1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十四日(金曜日)
午後二時二十四分開議
出席委員
委員長 井出一太郎君
理事 足立 篤郎君 理事 平野 三郎君
理事 金子與重郎君 理事 足鹿 覺君
理事 佐竹 新市君 理事 安藤 覺君
小枝 一雄君 佐藤善一郎君
福田 喜東君 松野 頼三君
松山 義雄君 加藤 高藏君
吉川 久衛君 井谷 正吉君
芳賀 貢君 川俣 清音君
杉村沖治郎君
出席政府委員
農林事務官
(農地局長) 平川 守君
農林事務官
(農業改良局
長) 塩見友之助君
農林事務官
(畜産局長) 大坪 藤市君
農林事務官
(蚕糸局長) 寺内 祥一君
委員外の出席者
農林事務官
(畜産局経済課
長) 昌谷 孝君
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
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七月二十四日
委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として杉
村沖治郎君が議長の指名で委員に選任された。
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七月二十三日
京都府下の農業災害対策確立に関する請願(大
石ヨシエ君紹介)(第五三〇二号)
居辺無水地帯開発促進に関する請願(本名武君
紹介)(第五三〇三号)
配給米増配の請願(飛鳥田一雄君紹介)(第五
三〇四号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
有畜農家創設特別措置法案(内閣提出第一五一
号)
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001・井出一太郎
○井出委員長 これより会議を開きます。
有畜農家創設特別措置法案を議題といたし、質疑に入ります。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 昨日の私の質疑は、生産県に対する買入れの方法について、最も合理的な、しかも適正、低廉な価格で家畜を導入するような方法について局長にただしたわけでありますが、どういうような組織形態で局長は、今後これらの目的が達成できるような方途を講ぜられるか、その点についてまだ十分でない点があつたので、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/2
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003・大坪藤市
○大坪政府委員 ただいまの御質問でありますが、先ほど申し上げましたように、ある県に多数の県から殺到いたしまして、その供出県の家畜の価格をつり上げるということのないように、政府で供出いたします県と導入いたします県と、それぞれ各県ごとに結びつけまして、無理のない数量で買いつけて行く、こういうような措置をとつて参りたい、かように存じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/3
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004・芳賀貢
○芳賀委員 そういう場合系統団体、いわゆる協同組合の連合会等の機能を最高度に活用するというようなお考えはないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/4
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005・大坪藤市
○大坪政府委員 できるだけ秩序ある購入方法が家畜をスムーズに導入できる、また価格につきましてもそれが正常な価格を生むというような結果に相なると思いますので、できるだけ連合会あるいは単位協同組合、こういうものの共同購入ということにつきまして考慮をして参りたい、かように存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/5
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006・芳賀貢
○芳賀委員 次にこの法律案は融資並びに損失補償の指定を示しておるわけでありますけれども、昨年度においても系統組織がこの資金を必要とした場合において、経理内容が不備であるというような理由で、申請組合のうち九十七組合くらいはその対象から除外されたような事実があるわけでありますが、このような情勢で行きますと、再建整備組合等の適用を受けておる新組合等において、有畜農家の導入を積極的に行いたいというような計画を持つた場合においても、それらの資格から漏れるというようなおそれが多分にあると思いますけれども、これらの救済に対してはどういうふうに考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/6
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007・大坪藤市
○大坪政府委員 家畜を導入する意欲がありましても、協同組合の資産内容が金融機関から見て悪いような場合におきましては、せつかくの有畜農家創設資金を割当てましても導入できないような事態が起きて参ることをおそれまして、今回は府県が金融機関に損失を補償した場合にはその三〇%までのうち半分を政府が補助をするということにいたしまして、金融機関ができるだけ安心をして融資ができるような措置を本法によつてとるようにいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/7
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008・芳賀貢
○芳賀委員 続いてお伺いしたい点は、昨年から有畜農家創設の事業が開始されておりますけれども、ここ一年間を通じて、まだ年月が浅いからはつきり現われておらないであろうけれども、どういうような実効があがつておるか、どう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/8
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009・大坪藤市
○大坪政府委員 昨年も約二十二億、これに対しまして希望は全体を通じまして約一倍半ほどあつたのであります。本年も各県こぞつて本資金を要望いたしておりまして、二十二億ではどうしてもまかない得ないというような実情にあるのであります。二十九年度におきましては、できるだけ財政当局と折衝いたしまして、その金額を多くして参りたいと思つておるのでありますが、この措置によりまして相当家畜が無家畜農家に対しまして導入でき得るものと信じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/9
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010・芳賀貢
○芳賀委員 私のお伺いしたい点は、日本の無畜農家に対して牛や馬を与えて、家畜のおる農村の風景を描くということであつてはならぬということなのであります。それで結局、たとえば酪農の振興等の面に対しても、はたしてこれが農家の経済を安定向上させ、またそれが国民経済の面に対しても至大なる貢献をなすというような、そういう方向について第一歩を踏み出したような態勢にあるかどうかということを聞いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/10
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011・大坪藤市
○大坪政府委員 家畜の導入につきまして、それが農業と一体になり、農業生産力を増加するような態勢のもとに導入しなければならないという御意見につきましては、私どもまつたく同感に存じておる次第でありまして、ただ単に家畜を導入するということでなしに、農業経営とぴつたり結びつきまして、家畜を導入したことによりまして農業生産力を上げ、かつはまた農家の経営面にもプラスになる、農家に対しましてできるだけこういうような導入をして参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/11
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012・芳賀貢
○芳賀委員 次に有畜農家創設事業の発展によつて、いろいろな影響が出て来ると思いますが、たとえば昨日の当委員会におきまして、農業機械化促進法というものが通過しておるわけでありますが、こういう場合において、農業の生産性を効率化する場合においては、かつては畜力等を主体としてそのことを考えて来たわけでありますが、それが今度は小型牽引車あるいは自動耕転機というような形に発展して行く場合に、役馬であるとか役牛であるとかいうものが、十箇年計画でだんだんふえて行く、一面においては機械化が進行して行くという場合において、どういうような状態が出て来るか、そういうことについてはいかなる見通しを持つておられますか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/12
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013・大坪藤市
○大坪政府委員 農業の機械化促進とこの有畜営農の問題でありまするが、これにつきましては、今後いろいろ複雑な問題が起きて来ると思うのでありまするが、機械化促進は、私は必ずしも家畜の導入を拒否するということにはならないのではなかろうかと存ずるのであります。と申しますのは、農業の立地条件によりまして、あるところは、機械化が可能でありまするが、あるところは不可能である、不可能とまでは言わないにいたしても、相当困難であるというような事情のところが相当あると思うのでありまして、家畜を飼育することによりまして、一面には人間の労働力を節約いたしますとともに、土地そのものを改良いたしまして、土地に投資するというような意味から、どうしても家畜を飼育いたしまして、それによつて土地の改造というものが今後の農業の発展上、ぜひとも必要ではないかと思いますので、機械化促進は必ずしも家畜の導入を拒否するものでないのではなかろうか、かように存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/13
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014・芳賀貢
○芳賀委員 そういう点について、私は相当基本的に見解を異にしているものでありますけれども、ここではそういう論議をすることを避けまして、たとえば一例をとつて、乳牛を主体として考えた場合にも、現在の国内における乳牛の頭数は大体二十七万六、七千頭ありますけれども、これが創設事業の十箇年後は五十一万頭くらいふえるということになるわけであります。そういうことになりますと、現在の約三倍くらいに乳牛がふえて来るということになりますけれども、問題は乳牛がふえるということは、必然的に生産乳量が増大するということになるわけであります。それらは国民生活の上に対しても低廉なる乳製品あるいは生乳を提供できるという条件の中に置かれるとともに、もう一つはこれが農業経営の中においても、相当主体的に重要なる安定の役割を果すということに、両両相またなければならぬと思うわけでありますが、現在の傾向をみると、ただ単に乳牛をふやす、頭数をふやすということに重点が置かれて、それでだんだん頭数がふえて乳の生産量が高まつて来る。それをどういうふうに消費するかという点については、具体的な計画がまだ十分でないというふうに考えておるわけであります。そういう点については、これに即応して、これと並行してどういうような具体的な計画を持つておられるか、お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/14
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015・大坪藤市
○大坪政府委員 酪農の振興は有畜営農の中では最も効果的であり、農家にとりましても現金収入の道を与える最もよい事業であると思いますので、今後できるだけ酪農の振興に尽力いたしたいと思つておるのであります。ところで現在のところ消費が非常な勢いをもつて増加いたしておりまするので、当面のところはそう大した心配はないのでありまするが、今後これが相当な勢いをもつて増加いたしました場合に、ただいま御意見のありましたようなことが当然問題になつて来ると存ずるのでありますが、その点につきまして畜産局といたしましては、経済課を設けまして、経済課で目下慎重に検討いたしておるのでありまして、できるだけ実情に即し、生産者は適切な価格で売却ができ、消費者はできるだけ安い価格で購入ができるような態勢を、早くつくりたいと存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/15
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016・芳賀貢
○芳賀委員 一例を東京都周辺にとつても、大体この周辺の生産される生乳の生産者価格は一升五十六円程度であります。それが家庭に流れて来るところの市販の乳価は、一合十六円ぐらいするわけであります。そうすると大体生産者価格の三倍くらいで消費者のところに流れておる。その間にことさらにむずかしい加工の工程等はいらないわけでありますけれども、おそらくコストの面においても非常に大きな差がある。こういう現象について、具体的にこれらの内容を分析されたようなことがあるかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/16
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017・大坪藤市
○大坪政府委員 中間マージンが多いのじやないかということはよく言われておる問題であるのでありまして、これをいかにして減少せしめるかということが、私ども研究の中心点をなしておるわけであります。戦前の状態に比べますと、数字的に見ましても中間経費の方が戦前以上になつておる、かような事情のようでありまして、大体生産者一、メーカー一、小売業者一というような大体の傾向をたどつておるのでありまして、戦前はその割合が生産者手取りの分が多少多かつたようであります。なぜそうなつたか、また今後いかにすればその点が是正できるかということにつきまして、いろいろと検討いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/17
