1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十一日(火曜日)
午前十一時三十九分開議
出席委員
委員長 辻 寛一君
理事 天野 公義君 理事 坂田 道太君
理事 原田 憲君 理事 前田榮之助君
尾関 義一君 小西 寅松君
竹尾 弌君 安井 大吉君
今井 耕君 中嶋 太郎君
町村 金五君 野原 覺君
大西 正道君 松平 忠久君
北 玲吉君 小林 信一君
出席政府委員
文部事務官
(初等中等教育
局長) 田中 義男君
文部事務官
(社会教育局
長) 寺中 作雄君
委員外の出席者
議 員 中川源一郎君
専 門 員 石井つとむ君
専 門 員 横田重左衞門君
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本日の会議に付した事件
高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案(
中川源一郎君外十七名提出、衆法第三九号)
青年学級振興法案(内閣提出第一三〇号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/0
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001・辻寛一
○辻委員長 これより会議を開きます。
高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。中川源一郎君。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/1
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002・中川源一郎
○中川(源)委員 今回中川源一郎外十七名から提出いたしました高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案について御説明申し上げます。
昭和二十三年度に旧制中等学校の制度が改革されまして、新制高等学校の制度が生まれました際に、勤労青年のための教育制度といたしまして、高等学校に定時制の課程と通信教育とが設けられました。この定時制の課程と通信教育とは全日制課程の教育と、その内容において、まつたく同等のものを授けるものでありまして、教育基本法にいう教育の機会均等を実現することを目標とするものであります。
この二つの教育は、働きながら学ぶ恵まれない青年たちの向学心を振い起しまして、昭和二十三年度定時制課程の生徒数十七万であつたものが、昭和二十八年においては、約五十八万に、通信教育においては、昭和二十三年に九千であつたものが、昭和二十八年においては約三万四千というように、生徒はこの五年間に著しく増加しているのであります。
このように増加しましたのは、定時制課程では、特に地方の実情に応じた教育の実施に重点を置いておりますから、学校所在地域の産業を振興させ、産業においても文化においても真に村づくりの中心となる青年の育成に寄与し、その成果が大いに認められた結果であり、また通信教育につきましては、通学距離の関係や勤務の都合その他経済上の事由で定時制課程へも通えない勤労青年の要求に合致したからであります。従つて、達識の地方公共団体では大いに定時制課程を設置し充実して、一層地元の産業・文化・教育の振興をはかりたいと願い、勤労青年たちも、定時制教育や通信教育によつて、将来国家社会のために有為な人間になるため大いに自分の力を伸ばしたいと考えておるのでありますが、定時制課程も通信教育も地方財政の困難により、現在のところ、すこぶる貧弱なので、これらの青年の熱意に到底ごたえ得ない窮状なのであります。たとえば、定時制分校では理科設備などは全然なく、黒板と白墨で授業しておるものが多く、家庭科教育に必要なミシンも、わずか一台で数十人の女生徒が学習することなどは、珍らしい事例ではありません。
また、通信教育については、昭和二十七年度まで実施していた科目は国語、漢文、解析Ⅰ、Ⅱ、幾何、地学、一般社会、世界史、日本史の九科目でありましたが、御承知のように通信教育では教科書のほかに学習指導書がなければ授業ができないのでありますが、学習指導書の発行されたものはわずかに国語、解析Ⅰ、地学の三科目にすぎません。これは、学習指導書の需要部数が少いため、企業として成り立ち得ず、その発行を引受けるものがない実情であります。通信教育においては、本年度さらに十二科目を増加しておりますので、学習指導書が順調に発行されるよう、国庫補助を行う必要があるのであります。かように盛り上つて来た勤労青年の向学心を満足させ、かつ、これら青年にとつて定時制課程及び通信教育が魅力のあるものとするためには、定時制及び通信教育の設備を充実すること、通信教育の学習指導書の発行を促進し、巡廻指導の旅費を確保し、受講生に対する直接指導の回数を増加することなど必要でありますが、地方財政の現状では、急速にこの要求を満すことができないので、国庫補助金を交付して振興のための措置を講ずることが急務であると考えられます。
右の理由によつて、ここに高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案を提出する次第であります。
次にこの法律案の骨子について御説明申し上げます。
第一に、この法律案は教育基本法の精神に基きまして、多くの勤労青年に高等学校の教育を受ける機会を与え、働きながら学ぶことに誇りを持つことの信念を確立させ、一般教養と職業能力の向上に貢献するよう、定時制教育及び通信教育の振興をはかることを目的とするものであります
第二に、右の目的を果すために、これらの教育の実施上、困難に当面しておりますところの公立高等学校の定時制課程及び通信教育の設備の充実と通信教育の運営に必要な経費に対して、また通信教育の学習指導書の編集に対して、予算の範囲内で補助を与えようとするものであります。
以上この法律案の提案理由とその内容の骨子について御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/2
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003・辻寛一
○辻委員長 次に青年学級振興法案を議題といたし、前会に引続き質疑を行います。松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/3
