1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十九日(水曜日)
午前十一時三十二分開議
出席委員
委員長 中井 一夫君
理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君
理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君
理事 門司 亮君
生田 宏一君 佐藤 親弘君
山本 友一君 吉田 重延君
藤田 義光君 北山 愛郎君
滝井 義高君 伊瀬幸太郎君
大石ヨシエ君 大矢 省三君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 後藤 博君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁税務部
府県税課長) 柴田 護君
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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七月二十八日
委員横路節雄君辞任につきその補欠として石山
權作君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
委員庄司一郎君及び石山權作君辞任につき、そ
の補欠として吉田茂君及び横路節雄君が議長の
指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一〇八号)
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001・中井一夫
○中井委員長 これより開会いたします。
地方税法の一部を改正する法律案を議題として、これより質問を行います。質疑の通告がありますのでこれを許します。大石ヨシエさん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/1
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002・大石ヨシエ
○大石委員 そこの若い人に聞きますが、日本に公娼というものは、もうなくなつていると思うが、遊興飲食税というものがあるのは、あなたの方では、まだ日本に公娼を認めておるのか、どうであろうか、この点をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/2
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003・後藤博
○後藤政府委員 お答えいたします。公娼というものは認めていないと私ども存じております。
〔委員長退席、西村(力)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/3
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004・大石ヨシエ
○大石委員 公娼というものをお認めになつておらなかつたならば、何がゆえに京都において接客業者——それが女中という名前になつているが、彼らに対してなぜ人頭割で税金をとるか。もし税金をとるということになれば、政府は公娼というものをお認めになつておるわけです。この見解を聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/4
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005・後藤博
○後藤政府委員 昨年までは接客人税という税がございまして、人頭割で、月に幾らかずつ、芸者類似の者からとつておつたのであります。その税は法定税からやめまして、現在はないのでありますが、地方的には法定外普通税として、接客人税というのをつくつておるところがあります。京都は現在やつているかどうか、はつきり私は覚えておりませんが、私どもの法定税の中からは、はずしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/5
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006・大石ヨシエ
○大石委員 しからば、私は東京の吉原、洲崎、そうした方面をちよつと研究してみましたが、その人たちには遊興飲食税がかかつておる。そうして街頭のパンパンに対しては、税金がかかつておらない、それ自体は、政府が公娼制度を認めておることである。これをどういうふうにお考えになるか。京都ばかりでなく各地にあります。そうしてしかも席を貸しておる者は六分とる。本人は四分とる。それに対して、遊興飲食税がその婦人にかかつておる。私は婦人の立場から、こうしたことを見て政府は、はたして公娼を認めておられるのかどうであるか。公娼というものは今ないはずです。それが税金をとつておる。そうして、街頭のパンパンに対しては税金がかかつておらぬ。こういう不公平な処置はどうであるか。これに対してあなたの所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/6
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007・後藤博
○後藤政府委員 先ほど申しましたように、接客人税としては、一般的には税をとつていないわけであります。しかし、遊興飲食税という税がございます。これは御存じの通り、芸者と遊んだ人からとる税であります。ただ芸者を特別徴収義務者にしておりますので、芸者類似の方からとるように見えますけれども、その税金は、芸者自体からとるものではなくて、お客様からとるものであります。従つて、私は、芸者からとるという考えは出て来ないのじやないか、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/7
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008・大石ヨシエ
○大石委員 しからばあなたにお尋ねしたいのは、私は芸者のことは言うておらぬ。俗にいうパンパン、銀座に新宿に、ちまたにパンパンがおります。てれに対しては税金がない。そうして、いわゆる赤線区域には税金が課せられておる。しからば公娼制度をお認めになつておるかどうであるかということを聞いておるのである。税金を課しておるということは、それは明らかに日本が公娼制度を認めておるということであります。芸者ばかりにかかつておることでない、赤線区域というものがある。それに対してあなたの方は人頭割で課税しておる。そうしてあなた方は公娼制度を認めておらぬとおつしやる。私は婦人の立場から、公娼というものは今ないものであると信じておる。また公娼制度というものは現にない。それをあなたの方が税金をとつておられるから、公娼制度をお認めになつておるかどうであるかと質問しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/8
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009・後藤博
○後藤政府委員 公娼制度を認めておるとは、私は思つておりません。先ほど申しましたように接客人税という税がございまして、芸者その他それに類似するような者から税をとつておつたのであります。その税は昨年からやめておるのでございます。従つて直接芸者類似の者、公娼からとる税は、現在ないのであります。ただそれと遊ぶところのお客様からとる税金は、遊興飲食税でとつております。従つて、税の上でも公娼を認めていない、こういうことが言えるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/9
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010・大石ヨシエ
○大石委員 しからば赤線区域というものは、一体あれは公娼街とあなたはお認めであるか、どうであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/10
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011・後藤博
○後藤政府委員 私は公娼街であると思つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/11
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012・大石ヨシエ
○大石委員 しからばなぜそれに対して遊興飲食税をおとりになるか。遊興飲食税をとつておるというならば、公娼制度を認めておることである。しかもそれが本人自身にかかつておる。そういうことをあなたはどういうふうにお考えになつておるか、この点について私は非常に疑問を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/12
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013・後藤博
○後藤政府委員 赤線区域の中にありますところの料理屋、宿屋等につきましても、一般の料理屋、宿屋と同じような税率、方法でもつて税を徴収いたしておりますので、別に差別待遇をいたしておりません。従つて公娼制度を認めておるということは私は考えられない、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/13
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014・大石ヨシエ
