1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二日(木曜日)
午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 辻 寛一君
理事 伊藤 郷一君 理事 坂田 道太君
理事 原田 憲君 理事 田中 久雄君
理事 辻原 弘市君 理事 前田榮之助君
理事 世耕 弘一君
天野 公義君 尾関 義一君
竹尾 弌君 山崎 猛君
山中 貞則君 町村 金五君
高津 正道君 野原 覺君
山崎 始男君 大西 正道君
松平 忠久君 北 れい吉君
出席政府委員
文部政務次官 福井 勇君
文部事務官
(大臣官房会計
課長) 小林 行雄君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 田中 義男君
委員外の出席者
文部事務官
(大臣官房総務
課長) 福田 繁君
専 門 員 石井つとむ君
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七月二日
委員安藤正純君辞任につき、その補欠として小
西寅松君が議長の指名で委員に選任された。
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七月一日
積雪寒冷地帯の学校屋内体操場建築費増額に関
する請願(本名武君紹介)(第二二一五号)
義務教育費国庫負担額確保に関する請願(杉山
元治郎君紹介)(第二二一七号)
同(菊川忠雄君外二名紹介)(第二二一八号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
義務教育費国庫負担に関する陳情書
(第五二二号)
同(第五二三号)
新教育制度再検討に関する陳情書
(第五四八号)
義務教育費国庫負担に関する陳情書
(第五四九号)
公立学校施設戦災復旧費国庫負担法早急制定に
関する陳情書(第五五
〇号)
各学校に天皇、皇后の御写真下付に関する陳情
書
(第五五一号)
義務教育費国庫負担に関する陳情書
(第五九七号)
老朽校舎改築費国庫補助並びに起債わく拡大に
関する陳情書
(第五九八号)
公立学校施設戦災復旧費国庫負担法早急制定に
関する陳情書(
第五九九号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一一号)
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一一二号)
文部行政に関する説明聴取
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/0
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001・辻寛一
○辻委員長 これより会議を開きます。
学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を聴取いたします。福井政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/1
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002・福田繁
○福井政府委員 今回提出の学校教育法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、教科用図書の検定を文部大臣において行うこととするため、学校教育法を初め、教育委員会法、私立学校法及び文部省設置法などの関係法律の一部について改正を加えるほか、若干の規定を整備することを内容とするものであります。
申すまでもなく教科用図書は、学校教育における主たる教材として、重要な使命を持つているものであります。そこで今後一層この教科用図書の内容を充実し、初等中等教育の水準を維持し、さらにこれを向上させるためには、教科用図書の検定は、これを文部大玉において行う必要があると信ずるのであります。しかるに、従来教科用図書の検定については、先ほど申し上げました四法律にそれぞれ規定があります。すなわち、教育委員会法及び私立学校法によりますと、都道府県の教育委員会または都道府県知事が教科用図書の検定を行うこととしながら用紙割当制が廃止されるまでは、文部大臣が行うものとしているのであります。
他方、学校教育法においては、教科用図書は監督庁の検定もしくは認可を経た教科用図書または監督庁において著作権を有するものとし、その監督庁は、これを当分の間、文部大臣と定めているのであります。また文部省設置法においても、文部省の初等中等教育局において、当分の間、教科用図書の検定を行うこととしているのであります。従つて、先に申し上げました趣旨にのつとり、今般これら関係法律を改正して教科用図書の検定権を文部大臣に属せしめ、その所属を明らかにしたのであります。
以上この法案の提案理由について御説明申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同賜わらんことをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/2
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003・辻寛一
○辻委員長 続いて補足説明を聴取いたします。田中政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/3
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004・田中義男
○田中(義)政府委員 学校教育法等の一部を改正する法律案の趣旨につきまして補足説明をいたします。
本法律案は、教科用図書の内容の充実と教育水準の維持向上をはかるため、教科用図書の検定は文部大臣において行うこととし、これに伴つて関係四法律の一部に改正を加えるほか、若干の規定を整備しようとするものであ
次に各条につきまして、内容を御説明申し上げます。
法案の第一条は、学校教育法の一部改正でありますが、まず現行法について申し上げますと、学校教育法第二十一条第一項におきましては「小学校においては、監督庁の検定若しくは認可を経た教科用図書又は監督庁において著作権を有する教科用図書を使用しなければならない」とされており、この規定は第四十条によつて、中学校の場合に準用されております。
従いまして、本法律案第一条は、さきに申し述べました趣旨にのつとり同法第二十一条第一項中の「監督庁の検定若しくは認可」を「文部大臣の検定」に、「監督庁において」とあるを「文部大臣において」に改めようとするものであります。認可規定を削除いたしましたのは、検定教科書が普及しました現在においては、最早この制度を存続せしめる必要がなくなつたからであります。
次に同法第二十三条及び第二十六条中の「市町村立小学校の管理機関」を「市町村の教育委員会」に改め、現行第百七条を削除いたしましたのは、教科用図書の検定と直接関連するものではありません。
御承知の通り、昭和二十七年十一月一日全市町村に教育委員会が設置されましたので、昭和二十七年十一月一日以降は、すべて各市町村におかれた教育委員会が、市町村立小学校の管理機関となりましたので、これを明確にいたしますために、改正を加えたものであります。
次に第四十九条及び第五十一条の規定の改正でありますが、これは高等学校の教科用図書に関するものであります。
現行法によれば、高等学校並びに盲学校、聾学校及び養護学校の教科用図書につきましては、第四十九条及び第七十三条の規定により監督庁がこれを定めるものとし、その監督庁は、第百六条第一項の規定により当分の間文部大臣とするとなつているのであります。この規定に基き、文部省令たる学校教育法施行規則第五十八条におきましては「高等学校の教科用図書は、文部大臣の検定を経たもの又は文部大臣において著作権を有するものを使用しなければならない。前項に規定する教科用図書のない場合に使用すべき教科用図書は、校長がこれを定める」とし、この規定は、盲学校及び聾学校にも準用されているのであります。このように高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教科用図書につきましては、学校教育法において直接規定していないのであります。しかし、教科用図書の重要性にかんがみ、小・中学校同様これを法律において規定することを適当と認め、小・中学校に関する規定を準用することといたしまして、第四十九条、第五十一条及び第七十六条に改正を加えたわけであります。
なお、高等学校の職業に関する教科等の教科用図書並びに盲学校、聾学校及び養護学校の特殊の教科用図書は、現在学校教育法施行規則第五十八条において認めているような特例措置を必要といたしますので、第百七条を新設してこの特例を認めるようにしたわけであります。
第二条は教育委員会法の一部改正であります。
教育委員会法第五十条第二号におきましては、都道府県教育委員会が行う権限の一つとして文部大臣が定める基準に従い、都道府県内のすべての学校の教科用図書の検定を行うことを掲げております。
