1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十一日(火曜日)
午後二時三分開会
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委員の異動
七月十七日委員江田三郎君及び松岡平
市君辞任につき、その補欠として三輪
貞治君及び加納金助君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 石川 清一君
理事
石井 桂君
石川 榮一君
委員
石坂 豊一君
小津久太郎君
鹿島守之助君
赤木 正雄君
近藤 信一君
政府委員
建設政務次官 南 好雄君
建設大臣官房長 石破 二朗君
建設省計画局長 澁江 操一君
建設省河川局長 米田 正文君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
常任委員会専門
員 菊池 璋三君
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本日の会議に付した事件
○土地収用法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○建設業法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○建設行政に関する調査の件
(和歌山県を中心とする水害状況に
関する件)
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001・石川清一
○委員長(石川清一君) 只今より委員会を開会いたします。
先に和歌山県を中心にした近畿中部地方の水害の状況を建設省当局より説明を承わるつもりでおりましたが、特別対策委員会のほうに政府側が出席いたしておりますので、あとに廻しまして先般来御審議を続けておりました土地収用法の一部を改正する法律案につきまして質疑の続行をいたしたいと存じております。
質疑のおありの方は逐次発言をお願いいたします。
ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/1
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002・石川清一
○委員長(石川清一君) それでは速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/2
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003・石井桂
○石井桂君 前回の委員会にも斡旋委員を設けることにつきまして、屋上屋の感がするじやないかという趣旨の質問があつたようでありますけれども、政府のほうの本当の肚は、斡旋委員会を設けてどれだけの効果を期待しておられるのでございましようか。その点一つ納得の行きますように御説明願えれば大変結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/3
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004・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申し上げます。御質問の趣旨のように、この制度をこうやつたからいろいろむずかしい補償問題についてどの程度の効果があるかという、その的確な見通しを持つてやつているわけではないのであります。併しながらこの前いろいろの見方から議論になりましたけれども、現在実際的にも法律に根拠のないいわゆるその斡旋と申しますことをやつて、案外効果を発揮している例も多いのでございます。併し見方によりましては、そういうことをやるのは封建的なあれで無理に連中を抑え付けるのだ、むしろそういうのは避けて、土地収用法に正規に入つて行けということの御議論も前回は拝承いたしたのでありますが、併しこういう問題につきましては、民事訴訟につきましても調停裁判、或いは家庭裁判につきましても家事裁判というような簡易な法的根拠を持つた斡旋制度がございまして、意外に効果を持つている実例をまま本件以外にも見るのであります。そこで土地収用に入るまでに重苦しい、いわゆる何と申しますか、物々しいやり方でなくて、結局最後は斡旋委員の人選ということに帰して参ることと存じますけれども、その人選がうまく行きますならば、今日一番大きな障害になつておりまする水没補償その他の問題について調停的な役割を本制度の善用によりまして望外の効果を挙げるのじやないかと、こういうふうに私たち考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/4
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005・石井桂
○石井桂君 この百八条の中にありまするところの調停委員の仕事と、今度の提案による斡旋委員の仕事とですね。実際の問題からいうと、斡旋委員がうんと働けば調停委員の仕事が殆んどなくなるというようなそういう気がするのですが、今度この関係は如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/5
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006・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) 御指摘のように現在収用法上の収用委員会の調停という制度がございます。併しこの収用委員会の調停は飽くまで収用法、収用の本来の手続こういうものの手続のうちで収用委員会が発議しまして、或いは関係当事者の申出によりまして調停の開始が行われるということになつておりまして、前提条件としては飽くまで収用の本来の手続を進めることを前提としているわけでございます。従いましてこの収用法にかけたくない、かけるのは好ましくない、むしろそういうことが事案の解決に対して却つてマイナスになるという事態の際には、当然調停制度はありましても、その段階に行きつくまでに、今の好ましくないということのために収用に入らない、こういういわゆる調停そのものにやはり何と申しますか、隔靴掻痒の感があるという点が制度的にあるわけでございます。それを今度の斡旋制度で以七収用にかけなくても当事者協議、話合というもので或る程度の公式的ないわゆる調停に非常に類似した斡旋ということになりますが、そういうもので話合いで解決して行く、こういう方法をとることも又一つの方法ではないか、こういう考え方に立つております。あらゆる角度から当事者紛争をあらゆるチヤンスに解決の途を開いて行く、こういうのが今度の斡旋の狙いであるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/6
