1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月三日(月曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 中井 一夫君
理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君
理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君
理事 門司 亮君 理事 松永 東君
生田 宏一君 河原田稼吉君
熊谷 憲一君 橋本 龍伍君
前尾繁三郎君 三浦寅之助君
山本 友一君 吉田 重延君
池田 清志君 橋本 清吉君
藤田 義光君 北山 愛郎君
滝井 義高君 横路 節雄君
伊瀬幸太郎君 大石ヨシエ君
大矢 省三君 中井徳次郎君
出席政府委員
自治政務次官 青木 正君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 後藤 博君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁税務部
府県税課長) 柴田 護君
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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八月三日
委員佐藤親弘君及び鈴木幹雄君辞任につき、そ
の補欠として橋本龍伍君及び池田清志君が議長
の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一〇八号)
町村合併促進に関する小委員長より中間報告聴
取
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/0
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001・中井徳次郎
○中井委員 これより会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに質疑を終了いたしておりますので、これより討論採決を行いたいと思います。
ただいま委員長の手元に、自由党両派及び改進党の委員共同による修正案、また日本社会党両派委員共同による修正案が提出されております。よつて両修正案について、順次その趣旨について説明を聴取いたします。床次徳二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/1
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002・床次徳二
○床次委員 自由党、改進党、自由党三派を代表いたしまして、修正案を提案いたしたいと存じます。お手元に修正案が配付せられましたので、朗読を省略いたしまして、要旨の説明だけ申し上げたいと思います。
最初第七十七条の改正はこれは現在課税せられておりまするところの文化財に対する公開の催しを非課税に移さんとするものであります。
第七十八条の関係は学校教育団体、あるいは社会教育団体等が映画を公開いたします場合の非課税を実施いたしたいと考えておる次第でありまして右に関するそれぞれ条文の整理をいたしたのであります。
第四項は先ほど非課税にいたしました文化財に関する規定を新しく加えた次第であります。
第八十四条第二項につきましても右に関連いたしましたものの整理であります。第百四十七条第一項の改正は、自動車税に関する改正でありまして、政府は自動車税に対しまして一律に五割の増税を予定しておりますけれども、その自動車の種類の内容に従いまして、これをそれぞれ変更いたすことを適当と認めまして、ただいま提案いたしました修正案のごとく改めたいと考えておる次第でありまして、乗用車に対しましては、自家用車を従来政府案におきましては一万五千円のものを三万円に、営業用につきましては年額一万四千円に修正いたしたいと思います。なおトラック及びバスに関しましては、従来一万円とありましたのを、一万四千円に改めんとするものであります。バスに関しましてはその種類によりまして主として観光貸切用のものに対しましては、年額二万五千円、その他一般のものに対しましては年額一万六千円に改めたのであります。なおその他いわゆる小型自動車に関しましては自家用四輪車を七千二百円に改めたのであります。これは相当高率のように見えますが、この小型の中には、いわゆる中型の車も含んでおりまする関係上、この程度の修正にとどめたのであります。その他のものに関しましては営業用は従来三千円のものを四千二百円に改め、三輪車は従来二千円でありましたものを二千八百円に、二輪車は従来の千円でありましたのを千四百円に改めまして、なお従来軽自動車は五百円でありましたのを、七百円に改めんとするものであります。なお特に第三項を加えましたが、これは積雪地にありまして、一定の期間自動車の運行ができないというものに対しましては、その事情にかんがみまして三割程度の減税を実施いたしまして、実情に即するようにいたしたいと存じておるのであります。なお従来この取扱いに関しましては、地元におきましては減税を実施いたしたくとも平衡交付金の関係上、これが実施できなかつたという事情にかんがみまして明らかに規定をいたしまして、平衡交付金の交付に際しましては、その支障を生ぜざるようはからいをいたした次第であります。
次に第二百三十七条の改正は狩猟者税に対する改正であります。従来一律に二千四百円になつておりましたが、その実情に即応していないことにかんがみまして、狩猟を業とする者に対しましては、千八百円軽減を行いますると同時に業とせざる狩猟者に対しまし三三千六百円と、それぞれ負担能力の限度に応じまして修正を行つたのであります。
第三百四十八条の修正は固定資産税に関するものでありますが、新たに日本専売公社、日本国有鉄道局本電信電話公社、日本放送協会等の本来の事業に供せざるところの固定資産に対しましては、これを課税することにいたしたのでありまして、これによりまして若干歳入の補填に資するとともに他との均衡をとらしめた次第であります。なお同条第五項におきましては(信用金庫及び信用金庫連合会)を加えておりますが、信用組合と同様でありまするので事務所、倉庫等に対する非課税を実施せんとするものであります。第六項は健康保険組合、国民健康保険組合及び消費生活協同組合、並びにその連合会に対しまして、その経営するところの病院及び診療所に対しましては、固定資産税を課さないこととする道を開いたのでありまして、この事業の実体から見まして、かく修正することがふさわしいと考えた次第であります。
第三百四十九条の三におきましては、外航船舶に対しまして、固定資産税の減税を実施せんとするものでありまして、これは今回の予算におきまして外航船に対して、特別な利子補給等の制度を実施いたしましたのと調子を合せまして、固定資産税におきましても同様の処置を講じまして、外航船の発展に寄与せんとするものであります。第三百四十九条の四は日本航空株式会社の航空機に対する本年度の固定資産税に対する特例でありますが、これまたこの日航の将来の発展を期待いたしまして、特に減税の取扱いをいたそうどするものであります。
