1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月四日(火曜日)
午前十一時五十三分開会
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委員の異動
八月三日委員上原正吉君辞任につき、
その補欠として、山縣勝見君を議長に
おいて指名した。
本日委員山縣勝見君辞任につき、その
補欠として、瀧井治三郎君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 早川 愼一君
理事
高橋 衛君
八木 幸吉君
委員
岩沢 忠恭君
瀧井治三郎君
奥 むめお君
岡田 宗司君
永井純一郎君
鮎川 義介君
政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
公正取引委員会
委員 湯地謹爾郎君
経済審議庁調整
部長 岩武 照彦君
通商産業政務次
官 古池 信三君
通商産業省企業
局長 中野 哲夫君
事務局側
常任委員会専門
員 桑野 仁君
常任委員会専門
員 内田源兵衛君
説明員
公正取引委員会
事務局経済部調
整課長 丸山 泰男君
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本日の会議に付した事件
○私的独占の禁止及び公正取引の確保
に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
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001・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 只今より経済安定委員会を開会いたします。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、前回に引続き質疑を継続いたします。質疑者の出席がありませんので、暫時休憩いたしまして午後一時再開いたします。
午前十一時五十四分休憩
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午後一時四十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/1
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002・早川愼一
○委員長(早川愼一君) それでは委員会を再開いたします。休憩前に引続きまして質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/2
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003・岡田宗司
○岡田宗司君 合理化カルテルの問題について公取委員長にお尋ねします。この合理化カルテルですがね。現在ここにあるいわゆる合理化カルテルは、どういうような種類のものが今後できると予想されるのですか、形ですね、それからどういう事業に、どういう種類の事業にそういうものができるというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/3
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004・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) この、今回設けられました合理化カルテルにつきまして将来すぐにどういうものが出て来るかということにつきましては、只今すぐにこういうものが出はしないかということのはつきり申上げられますものは、御承知の例の屑鉄の購入に関するカルテルではないかと思います。その他につきましては、例の品種の制限でございますが、メーカーがいろいろな品を無秩序に作つておりますものを、話合いによりまして生産品種を制限するというようなことが将来多少起つて来るのではないかというふうに、これは通産省のほうで、そういうふうに言つておりますので、大体今予想されますものはそんなものではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/4
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005・岡田宗司
○岡田宗司君 私もここに書いてある合理化カルテルはまさしくその例の屑鉄に対するものと、それをどうもここに屑鉄に対するものと書けないから、そこにカモフラージユをしてこういう一般的な形を与えたのじやないかと、こういうふうに思つておる。で、品種の規格の統一といいますか、制限といいますか、そういうものは果していわゆるカルテルというほどのものかどうか、これは私ども実は生産数量の制限とか、それからその価格の維持の上に直接果して関係があるかどうかというふうになると、かなり間接的になるので、まあいわばカルテルとして取上げるほどのものではなかろうと思うのですが、とにかく屑鉄の問題がここでは中心問題になるわけですが、最近あの屑鉄につきましては何か公取のほうに調査をしろという要求が出て、公取のほうでもこの調査を始められた。こういうふうに聞いておるのですが、問題の所在は、外国から相当高い屑鉄を輸入しておる、それにもかかわりませず、国内におきましては、メーカーが、特に三大メーカーが中心になつてこれ以上買わないということで外国よりも相当低い価格の屑鉄購入価格をきめてそうして指定商等に事実上命令して、集荷業者からそれ以上高い金で廻せないというようなことで独禁法に触れるということが問題になつているのじやないかと思いますが、この屑鉄のこういう問題に対する公取委員会のほうで今お調べになつておるところ、並びにその考え方を伺いたい。どういうふうに処理しようとしておるか、そういう点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/5
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006・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 只今お示しのように屑鉄の購入に関してカルテルがあるのではないかということで先般提訴がございまして、直ちに当委員会の審査部において現在取調中でございます。なおまだ調べの途中でございまして、委員会の会議に正式にまだ上つて参りません。明らかにそういう話合いがございまして、それによつて値を下げて買叩きをしておるというようなことがございますれば、勿論現行法上第四条違反の問題が起りますし、仮にこの改正案が通るということになりましても、この屑の購入に関する共同行為は一応認められることになつておりますが、これにはやはりいろいろな要件が法律で規定してございまして、殊に甚だ安い値で共同して買叩きをしておるというようなことになりますと、関連事業者の利益を不当に害するという要件に触れて参りますので、仮に改正案が成立施行になりましてもそういう屑の購入が直ちに適法として認可を受けられたというふうには限らないのでありまして、この審査の途中でございますので、いつ結論が出るということを只今はつきり申上げられませんが、大体そういう仕組で事実の把握という点は今一生懸命で努力しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/6
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007・岡田宗司
○岡田宗司君 この屑鉄購入カルテルの問題でございますが大体ここに合理化カルテルとしてここに書くようになつたのは、それが一番大きな狙いのように思うのですが、この項を入れるようになつたのは、やはり通産省のほうでこれが必要だということを認めて、特に国内における屑鉄は安くしなければ、鉄鋼業の合理化が進まないのだという見地から、特にこれを取上げて入れるようにしたものかどうか。これは公正取引委員会のほうではどういうふうに考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/7
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008・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) この点はむしろ私の了解しておるところでは、通産省のほうにも勿論この話はあつたかと思いますが、結局製鉄業のほうの意向が非常に強くございまして、結局鉄の値を下げるということに非常な努力をいたしておるようでございまして、屑鉄が非常に高く、それが延いて鉄の面に悪い影響を与えるというようなことで、メーカー、業者のほうで非常に強く公正取引委員会のほうにも申入れがあつたようなわけでございまして、我々のほうもそこにいろいろ弊害も考えられましたが、この二十四条の四のような条件の下に認めますれば、コストの引下げにも役立つし、又弊害面を適当に抑えることができてるというふうに考えまして、公正取引委員会で案を立てまする際に入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/8
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009・岡田宗司
○岡田宗司君 現在外国から輸入される屑鉄の価格と、国内で集めておるのとは、相当の開きがありますね。トン五千円くらいの開きがあるんじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/9
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010・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) たしかそうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/10
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011・岡田宗司
○岡田宗司君 そうですね。そうしてこれは勿論安ければそれで鋼鉄の価格も安くなるわけですがね。併しながら一面において、これが製鉄会社の隠れたいろいろな財源といいますか、そういうものになつておるということも私ども聞かされておるのですが、公取委員会のほうではそういう点についてどうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/11
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012・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 私もまだそういう裏の裏までは実ははつきり認識はしておりませんが、併しこの考え方は、只今申上げましたように、安い鉄ができれば結局それが鉄を使います業者のほうにも非常に有利になるはずであり、又その鉄を使いますものも、できた屑鉄が又製鉄のほうへ廻つて来るというようなことで、これは鉄を利用する側にとつても、非常に有利であるというふうに、まあ一応考えたわけでございます。なおその屑鉄を集めて参ります業者の立場というものも、これはやはり考えなければなりませんが、その点は先ほど申上げましたように、余りひどい買叩きをいたしまするときは、カルテルをとらないという方法もございまするし、これは理想的に動けば非常に合理化に役立つというような観点からいたしまして入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/12
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013・岡田宗司
○岡田宗司君 これはまあ表向きの議論、それから表向きの言い方からすれば、まさしく屑鉄の価格が安いことは、鉄鋼の生産費が安くなることになつて、或いは合理化を促進されることになるかも知れません。私どもはそれが表向き促進されるならば、別にそうとやかく言うことはないと思うのです。今言つたように、ここに一つの製鉄会社にクツシヨンができて、そうしてここでいろんな操作が行われて行く、そして事実上それが本当の意味の合理化にならないということが相当予想されるような場合があろうと思うのです。それは若しそういうことが行われるならば、これは合理化カルテルにも何にもならん。而も隠れた独占利潤を発生せしめ、それから又それを維持させるという役目をするので、むしろ逆に言うと、カルテルの悪い面を維持させることになりはしないかというふうにも考えられるのですね。若しそういうようなことになつて来た場合を予想いたしますと、これは相当まあ公取のほうで厳重に考えて頂かなければ、事実合理化の促進ということの逆な結果を来たすのじやないかというふうに考えておりますがどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/13
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014・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 確かにおつしやるような危険があると思います。なお問題は、御承知のように非常に少数のああいう企業が支配している特殊の業界でございまして、そういう原材料が安くなつたことが、直ちに鉄の価格に響かないという面がありそうな業界でございまして、確かにその点は御心配の面もあると思いますが、それらの点は又別途この鉄につきましては、現在我々のほうでもいろいろ研究をしておりますので、そういう基本的な問題と併せまして、この問題につきましては慎重に扱かつて行かなければならんと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/14
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015・岡田宗司
○岡田宗司君 それからまあ今度の法律によるというと、例の第三章の廃止ですか、あれによりまして、まあ実は企業の、極端に言えば一業一社になることも差支えないことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/15
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016・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 較差でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/16
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017・岡田宗司
○岡田宗司君 そういうことになりますね。そういう傾向が起つて来て、そういう形での、つまりカルテルの形でなくて、事実企業の合同によつて、例えば或る産業が一社なり二社なりで支配される。事実上支配されてしまうということは、これは今度の法律ではお認めになるのですが、その点について、公取委員会のほうはどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/17
