1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月三日(月曜日)
午後二時二十一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 矢嶋 三義君
理事
三浦 辰雄君
永岡 光治君
永井純一郎君
武藤 常介君
委員
植竹 春彦君
重政 庸徳君
谷口弥三郎君
藤野 繁雄君
松岡 平市君
島村 軍次君
新谷寅三郎君
林 了君
安部キミ子君
山田 節男君
衆議院議員
水害地緊急対策
特別委員長 村上 勇君
滝井 義高君
赤澤 正道君
熊谷 憲一君
綱島 正興君
説明員
運輸省官房企画
課長 梶本 保邦君
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本日の会議に付した事件
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
の被害地域における災害救助に関す
る特別措置法案(衆議院提出)
○昭二十八年六月及び七月の大水害の
被害地域における公衆衛生の保持に
関する特別措置法案(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
の被害地域に行われる国民健康保険
事業に対する資金の貸付及び補助に
関する特別措置法案(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
の被害地域にある事業所に雇用され
ている労働者に対する失業保険法の
適用の特例に関する法律案(衆議院
提出)
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
による被害地域における失業対策事
業に関する特別措置法案(衆議院提
出)
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
により被害を受けた学校給食用の小
麦粉等の損失補償に関する特別措置
法案(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月の水害に
よる被害農林漁業者等に対する資金
の融通に関する特別措置法案(衆議
院提出)
○農林水産業施設災害復旧事業費国庫
補助の暫定措置に関する法律の一部
を改正する法律案(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
による被害農家に対する米麦の売渡
の特例に関する法律案(衆議院提
出)
○昭和二十八年六月及び七月における
水害による被害たばこ耕作者に対す
る資金の融通に関する特別措置法案
(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月における
大水害に伴う中小企業信用保険法の
特例に関する法律案(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
による被害中小企業者に対する国有
の機械等の譲渡等に関する特別措置
法案(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
地域における自転車競技法の特例に
関する法律案(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月における
大水害による被害小企業者に対する
資金の融通に関する特別措置法案
(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
による公共土木施設等についての災
害の復旧等に関する特別措置法案
(衆議院提出)
○昭和二十八年六月及び七月における
大水害による地方鉄道等の災害の復
旧のための特別措置に関する法律案
(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/0
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001・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 只今から委員会を開会いたします。
ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/1
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002・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記をつけて下さい。
只今から委員会を進行いたします。お手許に配付してあります、衆議院水害地緊急対策特別委員会の起草提出にかかる昭和二十八年度大月及び七月の大水害の被害地における災害救助に関する特別措置法案ほか十五法案の提案理由の説明に提案者が出席されておりますので、案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/2
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003・村上勇
○衆議院議員(村上勇君) 衆議院水害地緊急対策特別委員会の起草提出にかかります昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域における災害救助に関する特別措置法案外十五法律案の提案理由の御説明を申上げます。私は極く簡単に御説明いたしまして、そのあとで各小委員長からなお補足して頂きたいと思つております。何とぞ御了承をお願いいたします。
まず「昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域における災害救助に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
さきに、青柳一郎君外二十二名提出に係る「災害救助法の一部を改正する法律案」が両院を通過いたしたのでありますが、特に今次の大水害を受けた県に対する災害救助に関しては、本年六月一日より前述の一部改正法の施行の日の前日までの間、特別の措置を講じて被害地域の早急なる民生の安定と復興に寄与せんとするのが本法律案の目的とするところであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域における公衆衛生の保持に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
今回の大水害は公衆衛生諸施設等に多大の損害を与えており、水害後の伝染病発生の増大は特に憂慮されるところであります。従いまして、伝染病の予防並びに伝染病院及び隔離病舎等の災害復旧、簡易水道の災害復旧及び布設又は汚物の処理等に関し、特別の措置を講じ公衆衛生の保持に資する必要があり、これが本法案の目的とするところであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域に行われる国民健康保険事業に対する資金の貸付及び補助に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
本案は、今次の大水害で被害を受けた地域におきまして国民健康保険を行う保険者に対して貸付金の貸付及び補助金の交付を行うことにより、被害地域の国民保険事業の運営を円滑且つ健全ならしめるのを目的とするものであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域にある事業所に雇用されている労働者に対する失業保険法の適用の特例に関する法律案」について御説明申し上げます。
本案は、失業保険法の適用を受ける事業所に雇用されている労務者が労資双方の責に帰し得ざる今次の大水害により就労することができない状態にある場合、失業保険法の適用に関して、特例を設け、早急にこれら労務者の生活の安定を図るのを目的とするものであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害による被害地域における失業対策事業に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
今次大水害の被害地域における多数の失業者に対し、失業対策事業にできるだけ多数の失業者を吸収し、その生活の安定を図るとともに経済の興隆に寄与せしめるため、特別の措置を講ずるのが本案の目的とするところであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害をうけた学校給食用の小麦粉等の損失補償に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
次に「昭和二十八年六月及び七月の水害による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
今次の大水害により被害をうけた農林漁業者、農林水産業組合等が、今後その経営又は事業を維持するに必要とする資金及び農林漁業用施設を復旧するに必要とする資金が、円滑且つ低利で融通せられる措置を講じ、もつて、これらの経営の安定を図らんとするのが本案の目的とするところであります。
次に「農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案」について御説明申し上げます。
今次の大水害による被害は極めて大きく、被害農地並びに農林水産業施設の復旧につきましては、従来通りの国庫の補助をもつてしては到底不可能な状態にありますが故に、その復旧工事に対する国庫補助の程度を高め、工事の可及的円滑な促進を図るのが本案の目的とするのであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害による被害農家に対する米麦の売渡の特別に関する法律案」について御説明申し上げます。
本案は、今次の大水害による被害農家に対し、政府所有食糧の補給をなし得る途を開くのを目的とするものであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月における水害に上る被害たばこ耕作者に対する資金の融通に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
本案は、今次大水害による被害を蒙つたたばこ耕作者に対し、今後の経営維持のため又は設備復旧のため必要とする資金を円滑且つ低利で融通するの措置を講じ、たばこ耕作者の経営の安定を図るため、日本専売公社が当該資金の融通について損失補償及び利子補給を行うことを目的とするものでありますます。
次に「昭和二十八年六月及び七月における大水害に伴う中小企業信用保険法の特例に関する法律案」について御説明申し上げます。
今次の大水害により被害を被つて中小企業者の事業の再建に最も必要なものは円滑なる資金の融通でありまして、政府においてこのために二十五億円を金融機関に預託いたしたのでありますが、この資金が速かに中小企業者の手に渡り活用されているとは必ずしも言い切れない現状であります。その原因は貸付金の回収にあるのでありまして、ここに中小企業信用保険法についての特例を設け、もつて中小企業者に再建資金が円滑に流れるようにするのが本案の目的とするところであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害による被害中小企業者に対する国有の機械等の譲渡等に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
本案は、今次大水害により被害を受けた中小企業者に対し、その機械設備の復旧を図るために国有の機械等を減額譲渡する特別措置を講ずることを目的とするものであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害地域における自転車競技法の特例に関する法律案」について御説明申し上げます。
本案は、大水害を被つた地域内における地方公共団体が、昭和二十九年三月三十一日までに行う自転車競争について、車券の売上が三千万円以上であつても国庫に納付す可き納付金はこれを一回限り免除いたすこととしこれによりまして当該災害県の地方財政の増収を図らんとするものであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月における大水害による被害小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法案」につきまして、御説明申し上げます。
今次大水害の被害地域にある小企業者の被害は甚大なるものがあり、これが復旧の促進と経営の安定は急を要するのであります。つきましては、これら小企業者の負担を軽減するために利率を引下げるための特別措置を講ぜんとするのが本案の目的とするところであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害による公共土木施設等についての災害の復旧等に関する特別措置法案」につきまして御説明申し上げます。
本案は、今次大水害の実情にかんがみ、災害の復旧等を促進するため、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法その他の法律について特例を設ける等の特別措置を講じ、もつて公共の福福を確保し、あわせて民生の安定を寄与するのを目的とするものであります。