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004・松平忠久
○松平委員 この青年学級振興法案について、文部当局にまずお尋ねしたいと思うのですが、現在日本全国において青年学級と称するものは一体どのくらいありますか。それから人数にしますと一体どのくらいあるかということと、それから次に一学級かりに三十人を単位としまして、大体年間を通じて百七十時間以上するという学級の経費は、一学級単位幾らくらいかかるものであるかということについて、文部省側の資料がありましたら、まず前提としてお伺いしたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/4
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005・寺中作雄
○寺中政府委員 全国の青年学級の総数は、現在大体一万一千学級でございます。その学級生の数でございますが、約九十九万余りでございます。それからこの学級のために使われる経費でございますが、これはいろいろでありまして、私のところで百時間以上という比較的堅実な運営をやつておりますもの約三千五百ばかりを取上げて調べましたところによりますと、一学級当り約六万五千円の運営費を使つているという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/5
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006・松平忠久
○松平委員 ただいまのは一学級三十人単位として六万五千円、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/6
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007・寺中作雄
○寺中政府委員 現在三十人単位というような標準を別に設けておりません。平均いたしますと百万人の一万一千学級でありますから百人足らず、一学級が八十五人ぐらいの平均になると思いますが、その単位でやりまして、一学級の経費が六万五千円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/7
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008・松平忠久
○松平委員 ただいまの御説明によつて八十人ぐらいの学級として六万五千円というわけでありますが、どういうようなやり方をしているか知りませんが、私ども調べておるところによると、もつとかかるのじやないか、一昨年でしたか、文部省で主催された社会教育主事の会議をしたことがありましたが、そのころの話を聞きますと、八万円程度はかかつておるのではないか、こういうふうに伺つておるわけであります。しかしただいまのお話によると六万五千円ということでありますが、そうしますと大体文部省としてはこの法案によつてどの程度の率の補助を一学級について見込んでおるわけでありますか、ちよつとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/8
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009・寺中作雄
○寺中政府委員 今年度の予算は七千二百万円、そのほかに青年学級主事の講習をやりますが、県に対する補助金を合わせまして七千三百万でございます。それでその補助金の根拠になつておりますのは、大蔵省におきまして大体一学級当り基準経費としてどれくらい必要かということをいわゆる立案の基礎といたしまして、たとえば百時間であるから講師が何人いる、一人当りの講師の手当が幾らというような一応の標準をつくつて、計一学級当りの基準経費を二万四千円と見ておるわけであります。ですからこの法律案によりますと、三分の一以内を補助するということになつておりまして、二万四千円の三分の一の、一学級当り八千円を見込んでおるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/9
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010・松平忠久
○松平委員 社会教育法によりますと、第四条でしたか、国において法律または他の法令によつて定めるところによつて、地方公共団体に対して社会教育の振興等のために財政的援助をするという規定があるわけでありますが、この社会教育法というものに基いて、一体国でどういう程度の、どのくらいの予算をもつて財政的援助をしておりますか。この青年学級以外の問題について、一応参考までにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/10
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011・寺中作雄
○寺中政府委員 社会教育関係の予算は、大体中央の活動を援助するような経費が多いのでありますが。地方の公共団体に対しまして社会教育関係で補助いたすものの割合大きなものといたしましては公民館、図書館、博物館に関する補助金がございます。その額は、公民館につきましては今年度二千百九十八万円、図書館につきましては九百二十二万円、博物館につきましては三百四十万円、これは運営費補助でありますが、建築費補助といたしまして一千万円を計上いたしております。そのほかいろいろ講習会をやるとかあるいは講座をやる、大学の公開議座その他社会学級の講座その他いろいろ学校開放関係の講座の経費、そういうものを全部合せまして六百二十万円ばかりございます。その他直接間接にいろいろ援助いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/11
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012・松平忠久
○松平委員 そうするとこの二千何百万円、それから九百二十二万円、三百四十万円、こういつた社会教育法に基いて補助をしておる額と、今度出す青年学級振興法律案に基く予算的措置、つまり七千三百万円とを比べましてどちらが多いわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/12
