1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十八年七月二十九日(水曜日)
午前十一時二十九分開議
出席委員
委員長 千葉 三郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君
理事 坊 秀男君 理事 内藤 友明君
理事 佐藤觀次郎君 理事 春日 一幸君
理事 島村 一郎君
有田 二郎君 宇都宮徳馬君
大上 司君 大平 正芳君
黒金 泰美君 藤枝 泉介君
宮原幸三郎君 三和 精一君
福田 繁芳君 本名 武君
小川 豊明君 久保田鶴松君
楯 兼次郎君 平岡忠次郎君
前田榮之助君 中川 俊思君
福田 赳夫君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
出席政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 岸本 晋君
大蔵事務官
(主税局長) 渡辺喜久造君
大蔵事務官
(理財局次長) 酒井 俊彦君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
国税庁長官 平田敬一郎君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
—————————————
七月二十九日
委員伊藤卯四郎君及び楯兼次郎君辞任につき、
その補欠として山口シヅエ君及び木原津與志君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員山口シヅエ君辞任につき、その補欠として
前田榮之助君が議長の指名で委員に選任にされ
た。
同日
理事井上良二君の補欠として春日一幸君が理事
に当選した。
—————————————
本日の会議に付した事件
閉会中審査申出に関する件
委員派遣承認申請に関する件
理事互選
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六二号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六三号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四三号)
信用金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三号)
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八三号)
国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
一〇三号)
信用保証協会法案(内閣提出第一二五号)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約
第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産
の管理に関する法律の一部を改正する法律案(
岡良一君外二十六名提出、衆法第二〇号)
積雪寒冷単作地帯における麦類又は菜種の収穫
に因る農業所得に対する所得税の臨時特例に関
する法律案(竹谷源太郎君外二十四名提出、衆
法第二一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/0
-
001・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。
議案の審査に入ります前に、まず理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。去る二十七日理事井上良二君が委員を辞任され、現に理事が一名欠員となつておりますので、この際その補欠を選任いたしたいと存じまするが、これは先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/1
-
002・千葉三郎
○千葉委員長 御異議がないようでありますから、春日一幸君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/2
-
003・千葉三郎
○千葉委員長 次に、閉会中審査の件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、ただいま税制、金融、専売事業、国有財産等に関する事項について国政調査を行つて参りましたが、これは本会期中に調査を完了いたしませんので、閉会中も継続して調査を進めて参りたいと存じまするが、右四事項を閉会中審査事件として、議長のもとに申出することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/3
-
004・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/4
-
005・千葉三郎
○千葉委員長 次に、委員派遣の件についてお諮りいたします。それは、ただいま本委員会におきまして調査中の税制及び金融制度に関し、国内のそれを調査すると同時に、広く各国の税制及び金融制度を調査して、わが国の税制及び金融制度を適正ならしむる必要がありまするので、海外各国に委員を派遣いたしたいと存じまするが、これは規則第五十五条によつて、議長の承認を得なければなりませんので議長のもとに委員派遣承認申請を提出いたしたいと存じまするが、この点御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/5
-
006・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたしました。
なお本委員派遣は閉会中でありまするので、先ほど御協議願つた閉会中審査事件を前提としておりますることを御了承願いたいと存じます。
それから委員派遣承認申請書の文案起草等については、委員長及び理事に御一任願いたいと存じまするが、この点御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/6
-
007・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないようでありますから、さようとりはからうことに決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/7
-
008・千葉三郎
○千葉委員長 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案及び内藤友明君提出になる修正案を一括議題として、これより討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。淺香君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/8
-
009・淺香忠雄
○淺香委員 ただいま議題となりました食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、附帯決議を付して賛成いたすものであります。その附帯決議をただいまより朗読いたします。
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に関する附帯決議案
本委員会は、食糧の事故品等を売却処理する場合において、不必要な中間機関を介在させることなく、その相手方が官たると民たるとを問わず、当該事故品等の実需者と直接契約を締結することとする等鋭意その取扱事務の改善を図られるよう政府に対し要請する。
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、昭和二十八年度産米につき供出完遂奨励金を支出するために必要な措置として、賛成するものであります。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/9
-
010・千葉三郎
○千葉委員長 討論は終結いたしました。
これより採決いたします。
まず内藤友明君提出にかかわる修正案より採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/10
-
011・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本修正案は内藤友明君提案の通り可決いたしました。
次に、本修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/11
-
012・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本案は修正議決されました。
次に、淺香君より提出されました附帯決議について採決いたします。本附帯決議に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/12
-
013・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本附帯決議は決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/13
-
014・千葉三郎
○千葉委員長 次に、本日の日程に掲げました九法案中、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を除いた八法案を一括議題として、質疑を続行いたします。淺香君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/14
-
015・淺香忠雄
○淺香委員 ただいま議題となつております八法案中、信用金庫法の一部を改正する法律案に対して質疑を打切られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/15
-
016・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/16
-
017・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。
なお信用金庫法につきましては修正案が提出されておりますので、提案者より修正の趣旨弁明を求めます。淺香忠雄君。
—————————————
信用金庫法の一部を改正する法
律案に対する修正案
信用金庫法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第六条第二項の改正規定中「交付を含む。)」の下に「その他政令で定める投資」を加える。
第六条第二項の改正規定の次に次のように加える。
第二十四条第六項中『この場合において、商法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「信用金庫法第四十八条」と読み替えるものとする。』を削る。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/17
-
018・淺香忠雄
○淺香委員 ただいま議題になつております信用金庫法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案の理由を申し上げます。
この法律によつて認められたもののほか、金銭の貸付を業としているものが金庫という文字を使用することを禁止しようとするものでありますが、現在匿名組合組織のもとで金庫という名称を用いているものが相当ありますので、これをも含めるために、今回修正案を提案いたしました次第であります。修正案におきましては、金銭の貸付のみならず、「その他政令で定める投資を業として行う者は、その名称中に金庫という文字を用いてはならない。」こととするものでありまして、すなわち証券または不動産への投資を業として行つている匿名組合組織のものも、これによつて金庫という文字を使用してはならないこととなるのであります。なおこれに伴い不必要なる読みかえ規定をもあわせ削除して、条文を整備いたしております。何とぞ御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/18