最後に「昭和二十八年六月及び七月における大水害による地方鉄道等の災害の復旧のための特別措置に関する法律案」について御説明申し上げます。
今次の大水害により地方鉄道業、軌道業又は自動車運送業を営む者は甚大な損害を受け、且つその復旧は遅々として進まず、これら事業の公共性にもかかわらずその営業の全部又は一部を休止しているような状態にあります。この原因は、一にかかつてその復旧に要する資金を得ることが困難な点にありまするので、これ等に対し政府がその資金を補助し復旧を促進せんとするのが本法律案の目的とするところであります。
以上、十六件の各法律案について、その趣旨を御説明申し上げたのでありますが、委員会におきましてはこれら各法律案の起草に当りまして厚生対策、農林対策、通商産業対策及び建設対策等各部門別に小委員会を設け、それぞれ専門的に調査検討を進めることし、各小委員会とも数次にわたり、連日連夜にわたり極めて熱心に協議を重ねられたのであります。その間、一方、参議院の水害地緊急対策特別委員会とも緊密に連絡をいたし、厚生関係六法律案、農林関係四法律案、通商産業関係四法律案、建設関係二法律案をそれぞれ起草し、去る七月三十日の委員会において、全会一致をもつて小委員会案の通り成案を決定し、これを委員会提出の法律案として委員長より提出いたした次第であります。
何卒、慎重御審議のうえ速かに御可決あらんことを御願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/3
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004・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 只今、衆議院水害地緊急対策特別委員長村上勇君から全般的な提案理由の説明がありました。重ねて各小委員長から補足説明を承わるわけでありますが、それに先立つて説明者に、参議院特別委員長としてお願いいたしておきたいと存じます。
それは、先刻本特別委員会で問題になつたのでございますが、と申しますことは、このたび立法するに当つては、衆参の特別委員会の委員長、小委員長、理事の打合せ会を二回開いてまとまつたものについて、それぞれ或いは衆議院或いは参議院から、提案されることを確認いたしました。そのときに問題に提起はされたけれども、まとまらなかつた問題については、爾後両院の該当小委員会のほうで意見が一致したならば、それを以て両特別委員会の委員長、小委員長、理事の打合会の決定事項とみなす。併し新らしい事項については改めて協議するということを確認はいたしておつたわけでございます。参議院側としましては、第一回、第二回の衆議院側との打合会でまとまらなかつた点については、是非とも立法したいとは思いながらも、提案を差控えておつたわけでございますが、只今村上委員長からも承わりますと、両院で問題として提起はされたがまとまらなかつた問題、更には全然両院の打合会で出なかつた問題に関する立法もここに提案されておつたようでございまするので、それぞれの該当小委員長から補足説明して頂く場合には、この部分は両院でまとまつた分、これは問題に出たけれども、まとまらなかつた分、これは両院の話合いでは全然出なかつた部分、こういう点を明確にして御説明願いたいと思います。それによつて参議院の爾後における審議を整理して参りたいと思いますので、補足説明を承わる場合に、改めてお願い申上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/4
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005・重政庸徳
○重政庸徳君 各法案、おおむね政令の定むる分、これが被害者になると、最も関心を寄するであろうと思うのでありますが、勿論これは数字的に、多角的に公明正大に、その区域の指定をしなければならんのでありますが、私がお尋ねするのは、或いは郡を単位にするのか、町村を単位にするのか。これは勿論政府が定めるべき問題でありますが、この問題としては、その点どちらを単位とするかという考えがあるか、御質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/5
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006・村上勇
○衆議院議員(村上勇君) 衆議院におきましても、まだその法律を適用する地域というものを決定いたしてはおりませんが、併し二十八年六月、七月のこの大水害における地域というものは、常識的にもおのずからわかつて来るだろうと思いますので、いずれその法案が通過いたしましたあとで、これは参議院の皆様とも緊密な打合せをいたしまして、その政令によつて決定する地域を委員会におきましても考慮をいたしたい。かように思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/6
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007・重政庸徳
○重政庸徳君 私がお尋ねするのは、郡を単位にして取るか、或いは町村を単位にして取るかという、単位の取り方で非常な相違を来たすのでありまして、勿論郡を単位にして取れば、これも理論的な、合理的な方法でもあるし、町村を単位にして取るのも、むろんこれもいい方法であります。その点よく御研究になつて頂く必要があると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/7
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008・村上勇
○衆議院議員(村上勇君) 先ほど、私から提案理由の御説明を申上げました中に、地方鉄道に対する災害復旧のための特別措置、これと競輪に対する特別措置につきましては、実は両院の協議は完全に一致していなかつた次第であります。併しながらこの衆議院において、法案を委員会の決議を見ましたのが七月三十一日の午後六時でありまして、実はちようど委員会において、次次とこの決議案が行われており、決定をしておる際でもあり、特にその場で緊急な要請によりまして、参議院の委員会のそれぞれの担当者との打合せをする時間的余裕がなかつたことを、私といたしましてはおわび申上げます。ともかくちようど国会の最終の日でありましたので、私どもは国会が延期になるというようなことは念頭に置かず、この法案をどうしても国会の期日内に通過を図つたことが、緊密な御連絡をいたさなかつたということに一つ御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/8
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009・三浦辰雄
○三浦辰雄君 私、衆議院の村上委員長にお尋ねしたいのですが、これは衆議院だけとか何とかいう問題じやありませんが、これを通して行つた場合に、少くとも我々の通そうとして中心になつている特別委員会のお互いとしては、せめてこの一つの法案この十六ありますが、この法案を出したからには、これくらいの予算を、或いは金融の額を、政府としてはしてもらわなければ困る。公布されて、災害地の住民の諸君が、それぞれの立場から非常に待望しておる。それぞれの措置を、さて法律は出たけれども、そのいわゆる裏打とも言うべき法律なり、或いは金融の額なりというものが余りに過小であつてほんの申訳的に、いやいやながら政府が爪の垢ほどつけたというのでは、立法者の我々としても非常に期待にはずれるし、ましてやその期待していた災害地の諸君としては、もう全く情ない。この点について、どの辺までお考えになつておられますか。この点を総括的に御説明を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/9
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010・村上勇
○衆議院議員(村上勇君) お答え申上げます。
まだ詳細な、厳密な数字が出ておるわけではありませんけれども、大体基礎的な公共事業等に対する今回の経費は三百三十億円くらいと聞いておりますが、この法律によりますと約百七十億くらいの増額となる予定であります。私どもも御説の通り立法はできましたが、裏打がないようなことでは相済まないので、今後の予算措置につきましては、政府とも緊密な連絡をとり、又政府を督励して、どこまでもこの裏打をいたしたいと、かように思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/10
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011・三浦辰雄
○三浦辰雄君 一応、総括的な大きさについては伺ましたが、私ども初め聞いているところによると、確かに救わなければならないし、救いたいこの大災害のことだが、例えば十月等のことをも含めて補正を組むよりも、今日の日本の財政の関係から言えば、財源が遺憾ながら非常に乏しいと思う。そこで特にこの与党関係の方面においては、法案を審議し、その成立に関しては特にこの政調会のほうと、十分な連繋をとつて、そうして、今申上げましたような期待に背くような醜態は、厳に慎しまなければならないということを言われている。私ども御尤もだと思うのです。そういつた点から、この何か与党の政調会のほうと、この審議の過程において連絡はされたろうと思うのですが、その連絡の程度がどんなふうになつているか。こちらのほうの今後の審議の都合もございますので、一つ承わりたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/11
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012・村上勇
○衆議院議員(村上勇君) 御尤もな御意見であります。ともかくも与党といたしましては、この法案の肉付けをするためには、その財源については、相当困難なものがあるというような意見もありましたし、又大蔵大臣からも、委員長に対しても又各党の政調会長のかたがたに対して、いろいろな申入れがあつたのであります。併しながらその申入れの通りにこの法案を改竄いたしますれば、結局現行法と大同小異であると思う。私どもは、国家財政の非常に苦しいときではありますけれども、今回の大水害の非常な被害の大きいことを考えましても、この際、これを放置しておくというようなことは絶対にできない。これは関東の大震災の復旧も、結局全国民の力によつてできたものでありまして、北九州その他のこの被害も全国民の御同情と申しますか、負担によつてこれを解決するのでなければいけないということから、諄々とその被害の非常に莫大なことを説いたのであります。幸いにして各党はこれを承認して頂きましたし、与党、自由党におきましても、政調会並びにその他の党の機関がこれを承認してくれましたし、只今代議士会におきましても、提案理由の説明を申上げましたところが、満場一致これが提案に対しても賛成を得て参つた次第でありまするので、私は今日の国家財政から言つて心配の点もありますけれども、この被害の非常に大きなことから考えまして、どうしてもこれは如何なる財政的苦痛はありましても、どうしてもこの裏付けをしてもらいたいと、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/12
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013・三浦辰雄
○三浦辰雄君 大変いろいろと御心配を願つております点は、感謝申上げますが、そうすると今日、代議士会等でもお話になられたその際に、今度の被害については、およそ現行法規で行く場合には三百三十億程度の本年度、金が要るらしい。そしてこれを拡張し或いは率を上げる。つまり今度の新立法によつて行く場合は、およそ百七十億程度プラス・アルフアーになる。というお話をされた、又聞いた、ということに承知して差支えありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/13
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014・村上勇
○衆議院議員(村上勇君) 党の代議士会に諮りましたのは、只今この委員会に御説明を申上げました程度のことにとどめたのであります。詳細に亘つては、なかなか一時間以上もかかりますので、今の提案理由程度の説明をしたのでありまして、はつきりした数字の出ないことは申上げることを差控えて参りましたので、今申されるがごとき数字を挙げての承認は得ていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/14
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015・三浦辰雄
