1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年五月二十六日
足立 篤郎君 綱島 正興君
平野 三郎君 金子與重郎君
足鹿 覺君 佐竹 新市君
安藤 覺君
が理事に当選した。
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昭和二十八年五月二十七日(水曜日)
午前十一時二十五分開議
出席委員
委員長 井出一太郎君
理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君
理事 平野 三郎君 理事 金子與重郎君
理事 足鹿 覺君 理事 佐竹 新市君
理事 安藤 覺君
木村 文男君 小枝 一雄君
佐藤善一郎君 佐藤洋之助君
松岡 俊三君 松野 頼三君
松山 義雄君 加藤 高藏君
吉川 久衛君 芳賀 貢君
古屋 貞雄君 山本 幸一君
稲富 稜人君 川俣 清音君
根本龍太郎君 久保田 豊君
出席政府委員
農林政務次官 篠田 弘作君
農林事務官
(大臣官房長) 渡邊 伍良君
農林事務官
(農林経済局
長) 小倉 武一君
委員外の出席者
総理府事務官
(経済審議庁調
整部長) 岩武 照彦君
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五月二十六日
委員井谷正吉君辞任につき、その補欠として古
屋貞雄君が議長の指名で委員に選任された。
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五月二十六日
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九号)
同月二十七日
農業災害補償法の臨時特例に関する法律案(井
出一太郎君外二十四名提出、衆法第一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
国政調査承認要求に関する件
委員派遣承認申請に関する件
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九号)
農業災害補償法の臨時特例に関する法律案(井
出一太郎君外二十四名提出、衆法第一号)
凍霜害対策費に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/0
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001・井出一太郎
○井出委員長 これより会議を開きます。
昨日本委員会に付託になりました内閣提出農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたし審査を進めます。
まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。篠田農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/1
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002・篠田弘作
○篠田政府委員 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明いたします。
農業災害補償制度につきましては、本制度実施五年の経験に徴しまして、さらに農家負担の軽減、蚕繭共済制度の改善、共済団体の性格に即した監督の適正化等必要な改善を行い制度の円滑な運営を期するため、この法律案を提案する次百であります。以下この法律案の主要内容について御説明いたします。
第一は、共済掛金の農家負担の軽減及び災害の危険度に応じた共済金額の個別化であります。農作物共済の共済掛金の負担につきましては、従来通常共済掛金標準率が全国を通じて最低となる県の通常共済掛金標準率部分を全国共通に全額農家負担としておりましたが、全般的に農家負担を軽減するために、通常共済掛金標準率のうち安全割増率を差引いた率のうち全国を通じて最低のものの三分の一の部分を新たに国庫負担とすることといたしました。なおその結果従来の方法によりますと、被害の程度の低い地域の国庫負担割合が少かつたのでありますが、これらの地域についても国庫負担の割合の合理化が期せられることになりました。
また蚕繭共済の共済掛金の負担につきましては、国庫と農家との負担を合理的にするために、農作物共済の負担方法の改善と併行してこれと同様の負担方法とすることといたしました。
さらに共済金額の個別化につきましては、被害の危険階級ごとにある程度の幅を設けてその範囲内で共済金額を選び得るように改正をいたしました。
第二は蚕繭共済制度の改善であります。蚕繭共済におきましては、現行法によりますと共済事故による減収が組合員の平年収繭量の四割以上の場合に共済金を支払うこととしておるのでありますが、農業災害補償法の目的を十分に達成するために三割ないし四割の減収の場合にも共済金を支払うことといたしました。また蚕繭共済は、現行法では、全蚕期を通じた保険の建前となつております関係上、共済掛金率は、春蚕繭も夏秋蚕繭も同率で、このため春蚕繭については掛金が割高、夏秋蚕繭については割安という不合理があり、また最終蚕期の収繭が完了いたしませんと再保険金の額が決定しないため、共済金の支払いが遅れるという支障がありましたので、これを蚕期別保険の建前に改め、春蚕繭と夏秋蚕繭の被害の実態に応じて掛金率を個別化いたしますとともに、再保険金の額を蚕期別に決定することにより共済金の支払いの円滑をはかることといたしました。
なおこれらは従来から検討を進めて参つた問題でありますが、蚕繭共済の料率改訂期となつております本年からこれを実施し、本年の春蚕繭にさかのぼつてこれを適用することといたしたのであります。
第三に共済団体の運営につきまして、農業災害補償制度の一環としての特殊な性格にかんがみまして、公益的見地からの適正な監督を行い得ることとし、また役員の責任を明確ならしめることといたしました。
以上がこの法律案の大要でございます。
なお今年産水稲及び陸稲につきましては、その引受の時期が迫り、これが遅滞いたしますことは、今後の制度の運営に悪影響を残すこととなりますし、蚕繭及び麦につきましては、特に今年四月から五月にかけての凍霜対策の重要な一環として改正された制度により算出される再保険金の概算払いが強く要望され、政府といたしましても、数字がまとまり次第すみやかにこれを実施いたしたいと考えておりますので、本法年を緊急に提案した次第でありますから、何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/2
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003・井出一太郎
○井出委員長 この際暫時休憩いたします。
午前十一時三十一分休憩
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午後二時二十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/3
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004・井出一太郎
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。まず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。御承知の通り委員会が付託事件の審査のほかに国政に関する調査を行いますには、衆議院規則第九十四条によりまして、議長の承認を得ることが必要になつております。本委員会といたしましては、米麦の価格、管理制度等の問題を含む食糧に関する事項、農家現金支出の大宗をなす肥料問題、その他畜産、蚕糸、農地、林野、農林金融、農業団体に関する事項等、農林業における重要な問題について逐次調査を行い、その成果を期したいと思います。つきましてはこれらの事項について議長の承認を求めることにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/4
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005・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。
なお調査方法、調査期間等につきましては従来通りとすることにいたしまして、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/5
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006・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/6
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007・足鹿覺