-
019・千葉三郎
○千葉委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。
これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/19
-
020・苫米地英俊
○苫米地委員 動議を提出いたします。ただいま議題となりました信用金庫法の一部を改正する法律案につきましては、原案及び修正案ともに討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/20
-
021・千葉三郎
○千葉委員長 ただいま苫米地君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/21
-
022・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないものと認めまして、本案につきましては、原案及び修正案ともに討論を省略して、ただちに採決に入ります。まず、淺香君提案にかかる修正案より採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/22
-
023・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本修正案は淺香君提案のごとく可決いたしました。
次に、本修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/23
-
024・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本案は修正議決されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/24
-
025・千葉三郎
○千葉委員長 次に、残余の七法案につきまして質疑を続行いたします。本名君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/25
-
026・本名武
○本名委員 税法改正について、政務次官あるいは主税局長に二、三点お伺いいたします。
最近頻発いたします災害は、例年にない非常な降雨量に基くものとは申しながら、その多くが被害地域における山林の荒廃によるものであることは今さら申し上げるまでもないのでありますが、山林の荒廃を防止して、国土の保全を維持することを目的として、ただいまは朝野をあげて治山治水の施策を強力に推進しようといたしております。このことはまことにけつこうではありますが、今日特に治山治水の施策として考えなければならないことは、ひとり国会や政府や、あるいは災害地の住民の方々がこれに関心を持つだけでなくて、国民的な努力と熱意によつてこの目的を達成しなければならない段階に立ち至つていると思うのであります。このようなときにおきまして、ことに国のなす治山治水の施策と相まつて、民間あるいは個人のこれらの意欲、創意を十分に生かし得るところの対策が国においてとられなければならないと思うのでありますが、この問題について税制の面から一応二、三点お伺いいたしたいと思います。
まず第一に、従来山林の荒廃は、山林に対する課税方式の不合理に基いて、一層の拍車をかけられているように思うのであります。これに対して政府は、このような施策の一環としていかなる措置をとられるおつもりであるか。たとえば造林のために、奨励措置として造林積立金のような制度を認めるお考えがあるかどうか、これをまずお伺いしたいのであります。
その次は、先般の和歌山の災害に例をとつてみましても、あの県における被害の総額は約六百億円と聞いております。前述のように、山林の荒廃がこの水害の大きな原因をなすものであるとするなれば、この和歌山県の山林関係の税収を一応検討いたしますと、大体二、三億円程度のものであります。これらをにらみ合せて考えてみますと、この僅少な金額にこだわつて——僅少な額による税負担といいながら、山林所有者は、生活費を得るために山を売れば税がかかり、税を払うためには山を売らなければならない。山を売つたためにまた税がかかる、こういう悪循環を行つて非常に悩まされた。このようなことでは、この荒廃を改めるどころか、一層緑化ということは期せられないと考える。このような場合において、わずかばかりの税収入に眩惑されて、数十倍、数百倍に上る国費を投じて復興をしなければならないというような愚を一日も早く改めまして、山林の持つ公共性と低収益性に着目して、租税徴収の方法において、他の一般産業に対すると同様の方法ではいけない、特別の減免措置を講ずる必要があると思いますが、どういうお考えを持つておりますか。まずこの二点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/26
-
027・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 治山治水の上から見まして、山林の事業が非常に重要な事業であるということにつきましては、われわれも十分認識をもつておるつもりでございます。現在の山林の濫伐による災害等が、そのまま税だけの原因であるかどうかという点につきましては、相当検討すべき問題があると思つておりますが、山林所得につきましては、その特殊な性格にかんがみまして、今回もいろいろな意味におきましての提案はしたつもりでございます。御指摘になりました植林積立金のような問題につきましては、いろいろ検討はしてみておりますが、それをはたしてどういうふうにうまくこなし切るかという点につきましては、まだ大分問題が残つているようでございますし、なお山林所得というものをどういうふうに課税上取扱つて行くべきかという点の今後の問題、これもやはり検討すべきものとして、課題は、残つているものとわれわれは考えおります。従いまして、近くつくられる予定になつております税制調査会におきましては、その議題の一つにあげまして、とくといろいろな方面の御意見も伺い、検討もしていただく、かようなつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/27
-
028・本名武
○本名委員 お気持はよくわかるんですが先ほど申し上げました造林積立金制度というようなものを積極的に認めてやる必要があるということは、これは局長も考えてはおられると思うんだが、考えておられませんか——考えていないならば、私の申し上げることもかわつて来る。ひとつ考えていないということをはつきりおつしやつてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/28
-
029・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 先ほど申しましたように、造林積立金という制度は、一応制度としていろいろ御趣旨を伺つておりますが、造林積立金というものをつくることがいいか悪いかということについては、プラスの点もあり、マイナスの点もあるわけでありますが、はたしてそれで十分目的を達し得るであろうかどうかという点について、まだ私は多分に疑問があると思つております。と申しますのは、簡単に言いますと、たとえば造林のために積立金をするといつた場合に、その積立金は、今度実際に造林をしたらそれは片方でもつて免税積立金にしておきましても、資産がそこでもつて生れて来るのですから、植林をする機会にその造林積立金はくずされる、こういう問題が出て来るのではないかと考えるのです。そうすると、積立てておくときには税が免れるけれども、現実に植林するときには税が逆にかかつて来るという問題が、われわれが論理的に考えると、一応出て来るのであります。従つてそういう制度によつてはたして植林の目的が十分達し得るかどうかという点について、多分に疑問を持つておるのです。従つて単純に業者の方が言われる造林積立金のようなものにして、今すぐわれわれがこれをやることについて、けつこうですといつた意味の考え方は遺憾ながらまだしていない。しかし御趣旨の点はよくわかりますから、将来の問題としては、そうしたプラス、マイナスをよく検討してみまして、はたしてそれがどこまでうまく目的と合致する制度になり得るかといつたような点について検討はしてみたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/29
-
030・本名武
○本名委員 税理論をここで闘わすわけではありませんが、先ほども申し上げましたように、マイナスの点がある、プラスの点があると言いますが、常に税の問題が論議されるときには、そのマイナスの点を大蔵当局はよく取上げられる。われわれは国土の保全のために、緑化のために、災害を未然に防止するために、この問題は、たといマイナスの点があつても、一日も早く実施しなければならないという考え方に立つて、いわゆる生きた政治を今日行わなければ、日本の国土はどうして保持できるか、われわれ国民は安閑としてこの国土に住まうことはできないというまことに重大な危機に直面しているときに、マイナスの面があるからこれを考慮するということではなくして、マイナスの面を是正すると同時に、プラスの面を一日も早く生かし得るという努力を今後お願いしたいと考えておるのであります。
次に、もう一、二点お伺いします。次は山林所得は、林業の特殊性から申しまして、不連続的であることは御承知の通りでありますが、この点、現行の課税方式の基礎をなすところの総合課税方式によることは、実情とまつたく合致しないようにわれわれは考えるのであります。このような山林所得でありますので、これはたとえば退職所得のように分別課税にするようなお考えはないかどうか、それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/30
-
031・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 分別課税についてもいろいろ議論のあることはよくわれわれも存じおります。われわれといたしましては、山林所得というものの性格から見まして、特質性は認めておるわけであります。今回提案しました案におきましても、十五万円控除とか、あるいは五分五乗の制度をとつておるということは、山林の特殊性を認めたゆえんであると思つております。これをさらに分別すべきかどうかという点につきましては、現在のところ、われわれは総合による五分五乗が一番りくつに合つておると思いますが、いろんな議論がございますので、そういう議論については、将来の問題としてはこれも税制調査会の議案ともしまして、とくと検討してみたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/31
-
032・本名武
○本名委員 今五分五乗のお話が出ましたが、前にもお伺いしたように、山林所得が立木の売払いによる収入に其くのでありますから、改正案によりますと、五分五葉にしたことが御当局の非常に好意的な処置であるというお話でありましたが、これをさらに全国の平均伐採の年度、十年ということを墓準といたしまして、十分十乗にする必要があると思いますが、この点はどうであるか。
それからもう一つは、原案によりますと、山林所得の計算上経費として控除される額について、新たに概算経費控除という取扱いがなされております。これについては命令で定める割合となつておりますが、命令では一体どのくらいか。四割というふうに私は記憶いたしておりますが、私ども今日の木材の価格からいたしまして、あるいは諸般の経済情勢からいたしまして、四割ということはまことに僅少であると考えるのであります。先ほど申し上げました特異性もさることながら、実情に沿わない割合であろうと考えます。今日の実情から検討いたしますと、どうしても六割の控除がなされなければ、森林の再生産はでき得ないというふうに考えられますので、まずその命令で定める割合を四割とおきめになつた理由、そうとすればその論拠、並びに私どもが考えます六割ということが、はたして通らないものであるかどうか、その御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/32