○三浦辰雄君 もう私も、これ以上村上委員長にお尋ねすることは避けなければならんと思うのでありますが、これからだんだん、いよいよいわゆる参議院で通すとなれば、公布になる。いわゆるその執行については、政府は責任を持たなければならん。従つて政府の与党であられる方面においては、特にその点真剣になつて、細かく数字等にも或いは及び場合もあろうかと存じます。私どもはお互いにこの大災害にあつている人たちを何とかして或る程度は国家的に、今おつしやられた国民全体の負担においても、或る程度は救わなければならんという考えにおいてやつおるわけであります。だんだん経過の途中においてそういう細かい具体的な数字等になりました際には、どうか参議院におきます全員、殊に与党の人は御奮闘願おうと思いますが、殊に衆議院のほうにおかれましても、一つぜひそういつた、ただ単に議員の立法の糠喜びでないという、糠喜びになつたのでは困る。自己満足だけでは困る。裏打ができますように御協力を一層お願いいたしまして、私の質疑を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/15
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016・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて、
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/16
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017・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記を起して下さい。
それでは、これから該当小委員長の補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/17
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018・滝井義高
○衆議院議員(滝井義高君) 厚生関係の六つの法案の骨子を御説明いたします。
先ず第一に、昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域における災害救助に関する特別措置法案の骨子を説明いたします。
先ず第一に、現行の災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)の救助の種類を増加充実し、救助内容を整備するとともにその適正化を期することといたしたのであります。すなわち、救助の種類中にある「収容施設」の中に「応急仮設住宅」を含めるとともに、「飲料水の供給」及び「災害にかかつた者の救出」を含めることといたしたのであります。第二に、この法律の救助事務の円滑を期するために国庫負担の対象額中に「救助の事務を行うのに必要な費用」を含めることといたしたのであります。第三に、救助の種類のうち、現行の災害救助法第二十三条に規定するもの及び第一で追加いたしましたものを除いて政令で定めるものについては、救助のために必要な施設又は設備に要する費用を国庫負担の対象とすることといたしたのであります。第四に、現行法及び一部改正法の国庫負担の対象額の基礎額と、その国庫負担の割合とを改めたことであります。すなわち、現行法では当該都道府県の普通税収入見込額の百分の一を超える場合に始めてその超えた金額が国庫負担の対象となることとなつており、一部改正法におきましては「千分の二を超える金額」と改めることとなつておりますが、これを更に、本案におきましては、「千分の一」と読み替えて適用することといたしたのであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域における公衆衛生の保持に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
本案の骨子を御説明いたしますと第一に、伝染病予防法の特例といたしまして、市町村が支弁した予防費に対し県が支出する率を三分の二から全額に引き上げ、そのうち伝染病院隔離病舎隔離所及び消毒所に関する災害の復旧に要する費用は六分の五とし、又、県が市町村に対し支弁した予防費等に対し国庫が負担する率を二分の一から三分の二に引き上げ、そのうち伝染病院等の復旧費用については五分の四とし、而して県が水害のため直接支弁した費用及び保健所法に基く政令で定める市が支弁した費用については四分の三に引き上げる規定を設けております。第二は、市町村が行つた簡易水道の復旧及布設に要した費用に対し、国がその二分の一を予算の範囲内で補助することができる規定を設けております。第三は、市町村が行つた、し尿の処理に要した費用、し尿貯りゆう槽等のし尿処理施設の設置に要する費用、塵芥焼却場又は火葬場の災害復旧に要する費用に対し、国がその三分の二を予算の範囲内で補助することができる規定を設けております。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域に行われる国民健康保険事業に対する資金の貸付及び補助に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
本案の骨子を御説明いたしますと第一に、国民健康保険を行う保険者であつて、六月一日から六ケ月間に保険料又は一部負担金を減免したものが、災害救助法の適用を受けた市町村に被保険者を有し更に減免した保険料の額が、その年度の保険料の額の百分の十以上で且つ二十万円以上であるものに対し、国が予算の範囲内で貸付金を貸し付けることができるようにいたしたのであります。第二に、貸付金の額はその減免額の百分の八十以内とし、残りの百分の二十以内につきましては補助金として交付することができることといたしたのであります。第三に、貸付の条件といたしまして貸付金の償還期限は翌年度の初日から五年間の据置期間を含み十五年以内とし、年利五分五厘の元利均等年賦の方法によつて償還することにいたしております。なお、貸付を受けた年度の貸付期間及び翌年度初日から五年間を据置期間とし、この期間中は無利子といたしております。その他、年賦金の支払猶予、貸付金の一時償還、報告及び検査、知事に対する権限の委任等につきまして規定を設けております。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域にある事業所に雇用されている労働者に対する失業保険法の適用の特例に関する法律案」について、御説明申し上げます。
本案の骨子を御説明いたしますと、第一に、被害地域にある事業所が水害を受けたためやむを得ずその事業の全部又は一部を停止する場合において、その事業所に雇用されている失業保険の被保険者で一定の基準に合致する者について、その事業の停止により休業した場合にはこれを離職とみなし、その休業したものが一定の期間就労できない状態にある場合にはこれを失業とみなして失業保険法を適用することといたしたのであります。第二に、休業をした者が、再びその事業所に就業した場合には、法第十一条の規定にかかわらず、その日を雇用された日とみなすことといたしたのであります。第三に、失業保険金の支給を受ける場合には、法第十六条の規定にかかわらず公共職業安定所に出頭し失業の認定を受けねばならぬこととし、失業保険金の支給を受ける者については、法第十九条の規定にかかわらず、認定を受けた失業期間の最初の七日間のみを支給しない期間として、法第二十四条の規定にかかわらず認定を受けた日から一週間以内にとりまとめて支給することといたしたのであります。なお、支給する失業保険金は法第二十条に規定する百八十日分に含まれることといたしました。本法の施行期間につきましては公布の日から二週間後とし、施行前の休業に関しても遡つて適用することといたしました。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害による被害地域における失業対策事業に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
本案の骨子を御説明申し上げますと、昭和二十八年七月一日から昭和二十九年三月三十一日までの間に地方公共団体が行う失業対策事業に要する経費についての国の負担分を、労務費については五分の四、資材費については二分の一、事務費については五分の四にそれぞれ引き上げたものであります。
次に「昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害をうけた学校給食用の小麦粉等の損失補償に関する特別措置法案」について御説明申し上げます。
本案は、今次の大水害により流失、埋没等のために使用できなくなつた小学校並びに盲学校、ろう学校及び養護学校の小学部における学校給食用の小麦粉及び乾燥脱脂ミルクに対し県が損失を補償し、国がその損失補償に要する経費について全額を補助することといたしたのであります。
以上、厚生関係の六法案を御説明したしました。この六法案は、衆参共に先の理事並びに小委員長会議において一致を見た案件であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/18
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019・松岡平市
○松岡平市君 只今御説明がありましたうち、最後に、これは全部一致を認めておるという御説明がありましたが、私の了承いたしております限りにおきましては、このうち災害救助に関する特別措置法案或いは公衆衛生の保持に関す特別措置法案、それから最後の失業対策に対する特別措置法案、それから学校給食用の小麦粉等の損失補償に関する特別措置法案、これについては、私も承知しておりますが、他の二つ、即ち国民健康保険事業に対する資金の貸附及び補助に関する特別措置法案、労働者に関する失業保険法の適用の特例に関する法律案については、お話は、こういうものをやりたいということだけはお聞きいたしましたが、併しながらその内容をどうするかということについては、將来打合せをするということに私は了承しておりまして、どういう法案を、どういう趣旨でお作りになるかということについては、了承しておらんつもりでございます。これは私たちの小委員会においては、従前何らこういうことについて触れておりませんので、この点については特例として、衆議院側のほうから詳細なる御説明をお聞きしたいということを申上げておいて、一応留保しておいて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/19
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020・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 議事進行でありますが、法律案の内容についての質疑は後刻に廻すといたしまして、只今松岡君から発言のありましたような衆参の一致した法律案であるかどうかということだけは各小委員長の補足説明の折に一応明確にして進んで行きたいと思いまするので、只今松岡君の意見に対して滝井小委員長の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/20
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021・滝井義高
○衆議院議員(滝井義高君) 私は今申上げた六つの案件についは、小委員長並びに理事の打合せ会において全部御説明をしております。この私の説明したものは、ここに全部書いて印刷まで刷つてありますが、そのときに松岡さんのはうから、その問題については削除とも何とも言われておりませんので、当然私は二回に亘つてあそこで報告申上げたときに一致しておるものだと、こういう了解を実はしておつたわけなのであります。ところが、先日松岡さんの秘書のほうから、法案が全部でき上りまして、委員会を通過する直前になりまして、実は今言われた、もう一つ何か、三つくらい了承しておらないということを言つて来られましたので、もうすでに、我々の委員会は通過しようとしておる今になつて、そう言われては実は工合が悪いのだということを私申上げておつたのでありますが、その間の取扱は、あそこで詳細に我々のほうで立法しておることは、こういうことだと御説明をして、それについて何ら反対の意見等がありませんでしたので、意見一致を見たものということで実は了承しておつたのですが、あの小委員長並びに理事の会議の内容については、一々討議はいたしておりません。どの委員会も、ただ説明をしてそれで異議なかつたものは直ぐに立法にとりかかるという申合せであつたと、私は実は記憶いたしておるのであります。従つてここで、あのときは俺は知らなかつたということになると、私はどの委員会も全部そういう形が出て来るのじやないかと実は恐れておるのでございまするが、私はそういう理解を持つておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/21
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022・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて下さい。これから懇談会に移ります。
午後三時三十分懇談会に移る
