1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十八年七月十七日(金曜日)
午後二時十二分開議
出席委員
委員長 田中織之進君
理事 羽田武嗣郎君 理事 船越 弘君
理事 大高 康君 理事 片島 港君
理事 吉田 賢一君
小林 絹治君 坂田 英一君
武知 勇記君 伊東 岩男君
稻葉 修君 井手 以誠君
淺沼稻次郎君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 塚田十一郎君
出席政府委員
郵政政務次官 飯塚 定輔君
郵政事務官
(大臣官房事部
長) 八藤 東禧君
郵政事務官
(郵政局長) 松井 一郎君
委員外の出席者
専 門 員 稲田 穰君
専 門 員 山戸 利生君
—————————————
七月十六日
高光村に無集配特定郵便局設置の請願(船越弘
君紹介)(第四二五九号)
大房町に無集配特定郵便局設置の請願(赤城宗
徳君紹介)(第四三三六号)
高光村に無集配特定郵便局設置の請願(高橋等
君紹介)(第四四五三号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した事件
郵便物運送委託法の一部を改正する法律案(内
閣提出第八〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/0
-
001・田中織之進
○田中委員長 これより開会いたします。
郵便物運送委託法の一部を改正する法律案及び郵政行政に関する件について、前会に引続き質疑を許します。井手以誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/1
-
002・井手以誠
○井手委員 郵務局長さんにお尋ねいたします。先日いただきました資料によつて専用自動車の請負料の算出方法が大体わかつたのであります。そこでお尋ねしたいのは、一般の貨物自動車などの路線営業について、キロ当りどのくらいで運行されておるか、一般のものをお調べになつたものがあるかどうか。もし調べたことがあるならばその内容を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/2
-
003・松井一郎
○松井政府委員 お手元に差上げました資料は、ここにも書いてありますように昭和二十六年十二月三日現在のものであります。その後いろいろと業界の様子もかわつて来ておるようであります。実は道路運送法の改正とからみまして、目下運送省の方でいろいろ厖大な調査を進めております。近くおそらくその結論が出るものと思つております。もちろん私どもの方といたしましても、私どもの特殊性というものをどういうふうに考えるかという角度からの検討はいたしておりますが、何さまトラック全般に対するこういう原価計算的なものに対しては、郵政省自身としては資料についてもおのずから不完備を免れませんので、一般的なトラックの現状については、やはり権威ある運輸省の方の見解というものを尊重いたしたいと思つております。従いましてその結論がどう出るかということは、今ここではつきりと申し上げる段階に残念ながらなつておりませんが、ごく最近そうしたものの考え方の一部と見られる、大口扱い運賃についての道路運送法に基く認可運賃というものが出て来ております。これを見ますると、最近における現状としては、少くともこの昭和二十六年当時よりも一割以上低くなつております。今度新しく道路運送法の規定に基いて現われて来る運賃基準というものも、この傾向から察知いたしますと、二十六年現在よりも少くとも最低一割以上減るのではないかと私ども観測しておりますが、まだ数字的に御提案するところまではなつていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/3
-
004・井手以誠
○井手委員 物価庁の告示による大型の基本額は三千九百円、キロ当りにいたしますと六十五円になつておる。ところが一般の最近の傾向は大体五十五円くらいだとも承つておるのであります。これは営業の関係でありまして、専用の場合はまた趣を異にすると思うのであります。こういうこともお考えになつておるかどうか、重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/4
-
005・松井一郎
○松井政府委員 私どもの方といたしましては、もとより一般運賃の下落の現状については、できるだけの資料を集めてにらんでおります。しかし政府としてほんとうに今度新しい運賃をきめる場合には、適正運賃というものをやはり道路運送法に基く運輸大臣の認可を得なければなりませんから、こちらとはおのずから歩調を合せて行かなければならない、そういう形でございます。もちろん先ほど御指摘になつたような最近の実情についても、私どもの方ではその一部は承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/5
-
006・田中織之進
○田中委員長 委員長から一、二伺いますが、過日資料としていただきました委託会社と郵政省との契約書の第四条の一に、「乙は、甲又は甲の指定する郵便局の指定する時刻および場所において別紙に定める「郵便物運送等受託者の郵便物授受手続」により郵便物を授受する。」こういうことが契約の主たる内容になつておるのであります。通例これはこの契約の文字から考えましても、郵便局から受取つて別の郵便局までの運送委託という、こういう観念でありますが、現実には東京都等においては、ポストから郵便局に来るまでの間の運送というか、それを委託会社にやらしておるというような実情があるやに聞いておるのですが、その点は事実そうなのか。その場合に行嚢になつてから渡される場合の郵便物の安全性と、ポストから郵便局まで持つて行く過程の仕事を委託会社にやらせるということとは、法律の趣旨からいつても多少の食い違いがあると思うのでありますが、現にやらしておるとすれば、その間において弊害等の事実はあるかないか、こういう点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/6
-
007・松井一郎
○松井政府委員 私ども郵便物運送委託法に基きまして郵便物の運送等を委託する場合におきましては、もちろん郵政大臣は郵便物の運送についての全責任を負つておりますから、これについての弊害のないということが前提条件とならなければならぬのであります。ここに出してありまする一般契約書という場合においては、これは通例先ほど委員長からのお話にもありましたように、郵便局から郵便局への運送の場合といつたようなものを予定しておるわけであります。従つてそれは当然において行嚢授受になるということはいうまでもないことであります。ところがこれは全般の数から見ると、数はそういう場合に比べてはごく少いのでありますが、自動車による市内郵便物の取集めといつたようなものについての請負ということも、これまた郵便物運送委託法においてできるわけであります。ずつと以前からわれわれは主として小包郵便物については、これを民間の方に頼んでおりましたが、その後いろいろ事業経営の合理化の場合におきまして、通常郵便の収集というものについても、例外的な場合においては委託をしておるという場合もございます。しかしこれはわれわれが現実に運営いたしまして、実際のその場合に直面して、はたしてこれで自分の方で責任を持てるかどうか、取扱い上支障がないかということを個々に判断いたしまして、民間に取集め便を委託しております場合においても、場合によれば、われわれの方の人が一緒に乗つている場合もあります。またこの程度のものならばさしつかえないであろうという場合には、例外的に乗つていない場合もあります。それが現在までのやり方でありますが、今までの経験によりますと、それをやつたがために特別な弊害というものはまだわれわれのところには出ておらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/7
-
008・田中織之進
○田中委員長 さらにお伺いをいたしますが、占領当時、占領軍の示唆に基いてこの委託法ができたときには、郵便物取集めに関する業務は郵政省の方で直接やつておつたように聞いているのです。従つてその関係より委託する業務の範囲は拡大しないという条件がついておつたように聞いているのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/8
-
009・松井一郎
○松井政府委員 私どもは郵便物の取集めというものをやつておりましたことは、その当時もあつたのであります。ただその当時までは主として大部分が小包郵便の取集め便であつて、通常郵便の取集め便というのは、その当時はあまりやつておらなかつたということはあると思います。しかしそういう取集め便についても請負でやつておつたということは、この立法当時からすでに事実があつた問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/9
-
010・田中織之進
○田中委員長 さらにもう二点ばかり伺いますが、通常の郵便物のほかに、書留郵便その他最近は現金運送便等の関係がありますが、これはある意味からいえば、為替業務に属する部分でありますが、そういうようなものは委託会社に委託する運送の範囲の中に入つているのかどうか。特殊郵便物は入つているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/10
-
011・松井一郎
○松井政府委員 特殊郵便物は、大体においてこれはポストヘほうり込むものではなくて、みな郵便局において引受けておるものでございますから、郵便局の方で引受けたものを行嚢に入れまして、取集め便の方へ託送しております。従つて行嚢の中に書留が入つているか入つていないかということは、これは運送会社自身にはわからない問題でございまして、私どもの方はその両方を行嚢の中に入れて取扱つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/11
-
012・田中織之進
○田中委員長 もう一点は運送の途中において、郵便物が亡失または毀損した場合の損害賠償等の責任も、契約の中にはあると思うのですが、現在までに運送途中における郵便物の亡失または毀損等についての、何か過去の結果というか、そういうようなものがあれば、出して御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/12