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018・芳賀貢
○芳賀委員 これは今後に残される非常に大きな問題であると思いますが、局長の言われるように検討の時代であつて、何ら具体的にどうしたらいいかというような構想は、まだ全然ないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/18
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019・大坪藤市
○大坪政府委員 検討中でありまして、できるだけ早い機会に案をつくりまして、それによつて実行いたして参りたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/19
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020・芳賀貢
○芳賀委員 にの問題は、硫安のコストを調べるように、それほど複雑怪奇な問題ではないので、特に消費者大衆に生産者から安い乳が出て、それが中間マージンとかいろいろ正常ならざる形において高い牛乳が家庭に提供されておるというような矛盾を、一日も早く解決して、この差というものを圧縮して、もう少し生産者に対しても生産費を償うような乳価、消費者に対しても、一般家庭においてそれが十分消化できるような価格に圧縮する必要があると思うのでありますが、この点が解明されない限り、有畜農家の事業創設というものは、将来伸びて行くことができないと思うのです。
もう一つ次に申し上げたいことは、現在政府は、酪農の集約地区をつくるというような計画を逐次進められて、今年度はその第一段階として、岩手県あるいは八ケ嶽山麓方面に大規模の試みを行うように考えられておるわけでありますが、大体私の承知するところによると、一地区に五千頭くらいの集約地区を設けて、そうして乳の産量が一日大体百五十石、それから地区の半径というものは、大体夏は搾乳時間二時間くらいの範囲を一応地区の区域とするというようなことになると、半径五十キロないし六十キロの範囲で、五千頭の集約酪農地帯を設けるというような計画であるというふうに考えます。なおこれに付随して、生乳工場であるとか集乳場が附帯して設置されるわけでありますが、これらのことは構想としては非常に雄大であり、けつこうでありますけれども、わが国の国内において、こういうような適当なる候補地が、大体全国的に見てどのくらいあるかということはすでに調査済みと思いますが、この点をお聞きいたしたいと思います。
〔委員長退席、平野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/20
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021・大坪藤市
○大坪政府委員 ただいま御意見のありました集約酪農の問題でありますが、私どもが予算面上申しております集約酪農は、濠州その他から新品種としてのジャージーを導入いたしまして、これを農家に貸付けまして酪農を振興するという施設であるのであります。一方御承知のように、現在わが国の牛乳その他の中間経費が相当かかつておりますのは、乳牛の飼養密度が非常に薄い、従つて集乳費なりその他の加工費の経費がかさむ事情があるのであります。できるだけ集約的に、集中的に乳牛を飼育をして参るということが、どうしてもその面からも必要なのでありまして、できるだけ集約化いたして参りたい。従つてこれは原料牛としてのジャージーばかりでなくて、従来飼育しておりましたホルスタインにつきましても、そういうような集約的な地区を設定して参りたい、かように存じております。しからばそういう原料牛としてのジャージーの適地を全国大体何箇所設定するか、また市乳原料としてのホルスタインの集約酪農地区を何箇所設定するか。それにつきまして目下調査をいたしておるのでありますが、大体四十箇所くらいはそういう地点が可能ではないか、かように一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/21
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022・芳賀貢
○芳賀委員 集約的な酪農地区の建設は、これを行わなければならないということは、だれしも同意できることでありますけれども、ここに問題が一つあるのであつて、たとえばこの生乳の処理をどういうような資本形態でやつて行くかということが問題になるわけであります。現在においては、おそらく明治とか森永、この二大乳業資本が、ほとんど全国の酪農の面を支配しているような実力を持つておるわけでありますけれども、これらに対して、どうして酪農農民を守りながら、しかも国民生活の安定に寄与するかという根本的な問題が出て来なければならぬと思いますけれども、こういうような独占化されようとするところの乳業資本に対して、今後政府はどのように酪農農民を保護して、これに収奪されないようにするかという、そういう基本的な考え方をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/22
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023・大坪藤市
○大坪政府委員 乳牛は主として農家が飼育いたしますので、農家の生産いたしました牛乳は、農家の手で処理する、つまり農業協同組合系統機関をもつて処理するということが望ましいことは、これは私が申し上げるまでもないと思うのでありますが、現実の問題といたしまして、なかなかそういうふうな事情には参つておらぬというのであります。その点はただいまお話の通りであります。しからば今後その点についてどういう調整をとつて行くかという問題になつて来るの一でありますが、その点につきましては、でき得ることならばそういうふうな適当な府県なり、あるいは地区なりに適当な機関をつくりまして、調停なりあるいは価格の協定についての参加なり、そういうような機関をつくつてはどうかと考えて、目下その点を研究しておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/23
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024・芳賀貢
○芳賀委員 この点は非常に重大な問題であつて、明治、森永の乳業資本の独占化に対する対抗手段というものが、当然確立されて行かなければならぬと思うわけであります。それにはどうしても生産者団体にもう少し力をつけて、それらの協同化された組織の経済力と生産力がマッチするような形の中において、これらの巨大資本に対抗できるような形体を育成するという決意を、ぜひ政府に表明してもらいたいわけなんですが、その決意のほどを聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/24
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025・大坪藤市
○大坪政府委員 ただいまの御意見の点は、今後日本の酪農が振興するかしないかという非常に重大な問題のポイントの一つになつておりますので、その点につきましては、私ども全力を上げていろいろな方面の御協力を得まして、すつきりした、しかも強力な機構をつくつて参りたい、かように存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/25
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026・芳賀貢
○芳賀委員 最後に、明昭和二十九年度の予算の編成の時期もだんだん迫つておるわけであります。明年度予算編成の中において、この種事業の進展のために、どういうような積極的な対応策を講じようとするか、その御意図を承知したいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/26
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027・大坪藤市
○大坪政府委員 本法に直接関連いたしました施策といたしましては、本年二十二億認められておる数字につきまして、これをできるだけ増額いたしますことが一つと、もう一つは、外国から購入するジヤージーその他の乳牛につきまして、これを現在の実数の三倍近くまで持つて行きたい、そういう構想のもとに財政当局と折衝いたす予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/27
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028・平野三郎
○平野委員長代理 川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/28
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029・川俣清音
○川俣委員 今同僚芳賀委員から適初な質問がありましたので、芳賀委員の質問と重複しないように、数点お尋ねしたいと思います。
政府が昨年の六月に農林次官通牒で、有畜農家創設要綱というものを出しておられますが、これと本法との関係はどうなつておるでしようか。おそらくこの有畜農家創設要綱に基いて、有畜農家創設特別措置法というものが生れて来たと思うのですが、どういう関連になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/29
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030・大坪藤市
○大坪政府委員 有畜農家創設要綱を基本にいたしまして、それの発展した形が本法ということに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/30
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031・川俣清音
○川俣委員 そういたしますと、この創設要綱に基いてすでに通牒を発してそれぞれの処置をとつておられるのでありますが、それでは不十分だということでこの法案を出されたのですか。法制化する必要がどこにあるのか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/31
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032・大坪藤市
○大坪政府委員 本法の内容は、まず第一は、政府が有畜農家を創設するに必要なる資金のあつせんをすること、もう一つは五分の利子補給をいたしますこと、もう一つは、府県が損失補償をいたしました場合にその半額を補助すること、一つは、県が県費をもつて家畜を購入いたしまして農民に貸付けました場合には、これについて五分の利子補給をすること、それから有畜営農のために外国からジヤージーを購買して来た場合には、これを無償または低い価格で貸付けるというような、この五つの項目を含んでおるのであります。そのうちどうしても法律を必要といたしますのは、いわゆる損失補償の点でありまして、これにつきましては、ただいま申し上げましたように、資産内容の悪い組合に対して金融機関が貸し渋るおそれがありまするし、前年度も約百件近いそういう例がありますので、こういうような貸し渋ることのないように、まず府県が金融機関に補償をする。それに対しまして国が半額の補助をする。この措置はどうしても必要な法律事項でありまして、そのためにほかも含めまして本法を提出いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/32
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033・川俣清音
○川俣委員 今局長の御説明によりますると、損失補償以外は大体行政的に処置できるという御説明のようでありますが、それではなぜ損失補償だけを特別立法にしなかつたかというと、これは損失補償に伴つて法律を整備して行くことが必要だ、こういう観点であるようであります。そういたしますれば、行政面でできることをわざわざ法律にしなければならないという根拠は、損失補償の問題だけのように思うのですが、ほかの点は行政措置でできるのではないのですか。今までの要綱を見ますると、大体こういうことをやつておられたのでありますから、その上この法律がどうしても必要だという説明には受取りがたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/33
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034・大坪藤市
○大坪政府委員 有畜農家創設の事業は、今後のわが国の農業にとりましてきわめて重要な、また意味のあることであるのでありまして、これに対しまして、政府がある程度期間を限りまして、経常的に一貫した方針を持つて進みまするためには、どうしても一つの制度といたしまして、国の意思として法律を制定しておく、こういうような意味合いがおもなる眼目であると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/34
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035・川俣清音
○川俣委員 こういうことは、行政措置としてやることはとかく永久性を欠くおそれがあるし、またこういう有畜農家というものは、一片の行政措置では非常に不安定であるので、本来の有畜農家の創設には不十分である、こういうようなお説であります。そういう意味であれば、本法を提出された理由がはつきりするのでありますが、
〔平野委員長代理退席、委員長着席〕
ただ問題は、次官通牒の場合には、定義の中に、法文化された以上に、乳牛、役肉用の馬、めん羊、やぎ及び豚まで入れてあるわけです。ところがそれほど大規模に持つて行かれるについて、今度は「「家畜」とは、牛、馬及びめん羊をいい、」と大分縮小しているわけですね。大体行政の方で縮小して、法律の方で拡大されて行くという傾向があればこれはまた別でありますが、本法の目的を大いに宣伝しながら、行政措置のものより定義をだんだんつづめておるわけです。この理由はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/35
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036・大坪藤市