○足鹿委員 ただいま国政調査を御決議になつたのでありますが、これに関連をいたしまして、過般の全国にわたる凍霜害の現地調査についてお諮りを願いたいのであります。農林省当局としては、すでに大臣も現地を御調査になり、またわれわれも個人の資格において、それぞれ地元あるいは東京都近郊においては若干現地を調査いたしておりますが、衆議院の農林常任委員会といたしまして、この未曽有の凍霜害に対して正式の調査団を現地に御派遣を願うことをお諮り願いたいのであります。その方法等につきましては委員長に御一任を申し上げますので、お諮りを願つて、しかるべく御決定を願いたいと存じます。ただ希望として申し上げたいことは、必ずしも時宜を得たとは思いませんが、これは国会の構成しようやく昨日本委員会も成立をいたしたのでやむを得ないのであります。従つて、でき得る限りこれをすみやかにとりはからい願いまして、もし本院が自然休会になりました際には、その劈頭に二班あるいは三班程度に全員を御編成になりまして、東京及びその以北と、東京以西というふうにでも区分を願いまして現地を調査するとともに、被害農民に対しては親しく慰問の言葉も述べ、またこれが今後のとるべき対策等につきましても、いろいろ現地の実地の実情を正確に把握しておきたいと考える次第でございます。どうぞお諮りを願つて、ただちに実行に移していただくようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/7
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008・井出一太郎
○井出委員長 ただいま足鹿君の御発言はお聞き及びの通りでございます。今次の凍霜害は、ほとんど全国にわたつて農作物に対して甚大な被害を与えたわけでございます。本委員会においてもこれに対する法的措置を講じつつあるところでありますが、今後農業災害対策に関する基本的な方策を樹立いたしますためにも、現地調査の必要があろうかと思うのであります。つきましては、この調査のため委員派遣の承認を議長に申請いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/8
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009・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。なお派遣委員の氏名、派遣期間、派遣地名等につきましては、ただいまの足鹿君の御要望の線に沿いまして、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/9
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010・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/10
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011・綱島正興
○綱島委員 これは前の農林委員会のときの委員長が大体御決定を願つておつたようでありますが、長崎県の地すべりであります。これは非常にひどい状態であります。数箇町村にわたつて地すべりがございまして、はなはだしきは大きな山が二つに割れておるような状況でございまして、そのために、他の運転関係、建設関係等は割合に早く復興ができておりますが、農林関係は非常に遅れておりまして、地元が耕作等にも非常に困つております。前のときに解散がなかつたら御調査を願うような順序になつておつたのであります。これもあわせてひとつおとりはからいを願つておきます。一定の数の委員をもつて御調査を願いたいと思います。これも実は非常に時期が遅れてしまつたのですが、どうぞお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/11
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012・井出一太郎
○井出委員長 ただいま綱島君の御要望は、先ほど総括的に委員長に御一任願つた線において善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/12
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013・芳賀貢
○芳賀委員 本日北海道庁より無電の連絡があつたのですが、北海道においては、五月十六日から十九日にかけて凍霜害があつたわけです。これは空知、上川、胆振、日高、留萌、後志、檜山、渡島の八支庁管内におきまして一番被害を受たのが水稲の温冷床であります。御承知の通り北海道はまだ移植前であります。この温冷床が大体全道にわたつて八十四万坪の被害を受けておるわけであります。これに対しましては、一部復旧するようなことも予想できますけれども、ほとんどが二番苗の仕立て、それから直播にこれを直さなければならないというような状態であります。なお畑作につきましては、麦類、とうもろこし、亜麻、ビート等の被害がだんだん現われて来ておるわけであります。委細につきましては、北海道庁事務所よりまた農林省当局に対しても具体的な数字が提出されると思いますけれども、この内地府県における凍霜害対策に含めていただいて、同じような取扱いをしていただきたいということを、あわせて御承認願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/13
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014・井出一太郎
○井出委員長 ただいま芳賀君から、新たに北海道における凍霜害の問題が提起せられました。これも御要望の通り、内地の凍霜害にあわせ関連をせしめて取扱いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/14
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015・井出一太郎
○井出委員長 さようとりはからいます。
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016・井出一太郎
○井出委員長 この際お諮りいたします。ただいま、井出一太郎君外二十四名提出、農業災害補償法の臨時特例に関する法律案が本委員会に付託せられました。これより本案を議題といたし、審査を進めたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/16
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017・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。
それでは本案の趣旨について提出者の説明を求めます。金子與重郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/17
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018・金子與重郎
○金子委員 ただいま議題と相なりました、井出一太郎君外二十四名提出にかかります農業災害補償法の臨時特例に関する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。
農業災害補償制度につきましては、昨年第十三国会以来その根本的改正が論議されて来たのでありますが、前国会において同法の一部改正法案が審議未了となりましたため、制度上空白が生じておりましたところ、今回の凍霜害をみるに至つたのであります。そこでこの制度の根本的改革に関する検討とは一応切り離し、今回の凍箱書対策の一環として、直接関係のある昭和二十八年産の蚕繭と麦につきまして臨時特例を設けて、一刻も早く制度上の空白を埋め、対策の完璧を期そうとし、この法律案を提出することとした次第であります。以下この法律案の主要内容について御説明いたします。
第一は、昭和二十八年産の蚕繭について、蚕期別保険の実施及び対象とする損害の範囲の拡張であります。蚕繭共済におきましては、現行法によりますと、共済事故による減収が組合員の平年収繭量の四割以上の場合に共済金を支払うこととしておるのでありますが、農業災害補償法の目的を十分に達成するために、三割ないし四割の減収の場合にも共済金を支払うことといたしました。また蚕繭共済は、現行法では、全蚕期を通じた保険の建前となつております関係上、共済金率は、春蚕繭も夏秋蚕繭も同率で、このため春蚕繭については掛金が割高、夏秋蚕繭については割安という不合理があり、また最終蚕期の収繭が完了いたしませんと再保険金の額が決定しないため、共済金の支払いが遅れるという支障がありましたので、これを蚕期別保険の建前に改め、春蚕繭と夏秋蚕繭の被害の実態に応じて掛金率を個別化いたしますともに、再保険金の額を蚕期別に決定することにより共済金の支払いの円滑をはかることにいたしました。