第四百八十九条に関する修正は第二十四に塩化ビニル及び塩化ビニル・さく酸ビニル共重合物を加えるのでありますが、これは今日他の化学繊維と並びまして、輸入の防遏並びに輸出の振興に寄与するという意味におきまして、その均衡を考慮いたしまして修正を加える、特にこの項を追加せんとするものであります。
第七百四十一条に関する規定は事業税に関するところの修正でありますが、従来請負業にありましたところの中からクリーニング業を除きまして、このクリーニング業に対しましては、あとに規定してありますが、ごとく税率を百分の八に軽減せんとするものでありまして、同事業の趣旨から見まして均衡を得んといたした次第であります。
第七百四十二条の改正は教科書の発行に関する臨時措置法第二条第一項に規定する教科書の供給事業に対して、非課税を実施せんとするものでありますが、これは教育出版業に対しまして非課税にいたしましたことと歩調を合せた次第であります。
次に第七百七十六条に関する修正は装蹄師業、クリーニング業を減税いたしたことによる修正であります。
次に第七百七十七条関係の修正は助産婦、あんま、はり灸、装蹄師等をこの業態の実質にかんがみまして、これを軽減することを適当と認めまして、従来百分の六・四を課税しておりましたものを百分の四に軽減せんとする規定であります。
次に附則第一項中の改正でありますが、これは本法の制定が遅れましたために八月一日からという時期が支障がありますので、これを改めた次第であります。
なお附則第二項以下条文の整理によりますところのそれぞれの改正であります。
第七項等はこれは固定資産税の納期あるいは申告評価、配分、決定等の手続に関する事務的の処理を規定いたした次第であります。
以上修正案の大要でありまするが、今回の修正案は政府の提案もさようでありますが、根本的な修正は来たるべき行財政の改正に譲りまして、とりあえず現行法の内部におけるところの不均衡に対して、できるだけこれに調整を加えまして、実際に合致せしめんとしたものでありまして、すでに小委員会において各派の御賛成を得ておりましたものを、ここに提案いたした次第であります。どうぞ満場の皆様方の御賛成をお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/2
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003・中井一夫
○中井委員長 北山君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/3
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004・北山愛郎
○北山委員 私は社会党両派を代表いたしまして、別個の地方税法の一部改正に対する修正案の概要を御説明申し上げます。
今回の地方税法の一部改正の法律案が提案せられましてから、地方行政委員会におきまして、は各党各派一致いたしまして、何とかして現在の地方税制に横たわつておる不合理あるいは不均衡というようなものを直して行きたい、かような意味合いにおいて協議をいたしたわけでございます。その結果として、ただいま自由党両派並びに改進党の修正案の点におきましては、会派全部が一致して意見がまとまつたのでございましたが、その際に問題になりました重要な改正部分、すなわち現在地方税法の中で一番不公平であるというように思われておりますところの市町村民税の中で、いわゆる給与所得者に対しては、非常に不利であるという点をどうにかして改善をしたいという部分につきましては、遂に意見の一致を見なかつたわけであります。そこで私どもとしましては、自由党両派並びに改進党の修正部分に加えまして、今の市町村民税に対する修正、その他政府原案において適当でないというような規定についてこれを削除するという部分をつけ加えまして、別個に修正案を提案したわけであります。従つてその内容の中には自由党、改進党の修正部分を全部含んで、それ以外に数点余分な修正点があるわけであります。そこで共通する部分につきましては、ただいま床次委員から御説明の通りでございますから、それを省略いたしまして、われわれの独自の部分につきましてのみ御説明を申し上げます。
まず第一点は第十六条の七の削除でございます。この規定は入場税遊興飲食税等におきまして、特別徴収義務者にあらかじめ担保を提供させよう、こういう規定でございます。しかし入場税、遊興飲食税の特別徴収義務者というものは、法律的にいいますと、直接の納税義務者ではなくて、興行、催しもの等に入場する者、あるいは飲食する者、そういう人たちが納める税金を、かわつて徴収してやるというのがその義務となつておるわけであります。従つて政府は便宜上これらの徴収義務者に対して特別の徴収の義務を課しておるという関係に立つておるわけであります。ところが、そういうような義務を負うておる者に対して、徴収上国が国の便宜のために担保を提供させるという義務を新たに附加するということは、理論上適当でないというのがこの削除の理由でございます。それは実際面におきまして担保を提供させるのがいいというようないろいろな議論があるでありましようけれども、少くとも法の建前からいたしまして、特別徴収義務者に徴収の義務を課しておるというような徴収義務者の性格、そこから申しまして、それに担保を提供させるような義務を課するということは、あたかもそれらの人たちが税金の取立てをする請負をしておるような観念に国自身が陥つておるのではないか、そういうふうに思われるのでありまして、私どもはこの規定を削除するのが適当である、かように考える次第であります。
それから次に三百十三条、すなわち市町村民税の部分でございますが、まず第一に政府の原案におきましては、三百十二条の第一項のいわゆる第一方式、オプシヨン・ワンと称せられるもの、すなわち税務署の決定する所得税を市町村民税の基準とするやり方、このやり方の中の税率を改めまして、今まで百分の十八であつたものを、その標準を撤廃してしまおう、こういう改正でございます。この規定は、結局において、市町村に増税の道を開き、住民に対してさらにこの第一方式によりましても、今までよりももつともつと高い税率の市町村民税を課することができる余地を、そこに与えるという規定であります。現在私どもは市町村民税というものが非常に不公平な状態にあると考えております。特に給与所得者や労働者、そういう人たちに対する住民税と、申告所得、事業所得者、そういう人たちの均衡が非常につり合いがとれない、そうして勤労者の方が非常に損な立場に置かれておるというような事態を全国的に見るわけであります。特にまた事業所得者の中で、税金戦術といいますか、税務署あるいは税務当局に対する戦術の非常にうまい事業者は、比較的安い税金を課せられておる。そういう人たちと、普通の薄給に悩んでおる勤労者、そういう人たちに対する住民税というものを比較してみた場合に、会社の重役やあるいは社長というような相当いい地位にある相当な生活をしておるような人が、最低の住民税を納めておるにもかかわらず、一方におきましては、食うや食わずでおるという給料生活者が何千円あるいは何万円というような住民税を賦課されておる、こういうような不公平な現状にあるわけであります。この現状をそのままにして、そうして税率を撤廃してもつともつととれるようなかつこうにするということは、この不公平をそのままにしておいて、そうしてこの矛盾、不均衡というものを、さらに大きくして行くというやり方でありまして、私どもはこれに反対をするのであります。