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007・石井桂
○石井桂君 只今の御説明でよくわかつたのですが、斡旋委員が一〇〇%能率を発揮すると調停委員の仕事がなくなるという結果にはなりますね。一〇〇%斡旋委員が効率を挙げますれば、もう収用の必要がなくなつてしまつて調停委員の仕事がなくなる。だから結局一つの分量の仕事に調停委員と斡旋委員があつて、斡旋委員のほうは正式の収用の手続が踏まれる前の仕事である。調停委員は斡旋委員でやれなかつた段階、その先の段階で働く、こういう考えなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/7
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008・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) お説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/8
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009・石井桂
○石井桂君 そうすれば非常に斡旋委員の仕事も私はためになる部分が多いと思います。これはまあ違つた例ですが、建設業法の中に紛争のことが随分あつて、その紛争事務を解決するのに斡旋委員によく似た建設業審議会の委員が調停斡旋するような制度があるのでございます。私はその実務に長く携わつておつて非常に能率を挙げたという事例もありますので、私は形式的には斡旋委員というものは屋上屋を架するような感じはいたしますけれども、今の御説明でとにかく或る紛争の事件が起つた場合に、斡旋委員が来て大体荒こなしをする。そこで料理ができないものを調停委員に持込むという制度のようでありますから、この趣旨は私は賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/9
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010・石川榮一
○石川榮一君 この土地収用法の一部改正法案の狙いとするところは、私どもは決して不賛成ではありません。これを善用することによつて、ややともすると土地収用が、如何に収用法の精神が立派でありましても、その運用如何によりましては相当一般犠牲者に権力を押付けるというような傾向が精神的にも物質的にも起り得ると思うのです。こういう点を救済する立場に立つて、要するに犠牲者に対する物心両面の補償を成るべく法の許せる範囲において犠牲者に報いてやる、こういう精神で運用して頂くことであるならば、これは私は一般の土地収用にかかるべき運命に立つ方々も喜んでこの斡旋を依頼して来るのではないかと思うのであります。さようになることを欲するわけなんですが、そこで現在懸案になつております多数の事案がありましようが、差当り建設省等で考えられている箇所、或いは天竜川であるとか或いは木曾川であるとか、或いは藤原のダムであるとかいうような懸案があるように思いますので、これらのものでこの法律による斡旋によつ解決を求めて来るのではないかという予想をせられる箇所がどのくらいありますか、念のため伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/10
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011・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。今の御質疑は、前回にもこういう法律改正の趣旨は現実的に必要があつてやつたに違いない。どういう場所に起つて、こういうことをやつたほうがいいという実証的な立場からそれを出すようにしたかという御質疑もあつたように存じております。いろいろの実例を河川局長に説明させるつもりでおりましたのですが、私たちがこの法律の改正にタツチいたしましたときには、一定の必要があつてこの法規を改正するというような裏打ちの事実があつてこの法律改正をするんでなくて、土地収用法によつてやれば、先ほど石井委員からも御質疑がありましたが、調停委員という制度もあるのだから、この土地収用法でやつても或る程度の或る意味における斡旋ということもあるのであります。が併し、土地収用という段階に入らずに、事前に、まあまだ尖鋭化しない感情の下において、できるだけ解決のチヤンスをあらゆる部門において認めるために、収用の段階に入らざる前においてこういう制度を設けて行く、あたかも民事訴訟における簡易ないわゆる調停委員或いは斡旋制度というような意味でやつたらいいのじやないかというような説明であつたので、御承知のように多目的ダムとか或いは電源開発のダムを作る問題につきましていろいろ、なむずかしい問題が起きて、収用には入つたけれども、いよいよ収用ということになりますると、感情の対立からわかり切つた結論がなかなか出て来ないというような場合もあるので、そこまで入らない前に、できるだけ利害関係人を代表する人たちをこの斡旋委員の中に一名すつ加えて、他の三省は中立的な立場で判断をして、荒ごなしをするという意味でこういう制度を設けたらいいのじやないか、こういう考えからこの法律を改正することに私たちも賛成したのであります。今石川委員の御質疑のように、こういう実例があつてこういうときにこうである、こういう実例であつてこういうときにこうであつたという返事は、只今私の手許には持ち合わしておらんのであります。斡旋制度が案外うまく行つたという事実的の斡旋制度でございますが、これがあつたかどうかは、又後の機会に河川局長あたりに説明させても結構と存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/11