-
013・松井一郎
○松井政府委員 実は運送途中において事故が起きた場合、これが郵便法に従つてその利用者の方々に弁償を必要とする場合においては、もちろん郵政大臣がやります。そしてこの委託業者に対しては、委託業者自身がその郵便物の亡失について責任のある場合においては、郵政大臣が賠償した限度においてこれを求償するというような建前になつておるわけでありますが、今までのところ委託業者自身に大きな過失があつて、そのために郵便物が亡失したというような例は、私あまり承知しておりません。ただ終戦後、私どもの承知しておる場合におきましては、途中でギヤングに襲われて、赤行嚢を盗まれたといつたような場合があります。この場合にはその中に入つておつて、そのために郵便物を亡失された利用者の方々に対しては、郵政大臣が損害賠償をしておりますが、ギャングによつて襲われたといつたような場合については、業者が善良な管理をやつておりまする場合には、あまり苛酷な求償条件は行使していないと私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/13
-
014・田中織之進
○田中委員長 もう一点お伺いをいたしますが、この運送に従事する業務員の身分の問題について、委託を受ける運送会社は純然たる民間企業であり、その意味において営利の機関には違いないのでありますが、郵便物を取扱つているという点において、その業務内容の公共性という点は認めなければならぬと思いますが、その身分の保障等の問題、具体的にいえば、たとえば公務員に準ずる取扱いをするとか、そういうようなことについての、従事員からの郵政省に対する希望というようなものも、過去にあつたかどうか。また郵政省としては、その点についてはどの程度まで考えることが適当であるか、現状のままの方がいいとお考えになつておるのかどうか、この点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/14
-
015・松井一郎
○松井政府委員 郵便物が、こうした国の責任において郵便事業が運行されているというような関係からして、たとえば簡易郵便局法というような法律を見ましても、簡易郵便局員になられる方は、村なんかで役場の方、あるいは信用組合の方というような方々でありまして、これはもちろんもとより当然国家公務員の身分を持つておる方々ではございません。そうした場合におきましては、通例の立法の措置といたしましては、この業務を取扱つておる者は公務に従事するものとみなすというような条文規定が設けられておるのが例になつておるようであります。そうした規定の仕方は、電電公社法あるいは鉄道の公社法なんかにも同じような例があるようであります。私どもといたしましても、郵便物を取扱つておられる場合、民間人の方々で、この法律に基いて郵便物の運送等に従事せられる方々を、公務に従事するものとみなすということは、事案の性質からいつて、むしろ好ましい問題ではないかと一応考えておりました。しかし問題は、こういう規定を置きますことの具体的な効果と申しますか、法律的な効果ということを考えてみますと、現在の郵便法には、郵便物の運送というものに、郵便物の取扱いを不正にすること、あるいはこれに対する信書の祕密を犯すといつたような罪に対する罰則規定というものは、郵便法の中に、公務員であるといなとを問わず、現実にそういうものを取扱つている場合の罰則規定というので、一括処理されておるわけであります。そこでそういう規定をかりに設けましても、それは実際問題としては、法律論として公務執行妨害罪、涜職罪という二つの犯罪の態様をなすというだけの効果しか、法律的には起きて来ない。そういたしますと、一方においてそういう犯罪の成立というものを根拠づける立法を置きますと、一般国民の方々が、それに対して一つの制約を受けると申しますか、負担を感じられる、負担が加わつて来るわけであります。そこでこれは刑罰政策一般の考え方といたしまして、事案自身はそれであつても、はたしてそこまで罰則負担をせしめることが絶対必要であるかどうかということに、刑事政策的な観点から入つて来るわけであります。郵便物運送委託には、御案内のようにはつきりと赤自動車という表示のものもありますし、また一般バスにこれを委託しておるという場合もたくさんあるわけであります。そういうものも全部ひつくくつて、公務執行妨害罪の成立を前提とするというのは、やはり刑事政策としては若干行き過ぎではないかというふうな法務当局の見解もございまして、一応この問題については、さしあたり郵便物自身の不可侵、不正取扱いということに対する郵便法の罰則だけで十分ではなかろうか。また今まで何年かやつて来た経験によりますと、それ以上のものをしいて置かなければならぬというほどの必要性もないようでございますので、一応そうした通例とされる規定をここに入れるということを見合したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/15
-
016・田中織之進
○田中委員長 大臣が見えたようでありますから、大臣に対する質問を願います。片島港君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/16
-
017・片島港
○片島委員 この前の委員会におきまして、いろいろお尋ねをいたしたのですが、もう大体締めくくりをこのあたりでつけておかなければならぬと思いますので、大臣にひとつお尋ねをしておきたい。
今国会ではなく前の国会におきまして、御承知のようにこの法案に対しまして、附帯決議が満場一致でつけてあつたのであります。その中に「郵便事業は国家専掌を本旨とするにかんがみ、」云々というように決議されましたが、郵便業務が国家専掌を本旨とするということは、前会一致をもつて決議されおるのであります。この前の法案はそのまま立消えになりましたが、今度そういうことが附帯決議としてつくならば、大臣としては国家専掌という本旨を認めて、決議に合つたような形で漸次縮小するという方向に努力をされる考えがあるかどうかということを、まずお伺いをいたしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/17
-
018・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは前国会でこの法律に附帯決議がついて、全会一致で通過しておつたということは、私も先般聞いて承知しておるのでありますが、ただ私の感じといたしましては、感じ方が少し違うのでありまして、私は郵便業務は確かに国がやつて、国が責任を持つていろいろとやらなければならない面があると思うのでありますが、ただ事業そのものをどういう形でだれの手でやらすかということは、この国が郵便事業を預かつておる本来の使命をそこなわない範囲においては、もちろん国民のために考えて、しかも事業全体として見て、能率的にやる方がいいのじやないか。そういう考え方から、委託業務が非常にぐあいが悪いというのであれば、これはだんだん委託業務を縮小するということも、当然その結論として出て来なければならぬのであります。今まで私どもがいろいろ委託をしてやつて参つております状態では、そういうような状態は必ずしも見られないのではないか。むしろあの委託の形で相当長い間やつておつて、相当能率を上げて、しかも郵便本来の使命を全うしておるというように考えられますので、これは郵便本来の業務がうまく行かないという事情がある場合にはどういうようにするというように、実は私は考えたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/18
-
019・片島港
○片島委員 郵便物運送委託法によりますと、「郵政大臣が郵便物の取集、運送及び配達」これを合せて「運送等とありますが、取集め、運送及び配達について委託をすることをこの法律によつてきめておるのでありますが、しかしこれにはどの限度までを委託するということは、法律の中にはございません。それで極端に言うならば、むしろ今大臣がおつしやるように、国家の専掌すべきものであるということの一つの基本線がないとするならば、大臣がこれはひとつ業者の方にやろうじやないかという簡単な自分の考え、あるいは自分の利害関係などから、半分くらいはひとつ民間の方にやらせようじやないかということを、やろうと思えばできないわけはないのであります。何らの制限がないのでありますから、取集め、運送及び配達について、ほとんどほかの方に吐き出してやらせることも不可能ではないと思うのでありますが、その点について大臣はどういうようにお考えになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/19
-
020・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これはその条項がそのような表現になつておりますこと自体が、私の今考えておる考え方、それから私のこの問題に対する気持というものと、ぴつたり私は合つておると思うのであります。実際に郵便業務の国家性と申しますか、公共性というものをそこなわずにやれる範囲では、むしろ能率が上るならば、そういうぐあいにやつてもいいという一応の形式的な裁量の余地だけは、この法律で与えられておる。しかしそれを実際にどういうようにするかということになりますと、やはり、たとえば現在委託でやつております仕事の分野が、相当長い歴史を持つてああいうぐあいにうまくやれておるのでありまして、その他の今までやつていなかつたものをそういうぐあいにすることが、はたしてうまく行くかどうかということになると、そう簡単には私は行かないと思うのであります。しかし今までやつておるものを漸次縮小するというところまでは考えず、今の段階ではそのやり方というものが弊害をも出していないし、むしり非常に能率を上げておるとさえ自分保考えておるのであります。そういうように第一条を解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/20
-
021・片島港