○大石委員 あなたは公娼制度を認めておらないとおつしやいますけれども、現に、各府県の地方の財源というものは遊興税をもつて非常に満たされておる。しからばその遊興税はだれが支払つておるかといえば、非常にか弱い女性がそれを支払つておる。それを支払うということは、政府が公娼を認めておることである。そればあなたの方がいかなるりくつをおつけになつても、実際は認めていらつしやるのである。今後その遊興飲食税についてどういうふうな処置をなさいますか、私は詳細にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/14
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015・後藤博
○後藤政府委員 大石先生のおつしやるのは、よく私にはわかりかねるのでありますが、遊興飲食税は先ほどから申しますように、お客の支払つた代金に対する課税であります。またお客が芸者その他の者に渡した花代に対する税であります。従つて客の税を特別徴収義務者がかわつて納める形式をとつております。従つておつしやるような芸者そのものが納めるような税金に見えるのでありますけれども、その内容は、芸者の方でとつた花代に税金を足したもののうちから、その税金の分だけを役所に納める、こういうことになるのであります。従つて私はどうもおつしやることがよくわからないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/15
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016・大石ヨシエ
○大石委員 わからぬことはないはずで、あなたはぼけておるのです。そんなわからぬことがありますか、現に私たちはそうした哀れな女性の陳情を受けてよく知つておる。あなた方が遊興飲食税を現に赤線区域と称するところからとつてそれを財源にしておる。それがゆえに、その哀れな女性は遊興飲食税を納めておる。それでもあなた方は遊興飲食税は芸者からとるものであつて、彼女からはとるものでないということをおつしやるが、現にそうしたものをとつておるということは公娼制度を認めておるじやないか。これをあなたは公娼制度ではないとおつしやいますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/16
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017・後藤博
○後藤政府委員 私どもは公娼制度とは関係なしに、徴収に便宜のいい人に特別徴収義務者になつていただきまして、税を徴収してもらい納めてもらつておる、こういうふうに考えております。別に特別徴収義務者にいたしましたことが、公娼制度を認めるということには私どもならないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/17
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018・大石ヨシエ
○大石委員 しからばこういうふうに解釈してよろしいな。ただいまあなたは税をとるのに都合のよい人からとると言われた。では脱税をする人からはとらぬ、けれども弱い者から税をとる、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。そういうふうに私は解釈しますが、それでいいですか。それでは脱税しておる者はたくさんありますよ。大口の脱税をしておるものはたくさんある。そういうものからの税をとらずして、弱い者、都合のよい、正直な者は税金をよけい出しておる。横着な者は脱税しておる。あなた方は都合のよい者から税金をおとりになつて、それでよいのでございますね。そういうふうに解釈してよろしいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/18
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019・後藤博
○後藤政府委員 ちよつと誤解があるようでございます。遊興飲食税は特別微収制度という制度をとつておりまして、直接消費者つまりお客から金をとることが非常にむずかしいので特殊な料理屋とか宿屋だとか飲食店だとか、そういうところの方々にお願いいたしまして、お客から税金をとつてもらつて、それを納めるような制度にしているわけであります。その納める制度をつくりますときに、徴収に便宜のいい人たちに、特別徴収義務者になつていただきまして、税金を徴収していただいているわけであります。従つて脱税というよりも、お客からとつた税金を納めるとか納めないとかいう場合に、脱税の問題がございますけれども、私どもは現在ではその脱税を認めているとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/19
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020・大石ヨシエ
○大石委員 そうするとお尋ねしますが、銀座あたりにおりますパンパンの徴収方法は、これも遊興飲食しているが、どういうふうになさつているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/20
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021・後藤博
○後藤政府委員 お話のような方々は一体どういうものかというと、非常にむずかしいことでありますが、私どもは現在の税法上遊興飲食税はとれるものと考えております。しかし実際問題といたしましては非常に捕捉が困難であります。所在が一定しておりませんために捕捉が非常にむずかしくて、税務当局としては相当徴収が困難ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/21
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022・大石ヨシエ
○大石委員 ではこういうふうに解釈してよろしいですな。日本の国では封建的な考え方を婦女子は非常に持つている。つまり親が病気である、兄弟が病気である、しかたがないから赤線区域に行つた。そういうような者には課税をして、市中に散乱しているパンパンにはあなたの方は課税なさらぬのですね。便宜が悪いから課税なさらぬ。つまり弱い者には課税する。そうして町に横行しているパンパンには課税なさらぬ。そういう不公平なものであるか。しからば私は全四千万の婦人を代表してあなたに抗議を申し込む。そういうものでしようか。弱い者には課税する。そうして税脱を大口にしている者には課税しない。それでよろしいのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/22
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023・後藤博
○後藤政府委員 固定しております者も、一定してない今おつしやいますパンパンのような者に対しても、同じような方法で、特別徴収義務者になつていただくように現在しております。別にその間に差別は設けておりません。但し先ほど申し上げましたように、住所が不定の者がパンパンには多くて捕捉が非常に困難でありますので、徴収が地方団体としては非常に困つているという実情を申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/23
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024・大石ヨシエ
○大石委員 いつまでこれを繰返しておつても同じことですが、なぜあなた方は赤線区域の彼女らのみにたくさんの税金をかけるか。私は知つているが、サントリーのウイスキー、これはいつだつたかここで発言しましたが、あれはイミテーシヨンがたくさんある。赤坂の議員宿舎で飲んでいるのはみんなイミテーシヨンである。あとから見て、初めてイミテーシヨンであるということをわれわれは発見してくやしがつている。それが一年に何十万出ているかわからぬ。だからこの脱税を取締つたら幾らでも税金を出すところはある。それをどういうふうにあなたはお考えになつているか。私はいつでもほんとうの寿屋のウイスキーと、うそのウイスキーのびんをここに持つて来て、あなたに見せてあげようと思う。そういうふうに脱税している者は平気で横行して、ぜいたく三昧な生活をして、そして哀れな者からそうした税金をあなた方は取上げていらつしやる。これに対して私は非常に不合理であると痛切に考えている。このイミテーシヨン・ウイスキーをどうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/24
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025・後藤博
○後藤政府委員 イミテーシヨン・ウイスキーの問題は国税の問題でありまして、私どもの地方税の問題ではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/25
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026・大石ヨシエ
○大石委員 これは例を言うているのです。こういうように脱税している人がたくさんあるのに、これをあなた方は探究せずして、そして弱い者から税金をとるから、私がここに声を大にして叫んでいるのである。これは国税の問題であるということは、今さらあなたにお聞きしなくてもよくわかつている。これは私はあなた方の参考までに供したのです。
それから、先日私が言いましたダンス教習所とダンス場と、この区別はどうなんですか。タンス・パーテイを教習所でやつてもこれは脱税である。それでダンスをやつているところは入場税をとられるので、大衆はどこへ踊りに行くかというと、教習所に踊りに行く。これをあなた方はどういうふうにお考えになつているか。詳細お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/26
