1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月四日(火曜日)
午後四時五十六分開会
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出席者は左の通り。
水害地緊急対策特別委員
委員長 矢嶋 三義君
理事
秋山俊一郎君
三浦 辰雄君
永岡 光治君
永井純一郎君
武藤 常介君
委員
植竹 春彦君
重政 庸徳君
谷口弥三郎君
藤野 繁雄君
松岡 平市君
島村 軍次君
安部キミ子君
松浦 定義君
建設委員
委員長 石川 清一君
理事
石井 桂君
石川 榮一君
委員
小沢久太郎君
鹿島守之助君
赤木 正雄君
近藤 信一君
田中 一君
衆議院議員
赤澤 正道君
政府委員
建設省河川局次
長 伊藤 大三君
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本日の会議に付した事件
○昭和二十八年六月及び七月の大水害
による公共土木施設等についての災
害の復旧等に関する特別措置法案
(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/0
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001・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 只今から水害地緊急対策特別委員会と建設常任委員会との連合委員会を開会いたします。
案件は昭和二十八年六月及び七月の大水害による公共土木施設等についての災害の復旧等に関する特別措置法案であります。
先ず提案者である衆議院議員赤澤君から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/1
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002・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 私衆議院の災害対策特別委員会の建設部門の小委員長をいたしております赤澤でございます。今回衆議院を通過いたしました昭和二十八年六月及び七月の大水害による公共土木施設等についての災害の復旧等に関する特別措置法案について一言簡単に立案の趣旨を御説明申上げます。それに先立ちまして、衆議院といたしましては、この法案を審議いたしますに当りまして、勿論、建設常任委員会とも十分連絡をとつたのでございましたが、やはりこの災害地出身のかたが比較的多く特別委員になつておられました関係上、当初においては、建設常任委員会、私は建設常任委員をも兼ねておるのでございますが、常任委員会のほうにおきましては、かなりいろいろな面で難色がございました。それにつきまして、やはりこういう特別立法を作ります場合に、恒久対策に及ぼす影響等につきましていろいろな常任委員会として批判があつたのでございますけれども、やはりこういう非常災害の特殊性を御認識頂きまして、大体において御賛同を願つたのでございまするが、本案の骨子を簡単に御説明申上げます。
第一には、第二条にありまする公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の特例でございます。その要点の第一は、国庫負担率を高率にしたことでございます。即ち現行法によりますと、国の負担率は、地方公共団体の標準税収入の二分の一を越え、二倍に達する額に相当する額については四分の三、それ以上は全額ということに相成つておるのでありまするが、これを標準税収入の二分の一に相当する額については十分の八、二分の一を超え標準税収入に達する額までは十分の九、それ以上は一〇〇%ということにいたしたのでございます。ただここに申上げたいことは、この規定は、今回の六、七月の災害のみに適用するもので、この期間以外に生じた災害につきましては、現行法通りの負担率を適用いたすのでございまするから、今回の六月、七月に例年にない大災害を受けた地方公共団体に適用して初めて高率の国庫負担が可能となるようになつておりまして、災害の程度が低い所でありましては、この特例を適用いたしましても、国庫負担は余り高率とならん場合があるのでございます。要点の第二は、応急工事費を災害復旧工事費中に明確にいたした点でございます。従来応急工事は、特別の事由がない限り、国庫負担の対象にならなかつたのでありまするが、今回の災害は例年にない大災害でありまして、応急工事費も相当の額に達します。そのために、これを主務大臣が必要と認める限り、災害復旧工事費として考えるということにいたしたのでございます。
第二は、水防法の特例でございます。現行の水防法におきましては、水防に要する費用は、水防管理団体の負担となつておりまするが、今回の災害に当りましては、水防に要する費用が厖大なものでございます。これをすべて水防管理団体の負担といたしておきますことは、災害を蒙りました市町村の財政事情に鑑み、余りに酷であると考えられまするので、水防のために要した費用のうち、資材についてのみ全額国庫負担といたすことにいたしたのでございます。
第三は、道路の修繕に関する法令の特例でございます。これは今回の災害によりまして国道及び地方道の修繕が必要となつた場合、現行法によりますると国の補助率が三分の一でございます。これを今年に限つて二分の一まで引上げたのでございます。