すなわち、原案における二百十三条の一項の課税標準百分の十八というものをやめるという案には反対するものであります。同時にまた、今申し上げました通りに、給与所得につきましては、そういうような課税決定の上からしても、あるいは徴税上におきましても、非常な不利を見ておる。給与所得者はたいがい源泉課税されておるわけでありますから、毎月の給料の中から本人がその金を見ないうちにどんどん天引きをされてる。徴税する方から見れば、この徴税が非常に容易であり、その経費がかからない。そうして的確に毎月々々徴税することができるわけであります。ところが事業所得におきましては、そうでなくて、しかも非常に滞納が多い、手数がかかる、毎年の徴収成績を見ましても、源泉課税をされるところの給与所得の方は確実にとられておるのに、事業所得の方は的確に徴収されておらないというのが現状であります。そういうような点から見ましても、非常に不利な地位にありますので、これを是正いたしますために、給料が月額二万円以下のものにつきましては、その所得割の部分につきまして、税額の百分の十五というものを減額しようそして給与所得者に対する現在の不公平を幾分でも緩和してやらなければならぬ、こういう趣旨のもとに、そのような規定を三百十三条に加えたわけであります。同時にまた法人税割の部分については率を最小限度に上げまして、今まで百分の十二・五というのを百分の十五にし、しかも最高税率は百分の十五であつたのを百分の十八にするということにいたしまして、法人に対する住民税と、給与所得者に対する住民税というものの均衡を幾らかでも回復しようという規定を設けたわけであります。
さらに七百四十二条の二という規定と、七百七十六条の二を削除しようというのであります。この規定は事業税及び特別所得税につきましてのいわゆる実質課税の規定でございます。その事業あるいは資産から生ずる収益を受ける者が名義人でなくて、実際には名義人以外の別な人がその利益を得ているというような場合には、その事業税あるいは特別所得税という税金は、実際に利益を得た者に課税するという規定であります。従つて一見非常に合理的な規定のように見えるわけでありますが、しかしそういう趣旨であるならば、何もあらためてそういう規定を設けなくても、実際に利益を受けている者、実際に収益を得ている者に課税することは、従来でもできることだと思うのであります。かえつてこういう規定を設けますと、これが税務当局のいわゆる職権の幅を広げまして、こういう規定になつているから、実際利益を受けているのは君の方じやないかと言うて、一方的にやられてしまう。そしてこれに対抗するためには納税者の方で大いに闘わなければならぬというような結果が起るわけでありまして、このような規定は全国の中小企業者に非常な不満を与えている。税務当局が今までもいろいろな点においてその職権を濫用して、それに対抗することができないというようないろいろ行き過ぎの事例があるのでありますから、この七百四十二条の二あるいは七百七十六条の二というような規定を設けることは、税務当局の職権を濫用されモ危険を増大する見地からいたしまして、この規定の削除を私どもは修正案の中に入れたわけであります。すなわちこの考え方は、地方税あるいは国税においてもそうでありますが、どうも税法の建前というものは、税金をとる方の側に非常に便宜にできている。政府あるいは地方団体の税務当局が一方的にこれをみなす、あるいは推定するということによつて、税金をとりやすくするというような考え方に立つている規定が非常に多いわけであります。そして納税者の方が、それに対抗するためには、めんどうくさい手続を経て対抗しなければならぬというような、不利な地位に置かれている。要するに税務当局が権力をもつて、また押しつけによつて、この徴税を容易ならしめようとするような考え方が、この税制度の中にますます強くなつて薫るというこの際におきましては、あくまで納税の民主化というものを守るために、あるいはまたほんとうに国民、住民が納得して税金を納めるということでなければほんとうの民主化にはならない、こういう見地からいたしまして、先ほどの十六条の七の規定、あるいは七百四十二条の二の規定、七百七十六条の二の規定などはそのような種類に属するから、私どもはこれに反対するのであります。
以上が私どもの別につけ加えた修正点の大要でございますが、先ほど床次委員からもお話がありましたように、現在の地方税制度は根本的に直して行かなければならぬ、今日ここに問題となつた以外にたくさんの不合理、不均衡があるわけでありますから、私どもは今後地方行、財政の根本的な改正と並行して、この地方税制をほんとうに民主的なもの、公平なものにし、正直者がばかを見るというようなことがないようなものに改羨して行くための第一歩として部分的に今回の修正を提案する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/4
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005・中井一夫
○中井委員長 修正案に対する説明は終了いたしました。
これより原案並びに両修正案を一括して討論に付します。討論の通告がありますから順次これを許します。加藤精三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/5
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006・加藤精三
○加藤(精)委員 自由党を代表いたしまして、地方税法の一部改正法律案に関する両自由党及び改進党の修正案と社会党両派の修正案に対しましての意見を表明いたしたいと思います。
両自由党、改進党三派の修正案につきましては、事業税及び特別所得税、入場税、狩猟者税、固定資産税、電気ガス税の部門にわたりまして、税制を社会の実情に合致せしめんとして、地方行政委員会におきまして慎重審議いたしたものでございまして、この論点につきましては、両派社会党と全然意見を同じくすることができましたことは、われらのたいへんな喜びとするところであります。
なお社会党の提案につきまして、特に三百十三条の二に関しましては、まことにその御提案の趣旨に対しまして、敬意を表するものでございますが、地方財源の実情から見まして、今回の修正におきましてこれを採用することになりますと、歳入欠陥を生ずるおそれがございますし、その他の社会党の論点につきましても制度改正の全般的な問題と関連いたしまするので、非常に遺憾でございますが、全面的に賛成をし得ないわけでございます。
そうした意味におきまして、自由党といたしましては両自由党及び改進党の修正提案に賛成し、これと範囲を同じくする部分を除きました社会党の修正案に反対いたすものでございます。しこうして右両自由党及び改進党の修正案を除きました部分の原案に賛成するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/6
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007・中井一夫
○中井委員長 床次徳二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/7
