1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年六月二十七日(土曜日)
午前十一時六分開議
出席委員
委員長 大西 禎夫君
理事 小平 久雄君 理事 福田 一君
理事 村上 勇君 理事 長谷川四郎君
理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君
小川 平二君 田中 龍夫君
土倉 宗明君 中村 幸八君
笹本 一雄君 山手 滿男君
加藤 清二君 齋木 重一君
下川儀太郎君 中崎 敏君
山口シヅエ君 川上 貫一君
出席国務大臣
通商産業大臣 岡野 清豪君
出席政府委員
通商産業政務次
官 古池 信三君
通商産業事務官
(大臣官房長) 石原 武夫君
通商産業事務官
(通商局長) 牛場 信彦君
通商産業事務官
(企業局長) 中野 哲夫君
通商産業事務官
(重工業局長) 葦澤 大義君
通商産業事務官
(鉱山局長) 川上 為治君
委員外の出席者
通商産業事務官
(軽工業局化学
肥料部長) 柿手 操六君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
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六月二十五日
磐城セメント煙害調査団派遣に関する請願(山
田長司君紹介)(第一五七〇号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会申入れに関する件
鉱業法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
〇号)
火薬類取締法の一部を改正する法律案(内閣提
出第六七号)
通商産業政策の基本方針に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/0
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001・大西禎夫
○大西委員長 これより会議を開きます。
本日は、まず鉱業法の一部を改正する法律案及び火薬類の取締法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
両案に対し御質疑はございませんか。——別に御質疑がなければ、これより討論に入りますが、討論はこれを省略いたして、ただちに採決に入りたいと存じます。御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/1
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002・大西禎夫
○大西委員長 御異議がなければ、討論はこれを省略いたし、ただちに採決に入ります。
両案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/2
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003・大西禎夫
○大西委員長 起立多数。よつて両案は原案の通り可決いたしました。
なおこの際お諮りいたしますが、ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/3
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004・大西禎夫
○大西委員長 御異議がなければ、ようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/4
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005・大西禎夫
○大西委員長 次に、先日に引続きまして、通商産業政策の基本方針に関し質疑の通告がありますから、これを許します。加藤清二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/5
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006・加藤清二
○加藤(清)委員 それでは前会に引続きまして、まず第一に中共貿易の問題についてお尋ねいたしたいと存じます。もし時間が許すならば、引続いて肥料問題についてお尋ねしたいと存ずるわけでございます。
中共貿易につきましては、前回、何がゆえに西欧に比較して日本は過当な制限を受けているか、その根拠をお示し願いたいという私の質問や、かつての予算委員会、外務委員会において、同僚議員和田、帆足両議員の質問に対しても、同じように国連の勧告を基礎に制限しているというお話でございました、そこでお尋ねしたいことは一体国連はどんな制限を日本にのみ加えているのか、この点をお漏らし願いたいと存じます。もしこの問題が外務大臣に多くの関係を持つということであるならば、近き将来において外務大臣の答弁をお願い申し上げるか、ないしは以下私の申し述べますることによつては、外務委員会と合同の委員会をお願いしたら、最も簡単に行けるのではないかと思うわけであります。その点通産大臣からお答えができないというならば、私はこの際申し上げたいことがございます。それはほかでもございますが、国連の勧告を基礎に制限していると言われておりまするその国連の諸国が、今日中共との取引におきまして非常な数字を示している。イギリスのごときは去年におきましてすでに日本二十倍、ことしは、その二十倍の数字をまた二十倍にふやすと言うておりまするから、まさに日本の六十万ドルの四百倍になろうとしているという状況であります。国連の花形でありまするところのフランスあるいはイタリアその他も、すでに中共地区へ経済団体を送つております。米国もこのたびデトロイトから香港に向けて経済使節団を四十名送つているはずでございます。香港へ向けて調査団を派遣しているということは、これはすなわち中共へ探りを入れているということでございまして、国連の花形が国をあげて中共貿易をすでに実施している今日、何がゆえに日本だけが取残されなければならないのか、何がゆえに日本だけが制限を受けなければならないのか。この点について私は国民的な疑問を抱くわけでございます。そこで詳細にわたつてお答え願うことが、外務大臣でないのでできないということでありまするならば、せめて通産大臣としてわかつていらつしやることだけなりとも、この際お漏らしが願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/6
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007・岡野清豪
○岡野国務大臣 中共貿易の問題につきましては、お説の通りでございます。私過去の情勢はただ報告を受けただけでございますが、先般も申し上げましたように、占領せられておる当時、いろいろの制限が非常に深かつたものでございますから、他の独立国とは様相がかわつておりました。そこで昨年の九月に特にココムに入りまして、西欧並にやつて行こう、こういうような考えを起しまして、着々とその歩調を合せるという方向に努力して来た次第でございまして、昨年中にも九十何種目、またことしになりましても四十何種目はずして行つた、こういうことになつておるのでございます。今後できるだけそういうようなココムに入つておる国と同じような取扱いをさせるように、政府としては努力しておる次第でございます。今後もそういうような考えで臨んで行きたいと思います。なお外交上の問題は私よくわかりませんものですから、また外務大臣からでもお聞取り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/7
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008・加藤清二
○加藤(清)委員 それでは外交上の問題はやめて、外務大臣にお尋ねするといたしまして、通産大臣はいつの答えも、わくを広げよう、しつかり進めて行こうという頼もしいお言葉でございまするので、この点私も日本の将来の貿易について明るい見通しができたものと喜ぶ次第でございます。それではお尋ねしたいのでございますが、通産大臣のお手元だけで回復し得ることがたくさん残されていると存じます。たとえば中共向けの輸出については、担保保証金が他の国では一%ないしは三%という場合に、中共だけが一〇%に残されている。これがやや緩和せられたがごとくに聞いておりまするが、まだほかの国同様には相なつておらないと存じます。また貿易の第一歩でありまするLCを開くにあたりまして、これがやはり国内だけでも不当な制限を受けなければならない形に置かされているのでございますが、これについて一体通産省としてはこれをどうされようとしているのか。