○大坪政府委員 やぎ並びに豚につきましても、政府といたしましては、これをできるだけ導入しまするように、今後とも資金のあつせんをいたして参りたいと思つておるのであります。ただやぎ並びに豚につきましては、非常に回転率が早いために、金融機関といたしましてはそれを対象にして貸付上ますることがなかなか困難でありまするのと、もう一つは、金額が非常に少額になりまするので扱いにくいというような関係で、本法から一応除外してあるのでございまするが、この二つにつきましても、要綱の精神にのつとりまして政府といたしましては措置して参りたい、だだ法律として国が今後はつきりこういう計画をもつてやつて行くんだということにつきましては、馬、牛及びめん羊、この三者に一応限定したい、かようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/36
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037・川俣清音
○川俣委員 そうするとおかしいですね。最初は有畜農家創設要綱に基いて、これを法制化して行く必要がある、こういう御説明でいながら、その要綱の中にあつたやぎ及び豚をとつてしまつたということは、おそらく予算上からこういうものになかなか資金がまわらないという説明でありまするならば、一応これも了解できるのです。ところが一方は、法律の中に、「政府は、予算の範囲内において、」こういうことになつておりますから、入れておきましても、予算の範囲内で処置できるはずです。要綱を出されておりながら、わざわざ抜いた意味がまだ私どもに納得できませんが、もう一度この点について御説明願いたい。わざわざ通牒を出しておきながら、この通牒と法外案とが相沿うていない点でどうも解せないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/37
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038・大坪藤市
○大坪政府委員 昭和三十七年つまり要綱を制定いたしましたときも、豚並びにやぎにつきましては利子補給をいたしておりません。つまり一応金融のあつせんにつきましては努めまするが、これについて利子補給という措置はとつていないのでありまして、その要綱の通りこの法で実施して参るという結果になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/38
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039・川俣清音
○川俣委員 私は別にこの要綱通りにかえなければならないというふうに主張しておるのではなくて、要綱をもつてこれを法制化するというのでありまするならば、やはり三条の規定があるのでありますから、これを入れてもちつともさしつかえないじやありませんか。さしつかえがあるという説明にはちつともならぬ。障害になるという説明には不十分だと思う。要綱そのまま本法に移しましても一向さしつかえないじやないか。三条の資金のあつせんだけにとどめるというのであれば、それでもさしつかえない。要綱がその通りできておりますから、そのまま法文の上に移して行つてしかるべきだと思うが、わざわざ削除され理由はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/39
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040・大坪藤市
○大坪政府委員 利子補給も損失補償も要綱のときからやつておりません。それは本法といたしましては必要ないというようなことに相なるのじやないか、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/40
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041・川俣清音
○川俣委員 これは法文の解釈から見ましても、やぎと豚は三条だけの適用にとどめることも、行政上ちつとも困難ではない。どうせ四条の予算の範囲内にということになつて、この三条と四条との関係から見ましても、やぎ及び豚については三条だけに適用させるということは決して困難ではないと思う。そういたしますと、有畜農家なんて大きな見出しをつけて、しかも宣伝をしておきながら、わざわざ減らす意味がわからぬ。もつと拡大いたしまして、これは有畜農家となつておりますから、別でありますが、むしろ家禽をも加えて、総合的な有畜農家というものを考える必要があるのじやないかと思いますが、これを抜かれた理由はどこにあるのですか。広い意味の有畜農家というと家禽も入るのですが、家禽は別に考慮する必要がないということで抜かれたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/41
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042・大坪藤市
○大坪政府委員 政府で利子を補給し、また損失補償契約を締結する対策といたしまして、家禽は金額が非常に小額であり、また回転率も早い、こういうようなわけで、これにつきましてはそういうような措置がなかなかとりにくいというような意味合いにおきまして削除いたしておるのであります。ただいまお話の豚及びやぎにつきまして、なぜこの法案から削除したか、この問題につきましては強い意味はありませんが、要綱当時からそういう措置をとつていませんでしたので、法律案といたしましては必要がありませんので削除いたした、かようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/42
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043・川俣清音
○川俣委員 一応説明がなつておるようですけれども、回転率が早いということは説明の通りであります。しかしながら、やぎ及び豚にいたしましても、家禽にいたしましても、将来やはり品種の改良と申しますか、優良品種を導入して参らなければ発展できないのであります。これについてはどうしても資金の融資が必要であろうと思う。そういう意味で、家畜試験場等におきましてもそういう実際の具体的なものも持つておられるわけであります。これを除かれなくてもさしつかえない。むしろ入れて置いて適宜これらの資金の融資あつせんを行う方が妥当ではないか、家禽にいたしましても、やぎ、豚等におきましても、優良品種の改善が必要になつて来ておると思う。回転率が早いということは言えますけれども、こうした優良品種を導入すること等につきましては、なおあつせんの余地があると考えますけれども、その点についての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/43
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044・大坪藤市
○大坪政府委員 政府といたしましては、大動物のみならず、中小動物につきましてもできるだけこれを振興さして参りたい、かように存じておりますので、資金のあつせん、その他中小動物の振興に必要な措置はできるだけ講じて参りたい、かように存じております。ただ利子補給をし、損失補償契約を結びます対象といたしましては、あまりにも一件金額が小さくなりまして、件数だけ多くて事務処理上も非常に困るというような事情もありまして、一応本法から削除したような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/44
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045・川俣清音
○川俣委員 それでは次に移りますが、芳賀委員から質問があつたように、これらの家畜が高くなるために有畜農家の発展が阻害される面と、こういう家畜が非常に高騰することによつてなお飼育が盛んになるというのと二つあると思うのです。たとえば乳牛のようなものが非常に高くなつて参りますと、採算割れをいたしまして、非常に苦しくなることが考えられる。ところが豚であるとか、あるいは役牛のようなものは、高くなることによりまして、むしろ盛んになる。安くなつたらだんだん減つて来る。むしろ高くて買いにくいというようなときの方が御承知の通り盛んになつて来るわけであります。値段が下つて来るとむしろこれはだんだん減つて来るような傾向にあるわけですが、一概にこういうものは、高くなるからいかぬのだというような考え方を持つておられるのかどうか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/45
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046・大坪藤市
○大坪政府委員 ただいま御指摘の点はまことに同感でありまして、動物の種類により、また地方により、価格が上つた場合には増加し、下つた場合には減少する、またその逆の傾向をなしている、こういう点は、まさに御指摘の通りであると思うのであります。しかしながら、少くともこの基本要綱によつて無家畜農家に導入して参る動物につきましては、できるだけ農家が導入し得ないような価格にならないように政府として指導して参りたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/46
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047・川俣清音
○川俣委員 乳牛等につきましてはお説の通りでありまするけれども、他の馬あるいは役牛については、高くなるようなことをおそれて抑制するようなことになりますと、かえつて制約を受けまして、有畜農家の創設の目的が達成できないような結果になりはせんかということを憂えての質問でございます。もつと盛んにするためには、乳牛及び役牛にいたしましても、飼料に対する処置、いわゆるふすま等の飼料の手当が十分でなければ、いかに宣伝をいたしましても、なかなかこれに伴つた有畜農家が生れて来ないわけであります。またたまたまできましても、こういう飼料難から手離さなきやならぬような状態が起ることは、局長すでに御存じの通りです。飼料対策として、どのような措置を将来講じられるつもりであるか。この計画と飼料とは相関連しておりませんと、この計画は成り立たないと思うのでありまするけれども、この点についての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/47
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048・大坪藤市
○大坪政府委員 家畜の飼料が入手が困難であつたり、あるいは価格が高かつたりいたしました場合には、かえつて家畜の飼育が採算割れになる、これはまことに御意見の通りであるのであります。御承知のように、飼料につきましては、自給飼料と購入飼料とあるのでありまするが、政府といたしましては、できるだけ自給飼料の増産をはかつて行きたい。集約的に家畜を導入するという考え方につきましても、自給飼料の入手の非常に容易な地帯に集約的に自給飼料の増産施設を集中いたしまして、自給飼料の割合をできるだけ高くして行く、こういうような措置をとつて参りたい。これにつきましては、牧野の改良あるいは草地の改良、こういうような草資源の開発並びに飼料作物、こういうものの増産をはかつて参りたい、かように存じておる次第であります。
次に濃厚飼料と申しますか、購入飼料につきましては、今年の三月一日より飼糧需給安定法が実施されまして、政府におきまして、本年度は飼料審議会の議決を経まして、二十七万トン外国から購入いたしまして、これを農家飼育者に配給をする、こういうようなかつこうに相なつておるのでありまして、この飼糧需給安定法の運用によりまして、採算割れの価格にならないように政府といたしましては措置して参りたい、かように存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/48
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049・川俣清音
○川俣委員 飼料について局長の説明があつた通り、濃厚飼料と申しますか、購入飼料につきましては、飼糧需給安定法もありまして、それで処置をされることでありましようが、この点もなかなか十分でないと思いますので、この法案を出すと同時に、これらに対する対策がうらはらになつておりませんければ、ただ単なる一片の法律によつては、なかなかこの法律の目的が達成できないと思うのでございます。そうした半面に、それと相関連いたしまして、自給肥料のサイロに対する手当と申しますか、やはりこれと同じように、遅れておりまする地方にサイロの奨励あるいは融資あるいは補助等をお考えにならなければならないと思うのでありまするけれども、これらに対する御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/49
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050・大坪藤市
○大坪政府委員 畜産を効率的に行つて参りまする場合に、どうしても最後にぶつかる問題はサイロの建設であるのでありまして、サイロの建設は、特に乳牛などを飼養いたしまする場合には絶対に必要な条件であるのであります。従つて政府といたしましては、これを当初は助成をしたい、補助をしたいという考え方で、いろいろ財政当局と折衝いたしたのでございますが、この点につきましては困難でありましたので、農林金融公庫の資金わくの中に約三億の資金わくをとりまして、これを低利な金利で農家の方にまわしてもらう、かような措置をとつている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/50
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051・川俣清音
○川俣委員 大蔵省と折衝したけれども、なかなかこれについての理解を得られなかつたというのでありますが、やはりこれはこの法案の肉づけとなるものでありまして、この肉づけなしにこの法律だけをもつて満足し切れないと思うのであります。この法案を用意されると同時に、サイロの補助、助成というようなことについて当然もつと努力しなければならないと思うのであります。むしろそういう助成の方向が附帯されて、初めてこの法律が有効に動くのでありまして、法律を先に出しておいて、それから肉をつけるのだという考え方もそれは一応ありますけれども、出たら出つぱなしでこの肉づけが足りなければ、これは死物と同じになつてしまうだろうと思うのです。そこでこういう奨励をされまするならば一これはなかなか盛んになると思うのです。けれども一時盛んになりましても、この肉づけがなければまた衰微する。大きな国家投資を行つて、最後にはまた二、三年たつて整備しなければならないということになりますと、今まで投資いたしましたものがまつたくむだと相なるわけでございまして、そのためにはわずかぐらいの肉づけを渋つているようでは、ほんとうにこの目的が達成できないと思うのでありますが、この点についてもう一度所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/51