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008・床次徳二
○床次委員 私は改進党を代表いたしまして、本案に対する意見を申し上げたいと思います。
改進党といたしましては、三派の提案いたしましたところの修正案、並びに三派の修正案と趣旨を同じういたしますところの社会党の修正案、これには賛意を表し、社会党の独自な立場において加えられましたところの三点の修正には反対、しこうして三派の修正案を除きました以外の政府原案に対しまして賛成の意を表するものであります。
簡単に理由を申し上げますと、今回の税制の改正は政府も申しておりますごとく、来るべき大改正の前において行われたところの、きわめて事務的な応急の修正であるわけであります。本質的には私どもは地方税に対して大きな異論を持つておるのでありますが、今日におきましては、地方税法自体の改正によりましては、その完璧を期することはできません。これは国税の立場、並びに一般行政制度とあわせて考慮すべきものでありまして、私どもはでき得る限り、近い時期においてこの改正が行われることを期待しておりますので、とりあえず今回におきましては、この程度の修正をもつて満足をいたしておる次第であります。なお地方祝自体におきまして考慮をいたすべきことは、あるいは事業税におきましては、業種問の均衡の問題、あるいは課税標準の問題等につきましても、まだまだこれは検討を要するものであり、なお市町村住民税といたしましては、社会党の提案せられました問題、給与所得と法人所得との問題に対しましては、これまた法人税との関係において、十分解決を要すべきものがあるのであります。なお遊興飲食税等につきましても、現行法につきましては、なお一段と改正を行わなければならない点があるわけでありますが、これらの問題を将来に残しまして、先ほど提案いたしましたごとく、現行税法の範囲内におきまして、著しいところの不均衡をとりあえず是正するということが第一点、第二点といたしましては、会公共性の立場から特に必要なる業種に対しましては、とりあえず減税を行う。この実情に合致せしめるという点が第二点、第三点といたしましては、国穴の点から特別なる産業を育成振興しはければならないという見地におきまして、現在の地方税法の体系を乱さない範囲において、またその財源におきまして著しく地方団体に損害を与えない限度において、私どもは今回の修正を行い、事態に対処せんとするものであるわけでございまして、私はやむを得ない修正であると存じます。将来に根本的な私どもの主張を、税法において実現することをお約束いたしまして、三派の修正案、並びにこれと同じうするところの修正案に賛成し、この修正案を除きました他の政府の原案に対しまして賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/8
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009・中井一夫
○中井委員長 西村力弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/9
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010・西村力弥
○西村(力)委員 日本社会党を代表しまして、簡単に私の意見を申し上げたいと思います。ただいま北山委員から提案説明におきまして、るる詳しく説明がありましたので、長くは申しませんが、この地方行政委員会は地方自治団体の非常に苦しんでおる状況を十分に認識して、各党ともこの解決のために超党派的な努力をしようと、口には言わないまでも、そういう気持で努力をして参つたのでございまして、われわれといたしましては、政府が常にめんどうな問題になると、地方制度調査会にその責任を転嫁するという立場を非常に批判的にこれを見、各人とも努力を続けて参つて、地方制度調査会でどういういいものができるかできないか、それはわからないが、できることを期待するといたしましても、善政は急がなければならないという立場に立つて、地方税法の改正に努力をして参つたのでございますそうして地方行政委員会におきましては、各党の一致した案ができましたけれども、それが一夜にして、自由党の政調会の忌避にあつてくつがえされたことを、私は心から遺憾にたえないものであります。われわれは心底からそういう立場に立つて、地方の行財政の問題に関しては、あまりに政党的な対立はすまい、こういう立場に立つて、真摯に努力を重ねて、譲るべきところは最大限に譲つて来たにかかわらず、それを一夜にしてくつがえされるということは、まことに遺憾しごくに思つておる次第であります。これがために改進党その他三派の共同修正案には全面的に賛成をしたのでございましたが、やむを得ずわれわれとしては別個に修正案を提出せざるを得ない、こういう段階になつたのでございます。このたび政府が提案せられた地方税法の改正を見ますと、それを貫くものは地方財政が苦しいから金をよけいに出そうというのでなくして、苦しいから地方税を強化しようという方式が貫かれている。これはやはりオプシヨン・ツーの方式で持ちこたえられないならば、制限税率を撤廃して、百分の二十三まで伸びても仕方がないという考え方、あるいはまた入場税とか遊興飲食税の不足額、あるいは延滞金の徴収は一箇月を限つて納期となつていたのを、十五日に引上げ、十五日を期限として強制的にこれを取上げるというやり方、これなんかは三月末日になれば、三月の税金は四月から入らないという。そういうものをねらつて、十五日で切れば三月分も半分は入るんだというような、まことにみみつちい改正案であつて一われわれとしては、あまりにも小手先的な、抜本的な方に目を向けない徴税強化を何とかしてやろうという考え方が見えて、残念しごくに思うのです。あるいはまた七百四十二条の二とか、七百七十六条の二、これは収益の帰属する者が名義人である場合には、実際にその事業の収益を受けている人を見込みをつけて、それに課税をするというやり方、こういうことも、先ほど北山委員から言われたような、中小企業の人々は苦境を自力でもつてのがれようとする。そういう共同組織を破壊する道だ。これは地方税ばかりに限らず、所得税が一番大きい問題で、所得税の改正案を、これは否決しなければどうにもならないのでございますが、その所得税の改悪が地方税にまで累を及ぼしているということは、これは断然われわれの認められないところなんでございます。なおまた希望として申し上げたいのは、外航船舶あるいは日本航空株式会社とか、あそこの税金を引くということはあるいは、これは考え方としては、国の政策として抜本的な方法を立てる、たとえば百三十六億の利子補給をやるということを、もう一段と拡充するということから、国策的な大きな見地に立つて、考えられるべきである。地方財源が減つて行くということがわかつているにもかかわらず、この税率を下げなければならないということは遺憾でありますけれども、現実に各党との調整のために、あるいはまたそういう国策的なものが成長育成されることを望むがために、われわれもこれを了承したのでございましたが、将来におきましては、早くこういうことはやめて、そうして国の大きな政策としてこの強化をはかるべきである、さように考えておるのでございます。何にしましても、根本は地方の財政が窮迫しているということを徹底的に救済する道をこそわれわれは考える言であつて、地方税法の区々たる改正や何かに日を過すべきときでない、かように考えておるのでございます。何とぞ、わが社会党の修正案の趣旨は、ただいま加藤委員も床次委員も御賛成でございましたので、今回できませんでも、次期におきましては、ほんとうに善政として喜ばれる方向に一致されんことを強く希望いたしまして、討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/10