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013・寺中作雄
○寺中政府委員 今度の青年学級に関する補助金は、そのほかのものに比べまして相当多額であると考えております。この公民館の運営費の補助はただいま申しましたように二千二百万円ばかりでありますが、これは公民館における定期講座の補助金ということになつておりまして、定期講座と申しますのは、いろいろ青年のためあるいは婦人のためその他社会学級のため、内容につきましてはいろいろのものがあるのでありますが、それらのものに対する講座の開設補助金でありましてあるところではこの青年学級補助と重複する関係になるわけでありますが、この関係は青年学級補助費が助成されることになりますれば、公民館に対する補助金は青年学級以外の定期講座の補助金ということで助成いたして行くつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/13
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014・松平忠久
○松平委員 今までの社会教育法に基く政府の助成的な処置というものは非常に微々たるものであつたというふうに思えるわけでありまして、従つてこの青年学級に対する助成金というものは、私は当然政府で見るべき性質の金であろう、こういうふうに思うわけでありますが、おそらく文部当局で十分御承知であろうと思いますけれども、日本の青年団体等の間に昭和二十六年度においてはこういうものをやつてくれという意向があつたけれども、昨年来、むしろこの青年学級の振興法案というような文部省で考えておるようなものは日青協において考えておるところとは少し違うということで、非常に消極的というか、むしろ反対的な陳情等をわれわれのところへ持つて来ております。同時におそらくこれは文部当局にも持つて行つておると思うのであります。そういう点についてこれらの青年団体の反対というようなものを文部省はどういうふうにお考えになつておるか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/14
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015・寺中作雄
○寺中政府委員 全国の青年団の連絡総合機関といたしまして、日本青年団協議会というものがあるわけでありますが、その方面から反対的意向を漏らしておることは私どもも存じております。この反対の理由を総合的に考えてみますと、大体四点になると思うのであります。
第一の点は、青年学級は青年の手による自主的運営で行かなければならないから、画一的な官僚統制はやらないでもらいたいという意味のことであります。これにつきましては、青年学級振興法案をお読みいただけばわかると思うのでありますが、第三条に書いておりますように、青年の自主的運営によつてやつてもらいたい、その方針でやるということを根本方針にいたしておるのでありまして、まつたくその趣旨によつて青年学級は運営いたさなければならないと考えておるのであります。ただ政府が金を助成する関係で、どうしても公共的機関を通じて助成する必要がある。そういう意味でこの開設主体を町村といたしておりますけれども、それは大体経理という点で責任経理をしてもらうために町村が開設主体になるわけでありまして、実際の運営におきましては勤労青年の自主的運営によつてやつてもらうということを実際上どうしてもやる必要がある。そういう意味で、特にこの法案の中にもその点を強調しておるのであります。
それから第二の点は、青年学級を法制化することによつて、青年教育を非常に貧弱な施設に固定をして行くことにならないかということを言うのでありますが、この点はやはりその裏面といたしまして、勤労青年のためには相当りつぱな施設をつくつて、定時制高等学校の制度もあるのであるから、これによつて資格もとれ、また相当充実したことを勤労青年教育の主体にして行くべきであつて、この青年学級というようなものは貧弱なものであつてだめだというようような意味であると思うのでありますが、定時制高等学校が必要なことは当然でありまして、ただいまも提案理由の御説明にありましたように、定時制高等学校の振興ということは絶対必要であると思います。ただ定時制高等学校に入り得る生活的あるいは経済的条件のある青年というものはやはり限定されたものであつて、全部の勤労青年にこれを期待することはできないという意味において定時制にも通えない者のための補充的な機構といたしましては、やはり青年学級というものがぜひ必要である。それが現在多少貧弱であるということは言い得ると思いますが、そういう意味においてこの助成の措置によりまして漸次青年学級というものを充実をいたしまして、貧弱でないようにこの際措置をするということが、私どもとしての考え方でございます。
第三の点といたしましては、現在の客観情勢が逆コースであるから、青年学級を法制化するということは国家主義的な傾向を助成するものであるというような意味の反対理由があるのでありますが、これにつきましては逆コースであるかどうかということは、見る人の判断でありますが、そういうこととは一切関係はないのでありまして、青年学級振興法案の内容をごらんいただきましても、その教育内容そのものを統制するというようなことではないのでありまするから、これによつて逆コースをいわば促進するものであるというような批評は当らないのでありまして、むしろこの際教養の機会を与えられない勤労青年を、いつまでも放置して、国家が何ら保護的政策をとらないということが、むしろ青年をしていろいろ懐疑的な思想に追いやる原因になるのではないかというふうにさえ考えておるのであります。
それから第四の理由といたしましては、青年学級を法制化することによつて、自主的な青年運動に圧迫と拘束を加えるというふうに見ているのでありますが、この点につきましては、私どもは最初に申し上げましたように、青年学級の経理的な財政的な面は、町村にやらせるのでありますが、その運営自体は青年団に協力してもらい、青年自体の自主的運営でやつてもらう、すなわち青年学級の運営につきましては、青年団がほとんど世話をする、あるいは出席の督励にいたしましても、あるいは講師のあつせんにいたしましても、青年団にいろいろ側面から活躍してもらうということが、青年学級を振興する非常に大きな方途でありまして、そういう意味で青年学級振興のためにはぜひ青年団の自主的な活動ということが必要であると考えておるのであります。そういう意味では、決して青年学級法ができることによつて、自主的な青年運動を拘束するというようなことはない、両々相まつて、すなわち青年学級が盛んになることは青年団運動も盛んになる、青年団運動が盛んになることは青年学級も盛んになるというような関係でもつて、青年団運動が振興して行くものであるというふうに考えておる次第であります。
