1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月九日(木曜日)
午後二時二十六分開議
出席委員
委員長 成田 知巳君
理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君
理事 橋本登美三郎君 理事 原 茂君
理事 松前 重義君 理事 中村 梅吉君
菊池 義郎君 庄司 一郎君
齋藤 憲三君 廣瀬 正雄君
甲斐 政治君 松井 政吉君
出席政府委員
郵政事務官
(大臣官房電気
通信監理官) 金光 昭君
郵 政 技 官
(大臣官房電気
通信監理官) 庄司 新治君
委員外の出席者
日本電信電話公
社総裁 梶井 剛君
日本電信電話公
社副総裁 靱 勉君
日本電信電話公
社経理局長 秋草 篤二君
専 門 員 吉田 弘苗君
専 門 員 中村 寅市君
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本日の会議に付した事件
公衆電気通信法案(内閣提出第九一号)
有線電気通信法案(内閣提出第九二号)
有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(
内閣提出第九三号)
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001・成田知巳
○成田委員長 ただいまより開会いたします。
公衆電気通信法案、有線電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案を一括議題とし、質疑を続けます。質疑は通告順にこれを許します。橋本君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/1
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002・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 公社の総裁もおいでのようでありますから、公社関係の質疑を行います。
先日来の九州における災害によつて公社の受けた損害は、最近において大体おまとまりになつただろうと思いますが、どれくらいの金額になつておるかを御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/2
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003・梶井剛
○梶井説明員 まだはつきりした数字の報告が参つておりませんが、一応応急復旧はほとんど完了して、市外電話回線、電信回線は約九〇%以上回復しており、市内電話としては熊本市内だけがまだ六〇%程度の復旧であります。しかし他の都市はほとんど復旧いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/3
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004・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 応急復旧費は大体予備金から支出せられたのだろうと思いますが、将来本格的な復旧とあわせて相当の金額がいると思いますが、その支出の方便として予備費をまず重点的に支出をして、なお不足のところは建設勘定から出す予定であるか、もしくは本格的な復旧については、次の機会において補正予算等において考えられる方針であるか、その点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/4
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005・梶井剛
○梶井説明員 ただいま仰せの通り、応急復旧に対しましては、予備金が十億円ありますから、それでまず支出いたします。もちろん十億円では不足と考えられますので、次の機会において補正予算を出すような場合において、さらに精細に調査をいたしまして、要求しなくちやならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/5
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006・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 今回の災害で全額予備金が支出せられますと、本年度今後なお相当期間を残しておるのでありますからして、その間に災害がないとも言えませんし、かつまたあの条文に従いましても、災害またはその他の緊急なる事態に対しては、この予備金を使うことができるということになつておりますので、その他の必要な条項によつての支出もあるいは考えられるわけであります。従つて予備金を全額今回の災害復旧に使うということになれば、あと相当の期間を残しておるにもかかわらず、予備金がない状態になるわけでありますが、これに対する公社の方の御方針はどういうぐあいになつておるか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/6
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007・梶井剛
○梶井説明員 今後暴風雨の季節に入ります。従つて暴風雨に対する被害はあらかじめ考えておかなければならないのであります。しかし今度の水害があまりに被害が大でありまするために、とりあえずは予備金をもつてやらざるを得ない。今後もし暴風雨等の被害がありましたならば、さらに予備金を増額いただきますか、あるいは他の財源をもちましてさらに予備費を要求いたすような手続をとらなくちやならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/7
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008・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 これは予算的措置についてお尋ねするのですが、今回の災害がどれくらいになるかわかりませんが、おそらく二十億を越えるのではなかろうかと思うのであります。いずれにせよこの現在提案せられておる予備金の金額をもつてしては、これをまかなうことができない状態になつております。従つて残りのものは来年度に本格的な予算を組んで復旧をするか、もしくは予算的措置としてはいわゆる減価償却費が建設勘定に繰入れられておるのでありまするからして、この施設の改善という意味合いから、それらの予算をそちらに使うことが必ずしも不当ではないように考えられるのですが、そういう点についての総裁の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/8
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009・梶井剛
○梶井説明員 一般の被害に対しましては、減価償却をもつてとりかえるということはどうかと思います。しかし今度の被害地域を見ますと、戦時規格のものが相当ございます。それがためにこれは当然もう償却の時期に到達しております。戦時規格のケーブルのごときはかなり被害がひどいのであります。むしろ全面的にこれを改修しなければならぬと考えますので、さような費用につきましては償却の経費をもつてやる方が適切ではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/9
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010・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 ただいまの御意見でありますと、そういうような事態が実際上にあり得ると思うのです。当然これが償却費によつて新しく改善しなければならぬものが、たまたま災害によつてその時期が多少早まつた、こういうことがあり得るのであつて、今のお話では今の私の考え方に一致したような結果が招来しておるところがあると思うのですが、その場合に、実際上これは調査をしてみなければわかりますまいが、いわゆるこの今回の被害にあつた地区が、そういう意味での減価償却費をもつて当然とりかえるべき点に至つておつたのがどれぐらいあつて、そうして当然これは予算的措置を伴わなければいかぬというものがどれぐらいという金額が出て来なければ、あるいはお答えができぬと思いますが、一応の考え方ですが、現在すでに国会に予算が出ておるのです。これをもう今日となつては現在予算を修正して予備金を新たに加えるとか、もしくは本格的復旧費を加えるということは困難であろうと思うわけです。従つてこのかりに計上されておる十一億円の予備金のうち、いわゆる災害復旧として仮復旧を応急的にやらなければならぬ金額は、必ずしも十一億に達していないのではなかろうか。このうちの半分なりあるいは六億円なり等をもつて間に合うのではなかろうか。その他の部分は先ほど申しましたような、当然施設のかけかえをやらなければならぬ部分が相当にあり、かつまたその他のものについては来年度における予算に計上をする、こういうようなやり方をすることによつて、予備金全額を使うという建前でなくてもいいようにも考えられるのですが、その点についての御見解をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/10
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011・梶井剛
○梶井説明員 まだ被害の金額が正確にわかつておりませんので、今の御質問に対して十分のお答えができないのでありますが、もし補正予算を提出するような機会がないとかりにいたしますならば、来年度予算編成の際に、この方の不足分をさらに追加して出すという措置を講じなければならぬと思います。しかしもし補正予算を提出する機会がありましたら、できるだけ早い機会において本復旧の予算提出を望む次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/11
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012・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 私のお伺いしたことが一つ抜けております。要するにこの十一億の予備金全額を使わなくても——いわゆる予備金は大体において仮復旧が原則ですから、仮復旧にはそれだけの金がかからないのではないか。これは計算してみないとわかりませんが、もし計算して相当の金額が残されるのであれば問題はないのですが、もし仮復旧にほとんど十一億の金を使つてしまうと——補正予算は行われるかどうかわかりませんので、一応建前としては補正予算は行われないという前提に立つて、予備金をある程度残して置かなければ、将来災害が起きた場合には、急速なこれの処置がない、仮復旧の金は出しようがないという結果になる。そういう点から考えて予算の扱い方がどうあろうかという点を聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/12
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013・梶井剛
