1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月三十日(木曜日)
午前十一時十三分開会
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委員の異動
本日委員青木一男君辞任につき、その
補欠として、吉野信次君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 村尾 重雄君
理事
宮田 重文君
千葉 信君
委員
松岡 平市君
吉野 信次君
溝口 三郎君
岡 三郎君
紅露 みつ君
後藤 文夫君
衆議院議員
赤城 宗徳君
大平 正芳君
政府委員
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務総局
給与局長 瀧本 忠男君
事務局側
常任委員会専門
員 川島 孝彦君
常任委員会専門
員 熊埜御堂定君
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本日の会議に付した事件
○一般職の職員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案(衆議院送
付)
○国家公務員等に対する退職手当の臨
時措置に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣送付)
○国家公務員の給与問題に関する調査
の件
(調査報告書に関する件)
○公務員制度に関する一般調査の件
(調査報告書に関する件)
○継続調査要求の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/0
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001・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 只今より人事委員会を開会いたします。
本日の議題は、公報記載の通り、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、国家公務員の給与問題に関する調査でございます。
先ず一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。発議者から趣旨説明を求めます。衆議院議員赤城宗徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/1
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002・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 只今議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びにその要旨を御説明申上げます。
教育職員は、それぞれの職域において、人格の完成をめざし、健全な国家及び社会の形成者として、真理と正義とを愛し、個人の尊厳を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民を育成する重責を担うものであります。
その任務を遂行するためには、学校の内外はもとより家庭においても、その指導の実施に当るなど、実質的には、勤務時間が限定され得ない実情にあります。その上、その重責を果すためには絶えずそれぞれの職域にふさわしい知識技能を修め、常にみずからを切瑳琢磨して、その向上発展すべきことが要求されているのであります。
かかる観点から教育職員の給与は、一般職員と別個の体系におかれるべきものと考えます。現在教育職員は、「一般職の職員の給与に関する法律」第六条の規定による一般俸給表の適用を受けているのでありますが、教育職員には、一般公務員にみるがごとき階層組織がなく、止むを得ず、その給与の格付等は、詳細に亘る人事院細則にゆだねてあります。
すでに、同法案第十条第三項において、人事院は教育職員については、俸給表の適用について研究し、俸給表その他これに関する事項について必要と認める勧告を国会及び内閣になすべきことを責任とされているのであります。
かかる実情に鑑み、本改正案を提出いたした次第であります。
改正点の要旨を申上げますと、先ず第一に、教育職員の俸給表を一般俸給表より分離し、特別俸給表を制定し、その適用を受けしめようとするものであります。
第二には、教育職員級別俸給表は大学、高等学校、中小学校等の三表に区分いたしておるのであります。
各学校種別に職域差を認めることの可否については、教育の本質如何と言う立場から、或いは異論があるかも存じませんが、すでに大学と高、中、小とでは職域の差を認め給与基準を異にしているのであるが、高等学校と中小学校とは給与基準を同一にしてあるのであります。併しながら学校教育法におきましては、高等学校は中小学校にくらべ高等普通教育の他、専門的教育を施す旨の附加的条項があるのでありまして、それだけ負担、能力等において、専門的な労度が加はる訳であります。これらの理由から教育職員級別俸給表を三表に区分いたしたのであります。
第三には大学、高等学校、中小学校等全般を通じて俸給の最高額を引き上げ待遇の改善を行うことといたしたのであります。即ち通し号俸で言えば、中小学校等においては教諭の最高は、六三号俸、三万五千九百円、校長の最高は六五号俸、三万八千八百円まで引き上げ、高等学校等においては、教諭の最高を六五号俸、三万八千八百円まで、校長の最高を六八号俸、四万三千三百円まで引き上げ、大学等においては大学院をおく大学の教授については最高を七三号俸、五万一千二百円まで引き上げておるのであります。
なお、高等学校等においては四級から九級まで、大学等においては、四級から十級までを中小学校等に比してそれぞれ一号俸高くしてあるのであります。
なお、新俸給表への切替えに当りましては、現在受けている給与額より不利になるような事態の生じないように万全の処置を施しているのであります。
何卒、御審議の上、速やかに御賛成あらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/2