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027・後藤博
○後藤政府委員 ダンス教習所とダンス場の問題でありますが、おつしやいますように、ダンス教習所の名において、ダンス場と同じようなことをやつている場合があるかと思います。私どもの方針といたしましては、ダンス場と同じような娯楽性のある場所であれば、それはやはり入場税を賦課すべきものである、こういう指導を府県に出しております。ただ純粋なダンス教習所になりますと、これは入場税をかけることは無理だろうと思つております。ダンス教習所が純粋のものであるかどうか、ダンス場に類したものであるかどうかという、これは事実の認定の問題であると思います。従つて私どもの方針としては、今申し上げましたように、ダンス教習所がタンス場に類下るものであるとすれば、それは課税すべきものである、かような解釈をし、かような指導をしておるのであります。事実の認定は、私ども直接にはできませんので、府県当局がその事実り認定をいたしているわけであります。私どもが東京都あたりに聞いてみますと、やはりダンス教習所でタンス場類似のものに対しては、課税をしていると申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/27
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028・大石ヨシエ
○大石委員 このころダンス教習所は、教習所だけでは生活ができないのです。あすこはダンス・パーテイをやらないと生活ができない。それでダンス・パーアイをやつて脱税しているのです。それをあなた方は御存じないのです。自治庁の奥におつて、机にかじりついておつて世の中のことがわかりますか。私ははつきり知つている。そこでこの条文に教習所においてそうしたダンス・パーテイを開催した場合には、必ず入場税をとるという条文を入れる必要があると思う。これは脱税をしております。これは私は重ねて強調いたします。
それから、私はクリーニングの件に関してあなたに質問したい。私の言うクリーニングというのは、一般営業のクリーニングである。そしてその課税標準は百分の十二になつていて非常に苦んでいる。それであなた方も御承知の通りに、私たちは前の国会におきまして、理髪業を特別所得税にいたしましたが、それと同じように、私はクリーニング業者に対しても、ぜひ特別所得税で第一種業務にしてもらいたい。理髪業の課税標準率は百分の六・四でありますが、クリーニングもぜひともこの百分の六・四の税率にすることを希望いたします。湯屋業も同様、特別所得税で第二種業務です。その課税標準率は百分の八であることは、あなたもよく御承知の通りです。この状態から、クリーニングを医者や理髪業と同じ税率にしてもらいたいと、京都府のクリーニング業者は非常に要望しております。またクリーニング業は、保健所の取締りを非常に厳重に受けております。これもあなたは御存じでしよう。そして種々の経費が非常にかかつているし、大方が零細業者で、アイロンその他をもつてやる、すなわちあれは手仕事である。ほとんど理髪業と同じである。それに理髪業の方は特例を設けられて、そしてクリーニングの方は非常に虐待を受けている、こういう点をあなたはどういうふうにお考えになつておりますか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/28
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029・後藤博
○後藤政府委員 先々の国会におきまして、理髪業及び湯屋業は、それぞれ特別所得税に入つたのであります。それで私どもといたしましては、実は第一種特別所得税と申しますのは、医者及び医者類似の行為、それから弁護士その他の自由営業行為を、第二種特別所得税として、事業税とは別の税率を課税しているのであります。その中に一般の事業とあまりかわらないところの理髪業とか湯屋業を入れるということは、私ども税の建前からいたして、非常に困るという意見を申し上げたのでありますが、国会で修正されてあのようになつたわけであります。しかし私は、クリーニングがさらに理髪業と同じであるというりくつは出て来ないのではないかと思います。ただ私も、クリーニングという事業は、ある程度の取締りの対象になる企業であることは存じ上げております。そういう意味で、取締りの対象になるということでありますれば、現在たとえば映画館とか芝居小屋というような一般の興行関係の人たち、あるいは飲食業の人たち、そういう人たちもやはりいろいろ役所の規制を受けるのであります。従つて私は、特別所得税にクリーニング業を入れるという主張は聞きますけれども、どうも現在のところ、私どもはそれを特別所得税に入れるということは、りくつがつかぬのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/29
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030・大石ヨシエ
○大石委員 そのりくつがつかぬということに対して私は納得が行きません。何がゆえにりくつがつかぬか、私の納得行くように詳細説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/30
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031・後藤博
○後藤政府委員 第一種特別所得税というのは、先ほど申し上げましたように、お医者さん及びお医者さん類似のものは、第一種特別所得税になつておるのであります。従つてそこにそういうもの以外の業態を入れて参りますと、今度は事業税の方との均衡がとれなくなるのであります。従つて私どもとしては事業税に残しておく必要がありはしないか。つまり特別所得税に、現在理髪業とか湯屋業というものを入れたこと自体が問題があるのであります。その不合理をさらに発展さすということはできない、かように私は考えているのであります。もともと湯屋業及び理髪業を特別所得税に入れたこと自体に、私は問題があると思つております。事業税の中で、そういう特殊な業態に対して税率を下げるということは、これは考えられる制度であろうと、かように考えるのでありますけれども、特別所得税の中に入れて、そしてお医者さんとか弁護士さんあたりの自由営業のようなものに、それぞれ事業税の事業種目を移して行くということは避けていただきたい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/31
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032・大石ヨシエ
○大石委員 クリーニング業の人の税金は一体幾らぐらいですか。総体で幾らぐらい納めておるか、それをまず聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/32
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033・後藤博
○後藤政府委員 はつきり覚えておりませんが、四千万円ぐらいじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/33
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034・大石ヨシエ
○大石委員 四千万円くらいであつたら、そのくらいなものを零細なものからとつて、一方にはいくらでも脱税をしておる人がある。それにわずかな手内職をしてアイロンをかけてやつておる婦人の手内職にもひとしいものです。そうして保健所からきびしいからだの検査を受けて、私は非常に気の毒に思う。この四千万円くらいのものは、私はどこからでも生み出されると思う。なお私お尋ねしたいと思うのですが、酒屋さんに酒があるでしよう、その中に水を入れて売つておるが、この水増しの税金は、これはあなたと関係ないとおつしやいますが、これは脱税だと思うが、どういうふうに思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/34
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035・後藤博
○後藤政府委員 先ほど申し上げました四千万というのは、数字が間違つておりまして、一億四千万ぐらいになると思います。訂正いたします。
それからただいまのお尋ねでありますが、私ども特別所得税に移すことに反対の理由は、先ほど申し上げました理由のほかに、現在事業税の中に上つておりますもの、たとえば一般の小売業、物品販売業のうちでも、非常に零細なものがたくさんおります。そういうものとの負担の均衡の問題がございまして、私はそういう負担の均衡の立場から、特別にクリーニング業だけを移すということはちよつと納得しかねるのであります。それから個々の業者の方に税金のかけ方がおかしいという議論でありますが、これは私は課税当局において多少そういうことがありはしないかと思います。しかしこれは個個の業態との間の申告でありますとか、また課税の仕方の問題でありまして、税全体の問題ではない。もしも無理なことがありましたら、私の方で指導して直すようにしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/35
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036・大石ヨシエ
○大石委員 しからばあなた方と論議しておつても何にもなりませんから、私たち議員が相談して、クリーニングは安うしますからね、どうぞそのように思つておつてくださいよ。私が言い出したらきかんのやから、どんなことをしてもこれは安うする。あなた方がとろうつたつて、こつちは安うするから承知しておつてちようだいよ、わかりましたか、どうじや。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/36