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018・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) この現行法の第八条でございますか、較差の規定を除きました理由は、大体企業が大きいことそれ自体が悪いという気持が中心になりましてできたものが第八条でございますが、今回は、そのこと自体が悪いものとし取扱うことは少し行過ぎであるというふうに考えまして、第八条をとつたわけでございますが、これは御承知のように、アメリカの判例におきましても、大きさそのものは、悪とする思想はとらないということをはつきり言つておりますから、大体さような気持でございまして、それならばそういう大きなものがいろいろ害毒を流す点はどうなるのかという点につきましては、現行法にございまする、いわゆる独占の規定によりまして、これを適当に運用いたしますれば、そういう大きなものが一定の取引分野の競争を実質的に制限するという段階になりますればこれを取締る。なお併せまして、今度は不公正な取引方法の中に、現行法にはございませんのですが、経済力を濫用いたしまして、経済上の地位の優越ということを悪用いたしまして中小企業を圧迫するというような面につきまして、特に不公正な取引方法として取締ることにいたしました。これらの規定を活用することによりましてそういう大きな企業による弊害というものをできるだけ防止する、こういう行き方をいたしまして、従いまして、大きなそのものを取上げます第八条の規定をとつたわけであります。なおだんだん大きな企業ができて行くのを、そのものを防げないではないかということに対しましては、御承知のように合併や営業の譲受けにつきましては現行法の規定を全然いじらないでそのままとつてございますので、合併、営業譲受けその他の方法によりまして企業が大きくなつて参りますものにつきましては、若しそれが一定の取引分野の競争を実質的に制限するもの、或いは不公正な取引方法で以て無理やりに合併をし或いは営業を譲受けるということにつきましては、現行法と同じようにこれは認めないという立場に立つておりますので、この点は現行法と同じように取締られる、というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/18
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019・岡田宗司
○岡田宗司君 これはなかなかむずかしいことで、その判定も非常に困難な問題であろうと思います。例えば板ガラスなんかの問題なんかも、今三社くらいですか、それで或る一社だけが非常に大きいので、これが事実上市場を支配しておるというようなことで、その三社のうち一社はすでにやめている。そうすると二社になつてしまうと、事実上大きいほうの一社が実際上支配をする。併しながらどうもこれは暗黙のうちにそれをやる。例えば朝鮮の休戦によつて板ガラスに対する需要が殖えて来た、或いは殖えるだろうという見通しの下に価格が上つて行く。そうなつた場合に国内においても板ガラスの消費者というものが非常に困るのです。そういう場合に果してこれがそういう需要供給の関係に基くために高くなつたのか、それを利用して高くして行くのか、そういうことの判定はなかなかつかんと思うのですが、そういう場合の判定ですが、独占とか、不公正な取引とかによるための要素がどの部分で、そうでない部分がどの部分だということの判定が果してあなたがたのほうで的確につきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/19
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020・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 非常にむずかしい問題であるとは思いますが、結局はその個々の企業なり、或いは業界の実態の把握ということができませんと、今申しましたような取締は甚だ困難であろうと思いますが、この点は、公取の事務能力の問題もございますが、今後十分にそういう点は事実をはつきり取調べをいたしまして、殊にそういう少数の企業が支配している部面につきましては、今後更に一般的調査なり或いは特別な取引方法の調査なりを十分にいたしまして、弊害の起らないようにやつて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/20
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021・岡田宗司
○岡田宗司君 公正取引委員会の構成から来る調査能力の限界という問題からしてなかなかできないというお話ですが、今何ですか、公正取引委員会のほうは、訴えがあつたり、特にいろいろ疑わしいというようなものについての調査をされておるのか、それともふだんから、例えばこの種類の事業についてはそういう傾向が大体あるということで、そういう虞れのある各産業についてふだんからその傾向を調査しておられるのか、その点はどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/21
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022・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 御承知のように公正取引委員会は、違反事件を取上げまする審査部というのと、それからその他の行政的の面或いは一般的の調査というようなことをいたしまする経済部と、事務局が二つに分れておりまして、その経済部の中に調査課というのがありまして、今お話しになりましたような企業全部或いは特定の企業についての一般的調査或いは特殊の個個の企業についての調べというようなものを相当やつておりまして、例えば鉄につきましても、或いは板ガラス等につきましても、今まで非常にいろいろな種類の事業に亘りましてかなりの調査をいたして、これは勿論明らかにこういう点に独占禁止法違反の虞れがある、今のところは大したことはないが、将来そちらのほうへ向いそうであるとかいうような、独占禁止法上のいろいろな観察が書いてございますので、部外にお渡しすることができないのでございますが、相当たくさんの調査をやつておりまして、又だんだんそういう調査に慣れて参りまして、いわゆるつぼと申しますか、そういうものをだんだん把握することが最近の調査は非常にうまくなつて来ておるように思いますので、この点は是非今後も続けて行きたいと考えておりますが、先ほども申しましたように非常に手不足でございまして、この点は大蔵省のほうにも調査機能についてたびたび申出をするのでございますが、そういう調査はもうほかの役所でやつておるから、そういう材料を使つてやればいいじやないかというようなことでございますが、この点は全く独占禁止法上の観点からする調査というものは全然別なものでございまして、その点をたびたび強調するのでございますが、どうも大蔵当局の理解を得られませんで甚だその点は残念に存じておりますが、只今の機構におきましてもこれを十分に活用いたしまして、特に問題になりそうなものには特に取上げて今後もやつて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/22
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023・岡田宗司
○岡田宗司君 審査部のほうでいろいろ取上げられておる問題は、外からの訴え等によつて取上げたほうが多いのか、それとも公正取引委員会自身の調査活動によつてこれは該当するということで取上げて審決に持つて行つたほうが多いのか、今までの例から言うとどちらが多いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/23
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024・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 今ここに正確な数字を持つておりませんが、私の今までの何年間かの感じを申上げますと、これは司令部のございました間はこれは司令部のほうからいろいろ言つて参りまして、これは除外いたしまして大体のことを申上げますと、大体半半ぐらいではないかと思います。あとは大体新聞、雑誌、或いはその他いろいろな、殊に業界新聞というようなもの、これは相当いろいろ材料が得られますので、公取が自発的にやつております。大体半分くらいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/24
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025・岡田宗司
○岡田宗司君 この「最近に於けるカルテル並にカルテル類以活動の状況」の十四頁に過燐酸石灰のところの一番終りのところですね。「操短下における操業率は当初の協調的操短時の三月は四八%、四月は四四%で行政措置以降の率はいずれも四〇%前後で、殊に昨年の八月には三一%という驚くべき低率となつている。即ちこれは業界と政府の合作による行政的半強制カルテルと見ることもできよう。」こういう見解がくだされているのですが、この「行政的半強制カルテル」ですね、これはまあ過剰生産なんかの場合に政府が一応勧告なり何なりでこういうものが操短をして来たということになるわけですが、これがまあ行われるために価格が維持できる。価格が逆に騰貴して来るという場合も起つて来るでしよう。これも行政的半強制カルテルに対する公取委員会のお考え方、それからこれが例えばこのために操短が長く続いて、それから単に過剰生産から来る業界への悪影響以上にまあ相当高率な利潤を維持せしめる役割をしているということが明らかになつた場合に、公取委員会としてこれに対してどういう態度をおとりになりますか。この半強制カルテルに対する公取の態度というものをお伺いしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/25
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026・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) これは少し書き方がどうかと思うのですが、ここで申上げておりますのは、要するに行政措置といたしまして、いろいろな官庁の指導がございました結果、事実上カルテルを結んだと同じような結果を招来しているということをこういう言葉で申上げたのでございますが、例えばこの過燐酸石灰につきましては燐鉱石の輸入外貨割当権というものの、それも正確なことははつきりいたしませんが、通産省に属しておりまして、その操作によりまして事実上操短が行われる、こういう形になるわけでございまして、この行政措置が、いわゆる適法な権限に基いて通産省がやつております場合は、仮にその結果甚だ不当なものがあるといたしましても御承知のように独占禁止法は事業者の共同行為を禁ずる建前になつておりますので、これを直ちに独占禁止法違反として取上げることは非常に困難のように思われるのでございます。ただその場合も、殊にこの行政官庁の勧告というようなものが正当な法律上の権限に基かないで事実上行われているというような場合におきましては、若しそれにそういうことを通じて事業者がカルテルの効果を挙げている。実質的には行政府に働きかけてその発動を促すことによつて事実的にカルテルを結んでいる。こういうふうに見られます場合は、これは独占禁止法の問題としても取上げることはできるかと思うのでございますが、その関係は場合々々によりまして非常に複雑で、要するに行政庁のほうで積極的に出た場合と、事業者の働きかけによつて出た場合とは相当違うのでございます。それはその場合場合によつて考えなければならんと思います。なおそういう意味の勧告操短というようなものが続いて、而も不況の回復というようなこと以上にいろいろな弊害をもたらし、関連事業者に非常な迷惑をかけたり、或いは非常に利潤をそれによつて得るというような場合に、公正取引委員会として何か打つ手があるかというお話でありますが、これは勿論カルテルという認定ができます場合は独占禁止法で正式に取上げられますが、最初に申しましたように正当な行政庁の権限で行われております場合は、公正取引委員会としては打つ手がないのでございまして、この点は綿紡操短の場合に、これはいろいろな御観察もあると思いますが、綿紡操短の場合にも相当価格が回復しておりましたのに続けられましたのに対しまして、止むを得ず公正取引委員会といたしましては警告と申しますか、申入を通産省にするというようなことで終つてしまつたのでございます。どうも独占禁止法によつて与えられておりまする公取の権限、現行法の権限ではどうもそういう場合に有効な手は打てないと、こういうふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/26
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027・岡田宗司
○岡田宗司君 今まあ綿紡操短のお話が出たので私もちよつと触れたいと思うのですが、私の知つている或る綿紡関係の資本家は、いや、あれがあつたのでおれのところは大助りさ。そうしてまあそういうようなことで、大分まああれの陰に隠れてなかなかうまいことをやつているという企業もあるようですが、これに対して今言われたように、公正取引委員会としては通産省のほうにまあ申入をするとか、警告を発するとかという程度では到底私はカルテルの首の根つこを抑えて行くということはできないと思う。恐らく今後まあ朝鮮休戦から来る不況からいたしまして、相当まあ今設備の拡張をやつているところは、まあ思うようにカルテルができないということになりますれば、政府の勧告による操短とか、何とかという形を或いは業者のほうから政治力を働かして申入れるなり或いは又大変気のきいたお役所のほうでそれをやるなりして、これはつまり公取委員会の活動の余地をなくして、事実上のカルテルを成立せしめるということが考えられるわけです。こういう点について公取委員会としてはこういう事態をどうするかということについて、まあ今の法律ではこれはどうにもならんと言つているだけでなく、何らかこれに対してまあ措置というようなことはお考えになつたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/27
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028・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) その点は今回の改正にからみまして、私どもも非常に考えた点でございまして、御説のように、カルテルは今度認可で認めることになりましたが、これにはかなりやかましく要件をきめましたので、場合によりましては行政庁も勧告というような方法でもつと要件を軽い場合にカルテルと同じような結果が持ち来たされるようなことがありはしないかという点を非常に懸念いたしたのでございますが、この点は先般も衆議院におきまする本改正法案の審議の際に、特に通産大臣から、今後は独占禁止法を無視したような操短勧告というような行政措置は行わないということを明らかに言明せられましたので、その点は一応私はそういう通産大臣のお話を信用をいたしまして、今後はそういう事態は起らないというふうに考えております。仮に若しどこかにおきましてそういうような面白くないことが起りました場合には、先ほど申しますように、公正取引委員会といたしまして、直接にこれをどうするという手段がございませんので、この点は、公正取引委員会には国会に対していろいろ意見を申述べることが認められておりますので、若しそういうような傾向がございました場合には、国会に意見を申上げまして、国会の御判断を仰ぎたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/28