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003・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 本法律案について御質疑のあるかたは御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/3
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004・千葉信
○千葉信君 提案理由の説明を承わるということで、今日はこの法律案が上程されたわけでありますが、只今の御説明に直接関連すると思われる二、三つ点だけについて、この際、提案者に対してお尋ねをしたいと思います。
先ず第一点は、この法律案は七月の二十四日に提案されておるわけでございまして、会期は現在のままということになりますれば、これは八日間でございます。而もこの法律の施行期日として提案されておりまするその時期は、二十九年の一月一日からということでございます。御承知のように、一般的な通念の上から申しましても、来年の一月一日から施行を必要とするものであるとすれば、これは今日只今からでも、五カ月間、百五十五日に亘る余裕があるわけでございます。而もその間に、災害復旧に関する補正予算等の関係、或いは又公務員の給与の改善等に関連する補正予算等の関係から、臨時国会の開催も考えられるわけでございます。又十二月の上旬になりますると、通常国会の開会もあることでございます。仮に臨時国会のない場合でありましても、少くとも、その一月一日という施行期日を考えますると、通常国会における法律案審議の時日というものも、この臨時国会における七月二十四日から三十一日までの期間というものよりは、遥かに長いということは、これは、はつきりしておる事実でございます。そういう条件があるのに、なぜこの国会で、この法律案を、この押し迫つた期日において提案されなければならなかつたか、その理由が第一点。
それから第二点としては、御承知の通り、この法律案が提案されまする以前に、人事院から七月の十八日に給与準則並びに給与引上げに関する勧告案が提出されております。御承知の通り、現行給与法におきましても、現在の俸給表等の不合理が国会の審議の中で究明されて、そしてできるだけ速かにその不合理を是正しなければならないという修正さえも施されております。従つて、そういう意味からは、政府としても、現行給与を以て合理的なりとも、それから又据え置いていいとも政府としては考えておらないという答弁は、しばしばこの委員会における質疑応答にもございました。従つて、又、昨日の当人事委員会におきましても、福永官房長官は、給与準則の人事院案の実施、或いは給与の改善等についてはできるだけ努力をするということを約束されたわけでございます。そういたしますと、場合によつては、又現在の公務員諸君の待遇の状態、或いは又、俸給表の不合理な点等から考えて、少くとも、政府としては、当然その責任において給与改訂問題、給与準則の改訂という問題は、官房長官の答弁通りに、積極的にこれは努力をし、速かに改訂が行われるようにならなければならないと思う。その意味では、私は官房長官の昨日の積極的に努力をすると誓われた御答弁を了解するものであります。そういたしますと、少くとも、場合によつては、来年の一月一日以前に、給与の改訂、若しくは給与準則の制定が行われないとは何人も保証できません。こういう条件については、これは私ども参議院における人事委員会の委員のみではなく、衆議院においても、この問題を担当されておられる方々は、特にこの問題の動向、見通し等については、恐らく私どもと、そう変つた見解ではないと思うのでございます。そうすると、一月一日以前に、人事院の勧告、給与の引上げ、給与準則の制定が行われるということになつた場合に、一体この法律案はどうなるか。そして又そういう場合を考慮して、一体この法律を提案し、而も施行期日は一月一日というふうに提案されたのか、この点が第二点。
第三点は、今の質問の裏を返して、一体こういう法律案を提案されて、そうして若しこの法律が成立して、一月一日から施行という条件が整つた場合に、公務員諸君の現在の不利益な状態、つまり給与の引上げ、給与準則の制定という条件がこの法律の制定のために遅延する虞れがありはしないかということをお考えになつたかどうか。その点について十分な考慮を払いつつこの法律案を提案されたか。以上先ず三点についてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/4
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005・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 第一の点は、会期が非常に迫つておる時期においてこういう法律案を提案するということはどうかということかと存じます。この法律案が提案されましたのは七月二十一日でありますが、実は提案理由の中でも申上げましたように、現在教育職員の俸給は、一般俸給表の適用を受けておつたのでありますが、二十三年でしたろうか、俸給改訂の頃から、教育職員については特別の俸給表を作つて教育職員の特殊性に当てはまるようにしたらよかろう、こういうことになつており、現在の給与法の中にも、提案理由で申上げましたように、特別俸給表を作ることを人事院が勧告するように、こういうふうになつておりましたので、場どもといたしましても、実はこの用意を数年来に亘つて、しておつたのであります。今国会におきしても、提出は七月二十一日になつておりますが、国会開会と同時にこの法案を提出すべく用意しておつたのでありますが、事、給与に関することでありまするし、いろいろ複雑な内容もありまするので、その研究を続けた結果、提出が非常に遅れた、こういう事情になつて、皆さんの御審議の期間が少いときに参議院のほうに廻つたということは誠に遺憾と思つておる次第でございます。
