1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月八日(土曜日)
午前十一時二十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 堂森 芳夫君
理事
大谷 瑩潤君
常岡 一郎君
藤原 道子君
委員
榊原 亨君
高野 一夫君
中山 壽彦君
西岡 ハル君
林 了君
湯山 勇君
山下 義信君
有馬 英二君
政府委員
厚生政務次官 中山 マサ君
厚生省保険局長 久下 勝次君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
説明員
厚生事務次官 宮崎 太一君
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本日の会議に付した事件
○社会保険審査官及び社会保険審査会
法案(内閣提出、衆議院送付)
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001・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 只今より委員会を開会いたします。
社会保険審査官及び社会保険審査会法案を議題といたします。質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/1
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002・山下義信
○山下義信君 本案につきましては前回湯山委員から御質疑が一部ありましたので、或いは重複いたすかもわかりませんので、重複いたしましたならば御指摘を願いたいと思います。本案の論点は申すまでもなく従来の民主的な審査官、審査会というものがこういう官僚機構に代わるということが結局問題になるわけなので、政府の提案理由の説明によりますと、審査会の能率の増進のためだと、こういうことを言われるのであります。従来の審査会の能率について、いろいろ政府は説明もなされておるようでありますが、私はそれだけでは納得ができないのです。それで私が伺いたいことは、もつと重大な理由があるのかどうかということなのです。それで現在の審査会が能率が悪いというならば、悪い理由がどこにあるか。それで現在の審査会の組織では、どうしてもその能率を妨げている点についての改善ができないのかというようなことが論点になると思うのですが、私は今そういうことを聞こうとするのじやないのです。そういう審査会の改造、改善、そういうことをしないで一足飛びに、何といいますか、官僚機構というものに一遍に切換えられたということについては、私はただ事件処理の能率のためというにしては、余りに改革が大き過ぎると思うのです。これは一足飛びに従来の、言うまでもなく民主的な組織、民主的な制度になつているところの、相当保険制度については重要な制度の一つを思い切つてこういうふうに変えるということについては、何かよくよくの理由がなくちやならんと、こう思うのです。それで審査の請求の案件は、これはここに配付の資料にあるようであります。これも被保険者の利益について実際重大であります。重大でありまするけれども、全体の保険の給付関係の一切の件数の、これは何%か知りませんけれども、この種のことだけで保険制度の重要な部面に思い切つたこういう制度の入れ替えをする、改革をするということについては、何か重大な、ただ能率のためにということ以上に重大な理由がなくちやならんと、こう思うのです。繰返して私は申上げたいと思いますが、その点はどうでありましようか、御答弁を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/2
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003・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私からお答えを申上げます。前にも申しました通り、現在の制度によりましては、結局能率の問題に帰するのでございまするが、私ども長年この問題の実際上の事務を担当いたしておるのでございますが、特に最近ここ一、二年、不服申立の件数は殖えて参りまして、実はこの表に現われておりまするように、社会保険審査会を開いております回数は極めて蓼々たるもので、御指摘を受けておるのでありまするけれども、併し実際ここに至りまするまでには、私どもの事務担当者は殆んど連日のごとく審査会委員のかたがたの御都合を伺いまして、その御都合の合つた日に開催をするというような、実は蔭で非常な努力が要るのでございます。而も現実に昨年の今頃以来被保険者の不服申立の裁決が丁度一年くらいも延びるような傾向になつてしまいまして、随分現在の審査会委員のかたがたにも御無理をお願いしてやつておるのでございまするけれども、一方においてはますます審査件数が殖えておる、又今度新たに不服申立の範囲を広げるというようなこともあり、新らしい日雇労働者の健康保険もできるというようなことで、この増加の傾向は一層拍車がかけられると思うのであります。そういうことを考え合せまするときには、結局ここで制度の根本について再検討をして、被保険者の利益の保護ということに、而も迅速に解決をして差上げるということが必要であると考えまして、いろいろ検討いたしました結果、かようなことになりましたのでありまして、それ以上の別に特別な理由はないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/3
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004・山下義信
○山下義信君 理由がなければ、それ以上理由がなかつたら、我々は納得ができないのです。それでいろいろ現在の保険審査会の能率、処理の進捗に努力せられたということなんですが、ただ委員の人に出てくれ、出てくれと懇請しているということだけでは、それはその制度の改善ということにならないのです。私はこの審査会のことは実は詳らかにいたしませんので、まあ多くは同僚諸君の御質疑に待たなくちやならんのでありますが、大体現行の審査会は開会の定足数なんというものがこれはどうなつておりますか、ついでに私も勉強させてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/4
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005・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 現在の審査会法によりますると、審査会の構成は十八名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/5
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006・山下義信
○山下義信君 六名ずつですね。何人出れば開会できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/6
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007・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) それで法律の規定によりますると、各保険ごとに労使中立の委員が少くとも一名は出なければならないということになつております。従いまして而も審査の件数が、審査は受付順に処理をいたしておりまする関係上、結局毎回の審査会は九名が定足数ということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/7
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008・山下義信
○山下義信君 各六名ずつのグループで十八名、そうすると開会のできる定足数は、各グループから三名ずつですか、三名ずつ出るということなんですね。それで第一回の審査会の開会の通告をして、それでその定足数に満たなかつた、そうしたら審査会を開くことができないですね、その次も又やはり定足数が集まらなければ開くことはできないのですか、正式にいえば、何回でも定足数が集まらなければ。実際の運用はそうしていらつしやるかどうか、それは臨機応変の処置もとられるでしようけれども、一応の形式論をいえば、何回でも定足数に満たなければ開けないということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/8
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009・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) おつしやる通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/9
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010・山下義信
○山下義信君 おつしやる通りじや困るのであつて、若しも改革するならば、おおむねの会議はです、世間の常識的な会議のルールは何であろうと、一遍定足数に満たなければ、その次には催告をする、催告をしてみるというと、今度は、二度目はもう出席しなくてもやりますぞということは、大概どこの会議でも一応実は共通的なルールになつておるのです。ですから改めようとすれば、定足数がなくて、第一回は流会になつた、二回目は催告してみて、もう今のような所定の委員は集らなくてもやりますぞという制度になつて来れば、ぐんぐんできるのですね。ですからただ能率が悪いからということなれば、現行の折角の各グループが出てやるということは、実にこれはよくできた制度であつて、私どもは感心するのです。これは諸外国に例がありますかしら、今のように各種の利益代表者が出て今の審査会を作つているという民主的な事例ですね。私は恐らくないじやろうと思うのですが、当時の起草者がどこを勉強して取つたか知らんが、私はよくできていると思うのです。併し、これは出ない者はいかんです。率直に言つて、出席率の悪いのは、誰が悪いということは、これはやかましく言わなければならん。これは、出席率の悪いのは、黙つているわけに参りません。悪いのは悪い、けれども、制度そのものは悪いとは思わんですね。出席しない者が悪いのであつて、制度そのものが悪いのじやない、出席の悪い者がおると、次から次へ出席が悪くなるから、出席が悪くても進行のできるように、普通の会議は催告をすれば定足数がなくてもやれるようになつておりますから。諸外国にありますかしら。事例は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/10
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011・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) お手許にお配り申上げております資料の最後のほうに、御参考に、非常に細かいことでございますが、イギリスとアメリカの例を私のほうで調べましてお配りしてございます。これは、実は両方とも今度私どもは改正しようというようなことになつておりまして、どうもほかの国も調べておりませんので、大変申訳ございませんけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/11
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012・山下義信
○山下義信君 私も調べていなくて、教えて頂こうと思つて伺つたのですが、現在のような日本の保険制度が取入れている民主的なもろもろの協議会、審査会といつたような制度は、私は事例が稀だと思うのです。今度あなたのほうで出そうとする審査官制度ですね。これが対外資料に基いているように、まあイギリスでもやつている。イギリスのことは私は行つて見ん。アメリカはちよつと行つて実物を見ました。中山政務次官はよく御承知なのでしようが、こういう制度は、これは向うさんの制度でしよう。折角いい今の日本の独得の保険制度の民主的運営、これも社会保障制度審議会がやかましくいう、結局社会保障制度審議会あたりが言つているこの制度の民主化は、保険者も府県に渡せと言つているくらいですからねえ。将来の社会保障制度は、どうしても民主化して行かなければならんということを基本的に勧告をしておるくらいなんです。今度政府の出されようとするこの案は、今までの民主的な審査会をやめて、アメリカ、イギリス流の保険審査官、つまり官吏制度、いわば官吏制度というものにして行くという。ですから、ただ能率の上というだけでは私は納得できないのですがね。何かこういう大きな制度の、促険制度に大きな改革をするということならば、何か全体的の上にしつかりとした、こうして変えて行くということの上に、しつかりした理論というか、考え方というものがなくちやならんと私は思うのです。それが、まあただ事件の処理の都合上、こう言われるのでありますから、これは納得ができん。それで提案理由にも書いてないのですから、ほかの理由はないらしい。今も別にほかの理由はないとおつしやるのですが、まあ伺いませんが、この制度は、これは衆議院のほうでもやかましく言い、或いは同僚からも御質疑があつたかも知れませんが、これは全部の社会保険に及ぼす考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/12
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013・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私どもは、お尋ねの趣旨はどういう御趣旨か多少取違えるかも知れませんが、私どもの考え方としましては、これは審査会というものの一つの裁判に似た制度でございます。かようなことを考えておるのであります。現在の社会保険審議会でございますとか、或いは社会保険医療協議会でございますとか、すでに三者構成、或いは四者構成の機構をとつてやつていますが、この種のものにつきましては、こういう考え方を及ぼすという意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/13