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012・石川榮一
○石川榮一君 そういたしますと、これが仮に成立いたしましても、差当り建設省ではその斡旋によつて或る程度地元との話合いがつくだろうという見通しのつくような部面は現在は持ち合わせがないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/12
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013・南好雄
○政府委員(南好雄君) 今はそういうこの制度がすぐに効果を挙げるという具体的実例は持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/13
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014・石川榮一
○石川榮一君 現在収用にすでに入らなくちやならんというような事案も相当あるのでしようが、これらに対しては積極的に国からというわけには参りませんが、或る地方公共団体、知事等からのその話合いによつてそういうようなものを持たせて、そうしてもう一度収用にかける前に斡旋制度を活用してみるというようなお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/14
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015・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。それは勿論この改正が若し皆様方で可決して頂きますならば、懸案のものについてはすべて斡旋委員を設けて、一応はこの斡旋制度によつて荒ごなし的に交渉して頂くつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/15
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016・石川榮一
○石川榮一君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/16
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017・赤木正雄
○赤木正雄君 この法案の斡旋委員の問題でありますが、これは収用にかける前にこれを適用するというふうなお話がありましたし、又土地収用にかけてから斡旋させる、両方の場合があるとおつしやいましたが、主として土地収用法をかける前に斡旋委員で斡旋を図る、こういうふうの考えのほうが多いのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/17
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018・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申し上げます。今御質問ございました土地収用が決定してしまいますると、むしろ斡旋にかけるということはないのでございます。やつぱり土地収用の決定前においてこの制度が斡旋という段階に行つて、そして斡旋がうまく行けば土地収用にならずに解決するのでございますし、斡旋が成功せん場合には本式の土地収用の段階に入つて行く、土地収用の段階に入りますれば、斡旋制度に似た調停委員の制度がそこに又もう一遍動いて来る、こういうことになつて行くのだと私たち考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/18
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019・赤木正雄
○赤木正雄君 そうするともう一遍お尋ねいたしますが、そうすると仮に認定した後で土地収用へ行つて、それが今度の調停委員のほうに入るのでありますか、或いは認定した後でも斡旋委員のほうに入るのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/19
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020・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申し上げます。御承知の通りただ事業認定をやつた程度では土地収用の段階に入つたとは、広い意味では言えるかも知れませんが、いわゆる土地細目その他の公示があつてから本式に土地収用の段階に入る。それから土地細目の公告前においてこの本改正による斡旋制度が動いて行く、こういうことになるわけでございます。従つて屋上屋と言われても、こういう制度を置いておいて、いやならば土地収用に入つて行けばいいのでありますから、そのときに正式手続に入つて行くのであります。事前にこういう制度があつても私は差支えないのじやないか、更に進んでこういう制度を置いておいたほうが、余り感情上対立して、向きにならない前に荒ごなしができるのではないか、こういうふうにまあ私たち考えております。従つて厳密な意味で申しますならば、斡旋委員の出した結論が若しも承服を得られないで土地収用に入つて参りましても、それは土地収用法における調停委員とか、或いは土地収用の最後の決定、それの参考にはなるが、何ら拘束するものではない、こういうふうに法律的にも又事実的にも解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/20
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021・赤木正雄
○赤木正雄君 それで結構でございますが、そこでその事業認定に入りますと、土地収用が一歩踏み出したことになります、実際問題として。そうして事業認定に入つたがなかなかまとまらないという事実があります。今次官のお話は、できれば事業認定に入る前にこの斡旋委員においてうまく斡旋させよう、大体そういう御趣旨と了解していいのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/21