○片島委員 いや、私がお尋ねしておりのは、公共性を失わないならば、制限なしに委託をすることができるのでのりますか。公共性をそこなわないなつば、適当に自分の裁量の範囲において、無制限に委託をすることができるか。そこには一つのある基準がなければ、無制限に流れてもしかたがない。だから郵便は、郵便法の第一条に、今でもあるかと思うのですが、国家がこれを専掌するということが書いてあります。国家が専掌すべきであるという一つの大きな基本線を持つておらなければ、どういうことでもやろうと思えばやれる。だから国家が専掌すべきものである。これを本旨としてではあるけれども、但しこういうような場合には多少はという、委託についての一つの限度がなければならぬと思うのです。その点を私はお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/21
-
022・塚田十一郎
○塚田国務大臣 私は国が専掌するという言葉の意味を、国がこういう仕事はやる。従つてほかの者が同じような仕事をやつてはならないのだというようにしておりますが、国が自己の責任においてその仕事の一部分を委託させるということは、この専掌という考え方とは別に矛盾しないものである。しかし幾ら矛盾しないと言つても、そうでたらめにやつてはいけないから、第二条で、他に委託することが経済的であり、かつ業務に支障がないと認めるとき、そういう制限を置いて、この範囲ならば郵政大臣の随意にまかしておくというのがこの法律の考え方である。かつそうある方が、郵政業務を円満に能率的に運行して行くのに非常に都合がいい方法なのだ、こういうふうにこの法律は考えておると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/22
-
023・片島港
○片島委員 それでは郵務局長にお尋ねいたしますが、前に業者に請負をさしておつたのは運送だけであつたというふうに私は記憶しておるのでありますが、最近取集めなどに至るまで業者に委託をしておるようであります。いつごろからそういうことを拡張せられておるのか。また運送から取集めなどにまで拡張されて、そういうふうに幅を広げて来られたのは、どういう理由からそれを実行せられたのか、この点をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/23
-
024・松井一郎
○松井政府委員 先ほども委員長からのお尋ねの節に、ちよつとその問題に触れてお答えしたわけでございますが、取集めということについては、相当以前からわれわれとしてはやつておりました。ただ問題は、取集めの場合におけるやり方が、昔は主として小包郵便物を中心にやつておりました。それが終戦後のいろいろな変動の後において、一部通常郵便物の取集めまで入つたということが、若干違つておるという点でございます。しかし通常郵便の取集めと申しましても、その取集めしやつておるのは、限られた一つの受託局というものを中心として、特に自制車による取集めをやらなければならぬような必要のある場所に限られておるわけでありまして、これはむしろ全般から見ますれば非常に珍しい、レア・ケースである、かように申し上げてさしつかえないと思います。それからなぜ取集めまでやつたかということにつきましては、これは事業経営上のいろいろな合理性ということを考えた結果、そういうことをやつたのでありますが、たとえて申し上げますと、駅と局との間の受渡便というようなものを自動車でやつておりましても、列車の出発というものが非常に時間的に離れておりまして、その間における自動車の使い方に非常に不経済な点がある。そういう場合は、なるべく受渡便と取集便を混合して委託する方が、経営上口理的であり、経済的であるというような観点から、そういう限度においてこれをやつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/24
-
025・片島港
○片島委員 そういうふうに非常に幅があるのでありまして、行政当局のそのときの考えによつて、幾らでも幅を広げようと思えば広げ得ることになるのであります。私はその問題をさらにほかの方面から考えるならば、郵便事業が国家公共性を持ち、また一貫性を持つて運用されなければならないというのにかかわらず、もし行政整理とか、企業の合理化とかいつたことによつて、定員などが減員をせられることになると、人を減らさなければいかぬ。しかし郵政大臣は一向にさしつかえない。その仕事の幅を広げてこれを外に請負に出して行けばよろしい、こういうようなことが行われる。そうしますと、こういう非常に確固たる安定した受入れ態勢をつくつておくということになると、郵政大臣は日本で一番楽な大臣ということになるわけでありまして、自分でいろいろむずかしく考えなくても、人間は減らされたけれども、こういう受入れ場所があるからといつて、そこへどんどんと人間を出して行きますれば、それで済むのでありますから、早く言えば、非常に能のない人でも郵政大臣ができるようなかつこうになるのであります。こういう点について郵政大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/25
-
026・塚田十一郎
○塚田国務大臣 それは将来結果においてそういうことになるかもしれませんが、そういうぐあいになつた場合にも、私はやはり定員が減らされたからそういうぐあいになるとは考えずに、そうする方が郵政業務全体の能率化であり、従つてその能率化が、これを利用される人たちの利便になつて国民に返つて行くという場合に、そういうことが考えられるのであつて、定員が行政整理の立場から減らされたから、それをしかたなくそちらへやつてごまかしておくというような考え方では、少くともそういうような問題は考えたくない。私はいつも申し上げておりますように、事業会計の定員というものは、一般の公務員の定員のようにきゆうくつに考えないでもいいのじやないか、またきゆうくつに考えてはいけないのじやないか。仕事がふえればどうしてもそれに応じて当然これはふえるべきものであり、ふやさなければならない定員であるならば、これはそれだけ収入も増加しておるはずなんだから、ふやしてもさしつかえないのではないかというように、事業会計の方の定員は、公社の定員と同じように割合フリーな気持を持つておりますので、御指摘のような御懸念はないと私は確信いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/26
-
027・片島港
○片島委員 なければ幸いでありますけれども、そういうことができる。定員は減らされ、仕事はふえる、しかたがないから、ほかに確固たる受入態勢をつくつておいて、そこにどんどん出して行く、こういうことができることは、郵便事業の国家性、一貫性から非常にはずれることになるのである。今大臣が言われたように、郵便事業などのごときは、一般の官庁の定員法のわくの中に入れておくことがおかしいのではないか、こういうように私は考えている。今内閣委員会に定員法がかかつているのでありますが、その中にやはり郵政職員が載つている。ところが行政整理とか節約といつて定員を減らす場合には、やはりおつき合いで減らされるその定員法の中に入つている。ところが定員は減らされても、普通の行政整理というのは、行政簡素化、事務の簡素化を基礎として定員が減らされる。ところが相手は一般大衆でありますから、幾らこちらが定員を減らしましても、郵便物の数を制限するわけに参らないと存じます。ここに非常な無理が出て参るので、私は定員法のわくから、郵政事業のごとき現業事業ははずさなければならぬというふうに考えている。それをはずさないでおくと、私が懸念しましたように、はずされたから、しかたがない、こういう幅のある、幾らでも請負に出せるような法律をつくつておいて、定員が減らされた、しかたがないから、仕事の方をこちらの方にみな委託しよう、こういうような形になつて来るのであります。それならば定員法のわくからこの郵政職員ははずすべきである、こういうふうに考えているのであります。大臣はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/27
-
028・塚田十一郎
○塚田国務大臣 基本の考え方は、先ほども申し上げましたように、同じと私も思うのであります。それでは現実に現在の郵政職員の状態というものは、なるべく人間をふやさないで、もしくは場合によつては人間も減し、経費も節約してやるという考え方を持たないでいいのかと言うと、実は私もそうは思つておりませんので、今度も一般会計の節約と同時に、郵政の特別会計においても節約を計画し、それがまた今度の給与改訂の財源になつたわけでありますが、本来事業会計というものは、それ自体で考えるならば、当然相当少い人間で、少くとも国の官庁がやつているよりも能率が上つているべきはずのものだ。ところが郵政事業が今まで国の管理という形でやつておつたが、むしろこれを郵政業務自体のあり方から考えると、かなり再検討せしめる点があつて、締める点があれば締めるという考え方を持つて、これを見直す必要があるのじやないかというぐあいに考えておるのですから、一般的なものの考え方としては、先ほど申し上げたように、定員にとらわれずにいい、そう思いながらも、それでは今のままでだらだらやつていいとは私は考えない。やはりむしろそういう特殊な他の官庁とは違うという立場から、今まで惰性でやつて来た今日の郵政業務の内部を、経費の面、人員の面で再検討して、そうしてほんとうにいるものはもちろんふやす、しかし幾らかゆとりのあるものはそこを詰める、こういう考え方でもう一度見直さなければならない、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/28
-
029・片島港
○片島委員 この前の委員会で稻葉委員より、四年間というのは少し長いのじやないかという意見があつて、二年間ぐらいならどうか、こういうような質問が出たわけでありますが、そのときの郵務局長の答弁では、二年ぐらいでは採算がとれない、四年くらいならば大体において採算がとれる、こういうような御答弁がありました。そうすると今度、来年の春の更新しなければならぬときになつて、四年前に入札して四年間たつておるので採算はとれておると思うのですが、もし来年の春にこれを更新しないで、公正な立場で、公正な料金でひとつ競争入札でもさせるということになれば、どれくらい今の業者に落札する可能性があるか。半分くらいか、あるいは三分の一くらいか。あるいはほかの方にどのくらい出る見込みがあるのか。そういうことをお考えになつたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/29