あるいはまた通産大臣の許可を得なければ相手国との取引が開始できない、このような傾向が多分にございます。これを一体どうなさろうとするおつもりでありますか、この点についてお尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/8
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009・岡野清豪
○岡野国務大臣 実は残念でございますが、今その点よく研究しておりませんので、よく研究しましてできるだけ私の信念に基く中共貿易を幾らかでも進めてゆきたい、それに障害になることは十分これを直して行きたい、こういう方向に進めて行きたいと思います。まことに申訳ございませんが、その点はよく存じておりませんので…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/9
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010・加藤清二
○加藤(清)委員 それは就任早々で御無理はないと存じます。ただしつかりやろうとなさるそのただいまのお言葉をたなざらしになさらないように、手形をなるべく早く割れるような形に持つて行つていただきたいものだ、かように思つております。特にこの際私が非常にふしぎに思いますことは、だんだん今までの通産大臣以外の方々の答弁を聞いておりまして、ときに国交が回復していないからいけないとか、通商協定が結ばれていないからいけないとかいうような言葉をほかの関係委員会あたりで拝聴するわけでございますけれども、まともな通商協定が結ばれずに、すでに中共以上に貿易が回復されている東南アジアの諸国があるわけであります。何がゆえに一番いいお得意さんの、しかも一番近いお隣さんだけが残されているのか、私には解せないことでございます。特に中には見込みが少い、こういうようことを述べられている大臣があるようでございまするけれども、見込みがないという言葉が一体どこから出て来るのか、どういう原因から出て来るのか私には解釈ができない。そこで見込みありとし、努力しようとしていらつしやる当面の責任者でありまする通産大臣から、そのようなことを考えていらつしやる関係諸大臣に、閣議あたりでしつかりとわたりをつけていただきたい。もしそれができないとすれば、この通産委員会に呼んでいただきさえすれば、私はその大臣とひとつここで一騎打ちをやつてみたいと考えておるものでございます。特に私はこの際大臣にお願いしておかなければならぬことは、御承知の通り商売というものは時機を逸したらもうだめなんです。そこで今日歴史上から説きましても、中共貿易はアメリカの貿易が一〇%から二〇%時代に、日本貿易の約四〇%くらいは中共貿易で占めていたはずなんです。国情がかわつたから買わないだろうとか、買つてくれないだろうという答弁もあつたようでございまするけれども、そういうことは決してございません。諸外国からはどんどん買つておる状況でございます。諸外国からどんどん買つているということが日本の業界にとつて、日本の将来の貿易にとつて非常な痛手になると思うのでございます。すなわち産業構造の上から考えていただいても、よくおわかりのことと存じまするが、上海から以北の方は、機械にしても電気にしても、大体日本サイズでできておるはずであります。ドイツ型だとかイギリス型だとか言われております上海以南におきましても、紡績とか繊維の関係はなお日本型が残つているはずでございます。しかも中共は、御承知の通り、非常な勢いで、国家管理のもとに施設の改善をしております。もしこの当初の五箇年計画において、イギリスとかアメリカ、あるいはイタリア、西独から、今日盛んに機械その他が入れられておるようでありますが、五箇年計画の中にこういう西欧型が取入れられてしまつた以後において、日本の機械を買つてくださいとか、日本の商品を買つてくださいではもう手遅れで、型がすでに向う型になつてしまつてからではおそいじやないか。生活水準の立場から考えてみましても、当然そういうタイプよりも日本のタイプを好んでいるということは、戦後向うへ行きました代表団、あるいは使節団、あるいは商社の方々の帰国されてからの言葉を聞いても、はつきりしていることでございます。日本商品の輸出を後になつてから叫んでもおそい。今が一番のチャンスだ。そこでぜひこの際やらなければならないではないかと思うわけでございます。そこで中共貿易に対する一切の制限の撤廃には、外務大臣が関係しなければならないというならば、少くとも通産大臣の手元において行い得ることならば、その制限の撤廃をする意思がありやいなや、この点について大臣の御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/10
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011・岡野清豪
○岡野国務大臣 私といたしましては、お説のように、私の権限でできるすべてのことは、全部できるだけすみやかに努力してやつて行きたいと考えております。ただ、私があれもこうしたい、これもこうしたいと思いましても、それがいろいろ外交上の問題とか国連協力の線とかいうことではばまれることもございます。しかしお説の通りの趣旨で私は中共貿易に臨んでおりますので、この点ははつきりと申し上げまして、通産大臣としてできる限りのことはやりたいと決心しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/11
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012・加藤清二
○加藤(清)委員 先輩議員の山手さんからもこの間お話がありましたように、通産大臣のお言葉と外務大臣のやられるパスポートの問題に非常な食い違いがあるようでございます。そこで私はこの際ぜひ通産大臣にお願いしたいことは、自分の手元ではずし得るわくをはずすということと同時に、ほんとうに日中貿易を促進するにあたつては、他の大臣に対するサゼスチヨンもさることながら、あなたみずから日中の通商代表の交換とか、あるいは機関の設置とか、せめて国会の代表の通商使節団の派遣をするとか、いわゆるわくをはずすだけでなくして、竿頭一歩を進めるという計画がありやいなや。あるいは計画なしとしても、将来そういうことをなさろうとする意思ありやいなや。この点を特にお漏らし願いたいと存じます。なぜそう申しますかといえば、由来国交が断絶されて後に、ほんとうに正式な国交が回復されるまでの間の径路を調べてみますと、大体最初からぽつつと正式な国交とか正式な通商が開かれたというためしはございません。どの国の場合でも、ほとんど当初には民間の通商使節が交易の準備をしておるようでございます。次に商工会議所とか商社の方々がまず行つて開拓をし、その結果によつて正式な国交回復、通商協定の締結、こういう径路をたどつているようでございます。そこでほんとうに岡崎さんの言われるように、人命財産の危険があるからいけないならば、決して危険のない、これに熱心な国会議員を送るだけの用意ぐらいはなさつたつて、決して悪いことはない。そのくらいのことを国連が制限するとは考えられない。すでにイギリスにおいては、商務相までが出かけておる今日において、それを制限するようなことは考えられないと存じますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/12
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013・岡野清豪
○岡野国務大臣 ただいまのお説は、最もわが意を得た御高見で、私ども非常にうれしく感じます。と申しますことは、国家は相対立しておりましても、世界の政治が民主主義に徹底しますならば、民間同士がお互いに交通し合うとか、また商売をし合うとかいうようなことは、両国の国交を回復するに一番実質的であつて、また大事なことであると思います。その意味におきまして私も、ただいま対立しておるところの中共と日本が、商売でもどんどん進んで行けば、それが日本の輸出貿易のためになるほかに、やはり中共国民の間に日本に対する親しみができて来る。こういう意味におきまして、中共貿易は日本全体の輸出貿易の片棒をかつぐというところまではできぬことは私も知つておりますけれども、しかし副産物としてただいまのお説のようなこともあるのでありますから、大いに努力しておる次第であります。それはいろいろ考え方もございますし、またいろいろ方法もございましようし、今おあげになつたようなこともあるのでございますが、これはやはり国交上とか、ただいまの世界情勢とか、いろいろ制約を受けておりますが、この制約をできるだけはずして行く。またたといこれが外務大臣並びに内閣のいろいろな方針がありましても、私はできるだけ他の閣僚を説き伏せて、私の通商貿易第一主義という方向、同時に国民と国民とのつながりを深くして行くという方向に進んで行きたいということで、いろいろのことを考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/13