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029・岡田宗司
○岡田宗司君 政府からの操短勧告ですね。これは今どういう業種について起りましたか。で、現在どういう業種についてそれが維持されておるか、或いは廃止されたか、そういう点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/29
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030・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 私の記憶いたしておりますところでは、綿紡がございますし、それから化繊の、いわゆるスフ綿の生産制限につきまして通産省からの勧告がありました。これは但し大きな枠だけの勧告でありまして、その中身は、化繊協会を中心にいたしまして事業者が話合つた形跡がございますので、この点はそこを捉えまして考慮いたしたのでございます。なおタイヤ、ゴムにつきましても、やはり丁度綿紡と化繊との中ぐらいな勧告があつたように聞いております。これもやはり業者のお話合いという面がございましたので、ゴムの中で特に問題になりますタイヤ、チューブにつきましては正式の事件として取上げました。今まで正式に私のほうで取上げましたのはそういうようなものでありまして、あとはお手許にございますこの中に多少この点は触れたものがございますので、大体そういうような……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/30
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031・岡田宗司
○岡田宗司君 公取委員会は、綿紡のほうはその後どういうふうになつているとお考えでございますか。それで望ましい状態にあると思うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/31
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032・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 操短の点は、御承知のようについ最近まで暫らく勧告に基く操短が行われておつたのでございますが、これは最近にその点はなくなりまして、大体その後の詳しい調査は私は、或いは事務局のほうでやつているかも知れませんので、はつきりしたことは心得ておりませんが、操短の点は相当問題が解消して来ているのではないかというふうに考えております。ただ最近価格が、糸の価格が非常に上つて参りましたのにつきましては、いろいろな原因があると思いまするが、やはりこれは何か或いは独占禁止法などを問題にし得るような点があるのではないかと考えておりますが、この点はまだはつきりした事実を把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/32
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033・岡田宗司
○岡田宗司君 これはまあ通産大臣にお伺いしたいのですが、政府からの操短勧告ですね。これについて政務次官、企業局長、どつちでもいいですから、どういうふうにお考えになつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/33
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034・古池信三
○政府委員(古池信三君) 今日大臣が休んでおりますので私から申上げますが、只今公正取引委員長からお話がありましたごとく、同じく政府の機関でありまして、尤も公正取引委員会は公式の性格を持つた機関ではありますけれども、併し政府といたしまして一方は独占を禁止しようという立場にある集団であり、又私のほうが一般の産業行政を行なつている立場から、この公正取引委員会の意図しておられるところに反対するような措置を意識的にとるということは、これは不当なことで申訳ないと思うのであります。従いまして今後そういうようなことは十分に考慮をし、又公正取引委員会ともよく実質的に連絡をとりまして、その間に齟齬を来たすことのないように慎重にやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/34
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035・岡田宗司
○岡田宗司君 これは政府としては政府のほうから操業短縮の勧告は原則的に行わないというふうに解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/35
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036・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今お尋ねのような趣旨に御了解下さつて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/36
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037・岡田宗司
○岡田宗司君 それで若し業者のほうから、ここにある不況カルテルの場合ですね、まあ操業短縮をやらんければいかんというふうに考えて、衆議院における修正前は主務大臣のほうへ認可を求めることになつているのだが、今度は公取委員会でやる、その際に総理大臣のほうにも逆に認可を受けなければならない、この際には前と同じような方法で認定しますか、それとも原則的に操業短縮を行わないという建前に立つてこの問題を処理されるのか、それを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/37
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038・古池信三
○政府委員(古池信三君) 今度の改正で不況カルテルというものがはつきり認められて、この法律の適用に除外される、その際には公正取引委員会において認可をされることになりましたので、甚だはつきりして来たと思うのであります。その際に、公正取引委員会から私のほうに御協議を受けた場合には、我々として持つておりまする資料等から十分に審査考慮をいたしましてお答えもするわけでありまするが、その際には当然この法律の意図している精神というものを尊重して御協力申上げたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/38
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039・岡田宗司
○岡田宗司君 今までは通産省とそれから公取委員会の間にカルテルの問題について事実上意見の食い違いがあつた、そうして片方においてはそれを認めて行こう、片方においては禁止して行こうというおのおのの立場の相違がはつきりあつたわけですが、これは通産省のほうとしては今後、まあこの改正法律案は両方の妥協からできたものだろうが、大体何ですか、公取委員会のほうでこの程度のことでよろしかろうというのでやつで行く場合には、それと一致した方針でやつて行くつもりですか。今までのように公取委員会の立場と違つた立場をとつて行く行き方でおいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/39
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040・古池信三
○政府委員(古池信三君) 過去のことに属しますけれども、正直に申して、確かに綿紡の場合などは公取委員会と私のほうとの事務上の連絡が緊密でなかつたということは申上げることができると思います。今度はこういう法律の改正の趣旨もございますから、十分に法律の精神を酌みまして、公取委員会から御協議のあつた場合には、その意味において我々としましても十分に御協力いたしたい、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/40
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041・岡田宗司
○岡田宗司君 それから、どうも今まで公取委員会が存在しておつても、まあ司令部のある間は大分業界のほうでもびくびくしておつたようですが、占領が解除されてからいわゆる行過ぎを是正しなければならんというようなことになつて来る。独禁法なんか真先に槍玉に挙げられるようになつた。一方において通産省が今も綿紡の操短の問題で通産省側の意見、まあ公取委員会と別な立場をとつておる。そこで業界がどうも公取委員会の存在をなめておる。これはもう否定できない事実であります。公取委員会としては業界になめられておる。その原因というものはどこにあつたとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/41
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042・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) それはいろいろな点があつたと思うのですが、一つは我々の仕事に不慣れな面と、まあいろいろ手不足な面とございましたことが原因の一つと思いますが、御承知のように独占禁止法の正確な適用をいたしまする場合には、どうしても事実の把握を必要といたします。御承知のようにいい加減なことでやりますと、高等裁判所で事実的証拠がないということで審決は取消されるというようなことにもなりますので、この事実的証拠の把握というようなことに非常に力を入れておるのでございますが、この点がやはり新らしくできた役所でございまして、例えば検察庁とか裁判所というものは非常に古い伝統があります。又そういう点で鍛えられた人が揃つておる役所と違いまして、その点が非常に弱体である点が一つ、それからもう一つは、やはり我々のこの法律を適用いたします態度が余りはつきりしなかつた面があるのではないかと思います。その点は先ほど申しましたような事実の把握というような点が欠けておりますので、自然に打つ手が遅くなり、或いは鈍るという面がございまして、それらの点が合わさりまして、或いは公正取引委員会くみしやすしというような感じを業界に与えているのではないかと思いますが、だんだんこの役所も満六年を閲しまして、やや仕事の面も能率も多少上りつつあるように思うのですが、今後はこの法律の施行ということに信念を持ちまして、この法律の精神を生かすというふうに大いに努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/42
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043・岡田宗司
○岡田宗司君 とにかくまあ現在でもなめられておることは事実だと思うのですが、何しろ業界のほうはベテランが揃つておるし、なかなか以心伝心で証拠をつかめないようなことで事実上ちやんと価格協定をやつておるというのが多いので、恐らくおつかみになることは困難であろう。そこがまあ問題なんですが、カルテルの社会に及ぼす影響があります以上は、やはりこれに対して公取委員会としても相当なめられない態度で、厳たる態度を以て臨むのがいいのではないかと思いますが、私は罰則もどうも軽過ぎるのではないかと思います。今まで何も問題にならなかつた。今度の改正だつて九十二条を見ますというと、実際大したことはないのですね。それでとにかく何億円というような会社がずらつと揃つてやつて、そうして僅かばかりの罰金を科したつて、こんなものは何といいますか、それこそ痛くも何ともないので、これは中小企業者が罰金を食うのと大分訳が違うのです。こういうようなことで以て処罰して効果があるというふうにお考えになつてこの程度にされたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/43
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044・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) この罰則の点につきましては、衆議院の審議の際にも話が出まして、たしかこの前の国会の際にも罰則が非常に低過ぎるじやないかという御注意がございましたわけでございまして、どうもそのときこの法律の持ちます重要さ並びにほかの法律との振合いから考えましても、二十二年にできましたそのままでございまして、罰則の非常に……殊に罰金等も額が少な過ぎることは認めるのでございますが、この点はなお将来独占禁止法につきましてはもう少し我々といたしましてもこの罰則の点や或いは手続の面等につきまして根本的に考えて見たいと思つておりますが、この点はいろいろのお話も、御趣旨を体しましてよく検討して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/44
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045・岡田宗司
○岡田宗司君 今までは何ですか。まあ審判が行われてどの程度の処罰を受けておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/45
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046・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 先ず大体罰則は今までは見逃してあつたと申上げていいと思います。これはさすがに司令部も、新らしい法律でございまするし、まあ一つは啓蒙時代というふうにも考えましたが、非常にやかましく言つておりました司令部自体にも罰則の適用をしろということを申して参つたのは殆んどございませんで、たしか今まで三件だけ、そのうち二件は司令部から無理やりにこれはどうしても罰則にかけろということで、まあ大した事件ではなかつたのでございますが、二件はそういうようなことで検事局のほうに告発をいたしました。あとの一件は公取みずから取上げたものでございます。そういうようなわけで今まで罰則はまあ殆んど眠つておつたわけでございます。その点も今回大体独占禁止法の改正で私ども考えまして妥当な線に一応落ちついたというふうに考えますが、罰則の点につきましてはすでに法律施行後六年にもなつておりますので、今後は今までとの考え方を多少変えて行きたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/46