第四は、地辷りなどの防止の施設に対する補助の規定でございます。今回の大豪雨によりまして、特に長崎県地方において大きな地辷りが起つております。又諸方に山崩れ乃至は土砂の崩壊等の現象が生じ、それが極めて危険な状態におかれておることは御承知の通りでございます。従いまして、これを防止するために必要な事業を施行する場合におきましては、現行の砂防法による砂防事業と大体並行いたしまして、国が事業費の三分の二を補助するということにいたしたのでございます。
第五は、土木機械の貸付についての特例でございます。現在建設省においては、災害復旧事業を行う地方公共団体に対しまして、その所有する土木機械を貸付け、事業促進に大いなる役割を果しておりますが、大体地方財政の窮迫せる事情に鑑みまして、従来の法律の規定にかかわりませず、無償又は時価よりも低い対価でこれを貸すことにいたしたのでございます。
第六には、住宅対策でございまするが、その基本方針といたしまして、今次の災害によつて滅失した戸数の二割五分は厚生省関係、五割は公営住宅、残余の二割五分は住宅金融公庫の融資によつて解決いたす方針で本案の立案に当つたのでございます。住宅対策は勿論最も緊急を要するものでありますので、応急的な措置が勿論講ぜられなければならないのでありますが、応急の仮設住宅ではその耐用年限がどうしても一、二年に限定されまするので、その間におきまして恒久性のある住宅の建設が必要となつて参ります。公営住宅の建設は、これを第二種公営住宅に限定いたしております。これを三割に相当する戸数を二十八年度に、二割を二十九年度に建設するようにいたしまして、又公営住宅法第八条に規定されてある国の補助率の三分の二を四分の三くらいまで引上げるよう考慮いたしてございます。住宅金融公庫に関しましては、一般は一定の条件に叶うものの中から、くじで融資を行うことにいたしておるのでございまするが、今回は現地の財政事情等に鑑みまして、くじを行わないことといたしました。更に住宅金融公庫法第二十一条第一項の規定にかかわらず貸付金の償還期間を三年間延長することとし、貸付の日から三年間は据置期間として、借受金の償還を容易ならしめようといたしたのでございます。なお、据置期間の三年間につきましては、無利子といたしたい所存でございましたが、住宅金融公庫運営の現状に鑑みまして、これを考慮せないことにいたした次第でございます。で、この法案を円滑に遂行いたしまするために、若干の要望と申しますか、附帯条件を附しております。
附帯条件といたしまして、第一に、地方公共団体の長が第五条に限定する地辷り等により緊急避難をする必要があると認めた地域に居住する住民に対しまして、その住居の移築又は新築に要する費用につきましては、当該地方公共団体はその全額を貸付けることができる。その場合における貸付金の全額につきましては、地方財政法第五条第一項第二号に規定するところの起債を認めること。第二といたしまして、法第七条に規定する第一種公営住宅の建設に要する費用についての事業主体の負担分に関しましては、地方財政法第五条第一項第四号の規定により、全額の起債を認めること。更に第三といたしまして、本法により建設する公営住宅及び住宅金融公庫からの資金の貸付を受けて建設する住宅の標準建設費を現行より三割増加をするということ。これは建設大臣がやることになつておるのでありまするが、現在の物価の状況では到底間に合わないと考えられまするので、これは参議院の御意見によつてこの要望をいたした次第でございます。第四といたしまして、この六月及び七月の大水害により、著しく損傷した住宅の補修に必要な費用につきましては、当該地方団体はその費用の全額を貸付けることができる。この場合における貸付金の金額につきましては、地方財政法第五条第一項第二号に規定する起債を認める。なお、当該貸付金及び起債の償還については三年間据置きにするという、これだけの要望事項を附けております。
で、この法案審議に当りまして、衆議院の委員は数回に亘つて深夜まで協議を続けたのでございますが、更に参議院の建設関係の委員の方々におかせられましても、衆議院側委員と膝を交えまして、この法案を両院一致して協議いたしました。大体この建設関係の法案につきましては、非常に大幅にこの参議院の御意見を衆議院で汲取つてございます。で、結果的には非常に円満に建設関係の法案を衆議院でまとめ得たことを大変に光栄に思つておる次第でございますが、そういう趣旨で巨細にお調べ下されば、もともとできておりました参議院の要綱案は殆んどその精神は汲入れられております。
以上この公共災害につきましての衆議院の法案につきまして、簡単ではございまするが立案の趣旨を御説明申上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/2
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003・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 御質疑のおありのかたは御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/3
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004・田中一
○田中一君 資料を要求してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/4