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014・加藤清二
○加藤(清)委員 私があえてこういうことを申し上げなければならぬゆえんのものは、すでに皆さんおわかりのことと存じます。朝鮮のあの問題から一体日本の経済はどこに経済の復興を求めて行つたらいいかということを考えてみれば、当然の帰結として中共貿易がクローズ・アップされて来るのではないか。それのみならず、業界におきましては、これは大阪においてもそうであり、名古屋地区においてもそうである。東京地区においてもそうでございますが、この間の市長会議の決議をごらんになつてもおわかりになります通り、もう日本をあげて中共貿易を渇望しておる。しかも諸外国はすでに通商上のお互いの恵みを受けつつ、大きい数字を年々増加させつつある。こういうときに、一番お隣りであり、一番昔からおつき合いを願つていた日本が、指をくわえ、手をこまねいて見ておらなければならないというこの状況を、日本政府としては当然責任を持つて打開しなければならぬと存じます。われわれ通産委員としましても、今この時期にこれを改革しなければ、五箇年計画ができ上つた後においては、どんなに後悔してみても追つつかぬことになつて来るのではないか、そのときになれば、今日の政府はいかに腹を切つてみても国民の経済復興の面における責任というものをのがれることができない状態になる。そういう状況下に置かされている今日におきまして、大臣としては今おつしやつた言葉をほんとうに近き将来に不渡りにならないように、ぜひ実行に移していただきたい。
最後に岡崎外務大臣でなければ答えられない、またそれは大きなウエートが置かされておるようでございますから、ぜひ連合委員会なり、それができなければここへ大臣を呼ぶなりお願いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/14
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015・大西禎夫
○大西委員長 次に永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/15
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016・永井勝次郎
○永井委員 大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、大臣は就任当初にあたりまして、二十八年度予算の編成中である、従つて具体的な答弁は今の段階ではできないというお話でございました。しかし、二十八年度予算が編成されて、少くも二十八年度の一こまとして大臣の通産行政に対する方向というものがここに具体的に打出されたわけでありますので、今日の段階においては、大臣から単に二十八年度という一こまの問題だけでなしに、二十八年度というものを踏み台にして、今後通産行政をどういうふうにやつて行くかという展望をわれわれができるように、具体的な御答弁を煩わせる段階に来たとわれわれに考えるわけであります。そういう意味においてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、いろいろな国会における答弁あるいは院外における談話、そういうものを通しまして、大臣は輸出貿易に重点をおいてやるんだ、こういうことを述べられておられるわけでありますが、この二十八年度予算を見ますと、貿易振興対策費は前年に比べてかえつて減つております。こういう予算をもつて輸出貿易を重点にやるんだという具体的な打出し方はどういうふうにおやりになるのか、この点をひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/16
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017・岡野清豪
○岡野国務大臣 二十八年度予算におきましては、御承知の通りにこの前組みました予算をそのまま大体大きな変化なしに踏襲することになりましたので、私の考えておりますところのいろいろな方策も、これは予算上には十分織り込むことができなかつた次第でございます。また明年度予算につきましては、ただいまいろいろ私の考えを織り込もうと思つて下心はつくつておりますけれども、何さまこの国会中はかなえられない次第であります。そこで輸出貿易振興策につきまして、予算上の措置はわずかではございますが、やはりいろいろ宣伝とか技術相談室とか、在来の方法によりまして、進んで行きたいと思います。なお税法上のいろいろの改正によりまして、輸出を助けて行くとか、または金利とか金融とかいう方面にいわゆる法律を少しいじるとか、またいろいろの協定をするとかいうことによつて、これを推進して行きたい。ただいま概括的に申しますれば、そういうふうに予算に組み込まなくても、われわれの努力次第によつて輸出が伸びるとか、もしくは便宜になるとかいう方向に進めて行きたいと思います。詳しいことは、この前ちよつと申し上げたのでありますが、まとまつてただいま申し上げられませんので、輸出振興方策につきましては、局長からひとつ申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/17
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018・牛場信彦
○牛場政府委員 輸出振興の方策につきましては、第一に今回ニユーヨークに初めて海外市場調査会を設けるというので、その補助金が計上してございます。それから東京アジア方面に対する技術援助、これは国内に技術者の団体をつくりまして、技術者の派遣、そして派遣しました技術者の家族に対する援助ということを考えております。さらに機械類の輸出を増進いたしますために、これは主として東南アジアを考えておるのですが、機械技術相談室を設けまして、これに対して費用の半額を政府から補助するということを考えております。またさらにそれ以外の税法の問題等につきましても、ただいま大臣からお話がありましたように目下研究中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/18
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019・永井勝次郎
○永井委員 少くとも政府が輸出貿易を重点的に取上げ国策として打出してやるという以上、その裏づけとなるべき予算が、二十八年度二億一千万円では少な過ぎるのではないか。これが政府の輸出貿易を重点とする裏づけとしての予算であるかどうか。二億一千万円に見合う程度の重点なのか。もつとうんと計画はあつたけれども、予算的措置でこれだけしかとれなかつたというのか。また二十八年度の流れた予算を踏襲したいといいますけれども、あの予算は昨年のおそらく七、八月ごろ予算編成に入つて、まとめた予算であろうと思うのであります。今日の段階はもう御承知のようにMSAを受諾する、朝鮮の特需の問題が、日本の経済に大きなフアクターを持つて来る、こういうふうに国際的に見ても、国内的に見ても情勢に顕著な変化がある。この顕著な変化は、単に二十八年度の流れた予算をそのまま踏襲して、二十八年度一年間をほおかむりして行くことが許されるほどの情勢なのであるかどうか、そういうのんきなことが許されるかどうか。二億一千万円のこの貿易振興対策費が、予算的な措置における精一ぱいのところなのか、こういう問題について伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/19
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020・岡野清豪
○岡野国務大臣 二億一千万円と申しますけれども、ほかにやはり法律の改正などがございまして、すなわち輸出の振興に関係のある法律の改正だとか、保険制度の改正だとか、あるいは商社を強化するために税法の改正をするとかいたしまして、実質的に予算はなくても商売は繁昌して行く、こういう方法を裏付けるためにいろいろなことをやつております。予算的措置といたしましては、中小企業の金庫法のようなものをつくりました。これも間接ではありますが、やはり輸出貿易に相当寄与することと考えておりますので、今まで考えておりましたのが削られたというわけではありませんが、輸出貿易第一主義を主唱いたしました以上は、それに対応する予算は、少くともほかの方面でいろいろ手を尽してやつて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/20
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021・永井勝次郎