更に、同法第八十六条におきましては、教科用図書の検定は第五十条第二号の規定にかかわらず用紙割当制の廃止されるまで、文部大臣が行うものと規定しているのであります。
今後、文部大臣が検定を行うことといたしますので、これらの規定を削除し、並びに第四十五条及び第四十七条中検定に関する字句を削除したのであります。
第三条は、私立学校法の一部改正であります。
私立学校法第七条におきましては、都道府県知事の権限として、教科用図書の検定を規定しています。更に、同法附則第十三項におきまして、この権限は用紙割当制が廃止されるまで文部大臣が行うものとされておりますので、第二条の教育委員会法の改正の場合と同様の趣旨により、これらの規定を削除することとしたわけであります。
第四条は、文部省設置法の一部改正であります。
文部省設置法附則第十項におきまして、初等中等教育局の事務といたしまして、当分の間教科用図書の検定を行うことが規定されておりますが、第一条の学校教育法の改正に伴い、この事務は一般的に文部大臣の権限となりましたので、第五条の文部省の権限及び
第八条の初等中等教育局の事務として、新たに規定を加えたわけであります。
以上補足説明を終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/4
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005・辻寛一
○辻委員長 次に市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を求めます。福井政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/5
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006・福田繁
○福井政府委員 今回政府から提出いたしました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
現在市町村立の義務教育諸学校の教職員の給与は、御承知の通り、市町村立学校職員給与負担法に基き、都道府県が負担し支給することになつており、都道府県が負担する給与の種類は同法第一条に列挙されております。一方教育公務員特例法、第二十五条の五によりまして公立学校の教育公務員の給与の種類及びその額につきましては、当分の間、国立学校の教育公務員の給与の種類及びその額を基準として定めることになつております。こういう関係から、国立学校の教育公務員については昨年十二月に一般職の職員の給与に関する法律が改正されまして、年末手当が期末手当に改められ、同時に勤勉手当が加えられたのに伴いまして、市町村立学校職員給与負担法第一条にこれに相応した所要の改正を加える必要が生じたのであります。すなわち、同法第一条中に規定する年末手当を期末手当に改め、同時に勤勉手当を加えようとするものであります。
以上この法案の提案理由とその趣旨を御説明いたしました。なにとぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同賜わらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/6
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007・辻寛一
○辻委員長 別に補足説明はございません。
ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/7
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008・辻寛一
○辻委員長 速記を始めてください。
それでは文部行政に関する質疑を行います。世耕弘一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/8
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009・世耕弘一
○世耕委員 簡単に政府にお尋ねいたします。
まず第一にお尋ねいたしたいのは、従来の義務教育の方針といたしましては、大臣と知事が教育機関の管理者であり、監督権を持つておつたのであります。ところが改正されて、今度は市町村長にその管理権が移つたというような一面があると同時に、独自の立場で教育委員会というものができて、その教育委員会によつて教育方針が確立される。こういう二つの行き方が、現在の日本の教育界に現われておるのであります。しかも教育委員会なるものが予算を持たない。ある一つの小さい村の例をとつてみますと、教育費用に対する予算は村長が持つておる。しかしながら教育委員の計画する計画内容に対しては発言権がない。だからもし村の予算の内容を知らずして理想案を教育委員会がつくつた場合、必ずその間に予算面の衝突が出て来る。教育面を通じて村内に一つの対立が発生するということは、すでに過去において相当深刻に現われて来ておるのであります。こういう点をどう調和して行けるかということが第一点。
それから教育委員会の組織によつて理想的な教育方針を確立するということはまことにけつこうでありまするけれども、この教育委員を選定する方法に、誤つた選挙方法が利用されたならば、かえつて教育を毒するものである。かように私は考える。毒するという証拠を示せと言えば幾らでもありますが、それはあとに残しまして、現に教育委員会がはなはだしく独裁的である。かような意味からいたしまして、日本の教育というものは完全に独立性を持たないということも言えるのであります。そこで私は深い研究はしておりませんが、スイスの教育組織等を、二、三資料を取寄せて調べてみますと、スイスでは、小学校の先生を選ぶのに、候補者を得たら、その候補者を市民が選挙する。こういうような非常に進歩的なものがある。ところが日本の教育委員会の組織は、ただ一方的であつて、民意というものに、さらに欠けたところがある。委員会がむしろ専横をきわめる機会を与えている、かようにも考えられるのであります。この点について文部当局はどういうようにお考えになつているか、就任早々の政務次官ですから、私はこまかいことはお尋ねしたくないのでありますが、理想があれば承つておきたい、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/9
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010・福田繁
○福井政府委員 大臣が他の委員会に御了解の上で出席しておりますので、私からお答えいたしたいと思います。
教育委員会の選挙の方法につきましては、現在の方法を原則としては維持したいと考えております。ただ今後これに伴いまして研究の余地が生じた場合には、具体的に当局において研究を続けて行きたい、かように考えております。なお詳細につきましては担当官から説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/10
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011・田中義男
○田中(義)政府委員 御質問の第一点として、地方行政当局と教育委員会との財政上の問題がありましたが、お話のようにこの財政上の問題につきましては、一方から申しますと教育委員会に財政権がないので非常に立場が弱いということが言われておりますと同時に、またそれをあまりに強化いたしますことは、かえつて地方行政の総合性を非常に阻害することになるというような点もございますので、その間の調整をはかることが必要だと私ども考えているのであります。そこで現実の問題としては結局運用でございますので、すべて教育委員会の問題につきましては、単にこれが新たな機関として独立したものだというようなことのみでこれをやりませんで、やはり地方行政の中の一つの機関として他の部門との連絡調整ということで、運用の上に十分円滑を期するようにやりますための指導助言を私どもとしてはいたしているようなわけであります。
それから教育委員の選任方法でございますが、ただいま政務次官からお答えがありましたように、原則としてただいま公選制を維持するという基本的な考え方のもとに、なお実際の選任方法と申しますか、そのやり方いかんにつきましてはいろいろ御批判もあるのでございます。これは今後の検討にまちたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/11
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012・世耕弘一
