1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十八年七月二十八日(火曜日)
午後二時五十三分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 堂森 芳夫君
理事
大谷 瑩潤君
常岡 一郎君
委員
榊原 亨君
高野 一夫君
中山 壽彦君
西岡 ハル君
横山 フク君
廣瀬 久忠君
湯山 勇君
山下 義信君
有馬 英二君
衆議院議員
青柳 一郎君
政府委員
引揚援護庁次長 田邊 繁雄君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
—————————————
本日の会議に付した事件
○災害救助法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○社会福祉事業振興会法案(衆議院提
出)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/0
-
001・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 只今より厚生委員会を開きます。
災害救助法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案者から提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/1
-
002・青柳一郎
○衆議院議員(青柳一郎君) 只今議題となりました災害救助法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申上げます。
災害救助法は、昭和二十二年十月十八日に施行されましてから今日まで六ヵ年になんなんとするのでありまするが、その間、本法が非常災害時における唯一の応急救助の基本的法律として、重大且つ劾果的な役割を果して参りましたことにつきましては、今更申上げるまでもないことでありまして、この法律によつて救助されました者は約一千一百万人にも上るのであります。
併し、その後の本法運用の実際は、必ずしも十分なる使命を果し得るとは言い得ない部面もあるのでありまして、殊に今次西日本並びに近畿地方の豪雨による水害の罹災者に対する応急救助の経験に鑑みまして、救助の種類を増加拡充してその救助内容の適正化を期すると共に、救助機関に電気通信設備の優先的使用を認め、且つ国庫負担の規定を改正して地方財政負担の軽減を図り、併せて災害救助基金を充実せしめ、似て非常災害時の応急措置に遺憾なからしめるよう、ここに災害救助法の一部を改正する法律案を提案することと致したのであります。
今回の改正に於ける主な点を申し上げますと、次の通りであります。
第一に、この法律の救助の種類を増加充実し、救助内容を整備すると共に、その適正化を期したことであります。
現行の救助の種類中にあります「収容施設」の概念を拡張して、収容施設の中に「応急仮設住宅」を含めることといたしますると共に、「飲料水の供給」、「災害にかかつた者の救出」及び「災害にかかつた住宅の応急修理」をも含めることといたしたのであります。
第二に、この法律の救助の実施を円滑ならしめるために救助機関に対し応急救助を行うために必要がある場合に有線並びに無線の電気通信設備の使用を許したことであります。
現に非常災害が発生した場合の応急的な救助は、一刻を争う緊急なことでありますから、あらゆる手段を尽して速やかに情報を蒐集し、又即刻救助を実施すると共に情報を流して民心を安定せしめる必要のあることは申すまでもないことであります。従いましてかかる緊急な事態の発生した場合におきましては、何よりも優先的にこうした救助の実施に当りまする厚生大臣、都道府県知事、都道府県知事から救助の実施に関する職権の一部を委任された市町村長又は、これらの者の命を受けた者に対して、有線電気通信設備又は無線設備の使用を許すことといたしたのであります。
第三に、この法律の救助事務の円滑を期するために国庫負担の対象額中に「救助の事務を行うのに必要な費用」を含ましめることといたしたのであります。
救助事務費は、救助活動を行うに必要欠くべからざるものであることは今更申すまでもありません。然るに従来は、この当然に国庫の負担となるべき救助事務費が、国庫負担の対象から除外されていたのでありまして、今回この不当を改めて事務費も国庫負担の対象額中に含めることといたしたのであります。
第四に、この法律の国庫負担の対象額の基礎額と、その国庫負担の割合とを改めたことであります。
現行では当該都道府県の普通税収入見込額の百分の一を超える場合に初めてその超えた金額が国庫負担の対象となるのでありまして、都道府県はその財政負担の過重からとかく法が期待する災害救助を行い得ない実情にあるのであります。よつてこれを「千分の二を超える金額」は、国庫負担の対象となるよう改め、似て都道府県が、財政的な考慮に煩わされることなく、法の期待するような救助が確実に実施できるようにいたしたのであります。
第五に、この法律の災害救助基金を充実し都道府県知事の応急救助活動が実施し易いようにいたしたのであります。
災害救助基金の制度は、災害時のために古来我が国の伝承してきた備荒貯蓄の制度の一方法でありまして、現在といえども、その充実は誠に願わしいところでありますので、各都道府県の財政力に応じて積立てしめることといたしたのであります。
第六に、この法律の施行期日を公布の日から施行することとし、第三十三條及び第三十六條は、昭和二十八年四月一日から施行することといたしたのであります。
以上が本案の概要であります。
何とぞ慎重に御審議の上速やかに御協讃あらんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/2
-
003・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 本案の質疑は次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/3
-
004・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/4
-
005・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 次に社会福祉事業振興会法案を議題といたします。提案者から理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/5
-
006・青柳一郎