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052・大坪藤市
○大坪政府委員 サイロの建設につきましては、これはただいま御意見のありました通り、乳牛を飼育する前提要件をなして参りますので、この点の奨励については、政府といたしましてできるだけの措置をとつて参りたいと思うのであります。従つて財政当局に対してもこれは強く要望せなければならないと思いまするが、私どもといたしまして、従来の経験からいたしますると、いわゆる融資よりも補助金の方が、たとい金額が少くても、農家に入りやすいというような状態であるのでありまして、その点についてもう一度強く折衝して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/52
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053・川俣清音
○川俣委員 その点は局長を信頼いたしまして、将来これに肉づけされるという決意のあることをもつて了承いたします。
次に問題になりますのは、北海道のように先進的な有畜農家は別でありますが、将来この法律に基いて相当りつぱな活動が農民の間に起つて来るであろうということが期待できるのであります。その場合における税金の問題ですが、将来こうした発展を遂げ、そこに大きな所得が上つて、その所得に対して課税されるということになりますのは、それは当然なことだと思うのです。しかしながら今ようやく緒についたところからすぐ税金をとるということになりますると、やはり本法の趣旨を没却するような結果が現われて来るのじやないかというおそれもありますので、この点についての免税等に対する見解を、ひとつ御説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/53
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054・大坪藤市
○大坪政府委員 日本の現在のような農業事情のもとに有畜農家を奨励して参ります場合に、その導入の当初におきまして、お話がありましたようにしばらくでも無税にしてもらうというような措置ができますれば、これはもう何よりもいいことではないかと存じますが、現在の段階では、まつたく無税にすることは、これは困難じやないかと思うのであります。従つて評価基準と申しまするか、評価額につきましてそういう実情を十分に財政当局に考慮してもらう、このことが必要ではないかと思うのでありまして、この点につきましては、地方の国税局ごとに具体的な問題として処置するように措置いたしたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/54
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055・川俣清音
○川俣委員 今局長の言われるように、免税にすることは一番適当であるけれども、それはなかなか困難である、そこで課税の基礎となるところの評価の問題について、国税局ごとに善処を望むということでありますが、なかなかこれは望むだけ、あるいは一片の通牒だけでは、容易に達成できないと思います。現在の徴税の上から言いますと、去年に比べて今年度はどの程度かという大体のわくをきめまして、全体に振り当てるということがとかく行われがちであります。決してそういう徴税方法でないと説明いたしましても、実際は国税局では、去年から物価が一割上つておる、二割上つておるから、全体の収入はどれだけ上るのだという見込みをつけてどんどんやりますだめに、局長の言われるような処置は、会談や通牒だけではなかなか達成できないと思います。もしもそういう意思であるならばよほど努力を要すると思いますが、さらにその努力を払われる用意があるかどうかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/55
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056・大坪藤市
○大坪政府委員 有畜農家を創設する場合の一番大きな問題でありますので、その点につきましては今後大いに努力いたしまして、評価基準が適切であるようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/56
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057・川俣清音
○川俣委員 これらの計画が実施せられると、農家の喜びはこれに過ぎたものはないだろうと思うのでありますが、それと同時に、これだけの計画が実施されると、これから起きて来る加工面の計画がこれに伴つておりませんと、最後の結果を見ることが困難になつて来ると思うのでありますが、加工に対する考え方について所見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/57
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058・大坪藤市
○大坪政府委員 この措置によつて、今後相当わが国の家畜が増加して参る予定であるのでありまして、その際牛乳の加工あるいは肉の加工等について今後どうするかということが問題でありますが、牛乳につきましてはできるだけ集約的に経営いたしまして、それに見合つた処理加工工場をつくつて行く、同時に肉につきましてもできるだけ加工工場を増加いたしまして、これに対しましては政府資金なり何なりを導入することによりまして、そういう処理加工の施設が間に合わないということのないように処置して行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/58
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059・足鹿覺
○足鹿委員 今加工の問題が出ておりますので、私は関連して局長に二、三お尋ねしたい。今国会に厚生省所管でと蓄場法案が提案せられ、われわれも関心を持つておりましたが、農林委員会の仕事に忙殺されておる間に、連合審査のいとまもなく、厚生委員会のみで審議をいたされて、すでに本会議を通過して成立を見ました。前の国会の際にも、またその前からも、同僚の金子君も、この問題は、厚生委員会で長い間努力をされ、私も農林委員会で、機会あるごとにこの問題については当局に強い農村の声を伝えておつたと思うのです。ところが今回厚生省から提案をされたあのと畜場法は、少くともわれわれの要望のものと遠い、十頭程度のものというような一つの標準によつて法案ができ上つておる。そういうものではなしに、農村の部落の農家組合であるとかあるいは協同組合がきわめて簡単に、少くとも中家畜程度のものは屠殺をして、そうして必要量はこれをたくわえ、あるいは金にかえて行くというような施設というものを、長い間農村は要望して来ておる。この実情はすでに新任の畜産局長も引継ぎ事項等でよく御承知のはずと思うのでありますが、あの厚生省から提案をされた屠場法の改正については、畜産局はどういう態度をおとりになつたのであるか、あの程度のもので農村の要望にこたえたとお考えになつておるのであるか。現在農村の体位の向上が叫ばれ、また総合的な食糧政策という問題が論ぜられ、あるいは農村における食生活の改善が唱えられておつても、山村においては腐つたような魚や、あるいは塩魚を辛うじて食つておる。しかもみずから飼育した牛やあるいは豚や、あるいはやぎは家畜商の手にかかつて屠場に送られ、そうしてさらに肉畜業者の手を経て、高い牛肉や、あるいは豚肉、その他の獣肉となつて、それを買つて食う実情である。従つて家畜の振興をはかるといつても、ただ増産々々といつたのでは、ただちに需給関係が伴つて参りまして、生産の過剰となり、すなわち畜産物の下落となつて、農家は仰のけのつばきという結果になる。従つて今日本の畜産政策として、また食糧政策の一環としてとられなければならぬことは、どうして農村やあるいは貧困な勤労大衆の間に低廉な畜産物及びその加工物を供給し、食わせるかということに問題の重点がなければならぬ。それがあつて初めて需給のバランスが立ち、ひいては畜産というものの振興ができると思う。これに対して一体畜産局は、どういう対策をとつておいでになるのでありますか。私はそういう施策の推進について従来畜産局は少し手ぬるいのではないかと考えておりますが、その点についていかようにお考えになりますか、この際承つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/59
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060・大坪藤市
○大坪政府委員 屠場法の改正の問題につきましては、ただいま御指摘の通り国会を通過いたしておるのであります。昨年の暮れでありましたと思いますが、厚生省の方から屠場法の改正の協議がありまして、局といたしましていろいろ従来からの民間団体あるいは関係者の御意見を総合いたしまして、向うから参りましたところの案につきましていろいろ検討を加えまして、三月の初めでありましたか、厚生省と意見がまつたく一致いたしまして、法案を提出するという運びに相なつたのであります。従来から簡易な屠畜場をつくつてほしいということは、ただいま御指摘のように、非常に業界の要望でありますので、このたびは簡易屠畜場というものを認めることに相なつておるのでありますが、ここに一番問題になりますのは、簡易屠畜場というものがどういう設置基準になるかという問題であるのでありまして、設置基準の問題につきましては、目下厚生省と交渉いたしておるような次第であります。もう一点は、いわゆる自家屠殺でありまして、従前は許可制度でありましたのを今度は届出主義にかえまして、たやすく農家が自家で屠殺できる、こういうような措置をとつて参つた、この二点が大きな改正の眼目であるのであります。同時に政府といたしましては、補助金を四百万円ほど計上いたしまして、簡易屠畜場の設置を奨励して参りたい、かように存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/60
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061・足鹿覺
○足鹿委員 設置基準については、現在検討中であるということでありますが、その設置基準の大体の要綱的なものはありますか。また四百万円程度の補助金という話でありますが、その四百万円は、その設置基準に関連した予算を裏づけできますか、どういう性質のものでありますか、もう少しその辺を詳しく御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/61
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062・大坪藤市
○大坪政府委員 政府の予算で計上いたしておりますのは、この屠畜場法と直接には関係ありませんが、民間の農業団体の、いわゆる肉の処理工場を助成いたしますために、十工場分として四百万円を計上いたしておるのであります。このと畜場法によります簡易屠畜場の設置基準につきましては、今いろいろ検討いたしておりますが、厚生省の原案でありますと、大体四十万円ないし五十万円ぐらいの金額で設置できるような施設ということで、今厚生省とも話合つておるのであります。それにつきまして、畜産団体その他を集めまして、これでよろしいかということを御相談申し上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/62
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063・足鹿覺
○足鹿委員 設置基準の内容について、まだはつきり伺われないことを残念に思いますが、その大体の構想といものは、施設そのものが四十万ないし五十万という規模のものだということだけは明らかになつた。この四十万、五十万というものは、あなたは簡単に言われますが、農民の立場に立つと、相当な大金です。共同作業場をつくるにしましても、切実なる必要に迫られておつても、今日容易にできない実情にある。従つてこれは部落共同作業場なら作業場の横にちよつとしたつけ足しをするとか、あるいはその村の協同組合の施設に附帯して、ちよつとつけ足しをしてやるとかいうような、きわめて簡易なものでやつて行くことが私は必要だと思う。なるほど、せつかくつくるならば、いいかげんなものではいかぬというお気持はわかりますが、ほんとうに簡易屠畜場の普及をはかり、農村における自家加工を奨励し、消費を増大し、ひいては農村の栄養を改善し、体位の向上にまで資するということになりますならば、なるべくやかましい規則やその他のものはこれをやめまして、ほんとうに名実ともに簡易にし、しかも農業改良普及員の中に屠殺事務等に精通した者があるときは、これらを利用して屠殺もさせる、処理もさせるようにしたい、現に大ぴらではなかなかこれは言えないことでありましようが、農村にはそういうような事例もないことではない。でありますからあまり法規で縛りつけ、そうしてある一つの設置基準で拘束するということでは、なかなか目的が達成できないのではないか。そういうふうに私は考えます。その点について、もう少し厚生省に対しても農村の実情をよく連絡をされまして、農村の多年にわたる要望にこたえていただきたい。厚生省はどちらかというと、食品衛生とかいうことにばかりこだわつて、こういう農村の実情というものを必ずしもよく御存じないのである。それをあなた方がほんとうに認識せしめられて、問題を具体的に解決していただかないと、せつかくのこの法案の改正そのものも趣旨を徹底することが困難になりはしないか、かように存ずるのでありますが、そういう点について、局長はいかようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/63
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064・大坪藤市