○永井委員 重点政策として取上げた予算が二億一千万円であり、予算的な措置以外にいろいろな操作によつて行く、その程度の貿易振興対策であると了承いたしました。新聞で見ますと、大臣は基幹産業については補給金制度も考えて行かなければならぬだろう。しかし補給金を出せば統制の復活になつて、そういう点も業界から反撃があるというようなことで迷つておられるようでありますが、これら貿易振興の基盤としての基幹産業の振興について補給金制度を政府は考えておるのかどうか。補給金制度を考えておるとすれば、いずれMSAの問題もあつて臨時議会を召集しなければならぬ事態もないとは限らぬと思うのでありますが、そういう場合にはそういう問題を急速に取上げられるお考えがあるのかどうか、これをひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/21
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022・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私も就任以来給金の問題の可否得失というものについていろいろ研究してみたのでございますが、なるほど補給金でも出さなければこの速効薬にはならない、こういうような一つの強い輸出第一主義に徹するようにも考えられますが、しかしまたこれを考えてみますると、いろいろ各方面に補給金制度が出て来ると、これには外国からまたダンピングとかなんとかいうことで、関税の報復を受けるという欠点も出て来ますし、せつかく日本のいろいろな事業が合理化されて行きつつあるときに補給金を出すと、そのために合理化の促進をはばむというような欠点もまた出て来まして、いろいろ私が考察いたしますところによりますれば、どうも補給金というものは消極的に考えなければならないものである。それかといつて今私は捨ててしまつたわけでもございません。そこで私といたしましては、実質的には補給金であるけれども、非常にまわりまわつてこれが補給金になるような措置をする方策を講じたらどうかと思います。ちようどたとえて申しますれば注射を打ちますとすぐ肩のこりがとれるといいますが、しかしまたそれはいろいろな弊害がありますので、丸薬でも飲む。丸薬もやはり直接に内臓から入つて来るのでございますが、一番大事なことはやはり飯を食つて、それを消化していい血をつくつて、その血によつていろいろなことを制して行く、こういう方法であるのであります。私はただいまの段階といたしましては、御飯を食べてそれを血にして、からだを丈夫にして肩のこりをとつて行くというのではまだるつこしい、それかと申しまして注射によつて速効薬でやつて行くというのは非常に弊害が多い感じがするのであります。まあ丸薬くらいを飲んでなおして行く、こういうような感じに実はなつておるのであります。その意味におきましていろいろ考察中でございますけれども、まだ補給金というものに対しては消極的ということで私の頭を表現していただけば当つている、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/22
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023・永井勝次郎
○永井委員 まだお考えがまとまつていないようで、とつおいつどうしたらよいかお迷いの状態であるという表明で、その点も一応了承しておきます。
輸出貿易を重点におく場合における中共の地位、中共貿易をどのようにお考えになつておるか、これをひとつはつきりと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/23
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024・岡野清豪
○岡野国務大臣 中共貿易は大分世間で注目くださいまして、また私どもといたしまして非常な心魂を込めて考えている次第でございます。しかしいつも申し上げます通りに、いろいろやりたいこともあります。またこうしたらいいだろう、すなわちただ貿易そのものをとつて、ほかのことを何も考えずにやるということになりますれば、これは私も実業界出身でございますから、相当な手が考えられるのでございますけれども、しかしこれはまた政治的、特に国際政治上の関係もございまして、制約を受けることが非常に多いだろうと思います。その意味におきまして私どもといたしましては、先ほど加藤さんにお答え申し上げました通りに、輸出第一主義に徹するためには中共貿易を、たとい分量が少くてもぜひ取上げて大いに力を尽したい、こういう考えで通産大臣としてできるだけの努力をしてこれをやつて行きたい。またそれがたとえほかの関係官庁の職務でありましても、これが説き伏せられるならばこれを説き伏せてやつて行きたい。こういうような考えで中共貿易に臨んでおりますけれども、ただいまわれわれが直接できますことは、ココムによつて今協議中でありますところの、輸出物資の制限の幅を狭めて行つて、そうしてできるだけ多くの商品を向うに送る、こういうような手段を専心にやつている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/24
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025・永井勝次郎
○永井委員 中共貿易との間においてバトル法あるいはココム、いろいろな経済的条件以外の制約があることは了承しておりますが、吉田内閣は予算委員会その他のいろいろな場合において、中共貿易にはそう期待は持てないというふうに非常に中共貿易というものをけなしておるのであります。ただいまの通産大臣のお話によると、中共貿易は通産大臣としては重要に考えておる、こういうことでありますけれども、政治的な問題は別といたしましても、経済問題あるいは貿易上の問題として吉田内閣の性格としては中共貿易はそう重視しない、こういう政策が打出されておるというように了承するのでありますが、そういたしますと、その間において通産大臣の個人的な見解と、吉田内閣の内閣としての政策との間の矛盾があると理解するのでありますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/25
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026・岡野清豪
○岡野国務大臣 私はそうとは考えません。むろんいろいろほかの閣僚が述べておりますところの言葉はあまり期待ができないということは、数量、金額の点において日本の輸出貿易全体としての占めておるウエートがそう大して大きくならないのだ、こういうことを言つておるのでございます。しかし私の立場といたしましては、とにかく輸出をしなければならぬということが一番大事なことでございますならば、たといわずかのものでもこれを進展させて行くということが一番大事ではないか。すなわち絶対金額というものは期待はできないかもしれませんけれども、しかしそれが増加の率から行きますと相当な期待はしておるのであります。現に私がいつも申し上げますように、二十七年度中に六十万ドルの輸出しかできなかつたのが、物資の制限を緩和したために、この一月—三月に二百二十万ドルにふえたということ、すなわち一箇年に六十万ドルが三箇月後に二百二十万ドルになつたいうことは、パーテンテージとしては非常に期待をされた結果のようにも思いますし、また今後私はその方面において大いに期待をしておるわけであります。でございますからその点におきましては、絶対額というものとパーセンテージというものにこれを分析しますれば、考え方が違つて来る、こういうことと御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/26
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027・永井勝次郎
○永井委員 貿易の金額が大きいとか、少いとかいいましても非常にあいまいでありまして、たとえば現在が少いというのか、中共貿易が正常に回復していろいろな努力をしても、見通しとして、どのように努力してもそう大きな期待を持てないというのか、そういうような点もあいまいでありまして、これはいい加減な抽象的な議論になりますから、それはそれとしておきまして、現在中共貿易においてそう大きな期待が事実において持てない。そういたしますと、東南アジアに対する考え方は大臣はどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/27
