1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十八年七月二十八日(火曜日)
午前十一時十一分開議
出席委員
委員長 小林かなえ君
理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君
理事 田嶋 好文君 理事 吉田 安君
理事 古屋 貞雄君 理事 井伊 誠一君
理事 花村 四郎君
押谷 富三君 林 信雄君
高橋 禎一君 猪俣 浩三君
細迫 兼光君 木下 郁君
佐竹 晴記君 木村 武雄君
出席政府委員
法制局参事官
(第二部長) 野木 新一君
法務政務次官 三浦寅之助君
法務事務官
(保護局長) 齋藤 三郎君
委員外の出席者
専 門 員 村 教三君
専 門 員 小木 貞一君
―――――――――――――
同日
委員田嶋好文君及び牧野寛索君辞任につき、そ
の補欠として福井勇君及び金光庸夫君が議長の
指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員金光庸夫君、福井勇君及び鈴木幹雄君辞任
につき、その補欠として牧野寛索君、田嶋好文
君及び三浦一雄君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同月二十八日
田嶋好文君が理事に補欠当選した。
―――――――――――――
七月二十五日
刑事訴訟法の一部を改正する法律案の一部修正
に関する請願(齋木重一君紹介)(第五四八三
号)
鹿屋区裁判所を甲号支部に昇格の請願(永田良
吉君紹介)(第五五三五号)
鹿屋市に鹿兒島刑務所支所設置の請願(永田良
吉君紹介)(第五五三六号)
の審査を本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
理事の互選
小委員及び小委員長の補欠選任
刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九
〇号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/0
-
001・小林錡
○小林委員長 これより会議を開きます。
本日の日程に入る前に理事、小委員及び小委員長の選任についてお諮りいたします。すなわち理事であり接収不動産に関する小委員長でありました田嶋好文君が、去る二十五日一旦委員を辞仕されましたので、理事、当該小委員及び小委員長が欠員となつておるのであります。理事、小委員及び小委員長の補欠選任につきましては、委員長において御指名いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/1
-
002・小林錡
○小林委員長 御異議なしと認めます。理事、接収不動産に関する小委員及び当該小委員長の補欠として従前通り田嶋好文君を御指名いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/2
-
003・小林錡
○小林委員長 それでは刑法等の一部を改正する法律案を議題とし質疑を続行いたします。猪俣浩三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/3
-
004・猪俣浩三
○猪俣委員 法制局長の長官は今おられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/4
-
005・小林錡
○小林委員長 法制局長官はちよつとさしつかえがあるので第二部長の野木政府委員が出ております。それから犬養法務大臣はきよう病気で出られぬということでありますから御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/5
-
006・猪俣浩三
○猪俣委員 野木政府委員にお尋ねいたします。今回当委員会へ提案されておりまするところの刑法等の一部を改正する法律案、これは四条から成つておりますが、どうもわれわれはこういうふうな法案の構成になれておらぬ。第一条では刑法の改正をやり、第二条では刑事訴訟法の改正をやり、第三条では犯罪者予防更生法の改正をやり、第四条では更生緊急保護法の改正をやる、一体こういうふうな立案のやり方がいいのであるか悪いのであるか、いいとすれば一体どういう便宜があるというのであるか、われわれ今までの六法になれております者から見ると何かはなはだ不便なのです。刑法等の一部を改正する法律案と称しながら、しかも一条から四条までしかないという法案でありながら非常に長い文句になつている、この立案の構成をいたしましたる趣旨について御説明を承りたい。こういうようなことは将来法制局の方針だということになりますと、これはまたわれわれも考えなければならぬと思うのです。これは条文を引くにいたしましても、将来これが法律になつて六法全書の中に編纂されましたときにおきましても非常に引きにくいと思うのです。そこでそれらの点につきまして御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/6
-
007・野木新一
○野木政府委員 御指摘の点につきましてお答え申し上げます。
まず第一に刑法等の一部を改正する法律という題名のもとにおきまして、実質的には四つの法律の一部改正を行つておるわけでありますが、こういう立法形式はどういうものであろうか。非常に見にくくはないか、ことに将来大法全書などに入れた場合に非常に引用したりする際に不便ではないかというような御質問の趣旨と存じますが、内閣の法制局といたしましては従来ともこの種の形をとつて来た例がたくさんございます。当法務委員会にかかつた例も若干あると思いますが、どちらかといえば割合少かつたのではないかと思います。どういう場合にこういう形をとつて来たかと申しますと、その一つは各種の法律の一部を改正する場合におきましてそれに関連しておるわけであります。そしてばらばらの法律案で御審議を仰ぎますと、あるものは成立しあるものは不成立に終つて実施上非常に困るということが生じ得る可能性があります。今何の場合でしたかはつきり記憶しませんが、実例でそういつた場合がありまして非常に困ることがあるわけであります。それで実質的に関連し施行期も同じものにつきましては、その一番中心となるものを題名に掲げてありまして、次には一見こういうものはどういううちに入るかという意味において目次に掲げて、その内容を明らかにいたしましてやつた方がいいじやないかということから、こういう形式をとつているわけであります。中には刑法等の一部を改正する法律、あるいは刑事訴訟法という二つぐらいの名前を掲げた例もございまするが、それは二つの法律が同等のウエートを持つているというような場合が多かつたと記憶しております。また中には他の法律の一部改正が非常に形式的でウエートが極端に小さいものにつきましては、たとえばこれで申しますと刑法の一部を改正する法律案につきましては他のものを附則に持つて来て一部改正するというような形式もあるわけであります。そういうものは非常に字句の修正に類するもの、非常に軽微なものにつきましてはそれで改正する、そういうこともやつているわけであります。本案を見ますると何といつても刑法は六法の一つである、基本法典である、刑法というものの改正が実質的にも一番大きいものでありまして、従つて刑法の一部改正法律案を先に出しまして、題名を刑法等の一部を改正する法律案としました。刑事訴訟法の改正はどちらかというとあるいはこれだけを見ますると手続的のものでありまして、場合によつては附則という問題も見方によつては生じ得るのでありますが、何分刑事訴訟法という基本的法典の改正でありますから、これも第二条として附則に落さないで別条にしたわけであります。第三条の犯罪者予防更生法の一部改正、これは事柄が実質的に見ますると保護観察の方法実体をきめているものでありますから、これはやはり附則に持つて行くのはどうかというので第三条に起しているのであります。今申し上げましたように、この法案におきまして四つの単行の改正法案にしないで一つの法律案にまとめましたものは、刑法を中心としてその実質が関連し、施行期も同一時日でありまして、一つが成立し一つが不成立になるということが万一ありますと非常に困る場合が生じますので、また他面この案のような形に対しまして目次にはつきり出しておりますれば、この法律があまり注意を喚起しないうちに可決になつてしまう、そういう心配はないだろう、そういうことでむしろこういう種類のものにおきましては一つにまとめた方が取扱いが便宜であろうという観点でこういうふうにいたしたわけであります。