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014・山下義信
○山下義信君 今の社会保険審議会とか、医療協議会とかいうものをやめるかという意味ではなくしてですね。この今度の社会保険審査官の、何といいますか、審査事項を扱いまする範囲は、健康保険と厚生年金と日雇健康とに限られていますね。それを他にも及ぼすかと聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/14
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015・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 御承知の通り、他の保険は他省の所管にもなつておりますのと、それから、私ども知ります、承知しておりまするところでは、他の保険では異議申立が非常に現在のところ少のうございます。従いまして、それぞれの省に現在の制度を変える意思はないように聞いております。私共はそれ以上に拡げるつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/15
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016・山下義信
○山下義信君 これは制度の改正ということになりますと、一つのもうちやんと組織的な構想の下にやつてもらわんと、私は他に及ぼすがいいという意味で言つておるのではない。部分的なやり方をすることは厳として今後は改めなければならん。保険の統合という方向へ大きな意味で向いて来て、組織の単一化ということはどうしても図らなければならんことは輿論です。それぞれの保険が独自の改正をその都度その都度区々にされていたならば、およそそれはもう逆コースであることは言うまでもないことでありまして、そういう原型から言えば、なかなか重大なことなんです。それで、こういう改革をして行くんだと、この制度で行くんだと、それはこういう理由で、保険制度における理論的な根拠はこういうふうに行くんだということで、一つのこの制度の改革として行くというのなら筋が通る。それはそれで又一方に審議をして行く価値がある。ただ事務の都合だと言われると、それは困るんです。而もですよ。ただこれが一つのあなたがたの保険局における保険の事務を掌る上のただ単なる手続の改正の程度ならよろしいが、この社会保険審査官は、これは率直に言いますが、厚生委員会は今これを非常に熱心に御審議をなされておるが、これを全部の議員にこれを知らしたらびつくりしますよ。昨日まで給与の三本建で騒いでおりますが、これは給与の三本建と決して劣らない、匹敵するほどの大問題と言つて皆騒ぎますよ。これはあなた、社会保険審査官は大臣格の役にもつく、これは大変なことでございますよ。でありまするから、わたしは、余り大きな声をしますと、与党のほうへ御迷惑をかけますから、内緒で言いますが、これはあなた、或る意味においては、行政機構の改革ですよ。政府は行政整理をやろう、行政縮小というときに、大臣格の者を三人作るという案ですぞ。而も三人だけではなくして、その下に社会保険審査官に関するところの機構ができる。ですから、内閣委員が聞いたら直ぐ連合委員会をせいと言つて、これはもう内閣委員会が聞いたら黙つていないとわたしは思う。全部の議員が知つたら、いわゆる親任官待遇、昔で言う親任官待遇の、特別職の大臣格を三人作るというのですから、これはもう近頃は、大変なこれは国会では大問題になる案件なんです。わたしや声は大きうしませんがね。こつそり言いますが、(笑声)わたしはそれだけの改革をなさるに、ただ事務の都合じやとおつしやるのでは、ちよつとそれは余り理由が稀薄過ぎる。それは追及しません。なんかほかにあるでしよう、理由が。それじや、若しおつしやりにくいことならわたしのほうが伺いますが、こういう社会保険審査官を……、牛丸君が出て来たからなんかあるだろうと思う。社会保険審査官を作るのには、この法律ができたら、この社会保険審査官におなりになるかたがきまつておるんでしよう。それなら理由がわたしははつきりするのですがね。どなたか、もうこの法律が通つたら、社会保険審査官の委員長になるとね。どういうかたかちやんときまつておるということならそれは私お膳立てしてあげなければならん。気の毒だから。それでこの法律を流すわけには行かん。(笑声)そういうことを言うと……。ただわたしが言いたいことは、人のために官を設けちやならん。そういうこともありますまいけれども、少し諧謔を弄し過ぎましたが、人のために官を設けちやならん。これは湯山君も恐らく指摘なさつたのじやないかと思います。官僚の天降りの、これが何と言いますか、率直に言えば厚生次官でもやめたら、まあ保険局長……、あんたのことじやありませんよ(笑声)保険局長でもやめたらそれが保険審査官になるのだというような行き場所のできるようなことではいかない。ですから、私がこの点を念を押そうとすると、こういうことやらなくちやと実はここになつて来て、我々議員としてもそういう点は私は自分でも考えなければならんと思いますが、この社会保険審査官の任用にはいろいろな資格が規定されておる。或いは社会保障制度によく通じた人だとか、人格高潔だとか、或いはいろいろな要件があるのですね。併しながらこういうものは任命をしてはならないということは言うてないのですね。二十二条によりますと、「人格が高潔であつて、社会保障に関する識見を有し、且つ、法律又は社会保険に関する学識経験」と、こうある。これはまあ国会で任命することになつておりますから、我々が注意すればいいわけでありますが、こういう人は任命してはならんというところはないのであります。だだまあ一般的に公民権を停止されるような、民法でいろいろと制限してあるようなことは、ここへこう出して来てはありますけれども、二十四条、これは例えば官吏が職をやめて二ヵ年以内はこの職に就いてはならないということもないのですね。それから又政党のことは私らとしては言いにくいけれども、又政党関係云々ということもないのでありますね。そういう点はどういうふうに考えておられましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/16
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017・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 直接委員になれないということはございませんが、二十四条を御覧を頂きますると、委員長になつた人が次のような事項に該当いたしますと、逆に罷免され得るという規定がございます。従いまして、こういうことから、これに該当するような人は任用の際に当然考慮されることと思うのであります。それから更に第二十九条がございます。具体的に御引例のございました「国会若しくは地方公共団体の議会の議員その他公選による公職の候補者となり、又は積極的に政治活動をする」ということが、具体的に左の行為をしてはならないという事項の中に上つておりますので、結局その関係から兼職ができないことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/17
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018・山下義信
○山下義信君 特定行爲の禁止で、任命のときの資格要件ではないわけでありますね。
折角次官が見えましたから、私は簡単に質問をするつもりで一点だけ伺つておるのでありますが、これは結局事務の進捗を図るためにこういう制度の改革をしたのだと、私の質問はこれは非常に重大な、一つの保険制度の中にも重大な改革をやるのだが、ただ事務の都合だというなら、現行の審査会の運用について、例えば定足数だとか或いは又一回が流会になれば第二回は催促して、一人でも委員が出たらやるくらいの非常手段でもやれば、幾らでも事務の進捗ができるわけであります。併しながらああいう三者のグループを集めて来る審査会でなしに、こういう何と言いますか官僚的な、官吏的な審査官というものをこさえて、一つの最終……裁判所のような性格を持つた審査会を作ろうということについては、非常な大所高所から保険制度の上に一つの新らしい考え方を以て臨んだという理由がなくては私は納得ができがたいということを実は聞いたのであります。それで折角宮崎次官見えておられるので、その点一つ御説明下さるとありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/18
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019・宮崎太一
○説明員(宮崎太一君) 只今の山下先生の御質問にお答えいたしますが、私どもそう深い理想を持つてやつたのではございませんで、やはり審査官或いは審査委員会の制度につきましては、従来の制度でやつてみたのでありますけれども、運用等にいろいろ工夫をしてみましても、われわれ近頃審査の請求が非常に多くなつて参りましたのと、それから種類も広がつて参りました。それに今度新たに加わつた社会保険等も殖えましたので、やはり常時これを専門としてこれに当るほうが速かに行われるのじやないか、そうしてそれがそういう審査を請求しておる人たちの気持にも早く合い得るような措置がとれるのじやないかという意味でやつてみたのでございますが、社会保障制度が仮りに本当に勧告のような線において実現するときまでの私は暫定措置として、そう考えてみたいというような意味でございまして、現在の立て方としては、試みにこれで一つやつて、そうして停滞している審査事務を処理できると思いますのでやつてみたい、こういうことでございます。
三者構成の制度等についても、できるだけそれを採入れるというような考え方をこれに加えてみたのでございまして、この種の制度はそれだけで行つておりますのでありますが、社会保険の審議会或いは社会保障制度審議会等の御意見をも考えまして、三者構成の採り得るものは採入れたというようなことでやつてみたのでございまして、ほかの社会保険にもまだ例のない制度でございますけれども、健康保険その他の保険が一番こういう件数が多くて、而も御承知のようにこれが中心になつている現状でございますので、私どもとしてはこれによつて一応やつて、若し社会保障制度においてこれがいけない、或いはこれ以上の制度、或いは前の制度等がいいということになれば、それも考えなければならんのじやないか、こういう意味でございますので、山下先生のおつしやる深い、これでなければならんので、これが理想であるという意味で私は申上げるほどでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/19
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020・山下義信
○山下義信君 当然そうだろうと思います。それはまあそういうお考え方は、あなたのほうとしてはまあ御尤もと思いますが、それで私としては非常な大きなこれは改革なんで、相当しつかりした保険制度への理論的裏付がどうしてもなくちやならんと思つてそれを承わりたいと存じたのでありますが、まあ御事情のことは御尤もと思われる点もある。ただ我々が、中山先輩もいらつしやるのでありますが、三年ほど前になりますが、審査官制度についてあなたのほうで立派な翻訳物、非常な大部のものを配付して頂いて、我我も精読さしてもらつたことがある。ここに抜萃が裏に一組の資料としてこういうふうに付けてあるのであります。私もよく研究してはいないのでありまするが、向うの審査官は、これはこの本法では極く概略の規定がしてあるだけでありますから、詳しいことはわからんけれども、向うの審査官がいわゆる裁判官のごとく、こういうような高い能率で以てぐんぐんものを処理して行く、その一つの絶対的な条件としては、まあ言うまでもなく、非常にヒアリングの盛んなところである。そうしてそのヒアリングが非常に手軽に行われておる。そうしていま一つ重大なことは、そのヒアリングというものが非常に価値が高く用いられておる。日本では近頃それを真似して進駐軍の示唆によつて、もろもろの法案をお互いが作りますときには、いつも聴問ということを申合せのようにくつ付けるのでありますが、実に日本の公聴会といいますか、聴問会といいますか、実にこれが手続き煩瑣で且つ又信憑性が薄い、用いない、これは真実性を述べるまあ民族の道義的な、そういうものの高低があるかないか知りませんが、向うあたりはもう嘘も言わん、受取りも取らんというくらいですから、証人の証言をそのまま十分信憑性のあるものとしてとる習慣があるために、もろもろのそういうものに対して高い価値を認めて行く、従つて陪審制度なども発達すれば、日本はとても自分の都合のいいようなことを言うからなかなか公述人の言うことをすぐ……、言うたらすぐそれをとるということはいけないかもわからんが、向うはヒヤリングがそういうような立て方になつておつて、非常にそれに審査官が耳を傾けて説明をとるから、いわゆる官僚独裁的にならずに、一方的に独善的にならずして公平な審査研究が、採決がなされるということになる。日本ではそういうような必然的なものが発達もしないし、期待もできないという場合に、審査官制度を設立すると、全くそれが一方的なものに、これも言わばこの法案に採入れてあるが、一方的な独善的なものになる虞れが非常にありやしないかということはあるのです。従つて私は利益関係者のそういう意見の陳述等について、どれだけアメリカ、イギリス式の審査官制度を採入れる、殊にアメリカに近いほうの制度を採入れることになるならば、そういう点に、当局は法律では極めて簡単至極であつて、我々としてはわかりにくいが、そのやり方、運営等について相当の覚悟を持つておるかどうかということを伺つておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/20
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021・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 審査会の今後の運営の問題でございますので私からお答えを申上げます。