○世耕委員 私は全部とは申しませんが、現在の教育委員会なるものの組織は、一党一派に偏しているきらいがかなりあると思う。これを改革しなければ教育の中立性というものはあり得ない。その弊害がどこから来るかということに対しては、明晰な文部当局は批判力があるだろうと私は思う。その点をひとつお考え置きを願いたいということと、もう一つは、教員の再教育、これも全部悪いとは私は申しません。いかがわしい人物がおるということだけははつきり申し上げることができる。これの整理の方法を考えなければならない。教育事業に国家が多数の金を費すということは、日本再建の根本対策から考えて、国策として大々的にやらなければならぬということは、何人もいなむことはできないだろうと思うのであります。しかしながら、現在の普通教育、高等教育も同様でありますが、普通教育の教員をこのままにして置いて、日本の教育の確立ができるか、子弟教育が満足できるかというとに、私は多くの疑問を持つておる。この点について文部大臣にお聞きするのでありますが、局長なり次官の方々は、その補佐役として当然お考えがねありだろうと思うのです。例がおわかりにならなければ一つ一つ例をあげて御批判を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/12
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013・福田繁
○福井政府委員 お答えいたします。世耕委員の御指摘の教育委員の選任について一覧一派に偏しているような疑いがある、これはどういうふうに考えるかというお話でございますが、私の方といたしましては、一党一派に偏しておるとは私は思つておりませんが、もしさような事実がございまするならば、これはまた考え直さなければなりませんが、なおこれらの点について十分検討して行きたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/13
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014・世耕弘一
○世耕委員 妙な答弁をされたが、一党一派に偏したものがないということをあなたは言い切れますか。それなら私が証拠を出したらどうします。問題はそこにある。だから私は申し上げなかつた。ないと言うのならあつたらどうするか。その点はやわらかくお尋ねしたつもりなんです。教育は一党一派に偏してはいかぬ、あくまでも公正中正でなければならぬ。現に私の口から言うばかりでなしに、一党一派に偏している事態がたくさん現われて来ている、これは国民の輿論であります。文部省だけがわからないという話はない。この議論は少しあとまわしにいたします。ないとおつしやられたのだから、ある証拠をこれから続々出します。
次にお尋ねいたしたいのは、学校教員の生徒に対する懲戒権、この子は言うことを聞かぬからといつてひつぱたく、なぐる、最近の新聞記事にも出ておりましたが、旅行先で数十人の学生を並べて置いて往復ビンタをやつて事件を起した、これは仙台地方であります。そういうことが日本の憲法の条章の上に、あるいは教育基本法の上にはたして許されていることであるかどうか、文部省で御調査になられなければ資料を差上げてもよろしゆうございます。教育上大きな問題です。御参考までに申し上げますが、私は学校は家庭の延長である、同時に先生は父兄の延長であると考える。だから言うことを聞かないからなぐつてもいい、親が子をしつける場合にはおきゆうもすえるというかもしれない、なぐるということもあるかもしれない。しかしながら、そのなぐる上に教育者としての愛情を持たなくちやならぬ。ここの限界が非常にむずかしい。そこに教員の人格というものが非常に大切になつて来る。感情にとらわれ、自分の言いつけをただ聞かぬから、命令を聞かぬからといつてすぐなぐるという行き方は、それは封建的である。けれども、いわゆる進歩的教育というものは、必ずしも懲戒することが悪いという前提にはならぬと思う。このことはお尋ねしても、あるいはお答えしにくいかもわからぬけれども、あなたもお子さんをお持ちになつていらつしやるから御経験もあるだろうと思いますが、私は率直に申し上げて、こういう仙台の旅行先の実例が新聞に発表されておりますが、こういうことは行き過ぎかどうか、もし行き過ぎであるとするならば、そういう教員を再教育する必要があるのではないか、私は言葉を少しきつく発表するくせがあるので申訳ございませんが、お心置きなく、決してあげ足とりで質問をしておるわけではなく、いわゆる日本教育のあり方について熱意のあまりお尋ねするのですから、そのつもりでどうぞお答えを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/14
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015・福田繁
○福井政府委員 学校教員が児童をなぐるというようなこと、暴力は許されておりません。もしさようなことがあるとしますれば、これは非常にいけないことでありまするので、ないように指導したいと思います。こういうような事柄は、大体教育委員会の善処にまつて達成できると思いますし、そのことがまた教育委員会の任務でもございまするので、当局においても、その事実をもしつかみましたならば、その面に向つて、指導的な通達なり、あるいは処置なりをしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/15
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016・世耕弘一
○世耕委員 この場合はどうですか。生徒がいたずらした、あるいは授業時間に先生の言うことを聞かぬ、それがために教室の隅に立たせる、あるいは帰りの時間を遅らせるということは、懲戒の範囲に属しますか、それとも訓育の範囲に属しますか。こういうことが結局暴力に値することが出て来るのであります。非常に大切なことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/16
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017・福田繁
○福井政府委員 御指摘のような事態につきましては、終戦後の教育のあり方において、特に疑問が起りつつあるようでありまして、これが懲戒のために家へ帰るのを遅らせるとか、あるいは立たせるというようなことは、私たち過去においてもよく見たり、自分自身でも経験したようなことでありまするが、このごろ文部省でいろいろ研究してみましたところによりますると、英国などにおきましては、現に相当強い——頭やからだの中心部分でなくて、その他の方面をなぐるというような懲戒方法をとつておるというようなことも聞きますが、これはいいことであるとは思いませんけれども、要するに行き過ぎでないように指導することが望ましいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/17
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018・世耕弘一
○世耕委員 その限界について御説明を承ろうと思つたが、あるいは無理かもわからぬから、これ以上申しませんが、私は、学校は家庭の延長であり、先生は父兄の延長だというこの定義に御賛成であるかないか、まずこれからお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/18
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019・福田繁
○福井政府委員 原則としては私は延長であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/19
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020・世耕弘一
○世耕委員 それならしつけという問題が出て来なくちやならぬ。いわゆるそのしつけの限度がなぐるか立たせるかという問題になつて来る。しかし私は先ほど申し上げたように、教育者は愛情を持て。あの先生になぐられたら、それはうちの子が悪いんだちうというところまで、教育者は父兄からの信頼があつてしかるべきだと私は思う。そういう人間を教育者に雇うべきじやないか。ある政党のお先棒をかついで、赤い旗を持つたり飛び歩いたりするのは、こうしたしつけと愛を忘れておる。そうして自分の月給を上げてもらいたいために、ストライキをやつたり、あるいは生徒にそういうことを押しつける。先生きようはどういうわけで休むのですかと言うと、重大なる用があつて行くんだと言う。調べてみると、先生たち月給を上げるために、当日の学科を捨てて行つた。子供は何もわからないと思いましても、実は子供は鋭敏なんです。犬と同じことなんです。愛情のあるかないか、真剣さで自分を教育しておるかどうかということはちやんとわかる。ここがいわゆる教育の根本なんです。設備や経費の問題じやない。この点が私は現在の日本の教育に欠けているんじやないかと言いたい。