第二は、蚕繭共済の共済掛金の農家負担の軽減及び災害の危険度に応じた共済金額の個別化であります。蚕繭共済の共済掛金の負担につきましては、従来通常共済掛金標準率が全国を通じて最低となる県の通常共済掛金標準部分を全国共通に全額農家負担としておりましたが、それを、通常共済掛金標準率を定めるため基礎とした平均被害率が、全国を通じて最低となる都道府県のその平均被害率の部分の三分の一を、全国を通じて新たに国庫負担とすることとし、また従来は超異常という部分は事実上はなかつたのでありますが、新料率においてこの部分が出て来ましたのでこの部分が全額国庫負担となり、異常部分を二分の一国庫負担に改め、通常、異常、超異常の合計において農家負担の軽減をはかることとしたのであります。さらに共済金額の個別化につきましては、被害の危険階級ごとにある程度の幅を設けて、その範囲内で共済金額を選び得ることとすることができるようにいたしました。
第三は、昭和二十八年産麦の掛金の農家負担の軽減の問題であります。これは通常共済掛金標準率を定めるため基礎とした平均被害率が全国を通じて最低となる都道府県のその平均被害率と当該都道府県の通常共済掛金標準率との差に相当する部分は、従来全国を通じて共通に全額農家担でありましたものを、この部分の二分の一は新たに国庫負担とすることとしたのであります。
以上がこの法律案の大要でありまして、今回の凍新害対策としては不可欠緊急のものでありますから、慎重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願いする次第であります。
なお先ほど政府より提出されました法律案につきましては、これも本年度の共済運用上緊急を要するものでありますので、この問題の審議を終りまして決定の後、すみやかにこれもあわせて相談を進めていただきたい、これもこの法案に関係いたしておりますので、お願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/18
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019・井出一太郎
○井出委員長 本案に関し質疑または御意見があれば、発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/19
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020・川俣清音
○川俣委員 この際政府にお尋ねしておきたいと思うのですが、政府から農業災害補償法の一部改正に関する法律案が午前中に提案されております。これと関連して将来どういうふうに災害補償法を運用して行こうと考えておられますか、この点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/20
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021・小倉武一
○小倉政府委員 はなはだ微妙なむずかしい問題でございますので、事務的に御答弁ができるかどうかも懸念をされるのでありますが、現在の法制の上に、さらにただいま御提案になりました特例法が成立したという仮定のもとにお話をいたしますと、こういうことになると思います。二十八年産の陸稲、水稲につきましては、これは現行法制がございまするので、制度そのものを確実に運用して行くということになりますと、現行法でもつて運用して行くということに実はなるのであります。あるいはまた、そうでありますれば、予算もそういうことに組むということになるのでありますけれども、それでは本日臨時特例法として御提出になりました趣旨とも若干違うというふうにも思います。従いまして、われわれ事務当局といたしましては、でき得る限り農家の災害補償がよりよくなるようにという方針のもとに、事務的な手続を進めたいと思つております。従いまして、りくつを申しますれば、現行法があるのだから、現行法で仕事を進めて行くということが当然でございますけれども、しかし一方若干の改正も予想されますので、またしたいというふうに考えておりますので、もしそういう法案が成立いたしました場合に、さかのぼつて適用することができないということのために、非常に農家経済に不利益を与えるということのないように、他方事務的な準備は進めて行きたい、かように存じておるわけであります。
なお私どもから特例法につきまして、とやかく意見を申し上げることは遠慮いたしたいと思いますけれども、災害補償というのは、特に農業の災害補償でありますので、長期的な均衡ということが非常に重要な問題だと思うのであります。従いまして、本来ならば、被害について一年限りの措置をとるということは、共済制度、補償制度の根本の建前とは、実は非常に異例になると思うのであります。従いまして、私どもといたしましては、至急恒久的な制度に乗せていただくことが必要ではないかと思いまするし、また私どももそういうことに努力いたしたい、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/21
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022・古屋貞雄
○古屋(貞)委員 ただいま農林省の政府委員から恒久的なということでありますので、実は参考に承りたいのです。現在の農業災害補償法が、一方においては共済的な関係があり、そうして共済連合会との間に保険契約があり、それを政府が再保険しておるという関係から、この法律自体が矛盾撞着になつておる。看板だけよくして、ここに載つておる災害補償法という精神は、この内容には盛られていない。従いまして、今の恒久的な考えというのは、恒久的な対策としては、根本的にこれを改めるような考えがあるかどうか。保険の建前と共済の建前とは、根本から矛盾しておる。従つてそれが一つの法案の中に包含されておる関係上、完全な目的が達せられない、かように私どもは考えておるのです。従いまして、恒久的に何とか考えるというお考えであれば、これを根本的に改正しようとお考えになつておるのか、それとも別にこの農業災害補償法という、すなおに読み上げたこの題目、この法案の名前の趣旨に基くような法案に改正するお考えであるのか、これを承つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/22
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023・小倉武一
○小倉政府委員 ただいまのお尋ねでございまするが、もちろん根本的な改正ということにつきましては、御趣旨のように、法案の名前に即応するような内容をつけて行くということが、建前でなくてはならぬと思うのであります。但し今の制度が再保険、保険、共済、こういう複雑な関係になつておりまして、その点がすつきりしないのではないかというお話でございまするが、これは農家経済の状態でありますとか、あるいは農業災害というものが、普通の災害と非常に態様が違つておるという特殊な被害のものでございますから、普通の社会保障ないし保険制度とは、そこにやはり相当の意味合いの違いが出て来るのもやむを得ないのではないかと考えております。なおつけ加えて申しますと、根本的な改正の問題といたしましては、一昨年から農家単位の共済保険につきまして臨時特例をやはり御制定いただきまして、これに基いていろいろ資料もそろえておりますので、そういうことも一つの重要な参考資料にいたしまして、根本対策を練り直したい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/23
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024・古屋貞雄
○古屋(貞)委員 ただいまの御答弁がありまして、大体私も納得が行くのですが、現在のような農民の耕作の仕事の上におきましては、これは天候を相手に取組んで仕事をやつております。天災地変というものは、いつも農民の責任にあらずして起る。従いまして、従来はその天災地変、不可抗力による損害を、農民自身に、日本の農業政策は負担さしておる。従いまして、農民は一方においては低米価、低賃金政策によつて苦しめられ、かような避くべからざる災害が起つて苦しめられる。農民自身の経済の弾力性というものはないのでありまして、今回のような災害が起きると、ほとんでその日の生活に困る。かような関係におりまする農民を、共済の制度でみずからお互いに助け合うということを考えること自体に、私は大きな疑問がある。もう一つは、一方においてわが国は二千万石も食糧を買い込んでおる。それを買わなければ日本の国民は生活できない。従いまして外国に相当な支払いをしておる。一方では増産しなければならない至上命令に置かれておるのみならず、増産に対して非常な補助金を出し、開墾を奨励しておる。あるいは土地改良の費用をたくさん計上しておる。しかしながら現在のように、良田が天災地変で災害をこうむつて、農民が良田で耕作ができないような事情に陥つたような場合には、これは根本から救つてやらなければ、農民生活の安定、増産計画なんというものは、机上の空論に終つてしまうと思う。開墾を奨励し、土地改良をいたしましても、その根本になる良田の生産ができない。その場合に一体政府はどうするかということが大きな問題である。今回の皆様の御心配をいただいておるような共済の問題もそこにあると思うのです。そこで特別に特例を設けて、ことしだけ補助を受けさせる。これは私どもは賛成いたします。しかしながらそういうところに当局もよくお考えを願つて、しかも一体日本の天災地変による危険というものは、保険制度によつて考えられるかどうか。私どもは考えられぬと思うのです。たとえば何十年たつても災害を受けない地方がある。あるいは日本の気流上毎年原則として受ける地方がある。それを一緒にして、同じように保険制度の危険負担をさせるということは、根本において間違つておると思うのです。そういうような意味において、やはりただいま農林省から御答弁がありましたような趣旨におきまして、そういうところも考慮されて、根本的にお考え願いたい。私どももさように持つて行くべきものだと思うのです。災害に対する根本的なお考えのもとに本法の改正に努力していただきたいと思うのであります。希望だけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/24
