1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月七日(火曜日)
午前十一時十二分開議
出席委員
委員長 赤松 勇君
理事 倉石 忠雄君 理事 丹羽喬四郎君
理事 持永 義夫君 理事 高橋 禎一君
理事 山花 秀雄君 理事 矢尾喜三郎君
理事 山村新治郎君 荒舩清十郎君
池田 清君 鈴木 正文君
田中伊三次君 田渕 光一君
野田 卯一君 三和 精一君
山中 貞則君 川崎 秀二君
佐藤 芳男君 町村 金五君
黒澤 幸一君 多賀谷真稔君
井堀 繁雄君 熊本 虎三君
中澤 茂一君 中原 健次君
出席国務大臣
労 働 大 臣 小坂善太郎君
出席政府委員
労働事務官
(労政局長) 中西 實君
委員外の出席者
労働事務官
(労政局労働組
合課長) 山崎 五郎君
専 門 員 濱口金一郎君
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七月四日
委員荒木萬壽夫君及び春日一幸君辞任につき、
その補欠として町村金五君及び中澤茂一君が議
長の指名で委員に選任された。
同月七日
委員吉武惠市君及び三浦寅之助君辞任につき、
その補欠として田中伊三次君及び三和精一君が
議長の指名で委員に選任された。
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七月六日
けい肺法制定に関する請願(赤松勇君紹介)(
第二七七三号)
けい肺病療養補償期間延長に関する請願(菊川
忠雄君外四名紹介)(第二七七四号)
呉市の失業対策事業拡充に関する請願(前田榮
之助君外一名紹介)(第二八〇〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同月四日
電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法
の規制に関する法律案反対の陳情書外四件
(
第六六〇号)
同
(第七二〇号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法
の規制に関する法律案(内閣提出第二一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/0
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001・赤松勇
○赤松委員長 これより会議を開きます。
電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案を議題といたします。質疑を許します。山花秀雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/1
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002・山花秀雄
○山花委員 この前の一委員会に、アメリカの基地の問題と基地でない問題、特需関係の労働組合の資料の提出を要求いたしておりました資料をいただきましたが、東日本重工以下四社が基地の外にあるという資料であります。この四社におきましては、国内法の完全適用があるものと私たちは了承したいと思いますが、労働省の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/2
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003・中西實
○中西政府委員 完全適用があると御了承いただいてけつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/3
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004・山花秀雄
○山花委員 もう一問いたしてあとの質問者に譲りたいと思います。本日労働大臣の各地方官庁に対しての通達として、総評が行つておりますところのストは政治ストである、これは違法であるから、それをやる場合には労組法の規定するところの保護は受けられない。こういう通牒を発したということが新聞紙上に掲載されておるのでございます。私どもといささか見解を異にいたしますが、この際この問題に関して労働大臣のお考えを率直にお述べを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/4
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005・小坂善太郎
○小坂国務大臣 新聞にすでに報道されておりますが、本日零時半ごろ総評の代表の方においでをいただきまして、私から、今回十一日に考えられておると伝えられるストライキは、スト規制法に反対するためのストライキであるというお話であるようにいわれておりますが、これが真実とすれば、そうした法規反対のためのストライキというものは、いわゆるストライキの正常の形でないと思う。これに対してどういうお考えであるかということを承つて、いささか懇談したい。なお、あまりそうしたことを過激にわたる方法に出られないように、私どもとしては産業の平和をこいねがつておる立場であるということを申し伝えたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/5
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006・山花秀雄
○山花委員 午後総評の代表者と会つて懇談するという、大臣のただいまの答弁でございましたが、けさの新聞紙上に流布されておる件だけだとは、私どもは了承しかねるのでございます。しかし総評の幹部との懇談もございますので、それから後に新しい事態が生じましたならば、私はまた重ねて質問いたしたいと思います。私の質問はこれで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/6
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007・赤松勇
○赤松委員長 熊本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/7
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008・熊本虎三
○熊本委員 先日から引続いて急を要するもの数点について、お答えを願つておきたいと存じます。それは第一には、米国海軍極東司令部に起きました解雇手当の問題であります。これに対しまして、その後労働大臣といたしましていかなる措置と、将来の見通しはどういうふうに持つておられるかを、この機会に承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/8
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009・小坂善太郎
○小坂国務大臣 ただいまの御質問の点に関しましては、先般の委員会でも問題になつたのでありますが、これは昭和二十七年十一月二十一日付で中央監督署に、解雇予告の不備について関係労働者から申告があつたのであります。これに基きまして二十八年の一月二十一日東京基準局が調達庁及び労働者代表に対して、本件の解雇予告は基準法第二十条にいうところの睡魔予告に当らないものである。従つて解雇予告手当を支払うべきことを正式に通達した案件であります。これによりまして、調達庁におきましても右の東京基準局の見解を正当と認めまして、渉外労務管理事務所長を通じて米軍に支払方の要求をせしめたのであります。これに対して米軍側におきましては、これには承服しがたいという旨の通告がありまして、以後調達庁と米軍在日調達部との間におきまして折衝を進めて来たのでありますが、米軍側は依然として予告手当の支払いを拒絶して参つたのであります。調達庁は右の経過にかんがみまして、五月十四日外務省に対して、正式に本件を日米合同委員会に提案されたいということを要請いたしたのであります。そういう経過でございますが、この問題はなるたけ円満に解決する必要があると思いまして、私どもとしても注意を与えて、外務省におきましては、日米合同委員会を円滑に運営するためには、ある程度の事前外交折衝を要するというふうに考えまして、その線で折衝して参りました。その結果近く折衝を終了次第、正式に日米合同委員会にかけた上結論が出されるというふうに見ておりますが、その結論の出るのもきわめて近い時期であろうと考えております。またその交渉の経過は、順調に進んでいると聞いておりますから、解決に至るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/9
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010・熊本虎三
○熊本委員 労働大臣は最近の御就任でありますので、以前の責任を現労働大臣にあまりに追究することはいかがかと存じますが、しかしながら、折衝は外務省にあることは言うまでもございませんが、案件自体の責任は労働省にあるはずであります。従つて政府自体が、同じ管轄下にある基準局の認定に対してこれの実施を遅らすということは将来の遵法精神に対しましても、あるいは複雑なる労働行政に関しても、監督官庁たる労働省の処置は最も重大であり、しかも緊急を要することでなくてはならない、かように考える次第であります。従いまして、外務省の折衝の推移が難航であればあるだけに、問題は重大化して来るわけでございますから、労働省といたしましては、熱意を持つて外務省を督励し、もしその外務省の折衝に期間を要することがありますならば、労働省は責任を持つて、まず何らかの処置において、これが急速なる解決をすべきであると考えておりますので、その点とくと労働大臣の御努力をお願いいたしまして、本問題に対する質疑はこれで打切ります。
次に労働省の処置としてなさるべき問題の一つとして、自由労務者といいますか、日雇い労務者に関する夏季手当の問題があります。その名称のいかんは別といたしましても、すでに迫つて参つておりますこの問題に関しましては、先般来繰返し言つておりますように、また春日委員からも重ねて質疑がありましたように、問題は至つて深刻であります。従つて、この問題に関する限りは、労働省においては十分なる御配慮の上に、最高最大の努力を持つてこれにこたえられなければならない、かように考えて、質疑の中にも要望いたしておつたのでありますが、その後の労働省の態度及びその結果について御答弁が願えれば幸いだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/10
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011・小坂善太郎
○小坂国務大臣 熊本委員の御心配の点につきましては、労働省といたしましても、日雇労務に携わられる方々の生活の実態にかんがみまして、まことに御同情にたえないと考えております。何とかいたしたいと思つて、せつかく努力してみたのでございますけれども、何分にも予算の制約がありまして、非常に困難でございます。しかしながら、これにつきましては、先般申し上げましたように、できる限りの考慮をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/11