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037・後藤博
○後藤政府委員 私どもとしては、何の業態を安くするとか何とかいうことよりも、それぞれの業態に零細な人がおるのであります。従つてその零細な人の間の課税の不均衡を是正するようにお考えを願いたい。特にこの点を御希望申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/37
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038・大石ヨシエ
○大石委員 もう一つ教科書の供給事業に対する免税についてお伺いしたいと思うが、教科書はどういうふうになつてをるのですか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/38
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039・後藤博
○後藤政府委員 教科書の取次業のことだと思うのですが、これは一般の事業税がかけられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/39
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040・大石ヨシエ
○大石委員 新聞の販売広告は、事業祝は免除されておる。ところがかわいそうにこの零細な教科書の供給者に対してのみ事業税がかけられておるということは、私は不合理であると思うのです。この点についてあなたのお考えはどうであるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/40
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041・後藤博
○後藤政府委員 教科書取次業を私は零細企業だとは思つておりません。零細企業の方もあるかとも思いますけれども、相当大きな組織をもつてやつておられる人もあるのであります。東京にたしか四つか五つくらいの元売りのようなものがありまして、各府県別にそれぞれその下の取次店のようなものがあるように私どもは承つております。教科書の取次業と新聞の非課税と同じようにしてもらいたいという要求を私どもは承つております。しかし教科書の取次業を非課税にすることの意味が、私にははつきりわからないのであります。新聞と同じようにしてもらいたいという要求は承つておきます。
〔西村(力)委員長代理退席、加藤(精)委員長代理着席〕
新聞が非課税になりましたのは、私どもよりも国会においておきめになりましたことで、私は新聞の非課税そのものに問題があると思つております。もしも新聞と同じようなものであるからということでやりますると、教科書取次業ばかりでなくて、一般の書籍取次業もやはり同じことではないか、ただ教科書というものが特別のものであるというだけでありまして、取次業自体には何らかわりはないと思つております。それからこういうものを非課税にすることによつて、一体どういう国家的利益があるかということであります。また地方団体にとつてどれだけの利益があるか、応益関係あたりを聞いてみますと、その辺が非常に不明確であります。税をまけることによつて児童の手に入る教科書が安くなるということでありますればまた別でありましようが、私は必ずしも安くなるとは思つておりません。それほど私は利潤のない企業だとは思つていないのであります。しかも所得に課税しておりまして、所得がなければ課税されないのでありますから、私は現在の事業税の中から非課税にする理由は何らない、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/41
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042・大石ヨシエ
○大石委員 そうすると新聞の営業部の広告、これをどうお考えになつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/42
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043・後藤博
○後藤政府委員 広告を含めての新聞業自体の課税につきましては、こういういきさつがあることば御承知の通りであります。昔から新聞業につきましては非課税であつたのであります。ところが昭和二十三年の税制改正の際に、これは新しく課税をしたのであります。二十三年以後課税をいたしましたので、そこで問題が発生した。かつて非課税であつたものを、なぜ課税するかという問題が大きな問題になつて来たのであります。従つてそういういきさつから、現在また非課税に逆にかえつたのであります。そういう経緯があるのであります。しかし私ども地方税の立場から見ますると、新聞業自体が非課税であるということは、私どもは不合理だ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/43
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044・大石ヨシエ
○大石委員 私のお聞きしたのは、今新聞業の営業部の広告に関することを聞いておるのですよ。新聞に対することはさつきあなたの御返答を得たから、今私は広告に対することを聞いておるのです。新聞が広告を掲載しておるあのことに対して無税であることに対して聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/44
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045・後藤博
○後藤政府委員 それは私が申し上げましてように、新聞業全体が、かつて非課税であつたのであります。それを昭和二十三年から課税したのでありますが、もとに返してくれという要求が強くて、またもとの非課税になつた、こういうように申し上げたのであります。一般の広告税というのは、税制改正以来法定税部門から落しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/45
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046・大石ヨシエ
○大石委員 ただいま教科書のことに対しては、これはそんなに非課税にするような税ではない、こういうことをあなたはおつしやいましたが、この教科書供給者というものは零細なものである。もうけはほんの一部分に過ぎない。しかもこの税金によつて父兄の負担は非常に重い。教科書というものは私は大いに社会性を持つておると思う。あなたの御見解と私の見解とは違います。教科書について、あなたはどういうふうに思つておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/46
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047・後藤博
○後藤政府委員 私は教科書の重要性はよく認識しておるつもりであります。ほんとうに教科書を安く手に入れさせる方法といたしましては、現在の企業の組織そのものが問題ではないか。営利企業にしておいて、そうして税をとらないという建前よりも、むしろ一歩進んで、私は社団法人か何かにして非営利企業にして、そうしてもちろん税金はかけません。そういうふうにして、ほんとうに一般庶民の入手するところの児童の教科書の安くなるようにはかるのが、私は国の政策として必要ではないか。そういうことをやらないでおいて、税だけ非課税にするりくつはどこにもない、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/47
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048・大石ヨシエ
○大石委員 それではどんなものでも社団法人にして、そうして脱税の抜け道をこしらえたらよいということを、今私はあなたに教わつたのですが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/48
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049・後藤博
○後藤政府委員 社団法人になりますのには、それ相当な、やはり条件がいると思います。その条件を満たしておらなければ社団法人になれないわけであります。従つて社団法人で、別な形でそれがもしも営利企業を兼ねる場合には、その分については事業税あるいはその他の税がかかるのであります。従つて社団法人にしたからといつて、全部税が非課税になるとは限らぬと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/49
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050・大石ヨシエ
○大石委員 私の言うのは、こういうような教科書業者は社団法人にしたらよいとあなたはおつしやいました。私の知つておる人には、社団法人にしてずいぶん脱税をしてもうけておる。それで、正直な者が損をする世の中なるがゆえに、社団法人にしてそうして脱税をすることを、今あなたに教えてもらいましたが、今後そういうふうに解釈してよろしゆうございますかということを、私はあなたに質問しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/50
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051・後藤博