なおあまり質問が長くなると、ほかの方に御迷惑をかけるから他の問題に触れて行きますが、これは和歌山県の実例であります。学校の先生でありながら、実は学校の教育をほつておいて組合運動に活躍した事例がたくさん出て来て、和歌山県で問題になつております。知事からの証言もここにありますが、これを見ますと、学校に出て来ないで組合の仕事ばかりして、そのために使つた月給が二十六年度で八百六万五千八十円である。りくつを言えば、それは教育の事業に携わつたか知らぬけれども、直接の教育には携わつておらぬ。こういう連中に八百万の金を和歌山県だけでむだづかいをしている。おそらくこれが全国的に計算してみたら、相当厖大な費用になるんじやないかと思う。組合運動のために、和歌山県は八百万円の金をここに出したということになる。今県会で大きな問題になつております。せつかく割りつけた先生の人員が、そういうところで空白にからまわりしている。教育はなつておらぬじやないかと、私たちはかように言いたい。文部省はこういうような点をよく検討して、予算をお組みになつたかどうか。生きた教育でありますから、生きた計画を立てなければならぬと知は思う。近ごち承りますと、日教組は全国で組合員が六十万とか七十万とかあるということを聞いております。なかなか活発な活動をしておるということを聞いておる。けつこうなことだと思う。教育界の活動がその組合によつて発達することは喜ばしいことであり、また組合の発達の過程においていささかの欠陥があることぐらいは、黙認する寛大な気持のあることも私はよくわかる。しかし私たちの調べた範囲においては、必ずしもそうとは受取れない実情がある。文部省はこういう点について御見解があれば承つておきたい。
なおもう一つ、これは新聞の写真記事だから、こんなものは当てになるかと言えばそれまででございますが、この間の文部省内で一夜を明かした日教組のすわり込みの状況が新聞に出ております。一夜のうちにべたべたと張られたアジビラが文部省内に三千枚という。これは生徒に見せたらどういう社会教育になるか。大臣のところへ押しかけて来て強硬談判するところは威勢がよくていい、そのほかに文部省内に三千枚もビラを張つて騒いでおるところを、見本の気持になつて子供に見せたらどうだ、どういう社会教育になるかということを、あなた方は御研究になりましたか。私は教育にいささか関係を持つておる者だから、深い関心を持つのです。こういうことを子供は批判するのです。多数の手紙が私のとこちに来ておる。ビラを張つたか張らぬか写真が出ております。まさか新聞はうそじやないだろう。この組合員がだれか知らぬけれども、二人も三人も写真に載つております。こんなのはどうですか。社会教育に非常に参考になるか、いい方の参考になるか、悪い方の参考になるか、こういうところをはつきりさせて行くところに、教育の非常にうまみがあるのです。まず文部省から私はひとつ教育方針を聞いてみたい。それが非常に重大な問題だから、後刻大臣からも承るのだが、その文部省の幹部であらせられるあなた方からお聞きするということも、非常に参考になると思いますから一お尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/20
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021・福田繁
○福井政府委員 組合運動の事務に専従しております教員には、給料を大体出さぬことになつております。和歌山県の方におきまして八百六万円費消してあるということは、今私初めて承りましたが、もし全国的にそれらの費用がむだに使われているとなりますれば、よほど考え直さなければならぬと思います。
なお先般の、御指摘のすわり込みの件につきまして、文部省内あるいは表の方にいろいろのポスターが張られておりましたのは、私も現認しております。三千枚であつたかどうかということは勘定をしておりませんが、こういうような所かまわず張られているというようなことは、断じてよろしくないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/21
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022・世耕弘一
○世耕委員 文部省の中に三千枚張つたというのは、新聞記事で見て私は御質問を申し上げたのでありますが、張つてあつた事実は文部次官もお認めのようであります。かようなよろしくない行為をしたのがいわゆる日教組の組合員である、現業教員である、あるいは教育の関係者である。しかも法律的に解釈すれば、かような建造物にべたべたとびらを張りつけるということは、器物毀棄に該当しはせぬか、刑法上の犯罪を構成しはせぬか、こういうことも考えられる。こういうことは専門家でないあなただから無理かもわからぬが、やがて適当な責任者にお尋ねしなくちやならぬ。文部省のすわり込み事件は、一労働争議ではない。教育界の重大問題である。ただ茶飲み話で済ますべきではない。文部大臣が会つたとか会わぬとか、そういう問題じやない。教育の大問題がここに発生した。これを私は簡単に取扱うべきものじやないと思う。もしこういうことが教育の大半を支配するものとするならば、教育に関する費用はもつと削減してよろしい。もつと使う場所がある、もつとまじめに働いておる教育者の研究費に私は割当ててやるべきだと思います。そういう連中の俸給を引上げる必要がどこにあるか。私はかように叫びたい。過般来文部大臣にも私はお尋ねいたしました。こういう問題についてもつと積極的な粛正、進歩的な対策をとらるべきであると同時に、さような場所に来て、警察が出て来て、からやつと退去したというような教員の、勤め先の学校名、氏名を発表しなさいと私は要求しておる。そうして国民の批判を仰ぎ、こうあるのがあたりまえだ、もつともなことだというならば、またそれでいい。民主主義であります。民論を喚起して是か非かを明らかにするところに教育の行き方があるのではないかと私は思う。この点についていかがですか、御所見があれば承つておきたい。
なお念のために読み上げておきます。地方公務員法第五十二条の五項に
「職員は、地方公共団体から給与を受けながら、職員団体のためその事務を行い、又は活動してはならない。」と規定している。もしそれをしておつたとすれば、それは不当労働行為であります。これを寛大にお見のがしになられますか、それとも厳粛な気持で正しいあり方に引きもどそうという御熱意がおありになるのかどうか、これを承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/22
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023・福田繁
○福井政府委員 御指摘の、大臣室を占拠してすわり込んだ、警察が参りましてすぐ退去するというようなことは——今世耕委員は、警察が来てすぐ退去したというような御表現でありましたが、すぐ退去しないというような状況でありました。この件は明治、大正、昭和を通じまして、いまだかつて文部省になかつたことだそうでございます。まことに遺憾千万でございまして、御指摘のように、実に厳粛に私たちは今後のあり方を考えなければならぬと、こう思つております。
なお教員の給料のことについてお触れになつたのでこれも申し添えておきたいと思いまするが、大部分の教員は、さような行為を認めておらないと私は存じております。従つて一般のいい教員の人々の給料というものは、今数字的に申し上げる資料をここに持ち合せておりませんが、各官庁の一般の給与から見れば非常に低いと思つております。従つてこういう優秀な教員の給料についてはよほど考えて、国としてもいい待遇に引上げなければならない、こう考えております。但し今申し上げましたように、繰返して申しますが、さような悪い教員については、そういうようなことは断じて考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/23
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024・世耕弘一
○世耕委員 その点は同感であります。だからこの間、私は不良教員の整理をなさいということを文部大臣に言つた。いい教員を整理なさいとは申し上げておらない、むしろいい教員は大いに優遇しなさいということを特に発言したのです。ところで現在の教員の生活がゆたかじやないということも一面からは言えます。しかしながら——これも新聞記事だというておしかりを受けるかもしれぬけれども、二、三日前の東京の新聞で、日教組から水害地の見舞に一千万円出しておるということを見た。あなたはごらんになられたかどうか知らぬが、なかなかはでなことをやるじやないか。そればかりじやありませんよ。旅行先へ行つての会合でもそうだ。また選挙に対しても、一人当り教員は三百円あるいは二百五十円出しているじやないか。そんな余裕の金はどこから出て来るか。最近私の方の市町村長の会合でそういう話題が出た。手当をもう少しふやせ、研究費をふやせということを自治当局に要求して来たから、お前らは研究費が足りないと言つているが、選挙に三百円とか二百円ずつ、みなの月給袋の中から出しておるじやないか、そんな金があるならそれを集めて研究費に使いなさい、それが明らかにならぬ限り出せないと言つて拒否したと聞いている。もつともな話だ。そういう点はあなたはどういうふうにお考えになつているか。一千万円もの金をそのまま簡単に出せるような余裕のある組合というのは、よほど裕福な組合であるということが言える。組合が裕福であれば、同時に組合員が裕福であるという三段論法を、私は論断できると思うのです。その上、これら不良教員を整理しないでまた金をふやしてやるということになれば、父兄がどうなる、国民の負担がどうなりますか。そして教員はよこしま、いわゆる中立性を失うということになつたらどうなる。なつておらぬのです。これは、私は攻撃するのじやない。こういう材料を集めて来ると、結論がそういうことになります。但し文部御当局、教育の府であらせられるあなた方でお考えになつて、もつと日教組の動きや日本の教員組合の動きにりつぱなことがあつて、私の今非難しているのは一部分にすぎないというのなら、私は喜んでこの質問をやめます。また私が申し上げたことを取消しますけれども、遺憾ながら私が今申し上げたことに対して否定でき、さらに組合がいい発展の過程にあるとは想像できない。