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012・熊本虎三
○熊本委員 労働大臣といたしましては、相当の理解と熱意を持つて努力されておると推察はできるのでありますが、しかし、問題はすでに迫つておりまして、最大の熱意とそれから好意をもつて努力中であると言われますが、まことに期限的に迫つておりますから、もう少し具体的な労働大臣の考え方をお知らせ願いたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/12
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013・小坂善太郎
○小坂国務大臣 いわゆる夏季手当に関しましては、昨年はなかつたのでありまするが、本年は二日分の手当を差上げることに、すでに決定をいたしておることは御承知の通りであります。しかし、どうも非常に生活がお気の毒であるということについては、労働省といたしまして深くさように考えて、できるだけの努力をいたしておりますが、一般の公務員に対しまする夏季手当は、現在御承知のように〇・五箇月分ということになつておりますが、これに対してプラス・アルフアが決定されるような場合には、賃金一日分に相当いたしまする額を、賃金増給または就労日数の増加という形で追加加給いたしたい、こう考えております。これは年末に三日分出ておりますので、年末と同様の額でございます。さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/13
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014・熊本虎三
○熊本委員 はなはだしつこいようでございますが、ごらんの通りの悲境のどん底にある労働者が、耐えかねて全国から集まつて、悲壮な運動も続けられているようでございます。これらの事態から考えましてぜひとも労働省で御高配が願いたい、かように考えているわけでありますが、ただいまの御答弁は、いろいろの事情があるので思うようにならないけれども、労働大臣としては少くとも昨年末に与えたる三日分は支給したい——それより以上ということをわれわれ要望いたしておりますが、今日の答弁は、年末に与えた三日分はもらえるものという了承をしてよろしいかどうか、さらに御答弁を願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/14
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015・小坂善太郎
○小坂国務大臣 それ以上の御要望ということでございます。多ければ多いに越したことはないと思いますが、熊本さんもすでに御承知のような財政上の実態でございますから、どうかこの三日ということを最高の限度とひとつお考え願いたいと思うのであります。もし熊本さんにおいて、それならばいたし方あるまいというか、まあ現状においてはよくやつた方だと、こういうふうに御了承願えますれば、私は責任を持つてその努力をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/15
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016・熊本虎三
○熊本委員 非常な熱意を持つての御努力でございすから、われわれといたしましては、その労働省の努力、熱意については了承いたしておきたいと存じますが、なお、できるだけの御努力を賜わりたい、かように要望して時間の制約がございますから、私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/16
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017・赤松勇
○赤松委員長 熊本君にお尋ねいたしますが、質問は終つたのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/17
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018・熊本虎三
○熊本委員 よろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/18
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019・赤松勇
○赤松委員長 小会派として井堀君から、今発言の要求があるのでございますが、四十五分まであなたの時間をとつてあるのです。よろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/19
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020・熊本虎三
○熊本委員 ええ、よろしゆうございます。あとでまた関連質問をいたしますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/20
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021・赤松勇
○赤松委員長 中原健次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/21
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022・中原健次
○中原委員 まず最初に、各労働団体が、正当な要求を持つて毎日国会の周辺に参集いたしておるのであります。それに対して政府はこのような様相をどのようにごらんになるのか、まずその御見解を承つておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/22
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023・赤松勇
○赤松委員長 中原健次君、労働大臣はよくわからなかつたようでございますから、もう一度……、それからお願いしておきますが、四十五分まで時間をとつてありますから、そのつもりで御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/23
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024・中原健次
○中原委員 最近各種の労働団体が、全国的な規模を持つて、国会周辺にその代表諸君が参集しているわけであります。この参集している姿を見て、政府はどのようにこれを感じておいでになるのか。この労働組合代表諸君の政府並びに国会に対する陳情及び要請の行動に対して、どのようにこれをお受取りになるのか、政府の御見解をまず承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/24
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025・小坂善太郎
○小坂国務大臣 組合の方々において、それぞれの立場でそれぞれの御主張を持つて行動されておるのでありますが、私どもとしては、その中に良識のある行動というものが規律されることを希望しておるのであります。なぜこう来ると思うのかという御質問でありますが、結局日本の敗戦後の経済の混乱、また敗戦を受けた時代から一歩一歩立ち直らんとしておる経済の歩み、そうしたものから早くわれわれとしてはりつぱな国をつくり上げ、それぞれ満足といいますか、国を繁栄させるということの喜びに満ちている国にしたいものであるということを、その様相を見て感ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/25
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026・中原健次
○中原委員 御答弁の全部がよく聞き取れなかつたのでありますが、大体見当はつきます。労働組合の各代表諸君が集まつておりますのは、もとよりそれぞれの団体の事情によつて、問題点が各種各様であることは申すまでもありませんが、これに一貫しておる問題は、労働者の当然要求せなければならない生存権の確保の問題であるのであります。帰するところは、労働者が世に人たるに値する生活を確保するために、いろいろな努力を続けておる姿なのであります。言いかえますと、労働者の正常な要求に対しまして、相手方が誠意をもつてこれに答えをすることに、はなはだ怠つておる、こういう事実が、労働組合の代表諸君をして、このように全国的な規模で参集を余儀なくせしめておる実情であることを、まずはつきりと御認識を願いたいのであります。従つて、労働行政に対する政府当局の今後の構想は、当然そのような見地から出発しなければならぬのであります。もしその認識に欠けるならば、おそらく労働行政というものは、成功的に、スムーズに推進されないであろう、私はそのように思います。つきましては、まず昨日こういう問題がある。全土建関係の労働者、すなわち失業者労働者諸君のつくつております労働組合代表が、労働省当局に対して面会を申し込んだのであります。ところが、労働省当局は門をかたくとざして、その代表者を快く入れることを拒否した、こういう事実がある。これに対しまして、労働省は一体何のためにそのような措置をおとりになられたか、まずその点を承つておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/26
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027・小坂善太郎
○小坂国務大臣 実は率直に申しますと、私はきようお会いすることにいたしております。十二時からその代表諸君とお目にかかります。私としましては、秩序あるお話、行動というものをお願いしておるわけでございまして、何も他意はございません。われわれとしては、ほんとうに心から御同情申し上げ、国の敗戦の結果とはいいながら、また国自体が非常に貧困であるためとはいいながら、十分な働ける場所もなくておられるこれらの皆さんに対して心から御同情申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/27
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028・中原健次
○中原委員 本日正式に会見をなさるということにつきましては、まことにけつこうでございますが、昨日は門をとざしてしまつた。なぜそのような形で、一応だれか適当な人が労働者代表と御接見になることをとりはからわれなかつたか。このことについては、いやしくも労働省当局が労働者を締め出すという心構えの現われがそこに出ておることを、否定するわけに参らぬのであります。そういうような物腰で本日これから会見をされましても、やはりその会見の結果に対して私は不安を感じます。というのは、いわゆる熱意を傾けて労働者の要求を聞き、その労働者の要求に対して熱意をもつて答えを示して行くという態度を、そのような前提をもつてしては期待しがたい、こういうように思うのであります。もちろんそうでなければけつこうでありますが、その点につきましてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/28