○後藤政府委員 社団法人というのは特別なものでありまして、営利を目的としないということが建前です。従つてそういう営利を目的とするようなものは、私は社団法人になつていないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/51
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052・大石ヨシエ
○大石委員 なつておる、……現に。それでは、社団法人というものにしたら、あなたは営利を目的としておらぬということをただいまおつしやいましたが、社団法人として、そうして営利を目的にしておる人を、現に私は知つておる。なぜこういう人に税を徴収なさいませんか。少くとも脱税しておるじやありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/52
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053・後藤博
○後藤政府委員 社団法人で営利を目的とする事業を兼ねて行つておるのじやないかと私は思います。兼ねて行つておるものについては、その営利を目的とする事業そのものに対しては課税されるのであります。現にまた課税をいたしております。従つて私は、そういう場合がおつしやるような場合に当るのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/53
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054・大石ヨシエ
○大石委員 いくらあなたとやり合つておつても、あなたが同じことを言われますから、われわれ代議士が寄つて、そうして教科書のことは適当に考慮いたします。あなたの方はとるとると言うばつかりです。
それから私はもう一つ聞きたいのです。大工、とび職、そうした日雇いの人はどういうふうな現在の税率になつておるか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/54
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055・後藤博
○後藤政府委員 大工、とび職の方々でありますが、これが請負工事をやりまする場合には、やはり事業税がかかつて参ります。しかしその請負工事でなくて、ほんとうの賃金労働者である場合には、私はかかつていないと思つております。その限界は非常にむずかしいので、各地で問題が起つておるのでありますが、具体的にいろいろお話を聞きまして、私どもは今言いました請負に属する分については課税をするか、それ以外の分については課税をしないという方針をとつてをります。
〔加藤(精)委員長代理退席、委員
長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/55
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056・門司亮
○門司委員 ただいま大石委員の質問に対する当局の答弁でありまするが、これについては今拝承いたしておりますると、大石委員の質疑の内容その他について、当局がこれを最初から否定するという形に出て参つておるのであります。しかしながら当局の否定する立場と、さらに社会的の情勢というものは、必ずしも一致をいたしておりませんので、今の当局の答弁自身を、そのままわれわれがのむわけには参りません。さらに当局においても、第十国会以来この問題が取上げられ、そうして地方税全般にわたる一応の考え方がされておるということは御承知の通りであります。従つて国会におきましても、これら国民の陳情その他はやはり聞くべきものは聞き、取上げるべきものは取上げるという親切な態度がなければならないと思うのであります。従つて当然の帰結といたしましては、当局の財政的見地から見た、いわゆる収支のバランスを考慮したものの見方というものを、度外視するわけには参りませんが、私は他にも財源の獲得をする道は、研究して来ればあると考えられる。今陳情書の内容はほとんど全部が減税の内容でありまして、税金をよけいとつてもらいたいという陳情は一つもないのであります。しかしながらそれらの点をやはり国会といたしましては十分勘案いたしまして、そうしてでき得るだけ住民の要望に沿いたいということを考え、さらにこれが地方財政にきわめて大きな影響を及ぼすという数字的の根拠等がありまするならば、これは別でありますが、地方自治体に対しましても、財政的にある程度の見通しを持つということになりまするならば、当然地方税の部分的の修正がやはり行われるだろうということを、一応当局は御了承をこの機会に願つておきたい。さらに税制すべての改正については、御承知のように地方制度調査会において、今鋭意これの調査が行われつつありまするので、それによつてなお税制改革という根本的の問題の解決はなされるだろうと考えておるのであります。従いまして今の答弁を聞いておりますると、現行法を当局はいかに守るかという立場においてのみの、御答弁のように拝承をいたしておるのであります。従つて私は先ほど申し上げましたようなことで、ひとつ当局もある程度の、露骨に言うならば修正をわれわれはこの際行つて行きたいということについて、あらかじめこの際御了承を願つておきたい、このことを私から申し添えておきます。
それからもう一つ当局にこの機会にお聞きをしておきたいと思いますことは、地方税に対するきわめて重要な段階でありまする課税客体に対する捕捉率と、さらにこの捕捉に伴う徴税率との関連において、私どもは多少納得の行かざる点が実はあるのであります。従つてこれらの是正も、ある程度する必要があるのではないかと考えるのでありますが、当局は今提案されております財政計画の内容におけるいわゆる捕捉率を、必ずしも正しいものとお考えになつておるかどうか。これは少し行き過ぎた質問でありますが、この機会に一応聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/56
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057・後藤博
○後藤政府委員 捕捉率と徴収率の問題についてお答えいたします。二十五年の改正以来、税制が漸次軌道に乗つて参りましたし、税務行政の運営も逐次よくなつて参りましたので漸次捕捉率を上げ、徴収率を上げて参つております。しかしこれは私ども数字をはじきます場合に、捕捉率及び徴収率というのはできるだけ実績を基礎にした合理的な数字をもつて行きたい。地方団体を納得させる必要がありますので、納得の行く数字で実績を基礎にして、それに一定の倍率をかけて伸ばして行きたい、かように考えて私どもやつて参つておるのであります。従つて個々の税につきまして捕捉率も徴収率もかえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/57
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058・門司亮
○門司委員 もう一つその点について念を押しておきたいと思いますことは、徴税の建前として当然私は課税客体に対する捕捉率は、税の徴収の厳正な建前からいいますると、当然百パーセント捕捉すべきであつて、もしこれが諸般の事情で所定の——所定というよりもむしろ予想された税額の徴収が困難であろうというものについては、私は少くとも徴税率でこれを加減して行くということが、やはり一つの正しい行き方ではないかというように考えるのでありますが、この点についての当局のお考えはどうか、伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/58
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059・後藤博
○後藤政府委員 捕捉率と徴収率の問題でありますが、私どもはできるだけ捕捉を強化して参りまして、捕捉に合して徴収率を考えて行つた方がよくはないか。御存じの通り地方税の個々の税につきまして見ますると、国税の課税標準をとつておるものもあります。また独自のものもございますが、たとえば国税をとりましても、国税をそのまま持つて参るわけには参らぬのであります。多少ずれがございます。しかしずれを考慮して捕捉率を落す、また地方税でありますので、地方団体間に納税義務者が移動するものが相当ございます。国税では移動ということは考えなくてもいいのでありますが、地方団体間に移動して参りまして、捕捉が十分に行われない場合もございます。従つて国の場合と違つたやり方をやる必要がありはしないか、従つて捕捉率を実情に合せて、そして徴収率をできるだけ上げて行く、こういうふうな行き方が正しいのではないか、さように現在考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/59
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060・門司亮
○門司委員 それからこの機会にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、例の固定資産税の問題でありますが、固定資産税の問題について百分の一・六は償却資産にかけられておりまするが、御承知のように償却資産というのはいろいろな利用効率の差が非常に多いのであります。従つてこの税金が原則として収益税という建前がある程度強いという見方をするならば、これは税法には収益税が書いてあります、事業の用に供するものということが書いてありますので、一応収益税であるように、われわれは考えるのであります。そういたしますと、結局固定資産税は、やはり利用効率というものの考え方に相当当てはまると思う。従つてこの利用効率を考えて、何らか特別の税率を定める必要があるのではないかというような考え方を持つのでありますが、この点に対する当局の御意見を承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/60