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011・中井一夫
○中井委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/11
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012・門司亮
○門司委員 私は日本社会党を代表しまして、ただいま提案されております地方税法の一部改正に対しまして、まず政府原案に対して反対の意思表示をするものであります。政府原案は御承知のように、政府がややともいたしますと、先ほど西村君も言いましたように、地方制度調査会に名をかりて、根本的に税制改革等に対しては、誠意を示されないのでありますから、今回のこの提案された政府原案を見て参りますると、とる方だけは政府原案は、地方制度調査会の議を待たずして、地方在民に対しまする苛酷な取扱いをすると同時に、増徴をする分だけについては、これもまた地方制度調査会の議を何だずして行おうという、今日まで政府のとつて参りました態度ときわめて相異なる面が、非常に多いのであります。
その第一は、御存じのように、第十六条の政府の改正案であります。これを読んでみますと、入場税あるいは遊與飲食税等に対しましては、この徴収義務者に対してあらかじめ担保物件を提出せしめる。これは保全のためだと書いてはありますが、もしこのことが漸次行われて参りますならば、非常に大きな憲法上の疑義が生じて参ります。税金はもとより国民の義務でありますが、その税金を納めなかつた場合の処置としては、差押えすることにおいれ、明らかな抵当物件の担保を供せしめて徴収するものであります。その制度がすでに講ぜられており、さらにその差押え物件については、競売の措置が講ぜられておる。脱金は十分にとり得ることになつておる。にもかかわらず、一段とこれを強制して参りまして、入場税のごときは、特に県から切符を発行いたしておりまして、普通の徴収義務者とは異なる態度をとつてはおりますが、実際の問題としては、特別徴収義務者であるに間違いがないにもかかわらず、こうした処置が行われて参りますと、税金を納める者と税金を徴収する者との間に、私は大きな疑惑の念が起つて来ると思う。われわれは特別徴収義務者である、納税者ではない、しかしながら税金を保全するためにものを提供する、担保物件がいるということになつて参りますと、やはりこれを納税義務者である諸君から納別してもらおうじやないかという、妙な気持にならざるを得ないようなことになつて参りまして、いたずらに納税観念の上に疑義を生ぜしめる、きわめて大きな危険があると同時に、滞納せざる前に担保物件を提供せしめるということが、はたして憲法の条章にかなつておるものかどうかということについては、非常に大きな疑義を持つておる。従つて、こういう苛酷なことになつて参りますと、納税の上においても必ずしも完璧が期せられない。さらにこれを杞憂することは、もしこういうことが行われることになつて来ると、給与所得に対しても源泉徴収が行われておる。これも一つの特別徴収義務者のような形で行われて来ることに間違いはないのであります。従つて、これにもこの法案を適用するということが、国税の上において考えられることになつて参りますと、たいへんなことになります。私はこういう観点から、徴税をきわめて厳密にして行こうという政府のものの考え方に対しては、遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。
さらに政府原案による三百十二条の問題でありますが、三百十三条に対しては、御存じのように、地方の市町村民税について、現行の第一項の制度にあります標準税率をはずして、徴収をすることができるという一つの方法であります。しかしこの方法は、具体的に申し上げて参りますならば、明らかに約三十三億の増徴を意味するものであります。政府は増税をしないと言つておりますが、現実にそれが行われるならば、必ず三十数億の増徴が行われることは明らかであります。いわゆる第項の規定がそのままあります場合においては、制限を受けておる関係から非常に徴税しにくいということと、もう一つ現実の問題としては、所得税の関係から、地方農村における所得税を納めております諸君が、だんだん減つて来ておるという実情から、大体現在の地方公共団体の八五%までぐらいが、第二項によつて徴収しておる。ところが残りの一五%ぐらいのものは、大体大都市あるいは中都市が多くまれておつて、これがもし第二項によつて徴収されることになつて参りますと、大きな社会問題を引起すようなことになることが考えられます。そこで当局としては、どうしても第一項の規定をはずして第二項にするわけに行かないから、窮余の策として、やはり第一項において第二項の効力を発生せしめようとする一つのものの考え方、いわゆる納税をする者の層はかわらないのでありますが、実際は増徴しようというものの考え方であつて、従つてわれわれはこういうごまかしの案に対して、しかもそれが増徴案であるということに対しては、遺憾ながら私は反対せざるを得ないのであります。
次に七百四十二条ないし七百七十六条でありますが、これらに対しては、先ほど北山委員からも申し上げた通り、この法律は一面きわめて妥当性を持つておるかのごとき感じはいたしますが、もしこの項の適用を誤つて来るならば、そこには実情と沿わざる結果ができて来るということが、きわめて危惧されるとともに、これらの中小企業者に対しては、非常に営業の上その他に困難を生ぜしめることになると考えます。従つて政府原案に対しましては、以上の三点を指摘して、反対の意思表示をするものであります。
さらに改進党から提出されておる修正案の内容でございますが、これらについては、私ども異議を申し上げるわけではございません。ただこの機会に私申し上げておきたいと思うことは、各党の間に協議その他を進めて参りまして、税の調整をいかにするかということが、きわめて重要な問題であり、かつまた多くの住民の間から要望されておる減税措置をとることによつて、地方税制にきわめて大きな歳入欠陥を来すということから、現実の段階としては、私ども必ずしもこれを好むものではございません。できるだけ税の調整をして行きたい。と同時にまた、多少の減税があつても、これは運営の中で十分補填される範囲において、これを適用させて行きたいということが、私どもの念願であり、また各位の念願であつたと考えております。従いましてその中には、たとえば県税においても、遊興飲食税等のごときにおいては、現行はきわめて苛酷である。