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029・小坂善太郎
○小坂国務大臣 何か誤解かと思いますが、労働省の担当官は昨日お会いしておるのであります。私は私に対する御要求を直接聞いておりませんでしたし、国会におりましたものですから、聞きましてすぐ、それではお会いしようということにいたしたのでありますが、安定局長以下その事務に携わる者は、お目にかかつておる次第でございまして、そのお目にかかるごとについて、非常に妨害的な、阻害的な態度であつたというのは、何か誤解ではないかと思つております。関係の責任者は、代表の方にお目にかかつて話をして、その結果、一時は赤旗を持つて押しかけて来られたようですが、その後また円満にお引取りを願つた、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/29
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030・中原健次
○中原委員 結果としては、おそらくそうであつたと思います。しかし当局の担当者と組合代表がお会いするまでの過程に、いろいろ問題があつたのであります。すなわち、快く最初から会見していない。私ども労農党の館俊三代議士が、このことにつきましては非常にやかましく当局に提言して、そのことをとりはからつて、辛うじて本日の会見ということになつたのだろうと考えられるような節があるわけであります。ただ、私が申し上げようとするのは、結果としてはそのようになつたのであるといたしましても、その結果に到達するまでの過程の中に、労働省当局に誠意が欠けておるということを、私は指摘しておるわけであります。このことについて論議をすることはこれでやめますが、この全国多数の失業者諸君の今後の労働行政につきましては、先日もちよつと触れましたように、この労働者諸君の要求に対して、政府が熱意をもつてこたえるというためには、この失業労働者諸君の失業のよつて起る原因が、失業労働者自身の責任ではなくて、政府の施策にその責任があるということに対する十二分の御認識をまず前提とされて、だからこそ政府は責任を持つて、労働する権利がある労働者に対して労働を完全に確保するための努力を払う、この見地から答えを出されなければならぬことを付言いたしておきます。
なお、失業労働者の場合、特に問題になりますのは、給与を幾分上げてもらつても、あるいは夏季手当の増額をいたしましても、その後に起る問題は、稼働日数を削られて行くという、すなわち予算の総わくをもつて操作されておるところに、大きな不安があるのでありまして、従つて、失業労働者諸君の要求にこたえて、より待遇をするということは、そのわくの拡大を必ず伴うということを決意をもつて前提されたいことを私は付言いたしておきます。
なお、その他のことにつきましていろいろ失業労働者諸君の問題についての私の見解もありますけれども、時間の制約もありますから、それは他の機会に譲るといたしまして、もう一点だけ伺つておきたいと考えます。これも先般館俊三議員が御質問申し上げたところでありますが、立川に所在する米中合弁民間航空輸送会社とでも申しますか、そのCATの会社の従業員が、当然な要求を提出したために、その中心になつたと向うで認定いたしました副委員長を不当馘首しておる、こういう事実があるわけであります。このことにつきまして、どうも外国資本の会社は、しばしば最近そういう無謀なことをよくやつてのけております。政府はしばしば答弁をして言つておいでになるように、労働三法は完全に実施され、適用されておると言われておるにもかかわらず、実はこのような不当労働行為が平然として行われておるという事実があるのであります。これについて調査を遂げて報告をするというその筋の結論であつたと聞いておりますが、この立川の輸送会社に関するその後の調査の経過、あるいは模様結果等をこの場合明らかに御発表願いたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/30
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031・中西實
○中西政府委員 その後出先の機関で調査いたしました結果、問題は大体円満裡に話合いがついてしまいました。内容は、最後の交渉の行われましたのは七月二日でございますが、条件は、全駐留並に〇・五箇月分の夏季手当を二、三日中に払うということ、それから次にベース・アツプについては、小委員会を設置してすみやかに協議するということ、さらに問題の馘首の件につきましては、当日の団体交渉の雰囲気から見ましても、両方友好的に解決するであろう。この問題につきましては、出先の労政事務所が中へ入りまして、十分に仲をとりもつておりまして、おそらくこの点は近く円満に妥結するのではなかろうかというふうに報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/31
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032・中原健次
○中原委員 大体御答弁によれば、労働組合側の要求がそれぞれの形で解決されて行く、労働者の要求に沿うような結果に到達しつつあるという印象を与えるのでありますが、これはちよつと実態と違うように私は考えます。私も実は実情をよく調べております。それによりますと、なかなかそうは行かないようです。なるほど言葉の上ではそういう印象を与えるような答えもあつたようでありますが、実際はなかなかそうではなくて、まず馘首した坂本副委員長につきましては、これはとうてい復職は困難であるというような様子が伝えられておるのが実態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/32
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033・赤松勇
○赤松委員長 中原君、あと一分でありますから、御協力願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/33
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034・中原健次
○中原委員 もう一点は、ベース・アツプの問題その他のことに関しまして、労働組合側がもし強硬な態度に出、あるいはストライキのような様相を呈するならば、全員馘首するぞ、その用意があるからさよう心得ておけ、こういういかめしい態度で、形相ものすごく労働組合へ伝達しておるそうであります。このような物腰がそのまま容認されてよろしいものかどうか。今日の労働三法下におきまして、同時にまたわが日本の憲法下におきまして、そういう使用者側の態度がそのまま黙認されてよろしいかどうか、看過されてよろしいかどうか。私はこの点に関しましては、労働省当局は、わが日本の法の権威から考えましても、労働者の要求は別といたしましても、これは等閑視さるべき問題じやない、このように考えます。ことに基地関係の労働組合あるいは外国人の工場に勤めております労働組合側におきまして、非常に問題がたくさんかもされておるのでありまして、この点につきましては、いずれあらためて十二分にこの真相を、ひとり立川のこの事件だけじやなくて、全般に関して労働委員会の責任において調査しなければならぬと考えておりますが、もとより政府当局におかれましても、この問題について、もつと積極的に、腹をすえて御調査が願いたいし、その結果としての権威ある対策を立てられることを私は要求いたしておきます。
時間がないそうでありますから、残念ながら一応質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/34
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035・赤松勇
○赤松委員長 井堀繁雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/35
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036・井堀繁雄
○井堀委員 ただいま上程されております電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案、俗にスト規制法といわれております法案について、お尋ねをいたしたいと思います。
前にちよつとお願いをいたしておきたいと思いますことは、前回高橋委員の質問に対します労働大臣の答弁を伺つておりますと、急所をはずして、故意に答弁を逃げているかの感じをいたしておりますので、さようなことでありましては、この法案を徹底的に審議し、一日も早くその審議を終らすということを困難にすると思いますので、どうぞ誠意をもつて的確なお答えをお願いしておきたいと思います。小坂労働大臣が就任いたされました当時は、このスト規制法に対しましては、かなり慎重な態度を示しておつたように思うのでありますが、どういう事情か存じませんが、急転この国会開会劈頭にこの法案を上程されたのでありまして、この裏面に何か隠れたものがあることを思わせるのであります。この点について、ぜひこれを明らかにする義務が労働大臣にあるのではないかと思います。それはわれわれ労働者側の立場を代表する者からいたしますと、ここに提案されたスト規制法の対象になります電気事業あるいは石炭鉱業は、いずれも重要産業として、終戦後におきましては、日本の乏しい財政や、連合国の強い庇護のもとにあつて維持をして来た産業であります。これが独立後日本経済の自立達成という建前から、どうしてもこの両企業とも、自立経済の基礎の上に企業合理化が迫られておりますことは、申すまでもありません。この企業の合理化が、民主的に正常な姿で行われるかどうかということは、ひとりその事業に関係する人たちの利害関係だけではなく、日本産業に及ぼす影響、国民生活に関係いたします事柄はきわめて大きいのであります。このような大きな日本産業の転換ともいうべき、しかも電気石炭の両方をわれわれは判断いたしますのに、たとえば今まで現われておりますところを見ましても、電気事業の場合における労務管理の、ストライキ以後における短かい期間だけをとらえてみても、ただちに理解ができますことは、経営を民主化するという立場よりは、経営者としては、安易な道を選ぶという人情の常からいたしまして、労働者を犠牲にする、すなわち労働強化か労働者の首切りといつたような方法を、えてしてとろうとする傾向が、露骨に現われて参つておるのであります。たとえば電気事業それぞれの企業計画に基いてわれわれが調べますのに、たとえば電気企業をどういう方法において合理化するかという問題について、多くの内容が紹介されております。その方法を述べる必要はないと思いますし、また労働大臣はこの点について相当の見解があると思いますので、その点も後日具体的に伺おうと思つておりますが、この機会においてただ抽象的に述べたいことは、この二つの産業とも、一つにおいては石炭事業のごとく、どうしても今の計画をそのまま承認するとすれば、多数の労働者を整理することなくして企業の合理化は進まないプランであると思います。このような労働者の多量の出血を伴う犠牲において企業の合理化、自立経済達成を行おうとする矢先においてこの法案が出されるということについては、すべての目をもつて見詰める労使の力関係のバランスを、根底から打砕くことになりますから、従来通りに労使関係が対等の立場にやや近い状態でありましても、前回のストライキにおいても判断できまするように、われわれ経営者側は強い力を発揮いたしておるのであります。これの対抗策として当然労働組合が今後どのような対策を講ずるかは後日の問題でありますが、とにかく労使が対等の立場において力の均衡のあるところに私どもは平和もあり、あるいは労使関係の合理的な調整が行えると思うのでありますが、こういう点から判断いたしましてこういう機会にかかる法律を出すということは、あまりにも見えすいた事柄のような感じがいたします。この点について、どういう程度にまで労働大臣は考えを深くなされているかについて、できるだけ明確に具体的にお答えを願いたいと思うのであります。