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047・岡田宗司
○岡田宗司君 今度八十九条第一項には、この三年以下の懲役というような体刑まであるのですね。まあなかなか体刑を受けるほどのことは、こういうような問題では少いだろうと思いますが、あとはまあほんの大きな企業にとつては問題にならない罰金なんですね。これじやなにこのくらいのことならと、こういうことでですね、平気で以てこれをやる、而もやる方法もこれはまあ苦しこれが犯罪だとするならば、智能犯のうちの智能犯に属する部類の連中がやることですから、これは到底、而も犯罪をするという意識を持たないで恐らくおやりになると思うんだが、これはなかなかこの程度の罰則では私は押えることはできない。罰則の重い、軽い、いい悪いは別としてですね、ここいらにもなめられている原因があるのじやないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/47
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048・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) その点恐らく私はまだそれほど、この罰則が軽いからという点は、まだ私としてははつきり申上げかねるのでございますが、併し確かに理論的に考えまして余りに低過ぎ、ちよつと独占とかカルテル問題に僅かに五十万円以下の罰金というものは、確かに問題の重要性から考えまして非常に権衡を失しているということだけを、私申上げられると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/48
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049・岡田宗司
○岡田宗司君 公正取引委員長が権衡を失していると認められるものが、どうしてこの程度のものしかここへ現わされなかつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/49
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050・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) この点は先ほど申しましたように、将来法務省とよく相談いたしまして、適当な根本的な改正をこの次にいたしたいと考えまして、今回はいわゆる実体規定のほうの改正を主にいたしまして、こちらまで強く入れなかつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/50
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051・岡田宗司
○岡田宗司君 それはどうも私の質問にお答えにならん。で、委員長はこれはどうも軽くて権衡を失していると言うにもかかわらず、こういうふうな罰則ができたのは、やはり通産省側のほうからこの程度にしろと、こういうお話があつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/51
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052・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) この罰則は実は殆んど我々も審議を……正直に申上げますと、本当に正確に取上げてこれを議論する段階まで参りませんで、大体第四章ぐらいのところまでを一生懸命検討いたしまして、今まで罰則を適用いたさなかつた点もございまして、余り議論しないでこの改正案を出したわけであります。勿論通産省のほうからこの点については何らの申入はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/52
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053・岡田宗司
○岡田宗司君 私も前々からどうも公正取引委員会が警告を発したという話は多く聞いておつたけれども、これによつて処罰されたものは余りないということを聞いている。私、今聞いておりますと、それは問題じやないと言うし、実際規定されたところもこの程度じや一向歯牙にもかけないこういう程度のものなんですし、まあ通産省がこの程度にしろと言つたのか言わないのか、これは委員長のほうから何ともお答えがなかつたのですが、どうも全体から考えて見るというと、通産省側が公取委員会というものは無視をしろと、この私的独占禁止法というものは無視をしろというような考え方が、やつぱり随所にどうも現われているような気がするんですがね。質問すればそういうことはございませんとお答えになるのだけれども、やはりちやんと現われていると思うのですよ。私はこのことでは別にお伺いしませんけれども、公取委員会のほうが、とにかく私的独占の活動について相当に慎重な態度を以て臨む、而も権威ある態度を以て臨もうとするときに、今までのように通産省側で水をさしたり、逆の行き方をする態度は非常にけしからんと思います。これは今後一つやめて頂きたいと思います。どうでしようか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/53
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054・古池信三
○政府委員(古池信三君) 通産省といたしましては、申すまでもなく市場の安定を図り、又産業経済が健全に発達するように寄与したいということを考えてやつているわけでございますけれども、この法律に規定せられてある事項については、勿論我々としては尊重しているのでありまして、ましてその所管されている公正取引委員会に対しましては、十分なる尊敬の念を持つているのでございまして、只今お話のような公正取引委員会を無視するとか、そういうふうな考えは毛頭持つておりません。今後といえども、我々の行政の立場から希望する点、又我々の持つておりまする資料から眺めました見解というものは、十分に公正取引委員会にも披瀝いたしまして、お互いに協議をして、この事柄の円満、完全に運用されるように、協力すべきであると考えまするけれども、決してこの法律の精神を歪めるとか、尊重しないというようなことは、絶対にないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/54
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055・高橋衛
○高橋衛君 只今公正取引委員会が非常になめられているという原因について、いろいろ論議があつたのでありますが、私は別の観点からそういうふうな原因が、そういうような事実があつたとすればあつたのじやないかという感じを持つているのであります。先ず第一にこの独占禁止法というのをいろいろ読んで見ますと、非常に広汎な複雑な規則であつて、恐らく何人もどういう共同行為が違反でないかということを確言することが非常に困難じやないか、従つてこの程度までは、恐らくは公取も目を瞑られるのじやないかというふうな漠然たる意識で以て、多くの経済行為をなさざるを得ないというところに、一つの原因がありはしないか。それからいま一つは、公取で以て十分に監視ができ得ないにもかかわらず、非常に多くの権限を持ち過ぎている。一つの例を申上げますならば、会社の合併の場合におけるところの届出でありますが、会社の数はおよそ三十五万ぐらいあります。そのうち五百万円以上の資本金の会社が約一万四、五千あるかと思うのであります。それ以下の会社は、一つの例を申上げれば非常にはつきりするのでありますが、戦争中の経理統制令で以て、二十万円以上のみを経理統制令の範囲に改正したのでありますが、それが今日の物価に直しますと約六万円程度になる。従つて殆んど大部分の会社が、経理統制令の時代におきましては、その統制の範囲外になつておる、而も独占というような大きな経済機構から申しますというと、これらは私無視して然るべき対象であろうと思うのでありますが、それらのものが一々全部届出を出す義務があつて、而も法律的に言えば監視の対象にならざるを得ない場合、而も役人は非常にまじめでありますから、そういうものまでに一々受理すべきか否かということを審査せざるを得ない。従つて人数が多少多くても少くても、そういうことに煩わされるということによつて、重点的に仕事ができないという面があろうかと思うのであります。従つてむしろこの独占禁止法の権威を高め、公取が本当に権威を高めるというためには、何が違反であるかということをもつとしぼつてはつきりさせるということが重要ではないかというふうに私は考えるのであります。
私は一つの経験を持つておるのでありますが、曾つて焼酎関係の仕事を監督いたしておりましたときに、焼酎の生産の規制ということを政府として或る程度の監督をいたしてやらしたのであります。これが公取からお叱りをこうむつて、それならばというので沼税法五十一条に基くところの命令によつてやることにいたしたのであります。どちらかと申しますと、実質的に相互の間で多少違反のものがあつても生産の制限をして、そうして折角きめられておるところの公定価格が保持され、而も或る程度の公正な利潤を得て滞納を作り上げる原因をなくするということのほうがよりベターなんでありますが、こういうふうな法律のために止むを得ずそういうふうな命令を出さざるを得んというようなことに追い込まれたというような例も私はあつて、非常に面白くないという感じを持つておつたのです。それらの点にむしろ原因があるので、罰則その他の点も或いはあるかも知れませんけれども、根本はいま少ししつかりとしぼつて本当に必要なものは何か、独占禁止をするために何が本当に必要かということを重点的に検討して行く、そうしてそれに活動の重点を置くことが必要じやないかというふうに私考えておるのであります。その点について公取の委員長の御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/55
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056・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 只今誠に御尤もな御質問がございまして、第一点の独占禁止法の何を違法としておるかという点が極めてあいまいであつて、これは守りにくいという点でありますが、この法律が行われない原因の一つではないかというお話でございました。この点はこの法律は、大体英米法系の法令と申すことができると思います。従いましてこういう法律につきましてはいわゆる慣例というようなものがたくさん重なつて参りますと、おのずからそこに一つの具体的な規範としての価値を持つて来るわけでございますが、あいにくのことに日本には非常に新らしい法制でございますると同時に、六年間経過いたしましたが司令部のおります間は、公正取引委員会が取上げました事件に対しての事業者のほうで多少無理と思いましてもそのまま認めてしまつて、いわゆる正式な審判においてこれが違法であるかどうかという点について腰を据えて議論をし合つたことが殆んどなかつたのであります。御承知のように違法を認めますと、同意審決ということで証拠調べも余りしませんで審決を下す、判決を下すというようなことが殆んど大部分でございまして、裁判所まで問題を持込んで件律論を闘わし、或いは事実の認定をするということがございませんために、この各条につきましてその具体的な解釈というものが非常にあいまいになつて、その状態で来ておるわけでございます。幸いに独立回復後はその点につきましは、むしろ事業者のほうの逞ましい反撥と申しますかを期待いたしまして、我々といたしましても、審判において大いに議論をして、この法律の具体的な問題を明らかにしたい、こういうふうに考えておるものであります。まだあいにく独立後約一カ年そこそこでございまして、そういう点に非常な欠けたところがありますのは、非常に残念であります。大体そういう趣旨のことでございますので、その点はどうもこの法律について、持つて生れた一つの運命というふうに考えておるのでございます。
なお次に公取の権限が大き過ぎて、つまらんものまで一々取上げるような仕組になつていることはどうかという点については、相当御尤もな点がございまして、例えば合併等につきましては、今回の改正案を考えまする際に、非常に小さなものについてはこれを放任するという議論も相当いたしたのでございます。ただ届出をとつて全体の動きを見るというような点、並びにそういう小さいものにつきましては、届出の手続を極めて簡単にするということによつて、余り人々に迷惑をかけず、又独占禁止法の上から言つても、それくらいのものは出してやつてもいいのではないかというようなことで、この点は前に、昨年の独占禁止法の改正では組織の面の改正でございまして、その際にもこの点はたしか議論になりまして、合併等の手続も、大きな会社と小さな会社のある場合に差を設けまして、非常に小さなものにつきましては、簡素にしておるのでございまして、なお今回の改正につきましては、いずれ施行までの間にそういう細則を作らなければなりませんので、今お話の御趣旨をよく考えまして、そういう手続規定において適当な改正をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/56
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057・岡田宗司
○岡田宗司君 今公定価格のあるのは何種類くらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/57
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058・古池信三
○政府委員(古池信三君) 私も詳細なことは存じませんが、ちよつと気の付きましたのは、米がなつております。それから金の場合は、一般は自由になりましたけれども、買上げの……。それから一般公益事業における供給規程等に掲げておる、それから酒、これらが一応考えられるものじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/58
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059・岡田宗司
○岡田宗司君 そこでまあ酒について一つお伺いしたいのですが、あれもとにかくこしらえているのは皆私的企業ですが、あれはもうそろそろ公定価格を廃止して自由競争にして、値段の差があつてもいいのじやないかと思うのです。値段をきちつと抑えている。そうして、そのためにビール会社などは随分儲かつている。あれは株にちやんと出ている。酒の会社でも今株は高い。一体あれは独占禁止法の精神に反していないのですかね。これは公取委員長に一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/59