○梶井説明員 仮復旧の経費が十一億の予備金に達しないだろうということにつきましては、私も同様に考えます。しかしこの仮復旧がまだ完成しておらぬし、仮復旧の程度問題もありますので、もし仮復旧の金額が十一億の予備金よりはるかに少かつたならば、さらに将来に対する災害に対しましてこの予備金の一部分を保有して応急の措置をする、そうして本復旧に対しましては、来年度予算等において十分にそれを組むということにつきましては必要かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/13
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014・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 政府委員の方にお伺いするのが適当かと思いますが、もし万一今回の災害復旧が応急復旧のみでも十一億の金がかかる、いわゆる予備金全部を使わなければならぬ結果になり、しかも今回の予算においては予備金の追加が技術的に間に合わなかつたという場合、将来補正予算があれば別問題ですが、その間に災害がないとは言えない。そういたしますと、その場合においては、もし災害があつた場合の仮復旧の場合の予算的措置としては、借入金によつてそういう仮復旧に対して予備金的性格として使用できるかどうか、その点について政府委員の御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/14
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015・秋草篤二
○秋草説明員 ただいま御質問の借入金とは一時借入金でございますか、それとも一般の長期借入金ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/15
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016・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 それはどちらでもけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/16
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017・秋草篤二
○秋草説明員 一時借入金でありますれば、別に借入金の使途については法律上何ら制限がない。短期は年度内に返還しなければならぬ。短期だけは期限に制限はございますけれども、その使途については何ら制限はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/17
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018・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 それでは予備金的性格をもつて一時借入金をもつて、この方面の応急復旧を行うことができるという見解を、政府当局もとつておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/18
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019・庄司新治
○庄司政府委員 お答え申し上げます。一時借入金の制度でございますが、一時借入金というのは一時金が足りないために借り入れる。しかしそれは年度内に大体返還し得るという見通しのあるというのが前提にあるのではないかと思います。そうするとただいまの損害がぐつと予備費以上に上まわつたらどうなるかということに対しましては、そういうものに使う予算のわくがないというかつこうになりますが、それに対しては経費の流用という点があるのでありまして、一応経費を流用するという意味で、その裏づけで一時借入れをいたしまして支出するということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/19
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020・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 そういう建前で使用することができるということになれば、将来待遇改善、いわゆるベース・アップの問題が起きた場合においていわゆる予備金からも支出することができるのですが、そうすると年度内に予算的措置ができる。これは一つにはベース・アップの問題においては、給与総額の決定が国会の承認を必要とするので、予算的措置が必要ですが、一時借入金の措置によつて、そういうような場合での支払いも可能か、その点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/20
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021・庄司新治
○庄司政府委員 ただいまベースの改訂によつて予算が不足して、それを一時借入金でまかなえるかどうかという問題かと思いますが、その趣旨において御説明いたします。ベース・アップの問題は、これは給与総額というわくが与えられまして、その給与総額の変更をする場合が予算総則に定めてありますから、その変更をする条項を適用しない限り、一時借入金でベース・アップするということは、最後に給与総額のわくをはみ出すという結果になりまして、事実上はできないのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/21
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022・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 私の聞いておるのはそこが違うのです、もちろん給与総額というものは、国会で予算の承認を経なければならぬ。また公社法の建前では財源を自己の収入に求めなければならぬ。一般会計からの繰入れを認めておりません。従つて万一ベース・アップを行う場合においては、これは予算的措置ができないというて、これをけることはもちろんできるわけですが、しかし諸般の事情からして、どうしてもある程度はこれを受入れねばならぬ、こういうことが起きた場合において、将来増設等による収入があると想定されるのでありますが、そのときに一時借入金を財源として、そういうものの支払いに充てることができるかどうか、こういう問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/22
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023・金光昭
○金光政府委員 資金そのものにつきましては、公社においてそのときどきにおいて実際に支払うべき金がなければ、一時借入れ等をなすことは、限度額の範囲内においてはよろしいわけでありますが、ただいま橋本委員のおつしやいましたような給与等にまわすべき場合は、予算的に予算総則で縛ばられておるわけでありますので、ただいま例としておあげになりましたようなベース・アップ等の場合を考えますと、予算総則の二十四条にあります経済事情の変動その他予測することのできない事態に応ずるために、公社が臨時に支給し得べき給与の限度額二億円というものが限度かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/23
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024・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 少し私の説明が不十分でおわかりにくいようですが、こういうことなんです。現在の公社法では一応今度の予算においても、収支バランスが合うように出されておりますが、私の考えは個人的見解ですけれども、予算の収支バランスが合わなくてもよろしいと思うのです。たとえ九百億円の収入がある。そこへ九百五十億円の支出を必要とする。五十億円はいわゆる赤字です。これを埋めるのは一時借入れでも、長期借入れでよいのですが、そういう形式の予算が組まれてもいいと思うのであります。というのは、公社法による赤字が出た場合においては、赤字を積み立てて置いて、そして将来において黒字があつた場合においてはこの赤字を埋めて行く、こういうような公社法の建前になつておりますから、従つてもしそういうような経済上の事情か何か知らぬが、待遇改善を必要とした場合においてこの財源がない、恒久財源がないが、これは借入金でもできるわけです。そういう場合においてはその支出の総額が国会において承認されれば、その財源として一時借入金を充ててもよろしいのではないか、こういう質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/24
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025・庄司新治
○庄司政府委員 大分お話がむずかしくてわかりにくい点があるのですが、一応今の御質問をこういうふうに解釈してお答えいたします。収入と支出がアンパランスがある。たとえば支出が収入よりも上まわつたらどうかというと、公社法で欠損金に立てて繰越すというよようなことが書いてある、こういうことになつておりますが、これは建前として支出の方が収入よりも多くなつているというふうな最初の予算でも組み立ててあれば、そういうことに相なるかと思います。また収入と支出がとんとんになるように予算に組んでありました場合に、収入が予定よりも少くなつた、その結果において赤字が出たというようなことも考えられます。最初収入、支出がとんとんに組んであつた場合に、収入は予算通り、支出だけをぐつと伸ばすのだということはできないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/25
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026・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 大体近づいて来ているのですが、あるいは私の意見が少し無理なので、これが通れば従業員の待遇改善ははなはだ簡単になるのですが、そこをもう少し法律的に掘り下げてもらいたいのです。つまりこういうことなんです。もしこれは事実問題としてやつた場合において、待遇改善をどうしてもしなければならぬという実情が起きて、待遇改善のための収支予算を出す。歳入としては、もしこれをインチキにやるならばそれだけの歳入がある。これは増収でもいいが、そういう歳入がある、こういう形式で出せば、一番形式的な書類としては整うわけです。いわゆる見積り過大の予算を出せばいい、そういうことが公社として不適当であるから、本年度はそれだけの収入が考えられない、多少増収に努力しても考えられない、なおかつ相当金額の赤字がこれだけの支出をすれば出て来る、こういう場合においては、その分は一時借入金なりをもつて充てて、そこで次の年度の増収によつてまかなう、こういことが公社法上できるのではないかということを聞いているのですが、あるいは私の考え方の方が無理があるかもしれませんが、この点についてもう一ぺん御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/26