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005・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/5
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006・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/6
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007・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) それは大体公共土木災害の全国における総被害を一応三百億と見当をつけております。それで実はこの参議院との間にいろいろ議論がありました問題の一つといたしまして、国庫負担法の適用のないいわゆる少額の工事、つまり府県にあつては十五万円以下、市町村にあつては十万円以下、こういう少額の工事については負担法の適用がないことになつております。併しながらこれを衆議院においてはそれぞれ五万円ずつ引下げて、町村の負担が幾らかでも軽くなるようにということを考えたのでございますが、結果的に、これは当局の言によりますると、それを行いますことによつて、現在災害個所が一応出先の機関から来たものを集計したところによると、件数にして七万件である。而もそれが只今のように衆議院が考えておりましたように、それぞれ五万円ずつ引下げるということになりますと、十万件に達する。そうするとこれは手続が非常に煩瑣になつて来る反面、又査定も非常に困難だ。その反面、これに充てられる財政的な裏付けの場合は総被害額の大体五%見当であろうということでございまして、実は参議院ではこのことについてはいろいろ御議論があつたようでございましたけれども、参議院の要綱にはこれがおとりきめがなかつた。そこで衆議院といろいろ協議いたしました結果、衆議院の行き方もこれは実際問題として適当ではない。であるから何か実情に即した方法を考えようではないかということから、そうであるならばいわゆる只今のこの予算の範囲内で無論やれるものではありませんが、来たるべき臨時議会か何か知りませんけれども、政府において別途この災害の予算について何らかの措置をいたすということであるならば、この災害の紐付きという形で、災害の特別補給金としてこの総被害額に五%を掛けました十五億というものを出させるということでこの問題を片付けようじやないかということに、参議院の皆様と意見が一致を見たのでございます。これにつきましては、先回もこの委員会の席上で私からその後の経過につきましても御説明申上げたのでございますが、大体建設大臣並びに大蔵大臣、地方自治庁の長官等はこの問題について協議をいたしておりますし、更に協議と申しますより、建設大臣は衆議院の建設委員会の理事会でこの点について明確に言明をいたしております。
なおこれは蛇足ではございますが、やはり今日政府を持つておられる自由党では余ほどこの点について御心配もあつたようでありますので、私お任せ頂いた立場におきまして、衆議院の特別委員長と二人で自由党の政調会等をも訪問いたしまして、この点については、はつきりした言明を得たのでございます。その他いろいろ財政面につきまして、実は私個人としてはそういう肚ずもりは持つておりますけれども、目下この法案によつてどういう数学が生まれて来るか、大蔵省の計算の進行を実は見ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/7
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008・田中一
○田中一君 では建設省の先ず一応今までわかつておる、この法律が成立した場合に、これに該当すると見られる調査ができておるかどうか、建設省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/8
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009・伊藤六三
○政府委員(伊藤大三君) 六、七月の水害によりまして起りました公共土木施設のうち、どれだけがこの特別法案に入りますのか、これは指定の問題もございまして、これを今私のほうで直ぐわかるというわけには参りませんが、一応六、七月に起りました災害の建設省関係の公共土木施設について金額を申上げてみますれば、大体概算におきまして、府県で四百億程度の報告と、市町村で大体百四十三億程度というような報告、これを大体今までの査定率で査定をいたしてみますと、飽くまで推定でございますが、八割とみます。その金が大体三百二十九億、それが府県。市町村が百十五億程度と、こう存じます。これをまあ現行法のほうで一応補助率を掛けてみるわけでございますが、ただここにも推定が入りまするのは、現行法におきましては農林災害のうちの林野災害要綱というようなものが補助率計算の中に入つております。それから運輸省の港湾災害というものが又計算の中に入つて来まして、これを寄せまして初めて計算をするのでございますが、一応建設省だけの災害金額によりまして現行法を適用いたしてみると、大体現行法で行きますれば、府県市町村を寄せまして三百五十二億六千、そのくらいの国庫負担金になると思います。これを今回の改正案によりまして計算いたしてみますると、四百億という大体の概算になるのであります。従つて飽くまで推定の上と仮定の上で計算いたした金額でございますが、その差額が四十七億ぐらいになるかと、こう存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/9