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060・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 只今これは非常に値が高く吊り上げられているということになれば、それは公定でございましても、余り好ましい状態ではないと考えますが、果して現在のものが非常に高いかどうかは、ちよつと私具体的にお答えできません。ただたしかああいうものは、一番上の値段がきめてあるのでございまして、従つて理窟を申上げれば、下で以て競争はできるわけでございますが、併し事実上やはり最高のところに或いはきまりますと、自然最高の値段で売る。これは別にお互いの間に協定があるということでもない、自然にそういうふうになるのではないかと思います。普通その最高値の高過ぎるかどうかという点につきましては、私どもとしてはつきり申上げる資料を持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/60
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061・岡田宗司
○岡田宗司君 まあ何ですね。公正取引委員会はほかのことでも随分取引のことについてなされておるんですが、まあ酒なんかについても、これは今言われたように、明らかにもう最高値で事実上縛られておるというわけで、例えばどこか浅草か何かでビールを百円で売つたところが直ちにこれが問題になり、いろいろな問題が出て来ておるんです。現実安く売ろうとするとこれは小売業者のほうからの何でもありますけれども、又片方のほうでも、ビール会社のほうでもそれには卸せないというようなことになつて来るようなことがあるわけですが、やはり或る程度その価格カルテルが事実上行われておるんじやないか。でこの公定価格と価格カルテルとの問題というものをもう少しメスを入れて考えて見なきやならんと思うが何も酒の公定価格をきめたのは大蔵省のほうで税金の面から或いはそうしておつたほうが便宜があるんじやないかというので或いはああいうやり方を未だに続けておるのかと思うのですが、まあ高橋君なんかそれをきつと考えられたほうなんだろうが、それはともかくとして、もうそろそろこういうものについて公取委員会としても何らか大蔵省のほうにかけ合つていい段階じやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/61
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062・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 何か最近の税法の改正でございますか何かで大分公正取引委員会と大蔵省の何か折衝があつたそうでございますが、そういう噂は私ちよつと具体的に存じません。若し詳しいことであつたならば説明員がおりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/62
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063・岡田宗司
○岡田宗司君 説明だけをして、私の言うのを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/63
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064・丸山泰男
○説明員(丸山泰男君) ちよつと御説明申上げます。酒の問題につきましては、今お示しのように、最高価格統制でありますので、価格が崩れるという現象が最近非常に起つております。でこれが出荷規制の問題とか或いは租税の、酒税の納滞という問題というものが相当ある。これは最近酒税の滞納額も相当あるということを言われておりまして、これが相当憂慮されておる、それを今取締る規定としては従来は酒税法の五十一条というのがありまして、これが価格とか出荷量等について或る指示ができる、そういう規定があつたわけなんでございますが、まあこの指示権というものの内容も甚だ明確を欠いておる。而も戦前の法律であるために非常にどういう場合に指示するかということがはつきり出てない。何でも指示できるという形になつておる。こういう点から法制局のほうでも問題がありまして、公取等もその点何とか法律的にその間を明確にしなければいけないということで今度この国会に提案されまして、たしかもう可決されたかと思うのですが、(「この前だ」と呼ぶ者あり)この前ですか……、五十一条を削除いたしまして、それで酒類業の安定に関する法律といいますか、何かそういう名前の法律を作りまして、本当に酒税確保という観点から最低限のぎりぎり止むを得ない場合に価格協定を認める、そういう途を開きました。
ただその場合にやはり自由競争の面も尊重しなければなりませんので、その点に関しましては公取の同意ということになつておりまして、大蔵省と公取の間で十分にその点を検討して、本当に止むを得ない場合だけ酒税の確保ということに非常に重大な危殆を及ぼすというような場合に限つて価格協定を認める、そういうような解決がこの前の国会でついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/64
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065・岡田宗司
○岡田宗司君 それで何ですか。実際に公取としては止むを得ない場合としてその価格協定を認めておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/65
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066・丸山泰男
○説明員(丸山泰男君) 只今までのところ、これはやはり酒類業組合というのを作りまして、組合の遵守すべき事項というような形でやることになつておりますが、まだ法律が通りましてから日も浅く、それぞれ業界において組合の結成準備中でございまして、実際にはまだ同意を求められて来た案件は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/66
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067・岡田宗司
○岡田宗司君 同意を求められない前にすでに価格のその協定が行われているんじやないのですか。現実に価格の協定は行われているんですが、これはどういうふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/67
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068・高橋衛
○高橋衛君 関連して……酒類についてはまだ公定価格を存置しておると思うのですが、従つて最高価格の下においてどの価格に協定をすべきかという問題が存在するわけです。その最高価格の下で協定することについては公取に相談しなければならない。つまり公定価格自体は最高価格であつて、而もその最高価格の計算の方式は従来の通りバルク・ライン、生産の七割五分、これくらいの線をとつてそこにおけるところの生産費の調査をし、そうしてそれで以てやつておる。従つて業界としてはできるならば最高価格というのが我々の企業を維持し得るところの線だということで、それを維持したいという希望を持つていると思いますが、まだそういうふうな点についての十分のお知らせがないと思いますが、その辺如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/68
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069・丸山泰男
○説明員(丸山泰男君) 只今お話のありましたように、最高価格は残つておるわけでありますが、一部にリベートなんか出てビールなんかでもいろいろ困つた問題があるようでございますけれども、今のところやはりそれが根本的に解決されておらないようなわけでございます。さつきお話しのようなああいつたケースも実際上出ております。従つてビールの業界におきましては当然まあ認可されるような価格協定というようなところへ持つて行かなければ百%の効果を発揮しない。現在のところでは寄り寄り研究中であります。ただまあ余り不当なリベートをやつて、それが酒税の滞納に響くということのないようにというような程度の話合いはあるようでありますが、これは現実の価格協定というほどのものではない。又そういうことも法律上認可を受けない限り最高価格以下で価格協定はできないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/69
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070・岡田宗司
○岡田宗司君 さつきからのお話を聞いていますと、どうも受取れない。とにかく公定価格は最高価格ということになつておる。そうするとその最高価格の場合で以てみんな歩調を揃えてやるときにはこれは文句を食わない。下できめるときには今度は文句を食う。実に馬鹿げた話だと思うのですが、この点は最高価格というものを今ああいうふうな、現在ではまあ前の統制時代と大分状況が違つて来ておるから最高価格というものを公定価格として置くこと自体が又一つ問題だろうと思うのだが、今言つたように価格協定がいけないなら最高価格でみんな足並みを揃えて、そうしてそこで以て相当な額の利益をみんな挙げておるということ自体も、これは何らか公取委員会として、或いは政府全体として考えなきやならん問題じやないのですか、これは一つ公取委員会のほうからお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/70
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071・丸山泰男
○説明員(丸山泰男君) 私の説明がちよつと不十分であつたかも知れませんが、最高価格を維持する協定は、これは当然独占禁止法上問題になるわけであります。最高価格というものは、それ以上売つちやいけないという国家の統制なんでありまして、最高価格以下で売ることをやめましようという協定は独禁法上当然問題になると思います。その点は理論的には最高価格以上で売るのをやめましようということは、これは違反にならないと思いますが、以下で売るのをやめようということは当然違反になるのでありまして、勿論最高価格以下の値段の協定も同じく論ぜられると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/71
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072・岡田宗司
○岡田宗司君 そうじやないんですよ。最高価格というものが示されておつて、以上で売りましようなんということを言わず、以下で売りましようなんということを言わず、黙つてみんなで最高価格で売つている場合ですね。当然競争によつて下らなければならんものをそのままの価格で売つて、それで以て莫大な利潤を得ておる。この最高価格自体が余りに改訂されない場合に、そういう現象が起つておると思うのです。ビールなんかもそうであろうと思うし、ウイスキーなんかの場合も高級品についてはそういうものは見られるのではないか。これなんか公定価格でないけれども、一級のやつなんかみんなが同じ値で売つているじやないか、トミーだつてみんなやつているじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/72
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073・高橋衛
○高橋衛君 各種類違うだろう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/73
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074・岡田宗司
○岡田宗司君 いや、同じだよ。サントリーだつてトミーだつて同じだよ。これ、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/74
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075・丸山泰男
○説明員(丸山泰男君) 最高価格統制というものは、要するに低物価政策から出て来たものだと私ども了解しておるわけであります。従つて最高価格以下になりそうな状態のときに、それを維持するために、最高価格統制があるということは、理論的にはおかしいわけであります。従つてそういう段階になつた場合には、いわゆる最低価格統制ということを別にやるのなら別でありますが、そうでない限り当然何らかの形で解決さるべき問題であろうと存じます。従つてそういう価格がなお依然としてある場合に、それが価格競争を或る程度心理的にチェックするということは効果としてあり得ると思うのでありますが、実際問題としては、やはり需要と供給との関係がありまして、最高価格が非常に普通の競争価格よりも高い場合は、なかなか最高価格が守られない、相当そこに濫売という現象が起つて来ておるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/75
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076・岡田宗司
○岡田宗司君 どうも僕の言つていることがはつきりわかつておらんようなんだが、例えば特級の酒について見ると、最高価格はちやんとある。ところがみんなそこで以てずらつと一律に同じ値で売られている。或いは価格協定のための契約はやつていないかも知らん。併しながら事実暗黙にそこで以て売つて、そうして事実上下げる資力もあり、それから大きな会社だからそれができるのですよ。事実上暗黙のうちに価格カルテルを形成しておる。政府の定めた最高価格の点で、暗黙のうちに価格カルテルというものを形成して、いるのが現状じやないか、これはどうするのかということをお伺いしておる。例えばサントリー・ウイスキーと、それからトミー・ウイスキーと同じ値で売つている。これはそれじやないか。或いは特級酒が全部どこの酒屋へ行つても同じだという場合に、そういうことになつているじやないかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/76
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077・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) その点はいわゆる協定、現行法で申します第四条の共同して価格を維持するという事実が認められますれば、只今説明員から申上げましたように、明らかに独占禁止法違反でございまして、いずれも共同行為があるためには必ずしも正式の契約があつたり、或いはちやんとした話合いがある必要はなくて、お互いに意思を連絡をし合いまして、お互いが拘束し合つておる状態がございますれば、やはり共同行為の成立というふうに、これはかつてそういう審決例も出したのでございまして、従いまして若しそういうウイスキーのメーカーが意思を通じまして、お互いにそれ以下では売らないということの共同戦線を張つておるということがはつきりいたしますれば、これはやはり独占禁止法の問題になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/77
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078・岡田宗司