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027・庄司新治
○庄司政府委員 収入よりも支出が実際上まわるかもしれない、上まわると仮定した場合に、国会で上まわつた支出を承認されるということになれば、それは可能であると思います。ただそういうことが公社の事業経営上健全な方策であるかどうかという点に対しては、一応疑問が残るとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/27
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028・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 あまりこういう質問をするのはどうかと思うのですが、今の意見だと歳出が国会において承認をされれば、歳入において一部不足があつてもこれを他の形式で、たとえば一時借入金でもよろしいが、そういうことが国会で承認されれば、いわゆる公社法上はさしつかえないという見解ですか。それともなおそういう場合においても公社の会計法上から見て、一時借入金等をいわゆる収入予算と見て計上することはできないと解釈してよろしいのですか、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/28
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029・庄司新治
○庄司政府委員 大分話がむずかしくなりましたが、国会で予算を審議される場合に、赤字の損益計算書を出して、これを承認されたらどうなるかということに相なるわけでありますが、そのときに赤字になれば何か財源を求めなければならないだろうということに相なると思います。その財源として一時借入金を財源とするということは、おそらくこれは不可能ではないか。というのは、一時借入金というのは、大体年度内に返せるというものが一時借入金という形になるのでありますから、ただいまのような場合は赤字借入金——そういう言葉があるかどうかしりませんが、一応赤字借入金という形の財源を求めるか、あるいは前年度までの赤字借入金が、公社にもし手持ちの資金、資材などがあれば、それを食うか、いずれにしましても一時借入金ではなくて、その借入金が年度内に返せるという見込みがございませんから、そういう方法ではむずかしいかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/29
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030・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 大体政府委員の御答弁になつたことが原則として正しいと思います。ただ私がそこをしつこくお尋ねしたのは、公社の会計法上から見ると、ややもすれば赤字を積立てておいてかまわぬのだというように見がちでありまして、そうした放漫財政がとられる危険がありますから、その点の法の解釈をただしたわけですから、原則として、恒久財源と認められないものをもつて財源として、赤字を補填するということは、実際上は困難であろうと思うし、不可能であろうと思うのであります。
そこで前にもどりますが、応急復旧費でもつて十一億円の予備金が食われてしまう、こういうことになりますと、一応は一時借入金をもつてこれを補うことができる。これは当然次の補正予算等を考慮して、可能であろうと思いますが、ただ北九州の場合において、もし本年度補正予算等を組むことが困難であるというような事情が明らかになつた場合においては、相当の金額がある程度の復旧を行うために必要であろうと思うのであります。そうしますと、他の建設方面に対して建設勘定の金を食うという結果になりはしないかと思うのでありますが、その点に対する見通しがありますかどうか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/30
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031・秋草篤二
○秋草説明員 予備費十一億で災害復旧がまかなえないで、そのために一般の、いわゆる建設勘定で申しますれば四百六十一億というものにまで食い込みはしないかという見通しでございますが、これはまだ正確に被害の状況なり、復旧費の大体概略の数字というものも固まつて参つていませんので、今ここでお答えすることはできないと思います。実際問題とすればある程度の融通は、厖大なる建設勘定の中ですから、一億や二億の融通はできるかと思いますけれども、やはり成規には四百六十一億というものは、五箇年計画に基く一つのがつちりした計画がございますので、これを少しでもくずして行くということは、将来の計画に非常に影響を来しますので、非常に微細な金額でございますれば別でありますが、やはり補正予算等の措置をとつて、そういう金額を食い込まないようにするというのが妥当かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/31
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032・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 それに関する質疑はその程度にいたしまして、いわゆる公社の五箇年計画ですが、前国会に提案されました四十億円の財政資金を加えての建設計画ですが、この場合においては、いわゆる五箇年計画というものを基礎にしたのではないようでありますが、大体どういう計画を基礎にして、四十億円並びに一割程度の値上げ、こういうことにこの前の原案ができておつたかを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/32
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033・梶井剛
○梶井説明員 この前の国会に提出しました予算は、その当時におきましては五箇年計画というものを一応立てましたけれども、それは外資導入その他までみな含んでおるのであります。従つてこれは単なる仮称的な五箇年計画でありまして、国会に提出の際には、その五箇年計画に基いてというわけには参りません。従つて二十八年度の予算ということにして四百六十一億というものを提出した次第であります。今回はさらに外資導入というものを全然考えに入れませんで、そして将来五箇年間においてこれだけの仕事をやるならば幾ばくになるか、但し初年度は、先般提出しました予算と同額にするという方針のもとに、初年度四百六十一億といたしたのでありまして、二十九年度、三十年度におきましては、その金額がさらに膨脹しております。総額において二千六百億ということにいたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/33
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034・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 そうしますと、四十億円の財政資金の投資を考慮しておつた案と、今回提案せられた四十億の財政投資を考慮しておらない案との区別ですが、それを概略でけつこうですが承りたい。というのは、一部においては、四十億円の投資があれば、こういう値上げがなくても済むのじやないか、四十億円の投資がないために、こういう大幅の値上げになつた、こういうように簡単に考えている向きがあるようであります。そうじやなくして、厳格に五箇年計画を進めて行く、こういうことと、それから特別の変動のない限りにおいては、将来特に値上げを必要としない。今日これだけのものを上げて、そして建設を行えば、値上げを必要としない。あるいは情勢いかんによつては、これらの五箇年計画が完成すれば、料金の値下げすらも可能である。こういうような見解に立つて、今回の五箇年計画案によるところの予算案が上程せられたのであろうと思うのですが、その間に、すぐ短期間にかわつたものであるから、誤解があるように思われますが、その点の区別というものをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/34
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035・梶井剛
○梶井説明員 今回の料金値上げの根拠と申しますものは、先般も申し上げました通り、五箇年間におきまして利子の過重のために赤字になつた。また大蔵省から借入れております六百三十億の借入金を、約二十箇年にわたつて返還するその財源が必要である。また社債を今後は募集するということになつておりますが、その社債は五年または七年置いて償還するということになつております。また償却におきましては、昭和二十四年六月の物価指数をもつて計算せられているのが、今回は昭和二十六年三月の物価指数をもつて計算するということに相なりましたために、償却の不足がそこに出て来るのであります。また過去において償却が相当かさんでおります。それを十箇年間にその償却不足を補つて行くというような資金が必要である。そういうことをみな合せまして、そして現在の料金の二割七分四厘一毛というものを値上げしないと、これらの財源というものはできないというので、料金改訂を考えた次第であります。それと、昭和二十八年の予算というものの中で、料金値上げに基きまして、もし二割五分の料金値上げが承認されたと仮定いたしました場合に、その中から約五十億近くが、今申しました償却不足に充当されるわけであります。あとの七十六億というものが、これは建設勘定にまわるということに一応形の上ではなつております。しかしこれは建設勘定を補うために料金値上げをしたのではありませんでして、料金値上げは五箇年計画を立てた上において収支関係を全部見てそうして将来において料金値上げをしないでもいいように、漸次積み立て行つて経営の安定をはかるという趣旨において、料金改訂の率を算出した次第であります。従つて今回預全部資金四十億が削られたのは、そのために料金値上げを必要としたという意味では毛頭ございません。ただ大蔵省の財政上の都合から四十億の資金を削られておるのでありまするが、将来において預全部資金をまた借りなければなら、ないような事態が起るということを予想しておる次第であります。
また五箇年後において、料金値下げをする見込みがあるのではないだろうかということでありますが、これは五年後のことでありますので、一応われわれとしては料金値下げというところまではまだ行き得ない。しかし今後においては料金値上げはできるだけ避ける。そして将来十年もたちますれば、今度は事業も安定いたしますので、料金値下げの可能性が出て来るのではないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/35
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036・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 今梶井総裁のお話でありますと、四十億の財政投資のあるなしにかかわらず、公社としては五箇年計画を遂行するためにはこれだけの料金値上げが必要である、特別に建設勘定に金をまわすために料金値上げをしたのではないが、五箇年間に安定した建設計画を進めて行くためには、これだけの収入が必要であるというように拝聴したのですが、この計画が大体公社の考えられる通りに承認を受けた場合においては、臨時措置法できめられておる公債を加入者が負担する、こういうような制度は、時限法でありますが、この時限法の限度内において廃止する考えであるかどうか、その点についての御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/36