○大坪政府委員 簡易屠畜場の設置基準につきましては、できるだけこれを簡易化するような方向に持つて行きまして、しかも金融公庫の資金わくによりまして、希望のある農業者の団体その他につきましては、どしどし設置ができるようにして参りたい、かように存じておる次第であります。同時に第九条でありましたか、主として自己または家族の食用に供する目的をもつて屠殺いたします場合には、届出だけで自家屠殺ができるということになつておりますが、その場合に共同的にやることができるかどうかという問題になりますが、私どもが強く要望いたしまして、常識を越えない範囲内におきまして、数人が共同して食用の目的に供する場合には、一人でなくともよろしいということで、その運用をある程度拡げることによりまして、農村における共同的な屠殺を容易にして参りたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/64
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065・川俣清音
○川俣委員 この畜産の奨励は、農家経済の改善の上に役立たせることが一つと、もう一つは蛋白油脂資源の確保ということが大きいのです。そういう意味でもちろん農家経済の改善の上に寄与することも一つでありますが、これだけの国家投資が行われるといたしますならば、単に農家経済の改善ばかりではなく、一般の国民生活の食糧をある程度確保するということがなければ、これだけの資金の融通は困難であろうと思う。そこでこれを拡大するといたしますならば、今問題になつておりますこれらの家畜の処理、加工というものについて、十分な施策がなければならないと思う。生産に伴つて、これらの目的が当然蛋白油脂資源の確保にあるといたしますならば、その処理加工について、もつと徹底した案がなければならないはずであります。ところがこういう点については、どうも十分ではないようであります。私から見るならば、むしろもつと積極的に、この処理加工について国が二分の一補助をするということによつて、優秀な処理加工場ができるように奨励して行かなければならないと思うのでありますけれども、これについての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/65
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066・大坪藤市
○大坪政府委員 今後の家畜の増加の趨勢に対しまして、ただいまお説の通り、畜産物の処理加工の施設の拡充がどうしても必要でありますので、本年度はさしあたり簡易屠畜場として十箇所の肉の処理工場を補助することにいたしたのであります。その他の分につきましては、農林金融公庫の資金わくを設定いたしまして、これによりまして希望の協同組合その他の加工をやる団体につきまして、低利な資金をまわして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/66
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067・川俣清音
○川俣委員 局長は十箇所くらいなところに資金の融資をいたしたり、あるいは補助をしたいということをもつて得々としておられますが、このくらいなことで、十箇所くらいやつたのだから畜産局が十分なことをやつているというお考えは、たいへんな間違いであると思います。大体競馬のためには、地方の畜産局あたりが総出で競馬に出て行つている。畜産の奨励と言うからには、先ほど言つたように農家経済の上に役立つとか、あるいは蛋白油脂資源の培養、確保の上に大いに寄与することが目的であつて、競馬見物のための畜産ではないと思う。畜産というと競馬のことに力を入れまして、こんなことをやることについてどうも力が足りない。競馬を国営にするくらいだつたら、食糧確保の上から処理工場を国営にするとか、県営の場合には半額、あるいは三分の二を補助するという熱意を持たなければ、競馬だけは国営でこういう重要な国民生活の方は十件くらいの補助で満足するということでは、ほんとうの畜産農家の奨励なのか、競馬の上に付随しての畜産かというような誤解を受けると思いますが、これについての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/67
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068・大坪藤市
○大坪政府委員 私どもといたしまして、十箇所くらいの加工場を補助することをもつて、決して得々としていると申しますか、満足をいたしている次第でないのでありまして、これの何倍、あるいは何十倍のものがどうしても必要だ、かように存じているのでありますが、本年度はさしあたり十箇所を助成いたしたい、これはまことに不十分な施設でありまして、御指摘の通り今後大いに努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/68
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069・川俣清音
○川俣委員 もう一つお尋ねしたいのですが、競馬と畜産とは今日においてどれだけ関係が深いかどうか、私どうも疑問がありますので、この際これを明らかにしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/69
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070・大坪藤市
○大坪政府委員 競馬に関します問題はきわめてデリケートなと申しますか、含みのある問題でありますが、競馬が畜産に貢献をしているということは間違いないと思うのであります。しからばどの程度貢献しているかということにつきましては、どの程度というような程度問題としてのことはなかなかはつきり申し上げかねる、こういうことに相なるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/70
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071・川俣清音
○川俣委員 畜産に寄与しているということですが、この法文から見ますると、馬とは書いてありますが、馬の前に乳牛または役肉牛、その次に馬と書いてある。おそらくこの点から見ますと、これは馬という表現の上を見ますと、役牛またはひき馬の意味がこの中に多分に含まれていると私は解釈するのです。乳牛及び役肉牛、それからその次に馬、こう申しておりますが、この馬という意味は競馬馬でないと思いますが、競馬馬の意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/71
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072・大坪藤市
○大坪政府委員 その場合の馬は決して競馬馬を意味いたしておりません。と申しますのは、競馬馬の方は単価が全然違いますので、こういうような措置ではてんでお話にならないということに相なるのでありまして、その点は含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/72
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073・川俣清音
○川俣委員 この畜産の法律と競馬とは何ら関係がないということになるので、そうすると畜産とはやはりあまり関係がないということになるのではないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/73
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074・大坪藤市
○大坪政府委員 この法律と競馬とは関係ないと思いますが、競馬そのものにつきましては、いろいろ馬に親しみを覚えましたり、あるいは直接ああいうふうなレースを見ることによりまして馬の知識を深める、こういうような意味合いにおきまして相当程度畜産に貢献をしておるのではないか、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/74
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075・杉村沖治郎
○杉村委員 競馬と畜産ということの今の質問応答に関連して伺いたいのですが、大体競馬というのは、最初は馬事思想を普及するという意味から始まつたようにわれわれは記憶しておりますが、その馬事思想を普及するということはどういうわけかと言えば、当時は軍国主義であつて、軍馬がたくさん必要であつた。ところが今は軍隊はもちろんありません。だから必要ありません。そうして役馬、いわゆる使う馬というものとこの競馬に使用するところの競馬馬というものとは、全然馬の体質を異にしておるわけであります。競馬馬は農家の役馬にはまつたく不適当なのであります。でありますから今の競馬馬をああいうふうにいろいろ競馬をやらしておくということは、私は農家に役馬が多くなつて来れば、あんなことは全然必要がないと思うのですが、今の競馬を畜産に関係があるという意味でやらしておくわけなのですか。つまり今の競馬をああいうふうなばくちみたいなことをやらしておくことは、畜産奨励の意味においてあの競馬をやらしておるのでございますか。その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/75
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076・井出一太郎
○井出委員長 大坪政府委員、明快にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/76
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077・大坪藤市
○大坪政府委員 この点につきましては農林大臣から直接御答弁した方が適切かと思いますが、競馬そのものと本法とは関係がないと存ずるのであります。また競馬はただいまのお話のような点からスタートして参りましたことにつきましても、これは事実じやないかと思うのであります。しかしながらこれを廃止するとかどうとかいう問題につきましては、きわめて大きな問題でありますので、私から答弁をすることを差控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/77
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078・安藤覺
○安藤(覺)委員 競馬について局長にたいへん質問を集中するようでありますが、一言お尋ねいたします。この競馬によつて外貨の獲得の面とか、あるいは国内における富の増産とかいうことにおいて、何か具体的なことがありましたら、一言お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/78
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079・大坪藤市
○大坪政府委員 競馬の馬券の売上高は本年度は大体百二十億を予定いたしておるのであります。その中の相当の数量を外国の人が馬券を買つておるということは、これは事実あるのでございますが、その金額がどのくらいであるかは、これは資料は持ち合せません。従つてその意味合いにおきましては、ある程度外貨を獲得しておるということは言い得るのではないか、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/79
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080・安藤覺
○安藤(覺)委員 それでは次会までにこの外貨獲得の金額をひとつお調べ願つて、ぜひ資料を御提出願いたい。
それから国内におけるところの富の生産について、それはどんなものであるか、それをちよつと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/80
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081・大坪藤市
○大坪政府委員 ただいま外貨獲得の資料提出要求でありますが、それはどれだけの人間がどれだけ買つたかは全然わかりませんので、ある程度買つておるということはわかりますが、いくらとおつしやいましても、その点につきましては御答弁が不可能でありますので、お許しをお願いいたしたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/81
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082・安藤覺
○安藤(覺)委員 何人が馬券を購入したか、調査ができぬから資料は提出できないというお言葉でありますが、それはごもつともであろうと思う。しかしながらこれによつて外貨を獲得するということは、局長が今その衝に当つておられ、答弁しなければならぬから言われることであつて、おそらく外貨獲得という言葉を使えるほどの金額はないと思う。この意味において、いわゆるあの競馬は興味とそうしてばくち行為、これ以外の何ものも生んでいない。富の生産もしくは外貨獲得について何らの役を勤めておらぬということを、私ははつきりと認めて、またいずれの日かの質問の資材にしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/82
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083・川俣清音
○川俣委員 今局長から外貨獲得に相当役立つているという御説明でありますが、私どもから見ますと、競馬馬のために外貨を支払つておる点も相当大きいと思う。おそらく外貨獲付よりその方が大きいのではないかと思う。これは私は別に資料を持つておりませんから、大体の見通し、感で申し上げましても、おそらく外貨を獲得するよりも失う方が多いと思う。問題は国営競馬なんでありまして、競馬存続そのものについては私は国会で問題にすべきものではないと思う。一体国営競馬をやつている以上、これは畜産の上に寄与するものでなければならない。寄与するものでなければ、国が大きな賭博行為をみずから行うものでありまして、何らか畜産に関係あるというところにおいて幾分なりとも畜産局における競馬部というものの存続の理由があるのでありますが、畜産と競馬というものは、今までの説明では十分関連があるというようには納得ができないのであります。どうしても畜産局の中に置かなければならない、国営競馬でなければならないという主張がありますならば、その見解をもつと詳細に説明願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/83
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084・大坪藤市