-
030・松井一郎
○松井政府委員 お尋ねの点は、来年の場合における業界の予測ということを前提としなければ、何ともお答えを申し上げようがないのであります。御承知のように郵便物運送と申しましても、これは大体使つているものは主として御指摘の場合においてはトラツクだと思います。従つてトラツク業界というものが一般的に非常に好況を呈しておるか、不況を呈しておるかということによつて、こういうものに参加する人間というものは多くはさまつて来ると思います。この前の入札をいたしました当時は、御承知のように非常にトラツク業界の景気のいい時代でありまして、トラツク一台持つておれば食うに困らぬというくらい荒かせぎのできた時代でありまして、そのときにはこういう郵便物の運送委託のために、長年にわたつてまじめに一生懸命でやろうという気風が生れなかつたわけであります。そこで入札に対する参加者は非常に少うございました。来年のことになりますと、今後における日本のトラツク業界の趨勢ということが、そのときどう現われて来るかということがわかりませんと、お尋ねの点についての私の見通しというものも、ちよつとお答え申し上げかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/30
-
031・片島港
○片島委員 大体ほかのどういう業者と争わせても、そう大して料金はかわらないだろう、また非常に公正な料金によつて契約をしておるから、ほかのところと比べてそうかつこうの悪いような料金請負にはならないということをたびたび言明られおるのでありますが、ここに提出せられております日本逓送株式会社の決算書を見ますと、七千五百万円の資本金に対して半期で三千二百万円の利益金が出ておるのであります。一箇年にすると十割近い利益金が出ておるのでありますが、こういう点についてどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/31
-
032・松井一郎
○松井政府委員 郵便逓送会社の最近の決算は、ただいま御指摘のように割合に利益金がよく出ております。しかし二、三期前には今の利益金よりもはるかに下まわつております。これはそのときどきのいろいろな経済事情というものが出て来るのでありまして、私どもがこういう運賃を設定し、またこれをやつた昭和二十五年当時と比べてみますると、なるほどその後人件費というものは一般的にむしろ上つているようであります。しかし最近におきましては、あるいは部分品とか、あるいはガソリンといつたようなものが値下りをして来ておる。その結果最近における会社の決算が楽になつたのだと思いますが、しかし私どもはそういう一時の変動によつて、こういう長期の契約をあまり頻繁に直すわけには参りませんが、先ほど申し上げましたように、近く道路運送法に基き適正運賃というものが出されますので、これができますと、郵便業者につきましても、当然この法律の規定を受ける。従つてある適正運賃でなければならぬというふうに法律上強要せられるわけでありますが、それが出ますれば、おそらく最近のそうした実情も十分に反映した運賃率が設定されると思います。それは遠い先ではなく、ここ一、二箇月のうちにできるものと私は期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/32
-
033・片島港
○片島委員 一般の会社で考えた場合には、十割の利潤が出る場合もあり、二十割出る場合もあります。しかし委託法の第二条に、「他に委託することが経済的であり、且つ、郵便物の運送等」云々とあり、経済的ということを御確認になつた上でなければ、郵政大臣は外に出されない。十割もの利益が出るような委託をやつておつても、なお経済的であると認めて、経済的にやられるということは、私はどうも釈然としないのであります。その点について大臣はどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/33
-
034・塚田十一郎
○塚田国務大臣 経済的であるかどうかということは、委託を受けた者が利益を上げておるかどうかということも、若干ものを考える判断の標準になりますけれども、それよりも委託をしないで直営でやつたならばどういうことになるかということとの比較によつて、経済的であるか経済的でないかという判断ができると思います。もちろん委託を受けた者が利益を上げる上げないということも、今郵便局長から御説明申し上げましたように、民間企業というものはあるときは利益を上げる、あるときは非常に損をするときもある、そういうものを長い間平均して、大体バランスのとれるようにということで考えて行かなければ、企業は成り立たないものでありますから、ある一時の企業の営業状態を見て、それが不当に利益を上げておるというように判断するわけにも必ずしも行かないのじやないか。こういう状態が長く続くというような見通しが十分であれば、ただいま郵務局長が申し上げましたように、必ず料金改訂というような問題が出て来ると思います。私どもとしては、全体としてやはりこれは営利企業者の手で、能率を上げてやつてもらう方が経済的であるはずだし、またその通りになつて来るのではないかという考え方、そういうものの考え方を持つておるわけです。しかし具体的に、これだけの利益を上げたときの状態というものはやはり再考慮を必要とするということで、あるいはこれが是正するようになるかもしれない、こういうふうに御了解願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/34
-
035・片島港
○片島委員 経済的であるかないかということを郵政大臣は判断しようというのでありますが、これは判断の基準がないのであります。直営にした場合にはどうなるかということで、これが資料を注文いたしましたけれども、それはできない、資料が出て参りません。一ぺんこれを民間の業者に計算さして見積らせたらどうか、これもやつておらないのでありますから、経済的であるかないかということを判断することは、大臣にはできない。そういう材料がない。ただ漠然とよいだろうというくらいの程度でなく、何か基準がなければならぬ。数字を扱う場合、基準をきめるべき場合は、その会社の経理状況、あるいは決算などを見て行かなければ他に方法はない。十割というものがもし高過ぎる、一般の業界から考えた場合高過ぎる。そうしたならば買上げ契約を変更しなければならぬ。それを今月や来月あるいは一月、二月という問題でなく、非常に赤字で困つておる公共事業たる郵便を請負つて、赤字でにつちもさつちもいかない、自動車が動かないというのではたいへんですから、そういう赤字が出た場合には向うの申請人に対して、契約の金額を増してやらなければなりません。そしてまた非常に黒字がたくさん出た場合には、あまり大きなもうけが出ないように、契約を変更して行かなければならぬ。ただ一般の社会通念によつて、あるときには非常に損をしておるときもあろうし、あるときはもうけるときもあろう。そういうような考えでは、郵便業務を委託しておるところの特定の会社に対する政府の態度ではないと思います。この点について大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/35
-
036・塚田十一郎
○塚田国務大臣 経済的であるかどうかという判断基準がないということで、先般来資料を出せという御要求であつたそうでありますが、いろいろ調べて見て適切な資料がないということで、私も非常に困つたことだと感じておるのでありますけれども、しかしまたよく考えてみますと、こういうことは大体政府の機構などやつておる場合と民間企業などでやる場合と、どちらがどういうぐあいに能率的であるかということは、他の幾つかの例からいろいろ考えてみて、どちらが有利であるかというようなことは、私どもの常識では、そんなに一々正確に、ここでは直営をやつてみる。一方では請負でやつてみるというようなことをしなくても、勘でつかめるのではないか。そして私どもの勘は間違つておらないのではないか。それを知るために一方で直営をやつて、テストをしてみるというほどの必要はないのではないかというのが私どもの考え方でございます。また同じような民間事業にしたらどうかということでありますが、それは料金がきまつておるものでありますれば、だれがやつても同じでありますが、料金がきまつていないで競争でやるということになれば四年に一回更新をするときに新しく相談する。またそうでない場合には、先ほど御指摘のように非常に利益が上つておるということであれば、再検討して交渉の上で値段を下げさせるというような措置で、その面の欠損は補つて行けるのではないか、こういうように私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/36
-
037・片島港
○片島委員 非常に責任のない答弁のように私は思うのであります。ただ勘が当つておるとかないとかいつて、勘で適当にやつておられたなら、利益が二十割減ろうが、五十割あろうが、勘が当つておるということでは私は御答弁になつておらぬと思います。これはもし更新をして行くということになりますと、永久にこの事業は郵政大臣の法規的な監督も受けないで、業者はこういう状態を続けて行くのでありますから、それについては何らか法的なものを設けて、これを監督して行く。そうしてこれが適正な料金によつて、公共事業たる郵便の受託者として、非常に国民が納得する方法によつてやつてもらわなければ、そういう御答弁のようなことでは、私たちはとてもこれを一般国民に納得させて行くということはできないと思う。これから私たちはなおこの郵政事業について、当委員会がいろいろな間葉調査をして参ります上において、ただいまのような御答弁であるとすれば、あらゆる問題について掘り下げて検討して行かなければならぬ。今後委託をせられるということになつた場合に、どういう方法によつて管理をして行かれるか。これは何らか一つの方針を持つて当られなければ、ただいまのような御答弁でごまかされることはどうかと思いますが、即席でなかなかいいお知恵も出ないかもしれませんが、なるべくきよう一日で結末をつけたいという私たちの要望にこたえて、もう少し責任のある答弁を、監督、管理の面についてお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/37
