを要求しております。たとえば百万円の保証、これに対して貸出をいたしましよう、しかしあなたとは取引がないので、従つてこの際五十万円くらい、あるいはときには三十万円、これを定期として預けてくださるならば、この貸出しに応諾いたしましよう、こういうようなことで、彼らがいろいろの必要に基いて申請して来たその痛切な要望に、彼らはまたここで便乗いたしまして、自分の定期預金の増大をはかる。一方において、保証協会で百パーセント危険を保証されていながら、なおかつ自分が定期をそこにとることによつて、さらにダブルの保証を利得する。そのことは、保証協会の金利が二銭六厘五毛であるとしても、こういう歩積みを積むことによつて、これが四銭にも五銭にもまわつて参ります。そういうような事柄か、全国に現実に行われております。こういうことは、金融機関といたしまして、これは百パーセント保証され、しかも信用保証協会が、そのいろいろの犧牲を顧みないで、中小企業の金融梗塞を打開することのために、政策的な立場においてそういう政策を進めておるのに、それに金融機関が便乗して、自分の利益の壟断をはかつておる。こういうことは、やはりあなたが監督者である立場において、もう少し善良なる運営をするように、強力な影響力を与えてもらいたいと私は思うが、これに対してあなたはどういうお考えをお持ちであるか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/78
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079・河野通一
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。第一点の、過去の貸出しについてわくというお話でありましたが、具体的な貸出しに対して、さかのぼつて信用保証協会の保証を適用する、従来保証協会の保証なくして貸し出しておつたものを、新しく加えて保証協会の保証を適用するということは、原則的には、私は適当な措置でないと思います。従いまして、午前中にも申し上げた通りに、これらの問題が行き過ぎるということは適当でない、こういう例が実はほかにもあるわけであります。たとえば、中小信用保険の制度などにつきましても、やはり過去の債権を、形だけ整えて中小信用保険にかけるといつたようなことが行われている例が絶無でないように聞くのであります。これは、それとよく似た例でないかと思います。私は、原則的にはそういうことは適当でないと思いますから、それを是正きせる方法を、私の責任においてとりたいと思つております。それからけさ申し上げましたのは、個々の場合においては、必ずしもそう一概には言い切れない場合がある、だからすべてがすべていけないのだと言えないということは、私申し上げておきたいと思います。原則はあくまで適当でないと思いますから、これについては必要な措置をとります。
第二点につきましては、これは申し上げるまでもなく、歩積みとか両建というようなことは、ことにこういう中小の零細な金融を受けておられる方々についてやることは適当でないということで、かねがね自粛をさせ、そういうことの是正をはかつて参つたのでありますが、私は、必ずしも信用保証協会の保証のあるなしにかかわらず、中小企業の金融につきましては、歩積みだとか両建とかいうものをできるだけやめて行くように指導して行かなければならぬと思う。特に信用保証協会の保証のついておるものにつきましては、歩積みというものがその役割をいたしております保証的性質は、信用保証協会の保証によつて満たされておりますから、特にそういう点については、当然やめさせるべきだと思います。今御指摘のような点は、一々ごもつともでありますから、私の責任においてしかるべき処置はとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/79
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080・春日一幸
○春日委員 国会の意思と局長の御意見とは、幸いにそこで合致しておりますので、ぜひともその趣旨に従いまして、通牒なり、しかるべき会合を通じて、金融機関をしてその趣旨にのつとらしめるような処置をとられることを強く要望するものであります。
次に、災害地に対して、中小企業金融公庫、国民金融公庫などいろいろ政府金融機関の資金が大幅に放出されつつあると思うのであります。これはあらかじめ想定された支出ではないのでありますから、九州なり和歌山県なり、地帯を限つて、大体一定のわくを置いて、そこに重点的に放出されるということになれば、そうでない平常な規模と計画において予定されておりました資金源をそれだけ蚕食することになるのであります。先般新聞を見ましたが、大野国務相が、私は政治力でこれらの資金源をまかなつてみせると言われておりました。それだけそうしておられるものでないということは、承知しておりますけれども、現実に公庫の金を六億円とつておる。和歌山には何がしの処置が講ぜられるでありましようが、しかしながら、零細なる国民金融公庫の金を六億円ふんだくつたり、その他国家財政によるこういう機関の金を大幅に頭をはねることによつて、その資金源をまかない、この資金がそういう方面に大きく食われるということは、私は大いに考えなければならぬと思うのであります。それだけ減るなら減るだけに、公庫を通じて、そういう零細融資に当らしめることが適当だとすれば、資金源は別途に考慮を加えなければならぬ。たとえば、本年度において増資の予定がされておつたといたしますれば、その額は、それだけ一方においてふえるだけの措置が並行的に行われてしかるべきだと思いますが、これに対して局長はどういう御見解をお持ちですか。あるいは、そういうような問題について何か政府部内において目下対策を講ぜられつつあるかどうか、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/80
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081・愛知揆一