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037・梶井剛
○梶井説明員 そのことにつきましては、一応私どもは五箇年計画におきまして、現在加入者に負担してもらつております社債を漸減して行こうという考えでおります。従つて今の負担金の問題につきましては、その期限が参りました際に、さらにこの法律の有効期間を延ばしていただくという措置をとりまするか、あるいは加入者の負担する社債を漸減することをやめまして、法律にきめられた期限において負担金をやめるかということについては、将来において研究したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/37
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038・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 大体において公社当局の将来の計画なるものがわかるのでありますが、ただ先ほど説明申し上げましたように、一部では四十億円の財政投資というものを非常に重大視して考えておる。この点私個人から言うと、必ずしも重大視して考えておらない。これは郵政大臣と同意見であります。建設勘定の一部を、今日のごとく相当成長した公共企業体である公社が負担することは当然であつて、何ら不合理じやない。だから今後の建設、拡張のために、料金の一部を充てるという原則に立つてさしつかえないのじやなかろうか。これは郵政大臣の意見と私の意見が一致しております。が、ただいまの総裁の意見とは少し食い違があるようであります。総裁の方では、できるだけ将来とも財政投資は必要であるとし、また消極的な意味でありますが、希望しておられる。これはものの考え方ですが、現在日本の国民経済の状態から考えても、預金部運用資金を使う面がますます大衆化して行く。本年度の状態を見てもわかるように、一部は開発銀行等にも使われておりますけれども、これも考えれば、国民経済の根本をつくり上げるために使われるものであつて、大体原則としては、預金部運用資金というものは、国民大衆に直接につながりのある方面に使われて行く傾向がある。しかも日本の国民経済が将来、特にそう急激なる発展を予想され得ない点から考えれば、預金部資金の伸び方に限度があると考えられる。そうなりますれば、電信電話のような建設資金の面においては、原則としてもう預金部資金をあてにすべきではないのではなかろうか。ただ公社であり、国民経済にも大きな関連のある事業でありますから、法律をもつてこれを保護し、あるいは一般公債を受ける場合におきましても、政府の協力によつてできるだけ安い利子をもつて借り受け、あるいは利子の補給を政府が行う、こういうことは必要であろうと思うのであります。必ずしも預金部資金の金を直接使わなくともよろしいのではないか、こう考えますから、原則として料金収入の一部を建設勘定に繰入れるという考え方がよろしいのではないか、こう思うのですが、総裁の方はそうでもないようでありますから、再度この点についての御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/38
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039・梶井剛
○梶井説明員 私どもが立てました五箇年計画におきましては、将来において預金部資金を拝借しないようにしたいという一応の考えを持つております。従つて五年後において預金部資金は全然ゼロになる。六年目からは預金部資金を拝借しないという建前で一応計画を立てました。しかし橋本委員のお話の通り、預金部資金というものはその使途が非常に多方面にあるのであつて、むしろ独立採算制をとつている電電公社といたしましては、拡張資金に対しては預金部資金にたよるべきではない、また料金値上げの益金によりまして建設をやつても、何らさしつかえないのではなかろうかという御意見でありまするが、私どもも料金値上げの資金によつて建設をやることは、必ずしも違法でないという考えを持つております。しかし料金値上げは加入者にとつては相当迷惑なことでありますので、われわれとしましては最低限度において料金値上げをしたい。従つて今日の情勢から申しますれば、加入者の積滞牧も相当ありますから、これを一気に解決をするというならば、料金を相当高く上げれば、相当の建設費が得られますから、その解決もできるのでありまするけれども、さように一時的に料金を上げるということは、事業の上からいいますと、信用上の非常な問題になるという考え方から、先ほど申しましたように、将来に対する社債返還の積立金というものが、必ず料金値上げの根本理由になる。しかしこれらの積立金は、現金で積み立てる必要は必ずしもないのでありまして、この大部分を拡張資金の方にまわすという考え方のもとに、今回七十六億という張拡資金がそこにできて来ているわけであります。でありますから結果から見ますと、料金値上げによつた益金によつて、建設をやつてみようじやないかということになりますが、これは学理的にいつて料金値上げによつて得た益金でもつて建設をやつても一向さしつかえないと思うのですが、今申しましたように、料金値上げの率はできるだけ最小限度にとどめるという精神から、積立金を利用する程度において建設勘定の方にまわすという意味にすぎないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/39
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040・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 大体わかるのですが、総裁の言われる四十億円の入る五箇年計画というものと、最近実質二割五分の収入のあることを基準にしてこしらえ上げた五箇年計画とは、その五箇年計画の順序が違つておるのではないでしようか。四十億円を加えた五箇年計画は、いわゆる将来とも預金部資金を加えての計算であつて、今度の実収二割五分の値上げを考えた五箇年計画の中には、将来ともに預金部資金が入つてなくても五箇年計画で遂行ができる、もし必要があつて、五箇年計画の中に預金部資金が借りられる場合、たとえば一般公募が困難であるから、その分だけを預金部資金から借りられるということはあり得ることでありましようが、そうでない限りにおいては、大体現在の市況、国民経済の大体安定した状況下という前提に立てば、今回の二割五分の値上を原則として、預金部資金を借り入れなくても五箇年計画はやつて行けるのだという建前での五箇年計画だと思うのですが、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/40
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041・梶井剛
○梶井説明員 かりに四十億の預金部資金を拝借しまして、そして二割五分の料金値上げをいたしたとするならば、建設勘定は現在の四百六十一億にとどまりません。それに四十億ばかり加えました五百億くらいに相なるわけであります。しかし四百六十一億というものがきまりましたのは、前年度、この前の解散になりました国会に提出した予算の程度において出すということに、政府の方針がきまつておりましたものですから、勢いそこに預金部資金が削られただけ規模が小さくなつたという経過になつております。従つて今後におきまして五箇年計画を実行するといたしますると、国家の財政の都合によりましては預金部資金を借りて、今回預金部資金をいただかなかつた分だけは、将来補給して行かなければならぬという結果を招くだろう、そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/41
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042・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 そうしますと、原則は五箇年計画に基いて今回の予算が組まれているのですが、今年度はそういう事情でもつて預金部資金がもらえなかつた。来年度ももらえない。将来五箇年間もらえないとなると、五箇年計画によつての建設計画はできないという計算になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/42
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043・梶井剛
○梶井説明員 今度の五箇年計画で申しますると、二十九年度におきましては建設資金が六百十億になります。昭和三十年度は五百七十九億、三十一年度は五百六十九億、その次が五百五十三億となつておりまして、初年度は特に四百六十一億というふうに小さくなつております。従つて今年度は預金部資金を借りられなくても、一応料金値上げによつてその資金がまかない得るわけでありますが、二十九年度以降におきましてはどうしても外部から資金を仰がないと、この予定通りには進行できない、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/43
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044・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 そうしますと、二十九年度の建設勘定のうち、預金部資金をどのくらい目当にしての計画になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/44
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045・梶井剛
○梶井説明員 これにつきましては一般公募の社債が、本年度は八箇月しかないからということで、七十五億に削減されております。来年は一年ありまするから、その場合において百億の社債が公募を許されると仮定いたしますると、預金部資金から約六十億になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/45
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046・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 三十年になるとどれだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/46
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047・梶井剛
○梶井説明員 三十年になりますと預金部資金が約十一億になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/47