○衆議院議員(青柳一郎君) 只今提案になりました社会福祉事業振興会法案について提案の理由を説明申上げます。終戦後民間社会福祉事業はますますその重要性を加えて参りましたが、補助金についての厳重な制限、物価の高騰等により施設の修理、改造等に困難を感じ、昭和二十二年以降共同募金運動の展開を見ましたが、配分対象の増加により実質的配分額は減少する状況でありまして、社会福祉事業の振興のためには、長期低利の資金融通を図る必要性が強く要望せられて来たのでありまして、ここにこの要望に副い、社会福祉事業振興会を設置せんとするものでありまして、これが本法案提出の根本的趣旨であります。
次に本法案の概要を御説明申上げます。
この振興会は、社会福祉法人その他社会福祉を目的とする施設を経営するものに対しその経営上必要な資金を融通し、その他必要な助成を行い、もつて社会福祉事業の振興を図ることを目的とするものであります。
次にこの振興会は特殊法人とし、役員は厚生大臣の任命又は承認を受けて任命するものとし、資本金はその全額を政府が予算の定めるところにより、出資するものといたしました。
振興金の業務は(1) 社会福祉施設の修理、改造、拡張、整備、災害復旧に要する資金、又は経営に必要なその他の資金を貸付けること、(2) 施設職員の研修、福利厚生、その他福祉事業振興上必要と認められる事業を行う者に対し、必要な資金の貸付け又は助成を行うことであります。
而してこれらの業務を行うについては、業務方法書に貸付限度、利率、期限、元利金回収の事項、担保等の事項及び助成の限度、目的等を記載し、厚生大臣の認可を受けしめるのであります。
又、毎年度事業計画及び収入支出の予算を定め、厚生大臣の認可を受けることとし、更に財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、決算報告書と共に厚生大臣に提出し、その承認を受けしめることとし、又、剰余金の処分、余裕金の運用等についても制限を加えているのであります。
振興会の監督は、厚生大臣がこれに当るのでありまして、必要な命令をすることは勿論、必要な報告を徴し、立入検査をなすことを得、役職員に対しては一定の事由があるときは、これが解任をなし得るよう規定したのであります。この振興会は、昭和二十九年四月から発足することのできるよう、厚生大臣が設立委員を任命し、設立の事務を処理させることとし、又免税の特典等を規定いたしたのであります。
以上がこの法律案の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上速やかに可決せられんことをお願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/6
-
007・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 本案の質疑は次回に廻したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/7
-
008・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/8
-
009・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 次に戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案は衆議院におきまして修正送付されたものでありますので、修正の点について衆議院議員青柳一郎君から説明を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/9
-
010・青柳一郎
○衆議院議員(青柳一郎君) お手許にごの法案の修正案要綱がありますと思います。それに従いまして簡単に御説明をいたしたいと思います。
第一は、「遺族年金額を昭和二十九年一月一日より二万七千六百円とすること」でございます。この点は先ほども未帰還者留守家族等援護法について申上げましたように、恩給法におきまして兵隊さんの仮定俵給が上りましたに伴いまして、来年の一月一日から月に二千三百円といたしたいという点でございます。
第二、「遺族のうち父、母、祖父又は祖母が、氏を改めないで婚姻したときは、遺族年金の失格及び失権の事由としないこと。」、この点につきましては、すでに恩給法の衆議院のおける審議に際しまして、同じような改正を恩給法に加えた点でございます。即ち戦没者がありました際に、その父、母のうちの一人を失いました際に、例えば母が失われたときに父が残りまして、あとの母をめとる際に父は失権するのでありまするが、そういう場合に、その家に残るものにつきましては失権させないという趣旨でございます。母についても同様でございまして、父が亡くなつた場合に、母が入夫婚姻をしたという場合は、従前の規定におきましては母をして失権せしめておるのでありますが、同じ家にあるその母につきましても援護法の恩典に浴させんとするものであります。
第三、「先順位者としての遺族年金を受ける権利を二以上有する遺族には、当該遺族年金を併給すること。」、戦没者が二人以上ございました際に、その遺族に対しましては、その中の一人に対して与える、一人死んだ場合と同様な援護しか与えられておりません。これをこの際、その戦没者の数に応じて倍加せんとするものでございます。
第四、「平和條約第十一條に掲げる裁判により拘禁された者が、当該拘禁中に死亡した場合は、右の者の遺族に、遺族年金及び弔慰金を支給すること。」、御存じのように、今回の恩給法の改正によりまして、戦犯者にして刑死、獄死した者がすでに普通恩給年即ち兵につきましては十二年、将校につきましては十三年の在職期間を有して、その後において刑死、獄死いたしました際には、その者に与えられる普通恩給額の半額であるところの遺族扶助料を与えられることになつております点は皆様御存じの通りでございます。而して将校にして十三年、兵士にして十二年足らず、即ち恩給年限に達せずして刑死、獄死した者の遺族に対しましては、この第四によりましてこの援護法によつて年金並びに弔慰金を支給せんとするものでございます。
以上戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院における修正案を御説明いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/10
-
011・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 以上三案の提案者の説明を終りましたが、時間も大分経過いたしましたので、以上三案の説明に止めまして、本日はこれぐらいで厚生委員会を散会いたしたいと存じます。
午後三時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X02219530728/11
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。