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028・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。東南アジアは私の見るところによりますと、今後日本が相当に期待をかけて、すなわちパーセンテージの上においても、絶対数量においてもかけられる、こう考えております。と申しますことは、ただいま輸出貿易の点よりして、三割六分から四割くらいの程度日本の輸出貿易のウエートを占めておりますし、また将来相当向うに買気もありますし、また購買力も、つければいろいろのところでつけられるというような方法もありますし、少くとも輸出貿易の占める地位がただいま全体の四割ぐらいになつておりますので、ますますこれを進展して行けば、相当の輸出ができるいい新販路だ、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/28
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029・永井勝次郎
○永井委員 東南アジア貿易において、これを正規なルートに乗せる前提条件として、賠償問題があると考えますが、これらの賠償問題をどういうふうにお考えになつておられるか。そうしてこういう賠償問題を解決して、その上に東南アジア貿易の正常な発展を期さなければならぬと思うのでありますが、この賠償問題については、現在外交的に、また経済的に、どういうような段階にあり、将来どういう見通しを持つておられるのか、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/29
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030・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。賠償の問題は、外務大臣が引受けておりますので、私も詳しいことは存じておりませんが、しかし外務大臣の随時の発言の片鱗から申しますと、着々これに対して外交的の手を打つておるのだ、こういう話でございます。それからまた賠償問題が片づきませんでも、貿易協定とかいうなこともどんどん進めております。むろん賠償を根本的に解決することは、ますます貿易協定というようなものに対して有利な条件が得られて、日本の輸出貿易が進展する基盤だと思います。けれどもお説のように賠償問題はまだ停頓しておりますので、この点われわれの仕事をして行きます上においては一つの障害になつておるわけでございます。われわれは外務大臣とともに、賠償問題も早く片づけて行きたいし、同時にそれとあわせて貿易協定を強化して行きたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/30
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031・永井勝次郎
○永井委員 輸出貿易に重点を置いて国策としてやつて行くのだという内閣の政策であり、通産大臣の政策であるにかかわらず、今ちよつと触れてみたところだけでも、その裏づけとなるべき予算的な措置は問題にならないものである。しかもこの予算的なもの以外は、いろいろな金利であるとか、金融であるとか、あるいは税制であるとか、こういうような措置によつてこれを補つて行くという程度のものである。また海外における市場は、中共は今言つたように現在の段階においては非常に見込み薄である。東南アジアの問題についても、そう急速に大きな期待ができない。こういうものを正常なルートに乗せる前には、まず先行して賠償問題その他も横たわつておる。こういうような条件の中で、しからば通産大臣はどのようにして輸出振興を急速に発展させる具体的な計画を持つておられるのか、このことを聞きたいと思うのであります。
御承知のように、今日国際情勢の変化によつて問題になつておりますのは、輸出入貿易じりにおいて年間八億ドルの赤字がある。この赤字を急速に埋めることがなければ、日本の経済はジリ貧どころでなく、急速な衰弱をするのだ。手持外貨はドルにして十億ドル内外しか持つていない。こういうものは一年か二年の間に食いつぶしてしまう。これを食いつぶさない間に輸出入貿易のバランスをとるということが現在課せられた自立経済における重要な課題である。しかも朝鮮特需は減つて来ておる。こういう与えられた条件の中で、ここ一年か二年の間に急速にこれを埋めて行く、あるいは一、二年の努力によつて将来日本の経済を自立される明るい希望が確立できるのだ、こういう展望を持たないで、ただ輸出振興だ、輸出振興だというかけ声だけでは、問題は解決できないと思うのであります。ですから国内的には、こういう条件の中で、限られた斯間的な一つの制約の中で、大臣はどのような措置をするのか。二十八年度予算は流れた予算を踏襲しただけで、一年間待たなければ新しい政策とその予算的な措置は出て来ない。対外的な貿易においては現在はつきりした市場というものはない。そういたしますと、こういう関係を国内的に、対外的にどういうふうに措置するか。しかもこれらの貿易に関する限り、外交的な裏づけというものがバツクでなければ、こういう問題は推進いたしません。中共は敵というふうに考え、あるいはソ連圏は根本的に相いれないものだと言い、アメリカが一を押せばこつちが十ほど飛び上つて、この前衛線の役割を務めるようなことをやつていて、そうして貿易を振興しようとしたつてできるものではないのであります。大臣としてはそういう関係をひつくるめて、国内的に、対外的にどういう措置をして、ここ二年ほどの間に八億ドルという大きな赤字を埋めて行く具体的な対策をどう樹立され対応されて行くのか、行動されて行くのか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/31
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032・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。なるほど特需によつてわれわれの国際収支がバランスする、同時にこの特需という軍需的なものが、一度は——一度ではありません、行く行くはなくなつて行くことを見込みながら、われわれは正常貿易によつて経済自立をして行かなければいけない、こういうことにつきまして、大体五年だんだんらいを目標にしましていろいろのことをやつておりますが、しかしこれは長いものでありますから、目先きに現われますところのいろいろのことにつきましては、私はこの前も申し上げましたように、まず一面は外交交渉によつて門戸を開き、もしくは向うのとびらのあけ方を大きくするということが一面必要でありましようし、それからまた内地におきましては、今外国貿易で太刀打ちするためにはコスト高である。すなわち物価が非常に高いということで競争に負けているという点もございますから、これを引締めて行く、また今まで欠けておりましたところの宣伝とかなんとかいうこともやる、こういう方向に進んでおります。詳しいことは通商局長からひとつ御説明申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/32
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033・牛場信彦
○牛場政府委員 貿易による八億ドルのギヤツプを急速に埋めなければならないことは、私どもよく感じておるのでありますが、現在の国際情勢その他から申しまして、必ずしもこの一、二年の間にすつかり建直すということは、これまた困難なことでございます。現在の特需による収入というものも、やはり一種の輸出に類したものでありまして、特需に応ずるために日本の産業能力というものは相当程度動かされておるわけでありまして、これがその期間に行われます合理化と並行いたしまして、現在特需に出ておりますようなものが正常な貿易のルートに乗つて行くことは、これはややしばらく時間を必要とするのでないかと私は考えます。根本的に申しまして、貿易を伸ばしますためには、どうしても世界の市場の要求するものを安くつくるという以外に、実際方法はないわけでありまして日本がいくら売りたいと思つても、向う側で買いたくないものを輸出しましては、どうしてもそれを伸ばすわけに行かない。結局そこに産業の転換ということもある程度行われて行かなければならないわけであります。そのために合理化の資金その他につきまして、政府としてもいろいろ努力をいたしておるわけであります。また予算が非常に少いというおしかりでございますが、この予算に出ておりますのは、ほんの直接の貿易振興のための金だけでありまして、それ以外に、たとえば日本輸出入銀行につきまして、今回法律の改正をいたし、さらに利息の低下をはかりまして、長期の分割払いによる輸出を可能ならしめるように、もうできるだけの手段はとつておるわけでございます。私の知つております限りにおきましては、そういう輸出入銀行のような制度は、まさに世界でほかの国はやつておらないことでありまして、日本だけが先に進んでこれだけのことをやつておるのであります。現在では遺憾ながら輸出入銀行まで来る商談が少い。と申しますのは、値段が高いためにそこまでなかなかこぎつけない状況でありまして、これはやはり政府の施策と相まちまして、企業の努力というものがよほどここに加わつて来なければならぬのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/33