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048・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 そういたしますと、来年度は本年度の不足分をある程度まで補充する関係もあつて、六十億円の預金部資金を加えなければ、五箇年計画が実行できないという計算になつておるのでありますが、三十年度は十一億ということで、結局預金部資金の漸減方針をとつているようです。その基礎はやはり郵政大臣が考えられているように、大体料金収入並びに一般公募等によつて建設勘定が将来まかなつて行けるという原則に立つての公社の案でもある、こういうふうに考えられるのですが、その点についてもう一度お尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/48
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049・梶井剛
○梶井説明員 この点につきましては、かなり長期間を要するのでありまして、一応五箇年計画におきましては、加入者負担金、加入者の負担する社債、一般公募の社債等をある程度仰がなければならないのでありますが、六年目からはわれわれは加入者の負担する社債をゼロにいたし、また預金部資金をゼロにいたしまして一般公募の社債も年々減額して参る。そうして十年たちました後におきましては、外部から仰ぐところの社債あるいは借入金等をなしに、自己資金によつて十一年以後におきましては還金をやつて行くという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/49
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050・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 大体五箇年計画の内容については了承することができました。そこで一般公募の場合ですが、一般公募社債については、大体本年度において七分四厘程度でシンジケートとの間に話がついたようですが、将来一般市場、公募市場の関係を見なければわかりませんが、もし預金部資金を借りることが困難で、一方において一般公募の方が可能である、こういう状態が起り得ると思うのですが、その場合、預金部資金を借りれば六分五厘、それとの利ざやがあるわけですが、そういう利ざやに対して、電信のごとき特別な企業を背負つておる公社としては、その利ざやを政府に補償せしめる、こういうお考えがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/50
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051・梶井剛
○梶井説明員 預金部資金の金利と一般公募の社債との利ざやに対しまして、政府から補給することを保証するという意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/51
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052・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 補給せしめるということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/52
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053・梶井剛
○梶井説明員 補給せしめる、——それはどうも大蔵省御当局から答弁していただきませんと、われわれはそういう財政に対する権限がありませんので、お答えができかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/53
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054・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 決定権は大蔵省、政府でありますが、要するにそういうことを要求する考えを持つておるかどうか。というのは、たとえば今度は鉄鋼補給金等が行われる。そういうようなぐあいに、その他肥料についてもある程度の補給金等が考えられておるのです。電報料金のごときは年間約七十億円の赤字を出しておる。これをわけて考えれば、当然これは政府の負担すべき性質のものであるが、それは電話収入によつてまかなつておる。どこの国でも事業形態が電信、電話一本として計算するプール計算になつておりますが、これを特別に考えますれば、電信事業については赤字を出しておる。従いまして政府としてはある程度、国鉄同様に、一般会計から繰入れてもよろしいのですが、公社の建前上はその制度ができておりませんからして、政府ができるだけ安い金利でこれはまわしてやる、こういう考え方があつてもよろしいと思いますし、公社がそれぐらいの主張をしてもよろしいと思うのです。従つて預金部資金を貸してくれないならば、それだけの利ざやは政府が補給してもよろしいのではないか、こういう見解のもとに大蔵省なり、政府なりに要求する意図があるかどうか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/54
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055・梶井剛
○梶井説明員 公社に対してたいへん御好意のある御質問でございます。私らももしそういうことが許されるならば、非常にけつこうだと思います。従つて今後大蔵省との間においてそういうことについて研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/55
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056・成田知巳
○成田委員長 ほかに御質問はございませんか。——御質問がなければ、ちよつと私の方から先ほどの橋本委員の質問に関連してお尋ねしたいと思いますが、先ほど橋本委員の方から給与ベースの引上げが行われる際に財源がない場合、一時借入金という方法はないかという御質問に対して、金光政府委員の方から予算総則の二十四条を援用されたように記憶しておるのですが、二十四条は、ここにも明記してありますように「昭和二十八年度において、経済事情の変動その他予測する二とができない事態に応ずるため日本電信電話公社が、臨時的に支給することのできる給与の限度額を二億円と定める。」ということになつておりまして、臨時の支給だと思うのですが、ベース・アップによる支給は二十四条には該当しないのじやないかと思いますが、いかがでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/56
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057・金光昭
○金光政府委員 先ほどの私の説明が少し足りなかつたと思いますので、その点補足して申し上げますが、ただいま委員長のお話のように、予算総則の二十四条は、これはあくまでもつなぎの規定でございまして、そういつたベース・アップ等の必要が起つた場合に、かりに予算の補正等をやらない場合に、その間だけに何か措置がないかということであれば、二十四条で規定しておる二億円を限度としては支給し得る、但しベース・アップそのものによる恒久的な財源につきましては、当然次年度の予算なり、あるいはその年度におきます予算の補正ということでなければ、これは不可能かと思います。あくまでもこれはつなぎの臨時的な措置であることは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/57
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058・成田知巳
○成田委員長 そこでこの経済事情の変動その他予測することのできない事態に応ずるための云々ということは、ベース・アップの勧告あるいは調停案の実施あるいは仲裁裁定の実施というものを含んでおると解釈してよろしゆうございますか。一応つなぎ資金といいましても、そう解釈していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/58
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059・金光昭
○金光政府委員 調停あるいは裁定等によりますその新しいベースの実施そのもののためにこれを使うということは、この趣旨からははずれるのじやないかと思いますが、そういつたような事態が生じて、非常に現在の給与ではきゆうくつだ、何とかそれを救う道がないかという場合の臨時的の措置としてのものが、この二十四条だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/59
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060・成田知巳
○成田委員長 くどいようでありますが念を押しておきます。原因はベース・アップにある、しかし財源がないのでつなぎ資金として出す場合には、この二十四条で二億円を限度として出すことができる。たとい原因はベース・アップでありましても、その年度内で予算措置が行われないから、つなぎ資金としては出すことができるのだ。二十四条を適用することができる、こういう御説明として解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/60
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061・金光昭
○金光政府委員 二十四条の給与の限度として認められております二億円というものは、現在の公社の給与総額から見ましたらまことにこれは微々たるものでございまして、半月分にも足りない、数日分しかないわけでございます。そこでそういつた新しいベースを前提といたしましてのつなぎということは、事実上不可能だと思います。そういう点で当然そういつたような新しい調停なり裁定がありました場合には、一定期日からの実施ということが当然前提になるわけでございましてそれを途中でやめるというのは、これは当然できないわけでございます。一旦実施するにあたりましては、当然その後において恒常的に引続き実施するということになりますと、この二十四条の金額というものは、ただいま申しましたようにわずか二日ぐらいだと存じますが、そんなものではほんとうにこれはすずめのなみだでございますので、つなぎ資金といいますが、ほんとうに暫定的なものしかこの二十四条ではやり得ないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/61
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062・成田知巳
○成田委員長 そうしますと、事実上つなぎ資金とはおつしやいましたけれども、ベース・アップの場合には、この二十四条では事実上救済できないというか、二十四条では満足さすわけには行かない、こうなるわけですか。たとえばつなぎ資金でしたら、年度末の三月二十七、八日ごろにあと二、三日という場合はこれでやれるが、ベース・アップの場合には二十四条ではやれないということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/62
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063・金光昭