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022・南好雄
○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。その通りでございます。法律的に申上げますと、御承知の通り土地細目の公告までは斡旋制度にはかけられますが、事業認定前にこういう制度が案外効果を挙げるのではないか、で、今後御承知のように、最近頻々として水害が起きております。これにはいろいろむずかしい問題がございます。いろいろなむずかしい問題がございまして、又各位に深甚な御協力を仰がなければならんと思いますが、建設省が多年主張しております多目的ダムというようなものも、若しも水害防止に役立つといたしますると、今後こういう種類の制度をやらなければならぬ実例がしばしば起きて来るのではないか、こういうふうに考えて、決してこの制度は土地収用の全体の組織を崩す制度でなくて、むしろ何と申しますか、なごやかな気持で斡旋させるほうが、よりいわゆる解決に早い途ではないか、これが何らあとの決定を拘束するところはないというところにこの法律のみそがあるのでありまして、拘束させては土地収用そのものを浮かすことになります。これは全然、土地収用の段階に入りますと斡旋の結論によつては拘束がございませんので、軽い気持で、又その軽い気持が当事者に案外好結果をもたらして行くのではないかという考えで私たちおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/22
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023・赤木正雄
○赤木正雄君 私はこの法案を邪魔しようとか、そういう意味で質問いたしませんから、御心配なしに御答弁願いたい。
そこで私は実はもう少し教えてほしいのです。この事業認定、今次官はこの事業の決定とおつしやいますが、事業を決定して予算の措置があつて、そこで初めてこの事業を認定する、こういうことになるのですか、これは局長のほうに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/23
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024・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) 土地収用法上の事業認定の一つの条件でございますか…。これはこの法律でもその点については触れているわけでございますが、第三章に事業認定については一応事業認定の申請書、こういうものを出しまして、事業認定の条件として四つの条件が第二十条に掲げてあるわけであります。即ち公益事業であるという認定と、それから起業者の事業遂行の能力、意思、そういつたような具体性を持つている点と、それから取得しよりとする土地の適正合理的な利用の保障があるかどうかという点、その他の条件を一応勘案して事業認定をする、こういう建前になつております。収用法上これらの条件を充し得るかどうかが認定行為の成否の分れるところになる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/24
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025・赤木正雄
○赤木正雄君 それでありますから事業認定は今局長のおつしやつたように、仮に堰堤を作る、ただ作るのでなしに、どういう土村にどういう工費を以て、そうして予算措置もし、或いはできれば何年から仕事をしたい、こういう具体的な計画を立てて、初めてそこで事業認定を、公益事業に対しては或いは建設大臣なり或いはその他の関係の方面でお許しになるものと私は考えるのですが、その通りなんでようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/25
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026・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) 大体おつしやる通りでございまして、或る程度の具体的計画というものを裏付けにして起業者も認定の申請をするわけです。それらを調査検討して認定の成否をきめる、こういう取扱いになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/26
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027・赤木正雄
○赤木正雄君 そういたしますとこの土地収用というものに、事業認定の前提としてそういう計画があるべきもので、そういう計画もなしに事業認定はあり得るはずもない。これは土地収用法の根本精神だと思います。恐らくこの点については局長も御異議ないと思います。そこでこの法案の趣旨は、今もおつしやつた通り事業認定する前において成るべく円満に妥協させよう、こういうふうに解釈して行けば、土地収用というものがなお一層円満に運ぶというならば、一面においてもう一層私権なら私権を尊重してお互いの間の紛争を起さないようにしよう、こういう御方針にほかならないのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/27
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028・南好雄