○大坪政府委員 国営競馬の問題でありまするが、国営競馬をこのままの形で続けて行くか、あるいは今のままでない機構に移して参るかという点につきまして、目下いろいろな観点から検討いたしておるのでありまして、政府といたしまして内部で検討いたしておるという段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/84
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085・川俣清音
○川俣委員 私はその検討を聞いておるのではなくて、畜産と国営競馬とはどれほど関連性を持つているか、どういう見方をして現在畜産行政を行つておられるか、この点の見解を聞きたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/85
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086・大坪藤市
○大坪政府委員 今の問題につきましては、非常にむずかしい問題でありまして、現在のところ純益といたしまして年間約十一億見当のものが国庫にほんとうの純益として納入されておるのであります。馬券の売上げが百二十億見当で、そのうち純益が十一億見当に相なつております。畜産局といたしましては、いやしくも競馬を主宰しております以上は、競馬についても真剣にこれが公正な競馬ができるように大いに努力をいたしたいような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/86
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087・川俣清音
○川俣委員 私は別にしつこく食い下つて局長をいじめようというのではないのです。問題はこの法案をめぐつで、畜産と競馬のあり方について将来検討しなければいかぬと思うので、畜産行政とどれだけ競馬が密接な関係があるかという点をただしておきたいのであります。畜産局長がお答えが非常に困難だといたしますれば、これは大臣にお尋ねすることにいたしまして、委員長それでは有畜農家創設特別措置法案については、大臣の御答弁があるまで、ひとつ採決はお待ち願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/87
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088・井谷正吉
○井谷委員 酪農のことでありますが、私どもの方では終戦後非常に酪農を奨励いたしまして、非常に無理をしてみな乳牛を買つた。ところが乳が安くなりまして、飼料は高い、乳は安いというようなことで、最初乳牛を買つた者も、これを手離すというような段階にただいまなつているのであります。明治製菓が工場を設けて簡易な装備をしておるのでありますが、聞くところによると、乳の値段が安くなるということは、外国から乳製品が無制限に入つて来るために圧迫を受ける、そういうようなことを工場長は言つていたが、そういうようなことがあるのであるか。さらにまた、輸入しているのは間違いありませんから、どういう種類のものが入つておつて、年間それがどのくらいの額になつているか。なお詳しく言えば、内地で生産しておりまする乳製品と、輸入をしておるそれらとの比較をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/88
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089・昌谷孝
○昌谷説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。乳製品が大量に入りまして、国内の価格を非常に圧迫しているという話がどこかであつたそうでありますが、ただいままでのところ昨年一箇年の実績でございますが、チーズにつきましては、例の自動承認制と申しますか、そういうことで一ころポンドの過剰な関係もあつたかと存じますが、数量にいたしまして約百万ポンドの輸入が行われております。これは国内のチーズの生産額に比較いたしますと、ほぼ同量に匹敵いたしております。ただチーズにつきましては、国内のチーズの生産技術がいまだ十分発達いたしておらぬ関係でありますとか、それから生産設備そのものが貧弱であります関係であるとか、そういう関係もあるかと存じますが、この輸入量の結果、国内の価格を特に圧迫したという事例はなくて、私どもが製造業者の方々から伺つておるところによりますと、むしろ国内のチーズの消費慣習を拡大するという意味で好ましい傾向である。そのうちに国内産に切りかえるという意味におきまして、今までのような自動承認制に放置をしておくということは、もうそろそろ考えなければいかぬ時期であろう、そういうふうな御見解がそういつたような関係の筋にあるようであります。それから、その他のバター、粉乳等につきましては、特に計画的な輸入品目としては計上しておりません。従いまして、いわば駐留外国人用と申しますか、ある特定の販路のために、ある特定の人々が一括輸入をやつておられるというケースはございますが、一般の国内消費に流れ出るような意味での輸入は、計画的に外貨割当の面で計上されておりません。
それからなおもう一つあります輸入は脱脂粉乳であります。これは、御承知のように、戦争直後から始まりました学校給食でありますが、その学校給食の用に供するために、文部省の御計画としては、一年間に大方二万四千トン程度を輸入いたしたいという御希望があつたようであります。これは価格の低廉でありますことと、それから国内の脱脂粉乳がそれだけの需要に満たない関係上ずつと輸入が行われておつたのであります。しかし最近は、実際問題といたしましては、有効需要が次第に減少して来るというような関係で、それだけの輸入計画は実際には輸入されておらぬ、さように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/89
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090・井出一太郎
○井出委員長 この際委員長から申し上げますが、ただいまの御説明をもう少し明細な資料として御提出を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/90
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091・足鹿覺
○足鹿委員 今、委員長から資料の要求がなされまして、まことに適初なおとりはからいで感謝しておるわけでありますが、一番畜産界で問題になるのは、先般のバターの際の価格の問題であつたわけです。従つて、このチーズのみに限らず、脱脂粉乳も、バターも、大体輸入の畜産物及び畜産加工品、それらに関する最近の年次別の輸入数量、その価格の変動、国内価格との比較、そういつたものを資料として御提示を願いたい。これはぜひ早急に出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/91
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092・井出一太郎
○井出委員長 ただいまお聞き及びの通り、足鹿委員の御要求にかかわる資料の御提出を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/92
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093・大坪藤市
○大坪政府委員 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/93
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094・金子與重郎
○金子委員 各委員の諸君からたくさんの質問がありましたので、大体尽きておると思いますが、今資料として要求された問題に関連してですが、加工乳を中心としたジャージーの集団地帯をつくるというようなことになりまして、これがもし外国製酪品とアンバランスになりました場合、こういうふうな集団的地帯を国家が責任を持つてつくつたといたしますと、今後重大な問題になりまするから、この点は相当考慮されておると思いますが、この問題は、後にこれらのような資料ができましたときに、どういう対策を取るかということを御研究していただくことにいたします。
それから先ほど来の質問にありました、酪農が進んで参りましても、原料乳が非常に安い、あるいは畜産を奨励しても、生畜と申しますか、立ちですね、立ちが非常に安くて、その割合に肉が高いというのは一般的な非難でありますが、この問題を解決するのに、先ほど畜産局長の答弁では、農業経営なりあるいは農業の組織なり、あるいは酪農なり畜産の組織という中で合理化、奨励する必要があるという御答弁があつたのでありますが、これは私は非常に見解が狭いと思うのです。御承知のように、先ほどと畜場法の問題も出ましたが、それと同じように、米麦のような食糧と違いまして、これは、公衆衛生の立場からして、しかも今から十年も二十年も前の古い公衆衛生の立場から、畜産食品に対しては非常な厚生省等の制約があるわけです。これに対して、この問題を解かない限りは、私は農家なりあるいは生産組織の面においてどんなに合理化しても、農民の手取りと消費者の支払う価格との大きな開きというものを解決する方法はないと思うのです。これに対して乳にいたしましても、今消費者の立場からいうと、まだ需要力がたくさんある。しかし値段が高いから控える。酪農方面は、せつかく酪農を奨励したけれども乳価が安いために、また行き詰まりが来る。こういうジレンマをどういうふうに具体的に解決しようとするか。ことに私の今申し上げた食品衛生の面から縛られておるのを解くように、あなたは厚生省とどういうふうな角度で今後折衝をされようとするのか、もう少し具体的に御検討を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/94
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095・大坪藤市
○大坪政府委員 わが国の畜産の頭数なり、あるいは密度なりからいたしまして、衛生対策が、畜産の現勢よりもかけ離れた勢いで進み過ぎておるというような点は、まつたく御同感に存ずるわけであります。その点が、一つの大きな中間マージンを構成する原因となつておるとも思つておるのでありまして、この点については、関係当局とよく今後相談して参りまして、そういう制約をできるだけ少くして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/95
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096・金子與重郎
○金子委員 これは私が説明するようになつて、はなはだ遺憾でありますけれども、局長の考え方は、当局と折衝する、当局と折衝すると言つておるが、先ほど足鹿君が言つた屠場法だつて、あなたの方は実は負けですよ。だからこういうように国会が開かれておるときに。あなたはほんとうの対策を打明けて、もし国会でもしまつたときに各省との軋轢になつておちつかぬような場合は、国会の開会中に解決する方が有利なんですよ。たとえば今牛乳なら牛乳というものを、十年も三十年も前に病人が飲んだと同じような形において配給しなければ、衛生上悪いというようなりくつはないのです。ことに最近の低温殺菌のようなものになれば、一斗カンなら一斗カンで殺菌して、それを取扱う機関を手放しにして悪いならば、一定の食堂とか、一定量使う共同給食とか、そういうふうなものに対しては、そういうものを一つの殺菌とみなして、取扱わせるというふうに、具体的に一つの方法を立てて、厚生省に押して行かなければだめですよ。あなたの方は、ただ今の規則の中でできるだけと抽象論で押して行くから、厚生省にいつまでもおつかぶせられておる。遅々として進まないのが実情なんです。ですからその点はもつと真剣にやつてもらいたい、こういうことをお願いします。
それからもう一つは、さつき足鹿君が言つた屠場法の問題でも、あなた方はこれから折衝すると言うけれども、あなた方が折衝する前に、私はどんなことを考えているかというと、今の状態ではちよつとだめなんです。今度の屠場法の改正によつて、簡易屠殺場ができることになつたけれども、そのおもなところはみな政令にまかしてある。法律には何も書いてない。このような態度では、実際に実施されることになると、非常に問題が大きくなるのであります。これは大切なことでありますので、この際これから折衝なさるとおつしやいますから、その点を申し上げておきます。たとえば土地の環境の問題でも、一つも具体的なものはないでしよう。たとえば人家から何メートル離れておるというようなことは一つもなくて、ただ抽象的な、人家が密集していない場所につくるとか、公衆の用に供する飲用水の汚染するきずかいがないとか、あるいは排水の問題というような抽象論しかない。だからこれは出先に行きますと、これだけのことしかないと、出先はまた畜産局がやるのじやないから、これから認可する場合に、公衆衛生の立場で、保健所や何かいろいろ問題を起して参りますと、そこにだんだんつくれなくなる。それから先ほど、あなたは四十万円から五十万円でできるだろうと言われたけれども、その中にも問題がたくさんある。たとえば顕微鏡を備えるとか、あるいは建物の構造でも、肉を搬出する出品をくつれとか、生畜を入れる口をつくれとか、そんなことは簡易屠場にはいらない。たとえば一つの例を見ましても。かつて戦前の台北あたりの大きな屠場に行くと、広い土間と煮え湯かまと、それから肉をかけるかけ金があるだけで、あとは何にもありません。それを今度十坪くらいの建物に検査室をつくつて、消毒場をつくつて、そうして搬入場所をかえて、それに顕微鏡及び薬剤の備品を置くというような今の厚生省の考え方、こんなことを言つたならば、実際上できません。これをあなたが折衝する前に、私が折衝しても、そんな顕微鏡なんかいらぬじやないか、そんな検査の薬は検査員が持つて歩けばいいじやないかと、押して行けば、そういう仕方もありますねといつて、だんだんへこみつつある事情である。そういうふうにあなたの方で積極的にやらなければならぬ。そうして実際に法律が空文にならぬようにお願いしたい。
それからもう一つは、自家用屠殺ということを、あなたは非常にお考えになつておるようですが、もし簡易屠場というものが簡易にできるならば、むしろ自家用屠殺のように、皮であるとか、あるいは内臓であるとかいうようなものが、比較的有効に正当価値つけられないような屠殺方法よりも、こうういうふうな簡易屠場のようなもので、部分的に市場化し、部分的に自家用にもできる、こういう自由の許されたものを比較的数多く安易にできるように施策をとる方が、はるかに畜産奨励の上にも、蛋白資源の自給自足のためにも、いいのであります。これは少し私の方から逆に申し上げる話が多くて、あなたに聞くという面が少いのでありますけれども、これに対して私はそう考えるのですが、畜産局長のお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/96