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025・芳賀貢
○芳賀委員 私は小倉局長にちよつとお伺いしたいのであります。これに関連して水稲災害の場合、これは異例なことに属するわけでありますが、たとえばことしのように、温床苗代が凍霜害を受けたような場合には、それを今度は本田に移植する場合において、二番苗を仕立てるとか、あるいは直播に改めるということをしなければならぬわけです。そういうことになると、出発から、その秋には減収であるということが明確にわかるわけです。しかしながら当初に起きた最初の被害であるところの温床苗代の災害等に対して、はたして水稲の災害という範疇において見るような解釈が成り立つかどうか。それからこういうような災害が起きた場合におきましては、ただ単にこれだけの減収になつたという減少面だけでなくて、これに要するところの再播の種子であるとか、そういうものに直接要したところの経費、結局それは実質的な損害の額になるわけですが、そういうものに対してはどういうような解釈で処置をなさるお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/25
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026・小倉武一
○小倉政府委員 お話のような事態でも起きまして植付不能というようなことになりますと、ただいま議題になりましたような蚕繭の掃立て不能といつたことと同じ事態になるわけであります。従いまして政府の再保険特別会計からの概算払い、共済団体からの仮払いというというような問題に実はなるわけでありまして、そういう措置を講ぜられるわけであります。もつとも代作のための種子というようなことにつきましては、これは特別の助成が必要であれば、これは助成をすべきであるというふうに、これは別に考えらるべきものであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/26
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027・久保田豊
○久保田(豊)委員 水稲や蚕繭については、いろいろ共済制度を完成することによつてある程度の救済ができるのではないかと思うのですが、特殊な農作物、特に茶であるとかみかん、あるいははつかとか、そのほか国民経済上、貿易等から見ましても非常に重要なものであつて、しかも内容上共済の対象たり得ないものがある。災害というものはそう始終はない。特に今年のような災害というものは、記録によりますと二十五年に一回とか、六十年に一回ということになるのであります。しかも今年のような災害が起きた場合においての茶やみかん、こういう特殊な農作物をつくつておる農民の受ける打撃は非常に大きい。滋賀県などの例を見ましても、生葉の直接の価格は六億とか七億とかいつておりますけれども、これがいろいろな経済実効になると数十億になる。こういうものに対する救済というものは、共済法の農業共済という範疇ではこれは適合しないと思う。従つてこれに対する抜本的な、はつきりした制度を打立てる必要があると思うが、政府はどのような考えを持つておるか、またそれに対する準備があるかないか、こういう点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/27
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028・小倉武一
○小倉政府委員 お話のように茶、果樹その他の特殊な特産物と称せられるようなものにつきまして、その農民経済に持つております重要性とか、あるいは転出貿易に持つておりまする重要性にかんがみまして、災害についての対策を考える必要があるということは、私どももまつたく同感に考えております。但し御説のように、これは一般の作物と違いまして、価格の変動が非常にはげしいということもございまして、普通の現在やつておりますような作物の補償制度では、これはなかなか救いがたい。またそういう制度を打立てましても、農家がどの程度希望を持つかということについても、はなはだ疑問でありますので、ただいまのようなシステムの補償制度には乗りがたいというのであります。といいましても、それでは根本的にそういう何十年に一回、あるいは何年に一回の災害に対しまして、常時から対策を講じ得られるかと申しますと、そういう対策を講ずるとすれば、やはり保険制度といつたような問題になりますので、なかなか根本的な対策というものは考え得られないのではないか。従いまして、災害が起つたときに、できるだけの助成措置を講ずる、あるいは必要な金融措置を講ずる、こういうことでさしあたりは行くよりほかにないかと思います。もつと根本的な恒久的な対策といたしましてわれわれも考慮し、研究しておりますけれども、そういうことができますならば、これはできるだけ早くやりたいと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/28
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029・木村文男
○木村(文)委員 私は青森県でありますが、青森県も霜害を受けておるのであります。ひとり青森県だけでなしに、そういつたようなデータだとか、あるいは調査の完全に行き届いていない場所があると思います。そういうこれに間に合わないようなところに対しては、政府としてはどういうふうにお取扱いをするかということを、一応御方計を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/29
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030・小倉武一
○小倉政府委員 御質問の趣旨をちよつと取違えたかもしれませんが、災害が起るたびに補償制度で救われ得られるものは、これは農林省の統計に載つているといないとにかかわらず、当然対象にすべきものでございます。先ほど北海道からもございましたような新しい事態が生じますれば、そのときに補償制度に乗つけて考えたいと思います。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/30
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031・井出一太郎
○井出委員長 他に御発言がなければ、この際討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/31
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032・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。
これより農業災害補償法の臨時特例に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/32
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033・井出一太郎
○井出委員長 起立総員。よつて本案は可決すべきものと決しました。
なおお諮りいたします。衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/33
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034・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/34
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035・井出一太郎
○井出委員長 なおただいま足立篤郎君より凍霜害対策に関する件につきまして発言を求められております。これを許します。足立篤郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/35