実はお話のありました点につきましては、私どももこの制度改正の際に非常に重きをおいて考えたつもりでございます。従来のこの審査会の事務運営につきましては、法律の制度が必ずしも十分でございませんで、審査手続等が裁判所の運営等に比較いたしますると、肝心の点があいまいになつている点が多かつたのでございます。只今の保険のような問題があつたのでございます。今回本法改正をいたしますにつきましては、審査手続の公正化ということにつきまして特に力を入れました。この内容を作り上げまするまでには法務省方面に十分意見を聞きました。只今も具体的にお話のございました、当事者本人の申立を十分聞いて審議をするというふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/21
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022・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 只今一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の記名投票がございますので暫時休憩いたします。
午後零時四分休憩
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午後零時四分休憩
午後零時五十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/22
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023・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 委員会を開会いたします。
御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/23
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024・山下義信
○山下義信君 休憩前に、私はこの制度の立替えをするについての理由を承わつたのでありますが、なお当局が、現在の審査会では能率が上らないということをおつしやつて、そうして資料としていろいろ統計をお示しになつておられるのでありますが、実際は委員の出席率が悪いということだけではないのではないかと思うのですが……、それで非常に事件の審査に手間がかかる、或いは事件の決定がなかなか容易に捗らないということの理由は、社会保険審査会の組織に欠点があるのじやなくして、どこかほかのところに私は事件の処理が停滞する理由があるのじやないかと思いますが、厚生省はどういう御所見でございましようか。全く組織が悪いのだと、こういう、三者のグループから出ておるということについて、そこに欠点があるのだというお考えでございましようか。事件の処理の上において能率が上らない理由は他にはないのでございましようか、その点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/24
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025・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 強いて他の理由と申しますれば、最近の状況で申しますと、審査の内容が複雑になつて来ておるということが言えると思います。いろいろな問題が出て参るのでございまするけれども、給付に対する不服の申立ての大部分は、本年の評定如何というような、殊にこれが厚生年金保険の廃疾の認定時期に遡つて、その当時の評議の状況というような認定をいたします。問題が最近の審査の内容の相当部分を占めておりますが、これらが問題になりますと、非常に医学的な判定を要する事項が多いのでございまして、こういう問題につきましては、当時の立会つたお医者さんの意見のみならず、或いはレントゲン写真等等、いろいろな具体的な資料を整えなければなりません。こういう案件が非常に殖えて参つております。言葉を換えて申しますると、点数が殖えたということのほかに、内容的に審査の内容が複雑になりつつあるということが言えると思います。これらのことがやはり審査の能率に影響が来ておると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/25
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026・山下義信
○山下義信君 私もそうだろうと思う。私も只今の局長の御答弁を予期しておつたのです。従つて事件の内容、審査すべき内容が複雑化したということは、結局こういう審査官制度にしても同じことなんです。その状態は同じことなんです。それで、従つてその審査を要求いたしまする事件の内容が複雑化して参りましたことに対する処理の基準というか、処理方法というか、そういうことの大変細かいことを言うようですけれども、扱い方、決定方法というものが、これが私はどういうことになつておりますか。その事件の処理の上に、能率を進める上について何らかの欠陥があるのじやないかということを思うのです。事件の複雑性はもうこれは改めることはできない。ますます複雑化して来るでしよう、諸般の理由によりまして。従つてその処理の方法に、ただ機関を改革するというよりは機関が変つても、例えば裁判官が判決を下すのにはすべての法規に基いて、法律に基いて裁判を下すのですから、その法律の条文が極めてあいまい模糊たるものを刑法でも民法でも作つておいたんじや、如何に裁判所の構成を優秀にしてもそれは又すぐに判決するわけには行きません。裁判官は何年でも条文の研究をやらねばならんのです。そういうことに対するいろいろな改革の手というものは打たれてあるのでしようか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/26
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027・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 多少各種の件によりまして事情を異にする点はございまするが、大体の傾向を申上げますというと、事件の内容は純粋な法律の解釈運用の問題と、具体的な事実認定の問題と、両方の噛み合わさつたものというふうに分けられるのでございます。純粋な法律の解釈運用の面につきましては、実は審査のみでも従来相当多数の先例がございます。又行政上の実例も出て参つておりますので、現在の法律の純粋な解釈運用の面においては、最近の審査の傾向をみておりますと、それほど大きな問題はないと思つておりまするが、それよりも問題は一つ一つ違つておりまする事実認定をどうするか、先ず事実認定をいたしまして、その上に法律を適用して行くというような審査内容は多いのでございます。その問題につきましては実は例規というものは殆んど作れないのでございます、一件々々皆特殊性がございます関係上。従いましてこれは実際の審理の私も審査に立会つてお聞きをしておるのでございますが、その経験によりますると、法律の解釈はきまつておつても、具体的に事実認定がどうなるかということで相当問題が多いのでございます。そういうことでございまするので、実は私どもといたしまして審査能率の向上という点については勿論気をつけておりまするし、又裁決のありました事柄は一つの、裁判所で申しております判例のような取扱いをいたしまして、そうして全国にもこれを通知もいたし、今私どもの事務処理の基幹ともいたしておるような次第であります。そういう事情でございまして、結局能率向上と申しましても事案が非常に複雑多岐であります実情が今日の悩みと申せば悩みであり、この審査の問題の一番むずかしい点であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/27
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028・山下義信
○山下義信君 実は私はまあ現行法はなかなかよくできておると考えておる一人です、この点に関する限りは。私は率直に尋ねますが、当局も率直にお答え願いたい。この審査会が処理する保険の種類は言うまでもなく労働保険、労働者を対象にしておる……。で、被保険者の利益を代表する、つまり労働者の利益を代表する委員が当然その被保険者のためにこれはもうしつかり働いてもらわなければならん。それを望むがためにその代表者の委員として審査会を構成しておるのです。大いにそれをやつてもらわなければならん。その労働者を代表して、即ち被保険者の利益を代表する委員が出席が悪くちやいけない。ところが私は出席の悪いというよりは、それはまあ別の問題として、若しそういうことがあるとすれば、出席をよくすればそれはいいのですから、若し被保険者の利益を代表するものが、今質疑応答をいたしました最近の事件の複雑性、認定の誠に複雑な、或いはそれを適用する法規解釈の複雑性等々にも関連いたしますが、必要以上に被保険者の利益を強調する、要求する。それがために審査会の議事が停滞して進まないのだというようなことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/28
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029・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私どもはお話のような事情が事実あることは認めておりますが、そのために必要以上に審査の停滞を来たしておるというふうにぱ理解しておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/29
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030・山下義信
○山下義信君 そうするとその心配は私の憂慮でした。私はそれを詳しくデーターを存じませんから憂慮しておりましたが、私の憂慮は全く杞憂に終りました。それならば大変現在の制度は結構なものであります。必要以上に利益代表者が余りにまあ無理な要求をする。審査会に出て決定に参加し決定権を持つているために、必要以上にこの給付内容の利益主張をするということになる。それは余りないということでありますならば、それは大変結構なことであると思う。そこでこの法案について私は伺いますが、今度は被保険者の利益を代表するものを今回の法案の改正の制度の上におきましてはどういうふうに重要視し、どういうふうにその立場を尊重するというお考えでしようか。この法案だけ見ると、単に意見を陳述させるというだけに過ぎないようですが、そういう程度では欧米の審査官制度に対応してみますると、向うの被保険者の利益代表者を重要視しているところのやり方等と比較して見まして、一段と見劣りがするような感がありますが、如何でございましようか、どういう扱い方になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/30
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031・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 利益代表者は只今お話の意見を述べ、或いは意見書を提出しますほかに、先ずその前提といたしまして、審査の申立てがありました場合には、必ずその内容をこういう申立てがありましたということを利益代表の全員に御通知をいたします。それから審理は公開で行われることが原則でございますが、審理を行ないます際には必ずあらかじめその期日及び場所を改めて利益代表者にお伝えをいたしまして、そうして出て来られました利益代表者は今申上げました意見を申し述べ、或いは意見書を提出するほかに、第四十条に規定がございまして、当事者或いは参考人の出頭を求めますとか、証人を喚問いたしますとか、或いは鑑定人に鑑定をさせるとか、いろいろ審査上必要な事項につきまして申立てをする権能が与えられておるのでございます。それからもう一つ、これは法律に現われておりませんが、大事な点でありまするから申し加えておきたいと思いますが、一昨日も申上げたと思いますが、衆議院の厚生委員会で可決になりました附帯条件にも付いておりましたのでありますが、私どもは三人の審査委員会の任命の手続をとります前に、あらかじめ利益代表者の意見を聞きまして、その上で手続をする、こういうふうに約束をいたしておるのでございます。これは結局審査委員が実際に利益代表者にお立会を願つて個々の事件を審査して参ります上に、相当私は実質上の影響があるものと考えておりまして、こういう点で結局結論的に申上げますれば、利益代表人というものは実質的には相当な影響力かあり得ると考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/31
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032・山下義信
○山下義信君 今の前段の御答弁、ちよつと聞きとりにくかつたのでありますが、衆議院のほうの要望があるから云々とおつしやつたのですが、私に聞えましたのは、まあ衆議の要望に副いまして、当局においてはこの三人の委員、委員長及び他の二名の委員、これを総理大臣が推薦して来るわけなんですけれども、その人選に当つては、十分被保険者の代表者が委員の一人になるように人選等についは、まあ選考の場合には当局としても考慮する考えであるということ、こういう趣旨の御答弁のように聞えたのでありますが、その通りでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/32
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033・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私どもといたしましてはこういう約束をいたしたのでございます。これはこの法案を社会保険審議会に付議いたしまして御審議を願いました際に、委員のかたがたの要望がございまして、委員の任命については勞使双方の意見を聞くように
してもらいたい、できればそれを法律の中に書いてもらいたいというようなお話がありました。これに対しましてその当時厚生省といたしまして意見を聞くことはいたしましよう。ただこれは内閣総理大臣が任命いたしまするのでありますが、私どもとしては実際問題としてはこれを、どういう人を任命するかという前段の準備措置は厚生大臣が下すものであるという考えでありますので、厚生大臣が内閣総理大臣に人を推薦いたします場合に、あらかじめ勞使双方の意見を伺つてやるというふうな約束をいたしたのでございます。ところがこれが、同じようなことが衆議院厚生委員会の附帯決議にもなつておりますので申添えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/33