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010・田中一
○田中一君 この公共土木災害復旧の原形復旧の原則というか、形が変つてもいいと考えられておるのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/10
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011・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) その点もいろいろ衆議院で論じ尽したわけでございますが、単なる原形復旧ではいけないのでございまして、原形復旧でなくして、法案にはどう書いてありましたか、私は法案を持たんものですから……。その点につきましては随分論議したのでございますけれども、ちよつつと私の記憶が薄れておりますので、暫らく時間の御猶予を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/11
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012・田中一
○田中一君 それではそれは後ほど御説明願います。
それから地すべり等の危険な状態にある等の場合、それで移転しなければならない場合、こういうところに全額貸付けるということになつておりますが、これは貸付けるのですか。それともやつてしまうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/12
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013・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) それにつきましては当初参議院では、やつてしまうということであつたのでございまするけれども、やはりこれはいろいろ両院で以つて協議いたしました際に、やはりそれではまずい面がいろいろ出て参りますので、とにかく全額貸付けるということに改めた次第でございます。貸すわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/13
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014・田中一
○田中一君 その場合、居住しておる本人が危険を感じて自分で立退くのか。都道府県、市町村の長があぶないからあつちへ行けということになるのか。どつちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/14
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015・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 一応、法の建前といたしまして、地方団体の長が緊急避難の必要を認めた場合ということにいたしておりますが、これも参議院の御意見を組入れた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/15
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016・田中一
○田中一君 その場合、自分がここにおると言つた場合はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/16
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017・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 自分がおると言われた場合は、これはいたし方がないと思います。それについて格別恩典はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/17
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018・田中一
○田中一君 私は土地収用といううよな考え方で、その現存するものは都道府県なら都道府県が自分で引取る、或いはなくなつてしまうものについては引取る、そうして貸付の形にするか、又は交付の形にするか、どつちかの形を持たなければ、なかなか行けない。そんなに危険が迫つておる場合には別ですが、そうでない場合にはなかなか困難があると思います。若し移転せいというならば、移転の代りにこれを早く土どめをしてくれとか、応急施設をして崩れぬようにしてくれという要求が出て来るのじやないか、どける前に、危険な状態にある場合には、自分が引揚げて行きます。併しながら技術的にあぶないぞと言われる場合でも、それに対して、都道府県の事業を遂行するものが適当に措置をすれば助かる場合もあると思います。そういう場合にはどうなるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/18