なお日青協の反対ということは、私ども十分考慮には入れておりますけれども、私どもいろいろ関係者その他を通じて、地方の町村を主体にするいわゆる単位青年団の団の気持あるいは団員の気持というものを聞いておりますところでは、単位団におきましては、ぜひこの際青年学級振興法を成立さしてもらつて、この青年学級を助成してもらいたい、保護してもらいたいという非常に熱烈なる希望があるということは、輿論調査その他によりまして、大体私どもは確信を持つておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/15
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016・松平忠久
○松平委員 ただいまのお話で、日青協の反対しておる理由の中で、一番大きな理由と思われる青年の自主性を圧迫する、あるいは拘束するという心配に対して、決してそういうことはないというように伺つたわけでありますが、ただいまの御答弁によると、自主的な運営をごの法案においてはさして行くのだ、その三条を引用されて、勤労青年の自主性を尊重するということを引用されて、そういう答弁があつたと思いますが、青年学級の運営ということについて、どんな仕組みで一体自主性を尊重して行くかということが、この法案の中に見当らないわけなのですが、故意にそれを落してしまつたのか、そういう必要を認めてなかつたのか、第二章に、「青年学級の開設及び運営」という題目をつけておるわけでありますけれども、運営に関する規定のようなものはあまりない、そうしてこれを見ますと、題目はそういうふうになつておるけれども、実施機関に青年学級主事というものを置く、そうしてその主事というものは、上司の命を受け三青年学級に関する事務をつかさどるということになつておりますので、これは常識で考えてみると、大体青年学級というものが、青年学級の主事とかあるいは公民館館長、こういう人の意向によつて、どんな教育でもできるというふうに解釈されるおそれがあるように思うわけであります。というのは、先ほど申したようなぐあいに、どうして運営に関する規定というものを落してしまつたか、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/16
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017・寺中作雄
○寺中政府委員 青年学級の運営にあたりましては、現在の実情といたしまして、現に青年学級生あるいは青年団の幹部というような者を入れました青年学級運営委員会を組織いたしまして、この運営委員会において教科内容その他に関する企画、あるいは運営の方針というようなものを定め、これを大体中心にして運営するということが現に行われておる次第でありまして、これをぜひ保存し促進いたしたいと考えておるのであります。ただいまのお尋ねの点は、そういうことであるならば、なぜそれを法律に明示しないかという話でございますが、私どもも、これを適当な形で法律案の中に盛り込むことについて、相当研究をいたしてみたのであります。まず青年学級は大体公民館において実施されることが多いのでありまして、その公民館には公民館審議会がありまして、いろいろな形の人が委員会に入つて運営するということが行われるわけであります。そこでその公民館の事業である青年学級につきまして、別に委員会をつくることを法制的に規制することになりますと、いかにも屋上屋を架するような感じを抱かしめますことと、もう一点は、そういうことを法制化するということになりますれば、たとえば運営委員会の仕事はどうである、委員長はだれである、委員はどういうものである、どういう権限を持つて、どういうことをやるというようなことを、この法律案の中に明示しなければならないことになるのでありますが、実際の青年学級の運営委員会は、むしろそういうかた苦しいことでなくして、また運営委員会も、たとえば企画委員会であるとか、あるいは教科委員会であるとか、いろいろな形で実際に行われておる。それをこういう委員会のこういう構成でなければいけないという意味で、むしろ非常に法律的な規制を受けるという感じを与えるのでありまして、そういう意味では、第三条の精神があるのでありますから、この第三条の精神に基いて、実質的に、私どもの行政指導といたしましては、ぜひ運営委員会のようなものをつくつて、自主的に運営してもらいたいということを言うつもりでおりますけれども、法律の中に明示するということは、ただいま申し上げましたような理由で、かえつて多少かた苦しいわくにはまつた感じを与えるのではないかというような意味で、実はこれを遠慮したのでありますが、なお御意見のような点は、さらに研究の余地がありますれば、大いに研究してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/17
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018・松平忠久
○松平委員 日青協等の一番大きな反対理由というのは、要するに逆コースじやないか、あるいは青年の自主性というものを奪つているのじやないかということが一番大きな反対の理由になつておるように伺つております。従つて青年をして自主的な興味を持たせることが一番必要なのであつて、この点について最も危惧しておる日青協、その他の有識者の誤解を解くためには、どうしても何か成文化するというようなかつこうにしなければいけないのじやないかというふうに私は思うわけであります。ただいまのお話だと、きちきちになるからというわけでありますが、この法律案の内容を見ると、いろいろきちきちのところが大分別にあるわけであります。どうして運営委員会だけそれがきちきちであつて、ほかのものがきちきちでないかということがふに落ちない。これは、あるいは市町村の条例にまかせるとかいう手もあるわけでありまして、この点青年たちの誤解を解き、なおその考えを正確に反映するというぐあいにするのが、私は文部省の立場として当然とるべき態度ではないかというふうに思つておるわけであります。この点は今御研究していただくように御発言がありましたので、とくと御研究を願いたいと存ずる点であります。