○金光政府委員 今委員長のお話の通り、事実上ベース・アップの場合にはこれではできないということに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/63
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064・成田知巳
○成田委員長 政府委員の答弁に私はちよつと納得しかねるのですが、その条項はベース・アップを原因とする経済的変動には、原則として適用されない。従つてつなぎ資金も適用されない。もし適用されるということであれば、政府は二億円程度の金額を組むということがおかしい。相当の金額を組んでおかなければならない。だから経済的の変動によるところのベース・アップというような場合以外には、私は関係はないと思うのです。もしそういう場合においてもつなぎ資金として使えるならば、政府の二億円程度のものを計上したということの根拠がおかしい。法的解釈としては、もしそういうような場合においてベース・アップを原因とするつなぎ資金に使えるという建前であるならば、相当金額を組んでおくべきだと思います。おそらくその予算を組んだ場合において二億円程度を組んだというのは、そうではなくして、たとえば北九州の今度の災害のような場合において、特殊の状況ができたときには使えるのじやないかと私は思います。ですからその点修正条項があつたのです。参議院の新谷君が修正条項を加えられたので、その点は当時両院協議会も議を重ねたのですが、一応新谷君の説明を得てこれを認めたのですけれども、当時全般的な経済的変動、いわゆるベース・アップを生ずるような経済的変動には使用できない、こういうような建前で修正を加えた、こう私は解釈しておりますが、この点政府の答弁が少しはつきりしていないので、あらためてこの点についての御見解を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/64
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065・金光昭
○金光政府委員 ただいま橋本委員のおつしやいました中で、北九州の災害を例にお引きになつたのでありますが、この北九州の災害を復旧するために必要な超勤手当等の増額でありますれば、二十三条の第一項で「給与準則を実施するため必要を生じた場合」という方に該当するかと思います。そうでなしに、北九州の場合に部内の罹災者に対して、何らか臨時的な措置をやるという場合にはどうかというお尋ねであるとするならば、そういつた非常に小範囲の限定された範囲のものにこれが出せるかどうかということについて、またそういつたようなものを二十四条で規定しておるかどうかということについては、疑問があるのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/65
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066・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 そうしますといわゆるベース・アップを引起すような経済的変動、ベース・アップというのは経済的変動だから、ベース・アップになるのですが、そういう場合にも使われない、そうしてまた部分的なそうしたものにも使えない、そういうことになれば二十四条の規定は何のために残してあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/66
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067・金光昭
○金光政府委員 この経済事情の変動に使えないというのは、先ほども申しましたが、そういうベース・アップ等の新しいベースを実施するためには、これは使えないわけでございますが、経済情勢が変動いたしまして、物価等が騰貴する、そういつた場合の一時的な措置というもののために使うということであつて、金額の点についてはいろいろの問題等もあるかと思いますが、一応政府といたしましては、そういつたような臨時的な給与に使うということを二十四条では考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/67
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068・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 そういたしますと極端なインフレというようなことでしようが、そういたしますと、そういう方面に使えると仮定して、二億円を現在の従業員の頭に割当てたら、一人当り幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/68
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069・金光昭
○金光政府委員 ごく大ざつぱに計算いたしますと、一人当り約千三百円程度と存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/69
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070・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 そうしますと、そこでいうところの経済的変動というものは、ベース・アップを引起すような経済的変動より、もつと大きい変動じやないのですか。それは小さい変動ならばまた解釈のしようがあると思います。が、そうなると条項は一旦載せてあるが、実際上は実施できない規定だ、こういうことになりはしないかと思うのですが、それについての見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/70
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071・金光昭
○金光政府委員 実際問題として、金額がただいま申し上げましたような程度でございますので、それを使う場合というは一体どういう場合があるかというお話でございますが、一応われわれとしてはここに書いてありますような、そういう経済上の変動というようなことで、たとえばある程度物価が騰貴して、現在の給与に多少なりとも臨時的な給与を加えるといつたような場合を予想するわけでありまして、必ずしもこれが実際問題として使い得ないというわけでもございませんし、また、それでは一体どういう場合が予想されるかとおつしやられると、適切な具体例というものは、ただちに考えつかないわけでありますが、抽象的に申し上げますと、そういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/71
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072・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 そうしますと、結局その条項は、たとえば災害等のいわゆる部分的なものには使えない。そして一般的な、全体に分配するような経済的変動でなければ使えない、こういう解釈になるようです。そうだとすればこれはひとつ考えてもらわなければならぬのですが、やはりこれは相当金額の金をその条項のためにつぎ込まなければ、法律の条文が死んでしまう。文字通りに経済的変動その他予測すべからざることによつて起きた場合というように、厳格に適用するということになれば、せめて半月分くらいやれるようなものを組んでおかなければ、今どき千円くらい、これは物価騰貴になつたからやるのだというようなことでは、おかしいじやないかと思うのです。もしその法文があまりに適切ではないし、使う方針も明らかでないということであれば、後の適当な機会において修正すべきであるし、かつまたその通りに行うというのであるならば、やはりその適当な金額が予算面に計上さるべきであると思うのですが、それについての見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/72
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073・金光昭
○金光政府委員 二十四条で言つております臨時給与の限度額の二億円というのは、一応現在の政府の解釈といたしましては、予備費のうちで臨時に給与し得べき限度額を示しておるものだというふうに解釈しております。そういたしますと予備費としての十一億円の中で、臨時給与に出し得べき金をここで規定した、しかもこれは給与総額に対する一種の例外的な規定に相なつております。それらの予備費との関連におきまして、一応この金額を規定いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/73
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074・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 その点においてお互いに水かけ論になるわけですが、当時新谷君の意見では、少くも経済的変動及び予測すべからざる事態によつての給与であるからして、最低限度五億ないし十億ぐらいを組むべきではないかという見解が、実は非公式に述べられておつた。そういう金額が計上せられて初めてその法文が生きて来るのです。もし今言われるように予備金の中で、給与関係の費用として二億が計上せられておるのだということになれば、別にその規定を設ける必要はないのであつて、予備金だけもつて処理できる。予備金も人件費に流用できるのですからそれでもいい。そうでなくして別個の意味をもつて、当時の修正案は行われたとわれわれは解釈しておるのです。そういう意味では今の政府委員の返答だけで十分に納得できないのですが、将来どういう考えを持つておられるかを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/74
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075・金光昭
○金光政府委員 この臨時給与に関します参議院における修正につきましてはいろいろと御意見がありまして、ただいま橋本委員のおつしやいましたような意図のもとになされたかと存じますが、現在の公社法なりあるいは予算との関連で見ますと、一応建前といたしましては先ほど私が申し上げましたような解釈に相なるわけでございまして、将来の点につきましてはさらに考究いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/75
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076・齋藤憲三
○齋藤委員 先ほど橋本委員の質疑にもありましたが、十五国会に五箇年計画として提案せられました中に、四十億円の資金がある。それを今回は削除しておられる。これが一般的に非常に大きな問題として響いております。これは郵政大臣は自分が就任してから考えがかわつたのだという御答弁があつたのでありますが。それは別問題といたしまして、ただいま総裁の御説明を伺いますと、二十九年度には六十億円の資金運用部資金を使わなければいかぬ、それは初年度において四十億の資金運用部資金をもらわないでおいて、二十九年度に六十億円の資金運用部資金をもらえるというお見通しがついておるのですか。その点ひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/76