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019・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) いろいろな場合があると思いますが、地すべりの場合、長崎の実情に照らしてみまするならば、地すべりの定義そのものすら国にはない。それで、私ども判断いたしますのに、要するに広汎な地域が緩やかに移動するといつたような言葉でも使わなければ、どうも表現できんのじやないか。現に地すべりの上にある家屋等が倒壊しておるものは極めて少い。土地に乗つたままずつておるのが実態でございます。併しながら何年か先にずるかも知れないという箇所が実にたくさんある。山の中腹にたくさん亀裂が入つておりますから、今福の町長に、あれではあぶないじやないか、下に炭鉱住宅や農家等がある、これは一体あなた方どう考えておるのかと言つたら、極めて非科学的な話でございますけれども、大体あの亀裂だつたら少くとも二年までは大丈夫だというような判断で進んでおるというような、実に気の毒な状態でございます。こういつた場合には、やはり親切に、国のほうでも、或いは府県のほうでも、とにかく避難をさせて、移築或いは新築について便宜を図るということが必要じやないかと思うのであります。にもかかわらず、自己判断で、強いて、おると言われるかたに対しては、当然打つべき手がないのじやないか。山崩れにつきましては、実際問題としてどう処置していいかわからん。それで、ここに三分の二という砂防の補助率に倣つて一応規定いたしましたけれども、今日の建設技術の段階ではまだ調査中である、先般建設省ではこれを含めて一千万円ばかりの調査費を大蔵省から取つて、只今根本的な立案を、又調査をしつつあるところのようでございます。これを待ちませんと、対策は立てようがない。併しそういうことを待つておれませんから、とりあえず動いておる地帯におられる方々のために便宜を図ろうということで作つたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/19
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020・田中一
○田中一君 伊藤君に伺いますが、地すべり対策はどこで予算をとつて、どこが見るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/20
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021・伊藤六三
○政府委員(伊藤大三君) 地すべりの対策の問題でございますけれども、現在建設省におきましても、建設省所管の権限の範囲内におきまして、例えば渓流の砂防事業として、或いは渓流に危険のあるという意味で、山腹の砂防事業として、或いは地下水を抜く事業として、そういうような事業を建設省でやつておるのでありまして、従つてこういうような事業の範疇に入るものについては、土木施設に関する限り、河川局において調査いたしてやつて参りたい、こう存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/21
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022・田中一
○田中一君 そうすると、耕地の場合には農林省、港湾の場合にはやはり運輸省、こういうふうに分けるのですか。河川関係の場合には建設省の河川局、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/22
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023・伊藤六三
○政府委員(伊藤大三君) その保護の対象が何によつてという意味でなく、事業の種類によつて私のほうは区別いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/23
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024・赤木正雄
○赤木正雄君 今の問題に関連しまして、地すべりという仕事をどこでやるか、これは無論今伊藤次長のお話の通りですが、無論この一部は農林省の荒廃林地復旧工事、併しもともと地すべりというのは、建設省の砂防に関する限りは、地すべり事業も砂防の一環なんです。それを五、六年前に特にその砂防と地すべりとを区別してしまつた。区別不可能のものを区別してしまつた。それは渓流工事に関連する地すべり、例えて申しますると、山形県とか長野県、殊に新潟県なんでありますが、これは堰堤を一つ築いておると、自然にそれで安定してしまう、無論この一部には、皆さんの御承知の荒廃林地復旧事業、これもあります。併し堰堤を築けば安定しますから、これは現に昭和十三年の内務省の方針といたしまして、それは外国でもやつているように地辷り工事を砂防工事の一環として取上げたのです。ところが、五、六年前、新潟県、石川県の一部で、今まで砂防工事としてやつていた地辷りの仕事を、特にその仕事をなくしてしまつて、ほかに持つて行つてしまつた。そこで非常に地元の人は不平を言いまして、なぜああいう重要な仕事をなくしたのか。そこで地元の出身の衆議院の方々に働きかけて、地辷りというものを作つたのであります。