-
033・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 最初に御質問になりました十分十乗の点でございますが、これはわれわれもずつと検討はしておりますが、立木の伐採の回転の割合というものが一つの基準になるわけであります。同時に、問題は所得税の問題でございますから、所得のウエートまでかけました場合には、はたしてどういう数字になるか。たとえば片方には、毎年山林を切つて、毎年所得の生まれる人があるわけでありまして、こういう方におかれては、毎年山林の所得があるわけでございますから、そこにしいて五分五乗、十分十乗といつたような意味における山林所得なるがゆえの特殊な扱いは、あまり必要ないじやないか、こういう方が片方にあるわけであります。片方には、それこそ十五年に一ぺんか、二十年に一ぺん山林の所得が出て来る方があるのでありまして、こういう方におきましては、確かに五分五乗は酷な場合があるわけでございます。それを一々こまかく計算して参りますやり方は、シヤウプの勧告によつてこの前までやつていた変動所得の考え方がある程度そこにうまく合致するわけでありますが、ただこれは理論的には合致しますが、いささか理論倒れのきらいがあつて、納税者におかれても、徴税当局におかれても、扱いきれないものになつてしまう。そこでもう少し簡略化したものとして、現在の五分五乗の案を出しておるわけでございまして、そういう所得の面から考えて参りますと、十分十乗がはたしていいか悪いかという点につきましては、なお慎重に検討する必要があろうと思つておりますが、これも今後の問題として検討して参るつもりでおります。
それから二の概算経費の問題でございますが、結局二十八年分から適用されるわけでございますが、結論的には、本年が過ぎてみませんと、正直に申しまして、正確には出ないのではないかと思います。と申しますのは、材木の値段というものは、相当フラクチユエーシヨンがあるわけでございまして、現在すでに、最近は相当値上りしているという事実が片方にある。ところが必要経費として引きますものの中で一番大きな項目を占めると思われますものは、財産税調査当時における価格に再評価の倍数をかけた元の値段、これは大体過去においてきまつておるわけでありまして、本年においてきまる上り下りする経費がある部分かかりますが、しかし材木の値段がフラクチユエートするんだ、経費の方はフラクチユェートしないというところから、もう少し年がたつてみませんと、概算経費の数字というものはなかなか出ないのではないかと思つております。今お話のありました四割というのは、私まだよく聞いておりませんが、たとえば昨年の実績をとつてみたら、こんな数字も出るのではないかといつたのが、あるいは四割という数字になつてお耳に入つているのかもしれませんが、これをもつて二十八年度分の概算経費の率だということには考えておりません。同時にお話の六割という数字も、もう少し先まで行つてみませんと、はたして六型妥当な数字かどうかということについても、ちよつと何とも申しかねます。われわれの方でなし得ますことは、あの法文の規定に従いまして慎重に計数をとつてみる。そこにどうせある程度の幅が出て来るのではなかろうかと思いますが、その幅を頭に置きながら、一応の計数を出して割合をきめて行くということに考えて行くべきではないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/33
-
034・本名武
○本名委員 木材は非常の高低があるということは認めるのでありますが、これは現在の需給状況から申しまして、あるいはそういうことは言い得るかもしれません。一面また造林に要する経費というものが、値上りその他に影響なく、大した変化はないというお考えのようですが、これはそちらでおきめになる標準の考え方と、われわれの考え方が、相当考え方に開きがあります。今日それをいろいろ意見の交換をする時間がないので、後日に譲ることにいたしますが、先日局長の御答弁だと思いますが、その中で、山林所有者には相当の優遇をしているということです。一例をあげれば、富裕税を撤廃する、あるいはまた財産税は軽減する、第三次再評価を行う、このような優遇をしておられるというお話があつたのでありますが、これはわれわれ国民として、聞きすてならないことであります。山林所有者だけがそういう恩典に浴するのでなく、これに関係するすべての国民がこの恩恵に浴することになる、決して山林所有者だけが有利な待遇を受けることがないという考え方に立つて、山林税制を根本からお考え直しをいただきたいと思います。
時間がありませんが、最後にもう一点だけお伺いいたしたいと思います。電源開発や保安隊に買収された林地、あるいは立木の対価に対しまして、土地の収用の場合と同様に、譲渡所得を免除する措置をとる必要があると思いますが、これらについてはどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/34
-
035・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 前段の方は御意見でありますから、御答弁申し上げることは差控えます。後段の点につきましては、土地収用の場合においては、譲渡所得を免除していることは御承知の通りであります。収用法が適用になつて参りませんでも、最後の段階まで行つて話がつかなければ収用まで行くという事案につきましては、免税のためにわざわざ収用法に持つて行くということもいかがと思いますので、現在におきましての扱い上、譲渡所得を免除する、そういう措置をすでに講じておることをお答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/35
-
036・苫米地英俊
○苫米地委員 銀行局長に……。信用保証協会法案の中に、出資に対する中間払いもどしの規定が載つておりません。これはきわめてまれに起る例であると思いますけれども、出資者が死亡したとか、もしくは会社が清算過程に入つた、その他やむを得ざる事情で脱退したとか、協会の方で除名しなければならなかつたというような事柄が起つた場合に、出資しておるところの金額が全部なくなつてしまう、協会の所有に属してしまうというようなことになりますと、出資者が出資に躊躇する、こういうことが起つて来ることが憂えられるのであります。しかし今この法案を修正してもらうとかいうようなことは考えておりませんが、現在の信用保証協会は、新しい法律によつて組織をなるべく早くかえた方がいいと思います。かえなければ、二箇年間の猶予期間がありますが、かえてしまつたからもうしようがないということになつては、組織が之をやらないという事情が起つて来る、でありますから、組織が之をしても、そのためにもし二箇年間に資金が集まらないというような事情が起つて来た場合には、これを考慮していただけるのかどうか、それによつて組織の転換ということが早くなるかおそくなるか、この点だけお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/36
-
037・河野通一
○河野(通)政府委員 この点は、お話のようにできるだけ早く組織が之をしていただきまして、その後の事情によつて、一応今の建前が弊害が多い、資金も集まらないという実態が起りました場合におきましては、法律の改正等におきまして、善処はいたすつもりでおります。ただいまのところは、そういう弊害は起らないと思いますが、万一起りました場合には、大蔵省としては十分考慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/37
-
038・千葉三郎
○千葉委員長 ちよつと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/38
-
039・千葉三郎
○千葉委員長 速記を始めて。
午後一時まで休憩いたします。
午後零時十一分休憩。
————◇—————
午後一時二十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/39
-
040・千葉三郎
○千葉委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
本日の日程に掲げました九法案中、午前中審査を終了した二法案を除いた七法案を一括議題として質疑を続行いたします。中川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/40
-
041・中川俊思
○中川(俊)委員 私はこの際大臣にお尋ねを申し上げたいと思いますが、それは昭和二十一年の二月十一日に告示されまして発行されました十円紙幣の図案につきまして、大臣に質問を申し上げたいと思うのであります。この紙幣は、当時発行直後各方面で問題になつた図案でございまして、その悪評につきましては、大臣もすでにお聞き及びだろうと思うのです。占領期間中に公布されました法律や、施行されました諸施策を見ますと、とかく国情や風情を無視したものが非常に多いのです。これは日本が満洲、あるいは支承を占領しました当時もそういう弊害がございました。とかく占領軍というものは、戦争に勝つたという優越感から、その国の文物であるとか、風習であるとかいうようなことには一向むとんちやくで自分の国の風習や、そういうものを一方的に押しつけるくせがあるのです。従つて占領されております国の為政者は、よほどしつかりしていないと、イエス・マンであつてはいけない、しつかりしていないと、そういうふうなことで、国情も民情もぶちこわされることがしばしばございます。私はこの点について、西独のアデナウアー首相であるとか、あるいは隣国の李承晩大統領に対して敬意を表するのでありますが、わが国におきましては、残念ながら権力に弱い日本の役人は、とかく占領軍の鼻息ばかりをうかがつて、そういうような点については、自分の国の主張をあえてしようとしなかつた事例が多々あつたのではないかと思うのでございまして、私はこの質問をするにあたつて、決して政府の無責任を追究しようとか、いやがらせをやろうとかいう気持は毛頭ございません。小笠原大蔵大臣は、私の常に敬意を表しておる方でございまして、由来大蔵大臣といえば、私は気に入らぬやつばかり今までおつたのですが、小笠原大蔵大臣に至つて、初めて私は好意を持てるような気がするのでございます。決して小笠原大蔵大臣に対していやがらせをやろうという気持ではございませんから、これらの点は十分に御了承願つて、そうして大臣もまた虚心坦懐に、日本人としての襟度と自信のあるお答えを願いたいと思うのであります。私は独立国家の権威を保持するとともに、国民思想の高揚に資したい、こういう愛国的熱情からお尋ねをするのでございますから、どうぞそのおつもりで御答弁を願いたいのであります。
第一にお尋ねいたしますが、本年の六月末現在で、約八十二億九千六百万円この紙幣が出ておるように伺つておるのでありますが、これが独立国家にふさわしからぬ国辱的な紙幣として、世上とかくの批評がある。発行当時は、これは当時でございますから、紙幣なんかを発行する上におきましては、相当司令部から干渉があつたかと思うのでございますが、大臣はこの点について、お聞き及びでございましようかどうか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/41
-
042・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 中川さんのお尋ねに対しまして、ちよつと今までの成行きから申し上げさしていただく方がよくおわかり願えますから、経緯を少し申し上げさしていただきます。