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061・後藤博
○後藤政府委員 償却資産に対するお考えでありますが、私も大体同じように考えております。ただ現在の建前が税率を一定しておりまするので、私ども収益率というものをもちまして、陳腐化の測定をいたしておるのであります。それによつて収益の財産的な要素を多少でも出して行きたい、かように考えておるのであります。従つて一般土地、家屋と違いまして、固定資産にはその企業の収益率というものでもつて補正をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/61
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062・門司亮
○門司委員 それからもう一つは改正法の内容についてでありますが、改正法の内容は従来の市町村民税の標準税率を除こうとする、こういうことになつておると思うのでありますが、税法を定めまする場合に、一応の標準を定めて標準税率をもつて当ることがいいのか、あるいはこれが確定された税率にするということがいいかは、これはいろいろ税のとり方に議論があると私は思う。少くともシヤウプ勧告においては大体標準税率を目標とし、さらに申告納税を主体とした税体系をとつておることは御存じの通りでありますが、従つてこのシヤウプ勧告から出て参りました一つの大きな現われである標準税率を、市町村の財源の中で、最も大きなウエートを占めておりまする市町村民税からはずすということになつて参りますと、そこには勢い増徴が行われる形が出て来ると私は考える。同時にこれはただちに平衡交付金に影響を持つて参ります。そして平衡交付金の算定の基礎にもやはり標準税率を——現行でありまするならば、標準税率を一応の基本と見ておりまするが、この標準税率がなくなつて参るならば、やはり最高の税率というものが影響して来るのではないかというように、われわれは考えるのであります。従つてこういう面から考えて参ると、理事者はどうしてもやはり増徴を試みて来るということになつて、地方住民の負担がそれだけ私は増大するように考えるが、この改正案の内容についての基準額をはずされた理由を、もう少しはつきり聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/62
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063・後藤博
○後藤政府委員 市町村民税の標準税率の問題でありますが、御承知の通り昭和二十五年の改正の当初の年は、所得割の第一方式しか課税ができないというふうになつておりました。従つて二十五年はオプシヨン・ワンだけの問題だつたのでありますが、二十六年以降は第一方式、第二方式、第三方式がそれぞれ自由選択が許されることになつたのであります。従つて当然に第二方式及び第三方式においても標準税率制度を設ける必要はあるというふうに考えられるのであります。全部について標準税率を置くか、第一方式をはずしてしまうかという問題になるわけであります。第二方式及び第三方式に標準税率制度を設けますことは、非常に困難であります。と申しますことは、第二方式第三方式の方式にいろいろあるわけでありまして、比例税率制度があり、超過累進制度があり、単純累進制度がある、いろいろなやり方がございまするので、簡単にそういう標準税率というものを、第二方式第三方式で設けることは困難でございまするので、第一方式の標準税率制度をはずしまして、そして平衡交付金法の方に一八%の標準税率でもつて計算をする、こういうふうに明確にいたしたのであります。全部はずすか、一つだけはずすかということは十分研究したつもりでおります。それから私は第一方式の標準税率をはずしましても増徴になるとは思つておりません。現在ありましても増徴をいたしたいと考えまするときは、第二方式を用いれば増徴になるのでありますから、条件はかわらない、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/63
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064・門司亮
○門司委員 今の御説明でございますが、私の杞憂いたしますのは、増徴になるということが一つの目安であります。これはなぜ増徴になるかといいますと、現在の地方の自治体で、間違いでありましても行つております行き方というものは、これは併用されておる危険性があるからであります。いわゆる税の総額から見てオプシヨン・ツーを採用した場合がよければこれを採用する、オプシヨン・ワンの場合がよければ、それを採用するという危険性が出て来る。これは現在もそういうことが出て来ておりまするので、地方の自治体で天びんにかけて、そうして増徴の方向にこれを持つて行くということは、火を見るよりも明らかであります。従つて今度のこの改正によりますると、これで最も大きな打撃を受けるのは、大都市の住民であります。御承知のように現在の地方自治体の八五%あるいはそれ以上というものがオプシヨン・ツーでとつておるということは事実であります。これは現在農村における所得税が、納税者が非常に減つて参つておりまするので、勢い農村においてはこうならざるを得ないのであります。ところが現在の都市におきましては、多くの勤労者を持つておりまするのと、それからそういうことが比較的少いのでありまして、オプシヨン・ワンを使つておるということは御存じの通りである。これがもし今度の改正によつて増徴されるということは、ほとんど火を見るよりも明らかで、増徴されるということがなければ、私は何も今回これを改正する必要は毛頭なかつたと思つている。その一つの理由はさつき申し上げておりますように、この百分の十八というものが平衡交付金の算定の基礎になつておりますので、これをこつちの税法から除くということは、平衡交付金の算定の基礎にも非常にめんどうなことを実際は起しはしないか、そこでもし平衡交付金の算定の基礎に、百分の十八というものが認められないというようなことに将来なつて参りますならば、これは非常に大きな影響を持つものである。従つて今の答弁では、決して増徴にはならぬというお話でありますが、増徴にならなければ何も無理に改正する必要はない、こう考えるのでありますが、もう少し詳しく増徴にならない理由がどこにあるのか、ひとつはつきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/64
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065・後藤博
○後藤政府委員 この間お配りした資料があるのでありますが、たとえば例を申し上げたいと思います。立川市が現在オプシヨン・ツーの本文、つまり課税総所得金額を標準にして累進税率でもつて課税をいたしております。その場合に、私どもが立川の税率表を見て参りますと、五十万以上の所得者に対しては累進をしないで、一〇%の税率でとまつてしまうのであります。とまつてしまいまして五十万以上の所得者は税が割安になつて参るわけであります。そういう税率の立て方になるわけです。オプシヨン・ツーというのは税率が一〇%でなければいけない、こういうことになつております。ところが今度の改正のようにいたしますと、これが百七十万くらいの人から割安になつて来る、こういうことになるわけであります。従つて今立川市は大体二三%くらいの税率になつておると思います。私はその二三%以下に税率を下げ得るのではないか。何も好んでオプシヨン・ツーのようなむずかしい税率をつくつて、個々の人たちに非常にわけのわからない幾ら増徴になるかわからぬようなことをするよりも、オプシヨン・ワンの方式でもつて二十三にするとか、二十二にするとか、二十一にするとかいうようにして、はつきりした比例税率で出した方が市町村としては市民に対して親切ではないか。また市町村民税が独立税であるという建前からいたしましても、いいのではないか、かように考えておるのであります。そういう意味で今度改正をいたしますれば、現在オプシヨン・ツーをやつておる都市がオプシヨン・ワンに移つて行くのが出て参ります。それからオプシヨン・ワンで現在二〇%の頭打ちをしております市が二十ばかりございますが、そういうところもオプシヨン・ツーに行かないで、オプシヨン・ワンの簡単な課税方式でやられるのじやないか、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/65
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066・門司亮
○門司委員 これは見方の相違でありまして、私は何も増徴にならないものを改正する必要もないと思うのであります。頭打ちをしてそれ以上とれないから、それ以上とるためには頭打ちをはずす。これをはずすことによつて、それだけよけいにとれるわけです。なるほどオプシヨン・ツーのよいところと悪いところは——零細な所得者に対して、一方税金をかけるということが、オプシヨン・ツーでは一つの弊害となつて現われておることは事実である。その反面これが段階的にある程度の累進課税のできる特徴を持つておる。その累進課税もさつきお話のように、ある程度の頭打ちをするかもしれない、いずれにいたしましてもこの特徴を持つておるものと、それから全然それと相反した、そういう技巧をほとんど要しないで、あなたに言わせればきわめて簡単な課税方式で、簡単にとり得る第一項の規定をはずして、税金がなるだけとりやすいように、よけいとろうというお考えだということに、大体私は考えて間違いはないと思う。これ以上私は議論いたしませんが、大体そういうことになつておるのじやないかと考える。