その結果、大蔵省といたしましては、御承知の通りに砂防事業の補助率は三分の二、併し地辷りは特に二分の一しか補助しない。これはそういたしますと、三分の二の国の補助でできるものを地辷りにしたために二分の一になつてしまつた。そこで私は、これは非常に建設省は間違つている。こういうふうに特に区別しなくてもいいものを区別して、却つてマイナスになつておるので、これは建設省が墓穴を掘ることになるものであると私は毎年言つている、それを或る一部の人は、特に地辷りを研究する人が、こういう予算をとるために、特に一つの法を立てようというふうな目途でやつたということはわかつていますが、これは大きな砂防工事の一環として、港湾事業の一環としてやつたほうがいいのです。だから特に私は地辷りとしてお挙げになるのは不思議です。はつきりと砂防事業の一環として内務省時代やつて来たもので、事新らしく地辷りとして区別なさるのは私は非常に不思議な感があるのです。でありますから、私はこの際、余ほどお考えなすつたほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/24
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025・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 先ほどこの原形復旧のことにつきまして御質問がありましたごとく、当時の衆議院でのこれを立案するに当りましての論議になりました、而も結論を得ましたところは、こうでございます。大体この現行法でいいじやないか。現行法は御承知の通りに原形に復旧することを原則といたしておりますが、「原形に復旧することが不可能な場合において当該施設の従前の効用を復旧するための施設をすることを含む。」ということが一つ。更に第三項には「災害にかかつた施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代るべき必要な施設をすることを目的とするものは、この法律の適用については、災害復旧事業とみなす。」これをいろいろ検討いたしました結果、これを更に明確にすべきかどうかということも、論点の相当な部分をなしたものでございますが、一応現行法で行けるはずだということで、落ち着いた次第でございます。更にこの地辷りにつきましては、おつしやる通りでございまして、併しながら大野国務大臣もあちらを視察して申しました通りに、天変地異というような言葉を使つたものでございますが、実際問題としては三分の二くらいなものを国庫で補助するからといつて、あの厖大な地辷りは到底とどめる術はないと私は思うのでございますが、これこそ真に地辷りの防止対策が人為を以てなし得るといたしますれば、これは勿論国土保全という立場から、国で以て全面的に負担してやるべきものであると思います。併し私どもあれを見てびつくりして、これは素人目にも、とても防ぐことは容易ではない、それより先ず危険な地帯にある人たちの人命或いは生活ということに先ず重点を置いて、応急に措置すべきであるという観点に立つて、一応これを作りましたので、地辷り防止対策としての三分の二の国庫補助ということは、実を言えば余り厳密には検討いたしていなかつた次第でございます。ただ只今委員の先生がおつしやいますように、砂防は三分の二にして、この砂防の大体範疇に入ると申しても差支えない地辷りについて、二分の一の国庫補助は余りにも不合理であるということで、一応こういう処置をしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/25
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026・赤木正雄
○赤木正雄君 もう一つ、この「山崩れ又は土砂の崩壊を防止するために必要な事業を施行する場合」云々とありますが、これは非常に大きな問題なんです。と申しますのは、これは災害復旧を対象といたしまして、三浦委員も御承知の通りに、農林省といたしましては、山地の新らしく崩壊したものをこれを災害復旧として採用していたのです、もともと……。ところが建設省としては、耕作物のあつたものの破壊に対して災害復旧の補助を実施する。これは非常に食い違いがあつて、そこでこれをやかましく言いまして、災害復旧規定の一部を改正して、新らしく崩壊したものは災害復旧の対象としない、そういうふうなことになつた。そこで今のところは農林省と建設省と同じような形で、今まで耕作物のあつたものの災害をこうむつた場合に対して復旧補助をすると、こうなつておりますが、これは私は非常に矛盾した点があると思うのであります。そういたしますと、仮に河川工事のごときは、これは小さい破壊個所はたくさんあつて、それを連続して一つの新規災害復旧として一貫した仕事ができる。ところが、こういう崩壊点に対しては耕作物はなかつたからという観点で災害復旧の対象になつていない。のみならず、甚だしいのは、建設省におきましては、今までやつた仕事でも、山腹の仕事がこれは殆んど災害の復旧対象と認めていないのです。これが実態なんです。そういう事態が日本到るところにある。これはこの問題は、ひとりこの委員会としてでなく、日本全体として考えて行くべき大きな問題である。こういう仕事をこの委員会で私はお取上げになつたのは非常に嬉しい。嬉しいけれども、これは厖大な金が要るということを覚悟なさらないと、なかなか少しの金ではできない。