-
038・塚田十一郎
○塚田国務大臣 私は少くとも自分ではまじめに考えて、これが決して郵政事業本来のあり方に矛盾しておるとも、そのために非能率的になつておるとも考えておらないのであります。今までもいろいろな面で監督の方法もあり、監督もして参つたのでありますが、しかし必ずしもそれにこだわるわけではないのでありまして、要は郵政業務本来の使命が十分果せて、しかも国民の立場からは最も効率的に安くこれが上ることがねらいなのでございますから、よく皆さん方の御意見も伺いまして、考える点があれば、私も大いに考えたいというふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/38
-
039・井手以誠
○井手委員 勘で行くという塚田郵政大臣にはまことに恐れ入る。頭脳緻密な大臣の言葉として、はなはだ失望を感ずるのであります。しかしこれは言葉に窮せられての言葉であろうと思いますから、私はその点については追究いたしません。よく基礎資料をかねてから準備されるように、この際希望申し上げておく次第であります。
そこでただいまは片島委員の質問に対する御答弁として、請負は郵政事業の一部として当然であるかのごときお言葉があつたのでありますが、私はどうも受取りかねるのであります。信書の秘密保持、その他郵政業務の重要性から、当然郵便業務全般については国が直接当らなければならない。ただ経験の関係から、あるいは技術や設備の関係から、しばらくの間は特に支障のないものに限つては請負にしてもいいという意味で、この郵便物運送委託法というものができておると考えておるのであります。従つて私は暫定経過措置といいますか、例外規定と考えるのであります。大臣は、これは当然のものであるというようなお言葉でございますが、私はさようには考えません。また前国会の決議、また今まで行われました本委員会における質疑から考えましても、やはりこれは直営化しなければならぬと考えるのであります。この経過なり本質から考えまして、大臣はなお請負は当然であるとお考えになるのか、当面はやむを得ないけれども、将来は直営にしなければならないというお考えであるのか、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/39
-
040・塚田十一郎
○塚田国務大臣 私はその点は、請負はどんどんしてもいいとは考えておりませんし、そうかといつて直営にしなければ、国が専掌するという郵政業務本来の使命がうまく果せないとも考えておらないのであります。もちろん郵政業務自体は、信書の秘密の保持その他を、かなり国民の立場から義務づけられておる面がある。従つてこれがうまく行かないという形において郵政業務を運営するということは、絶対に避けなければならない。しかしその保障のつく範囲においては、国が専掌するという考え方が、請負の形、委託の形を拒否しておるというのは一時的のもので、本来直営でなければならないというようには考えてはおらないと私は思うのであります。問題は国民の立場から、郵政業務自体が要請されておるその使命が果せるということさへ満たされておるならば、従つて請負に出す場合には、私どもは安ければたれでもいいというような形には行かない。むしろ安いということと同時に、そういうことが信頼をもつて託し得るという者を相手に選ばなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/40
-
041・井手以誠
○井手委員 それではやはり特別の事情がなければ、今後もやろうというお考えですか。政府のいろいろな基礎資料によつて調査し、専掌しても不経済ではない、やられるという見通しがつけば、やろうというお考えであるのか、この点を重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/41
-
042・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは請負にして、なおかつうまく行くという見通しがあれば、むしろその方がいいのではないか。先ほど私が勘でということを申し上げて、非常に非科学的な響きを与えたということから、一応おしかりがあつたのですが、ただ勘といつて、この場合には、なるほど比較する資料というものを持たないものでありますから、勘でということを申し上げたのでありますけれども、しかしこの営利企業にまかすということと、国のような厖大な行政機関のやる場合と、仕事の能率の上に非常に大きな開きがあるということは、これはただ勘といつても、場合によつては非常にはずれる危険もある勘というようなものでは少くともない、そういうことは他の幾つかの例ともにらみ合せて想像できるのである、そういうふうに考えてこれをやつております。こういうふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/42
-
043・井手以誠
○井手委員 重ねてお尋ねいたしますが、いろいろ調査の結果、直営の方が経済的であり、なお能率も上るという見通しがつけば直営になさるお考えですか。なお自由主義の立場から、あるいは民営化というようなお考えから、請負の方を存続しようというお考えであるのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/43
-
044・塚田十一郎
○塚田国務大臣 直営の方が能率が上り、国民のためにそれがかえつてよいのだということであれば、もちろん請負は全部やめて直営にもどすという考え方でなければ、私のものの考え方としては矛盾する、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/44
-
045・井手以誠
○井手委員 先刻も申しましたように、前国会の決議なり、本委員会における意見から考えまして、直営化すべしというこの国会の意見に対して、大臣はこれを尊重して行こうというお考えであるか、あくまでも自説は通して行こうというお考えであるか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/45
-
046・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは前国会にこういう決議がありましたので、私も非常にふしぎに感じておりますが、しかし、私が自分で考えることが必ずしも百パーセント当つておつて、皆さん方のお考えになることがいつも当つていないというほどには自信は持てませんから、またこの国会であらためてこのような御決議がなされるということでありますれば、この決議の趣旨は尊重いたしまして、何とか比較検討してみるというように措置をしなければならぬ、こういうように考えております。
〔委員長退席、片島委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/46
-
047・井手以誠
○井手委員 国会の意思は十分尊重されるように希望いたしまして、次に特定局の局舎のことでお尋ねいたしたいと思います。この点につきましては先日郵務局長にお尋ねいたしましたが、大臣にあらためてお尋ねをいたします。
当局から出された資料によりますと、全国一万三千有余に上る特定局舎のうち、国有になつておるものはわずか四百幾つか、率からいいますと三%にすぎないのであります。郵便事業の特殊性から考えまして、またその局舎が個人有であるために、ひどいところでは局長の使用人のごとき劣悪な条件下に、幾多の問題が起されておる。これは末端に働く特定局員の大きな悩みであります。そのことについては、大臣もよく御承知のことと思うのであります。私は、当然この局舎は国有にしなくちやならぬ。ただ、ただちに一万何千も国有にするということは困難であるかもしれませんけれども、これは当然国有にすべき筋合いのものである、かように考えるのでありますが、大臣はいかにお考えになつているか。国有にすべきであるというお考えであるか、現在のままでよろしいというお考えであるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/47
-
048・塚田十一郎
○塚田国務大臣 局舎が国有でなければならないという考え方は、ただいま御質問の趣旨からすると、この所有権がどちらにあるかということ自体に本質的な問題があるのでなくて、国有でない、つまり借りて使つておるということに付随して、いろいろな弊害が出て来るから、こういうように御指摘のようでありますが、もしそういう面があるとすれば、それはその面で是正をすればいいのではないか。従つて局舎自体のあり方といたしましては、財源も資金も十分ではない郵政特別会計の状態でありますので、借りられるならば借りて行つた方がいいのではないかと、むしろ私は逆に考えておる。同じような問題が電信電話の場合にも出て、今度の値上げの問題で非常にごたついておることは御承知の通りだと思います。私は、もしも資金が十分に確保できないで、電信電話施設が拡充できないということであれば、電信電話の場合にも、何も建物自体は公社がつくらなくてもいいではないか、民間でそういうものをつくつて貸してくれる会社があれば、それを借りてやる、中の施設だけはこちらでやるという形でもいいのではないかという私見を出しておつたのでありまして、私はこの郵便局舎の問題についても、同じような考え方でいいのではないかと思つております。ただ現在の持主の事情によつては、経済的な事情その他で、何とかして国に買い上げてもらいたいという希望のものがかなりあるようでありますから、そういうものは資金の許す範囲で、逐次整理して行くという方向になつていることは御承知の通りでありますが、しかしその線をどこまでも強く推し進めて、年次計画でこの一万余の局舎を逐次買い上げて行かなければならぬ、そこまでは実は考えておらぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/48
-
049・井手以誠