それからもう一つ、この案の内容の中で聞いておきたいと思いますことは、非常にむずかしいいろいろな規定が今日の税法の中に書かれておるようであります。それからもう一つありますのは、税の種類の問題でありますが、当局はこの際税の種目をある程度整理される御意思があるかどうかという点であります。これはひとつこの機会に念を押しておきますが、それは例の地方制度調査会の方で考えておるから、そのときだというふうに逃げないように、当局の物の考え方をお聞かせ願つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/66
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067・後藤博
○後藤政府委員 私どもといたしましては、従来も法定税目から落しておりますが、でき得れば法定税目はなるべく少くして行きたい、かような方針でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/67
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068・中井一夫
○中井委員長 大矢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/68
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069・大矢省三
○大矢委員 私は時間がありませんから、簡単に二点だけお伺いしたい。一つは地方税の所得税ですが、特に大会社の寮、それから紡績会社のいわゆる社宅といいますか、その一廓に居住しておる者は、何ら地方の恩恵を受けていない。下水一つの工事も会社がやる、道路整備ももちろん会社自身がやつて、何ら地方の恩恵も受けていない。しかしその所得税の一八%は源泉課税で、直接引かれてしまう。これは私は実に苦痛だろうと思う。そこで特にこういう地方の公共団体、町村が何らこれに対する費用もかけないで、会社に依存しておるような社宅、寮というものに対しては、何か税率を改正して行かなければならない。同じ一八%をとられて地方の恩恵を受けられない、よほど違うのです。これは特別に考えるか、さもなければ、納税した者に対しては手数料か何かの形にして、それを還元するということにすれば——福祉施設なりあるいは納税者、すなわち従業員に対して、いろいろな施設もできることになりますから、それは還元するか特別に税率を下げるかするのが至当である。しかるにこれだけとりつぱなしておるという点はどうかと思いますから、その点をひとつ伺いたい。
それから固定資産税の問題について、飛行機とか電車、船舶、こういうものはたえず移動しておる。どうしてもそういう場合は自治庁の方で配分をきめるということになつておりますが、飛行機ならば着陸する地所に対してかけるのですか。何か最近山を調査する飛行機が出て来た。そういうのはどこにも発着しないで、至るところ、都合によつて方々飛びまわる。一体これらの固定資産税はどこにするのか。それから電車の車庫を持つているところには、それが多くかかるということになりますが、これは特に都市にある。これは都市に偏重のおそれがある。たとえば東武線なら東武線で見れば、車庫があるところだけ重くするという傾向があるのではないか、これはなかなか配分は困難だと思いますが、それについて十分地方の配分の了解を得ておるか。ただ天くだり的に決定して、お前のところは幾らだ、お前のところは幾らだというふうなことをやつておるのか。これの配分については、一応関係市町村に対して、何らか意見を徴して決定しておるのかどうか。特に最近の航空事業というものは非常に大きなもので、一台四百万円から五百万円しておる。これの固定資産税は相当なものである。だんだんこれは多くなる頃向がありますが、こういうふうにして固定資産税の配分について、ほんとうに納得した決定が行われているかどうか。まだこれは考慮する必要があるのじやないか。この二点だけ簡単に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/69
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070・後藤博
○後藤政府委員 お答えいたします。市町村民税の所得割の問題でありますが、私は会社の寮にいる人でも、一般の市民と同じような関係が市町村の間にあると考えております。もちろん個個の人によりまして市町村との応益関係は私は濃淡があるものと存じております。しかしやはり市町村の仕事は学校で申しましても警察で申しましても、またその他生れてから死ぬまでのいろいろな仕事をしているわけであります。従つて会社がもちろん厚生施設とかいろいろなことをやつていると思いますけれども、一般的な市町村でやりますところの仕事に対する恩恵は相当あるのでありまして、私はそういう会社の寮、社宅にいる人だけの税率を安くするとか、またその税を還元するということはできないのじやないか。もしもそういう非常に濃淡があつてやるといたしましても、税率をどういうふうにするか、その還元をどういう率にするかということは、ちよつと問題であろうと思つております。これは会社の寮とか社宅にいなくても、一般のわれわれ市民でも、やはり市町村との間の応益関係が非常に強い人とそうでない人とあるのでありますから、特殊な人だけに特殊な税率を還元するということは不可能ではないか。また現在の制度では考える必要はないのじやないか、かように私は考えているわけであります。
第二の固定資産税の移動性償却資産の問題であります。問題のあります飛行機につきましては、私ども大体発着するところの飛行場のあります所に配分しております。日航の飛行機のように同じような飛行機が北海道から九州まで、毎日往復しておりますものは半分を発着場によつてわけ、半分を発着の回数によつて配分しております。わけましたものを今度は、たとえば大矢先生の近所の伊丹の場合を申しますと、あそこは池田市、伊丹市、豊中市の三つの市の市有地が飛行場になつております。従つてその配分は今度は面積によつて配分をいたしております。従つて現在そういう方法をとつているわけであります。それから電車の場合の例でありますが、都市偏在の傾向はないかということであります。私どもはむしろ逆ではないかと思います。むしろ大都市は配分が少いといつて、ずいぶんわれわれに文句を言つて来ております。私どもとしてはできるだけ農村地帯の方に多くわけたい、税源の偏在を少くしたい、かような建前で配分を考えておりますので、できるだけ地方に出しているわけであります。その配分いたします場合には、県の意見も聞きますし、直接町村の意見も私どもよく聞いております。非常に不合理の点があれば私ども毎年直してやつております。船舶につきましては、船舶の滞在日数と出入の回数によつて、やはりわけております。たとえば神戸に何日おつたとか、何回出入したとかいうようなことでもつてわけております。内航船と外航船と多少やり方をかえておりまして、外航船はほとんど内地にいないで、外航ばかりいたしておりますので、多少異にしておりますが、大体滞在の日数、発着の回数等によつて私ども手元でもつて各市町村に配分をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/70
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071・大矢省三
○大矢委員 今の寮、社宅の問題ですが、これはいろいろありまして、半永久的に住んでいるものと、二、三年期間を限つて始終転々としている移動性の多いものとがあるのであります。これらは地方自治体の恩恵を全然受けておらないとは思いませんけれども、その差が非常に違うのです。だからこれは何らかの形で納税組合に何パーセントを還元するように税率をかえてもらいたい。
それから先ほど門司君も言われたように、源泉課税ほど酷な徴収方法はないのです。これは所得税がそうですが、どんなに困つていても、今月だけは延ばしてもらいたいと思つても許さない。大ていの税金は多少利息でも出すとか科料でも出せば、二月や三月は延ばすことができる。ところがこの源泉課税に至つては病人がいてどんなに金が必要であろうが、顔も見ずにとつてしまう。これほど酷な税金はない。しかも税率が非常に高い。かりにやかましく言つてストライキをやりベース・アツプしても、あるいは期末手当を出させても、その三割ないし四割というものは政府に還元され、はね返りして行く。まるで政府の収入をふやすためにわいわい言つているといつてもいい。従つて政府から出す金は別としても、地方におきましてもこれに右へならいをしまして、地方団体並びに民間の賞与のそうしたはね返りは、ものすごいものがある。従つてあの率をもり少し下げるのはあたりまえだ。これはあなた方は下げるということは言いにくいかもしれないが、私どもは何らかの根拠でもつてこれを下げたいと思う。しかも今のように寮に入つている者とか、短期間の募集に応じてわずかの嫁入支度の資金を稼ぎに来た紡績女工たちから、そういう税金をとるのはまつたく酷である。どうしてもやむを得ないという今の答弁でありますが、これはひとつ慎重に考慮して、何らかの機会に私ども大いに改正しなければならぬと思いますが、手数料として還元されることが、何らかの行政措置として出ているのではないか。そういうこともかりに地方々々の特殊の事情でやつていれば、あまりやかましく言わないとか、やることもでき得るとかいう何らかの余裕ある方法を、この案を立案するにあたつて自治庁としては考慮を払つたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/71
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072・後藤博