なお質問を省略するために申しますが、六月二十六日の東京新聞に「一階から三階までの本省廊下と壁はところきらわず「夏季手当一箇月即時支給」「地方教育委員会廃止」これをよく覚えておいてください。地方教育委員会廃止と出ております。「などのビラ約三千枚が昨夜のうちに一ぱいに張りめぐらされたものものしい省内では、この日午前十時から文相の相談機関である「中央教育審議会」が開かれ、亀山、前田、天野、小汀、児玉、島田、野口、林、藤山、八木沢の相談役が集まつたが、会場の三階第一会議室前廊下はすわり込みに占拠されているので、やむなく会場を二階の調査局長室に変更」云々と書いておる。かように会議をする部屋を占領されてできなかつたということは、うそであつたかどうか。うそであつたとすれば、この新聞記事はけしからぬので、一ぺん新聞記者をここへ呼んで確かめてみなくちやならぬと私は思うが、事実において公務の執行を妨害したものではないか。大臣室を占領された大臣は、大臣室では事務をとれぬのでどこかにかわらなければならぬということになつたら、最も穏健であるべき教員組合がかくのごとき状態なら、労働組合はもつと活発な活動を開始するであろうということが想像できる。治安の上からも考慮すべき重大な問題じやないかと私は思う。これをあなたにお聞きするのはどうかと思うが、あなたも政党員だし、しかも自由党からそうそうたる政務次官として御就任あそばされ、むしろ文部大臣以上の格式を持つておられると思つているから、私はお尋ねしておきたいと思う。党内でも問題になりませんでしたか。私はおそらくなつただろうと思う。日教組はなかなか品の達者な人ばかり多いから、あんまり言わぬ方がよかろうということなら非常に穏健なやり方ではありますが、私も教育者の端くれでありますから、いささか教育良心に訴えて、これだけは言わしてもらわなくちやならぬので、実は申し上げているのです。もしこの点について御意見があれば一応承つて、この程度でお尋ねすることはやめて、次の方に移つていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/24
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025・福田繁
○福井政府委員 世耕委員にお答えいたします。日教組の方から一千万円水害の寄付をしたという新聞記事は、御指摘の通り私も読みました。どういうふうなふところの余裕さがあつて、あるいはまた出すもとが、どういうふうなところから出たということはわかつておりませんので、この点について、私は今ここで何とも批評はいたしかねます。なお教育委員会云々のビラをはりました事実については、これも御指摘の通りでありまして、ただちに翌日これを全部はぐようにこちらから命令を出しまして、これは撤去いたしました。
それから第一会議室を予定した会合が、そこでは開かれずに、場所をかえて開いたということも事実でございます。御存じでありましようが、大臣室、事務次官室、それから大臣室の横に政務次官室、その前に第一会議室がございまするが、あの場所をずつと廊下にすわり込みされて通行ができませんので、第一会議室へ全国から集まつて来られた人々が出入りするとなると、そこでまた非常に混雑するし、また無用の摩擦をなおはげしくするようなことがあつてはと思いまして、こちらで部屋をかえたわけでございます。まことに遺憾なことでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/25
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026・辻寛一
○辻委員長 辻原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/26
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027・辻原弘市
○辻原委員 私ちよつとお伺いしておきたいのですが、実は最近各大学の教授、助教授の思想調査とおぼしきものが各大学を通じて行われておるやに聞いておるのでありますが、そういう事実を文部省は知つておられるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/27
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028・福田繁
○福井政府委員 ただいままでのところ、私はそのことを承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/28
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029・辻原弘市
○辻原委員 承知していないということでありましたならば、そういう具体的事実を私持つておりますので、一応文部省の方で至急に調査されて、その結果について御報告を願いたい。その点に対しまして、私後刻若干ただしておきたい点がありますので、これは保留いたしておきます。
今世耕委員の方からいろいろの問題を提起されておりますが、私は先般来から世耕さんの大臣に対する御質疑の教育勅語の問題、あるいは大臣の教育方針に対する世耕さんのお考え、こういうものを承つておりまして、私たちの考え、見解とは非常に隔つておる、と申しますよりも、少くとも私たちが、戦後新しい憲法に基いた教育基本法の根本的な方針にのつとつて行われて来た日本の新教育の建前という点から考えてみました場合に、非常に奇異に感ずる点が多かつたわけであります。それらの点につきましては、また大臣に対していろいろ総体的な議論として私も意見を申し述べたい。かように思つておりますが、おそらく本日提起された問題等につきましても、そういう世耕委員の在来のお考えから発しているもの、こういうふうに受取りましたので、あえてここでは私が申し上げることでないかもわかりませんが、但し多少私の知つておる範囲と事実において相違を来しているような点もありますので、そういう点はやはりただしておかなくてはならぬと思います。
その第一は、私もただいまの北九州の水害に対する日教組の見舞という問題を新聞で拝見いたしました。私の見ました新聞では、世耕さんは金額は一千万円と言われましたが、たしかこれよりも少し多かつたように思います。二千五百万円程度でなかつたかと記憶しております。同時にこの醵出については、ただいま世耕さんは三段論法によつて組合は裕福である、こういう問題にこの一例を出されておりますが、私の知る範囲においては、これは全国的に各学校生徒に対して、この被害地に対する救援のカンパ資金として臨時に醵出してもらつた、自主的な醵出によつてこの気の毒な人々に対して送るのだというふうに新聞は書いておりましたし、私も事実はそうである、こういうふうに聞いております。その点は、この問題を速記録に乗せられました世耕さんの誤りではないかと思いまするので、ぜひひとつ訂正していたがきたいと思います。
次に私は世耕さんの御質問に関して次官にお伺いをいたしたいのであります。おそらく次官は、次官であると同時に与党の党員でありまするから、そういう観点を持たれているのじやないかということを私は危惧いたしておるのでありますが、ほぼ世耕さんの申された意見を次官は肯定せられているような印象を受けたのであります。そういたしますると、ここで世耕さんが言われているところの、これは私もたびたび耳にいたしておりまするが、悪い教員である、あるいは不良教員である、こういうふうに言つて、しかるがゆえにこの不良教員については何とか文部省は善処する用意がないかということを、からめ手から責めておるわけであります。そこで私がお伺いしたいのは、一体どういう規定によつて、悪い教員であるとか、不良教員であるとかいうことを世耕委員の御質問から次官は肯定されて申されたのであるか、この点についてお伺いいたしたい。一体不良教員とはそも何か、悪い教員とは何か、この点をお伺いしておかなければ、こういうことを個人の主観に基いて、あるいは自分の既成の概念に基いて軽々しく決定されるようなことがあるなれば、これはゆゆしい問題である。従つてこの問題については次官の御見解を承つておきたい。先ほど確かに、よい教員が大多数であり、悪い教員は一部であると論断されておりまするが、一体いかなる根拠に基いてそう論断されているのか、この点を次官にお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/29
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030・福田繁