なおこれが成立したあかつきにおきまして、法典等に組み込む場合に非常に困るじやないかという御議論の点につきましては、たとえば第一条の刑法につきまして申し上げますれば、刑法の一部を改正するという点におきましてこの条文は刑法の中に織り込んでしまう。刑事訴訟法についてもしかり、犯罪者予防更生法もしかりということになりまして、各個々の法律の一部改正をした場合において、その一部改正が成立のあかつきには本法に溶け込むというのと大体同じようなことになりまして、そこで検索するという点から申しますれば、たとえば刑法において引く場合には、刑法の第二十五条第二号、あるいは第二十六条二というように簡単に引けますので、御指摘のような心配の点はないのではないかと存ずる次第であります。以上簡単ながらお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/7
-
008・猪俣浩三
○猪俣委員 これは齋藤局長に伺うことになるかもしれませんが、一体これは第一条の何項ということになるのですか。第一条の二項ですか。第二十五条ノニは、「前条第一項ノ場合ニ於テハ猶予ノ期間中保護観察二付ズルコトヲ得前条第二項ノ場合二於テハ猶予ノ期間中保護観察二付ス保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」こうなつておるのであります。この「別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」というこの法律が、第三条の犯罪者予防更正法の一部改正である、こういうことになるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/8
-
009・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 この案におきましては「別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム」こういうことになつておりまして、この保護観察の実際といいますか、機構なり内容につきましては、第三十三条の第四号の改正によりまして、「刑法第二十五条ノニ第一項の規定により保護観察に付された者」をこの法律によつて保護観察に付するのだ。つまりこの法案では犯罪者予防更生法の規定によつて、刑法第二十五条ノニにより保護観察に付せられた者が保護観察を実施される、こういうことに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/9
-
010・猪俣浩三
○猪俣委員 その辺がはなはだややこしいのです。それは役人には非常に便利かもしれないが、急がしい者から見ますとこの第二十五条ノニを見て、「保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」とあるから、何か保護観察法というふうなものがあるのだろうと思つて、ひつぱり出すだろうと思うのです。何ゆえに第三条なら第三条というように、「保護観察二付テハ第三条二之ヲ定ム」というぐあいにやらないで、「別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」こうやるのですか。その辺がわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/10
-
011・野木新一
○野木政府委員 その点につきましては法制局でお答えすべきですが、便宜私からお答え申し上げます。
もし御意見のように「保護観察二付テハ第三条二之ヲ定ム」というふうにいたしますと、この法律が制定しまして施行されますと、この部分は刑法に溶け込みますので、今の刑法第二十五条ノニというところに入りまして、何か刑法の第三条できめるというふうな形になりますので、非常に技術的になります。そこで非常にわかりにくい点もあるとは存じますが、技術的にはやはり「保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」というようにしておかないとぐあいが悪くなるのでございます。
なお「保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」というのはわかりにくいから、犯罪者予防更生法できめて行くならば、「別二犯罪者予防更生法ヲ以テ之ヲ定ム」とか、あるいは「定メル所二依ル」としたら、どうかという御意見もおありかとも存じますが、その点につきましては御承知のように刑法は非常に簡潔にできておりまして、他の法律の名前を引いているような点もありませんので、刑法に盛り込むという意味におきましては、「別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」としておく方が、刑法の構成上体裁がよいという観点からそのようにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/11
-
012・猪俣浩三
○猪俣委員 どうも納得が行きません。「保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」としながら、同じ法律案の中にその別な法律が出て来ておるではありませんか。そうすると、この改正する法律と何か別な法律があるように見える。刑法等の一部を改正する法律案の第一条第二項に、保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」としておいて、それが同じ法律の第三条に書いてあるというようなことは、どう考えても異様だと思うのです。これは「保護観察二付テハ本法ノ第三条ヲ以テ之ヲ定ム」とやれば明らかになることじやないですか。何もこれは別な法律じやない。本法によつて定めているわけではありませんか。その辺がちよつと理解ができない。
またこういうやり方は、一体ほかにありますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/12
-
013・野木新一
○野木政府委員 御説の点は一応ごもつともと存じますが、今までの日本の立法技術上におきましては、一部改正につきましては、一部改正法が成立、施行になりますと、それは本法に溶け込んで本法の中に織り込んでしまうというような実際の考え方になつておるわけであります。
またこういう形において、「別ノ法律ヲ以テ之ヲ定ム」という例は、ちよつとただちには思いつきませんが、調査いたしたならばおそらく前例もあると思います。ただ趣旨は、今申しましたようにこれは溶け込んでしまいますから、「第三条デ」といたしますと、非常に変な結果になるということから、まず立法技術から申しますと、むしろここで「別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」とやる。あるいは刑法の今までの形式を無視すれば、「犯罪者予防更生法ノ定ムル所二依ル」せいそれぞれくらいしかできないのではないかと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/13
-
014・猪俣浩三