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097・大坪藤市
○大坪政府委員 屠畜場は非常に省令並びに政令に譲つておる点が多い。これはまことにお話の通りであります。従いまして屠畜場の設置基準につきましては、省令で規定することになつておりますが、その省令について目下折衝中でございまして、ただいまお話のありましたような顕微鏡の問題とか、いろいろな問題が、目下出て参つておるのであります。
次に自家屠殺と屠畜場の関係でありますが、お話の通り、簡易屠畜場をできるだけ増加いたしまして、そこでやることが経済的に見ても、衛生的に見ても、これがまことによいという点につきましては、お説の通りであります。できるだけ簡易屠畜場を増加して参りたいと思います。遠隔の地であるとか、あるいはそういう簡易屠場のない所におきましては、自家屠殺でやつて行く、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/97
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098・金子與重郎
○金子委員 この屠場の問題につきましては、もはや相当期間も過ぎておりますから、この際お願いしておきますが、できるだけ早い機会に厚生省と折衝を終りまして、そうして今最後の段階におけるところの省令なら省令によりましたときに、そのモデルを、一体何坪という最小限度のモデルを想定いたしまして、それに対して設備を要するものは、何と何がいる、そうしてそのモデルを時価に評価して、どれだけのものがかかる、こういうことを早くおきめになつて、それをもつて実際の指導に当つてもらいたい。そうでありませんと、法令の字を書いたことだけで地方へ流して参りますと、地方から申請書を出しましても、係官はなかなかやかましいことを言うて解決してくれない。こういうことがありますので、その点をお願いしておきます。
その次にお尋ねしますが、先ほどもこの問題は出たのでありますが、乳牛資本というものがとかく酪農の上に君臨して、言いかえれば、酪農を乳牛資本が隷属化する、そういうことはこの種の事業に非常に多いのであります。そこでこの隷属化するということの一つとして、一つは資本力の問題があります。一つは飼料の問題があるのです。かつては大資本というものが飼料独占の形をとつておりましたが、しかし現在は先年の法律によりまして、政府がある程度の飼料に対する支配権を持つておるようであります。その法律に次いで飼料の品質改善の法律もできておりまして、その安定法と、品質改善の二つの法律を適用すれば、ある程度飼料というものは実需者団体を中心として運用できるようになつておるわけであります。飼料を提供して乳を押えるという抜き差しならぬ、その状態を押えて行くのには、飼料の動かし方も影響すると思います。でありますからして、今後飼料の配給に対しては、できるだけ実需者を中心に持つて行くことが、向うの隷属させるための一つの手段であるえさというものを、ある程度まで力を削ぐ役割はするわけでありますが、その点について十分留意していただきたいと思うのでありまして、その点に対する御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/98
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099・大坪藤市
○大坪政府委員 飼料の点につきましては、ただいまお話がありました通り、飼料需給安定法が施行され、また明年一月一日から飼料の品質改善に関する法律が施行せられますので、この二つの法律を運用することによりまして、特に飼料の配給面につきましては、ただいまお説の通りできるだけ実需者団体に払下げをいたしまして、他の方面に流れないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/99
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100・金子與重郎
○金子委員 次に今の酪農家なり酪農団体というものが、今申し上げておるように、とかく大資本の隷属下に置かれやすいという問題に対して、もう一つのことがあるのであります。それはその畜産農家なり畜産団体の経済力の問題であります。経済力がないから経済力のあるものの支配下に入るというのが常でありますけれども、その場合これと関連して畜産団体の設立の問題があるのであります。御承知のように畜産にいたしましても、養蚕にいたしましても、その種の大資本の前に隷属しやすい農業団体というものは、技術の指導なり、あるいは連絡なりというような面から行きますと、畜産は畜産、養蚕は養蚕というふうに、ちようど役所が一つのセクシヨンでわかれておるように、わかれた方が便利であるのであります。便利であるだけにお役所の方々は、とかく自分の方に専属の団体というものをほしがるという傾向を持つておるのであります。しかしながらこういう傾向で、末端は一つの総合的な農業経営でありますが、それがその産業の種目ごとに一つの団体がわかれやすい傾向を持つております。現在でもそういう動きがあるわけでありますそういたしますと最前申し上げたように、指導であるとかあるいは連絡ということには重宝であるけれども、その経済的な基礎というものは、さなきだに弱い農村の経済力というものでは、とうてい各種の団体に多くの出資を持ち、しかも自己資本を蓄積するというわけには行かぬということになりまして、技術的には伸展いたしましても、最後の目的である農家経済という面になると、とかく大資本の下に隷属するということになりますので、あなたの方でも最近畜産協同組合をつくろうとか何とかいうような、また新しい構想もあるかのごとくとりざたされておりますが、そういう点に対して今どういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/100
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101・大坪藤市
○大坪政府委員 業界その他いろいろの方面から、畜産組合と申しますか、特別の法律に基く組合をつくつてもらいたいというような要望はあります。しかしながらこの問題につきましては、現存の組合との関係もありますし、また特にただいま御指摘のありました通り、組合をたくさんつくりますことは、その指導力なり、特に経済七を弱める点において決定的なものでありますので、この点はきわめて慎重に検討して行かなければいけないのではないか、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/101
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102・金子與重郎
○金子委員 今のところその検討は、の程度の結論まで持つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/102
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103・大坪藤市
○大坪政府委員 その点につきましては検討いたしているのでありまして、どういう段階と申しますか、いろいろ考えている段階にとどまつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/103
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104・安藤覺
○安藤(覺)委員 関連して。この畜産組合の法制化につきまして、先般予算総会においてわが党の河野議員から農林大臣に対して質問を提起いたしております。そのときにおいて農林大臣は、すみやかにその設立の方向に向つて準備を進めるであろう、かような答弁をせられているそうであります。しかりとすれば、すみやかにという言葉でありますから、この多忙な議会生活中ではありますが、相当日限も過ぎて来たことでありますから、局長にあるいはその立案方を御下命になりはしないかと思うのでありますが、その命令を受けられた事実がありますか。いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/104
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105・大坪藤市
○大坪政府委員 これはまつたく政府部内のことでありますので、私から答弁をすることを差控えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/105
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106・安藤覺
○安藤(覺)委員 政府部内のことであるから発表したくないとおつしやるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/106
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107・大坪藤市
○大坪政府委員 命令を受けているかどうかということにつきまして返答をいたしかねる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/107
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108・芳賀貢
○芳賀委員 関連して。畜産組合の問題は、昨日の委員会において私は局長にそれをただしたわけであります。法案の中においても政令で定める団体ということに関連して質疑を行つたわけでありますが、あのときには寝耳に水のようなことで全然そんなことは予見しておらぬということをはつきり言われたのであります。ところがきようは何か安藤委員の質問に対して、非常に苦衷の色があるようでありますが、きのうときようの情勢の中に変化はないということを明確に申されますか。明確に御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/108
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109・大坪藤市
○大坪政府委員 きのうときようには全然態度にいたしましても気持にいたしましてもかわりはありません。もちろんあの有畜農家創設特別措置法の二条でありましたか、あの中の団体には、今問題になりましたような組合をてんで想像もいたしておりません。その点御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/109
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110・足鹿覺
○足鹿委員 関連して。大坪さんはどういうようにお考えになりますか、現在の畜産団体というものは農業団体の中でも最もたくさん、大小無数の団体があり、その中心をなすものは、畜産局である、畜産局の外郭団体的な様相を示したものもたくさんある。そして地方へもやはりその流れが相当及んでいる。これを一まとめにして畜産組合的な一つの系統組織につくつて行こうという、大体そういう御構想ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/110
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111・大坪藤市
○大坪政府委員 畜産関係の団体が何となく多過ぎるということはよく言われている問題でありまして、私どもといたしましても、あるいはこれは多過ぎはしないか。もう少し団体の数を整理統合いたしました方が、経済力からいたしましても指導力からいたしましても、団体としていいのじやないかということは考えておりまするが、ただいま御指摘のように、これをまつたく一本にするとかいうような点につきましては、現在の段階ではそう考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/111
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112・足鹿覺
○足鹿委員 現在畜産協同組合という一つの組織があつて、元来はこれは協同組合の一部門的な立場にあるものが、やはり専門的な事業部門であるから、単独事業連を組織した方がいい、こういう気持から、ある総合か事業別かという激しい理論の後に、ようやくこれは畜産協同組合として、現在の協同組合法に基いて組織ができておることは、御存じの通りなのであります。そのときも畜産局は、協同組合の設置にあたつては総合連に反対をして、そして畜産協同組合という一つの部門別の事業連をつくる、そういう方針を与えられたのです。これは畜産局ですよ。私はその当時のいきさつを知つておりますが、そういう分裂的な施策一を、従来からいつも畜産局がやつている。そして今また、政府当局の責任においてはあるいは言明はできないかもしれませんが、議員立法という形において、前国会においてはすでにその要綱もでき、法律案もでき、現に私どももそれをもらつておる。それをあなたは御存じないのですか。議員立法と政府との関係というものは、直接関係はないでしよう。しかし本委員会でもたくさんの議員立法をつくつておりますが、これは政府とある程度了解し合つて、そして政府が出しにくい問題であるし、大蔵省に対するいろいろな折衝の経過等から、やつたことに対して議員も好意的にこれを了解して、今までは多くの場合やつておる。この畜産組合法という法案を私は読んでみました。要綱も読んでみました。大体の趣旨も知つておりますが、畜産局長はその法案の内容なり要綱等については、御存じになつておりますか。なつておるとすれば、いかような御感想を持つておいでになりますか。協同組合の組織とは別に、このようなさらに事業種目の組合団体をつくつて行くことが妥当であるとお考えになりますか。まず畜産組合法案の要領、要綱、そういうようなものについて、御存じになつているかどうかという点からひとつお尋ねを申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/112
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113・大坪藤市
○大坪政府委員 農林省といたしまして、畜産組合法の原案と申しますか、そういうものをつくつておりませんので、それにつきましては、どういう内容のものであるか、ただいま御指摘になりました畜産組合法というものは、どの団体あるいはどこから出たものでありますか、ちよつと承知いたしかねますので、少くとも畜産局から出ました畜産組合法ではないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/113