第二に、給与準則がすでに勧告されておるのに、特に教育職員の場合のみを取上げて法律案として提出する理由はどうか、こういうお尋ねのようであります。第一のときに申上げましたように、実は給与準則の出る前から用意して給与準則よりも前に出したい、こう思つておつたのでありますが、たまたま給与準則が勧告されるときと期を同じうした、こういうことになつております。給与準則につきましては、今、千葉さんからお話がありましたように、政府といたしましても早急に成立を期しておる、こういうことのようでありますが、給与準則はベース・アップを含んでおりますので、私どもといたしましては、ベース・アップを含まない現行の下において、教育職員に特別の俸給表を当てはめていたほうがよろしい、こういうような関係で、給与準則から一つを取上げたというよりも、給与準則の前にこの俸給表を作つて、一般職から分離した俸給の適用をしたい、こういうふうに考えておりましたので、実は給与準則と期を同じくしたような形でありますが、法律案を提出することにいたしたのであります。それで、来年の一月一日以前にこの法律案が通りまして、来年の施行期日の一月一日以前に給与準則が政府から提案されて、それが通過した場合には、この法律が通過したとしてどういうことになるか、こういうお尋ねのようにお聞きいたしましたが、その場合は、当然給与準則によつてこの法律が改正される。殊に給与準則はベース・アヅプも含めておりますので、改正されるという結果に相なろうと思つております。
第三に、この法律案が不成立の場合はどうだという、こういうお尋ねのように承わつておりましたが、給与準則につきましては、まだ政府から法律案として提案がありません。お説の通り補正予算或いは給与の改訂ということで、臨時国会等によりまして、或いは給与準則の……、或いはでなく、給与準則の法律案が出されることとは思いますけれども、先々のことでありますので、私どもといたしましては、教育職員につきましては懸案でもありましたので、一日も早く成立を期したい、給与準則のほうが遅れているような、給与準則が法律として施行されることが遅れるようなことがある場合におきまして、そういうことでありまするならば、この法律を賛成して頂いて施行したい、こういうようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/5
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006・千葉信
○千葉信君 私の御質問申上げた点に対して納得の行く直接の御答弁でない御答弁が多いようでございまして、この点については、今ここで日程としては論議を繰返す予定にもなつておりませんので、これ以上私は押して御質問申しませんけれども、ただ、この点だけは確認しておきたいと思うのですが、それは、第一点としては、只今の御答弁の中で、この法律を提案されるに当つては、給与準則の人事院勧告以前にすでに用意されたものである。従つてこの御提案は給与準則とは関係なしに提案されたものであるということが第一である。
それから第二点は、法律を拝見いたしますと、新らしい高等学校の四級乃至九級、それから大学校の四級乃至十級等については、切替に際して直近上位の号俸に切替えるということになつておるわけでございます。そこで、今御答弁のありましたように、若しも仮に給与の改訂が来年の一月一日以前に行われて、若しくは給与準則の制定が一月一日以前に施行されるという段階になつた場合には、この直近上位に切替えた際、有利な条件というものは、そのまま消滅せざるを得なくなる。この点についても十分お調べになつていてこの法律を提案されたと確認して差支えないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/6
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007・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) お尋ねの第一の点でありまするが、人事院と全然関係なしに、給与準則と全然関係なしに出したかと、こういうことでございますが、これは直接の関係は持つておりません。人事院における案等につきましては、私どもといたしましても、人事院というものを相手にしてではありませんが、どういう案が提出されるであろうというようなことは、個人的な関係でいろいろ調査はしたわけでありまするので、全然関係なしと、こういう人事院の給与準則に全然関係ないというわけではございません。それになお給与準則は、先ほど私が申上げましたように、ベース・アップを含んでおりますので、私どもといたしましては、ベース・アップを含まない現在の俸給表で、一般俸給表から特別俸給のほうへ移す、こういうことで提案をいたした次第でございます。
第二に、高等学校における四級から九級まで、大学における四級から十級まで、これはこの法案の附則第二号でありますかによつて直近上位に切替えられる、こういうことになつておりますが、その場合に、今度は給与準則が出た場合には、直近上位に切替えられたものは元へ戻るとか、こういうお尋ねかと思いましたが、一応、直近上位に切替えられますれば、その俸給を受けてそのままが現在の給与額ということになつておりますので、給与準則におきましてはそれを基礎として、それを現状のものとしてベース・アップというようなことに相成るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/7
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008・千葉信
○千葉信君 答弁される場合には、かなり勘違いをして質問を聞いておる点があるかと思いますが、まあ、それはそれとして、今の確認した事項に関連して更にお尋ねしたいことは、一体、給与準則と関係あるのかないのかという質問に対して、関係は全然ないわけだが、一方では給与準則が勧告される前にこの法律は準備されていた、そして実際上は何か人事院と連絡があるかのごとき……。関係がないわけではないという御答弁ですが、一体その関係がないわけではないという内容は何か。人事院のほうと直接に給与準則の内容等について打合せたのか。人事院のほうからその内容を聞いたのか。一体それはどういうやり方でそういう関係をつけたのか。この点をはつきりしてもらいたいと思う。
それから第二の点は、私のお尋ねしているのは、一月一日からこの法律が施行されるということになつて、若しこの法律が成立すれば、おつしやる通り一月一日から四級乃至九級乃至十級の人は、これは直近上位の号俸に切替えられるということになります。併し私の御質問しているのは、はつきり申上げましたように、その以前に給与準則の制定若しくは給与の改定等が行われた場合には、一月一日から施行されるというこの法律は何らの効力を待たない。その点をお尋ねしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/8