○後藤政府委員 源泉徴収の場合に、徴収率が非常に向上して参りましたので、何らか特別の措置を考えたらどうかという御意見でありますが、地方団体からもそういう要求がときどきございます。私どもとしては国税の所得税との関係がございまして、所得税の方でもはつきり徴収した交付金は出さないことになつております。地方団体は従来はそういう源泉徴収の場合には、交付金をある程度出しているのであります。占領下の事態からそういうものをとつてはならないことになつておりますが、現在ではやはり一応国税に調子を合せてとつてはならないという基本的な方針をとつているのであります。しかし私どもが聞いておりますところでも二、三多少交付金を出しているような所もあるようであります。私どもとしてはそういうものの実態がはつきりわかりませんので、よくわかりませんが、私どもはやかましくそう言うつもりはないのでありますが、制度としての問題は、国税との問題があつて、非常にむずかしい問題があるということを御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/72
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073・滝井義高
○滝井委員 固定資産税の問題でちよつとお尋ねしたいと思います。新しい税法ができて三年になるわけでありますが、現在われわれの家屋に課せられている固定資産税というものは年々歳歳上つて来る。そうするとこの上つて来る状態を考えてみると、課税標準に対する評価の仕方が適正なる時価となつているわけでありますが、ところがごの適正なる時価というのは、大体どういうものかということは非常にむずかしい点なんです。それが今われわれが家屋を売買する値段よりか安いようであります。すると売買価格でもない。といつて家を建てる再建価格かというと、それでもないようです。われわれ個人は、会社みたいな帳簿価格というものを持ちませんから、これは帳簿価格でもないと思う。帳簿価格というものは、ある程度その会社が自由に上げ下げしておるようであるが、そういうものでもない。そうしますと、これは適正なる時価というようなことで、市町村における固定資産の評価員がやつて来て、適当に昔の台帳についているやつに五百倍とか六百倍とか九百倍とか三千倍とかいうやつを掛けて、そうして自由にやつてもらつて、毎年固定資産の税金を払つて来ておる。ところがその家屋というようなものの価値が、どんどんそういう割合でふえておるかというと、今度の暴風雨その他の被害を受けたりして、われわれの家のといは直せぬで下つたまま、瓦は飛んだままというのにもかかわらず、家屋の価値は年々歳々上つて行つて、これは適正なる時価ということで自由に筆先で、その評価がされておるところに問題がある。しからば市町村は適正なる時価を決定するのにどうしておるかというと、これはおそらく自治庁の方でよろしくその時価を決定する倍率を御決定になつて、市町村に通知をされておるかとも思うのですが、まず適正なる時価というものを、どういう状態で自治庁は見ておるかということ、それからもし市町村に適正なる時価をきめる倍率をお示しになつておるならば、その倍率をどういうところからとられてやつておるかということ、この二点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/73
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074・後藤博
○後藤政府委員 最初に時価はどうやつておるかという問題だろうと思いますが、私どもは時価と申しますのは、簡単に申しまして、取得する対価ではなくて、一般普通の売買価格である、こういうふうに考えております。むずかしく申しますと、売手と買手と双方が非常に有能であり、売買を希望しており、非常に理性的にそのものの価値を知つておるというような場合に、その成立するものの価格である。むずかしく申しますと、そうですが、一般普通の価格をいうのである、私はこういうふうに考えておるのであります。一体この時価とは何ぞやという問題は、固定資産税あたりでは、アメリカあたりでも相当問題がございまして、いろいろな解釈があります。私どもは一般普通の売買価格をいうのだ、つまり主観的な条件を除いた客観的な価格である、客観的な価値と申しますか、それに近いものである、かように私ども考えておるものであります。
それから市町村に対しては、私どもは平衡交付金の場合に、算定の基礎にいたします平均評価額というのを、村全体、町全体、たとえば家屋については、坪当りの平均価格はこのくらいに見ておる、こういうものを示しております。それを基礎にして市町村で上と下をつけて、幅をつけて評価をしておるのであります。そういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/74
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075・滝井義高
○滝井委員 どうもわかりにくいのですが、一般普通の売買価格、その評価する人の主観を除いて、客観的に物を見て行くのだ、こういうことになるわけでありますが、これはその物が一定のものであるならば、ある程度客観性というものが普遍性を持つと思うのです。ところが家屋というものは千差万別なんです。と同時に、その外観だけでなくて、やはり壁の塗りぐあいとか、木材の使いぐあいとか、実に千差万別です。従つてそういう千差万別のものを主観的な人間、主観で非常に左右される人間が、客観性をもつて見るというところに、非常に対象の固定していないところに問題のむずかしさがある。しかも年々歳々上げられても、これに対して抗議のしようがないというのが現在の状態だと思う。そういうものに対して、あなたの方が今度は平均評価額というようなもので一つの率をお示しになる、結局こういう方法しか現在ないのじやないかとも思うのでございますけれども、これはやはりその家の陳腐化して行くというものが、どうも無視されておる傾向があるわけです。あなた方から示される評価額と、それから今言う一般的な売買価格というようなものが、一方的に押しつけられて、その家はどんどん古くなつて行くということが、非常に阻却されてしまつて、見られていないという傾向が現在非常に強くなつて来ておるわけです。特に現在のように、日本の個人の家計というものは赤字になつて、家の修繕というものができないときに、家の価格だけは上つて行く。陳腐化のために下るというにもかかわらず上る、この陳腐化の傾向と、あなた方の平均評価額、一般の普通売買価格の調整というものは——この税法ができて三年になりますが、だんだん固定資産税が上つて来ておる現段階においては、その調整をどういうぐあいにやるかということは、私は一考しなければならぬ段階に来ておると思いますが、その点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/75
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076・後藤博
○後藤政府委員 家屋の場合には、二十八年はすえ置いたわけであります。すえ置きました理由は、一般の建築価格の値上りは大体九%ぐらいになつております。私ども償却、つまり陳腐化は大体五%ぐらいずつ陳腐化する、こういう見方をして、そういう立て方で再建築価格から引いて行く形式をとつておりますので、九%の値上り率を見なければならぬが、五%を償却に見ておりますので、差引ちよつとプラスになりますが、今回家屋については平均価格はすえ置く、こういうことにいたしてあるのであります。物価の値上りと、陳腐化の程度とをよくにらんで、毎年きめて行かなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/76
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077・滝井義高
○滝井委員 現在の観念からいうと、そういう形でかけられる固定資産税というものは、非常に財産税の形になつて来ております。それから同じような観念における償却資産の問題ですが、これは当然その償却さるべき資産というものが、非常に収益を上げる可能性のあるものならば、これはまた年々歳歳その評価がかわつてもかまわないと思うのです。ところがこれはやはり陳腐化して行く。その陳腐化に対して、お宅の方は当然それに対する陳腐化の補正を、さいぜん門司さんの御質問に対する御答弁ではやつておるということですが、それもやはり評価に非常に問題があると思われる節があるのですが、これはあなたの方で一律に補正の係数を出したにしても、その地元の市町村当局の税務吏員の意見と、それが必ずしも一致しない場合においても、これは当然自治庁のそういう陳腐化に対する補正の評価というようなものが強く左右をして、どうもぐあいが悪いというような点も出て来るわけです。そういう点の調整は大体どういうぐあいにやられておりますか。一方的にあなの方の補正で行けという指令で、ずつとやつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/77
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078・後藤博
○後藤政府委員 償却資産の評価の方針の問題でありますが、私のところでは大規模の固定資産で、そうして所在の市町村に全部配分いたしますと、税額が非常に偏在をするというような場合に、付近の町村にわける、こういう意味のものだけをやつております。それ以外のものについては、個々の市町村には評価基準を示すだけでありまして、別に干渉いたしておりません。ただ問題は具体的問題として、社会と市町村との評価の間に問題をかもすことが多少ございます。そういうときには、われわれが中に入りまして、この辺が適当であろうという意見は申しておりますけれども、大体自主的に解決するようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/78
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079・中井一夫
○中井委員長 本日はこの程度にて散会いたします。
午後零時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02519530729/79
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