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034・山下義信
○山下義信君 私は勉強が未熟でありまして、衆議院の附帯条件を知らなかつたのであります。今初めて実は承わつた。審議会のほうの意見ももとより寡聞で存知ませんでしたし、私はちやんと質疑のところに、利益代表者を任命しなければならんというところにちやんと自分でメモをしておりまして聞こうかと思つておつたのであります。実は利益代表者をこの法案の中には、まあ別な意味でもありますけれども、この関係者が意見の陳述等をすることができる、法律の上に現われておるのは結局そういうことでありますから、関連して聞いたのでありますが、今の委員の任命の点について選考の範囲とか、そういう点を考慮するのは当然のことでありまして、私どもも要望いたしたいと考えておつたのであります。私の質疑はこの程度にいたしておきまして、又あと必要がありますれば伺うかもわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/34
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035・藤原道子
○藤原道子君 只今の山下さんの御質疑の中に、同一ケースのものは、つまり一つの判例ですか、のようなものができたら全国に示して、それを参考にしてやるのだというようなふうに伺いました。そうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/35
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036・久下勝次
○政府委量(久下勝次君) お話の通りでございまして、審査会の決定がありましたことは私どもの行政事務を拘束することになつておりますので、そういう意味で全国に流して、その決定のありました方針で今度は具体的の問題の処理をするためにそういう措置をとつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/36
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037・藤原道子
○藤原道子君 現在未処理件数が非常に激増して来て、その処理のために困るということが、まあこういうことになつて来たと思うのです。こういう御答弁であつたと思うのですが、結局これは運営の面で処理できるものもたくさんあると同時に、そういうことでやるならば、今後そういう判例ができて来れば、現在は困るけれども、もつと累積するかもわからないけれども、そういう判例ができて来れば、その後においては相当楽に行くのじやなかろうか、私はそう思うのだけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/37
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038・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 先ほど山下先生の御質問にお答えをいたしました際にも申上げた通りに、実は審査の内容と申すものの大半が純粋な法律の解釈運用だけの問題ではないのでございます。むしろ具体的にその人の病気の状態はどうでありましたか、というような事実認定を先ずやらなければならない。それに法律の解釈をして当て嵌めて行くというような事件が多いのでございますから、結局その事案は殆んど大部分と言つてもいいくらいに、一つ一つ実は新らしい問題になるのであります。で、実はその意味で判例を作つても簡単に行くというようなことは余り実は期待できない、純粋の法律解釈において、或る部分はこういう解釈をするのだということは、これは審査会の決定できまりますし、又事実従来たくさんそういう例はございますし、その点は余り問題はないのでございますが、結局事実をどう認定し、それにどう事実を当て嵌めて行くかということが問題になりますので、結局一つ一つが殆んど新らしい事件と思つていいような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/38
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039・藤原道子
○藤原道子君 私はこの点どうしても納得が行かないのです。まあそれはあとに残すといたしまして、結局これを一つお伺いしてみたいのは、厚生省ではいろいろ審議会等々がたくさんございますけれども、これらの方針等はどういうふうに今までおとり上げになつているのでしよう。社会制度審議会であるとか、社会保険審議会であるとか、まあいろいろございますが、そういうものの方針というものに対して、どういうふうにこれを受入れておいでになるか、どう評価しておいでになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/39
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040・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 十分尊重しておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/40
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041・藤原道子
○藤原道子君 私もこの問題は私が主任でなくて、まあ湯山さんが主としてお伺いするというので不勉強なんでございますけれども、まあいろいろな資料を見ますと、社会保障制度審議会も、厚生大臣の諮問機関の社会保険審議会も、あれは労組側でも事業主側でも、それから医師会等においても相当反対の声が強いように聞いておるので、そうするとこれを本当に支持しておるというのはどこなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/41
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042・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私どもはお話のように理解していないのでございますが、この制度を法律に基き、社会保険審議会に正式に諮問をいたしまして、それに対する答申が本年の二月の十八日にあつたのでありますが、それによりますると、結論だけ申しますと、本法案の趣旨はこれを了承するというふうになつておりまして、若干の公益員の人選についてどうとか、公益員の人数をもつと殖やせということはございますけれども、全般的には社会保険審議会は賛成をしておるのでございます。それから社会保障制度審議会におきましては本審議会が勧告した趣旨、特に三者構成の趣旨に添わない点があると考えるので、慎重に考慮せられたいという表現になつておりまして、私はこの表現は反対の意思表示であると理解をしておらないのでございます。確かに私どももこの社会保険審議会の際に、労働組合のかたがたも入つておられて、そのときにはこの答申にありますように、私は御賛成を願つたと、事実起立をして頂いておりますので御賛成を願つたものと考えておつた、ところがその後に御意見がございまして、労働組合方面に反対の御意見があることを承知いたしておりますが、今日私どもとして事業主がこれに反対しておるということは一度も聞いたことはないのであります。医師会の意見もそういうことは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/42
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043・湯山勇
○湯山勇君 私この間大分原則的な問題をお聞きしたのですが、今のと関連いたしまして、社会保障制度審議会の答申、三者構成については十分考慮してくれということは、考慮するということはそういうふうなことを入れよということなので、これは言葉の常識から言つても、大蔵大臣が公務員の期末手当を〇・二五殖やすことについては篤と考慮いたしますということから出たのであります。考慮せいということは三者構成にするように考慮せいということなので、今局長のおつしやつたのは非常に私は納得行きかねるのですが、これはそう解釈できるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/43
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044・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 本法案か社会保障制度審議会で審議されました際に私は説明者としていろいろ御説明を申上げたものでございまするので、一応は会議の空気も承知をいたしておるつもりでございますが、私の受けております印象では、確かに三者構成ということを社会保障制度審議会が第一次勧告で言つておりますので、その関係があるのでこういう表現になつておりますけれども、だからと言つてこの案を作ることに反対であるという意思表示ではないと理解をしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/44
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045・藤原道子
○藤原道子君 今の考慮されたいという意味は、我々は三者構成を入れろというふうに理解しているのですが、あなたのほうではこの答申案をあなたの意見に賛成したものと了解しておいでになるのかというところに食い違いがあるですが、この考慮して欲しいという考え方についてあなたは賛成とお考えになつているのですか、それとも考慮された結果はどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/45
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046・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 余り細部の点ですから申上げなかつたのでございますが、この法案を社会保障制度審議会に付議いたしましたのは、解散国会の前でございまして、その際のときには、そういう今私が読み上げましたような表現になつておるのであります。そこで、三者構成でなければならんということであれば、この法案には反対であるという結論になるべきものと私は理解をいたしておるのでございます。それが慎重考慮されたいということでありますので、三者構成の精神ができるだけこの中に入るように考えろというふうな趣旨に理解をいたし、その後実は解散後の国会に再び殆んど原案に近いものを出しておりますけれども、特に利益代表者の権能につきましては当初の原案にございませんでした点、これは具体的には法案の第四十条でございますが、当初の法案には当事者の申立とありまして、利益代表者の申立ということがなかつたのであります。利益代表者も、当事者、参考人の出頭を求めるとか、証人を喚問するというような、審理上必要な事項を要求する権能を与えられるように考えたわけであります。こういうことによりまして、少しでも利益代表者の権能を増し、そうすることによつて実態的に三者構成の実が上がるように考えたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/46
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047・藤原道子
○藤原道子君 それではこの程度のことをここへお入れになつたことが、三者構成の原則を乱さないでやつて行くという趣旨になるものとお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/47
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048・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) まあその辺になりますと非常にデリケートになるのでございますが、私どもとしては、先ほどずつと申上げておりますように、この制度の改正を企図いたしました根本的な考え方は縷々申上げておる通りでございます。その考え方に基き、できるだけ従来あつた三者構成と申しますと、具体的に申せば労使双方の代表者の意見がこの審理裁決の中に十分反映するようにすることが、できるだけ考えられればよいというふうに理解をいたしました。そういうふうに理解をして四十条の規定の改正、改正と申すと語弊がございますが、一部修正をいたしましたのも、そういう考え方に基いたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/48
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049・藤原道子
○藤原道子君 それではくどいようでありますけれども、この制度をこう変えようとする根本的なお考え方はどこにあるのですか。未処理件数が殖えるから、これを処理するところに重点をおいておいでになるのでございますか。問題の根本はどこにあるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/49
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050・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) これは結局実体はおつしやる通りでございますが、未処理件数が増すということは、結局被保険者が不服があつて申立てをしておるわけです。これにつきましては、本来行政機関を通じて行政機構の内部においてこれを簡易迅速に処理しようというのがこの審査制度でございます。この簡易迅速なるこの目的を、今日においては殆んど失つておるような実情でありまして、被保険者からは随分たくさん不平が出ておるのであります。私どもとしては当然この法律の、関係法律の施行の責任を持つております以上、こういうことでありましては、大変被保険者に申訳ないと考えて、一刻も早くこの公正な判断をして差上げまして、被保険者のかたがたに安心をして頂こうというのがこの案を作りました根本の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/50