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034・永井勝次郎
○永井委員 企業の合理化という課題は、これはだれも異論はないと思うのです。ただ合理化の内容が問題になつて来ると思うのですが、その合理化の内容については具体的に何も説明がないのであります。これはまたいずれ次の機会にそういう問題は論議したいと思います。
今局長からお話になつたように、海外の状況を把握することがまず非常に重要である、こういうお話はごもつともであると思います。しかも戦前でありますと、外国商社もたくさんあり、日本人が外国にそれぞれ渡航していた。そういう面からのいろいろな情報もありましようし、各商社がそれぞれ自分の手足を海外に持つていて活動しておるという条件もあつたでありましようが、現在はまつたく盲貿易であり、そういう手足を失つておるので、政府に期待するところが非常に多い。従つてたとえばこの予算にあります海外広報宣伝費——それほど重要であるという条件として取上げられておる予算がどれくらいあるかというと、千五百万円しか組んでない。こういうような状態で、海外の状況を把握することが重要なんだ、こういう重点を置かれているフアクターの予算としては、こつけいなほど少い予算ではないか、こう考えております。先ほど来大臣のお話を伺いましても、あるいは通産当局のお話をお伺いましても、この八億のアンバランスをどういうふうにして埋めて行くかという具体的な施策としては、非常に問題の重要性をつかんでいない。あるいはそれに真剣に取組んでいない。今日一年、二年のところできなくとも、五年後の将来にはこうなるんだという科学的に組み立てられた一つの経済構想というようなものも持つておらない。そういうままに、ただコストが高いんだ、何がどうなんだという一つの課題だけを取上げて、そうしてこれが補給金を出すのはこうだ、ああだ、こういう気迷い状態にあるのが通産当局の現状ではないか、こう思うのであります。こういうふうなのんきな状態では、民族の将来の独立に関する、あるいは日本の経済の自立に関する基本的な段階に来ておる現在において、責任の省としてはあまりに無責任過ぎるのではないかと考えるのであります。要するにこういうようにのんきにしておることはどういうことかといえば、最後にはMSAに逃げ込むのだ、一切おぶさつて行くんだという裏づけをちやんと想定の中に置いてものをやつておるのではないか、立ち上つてみずからの力で切り抜けて行くんだというような気魄と、そういう構想を持たないで、安易な気持でおるのではないか、こう思うのでありますが、大臣、これはいかがなものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/34
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035・岡野清豪
○岡野国務大臣 特需はできるだけ勘定に入れないで、正常貿易で日本の国際収支のバランスを合わす、同時にそれによつて日本の自立経済をやつて行きたい、こういうのが私の考えでございます。これはまだ研究途中でございますけれども、三十二年度末までには日本の経済をどういうふうにして行つたらいいだろうかというような私の考え方を経審の事務当局に頼みまして、いろいろ研究をさせております。それにつきましても、やはり今度出ましたような問題のMSAなどというものは勘定に入れないで、自立経済の方向を考えさしておる次第であります。私といたしましては、今後MSAに依存して日本の国際収支を合わす、ひいては自立経済の基礎にして行きたいという考えは持つておりませんから御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/35
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036・永井勝次郎
○永井委員 大臣が持つていないというだけでは、国民は了承しないので、持つていなければ、MSAの援助を待たないで、自発的にどういうふうにやるんだという具体的な案をここに示されて、これならばいい、ああではいかぬという討議がなされて、これならばという客観的な一つの価値というものを国民に認識させない限り、大臣がどんなに偉いかわかりませんが、MSAにたよらないで、正常経済で自立させるんだ、こういうような抽象論をいくら言われても、これは問題の解決にはならない。今言つたように、自立経済をして行くんだ、MSAにたよらないでやつて行くんだという経済条件としては、国内的な経済的な施策は何があるか、何もない。貿易の面における問題として海外の事情をどういうふうにつかまえてやつて行くんだという見通しは、ただいま申しましたように何もない。しかも海外の状況を把握するための広報宣伝費が千五百万円しかとつてない。こういうあわれな状態で一体自立経済を打立てて行くんだという構想とそういう気魄があるのかということを私は疑うどころでなく、全然問題にならない内容であると考えるのであります。
そこで大臣にお伺いいたすわけでありますが、大臣は国際情勢から見て、軽工業の段階は過ぎた、これは重化学工業へ転換して行かなければならない、こういうお話でありますが、私もそれには賛成であります。軽工業から重化学工業へ日本経済の産業構造をどういうふうに転換させて行くのか、大臣は日本経済の弱点に対して、冷やしたり暖めたりしないで、何も出血をしないで処理して行きたいというような考えでありますから、そういうようないい案があるならば、漢方薬でもいいですから、そういうのをひとつお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/36
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037・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。大体の傾向といたしましては、ただいまは繊維製品などというものは今世界と価格の点においては競争ができる立場にあるのでございます。しかし世界的に供給国が相当ふえましたし、また自分自身のところでそういうものをつくるというところもできましたし、そういうことによりまして、なるほど今まで繊維工業品なんというものは日本の輸出の大宗を占めておつたのでございますけれども、世界の情勢から行きまして、競争もはげしくなりましようし、また向うが買気があまりなくて、自分のところで自給ができる、もしくは自分の親類国から輸入ができるというようなことで、私は多くを望み得ないというような感じをおぼろげながら持つておるわけであります。それから御説の通りに、重化学工業にやはり重きを置く、それは東南アジアの方面におきましては、先ほども申し上げましたように、日本の輸出新販路としては相当有望であるという方面において、こういうようなものをほしがつておるというようなことでございますから、この点につきましてはわれわれ力を入れて、すなわち先ほど局長が申しましたように、向うの買気のあるものを安くいいものを供給する、こういうことに努力をして行かなければならぬものと考えます。そこで今まで買気があるのですが、どういうようなものをどこでほしがつておるかということの研究もまだ十分にできておりませんから、派遣員を出すとか、あるいはこれも外交交渉によりまして向うへ入国するとか船が入港するとかいうようなことをできるだけ制限をはずして自由に入国、入港ができるようにし、またそういう方面に対して技術員などを派遣しまして、向うのお得意の意欲に沿うようにサービスして、そうして日本の商品の販路の拡大をはかる、こういうふうにして行きたいと思います。具体的に申し上げますれば、先ほど申し上げましたように、できるだけ東南アジア方面にいろいろな外交交渉並びに使節を出しまして貿易の発展をはかる、こういうようなやり方をしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/37
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038・永井勝次郎
○永井委員 日本の重化学工業の性格は軍需産業である。武器生産で育つて来た、そういう基盤を持つておるのだ、こうわれわれは了解しておりますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/38
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039・岡野清豪