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036・足立篤郎
○足立委員 私は、各派の共同によりこの際凍霜害対策に関しまして政府の施策を促進いたしますために、本委員会において決議をいたし、これを強く政府に要望いたしまして、政府の施策につきましてこれを鞭達いたしたいと存ずる次第でございます。
まず用意いたしました決議案を朗読いたします。
凍霜害対策に関する決議案
今次の凍霜害は稀有の大被害であつて、被災農民の窮状は真に見るに忍びがたきものがある。
仍つて、政府はすみやかに、被害地農家の経営の安定と再生産の確保を図るため、予備金を支出し、左記の項目に対して充分なる対策を講ずべきである。
記
一、桑、茶等の発芽促進のため、速効性肥料を購入するに必要な経費補助金
一、病虫害防除用薬剤の購入補助金
一、転作に要する蔬菜種子代補助金
一、蚕種購入代金補助金
一、共同飼育施設費補助金
一、技術指導強化に要する補助金
一、災害融資に対する利子補給金
一、凍害に関する試験研究及び調査に要する経費
右決議する。
御承知のごとく、去る四月中旬より下旬にかけまして、数回にわたり北は北海道から、南は九州に至るまで来襲いたしました凍霜害は、産繭、茶、麦、果樹、蔬菜、ばれいしよ及び菜種等に広汎かつ甚大な被害を及ぼし、まことに近来稀有の天災でありまして、罹災農家はこれがため現金収入の道をとざされ、再生産が不可能に陥る等、その窮状はまことに見るに忍びざるものがあるのであります。これが対策につきましては、各党において凍霜害対策特別委員会を設置いたし、国会召集以前よりそれぞれ熱心に研究をして参つたのでありますが、全国農民の死活に関する緊急にして重大なる問題でありますので、超党派的に推進いたすべく、過日五派会談を開催いたしまして、二日間にわたつて慎重検討を加えました結果、ただいま朗読いたしました決議案に盛られました諸項目に関しまして、お手元に配付いたしました凍霜害対策予算要求書の通り、総額約五億六千万円を支出すべきであるとの結論の一致を見たような次第でありまして、ここにその成果をとりまとめて決議案といたし、政府に強く要望いたしたいと存ずる次第でございます。右簡単ながら決議案提案の理由といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/36
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037・井出一太郎
○井出委員長 ただいま足立君の提起せられました案件について御意見があれば発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/37
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038・足鹿覺
○足鹿委員 ただいまの足立君の御提案に対しましては、何ら異議のあるものではございません。十分その必要を認めておるものでございますが、なお足らざるの感を持つものであります。しかしながらとりあえずの四月、五月分の予備金支出を目途として考えられたことでありますから、その限りにおいてわれわれはそれに賛意を表するものであります。従つてそれによつて今回の災害に対する国の補償ないしは金融措置等が十分であるとは考えられません。なお七月以降の総合予算において、今後被害の全貌が正確に把握できるに従いまして、さらに百歩を進めた対策をあわせて講ぜられるようにわれわれは主張し、政府においてもまたこのようにおとりはからい願うよう要請いたすものであります。つきましては、この際ただいま専門委員室から御配付になりました五億六千万の内容のおもなるものを拝見いたしましても、必ずしも全国にまたがる被害の実態に即応していると即断することはできない点が多々あるように見受けられます。つきましては、この際政府にお尋ねを申し上げ、問題が明らかになりますならば、あわせてさらにこれに附帯的に意見を述べたいと存ずるものであります。
まず第一に、政府が考えております、また握つております災害対策の基準は何に求めておりますか。全国の都道府県知事から集まつた統計資料と、農林省統計調査部の資料との間には、はなはだしきに至つては一万町歩に余る面積の差もあるやに聞いておりますが、農林省としてはおそらくこの案について基礎的には参画しておられると考えますが、その基準は何に求めておりますか。あまりこれを苛酷にと申すと語弊がありますが、しやくし定規の基準を立てます場合に、農村の災害の実態に即応しない面が出て来る点もありますし、また一面地方から出たものを無条件でこれをのみ込むといたしまするならば、そこにはまた従来のいろいろな例から考えてみまして、的確性を欠く場合もあるように思えますが、しかし百数十億に余る未曽有の大災害でありまして、ゆるきにあつても厳になることは、われわれとしては望みません。なるべくこれをゆるく大きく抱擁して、災害対策の基準をまず決定して行かなければならぬものだと考えるのでありますが、その点農林省の御所見を承りたい。特に大臣は御病気のように聞いておりますが、政務次官もおいでになつておらない。こういう重大な、全国の被害農民を代表する人々の関心の的になり、また農民もこれが今後の取扱い方については必死の眼をもつて見つめているときに、その最高責任者もおいでにならないということについて、私は遺憾に存ずるのでありますが、大臣が御病気であるならば、少くとも政府を代表する政務次官が御出席になりまして、責任ある御答弁をなさるのが当然でないかと思います。委員長においても私の意のあるところをおくみとり願いまして、ただちに責任者をお招きいただき、責任ある御答弁を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/38
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039・井出一太郎
○井出委員長 ただいまの足鹿君の御発言はごもつともと思います。災害に関する資料は官房長の手元でとりまとめをいたしておるようでありますので、さつそく政務次官と官房長をここへ招致したいと存じます。
この際、暫時休憩いたします。
午後三時十三分休憩
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午後三時二十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/39
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040・井出一太郎
○井出委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。
先ほどの足鹿君の御質問に対し、政務次官より答弁がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/40
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041・篠田弘作
○篠田政府委員 先ほど私ちようどるすにしておりまして、その間に、足鹿委員から、今回の凍霜害に対する被害の統計はどういう基礎によつてやつたかという御質問があつたそうでありますが、これは御承知の通り、農林省の統計調査部と府県の調査とを合せましてつくつたものでありまして、府県の調査と農林省の調査との間に食い違いがもしあるといたしますれば、それはお互いに災害対策を急いで、急いで調査したために、あるいはそういう食い違いが起つたかもしれませんし、また被害の程度の見方によつて、あるいはそういう食い違いがあるかもしれません。そこまでは、私の方としましては、まだ研究はしてないのでありまして、とりあえず被害の程度を早く調べて、農民諸君に対する救済の手を差延べたいというのがわれわれの考え方でありますから、もしその被害の程度の食い違いというものがあとで判明いたしまして、どちらが正しいかということがわかつた場合におきましては、これは当然正しい方法をとるということがあたりまえでありますから、どちらも面子にとらわれるというようなことなく、正しいものを正しいとしてやつて行かなければいけない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/41
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042・足鹿覺