○猪俣委員 野木政府委員は博学の士であることは知つておるのですが、その野木政府委員がちよつと思い当らぬと言うに至つては、そういう例はほとんどないのではないか。「別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」としながら、その別な法律が同じ法律の第三条であるなんて、そういう立法の仕方はおそらくないと思う。こういうふうな例を開かれると、今後立法について非常な混乱を来してしまう。それでお尋ねしたのですが、これはあなた方がお調べくださればわかると思いますが、おそらくないと思う。またこんなことは不合理だと思う。あなたは第三条だとかいえば刑法の本法と間違いを起しやすいとおつしやるのですけれども、この方がよつぽど間違いを起しやすい。すなおに受取つてこらんなさい。「保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」とやつてあるが、これはどこかに別な法律があると思うのは当然なことです。ところが、何ぞ知らん、同じ法律案の第三条にちやんと書いてあるというようなことは、これは手品師がやるようなことで、どうもぼくらは不可解だと思うのです。そこで、これは議論になりますのでその点にとどめておきますが、こういう立法のやり方は私どもは不賛成であるという意見だけを申し上げておきます。
それからなお、今度は齋藤局長にお尋ねいたしますが、ただいま問題になりました「保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」これはわれわれのように素朴に考えた方がほんとうにいいんで、一体当局も初めはそういう頭であつたのではないかと思うのですが、お急ぎになつたのでちよつちよつと第三条にくつつけたのではないかというふうに、悪くとればとれるのです。そこでこれを通してくれ、賛成だということになれば、立案者というか、提案者の側は非常に便利だと思うのです。もうすべてのことがそれで通つてしまう。しかしそれでははなはだおざなりじやないかと思うのです。一体刑務所で刑罰を受けて仮釈放になつた者、それから新たなる観点のもとに執行猶予をしておる者――今までなら監獄に服役させる者であるが、これを家庭に置いていわゆる社会教育によつて彼に社会性を与えようという試み、これは考えようによつてわが国の刑事政策上エポツク・メーキングの法案だと私は思うのであります。重大な法案である。あなた方のやり方というものははなはだ間に合せなんです。私はその意味においてこの質問をしておるのです。これはあなた方の御趣旨がわからぬわけではないが、あまりに事を安直に考え過ぎて、あつちの法律、こつちの法律と寄せ集めてちやかちやかとでつち上げてしまおうという考え方が間違いである。少年に対する保護観察と、仮釈放者に対する保護観察とが同一でいいという何か根拠があつたらお示しを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/14
-
015・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 犯罪者予防更生法は、御指摘のように家庭裁判所から保護処分にまわされて、保護観察にまわされた少年が実際のケースで一番多い、その次が仮出獄の少年、次には仮退院の少年、その次には十八才未満で体刑について執行猶予を受けた少年の保護観察をいたす根本規定でございます。御指摘のように少年及び仮出獄者というものに対する保護観察でございまして、ただこの二条におきまして保護観察ということ自体がいわゆるケース・ワークであつて、その人がその場所場所において最も必要なことを相当の限度においてなすのである。決して画一、形式的にわたつてはいけないという規定がございまして、一応これによつてまかない得るものではないかというふうに考えて立案をいたしたのでございますが、いろいろと御意見、御注意もございまして、この点につきましては、今後この法案が通つた場合におきましては、急速に最も適切な立法措置をつくつてまた御審議をお願いいたしたい、かように現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/15
-
016・猪俣浩三
○猪俣委員 近時世界の大勢は、裏づけのない刑事政策というものは無意味であるという意味合いで、野放図もない保釈は国家が無責任だというような論拠がありまして、私どももこの世界の学説、実際の面につきましてやはり深い考慮を払うべき必要があり、保護観察制度それ自体に私どもは反対するものではございません。但しこれをつくる以上は、いわゆる近代の感覚に基いた刑事政策に立脚いたしました最も優秀なものをつくりたい、そうしてそれをして社会的機能を十二分に果させたい、これは日本のごとく社会保障制度が不完全であつて、それから来る犯罪が多数を占めておりますような国家におきましては、なおさら少くとも刑罰を犯したような者だけについてもこの社会保障制度の精神までも加味しました意味におきまして、この保護観察は新たなる観点から考えていただきたい。これは悪いことをしたやつだからまた悪いことをするかしないかを監視するというようなものでなしに、彼がいかに生きて行くべきか。彼の生きることについての経済的、精神的な方向を与えてやるという意味において、一人でも反社会性の者をこの社会から減らして行くという重大な働きであります。最も光輝のある政策だと考える。その意味においてこの保護観察制度について十二分なる価値を認めますがゆえに、なお完全なものに仕上げたい。それにしてはあまりおざなり過ぎる、これはやはり「保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」この条文を生かしまして、完全なる保護観察、あるいは場合によりましては犯罪者予防更生法も時代の進展に基きまして、今までの実績に徴しまして多々かえるところがあるのではないかとも考えられますが、新しい一つの試みでありまする一般の成人に対しまして、執行猶予のかわりに保護観察に付するというこの画期的な事情に対しまして、もう少し科学的にして、もつと合理的なる制度をお考えいただいて、われわれもまたそれに対する知識を十分吸収いたしまして、官民一致して完全なるものをつくりたいと私どもさように考えるのであります。その意味におきましてこの提案に反対でございませんが、どうもこの法律案の提出の模様から見ましても、私どもが考える以上に皆さんの方が急ぎ過ぎると申しますか、軽くこれを考えて運んでおられるのではないかと実は心配するのであります。
そこで私はお尋ねいたしたいことは、この保護観察制度は決して反対ではありませんが、より完備をするために保護観察法というような、それこそ別に法律をもつて定むるというこの条文通りに別におつくりになる意思がありやいなや、それをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/16
-
017・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 犯罪者予防更生法が施行になりまして、ちようどこの七月で四年を経過いたしました。その間明治の相当古い時代からあつた司法保護の更新といいますか、そういうような基盤のもとに新しい保護観察制度を運用いたして参りまして、その際には特に思想犯保護観察あるいは検察監視的なものになつてはならない。あくまでも社会福祉のために、社会奉仕の念でやつて行くのだという精神のもとにいたして参りました。ある程度成績をあげたのではないかと思つております。