○岡野国務大臣 私はそうとは考えませんで、いわゆるミシンとか何とか、平素非常に役に立つものとか、ポンプとか、もしくは発動機というようなものでありまして、兵器生産というものを重化学工業とは私は考えておりません。また硫安なんというようなものもやはりこのうちに入れたらどうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/39
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040・永井勝次郎
○永井委員 どうもミシンの一つの例を取上げられましたが、これはたとえば造船の関係に考えましても、あるいは戦車、航空機、こういつた生産に考えましても、あるいは弾薬その他の生産の面に考えましても、これはほとんど明治維新以降、日本の武器生産、日本の軍備拡張と結びついてこれらの産業が育つて来たのでありまして、平和産業的なものはこれに付随して来ている、こう思うのであります。今度の敗戦によりまして一応軍隊はつぶれ、こういう産業はつぶれましたけれども、そういう技術、そういう施設、そういう経験、そういうものの基盤は、日本の重化学工業の内容として維持されておるのだ、こういうふうに経済学者から、産業人から、すべてが理解しているのでありますが、大臣は、そういうものではない、日本の重化学工業は平和産業で育つて来たのだ、こういうふうに御理解なさつておるのでありますか、これを重ねて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/40
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041・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。日本は大東亜戦争の始まります前ごろから、大東亜戦争になりまして、兵器産業というものが非常に発達したことは、事実でございます。これは国策がいい、悪いは別問題としまして、必要に応じてそういうような生産が伸びて来た。そこで今後といたしましても、商売の立場から申しますならば、もし外国でそういうものをほしがり、同時に非常に採算が合つて行くということならば、私はどんどんやつていいのではないかと思います。しかしながら今航空機の工場もございませんし、それからいろいろなものをただいま日本でつくつていますが、砲弾と火薬ぐらいのことでございまして、迫撃砲というような簡単なものはつくつておるように聞いておりますけれども、いわゆる高級の兵器なんというものをつくる能力もございませんし、またつくつてもおりません。そこで航空機のお話が出ましたのですが、航空機というものは、いわゆる武器としてではなくして、近代の経済においては、航空機というものは非常に重要な立場を持つておりまして、日本内地におきましても、交通、ひいてはそれが産業を発展さして行く、いわゆる時間をセーヴして行きますから、そういう意味では役立つと思いますので、日本でも航空機ができて、国内の交通が航空機によるということは望ましいことでございまして、同時に外国でもこれの買手があるとしますれば、これは非常に採算のいい仕事だ、こう私は思いますから、航空機あたりにつきましても、もし外国に需要があるならば、私は日本で相当に研究して、つくるようになつてもいいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/41
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042・永井勝次郎
○永井委員 ここでは航空機の論議をするときでありませんから、しませんが、航空機を国内の安定した需要というものを対象にしないで、外国から注文があつたら輸出産業としてたいへんよいだろう——来るか来ないかわからない、そういうものを対象にしてこういう近代的な大きな企業というものを成立させて行くばかもないし、運営する者も、採算のとれる条件なんかもあるものじやないと思うのであります。こんなことはいずれあとの機会にまた譲りますが、とにかく私がこういうふうにお尋ねするのは、単に軽工業から重化学工業へ転換させるのだというこれだけの問題では済まない。今の日本の重化学工業というものは、ずつと軍部に育て上げられて来た産業である。従つてこれを輸出産業として発展させるためには、重化学工業の内部において、兵器産業的な性格から平和産業的な性格へ質的転換をすることが必要ではないか。単に軽工業から重化学工業への転換だけでもむずかしいところに、重化学工業の内部におけるそういう質的転換が必要である。二重の課題を持つて困難な道をこれから切り開いて行かなければならないのだという、問題の所在を私は明確にするために大臣に聞いているわけでありますが、この点は大臣いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/42
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043・岡野清豪
○岡野国務大臣 私は日本の過去の重化学工業というものが、主として軍用であつて、兵器であつたということは、これはお説の通りでございます。しかしながら私どもの考えますのには、日本はやはり輸出をして行かなければならぬ。輸出をするためには、向うでほしがるものをつくらなければならぬ。ほしがるというものについては、先ほど申し上げました通り、またお説の通りに、軽工業というものはどうもむずかしい、あまり伸びを求めるわけには参らない、こういう情勢になつております。同時に片方におきましては重化学工業品が望まれているという場合になりますれば、やはりその需要に合つた供給をして行くのが、日本の輸出貿易の大事な点でないかと思います。一応私申し上げておきますが、私は昔各国をまわつて来たことがあるのでありますが、ベルジユームとかチェコスロヴアキアというような国でござましても、平和な、また片一方は永世中立国と言われるような国でありながら、外国で武器、すなわち小銃とか、自動銃とかいうようなものをほしがれば、やはり国内で盛大な工場を持ちましてこれ輸出貿易に使つておつた。われわれとしては、むろん憲法に保障されておる平和国家でありまして、平和のためにはすべてをあげて尽すということになつております。同時にわれわれがつくるものは兵器でありましても、あるいは大きなキリスト様のお考えから見れば、兵器をつくつてよそへ輸出するということは、これは間接的ではあろうけれども、人道上許すべからざることだというようなことに考えられますが、しかし国家が対立しておりまして、そうして一国が貿易に依存しなければならぬ。貿易の依存ということについては、やはり相手方で買気があり、また需要があるものでなければ売れないのですから、その点におきましては、ネセサリー・イーブルと申しますか、そういうもをつくつて売らなければならぬというようなことになるんじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/43
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044・永井勝次郎
○永井委員 今のように、需要がないところには企業は起らない、それは経済の原則で自然だというならば、いろいろな国家の政策はいらない。たとえば今言うように、日本の重化学工業の性質が兵器である。これを平和産業へ転換させなければならぬということになれば、その前提になるものは工作機械である。工作機械工業をどういうふうにやるかということが、今日日本の重大な課題でなければならない。それならば工作機械工業がなぜ日本に起らなかつたかといえば、需要がないから起らない。皆輸入にまつ。それでは工作機械をそつちのけにして、外国から何でも輸入してやつていいかということになると、これはいろいろ問題になると思うのでありますが、大臣のようなお話ですと、需要のないところに企業は起らないのであるから、それはあたりまえじやないか、機械工業なんかの問題は無視してよろしいのでありますか。また重工業転換を主張しながら、こういう基礎となる工業の問題はどういうふうに大臣はお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/44
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045・岡野清豪