一介の労働者が、あすの労力の養成のために補給する一つの労力源とも言うべき、きわめてわずかな飲食等に対しても、現在は課税されておるので、これらを排除することによつて、でき得るだけ勤労者の明日への労働力の養成に努めたいということで、一応遊興飲食税についても、一定の限度を限つて減税することが考えられたのでありますが、これらに対しては、わずか七億ではあるけれども、減税することによつて、財源の補填等に多少の困難を生ずるということで、一応これらの問題は、私どもやむを得ずひつ込めて、各派共同の提案にいたしたいと考えて参つたのであります。遺憾ながらこのことについては、これから申し上げる市町村民税の中で同調ができなかつたのでありまして、私どもが提案して来た修正案の中で、三派の修正案と一致しませんものは、市町村民税の問題であります。市町村民税の問題にいたしましても、私どもとしては、所得税において勤労控除を認めておりますので、地方税においても、やはりこれと同じような趣旨で、当然勤労控除を認めるべきであるという、主張をいたして参りました。従つてこれが本税と同じような税額をもし主張いたしますならば、県税の総額は大体八十五億になると考えられたのであります。しかしこの八十五億をただちに減税をするということになつて参りますと、歳入欠陥は非常に大きなものになつて来るので、これでは地方財政がなかなか困難であろうというところから、私どもはさらに百歩を譲つて参りまして、そしてこれの補填策として、いかなることを考えるかということと同時に、物の実現性を考えて参りまして、現行の所得税の中で、第一項を適用いたします場合におきましては、大体税額の五%、第二項を適用いたしております場合におきましては、この所得総額に対します一五%の控除をいたして参りまして、その控除総額を大体三十六億程度に圧縮いたして参りまして、この三十六億の見返りの財源につきましては、現行法人にかけられておりますいわゆる百分の十二・五を標準として百分の十五を制限税率といたしておりますものを引上げて、百分の十五を大体標準税率とし、百分の十八を制限税率といたして徴収することによつてここに大体三十六億内外の財源を見つけて参りまし て、いわゆる給与所得者に対します減税をいたしますと同時に、補填の道を講じて参つたのであります。かくいたして参りますならば、地方財政に対しましては何ら財政的の迷惑はかけない のであります。このことにつきましても先ほど床次委員からお話のありました通り、また加藤委員からもお話のありました通り、その趣旨には賛成すると言われておりますが、趣旨に賛成をして、なおこれが実現し得なかつたことの一つの大きな原因は、勤労控除を認めるということには異存はないのであるが、法人から徴税することに反対だという趣旨と、われわれは受取らざるを得ないのであります。ここに私どもは今日の税の不均衡をいまだ完全に是正することのできない一つの原因があることを知らなければならないのであります。
御承知のように市町村民税は、たとえば第一項で徴収されます場合においては、改正されますれば、先ほど申し上げましたように非常に増徴になつて参りますが、現在行われておりまするこの第一項におきましても、一般の勤労者は御存じのように百分の十八が標準税率であつて、百分の二十を制限税率にいたしておるわけであります。従つて法人と個人との所得に対しまして、税率を同じくするということについて反対をされます自由党、改進党の諸君が、いかに資本家擁護の建前に立たなければならないか、その苦衷のほどは実に察するのであります。それを思い切ることができなくして、ここに実現し得なかつたということは、きわめて残念に考えておるわけであります。
その他の問題につきましては、先ほど提案者から修正案の内容の発表が、ございましたので、これに対しまして私ども賛成の意思を表するわけであります。従いまして政府原案に対し反対をし、さらに市町村民税の部分を除く改進党あるいは自由党、鳩自党三派から出されておりまする修正案に対してはこれに賛成をし、さらに社会党から出しておりまする異なつた部分に対しましても、私は賛成の意思を表明する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/12
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013・中井一夫
○中井委員長 討論は終局いたしました。
よつてこれより採決に入りますが、この順序についてこの際申し上げます。まず両修正案中まつたく共通の部分があります。すなわち自由党両派及び改進党委員共同提出にかかる修正案の全部、すなわち事業税及び特別所得税、入場税、自動車税、狩猟者税、固定資産税、電気ガス税及び附則に関する部分につきましては、日本社会党両派の委員共同提出による修正案の中にも、これと同様のものが含まれており、まつたく共通でありますので、最初にこの共通の部分のみについて採決をいたします。次の共通部分を除きました日本社会党両派委員共同提出の修正案について採決をし、最後に原案について採決をいたす、かような順序で採決をいたして参りたいと存じます。
それでは両修正案中共通部分について採決をいたします。本共通部分に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/13
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014・中井一夫
○中井委員長 起立総員。よつて本共通部分は可決されました。次に、ただいまの共通部分を除く日本社会党両派委員共同提出による修正案について、採決をいたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/14
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015・中井一夫
○中井委員長 起立少数。よつて共通可分を除く日本社会党両派委員共同提出による修正案は、否決されました。
最後に、先ほど可決されました共通お修正部分を除いた原案について採決をいたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/15
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016・中井一夫
○中井委員長 起立多数。よつて共通の修正部分を除く原案は可決されました。よつて本案は修正議決されました。
この際お諮りいたしますが、本案に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/16
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017・中井一夫
○中井委員長 御異議なしといたしまして、さように決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/17
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018・中井一夫
○中井委員長 次に、町村合併促進法案を議題といたします。ただいま町村合併に関する小委員長加藤精三君より発言を求めておられますから、これを許します。加藤精三君。
〔委員長退席、床次委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/18
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019・加藤精三