○愛知政府委員 まことにごもつともなお尋ねでございますが、実は国民金融公庫の問題にいたしましても、いつも政府が御非難を受けることは措置がおそきに失する、とにもかくにもできるだけの措置は早くやらなければならぬということでありますので、今回は災害が起りますと、できるだけ早く国民金融公庫の方との御相談もいたしまして、率直に申しますればあとのことはあとのこと、とりあえずの措置としてこれだけのものを出そうということにきめたわけでありますから、決して人の分のピンをはねたことではないのでありまして、災害対策全体に対しましては、これも率直に申し上げれば、やはり場合によりましては、二十八年度予算の補正ということも私は必要ではなかろうかと思いますが、国民金融公庫の資金計画についても、この六億円についてあるいは今後出すであろう六億円プラス・アルフアの分については、そのためにほかの融資計画が狂ないように、全体をプラス・アルフアとして考えるということはもちろんでございます。そのために今全体の災害の対策とにらみ合せまして、順次所要の措置を講ぜんとしつつあるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/81
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082・春日一幸
○春日委員 ただいま次官の御答弁によりまして、いずれ補正予算等において、これが資金源の補正が行われるであろう、こううい御答弁を得ましたので、これに強く期待することによつて満足をいたします。
次は、中小企業金融公庫法案について銀行局長にお伺いしたいと思います。先般通産委員会との合同委員会において、それぞれの問題について私は質問をいたしましたので、あるいは速記録によつてわれわれの疑義はすでに御承知を願つておるかと思いますが、なお局長に関係する二、三の問題について、御意見を承りたいのであります。この第三十四条でありますが、そこの中に、昨年の十二月二十六日に商工組合中央金庫に対して政府から二十億円貸してある、これは今度の百億円出資の中に加えるのだといつております。設立したときに、その二十億円は中金から返してもらつて、そうして公庫への出資にするのだ、同時に、これは公庫から貸付けた形にするのだ、こういう法律の形になつております。しかし現実の問題として、局長並びに次官がよくお考えを願いたいことは、農林漁業金融公庫、これの方は今五百五十一億という厖大な財政資金が注入されておりまして、農業、林業、漁業等については、それぞれ大幅な財政援助が行われております。ところが中小企業においてはそういうものが行われてはいなかつた、すなわち設備資金、長期運転資金については考慮されていなかつたから、何とかしてくれということで、これは第十五国会以来、特に業者たちがしばしば大会も開き、国会においても、星島氏から動議として、超党派的な決議文等も出まして、少くとも三百億ぐらいは出してもらいたいのだ、でなければ、現在の中小企業の設備の老朽化や、あるいは不況を切り抜けるための適切な資金が得られないのだ、こういうことで、逐次こういう法案が生れて来るに至つたと思うのであります。そこでこの百億円、それからこの二十億、これではなお足りないけれども、国家財政が非常に窮乏なのでやむを得ないものとしてこの百億円で一応了承しつつ法律審議を進めて参りますと、実は昨年の十二月に二十億円中金に貸しておるというものを取上げて、出資の方にまわすのだという。こういうことでは、二十億円ペテンにかかつたような気がするわけであります。少くとも星島さんが衆議院においてあの決議案を出されたときには、われわれは三百億円というものを想定しつつ、またそれが必要であるという確信の上に立つてあの決議案が出たのであります。これが百億円になる。しかもそこの中の二十億円は、もう中金に出したやつをとつてそうしてこの百億に充当するのだ、こういうことでは、私はインチキもはなはだしいと思う。ですから、通産の政務次官に対して、この三十四条を削除して、貸したやつは貸してあるのだ、それは何も必要でないものを貸したのではなく、中金本来の使命、その必要に基いてこれは貸されたのだから、これは中金自体に独自に必要なのだ、そうして百億円というものは、長期資金並びに設備資金たんだから、新しい要請に基いて正味百億円出してくれ、こういう強い要望をいたしまして、政務次官は、なおかつ愛知さんとも御相談して、この問題について検討したいという答弁でありました。この問題は、財政を握つておられる愛知さんとして、もう少し積極的に御配慮願うことによつて——少くとも今日中小商工業者が百億円出してくれといつたら、気前よく百億円出してやつてもらいたい。農林、水産、漁業に対しては五百五十一億出ておるではないか。こういうような比較検討を加えてみますときに、私は百億円くらい出したつて決して過大とは思いません。こういうような点等を考えまして、中金の二十億をそのまま取上げるというようなけちくさい考え方を持たないで、もう少し機会均等にお取扱いを願いたい。よろしいか、農業、林業、漁業、これは三つである。ところが中小企業の方は、この中には鉄鋼もあり、あるいは陶磁器もあり、ガラスもあり、少くとも何百という業種を含んでいる。そのすべてのものを対象としている。だから、何とかこの百億円の正味が出るように、三十四条を直されるような御意思はないか、ちよつと御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/82
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083・愛知揆一
○愛知政府委員 この点もまつたくごもつともで、何とも説明申し上げると弁解がましくなるので、恐縮なんでありますが、昨年の暮れ衆参両院におきまして、この問題について決議もありまた緊急質問もありまして、そのときに政府側としては、少くとも百億円を二十八年度予算において特別の機構のために考えますというような態度を明確にいたしたわけであります。その後予算の編成については、御承知のように非常な難関に当りまして、率直に申し上げますが、何とかして少くとも百億をということと、これをにらみ合せまして、商工中金の分を返してもらうことによつて辛うじて百億ということに相なつたわけであります。この点は率直に申し上げるわけであります。しかしながら、これもその後御承知のごとく、今回保守三党の共同の修正案が成立いたしましたとき、われわれはこの点が非常に気がかりでありましたので、財政資金計画の上からさらに十五億円をふやしまして、今御指摘の問題は、そのまま未解決でありますが、別途十五億円をこの計画にふやしまして、新しい金が百億円になるというかつこうをつけたような状態でありますので、この点はまことに申訳ないのでありますが、全体の予算の編成の状況と財政資金計画の現勢、両方の非常に困難なところから割出したところの結論であることを御了承願いたいと思います。