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午後四時一分懇談会を終る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/22
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023・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) これより懇談会を閉じ、開会いたします。
水害地緊急対策特別委員会建設小委員長赤澤正道君から補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/23
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024・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 私、衆議院の特別委員会建設小委員会の委員長の赤澤でございます。
衆議院で、災害の建設関係について随分討議を重ね、更に参議院の委員のかたがたと累次会合いたしまして、両院の意見については、十分調整がいたされておるはずでございます。本案は骨子を簡単に御説明申上げます。
第一は、第二条にあります公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の特例であります。その要点の第一は、国庫負担率を高率にしたことであります。即ち現行法によりますと、国の負担率は地方公共団体の標準税収の二分の一を超え二倍に達する額に相当する額については四分の三、それ以上は全額ということに相成つておるのでありまするが、これを標準税収入の二分の一に相当する額については十分の八、二分の一を超え標準税収入に達する額までは十分の九、それ以上は全額ということにいたしたのでございます。ただここに申上げたいことは、この規定は今回の六月、七月の災害のみに適用するものでありまして、この期間以外に生じた災害については、現行法通りの負担率を適用いたすのでございますから、今回の六月、七月に例年にない大災害を受けた地方公共団体に適用して初めて、高率の国庫負担が可能になるようになつております。災害の程度が低いところでは、この特例を適用いたしましても、国庫負担率は余り高率とならん場合も生じて参るのでございます。
要点の第二は、応急工事費を災害復旧工事費中に明確にした点でございます。従来応急工事費は、特別の事由がない限り国庫負担の対象にならなかつたのでありまするが、今回の災害は、例年にない大災害でありまして、応急工事費も相当の額に達するのでございます。これを主務大臣が必要と認める限り、災害復旧工事費として考えるということにいたしたのでございます。
第二は、水防法の特例でございます。これは衆議院のほうでは、当初このことについて考慮いたしておりませんでした。ところが参議院のほうで、これについて強力なる御意見の開陳がございまして、当初参議院では、水防に関しては全部地方で協力的に動力を出資したもの等をも、或いは国家で負担すべきものであるといつたようなことをも含んでおるように私は理解いたしたのでありまするけれども、これでは又いろいろ計算上不明確な点も出て参りますので、取あえず水防管理団体の負担として、資材についてだけは全額国庫で以て負担することということに、両院の意見が一致してこの規定ができたのでございます。
第三は、道路の修繕に関する法令の特例でございます。これは今回の災害によつて、国道及び地方道の修繕が必要となつた場合、現行法による国の補助率の三分の一を本年に限つて二分の一にしようとするものでございます。これも衆議院では当初考慮しておりませんでした。併しながら参議院から強力に御主張がございましたので、衆議院もこれを十分理解いたしまして、この条項が生れた次第でございます。
第四は、地迂り等の防止施設に対すを補助規定でございます。今回の大雨によりまして、特に長崎県地方において、地迂り、山崩れ、土砂の崩壊の現象が生じ、甚だ危険な状態と相成つております。従いましてこれを防止するために必要な事業を施工する場合においては、現行砂防法による砂防事業と同様に国が事業費の三分の二を補助することにいたしたのでございます。これは飽くまでも災害防止のための新設の事業を意味いたします。私どもといたしましては、このあとに、もう流れ出して、公共施設に非常な災害を与えている尨大な土砂、或いは熊本市内の泥土等についても規定をいたしておつたのでございます。規定の条項はいろいろこれに含有せしむべき要素については、両院遂に意見が一致いたしたのでございます。ただこの点につきまして一番衝突いたしましたのは、熊本の泥土、而も私有地、宅地の上にあるもの、居宅地内にあるもの等をも併せて国庫負担の対象にするということとについて、衆議院は当初いろいろな理由から反対をいたしておつたのでございましたけれども、これは参議院のお説の通りに承服いたすことになつたのでございます。衆議院の意向としては、これを一つの措置法の中に盛りたいという考え方を持つておりましたけれども、とにかく歴史上例のない、ああいう災害であるから、これは単独法にしたいという参議院側の非常に強力な御主張でございまして、私どもこれを譲歩いたしまして、この泥に関する、而ももうすでに崩れ落ち、流入地積した泥に関する限りにおきましては、参議院において御立法を願つたと記憶をいたしております。
第五は、土木機械の貸付についての特例でございます。現在建設省においては、災害復旧事業を行う地方公共団体に対しまして、その所有する土木機械を貸付け、事業促進に大いなる役割を果しております。が併し、地方財政が非常に窮迫をいたしておりまする事情に鑑みまして、従来の法律の規定にかかわらず、これを無償又は時価より低い貸価で貸すことができるという規定をここに特に挿入をいたした次第でございます。
第六に、住宅対策といたしましては、その基本方針として、今次の災害によつて滅失した戸数の二割五分は厚生省関係、五割は公営住宅の建議、残余の二割五分は住宅金融公庫の融資によつて解決をいたす方針で、本案の立案に当つたのでございます。で、住宅対策は最も緊急を要するものでありまして、応急的な措置が講ぜられなければならないのでありまするが、応急の仮設住宅では、その耐用年限がどうしても一、二年に限定をされますので、その間におきまして恒久性のある住宅の建設が必要となつて来るのでございます。公営住宅の建設は、これを第二種公営住宅に限定いたしまして、その三割に相当する戸数を二十八年度に、二割を二十九年度に建設できるようにし、又公営住宅法第八条に規定する国の補助率の三分の二を四分の三に引上げるよう考慮いたしたのでございます。住宅金融公庫に関しましては、一般は一定の条件にかなうものの中から抽選によつて融資を行うことになつておるのでございますが、今回は、現地の財政事情等に鑑みまして抽選を行わないことといたし、更に住宅金融公庫法第二十一条第一項の規定にかかわらず、貸付金の償還期間を三年間延長することとし、貸付の日から三年間は据置期間として、借受金の償還を容易にしようといたしたのでございます。なお据置期間の三年につきましては、当初衆議院では無利子ということで頑張つておつたのでございますが、これは住宅金融公庫の運営その他の実情から鑑みまして、甚だまずい点がございます。更に参議院におかれましては、さようにやはり衆議院の最終の結論と同意見でございまして、無利子ということはまずいということから、やはり利子を付すということにいたした次第でございます。
最後に、いま一つ、この我々の委員会では、建設と運輸を担当いたしておるのでございますが、ここに二十八年六月及び七月における大水害による地方鉄道等の災害の復旧のための特別措置に関する法律、これを衆議院のほうで小委員会において、いろいろいきさつがありまして、あとで御説明申上げまするけれども、最後の親委員会において、これを通すことになつたのでございます。お手許に五条ばかりの法案があるはずでございますが、要はこの災害を受けた、而も資本金の小さい地方鉄道等で、もう起ち上る気力もないといつた会社が実にたくさんあるということを運輸省から申入れて参つたのでございます。これについては、自動車局長がたびたび委員会まで参りまして、事情について説明をいたしました。最後にこれを諒といたしたのでございますが、この中には、勿論公営のものも含みます。例えて言いまするならば、熊本市における市電等は、非常に災害を受けておりまするが、今日の熊本市の財政事情を以てしては、到底市電の復活は不可能ではないか。更にはこの私有鉄道或いは私有のバス会社等に対しまして、衆議院では一営利会社に国庫で以て補助するということはいけないということから、ずつと会議のたびにこれを保留をいたして参つたのでございます。ところが最後に至つて、自動車局等からいろいろ説明を聞きましたところ、同じ営利会社とは言い以上、資本金が一千万円、或いは一千二百万円、中には二百五十万円などというふ小さい会社があるのでございます。こういう会社は、もう放つておきますならば、今日の計算においては、レールもガソリンも電柱も引ぱずして売つてしまつたほうが会社の辻褄が、計算の辻褄が合うのでございます。若し、そういうことになりまするならば、これは勢い公益性を持つておる事業でございまするが、地方の利便を大いに損うということになるであろうと、これを復旧するために十分な国費を、勿論割くわけには参らんけれども、大体において起ち上りが困難と予想される会社は、極めて小さい。それも数が少いのでございます。そういう会社に、当社は被害額の半分という補助の要請でございましたけれども、その後いろいろ検討いたしまして、先ず二割、五分の一程度誘い水として出してやるならば、又息を吹き返して元気を出して経営するのではないかと、その程度のと、金額にすれば大体五千万円見当でございます。その程度のことだつたらしてやるのが妥当ではないかというふうな結論に次第に傾いて参りました。又もう一つは、融資の斡旋、融資を政府において斡旋の労を取つてやらなければ、なかなか申上げるまでもなく、この広汎の地域における私設鉄道というものも、小さいと申しながらも数でございますから、なかなかそれぐらいな金額で追つくものではございませんので、なお融資の面においては十分斡旋の労を取つてやらなければならんのではないかと思います。当初からこの融資の斡旋ということについては、参議院側と同様勿論その必要性を認めておつたのでございまするが、ただこの国庫の補助ということにつきましては、いろいろの議論がありまして、小委員会ではまとまらんで、最後の親委員会においてまとまつたことをここに御報 申上げる次第でございます。ただこれにつきまして、私ども大変遺憾といたしますることは、参議院とすべて並行して進むということで、参議院の小委員長さんと、ことごとに私ども打合せて参つたつもりでございますけれど、もう最後の、会期の延長がまだ海のものとも、山のものともわからない切羽詰つた段階に我々が追い込まれまして、そのときに、参議院の状況をお聞きしたら、まだ参議院においても、一回は小委員会で否決をしたけれども、更に検討の結果、親委員会で取上げて、これを更に最初から検討をやり直すというふうなこともちらつと承わつたのでございまして、最後に私のほうから、小委員長さんを経て御連絡を申上げるべきでありましたのでございまするけれども、そういう切羽詰つた事態の下に、社会党の諸君はこの法案の成立を、もう一分も争うというふうに責められもいたしまするし、私どもも非常にあわてておりましたので、十分お諮りする時間がなかつたことをここにお詫びをいたします。そういう経過を経まして、実は参議院のほうへ連絡も不十分でございましたけれども、衆議院の最後の親委員会において、そういつた結論を得ましたので、一応ここに衆議院の法案として生れ出た次第でございます。