今仰せになりました日銀券の発行高は、仰せのごとくに本年六月末で八十二億九千六百万円でございます。なお十円の青銅貨が同じように五十億七千九百万円出ておりますことは、御了承願いたいと思います。この現在の十円券というものは、昭和二十年十一月に、当時行われておりました百円、十円、五円及び一円の日銀券を全面的に引きかえる計画のもとに、当時銀行券の製造を担当しておりました官民の印刷機関から公募いたしまして、同月二十四日に、新日本銀行券図案模様審査会、これは会長が大蔵次官で、委員が大蔵、文部、法制の各関係官、日本銀行副総裁、藤田嗣治、杉浦非水の両画伯、これらが委員であります。その審査会を開会いたしまして、当時公募された図案五十三種の中から選ばれたものであるのであります。なおそのときの十円券の図案は、千円券の図案として使おうと思つておつたものが、実は転用されたものであるのであります。原案には上代の彫刻を主題に、調和構成も緊密に考えられていたのでありますが、元来千円券の図案として考えられておりましたものを、十円券に転用いたしましたために、その大きさを約二十三ミリ縮小いたしまして、これがために模様等若干変更いたしたのでありますが、その原案からはあまり隔たつた感じのものにはなつていなかつたということでございます。さらに当時は、新通貨の印刷発行につきましては、これは今仰せのように、事前に司令部の許可を受ける、こういうことになつておりましたので、この図案を出しましたところが、現在国会議事堂が掲げてあるあの部分に用いられていたのが、新薬師寺の国宝十二神将の一つが掲げられてあつたのでございますが、そういういかめしい容貌は、どうも司令部として感心しないということがありまして、司令部の了解が得られませんので、そこで一方新円の切りかえ期日も切迫しておつたので、やむを得ず議事堂と置きかえることによりまして、正式に許可された、こういうことなのでありまして、この点は仰せになつたようなことがございますが、要するに十二神将の一つを国会とかえた、こういうようなことであります。なお司令部からは、そのほかの点については、何ら変更を求められたことはなかつたのであります。しかしその後世間でも、今中川さんの仰せのような、いろいろ問題にもなつてることを承知いたしておりましたので、その後大著の方でも、だんだん金の価値もかわつて来たので、こういう議論になつておる十円紙幣をなるべくならば補助貨幣と置きかえたい、こういう考えで、昭和二十五年三月に臨時通貨法を改正いたしまして、十円の洋銀貨幣の製造を開始したのでございますが、たまたま朝鮮事変が勃発いたしまして、洋銀地金を入手することがむずかしくなりましたために中止いたすこととなつたので、昭和二十六年十二月に、あらためて青銅貨幣をもつてこれに充てることといたしまして、本年一月七日以後ずつと発行しておる次第でございます。これによりまして、十円の日本銀行券は漸次十円の青銅貨幣に置きかえられることに相なりまして、だんだんとこれ謹めおるのでございまするが、何分造幣局の方の製造能力にも制約されまするので、短期間に置きかえを完了することが困難でありまして、先ほど申したように、今年六月末で五十億七千九百万円を置きかえた次第であります。しからばこのまま行つたらどうなるかと申しますると、昭和二十九年下半期には、全部これを青銅貨幣に置きかえることができることに相なつております。その間も待てないから、十円紙幣を新たに印刷したらどうか、こういう御意見もあるかと存じますが、実は十円紙幣について三種類もいろいろ行われるということは、通貨制度を複雑ならしめる関係もございますので、でき得るだけ早く十円の青銅貨幣をつくつてこれに置きかえたい、こういうのが大蔵省の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/42
-
043・中川俊思
○中川(俊)委員 私は冒頭にも申し上げましたように、独立国の面目を保持する日本の権威の上からも、また国民思想の高揚の上からも、こういうとかくの風評のある紙幣は即刻これをやりかえるべきである、こういう点で実は御質問を申し上げておるのでありますが、ただいま大臣のお話を伺いまして、政府が意図されておりますことは大略了承いたしました。ただこの原画と最後決定いたしました、現在使用されておりますこの図案との間には、今大臣がおつしやつたより、なおかつ違つておる点があるのであります。そういうような点につきまして、私が先ほどお伺いいたしましたのは、司令部でこの問題について干渉したかどうか、あるいはどの程度の干渉をして来ておつたか、そういう点についてお伺いをいたしたのであります。当時小笠原さんは大臣の職におられたわけではございませんから御存じないかもしれませんが、もしそれらの事情がわかりましたならば、一応承つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/43
-
044・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 先ほどちよつと申し上げましたように、当時新通貨発行統制に関する司令部覚書というのがございまして、それに基いて、司令部の了解を得なければ新紙幣の発行はできないことに相なつておつたのであります。そこでどういうふうにかえたかと申しますと、さつきちよつと申し上げましたが、新薬師寺の仏像、十二神将の一つが入れてあつたのであります。それをこんないかめしい刀など持つておりますからいかぬというので、国会議事堂に置きかえて了承を得た、それ以外は、了解を得るのに何も図案はかえなかつた、ただ、元が千円札に対する分の図案をとりましたので、そこで十円札にふさわしいように、新字のところとか寸法とか、かわつておることはもちろん申し上げるまでもないことであります。それでは今どのくらい引きかえられておるかと申しますと、大体毎月六億五千三百万円ずつ青銅貨幣ができまして、これを引きかえております。でございますから、御参考のために申し上げておきますと、これが一番多いときには、昨年末ですと、十円札が百二十二億一千五百万円出ておりました。それがだんだんに引きかえられて今は八十二億になつておりますが、毎月今後六億五千三百万円ずつやりますから、昭和二十九年末までには全部青銅貨幣に置きかえられる、こういうこととになりますので、その点御了承をお願いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/44
-
045・中川俊思
○中川(俊)委員 実はこの図案を見ますと、故意か偶然か、ないしは悪意かは知りませんが、私の承知いたしておりますところでは、世界各国の紙幣の図案が、こういうふうに両側に紙幣が分断されておるという例はきわめてまれであります。たしか西独にちよつとそういうのがあつたかと思いますが、まれなんです。しかもこれは、はつきり左側は米国の米なんで、右側は国なんです。しかも今大臣がおつしやいましたまん中の国会議事堂が、何か仁王さんが、今おつしやつたようなのとかえられておりましたのも私は承知いたしております。原画は拝見いたしました。大臣のおつしやつたように、千円札として原画を描いたのが十円札にかえられたことも承知しておるのでございますが、しかも大臣のおつしやつたのとちよつと原画が違いますのは、この国のすみつこの方に、何だか軍人らしいのがあり、これは原画にはございません。しかもこれは、世上ではMPだとか、あるいはアメリカの軍人だとかいうようなことを言つておる。しかもこのまん中の菊の御紋が、鎖でもつて取囲まれておる。それをアメリカの軍人がにらみつけておる。こういうようなことを言つておる者もおる。なおこの国会議事堂の前には、植木だと称しますが、これを虫めがねでしさいに検討してみますと、どうも植木のように見えないのです。軍艦が爆撃を食つておる図案のように見える。なおまた国会議事堂の窓を見ますと、十字架が十三ございます。これは絞首台に上るところの階段が十三ある。これを形づくつておるのだというようなことを言う者もあるのです。私はばかばかしい世評だとは思うのですよ。しかもこの裏を見ますと、このぼつぼつが四十八ある、これはアメリカ四十八州を形どつておるのだ、こういうことを言う者がある。これはかりに一片の世評であつたとしても、独立国の日本といたしましては、そういうとかくの批評のある紙幣をそのままにしておくということは、政府の怠慢ではないか、すみやかにこれは回収をするか、今大臣のお話を承りますと、逐次硬貨にチェンジされつつありますので、まことにけつこうでありますが、こういうような問題が一たび世上で喧伝されました以上は、二十九年の暮れごろまでには、だんだん何とか全部できるというようなのんきなことでなく、これをすみやかに流通禁止するとか、あるいは何かの方法でこれをかえられる方法はないか、この点をお伺いをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/45
-
046・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 中川さん初め、国会のそういう御意思がはつきりいたしました以上、それは仰せになる通り、あまりそういうとかくの批評のあるものを長く置くのは感心しません。だから、今まではさつき申しました六億五千三百万円ずつ毎月やつておりますが、スピードアツプをやりまして、できるだけ早くこれを青銅貨幣と置きかえることに努めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/46
-
047・有田二郎
○有田(二)委員 関連して。本委員会において、今まで百円紙幣につきましても問題になつた。前々国会でも、百円紙幣の中に大日本帝国印刷局というのが今日なお印刷されておる、これはけしからぬから、すみやかに改めるべしという意見を述べたのでありますが、これに対して、印刷局で今新しい百円札の印刷を急いでおられるということを聞いておるのでありますが、いつごろその百円紙幣がかわるか。この点についてひとつ責任ある御答弁を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/47
-
048・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 有田さんの仰せは、なるほど今見ますと、大日本帝国印刷局と書いてあります。これは今聞いてみますと、二十一年、いわゆる新円切りかえのときに、新円を出すことを非常に急いだので、印刷が間に合わないで、下の赤い模様だけをとりかえてすぐ出したので、こういうことになつたということでありますが、これはよくございませんから、改めることにいたしたいと思います。現在もう百円を改めることで、新紙幣の準備をしておりますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/48
-
049・有田二郎
○有田(二)委員 改めることについては、前々国会において、本委員会でやはり大蔵大臣から御答弁があつたのであります。何月何日に印刷ができるか、そうしてこの百円紙幣がかえられるかという実際の問題について御答弁を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/49
-
050・酒井俊彦
○酒井政府委員 現在すでに百円札を準備しておりますが、これは印刷の関係もございますのと、それからなお日本銀行には相当現在の百円札の手持ちもございますので、それらを勘案しまして、おそらく来年あたりから引きかえが可能になるのではないかと思います。なお大日本の文字でございますが、おつしやる通り適当でございませんので、その後できました紙幣につきましては、みんな日本政府印刷局というような表現を使つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/50
-
051・有田二郎