○井手委員 基本方針と当面のやむを得ざる方針とは、私は違うと思うのであります。国の事業をやるのに借家住いでやるというのはこれはおかしいと思う。やはり家も国有でなければならぬ。内容も表もそうでなければならぬ。ただ家は借りても、直接に業務にさしつかえない、やむを得なければしばらく借りておこうというのが、私は建前であろうと考える。また問題は、労働条件その他であるから、家のことでないというようなお話ありますが、これはどうも解しかねるのであります。局長が家の所有者であり、家主であり、親方であるというところから、特定局のいろいろな問題が生しておるのではないかと考えるのであります。もし大臣のようなお考えであるならば、私は根本的に考え方が違う。私は実態を認識されない考えではないかと思うのであります。もちろん私もこれに要する厖大な費用については考えておるのでありまして、今ただちに三年、四年のうちにやつてくれという希望はいたさないのであります。しかし少くとも国の業務をやる場合には、その家も、当然国有にしなければならぬ。そういう方針で、徐々にではあるが国有化に向つてやつて行くというのが、郵政省の基本的態度でなければならぬと考えるのであります。さように考えるのに、ただいまの大臣の答弁は、私は非常に不満であります。重ねてその点、基本方針をお尋ねいたしますとともに、特定局に働く人々の待遇改善、あるいは根本的な問題解決の方針を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/49
-
050・塚田十一郎
○塚田国務大臣 国の仕事をやつておるのに、民間の建物を使つているという感じで、議論を御展開になつていると思うのでありますが、私はこの点は、郵政業務についてはいつも若干申し上げるところで御想像つかれるように、ほんとうの国家本来の業務というような感じとは少しずれておるのではないか、ことにこの郵政業務が広い国の中に、しかも相当山の中の辺鄙なところにまでも、できるならばなるべく多くの窓口を作りたいという希望があるのでありまして、従つてそういうようないろいろな日本の郵政義務自体の特殊な状態というものを考えて見ますと、これをどうしても国でもつてやるのだということにいたしますと、これはかなり莫大な資金を必要といたしまして、伸ばすべき面が伸びないというような欠陥も、相当その面からむしろ出て来るのじやないか。従つて現在のような状態が、御指摘のような欠陥があるということは、私もあながち否定できないと思うのでありますけれども、それを今御質問のような考え方で、なるべく早い機会に原則として国に買い上げてしまうというような方針で行く場合には、また別の面の、今申し上げるような問題も出て来て、かえつて郵政業務の伸びが、国民全体の希望のように行かないのじやないか。ことに日本のこの元の請負の形の郵便が、特定郵便局になりましたいきさつから見まして、住宅と事務所とがくつついているという状態が普通でありますために、あれを買い上げるということには、かなり技術にいろいろなめんどうな問題もあるし、またああいうことが御指摘のような弊害があると同時に、住宅の一部分が郵便局に使われて、あまり窓口のために固定した金を使わずに済むという非常に長所もあつて、いい面もあるのじやないかと考えますので、必ずしも根本的なものの考え方としては、ただいま井手委員が御指摘になつたような考え方には私はならないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/50
-
051・井手以誠
○井手委員 くどいようですが、郵政事業を国の専掌とするというこの建前と、ただいまの大臣の御答弁とは、根本的に開きがあるように私は感ずるのであります。場合によつては、民営に移していいというような観念があるのじやないかと私は考えます。私はこれに対してまつたく反対な考えを持つておるのであります。その本来の性質から申しまして、私は当然国の管掌専掌を徹底すべきであると考えるのであります。ただいまは個人の居宅と業務をやるところと一緒だ、そういう技術的な問題は末梢的な問題であつて、基本的問題から大分離れておる。それをただちに買い上げろと私どもは言わないのです。徐々にただ国有化に向つて進むべきであるという態度を私はとつておるのであります。どうも請負にしてやつた方がいいとか、あるいは民営で中まで入つてさした方がいいとかいうようなお考えがあるようでありますけれども、それがやれないのは、一部に不満を与えているのは、国の財源が許さないからそういうような結果になつていると私は考えるのです。財源が許す方法によつては、国民の満足されるような施設も私はできると思うのであります。あくまでも郵政事業は国の専掌でなくてはならぬ、国有でなくてはならぬと思うのであります。何度も申しませんが、最後にもう一ぺんはつきりした態度をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/51
-
052・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点は、私は郵政事業が民営でできるとまでは考えておらぬのでありますけれども、少くともある種の形の公社形態くらいまでには持つて行つても、郵政事業というものの本来のあり方、それからそれに対する国家的な要請というものがそこなわれることなしに、できるのではないかというような感じは確かに持つておるのであります。まあしかし、これはまだこの業務を預かりまして短い期間に自分が感じておる考え方でありますから、これが確信をもつて申し上げられる考え方とは申し上げられませんけれども、確かにそういう感じを持つておりますし、従つてまた私がいろいろ御答弁申し上げるときには、そういう感じが基本的になつてお答え申し上げておることも事実であります。しかしまたこうしてこういうような委員会で、いろいろ皆さんの方の御意見を伺つておつて、あるいはまた将来考え直して、形がかわつた考えになることもあり得るかもしれぬと思いますが、ただいまの段階では、御指摘のように、電電公社くらいの形までは行けるかどうかは知れないけれども、ある種の形の公社くらいには持つて行つてもいいのじやないか、こういうように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/52
-
053・井手以誠
○井手委員 郵政大臣のお言葉として、私ははなはだ不満に存じます。これ以上は意見にわたりますし、大分開きが——大分どころか、根本的に開いているようであります。これ以上追究しても同じ平行線でありますので、不満の意を表して質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/53
-
054・片島港
○片島委員長代理 吉田賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/54
-
055・吉田賢一
○吉田(賢)委員 二、三お尋ねしたいのですが、現地の問題をお尋ねしますから、政府委員の方——大臣、ちよつとあとで一、二点お尋ねいたします。
資料をいただきましたうちには、資料の四枚ですかには、専用自動車による集配用契約車輌数、こういうところに通常郵便物の取集用というのがあります。それからこれは契約書のひな型の文書らしいですが、郵便物の運送等と広く書いてありますが、これは大体どういう範囲のものが普通行われておるのでしようか。これは非常に幼稚な質問のようでありますけれども、そこでたとえば、引受けておる受託の業者が、例の町の赤いボツクスの中に手を入れて、郵便物を取出すというようなことも、なお行われているのでしようか。これは十五国会でも問題になつておつたようでありますが、その後改善されましたかどうか。大体郵便物運送というものの範囲の概況を伺つて、ただいま指摘しました問題について、ひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/55
-
056・松井一郎
○松井政府委員 ただいまの吉田委員のお尋ねの点でございますが、先ほど委員長からもお尋ねがございまして、一応その点はお答えしたわけでございますが、重ねて御説明申し上げます。大体において郵便物の取集めその他につきましては、郵便局と局との間のことをやつているのがほとんど大部分の現状であります。局から受渡しを受ける場合におきましては、大体これはちやんとした行嚢に入つたものを受渡しをいたします。ただごく例外的には、ポストの取集めというものもやつております。ポストの取集めは、しかしわれわれとしては、これをやる上においては、よほどこれが運行上支障があるかないかということをよく検討してやらなければならぬ問題でございますので、たとえば同じような形態の場所におきましても、そこが非常に繁華街であり、そうしてそういうものを単独において委託する上においてはあぶないような場合においては、別な人間を特に同乗せしめてやつております。しかしそれの運行上別に、特に別の人が乗らなくともさしつかえがないといつたような例外的な場合に限つて、そういうポストからの取集めも部分的——部分的というのは、ごく一部において行われておる現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/56
-
057・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そのポストの取集めは、区域を限定しているのですが、無制限で、限定をしないのですか。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/57
-
058・松井一郎
○松井政府委員 それは契約において、ある限られた場所においてのみ、そういうことをはつきりと場所は指定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/58
-
059・吉田賢一
○吉田(賢)委員 具体的に御説明できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/59
-
060・松井一郎
○松井政府委員 それは名古屋市内の一部、東京都内の一部において、そういうことが大体行われております。そのほか一、二箇所、地方においてもあつたかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/60
-
061・吉田賢一