それから次に、それと同様なことでありますけれども、青年の自主性を尊重するということであるならば、いろいろ罰則等の規定も、かえつてそこばくの補助金を出して、この規定に反するならば、十七条でしたか、「一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金に処する。」というような罰則があるわけでありますが、この罰則というのは、なぜ入れたのか私はわかりませんが、一体だれが訴えるのですか。学生が訴えてもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/18
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019・寺中作雄
○寺中政府委員 この処罰規定は第十一条の関係から出て来るわけでありまして、この関係につきましては、訴える者はだれでもいいということになると思います。なお処罰規定があるために非常にかた苦しいということでございますが、これにつきましては実は社会教育法におきまして、公民館の規定があるのでありまして、その公民館につきましても、同様十一条並びに十七条に準ずるものといたしまして、四十一条の規定によつてやはり罰則があるのであります。私どもの言葉で申しますと、これはいわゆる伝家の宝刀というふうなものでありまして、めつたに引抜くことはないのであります。たた警告的な意味におきまして、全然野放しであるということになりますれば、禁止規定を置いた理由がなくなるのでありまして、そういう意味でやはり形式的にも罰則を必要とするということに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/19
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020・松平忠久
○松平委員 社会教育法にもそういう罰則があるから、それをここべ持つて来た、こういう御説明りようでありますが、今回の予算的措置でこういう法律案をつくつて、それで一学級八千円の補助金を出すということによつて、罰則まで加えてそれを拘束するというか、そういう社会教育のあり方というものはおかしいんじやないか、こういうふうに思つておるわけであります。たとえば第十一条の規定に反する場合に、だれか隣りの村の者が訴えるという場合において、そういう規定が適用されるということであるならば、それじや講師なんかすくんでしまつて、実際伸び伸びした教育を行うことができないんじやないか。もしこの規定を悪用されるというか、この規定を適用されるということであるならば、そういう結果になることもありやしないかと思つておるわけです。たとえば第十一条の二の「特定の政党その他の政治的団体の利害に関する事業を行い、」こういうことがあります。こういう場合において、従来この委員会においても文部大臣との間に相当の議論が闘わされておつたわけでありますけれども、非常にデリケートなテーマであるわけであります。たとえば一例を申し上げますと、再軍備をしちやいかぬというようなことを学校の先生がかりに教えたという場合には、一体この法律の十一条の規定に触れますか、どうですか。それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/20
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021・寺中作雄
○寺中政府委員 この十一条の二号によりますことは、教育基本法の八条の二項の精神と同様でございまして、いわば教育、ことに国が補助金を出して奨励をしておる教育の方法に関しましては、これはあくまで中立性を保つてやられることを保障する必要があるということなのでございます。ただいまの御質問の再軍備の問題でございますが、それはその具体的な事情によつて判断をする必要があると思うのであります。ただそれだけでこの法規に触れるかどうかということは早計に結論をつけるわけには参らないと思うのであります。しかし十一条の精神といたしましては非常に片寄つた教育が行われる、営利的にあるいは政治的にあるいは宗教的に非常に片寄つた事情がありまして、だれが見てもこれは普通の青年学級のやり方としては非常に偏し過ぎておる、そういう事情が特に顕著に現われておる場合に、これを禁止し、それを聞かなかつた場合に処罰する、こういうことになるのでありまして、ただ片々たる事実をとらえて、ただちに処分的な措置までも行くということは考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/21
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022・松平忠久
○松平委員 それは文部省のお考えだろうと思うのですが、訴訟の場合は裁判官が取扱うわけであります。従つて隣りの村の者が、あそこの学校ではこれこれこういう教育を行つておるということで告訴されたというようなことがかりに起つたとすれば、これは文部省の見解いかんにかかわらず、裁判官がこれを判断するということになるわけです。従つてあなたのそういうことが通ずるかどうかわかりません。しかし私の今質問したのは十一条の二号についてでありましてこれは現実の問題として、みんな非常に困つておる問題だろうと思うのです。憲法では再軍備はしてはいかぬという規定になつているわけです。従つて再軍備をしてはいかぬという教育をするのが憲法に合致しておるわけなのです。しかるに再軍備をしてはいかぬという教育をことさらにするということは、特定政党に関係があるがごとく思われがちな現在の状況なのであります。世相がそういう状況になつておりますので、そうした場合に罰則等がある場合においては、かえつて平地に波瀾を巻き起すような結果になるのではないか、こういうふうに私はおそれておるわけなのであります。その点についてあなたはどういうように現在の世相を認識しておられるかわかりませんが、大体学校で再軍備をしてはいかぬという教育をすることはいいことですか、悪いことですか、違法ですか、違法でないですか、参考までにちよつとお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/22
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023・寺中作雄