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051・藤原道子
○藤原道子君 どうも私おかしいのです。その被保険者にも安心して頂こうという考えからお坂上げになつたこの本案に対して、その人たちが反対しておるのです。そこに問題がある。この頃どうもお扱いが民主化ということに反対の方向に行きつつある。民主化というよりもむしろ官僚的なと言いますか、機構へ変つて行くという傾向が非常に露骨に現われているのです。又一面において民主化ということは非常に手間がかかり、非常に面倒臭い、こういう点はあるけれども、それをどこまでもやつて行つてこそ、民意がそこに反映されることになる。それを面倒だ、厄介だということから民主主義態勢を崩して行くということに対しては、非常に恐ろしいものがそこにあると思う。先ほども山下委員の御質問にもこの未処理件数が溜つていて、今のやり方ではどうも工合が悪いというならば、それをどうしたらよいか、どうしたらうまく行くかといつて少しもそれに対しての工夫のあとというものが、どうも今までお伺いしたところでは現われてないのですよ。それを一挙にこういう方向へ持つて来られたというところには、私はどうも納得しがたいものが多々あるのですが、それは何とか現行法で一度なり二度なり三度なりやつて見ても、なお思うように行かないというようなときの考え方であつて、一挙にこういう方向へ持つて行かれるということは非常に官僚的なやり方であつて、我々は納得ができないのでありますが、重ねてお伺いいたしますが、山下委員にお答えになつたように、今まではそういう方向に対しての御努力というのは何らなされていなかつたと理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/51
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052・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 先ほども申上げましたように、私どもとしては現行の制度の下におきまして、この現行の制度で被保険者の申立てを一日でも早く処理して差上げたいという気持で十分努力をいたしたつもりであります。ただ遺憾ながら非常勤の、他に本務を持たれる委員のかたがたにお願いしておる関係上、なかなか御都合が合わないというようなことが多うございまして、結果において今日のような事態に立至つたわけであります。そういうような事情でございまするので、私どもとしてはこの制度をどうすべきかということについては随分前から考えて参つておるつもりであります。結局到達いたしましたのが、この法案に現われている考え方でございまして、併しこれは全然その三人だけの委員で勝手にきめてしまうというのではなくて、十分労使双方の代表のかたがたの意見を聞いて、その上で決定をするという建前でありまするので、私は実質的には従来の三者構成の行き方と殆んど変わりのないような運用ができると考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/52
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053・藤原道子
○藤原道子君 おかしいんですよ。我我国会議員も参考人に聞いたり、いろいろ公聴会開いたりしているのです。だけれども、議決権というものは議員しかない。だから幾ら多くの人の意見を聞きましようとも、決議いたしまするのはここに出席されますところの三人より権限はないのであります。それで三者構成を取入れたということには納得できない。それに対してはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/53
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054・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) まあそういう言い方をされますると、結局堂々巡りのような議論になつてしまうのでございますが、三者構成にして労使双方の代表のかたがた、中立のかたがたに今までと同じように決定権を与えたやり方をして行くということになりますと、現状と変わらないということになりますので、そこでその意味では現状を変えながら而も実質的に利益代表者が、当然表面はいろいろ考え方はございましようけれども、とにかく私どもの考え方は一緒になつて利益代表者にもおいでを願つて審理を進めて行くということでございますので、そういう実質的な意味において私は申上げているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/54
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055・藤原道子
○藤原道子君 ということになると、あなたのお考えをずつと伺つておりますと、どうも労働者や事業者の利益というよりも、この方向で行くならば保険財政からのみ処理される傾向になるのではないかという心配が生れて来るのでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/55
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056・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) これは法文の中にも明白に規定しておりますように、地方の審査官や又中央の審査委員もそれぞれ独立してその職権を行うということになつております。私ども行政庁の者が何らこれに対して指図をする権能はございません。これは裁判官と同様に独立して独自の立場で審査決定をいたすことに相成つておりますので、財政上の考慮というようなことは恐らく審査の内容には入り得ないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/56
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057・藤原道子
○藤原道子君 その点は又あと廻しといたしまして、ここに又一つお伺いいたしたいと思いますのは、第二十七条ですが、「審査会は、委員長及び一人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決することができない。」それから二項におきまして「審査会の議事は、委員長及び委員の過半数をもつて決する。」というふうになつておるのでございますが、これは一人以上ということは、これはどういう意味なんでしようか。二人ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/57
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058・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 一人以上と言います場合には、従来の法律の慣例的な扱い方から一人を含んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/58
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059・藤原道子
○藤原道子君 それなら一人と解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/59
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060・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 委員が二人おりまするので、一人以上ということを言つておるのでございます。従いまして委員長と委員が一人出ればできる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/60
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061・藤原道子
○藤原道子君 そうすると、委員長とその一人の委員とが意見が一致しない、どこまでも並行的に一致しないというような場合には、それは委員長の権限で決せられるということになるのですか。過半数という言葉が入つているのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/61
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062・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) これは委員長一人と委員が一人出て、二人の意見が合いません場合は、第二項によつて過半数になりませんので決定ができません。もう一人委員が出て全員が出ますれば三人でありますから、そのように過半数はあり得ると思いますが、それでも三人の意見がまちまちだということはあり得ると思います。これは結局審査会が何回でも会議を続けることによつて何らか帰一することを求めるのが当然でございましようと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/62
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063・高野一夫
○高野一夫君 私はこれについて私として最初にして最後の質問をたつた一つだけ申上げたいと思います。私、席を外しておつたので、すでに御質問があつて御答弁があつたかも知れませんが、そうであつたらば御勘弁願いたいと思うのですが、この法律を通さなければ厚生省の仕事に非常な支障を来たす、例えば今度日雇労務者或いはそのほかにいろいろな社会保険関係の法律も改正通過させましたが、そういうのを通過さしたところで、これがなければやはり死文に終つてしまう。ただの支障とか不便とかいうことでなくして、これがなければ仕事ができなくなるのだというような点がございましようか。それだけ一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/63
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064・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) その点は私ども憂慮いたしておるのでございますが、日雇労働者健康保険法もすでに御可決を頂いたのでございますが、この日雇労働者健康保険法の第六章第三十九条及び第四十条にそれぞれ保険給付の処分に不服のある者或いは保険料その他この法律の規定による徴収金に関する決定その他の処分に不服のありますもの、いずれも審査官或いは審査会の審査を請求することができるとなつておりまして、挙げてこの審査不服の申立ての手続は只今御審議を頂いておりますこの法律の中に規定しておるわけでございます。従いまして日雇労働者健康保険法がすでに決定になり、近く公布されるだろうと思いますが、この不服の申立ての手続が挙げてこの法律に規定しております関係上、この法律が出ませんと日雇労働者健康保険の不服の申立てが実際問題として行えない結果になろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/64
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065・高野一夫
○高野一夫君 もう一つだけ関連してお伺いします。そうすれば日雇労務者健康保険を我々通してしまつたわけですが、私もその点は多少うつかりしておつたけれども、これを通さなければ日雇労務者の仕事ができないということになれば、日雇労務者の審議と関連してこれを通さなければ、向うのほうが仕事ができないということならば、これはちよつと又私は考えなければならん点が出て来る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/65
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066・藤原道子
○藤原道子君 いや違う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/66
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067・高野一夫
○高野一夫君 考えなければならん点が出て来ると思うというのは、これを通さなければ、この法が死文に終つてしまう。死文に終つてしまつたんではどうもそれは却つて折角通した日雇労務者に対する福祉の仕事ができないということになるならば、これは或る程度不満な点が多少あつても、どうしてもこれはやはり通さなければならないということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/67
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068・藤原道子
○藤原道子君 不満な点があつても、不満な点があつてもというので、私たちも今まで或る程度まで譲つて来たのです。ところがこんなに問題があつて、民主主義の今日納得のできない法案なんです。ところがこれが出なければ日雇労務者の健康保険の運営ができないというけれども、日雇労務者の給付の開始は来年の一月の十八日ですか、一月の何日かだと思いますが、そういうことになれば今これを通さなければ、日雇労務者のあれが行われないということは私は理解できないのですけれども、その点はどうですか。たしか来年の一月の十八日だと私は記憶しておるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/68
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069・高野一夫