○政府委員(南好雄君) 御趣旨の通りであります。それでなお赤木委員の御質問は、事業認定前に一体こういう斡旋制度があり得るか、こういう御質問のように私拝承するのでありますが、実際問題といたしましては、予算の裏付けその他があつて、そうして殆んど事業認定しなければならすような場合は、斡旋制度というものは案外、私は何と申しますか、事業認定後も土地細目の決定の間に案外効果があるのじやないか、事業認定前において、まだ海のものやら山のものやらわからんのに斡旋制度があるのだというようなことは、こういう種類の性質上、法律的には解釈できますけれども、実際問題は、要するに事業を申請すれば当然事業認定があるし、あるが、併し直ちに土地細目の決定というところまで行かずに、その間において斡旋制度が働いて行くのだ、こういうふうに私たち考えているのであります。併し事実問題としてそういうことがあるかどうかわかりませんが、法律的には事業認定がなくても斡旋制度はやれるのだ、こういうことも質疑の途中に御返事申上げたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/28
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029・赤木正雄
○赤木正雄君 要するに土地収用はなかなか難問題でございますからして、この法案で一層うまく収用して、事業の遂行に支障を来たさないよう、にしようこういう御方針にほかならんと思うのです。つまり収用を一層うまく運営しようという御趣旨と思うのです。私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/29
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030・近藤信一
○近藤信一君 この申請は一方の側から申請すればこれで斡旋にすぐかかれるようになつているが、そうすると一方の側の利害をふみにじるという危険性があるが、この点についてどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/30
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031・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) 只今御質問になりました通り、申請は必ず当事者間の同意によりましての決定を待つてやるわけであります。一方の当事者からの申請で受理でき、斡旋の解決ができるようになつている、従いまして斡旋の申請をするほうが、斡旋にむしろ期待して、有利な解決を図らんがために、他の者に対する不利益、他の当事者に対する不利益、こういうこともないとはこれは保証できない。ただ併しこれは斡旋を受理するか受理しないかは斡旋委員のあれでございます。解決策を受理しないかということは。結局当事者の意思によつてきまる、こういう建前にいたしております。従つて斡旋の解決案が出たことが当事者の意思を拘束しない、これは先ほど政務次官から申上げた通りであります。そういうことで解決をいたしておるつもりでございます。従つて一方の当事者に非常に不利な斡旋案である、これは片方の当事者はそれを呑まない、こういうことによつて斡旋は打切りになる、こういう形になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/31
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032・近藤信一
○近藤信一君 この前も質問されたと思うのですが、やはり事業家がここで事業をしようというときに、事業認定がない先に斡旋を申請した場合に、そうすると片方はここに事業をやることによつて利益を得る、片方はここでやつてもらつては困るということで飽くまでも反対した場合、これは困つても困らなくても、一方のあれによつてどんどんと進行する、期間が過ぎれば准行できることになつていますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/32
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033・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) その点は斡旋は一つのチヤンスでございまして、従いましてそのチヤンスが成功する場合もあるし成功しない場合もある。これは現在の収用の発動に持つて行くことに対する一つの制限になつております。ということは、斡旋にかかつている間三カ月というものは収用の申請はできない、こういう制限を受けているのです。従つてお話のようにこの手続の進行に伴つて、まあ収用手続が逆に促進されるということには考えられないのでありまして、むしろ現在放置しておいて、斡旋制度がなかつたならばどうか、これはいきなり収用手続に持つて来られることは、当然起業者の立場から申しまして考えられるわけでございます。その場合においても他の補償を受ける側から言えば、むしろ斡旋で有利な解決をしてもらいたい或いは適正な解決をしてもらいたいその間収用手続に入つちや困る、こういうことにもなる。これは起業者側に便利だとばかりは言えないというふうに考えます。又一方の補償者の側から言いますれば、そういうことのためにまあ三カ月なら三カ月置いて、いきなり収用にと申しますか、斡旋に続いて収用という一つの準備行動ということにも取られますが、併しこれは準備行動なしにもできるという現行制度に比べました場合には、むしろそういう斡旋の機会が与えられるということのほうが、取りようによつては、この犠牲者の立場から言えば一つのチヤンスを与えられる、こういうふうにも考えられます。その点は必ずしも起業者側に有利であるとだけ断定することは如何かというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/33
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034・近藤信一
○近藤信一君 斡旋委員会が持たれてから、三カ月経過してその三カ月の期間内に斡旋の委員会が成功しなかつた場合でも、もうどんどんと工事ができることになつていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/34
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035・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) これはやはり強制的に工事ができるということにはなりませんで、斡旋を打切つた結果反射的にそれでは起業者は自動的に強権発動できるかそういうことにはなりませんで、やはり収用法上の事業認定、或いは土地細目の公告ということで、収用法本来の手続に戻りまして、それの結果を待つて始めて強権的に土地の取得その他の行為ができる、こういう関係になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/35