ただこの執行猶予の問題につきましては、現在一年間に一万人くらいの人が、二度目の犯罪なるがゆえにいかなる軽微な犯罪であつても、刑の場合に実刑になり、しかも執行猶予を取消されることになつている。初度目の場合でございましても、急速に調査をいたしまして、全国の統計はございませんですが、全国のおもなる初犯の人を調べてみますと、刑期三年以下で入つている人が八千人あれば、三年以上が千人という数でございまして、そのうちには執行猶予中の人もおりますが、刑期も短い、犯した罪も大して悪くないが、いかにも保護者がない、監督者がない、何回検察庁で起訴猶予にしてもまたすぐにやつて来る、こういうような者については、裁判所においてやむを得ず実刑を科しておられる人があるのではないか、さようなために相当多数の人が刑務所に入つて前科者として出て来る。そして私どもの方において従来仮出獄者の世話をいたしておりますが、一ぺん刑務所に入つた人は、刑務所に入る前に世話をするのと違いまして、労多くしてその割に効果があがらない。どうせその程度のものならば、一度最初に保護観察にまわして、その結果によつて初めて刑務所に入れるというような制度を考えるべきではないか。現実に毎日かような人がたくさん起つておりますので、私どもといたしましては、一日も早くかような制度を実施したい、と同時に今猪俣委員の仰せの通り、この制度にまつたく適合した新しい感覚の法律をつくりたいと存じておりまして、先ほど申し上げましたように、もしこの法案が成立になりましたあかつきにおきましては、さような立法につきまして、また現在の保護観察がわずか四年でございまして、予算その他においても決して十分とは申し上げられませんので、かような点については努力をいたしたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/17
-
018・猪俣浩三
○猪俣委員 齋藤局長の御熱意には敬服しておるのでありますが、不完全なものをつくりますと、なかなか改正に骨が折れる。ことに保護観察制度は、先ほども申しましたような画期的なもので、私ども賛意を表する制度でございますけれども、制度の運用は人にあり、その人を得ざれば、これまた非常な悪作用を起します。名誉職の方々が当られて、今までそれほど弊害がなかつた、これはけつこうなことでありまするが、人数がふえればさような名誉職ばかりではいかぬのみならず、大体何らの手当なしにまつたくの名誉職でこういう事業をやらせるということ自体に問題があるのであります。そこで私どもは、人数をもつとふやしていただきたいし、相当の予算をとつてこの制度を完璧に動かしてもらいたい。その意味におきましても、第一に予算措置をしなければならぬ。不完全なものを不完全な形において実施いたしまして弊害を来して、その弊害に懲りて大切な制度が今度はだめになつてしまうということは、過去においてもいろいろあつたことであります。そこでこの新しき保護観察制度、この文化的な価値の多いこの制度をして、有終の美あらしめるためには、用意周到にかかりまして、予算措置もし、法律も完全なものにし、そうしてこれを実施していただきたい。こういう意味におきまして、保護観察法なるものができた後にこの法律を提案されるか、あるいはこの第二条以下あるいは第三条以下はこの際切り離して、保護観察に付するというこの原則だけここで確立して、そうして予算措置をなさつて、次に保護観察法なるものができ、両々相まつてここに完全なものが実施される。臨時国会が召集されるといたしますればその間一箇月か二箇月の間だと思う。その間公聴会か何かを開いて、われわれも十二分に知識を得たいのでありますし、これは局長といたしましては、どうしてもこれをこのまま通したいという御意向でありますか、あるいは大臣とも相談されまして、次の国会に完全なものを提案してもいいというお考えでありますか、それを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/18
-
019・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 率直に申し上げます。実はこの制度につきましては、犯罪者予防更正法が実施以来私どもが念願しておつた制度でございます。しかしいろいろな根本的な問題でございますので、昭和二十五年の秋に法制審議会に当時の大橋法務総裁から諮問をしていただきまして、そうして特別部会、小委員会におきまして在朝在野の法曹、学識経験者、その他が非常に熱心に御討議になりまして、いろいろこの制度については、非常にいい案である。そうして理想的なことを考えるならば宣告猶予まで行かなければならぬ制度である。しかし急速にこの制度をさようなところまで持つて行つて初めて実施するというのは非常に困難もあろう。従つて漸進的にやつて行つたらどうかということで、二十六年五月九日と存じておりまするが、法制審議会からこの制度を実施すべきである。刑罰の執行にかえてなるべく保護観察をやつて行くのが刑事政策のほんとうの行き方である、こういうような趣旨で御答申がありまして、二十六年の暮れに予算折衝をいたしまして、なかなかその当時の財政が困難のために、遂に予算をとることができませんで、まことに微力でおはずかしい次第でございまするが、そのために国会に法律案だけでも出して御審議をいただいて、その上でまた予算をとるような方法を講じたいと思いまして、折衝いたしましたが、予算の裏づけのない法案を出すということについては、内閣として、主として大蔵省でございますが、認めがたいというのでとうとう二十六年の暮れ、二十七年の国会に出すことができませんで、一年間涙をのんで忍びまして、そうして昨年秋の予算折衝で本昭和二十八年度予算におきまして、まず話だけを聞けば大体妥当のようであるから、まあひとつある程度やりなさいということで、九十三名の保護観察官が、これは刑務所の方から出るということで、刑務所の方から定員を組みかえになりまして、若干の保護観察に関する費用の予算をもらいまして、初めてこの国会に――解散前の国会に提案した次第でございまするが、初めて法案として出て来たような次第でございまして、私どもとしてはこの制度に過去四年間従事して、ほんとうに手銭手弁当でやつておられる全国の保護司の熱望でもございますので、一応この案をお認めを願いまして、そして今後の発展のためにさらにいい法案を立案をいたしたい、かように存じておる次第でございます。この犯罪者予防更正法につきましては、かねがね私どもこの成立が、占領下においてできた法律でございますし、私どもの考え方からすれば仮出獄者といえどもまた家庭裁判所から来た少年といえども、ほんとうに適切な保護観察をいたしたい、かように存じております。根本的に犯罪者予防更正法の改正を考えたい。そしてそのときに執行猶予者の問題も解決したい。こういうふうに考えて立案いたした次第でございますから、本委員会の御意見もございますので、この法案が通りましたあかつきにおきましては、急速に執行猶予についての適当な保護観察に関する立法を研究いたしたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/19
-
020・猪俣浩三
○猪俣委員 今政府委員も申されたように、この保護観察、犯罪者予防更生法それ自体が完全じやないとお認めになつておる。そして保護観察なるものはわが国においては重大な意義のあるものである。そういう重大な制度の発足にあたりまして、不完全だと考えられるような犯罪者予防更生法を持つて来るということは、一見私どもは矛盾だと考える。この犯罪者予防更生法を見ますと、その第三十四条に保護観察の目的及び遵守すべき事項なるものがありますが、これは少年にはあるいは適当かも存じませんけれども、一般の成人に対しましてははなはだ不適当な規定であるのみならず、有害な作用もするのじやないか。一定の住居に居住し生業に従事するということはよろしゆうございましようが、「善行を保持すること。」小さい子供には悪いことをするなよと言うことはいいかもしれぬが、成人に対して善行を保持するということは一体どういうことなんだ、「犯罪性のある者又は素行不良の者と交際しないこと。」そうすると選挙に今まで熱心のような者は結局これは不良と見るのか。あるいは選挙違反を一度でもやつた者は不良と見るのか。まあ福永君の選挙違反なんて市会議員の大半がひつかかつたというのですが、そうすると市会議員連中はみんな不良ということになるのか、そうするとそういう者とは市会議員であつても交際できないということになると、商人その他については税金のことだ何だかんだで、いろいろ市会議員には相談に行くのですが、そんなやつはみんな不良の者と交際したということになりますおそれがある。あるいは「住居を転じ、又は長期の旅行をする」、商人なんて仕入れのために相当の期間旅行することがある。