○吉田(賢)委員 これはやはり人の信書の秘密に関連いたしまして、しろうとには一番気になる点であります。前回もすでに国会において委員会で問題になつておりましたので、特に名古屋、東京というと、最も大きな数の郵便物が動く都市でありますので、そういう点についてはどういう事情からさような契約ができているのかは私はよくわかりませんけれども、その辺は何とかすみやかにさような事態をなくするということの方が適当でないか。またそういうことは可能でないか、すみやかに改善といいますか、一掃するということはできないものかどうか、伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/61
-
062・松井一郎
○松井政府委員 おつしやる通り、そういう措置をとるということについては、われわれ自身も普通よりもより以上の大きな関心と責任を感じております。しかしそういうところにおける状態というものについては、非常に厳重な監督をいたしておりますから、もしもそれに現状において非常に支障があるというような事態になりますれば、いつでもそういうことはやめさしたいと思つております。今までのところ、一部において行われて、別にそのための特別な弊害というものを感じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/62
-
063・吉田賢一
○吉田(賢)委員 これはそうなりますと、ちよつと大臣に根本の御方針を伺つておきますが、私どもは郵便事業の最も本来のものは、やはり普通の郵便物の集配にあると思うのであります。従つてそういうものが他の一般の民間の業者に委託されるということが、異様に感ずるのであります。ところが今伺えば、何か弊害が発見されれば将来改善するけれども、弊害が発見されない限りは、現状で行くかのような御意向にも聞きますので、こうなると、根本の方針はどうかということを私は疑う。もしそれ何らの支障、弊害がないということであるならば、全国そういうようなことにしていいじやないかという逆な議論さえ生ずるのでありまして、これはもつてのほかだと思います。大臣の御意向をひとつ伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/63
-
064・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点は吉田委員が御指摘になりました通りと私どもも思うのであります。どういう事情でこれができたか。今松井局長が御説明申し上げましたように、扱い方としては例外なものであることは確かに考えられます。私どもとしても十分検討して、これが信書の秘密など保持できない、もしくはそういう危険があるということであるならば、是正すべきものは是正しなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/64
-
065・吉田賢一
○吉田(賢)委員 自由党の濱地委員が、二、三回前の委員会におきまして、何か自分が出したはがきのことについて、知るはずがないのに知れておつたというようなことで、実に奇怪な思いをしたという意味で質問があつたわけであります。何か幾つか出したものが、選挙違反のごとくに商われた。しかしそれは郵便局から漏れたのであろうかということを言つておつたくらいでありまして、ましてや身分などについて公務員の服務紀律等にも関係ない人々が、事実上従事するようなさような特殊な今の事例の場合に、やはりその辺について国民の不安をすみやかに一掃するということが最も適当だと思いますが、大臣は御研究になるような御意向でありますから、それを信頼することにいたしておきたいと思います。しかしこの案の運命いかんにかかわらず、さようなことについてすみやかに適当な、これをなくするという方向へ持つて行かれるように、希望を申し上げておきたいと思います。
〔片島委員長代理退席、委員長着席〕
それからこれも小さなようなことでありますけれども、私この間郵便局を二、三歩いてみまして気づいたことでありますけれども、郵便局によりましては、公労法の適用を受けておらぬ主事とか、課長とかいう人が、相当ではありますまいけれども、おるようであります。私はこの全国の職員の総数等の資料の提出を要求しておいたのでありますが、そこで私の聞きたい点は、やはり私らが現実に見ましたところによると、たとえばある主事なんかの人の仕事を見ますると、やはり郵便局の特殊業務のその特殊性が、その人らの仕事の上にもあるように思われる点が二、三気づくのであります。そこでこれらの公労法の適用外の人々につきまして、適当に待遇のこともお考えになつてしかるべきでないだろうか。これらの人々は今のところ団体的に行動をする自由といいますか、力をほとんど持つておりません。これは相当考慮することが、能率あるいは仕事に対する意欲、あるいは公平、各般の上から見まして相当重要な問題を含むように思いますので、この点につきままして何か御方針がおありでありましたら、ひとつこの機会に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/65
-
066・塚田十一郎
○塚田国務大臣 実はこの点は今度の全逓の給与体系をつくります場合に、私もずいぶんいろいろ考えたわけであります。これをどういうぐあいにするかということは、もちろん一般的、原則論的な、ものの考え方としては、当然上げて行かなくてはならぬという考えでありますが、ただ実際の扱い方として、どういうぐあいにしてこれを救済するかということは、むしろ財源がある、ないということよりも、もつと技術的な問題で私は実は悩んでいるのでありまして、今度のこの全逓の賃上げ、給与体系を是正いたします場合に、大蔵省から出ました最も強い反対論は、これが一波万波である、ここのところを上げることによつて必ず公務員全般に及んで行くということが、強い反対論の根拠であつたわけであります。しかし私は、そんなことはない、郵政の組合員に入つている従業員の人たちは、公労法を適用されているのだから、公労法を適用されている人たちという意味で、これは一般公務員とは別だ、だから、全逓の人たちが他の公務員の人たちと、給与の扱いで段階ができるということ自体は、別にさしつかえないことだというように強く主張して、今度の全逓の給与体系の是正が、相当不満な形ではありますが、できたわけであります。そういうふうな考え方からいたしますと、私どもとしては、今度これが上つたらなおバランスがとれないという意味で、そういう人たちの待遇の改善ということは、なかなか主張しにくい状態にあると思います。しかし何とかせぬでほつておくというわけに行かぬので、何とか考えたければならないと思つているのでありますが、しかしまた扱いの上から言いまして、全逓の諸君はお互い団体交渉をもつてきまるのであり、その他の人たちはおそらく一般公務員と同じように、人事院の勧告によつてきまるのでありますから、人事院の勧告も近く出るだろうと思いますので、その機会にあわせて考えて行きたい、こういうふうに思つているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/66
-
067・吉田賢一
○吉田(賢)委員 これは同じ屋根、むねの中にいる仲間の人々でありますから、特段の御留意をもつて対処せられんことを望んでおきたいのであります。
それからもう一つ、このたび各省庁にわたりまして、行政予算の緊縮について方針がきまるようであります。これは地方の局舎の改築とか新築とかいう面の予算に影響するのかどうか、その辺について今のところ何かお考えがまとまつておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/67
-
068・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは私が承知いたしておりますところでは、十三億五千万円の節約の中に、約四億がそういう建設に充てられるべきものの繰延べとして入つているように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/68
-
069・吉田賢一
○吉田(賢)委員 それからこれも地方へ行つて拾つて来た希望でありますけれども、一般に主として外勤ですか、そういつた方面の職員について、服装を貸してほしいという問題を数箇所私聞きました。こういう点は過去においていろいろな経緯もあつたかと思いますが、どういうふうにお考えになつているか、この際何か聞かせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/69
-
070・松井一郎
○松井政府委員 その点は外勤とおつしやる方の内容でございますが、一般にわれわれの局員につきましては、外勤の方々に対して全部制服を貸与しております。ただ島便とか僻地で請負をやつている方々につきましては、便宜そういう取扱いをしているはずでございますが、外勤に従事しながら服装が得られないということは、私はちよつと想像できないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/70
-
071・吉田賢一
○吉田(賢)委員 それでは最後に郵政大臣に、この前の十五国会におきまして附帯決議がされておりまして、これはすでに御承知のことと存じますが、これについて一応御意見を伺つておきたいと思います。
これはしばしば他の委員からも、総括的にお聞きになつておつた点でありますが、一つ一つについてお考えのあるところを伺うことは、実はこの委員会においてわれわれが態度をきめる院におきまして、非常に重要な参考になるのであります。お手元にありますか。——ありましたら、一から読んでみますが、第一は事業施設の改善と技術の向上であります。第二は郵便事業は国家専掌を本旨とするにかんがみまして、将来の委託業務の漸次縮小であります。第三は業者に不誠実な行為があれば、ただちに解約するということであります。第四は更新契約については、私的独占の弊に陥らない留意の要請であります。第五は料金の公正、低廉ということになつておつて、いろいろな質疑を通じても、大体ここに要約されておるような感じがするのでありまして、これは非常に重要な内容が盛られておると思いますので、大臣からこの一項々々につきまして、政府の所信のあるところを伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/71
-