○有田(二)委員 今の御答弁では満足できない。そういう答弁は、以前に本委員会で何回もなされておるのです。そうして近くやるということも私は聞いておるのです。来年なんて言うと、鬼が笑う。漠たる答弁ではいけない。いつやるか、現状の印刷能力でどの程度印刷ができるか。今の十円札の問題ももちろんでありまするけれども、大日本帝国というものはほとんど書かれている。独立国家になりました今日の日本国として、私はゆゆしい問題であろうと思う。従つていつこれが完成されるかということを、はつきりひとつ承りたい。来年になつたら印刷ができて何とかなるでしようというような漠たる返事ではなくて、印刷局において、百円紙幣が新しいのにいつごろかえられて、いつごろ手元に出されるか。われわれは大日本帝国というものは、本委員会において政府に対して再再注意をし、また政府もこれに対して何らかの対処をする、しかもただいま新百円紙幣を印刷いたしておりますから、近くそれが発行になるというような答弁を再々承つておる。ところが今の理財局次長の御答弁を承りますと、来年になりましたら出るでしようというような、鬼が笑うような御答弁では納得できかねるのです。ひとつはつきりした御答弁を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/51
-
052・酒井俊彦
○酒井政府委員 通貨の切りかえをいたします場合には、御承知のように相当大量のものが製造されまして、これが全国の日本銀行支店に渡つて十分準備ができたというところで、初めて交換が可能になつて来るわけであります。現在新百円札が印刷中であります。それが十分な量を持ちまして、それを各支店に送りつけて、そして順次に発行し、とりかえて行くという手続を考えますと、大体来年早々くらいから引きかえができるのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/52
-
053・有田二郎
○有田(二)委員 この問題については、前々国会においてやはり問題になつて、そういう事情についてはわれわれよく知つておる。しかしながら、いつまでたつてもそれが行われない。新百円紙幣にとりかえられるには、少くとも相当量の印刷をいたさなければならぬのであつて、今来年が来年早々にかわりましたが、はたして来年早々やり得られるかどうか。この前の答弁では、今年の九月か十月ころには新百円紙幣とかわるという答弁が本委員会であつた。ところがただいまの答弁によると来年、さらにまた来年々、こういうようにかわつて参りましたが、しからば来年早々何月ごろに責任を持つてできるかどうか、ひとつ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/53
-
054・酒井俊彦
○酒井政府委員 実は準備の都合から申しますと、私どもは、本年末十二月から始める予定でおるのであります。ただそれが実際に市場に流通して参りますのは、古い紙幣が回収されまして、それと引きかえに出て参りますので、十二月末はぼつぼつ出まして、大体月の流通率は十億か十一億くらいでありますから、来年からその程度のスピードで置きかえられて行くものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/54
-
055・有田二郎
○有田(二)委員 大臣の所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/55
-
056・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 理財局次長の答弁の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/56
-
057・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 千円札についてちよつとお伺いいたします。私マニラに行つておりましたが、千円札はマニラの軍票と同じ型だ。少くとも日本の紙幣として、こういう型は今までございません。たまたま中川君から発言があつて、十円札の問題がありましたが、マニラでは、この千円札と同じような紙幣を使つております。ちようどアメリカの占領下だつたら日本も同じようでいいけれども、少くとも平和が回復して日本が独立国になれば、当然こういうものは廃止せらるべきだとわれわれは思うのですが、大蔵大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/57
-
058・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 今の御意見はよく伺つておきます。実はその図案をつくりました当時は、日本銀行の中に図案模様審査会というものがあつて、今申し上げた画伯を入れたり専門家が入つていろいろやつたのでありまして、それが当時一番いいというのでとられた型と思いますが、しかし今仰せになつたような、ほかの国の模倣であつては、独立国としての体面から見てもおもしろくありませんから、御意見の趣旨によつて考えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/58
-
059・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 実は紙幣というのは、その国の象徴になつておりまして、一番民衆に直接の関係があるものであります。たまたま中川委員からこういう案が出まして、相当輿論のあれになつたと思いますが、少くとも、小笠原大蔵大臣には直接の関係はございませんけれども、しかし表向きはどういうことを言いましても、形が整わなければわれわれは独立国とは思いません。今の紙幣を一応やめて新しい紙幣にかえる御意思があるかどうか、大蔵大臣に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/59
-
060・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 実は卒直に申しますと、千円紙幣についてのお説は、今佐藤さんから初めて伺つた。百円札につきましては、さつき申しました通り、かねていろいろ御意見あり、また中川さんのようにいろいろ御心配になつておる方もありますので、かえることにいたしまして、この十二月には一部できるということは今次長の申した通りであります。千円につきましては、百円ができましたら——これも印刷能力の関係もあり、一気にどうかと思いますが、よく考えまして、今のような御意見は尊重して考えさせていただきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/60
-
061・中川俊思
○中川(俊)委員 先ほど大臣の御答弁にもありましたように、当時は何か同案審査会というものができまして、それで審査をされたことも、実は私は伺つております。ただその図案審査会が自主的にこういうものをきめたかどうかということについては、私は疑念を持つておる。と申しますのは、各方面から出された原画が大体同じような型であつたというように私は伺つております。そういうような点から言つても、司令部あたりから、こういうような図案を出せとかなんとかいうようなさしずがあつて、それに基いて図案審査会はおきめになつたのじやないか、かように私は考えておるのです。要するに先ほど来百円札、千円札についてもいろいろの御議論がございましたように、日本の紙幣を見ますと、これはいかにも独立国の国辱でございまして、自主性のない紙幣——フイリツピンで出しておる紙幣であるとか、米国と書かれておる紙幣が出ておつたり、さらに私儲備券が日本で発行されたことがあると思うのでありますが、儲備券をすかしてみますと、USA・ウェル・カムということがはつきり出ておる。こういうような図案をやはり日本で発行いたしたのでありますが、そういうような点からいつて、どうも大蔵省のやつておられることに自主性がないということを私は痛感いたしておるのでございまして、大臣は、スピード・アツプして、すみやかにこれの回収の方法を講ずると言われるのですが、先ほど有田委員も御指摘になりましたように、ただスピード・アツプしてやるか、あるいは来年度か、さ来年度かということでなく、少くとも重大な国民の関心の的になつております十円札だけは、すみやかに流通禁止をする方法はございませんか。たとえば何月何日を切つてこれは使用することはできなくなる、よつて何月何日までに——ちようど新円のときのような方法でこれをとりかえるというようなことはできないかどうか、もう一応大臣に意見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/61
-
062・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 今の貨幣の鋳造は、さつき申し上げましたように、六億五千三百万円月に出ておりまして、これをできるだけスピード・アツプして、今八十数億残つておりますものをできるだけ早く置きかえをさせたいと思います。ところで、これは流通をしておるのであつて、かえる通貨もできておりませんから、御趣旨の点はよくわかつておりますけれども、実行問題とすると、これはできるだけ早くやつて——今までの調子で行きますれば、来年の末になりますが、せめて来年の上半期のうちに終るようにさせたい、こういうふうに努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/62
-
063・中川俊思
○中川(俊)委員 理財局の次長がおいでになつておりますから、ちよつと技術的にお伺いをしたいと思うのでありますが、今大臣のおつしやる通りに、来年の暮れまでにこれを完全にチェンジすることが技術的にできるかどうか。たとえば一箇月に、大臣がおつしやつたように六億ぐらいチェンジして行つて、来年の末までに間に合うかどうか、これは技術的な問題でありますから、理財局次長にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/63
-
064・酒井俊彦
○酒井政府委員 ただいま大蔵大臣から御答弁がございましたように——私も技術者ではございませんけれども、印刷庁の製造能力から申しまして、今大臣が御答弁申し上げたようなスピードで置きかえが可能であるということでございます。それ以上になりますと、実は貨幣の打抜きの機械でございますとか、印刷の機械でございますとか、製造能力に限度がございますので、それほど多くはかえられませんけれども、今大蔵大臣の御答弁のありました程度にスピード・アツプしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/64
-
065・中川俊思
○中川(俊)委員 こういう問題でございますので、世上いろいろなことを言つている者もございます。私が出しましたこの問題について、とかくの批評もございますが、しかしこういう少くとも国恥的に見られる図案をいつまでも放任すべきではないというのが、私の主張でございます。先ほど有田委員も御指摘のように、とかく政府の答弁は、その場限りのものが非常に多いのでありますが、どうかこの問題は、国民思想の高揚にも関係する問題でもありますから、日本の権威のために、大臣がおつしやつたようにスピード・アツプされて、早急にひとつ案をお立て願いたいと思います。吉田内閣は、いつまでも続くわけでもございません。今の大臣がやめられて、またほかの大臣が来られて、同じようなことを言われるというようなことが今日までしばしばあるのであります。そういうことでは、われわれ承服できないのでありますから、どうか事務当局を御激励いただきまして、すみやかに国の国恥的な紙幣を一掃していただきたい。このように強くお願い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/65
-
066・淺香忠雄
○淺香委員 ただいま議題となつております七法案中、法人税法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案及び信用保証協会法案の五法案につきまして、大体質疑も尽されたと思いますので、この際右の法案につきまして、質疑を打切られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/66