ことに日中貿易でも盛んになりますれば、北京やその他香港あたりへ行つて来なければならぬ、そういうような場合に一々やはり許可をとる、そうすると商法の機密までも暴露するようなことに相なるというようなことがありまして、一般の社会生活の中に溶け込んでおりまする正業を持つておる一般人に対しまして、少年だけに対して用いました遵守事項をそのまま遵守させる、それを遵守しなければ取消してしまうというようなことは、はなはだ合理性を欠いていると考える。あなたのおつしやるような目的を達する意味におきましては、根本的にこの保護観察法なるものを別な観点から、フレッシユな態度からきめてかからぬと、いつまでも監獄から仮釈放された者は不良少年などと同じ頭で、取締る保護司だつて同じ人間がやるというようなことになりますと、せつかくの意義あるこの制度が出発にあたつて虫ばまれるおそれがある。さればその制度が意義あるものでありますならば出発から最善を尽していいものをつくつて、そうしてますますそれを発展せしめる、それには予算も必要であります。これが通つてしまつたらやつぱり大蔵省なんというものはなかなかがんこでよくわからない。私はよくこれは経験がある。そこでもうあれでいいんじやないかというようなことになつてしまう。そこで私はどうせ補正予算なんというのが臨時国会なり通常国会に出るでございましようが、そういう場合におきまして、もう少し大きな規模の予算をとるように、あなた方も努力し、われわれも努力して、そうしてこの制度をほんとうに意義ある制度として打出したい。それには私どもの方においても審議の準備が少し足りませんし、皆さんもこの法案の出し方を見ると、どうもおざなりな点がある。これはお互いに反省をいたしまして出直したいと考えるのですがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/20
-
021・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 ただいま御指摘の一般遵守事項は、なるほどいろいろな事例を考えますると、少しく行き過ぎといいまするか、少しきゆうくつに過ぎるというふうな感じがあるかと存じます。ただこれは本人が通常の健全な社会人になるために守るべき事項としてこれを目標に指導をして行く、また保護を加えて行く、こういう趣旨でございます。これに違反したらすぐ取消しをするというのではないのでございます。また取消しの実例等につきまして若干調査いたしましたところでは、多くはヒロポンその他の麻酔剤的なものを使いまして、そうして家人に暴行を加えるあるいは家のものを持ち出すとかいうふうな、他人様に迷惑をかける一歩手前まで来ておる者に対して、遵守事項違反として取消しておるというような実情でございます。従いましてこの審議をいただいておりまする執行猶予者についての取消しにおきましても同様、取消しをすることを得というので、得というだけにいたしまして、単なる形式的な点について遵守事項に違反したことだけで取消すようなことは、運用によつて避けなければならない、かように考えております。
最後にお述べになりました完全なる制度をもつて新たに大きな足をもつて出発すべきではないか、まことにそういうふうにも考えられますが、私どもといたしましては、現在毎日々々刑務所にかような現在の制度によつて入つておる人が相当多いのでございまして、またこの犯罪者予防更生法にいたしましても、一年間に刑務所から出る五万人の八割程度は仮出獄いたして、そうして社会の健全な人に返すように努力いたしておるのでございまして、一応この制度で出発をして、そうして急速に改正を考える、こういう行き方で行きたいという考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/21
-
022・猪俣浩三
○猪俣委員 最後に申し上げますが、これは齋藤局長も御存じの通り、この保護観察なるものは、あなたの申される通りたびたび当法務委員会に出て、そのたびにこれをつぶされて来たのです。何がゆえにであるかということを反省なさらなければいけない、それは今までの保護観察制度が不完全なものである、どうもその衝に当る人間も不適当な人間である、制度が不完全であつて、その制度を運用する人もあまり感心できない人物もある、それにまた経費が足りないので十分な活動ができない、結局あれは犯罪者だというひもをつけるだけで、改過遷善にどれだけの効果があるか、長所よりも短所が多くなるのじやないかというので、実は当法務委員会ではあなた方の御熱意にかかわらずそれに賛成しないで今日に至つた。そこであなた方がお考えになつて、今度は保護観察制度のもとに執行猶予の範囲を拡げるように持つて来られた。非常に巧妙なやり方であるが、どうも私どもはそこに何か作為のあることが見られるので、取引の観念が出て来る。保護観察制度をつくりたいという熱意の方が先だつて、それには数回この法務委員会の議にかけても、うまく通らぬ。そこで当局は今度は執行猶予の範囲を拡げるようなことをぶら下げて来て、それと取引しようというような頭でおありでなかつたか。これは齋藤局長に対してはなはだ失礼な言でありまして、あなたの誠意を疑うようなことになりますが、どうも役人というものは功を急ぐあまり、ややもすればそういう傾向を見せる。今まで再度保護観察制度が出て来ておりますが、そのたびにつぶされて来ておる。今度は執行猶予の制度を緩和することと振合いに出て来ておる。それがこの法案の体裁にも出て来ておる。刑法の一部改正法律案と、犯罪者予防更生法の一部改正案を、一、二、三というように組み込んで、これを一つの法律として出して来られた。そういうやり方からも私どもはあなた方の真意がどこにあるかという疑いが出て来るのであります。そこで今までわれわれも虫のせいや勘のせいで反対して来たのじやないのであります。反対するには反対する根拠があつて反対して来た。そこで根本的保護観察の法を、新たなる思想のもとに、あらたなる技術のもとにこれを出していただくなら、われわれは反対をいたしません。ただ同じような犯罪者予防更生法なんというものを持ち出して来て、ただ少しばかり執行猶予制度を緩和することによつてこれを通そうというお考えは間違つているのではないか。そういうふうに法務委員会の過去に振り返つてみますと、私どもは疑いが出て来るのであります。そうでありますからいろいろな意味におきまして、私はもう一ぺん出直された方がいいように思いまするが、あなたはあなたの立場でありまするので、これは私の意見だけを申し上げておいて、私の質問はこれで打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/22
-
023・花村四郎
○花村委員 私は猪俣委員の御主張とは多少異なるのでありまするが、本案がよつて提出せられた道筋、理由については、局長から詳細なお話があつたのでありますが、われわれといたしましてもまことにけつこうな案であり、かくのごとき法案は議員立法として当然ではなかろうかとすら考えられるだけに、よくも法務省でこういう案を出したものだということで、私どもは満腔の敬意を表するにやぶさかならざるものであります。さように申し上げるだけに、まことに機宜に適したりつばな法案であると考えますと同時に、この法案の実施によつていかに多くの人が救われるであろうかということを考える場合において、私どもは一日もすみやかにその実施を希求してやまざる一人でございます。しかしながら翻つて考えてみまするのに、この執行猶予の制度に保護観察を付するということが加わつておるのでありまするが、これもこういう制度をしく上から見て、またやむを得ざるものであるとは思うのでありまするけれども、しかしその保護観察なるものの施行がよいか悪いかによつて、本法は実施に関するその価値を高むるか、弱むるかという問題に結びつくものである、この私は断言してもはばからぬのであります。かく考えて参りますると、保護観察の制度というものがすこぶるむずかしいと同時に、この制度に対してこそ万全の構えをもつて、そうしてよりよき制度をつくるということが望ましいことであります。けだし執行猶予は申すまでもなく執行すべきものを猶予するということでありまするけれども、もしそれの保護観察の制度が悪かりせば、むしろ執行を受くるよりもより以上の被告に対するぬぐうべからざる汚点と申しまするか、あるいは不幸と申しまするか、むしろ刑の執行を受くる方がよろしいというような場合もやはりそこに出て来るであろうことを想像するにかたくないと申し上げてよろしいと思う。こういう意味において、保護観察制度に関する猪俣委員の主張は大いに傾聴に値するものがあると私は思うけれども、しかしこの保護観察制度に関する観点がりつぱにできておらないからというて、この法案の実施を遅らしていいかどうかという問題になりますと、私は猪俣委員の考えとは違う。たといそれがただいまの案が保護観察制度として著しく不備なものであるかどうかは別問題といたしまして、もしこの法案に不備なものありと仮定いたしましたら、当然救われる運命に置かれておる多くの人々から言いまするならば、こういう制度はやはり一日も早く実施してもらつて、そうしてもしそれ観察制度において不備ありとするならば、その不備を一日もすみやかに補つてもらうという方向に進むことがむしろ大衆の望むところである、こう申し上げてよろしいと私は思うのであります。こういう意味において、私が前提に述べたこの法案の実施をすみやかに希求するというゆえんもまたここにあると申し上げてよろしいと思うのであります。