○福井政府委員 お答えいたします。速記録でお調べになつたらわかりますが、ただいま私は文部省で処置するという言葉は申し上げておりません。こういう問題は地方教育委員会の善処にまかせますと、私は書いたのを読み上げておりますから、どういうように処置をするかというお尋ねについては、さつき申し上げたことで御了承を願いたいと存じます。それから世耕委員のお話について肯定したようなことが多いというお話でございましたが、これは与党でありましようとも野党でありましようとも、私はいいと思いましたことには同感でありますし、世耕さんがおあげになることで私が悪いと思うようなことだつたらむろん同調はいたしませんので、その点は誤解のないように御了承願いたいと存じます。なお一千万円寄附した件について新聞の点が違つているから是正しておけというような意味にとれる御発言でありましたが、この点についても私は、一千万円ということは新聞で私も拝見しましたということを申し上げただけでございまして、その他の方からは知識としては入つておりません。その点御了承を願います。なお申し添えますが、どういうところで不良教員と優良教員とを区別するかというお尋ねでございましたが、大臣もこの席でたびたび、この前の委員会で申しておりました通り、あの占拠した事態を起したような教員をさして、不良教員というふうに、いまいましいことだと大臣も表現したように思いますが、そういう人たちを私たちは不良というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/30
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031・辻原弘市
○辻原委員 第一の私が是正を申しました点は、これは御本人がここにおられるのでありますから、その点は委員長からひとつ世耕さんにお取消しを願うようにしてもらいたいと思います。少くともこれを材料に使えば、いろいろ問題があると思います。しかしながらこの種の、たとえば今起つておるような北九州の問題について、少くともその災害を見舞いたいというような自主的に出たものを、これをそういう一つの自分のことをなそうというような一材料に使うなどと言われることは、私はまことにふかしぎきわまると思います。私はこういうことを申し上げたくないのですが、しかしながら少くとも公式の席上において、そういう誤つたことを堂々と申し述べらるるにおいては、これは明らかに間違いであると私は思いますので、お取消しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/31
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032・世耕弘一
○世耕委員 今の一千万円の問題を取消したらどうかというような御注意がございましたが、私は取消す必要を実は感じないのであります。むしろ私にこれ以上しやべらせることは、日教組に対して反駁を加える機会を与えるものだと思います。なぜかというと、新聞記事に出ておつたところのあの一千万円を、もし私がこれをば逆に意地悪く論ずるならば、学生の金を集めて、その学生の金を日教組の名前で水害地に送るということは卑怯ではないか、こういうようにも考えられる。各学校の生徒の名前でなぜ災害地に送らぬか。それを日教組の名前で送つた。新聞では日教組の名前のごとく一千万円を日教組がふところから出したような見出しが出ておる。私自身ですらまぎらわしい。そういうところに、なかなか巧妙なお手並を拝見したと思います。取消せというのはどういう点を取消せというのか。私は、新聞記事にありましたが、政務次官はごらんになりましたか。もしそういうような一千万円もふところから出せるような組合なら、よほど裕福な組合であると言つたわけです。聞くところによると、手持ち資金が六、七千万円あるということである。だからなるほどというような感じもするが、もし水害見舞いをするならば、各学校の名前で個々にやつても、向うが受付けぬというわけではありません。何も日教組の手を煩わさなくても、それくらいの良心は各学校が持つておる。ごあつせんなさることははなはだ御親切でありがたいが、どこどこの学校はどれだけ集めて、ここここの学校はこれだけ集めて、総計これだけになつたということが、私は親切なやり方だと思います。私は先般英国並びにベルギー、オランダの水害のあつたときにも、私はうちの学校の学生に十万円近くの金を献金させました。学校からも出しました。そうして学生が代表して持つて行つた。学校が代表して参りません。幼稚園から大学院の学生全部そろえてお見舞いに行つている。これがすなわち教育的のあり方であります。これは封建的とおつしやるかもしれないが、どうもこういうところは封建的の方がよさそうである。向うの大使からもそれについて非常に御懇篤なる礼状をいただいておる。この意味で申し上げたのでありまして、悪意ではございません。もしそれが悪いから取消せというならば取消してもかまいません。私は決して悪意で申し上げたわけでも、また事実を曲げて申し上げたのでないということだけここに弁明いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/32
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033・辻寛一
○辻委員長 辻原君、この問題は新聞情報に基いて、御自分の所感の一端をお述べになつているのですから、これは討論にわたりますから質問に入つてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/33
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034・辻原弘市
○辻原委員 そうじやないのです。私の聞いたのは、とにかく結論から申しますと、日教組は裕富であつてかくかくかくかくのことにも金が出せるのだというようなことの、説明材料に世耕さんは使われておるのです。そうでしよう。ところが今世耕さんの弁明されたのは、これは金の出す方法はかりにそうであつても、そういう日教組という名前で使うことはおかしいではないかということで、これは別の問題です。だから私は、世耕さんがここに一千万円も出せるほど日教組はゆたかなんだと言われることは、つまり三段論法からいつて、その構成しておる組合員、すなわち教員に対しては、何もそういう研究費だとかなんとかいうものを考慮する必要もないのではないか、というような印象を与えるような弁論であつたわけです。だからそういうことならば、これは重大な問題であるから、その水害見舞金の拠出方法については、世耕さんが申し述べられたようなことで出しているのじやありませんぞということを私は言つておる。それは私の見た新聞は、少くともそう書いてある。また世耕さんは、とにかく世耕さんの経営されている学校の方針に基いて、私はこうやつておつた、そういう方法もあるではないか、その方がいいではないかということを申し述べられておりますが、私は、これは一近畿大学という問題ならばいざ知らず、全国ともかく三万に上る学校の拠出金を、一々そういう形でやり得るかどうかということも、これは実際問題として……(「やり得る」と呼ぶ者あり)聞きなさい。そのためには一とにかく全国的にこういう運動を起すということは、これは当然あつていいのです。その場合、かりに日教組という名前であつても、拠出の内容が明らかになれば、金をもらつた方は、日教組からもらつたということではなく、全国各学校の教職員並びに児童生徒からもらつたということになる。それは名目の問題じやないじやありませんか。そういうことをこの団体がやることが、どうも気に食わぬ、こういうことのために、日教組がやられたことに対してあなた方は反対しているが、かつてこの教職員の組合が教育会といわれた当時に、この種のことは年々歳々行われている。しかしそのことに対してはあなた方も当時議員をしておられただろうが、一言半句も言つていない。日教組という団体なるがゆえに、あなた方はそういうことにまでけしからぬと言うが、それは日教組が社会福祉的なことをやつて、輿論の喚起をやることが、あなた方にとつては不利であるという印象で、私は物を申されていると思うのです。だから何が日教組という名前でいけないか、私ははなはだ疑問です。実際何の団体でも、そういういいことならばやつてもいいので、その拠出した金を、世耕さんも言われたように、あたかも日教組が、自分のポケットから出したというふうにして、持つて行くならば、私は問題だと思う。しかしながらそうではなくして、あつせんをするのが日教組という団体である。そういうふうにやることが、一体どこが悪いのであるか。しかしそういうことも、あたかも悪いかのような印象で、この公開の席上で言われたから私は問題にしているのです。だから私は、世耕さんが第一に言われた、日教組が個人的なと申しますか、団体個人的なもので、そういう一千万円の金を拠出しているというふうに言われた点、それはたしかに速記録に残つているから、私はそういう点は誤りであるから、こういうことは、少くとも世耕さんとしては率直に取消さるべきであると思う。これは明らかに間違いです。そして世耕さんがあとで言われた、日教組があつせんするのがいいか悪いか、また各学校個々にやるのがいいかどうかということは、これはまた別個の問題でありますから、これはそれぞれ討議した方がよいでしよう。