○高野一夫君 それじや関連して、私も別な立場から申します。ところで一月の十八日から日雇労務者の法令を実施するということになつた場合に、この国会でなければ、次の国会で審議を始めたのではやはり間に合わないということになることだけは事実ですね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/69
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070・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 日雇労務者の健康保険法は今年十一月一日から施行いたします。その関係がございまするので、とにかく法律上一方において不服の申立てができるという規定だけを置きまして、それに関する何らどこにどうして不服の申立てをしたらよいという手続がないことは、これは法律の制度として私どもは欠陥がある。私ども実は日雇労務者を通して頂きましたが同時にこれも通るということで期待をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/70
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071・湯山勇
○湯山勇君 局長は実に詭弁を弄して、何だか私悪い言葉を言います。遠慮なく言いますが、ちよつとペテンにかけるような言い方をしておる。これは一月十五日から給付開始になりましても、異議申立ての期間は二カ月間の猶予期間があるのです。而もその間には臨時国会も考えられておりますし、通常国会だつて十二月上旬には必ず開かれる。給付が始まつて最初の異議申立て、どうしてもぎりぎりにやらなくちやならないということなら、それはぎりぎり、極端に言えば三月になつて店開きをしても決して間に合わないというのではないのです。にもかかわらず、一方を通したんだからこれも通してもらわなければならないということでは甚だ怪しからんと思うのですが、局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/71
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072・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私が申上げましたのは、法律の制度として不服申立ての規定がありますれば、当然それに附随して申立ての時期でありまするとか、或いは申立てをする機関でありますとか、これを採決する機関と言いますようなものが規定されなければならないと思うのでございます。で、実は日雇労働者健康保険法のほうでも、先ほど申しましたように、不服の申立てができるという規定だけを置きまして、この審査会法の中に規定を設けております。なお現在の健康保険法、厚生年金保険法、船員保険法の場合はそれぞれ本法の中に不服申立てができるという規定のほかに、審査申立てに関する諸規定がございます。このほうはこの法律の附則によつてそれをそれぞれ改めまして、この法律の中に取入れるようにいたしておるのであります。私はそういう意味におきまして、法律の制度としてこういうものが出ます以上は、同時に不服申立てに関する諸手続等の法律事項は規定をいたしておくべきものであるという考え方で申上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/72
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073・湯山勇
○湯山勇君 だから私は怪しからんと申しておるので、高野さんがお聞きになつたのは、実際の取扱い上困ることはないかということをお聞きになつたのです。何も法律の建前がどうだとかということじやなくて、実際困るかどうかということを端的にお聞きになつたのに対して、今初は困るというように言われて、そしてまあ今のように申上げて行けば、今度はこれは建前上困るんだというようなことでは、非常に局長のこれに対する誠意を疑わざるを得ないのです。私は高野さんに対する答弁は、困らないんだと、実際はこうこうだから困らないと、こういうふうにお答えになるのが当然であろうと思うのですが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/73
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074・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) これができないと困るのではないかというお話で、実は法律上の問題を申上げたのでありますが、これは先ほどからくどくどいろいろ繰返して申上げておりまするように、審査の申立ては次々年々殖えております。これが私どもの見通しでは、現在の制度をこのまま続けて行くのでありましては、ますますまあ遅れる可能性が多いと考えまするので、その点も含めてそう申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/74
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075・湯山勇
○湯山勇君 ますます今後脱線したので、高野さんは日雇保険が通つたようなことになつたために、実際上困るのではないかと、そうでしよう、お尋ねになつたのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/75
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076・高野一夫
○高野一夫君 いろいろな社会保険を通過さしたから、これがないと仕事ができないということになれば、ますます我々は責任を感ずることになるから、これだけはどうしても通して頂きたいと、こういうふうに申上げたわけです。率直に申上げて……、だろうと思つているのだけれどもな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/76
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077・藤原道子
○藤原道子君 私は歯に絹を着せてお上手な質問をしていたのではわからないと思うのです。結局私たちも迂闊でございまして、この法律の重要性を考えますとき、及ぼす面は大きいのです。殆んど全労働者に影響して来る。船員のほうからも我々のところに陳情が来ておる。それと同時に、先ほど山下委員が申されましたように、大臣級の人を三人も設置するという大きな問題なんです。そういうことになると、これは関係委員会とも合同審査をして、事態はもつと重大に慎重に運ばなければならない法案だと思うのです。殊に今日だか昨日だかの新聞にも出ておりましたけれども、この頃官僚の姨捨山と申しましようか、官吏が退官した後に入るべき場所を作るような傾向があらゆる方面に現われておるのです。一体これでいいのでしようか。結局私は道義の高揚を幾ら今の政府が叫んだといたしましても、このような一方的なことをして、片方におきましてはらい患者の哀れな状態を無視しておる。今度の行政機構の整備によりましては、あの僅かな予算の中からでさえ、六百五十万円の中から削減されておるのです。労働者のストライキ権は禁止しておるのです。こうしておいて、一方においては困るから……、やればやれることがあるのです。つまり今の制度を何とか改めて、何とか運用の面でも考慮を払われても、なお且やつて行けないという例が出るなら、我我も納得するのです。併し、今の制度が思わしく行かないで以て、これは責任を追及すればいろいろ出て来るのですけれども、未処理件数が溜つて来たからこういう法律を作るのだということでは、我々は納得できないのです。それでも、どうしてもこれでなければやつて行けない、あなたがどう思おうとも、どういう批判を受けようとも、官吏がやめて退官した後の場所を作るためと言われても仕方がないような、本法案を作らなければこの仕事がどうしてもやつて行けないと断言できるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/77
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078・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私どもは官吏のための場所を作らんがためにかようなものを設けたわけではございません。要するに、縷々申上げておりまするように、私どもが現在の段階におきましていろいろ検討いたしました結果、このようなやり方で行かなければ結局未処理件数を捌き、更に今後殖えて参りまする不服申立てを捌いて行くことができないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/78
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079・湯山勇
○湯山勇君 私一昨日の質問のときに、根本的な問題についてお聞きしたのですが、それに対して具体的な方法があればそれを言えというような榊原委員からの御要求もありまして、それではそれを申上げましようというようなときになつておりましたときに散会になりましたので、今日はその具体的な問題を中心にして御質問申上げたいと思います。
私があの日に具体的な問題に入れなかつたのは、三者構成という原則を第一義的に考えるか、第二義的に考えるかどうかということについて明確な答弁を得たいと思つてあちらこちらからお聞きしたのですけれども、結局得られなかつた。併し、本日参考人として御出席の次官から、今やつておる方法はどうもやはり能率が上らないから、まあいいか悪いかわからないけれども、今これがいいと思うから一応これをやつてみる、悪かつたら又変えると、こういう御答弁がありましたので、それでは基本的にお尋ね申上げたいことは、若し現行の方法で処理できるような方法があれば必ずしも変えなくてもいいと、こういう御見解を持つていらつしやるのかどうか、それを先ずお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/79
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080・宮崎太一
○説明員(宮崎太一君) 現在の制度につきましては、巽は私が保険局長のときに始めた制度でありまして、これはいろいろな事情があつて、初の間はなかなか利用はなかつたのでありますが、盛んに審査官制度を作つて被保険者に呼びかけまして、いろいろ始めたのでありますが、だんだんだんだん異議の申立てが多くなつて来まして、社会保険の民主化の上において非常にその点が進んで参つたのであります。
ところが先ほど申上げましたように件数が殖えて、未処理件数が又同時に殖えて参りまして、現在のやり方ではどうもこれが迅速に行かないということになりましたので、これをどう工夫するかというようなことについていろいろ保険局でも考えました結果、今提案申上げておるこの制度でやつたら早く的確に行くんじやないか、こういう結論に達しましたので、これをやつたのでございまして、私どもといたしましては、これが現在においてこの状態を改善する唯一の方法ではないかと思つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/80
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081・湯山勇
○湯山勇君 ですからお聞きしておるのですが、今政府のほうでは唯一の方法ではないかと思つて御提案になつておる。これは政府だけの見解なんです。ところがそれよりももつといい方法があればこの方法は採用しなくてもいいかどうか、そのことをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/81
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082・宮崎太一
○説明員(宮崎太一君) 私どもとしてはもうこれを国会に御提出申上げ、これが今日の状態を改善する唯一の方法であると申上げておるのでございまして、ほかにいい方法が国会であるということでございますれば、私どもは国会の御決定に従うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/82
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083・湯山勇
○湯山勇君 国会であるとかいうようなことじやなくて、御自分でも再検討されて、成るほどこうやればもつと簡単にできるというような方法があればそれを御採用になるかどうか。今局長がおつしやつたのは結局これに確信があるというわけじやなくて、先ほどからの御答弁は確信があるのではなくて、現在やつておるのではどうもまずいから、一応こういうのでやつてみて、悪ければ又変えてもいいという御答弁が先ほどあつたわけですね。だからこれは思考錯誤のような形なんです。これでいけないからこれでやつてみる、又こうやつてみる。別にこれに対して確信がおありになる様子ではないようなので、検討の結果これならば現在よりも遥かに能率が上るという方法があれば、国会がどうこうじやなくて、事務処理の面において、事務担当の責任者として、それを採用して代える意思があるのかないのか、それをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/83
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084・宮崎太一
○説明員(宮崎太一君) 私が先ほど山下先生にお答えしたのは、これは私の理想としてやつたのかという御質問でございましたので、理想という意味ではない、社会保障制度審議会の勧告を全面的に取入れる際におきましては、この審査制度というものが一つの大きな問題である。それまでの暫定措置としてこう行くのが我々はいいということでやつているのであつて、これが非常に理想的なものであつて、これでなければならんというような意味で申上げておるのではないということを申上げたのでございまして、その点はそういうつもりなのでございますが、それで今先生からのお尋ねは、何かこれに代わるよい方法があつたら事務的に賛成するか、というお尋ねでございますが、私どもとしましてはこれが最良の方法であるということで国会にお出しを申上げたのであつて、今そういう考えを、それに代わるべき最良の方法というものは私どもにはないのでございますのでそれを申上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/84