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009・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 第一点の、準備を進めておつたということは、準備を進めて参つて、だんだん給与準則が出るという時期まで実はこの準備が継続しておつたものですから、それで給与準則が出る頃になりまして、どういうふうな方法の、何と言うか、最高号俸等をどういうふうに人事院では考えておるのだろうか、こういうふうなことは、直接人事院と交渉して聞いたわけではありませんが、いろいろな関係から人事院で勧告されるであろうというような最高号俸、こういうふうな点につきましては、我々が知り得たことと、又、我々が適当であろうということから最高号俸の決定等につきましては、人事院の考え方と一致したわけでございます。そういう点では、この法律案は、人事院の給与準則と、最高号俸を伸ばしたその最高号俸の点等におきましては、同一になつておるわけでございます。
それから第二点で、一月一日前に給与準則がきまつたという場合に、この法律は一月一日以後に施行されるのだから、この法律の効果はどうか、こういうことでありますが、勿論、給与準則が来年の一月一日前に決定されるということでありまするならば、これは給与準則のほうが優位といいますか、それが適用されて来る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/9
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010・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/10
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011・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 速記を始めて。
本案に関しましては質疑はあとにいたしたいと存じますが、異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/11
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012・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/12
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013・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) では次に国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたします。
本法律案につきましては衆議院において修正されておりますので、衆議院修正の点について御説明願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/13
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014・大平正芳
○衆議院議員(大平正芳君) 只今議題になりました法律案の修正点につきまして、かいつまんで御説明申上げたいと思います。
この修正点は、二つに分れておりまして、一つは、主として公共企業体の職員に関してなされた修正でございます。第二点は、現に官庁に在動いたしておりまする元軍人軍属の在勤年間の通算の点に関する修正でございます。
第一のほうは、公共企業体の職員、特に国鉄等の現状に対しまして、政府の原案におきましては、三十年をこえる勤続期間に応ずる退職手当の支給率が老齢の関係で只今まで逓減されておつたのでございまするが、公共企業体の現実に即しないきらいがございますので、三十年を三十六年に延長いたしまして、一番高い支給率を適用して行こう、こういう考え方でございます。併し法律の建前からいたしましては、一般の非現業の国家公務員についても同じような率が適用されることになりまするが、併し適用される実例は極めて乏しいかと存じております。それから公共企業体に関連して特に重要視すべき修正点は、定員の減少とか或いは官制の改正等によりまして、いわゆる行政整理になる強制退職の場合に適用いたしておりました最高率の退職手当の支給率そのものが、現業体におきましては、例えば業務量の減少とか或いは業務上止むを得ない事由による強制退職という実例がございますので、その場合が救われませんので、行政整理による強制退職者に支給いたしておりました最高率、退職手当の支給率を、その場合にも拡張いたしまして適用いたそうというのが第二点の修正点でございます。それから公共企業体関係で更に第三の修正点は、例えば国鉄で申しますと、満鉄とか、華北、華中両鉄道等に勤務いたしておりました在勤期間を通算いたしていないのでありますが、一般非現業の場合においては、居留民団なんかに勤務いたしておりました期間も通算いたしておる事例もございますので、彼此勘案いたしまして、今後政令におきまして、こういつた実例をよく調べまして同一事業に勤務しておりました勤務期間を退職期間の計算におきましてその期間を通算してやろう。そういう考え方でございますが、法律にはつきりと出さなかつたゆえんのものは、まだ実例がよく調べられておりませんので、今後、現業、非現業を通じましてよく調べまして、そういつた趣旨に基いて政令を制定してこれらのものを救おう、こういうのが第三の修正点でございます。
それから軍人軍属の通算でございますが、現に各官庁に文官として就職いたしておりますもので、軍人軍属から引続いておる……、中断しては駄目ですが、引続いて勤務しております場合におきましては、軍人軍属の勤務期間或いは退職手当の計算におきましては、これを通算しようということにいたしたのでございます。昭和二十二年並びに昭和二十四年におきまして雇傭員、雇員、傭員、工員を通算されるようになりましたし、二十四年におきましては更に理事官等についても同一恩典に浴するようになつたのでございますが、今回、軍人恩給などを復活いたしまして、職業軍人だけが今救われていない現況になつておりますので、これを合せて通算してやろう、そういう考え方で修正をいたしたわけでございます。