さらに、二日間にわたつて行われました公聴会で、公述人のすべてが強調されておりますように、労使関係の調整は、この法律によつてはとうてい望めないのみならず、幾多の弊害を列挙して警告を発しております。さらに、憲法の規定する基本権に危険を及ぼすような法律であるという憂いをそれぞれ述べておるのであります。このようなきわめて重大な法律案を、労働大臣は先ほど申し上げた事実と、さらに労働組合が今日どういう態度をとつておるかについては、私から申し上げる必要もないほどに、あらゆる労働組合、労働者すべてが、この法律は時代に逆行する悪法であるという考え方の上に立つて、絶対反対の声が強い勢いをもつているくな運動になろうといたしておるのであります。かような条件のもとにおいてなおかつ労働大臣は、この法案を強引に通過せしめようとする御意思をかえないのであるか。ここら辺で思い直して本法案の撤回をするような御意思が生れて来たのではないかと想像いたしますので、率直にひとつ撤回の御意思があるかないかをお伺いいたして質問を続けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/36
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037・赤松勇
○赤松委員長 井堀君にお願いいたしますが、労働大臣は十二時から失対事業についての陳情を受けるために退席をいたしますので、今のあなたの質問に対して答弁をしていただいて、それで一時質問を中止していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/37
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038・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私が労働大臣就任以来、非常にこの法案について慎重な態度をとつておつた、それがこの国会に提案されたのはどういうことであるのかというのが第一点だと思います。これはいろいろ私も研究し、関係者の意見も聞いてみたりいたしたのでありますが、結局前国会において御承知のようにこれは衆議院を通過しておる。すでに本院の院議はきまつておるものだつたのであります。その後参議院に参りまして審議中に解散になつたのでありますから、政府としては、そうした院議をまず尊重すべき立場だろうと思うのであります。第二点としては、前回公聴会をいたしました際には、あのひどいストをやられてはたまらぬから、一日も早くこういう施策を出してくれという意向が非常にございまして消費者大衆は一日も早きこの法律案の成立を望んでおつたという事実、第三点といたしまして現実の必要がやはりある。本来炭鉱の保安要員の引揚げとか、あるいは電源スト、停電スト、あるいは給電指令所の職場放棄などということは、この経済のはなはだ意のごとく進まざる現在において、国家公共の立場からやるべきでないというのが、健全なる社会通念だと思いますが、しかしなお、それをもあえてしようという現実のおそれがあるということで、これはひとつこういうストライキは御遠慮願いたいという法律案を出すべきであろうという結論に達しました次第でございます。
なお第二の御質問といたしまして、企業合理化ということが、とかくやすきに流れて、労働者の犠牲において行われる、そういうものの先がけをする全国的な役割を持つ法律案じやないかという点であつたかと思いますが、こういうことは、実はこの法案自体を御審議願ううちに出て来ると思うのでございますが、本来すべからざる保安要員の引揚げなどというものは、これは昨日でしたか公述人の話にも公聴会においてございましたように、本来ストライキの中に入らぬ、労働者に帰るべき職場を失わせるというような、そうしたことは争議の中に入らぬというような話もあるくらいでございまして、そうしたものを御遠慮願いたいというだけで、他の争議権というものについては尊重いたしまして、労使対等の立場において交渉願うという趣旨でございますから、私どもとしては、これは決してそうしたようなことに悪用されないように考えておるのでございます。なお現実の問題として、そうしたことが出るという御懸念がございますが、私どもとしましては、労使間の風通しをよくするために、労働問題協議会というものをつくる構想を持つておりますので、この法案の実施過程においてどういう障害があるかというようなことは、そういう場においてあるいは国会の当委員会において十分にお取上げ願つて御議論願いたいと思うのであります。
私といたしましては、この法律案は、今申したように本来不当であるもの、あるいは社会通念上非であるというものの範囲を明らかにするということでございまして、労使間においては対等の立場で十分に——争議行為もあるいは必要である場合にはそれを使われまして、対等的に民主的に話し合う、そしてその話合いを通して、良識によるところのよき慣行を樹立せられて円満なる産業平和、企業の安定を確立せられることを期待しておる次第でございまして、本法律案の提案理由にも申しましたのですが、すみやかに御審議の上可決せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/38
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039・井堀繁雄
○井堀委員 撤回する御意思がないようでございますので、具体的な諸般の質問は時間の関係で後日に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/39
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040・赤松勇
○赤松委員長 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案に関して、通産委員会より連合審査の申入れがございましたが、これは理事会におきまして御相談申し上げたいと思います。
暫時休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
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午後四時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/40
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041・赤松勇
○赤松委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。
井堀繁雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/41
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042・井堀繁雄
○井堀委員 昨秋行われました電気事業及び石炭鉱業の両ストライキの原因についてお尋ねをいたしたいと思います。さきに高橋委員から、この点について質問をいたしておりますが、その答弁が、私どもの伺おうとするものとかなりかけ離れたものであります。そこで、私の質問いたします理由を簡単に述べますと、この法律案の提案されまする前提条件になるというような事柄でありますから、ごく具体的にお尋ねをし、具体的な答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
まず争議の直接の原因について明らかにしていただいて、続いてその原因についてもそれぞれの諸条件があろうと思いますが、主たるものを箇条的に説明していただきたいと思うのであります。それによりまして、さらに関連いたしまする二、三の事柄をお尋ねいたそうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/42
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043・小坂善太郎
○小坂国務大臣 昨秋のストについて、いかなる原因でこれが起つたかということであります。御承知のごとく労使の主張不一致であの結果になつたのでありまするが、これのよつて来るところは、占領下に長く置かれまして、その間に双方ともに何か満たされぬものを持つていた。それが占領が解除されて独立したということともに、自分らの主張をここで非常に明確にしたいという気持から、その間の両者の主張の差異が激突をしたというふうな感じを持つのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/43
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044・井堀繁雄
○井堀委員 何か誤解があるようでありますが、私の伺つておりますのは、争議の直接の原因であります、そのことについては、すでに労働省から資料を発表いたしておりまするが、御案内のように、炭労の場合におきましては、賃金要求とさらに団体交渉の形式において、争議の面接の原因があるようであります。電産の場合におきましては、同様賃金要求と労働協約をめぐつて労使の間の対立がストライキにまで発展いたしておるわけであります。このことを私がお尋ねいたしますのは、政府は、ここに問題となつておりますようなストライキがどういうものであるかということを明らかにしないで、ただその争議を禁止するということは当を得ないことでありますから、事実を明らかにする意味でお尋ねをしておるのでありますから、どうぞ率直にお答えを願いたいのであります。
そこで、ついででありますから、この争議の原因について、労働行政の衝にある者として、ことにこういう公益に関係する企業体において、労使の関係がかような紛争の形をとらなければならなくなつたということについては、相当的確な所見をお持ちになつていなければならぬはずでありますから、この点もお尋ねいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/44
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045・赤松勇
○赤松委員長 井堀君にお尋ねいたしますが、ただいま政府側の方から山崎説明員に答弁をさせたいという申出がございますが、それでよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/45
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046・井堀繁雄