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085・湯山勇
○湯山勇君 失礼な申分ですけれども、私はそれを今からお教えしようと思つて、それについていろいろと御意見を答弁の形で御意見をお述べ願つて、その方法がいい、それが簡単だということになればそれを御採用になるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/85
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086・宮崎太一
○説明員(宮崎太一君) 私は先ほど来申上げておる通り、国会に御提出申上げ、国会の御決定を願つたのでございますので、私としてはそれ以外には申上げることはいたしかねるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/86
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087・湯山勇
○湯山勇君 これは、それではこういうふうに解釈願つて質問したいと思うのです。前夜結局三者構成にするかしないかということで、原則的な質問のときに、とにかく具体的な、こうすればいいというのがあれば出してみよという御意見が委員会で出ましたので、で、その出ましたことは、即ち国会の意思がそういうところにある、こう私は解釈してお尋ね申上げたいと思います。
結局この法案の意図するところのものは、常任を置くというところに特色があると思うのです。それから人数を少くするというところにあると思います。それ以外には何らこの考慮されたところはないと言つてもいい。事務処理の面から言えば、そういうことのために三者構成についての原則まで崩そうとしておられる。ここに問題があるので、日数を多くすることのできない大きい理由は、これは開催日数が少いことにあるわけです。現在の委員会にいたしましても、開催日数を多くすれば、これは能率が上つて処理できる、こういうことが言えるのではないかと思うのです。それから次には、十八名の委員のうちで、九名は少くも集まらなければ会議が開けない、こういう状態を実質的には審議する人は変わらないで、もつと少い人数、例えば五人とか、極端に言えば三人集まればできるということになれば、私はこの問題も解決すると思うのです。
その次にこの両者を総合いたしまして、人数を少く、日数を多く開く。つまり十八人の人が、三人ずつが六日間出れば、それぞれの人はほかの仕事を持つておられても、一回出れば、一人一人の人が一回ずつおいでになれば、六日間の審議ができる、こういうような方法があるのです。そういうことについて御検討なすつたかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/87
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088・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私からお答え申上げます。現在の機構を改正する方向については、一々について申上げませんけれども、おつしやつたようなものについても考えております。ただ基本的に考えなければならんと思いましたことは、三者構成という方針をとりまする以上、この三者は出て来ないで、三者のうち一人が欠けて審議が進められていいということは私どもは言えないと思うのであります。そこで現在やつておりますように、各種保険ごとに労使、中立の三者から二名ずつお願いをし、少くも最小限度そのうちの
一人のかたは各立場からおいでを願うというのが本法の規定になつておるのでありますが、これは私は、三者構成という理念を最終的に取り上げます以上は、これはやはりませないと思いまして、この辺実は結局御意見が違うという結果になりますけれども、そういうことを考えながら私どもはいろいろ申上げたように、実質的に三者構成の目的を、効果が制度の上に現われるように考えて行くというのが狙いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/88
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089・湯山勇
○湯山勇君 私が申上げたのは、十八人の中で三人出ればいいというのは、三者構成の委員三人を意味しているので、三人ということが三者構成を崩すということではないのです。現在の、端的に申上げますが、つまり三人というのは労使中立の三人です。各保険種目について労使中立の三人が揃えば、これは九人揃えるというのは大変ですけれども、三人でしたら相互に連絡をとつて、何日がよろしうございますかということを一々聞いて行つて、その三人が一つの、例えば健康保険なら健康保険について労使中立が三人揃つたときに三人だけで開きます。そういうふうにして行けば結局今まで月一回というのが、一回ずつ出て頂ければ月六回開けるわけです。こうすれば、現在の少くとも処理能力は六倍になつて行く。而も局長は先ほど到着順ということを申されましたけれども、これにも問題があると思うのです。勿論到着順は必要ですけれども、それを今度は対象別にして行きます。そうして対象別にした中で、更にこれを、勿論対象別にした中は到着順ですけれども、できるだけ類形のものを集めて行くというようなふうにして行けば、私はだだ単に専任のものを置かなくちやならないというようなことだけでもつて解決しなくても解決の途はあると思う。更にここで申上げたいことは、そうすれば月一回しかやらないとか、まあ月二回しかできないということは、私はこれも歯に衣を着せないで申上げますけれども、事務当局の怠慢だと思うのです。若し事務当局がそのようなふうに考えてやられるならば、少くとも月三回或いは月四回私が申上げましたような方法でどなたにも成るべく御無理の行かないような方法でやつて行つても、連続しなくてもいつになつてもいいわけですから、場合によつては二ヵ所で開かれてもいいわけなんで、そうすれば少くとも月六回開かれる。月一回ずつ出て頂ければ六回開けます。六倍とは行かなくても三倍なり四倍の能率は上るはずです。それはそんなに月六回も引つぱられるのは事務当局大変だとおつしやるかも知れないけれども、事務当局に本当にこれを解決して行こうという熱意があればその努力はしなくてはならないものではないかと私は思うのです。それで若し今のことについてそのことに関する御答弁として御批判を頂く場合には、更にそれ以外に厚生省としてはどのような方法をどのように具体的に検討してやつたか。いろいろ工夫をいたしましたけれどもということを先ほど次官もおつしやいましたが、一体どういうふうに、どこをどう工夫したのか、そういう点もお述べ頂いて、こうやつたけれどもこうだつた、これはこうだつたというような点を詳細にお述べ頂きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/89
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090・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私からお答え申上げますが、只今のお話によりますると、結局各種保険別の考え方はなくなつてしまいまして、すべての保険を総合して労使中立の三者でやつて行くというような考え方になると思うのですが、それでありますると、実際問題としてなかなか運用が困難でございます。御説のように、船員保険のような特殊なものもありまするししますので、その三種の保険に共通するものをお願いをするという結果は、少し私は無理があるのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/90
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091・湯山勇
○湯山勇君 途中ですけれども、非常に間違つた答弁をされているので、失礼ですけれどもよろしいですか。私が申上げているのは、各保険別に人を割当てる。これは当然なんです。そうしないと能率は上らないのですから。その保険別に割当てた三人は、つまり労使中立とこの三者構成になつている、よろしいですね。それで各人にどの日が空いているか聞きます。そしてその例えば健康保険なら健康保険の三人が揃う日を選ぶわけです。保険別にですね。そうして行けばそれは一ヵ月に一回ぐらいは、現在九人集まられる、そうして一ヵ月一回開かれているのですから、三人だけ労使、中立、而も保険別に集まる日をとれる。現在よりも容易にとれるはずです。ですから、今局長は保険業種別ということを詳しくおつしやいましたけれども、そういうことはなくて、やれる方法を申上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/91
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092・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) お話の問題は、審査申立の件数が各保険毎に平等にあるということでないと考えられないことですが、現在の実情を申上げますと、資料でも差上げてありますように、健康保険、厚生年金に非常に多いが、船員保険は対象の関係もありましようけれども、審査件数が少いのです。従いまして、お話の点はそういうふうに各保険毎に審査申立ての件数が非常に差違があります現状、これは将来もますますそうだろうと思います。こういうことを考えますときには、そういうふうなもので、私どもは問題の解決にはならないのではないかと思います。つまり各保険別にやりましても厚生年金、健康保険の場合には、さような問題は依然としてついて参るのでございます。
それからもう一つ申上げたいと思いまするのは、私どもは各保険別にやるということは種々検討いたしてございます。ところが実際問題といたしましては、現行の三種の保険はそれぞれ同じような運用がされ、同じような規定があります。従いましてこれは総合的に考えて頂くのが全体として好都合である点が非常に多いのでございます。特に健康保険と厚生年金は、御承知のように保険給付の関係が裏腹になつている実情もありますので、その関係からも相互関連をする制度でもあります。そういうふうな点から、結局は全体の保険を総合して具体的な提案、御審議を頂くというふうな行き方が必要でありますと同時に、先ほど申上げました国保の保険別の審査申立の件数が違つておるという点も考え合せまして、実は御趣旨のような点は、考慮はしましたけれども適当と思わなかつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/92
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093・湯山勇
○湯山勇君 まだどういう検討をしたかというその方法についての御答弁はなかつたのですけれども、今の問題に引つかかつて参りましたから更に質問いたします。
局長は私がこの方法を申上げましたときには、これは保険業種別が壊れるからいけないと大方おつしやつたのです。それは誤解だからというので申上げたら、今度は業種別じや困る。一体どういうことをおつしやろうとしておるのか了解に苦しみます。業種別が困るというので、業種別ということを壊さないようにやつているんだと言えば、今度は総合でなければいけない。そうならば三人というのは私は最小限を言つたのですが、他の保険から一人入つても二人入つてもいい、ともかくももう少し誠意を以て答弁して頂きたいのです。ああ言えばこう言い、こう言えばああ言うで、少しも御答弁が首尾一貫していない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/93
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094・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私自身が実は一貫しておるつもりでお答え申上げたのでありますが、結局現在の社会保険審査会の運用といたしましては、法律の上では各保険別におつしやるように定足数がなければもう審査ができないというような法律の規定になつております。併し実際の運用は各種保険毎に三者がそれぞれ揃われ、先ほど申上げましたように最小限そういう意味で九名の方が揃われたときに審査会は成立するものとして、そういう立場から総合的な判断を下して頂いておるのであります。そこでそういうような運用が私どもとしては今後とも適当であると考えましてお答えを申上げたのであります。
〔委員長退席、理事大谷瑩潤君着席〕
各保険毎にすると共に、審査申立の件数が違つておりますので、別々にいたしましても、仮りに別々にいたしましても、船員保険のような審査件数の少いものと、健康保険、厚生年金のような場合とは結論が違つて参りますということを申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/94
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095・湯山勇
○湯山勇君 今のような御答弁からは、現行制度を変えなければならないという結論は出て来ない。現在のように総合的に九人なら九人が集まつて構成することが適当だと考える、こういうことならばこういう修正は出て来ないので、私は修正のところに、さようにするためには、こうしたらいいと思う。つまり審査日数を殖やして、そうして審査員を僅か三人でも二人でもやつて行こう、こういう原案を出しておられるのだから、それならば三人がやればいいという最低の限度を守つていて、労使、中立の三者で、三人でやつて行くという方法も考えられるのではないかということを申上げておる質問に対して、やはり現行の九人でなければいけない、これが適当だと思うのだ、それならば何で一体こういう改正案を出して来られたか、又そこへ問題が戻つて来るわけです。これはどうなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/95