更にもう一つ、只今の特別災害財政補給金につきまして、いろいろ御意見、御議論が出ておるように拝承をいたしたのでございます。これは拝見いたしまするのに、非常に広汎な根本的な問題を含んでおるようでございますが、私どものほうでも、今日こういう法案を作りますに当りましては、これに伴う財政措置については、我々も随分検討をいたして参つたのでございます。で、非常に大事な問題の一つといたしまして、冒頭に負担率を変えたと申上げました。この災害国庫負担法の率を変える。あの法案の現行法の最後のほうに、この負担法を適用しないものという条項がございまして、それが府県にあつては十五万円、市町村にあつては十万円以下と、この極く小さい事業でございます。これについて、当初衆議院ではこれをいずれも、この限度を五万円ずつ下げるということに話が落着いておりました。ところが参議院におかせられましては、この件において最初の小委員会でお作りになりました法案と申しますか、これにかけておつたのでございます。で、いろいろ討議を進めて参りまするうちに参議院でも随分これに対して御討論に相成つたけれども、結論が出なかつたというふうに私どもは拝承いたしたのでございます。これについては、成るほどこれを取上げて五万円ずつ引きますと、事業の件数が、大体この災害の箇所を調べて見ますと、現行で言つて七万件、それを五万切下げると大体五〇%内外殖える。大体十万件になる。件数はもう三、四万件殖えるところへ持つて来て、予算面へこれがどう影響するかというと、総被害額の大体五%だと。で、金が大して要らん割に手数だけ食う。こういうことでは、徒らに行政面で混乱を増すばかりであるので、何とかこれをとつて、これに代る特別平衡交付金と申しますか、補給金と申しますか、こういつたものによつて置き換えるということが一番いいではないかというふうな議論が次第に盛り上つて来たわけでございます。最後に「小委員長、君一つ十分ギヤランテイを政府から取つて来い」と言われることになりまして、私皆様に代りまして、実は建設大臣に会い、更にこれは筋が違うのでありまするけれども、実際最後に、これが自由党の政調会で引つかかつた。そのために私は党を異にいたしまするけれども、こうして超党派的に物事を進めておる関係上、この法案を押し通すことにはやはり責任を感じまする立場から、村上委員長とも同行いたしまして、あそこの副会長の前尾君並びに松野君らのおられる席でこれを検討いたしました。更には政調会長の池田勇人君とも、私どもはこれについていろいろ検討をいたしたのでございます。最初建設大臣は、「やはりこういうふうに置き換えてもらつたほうがいい。五万円ずつ切り下げても混乱を増すばかりである。特にこれについては、政府のほうでもいろいろ苦慮するところがあるんだが、今日の段階では大蔵大臣並びに地方自治庁長官と話合つて、この特別災害財政補給金的なものの話合いをどんどん進めておる。自分は責任を持つて、必ず諸君の言う補給金について考慮をするから、この条項は削除してくれ」ということであつて、この正誤表にありまする通りに、四頁一行から五行までは削るべきの誤りということを実は載せた次第でございます。これは大体野党側の見解ですけれども、是非こういう規定を作つておかなければいかんと、先ほど参議院において、これを是非この特別災害財政補給金を是非法文化しておかなければいかんというふうな御主張、やはり一脈相通ずるものがあるのではないかと、失礼ではございまするが推察いたすのですが、衆議院では、とにかくもう現在のごときこの政府は信頼できんと、野党にしては常にそう言うのでありましようけれども、信頼できんということが事の発端でありまして、そういう補給金が、口で建設大臣が言つても恐らくできんだろうと、だから法案に明らかに盛つておこうということでありましたけれども、痩せたりといえども、日本政府でございますから、これをみんなが信じないと言つた場合には、どうにもならんじやないかといつたような反省もございまして、最後には、そういう建設大臣の一つの一方的な言葉並びにこの予算面で一応責任を持つ立場にあります与党並びに与党の政調会長等の言質をも得まして、その席には、特にこの村上特別委員長にも参加をいたして頂いた次次第でございます。とくかく大蔵大臣の言質をとれ。おしまいには一札取つて来いということでありましたけれども、なかなかこういうことについて一札を取るということは、一体どういうことを意味するのか。まあ気持としては皆同じであつた。ただこういうふうに言つてペテンにかけられるのではないかという不安を野党側では持つたのでございまするけれども、一応政府の、又建設大臣の言明を了承いたしまして、なおこれは建設常任委員会においても同趣旨のことを建設大臣は言明をいたしておりまするので附加えます。
更にこれに並行いたしまして、この法律を円滑に遂行するために若干の決議を付けております。その決議の第一は、地方公共団体の長が法第五条に規定する地迂り等により緊急避難をする必要があると認めた地域に居住する住民に対しては、その住居移転又は新築に要する費用について、当該地方公共団体はその全額を貸付けることができる。この場合における貸付金の金額について、地方財政法第五条第一項第二号に規定する起債を認めること。第二に、法第七条に規定する第二種公営住宅の建設に要する費用についても、事業主体の負担分に関しては、地方財政法第五条第一項第四号の規定により全額起債を認めること。第三には、本法により建設する公営住宅及び住宅金融公庫から資金の貸付を受けて建設する住宅の標準建設費を現行より三割増額すること。第四には、昭和二十八年六月及び七月の大水害により著しく損傷した住宅の補修に必要な費用について当該地方公共団体は、その費用の全額を貸付けることができる。この場合における貸付金の金額について地方財政法第五条第一項第二号に規定する起債を認めること。なお当該貸付金及び起債の償還については三年間据置にする、以上のような附帯決議をも付けておるのでございます。
以上、衆議院における討議の経過並びに法案の趣旨について御説明を申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/24
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025・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/25
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026・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/26
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027・永井純一郎
○永井純一郎君 この地迂り等の防止についてはあるんですね。地迂り、山崩れと、災害による荒廃林地のそのものの復旧を、やはりスライドしておる補助率を適用するようなことが要綱には、私どものほうにあつたと思うのです。それはどうして入らないんだつたのですかな。私途中からだつたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/27
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028・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) それは、すでに効いてしまつたものについては、参議院のほうへお譲りしたわけなんです。先ほど申上げましたようにこれは飽くまで防止のための新設の事業であつて、すでに流れ出したものについては、参議院へお譲りしたつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/28
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029・永井純一郎
○永井純一郎君 立法をですか。では私のほうで、そこのところへそういうものを入れてもいいというようなことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/29
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030・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) ええ、これについては、すでに協定は着いておるはずでございまして、こちらの小委員長、御承知のはずでございます。
それは何ですか、公共施設における災害ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/30
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031・永井純一郎
○永井純一郎君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/31
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032・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ちよつと速記を止めて下さい。
午後四時三十分速記中止
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午後四時五十一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/32
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033・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/33
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034・植竹春彦
○植竹春彦君 地方鉄道等の災害復旧に対する応急措置のこの法律案につきましては、先ほど赤澤議員からの御説明によりますと、経営状態のよい会社と弱小会社との間に補助の差異、補助をすべきかどうか、そこに差異がつくということのお話を伺いましたが、誠に御尤もなことと思いますが、その差異は、省令によつて作られることかと思いますが、どういう基準で以てその認定をいたして参るのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/34
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035・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) それにつきまして、私どもも、実は経営の経理の内容等についてよく知らないのでございますが、総じて自動車局から参つております資料によりますというと、配当等も殆んどいたしておらん弱小会社で、而も資本金の面では極めて弱いと見られるもののわけでございます。それで、たとえ僅かといえども、こうして国費で以て補助をいたします。場合において、只今の御質問が出るのは尤も千万なことだと思いますが、ただこれについては、緊急なる必要性を認めて、運輸省の自動車局で、これにつきまして十分検討してやるという、何と申しますか言質を得ておるに実は過ぎないわけでございます。併し概観いたしますと、先ほど御説明申上げましたように、もうバスの僅か五台か六台か持つているのが全部駄目になつたとか、地方鉄道等の場合には、もう起ち上る気力がなくて、会社を整理してしまおうという段階に来ておるものもあるやに聞き及びますので、こういうものに対しましては、事業の公益性に鑑みまして、或る程度の誘い水をすることも万やむなしと最後には衆議院側では見た次第でございます。
それにつきまして、ここに自動車局の人も見えておるようでありますから説明を聴取お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/35
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036・植竹春彦
○植竹春彦君 どうぞ、どなたか見えておられますか。然るべくお係から御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/36
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037・梶本保邦
○説明員(梶本保邦君) 只今お話の御趣旨は、法律の第一条にも大体の大原則がここに書いてございまして、当該事業を復旧するために先ず資金を得ることが非常に困難であるという事業で、而もその事業の全部又は一部を休止しなければならないというふうな事態に立至りました場合に、その事業を廃止したり或いは休止することが民生の安定、或いは産業の復興に著しい障害を与えるという場合には、この復旧のために要する資金の五分の一を限度として補助をすると、こういうふうに大原則をここに謳つておるわけでございます。従いまして、例えば自動車のほうで申しますと、我々が考えておりますのは、国鉄に平行して走つておるような路線バス或いは路線トラツクというふうなもの、或いは又私鉄に平行して走つておる路線バス或は路線貨物というふうなものは毛頭考えておりません。国鉄の終点或いは私鉄の終点から更に、山奥のほうへ路線が延びておつて、それが時間を限つて、ということは、時刻を定めて定期定路線に動いておるようなバス或いはトラツクを考えております。従つてそういつたバス或いはトラツク以外には、その地方における交通機関というものは皆無であると、こういうふうな場合に限定をいたしたいと考えております。従つてそういうふうなバス或いはトラツクが事業を休廃止しなければならないような事態に立至りました場合には、その地方の住民の方々はそのほかに拠るべき交通機関を失つてしまう。そういうふうな地方のものに限定したい。さように考えております。
それから中にはバスでございますが、九州を例にとつて申上げますならば、久大線と申しまして久留米から大分まで行つておる国鉄がございます。先般もダムで問題になりました夜明ダムから更に大分のほうに寄りましたところに日田という小さな部落がございます。その日田というところを中心にいたしまして、地方の山奥に入つておるバスに日田バスというのがございます。ここの従業員は百三十名でございますが、このうちでおよそ九十三名の人が最近馘首になつたような実情がございます。これはどういう事情かと申しますと、そのバスが山のほうを走つておりましたために、土砂の崩壊、山崩れというふうなことによつて引つくりかえつて、バスがもうめちやくちやになつちやつたというふうな状態で、もうバスがなくなつてしまつた。従つてそれでなくても無配であり、よたとたと営業を続けておつたような会社でございますので、従業員をこれ以上抱えておくことができないというので、百三十人の従業員のうち九十三名馘首して、現在三十七名の従業員が残つておるというふうな実情のところもございます。それから和歌山県で申しますと、有田鉄道これは五キロ四分の小さな私鉄でございます。又御坊臨港という三キロ四分の小さな私鉄がございますが、この鉄道は端から端まですつかりレールが流れてしまつたのでございます。こういうような実情もございます。有田鉄道のごときは、鉄道とバスを兼営いたしております会社でございますが、そのバスは有田鉄道の終点の金屋という駅から高野山麓のほうまで、ずつと紀ノ川に沿つて延びておる、バス会社線でございますが、このバスが紀ノ川に流れた。それで紀ノ川の下流の和歌山市に何が流れて来たかと思つたら有田鉄道のバスが紀ノ川に流れておつたというような実例もございますので、そういつた自力で復興の困難な私鉄バストラックというふうなものを我々は念頭に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/37