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077・梶井剛
○梶井説明員 これはこの次の予算編成の際に初めて起る問題でありますが、本年度四十億削られたということは、本年度における国家財政の都合によつて削られたとわれわれは解釈しております。従つて二十九年度に対してはまつたく新しい問題としてわれわれは考え得るわけでありますから、今年度四十億なくなつたから、来年はそのままゼロでなくてはいけないというわけではないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/77
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078・齋藤憲三
○齋藤委員 もし国家財政の状態から六十億の資金運用部資金がもらえなかつた場合には、一体この五箇年計画はどういうように変更せられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/78
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079・梶井剛
○梶井説明員 これは必ずしも資金運用部資金と限定されておりません。いわゆる一般公募の社債あるいは資金運用部資金、こういうふうに考えておりますので、もし資金運用部資金が思う通りないという場合に、その補充といたしまして一般公募の社債金題を増していただけば、それでも可能なわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/79
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080・齋藤憲三
○齋藤委員 先ほどの総裁の御説明を承つておりますと、十五国会における五箇年計画というものは、これは悪い言葉で申しますと、思いつきのようなと言つては語弊がありますが、深い確定的な計画がなくして五箇年計画という線を打ち出されたように私は承つたのであります。これは私速記録を読んだのでありますが、四十億の資金運用部資金と、それから基本料金一割の値上げ、こういうので五箇年計画の線を打ち出しておられるのであります。その際墓穴料金の値上げだけでは、この五箇年計画は遂行できないのではないか、なぜ度数制度の値上げをしないか、こういう質問がたくさん出ておるようでございます。それに対しては、一昨年十一月に二円の料金を五円に、二倍半値上げをしておることであるから、当分数度制度の値上げはしないつもりであるという御答弁になつておるのであります。これも相当響いておる。一昨年の十一月二円のものを五円に上げたから、当分度数制は値上げをしないで、四十億の資金運用部資金と、それから公債その他によつて五箇年計画をやつて行くのだ、速記録を読むとこういうような感じを受けるのです。それが今度は、四十億の資金運用部資金がなくなつて二割五分の値上げ、ことに五円のところは十円に値上げをする、そういうようなことで、この問題が非常に世間の注目を浴びるようになつておるのであります。先ほど来橋本委員との間のいろいろな質疑応答を承つておりますと、四十億の資金運用部の金をもらえなかつたというのは、これはもらえないのでなく、もらわなかつたのじやないか、何らの努力をしなかつたのじやないか、こういうふうに感じられるのでありますが、それに対しては十分な御努力をなさつたのでありますかどうか、それをひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/80
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081・梶井剛
○梶井説明員 実情を申しますると、この前に立てました五箇年計画の際には、社債というものは全然考えておりませんでした。依然として運用部資金を借りて行けるものという考えのもとに五箇年計画を立てました。ところが予算折衝の途中におきまして運用部門資金が社債にかわつてしまつた。従つて社債というものは、資金運用部のごとく長期に借りることはできない、ある程度年限が来たならば返さなければならない、この返済のいわゆる減債基金的なものが必要であるというようなことを、われわれとしてはその当時に十分考えていなかつたという意味であります。そしてまた今度の料金値上げに対して度数料金を上げておる、前の場合においては基本料金だけをやつておる、その間に矛盾があるではないかというお話でありますが、その当時私といたしましては、一割の料金値上げということで交渉したわけではなかつたのであります。しかし大蔵省の意向としましては、鉄道が一割の値上げに決定されたのです。従つて同じ公社であるから、一割以上の値上げということは好ましくない、でありますから一割の値上げにとめなくちやいかぬということで、一割ということになりますると、度数料金にあまり五十銭とかいうようなはした金をつけることができません。従つて基本料金だけでこの一割の増収を出す以外に方法はなかつた。料金そのものに対する根本的な検討をしましたならば、これは現在の基本料金が安過ぎるか、あるいは高過ぎるか、そういうことまで十分検討しなければならぬのでありますが、究極一割の範囲というふうになりますと、ただいま申しましたように基本料金だけに手をつけるよりなかつたという次第であります。今度の二割五分に対しましては、基本料金だけで二割五分上げるということになりますと、これは均一料金制のところ、度数料金制のところ、いろいろな関係がありまして困難でありまして、どうしても度数料金まで変更いたしませんと、二割五分の料金値上げが公正に出ない、こういうことになつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/81
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082・齋藤憲三
○齋藤委員 一昨年の度数料金の値上げ、それから第十五国会の基本料金の値上げ、また今回の二割五分の料金の値上げ、そういうふうに考えて参りますると、これは政府当局にもたださなければなりませんが、どうも常に電話拡張五箇年計画には変動が伴うように考えられるのであります。二倍半の度数料値上げをやつたから、当分度数料の値上げはいじらないのだ、こう言うて基本料金の一割値上げで五箇年計画をやつて行く。まだ三箇月もたたないうちに、それではいかないから二割五分の値上げをやつて、今度は五箇年計画を立てて、四十億の資金運用部の金が使えるような態勢になつておつたのを、それをもらわないで、今度は全然資金運用部の金にたよらないのかというと、二十九年度には六十億振り込んである、こういうふうに常に変化いたしますと、一般の人々は、今そういうことを言つておるけれども、また今度は六十億の資金運用部の金をもらえないと、さらにまた値上げをやるのじやないかというようなことまで心配するのであります。これは政府当局の決意もたださなければならぬのでありますけれども、今日計画せられておりまする電話拡張計画の建前から申しますと、今度の二割五分の値上げをいたしますれば、将来は絶対に値上げを行わないでやり通せるという総裁としての御決意があるのか、お見通しがあるのか、この点を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/82
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083・梶井剛
○梶井説明員 もちろん将来のことでありますから、われわれとして予想のつかない点もございます。しかし現状からわれわれが予想を立てました範囲におきましては、二割五分の料金値上げをいたしますれば、約十年間は料金値上げをやらぬでいい。むしろ十年後におきましては、先ほど申しましたように料金値下げを、あるいはし得るのではないかというぐらいに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/83
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084・成田知巳
○成田委員長 私、もう少し質問させていただきたいと思うのですが、今の二十四条の御説明で、金光政府委員の方から、この二億円というのは予備費から臨時の給与に充てるところの限度を示したものだという御説明があつたと思うのであります。一昨日私が塚田郵政大臣に質問しましたときに、予備費の性質で、最初災害復旧費を中心にするような塚田郵政大臣の御説明があつたのでありますが、公社法の四十五条を見ましても、「災害の復旧その他避けることができない事由」ということになつておつて、災害の復旧は一つの例示にすぎないのであります。だからペレス・アップその他についても、予備費というものは流用できるのではないかという質問をしましたら、大体私の言う通り考えておるという御答弁があつたのですが、今の金光政府委員の説明によりますと、この二十四条が規定しているところは、予備費のうちで給与関係に支給するところの限度、すなわち二億円を規定したのだという御説明でありまして、二十四条の表現と四十五条の表現とを見ますと、表現が異なつておる。二十四条は「経済事情の変動その他予測ずることができない」という非常に突発的なことを予想しておる。それから四十五条には「災害の復旧その他避けることができない事由」とあります。従つて二十四条と四十五条とは関連がないので、給与に対して、災害復旧がなければ二億円という限度はなくして、予備費の範囲内で支給できるのだ、こう解釈するのがほんとうではないかと思いますが、いかがでしようか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/84
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085・金光昭
○金光政府委員 この予算総則の二十四条というのは、ただいま委員長の御指摘になりました公社法の四十五条でなしに、むしろ給与準則の七十二条の但書を受けてつくられたものなのであります。その点で四十五条には「災害の復旧その他避けることができない事由」と書いてありますが、七十二条の方は、この予算総則と同じことをこの公社法の中にうたつてあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/85
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086・成田知巳
○成田委員長 従つて四十五条の予備費というものは、災害復旧その他避けることができない事由による支出予算の不足を補う、こういう意味で、人事院の勧告あるいは仲裁裁定があつた場合、それをある程度充当するために、それを実施するために四十五条の予備費は使えるものだ、こう解釈してよろしゆうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/86
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087・金光昭
○金光政府委員 そういつた場合には、四十五条の予備費及び場合によりましては経費の流用というようなことで実施することはさしつかえないのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/87
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088・成田知巳