○井堀委員 具体的なことについては、大臣に答弁を願わぬでもけつこうでありますが、ただ労働行政の責任の地位にある者として、こういうことについてはどうしなければならぬ、どういう処置を講じなければならぬといつたような問題は、私はそれぞれの事務的な衝にある者においては行えない事柄に属すると思うのであります。その点について大臣の所見をまず伺い、さらに具体的な点について説明の必要があつたならば、それの関係政府委員から御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/46
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047・赤松勇
○赤松委員長 わかりました。小坂労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/47
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048・小坂善太郎
○小坂国務大臣 両争議の原因については、井堀さんのお持ちの資料で十分御承知のことと思いますが、先ほど申し上げたように、経済的な要求において、要求する側とこれを受入れる側との間に非常に大きな開きがあつたということが、原因であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/48
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049・井堀繁雄
○井堀委員 こういうような大切な問題について、ただそういう御答弁では、こういう法律案を提案する責任者といたしまして、非常な疑義を私は持つのであります。私は、何も故意に困らせようと思つて質問するのではありませんが、非常に重要なことは、労働争議の原因を正確に把握しないで、それから起つて来た現象だけをとらえて、これに対策を講ずるというようなことは危険なことであります。ことにこの法律は、労働者の基本権にも影響を持ち、憲法上の解釈についても非常に危険を感ずる法律であり、従つて、政府が提案理由の主たるものにあげておりますかかる労働争議が、国民経済ないしは国民の日常生活に与える影響が甚大であるということをもつてこの法律案を提案しておるのだといたしますれば、そういう労働争議というものは、未然に防ぐ方法があるかないかということについて、われわれに理解ができなければ、かような法律と取組んで審議することは軽率であるといわれても、返す言葉がないのであります。少くとも労働争議については、その原因を明らかにするということが、何をおいても優先されなければならない討議の対象であると思いますから、私はお尋ねいたしたのであります。しかし大臣は就任後日が浅くて御存じないというものを、しやにむにお尋ねすることはどうかと思いますが、でありますと、この趣旨の提案は、だれかに依頼を受けて提案したような、冒頭に質問いたしましたような感じを再び抱かせるのでありまして、こういうことはよくないと思います。そこで、もしそれ以上御答弁が得られぬといたしますならば、ここに出されておる資料について判断を加え私は質問を続けて行こうと思います。
そこで、第二にお尋ねをいたしておきたいことは、争議の直接の原因は、この資料によつて知ることができます。私のこの資料によつて知り得たところによりますと、先ほど申し上げたように、電産の場合におきましては、賃金要求と労働協約の改訂についての争いであります。しかもその賃金要求に対する会社側の主張、すなわち会社側のこれに対する態度も、数字に現われておるのであります。これによりますと、賃金要求に対しましては、会社側は、にべもなくこれを拒絶いたして、反対に労働条件の低下をもつてこたえるような、きわめて挑戦的な態度が形の上に現われておる。さらに団体協約の内容でありますが、非常に重要な内容が盛られております。ことにこれが公益事業に関係いたしますだけに、われわれは労働協約の内容については、きびしいせんさくが必要であると思うのです。ここに要求がイ、ロ、ハ、ニ、ホまであげられておりますが、たとえばシヨツプ制の問題について、労働組合はユニオン制を主張いたしております。会社側はこれに答えてオープン・シヨツプで挑戦いたしておる。労働省があらゆる機会に、労働協約で、日本の現状の上からユニオン・シヨツプを採出することを指導されておりますことは、疑う余地のないことであります。こういう問題について、会社側と労組側の要求の食い違いについて判断を下す場合に、これは大切な事柄だと思います。なお、人事に関する事項については、労使間の大きな摩擦の対象になると思いますが、協約の中に人事権の問題を取上げることは、今日、この場合に限らず、あらゆる場合に労使間の大きな問題の対象になつております。ひとりここだけで取上げられる問題ではありません。
さらに、ハには、組合員の範囲に関する問題で、雇い主と労働者の間の論争が記録に現われておりますが、これを見ましても、少くとも、労働行政の知識を多少でも持つものでありますならば、労働組合側の主張がいかに合理的なものであり、会社側のこれに対する態度がいかに冷やかであるかということがわかるのであります。あるいは休職、休暇の問題についても、専門的知識を多少必要といたしますが、これもまた労働組合の要求と会社側の態度との上にしかるべき判断を下すならば、労働組合の主張は、はるかに経営者側の態度よりは正しいと私は思います。これは公正な労働行政の責任の地位にある立場から判断されて、私はさような答えが出ると思うのであります。賃金要求のようなものは、これは雇い主と労働者の間において主張の食い違いが多少あることは、やむを得ません。ここには当事者同士の主張をそれぞれ緩和して行く道以外にないと思うのでありますが、労働協約の中において、以上あげたような問題については、かつて労働省が労働協約の普及徹底をはかります際に、通牒その他において明らかにした点から判断いたしましてこ、私は労働組合側の要求を取上げるように指導されるのか正しいのではないかと思うのであります。こういう点について私はお尋ねをいたしたかつたのでありますが、労働大臣のお答えでなくて私の方から説明を加えてしまいましたが、もし私の主張に異論がありまするならば、労働大臣からその異論を承つておきたい。ないとするならば、その意に沿つて次の事柄をお尋ねしようと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/49
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050・小坂善太郎
○小坂国務大臣 先ほども申し上げましたように、この労働争議というものは、一つの解放意識の過剰という結果が少し見られるように、世間では判断しております。今お話がありまして、組合側の要求こそ正しいのだという、そういう観点に立つて労働問題をさばかねならぬというお話がございましたが、正しいと思われるものには、あくまでも私どもはその主張を伸ばして行きたいと思う。ただ全体の日本の自立経済のわくというものがありますし、その範囲内においての要求でなければ、なかなか通そうとしても無理ではないかと思います。最近ILOの大会がありましたことは御承知の通りでありますが、そこにおいて政府代表の中山中労委会長が、こうした争議については、やはり何らかの規制を必要とするであろうというようなことまで演説しておるのでありまして、今賃金の問題につきましても、若干お話がありましたが、これは御承知のように二万五十五円という要求であつて当時の一万二千八百円に対しまして約五六%のアツプであるのであります。そういう問題についても、賃金の基準は一万五千四百円ということにおちついたのでございまして、そうしたようなそれぞれの労組側あるいは会社側の主張に聞きがあつて、そこに一つの妥結を見出すというのは、労働争議の当然のあり方なんでございますから、その間において私どもの考えといたしましては、停電までして、あるいは電源ストをしてまでも、給電指令所の職場放棄まで指令しても、そうした大争議になることを避けながら解決する方法があるのじやないかということを考えましたのが、この法案の提出の契機になつているわけであります。
職制の、問題等につきましてもお話がございましたが、どうしてもユニオン・シヨツプでなければならぬ、完全ユニオンというような主張は、会社側としてはそれを拒む理由もそれぞれあるでありましようし、組合側の主張もまた、それぞれ根拠があるでありましよう。これは政府がとやかく言うべきものではなくて、やはり労使双方において交渉してやるべきものであり、そこに自主的に問題を解決するよき慣行をつくるべきであろう、こう考えております。ただ争議の方法が著しく公益を害するごとになつてはいけないので、ここに提案しております法律案のわく内においては、ひとつ御遠慮願いたいというのが提案の契機になつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/50
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051・井堀繁雄
○井堀委員 具体的なことについては、あまりお詳しくないようでありますので、遠慮しておきましよう。ただ言つておきたいことは、こういう法律案を出すときには、この種の問題について深い知識をお持ちの方が立案されたものと思うのでありますが、大臣が就任日が浅く十分お聞きとりになつていないとするならば、今からでもおそくはございませんので、もう少し専門的な知識を持たれる人々から御聴取になつて、十分な説明のできるように御用意を願つておきたいと思います。それで直接の原因については一応預けましよう。
そこで、遠い原因については、労相はかなりはつきりした答弁を与えております。高橋委員の質問にこう答えておる。「ストの原因が那辺にあつたかということでございます。これは率直に申しまして終戦直後以来占領軍当局が日本におりまして、事実上国民の自主性に基く政治上並びに経済上の活動というものは規制せられておつた。それが占領解除、独立とともに非常にほうはいとして一種のレジスタンスの気分が起きて来た。これが非常に民主的な形においてそれが発揮せられるならばよろしいのでありますが、中にはその気分をあるのりを越えて爆発させるという面もあるのでありまして」——こういうふうに労働争議の間接原因を述べられておるようであります。私は、これだけを取上げて言うことは多少どうかと思いますが、全体を読んでみて、ほぼこれと同じような意味のことをお答えになつております。言質をとらえて言うのではありません。この中で述べられておりますように、一部の労働組合もしくは指導者の、占領から解放されたという一種の反動的な、あるいは反抗的な気分からこの種の争議が発生したという考え方はたいへんな誤りである。先ほども直接の原因で述べましたように、またほかの場合にこうお答えになつております。「日本の独立以後の精神的心空白、また敗戦によつて受けたところの大きな経済的な打撃、そういうものから来るところの経済的な貧困、そうしたものがいろいろ相かみ合わされましてああして事態になつたのではないか。」——こういうふうに述べられている。この二つのお答えを取上げてみますと、一方におきましては、一部のはげしい反抗運動のあおりによつて争議か発生したかのごとく断ぜられ、他方の一面においては、日本の経済の敗戦による混乱の中に労働争議が起つたという説明でありまして、私どもある程度了解ができます。ずつと一貫しておりますそういう理由を前提として、もしこのような争議規制をやろうというのでありますならば、これはかなり誤つた結論である。そこでお尋ねをしなければなりませんのは、そういう御主張に間違いがないということについて、確認いたしておきたい。そうであるといたしますならば、次にここに提案理由として述べられた点について私はお尋ねして、その矛盾が発見されれば、それを是正して行きたいと思うのです。