なおこの問題は、私見でありますが預託金の問題とあわせてお考えいただくことが適当な性質の問題かと思うのでありますが、預託金は、将来多くを期待できないと思うのであります。そういう際には、中小企業金融公庫への一般会計から、ないしは他の会計からの出資というようなことを大幅に考えなければならぬ。しかし二十八年度に関する限りは、国庫の預託金は、大体昨年度通りにやれるというところで、とりあえずこれで発足いたしまして、二十九年度以降において諸般の情勢とにらみ合せてこれを増額することにいたしたい考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/83
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084・春日一幸
○春日委員 私は、あの例の三党共同修正に参画いたしておらない党といたしまして、非常に遺憾に思いますのは、予算編成に対する政府の態度であります。私が指摘いたしたいことは、財源がないのだ、ほんとうに苦しいのだから、百億円出すつもりであつたが、こういうようなやむを得ないインチキな立法を行うの余儀なきに至つたと言う。ほんとうに金がないというならば、ないそでは振れぬということで論ずる余地もないのでありますが、私が申し上げたいのは、三党が政治的に圧力を加えてやれば、現に十五億円出て来るではないか。出るものなら、なおかつ初めからこういうような立法をするということは、政府が中小企業に対する熱意が実にそれだけ足らないということだ。実際において、改進党や鳩自の諸君が言つてくれば、十五億円金が出て来るのを、初め出しもしないで、百億円という話だからそうだ。あそこに二十億円貸しておるから、あれをひつぱつて来てごまかしておけ、こういうような信念のない態度、中小企業に対する思いの浅い、冷い態度、このことこそは、もう少し良心的だと思われる愛知さんの政治力と正義とによつてこれが修正されて行くことを、私は強く要望するのであります。
なお私が了解できないことは、中金の金を引揚げるということでありますが、これはもとより同じような用途に供せられる金でありますから、この立法がなかつたと思えば、それでいいということになるでありましよう。けれども、これは全然別のことだ、たとえば昨年の十二月に貸せられたところの二十億円は、中金がそれぞれ必要に応じて申請をして、政府はそれを詮議して、必要欠くべからざるものとして、これは預託されたものである。それはもうすでに討論終結になつて、別個の問題であります。今度は、やはり中小企業者の現状において、設備の改善のために、長期運転資金が中金を通じて貸し与えられる、こういう新しきプラスが国民に希望を持たしておる。ところが彼らは、中金へ行つて見ると、その金はすでに運営しているんだ、新しい財源というものはないんだ、こういう結果に相なりましよう。これでは私は、法律が画竜点睛を欠くというのです。新しい法律が施行されるならば、それだけ新しい効果が現象となつて現われて来なければならぬ。ところが、中金においては、昨年の二十億円はすでに運転して使つておるんだから、それで新しく申込みがあつたとしても、実はそれに応待するだけの資金源がない、こういうことであつてはならぬと思う。そこで私が申し述べたいことは、いまさらどうにもならぬといえばならぬかもしれないけれども、少くとも予算を編成されるときには、そんなインチキやまやかしをなさらないで、百億円出すんだつたら、改進党や自由党ががちやがちや言うて、やむを得ず無理やりに十五億円ふやすというんじやなしに、初めから十五億円すつぱりと出して、百億の約束を果されるという態度が望ましい。これを強く要望いたします。
もう一つ、この法律に関連してお伺いをいたしたいのでありますが、この法律の中には、こういうことが指摘されております。この金庫は、あの見返り資金、それから開発銀行が貸した金、これは見返り資金が二十億であり、それから今までずつと開発銀行やその他復金時代からの受越しの金が、先般の資料によりますと、中小企業に対して百二十六億何がし、未回収のものが四億何がしというふうに出ておりましたが、これを全部承継することになるだろうと思うのであります。そこで私が一番心配するのは、金庫は、おそらくは回収不可能かと思われるところのこういう不良財産を継承した。だから、これを取立てしたくなるのが人情だろうと思うのです。新しく出発したものがそういうものを継承いたしますと、やはり自分の資金源を潤沢にしたいというのが人情であり、従つて貸した金を何とか回収しようということで、中小企業者がこれにより不当な圧迫を受けるようなことになりはしまいか、返せ返せと言つて迫られるような現象が起きはしまいか、こういうことを私は非常に憂えるわけであります。それからもう一つは、新しい機関としは金庫が出発しつつありますが、そのときに承継する財産の中に、すでに数年間にわたつて延滞日歩があろうと思います。延滞日歩については、延滞加算日歩になつておりますので、日歩は相当の金額にかさばつておると私は思うのでありますが、継承財産の中にこの日歩並びに延滞日歩をもまとめて継承されるつもりか、あるいは元金だけ継承されるつもりであるか。これを政令で定めるということになつておりますけれども、このことは、新しくスタートする金庫の内容を健全にするか不健全にするか、一にかかつて、こういうような問題がその大きな要素の一つになろうと思うのでありますが、次官は、これに対してどういう構想をお持ちになつておるか、伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/84
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085・愛知揆一