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114・足鹿覺
○足鹿委員 そうすると、畜産局も畜産組合法を御研究になつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/114
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115・大坪藤市
○大坪政府委員 団体の問題につきましては、いろいろ検討いたしておりますが、畜産組合法というようなものにつきましては、まだ具体的な案があるとか、そういう段階に至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/115
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116・足鹿覺
○足鹿委員 しかし今さようなものは畜産局のものでないとおつしやつた。私の見たのは、畜産局であるのかどこであるのか、その出場所は知りません。知りませんが、とにかく畜産組合法というものは、厖大なものができ上つておる、要綱もあるのです。そのものをごらんになつたかどうかということです。畜産局でも別に持つておいでになるかどうか知りませんが、別なものをごらんになつたかどうかということです。あなた方に覚えのないものであつても、ごらんになつたかどうかということをお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/116
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117・大坪藤市
○大坪政府委員 畜産組合法というものは、どこかの団体で立案をいたしておるのを一応見たような気がいたすのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/117
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118・足鹿覺
○足鹿委員 畜産行政のいわゆる組織の問題として、これは重要な問題であります。いわゆる農業会を今から見ると、けなしたり批判したりしていますが、やはり戦前における農業団体の濫立を、ある程度一つの強烈な組織にまとめたという点において、私は意義があると思う。ただそれが政府の農政下請機関になり、官僚組織になつたところに問題があるのであつて、いわゆる農業団体の組織というものは、なるべく総合的に、かつ強力な経済力を集中し、組織を強化して行かなければならぬ段階だと思う。しかるに最近の傾向を見ると、ありとあらゆる部門別にいろいろなものができる。種鶏協同組合というようなものができるかと思えば、いろいろな養鶏組合だ、それ、何だというわけで、いろいろなものができます。こういう誤つた、種類のうちのまた一つの品種にまで一つの組織ができるようなことは、私どもは考え得られない。対象となるのは全部農民がひとりです。そういうところに現在の農村指導組織の上における大きな欠陥がある。だれでも専門のものになれば、自分のことだけを専門にやつてやるからといつて誘い水をかけられれば、農民はついそれに乗つてしまう。ところが事実一人の農民で二十も三十もの組織に乗つかつているようなことで、一体何ができるでしよう。特に今後における畜産の五箇年振興計画とかあるいは十箇年の振興計画とかいう厖大な計画ができましても、これを実行に移して行く場合に、今度の法案でもそうでありますけれども、いわゆる都道府県有牛を畜産農家に貸付して行くという構想でありますが、そのこと自体には誤りはない。ところが県庁のお役人さんが現地へ無計画的に牛を買いに行きますから、殺到したところでは牛の値段が非常に上つて行く。こういうことに対しては一つの事業団体である協同組織に、あなた方がもう少し提携を密にされて、そうしてでき得る限り適正な価格で農民が新しい家畜の導入に進んで行くことができるように御指導にならなければならぬ。ところが、一方においてはそれは官僚にやらせている。そして現実においては、協同組合法に基く畜産団体というものは、あなた方の畜産局が指導してつくらせたけれども、これが日本の畜産の組織とじてほんとうに権威ある団体であるかどうかということは疑わしい。何か飼料のあつせんをやつたりして、辛うじてその団体の命脈を保つている程度ではありませんか。しかも一方においては、何の会、かんの協議会といつて、畜産団体は多種多様にわかれている。こういうことで、はたして畜産行政というものがうまく行くでしようか。どんなりつぱな政策をおつくりになつても、これに魂を入れて行くのは、やはり組織と指導体系の問題です。私はこれは非常に大事な問題だから申し上げるのでありますが、そういうところから、ここに卒然として畜産組合法なる亡霊がまた浮かび上つて来ておる。こういうことについては、畜産局としては、過去に自分たちのおとりになつた政策をよく御反省になり、真に農民のためになるような、しかも国の施策が正しく末端に浸透して行くような、正しい協同組織をおつくりになる必要があろうと私は思う。ただ新たなる組合を数多くおつくりになることばかりが能ではないと私は考えておりますので、あえてこの機会に申し上げておきたいのであります。しかし畜産当局としては、そういう畜産組合法のようなものは研究したこともない、だれがつくつたか知らないが、そういうものをちよつと見た程度であるという御言明でありますから、これ以上私は追究いたしませんが、特にこの問題については、局長の言葉を聞いておりますと、慎重におやりになるようでありますから、この点については慎重を期せられることを特に要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/118
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119・井出一太郎
○井出委員長 先刻川俣委員より、競馬と畜産との関連について農林大臣の出席を請求せよとの御要望でありましたが、これは後日に譲り議事を進行したいと考えますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/119
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120・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めまして、議事を進行いたします。
なおただいまの足鹿委員の御指摘につきましても、畜産当局においては十分御考慮を願います。
これにて質疑は終局いたしました。これより討論に入ることとなりますが、別に討論の通告もありませんから、討論を省略してただちに採決したいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/120
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121・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。
それではこれより採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/121
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122・井出一太郎
○井出委員長 起立多数。よつて本案は可決せられました。
芳賀委員より発言を求められております。この際これを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/122
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123・芳賀貢
○芳賀委員 本案の可決に関連いたしまして、この法律案が有畜農家の創設を発展させるその途上において、より実質的な成果を期待することを促進する意味において、次のような決議を付したいと思うのであります。
案文を朗読いたします。
有畜農家創設特別措置法案に対する附帯決議
政府はかねてより畜産振興の一環として、酪農事業に重点をおいた有畜農家の創設事業を実施し来り、今回これ声法制化するため、有畜農家創設特別措置法案を提出したが、酪農業の現状をみるに、依然原料乳価は割安であるに拘らず、酪農食品の市価は一般に割高であつて、乳牛の導入はそのまま必ずしも農家経済と国民食生活の改善向上のため十二分なる機能を果すに至つていない。政府は、かかる事情を率直に認識し、一面において自給飼料の増産確保、無家畜農家の解消に一段の努力を傾倒すると共に、他面において牛乳生産経済の集約化、酪農に関する農民組織の育成強化、牛乳取引の改善、酪農食品の集団的消費の促進等一連の酪農振興施策確立のための諸般の措置をすみやかに講ずべきである。
右決議する。
内容については十分敷衍してあることと思うので、これをもつて説明にかえます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/123
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124・井出一太郎
○井出委員長 ただいま芳賀委員よりの提案にかかる附帯決議につきまして、御発言があればこれを許します。——別に御発言もありませんからこれより採決いたします。この附帯決議を付することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/124
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125・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。なお本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/125
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126・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/126
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127・井出一太郎
○井出委員長 次に農業災害補償制度に関する件について、足鹿委員より発言を求められております。この際これを許します。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/127
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128・足鹿覺
○足鹿委員 農業災害補償制度につきましては、小委員会を設けていただきまして、不肖小委員長として六回の会合を開き、かつ研究調査及び参考人の意見聴取等も行つて来ておるのでありますが、まだその報告を申し上げる段階に達しておらないことを御了承願いたいと思います。
この際御承了解を求めておきたい問題がありますので申し上げたいと思いますが、かねて問題になつておりました農業災害補償法の一部を改正する法律案について、衆議院の出しました原案に対する修正議決と、参議院の態度が食い違いを生じまして、御承知のごとく両院協議会に付せられることに相なり、それぞれ委員が決定したのでありますが、私ども同僚とともに両院協議会委員として、昨日並びに本日協議会を開催願い審議をいたしました。その結果本日両院の妥結を見ました点がありまするので、この際御報告を申し上げたいと存じます。
私どもも衆議院の修正については、極力その妥当性を主張し、また理由についてもこもごも参議院側の了解を求めるべく、昨日来努力いたしだのでありますが、参議院側の言い分といたしましては、根本において衆議院の態度と相違はない。しかしこの衆議院側の修正点については、ぜひ参議院に同調を願いたいという強い御発言でありました。昨日は協議が整わず散会をいたしましたが、本日午前九時半から衆議院側の打合会を開きまして、衆議院側の提示する農夫災害補償法に対する抜本的改正についての三点の申合せをのんでもらえるならば、修正点については参議院側の決定に同調するであろうという態度をきめまして、あらかじめ参議院側に懇談的に交渉いたしましたところ了解を得るに至りましたので、本日の両院協議会で次のごとき申合せをいたしました。
申合せ
農業災害補償法は実施以来五箇年を経過したが、その制度の根本的欠陥と、運営もまたよろしきを得ず農民の要望にこたえがたき実情にかんがみ、両院協議会は左記により農業災害補償制度の行き詰りに対し、抜本的検討をなすことを申し合せる。
記
一、農業害災補償制度については、その抜本的改正の必要であることを確認する。
二、政府は昭和三十九年度水稲を目途として、制度の根本的改廃を行い、農業災害補償に対し完全なる施策を講ずること。
三、衆参両院は農業災害補償制度の完璧を期するため、閉会中もなおその調査を継続し、検討すること。
以上の申合せ案を提示いたしましたところ、満場一致この申合せを決定されましたので、ただちに保利農林大臣の出席を求め、この両院の一致した意見に対して所見を求めましたところ、保利農林大臣は、この趣旨に沿うて善処する旨を確約せられましたので、円満に両院の協議が整いまして、明白の本会議に衆議院側の議長から御報告になつて態度が決定されまするならば、ただちに参議院に送付して参議院議決の通り災害補償法の一部改正法律末は成立する運びになりましたので、この際御報告を申し上げて御了解をいただきたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/128
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129・井出一太郎
○井出委員長 ただいま足鹿委員より御発言のありました農業災害補償法の一部改正案をめぐる両院協議会の経過並びに結果については、御報告の通り了承するに賛成の方は御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/129
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130・井出一太郎
○井出委員長 起立総員。よつてさよう了承することにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604988X02419530724/130
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