○岡田宗司君 自由競争が行われている場合でも、或るときには或る企業同士の付ける同一の価格で市場に現われる場合もある。併しそれが或る程度持続してそういうことが行われていることが、意思を通じているか通じてないかということの明確な証拠となるものではなくても、それが持続的に同じ正札でずつと売られておる。一年なり半年なり売られておるということ自体は価格協定と認定できますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/78
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079・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) それだけで直ちにということには少し問題があると思いますが、併しやはりそういう長い期間、そういう状態が続いておるということは、或る意味の推定のかなりの材料にはなると思います。これはよく新聞の、最近は新聞がだんだん競争が激しくなりまして、値段などもいろいろまちまちになつて来たようでございますが、一時非常に同じ値段でずつとやつておるというような場合に、果してあれが新聞社の間に一種のカルテルがあるかどうかという点は私ども随分研究いたしましたが、併し新聞社の人に言わせると、お互いに敵陣を探つて、向うが上げるというときには大体わかるので、幾ら上げるということはわかるので、それに従つて、話合いとか意思の連絡はないという、はつきり申しますればなかなかその点は実際問題としまして非常に認定のむずかしい問題ではございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/79
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080・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると酒の問題なんかもそういうことで相手の何を探つてああいうふうにぴたつと一致しているかどうか、これはどうも非常に疑問な点があると思うのですが、これはやはり若しカルテルを全面的に価格カルテルについて、全面的に調査されて、そして取締られるというならば、この問題なんかも公取としては十分に考えて行かなければならん。
それから次にお伺いしたいのは、二十四条の三の終いのほうでですね。今度の衆議院の改正によりますと、衆議院の修正によりますと、「公正取引委員会は、第二項又は第三項の認可をし、又はその申請を却下しようとするときは、あらかじめ、当該事業に係る主務大臣に協議しなければならない。第二項又は第三項に掲げる認可について、第六十六条第一項の規定による処分をしようとするときも、同様とする。」主務大臣に協議しなければならないということですが、主務大臣のほうと意見が違つた場合はどうするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/80
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081・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) この点は一応協議をいたしましても、意見が違うということがあり得るわけでございますが、その場合は公正取引委員会が自分の独自の見解に従つて認可をし、或いは認可の申請の却下をできるというふうに解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/81
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082・岡田宗司
○岡田宗司君 表向きはそういうことですが、事実上、通産大臣が産業行政についての責任を持つておるというような立場、そうして又事実上政府部内においても相当強大な力を持つておるというようなことから、又或いは通産省に対する業界側からの働きかけが相当強いということから、主務大臣のほうでも相当にこれについて強硬に突張つて来るという場合も予想されると思うのですが、果してそういう場合に公正取引委員会は妥協しないでやつて行けるかどうか、その公正取引委員会の独自の判断を貫き通せるか否かということは、私ども疑問とするところです。で、前の政府で出しました修正案の場合よりもこの点については公取委員会の権限というものがそれだけ再修正によつて強くなつておるわけです。実施の面においてはなかなかそういうふうに行かないのじやないかという疑念があるのですが、それはどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/82
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083・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) その点はこういう修正になります以上は認可の事務は公正取引委員会の責任を以つてしなければならんことでございまして、この点は独占禁止法の規定によりまして公正取引委員会には裁判官の地位の保障に等しい事項の規定もございますような関係からいたしまして、我々といたしましてはその法律の精神に従いまして、通産省の意見は勿論十分に参考にはいたしまするけれども、最後の決定は独自の立場に立ちまして法律と良心に従つて立派にやるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/83
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084・岡田宗司
○岡田宗司君 それから同じく第二十四条の三のうちに、「公正取引委員会は、第二項若しくは第三項の認可の申請があつた場合において、当該申請を認可し、若しくは却下し、又は第二項若しくは第三項に掲げる認可について、第六十六条第一項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、当該処分の理由を附してその旨を公表しなければならない。」、こうなつておりまするが、この「遅滞なく、」ということですが、一体その認可の申請を認可する或いは却下するということが非常に手間をとるというようなことになりますというと、発表だけが遅滞なくたつてこれはしようがないですな。私どもは認可の申請をしておる途中に、つまりあなた方のほうへ申請をしておる途中にその業界のほうでカルテル行為をやつていなければその問題じやないと思うのですが、これが非常に長引いておる場合にこの間において事実上カルテル行為がどんどんなされおる、そうして相当弊害が認められるということもあり得ると思うのです。勿論それは罰せられることにはなるでしようけれども、併し未定のままで置いておく間に業者のほうでそういうことをどんどんやつておるということになつて参りますれば、これは問題があると思います。この認可若しくは却下するまでの間の期間は大体最高限どのくらいかかるものと予想されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/84
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085・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) これはどのくらいかかるということをはつきり申上げることは困難と思いますが、確かにおつしやつたような問題がございまして、認可申請に対する処理が非常に遅れたりしていますことは私どもとしましても十分に注意をいたしたいと考えております。ただこれは不況カルテルの場合でございますれば相当急ぐものもございましようが、併しやはり綿紡の場合で見ましても、不況カルテルに当るか当らんかは別といたしまして、やはりそこまでに行きます間に相当いろいろないきさつがあるわけでございまして、いきなり申請を出されてさあすぐにと言われても実はむずかしい場合もあると思いますが、ここら辺はむしろ少し早目に、正式の認可を申請をするような前に恐らくいろいろ業界から話がございまして、いよいよ申請があつて認可するという場合には割合に早く行くのではないか。これは勿論業界のほうが誠意を以てそういう事前のいろいろな準備をして頂けばいいわけでございますが、そうなりますれば割合にこの認可はスムースに早く行くのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/85
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086・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ちよつと御質疑中ですが、農林、通産委員会から政務次官に呼出しがあるようですから……。じやどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/86
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087・岡田宗司
○岡田宗司君 それから今まで公正取引委員会で調査要求があつて、その調査をして、それから審判をして、判決といいますかそれを下すまでには、短いのでどれくらい、長いのでどれくらいかかつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/87
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088・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 短いのは、先ほどちよつと申しましたが、もう違反が極めて明白でございまして弁解の余地がないというようなものにつきましては、御承知の勧告という手続がございまして、それを応諾いたしますとすぐに審決ということで非常に早いのでございます。それから正式の審判開始ということで審判をやるつもりでおりましたものがすぐに違反を認めてしまつていわゆる同意審決ということになりますれば、これは非常に早く片がつくわけでございます。これはまあ一月もたたないうちに審決するというような短いものもございます。長いのはかなり長いのもございまして、一つこれは極めて、特異なものでございまするけれども、極東運賃同盟に関する外国の船会社相手の事件でございまするが、これはたしか昭和二十五年頃取上げたかと思いますが、それがまだ実は審決になつておりませんので、そういう著しい例もございます。併しこれは中間におきまして外国の同盟のほうと話合いましてその当時実行しておりました契約をかなり改めまして、中間的にそれでやつて見て弊害があるかどうかということを監視しているような関係でございまして、若し弊害があれば更に続けて公正取引委員会で適当な処置をするという権限は留保して、その意味におきまして審判を一時停止しておる事件がございます。これなどは非常に長うございまするけれども、そういう特殊の事情があるわけでございます。あとは裁判所に行きまして非常に長引いているのもございますけれども、委員会でやつておりますものでそう長いものは、証人を非常にたくさん調べました事件で長いものもございます。割合に早く審理を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/88
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089・岡田宗司
○岡田宗司君 現在のそういうようなやり方が今後の認可なり或いは却下なりのスピードに相当影響を持つのじやないですか、関係があるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/89
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090・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 今度の審判で認可申請を却下いたしましたり、或いは変更取消いたします場合につきましは、これは物事の性質上相当迅速を要しまするので、この点今後の問題としまして我々としましては十分に考えなきやならんと思つております。但し場合によりまして長引くような場合に対しましては、御承知のように一種の仮処分といたしまして裁判所に申出ましてその行為の差止めをしてもらうというような途も今の修正案の中に盛り込まれておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/90
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091・岡田宗司
○岡田宗司君 最後に外国の企業のカルテル行為ですね、これは日本の国内に関係がある、或いは又その国際的なカルテルに日本のまあ企業が参加した場合ですね、これについて公取委員会としてはどういう御見解を持つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/91
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092・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 日本の企業が参加いたしました場合は、御承知の第六条が大体そういう国際カルテルに日本の企業が参加いたしました場合の規定で、これは独占禁止法上はつきりした規定があるわけでありまして、外国会社が、これは日本に来て仕事をしておりまして、それでいろいろ違反をいたしますれば、これは問題はないのでありますが、外国におつて、而もその影響が日本に及ぶような独占禁止法のいろいろな違反に掲げてございますような違反をやりました場合に、これを攻撃できるかという点はいろいろ解釈上問題がございますが、私どもの考えでは、日本に影響がある行為については外国の会社に対しても手続をとり得るというふうに一応考えておりますが、ただ実際問題といたしまして、外国にあるその会社に対して審判を開始すると申しましても、これはやはり日本の外の問題でございますので、その点で実際上の支障、まあ実際上且つ法律上の支障ということになると思いますが、手続の面におきまして一つの制約がございます。ただ先般のスイスのズルツアーと三菱との間の契約につきましてはいろいろ問題がございましたが、ズルツアーのほうでむしろ我々のほうの管轄権を認めて、こちらの審判等へ出て来て、大いに自主的に争つて下さいまして、余り問題になりませんでしたが、今後そういう問題が相当あるのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/92
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093・岡田宗司
○岡田宗司君 これは非常にむずかしい問題ですが、若しそういうような国際カルテルが外できめたことを国内に持込んで来て、而もそれだけが大手をふつて罷り通ることになつて参りますると、日本経済に対する影響が非常に大きい。これはなかなかむずかしい問題で、公正取引委員会だけでできるものじやない、産業政策全体に関係があるし、又外交的な問題にもなるだろう、こういう問題について外務省方面の見解というか、或いは通産省方面の見解はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/93