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096・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私は湯山先生が例をあげてお話をされましたので、それに対しての意見を申上げたつもりです。現在の制度でこうなつておりますので、現在の制度をやはり総合的な判断の下に運営をして行くということになると、現在の制度でもこうなりますと、三人では無理であります。適当でないでありましようという意見を申述べるために申上げたのであります。結局そういうことに結果においてなりますので、現在の制度におきましては、やはり能率を上げて行きますことがむずかしいという結論にもつて行きますために申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/96
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097・湯山勇
○湯山勇君 この法案に対しての説明は、現在では非常勤の人だから集まりが悪い、集まりが悪いから常任にする、そうですね。そうしてそれによつて日数を多く審議してもらうようにするのだ、勿論それによつて審議の対象も拡大して行く、こういうことなんですから、そういう原則を崩して御答弁になられては困るのです。そういう原則に立つて行けば、審議日数を多くするのには、私が申上げた方法で審議できるのじやないか、それから人数についてもこういうふうな方法でやれば人数もできるじやないか、今局長がおつしやつたように、建前が違うというのならば、これは先ほど政務次官も答弁されたように、結局原則的にこの方法はいけないので、この方法でなければならないという答弁がなくちやならんけれども、その点についてはないのだ、ただ能率を上げるためだけだと、こうおつしやつたので、私は榊原先生とのお約束もありましたし、自分でできるだけの、もつと細かい点に亙つての検討もして参つておるのです。そこでそのアウト・ラインである、枠であるところの二つの原則、つまり日数をたびたび開くことと、そうして少数の人でも成立するというこういう二つの要素を上げまして、而も二つの要素が現在考えられておるところと、ちつとも変わらないように運営される、こういう方法を申上げたのです。それについての御意見はどうかということを申上げたわけですから、そういう今までの質問によつて明らかにされた前提の上に立つて御答弁を願わないと、その場その場の現象だけを捉えておつしやられると、これは一向この質問が進行しないで、同じところを行き帰りするだけになると思いますので、そういう筋道を立てての御答弁を頂きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/97
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098・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私がお答え申上げましたのは、実はおつしやるような気持でやつておるつもりでありますが、ただ御質問が具体的に十八名を六つに分けて、労使、中立の三人ずつやればいいのではないか、この方法についての意見はどうかというお尋ねでありましたが、現行制度を引合いに出しまして、なお審査申立ての件数の実情等に触れて、そういう方法では私どもとしては問題の解決がむずかしいであろうという意味のことを申上げたつもりであります。従いまして結局私どもの考えとしては、折角の先生のお話でございますけれども、どうも御提案を申上げておる通り、この制度をまだそこに振り替えるという気持になりませんものですから、申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/98
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099・湯山勇
○湯山勇君 私は何も現行制度を固執するとか何とかいうのじやなくて、御提案になつたかたと同じように現行制度では困るということは認めているのです。ただその場合に、現行の制度よりも、たびたび次官もあなたもおつしやいますように、運用によつてやつて行くということを、今度の法案についても、運用によつてということをおつしやつた、運用によつてやつて行くということをおつしやられる以上は、現行法だつて運用によつて改善される余地が多分にあるわけです。その運用によつて改善される余地の検討がなされたかなされないか、そのことについては何ら具体的なお話がなくて、いろいろ検討して見た、いろいろ検討して見た、こういうお話や、それから委員のかり出しについては随分努力したというお話だけなんであり、それをどういう工夫をこらしてこういうふうにやつたということのお話がなかつたので、それでは私は先般お約束申上げましたように、こういう方法がある、この方法は今改正しようとしている根本的な問題は、これによつて少くとも解決できる、日数をたびたび開くことと構成者を集めるのに、審査員を集めるのにさして苦労はされない。例えばこういう方法なんです。この具体的な方法については、まだ十分局長は細かい点で御納得の行つていない点がおありになると思いますが、それはそれでなお御説明申上げます。誤解のあつた点につきましては、これだけでよく咀嚼しきれないのではないか、なお又保険業種別の方法も崩していないのだということは誤解だということはよくわかりましたので申上げます。こういう方法があれば運用によつて、現行法のあの今やつておられる通りやらないで、もつとそれを運用によつて改善してやつて行くということをお考えになる余地はないかどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/99
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100・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 御承知のように現在の審査会につきましては審査会に関する法律がございまして、法律の枠内で運用をいたしております。従いまして法律の枠内の運用につきましては、お話のような点を実際に行うことは、実はできないのでございます。そこで制度の改正をする場合に、考えたことは考えまして、いろいろ部会を設けてやりまするとか、或いは各府県別にやるとかというようなことにつきましては、或いは委員の数をどうしたらいいだろうというようなことも触れました。随分具体的にいろいろ検討いたしました結果、いずれも一長一短でありまして、終局的に現在御提案を申上げている案が一番いい、現段階においてはいいというように考えました次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/100
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101・湯山勇
○湯山勇君 そのことに関しての具体的な結論ですね、今私が申上げたような方法ではどこがどうだ、それからもつとほかの方法ではどうだというようなことを御説明頂きたいと思いますことと、私どもは何にも法律を改正することに反対しているのじやないのです。誰だつて困る法律なら変えていいのです。ただこういう変え方に問題がある。問題はとにかく日数を多く開くこと、そのために常任にするのだ、そうしてもう何遍も耳にたこが出るほど申上げて恐縮なんですが、そうして審査員を集めるにも骨が折れるから、少い審査員でできるようにするのだというならば、そういうことができるような法律に変えたらいいのであつて、こういう制度の根本に触れるような改正をしなくてもいい、簡単なその程度の改正ならば、どなただつて反対されるかたはないのです。そうすれば一日もあれば上つてしまう。そういう方法をとればいいのであります。問題の多い、誰が考えても矛盾の多い、そうして果してそれが審議の能率が上るか、今局長のおつしやつたように労使双方の利益代表を純利益代表という形でこれに加えた場合にはそれぞれの主張を主張いたしまして、もつとこれは混乱して来る虞れがあるわけです。審査官、とか審査員とかいう、公的な責任を持たないただ単なるオブザーヴアーということなら、而も発言権を持つておるそれを拒否することができないということになれば、これはどんなにでもこの会議を混乱させ引延すこともできるんです。こういう却つて能率の上らないような、危いような方法をとることが問題なんだから、もつとしつかりした、誰もが納得のいくような、そうして而も能率の上るような、簡明率直な、何か裏にひそんでおるような不明朗な改正でなくて、明朗な改正をなぜしないか、そういうことをよくわかるように御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/101
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102・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 審査の制度の問題につきまして、根本的な原則的な、ことを考えなければならんと思うのでありますが、先ず第一に申すまでもなく審査の結果が公正でなければならないということ、これはもう私が申すまでもないことでございます。それから行政措置としての、行政上の裁決審査でありますので、簡易迅速ということが勿論要件でございます。そのほかに事柄の性質上先ほども触れたのでありますが、私どもはこれができるだけ各種保険を通じて総合的な判断をして頂きたい、現に又そういう運用をしておるのでありますが、この運用の方針は今後も続けて参りたい、こういうことを考えておるのでございます。具体的にこれは、逆に申上げますると、事件によつて判断をするかたが違うというような結果になりますると、審査の結果が実際的にまちまちになる虞れもございます。今日の段階におきましては、少くとも同一の審査官が全部の事件について判断をして、全部の事件に一つの統一のある調整のとれた結論を下して頂けるようにしたいというのが第三の要請でございます。こういうふうな問題をそれぞれ加味いたしまして、被保険者なり事業主の不服申立を処理して行きたいというように、前からいろいろ考えたのでございまして、私どもはそういう結果、さつきも触れたような二、三の例についても慎重に検討してみたつもりでありますが、結論として只今御提案申上げておりますようなのが、先ほど申上げた三つの原則に合致する最も適当な案であるという結論に到達したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/102
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103・湯山勇
○湯山勇君 結論だけはよくわかるのです。結論はそうだということだけは繰返しおつしやいましたが、過程におきまして今局長がおつしやつたように同じ人が同じように審査をするという建前をとりたいとおつしやいますが、併し現行法におきましても三人の構成を二人でやれるということになれば、或いは一人以上というのがありますね。そういうことになれば委員は……、よろしうございますか、委員は、例えば二回ぐらい開いたときに一回々々違う、委員長は仮りに同じだとしても、これは決して今局長のおつしやつたような原則には、数が少いだけに当て嵌まらないのであります。一人だとこれは全くそのときの気分に支配されるということもあり得ると思いますし、公正を期するというためには多数ということが必要だということは問題ない。それを敢えてそういう事柄をも切替えてこういうふうにしているのだから、ここまでどうせ譲るならば、私の申上げることもこの案も五十歩百歩だと思うのです。そこで今申上げた点で、どういうところが問題だということを具体的にお答え頂けばその点については私が又申上げますから、それはどうなるのかという形で一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/103
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104・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) お話の案が私まだ具体的に理解ができておらない点があるかも知れませんが、私がお話によつて理解をしておりますところでは、恐らく結果におきまして、先ほど申上げた審査申立ての全体の事件を同一の審査、査定をするかたが見て行くというような原則に外れはしないだろうかという実は懸念を持つのであります。それから先ほど各保険別にやるのだというようなお話がございましたが、各保険別にやるというふうなことになりますと、今の審査件数の少い保険を担当しているかたにはそう御迷惑もかけずに済みますが、審査件数の多い健康保険、厚生年金保険を受持たれるかたは、どうしても同一人が総合的にその事件を見て行くということになりますと、結局非常に回数多く出席して頂かなければならないというような問題に逢着すると考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/104
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105・大谷瑩潤
○理事(大谷瑩潤君) 速記をとめて。
〔速記中止〕
〔理事大谷瑩潤君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/105
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106・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) 速記をつけて。暫時休憩いたします。
午後二時三十一分休憩
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午後二時五十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/106
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107・堂森芳夫
○委員長(堂森芳夫君) ではこれより開会いたします。
ではこれにて散会いたします。次回は八月十日午前十時より開会いたします。
午後二時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614237X03119530808/107
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