○成田委員長 今の御答弁で、四十五条はベース・アップの一部に充当するために予備費を支給することができると解釈してさしつかえないと思いますが、経費の流用ということになりますと、それは予算総則のどの関係なのでしようか。二十三条を言つておられるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/88
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089・金光昭
○金光政府委員 公社法の五十三条でございます。予算の流用……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/89
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090・成田知巳
○成田委員長 この五十三条と予算総則の二十三条との関連、二十三条は、この予算の基礎となつた給与準則を実施するため必要を生じた場合においては、経費の流用ができるとなつている。この予算の基礎となつた給与準則というのは、ベース・アップ前の給与ですね。それを基礎とした給与準則だと思うのですが、その関係はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/90
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091・金光昭
○金光政府委員 公社法五十三条の予算流用に関しましての規定は、この予算総則ではむしろ十九条でございます。十九条で一応予算で指定する経費についての彼此流用については、郵政大臣の承認を受けなくちやいかぬということで、予算総則におきましては役職員給与というものは流用禁止項目にしておるわけであります。これを流用する場合におきましては郵政大臣の承認を受けなくてはならぬ。今度は、ただいま委員長の御指摘になりました二十三条一項の予算の基礎となつた給与準則を実施するため必要を生じた場合といいますのは、この定められた給与準則自体を実施することをいつておるわけでありまして、たとえば扶養手当を例にとりましても、一応予算では扶養手当は平均一人当り一・三人と現在公社では見ておりますが、ところが扶養者というものが予算の見積りより案外多くなつて、一・五になさざるを得なくなつたというような場合につきましては、この二十三条で給与総額を変更するということができるということをいつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/91
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092・成田知巳
○成田委員長 ベース・アップの問題で調停案の発表も近くあるように聞いておりますが、現行の給与ベースを相当上まわると思いますが、もしそれを実施するということになりましたならば、十九条の規定で予算の流用をやつて実施なさる、こういう方針と解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/92
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093・金光昭
○金光政府委員 それにつきましては、一方公社法の七十二条におき序して、給与準則というものは予算で定められた給与の総額を越えてはならないということがあるわけでございまして、ただいま委員長のおつしやつたようなベース改訂になりますと、おそらく給与総額を越えるということになると思います。越える場合は先ほど申しましたような、たとえば二十二条あるいは二十三条、二十四条の場合でございまして、ただいまのような全面的なベース改訂等になりますれば、今の三つの場合でとうてい救えないわけでありまして、それは当然給与総額の変更ということになり、予算の補正を伴わなければ実施できないということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/93
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094・成田知巳
○成田委員長 そういたしますと、もし近い将来に調停案が下されまして、一般公務員については人事院の勧告がある、こういう場合に調停案実施が妥当だとお考えになつても、現在の予算では事実上できないということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/94
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095・金光昭
○金光政府委員 現在の予算においては実施できないのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/95
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096・成田知巳
○成田委員長 その点について公社側の御意見を承りたいと思いますが、今政府側は現在の予算で実施できないとお話になつたのですが、この委員会のしばしばの質問で、合理化とかその他の面である程度の給与ベースの改訂が実施できる、こういうような御答弁があつたと思うのですが、公社側の御意見はどうでありましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/96
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097・靱勉
○靱説明員 今委員長のお言葉の中に、この予算内で何とかできるという発言はどなたがされたか存じてないのでありますが、大体ただいま御審議を願つております予算におきましては、すでに郵政大臣、総裁から申し上げた通り、本年度の損益勘定は非常に詰めておる。前年度に比べましてふえたのは何かというと、償却、利子あるいは郵政省に委託しておる委託経費、人件費の割合がふえておりまして対照表をごらんになると約七十億近くふえておる次第であります。これは昨年十一月に実施しましたベース・アップの結果ふえておるのであります。これとても人員は減らされて、実質的に申しますと、二十七年度の実在員より二十八年度の実在員はむしろ減になるという形になつておるのでありまして、予算書にも盛られてある通り、定員的には六、七千人の増ということになつておりますが、前の新規定員等も全部今度はひつくるめて入つて参つておりますので、給与総額からいたしますれば、実質的には非常に詰められた損益勘定予算になつております。その中から建設勘定に持つて行く、さらにまた料金値上げに伴う必要なる減価償却は料金値上げで補填して、剰余金を建設改良費の方にまわすという形をとられておるために、損益勘定としましては非常に圧縮された予算額ということになつておるわけであります。私ども料金値上げをする場合に、常に損益勘定にむだがあるかないかということをよくされるわけでありますが、この点につきましては公社側といたしましてもずいぶん合理化をやつて参りまして、先日も申し上げた通り、非常に能率が上つたという結果になつております。そういう次第でありまして、今後打開するところはどこかといいますれば、さらに工事を促進して早く改築工程が伸びて行く、そうすると予算以上に収入が上つて来るということも考えて参らなければなりませんし、今回の料金値上げによりまして、市内市外とも減収率を見ております。これは私ども決して甘い減収率をごまかして載せておるわけではないのであります。サービス改善を実施すれば、料金の絶対収入としてやはり減つて来るのではないかという点も見ておりますし、自然増はすでに予算において二%の増というものが織り込まれておる次第なのであります。しかしこれにつきましては、できるだけ利用減が少くないように、また完全通話がだんだんできて参りますれば、通話の疏通というものが多くなるということに若干の期待をかけておるという形でありまして、いかなる調停案が示されるか私ども今のところわかりませんが、三十億、四十億も必要とするような調停案でありますと、これは予算の組みかえ等がなければとうてい実行できない、こういうように私ども観測いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/97
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098・成田知巳
○成田委員長 ただいま靱説明員から、公社は能率が非常に上つて来たという御説明があつたのですが、これに関連しまして、先ほど橋本委員の借入金についての質問だつたと思いますが、予定よりも収入が上まわつた場合、それをベース・アップその他に流用することができるかどうかという御質問に対して、庄司政府委員の方から、国会の承認を得た場合にはやれるだろうという御答弁があつたと思うのですが、予定よりも能率が上つて収益が増加するということは、公社側で相当科学的な予算をお組みになつておるのですから、その科学的な予算を上まわつて収益が上つたということは、大体職員の能率向上によるものが多いと思うのです。そういう場合には二十三条の二項で、国会の承認を得なくとも、郵政大臣の承認でございますか、これによつて当然職員の給与に充てることができる、こう解釈していいと思うのですが、いかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/98
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099・庄司新治
○庄司政府委員 お答え申し上げます。私の説明が足らなかつたかと思うのですが、今委員長の御指摘なさつたようなことは言わなかつたつもりですおそらく私がこういうことを申し上げたのを、そうおとりになつたのじやないかと思いますが、予算を国会に提出する場合に、収入よりも支出の方が上まわつたような予算、いわゆる赤字予算を国会に提出して国会で承認されれば、赤字になつても支出のわく内は全部使えるでしよう、しかしその場合といえども、公社の経営という立場からいうと、それは一抹の経営上の疑念が残る、こういうことを申し上げたと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/99
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100・成田知巳
○成田委員長 今私が申し上げました場合は、二十三条で当然支給できると解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/100
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101・庄司新治
○庄司政府委員 今の場合は二十三全で、国会の承認を得なくともすでにそういう原則を国会で承認されておりますから、郵政省の認可でできるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/101
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102・成田知巳
○成田委員長 本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
午後四時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604847X01219530709/102
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