○足鹿委員 災害の基準については府県の報告と農林統計調査部のものを合せてという意味でありますが、その食い違いが相当大きいですな。一万町歩くらい違う場合もあるのです。最近のものはまだ政府からいただいておりませんが……。また農業共済関係で調べたものとも必ずしも一致しない。こういうことは今回に限らず従来も間にあつたことであります。でありますから、それをとやかく言うのではありません。ただ私の申し上げたいのは、こういう数十年来ない大きな被害でありまして、地方の新聞等は、災害が大きいだけに大きく取上げておりますが、中央紙等の取上げ方は地方紙よりも大きくない。従つて社会的な関心も、政治の中心である東京の中央紙あたりに載りませんから、ほかの大きな地震であるとかあるいは津波、火災というような場合にも増した深刻な状態でありながら、案外薄いというふうに思うのであります。従つてなるべくゆるやかにその被害の基準を見て行かれるお考えに立たれなければならぬのではないか、かように私に考えますので、その点について政府の考え方を承りたいと存じたわけであります。従つて今政務次官が言われますように、今回のものはとりあえず予備金支出の、拙速であつてもただちにやりたいということのようであります。もちろん私どももけつこうなことだと存じますが、しからば今後被害の範囲が正確に把握され、またその被害の程度も確実に把握された場合の対策というものはあくまでもあるわけであります。現在のものが必ずしも十分とは言えないということになりますと、現在本院が審議中の六月の暫定予算、七月以降の総合予算に、その災害に対する措置をどういうふうに農林省としては盛り上げられるお考えでありますか、それをこの際承つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/42
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043・篠田弘作
○篠田政府委員 ただいまの御質問でありますが、最近にできた災害はもちろんわかりませんけれども、今問題になつておる凍霜害は五月三日が最後でありまして、きようまでに大体二十日以上を経過しておる。でありますから、少くも五月三日を最後とする凍霜害に対する資料というものは、相当確実性のあるものが出て来ている、こういうふうに考えるのであります。もちろんその後において調査をした結果、災害の確実なものがほかにも出るという可能性が全然ないというわけではありませんけれども、私は五月三日を最後とする災害に関してはそういうものが出ておるから、とりあえず今申されました予備金の支出によつて対策はできる、こういうふうに考えております。しかしその後、北海道に出たとか、あるいは青森にまたそういう同様の災害が出たというものに対しては——もちろん今確実な数字は出ておりません。しかし確実な数字が出れば、当然前の災害に準じて扱うべきものであつて、それはその数字が出たときに考慮すべきものである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/43
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044・足鹿覺
○足鹿委員 わかりました。問題は内容であります。今の次官のお話によりますと、大体災害の範囲というものは一応つかめたというお話であります。しかしながら地方からの切実な要請等をわれわれが冷静に判断をしてみました場合に、その内容については必ずしも十分つかめておらないのではないかというふうにも見えるのであります。たとえば現在災害の発生しておるところは明らかであるが、菜種の場合であるとか、あるいは麦の場合であるとか、あるいはその他のものにつきましても、災害は一応ありますが、その程度というものが必ずしも正確につかめておらない。桑のごとく、あるいは茶のごとく的確に把握されておらないということがあると思うのであります。そういうような場合に、いわゆる新しく災害の範囲が広まつた場合と深まつて行く場合とあると思うのでありますが、その深まつて行つた場合に対しても、もう少し当局は正確な被害の状態というものをおつかみにならなければならないのではないか。きようも午前中に切々たる地方からの声がありましたように、たとえば開拓地の問題にしてみましても、これは平生からの農家の状態からして、やむを得ず共済制度にも入つておらないような特殊な農家も、相当甚大な影響を受けて、再起するあたわないところまで来ておるような悲痛なお話も聞きました。これは単なる被害者ではなくて、一県の知事が実情をつぶさに調査をして、この委員会に向つて陳情されておるのでありますから、われわれは信じてよいと思う。たとい緊急といえども、すでにそういう災害が起きておるにもかかわらず、これに対して必ずしも的確な手が届いておらないという印象もありますし、また五月三日以降の水稲温床の被害等についても、北海道における事例が、もうすでに同僚芳賀君から指摘されております。そういう問題を単なる予備金支出で一応まかなうというようなことではなしに、六、七の暫定予算はもはややむを得ませんが、七、八の今後の総合予算の上に、さらにこの緊急措置で不十分な点も、また新たなる災害の実態把握によつて生ずる経費の計上も、おやりになるかどうかということを私は聞いておるのであります。そこをはつきりとお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/44
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045・篠田弘作
○篠田政府委員 まだ内容のよくつかめておらないものの例として麦その他をお話になりましたが、これは御承知の通り、桑であるとか茶のように、凍害があるとすぐ数日の間に被害のわかるものと、麦のように相当の日にちがたたなければ現われて来ない、あるいは収穫時にならなければその被害の程度がどれだけあつたか正確につかめないというものが、作物の種類によつてあるわけです。そういうわけですから、麦などの場合には、お話の通り農民自身がどれだけの被害があつたということは、おそらくつかめない場合がある。そういうものの被害につきましては、もちろんあとで被害があつたということが正確にわかつたときには、別途に考究すべきものであると考えます。
それから共済制度に入つておらない作物に対する救済はどうするかという問題につきましては、これは実際において共済制度に入つておらないのでありますから、法律の上からいつても災害補償は出すことができない。そういう場合には、もちろん病虫害の補助であるとか、あるいはまた金融の面においてできる限りの助成を誠心誠意をもつてやるということは、私は当然であると思います。そういうものがあとになつて、たとえば麦その他に現われた場合には、今の予備金の中でなくて、新しく予算に組んでやるかどうかという問題でありますが、それは被害の程度によつて決すべきものであつて、大体において今予備金の支出によつてまかない得たその後の災害というものが幸いにして少かつた場合には、私は予算には組む必要はないというふうに考えます。もしそれが非常に大きな場合には、もちろんあなたのおつしやるような方法も考えなければならないかと思いますが、それは後に現われた災害の程度によつてきまるものである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/45
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046・足鹿覺
○足鹿委員 くどいようでありますが、最後に一点だけ。それは大体先般の五党会談以来の空気を見ておりますと、この異常なる大災害に対しては、いろいろな助成措置の内容もありましよう。しかし農民がほんとうに切望しておるのは、やはり営農上の障害となる点、また生活上いろいろ困る点について国の直接的な救済を望んである。ところが先般来の大蔵当局その他の他の委員会等における考え方、また本日も私ども大蔵大臣に折衝してみました印象からいたしますと、そういう直接的なものはどうも実現性が薄いような印象をわれわれ受けております。しかしこれはたびたびあることではありません。数十年に一度たまたまこういう災害が来たのであつて、異例の災害であります。これをただ単に他への及ぼす影響とかいろいろな点で、大蔵省特有の、事務的にこの問題を処理されるような傾向が強いことを、私どもは非常に心配をいたし、また遺憾に思つておるのでありまして、農林省としては、災害に対する直接的な救済策として、国家が、金あるいは現物をもつてこれを救つて行くという基本線を貫いて行かれる一大決心を持たれぬと、この問題に対しては、農民に十分満足が行かないまでも、ある程度の満足すらなかなか与え得ないのではないか。ただ単に営農資金の問題その他を融資対策に仰ぐ。そして一つの融資をやつて、これに対して金利を国が持てばいいではないかという線が、非常に強く今度の救済対策の線に出ておることは、われわれは農林委員の一員として困るのであります。ふだんでも農民は金を借りる力がないのであります。いわんやこういう大きなはからざる大天災にあつた者に、融資をしてまず金を貸す、その金の利子だけは国が持つてやるというような、手ぬるい、二階から目薬式のことでは、とてもこの急迫した災害農家を救つて行くということは困難ではないか。従つて農林省の一大決心としては、いわゆる直接的な救済措置をもつて今後も貫いて行くのか、行かぬのか。この点は大臣がおいでになれば私ははつきり聞いておきたいと思うのでありますが、おいでになりませんから、政務次官からその御所信のほどをこの際に承つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/46
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047・篠田弘作