そこで私が質問をいたしますることは、この保護観察制度でございます。もちろんこの犯罪者予防更生法の三条には、仮出獄で出て来た人あるいは少年の犯罪者に対する保護観察の制度が盛られておるのでありまするが、しかし刑の執行を受けて仮出獄で出て来た人に対する保護観察あるいはまた少年として犯罪を犯した者に対する保護観察の考え方と、しかも本法の執行猶予を実施するがためにその人に対して行うところの保護観察制度の考え方、これはもちろん言うまでもなくその観念も立場もまた立法の精神もおのずから異なつておりまするだけに、その保護観察制度もやはり異なつて行かなければならぬことは当然過ぎるほど当然であると申し上げてよろしいと思う。しかもこの執行猶予の人々に対する保護観察は、言うまでもなく刑の執行を受けしめずして執行猶予の恩典に浴せしめるということは、その犯罪者の自発的な気持によつて、あるいはまたその習俗等の考えによつて、その執行猶予の恩典に浴した犯罪者の個性なりあるいは環境なりを、再び犯罪を犯さぬように是正して行くという面に力を注いで行かなければならぬこともこれまた明らかであります。従いましてこういう被告の気持をつまり発奮させて、そうして自分の進むべき道をよりよくたどつて行くという方向に進ましむる保護観察制度、これはもちろん指導的のものであらねばならないと思うのでありますけれども、この執行猶予の人々に対する法務省の保護観察制度というものは一体いかなるものであるか、その制度の詳細をひとつここで御説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/23
-
024・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 今日まで四年間他の種類の対象者についても保護観察をいたして参りました。その大きな方針といたしましては、少年につきましては家庭にいろいろ問題の多いことがございます。その家庭の問題を解消してやるということがまず第一でございます。次には、少年については本人の教育的な面を十分考えて行く、また学校の問題におきましても、家庭裁判所に呼ばれたというようなことのために学校を退学させられておる少年が非常に多うございますので、そういつた場合に復校をはかる、あるいは他の学校に入学させる、こういうようなことまでお世話をするというふうな、教育面あるいは家庭面に重点を置いて参りました。それから成人につきましては、仮出獄者の場合でございますが、刑務所に入つておるうちにできるだけ家庭の問題を解消してやる。また家庭を励ましてやる。仮出獄者の通例といたしまして、家庭が非常に悲惨な場合が多い。またそのために犯罪をしたという人も多いために、保護司、観察官はその家庭に激励と家庭の問題の解消に努める、そうして仮出獄になつた場合にはできるだけ気持よく迎えてやつて、そうしてできるだけ就職を考えてやる、こういうようなことでございました。今回の執行猶予になつた人の保護観察については、実際にいろいろなケースを当つてみないと詳細な、的確なことは申し上げかねまするが、多くの場合まず私は根本的に言いまして、保護観察というものは一種の薬でございまして、本人が必要ないという人にはつけるとかえつて悪いという場合も多いと思います。ほんとうに必要のある場合に受ける。また本人もそれに同意し、進んで受けようという気持があつた場合に初めて保護観察は効果を発するのでございまして、さような意味で裁判所において十分必要のある人に保護観察をつけ、不必要な人にはつけてもらいたくない。これが保護観察を担当する面として考えておる点でございます。そうして執行猶予につきまして、保護観察に付せられるという場合には、しつかりした家庭がない、あるいはしつかりした保護者がない、あるいは生計上の基礎を持つていない、ちやんとした職を持つていない、こういうような場合が、第一回の場合においてはおそらく多かろうと存じます。従いましてそれらの家庭の問題、あるいは就職問題、そういう問題が執行猶予者につきましては一番大きな問題になつて来るのではなかろうか、かように現在考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/24
-
025・林信雄
○林(信)委員 保護観察制度の問題を御提唱になつたその理想面においては、ただいまの花村委員なり猪俣委員なりも必ずしも反対じやないと思うのです。実際面が非常に問題だと思う。実際面になつて参りますと、その人を得るか得ないかということが問題になつて来る。人を得る、得ないにつきましては、その人の待遇の問題、その他の施設関係になつて来る。従つて予算の措置があらかじめ考慮せられておるとおつしやる。これはまた当然であると思うのですけれども、由来、こういつてはどうかと思いますが、法務省関係はさような点については熱意はおありなのですけれども、結果において必ずしも成功ばかりじやなかつたように思う。なかんずく二十八年度の予算の成行きを眺めてみますと、行政費の面において大きく削減せられておる。法務省関係において、あるいは私の記憶違いかもしれませんが、六億五千万円。これは決して少い数字ではないと思う。そういう一応の衆議院の修正の関係から、その削減せられた予算の面におきまして、一種の補正予算ですか、補正的な処置がなされておるのだろうと思うのですが、そういうときに保護観察というものがただちに影響を受けているのではないかと思う。新たに予定せられましたる予算の関係におきまして、これは大丈夫なのですか。そこのところをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/25
-
026・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 私ども大蔵省と折衝いたします際には――これは前の国会に提案をいたした次第でございますが、七月から発足させるという予定で予算を組みました際には、年間においてこの刑務所に行かないで済むような人が大体二万人くらいあるのではないかと考えまして、それを月割にいたしましてそれに要する費用を要求したわけでございます。おつしやる通り私どもまことに微力でございまして、一生懸命にやつておるつもりではございますが、要求した通りにはとうていもらつていないのでございます。しかし一応のそれについての予算が通りまして、そのまま削減されないで二十八年度の予算に入つておりますので、最初に大分削られましたが、国会が解散等のために遅れたために、この法案が通りましても施行が遅くなり、月割にしてくれるということになりますので、本年度は現在の、大蔵省と折衝して国会にお願いをしております予算案でまかなえるものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/26
-
027・林信雄
○林(信)委員 ついでですから、一体幾らになるかその数字を伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/27