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038・植竹春彦
○植竹春彦君 その補助の対象は、車輌のみならず施設その他事業場の一切の被害に対して支給されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/38
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039・梶本保邦
○説明員(梶本保邦君) 私鉄の場合には、車輌と、それからこの車軸を運ぶ下の軌道、レール、それから橋梁と、こういつたものを考えておりますが、バス、トラックの場合には、車輌そのものしか考えておりません。車庫とかいろいろその他の設備があるわけでございますが、それまでを考えますと、とても大変なことになりますし、又補助の対象としてどうかというふうなことも我々としては考えますので、自動車の場合には、車輌そのものに限定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/39
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040・植竹春彦
○植竹春彦君 あと二点質問いたしたいと思いますが、第一は、この補助の率でありますが、この二割という、五分の一の補助ということは、理念におきましては補助となつておりますが、経営常識から申しますと、これは殆んど利子補給の程度であろうと考えられます。恐らく弱少会社は、二割ではうんと車輌数も減らさざるを得ないであろうし、復旧のために買入れます車輌も、中古のぼろ車を買入れなければ、二割ではやつて行けないのが常識であろうと考えます。それらの弱少会社は、いずれ儲からない山間僻地の、道路の極めて悪い場所を走る業者であろうと思います。而もこれに代替する交通機関がないこれらの地方に住む地方民は、二割の補助ではどんなにかぼろ車輌に乗つて、毎日交通危険に暴されるかと思いますので、どうしても五割は補助とするのが絶対の常識論であろうと思いますが、この補助であるか、利子補給の考え方であるか。文字に現われたところはこれで明らかでありますが、なお提案者の赤澤君のほうからの御説明を求めたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/40
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041・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 御指摘の通りでございます。で、衆議院の経過については、御説明申上げました通り、当初の原案におきましては、二分の一の国庫補助並びにこの融資、利子補給の途等を講じたいということであつたのでございますけれども、併し衆議院の空気として、熊本の公営のこの企業等は、電車等は別として、少くともこの私営の営利会社に対して、国庫補助をすべきではないということで、ずつと会議毎に、この問題は留保されて参つたのでございます。併しながら申上げましたように、最後に至つて、やはり実情が、どうしても或る程度のまあ誘い水と申しますか、利子補給的な金額でもやらない限りにおいては、どうもこういつた小会社が参つてしまうのではないかという疑念がありましたので、こういう形に落ちついたわけでございました。勿論相当大きな被害があり、十億と称せられておる。これに対して、僅か二割程度のものを補助いたしましたところで、それによつて復興いたすわけではございませんですけれども、やはり営利会社であります関係上、多くの国費を補助することを避けて、こういう中途半端なことに落ちついてしまつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/41
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042・植竹春彦
○植竹春彦君 只今の御説明によりまして、その点は了承いたしましたが、このバス事業や、地方鉄道、トラックの定路線事業は、今回の水害に当つては、他のいろいろな事業の復旧費に予算を多額に与えなければならない御事情があつたでありましようけれども、この運輸業のように、高度の公共性ある事業につきましては、御提案者の一団のかたがたたちは、十分に一つ今後の認識を賜わりたいと思います。と申しますのは、これらの運輸業、殊に旅客を扱います運輸業は、国民の生命を一時的にお預かりする事業でありますので、殊に山間僻地のような、道路の悪い山崩れ等が心配しなければならないところを走る路面におきましては、この鉄道やバスは、たとえ形式は営利事業でありましても、民営でありましても、毎日国民諸君の生命を時間的に預かつているという最も大切な事業ということでありますので、提案者におかれましては、その点、補助率について十分お考えになつておいて頂いて、更に補正予算その他の機会が若しあるような場合には、再度御考慮を願いまして、安全にこの旅客を運び、又この補助が、単に事業家の補助、事業家に対する補助というお考えでなく、勤労者の足を速かに復旧し、併せて農民達の発達せる荷車を早く回復してやるという考え方で、国民大衆のために安全と迅速と能率等を上げるために、一つこれはお考えを願いたと思います。
その希望を附しまして私の最後の質問を申上げたいのでありますが、それは税金の問題であります。税金は、この災害によります場合には、地方税法の第六条、第三百六十七条、第七百六十二条におきまして、固定資産税、或いは事業税等の減免の措置が行われているわけでありますけれども、これに対しては今回のごとく一度にたくさんの会社が補助を受けなければならない。或いは特別措置を願わなくちやならん場合には、地方庁といたしましては、地方公共団体といたしましては、相当に多額の減税、免税を行わなければならないので、その補給金の措置、或いは起債の措置ということも、本法律案についても、先ほど以来他の十五法律案についての御審議になつておりました経過から見まして、又この只今の地方鉄道等の法律案についても、御考慮を煩はしたいのであります。今、自動車の税金は非常にいろいろな税金が重複いたしております。即ち事業税、固定資産税、市町村民税のほかに五つの特殊の税金がかかつております。第一にガソリン税、第二に自動車税、第三に道路交通利益者負担金、第四に道路損傷負担金、第五に道路工事寄付金、これらは税金ではありませんが、かくのごとき租税公課がたくさんにかかつて参りますので、この業者たちは、いづれも非常に困難を来たしております。いわんや今回の水害を受けました鉄道軌道並びに自動車につきましては、どんなにか、この点にをいても又苦衷のあることと存じますので、この点も併せて、この当委員会におかれましても、十分と今後の御考慮を煩わし、この税金に対しまする措置についての提案者の御意向、御意見を伺いまして、私の最後の質問といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/42
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043・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 実は、この問題を討議いたします際に、おつしやることは論議の対象になつておりません。これは別途、今回の減免措置等につきまして、又更には、この自動車にかかりますところの税全般については、目下大蔵委員会等で討論の最中のようでございますし、私、実は小委員長として、衆議院の各委員の意見をまとめ、更に又参議院の委員のかたと両院の案を調整いたす若干の役割をいたしましたので、個人の意見は、実は持ち合わせておりませんので、今日は調整した結果、衆議院でこういう案を作つたということに一つおとめおきを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/43
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044・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) お諮り申上げます。
赤澤小委員長に対する質疑は、本日はこれを以て打切りたいと思いますが御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/44
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045・山田節男
○山田節男君 赤澤小委員長からしてもらうべき筋合いですが、若上赤澤小委員長が御都合が悪ければ、運輸省から今の関係の説明員が来ているようですから、赤澤委員長に質問しなくても、運輸省関係に、この問題について質問するということができるならば御退場願つていいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/45
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046・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) それでは赤澤小委員長、お帰りになつて結構です。明日又ありますからお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/46
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047・山田節男
○山田節男君 運輸省のかたにお聞きいたしますが、今度の災害によつて補助をしなくちやならんという対象には私鉄軌道の会社、それからバス会社、この中でまあ軽うじて収支が償つて、まあ無配にしても収支を償つているものが何会社あるのか。それから配当したものはどのくらい配当した会社があるのか。その点を一つお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/47
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048・梶本保邦
○説明員(梶本保邦君) お手許に差上げてあります袋の中にその表が入れてあるはずでございます。九州、和歌山地方水害復旧対策、こういう綴じました五枚の紙がございます。それからバス関係のものと、トラック関係のものが横になつた表がございまして、これは御覧頂けば資本金と配当率と車輪の損害額というものを一覧にいたしているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/48
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049・山田節男
○山田節男君 例えばここに被害会社資本金配当状況とあつて、和歌山、佐賀、熊本、大分と出ておりますが、ここに出ているのは、全部補助の対象になる会社ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/49
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050・梶本保邦
○説明員(梶本保邦君) この中で、全部が対象になるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/50
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051・山田節男
○山田節男君 今ここに示された表だけで見ると、一割配当が四つと、それから八分配当が一つありますね。こういうのがやはり今度の補助金をもらう対象になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/51
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052・梶本保邦