-
067・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/67
-
068・千葉三郎
○千葉委員長 御異議がないようですから、ただいまの法人税法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、信用保証協会法案、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、この五法案につきましては、以上をもつて質疑を打切ることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/68
-
069・淺香忠雄
○淺香委員 ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案につきましては、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/69
-
070・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/70
-
071・千葉三郎
○千葉委員長 御異議がないようですから、本案につきまして討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。
本案を原案通り可決するに御賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/71
-
072・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。
暫時休憩いたします。
午後二時休憩
————◇—————
午後二時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/72
-
073・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。
信用保証協会法案を議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/73
-
074・春日一幸
○春日委員 私は、従来中小企業に対する金融という問題が、今まで金融機関があまりにその融資を行うに当つて独善的でありまして、当然産業に奉仕するための金融機関が、逆に産業に君臨しておるというような形があつたのでございます。従来中小企業に対する金融の民主化ということが強く叫ばれておつたのでありますが、この問題に一歩前進するの施策として、地方自治団体の協力によりまして、すでに金融保証協会なる制度ができ上つております。全国にすでに四十有余の保証協会が設立をされまして、これが金融に悩む中小企業の金融に対しまして、相当の貢献をいたしておることを認めるものであります。従いまして、こういうような要請と事実の上に立ちまして、こういう法律が立法されるということはきわめて適切なことであります。しかしながら本法は、中央会の設定、あるいはまたこういうような公共的性格を帯びるところの、公共的使命を帯びるところの金融保証協会のための立法といたしましては、なお内容に二、三の欠陥があるのではないかと考えるのでございます。
しかしながら、とにもかくにも今まで法律によるバツク・アツプなくして行われておりましたこの協会の運営が、本立法を契機といたしまして、さらに法律上の裏づけを持つことによつて、その機動力を強化するということはきわめて慶賀すべきことでございまして、かかる意味合いにおいて、私どもは本法案に賛成の意を表するものであります。
しかしながら、本法案につきましては、ただいま指摘いたしましたように、なお二、三の欠陥が残されておろうと思われますので、こういうような問題をも含めて、将来政府によつてこれらの欠陥を補うことのための、必要なる行政的処理が行われることを強く要望いたしまして、このために次のごとき附帯決議を付することを条件といたしまして、本法案に賛成をいたすものであります。附帯決議案を朗読いたします。
本案は、中小企業者等に対する金融を円滑にするため、極めて有効適切な措置であるが、尚、信用保証協会に対しては、更に、中央及び地方自治体の財政援助等が行われ、協会の機能が強化されるよう、政府は格別の措置を講ずるよう善処せられたい。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/74
-
075・千葉三郎
○千葉委員長 討論は終結いたしました。
これより信用保証協会法案を採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/75
-
076・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本案は可決されました。
次に、春日一幸君より提出されました附帯決議案について採決いたします。本附帯決議案に賛成の諸君の御起附を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/76
-
077・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本附帯決議案は決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/77
-
078・千葉三郎
○千葉委員長 次に、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、これより討論採決に入りたいと存じますが、本案に関しましては、大平正芳君より修正案が提出されておりますので、まず修正案提出者よりその趣旨弁明を求めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/78
-
079・大平正芳
○大平委員 ただいま議題になりました国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の修正案につきまして、その趣旨弁明をいたしたいと思います。
修正案の案文はお手元に差上げてありますので、朗読を省略させていただいて、ただちに修正点の御説明を申し上げたいと思います。まず第一に、主として国鉄等公共企業の職員を対象といたして、三箇所の修正を加えております。第一点は、政府原案によりますと、勤続期間が三十年を越える勤続期間に応ずる退職正当の支給率は、従来から若干逓減しておつたのでありますが、公社、特に国鉄等におきましては、三十年ないし三十五年程度の長期の勤続者が現に相当在職しておる実情にありますので、木の支給率の逓減は、勤続三十六年以上から始めることに改めたのでございます。
その第二は、政府原案におきましては、定員または組織の改廃等による強制退職の場合に限つて最高率の退職手当が支給されることになつておるのでありますが、公共企業体等におきましては、このほか業務量の減少その他経営上やむを得ない事由により退職させられる場合があることは、公社法に明記されてありますので、この経営上の必要による強制退職につきましても、最高率の退職手当が支給せられるように改めたのでございます。
第三点は、政府原案におきますると、現在在職している職員の過去の勤続期間の計算につきまして、従来の例によるということになつておりますが、国鉄等の職員のほか、一般公務員の場合におきましても、過去において満洲、支那等外地におきまして同種の事業に勤務いたしておつた者があるわけでございまして、それを従前の例によるということは必ずしも実情に適しない場合があることを考えまして、この場合、政令によりまして特別の計算方法がとられるように修正いたしたのであります。
次に、軍人軍属でありまして、引続いて現在文官として在職しているものにつきましての修正点でございまするが、政府原案におきましては、元軍人軍属でありまして、その者が引続いて各庁に在職している公務員の退職手当の計算につきましては、その軍人、軍属としての在職期間を除算することになつているのでありますが、しかしながら、ひとしく軍人軍属であつたもののうちにありましても、雇員、用員及び工員等であつたものにつきましては、すでに昭和二十二年に、その軍属としての在職期間は通算することに改められ、ついで昭和二十四年には、事務官、理事官、判任文官等につきましても、その軍属としての在職期間を通算することに改められたのであります。しかるところ、ひとり職業的軍人軍属だけがその階級の上下を問わず、今日まで除算されているのであります。しかるに、今回広く軍人軍属の恩給につきましても、その復活措置がとられましたのでありまして、そのことにもかんがみまして、これら現在在職中の特定公務員の退職手当につきましても、この際その軍人、軍属としての在職期間を通算することにいたすことが適当であろうと考えまして、修正案を提出いたした次第でございます。何とぞ御賛成をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/79
-
080・千葉三郎
○千葉委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。
これより原案並びにただいまの修正案を一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/80
-
081・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 本案に関しましては、修正案に賛成するものでありますが、次の附帯決議を付しまして議決されんことを望みます。
公共企業体労働関係法との関連において、公共企業体の職員を本法の適用範囲からはずすことが妥当であるとも考えられるが、他方これと関達してその職員に対しては恩給法並びに国家公務員共済組合法の準用規定を排除して、一般の社会保険制度を適用することも考えられるので、これらの諸問題を公正に解決する方途を速やかに講じ、早急に再検討することとする。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/81
-
082・千葉三郎
○千葉委員長 これより順次採決いたします。
まず、大平君提案の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/82
-
083・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本修正案は可決されました。
次に、ただいまの修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/83
-
084・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本案は修正議決されました。
次に、先ほど佐藤君より提出されました附帯決議について採決いたします。本附帯決議に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/84
-
085・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本附帯決議は決定いたしました。
暫時休憩いたします。
午後二時三十二分休憩
————◇—————
午後四時十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/85
-
086・千葉三郎
○千葉委員長 再開いたします。
所得税法の一部を改正する法律案を議題として討論、採決に入りたいと存じます。本案につきましては修正案が提出されておりますので、まず提案者より修正案の趣旨弁明を求めます。内藤友明君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/86
-
087・内藤友明
○内藤委員 所得税法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。