-
028・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 はなはだ不満足でございますが、増員その他を合せて二千五百万円であります。そのほか一般の保護観察としては、昨年度四億円で、今年度は六億幾らいうことに予算案ではなつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/28
-
029・花村四郎
○花村委員 ただいまの予算の問題ですが、一人を刑務所に入れておくといたしますと、年、あるいは一日というか、どの程度の費用をかけておりますか。
それからただいまの保護観察に関して、予算の面から見て大体一人当りどのくらい使おうという予算でありますか。それを比較対照して御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/29
-
030・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 少し古い統計になりまして恐縮に存じますが、二十六年度の予算案によりますと、刑務所に入つた場合に、作業収入として国庫に入つて来るものがございますからそれを抜きまして、刑務所の職員の人件費その他も含めたものを、常時刑務所に入つておる人の数で割りましたのが五万六千円ということに相なつております。少年院に入りました場合には同様に計算いたしまして、在院者一人について八万円というふうに相なつております。保護観察所の予算によりますと、保護観察対象者については約四千円ということに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/30
-
031・花村四郎
○花村委員 保護観察対象者が四千円ということでありますが、それでは著しく少きに失する。そこでこれは保護観察の費用を十分とられて、そうして最もよりよき保護観察をするということが望ましいことですから、また少くとも刑務所に入れておくよりはいいのですから、まず刑務所へ入れておく費用の半分ぐらいはかけるような予算をとらなければ、法務省の人は責任を重んじないとまでこれは言つていいと思う。ひとつそういう意気込みで、うんと予算をとつて使うようにしてください。そうすればりつぱな保護観察が必ずでき得て、本法案の効果をいやが上にも上げることができよう、私はこう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/31
-
032・小林錡
○小林委員長 井伊誠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/32
-
033・井伊誠一
○井伊委員 執行猶予の条件を緩和するに伴つて保護観察の制度を設置し、これをそういうふうに及ぼして行こう、今度の改正案の要点はそういうところにあると思いますが、この改正のねらいとするところはもとより双方にあると思いますけれども、この二つの制度をそこに相伴わしめて行くというところには、前に花村委員も述べられましたように、それは単純に執行猶予の条件を緩和するというだけのことで、これが賛意を表されても、あとの保護観察の制度が完全に行われないということになると、むしろ執行猶予を許す、そこには必ず今の保護観察をつける。あるいはつけることを得るというふうにいたしましても、それはかえつて前の執行猶予の条件緩和の趣旨というようなものを意味のないものにしてしまうおそれが十分にあると思います。猪俣委員の言つておられる趣意も、やはりそこにあると思うのです。この保護観察の制度そのものについては、これは新しい行き方であり、これに対しては、現に提出せられておる程度ではないのですけれども、その方向に対しては私は、これは大いにいい制度であると賛意を表するのであります。それだけに出発の、これを新設をいたします際におきましては、しつかりした、みなのこれでいいというようなものでなくては、あまり立法そのものがそそつかしくなるというおそれを感じておるものであります。この法案、保護観察の制度については、さきにも法務委員会に数回出たということでありますが、今度これを提出されるにあたつては、審議会ですか、非常にこれはいいのであるから、ぜひ出せというふうに大いに賛意を表されたというような話でありますが、それはどういうところに、どういうような条件においてそういう判断を下されたか、実際のところ今われわれが考えておつて非常に弱い不完全なような気がしておるわけです。これで大いにいいからやれというその根拠はどういうようなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/33
-
034・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 これと同種の案が、昭和二十三年の犯罪者予防更生法の中に、現行の執行猶予のわくをそのままにして、保護観察を裁判所が必要によつてつけるという案が出まして、それが法務委員会におきましていろいろと御意見がございまして、結局旧少年法による十八歳未満の執行猶予者について保護観察を行うということになつて、昭和二十四年の犯罪者予防更生法が成立いたしたわけであります。その後は別に同種の案を出しておりませんでございます。私どもにおきましても、ただいま御指摘の通りに他の保護観察におきましても、また執行猶予者の今度の法案におきましても、保護観察が正しい人によつて適切に行われるということが最も根本でございますので、過去四年間さような意味合いにおいて役人側はもちろん、民間の協力者の側におきましても、単なる名誉職ではなくして、ほんとうの困つておる人に対する一つの社会福祉のための奉仕の気持でやつていただきたい、またそれについてはただ勘だけではなくして、できるだけ本人の性格とか環境とか十分分析して、それに適合するような方法を用いるということを研究してもらいまして、原則として毎月一回全国の六百幾つかの保護区におきまして、数十名の保護司が集まつてお互いの担当している事件について批判し合い、またその地区の担当者が出張いたしまして、それについて連絡指導するというようなことをいたして、また各府県におきましても毎年大会を開いて、それについての研究ということに重点を置いてやつて来ている次第であります。決して十分とは申し上げませんけれども、今後ますますそういつた理想心向つて努力しなければならないと存じておりますが、決して現在では全然問題にならぬということではなくして、やはり一つの有効なる役割を果すように発達して来た、そういうことが法制審議会においてもお認めいただけまして、自由権に対する反省、人を刑務所に入れても、世間一般で考えるような改善というようなことからいうと、必ずしも十分でない、できるならば刑務所に入れる前に試験的に保護観察を加えるということを一ぺんやつた上において、初めて刑の執行を考えるべきじやないかというふうな考え方によつて、法制審議会においてこの制度を採用すべきだということの御答申があつたものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/34
-
035・井伊誠一