○説明員(梶本保邦君) これはこの配当というのが必ずしも本当に経営がいいから配当しているのか、いろいろ金融の操作上必要な故を以て配当をしているのか、或いは又例えば増資等をするためにその特定の期だけ配当をしなければならないといういろいろの場合があろうかと思いますので、これは個個の会社について十分に検討をして見たいというふうに考えております。それから配当率だけで補助するかどうかということも、一つの見解ではございますが、と同時に、資本金と損害との比率でございますね、これも見てみたいと思つております。それから被害そのものが、例えば非常に多くても、その会社の資本金の比率に比べてさほど大きくないもの、これについてはやはり考慮しなければならん。それから又熊本市電のような、こういう公営のものにつきましては、資本金というふうなものはございません。一般にまあ建設と申しますか、何と申しますか、資本金ではないのですが、建設費と申しますか、建設勘定を、まあ四億五千万というようなことに値踏みいたしているわけでございます、熊本市電について……。この熊本市電については、この四億五千万に対して、まあ三億七千万円であるという場合には、非常にそうしたいわば資本金に対する被害の額が割に大きい。まあこういう場合にはやらなければならないと、こういうふうに考えております。配当だけで、それですべてを律し去るというようなことはしないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/52
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053・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/53
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054・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記を始めて。
熊谷小委員長が参りましたから、その補足説明を聴取する前に、赤澤小委員長に関連のある部分についてお諮り申上げます。
それは、先ほど来懇談会中に質疑応答がございましたが、小災害の問題については、参議院は御承知のごとき態度で臨みまして、衆議院側は明確に十万、五万と引下げて、はつきりと法律に載せるという態度で臨まれたわけでございます。ところが先ほど小委員長から御説明がございましたように、正誤表で法律の案文の表面に出ないようになつたわけでございます。一方特別災害財政補給金に関しましては、参議院は当初からその必要性を認め、本委員会としても衆議院側にその態度を以て臨んだのでございますが、衆議院側におきましては、一応保留され、法律案として提案する段階に至つておりません。それからそれら小災害とこれらを合せ考えるときに、特別災害財政補給金の立法が必要ではないかと考え、先刻赤澤小委員長に御意見を伺いましたところ、赤澤小委員長としても異議がない旨の御発言がございましたので、ここで皆さんがたにお諮り申上げますが、参議院特別委員会としては地方団体の財源の不足を補うための特別災害財政補給金の交付に関する法律案を、参議院側から提案をすることに決定しては如何かと思うのでございますが、如何でございましようか。
ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/54
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055・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記を起して下さい。
只今懇談中、いろいろ意見が出ましたように、この問題は、もう暫く研究することにして保留いたしておきます。
引続いて衆議院水害地緊急対策特別委員会、通商産業対策小委員長、熊谷小委員長から補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/55
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056・熊谷憲一
○衆議院議員(熊谷憲一君) お手許に配付してあります小冊子がありますが、私のほうが可決になりましたのは、四つの法律案と四つの要望事項でのります。そのうち法律案の中で二つの法律案につきましては、参議院の小委員会ともよく意見は合致しておると考えます。合致しておりますのは、大水害に伴う中小企業金融保険法の特例に関する法律案であります。これは意見が合致しておると思うのでありまり。この立法趣旨は、御承知のように政府で二十五億とか或いは十億五千万円とか、いろいろ金の預託がありますが、末端までなかなか行きにくい。金融機関の関係が、普通の状態であつてはなかなか業者に渡さないから、何とかして損失補償制度を作つたらどうかという意見が出たのであります。ところが中小企業者に対する損失補償法を作ることについては、政府当局においても非常に困難があるようでありまして、それに代りまして中小企業者の信用保険法をできるだけ活用してもらいたいということから、十数日前に改正になりました中小企業信用保険法の特例を更に作りまして、百分の九十までの危険負担を政府でやるから、これによつて損失補償を作らないでも金融機関は相当円滑に金を貸してくれるのじやないかということで、この立案をいたしましたのであります。即ち信用保険法の政府支払を現行の百分の八十から百分の九十に引上げ、金融業者に対して、安んじて中小企業者に貸付を行い得るようにすると同時に、又再建資金の借入れによる債務の保証にかかる信用保険法の第九条の二の保険関係におきましては百分の七十という特例を設けたのであります。又この信用保険法の保険料率は現行法律によりますと百分の三であります。これを百分の二といたしまして、そのうちの半分は県に負担をしてもらう。あとの半分を国において負担をする。こういうふうな改正をいたしましたのであります。従いまして中小企業信用保険特別会計におきましては赤字を生ずる危険がありまするので、政府がこれに対しましては一般会計からこの特別会計に対しまして繰入金をなす。これが大体の信用保険法に対する特例の骨子であります。
次の法案は、大水害による被害を受けました中小企業に対する国有の機械を貸付ける、或いは譲渡する、或いは交換をするという特別措置法案でありまして、これは御承知のように、昔の、元の陸海軍省或いは軍需省所管の工場にありましたいろいろな機械器具類が、現在国有財産として相当あるのであります。この機械類は、御承知のように国有財産特別措置法によりまして、漸次民間に払下げておるのでありますが、この特例を開きまして、罹災を受けました中小工場に対しましては、これらの国有財産として残つておりまする機械器具類を時価の五割以内の対価で払下げをする。又被害工場の機械が壊れておれば、それと同種の国有財産で持つておりまする機械類と交換をしてやるというような特例を作りまして、できるだけ被害を受けました中小工業の再建を図つてやろうということであります。値段の点につきましては、五割以内の値引をいたしましたのと、もう一つは、その代金を十年以内に年賦で償還をするような特別の措置を講じたという点にあるのであります。なお又水害前に国有財産特別措置法によつてすでに譲り受けておつたが、まだその機械を引取らない、或いは引取つた直後水害を受けたようなものに対しましても、只今申上げました規定に準じまして、便宜な取扱をしようということであります。この両案につきましては、参議院の小委員会とも十分打合せ済であると考えております。
次に、水害地域における自転車競技法の特例に関する法律案でありまして、これは実は七月の三十一日、衆議院の特別委員会で決定をする日の朝出て参つた法律でありまして、この法律につきましては、参議院のほうと、小委員のほうと打合せができておりません。で、十分御審議を願いまして、できましたならば、全員の御賛成をお願い申上げたいと存ずるのであります。この法律の内容は極く簡単でありまと、水害を受けました地域にありまする競輪でありまするが、これが水害で相当な損害を受けております。又その儲けというものは公共団体に行くものでありますが、ただ一月分に限りまして、国庫納付金だけ免除をしてやろう。こういう規定であるのであります。どうか御審議の上速かに一つ御賛成をお願い申上げたいのであります。
その次には、大水害による被害小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法案であります。これは参議院と衆議院の小委員会の会合の際におきましても、何とかして小企業者に対しましては、利子補給の途を開いてもらえないだろうかという希望があつたのであります。これにつきましては、まあいろいろと私のほうでも或いは大蔵省或いは自由党内の政調会等におきましても、いろいろ研究をいたしましたのでありまするが、結局中小企業者のうちで極く小さいもの、つまり二十万以下の金を借りるようなものについては、他の農林等の関係の公平から考えまして、これを利子補給したらどうだろうかということになりまして、一般の同種の業態の利率よりも多小安くすることにいたしたのであります。即ち年五分だけを県とそれから国庫で負担をする。つまり県で五分だけの利子補給をいたしましたらば、その五分の半分、二分五厘だけを国家で補助しようということであります。これは非常に衆議院の委員会におきましても熱望がありまして、これ又七月の三十一日の午前にやつときまりまして、参議院の小委員会と十分な打合せはいたすこができないで、非常に残念でありましたが、大体こういう制度を作ることにつきましは、参議院のかたがたも御賛成であろうと考えておる次第であります。
次は、法律案は以上四つでありますが、要望事項をちよつと申上げておきたいと思います。要望事項は四つありまして、これは参議院のほうからお出し願つた要望事項は、今回の大水害によりまして、中小商工業者は甚大なる損失を蒙つておりまして、参議院においては、先般国民金融公庫十億円、中小企業金融公庫、即ち開発銀行が今肩代りしておるやつでありますが、これが二十億円の新規融資を申出でましたが、これを最低として政府はこれら罹災者の復興を助けるために資金需要のある限り、別枠の低利資金を豊富に供給し、一般中小企業金融に支障を与えることなく、災害地の復興に資するよう特段の措置を請ずること。これが第一の要望事項であります。
第二の要望事項は、御承知のように特別鉱害復旧ということがありまして、これにおいて、この特別会計におきまして本年度やりまする住宅の復旧は、御承知のように八百戸でありまするが、これが水害によりまして約二千戸に及んでおるのであります。ところが、この特別会計には金がありませんので、一般会計からこれを繰入れるいうことが必要になつて来たのであります。その点をよく研究してみましたところが、これは予備金から繰入れはできるけれども、この特別会計の予算修正をやらなければ、折角繰入れても使うことができないということがはつきりいたしましたので、次の議会におきましてそういうための必要なる立法をなし、又予算措置をいたしたい。こういう考えで一応要望事項といたすことにしたのであります。一般鉱害に対しましても、次期国会において資金運用部から鉱害復旧事業団に対し、所要資金の融資を行い得るよう予算措置を講じてもらうこと。これが第二の要望事項であります。
それから第三の要望事項は、只今ちよつと問題となつておりました地方財政及び税制関係の要望事項であまりして、地方公共団体の災害復旧に要する負担増加見込額及び地方税減収見込額を速かに調査して起債の増加を図ると同時に、特別平衡交付金の増額をなすこと。これがその前段であります。この点につきましては、参議院の松岡さんから強い御意見がありまして、この際何とか立法してもらいたいという申込があつたのであります。そこで私どもは大蔵省とも相談をし、又政調会におきましてもいろいろと研究をいたしましたが、この補給金の制度を新しく作るということは一般交付金の制度を壊すことになるから、できるだけ一般交付金並びに特別平衡交付金の制度を活用するような方法で立法するなら立法してもらいたい。こういうような意見が強く出ましたので、できるだけ一般平衡交付金、特別平衡交付金の制度を活用したいと考えたのであります。ところが御承知のように特別平衡交付金につきましては八%の制限があるのでありまして、この八%をどれだけ上げたならば果して地方の需要に、要望に応え得るかということをいろいろ調べてみますると、まだ、はつきり負担増加見込額というのがわからんのであります。殊に今度水害特別委員会において作りましたいろいろな法律関係におきましても、補助率或いはいろいろな規定によりまして、その点がはつきりしていない。従つてどれだけの負担増加額になるかわからん。殊にこの税収入に至つては、今のところはつきりした計算が出ていないから、八%をどれだけ上げていいかという見当はつかない。つかないけれども、現状の八%の枠で賄うことができないことははつきりしておるから、何とか次の機会に、これを明確にする用意を持つておるということでありまするから、一応要望事項にいたしまして、その出方を見ておるわけであります。
次に、同じ後段のほうでありますが、罹災者に対して税の減免並びに徴収猶予等の措置を講ずること。これも強い意見がありまして、税の減免は一年では足りない。三年間に改正したらどうかという要望も出たのでありますが、これはいろいろ調査してみますると、所得税法の十一条の三でありましたかに雑損控除の規定がありまして、これが三年間に割振つて損失を控除することができる。この規定を活用すれば、そういうような立法をする必要がないであろうというような結論に達しまして、要望事項として残すことにいたしたのであります。
以上が、甚だ簡単でありますが、四つの法案と四つの要望事項の大体の説明であります。