○寺中政府委員 これを教師がかりに品にしたという場合におきましても、これをその教育の根本方針として、すなわち相当深い信念のもとに継続的にそれをやつたという場合と、それからもつと軽い意味でやつたという場合があると思いますが、そういういろいろなそのときの具体的事情によつて判断しなければならないと考える次第であります。ただお尋ねのようなことだけではちよつと判断しかねるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/23
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024・松平忠久
○松平委員 どうもあなたの答弁ではわけがわからない状況によつて判断するというのではわからない。再軍備してはいかぬということは憲法に書いてあるわけです。それをいかぬということを教えるのは合法的ではありませんか。政府としてはその点そう思いませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/24
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025・寺中作雄
○寺中政府委員 教えるという行為でございますが、再軍備をしてはいけないという発言が、教えるという教育の内容としてなされるのと、ただ発育したという場合とあると思うのであります。そういういろいろの事情がありますので、具体的な事情によつて判断すべきであると考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/25
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026・松平忠久
○松平委員 それを教えた場合はどうなりますか。教えなければならぬわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/26
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027・寺中作雄
○寺中政府委員 やはり教えるという形におきまして、ただ再軍備の問題をとらえて行きますと、これはいろいろの事情がありますが、内容的に思想的に特定の政党と関係を持つてなされる教育であるならば、これはやはり教育基本法八条によりまして問題にすべきことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/27
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028・松平忠久
○松平委員 それが非常に困るのじやないかと思うのです。再軍備については憲法で禁止しておる。それを先生が学生に教えるという場合には、たといその先生が共産党であろうが、社会党であろうが、自由党であろうが、これは憲法には明示され、これを教えることは許された行為であろうと思うのです。憲法の方がほかの法律よりも重い法律である。従つて今のようなあなたの御解釈によりますと、再軍備をしてはいかぬということをたとえば青年学級で先生が教えるという場合において、たまたまその人が共産党員であるという場合に一体どうするか。共産党員である先生が再軍備をやつてはいけないということを教えた場合に一体これを処罰するかどうか。文部省の意向はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/28
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029・寺中作雄
○寺中政府委員 教育の方針といたしまして、これは各国に通ずる原理であると思いますが、やはり政党の政策、政党の利害というようなものから超越した、いわゆる教育の中立性を保つて教育がなされなければならないということは、これは当然と言えるのでありまして、そうでなければほんとうの教育、あるいは文化の振興を期し得ないと思うのです。そういう精神から教育基本法ができ、また公務員関係の法律並びにこういう青年学級法にも現われておる次第でありまして、その根本の最も大きな教育の中立性を保持するという目的を通すために、その目的にあまりにも背反するような事態がある場合には、これを禁止するということをこの十一条にうたつたわけでありまして、具体的な場合において、それが教育の中立性の根本目的に合致しておるかどうか、すなわち禁止の目標に致しまして合うものかどうかということの判断は、やはり審判機関においてなされることがあります。目的そのものについては私は当然言えることであろうと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/29
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030・松平忠久
○松平委員 そうすると、あなたのお考えは、中立性ということに非常に重きを置いておられ、教育基本法に重きをおいておられるということであつて、これは憲法と同様の重きをなしておる、こういうお私えですか、どちらが重いとお考えになりますか、当然これは憲法の方が重いだろうと思うのでありますけれども、教育の中立性の方が重いような今の御発言であつたのですが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/30
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031・寺中作雄
○寺中政府委員 憲法が目的としております立国の政策の根本をきめるということと、それから教育の中立性という一種の普遍的な真理から出て来た原則、これは別箇の根底に立つものであり、いずれが重いものであるかということは、言えないのではないかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/31
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032・松平忠久