○井伊委員 保護観察の制度は、今までのところ少年についてわが国では経験しておるわけでありましようが、少年に対するところの保護観察の使命とするところのものは、これもおそらくは保護と指導の両面だろうと思うのであります。それを成年の犯罪について執行猶予を与える場合においてもこの保護観察を適用しようとする意味は、やはり保護と指導の両面だろうと思うのでありますが、ただ少年に対するところの保護、指導、こういうものは実は比較的条件が近寄つていると思うのです。かつそういう場合におきましては、まだ少年に対しては一つの指導ということも実際はなし得るし、また効果もあると思うのであります。また保護の場合におきましても、少年に対する保護というものは一つの教育、啓発というもののほかに、やはり上の方から指導して行く、積極的にこれを指導する、すなわちこれを保護というので、非常に高いところのものがあつて、それがやはり相まつて効果が上ると思うのでありまするが、成年の場合におきましては、なかなかそうは行かない。ことにそれが犯罪を犯して執行猶予を得るというような人々の場合を想像してみまして、これに対して一体指導を与えるということは、どういう人が一体これをよくし得るか。今日保護司として優秀な人を得ておるといたしましても、今のように制度を拡大いたしますれば、その保護司の範囲も拡げなければならぬのであります。それは少年たちに対する指導保護を与えるような人たちだけで済まされることではない。成年の社会に占めるところの地位は、これは非常に複雑多岐にわたつておりまして、知識も決して狭くも片寄つてもいないわけであります。そういうようなものに対するところの指導というものは非常に困難を来すと考えるのであります。大体今の民主主義の理念がこういうふうに一般に行き渡つておる場合におきましては、それが正しく理解されておるといなとにかかわらず、とにかく指導という面は困難を来すと考えるのであります。また指導の面から行きますと、少年に対する指導のごときは一種の教育でよろしいのでありますけれども、社会人が犯罪を犯す、そうして執行猶予になる、これに対するところの保護の面というものは、実は少年の場合におけるような局限されたものよりは、大体においていえば、経済的な面において思うにまかせない社会生活、その間から来るものが相当多きを占めるというようなことが考え得るわけであります。単にそういうものに関係がなくて、激情のゆえに事件ができて行つたというようなものについては、おそらくは執行猶予とともに非常な反省が大体認められる場合であろう、こう思われる。それに対するところの保護というようなものはあまりない。大体においてこういうことは経済面から来るものが多かろうと思う。そういうときの保護というものは、結局のところ少年の場合における保護の目標というようなものとはおよそ違つたところにあると考える。そうすると、これに対して実際上保護観察をいたしまして、保護を与えるという面になるならば、これは相当の経済的な施設を考えて、そうしてこれに対するところの自立の道を与えるようなことの方が活動の相当多きを占める部分ではないか、こういうふうに考えるのであります。そういたしますと、これは単に個人的な親切心だとか、こういう問題について非常な同情心を持つておるといつたような善良の人だけではとうていこれを処理することはできないと考える、そういたしますと、この問題は社会政策的な裏づけがどうしても必要なのでありまして、保護司の待遇を若干かえるとか、あるいは人数を増すとかなどでは及びもつかない問題に私はなつて来ると考えます。そういうことを考えますと、この表面に抽象的に指導と保護というものを目標にして、保護観察に付する、こういう制度を、今までの四年間の経験によつて、ただちに少年の域から、成年の犯罪を犯し執行猶予に付せられたものについてこれを適用して行こうという点について、少し飛躍し過ぎるのではないか、というのは、あえて制度というものの裏づけというものができておれば別であるけれども、そうでなくして、ただちにそれを制度としてやりましても、案はこんなことが一体できるだろうか、私は非常に趣旨はいいことであつて、賛成ではあるけれども、一番大切なのは、その保護観察という一つの制度が有力なものでなければ、これは意味をなさない。わが国にはこういうりつぱな制度をしくに至つたこういう表向きのことだけでは何も意味をなさない。おそらくはこういう制度があるそうだといつて、それらの人たちがもし保護司の力にたよろうと思つても、実は内容はこの通りでありましてどうすることもできないのです。といつたようなことであるならば、制度をきめたために、この制度がほんとうによい趣旨を持つていながら、かえつて非常な非難のもとになつて、信用を失つてしまうのではないかとさえおそれるのであります。この点から申しますと、これに対しては十分な御用意がなければならぬのでありますが、これに対して齋藤局長の御苦心でここまで持つて来られたと思うのですけれども、これに対して、政府はどれだけの熱意を持つておるのか、この社会保障制度と保護司との結びつき、それをこの保護観察のところにどういうふうにして結んで来るかということについての関連、それが非常に重大な点ですが、それに対してはどんなふうにこれを見ておられるかということをひとつお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/35
-
036・齋藤三郎
○齋藤(三)政府委員 井伊委員の仰せの通り、この保護観察制度はアメリカの本なんか見ましても、社会事業の年報の中に関係部面としてパロール、プロベーシヨンの名前で出ておるくらいでありまして、刑事政策とは申しながら、社会政策と緊密な最後の接触点でございまして、さような点でこの保護観察につきましては、地域の社会福祉協議会とか社会福祉事業審議会であるとかあるいは共同募金会あるいは職業安定所、生活保護法の関係とかいうものと緊密に連絡をとつております。そうして御指摘のように保護司が事件を担当して、多くの場合一番苦労をいたしますのは就職の問題でございます。この場合につきまして非常に苦労をいたされますので、現在どういうことをやつておるかといいますると、観察所におきましても、できるだけそういう対象者であつても男気を出して就職さしてやろうというような方をできるだけ――言葉は語弊がございますが、開拓をし、そうして大会でもありますれば、そういう方に表彰状を差上げるというようなこともいたし、それから保護司自身で、また私どものいろいろな機関で、観察所に予算上の措置はまだ講じておりませんが、保護司が就職をあつせんして、かりに不始末をいたした場合に、全額補償ということはできなくても、何らかの金を包んで、誠意を披瀝する程度の金を昨年度初めて全国にわずかでございまするが配りまして、保護司の就職についての非常な難点についてできるだけ協力をするということをいたしております。保護司のいろいろな会合においての問題でも、何らかの方法によつて保護司が就職をあつせんしたときに、身元保証をどこかでするような制度を考えてくれという意見が絶えず出ておりまして、私ども常に研究をしておりますが、国がこれを保証するということは、犯罪をしない人について職業安定所が就職をあつせんした場合、身元保証はしておらない、犯罪した人の就職について国が身元保証するというようなことは、どうしてもなかなか理論的に割切れないという点がございまして、現在では民間人という立場でいろいろなそういうふうな金をつくることに努力をして、そうして保護司の活動に資しております。この就職の問題について御指摘のように身元保証をするということがかぎになつておりますので、保護司が身元保証した結果、その対象者がその雇われ先から持ち出しをして損害賠償を受けたというのが現在まで私の聞いておるので二件ございまして、地区の保護司会等が中に入つてうまくまとめておりますが、そういう事件がございます。それにつきましては十分ひとつ研究して――研究だけではなくて、何らかの形に表わしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/36
-
037・小林錡
○小林委員長 この際接収不動産に関する小委員の補欠選任についてお諮りいたします。当該小委員でありました三木武夫君は、去る七月十六日本委員を辞任されましたので、小委員が一名欠員になつております。小委員の補欠選任につきましては、委員長において御指名いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/37
-
038・小林錡
○小林委員長 御異議なしと認め、高橋禎一君を御指名いたします。
本案に対する質疑は、ただいまはこの程度にとどめまして、暫時休憩いたします。
午後零時四十一分休憩発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605206X02419530728/38
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。