○加藤(精)委員 今国会の初めにおきまして、参議院先議で提案になりました町村合併促進法・案に対する衆議院の地方行政委員会の小委員会の経過の概略を御報告申し上げます。
町村合併促進法は、参議院に上程せられますと、ただちに衆議院に事前審査のために送付になつて参つたのであります。提案前にすでに参議院におきましては合併促進法に関する小委員会ができておりまして、衆議院側に提案前の草案を送付になつております。これにつきまして、衆議院地方行政委員会の有志は合同研究を申出まして、合同研究の際におきましては、原案に対して九項目の研究事項を連絡いたしておるのであります。
御説明の便宜上。参議院の町村合併促進法案の骨子を申し上げますと。弱小町村の統合合併を促進するために、地方自治法の第七条及び八条の二につきまして、詳細なる補足規定を設けたのでございます。その骨子とするところは、町村合併の現実の障害になつておりますところの財政的並びに社会的な諸種の障害を除去し、及び国庫補助その他につきまして恩恵規定を設けることによつて、全国の町村の数を約半数くらいに統合せんとする案でございます。
これに対しまして、衆議院側が最初に考えまして研究事項として、参議院側にも研究をお願いした事項の九項目につきまして概略申し上げますと、地方自治法の第七条を改めて、市町村の廃置分合につき、都道府県知事及び都道府県議会の介入を排除し、市町村の廃置分合は関係市町村の合意と内閣総理大臣の決定により処理するものとすること。この際都道府県知事は、意見を付して経由申達する機関とすること。これが第一項目であつたの下あります。
第二項目は、参議院の提案の法第三条前段を「町村は、おおむね、八千人以上の住民を有するのを最低の標準とし」と改めまして、最低標準のみを押えまして、最高を押えざることを明らかにしようとしたのであります。
第三番目は、法三十四条の弱小町村の合併を引受ける市の側の人口に関する制限、五万、十万の規定を削除せんとしたのであります。
第四番は、法第五条の町村合併促進協議会の構成メンバーの中に、農業協同組合、商工会、婦人会、青年団等、町村の区域をその設置区域とする、主要団体の代表者をも参加せしめなければならぬことにしたことであります。
第五番目は、法第九条を改めまして合併関係町村は、地方自治法第九十一条第一項の規定にかかわらず、その協議による規約で、合併決定後最高限一年間に限り、合併関係町村の従前の議員が、合併町村の議会の議員として在任することができるごとく定むることができるものとしたのであります。但し、市が町村を合併したる場合においては、合併後引続き在任する議員の数があまり過多にわたらないように、適当なる数に制限することを要するものとし、合併関係町村の協議による規約で、その数を定めなければならないものとすることを規定したのであります。
第六番目には、法第九条の次に、被合併町村の従前の吏員の身分に関し、保障規定を設くること、すなわち被合併町村の吏員は、すべてこれを合併町村の吏員として引継ぎ、爾後行政整理をなす場合においても、合併町村及び被合併町村の吏員の間に差別的待遇をなすことを得ざることを法定するように提議したのであります。
第七番目に、附則の2のこの法律の施行期間の五箇年を二箇年とすることを提議したのであります。
第八番目に、法第二十五条及び第二十七条の規定を一箇条にして国の助成規定を統一し、法第二十七条に規定する財政援助の優先取扱いを実施するとの考え方を改め、合併町村のみを対象にするところの助成をなすべきことを規定するよう提議したのであります。
第九番目は、法第十六条の売払いの対象になる国有林野を、合併町村の区域内にかかる国有林野に限定せず、右の区域外にかかる国有林野にも及ぼし得ることを提議いたしたのであります。
以上の提案に対しまして参議院におきましては、第一項の府県知事及び都道府県議会の介入の問題につきましては、合併促進法の第三十三条にかかわらしめる規定を整備せんといたしまして、衆議院の意向を採択したのでありますが、なおこれに対しましては、衆議院側ではなお不十分とする考えを持つておるのであります。
第二項につきましては、すなわち合併町村のでき方における人口の標準でございますが、「おおむね八千人以上の住民を有するのを標準とし、」という項目の参議院の提案理由説明の、中に、これは最低標準であるということを示してございますので、この点は参議院に譲歩する空気であります。
なお弱小町村の合併を引受ける市側の人口の制限につきましては、これは参議院側の最終案、すなわち国会に提案した案におきましては、妥協いたしておりません。
第四番目の、町村の段階におきましての合併促進協議会における構成メンバーに関する衆議院側の提議に対しましては、最終案で参議院は同意いたしておりません。
次に合併後の従前の町村会議員の任期の延長につきましては、これまた参議院側において、最終案において同意いたしておりません。
第六番目の被合併町村の吏員の身分の保障につきましては、衆議院側の意見を参議院側も取入れております。
第七番目の限時法であるこの法律の施行期間につきましては、参議院側の提案が五箇年でありますのに、衆議院側の提案が二箇年でありますので、その中間をとりまして、参議院側の最終案におきましては三箇年にいたしております。
第八番目の助成規定の統一につきましては、参議院の原案のままであります。
第九項の国有林野の売払いの対象は所在市町村以外でもできるという点につきましても、参議院側は従前の原案通りで、これを取入れておりません。
次にお手元に差上げてあります小委員会の中間の修正案につきまして御説明申し上げます。衆議院側におきましては、一昨日小委員会を開会いたしまして、参議院の案と衆議院の案との開きがあまりに大きいので、従いましてとうてい妥協の見込みもないように考えまして、良識に基きまして最小限度の修正案を固めるべく協議いたしたのでありますが、その際に、結論として生れましたものが、お手元に配付いたしました七項目の仮修正案要旨であります。これはまだ小委員会でも確定したものでないことは御承知の通りであります。ただ小委員会の大多数の意見によりますると、会期もきわめて僅少になつて参りましたので、この程度の案をひつさげて参議院と下交渉しようというようなことになつたのでございます。その案を申し上げます。都道府県に設置する町村合併促進協議会の委員は、第七条第二項において当該都道府県条例の定めるところにより、当該都道府県の議会の推薦する議員、当該都道府県の区域内の町村の議会の連合組織が推薦する町村の議会の議長、当該都道府県の区域内の町村の長の連合組織が推薦する町村長、当該都道府県の職員及び学識経験を有する者のうちから、当該都道府県知事が任命することとなつているが、これに当該都道府県の教育委員会が推薦する当該教育委員会の委員、当該都道府県の区域内の市の議会の連合組織が推薦する市の議会の議長、当該都道府県の区域内の市の長の連合組織が推薦する市長をも加えるものとすること。この点はあとで気がついたというような形になりますが、第一に、町村合併は新制中学または新制高等学校の共同設置等にからんで、具体的に合併の議が生れる場合も多々あるにかんがみまして、教育行政関係の地方的最高責任者であるところの教育委員会の代表を参加せしめることが必要である。地方教育行政が地方行政におきまして占める比重の大きさから見ましても当然である。また弱小町村を平均化するのが今度の合併促進法の主たる目的でございますが、弱小町村が位置するのに、その場所が小町村の中にある場合もあれば、都市の付近に位置する場合もありますので、市の議会及び市の長の代表者を加えることが技術士必要であるということに基くものであります。