○松平委員 それは観念論として、あなたはそういうことを発言されたのだろうと思いますが、こういうふうに条文に書かれた場合においては、これは法律になるわけです。従つて法律的解釈をしなくてはならぬというふうに思うのです。法律的解釈ということになると、やはり憲法とか教育基本法とか、こういつた成文法に明示されたところのその内容によつて判断しなくてはならぬと思うのですが、そういう点からいえば、教育の中立性をうたつているところの教育基本法と憲法の規定、これと相抵触するような場合においては、個々の場合においてやはり憲法をとらなくてはならぬと思うのですが、その点はどうですか。法律的解釈について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/32
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033・寺中作雄
○寺中政府委員 表面的に見た場合に、この二つが抵触するというように考えられる場合もあるかと思いますが、しかし根本の目標というものを考えてみますと、これはやはり抵触しない実際のやり方ということができると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/33
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034・松平忠久
○松平委員 これは委員長に申し上げたいのですが、この十一条の青年学級の禁止規定というものと、それからこれに違反したときの罰則は、私はこの青年学級について非常に重大なる影響が将来あると思うのです。それを非常におそれておるわけでありますが、これらの点については、文部大臣の御答弁をお願いしたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/34
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035・辻寛一
○辻委員長 そのようにとりはからいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/35
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036・松平忠久
○松平委員 今の点については文部大臣からの御答弁を要求することにして、その他の二、三の点についてお伺いしたいのですが、この青年学級の申請については、十五人で申請ができるという規定がこの六条にありますが、同時に国家の補助の要件として、十八条に学級生が三十人以上という規定があるわけであります。これはどうして片方は十五人で、片方は三十人というふうにしたのか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/36
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037・寺中作雄
○寺中政府委員 国家から補助する場合の青年学級の経営の規模といたしまして、一応三十人ということを考えましたのは、それによつて青年学級生が一種のグループ活動をやるのに適当な人員であるということと、それから経営の面から見まして、あまり少い人数のために公費を支出して青年学級をやるということは、経営的に多少無理を生ずるというような意味から、一応の基準を三十人と見たわけであります。申請の場合には、その半数の十五人といたしましたのは、大体半数の者が申請しまして、それにあと半数くらいの者が、広告並びに募集によつて加わる、そうして基準として三十人くらいのクラスを構成する、こういうことが一応の基準として考えられるのではないかというような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/37
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038・松平忠久
○松平委員 これは、人数を合わせた方がいいような陳情を非常に受けるわけですが、その点についてはどうですか。つまり補助規定の要件を十五人に引下げるということについてのお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/38
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039・寺中作雄
○寺中政府委員 三十人という基準につきましては、これはただいまも申しましたように、一応のグループ活動の規模になるという考え方でございまして、それと、どの市町村を見ましても、十五歳から二十五歳までの勤労青年、すなわち中学校を出た勤労青年の数が、三十人に足らないために青年学級が構成できないというような事情の村は、まずほとんどないであろうというような点から、三十人ということを考えたわけであります。そういう意味で、やはり三十人を基礎に考えて、その半数を申請の基準人員と考えたのでありまして、私どもといたしましては、やはり原案くらいが適当ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/39
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040・松平忠久
○松平委員 その点については、なお後刻いろいろな実例で、逐条審議の場合においてお伺いしたいと思います。この際伺つておきたいと思うのは、文部省の予算の費目に、青少年指導員というものが出ておりますが、この青少年指導員というものと、青年学級というものとは何らか関係のあるものですかどうですか。また青少年指導員というものはどういうことをするものですか、ちよつとお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/40
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041・寺中作雄
○寺中政府委員 青少年指導員と申しますのは、これは県の教育委員会の職員でございます。昨年度は、これは国立教育研究所の研究員といたしまして、研究所所属職員といたしておりましたのを、今年度は地方の公務員に切りかえまして、文部省からはその俸給の三分の一相当額の助成をするという形で、百四十四名の者を、各府県三名ずつの指導員を置くことにいたしておるのでありまして、その職務は、大体青少年団体と緊密な連絡を保つて、その教養あるいは社会奉仕、リクリエーシヨンあるいは職業指導というようなことについてのいろいろお世話をする、あるいはその事業関係の調整をするというようなこと、またいろいろ青年関係の講習会や研究会や会議等のお世話をする、あるいは指導をするというような意味でこれに臨席をいたしまして、青少年関係の全体の指導助言をやるための職員でございます。青年学級の計画と直接の関係を持つて立案せられているものではございませんけれども、実際上青年学級の運営に関しましては、青少年指導員もその立場に従つていろいろお世話をすることが多いのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/41