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094・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 私直接に聞いたのでございませんが、事務局のほうの話では、外務省の見解としてはこちらに出張所なり、支店のある外国会社については、独占禁止法の適用があるというような解釈だそうでございます。通産省のほうは私はまだはつきり聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/94
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095・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ほかに御質問はございませんか。ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/95
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096・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/96
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097・永井純一郎
○永井純一郎君 それでは先ず公取の委員長にお伺いいたしますが、政府が今般肥料需給安定法、それからこれと同時に、硫安工業の合理化に関する法律を出しておるのです。その中に事業者に対する強制調査権の規定がある。これは通産大臣と農林大臣になつております。ところで今度の独禁法の改正では修正案によつて認可権を公取一本に直して、そのことによつて強制調査権等も二分されておつたようなものが、通産省の強制調査権を削つて、従つて公取一本にしております。その点はよかつたのだが、一方の肥料、最も独占価格を維持して強力な支配をやつておる。硫安工業等の肥料について別の法律で又再びそういつたような権限を主務大臣に与えたということは独禁法で折角削つたものを他の法律で与えて来て、又そこに矛盾ができて来ておると思うのです。これは私は非常に重要な問題だと思うのですが、公取にこれをあらかじめ連絡せずそういつたような立法を片一方でやつておるということにすると、折角公取一本に調査権と、それから認可権がまとまつて筋が通つておつたものが又ここに乱れてしまうのでありますが、このままに両方法律が通つて行くと農民にとつて最も重大な関心を持つておる硫安等に対する肥料関係においては不都合が私は起つて来ると思う。これはどういうふうに調整されるか、この点を先ず公取委員長からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/97
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098・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 只今の硫安に関する二法案につきましては、政府のこの原案作りますまでにいろいろ折衝があつたようでございまして、国会提出の割合近くになりまして公正取引委員会にもこの案が提出されまして、その説明も聞きまして、大体こちらの意見も私からいろいろ言いまして、その案に若干の手を入れて国会にお出ししたようないきさつでございまして、根本問題としまして今お示しのようにたしか硫安の最高価格をきめたりいたします必要上、主務大臣が一種の調査権を持ちましていろいろな材料を把握するという規定も入つておるわけでございますが、この今回の我々の改正案におきまして、カルテルの認可権を公正取引委員会が持ちまして、修正案でそういうことになるわけでございますが、それと今回の硫安に関する法律との関係が多少違うのじやないかという御質疑でございますが、この点は独占禁止法のカルテルは御承知の通り不況カルテルと合理化カルテルでございまして、今回の硫安の法案は御承知のように硫安という極めて特殊の商品につきまして農民並びに製造業者との利害の対立というような面からいたしましてここに一種の価格の統制を政府がやるという趣旨で価格の統制ということになりますると、それはやはり行政主務大臣の問題になるわけでございまして、その観点から調査権も主務大臣に与えてあるわけでございまして、その点は独占禁止法の一般のいわゆる原則と、この特殊の問題とはやや違つた面がございますので、一見矛盾したように見えまするけれども、私どもはこれでいいのではないかというふうに考えまして、あの案につきましても別にその点については異存はなかつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/98
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099・永井純一郎
○永井純一郎君 そうすると打合せがあつたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/99
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100・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) ございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/100
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101・永井純一郎
○永井純一郎君 それでは硫安のほうのもやはり肥料工業を合理化して値を引下げてやるための調査権なんですね。そうするとその狙いは独禁法のこの提出されて来ておる狙いと同じなんですよ。同じことを言つているのです。ただその点からは従来公取一本に調査権をしなければいけないのだという主張から言うならばこれは同じだと思う。同じことを独禁法の改正と硫安工業の合理化の法案でしたかで謳つておるのであつて、実質的に違うところは、あれを主務大臣に任せるならば、これはどうしても率直に申上げて大きな資本家の肩を持つた原価計算等が行われると私は思う。つまり通産大臣が持てばそうなるのです。それがいけないからこの独禁法の改正においては認可権を一本にして、そうして調査権も従つて一本にしたと私は思うのです。この点は同じだと思うのですがね。例えば二つの調査した答えが違つた、そうして通産省がやつた硫安工業における合理化のための原価計算というものはかなり高くて、結局九百円でも売つていいということになつたが、あなたのほうでやつた原価計算では七百円で売つて十分できるというような答えが出たというときには、どういうふうにして調整するのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/101
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102・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 公正取引委員会のいわゆるカルテルの認可につきましては、成るほど或いは硫安の点は合理化というような点で説明が一応されておるのかも知れませんが、独占禁止法のいわゆる合理化は御承知のように非常に範囲がしぼつてございまして、価格協定などは大体除外してございます。而もこれは業者の共同行為を認可して行く、こういう点が主眼でありまして、これに反しまして、硫安のほうはいわば行政庁が乗り出して行つて、一種の統制を加えるという色彩が非常に強くなつておるように思いますので、問題は統制になりますると、独占禁止法或いは公正取引委員会の権限とは別になりますので、この統制の過程において或いは或る種の業者の利益を余りに強く出すというような点がございますことは、それは勿論非常にいけないこととは思いまするが、これは統制一般の問題でございまして、その点は硫安の問題だけではないように思われますので、その点は私どもの考えといたしましては、問題が統制にまで進んだ場合には独占禁止法は後退をする。それがいいかどうかという点は又別でございまするが、統制へ持つて行くということになれば独占禁止法の問題は離れる、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/102
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103・永井純一郎
○永井純一郎君 よく聞きとれないところもあつたんですが、そこで一歩話を進めると硫安ならまだいい。硫安についてはああいうふうに輸出会社みたいなものを作つて、損失なんかをそこでプールするような、私詳しくまだ聞いていないからわからないのですがね、ことをし、資金の融通をするとかいろいろなことの合理化をやるのですね。そうしてそのための原価計算というものは主務大臣がやつて、そういうことで需給安定のほうと並んで値段がきめられて行くんです。そういうやり方を他の産業についても二つ三つと基礎産業にやつて御覧なさい。そうすれば独禁法はなきに等しくなつてしまいますよそれは……。だから硫安だけについて言えば、今委員長のお話のようなことが一応言えるけれども、硫安の次に造船をやる、或いは同じようなシステイムをその他の基礎産業に、最も共同行為の行われやすいのは基礎産業です、その基礎産業について順次そういうものを行われて行つたならば、私はそれは全く意味がなくなるのじやないかと思うのですがね。ですから今流安について、政府が独禁法のこういう改正案を出しておきながら、片一方でこういうものを出して来ておるという今この一番初めの段階は私は非常に重要だと思うのです。ですからそれはどこまでも独禁法に基いて公取がやるところの強制調査権というものがやはり優位であるというか、或いは主務大臣にそういうものを持たせないというようなことを確立されておかないと、次次の産業についてそういうものが行われた場合には意味をなさなくなるのじやないでしようかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/103
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104・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) おつしやつたような問題は確かにあるのでございまして、これは一時通産省のほうでも重要産業安定法というような法律を考えて、この重要産業の中に何が入るかまだはつきりしなかつたのでございますが、そこでいわゆる行政官庁による法に基く一つの統制を行えるというようなことを一時考えられたようでございますが、併し最近はまあその問題はやや遠ざかつておるようでございまするが、私どももそういう非常に広汎なものができまして、一方自由競争をモットーとし、且つその欠点をいろいろ独占禁止政策で是正して行くという基本の線とやや違つた方向に大幅に持つて行くことについては私どもも反対の意向でございまするが、併し特殊のものにつきまして或る程度の統制を加えて行くということに対しては我々も一応のそういう必要のあるもののあることを認めるのでございまして、硫安につきましてはそういう観点からいたしまして、或る程度の主務官庁による干渉と申しますか規制と申しますか、そういうことは止むを得ないのじやないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/104
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105・永井純一郎
○永井純一郎君 そこで通産大臣がおつたら通産大臣に聞いて行きたいのですが、いないから誰か代りの人に答えてもらいたいのですが、硫安工業についてそういうことが行われた。私はその他についても行われるだろうという論拠は、例えば一番競争力に幅を持つておつた繊維品、化繊その他についてもすでにインドその他の東南アジア等の入札で敗れている。敗れている実績がどんどんできつつあるのです。あらゆる輸出についてそうなつて来れば、こういう独禁法の緩和をすることによつて輸出が振興するわけでも何でもないのであつて、硫安にとつたような輸出会社みたいなものを片一方では作るというようなやり方はどの産業についてもこれは考えられることなんです。何かそういうことをしなければ輸出がもうできないのですから……。今の政府がとつておる外交方針の下ではもうこれは絶対できない。そうすれば行詰つて来れば財界等の強力な圧力を受けて又硫安についてと同じようなことが想像できて来る例えば紡績関係で買上機関のようなことをやるとか何とかいうことを盛んにやられておつたのだが、同じようなやつぱり私は考え方だろうと思うのです。そういうときの値段をきめる基礎になる原価計算や何かする基礎になるものを通産大臣が持つということになつて行けば、これはもう私どもは独禁法を主管する公取の働く分野というものは実質上なくなつてしまうと思うのですが、そこで私が通産省に聞きたいのは、硫安についてそういうことをやつたが、他産業についても結局そういうことに今の輸出の実情から言うならばなつてしまうのじやないか。なぜ硫安だけにそういうことをするのか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/105
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106・中野哲夫
○政府委員(中野哲夫君) 硫安の特殊性に基きまして、今回特別の法律を今国会で御審議を願つておる事情につきましては、私どももこの数国会以来硫安をめぐつての激しい論議或いは審議が続けられまして、今日あのような法律が、硫安工業なり硫安の輸出なり或いは硫安の配給なりに関する実体について、これは他の政策もこれと並行して必要だと思いまするが、それはさておきまして、ああいう法律が必要なりと思つて御審議を願つておるわけでございます。その点は私ども只今横田委員長から御答辯になつたと全く同一に考えております。なお先ほど私の聞違いでございまするか、あの場合における主務大臣と書いてございますのは、あれは通産大臣と農林大臣とこういうことになつておりまして、この独禁法改正の御審議の際にもいろいろ御質問がありましたように、企業家のみに利益と申しますか、厚くするというような決定或いは価格調査というようなことは行われないのであつて、消費者である農民の立場、農業の振興を図りまするため農林大臣も通産大臣と一緒になつて価格の調査に当る、こういうことになつておるわけでございますから、先ほど或いはさようなお話かと私は伺つたのですが、その点の憂いはないものと存ぜられるわけでございます。最後の点のああいう行き方で考えられるなら、今後輸出の状況を見ておつても他産業に同様な仕組が次々と行われて行くのではないか、こういう御指摘の点でございますが、この点についてはああいうような特別の、申さば現行独禁法という一般的な考え方の例外を設けますにつきましては、硫安問題で見られるような長年のいろいろな審議討論の経過も必要といたしますし、又輸出振興を図りますためには、ああいう行き方をやります前にいろいろ対外交渉、或いは生産上の合理化或いは輸出商社の強化とかいろいろな面で貿易の振興を図るための政策を立てて参らなければならんわけでございます。そこで只今通産省といたしましては硫安以外に、具体的に、近いうちに他の重要産業につきまして独禁法の一種の例外をなすようなことは現実にはまだ考えておらんような状況でございます。併し御指摘のように理論的にどこまでもつめて行けば、そういう形も考えられるのではないかと、こうなりますと、理論の上では硫安プラス甲、乙、丙というようなものも、ないことを私どもも希望いたすのでございますが、理論を押しますればそういうこともあり得ないわけではないと思うのですが、只今現実の問題として具体的にさようなことは通産省として考えておらんのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/106