○篠田政府委員 おつしやる通り、災害の程度が非常に大きいのでありますから、ただ事務的にだけこれを解決しようとしても、たいへん無理があるのじやないかというふうに考えます。そこでこれは多分に政治的解決を必要とするいうふうに私たちは考えております。そこで農林省といたしましても、農民諸君の要望あるいは先般来の各党の懇談会における模様、そういうものを十分さんしやくいたしまして、先ほど申しましたように、どうしても災害の対策については万全を期さなければならないという一大決心を持つて大蔵省とかけ合つておりまして、決して途中で大蔵省に押されて下るというような考え方は今しておらないのであります。そのために今一生懸命やつておりますから、しばなく様子を見ていただきたい。こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/47
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048・井出一太郎
○井出委員長 芳賀君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/48
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049・芳賀貢
○芳賀委員 農林省にちよつとお伺いしますが、あなたはただいま五月三日までの災害に対しては内容を確認したので、それぞれの緊急措置を講ずる、それ以降のものに対しては未確認の点が多いので第二次にこれをまわすというようなお話でありましたが、次官はちようど北海道の出身でありますので、すでに御承知と思いますが、五月十六日から十八日にわたつて上川、空知支庁を中心とした八支庁管内に凍霜害があつたのであります。特にこの空知、上川支庁は水田地帯でありまして、これを中心にした地帯の温床苗しろ八十四万坪がこの凍霜害を受けておるわけであります。八十四万坪というと、大体この影響を受ける本田の面積というものは三万五千町歩くらいに及ぶのであります。結局北海道の水田の十五万町歩に対して四分の一程度がこの凍霜害によつた、しかも温冷床を中心として行われる単作寒冷地帯の水稲栽培における致命的な打撃であります。こういうような、今までにかつてないような災害に対しては緊急に、そのことが確認された場合においては急遽対策を講じて、ほとんどなすところを失つたような気持でおる関係農民に対して、ただちに、早いところは二番苗を仕立てるとか、あるには直播にこれを転換させるというような対策を講じて、これ附帯したところの種子に対する全額助成の問題であるとか、あるいは自家保有米から種子に転用した分に対する保有米の確保の問題であるとか、あるいはこういう災害を受けて短期に育成を要するような速効肥料の購入の経費に対する助成であるとか、こういう点は一日も早く対策を講じて、その内容を明示するという点が大事であると思いますが、こういう点について次官は耳を傾けておらぬようでありますが、どういうようなお考えを持つておるかお伺いしたい。
それからもう一つこれに関連してお聞きしたいことは、解散前の二十八年度の農林予算の中においては、温冷床苗しろの今まで計上されておつた五千万円余の補助金の支出が打切られておつたわけであります。こういう点については、今後の本予算を提出するような場合において十分考慮して、北海道の特殊地帯に対する水稲栽培に対する熱意のほどを示すかどうかという、そのお考えのほどもお伺いしたいのであります。
それからもう一つは、この決議案でありますが、これに対しては基本的に賛成するものであります。ただ願わくはこの水稲の温冷床苗しろの災害によるところの一項目を、ぜひこの決議案の中に挿入していただきたいのであります。その表現におきましては、水稲温冷床苗しろの再播及び直播に要する種子代の補助金、並びに育成促進のために必要な速効性肥料の購入に要する経費の補助金、それから種子に転用した自家保有米の確保に対する措置、この二項目をでき得れば挿入して決議案にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/49
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050・篠田弘作
○篠田政府委員 五月三日までの分がつかみ得たと言いましたのは、結局災害でありますから、農林省とか府県の調査ももちろん急速にやつておりますけれども、被害者自身が自分の災害というものは即時救済をしてもらうという意味で、報告を各農業会あるいは役場等においてとりまとめておりますから、そういう意味合いにおいて、古い被害についてはもちろん確実な資料が集まつておる、こういうように申し上げたのであります。北海道の十六日から十八日までの霜害という問題につきましては、われわれも情報は受けておりますが、確実な数字はまだ入つておりません。そこでこの対策につきましては、もちろん私が北海道の出身であるとかないとかなということを全然別にいたしまして、当然これは農林省としてやるべきものであると考えております。それからその方法につきましては、どういう方法でやるかということは、これは御承知の通りもちろん共済制度によつてやりますが、それ以外の方法については、内容をしつかり把握して、その方法という問題についてはまだ研究の余地がある、こういうように考えております。
それから北海道の温床苗しろの助成が昨年五千万円あつたものが今年からなくなつたじやないかというお話は、これは私自身が北海道出身でありまして、ぜひこれは復活してもらいたいというふうに考えております。しかしこの温床苗しろの助成をするというときに、最初北海道と農林省の間に、三箇年間だけこれを大蔵省で認める、三箇年でいいかという話がありましたとき、大体北海道としては三箇年——そのとき苦しまぎれに言つたのだろうと私は思いますが、まあ三箇年とにかくやつてくれということになりまして、ことしからもう一ぺんといつたときには、約束が三箇年だからということで、ことしは一応打切つてあるのであります。しかし北海道のいわゆる気候的に寒いというような条件から見まして、また食糧の自給の面から北海道の演ずる役割を見て行つたときに、私はこれをどうしてもやつてもらわなければ困るというふうに考えております。私としましても、今後大蔵省との交渉につきましては、熱意をもつてこの復活に努力したい、こういうふうに考えております。
それから今の決議案の中に速効肥料とかいろいろな字句を挿入したらどうかというお話でありますが、これは速効肥料そのものについての研究というものがまだ技術的に残されておるそうであります。でありますから、ただちに決議案の中にそういうものを挿入することは、私としましては、まだ早いのじやないか、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/50
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051・井出一太郎
○井出委員長 この際ちよつと委員長としてお諮りをいたします。実は本会議が進行中でありまして、大体四時ごろには議場へ入らなければいかぬ、こういう見通しでございます。それでこの決議はやはりタイムリーに打出すことが必要でありますので、一応結論をつけて議場へ入りたい、こう考えます。いろいろまだ問題は残され、おると思いますけれども、本質的な諸問題は、政府が出しております農業災害補償法の一部改正と関連をして十分に御審議を願うことにいたしまして、この辺でひとつ結論をとりまとめたいと思いますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/51
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052・川俣清音
○川俣委員 ちよつと、あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/52
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053・井出一太郎
○井出委員長 簡単に、川俣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/53
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054・川俣清音
○川俣委員 私は議論をしようとは思いませんが、政府が大蔵省と折衝いたしておりまするその過程において予備金から支出をしようといたしておりますが、災害予備金として持つておりまする十億円から要求いたしておるのでありますか、または一般予備金でありまする七億五千万円の中をねらつての折衝中であるか、この点を御説明願いたいと思います。なお農業災害補償法に基く国庫負担の分がありますが、この分だけでも実際は災害予備金から支出すべきものではないかと思うのですが、この点に対する御見解と当局の折衝過程を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/54
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055・篠田弘作