○愛知政府委員 ただいまお尋ねのことは、原則的に何もかも全部新機関に引継ぐわけであります。それから、それに関連いたしまして、それならば、引継いだ方の部分だけは、回収にうんと一生懸命やつて、不測の困難を生ずるのではないかという御懸念でありますが、これは、運営に際して、さようなことが起きないように十分注意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/85
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086・春日一幸
○春日委員 願わくは、旧復金、開銀見返り資金、こういうようなものは、先般私もちよつと意見を申し述べたのでありますが、これは輸出、外貨獲得のためとか、生活必需産業のためとか、一応当時国家的使命に基いてその使命を東した諸君で、今日それが不況になつて、彼らはそれを償還できなくなつて、いよいよ困つている。それが、今日この帳じり残となつて現われておると思うのであります。従いまして、こういうような諸君に対する取立ては、できるだけ緩慢にという希望を申し述べたのでありますが、ただいまの次官の御答弁によりますと、新機関においても、大体同様の趣旨を踏襲するいう御意見でありますが、どうかひとつ、中小企業者の置かれている困難な実情を御参酌願いまして、新機関においては、旧債の取立てはきわめて緩慢に行うべしということで、危害が及ばないように配慮願いたい。これを強く要望して、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/86
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087・淺香忠雄
○淺香委員 資料の要求をいたします。一、全国パン協同組合連合会、東京都中央区銀座七の一、全日本パン工業会、東京都港区新橋二の六、一、日本パン技術協会、以上の全国団体のうち、各地からの加盟組合員及び組合員の員数、一、過去五箇年にわたるこれらの全国団体に食糧庁として流した原材料を一覧表として提出を願いたいと思います。
ここで緊急動議を提出いたします。ただいま議題となつております十五法案中、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案及び国有財産法等の一部を改正する法毎案の両案につきましては、すでに質疑を尽されたと思いますので、この際質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/87
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088・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/88
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089・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないようでありますから、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案及び国有財産法等の一部を改正する法律案の両案につきましては、以上をもつて質疑を打切り、討論を省略して、これより採決に入ります。
この両案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/89
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090・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて右両案は原案の通り可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/90
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091・千葉三郎
○千葉委員長 次に先ほどに引続き、本日の日程に掲げました十五法案中、ただいま議了いたしました両案を除いた十三法案を議題として、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/91
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092・淺香忠雄
○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となりました十三法案中、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、審査の必要上、秘密懇談会を開かれんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/92
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093・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/93
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094・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないようでございますから、これより秘密懇談会に入ります。
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〔午後三時二十九分秘密懇談会に入る〕
〔午後四時二十六分秘密懇談会を終る〕
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095・千葉三郎
○千葉委員長 以上をもつて秘密懇談会を終ります。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03019530725/95
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