そこで第二にお尋ねをいたしておきたいのは、そういうわけで労働争議の原因については、直接のものについては、あくまで経済上、労使間の自由な立場において討議して結論を得なければならぬものだという説明でいいのであります。それを外部から干渉するようなことをしてはならぬことは、申すまでもありません。そういう意味で、この法律は適当でないという結論も出て来ると思うのです。それから第二に、原因が社会的な理由に基きまするならば、その原因を解決するのが——一体争議行為をやめきせることによつて解消するというやり方は、私は正しいとは思われません。その原因を断つためには、別な結論が生れて来ると思うのであります。こういう点について、はつきりした見解が述べられておりません。それでこの機会にこれを明らかにいたしておきい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/51
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052・小坂善太郎
○小坂国務大臣 非常に傾聴すべき御意見が多々あつたと思うのであります。ただいまの御意見の中で、経済要求の主張が食い違うのが労働争議の原因である。これはもう議論はないのです、私もそう申し上げておる。しかし、さればとて、争議を何か法律によつて規制する方向は誤りであるというお話がありましたが、私は労働慣行というものは、やはり両者間における相互理解、そうしてその間のいろいろな経験を通してのよき慣行の積み重ねが、労働関係あるいはそれを積み上げたところのものになる、こういうふうに考えておるのでありますけれども、それが非常に行き過ぎた場合には、これはやはり一時的に何らかの方法をもつて規制して、一つの労使双方の協議の場、一般の公共の福祉という観点から見たところの健全なる社会通念によつてその場を定めるということも、ときによつてはいたし方ないのではないか、こういうふうに思つておるのであります。御承知のように、イギリスのゼネストがありまして、三角同盟ストというようなものがありました後に、やはりゼネストは法をもつて禁止されておる。しかし禁止されておる間にだんだんよき慣行がそこに積み上げられまして、そうした法律を必要としなくなつている。日本の場合でも、御承知のように終戦以来労働運動というものは法律によつて、また一般の民主主義社会の、これは当然のことでありますけれども、非常に保護をされ、助長されて参つた。そこでその保護なり助長なりというものは、何らか別の方向に進もうとする場合があれば、これは政府というものは国民全体に対して責任を負うものでありまするから、国民全体のために正しい場を設けるということは、ある程度やむを得ない、こう考えております。それがこの法案にございまするように、三箇年の立法といたしたという原因であろうかと思うのであります。三箇年間において両者の良識を十分その間に成熟させてもらいたいというのが、私どものこの法律案提案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/52
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053・井堀繁雄
○井堀委員 それではもう一つ記録に出ておりまする点について、明らかにしておきたいと思いますのは、今かなりはつきりした御答弁でありましたが、高橋委員の質問に対する答弁の中でこういうふうに述べておるのであります。「この法案がスト規制法と書いてあるので、何かストライキ権を、今まであつたものを著しく制限するのだ、制約するのだ、こういうような印象を与えるので、そういう御議論があるいは出るかと思うのでありますが、そうじやないのです。」——こう言つております。そういたしますと、この提案趣旨の弁明の際に「労使関係につきましては、法をもつてこれを抑制規律することは、できる限り最小限とし、労使の良識と健全な慣行の成熟にゆだねることが望ましいことは言うまでもないことであります。しかしながら政府としては、かかる基本原則のみを固執し、いたずらに手をこまぬいて当面の緊急の問題に対して必要な施策を怠ることは許されないと考えるのであります。よつて政府としましては、」ということで、この規制法を出したと言つております。そしてしまいには「必要な規制をなす必要がある」というふうに結んでおりますから、そうすると、それとこれとの食い違いですが、私はどちらにも本音があるような気がいたします。これはだんだんこれから質問の際に明らかになつて来ると思いますが、どうも高橋委員の質問に対する答弁の方が正しいのではないかと思いますが、どちらでございましようか、この機会に明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/53
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054・小坂善太郎
○小坂国務大臣 提案理由に述べておきましたように、労使関係のことについては、法をもつてこれを抑制規律することはできる限り避けまして労使双方の良識と健全なる慣行の成熟にまつことが望ましいというふうに考えておるのでありまして、昨年の苦い経験にかんがみまして、この程度のものは法をもつて明確化することはやむを得ない、こういう気持なのであります。由来、申し上げるまでもなく争議行為というものは、一般的には業務妨害を伴うものでありますから、それをただちに刑罰規定に触れさせて行くのでは、結局争議行為をなし得ないということになるので、正当な行為に対しては刑事上の免責がある。それで正当なる争議行為とは何かということになりますと、これは法令に違反する場合とか、協約違反とか、あるいは法益均衡の原則の違反とかそうしたことがいろいろ考えられますけれども、やはり大きく公益を害する、健全なる社会通念上これは行き過ぎであるという考え方に対しては、これは公共の福祉との調和をはからなければならぬ、こういうことなのであります。昨年の争議の苦い経験にかんがみて、これは不当であるという社会通念は、すでに成熟していると思うのです。そういうもとに立つて、これは正当である、ここは不当である、そういう不当の範囲を明確化し、確認したものであつて、本来これはストライキ権の制限とはならない、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/54
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055・井堀繁雄
○井堀委員 答弁の中で、良識と慣行の問題について、イギリスの例などもとつておいでになりますが、もちろん団結権をまつたく禁止されたような極端な圧迫の時代をくぐつて、イギリスの労働組合が成長したことは、よく承知いたしております。しかし、よくごらんいただかなければならぬことは、そういう禁止法ができた後に起つた社会現象であります。そうしてまたそれがどういう過程を通じて改められておるかということが、大切であろうと思うのであります。これは日本の場合におきましても、戦争前の労働運動には団結権も罷業権もありません。その中において頻繁にストライキが起つたが、それでは、それが全部当時の刑罰規定によつて処分を受けたかといいますと、そうではありません。ことに基本的には団結権が否認され、罷業権が認められていない、所有権絶対の憲法のもとにおきましても、たとえば労働争議調停法といつたようなものが生れまして、部分的に争議行為を認めて来るといつたような歴史があるのです。こういうように、時代はあなたが指摘されたとは逆なコースに進んで来ているということは、冷静に考えなければならぬ問題だろうと思うのであります。でありますから、今の御答弁にそういう材料をお使いになることは、私はどうも承服できないのです。むしろそれはだんだんと成長して来るという姿を見るための資料としては役に立つと思う。
もう一つ大臣がよりどころとしているこういう争議行為それ自身がよくないという、その行為でありますが一体ストライキというものは、世界のいずれの例を見ましても、またわが国の例をとりましても、必ずしも同じケースにおいて争議が行われてはおらないのであります。一つ一つ時と場合によつて千差万別であります。昨年の暮れに電産、炭労がああいう形をとつたから再びそういう形のものが現われるだろうという想定は、根底から間違つておると私は考えるのであります。こういうような点について、労働大臣はどうお考えになつておるかを、もう少し明らかにいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/55
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056・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私の申しておりますことは、よき労使間の慣行を育てたいということなのでありますが、それにはただ手をこまぬいて見ているだけでいいかどうかというと、その点の認識が井堀委員と相違するということになるかと思うのであります。私どもは、失敗し、その失敗を通して成功し、成功して失敗し、その中からまたという、そうした考え方が、今の日本の経済的な基盤を見、またわが国の置かれている国民経済全般の状況なり、国民生活の実態なりから考えて、そういうことが非常に困難ではないか、こういう認識に立つておるのであります。経済的な要求が違えば、そこに争議行為が発生するということは、当然のことでありまして、これを認むるにやぶさかでないのでありますけれども、そのために著しく公益を阻害するような方法は、今の日本の現状からすると非常に重大なことである。そこでそういう方法を除くことが、一体勤労者の生活を非常に脅かすことになるだろうかというと、私どもは、そうならぬと思つております。他に争議の方法がある。そこで、そうした方法を通して堂々と、国民に特に迷惑をかけぬような方法で十分に労使間の主張を闘わし、労働組合側の主張を貫いていただくことができる。こういう観点に立つておるのでありまして特にこの法案を出すことによつて、非常に労働組合側の不利益になるというふうには考えておらない。ただこの法律の運用によつて非常な問題があろうという点が、あるいは御心配の中にあるかと思われますけれども、私どもは、この法律の運用につきましては、あるいは協議会等によつて、十分その誤りなきを期したいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/56
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057・井堀繁雄