○篠田政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、今まで大蔵省と折衝いたしておりますのは、一般予備金の中から出そうということを折衝いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/55
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056・川俣清音
○川俣委員 それでは災害予備金の十億については、どういうような見解を持つておられますか。私は当然農業災害補償法等の国庫負担分は、いい悪いは別にいたしまして、これは予算に組まれておりまする災害予備金から出資すべきものだと思いますが、この点に関する見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/56
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057・篠田弘作
○篠田政府委員 災害予備金というのは、一般公共事業を対象とした予備金でありますから、こういう個人的な損害につきましては、一般予備金から一応出すという建前で折衝しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/57
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058・川俣清音
○川俣委員 在来の例から見ましても、当然農業災害補償法に基く国庫負担の責任分があるわけです。これらの点は一般予備金から出されるということは、今までの前例から見ても少いのじやないかと思いますが、この点に対する見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/58
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059・篠田弘作
○篠田政府委員 それは災害補償の方で当然出すべきものは出して行きまして、それで足りない部分を一般会計から出すのです。やはり一般会計も国庫負担でありますから、同じであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/59
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060・久保田豊
○久保田(豊)委員 二、三の点について簡単に政府当局にお伺いをいたします。
第一はこの肥料を大体において五貫目ないしは八貫目を出すということになつておる。この肥料価格を見ると四百七十五円になつておる。ところがある筋からのあれによると、外国向けに六百八十円で予定をして、しかも出なかつた肥料が約五十万トンに上つておる。おそらくその半分を振り向けることがいいだろう。この前からの話だと大体現物支給をやるということだが、それらの点についての政府の調査なり実情はどうなつておるかという点、この点をはつきりしていただきたいという点が一つ。できれば外国向けの六百八十円の肥料を五貫目なり八貫目なりを出してもらいたいということが一つであります。
その次は、これは桑の場合でもあるいは茶の場合でもそうであろうと思いますが、特に茶の場合においてはこういう災害はほとんど未曽有であつたために、実態がよくわからない。ここに現わしたところのものは新茶生産であります。ところがその後の状況を見ると、五割以上の被害をこうむつたところはほとんどその後伸びがないのでありまして、ほとんど収獲皆無であります。いわゆる売りものになるものはない。これがまた第二茶にどう影響して来るかということがわからない。この点もまだ不可解であります。いずれにしましても、それによつてこうむる茶生産の経済的打撃というものは非常に大きい。しかもこれは御承知の通り共済の対象になつておらぬ。これに対して特殊の何かの方法を私どもとしては考えてもらついたい。あるいは融資の場合においてでもどちらでもいいと思う。でき得れば、何らかの形において国の経費を出してやつてもらいたいと思うが、それができないという場合においては、今後それらの経済的被害の実態が明らかになるに従つて、これに対して特殊の措置を講じてもらいたいということを強くお願いするわけです。それと同時に茶の生産というものは、御承知の通り生産業者だけではない。新茶業者があり、これに乗つかつた農協がある。これは桑の場合においても同じだと思う。町村その他においても大きな打撃があるが、これはこの前の各党協議会の場合においても、平衡交付金等においてある程度考慮しようということが言われた。これをぜひ実行するようにお願いしたいが、新茶業者いわゆるその上に立つた農協のこうむる災害というものについては、何ら触れられておらない。桑の場合においても同じだと思う。これに対してどういうふうな救済策を講ずるか。以上の諸点について農林当局からはつきり御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/60
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061・篠田弘作
○篠田政府委員 肥料を出す場合に、輸出する肥料から出したらどうかというお話でありますが、結局どこの肥料を使つてどこから出そうと、早く救済ができればいいのじやないかと私は考えます。そういう意味におきまして、たとえば六百八十円の輸出肥料をこちらへまわせという場合には、その価格差と申しますか、その問題についての交渉もあるでありましようし、そういう意味合いで政府が、要するに被害地に対して肥料を迅速に送り得るということであるならば、どこの肥料を使つても私はさしつかえない、こう考えます。
それから茶が共済制度に入つておらない。これに対する救済はどうするか、こういうお話でありますが、これはもちろん共済制度に入つておらないのでありますから、災害補償の共済はできません。しかし先ほど申しましたように病虫害の補助であるとか、金融の面においてやはり一般の被害と見合せまして、この救済には万全を期したい。いわゆる一般農家が災害を受けたために、農業協同組合も被害を受ける。その意味は、結局品物の扱い方が減るから利益が少くなるという意味と私は解しておりますが、それでよろしいですか。——そういう意味合いだつた場合には、ものが減産して、そのために扱い方が減るということに対する救済というものは研究してみないと——どうも扱い方が減つたからそれにただちに何かの国費による救済というようなことは、今のところ考えてもおらないわけであります。研究してみなければわからないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/61
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062・井出一太郎
○井出委員長 他の御発言は後刻に譲つていただきまして、この際足立君提出の案件を採決いたしたいと思います。
なお芳賀君にお諮りいたしますが、先ほどの御要望は運営の面において十分考慮をいたしたい、かように考えますが、御了承いただきます。
これより採決いたします。先ほどの足立君の提案になりました各派共同にかかる凍霜害対策に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/62
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063・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。
なお本件の議長に対する報告及び関係国務大臣に対する参考送付方につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/63
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064・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めさよう決しました。
暫次休憩いたします。
午後三時五十八分休憩
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午後五時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/64
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065・井出一太郎
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
本日は、肥料問題につきまして政府当局の説明を聴取する予定でありましたが、すでに時間もおそく相なりましたので、これをもつて散会いたします。次会は追つて公報をもつて御通知をいたします。
午後五時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X00219530527/65
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