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036・石川清一
○委員長(石川清一君) 大体本日の質疑はごの程度でとめておきたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/36
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037・石川清一
○委員長(石川清一君) それでは土地収用法に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/37
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038・石川清一
○委員長(石川清一君) それでは次に建設業法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/38
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039・南好雄
○政府委員(南好雄君) 建設工事の適正な施行を確保し、且つ建設業の健全な発達に資するため、昭和二十四年法律第百号を以て建設業法が制定せられ、ほぼ所期の成果を収めて今日に至つているのでありますが、施行以来四年間に亘る経験に鑑み、なお若干の改正を加える必要があります。即ち、本法律の適用範囲の拡大、建設業者の登録要件の強化、一括下請負の禁止の強化及び建設業審議会の任期の延長と権限の強化等を図る必要があると存ずるのでありまして、これが本改正案提案の主たる理由でございます。
以下本改正案の主要な点につきまして御説明申上げます。
先づ第一に現行の建設業法におきましては、板金工事ほか八種類の工事については、それのみを単一に請負うことを営業としている者につきましては、適用を除外しているのでありますが、最近におきましては、この種の工事も、その重要性からも、又その請負金額のか点らも、現在建設業法の適用を受けている工事と差異を設けられなくなつて参つておりますので、壁紙工事を除き、これらの工事のみを請負のことを営業とする者に対しまして土木工事等と同様本法を適用することとしたのであります。
第二に登録要件の強化でありますが、現行法におきましても、建設大臣の登録を受けた建設業者は同一都道府県にある営業所の一に一定の資格を与えた技術者を置くを建前としてはいるのでありますが、これを登録の要件といたすと共に、登録の際の拒否要件を拡大して、現行法では、建設業法違反の故を以て会社が処分された場合において、営業所の代表者等が会社から独立して登録を申請して来る場合にはこれを拒否し得ないこととなつているのを、登録を拒否し得ることとしたのであります。
第三に、一括下請負の禁止の強化についてでありますが、この禁止の目的を十分に確保いたしますため、無登録業者等に一括下請負させる場合、或いは一括して請負う場合等についても禁止することとしたのであります。
第四に建設業者に対する監督処分のうち、最も重要な処分である営業の停止及び登録の取消処分につきましては、これを慎重に行う要がありますので、建設大臣又は都道府県知事がこれらの処分を行おうとするときは必ず建設業審議会に諮問することといたしました。
第五は建設業審議会の委員の任期を延長し、その権限を強化したのであります。現行法によりますと、委員の任期は六月で二回以上の再任を禁じておりますが、これは余り短期に失しますので、任期を二年とし再任を妨げないことといたしたのであります。次に権限の強化でありますが、現行法におきましても建設業審議会は、建設工事の請負契約に関して紛争の生じた場合、当事者の申請に基いて、紛争解決の斡旋を行い得ることとなつておりまして、本法施行以来その斡旋したものは約五百件に上り注文者にも、請負者にも多大の利便を与えておりますが、紛争の原因を調べまするに、その内容が明確でないもの、或いは不合理なものが多いのでありまして、このような場合は、その契約内容を公正にするよう変更の勧告をすることができることといたしたのであります。又中央建設業審議会が建設工事の標準請負契約約款を作成し、これが実施を主要な発注者等に勧告して来たことにより、従来その不合理性と片務性の特に強かつた建設工事の請負契約が年と共に是正されつつありますが、なお入札方法の合理化、注文者の予定価格積算の際の諸経費の算定の基準等を作成してその実施を勧告し、建設工事の請負契約関係の合理化を期することとしたのであります。その他以上の諸点に関連して関係各条文の整備を図つたのであります。
以上建設業法の一部を改正する法律案の主要な事項について説明申上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/39
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040・石川清一
○委員長(石川清一君) 本法案に対する質疑は次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/40
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041・石川清一
○委員長(石川清一君) 御異議がないと認めまして、次回に御質疑を願うことにいたします。速記をとめて。
午後二時四十五分速記中止
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午後二時一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/41
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042・石川清一
○委員長(石川清一君) 速記をつけて。