きわめて簡単な修正でありますので、お配りしてあります印刷物で御了承いただきたいと思うのであります。すなわち四十六条の三の改正規定中「五以上の営業所」を「十五以上の営業所」に、その他適当な改正をいたしたのであります。何とぞこの修正案を御決定いただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/87
-
088・千葉三郎
○千葉委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。
これより原案及び修正案を一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。本名武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/88
-
089・本名武
○本名委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案に対して、附帯決議を付したいと存じます。案文を朗読いたします。
附帯決議
第三条ノ二、第四十六条ノ三の施行は中小企業法人の組織と発達とに重大なる影響を及ぼすものであるから政府はその実施に当り十分慎重を期せられたい。
よつて、法第四十六条の三の適用に当つては当該地方に於ける所轄官公庁、当該法人の所属する団体の代表者並びに学識経験者よりなる諮問機関の意見を徴したる上、当該地方国税局長がこれを決定することとし、以つて中小企業法人の発達を阻害するが如きことのないよう厳重留意致されたい。
以上でありますが、この附帯決議を付しまして、ただいま上程になりましてた原案並びに修正案に賛成の意を表したいと思いますが、御一同の賛成をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/89
-
090・千葉三郎
○千葉委員長 佐藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/90
-
091・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 所得税法の改正については、われわれがたびたび申したごとく、現在高額所得者は非常に有利な事情になつておりますが、中小商工業者、あるいは中以下の所得者に対しては、非常に税金が過酷になつておるわけであります。従つて、まじめな国民が現在非常に高い税金で泣いておることは、いまさらここに説明する必要はないと存じます。そういう意味において、現在の経済事情を考えて、われわれは年間二十四万円以下の所得者にはすみやかに免税の措置をとられたいことを要望するものであります。特に最近戦争に敗れましてから後におきましては、御承知のように大企業家は、何らかの意味において、あるいは計理士とか会計士とかいうような面によつて、自分の所得の軽減にはいろいろ便宜がございますけれども、中小企業者には、これらの便宜が与えられてないという点においても、中小商工業者、あるいは中以下の所得者に対して、徹底的に税法を改正していただきたいと思うのであります。特にこの所得税法の改正の中において、われわれが一番心配しておりますのは、主税局長とたびたび間答いたしましたように、現在の所得税法第四十六条の三、あるいは六十七条の三項につきまして、中小企業庁のせつかくの努力によつて発達した全国八千の企業組合が、今日この法案反対のためにわれわれに訴えて来ておることは、同僚委員御承知の通りであります。終戦後八年の間において、中小企業の人々がようやく自分らの力によつて組織をつくつて、協同組合の精神によつて自分らの産業の合理化をはかつておる今日、はからずも前議会から今議会にかけて同じ法案が当委員会に提出され、そのために幾多の人が心配をいたしておるわけであります。悪い企業組合に対しては、同情の余地はありませんけれども、少くとも今企業組合が中小法人の形としてようやく光明の道を見出した今日、中小企業組合の方々の心を察するとき、この法案に幾多の不満があることを考えるわけであります。そういう点については、いずれ本会議においていろいろその理由を述べて反対をするつもりでございますけれども、税務当局、あるいは主税局は、現在の中小企業者の苦しい立場を十分に考えて、税の徴収に対しても、もつと抜本的な政策を考えていただきたいと思うのであります。特に現在の税務官吏は、終戦直後とはやや改良された点はございますけれども、かかる法律によつて一旦これがきまつた以上は、やはりこういう危険な道を歩くおそれがあるわけであります。末端においては、この法律によつて幾多のまじめな中小商工業者が泣くような心配がたくさんあるわけでございまして、はなはだ残念ではございますが、再びこういう法案が出て来たことに対して、われわれはあくまでも反対をいたすものであります。詳しいことはいずれ春日委員も申されますが、いずれ本会議の討論の場合に譲ることにいたしまして、私はその意味において、これに反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/91
-
092・千葉三郎
○千葉委員長 苫米地君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/92
-
093・苫米地英俊
○苫米地委員 私は自由党を代表して、所得税法の一部を改正する法律案、これに対する修正案、並びに附帯決議案三案に対して、賛成の意を表するものであります、私はこの修正案をほとんど必要としないと考えておるものでありますが、いろいろ御心配になる向きもありますので、その修正案が出され——この修正案は、この法律を生かして行くとするならば、これが最大限の大きな修正であると思うのであります。これだけの大きな修正ができておれば、まず大体において、御心配のような事態は起らないと考えます上に、附帯決議案によりまして民主的に、きわめて慎重にこの法律の運営をいたそうというのでございますから、政府におかれまして、この趣旨を十分御考慮の上運営をされるならば、私は万が一にもあやまちが起らないものと信ずるものであります。
こういう理由で、法律の原案修正、附帯決議に対して賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/93
-
094・春日一幸
○春日委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ここに所得税法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の意思を表明するものでございます。以下その理由について申し述べます。
本改正案は、条文の上では減税の形式をとつておるのでありますけれども、実質的には、むしろ増税の結果になつておることは、本年度の予算書をごらんになれば明らかであると思うのであります。すなわち昨二十七年度の予算額は、所得税二千六百億でありましたのに対しまして、本改正によつて徴収されんとする所得税の総額は、実に二千六百七十一億でございまして、これが自由党が前二回の総選挙において鳴りもの入りで喧伝されました一千億円大減税案の正体であるかと思いますれば、私ども日本社会党は、このような目的とその結果とが全然相反するようなインチキ減税案は、断じてこれを拒否せなければならぬと思うのであります。政府は、本年度において国民所得が増加するので、旧税法のままで徴税すれば、一千数百億の増収が見込まれるのであるが、ここに特に本改正案によつて、この得べかりし増徴を押えたことは減税に相違ないと強弁するでありましようが、一体経営の困難が日とともに加わつて、不況と金詰まりに息切れのしそうな中小企業者に対して、このような気休めとも出たらめともつかぬことを放言したところで、だれ一人納得するでありましようか。むしろこれは、中小企業者の五人や十人死んだつてかまわないと、例の放言を伝統的に放つていただいた方が、これは言う方も聞く方も腹がすわつてむしろよいかと思うのであります。
本日、日本の経済がいかなる傾向をたどつているかは、本会議や各常任委員会を通じまして、わが党がこれを明確に指摘しておるところでありますが、それは朝鮮の平和による特需の減少、あるいは通商外交の拙劣さから来る貿易の不振、その他大企業偏重政策の犠牲となつた中小企業の金詰まり、この不況、こうした幾多の悪条件が錯綜いたしまして、今やわが国経済の実情は、おそるべき平和恐慌の前夜を思わしめるものがあるのであります。こような現実に目をおおうて、国民所得の大増収を仮想して、ここに提出された形式的な減税案というものは、所詮は、その課税現場において税収予算額を確保するの必要上、必ずや天くだり的水増し課税、懲罰的徴発課税への方向をたどることは必至のことであります。(拍手)本改正案を迎える全国の中小企業者、勤労者大衆は、まことに暗然たる思いに暮れているということを私どもは指摘しなければなりません俗に、入るをはかつて出るを制すということわざがあるが、減税の意義は、国民負担の実質的軽減のことでなければ相ならぬと思うのであります。かりに税収入の実質的減少を考えての減税案でありまするならば、そのことは、当然歳出の面においても具体的に経費の削減の措置が厳に並行的に行われなければならぬと思うのであります。しかるに、行政費は膨脹の一途をたどるばかり、再軍備費は必要の度を越えて確保する。このようにして支出は次第に膨脹しながら、一方においてできもしない減税をしやあしやあとして口にするがごときは、口頭の禅、羊頭狗肉、君子の政道はかかる虚構を断じて排撃するものであります。(拍手)
これに対するわが日本社会党の減税案は、月収二万円以下、年収二十四万円以下の零細所得者に対しまして、これは生活実費としてこれに免税せんとするものであつて、この案による税収入減額九百億円は、行政費の節減四百三億、再軍備的支出千百七十億を削減することによつて収支の均衡を画然とはからんとするものであつたのであります。ちまたに血税という言葉が流通しておりますが、これは生活費を税金として奪つて行くから、これは血になる飯を奪われたことに対する大衆の呪詛であつて、けだしこれは至言であろうと思うのであります。われわれは、飯の盛られた茶わんを奪つてまで再軍備費を捻出すべきではないと考えるのであります。(拍手)保安隊は、共産主義の侵略を防衛するためのものであるが、茶わんを奪われた被害者たちは、しやくにさわつて恨みを抱くか、もしくは飢餓のため反撃の機会をねらうかであつて、所詮は、この厖大な経費を使う保安隊の協力者になるはずは断じてないと思うのであります。
祖国の再建も治安の確保も、まず国民大衆の生活の安定を確保することになければなりません。わが日本社会党は、かかる見地におきまして、生活実費を年間二十四万円と裁定し、この一わん一汁の生活者に対し、この免税点を二十四万円に引上げることによつて、その生活の安定に寄与せんとする次第であります。
独立後最初に開かれたこの国会においてこそ、この減税措置は断行されなければならぬのであります。しかるに、所得税法改正案は、基礎控除、扶養控除の引上げや、さまつな減率を刑式的に行うことによつて、実に実質的な大増税を行わんとしているのでありますが、かくのごときは、わが日本社会党の断じて承認しあたわざるところであるのであります。しかのみならず、その他第三条の二、あるいは第四十六条の三、第六十七条の三項等のごとく、零細所得者に重税の及ぶような改正が行われていることは、はなはだ遺憾のきわみでありますが、その理由については、ただいま佐藤君から述べられましたので、その重複を避けるとといたしますが、本改正案にみなぎるこのような一連の反動的傾向は、わが党の断じてこれを排撃するところであるのでございます。(拍手)
以上申し述べました理由により、わが日本社会党は断じて反対するものでありますが、各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/94
-
095・千葉三郎
○千葉委員長 これより採決に入ります。
まず内藤君提案にかかる修正案より採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/95