なお重ねて、法案の二つにつきましては只今申上げました通り七月三十一日の朝やつと出て来たようなわけでありまして、皆さんがたに十分なる御相談をする機会ができなかつたことを誠に残念に考えておる次第であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御賛成をお願い申上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/56
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057・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/57
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058・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記をつけて下さい。
続いて衆議院水害地緊急対策委員会農林対策小委員長綱島正興君から補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/58
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059・綱島正興
○衆議院議員(綱島正興君) 綱島でございます。
先ほど委員長から、大体御説明申上げましたので、それを補足して御説明を申上げるわけでございますが、私が担当いたしました法案は四つでございまして、それは第一、農林漁業者に対するところの資金の融通に関する特別措置のものと、それからこの農林水産の災害復旧事業の国庫負担補助に関するものと、それから米麦の売渡に関するものと、たばこの耕作者に対する資金の融通と、この四つでございます。
大体この四つともに、この前の参議院、衆議院打合せをいたしましたときに、大体打合せを済まして、衆議院から立法するようにという仰せでございまして、衆議院から立法をいたしたものでございますし、打合せ後に参議院のほうの御意向として御信託を受けましたものについても、その通りに衆議院においては決定いたして参つたものであります。従つて大体、割合にお打合せの際詳しく私は申上げておきましたから、そう詳しく申上げんでもいいのではなかろうかとも存じますけれども、この昭和二十八年六月及び七月の水害による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法案、この法案は骨子だけ申上げますと、農林中金でございますとか、或いは農林漁業の協同組合、或いはその連合会、その他の金融機関等が被害農林漁業者、又は被害農林水産業組合等に対しまして、経営資金を融通する場合に、その金融機関に対して、県又は市町村が利子補給及び損失補償を行う経費の一部を国庫から補助することになつておるのであります。即ち本法におきましては、二条は融資に関するもの、三条は補助に関するものでございます。その内容から申上げますと、平年収穫に比して三割以上の著しい被害を受けた農林漁業者、又は被害農林水産業組合乃至は一定の農業共済組合等に対しまして、金融機関が資金の種類、被害の程度、貸付対象等によりまして定められたこの特別指定を受けます区域に従つて、それぞれ期限五年以内、若しくは二年以内、繋ぎ資金は二年以内、金利は非常にひどい地域と指定されましたものは三分五厘、開拓地については五分五厘、その他のものについては六分五厘等の条件を以て営農資金といたしまして、経営資金といたしましては十五万円以内、その他の施設復旧等に関する資金といたしましては一千万円以内を融通し、それぞれ利子補給をいたすように相成つておる法案でございます。
それから次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案でございますが、これは大体、只今までございましたスライド制になつておつたものを廃しまして、復旧事業費に対する国庫補助の比率は事業費の十分の九ということに定めました法律でありますのと、又この復旧事業の中の対象につきまして従来より加えまして、特に農舎でございますとか、畜舎でございますとか、或いは農業協同組合若しくはその連合会の所有する施設、開拓地における農業者の共同利用施設であつて政令で特に定めるもの並びに水産動植物の養殖施設、勿論この中には養殖場も含みます。これを農業用施設と見たして、国庫補助の対象といたしました。それから一カ所の復旧工事の費用が十万円まででございましたものを、三万円まで限度を下げましたこと等が本法の特色でございます。
それから次に、二十八年六月及び七月の大災害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案でございますが、本案の骨子は、被害農家であつて、その生産にかかる所有米麦であります。それが流失、水没の腐敗等のため著しく被害を蒙つたものに対しまして、県はその被害農家の自家用消費量を基準といたしまして、農林大臣の定める数量の米麦を売渡すものとし、政府はこのために必要な数量の米麦を農林大臣の定めるところによつて、おおむね政府の買入価格を以て県に売渡すということを定めたものでございます。特に「おおむね」という字を定めまして、七千五百円と規定いたしませなんだ事情は、白米等を渡したりする等の事情がございます場合等を考慮いたしまして、かように相成つたものでございまして、立法の基本趣旨は、供出した価格で以て売渡すという趣旨でございますことを御了承賜りたいと存じます。
次に、昭和二十八年六月及び七月における水害による被害たばこ耕作者に対する資金の 通に関する特別措置法、この法の骨子を御説明申上げますと、農林中金その他政令で定める金融機関が、被害、たばこ耕作者に対してその乾燥室の復旧資金、若しくは営農資金を融通する場合に、又はたばこ耕作者のためにする農業協同組合であつて、組合員のために被害乾燥室の復旧資金若しくは営農資金の貸付をなす者に対して、それに必要なる資金の融通をなす場合において、その金融機関に対して日本専売公社が利子補給及び損失補償をなすものでありまして、この場合における金融機関のなす融資の期限及び利率等は、日本専売公社が行う利子補給額及び損失補償の限度は、おおむね先ほど申上げました、水害による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する特例措置に準拠いたして定めたものでありまして、この法において特に予算的見通しとされるものは、約二億円を要すると見られておりますし、三番目の米麦売渡しに対しても、国庫の負担となるものは、大体二億円と見られておりますし、第一に申上げました農林漁業者に対する融資に対しまして、資金総額を百億円とみておるのでございますが、大体の意向としては、これほどには及ばんであろうという見通しを立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/59
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060・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/60
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061・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/61
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062・島村軍次
○島村軍次君 只今の綱島衆議院委員長のほうからの説明は、大体了承いたしたのでありますが、米麦の売渡等の特例に関する法律案では、当初この法律第五条の、本法の実施に伴う食糧管理特別会計から生ずる損失額は一般会計から繰り入れるものとする。こういうのが正誤表で削除になつておりますが、その理由と、その間の事情を一つお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/62
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063・綱島正興
○衆議院議員(綱島正興君) 実はこの項目につきましては、食料庁は強くこれを希望いたされました。通常会計からこれを埋めてくれろという規定をはつきりしてくれという御意見でございました。実は大蔵当局等においては、非常にこれが反対がございましたので、まあこれは内輪の話でございますが、私どもの党内の総務会等においても、賛否両論ございました。いろいろ衆議院の委員会で協議いたしました結果、実は予算の編成権は政府に存属いたしておるのでございますし、他に例がないようではございますけれども、政府の予算編成権に特に指図を加えるような立法をすることは、例としては非常に好ましいことではないのじやなかろうか。従つて、こちらで大切なことは、大体予定される総額は、附帯申合せによることであるし、そうしてみれば、その範囲の法律で大体償えるということで、二億多くて三億ということでございまして、これは別段法則的な規定を要さんでも行けるじやないか。特別会計の性質から申しまして、食糧庁会計については、当然足らなければ国家が従来通り補給をいたして繰入れをいたして参つておつたのでございますが、実は実情から申しますと、食糧庁の会計は、一般会計よりも幾らかやりくりの限度は、他の会計より余裕があるように思われますので、この規定を殊更にそこに差入れる必要がないのじやなかろうか。こういうふうな意見が大体を占めまして、さように訂正いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/63
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064・島村軍次
○島村軍次君 只今の御説明に対しては、私は別途に意見を持つておりますが、本日は保留をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/64
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065・松岡平市
○松岡平市君 本委員会の立法の措置も、殆んど最後の段階に近づきつつあるのでありまするが、私は民生関係の委員長として、一つ非常に重大なミスをしております、と申しますのは、母子福祉資金の貸付等に関する法律によつて、特別措置を講じなければならなかつたと考えるのでありまするが、つい私どもの不注意から、それらの措置を講じておりません。これについては私どもの、不馴れのためでありまするが、只今までに各般の被害者に対して、それぞれの措置を講じておりながら、最も災害者のうち注意を払わなければならん母子福祉のことについて、注意を払つておらんのであります。まだ間に合いますので、速やかにその措置を講じたいと思う。是非私たちの不注意をおとがめなく、まだ間に合いますのでその措置を講ずることをお許しを願いたい。最後の段階でありまするが、一言この措置を講ずるようにさして頂きたいと、この機会に申出たのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/65
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066・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/66
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067・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/67
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068・武藤常介
○武藤常介君 只今衆議院のほうから送付になりました水害地域の、大水害による被害小企業者に対する資金の融通の問題ですが、この法案は、趣旨は非常によろしいのですが、なお法案としてこれを提案するのには、相当疑問の点もありまするので、今少しこれは文章を明確を期するようなところもあろうと思います。それでなおこの問題は、先に通産委員会において問題となりました関係もありまするので、通産委員会のほうにもお諮りをしたいと考えるのです。かような次第でありますので、これを早速確定するということは見合わして頂きたいと考えます。
このほか競輪の問題等は、只今委員長のおつしやる通りで結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/68
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069・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 重ねて念のために申上げておきますが、当初から確認いたしておりまするように、各小委員長におかれましては、当該常任委員会の委員長と、法案については密接な御連絡方を、重ねてお願い申上げておきます。
本日の委員会は、これを以て散会いたします。
午後五時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614556X02319530803/69
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