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107・永井純一郎
○永井純一郎君 理論的にと……私は実際上そうなつてしまわざるを得ないということを言いたい。それはね、結局ですよ、今度の硫安会社の措置というものは、これは二重価格制を何回も法制化して認めさせようということなんです。実質は、農民が買うものと輸出の値と違うのですからこれでやつても違わせようと思つているのですから、それを法制化することによつて、合法化することによつて抜けようというだけのことなんです。実際はもうわかり切つておる。それではその他の商品はそうせずにやつて行ける商品があるかというと、鉄から紡績から始まつて全部同じことなんです、今そうなつておる、輸出の価格はね。そうしてだんだん而も輸出品の値下りよりも輸入品の直下りの指数というものが大きくなりつつある。これは指数を見ればわかることであつて、どんどんそうなりつつある。そうすると抜け道は結局硫安と同じ恰好で、二重価格制をなんか考えるよりほかに、産業をとにかくその場を抜ける道はないかということです。硫安だけがそうではない、その他すべてがそうであるから、そういつた場合を私は予想してこの独禁法の改正というものはやはり調査権だ、何だということを考える場合に考えないといかん。こう思うのですが、これは今ここで論議をして見てもちよつとそれは始まらんかと思いますが、硫安だけについてそういうことが行われ、そのことにおいてすでに私は実質的には矛盾が来ておつて、独禁法の、改正された独禁法では実際上有効にこれが動けないというような実情が来るに違いないということを今から考えますれば、これは大いに注意を公取にしてもらいたいということ、これしか今は言えないと思うのですが、その辺でやめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/107
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108・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/108
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109・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 速記を始めて下さい。別に御発言もございませんでしたならば質疑は尽きたものと認め、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/109
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110・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/110
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111・八木幸吉
○八木幸吉君 私は本法律案に対し希望を附して賛成いたすものであります。
本法律案は御承知の通り昭和二十二年三月、連合国司令部の指令によつて成立し、事業者団体法と共に対日管理政策の一環をなしたものであります。従つて連合国軍司令部の指示又は勧告によつてできた他の多くの制度、法律等と同様に我が国情に適せない点も多多あるのでありまして、殊にこの法律は或る部分においてはむしろ母法とも申すべき米国の反トラスト法よりも強化せられているのでありますから、ここに我が国の独立を機会に改正案が提出せられたのも又極めて当然の成行きでありまして、私はその緩和を目的とする本改正案概括的に賛成するものであります。然しながら本改正案は幾多の不備なる点を包蔵しているのでありまして、その主なるものについて申上げたいと存じます。
第一はこの法律の基本観念に関する問題であります。本改正案の最も重要なる点は、一定の条件の下に不況カルテル、合理化カルテル及び再販売価格の維持契約を認めたことであります。かくのごとき大幅の除外例を認めたことは独禁法の基本線が一歩後退したことであつて、その性格の上に一つの大なる変化を生じたと認めざるを得ないのであります。
現行法は自由競争の原理に立つて公正且つ自由なる競争の制限行為はすべて社会的罪悪なりとし、行為そのものを取締の対象にし、その結果を問わない建前になつておつたのでありますが、今回の改正案のごとくにその内容、実質が大幅に後退変更されました場合においては、私は英国の独禁及び制限慣習法のごとくに「公共の利益」に反するや否やを取締の基準となすことに法体系を統一することが妥当であると信ずるのであります。
第二は認可制度に関する問題であります。この改正案の政府原案によりますと、カルテルを認める場合には公正取引委員会の認定を経て、主務大臣がこれを認可することになつております。尤もこの点は衆議院の修正案によつて、公正取引委員会が主務大臣と協議してこれを認可することに改められましたけれども、政府原案は主務大臣と公正取引委員会との二本建となつておりまして、一種の妥協であります。通産省側の意見を聞いて見ますと、カルテルは当該産業、関連産業のみならず、貿易の発展にも重大な関係があるのであるから、経済の実情に十分通じているものでなければ適切なる認可は与えられないが故に主務大臣が認可権を持つことが妥当であると、かように主張しておられます。
ここで私は問題の本質に返つて見たいのであります。即ちこの法律の究極の目的とするところは共同行為の結果が公共の利益に反し、延いては国民経済の発展を阻害するからこれを取締るというところになければなりません。即ち取締の対象となるべきものは共同行為そのものでなくて、その結果であります。行為そのものはできるだけ敏活に経済界の実情に即応すべき必要あることは通産省当局の御意見の通りでありまして、即ちここに業者の届出制度の合理性が出て来るのであります。併し如何にその共同行為が敏速に行わるるとしてもその結果は飽くまでも公共の利益、国民経済の発展を阻害するものであつてはならないものでありまして、ここに取締の必要が生じて来るのであります。従つて私の考えを以てすれば共同行為はすべて一カ月の期間を持つた事前届出制度となし、公共の利益に反すると認められる場合においてのみ公正取引委員会はその共同行為の停止又は禁止を命じ得ることとするのが最も実情に副うものであると確信するのであります。而してこの場合にいわゆる公共の利益とは一時的に限られたる一部分の消費者の利益ではなくして、広い観点に立つた国民経済全般の利益ということでありまして、法律改正の際には「公共の利益」そのものの意議も法文の上において明確にするの必要ありと信ずるのであります。
第三に私の不備とする点は、企業の共同行為を認むる範囲に関する問題であります。本案によれば、協定の認められている業種は生産業者のみであつて、販売部門に関しては何らの考慮が払われておらないのであります。従つて不況対策上万全を期することができません。これを綿糸布、スフ、絹、人絹等の織物業者に例をとつて申しますならば、戦前は販売部門特に卸売段階が金融的に充実していたがために不当なる暴騰、暴落を抑制して極めて弾力性ある市況を保持し得たのでありますが、戦後はこの段階が資力的に脆弱化したがために実勢以上に市況を刺激する場合が多く、且つ手形の取引を主体としているがために不況時において最も深刻なる打撃を受け、これが中小企業にしわ寄せられて、又一面卸売部門の投売、倒産等は逆に生産部門にまで波及することとなつたのであります。従つて国民経済上、効果ある不況対策を樹立するためにはひとり生産者のみならず、販売業者にもその共同行為を認むる必要を感ずるのであります。殊に本法案において生産業者の共同行為を一定条件の下に認め、又本国会には中小企業安定法、輸出入取引法等も提案せられ、これらはいずれも単独立法としてそれぞれ独禁法の大なる例外規定になつているのでありますが、その中間に挾まれてひとり国内における販売部門のみが取残された感があるのでありまして、この点に関する法律改正の必要が一層痛感せられる次第であります。
以上私は本改正法律案の不備と思われる点を列挙した次第でありますが、すでに会期も切迫しておりますので、今これを修正等いたしておりますと、審議未了となる虞れもあり、本改正案の成立は我が国民経済の発展に寄与するもの少なからずと信じますが故に暫らく不備と信ずる点を指摘し、その改正を他日に期し公正取引委員会及び主務官庁の運用上の善処を希望することにとどめ、本改正案に賛成するものであります。
なお私の修正要綱を本院法制局に立案して頂いたものを持つておりますが、時間節約のため朗読を省略して、他日改正のときの参考とするため速記録に掲載いたされんことを委員長にお願いをいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/111
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112・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 如何ですか、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/112
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113・奥むめお
○奥むめお君 私この法案に対しましては反対の立場でございます。これは緑風会は一人々々の主義を拘束いたしませんので、二人おりますけれども、早川委員は委員長もしておいでになりますのですが、私とは立場を異にせられているのでございます。私の立場は、社会の消費者大衆がこの法案独禁法緩和の内容に対してどう見ているか、これを率直に申上げますと、これによりまして利するものは少数の大企業である、大企業を立てることによつて国民全体が助かるのであるという説明もあり、そういう考え方もあるのでありますけれども、すでに独禁法がそのままにありながら、これに違反するカルテル行為、共同行為というものは既定の事実として行われていたのでありますが、その経験を通して考えましても、例えば綿糸或いは綿布、人絹、スフ、砂糖、肥料、いろいろ近い例が、これは共同行為をいたしました少数の資本家はその利得を得ましたけれども、国民大衆に安い価格となつてその生活を潤していなかつたということは、これははつきりした事実でございます。ですからこの物価政策という面から考えまして、独禁法の緩和の将来に非常に不安を感ずる。又価格カルテル、これも非常に大幅に去年の案よりも緩和されましたけれども、これと同時に再販売価格制の維持と併せて価格の吊り上げには役立ちましても、価格引下げには何にも役立つものが考えられません。結局今日の社会は特需によりまして日本の社会生活というものは非常に貧富の差が激しくなつて来ていると思います。貧乏人は非常に苦しんでおりますし、そして一面には人もなげなる豪奢な生活やいろいろなそういう遊びの場所もだんだん盛んになつております。こういう凸凹の社会を見るにつけましても、今日社会福祉というものは大衆の生活を守るということが法の精神にならなきやならないと思うのです。併しこの法案の審議にずつと進んで参ります間にも、私どもはこの法案が決して国民大衆の意思で改正されるものではなくて、これは少数の大企業家側の圧力によつてこうなつて来たんだ、ただ既定の事実として行われていた共同行為を法律があとから追つかけてこれをただ認めるに過ぎないんだ、こういうふうに感じます。ですから、その法の修正に至りますまでの精神にも私は反対でございます。又将来この法の運用に当りまして、幾つもの不安を感ずる。先ほども質問の中で岡田委員がおつしやつていらつしやつたように、罰則に至つては全く問題にならない。ですからいろいろこの法案に対しましては手を尽さなければならん重要な内容が現われていると思うのでございますけれども、まあここに至りました以上は、ただ反対を表明いたしまして私の立場といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/113
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114・岡田宗司
○岡田宗司君 私は本改正案に反対いたします。理由は本会議で申述べることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/114
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115・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ほかに御意見もないようでございますから、討論は結局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/115
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116・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/116
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117・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/117
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118・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 御異議ないと認めます。
それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
八木 幸吉 岩沢 忠恭
高橋 衛 瀧井治三郎
鮎川 義介発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/118
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119・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ちよつとお諮りいたします。先ほど八木委員の討論中において述べられましたように、今回は修正案としては提出せられませんが、同委員御研究の結果作成されました修正案要綱を御希望に従つて会議録に掲載することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/119
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120・早川愼一
○委員長(早川愼一君) それではこれを以て散会いたします。
午後四時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614073X01219530804/120
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