-
096・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本修正案は可決されました。
次に、本修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/96
-
097・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本案は修正議決されました。
次に、先ほど本名君より提出されました附帯決議について採決いたします。本附帯決議に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/97
-
098・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本附帯決議は決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/98
-
099・千葉三郎
○千葉委員長 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に関しましては、三つの修正案が提出されておりますので、まず修正案提出者より順次その趣旨弁明を求めたいと存じます。第一の修正案提出者内藤友明君。
—————————————
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/99
-
100・内藤友明
○内藤委員 修正動議を提出いたします。
第一の修正でありますが、修正案文はずいぶん長文でありますので、朗読を省略させていただきたいと思います。どうぞお手元に配付いたしてあります印刷物をごらんいただきたいと田うのであります。この修正は二点あるのであります。
その第一点は、資本蓄積を促進するために、利子所得に対する所得税の特例を設けようとするのであります。現在利子所得に対する所得税は源泉課税として二〇%を課税し、後総合して課税することとなつており、あるいは源泉選択をいたしますときは五〇%、今回政府の改正案では四〇%を課税することになつておりますが、これを昭和二十九年分まで一〇%の源泉一本として、他の所得と区分して課税しようというのであります。
また今まで非課税でありました割増金附貯蓄に対しましては、今後当籤の数を制限し、また割増金品の総額の限度を定め、この割増金に相当しない大来の利子部分については、新税率による利子課税をしようというのであります。
次に、第二点は、輸出貿易を促進するために所得税及び法人税に特別措置を行わんとするものであります。すなわち、貿易業者に対しては売上げの一%、またはこれによる所得の五〇%のいずれか低い方、輸出品の生産業苦に対しては、売上げの三%またはそれによる所得の五〇%のいずれか低い方のおのおのその金額だけ個人の場合は所得から控除し、法人においては損金算入しようというのであります。この修正は昭和二十八年から三十一年までを期間としております。
この二つの修正は、今回自由党、改進党及び自由党の三党提案による予算修正の内容の一部をなすものでありまして、これによる減税額は、第一点の預貯金等の利子課税の軽減によつて十一億四千万円、第二点の輸出促進の措置による軽減によつて十六億六千六百万円を見込んでおるのであります。
以上が第一の修正の趣旨と内容であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/100
-
101・千葉三郎
○千葉委員長 続いて第二の修正案をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/101
-
102・内藤友明
○内藤委員 次に、第二の修正動議を提出いたしたいと思うのであります。
第二の修正案に誤謬がありますので、まずその誤謬を申し上げます。それはお配りいたしました刷り物の一枚目に黒く消してありますが、これをこれから申し上げまするものにとりかえるのであります。申し上げます。
第八条の五、「非出資組合である農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会に対しては、各事業年度の所得に対する法人税は、これを課さない。」それから行をあらためまして「出資組合である農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会が各事業年度の所得のうち積み立てた金額の累計額が各事業年度開始の日において、同日における出資総額の四分の一に相当する金額に達しない場合においては、当該法人の各事業年度の所得のうち積み立てた金額に対しては、各事業年度の所得に対する法人税は、これを課さない。」誤謬は以上であります。
修正は次の五点であります。
まず第一点は、採塩に対する免税であります。今回の本法改正中に開墾、埋立て、干拓等によつて土地を耕作の用に供した場合、その土地から生じた米麦等については五箇年間免税しようというのでありますが、本修正は開墾、埋立て等によつて塩田が開発され採塩が始められた場合も同じく五箇年間免除しようというのであります。
次に第二点は、協同組合の社会的特性を考慮し、その内部蓄積を促進してこれが発展を助成するために、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合及びその連合会のうち、非出資組合の所得及び出資組合にしてその積立金の額がその出資総額の四分の一に相当する金額に達しない事業年度の所得に対しては、法人税を課さないというのであります。
次に第三点は、土地改良事業によつて、水稲のあと作として麦または菜種の植付がなされた場合、植付の年の翌年から三年間、その麦及び菜種の栽培から生じる所得に対し所得税を免除しようというのであります。これは、目下本委員会に審議中の積雪寒冷単作地帯における麦類又は菜種の収穫に因る農業所得に対する所得税の臨時特例に関する法律案の内容を若干拡張修正して、この租税特別措置法の中に織り込もうとするものであります。
第四点は、宗教法人法の規定により、宗教法人が旧宗教法人令による宗教法人の権利の承継をした場合、その承継による不動産の権利の取得の登記については、登録税を免除するというのであります。
第五点は、中小企業等の合理化を推進するために、国有財産特別措置法の規定によつて賠償指定の解除された国有の機械器具と個人及び法人たる事業者が従来から所有する老朽機械を交換した場合には、農地等の交換の場合とおおむね同様、個人にあつては所得税法の適用上譲渡がなかつたものとみなし、法人にあつては、交換によつて取得した資産の価格と財産目録上の価格の差額相当額は、所得計算上益金に算入しない等の措置を講じようというのであります。
以上が修正の趣旨と内容であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/102
-
103・千葉三郎
○千葉委員長 続いて第三の修正案をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/103
-
104・内藤友明
○内藤委員 次に、第三の修正動議を提出いたします。これはお配りしてあります案文の中で、第八条というのがありますが、これは全部誤謬でありますので、削除いたします。これは印刷物をごらん願つて朗読を省略さしていただきます。
第一点は、航空機の通行税現行二割を一箇年間一割に軽減しようというのであります。わが国の航空事業は、戦後の長期にわたる空白の状態からいまだ立ち直らず、今回十億の国家投資を行つてこれが育成をはかつている状態にありますが、現行二割の通行税は、航空事業の十分な発展を阻害している傾きがあるので、これを半分に軽減することによつて運賃を軽減し、乗客の増加をはかり、他の諸措置とあわせて航空事業の基礎を育成しようというのであります。
以上が修正案の趣旨及び内容であります。何とぞ三つの修正案とも、全会一致御賛同あらんことを希望いたします。
それから申し落しましたが、第三の修正案に誤謬がもう一つあります。それは第二十七条、「昭和三十年七月三十一日」というのは、「昭和二十九年七月三十一日」の間違いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/104
-
105・千葉三郎
○千葉委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。
これより原案及び三修正案を一括議題として、討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。淺香君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/105
-
106・淺香忠雄
○淺香委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案に、附帯決議を付するの動議を提出いたします。まずこの附帯決議の案文を朗読します。
一、協同組合の分配金のうちの事業分量に応ずる分配金と出資に対する分配金の計算方法については洋人税法第九条第六項の規定の趣旨に背反するような取扱は速かにこれを廃止するよう政府に強く要望する。
二、消費生活協同組合に対する課税についてはその非営利法人としての性格にかえりみ最も近い機会において改正すべきことを要望する。
この趣旨弁明につきましては、農協、漁業、森林の各協同組合の救済と再建のために、原案並びに修正案が正当にも出されましたが、これと同様の立場にある生活協同組合についても、別個考慮が払わるべき必要ありと認められますので、この動議を提出した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/106
-
107・千葉三郎
○千葉委員長 討論は終局いたしました。
これより順次採決に入ります。まず内藤友明君提案にかかる第一修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/107
-
108・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本修正案は可決されました。
次に、内藤友明君提案の第二の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/108
-
109・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。
次に、内藤友明君提案の第三修正安について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/109
-
110・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本修正案も可決せられました。
次に、右三修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/110
-
111・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本案は内藤友明君提案のごとく修正議決せられました。
次に、淺香君より提出されました附帯決議について採決いたします。本附帯決議に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/111
-
112・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本附帯決議は決定いたしました。
なお本案に関しましては、三つの修正案が可決せられましたので、修正による字句の整理等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604629X03219530729/112
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。