○岡野国務大臣 工作機械の点でございますが、私はやはり日本で工作機械は大いに発展させなければならぬと思つております。と申しますのは、大東亜戦争の始まりました後でございますが、私はいろいろな技術者に友達を持つておりまして、そのときにアメリカが持つておるところの工作機械と日本の持つております工作機械とは、児戯に類するほど劣つておるのだ。だから技術の面で言うならば、この機械文明に負けるぞということを、戦争の始まりました直後に聞いたことがあります。そういう先入主がありましたので、戦時中いろいろなところを視察しましたら、外国の優秀なところはどういうところであるかわかりませんけれども、日本の工作機械の程度というものは、技術者の説明によれば、非常に悪かつた。これが結局優秀なものが日本にできなかつたという結果になつたのじやないかと思います。そこで今後機械類を外国で買手があれば売りたいといたしますと、これをつくる工作機械が非常に大事なことでございますから、最近われわれは内談しておる次第でございますが、約十年余り外国の技術には立ち遅れておるわけでございますから、優秀なる技術者をこちらへ呼んで来て、そうして工作機械の製作の技術を大いに発展させて行きたい、こういう考えを持つております。同時に工作機械は東南アジア方面でもほしがつておるようでございますから、お説のように工作機械あたりには相当重点を置かなければ、今後の輸出貿易には片手落ちになるのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/45
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046・永井勝次郎
○永井委員 どこの省でも重要でないという省はないわけでありますが、ことに世界が平和の方向に向い、朝鮮特需が減つてこれがに切りかえられるというような問題が、日本の政界の重要な一つの課題になつて来ておる。しかもこれらの問題は、日本の独立と経済自立という民族の運命に関する重要な問題である。こういう段階における通産省というものは、まことに任務が重大であると考えるのであります。従つてわれわれはこの重大な通産行政の任務を負荷されておる現在の段階において、困難な諸問題と取組んで、現実を正確に把握して、これに対処する科学的な検討と、これに対する適切な方針を打出す以外には、日本の将来を明るくする道はないという考えをもつて、いろいろ検討を加えようとしておるのでありますが、大臣の今までのお話では、問題を正確に把握しておられるかどうかすら、私は疑わしいほどに思われるのであります。ことに今の内閣のMSAの取扱いの問題についても、われわれは国民的な憤激を感ずるような状態でありますが、われわれはまずこういう基本的なものの考え方、基本的なものの把握の仕方、そういうものをはつきりした上でいろいろな議論をしませんと、考え方の相違というものが出て来ないので、今まで問答したのでありますが、何回繰返しても同じであります。きようは時間がありませんし、なお山手君から質疑があるそうでありますから、私はこの程度で打切ります。しかし問題は、単に岡野通産大臣の考え方とか、あるいは吉田内閣の考え方とかいうような問題でなしに、もつと民族的な立場において、今日これらの問題が国会で論議せられなければ、国会はまつたく国民大衆から浮いてしまう。この白堊の殿堂の中で国会は何をしておるかということになります。われわれは国民大衆とともに、日本がいかにして完全な独立をするか、いかにして日本の経済が完全な自立をするか、こういう問題が切なる願いとして大衆から要望されておる。盛り上つておる。その問題がここでこのような論議よりされないということは、われわれはまことに遺憾であると考えるのであります。従つて次の機会においては、意見は意見として、違いは違いとしてけつこうでありますが、これらの問題に真剣に取組む態度を示していただきたいと思うのであります。本日はこの程度にしますが、なお問題をたくさん残しておりますので、後日これらの問題の検討をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/46
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047・山手滿男
○山手委員 時間がありませんので次会にいたしますが、この際一、二伺いたいと思います。
一番初めに要望しておきたいと思いますことは、今永井君からのお話で企業の合理化の内容云々という問題がありましたが、それは例の企業合理化促進法によりましていろいろ業種が指定され、減税そのほかいろいろな促進措置がとられておるわけでありますが、一度この委員会において具体的な内容を検討してみたいと思いますので、次会の劈頭にそれらの点について資料を御提出願いたいと思います。
それからもう一つは、先般外貨予算を研究しようということで資料をちようだいしておりますが、外貨予算全般について大臣の所見を承りたいと思いますけれども、これも次会に譲りまして、きようは一点だけ伺います。
夏を迎えて相当問題を起しておるようでありますから、大臣から御所見を伺つておきたいと思います。それは御承知のように日本の自立経済達成のためには、不要不急の物資の輸入はこれを阻止いたしまして、外貨のバランスを正常貿易によつてとらすことが必要であつて、朝鮮特需がこういう状態になつたときでありますから、政府は率先して国民に耐乏生活を要求するくらいの重大決意をもつて臨まなければならぬ情勢であることは、御承知の通りであります。ところが高級自動車の問題、あるいはゴルフの道具とか、ああいう問題についていろいろやつたようなお話でありますが、どうも了承することができない面がたくさんある。ところが最近また起きております問題は、例の国民的な嗜好にまで食い入つて行こうとしておるところのコカコーラの問題であります。これは大したことではないように言う人もありますが、今盛んに銀座やなんか、東京中を闊歩し始めておる。御承知のようにコカコーラというものは、一般民需には流されておらないはずであります。全部これは軍需で免税品である。ほかのサイダーその他については、物品税そのほかが課せられておるのでありますが、コカコーラというのは、外国の兵隊向けに製造されて、税抜きでやられておる。それが東京はもちろん各地方にまで流れて行つているという事実があるのでありますが、通産大臣はコカコーラについて緊急に手を打たれる用意があるか。聞くところにより(ますと、某食品会社は、コカコーラの原料をアメリカから輸入する外貨の割当をもらつて、その原料を使つて東京都内に大きな工場を建ててやる、こういうような意図を持つておるやに承ります。しかもそれは占領当時は軍需のみに出されておつたのでありますが、今度は外貨を堂々と正面から受けて、民需用として国内に約一億本くらい製造販売をしようという計画を進めているという事実があるのでありますが、こういう問題はすでに計画が具体化してから阻止することは困難であろうと思います。大臣はこういう問題について御承知かどうか。御承知でなければどういう御所見であるか伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/47
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048・岡野清豪
○岡野国務大臣 ただいまお話のコカコーラの問題でございますが、今局長に伺いましてもはつきりと知らぬ、こう言いますから、もう少し、そういうことがおありでしたら、ひとつ調べさせまして次会に御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/48
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049・山手滿男
○山手委員 それではその点も次会に外貨資金の割当と一緒に御質問することにいたしますから御調査の上御答弁のできるようにしていただきたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/49
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050・大西禎夫
○大西委員長 この際お諮りいたします。労働委員会に付託となつておりまする電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案は、本委員会とも関連する点大なるものがあると存じまするので、労働委員会に対し連合審査会を開きたい旨申し出たいと存じまするが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/50
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051・大西禎夫
○大西委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
本日はこの程度にいたし、次会は明後二十九日月曜日、午後一時より開会いたし、武器等製造法案及び中小企業金融公庫法案について質疑に入ります。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604793X00819530627/51
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