しかしながら今回のような災害の場合に、全国の教職員なりあるいは児童生徒がこぞつて拠出するということに、幸い全国的な規模、組織を日教組が持つているのだから、そういう規模、組織において、できるだけ早く、多額の金を拠出してもらうという音頭をとり、そういう指導をするということは、当然だと思います。また大学の生徒ならいざ知らず、少くとも小、中学校の生徒というものは、これは大学の生徒のような自立心を持つておらない。自分で行動してやつて行くということに達しておらない年齢の段階にあるわけであります。だからそれを直接教えている教師が、そういうことを推奨し、そしてまた自分たちが組織しているところの団体を通じて、子供たちの教育の一環としてそういうことをやることに対して、私は批判すべきではないと思います。(「子供の名前でやれ」と呼ぶ者あり)一々子供の名前でやるこいうことはできない。また子供に団体がありますか。(「学校の生徒代表でやれ」と呼ぶ者あり)そういうことは、募金した上の一つの事務的な問題にとどまる。だからあなた方は、そういう枝葉末節をとらえて事を論ずるということは、大間違いだと思う。先ほど世耕さんが言われている問題については、たしかに聞くべき意見もあります。しかしながらすべては政治的な日教組ということを前提にし、そういう前提においてものを言つているから、私も一言言つているわけです。私は少くとも当委員会においてものごとを論ずる場合は、これはこういう変な団体がやつているからこうなんだ、あるいは政党的にこうだからこうなんだという考え方は、私は持たない。少くともこれは教育という観点から正しいことであれば、それは正しいということに考え方の基底を置いてものごとを論ずべきであると思う。私は先ほど次官にも質問をいたしましたが、不良教員であるとか、あるいは悪い先生であるとかいうふうなことも、軽々しく人間は論じたがるものであります。しかしながらその場合に、自分の主観に基いて、これは悪いやつだと追放し、あるいはいけないやつだと断定したことが、それが後日になつて必ずしもいけないものではなかつたというようなことが世の中には往々にしてあるわけなんです。われわれが大きく終戦前の日本と終戦後の日本とを比べたときに、これに対する価値判断というものは、そういうような大きな観点から考えてみた場合に、われわれはだれしもこの考え方は誤つておつたということを言つたと思う。だからそういう簡単な事柄をとらえて全般を推しはかるなどという論理の進め方は、私はしてもらいたくないと思う。また和歌山の問題を出されておりますが、この専従者の給与の問題等につきまして、一つの断面を取上げて、(発言する者あり)少し静かにして聞きなさい。これは一つの断面を取上げて——専従者については確かに地方公務員法五十二条五項の規定においてはそういう規定があります。しかしながらまた一面教育公務員特例法においては、これは教育に関する他の事務に従事せしめる場合には、その所轄官庁において許可を与えてその職務に従事せしめるという項もあるのです。だから教員組合というものは、一体いかなるものであるか、もちろん完全なる労働組合でもない。しかしこれは職員団体としてその内容、規模が一応法的に格付されておる。同時にまた皆さんが絶えず言われておるように教員組合は労働組合というよりも、むしろ教育的なというか、そういう団体のあり方をとつてもらいたいということも言われておるわけです。そうした場合に、現在の教員組合の活動というものがどういう内容を持つておるかということについても、これはそれを実地に皆さんが十分知つて、その内容事業というものを営むためには、どの程度のそれに対する専従職員が必要であるかというようなことをまず考えられて、かりに労働組合という一つの本質的な運動とともに、教員という特殊的な団一体であるというためにあるいは文化活動もあるでありましよう。だから文化活動に従事せしめる場合には、教育委員会はその地方々々の特殊性によつて、教育委員会の権限において、あるいはそれを兼ねて従事せしめることを認めた場合もあるわけです。(「やみ専従はいかぬ」と呼ぶ者あり)私はやみ専従とは言わない。文化活動という形においてその教育の仕事に従事せしめているということは、終戦後労働組合と旧して、あるいは職員団体として発足した、それ以前においてもそういうことの事例はあつた。あるいは厚生事業に従事せしめる場合もあるでしよう。こういうことを一つ一つ拾い上げて行けば、あるいは日教組という団体のみならず、法的にものごとを論じて行くならば、あるいは教育委員会自体において、現職の教員を直接その事務に専念せしめておることもあるわけである。あるいはまたそのほかの団体においてもあるかもしれない。従つてそういう現象的に見て、これはけしからぬ、あれはけしからぬというときに、少くともこうした団体は、どういう規模の、またどの程度の人員を専従者として必要とするのであるか、現在の法的措置においても無理ではないか、こういう点から私は物事を論じて、そうして結論を出して行くということが正しいやり方である。そもそもこの専従者の問題については、終戦後皆さんが御承知のように、労働組合法ができて、(「何を質問しているかわけがわからないじやないか」「質問の要点はどこへ行つてしまつた、討論じやないぞ」と呼ぶ者あり)私は質問をしておるのです、黙つて聞きなさい。終戦後あのマッカーサ—元帥の指令に基いて、政令が公布され、労働組合法ができた。その当時においては専従者はいわゆる有給の職員として認められておつた。またその労働組合の当時に、団体協約が文部省と日教組の間に厳存しておつた。こころが国家公務員法、地方公務員法ができた後には、その団体協約のある部分については効力を失う、しかしながら厚生福祉の面についてはその趣旨を尊重するということが、当時の確認事項として残つているわけである。しかもこの厚生福祉の内容が一体どういうものであるかということについては、現在の文部省といえどもその内容を明らかにしておらないし、法的論争の問題として今残されておる。そういう場合に、こういうような厚生福祉に関係するところの既得権益についての取扱いはどうするかということが問題として残つておるわけなのです。従つてそういう点から、地方官庁においてすらこの点が明確になつておらないのに、地方においては二十四の教育委員会が準備されて、地方の教育行政が切りかわる過程において、この種の問題は取扱い上なかなかかつちり行かないで残つておる点があつた。だからそういう点について一概にこれをともかくやみ専従であるとか、あるいは意図的な問題としてこれをとつておるのだ、こういうふうに即断してこの問題を片づけるなどということは、きわめて不適当な問題である。だからこの種の問題を検討する場合においては、こういうものの由来、淵源、あるいは労働組合なり、あるいは職員団体の取扱いといつた本質的な問題からどうするかということを、文部省としても考えるべきであると思います。この私の見解について次官はいかにお考えになりますか、承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/34
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035・福田繁
○福井政府委員 御指摘の通り十分に由来淵源を調査いたしまして善処することにいたします。なお先ほどのだれが悪いとかいいとかいうことについて、軽々に断定してはいかぬ、こういう前提の一番先の御指摘でありましたが、人間の世の中ではよいものも悪いものもありますので、私たち現段階において判定したところでは、あの行為は悪いというふうに断定しております。人類の歴史で幾千年、幾百年の後にこれがいいとあらためられましても、私は後悔いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/35
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036・野原覺
○野原委員 私はただいま世耕委員が発言されたから、これにつり込まれてものを言うのではありません。従つてこれは世耕さんも本日はひとつ冷静にお聞き願いたいと思うのでございますが、御承知のように九州の水害は、一箇年のわが国全体の水害合計額に匹敵するということが言われておるくらい非常な被害を受けておるのであります。これに対して全国の教員の組織する団体である日教組が、これを傍観しておるというそのときこそ非難さるべきであつて、なけなしの金をお互いが出し合つて、そうしてこの避難民の救援に当るということがなぜいけないのであるか。私はいけないものであるかのようなにおいを持つた発言をするそのものの考え方に対して非常な不満を禁じ得ないのであります。そこで文部次官に質問をいたしますが、あなたは先ほど世耕さんが日教組の救援金に関する質問をした場合に、なぜ文教の責任担当者の一人として、今日の九州の水害のために、たくさんの子供たちが学用品を失い、そうして路頭に迷つておるこの実情を、全国の教員諸君が見るに見かねて、その団体である日教組がこのような金を出すのでございますという御答弁が、なぜあなたにできないのか。感情的に物を考える人たち、つまり日教組が何をやろうと頭からきらいなお方々が相当あるのであります。何をやろうと、そのために日本の最も重大な教育制度の問題、私ははつきり申し上げますが、たとえば先般の国会に出されました義務教育学校職員法案にいたしましても、なおまたこの国会において私どもは問題にしようと考えておりますが、地方教育委員会の制度にいたしましても、これは識者の指摘するところによりますと、日本教職員組合が気にくわないから、これに対する対策としてこういうものが出されたのであると、大方のわが国の教育に関心を持つておる識者はこれを指摘しておるのであります。従つてこういう人々は私は問いません。頭から感情的に物を考える方々であるから、教育の問題を冷静に考える人々ではないので、私はあえてこの人々は相手にいたしませんけれども、少くとも文教の行政をあずかる文部次官は、こういうようなことに対してはどのようにお考えになるのか、次官としての所信をまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/36