以上が修正点の概略でございますが、なお附帯決議が付いております。この趣旨を簡単に御説明申上げておきたいと思います。この法律案が衆議院に上程されまして、委員会における論議は、主として公共企業体の職員をどう取扱うかということであります。たまたま国鉄等も非常に熱心な要請がございまして、今年の三月の仲裁委員会の裁定は、給与につきましては、公企労法の関係で団体交渉に譲ることになつているので、依然として法律でこれを縛るというのは解せないということで、退職手当なんか、本法律案の適用範囲から公共企業体の職員を除けというような要請が強かつたのでございます。それで、これは確かに理由があることであります。法律の体系から見て、又公企労法の精神から申しまして、退職手当はこれは給料だと言わなければならないと思いますし、又、従つてそのように取扱うことが適当であろうとも考えたのでありますが、ただ同じ給与というものを全部団体交渉に譲るとなりますと、恩給の問題が出て来ようかと思いますし、又、共済給付の問題も問題になろうかと思うわけでございます。で、恩給につきましては、今、公共企業体の職員にこれを準用いたしておりますることは御承知の通りでございまするし、共済組合につきましては、国家公務員共済組合法がこれらの職員に適用されているわけでございます。こういつた関係を一度クリアーにいたしますためには、全部一遍こういつた既存の国家公務員的な規制から外しまして、公企労法の下に置くのが穏当だと思うのでありますが、ただ恩給とか共済金につきましては、いきなり或いは厚生年金制度或いは健康保険制度なんかに移行せしめるということになりますると、相当現在の待遇を悪くすると申しますか、掛金率が上りましたり、或いは、例えば恩給でございますると、十七年たてばもらえますのに、厚生年金になりますと二十年でありますか、或いはベース・アップの場合の年金額の改定の負担額は、折半して負担しなければならないために、組合員が不当に掛金率が上るというような具体的な問題がございまして、早急にこれらを外すということは、必ずしも適当ではないと思います。従いまして、社会保険制度全体と睨み合せまして、公企労法の精神も汲んで、一つまあこういつた問題を解決する見通しがつけば、退職手当も又この法律から公共企業体の職員は外すことにやぶさかでない。それがまだ立たないという現状におきましては、今暫らく国家公務員的な規制の前に我慢して頂きたい、こういう趣旨の附帯決議がついたわけでございます。
以上簡単でございますが修正の要点と附帯決議の趣旨につきまして御説明申上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/14
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015・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 本案に関しましては、今のところ説明を聞くのみにとどめ、質疑はあとにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/15
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016・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/16
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017・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 次に調査報告書の提出の件についてお諮りいたしますが、本委員会において調査中の国家公務員の給与問題に関する調査、及び公務員制度に関する一般調査の二件につきましては、まだ調査を終えておりませんが、一応多数意見者の署名を附して報告することになつておりますので、その旨の報告書を提出することにいたしたいと存じますが、さように決しまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/17
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018・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
なお本報告書の内容につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/18
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019・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/19
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020・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 次に、この報告書を提出することに決定いたしました二件の調査事件につきましては、閉会中もなお継続して調査するため、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を提出することにいたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/20
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021・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
ほかに発御言がなければ暫時休憩いたします。
午前十一時五十七分休憩
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午後零時三十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/21
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022・村尾重雄
○委員長(村尾重雄君) 只今より開会いたします。これにて散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614548X01519530730/22
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