水害対策特別委員会に出席しておりました河川局長が見えましたので、和歌山県を中心とし近畿中部地方を襲いました水害について建設省当局より状況の御説明を承わりたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/42
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043・石川清一
○委員長(石川清一君) それでは河川局長より御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/43
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044・米田正文
○政府委員(米田正文君) 十七耳から十八日にかけまして和歌山県を中心とする豪雨がございました。その概要について御説明を申し上げますが、三枚目の小さい半ぺらの紙がございますが、こういう梅雨前線、これは十九日でちよつ移動しておりますけれども、大体こういう状態で梅雨前線が走つておつたのであります。そしてこの梅雨前線から南側のほうが非常に雨が降つております。で紀州が丁度、この梅雨前線でもわかりますように、南側に当つておりましたので、豪雨になつたのであります。
今日まで調査をしおります雨量は、まだはつきりしたものが詳細集まりませんけれども、大体のところはその半ぺらの紙の次の頁に雨量が書いてございます。その欄の一番右の摘要のところに和歌山を中心とする雨量を大台ケ原、河合、高野山、橋本、大迫、湯浅、こういうふうに書いてございます。最大四百四十ミリ程度、大体奈良県十津川村で四百四十ミリ程度というのが最高雨量のように思ます。恐らくこの程度のものが山地に降つたのではないか、御承知のように和歌山県の今度被害を受けました地区の川は急流河川でございまして、非常に降つた雨が一時にどつと出るという傾向のある河川でございまして、こういう程度の、三、四百ミリ程度の雨が上流に降つて、それが十七日から十八日にかけて一時に流出したというのが原因でございます。
それで勧めに帰りまして、「被害の概要」というのを御覧願います。今度一番ひどかつたのは和歌山県の南部の有田川、蜜柑で有名な有田川と、それから南の日高川というのが非常に被害寸がひどかつたのであります。有田川の河口には箕島という町があります。それから日高川の河口には御坊という町がございます。それでその両町と承非常に被害を受けて、殆んど全町水浸しになつた状態であります。特に御坊の町では、最初の報告では死者五百名と言われておりました。こういう死者の多かつたということは、この災害の急に水が出て来たという特徴から生れたものだと思います。一カ所でこういうたくさんの死者を出したということは珍らしいことであります。殆んど堤防は全部溢水をいたしました。これはまだどちらも改修をいたしておりませんので、古い堤防がございました。併し古い堤防としては比較的丈夫な堤防がございましたけれども、全面的に溢水をいたしまして、決壊をいたしております。
それから紀ノ川の筋では、和歌山から紀ノ川を上つて行きますと岩出という町がございます。岩出の端まで直轄工事で紀ノ川の改修をやつております。殆んどもう改修が終りに近ずいております。今度はそれから上流が非常な災害を受けましたけれども、岩出から下流和歌山に至る間の紀ノ川は全然被害がございませんでした。これは初めて改修工事の効果が発揮されて、このために和歌山市は殆んど被害を受けなかつたのでございます。若し紀ノ川が氾濫をしておつたとすれば、和歌山の市は全部、やはり熊本或いは久留米というような状態になつたかと想像されるのでございます。
それから熊野川筋も、先ほど雨量でもございましたように、熊野川のもつと上流になります十津川村ではやはり四百ミリ以上の雨がございましたので、出水を見ております。交通通信が杜絶をまだしておつて詳細がわかつておらない状態でありますが、相当ひどかつたようであります。従つて十津川の上流は奈良県になりますので、奈良県内における被害も相当あつたようであります。なおこの東になります三重県内でも相当な被害を生じております。
大体そんな状態で、各地からの損害額を集めたのが一番最後に、六に「土木被害額調」というのがございます。これで見ますと、これは県の報告そのままでございます。一番大きいのは和歌山県で六千八百八十四カ所で七十八億一千万という数字が出ております。その次が奈良県の二十五億六千五百万、合計いたしまして百十五億という報告が来ております。
直轄災害のほうは紀ノ川筋その他ございますけれども、これは本堤が決煙したというような事故は全然ございませんので、護岸等が多少損傷を受けたという程度のものはあろうかと思いますが、まだ金額として載つて来るような程度ではございません。
大体こんな状態でございますが、今現地に調査官を派遣をいたしておりますので、帰りましたらなお詳細がわかるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/44
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045・石川清一
○委員長(石川清一君) 質疑があれば逐次御発言を願いたいと思います。ちよつと速記をとめて。
午後三時十一分速記中止
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午後三時三十八分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/45
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046・石川清一
○委員長(石川清一君) 速記を始めて、それでは先ほどから御懇談を申上げました通り、二十三日午前十時から建設委員会を開くことにしまして、土地収用法の一部改正案はその日の午前中にできるだけ採決いたしたいと存じております。引続いて建設業法の一部改正に対し質疑を行いまして、更に災害対策について特に根本的な問題に触れて御審議を願いたいと思います。
本日はこれにて散会します。
午後三時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614149X01519530721/46
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