○井堀委員 今の御答弁の中で聞き捨てならないと思いますのは、政府は労使関係については、労使の良識ある慣行をつくり上げて行くといつて、労使間の自然調整を期待しておるようであります。これは私も同感であります。それならば、こういうような法律をつくつて労使調整を期することは、基本的な立場ではない。すなわち、あまり卑近なことで恐縮でありますが、雇い主と労働者の経済的、社会的地位の均衡をはかるために、雇い主は絶対の地位にあるので、これを補うために労働者に団結権が認められていることは、あえて説明を要しないと思います。すなわち労働者が団体をつくつて、団体交渉の形においてのみ労使が対等になるということは、申すまでもないのであります。ただその団体交渉を具体的に効果あらしめようとするためには、力が必要であります。その力とは言うまでもなく罷業権であります。その一方の力を減殺したり制約を加えたりして——大臣は、根本的な制約ではなく部分的な制約だからよいではないかというような説明をたびたびいたしておるが、私は争議権というものを切り売りするわけには行かぬと思う。それはあくまで争議権の行使については、輿論の監視の中において、公的な性格を持つ労働組合の自己反省と努力による成長をまつということが、あなたがたびたび言われているよき慣習をつくるということになると思う。そうだといたしますと、労働者の力をまつたく奪い取つたり、強い制約を加えるようなことをして、それで労使対等の立場だというようなことは、これはたびたび例に引きます、ししとうさぎの平和協定を押しつけるようなものであります。こういうわかり切つた事柄をここで論議しなければならぬことは、私は非常に残念に思う。私も、こういう公益事業のもとにおいて、かかるストライキが頻発するということは、恐るべきことであり、これを防止しなければならぬという主張については、まつたく同一意見であります。しかしそれは、今あなたが言われているように、第三者が干渉したり、ことに政治権力や法律をもつてこれに介在してはならぬという点において、私は自主的な慣行を育てるという主張が成り立つのであります。そう言いながら、事実はこういうような干渉を強くいたして来ておるのであります。あとで法律の問題について二、三質疑を進めてみることによつて明らかになると思いますが、こういうやり方は、どうしても私は、あなたが今述べられただけの範囲内においても首尾が一貫していないと思う。どうもこちらの良心ではこれを考え、こちらの考え方でこれを扱うといつたような感じがいたします。そしてあなたの腹のうちがのみ込めるような気がいたします。一方においては他の圧力に遠慮をされながら、労働行政に責任ある地位の者の答弁とは食い違つたものが出て来るのではないか。もちろん私は、国務大臣としてのあなたの地位を認めます。自由党吉田政府の政策に反対するようなことのできない立場であることはわかつておる。しかし保守政策の中において、最も重視されなければならぬのは労働行政であります。その労働行政が、時の政治的な一方的な政策に押し流されるようなことになりますと、労働省という行政官庁は、むしろ有害な存在である。労働者に対しては、何か労働者のためにサービスする機関だと言いながら、実際においては、自由党の政策によつて、まつたく労働者をいけにえにするお手伝いのようなことを労働省がやりましては、とんでもないことになるのでありますから、そこら辺をやつぱりはつきり踏み切つてお答えを願うべきであると思つて、私は質問をいたしたのでありますが、のらりくらりは、そういう点でまことに残念だと思う。ひとつ明確な御答弁を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/57
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058・小坂善太郎
○小坂国務大臣 何か非常に私が争議権の剥奪を意図しておるようにお考えのようでありますが、私は繰返して申し上げますように、すでに制約されているものの範囲を明確にするというのが、この法律案の内容であると考えておるのであります。もちろん憲法二十八条に規定いたしますところの労働基本権というものは、私は十二条、十三条を予想しておる。すなわち公共の福祉のために基本的人権というものは用いられなければならないし、公共の福祉を侵してはならないのだという制約を、当然に予想して書かれたものだと考えておるのであります。たとえば、この法案の中に書いてございますように、炭鉱における保安要員の引揚げというようなことは、これはもう炭鉱の重要資源を荒廃に帰せしめて、そして勤労者に、争議を終つたあとに帰るべき職場を失わしめるというようなことでありまして、これは争議行為それ自身として妥当でないと考えておるのであります。それはいけないのだということを言うだけでございまして、他の争議方法は幾らも残つておるのであります。ただこうした伝家の宝刀といいますか、爆発的威力を失うことのために争議ができないという考え方であるならば、これは社会の良識というものをあまりに軽く見過ぎているのではないか、そこにおのずからこの社会の良識による批判というものがついてまわるというように、私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/58
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059・井堀繁雄
○井堀委員 どうもからむようで恐縮でありますが、あなたの御答弁は、故意に逃げられているのではないかと思うのです。あなたの御主張の中で、一方においては労使の調整を考えておると言いながら、自主的な解決を一方で期待いたしておるわけであります。それならば何もこんな干渉をせないでもよいではないかということについて、おわかりにならぬはずはないと思う。この法の運用をやつても、ああした労働者のスト権に何らの影響がないといつたようなことを言われました。なるほど私は運用の問題について心配をしておることも、一つであります。しかし大事なことは、立法当時にこうして熱心に将来のことを懸念して、われわれが慎重な審議を続けております。しかし立法当時のそういういきさつといいますか主張というようなものと、法律となつて施行の面になりますと、まつたく違つた結果が現われて来ることを、経験を通じて承知しておるのであります。一例をわれわれは関係放棄にとつてみましよう。戦争前に暴力行為等処罰に関する法律というのが出ました。その当時の委員会なり本会議の答弁の内容を見ますと、労働争議という労働者の集団的な行動については、この法律は適用しないのだということを、立法当事者がるる述べておるのであります。ところが、その後この法律が労働争議に対しまして、かなり果敢な行動をいたしました。私もその被疑者で、検挙を受けたことがありますが、そのときにこつけいなことは、刑法においては——この法律とよく似ておりますから述べるのですが、刑法においては脅迫であるとか暴行の罪は比較的軽微で、問題にならぬ場合があつても、暴力行為等処罰に関する法律というものを適用する場合においては、これが高い処罰を受けるというところにこの法規の特性がある。その当時暴力団が横行いたしまして、しかも集団的な暴力を取締るという名目で生れた法律であります。ところが私どもがこの法律の被害を受けた実例を述べますと、その取調べにあたつて、争議の裏切りを阻止するためにピケツトを張る、裏切つた者をさとさなければなりません。そこで争議団に来い、あるいは労働組合の支部に来い、こう言つたということは多衆を仮装して脅迫をいたしたということで六箇月、一年という、刑法でいいますならば微罪処分になるものが、体刑に処せられた事例があります。このように、法律というもののつくられるときの精神というものは、いよいよ行使することになりますと、思いもうけない大きな被害が弱い者に科せられて来るのであります。ことにこの法律のごとく、労使の力の均衡を私どもは問題にいたしたいのであります。労働大臣のお言葉は、労働者の方が力がすぐれているから、そのすぐれている方を押えることによつて、労使関係の平和的調整をはかるというふうに聞えるのでありますが、もしそうでありますならば、その根処を明らかにしなければならぬ。私は断じて根拠はないと思う。今日やはり所有権の上に、財産権の上に立つ日本の経済支配は、労働者に比べましてはるかに優位にあると実際上思います。観念や制度の上でなしに、実際にそうである。これは先ほど大臣が述べられておりますように、この争議の原因は社会的な現象によるということでありますならば、日本の今日の勤労大衆というものは、決してノーマルな給与を受けておりません。今日の給与体系の問題についても、一々論議するまでもありません。憲法による最低の、すなわち健康にして文化的な生活などというものとは、はるかに遠い姿である。こういう低いきわめて困難な生活に耐えながら、日本経済復興のために汗を流している労働者であります。しかるに、このような状態の中にあつて、一方には極端なる富の偏在がなされつつあるということは、よもや大臣もお忘れでないと思う。この委員会か本会議かしりませんが、たとえば、今対象になつております炭鉱業者の場合を考えても、炭鉱の持主と鉱山に働いている多くの労働者の生活をごらんください。今年の高額所得者の番付にずらりと首位を占めておりますのは、鉱山の持主ではありませんか。しかも、往年ボタ山として顧みられなかつたものが、たいへん大きな利潤の対象になり、商品化したではないか。一方にこういうやうに少数の人々が多額の富をどんどんと蓄えつつあります。他方には、その日の暮しも立ちかねております多くの労働者も、日本経済が破綻しておるからという前に隠忍し、自重し、努力を続けているということは、りくつではないのであります。こういうことが労働行政の目に映らないようなことでありましては、労使の公正なる立場をとやかく言うことは、私は過ぎた言い方であると思います。もしこれに反駁する資料がありますならば、明らかにされたい。私はあまり強く、何もけんかをするつもりはありませんが、こういう判断を抜きにして労使の自主的な調整や、あるいはよき慣行をつくるなどということは、私は無理な相談であると思います。
そこで、私の方が説明をいたしては何にもならぬのでありますが、その核心に触れた質問を一、二いたそうと思います。この前提が誤つているということは——大臣の答弁が十分でありませんので、他の方法によつて私は明らかにすることはできると思いますから言及したいが、この際しばらく時間その他を考えて避けたいと思いまするが、それではそういう前提は別のわくといたしまして、次に今大臣が上きりに繰返しております今当面しております労使関係を平和の状態にとりもどすためには、とにかく争議を押える必要があるということを、私がそのまま承認いたしたという前提で考えて見ましよう。そうであるとすれば、この法案をつくれば、今後この種のストライキは絶対起らない——この種ということであります。この通りのケースが必ずしもあるものではございません。この前電産が停電スト、電源ストをやつたから、この次も停電スト、電源ストをやるという考え方は、あまりに機械的である。イギリスの三角同盟のストライキを見ても、御案内のように、あのようなストライキは再び繰返されておりません。のみならず、あれによつ輿論の非難や攻撃に、労働組合は強い自己反省と自己批判をやりまして、せつせと労働組合の公共的性格を積み上げるために精進されました。日本の電産、炭労におきましては、まだ実績が浅いのでありますけれども、私の承知している範囲内におきましても、労働組合にとつては致命的な出血であります炭労、電産ともに、組織が分裂をいたしている。そうして鋭い自己批判が大会において取上げられているということは、これは目をおおうことのできない事案であります。こういうような経過的な事実を、大臣はどういうようにごらんになつているかを、この機会に明らかにしていただきたい。昨年の当時とまつたく同じだという意味でこれを出されたか、その点の見解を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/59
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060・小坂善太郎