072・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この附帯決議につきましては、私も先般来いろいろ研究いたしておるのでありますが、大体拝見いたしまして、一、三、四、五、この四項目については、私もしごく同感であり、かりに附帯決議がなくとも、そういう点については今後郵政業務を運営して行く上に、十分注意して行かなければならないと感じておるわけで承ります。ただ項目の第二につきましては、若干先ほどもお答え申し上げたのでありますが、私は国家専掌というものを、必ずしもこれを全部直営にしなければ、この国家専掌の目的が達しられないというようには考えてはおらない。従つて国家専掌の目的が達せられる範囲においては、委託業務も必ずしもさしつかえはないのじやないか、むしろこの事業の能率的な運営ということの方を主に置いて、その考え方郵政業務の国家的要請というものの調和できる範囲では、併存して行つてもさしつかえないのではないかと考えているわけであります。つまり国家尊堂ということは、国が責任を持つてやらなければならないが、国が責任を持つて自分の名前のもとにやる、その事業のうちの一部分を、経済的な観点その他から考えて、他の人に委託という形で移すということは、一向さしつかえないのではないか、私はこの点についてはそのように考えておりますので、むしろその委託にすること自体が、はたして郵政業務の国家的要請に合致するかどうか、それに背反するようなことがないかどうかということを考えながら、経済性というようなものをあわせて考えて今後決定して行きたい、こういうふうに感じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/72
-
073・吉田賢一
○吉田(賢)委員 この一、三、四、五につきまして、何か具体的な御意見はないのですか。三は明瞭であります。これは字句その通りであつて、きわめて簡単でありますけれども、第一の専業施設の改善とか技術の向上等についてお考えはないか。申すまでもなくこの附帯決議は、その決議ができるだけすみやかに実現せんことを要求して、そういう趣旨において、前国会においてこの法案を通過さしたのでありますから、その意味において国会の全意思であろうと思います。大臣は御就任間もないことでありますから、あるいはこの内容等につきましては、今後日時をおかしすることが必要かと思いますが、事務当局においては、これについてはすでに相当御検討もあろうかと思いますので、それは伺つておきまして、省の意見としてこれが通ることになれば、私は当然前の国会の委員会の意思なんかも、相当尊重されるという意向が明らかになつて来ないと、国会としては非常に不安であります。この点について御説明を願つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/73
-
074・松井一郎
○松井政府委員 第二項の点につきましては、すでに大臣から御意見がありましたが、第一項は「これによつて事業の施設の改善、技術の向上を促すこと。」こう書いてあります。これはもちろん私たち「これによつて」ということは、結局事業者というものが誠実によきサービスを続けておれば、将来やつて行けるというような保証のもとに置かれるわけでありますが、当然彼らに対してよりよきサービスの指導並びに技術の向上を期するということはいたしたいと思つております。これについては私どもとしては特に異存はございません。
また三につきましては、これは附帯決議ということもさることながら、実はわれわれとしては契約によつて誠実にやつておるということを前提として、契約を存続するわけでありますから、不誠実な業務をやつておればただちに解約する、これは申し上げるまでもなく当然であります。
次の四については、これは先日も吉田委員からのお尋ねがありましたように、われわれとしても決して正面切つてこれが独占禁止法とどうのこうのという法律論でなくして、よき意思をもつて業者の進出する余地については、できるだけ考慮いたしたいという方針であります。
五については、「公正にして、低廉にすること。」こう書いてありますが、この委員会においても私からもたびたび御説明いたしましたように、現在の統制下においては、道路運送法の規定によつて、どうしても適正運賃というものが法律上要求されるという段階に立ち至つておりますので、この五の内容が公正にして低廉になるということは、これは当然なことだろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/74
-
075・吉田賢一
○吉田(賢)委員 最後に一つ伺つておきますが、請負契約の業者は、実質的に郵便局の職員と同じ仕事をするわけでありますが、一方は公務員としての責任と義務と保障を受け、他方は通常の営利会社の従業員、被雇い人としてまた権利と責任とある保護を受けるということになると、必ずしも両者同じではありませんが、これはむしろ仕事そのものが公務員的要素が多いのでありますから、あるいは公務員としての待遇とか、あるいは保護とか責任とか、そういうものを持たしたり与えたりするということが、適当でないかという意見も立ち得ると思うのですが、この辺について仕事を正確に敏速になさしめるという上から見ても、相当検討をなすべき問題であろうと思うのですが、こういう点についてはどういうことにお考えになつておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/75
-
076・松井一郎
○松井政府委員 ただいまお尋ねのように、こういう郵便物の運送に従事しておる人間は、かりにそれが民間の人であつても、この郵便の輸送している仕事の性質からして、強い公益性が要求される、これは申し上げるまでもないことだろうと思います。そこで現在の郵便法の第八十五条というものが、郵便法の罰則を規定しているわけでありますが、この罰則規定の適用を受ける人は、公務員の身分を持つておろうとおるまいと、現実に郵便物を取扱つておる人間には、ひとしく同じ罰則が適用されることになつておるのであります。その限度においては、公務員並に罰則規定を受けておるということを申し上げてさしつかえないと思います。ただおつしやるような形において通例想定せられる条文は、この仕事に従事せられている者は、公務に従事する者とみなすというような条文規定が、ところどころ置かれているような場合があるのであります。これを置きますると、精神的な問題は別といたしまして、法律的には、そこに新たに公務執行妨害罪というものと、涜職罪といつたようなものの成立の根拠が出て来るわけであります。私どもいろいろと勘案したのであります。郵便の大事である、公益性があるという面から見ますれば、現在の信書を侵す罪だとか、あるいはこれを正当に取扱わないということに対する罪のほかに、そこまでも求めた方がより公益的色彩が強くなるわけでありますが、しかし一方考えてみますると、郵便物を取扱つている方々が、はつきりと全部が全部専用の業者としてやつておる場合もありますが、そのほかに、たとえばバスの託送を受けている、その他の私鉄の電車にも積み込んでおるといつたようなことを想定いたしますと、そこまで広げて参りますと、国民のそれに対する一つの負担と申しまするか、そういうことが重くなつて参ります。そこで一体どの程度までするかということについて、実は政府内部においても、いろいろ議論はしてみたのでありますが、従来この法律を施行して来た何年かの間の実績にかんがみまして、その公務執行妨害罪あるいは涜職罪までを前提とするものを、どうしても入れなければならぬかということについては、まあ実績から見ても、さしあたりはそれほどの必要はないだろうというので、一応信書の秘密を侵す罪、それからこれを正当に取扱わない場合の罪という程度において、この一般の業者の場合においても、公務員並の統制のもとに服しておる、こういうふうな立て方になつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/76
-
077・吉田賢一
○吉田(賢)委員 郵便物の運送につきまして、刑事的、犯罪的な——今おつしやつたようなことに関連して、そういう事項はこの受託業者の方で生じたことはありますか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/77
-
078・松井一郎
○松井政府委員 この法律を施行いたしまして今日まで、この刑罰の対象となつた事例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/78
-
079・吉田賢一
○吉田(賢)委員 前にこの基本方針について伺つておつたときに、ちよつと触れておつたのですけれども、なお確かめておきたいのです。受託会社の経営上の利益の問題につきまして、何か監督、干渉というようなことはお考えになつておりますかどうか。これは大体においてそう大きな利益が上るものではないと思いますけれども、同時に、やはり公正にやらねばなりませんので、その辺について相当監督し得るならば、なおいいのではないかと思うのですが、これはいかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/79
-
080・塚田十一郎
○塚田国務大臣 現在の委託の形式が、御承知のように請負の形になつておりますものですから、一旦契約をいたしますと、相当大きな利益を上げておるという状態があつても、その過程においては、一々その内容までは監督できないし、そこまでは必要がないのじやないかと実は考えております。しかし、そういうような状態が生ずるおそれがあれば、途中におきましても、いろいろな資料や何かを出させまして、料金をどういうぐあいに是正するかというようないろいろな資料を集めて、次の段階の単価の決定の仕方の際に、これを十分規正いたしまして、あまり不当な大きな利益を上げさせないということは、お説の通りにやつて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/80
-
081・田中織之進
○田中委員長 それでは本日はこの程度にとどめます。次会は来週の月曜日午前十時ということにいたしまして、本日はこれで散会いたします。
午後三時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605256X01419530717/81
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。