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042・松平忠久
○松平委員 占領軍がおつたころ、青少年の思想動向を調査して、当時のGHQに報告するという役目の者があつたわけですが、それらの役目の者が国立教育研究所に司令部から引継がれて、青少年の思想の動向を調査するというようなことをやつたのが、この指導員として今度は県に引継がれて来るということを聞いておるのですが、その真相はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/42
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043・寺中作雄
○寺中政府委員 司令部が、青少年顧問と当時言つておりましたが、そういうふうなものを各県に配置したという意図が、思想動向を調査するという目的であつたかどうか、これは私ども存じませんが、ともかく青少年指導のために司令部の直接の所属員といたしましての職員を配置しておつたのであります。それでお話のように形式的に見ますと、これは国の方で引継いだということに考えられるかもしれませんが、これは実際の措置といたしましては、この人間そのものも半分以上かわりました。またその推薦の場合におきまして府県の教育長から責任ある推薦をさせまして、全然別途の意図でもつて、文部省は文部省の立場から青少年団体の世話をするのに適任なる者を推薦させるという意味でこの指導員を配置いたしたわけでありまして、指導員の目的、職務といたしますところは、司令部時代とは全然かわつておりますし、人間そのものもかわつておるというのが実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/43
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044・松平忠久
○松平委員 その点はよくわかりましたが、青少年指導員というものを各府県に配置する、そして青年学級等の指導にも当らせるという今のお話でありましたが、私が聞いておるところによると、関東甲信越等においては、青少年指導員を文部省から押しつけられたということで非常に憤懣を持つておつて、いずれもそういうものは置かないということで、事実文部省に対して拒否の態度をとつておるということを聞いておるわけですが、それは一体どういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/44
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045・寺中作雄
○寺中政府委員 この指導員はただいま申しましたように、昨年度は国立教育研究所の所属員でありまして、その予算の費目は見返り資金であつたわけでありますが、見返り資金が廃止されまして、これを一般会計に引継ぐにつきまして補助金に切りかえ、県の職員にいたしまして、国から三分の一の補助を出すという形で青少年指導員の設置を奨励したわけであります。ところが県といたしましては、この青少年指導のための専任職員というものの必要性あるいは重要性ということは十分認識し、ぜひこれを置きたいのでありまするけれども、三分の一補助でありまするので、財政的関係がありますることと、定員等の関係で府県の職員の設置がいろいろ苦しい事情にありますので、そういう財政、定員の面からいたしまして非常に困難を感じている県があるのであります。しかし文部省が別に押しつけたということではなくして、要するに青少年指導員のような必要な職員を置いてもらえるならば、補助金を出すという形になつておりますので、受取る方の県といたしまして、ただいまお話になつておりますような受取り方をしたのではないかと思うのでありますが、これは青少年教育を振興し、社会教育を推進するためには、ぜひそのような職員が必要であるということは私ども考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/45
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046・松平忠久
○松平委員 青年学級とは関係があるように思うのでありますが、一体青少年指導員というものを現在置こうとしている県、置かないつもりだという県がもしわかりましたら、後刻でいいからお示し願いたい。予算の執行がどういうふうになるかということに関係が出て来るだろうと思うのです。その点は後刻どの県とどの県はこの青少年指導員を置くことになつているか、どの府県は置かない方針であるかということをお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/46
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047・寺中作雄
○寺中政府委員 その点承知いたしました。今のところ私どもで持つております調査では、相当の府県、大部分の府県が三名ずつ配置することにいたしておるのでありますが、いろいろ予算的折衝その他のためにまだその手続が進んでいないところが多少あるのでありまして、これは後刻調査いたしました上で御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/47
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048・辻寛一
○辻委員長 本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
午後零時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605115X01519530721/48
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