○小坂国務大臣 だんだんのお話がございましたが、これはもう私も繰返して申し上げておりますように、労使対等の立場で交渉してもらいたいということでありまして、どちらを押えるということでもないのであります。ただああした争議は、社会通念上非とせられるものである、これは御遠慮願いたいということでございます。この法案は、御承知のように昨年の苦い経験にかんがみてつくりましたものでございまして、今後は労働組合においても、あるいはまた経営者側においても、その良識によつてああした争議に立ち至らぬようにされることを、期待いたしておるのでありますけれども、しかしながら、もうああいう争議はないんだということも、別に聞いておりませんので、現実の必要からその立法をした次第でございます。
なおイギリスの三角同盟ストの問題に言及せられましたが、これも御承知のように、そういうストライキのあとは、一時は法をもつて規制しておるのであります。しかしその良識慣行の積上げがなされた際においては、これを廃止いたしております。この法案も、三箇年の期限をつけて為りますから、その間においてどういうことになりますか、私としては労使間において十分相互理解を深め、お互いにその立場を尊重し合つた、りつぱな慣行ができ上ることを期待いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/60
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061・井堀繁雄
○井堀委員 三角同盟のあとに、何かこれに似たような規制法が出たと言われたんですが、私は寡聞にして承知しておりません。そうではなくて、輿論のきびしい制裁があつたことは事実であります。それによつて労働組合が自己反省をし、自己批判を行つておる。もしありますならば、どういう法律で、それがどういう期限付のものであるかどうかについてお答え願いたい。
それから、次に問題になりますのは、どうも答弁が十分得られませんので、これではどうもこの法案を審議する勇気を欠くような感じがいたすのでありまして、非常に遺憾であります。決してあげ足をとつたり、ことさらに非難をしようとは思つておりません。私も主張されております産業平和をこいねがう点においては、人後に落ちぬつもりであります。ことに労働運動の立場からいたしましてかかる輿論の非難もあるようなそういう行為は、労働組合の賢明な手段ではありません。そこに労働組合の何かの欠陥があることも、私どもは認めなければならぬ。しかし、その欠陥は労働組合の自主的な措置によつてなされるべきものであるということは、いやしくも労働行政が、保守的な立場であろうと、革新的な立場であろうと、この点に対する見解の相違があろうはずがないと思うのでありますが、もしありますならば、明らかにしていただきたい。ないものでありますならば、私の主張が承認されてしかるべきではないかと思うのであります。その点を一言明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/61
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062・小坂善太郎
○小坂国務大臣 労働関係においては、よき慣行を積み上げるべきだということについては、私もしばしば申しておる通りであります。ただ現実の必要があれば、それをある程度法をもつて規制するのもやむを得ない。しかし、ここに出ておりますのは、新たなる規制ではなくて、すでに社会通念上非である、あるいは本来妥当ならざる争議行為をここに明確化したものでございますから、これによつて争議権の制限にはならぬ、こう考えておるのであります。
なお三角同盟ストは、私の了解いたしますところでは、それに対して一九二七年に禁止の法律が出て、四七年に解消せられたというふうに承知しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/62
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063・井堀繁雄
○井堀委員 だんだんと次の問題を保留して来るようになつて、進行上非常に遺憾に思いますが、まだ大事なものが一、二ございますので、もう少しごしんぼうを皆さんにお願いをいたし、労働大臣にも、もう少し勇気ある答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/63
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064・赤松勇
○赤松委員長 井堀君、待つてもらいたい。先ほどから井堀君がしばしば政府当局に要求しておりますように、条理にかなつた非常にりつぱな質問をしているので、政府委員の方のそれに対する答弁も、みな用意して十分な答弁をお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/64
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065・井堀繁雄
○井堀委員 ところで、今までいろいろと御答弁になり、議案の趣旨弁明の際に、一番重要な点がどこにあるかという点につきまして、私はその前提となるべきものについて追究をいたしました。
次に、ここでもう一段階踏み込んで、この提案の趣旨をうのみにいたしまして判断をするのでありますが、そこで再々問題になつております憲法の運営に関する解釈上の問題であります。これは私はこの法律の効果をねらうということ以上に重要であると思いますから、この点を明かにいたしておこうと思います。それは憲法の二十八条と二十九条に関係してであります。大臣は、たびたびこの法案を説明するにあたりまして、特に籍口という言葉は穏当でないかもしれませんが、私はそういうふうに受取ります。私はこの趣旨弁明の中に「電気事業及び石炭鉱業の特殊性及び重要性並びに労使関係の現状にかんがみまして、争議権と公益の調和をはかり、もつて公共の福祉を擁護するために、両産業における争議行為の方法について必要な規制をなす必要があると考え、」この提案をしたと書いてあります。ここでありますが、争議権と公益の調和をはかるというところであります。争議権と公益の調和をはかることをもつて、公共の福祉の擁護になるような御主張のようでありますが、まずこれをそのまま信用するといたしまして、憲法の関係になつて来るのであります。たびたび大臣は例を憲法の第二十九条にとられましたり、あるいは十二条をとられたりしておりますが、私はこの点について、明確なる判断を伺つておこうと思うのであります。憲法二十八条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」ときつぱり宣言をいたしております。次に二十九条におきましては「財産権は、これを侵してはならない。」そうして「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。私有財産は正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という義務規定がついております。私は二十八条と二十九条の配列においても、大体この軽重の問題については、明らかに二十八条に団結権、団体交渉権を持つて来たということは、財産権の上位に位するということは、常識的に明らかであろうと思うのであります。その次に、片方には義務規定があるにもかかわらず、この規定は義務規定を加えておりません。この憲法のきわめて平凡な、何も専門家の意見を煩わす必要のない明確な憲法の比重において、罷業権、団結権が尊重されなければならぬことは申すまでもありません。もし労使の調整を——すなわち他の社会的な事情によつて産業平和を守らなければならぬ、労使の休戦状態を確立しなければならぬという必要に迫られたと仮定いたします。その場合に労使関係において、先ほど来述べられておりますように、資本主義経済の制度のもとにあつては、除去することのできない疾患でありますストライキというものは、決してけつこうな行為でないことは、だれも認めておる。ストライキを行うことは、労働者の権利ではありますが、そこには犠牲が伴うのであります。一部の他の目的のために罷業権を使うというならば、おのずから別であります、労働者の生活権を守るための基本人権を、われわれは正しく理解する場合においては、最も少い犠牲において高い効果を得るような労使関係をつくり上げて行くということが、正常な労働組合の行くべき道であります。しかし、それが何かの事情によつて、特に重要なことは、労使の力がアンバランスになつたり——この場合は、私どものいつも指摘するところでありますが、一方経営者は一部もしくは少数の人々の意思によつて行動がとれます。労働者の場合には、かなり多数の人々の共同の動作に訴えなければならぬのでありますから、そこの上にも非常な不均衡があるのであります。憲法は、こういう点を十分認めて、こういう順位を定めたものであると確信いたすのであります。従いまして、やむを得ざる社会的な要請が起つたと仮定いたしまして、もし労使の平和を法律の手段によつて行おうとするならば、この順位に基いて財産権に対する制限を加えることが先でなければならぬと思うのであります。もし確信がありますならば、財産権に対してこれ以上の憲法の精神に基いて制約を加える方針をこの機会に明らかにされなければ、この法律を審議することは、私どもは憲法に対する重大な齟齬を来すものと思う。慎重な御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/65
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066・小坂善太郎
○小坂国務大臣 お答え申し上げます。私は二十八条の権利というものは、公共の福祉によつて制約されるという見解を持つておるのであります。最高裁の判例も、そのようになつておりまして、蛇足でございますが、読みますことをお許し願います。昭和二十二年並びに二十四年の最高裁の判例に、そのようなことが書いてございます。「されば勤労者は公共の福祉に片上ない限度において、多数団結して労働組合等を結成し、その団結の威力を利用し必要な団体行動をなすことによつて、適正な労働条件の維持改善を計らなければならない必要があるので承る。」——「公共の福祉に反しない限度において」という制約を置いておるのであります。財産権との関連でございますが、私はやはり正当の争議行為による損害というものは、これは財産権はその限度において侵されることは認むべきである、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/66
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067・赤松勇
○赤松委員長 ただいま倉石忠雄君から、文書をもつて電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案について、質疑を終局し、討論採決を行うべしとの動議が提出されました。この動議の取扱い方について理事会を開くこととし、この際暫時休憩いたします。
午後五時三分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101605289X00919530707/67
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