第二の、町村に設置する町村合併促進協議会は地方自治法第二百五十二条の二の規定により、設置するものとなつているが、これを関係町村がその協議により自由に規約を定めて設置し得るものとなして、その運用に弾力性を与えたこと、この点につきましては、地方行政委員会におきまして一人の異議もなかつたのであります。燃え上る町村合併、自治振興の気運をとらえまして、この町村合併の事務が円滑に行きますためには町村事務の共同処理という各町村の職員だけで打合せるところの地方自治法第二百五十二条の二の規定によつてする協議会をこれに充てることにつきましては、思わざるもはなはだしいものといわねばならないのでございます。
〔床次委員長代理退席、委員長着席〕
かように広く弾力性を与えることによつて、地方の実情に合するものと認められるのであります。
第三は、町村合併の際、合併関係町村の議会の議員で、当該合併町村の議会の議員の被選挙権を有する者が、合併関係町村の協議により引続き合併町村の議会の議員として在任し得る期間は、原案では合併後二箇年以内または被合併町村の議会の議員の残任期間、この二本建のうち、どれかを選ぶことになつておりまするが、これを改めて合併後六箇月以内の一本に改めたことであります。この点はとかく問題のある事項でございまするが、衆議院側といたしましては、合併によりまして新しい自治体が生れた以上は、旧町村の議員がそのまま身分を保持することは第一に、民主主義の暢達の上から好ましいことでない。第二番目に、いたずらに旧合併町村の割拠的な気分を醸成するという二つの理由から、これをきわめて短期間に限定することを可としたのであります。ことに町村が市に合併するごとき場合におきましては、関係村の村会議員が合併を受けるところの市の市会議員の数よりもはるかに多くなる場合も相当出て来るのでございますし、諸種の実情を調査いたしますのに、参議院の原案には実際上不都合をきわめる場合が多いことが看取されるのでございます。
四番目は、合併町村の職員の身分取扱いにつき、参議院側が大体衆議院側の希望を取入れて立法化しているのでございますが、合併町村は、職員が町村合併後三箇年以内に、みずから退職を申し出た場合においては、当該職員に対する退職手当の支給については、特に優遇するように取扱わなければならない旨の項目を追加することを提案しておるのであります。この規定は参議院でとり入れました身分保障規定に当然含まれているようでございまするが、町村合併を促進する上におきまして、心理的な障害を除去する上にも、相当重要な規定でございますので、参議院側に十分残るところなく衆議院の希望をとり入れていただくように交渉しているわけであります。
第五番目は、町村合併により設置され、または他の町村の区域の全部もしくは一部を編入した町村が、市になつた場合においても、警察法の特例規定を適用し、市及び町村の区域の全部もしくは一部をもつて町村を置き、または市もしくは町村の区域の全部もしくは一部を他の市町村に編入することで町村の数を減少する結果になる場合につまきしても、これを町村合併とみなして警察法の特例規定を準用すること従前自治警察を持つていた部分につきましては、そのままその区域で自治警察を持つておつてもいいという特例規定を準用することにしたのでありますこの五番目につきましては、参議院で立法するときに思い違いをして、条文の準用を排除したのでございまして、技術的の補整であります。
第六番目は、町村合併とみなしてこの法律の適用を受ける市と町村の合併の場合における市側の大きさについて人口五万未満、十万未満の制限を撤廃すること。但し内閣総理大臣において本法の準用を必要としないものと認定したる市を含む、合併についてはこの限りでないこと。この六番目は最も問題になるところでございますが、衆議院の地方行政の小委員会のおもな意見といたしましては、町村合併促進法の当面目的としていますところは、弱小町村を整理し、町村と名のつぐ地方団体の規模を平均化するということを主といたしておりまする関係上、その整理をして弱小町村をなくしようとするその弱小町村の付近に小さな町村がある場合もあれば、大きな町村がある場合もあれば、また市がある場合もあるいずれに合併せられましても、町村の規模が結果において平均化することができるならば、それで目的を達するのじやないかという思想であります。但しあまりに財力ゆたかにして、この助成規定または合併の障害を除去するために設けられました今度の町村合併促進法の特別の適用も必要でないというような強大な市につきましては、この法律の準用を必ずしも必要としない。そういう市というのはどういう市であるかということにつきましては、本日まで自治庁と共同して研究いたしました暫定の案によりますると大体地方財政平衡交付金の特別交付金なんかをもらわないような市の場合におきましては、この法律の準用を必要としないというふうに考えております。
第七、町村合併に関する申請があつた場合において、都道府県知事が当該申請の日から六箇月以内に合併の処分を行わないときは、関係町村は内閣総理大臣に対して、審査の請求をいたしまして、この結果一連の手続があり、住民投票によつて内閣総理大臣が合併処分を行うことに改めたい。この申請期間は、その町村から合併の申請があつてから三箇月以内にしたいという規定でございます。原案はこの府県知事が合併処分を認めない場合におきましては、関係町村は内閣総理大臣に審査の請求をして、その審査の結果に基き総理大臣は府県知事にかわり合併処分をすることになつておるのでありますが、地域住民の意思を反映し、民主主義の原則を具体化するために、住民投票によつてこれを決定することを可とする意見が多数意見であります。これに対しまして社会党及び自由党の一部から実行上の障害があろうという御意見と、また一部町村の地域は、単に地方団体の設置地域として重要であるのみならず、国のあらゆる行政の単位としての意味でも重要であるから、国の行政長すなわち内閣総理大臣が意見を持つて、これに参加上得る機会をつくつた方がいいのじやないかという議論も少数意見としてあつたことを申し添えておきます。
以上の結果によりまして、地方行跡委員会におきましては、口頭をもつてこの修正案の概略を参議院の地方行政委員長及び参議院の提案者たる委員に御連絡をいたしておるのでありますが、参議院小委員会におきましては、さらに衆議院の小委員会と連絡して、これを詳細協議したいという用意を持つておるのでございます。
以上が町村合併促進法案につきましての参議院と衆議院との折衝の経過の概略でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/19
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020・中井一夫
○中井委員長 これをもつて散会いたします。
午後零時四十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X02819530803/20
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