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037・福田繁
○福井政府委員 お答え申し上げます。決して感情で申し上げておるのではございません。あの速記録にもございますが、私も新聞の記事を拝見しただけで、まだ本省においてどういうふうな拠出が届けられたというようなことについての打合せもまた知らせもございませんでしたので、さようお答えしたわけでございますから、決して感情で申し上げてはおりませんことを申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/37
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038・野原覺
○野原委員 御承知かと思いますか、赤い羽運動というものがなされておるのであります。あの赤い羽運動は日赤がこれをやつておるものでございますが、日赤のやつておる気の毒な人々を助けるところの赤い羽運動に、全国の学童、生徒の諸君、並びに教員の諸君は協力をいたしておるのであります。つまり赤い羽運動の募金に参画して積極的に協力しておるのでございますが、こういう場合には、これは何らあなた方は問題にされようとしないで、今回九州の水害のために、日本の教員団体である日教組が金を集めて見舞金を送るということを問題にするところに、日教組に対する感情的な物の考え方、見方があるということを私は指摘したいのでございますが、この点について再度次官はどうお考えなのか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/38
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039・福田繁
○福井政府委員 お答えいたします。一番先から御在席でお聞きの通り、このことを実は私の方から発言申し上げたのではございませんで、世耕委員が御発言になつたのに対して私はお答えしたのでありまして、その問題については以上申し上げた通りでありますから、この点は世耕委員の方へお尋ねくださつた方がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/39
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040・野原覺
○野原委員 救援金を日教組が九州の水害に送ることがいいこととあなたは思つているのかどうかということを政府を代表して、文部委員会でございますから、法的に最も大事な委員会でございますから、政府を代表して明確におつしやつていただきたいというのです。悪いなら悪い、いいならいい、これだけでけつこうです。私はそれ以上尋ねません。はつきり言つてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/40
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041・福田繁
○福井政府委員 お答えいたします。それは日教組の方におかれまして御自由である、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/41
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042・野原覺
○野原委員 一体そういう水害に、日教組が——日教組は御承知のような組合です。この組合が金を出すことがいいか、悪いかという、あなたはその価値判断ができないのか。それともそれを言つたらあなたの政党で問題にされるのかどうか。このことに対して、あなたはなぜ明確に言わないのか。あなたは私の質問を故意に避けようとしておる。もう一度私はいいことか悪いことかはつきりお尋ねいたします。あなたが言えないなら、大臣に出て来てもらつて私はこの質問を継続する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/42
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043・福田繁
○福井政府委員 お答えします。決して御指摘のように感情で申し上げたのでは、ございません。その点については、私は日教組が九州の災害にお出しになつたかどうかという点が、先ほどここで論争されておりましたので、まだその結論がつかぬままに、日教組の方がお出しになつたのか、それとも日教組の方々があつせんされて、生徒が純真な気持から生徒が自身で出すというその金を集めてずつとおやりになつたのかという結論が、先ほど出ずにしまつたと存じております。日教組の方でありましようとも、その他の方でありましようとも、赤い羽の運動のように、純真な気持でこの種の災害に義指命を送るということは非常にいいことだと存じております。以上お答えしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/43
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044・野原覺
○野原委員 日教組は決して非合法の団体でも何でもない、これは合法的な団体でございます。この合法的な団体ガ、大州の水災救援のために金をやるということがいいことであるということを、率直に御答弁できないというその御態度を私はきわめて遺憾に思います。そこで次官は、ただいまの答弁は速記録を見ないとはつきりいたしませんが、とにかく日教組が金をやるということはあなたはいいことであると御答弁になつたと私は受取つてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/44
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045・福田繁
○福井政府委員 先ほど答弁申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/45
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046・大西正道
○大西(正)委員 今の次官の答弁に対して、ちよつと関連しておりますから伺つておきます。よい教員、悪い教員というような話がありまして、よい教員はこの際大いに優遇をしたい、こういうまことにありがたい発言があつたのであります。これは私は単なるごあいさつ程度のお言葉だとは聞かない。今のお話では、よい教員というのは、これはほとんど全国の大多数の教員である、こういうお話でありました。従いまして大いに優遇するということは、普通予定されておりますところのベース・アップの問題、あるいは公務員一般から特に切り離して、この際、の重大なる教育の仕事に従事しておる教員に、特別なる昇給その他の措置をされる、こういうふうな次官の一つの決心があるのであろうと私は思います。その点をひとつ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/46
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047・福田繁
○福井政府委員 お答えいたします。先ほど申しました通り、大多数の教員諸君は非常によい教員であると存じておりますが、なおその節も申し上げました通り、一般の他の公務員と比べて非常に悪いというような点もあるやに私は思いますので、この点十分研究を遂げまして、今手元にはその具体的なリストあるいは数字というものをまだ持ち合せませんが、十分研究しまして、先ほど申し上げました私の意見に沿つて行きたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/47
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048・辻寛一
○辻委員長 本日はこの程度で散会し、次会は公報をもつてお知らせいたします。
午後零時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X00619530702/48
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