と申しますのは、災害をこうむつた際には山地の崩壊は殆んど知らないのです。これはこの間、私、映画を見ておりましたが、山地の崩壊たまたまあとに崩壊が少し見えておりますが、それ以上に和歌山県にいたしましても厖大な災害です。私は和歌山県にこの前の南海震災のあつたとき、非常に大きな崩壊があるから、あれに対してすぐ復旧工事をやらん以上は必ず大災害が来ると言つたのです。それにもかかわらず、何ら仕事がされておらない。というのは、建設省は新しい崩壊に対しては災害の復旧対象とはならない。というのは、補助金がない。従つて県も処置できない。従つて今度の大災害の一つのそれが和歌山県における原因をなしている。それでこれはお取上げになるのは結構でありますが、これは財政措置が非常に大きな問題である。これをお考えなさらんと、なかなかここのあれではできない。採用なさるのは結構ですが大きなものだということを先ず申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/26
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027・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) その問題につきましては、只今おつしやつた通りでございまして、私は先ほど申上げましたように、特にこの地辷り等につきましては、根本的に防止措置をやります場合には、到底何千億の費用を要するものか私らにも想像が付かないような気持もいたすのであります。大体この只今御指摘になりました点が実は衆議院でも非常に論議の中心になりまして、こういうふうに条文を分けたのでございます。第五条は災害復旧ではございますけれども、災害をもう少し踏みはずしたという意味もあるのであります。これは七月の而も政令で指定されたところの地域に一応限定されておるのでありますが、これは新設の工事を意味しておるわけであります。それで単なる災害復旧ではない。それからこの次の条項に、実は第六条といたしまして、この地辷りや或いは熊本の泥土、いろいろなものを想定いたしまして、これで以て災害復旧を取上げる。これは実は衆議院ではスライドシステムを採用いたしておつたのでございます。ところが参議院で以て是非この衆議院の第七条に該当のものは、単独立法としたいという意見でありましたために、これは切離したのでございます。そのために、山崩れ、地辷りなどによつて起りましたところの災害復旧の面は取上げておりません。これは飽くまで新設という意味でございますからお含み願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/27
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028・赤木正雄
○赤木正雄君 私は特に重ねて申上げたいのは、今これは、第五条は申すまでもなく、新規事業と見ていいのであります。これも今申す通りに新規事業でありますが、今ここ一カ月や、二カ月或いは三カ月の間にどういうふうに崩壊しているのかはなかなかわからないのですが、ややもするとこれが或いは半年或いは一年ののちに大崩壊が発見される、実際問題としてそういう場合がたくさんあるのです。それから今度の災害をこの第五条に相当するものとして取上げなさるかどうか。これは大きな問題です。と申しますのは、そういう半年ぐらいたちまして、第五条に相当するものとして県が出す。国がややともすれば、それは取上げないというのが、今までの十中八、九なんです。けれども実際に人も少いし、山奥まで行つて調査もできないのです。それをどういうふうにこの委員会としてなさるのか、これをお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/28
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029・三浦辰雄
○三浦辰雄君 参議院のほうの小委員長の山田さんがいませんので、私ちよつと代つて関連してお答えいたします。これは赤木委員が御指摘のように新規のものであります。ところがこれらに挙げてありますところのものは復旧と不可分の問題であるわけなんであります。そこで、丁度あいの子と言えば、あいの子といつたような工事であります、ここに挙げましたのは。これ又御指摘でございますが、非常にこれを悉くやるといえば、予算のほうでは非常な厖大なものになるけれども、そのことは他の復旧事業においても言えることなんで、実は予算との関連がある。ただここに挙げました意味というのは、それらの復旧のいわゆる基をなした今の崩壊地、これを是非この対象として、今後継続的な、いわゆる来年度になりますれば過年度的な扱いにこの法律によつて資格付けた。そしてできるだけ皆様方の御協力によつて、これらの災害の因である、而も破壊されつつある場所の復旧に一日も早く策を施したい。こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/29
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030・赤木正雄
○赤木正雄君 今の御趣旨よくわかりました。無論これは莫大な金が要ります。けれども一から十まで採択するということは私は困難だと思います。思いますが、その趣旨において、放棄しておけば、だんだん崩壊は拡大して、ますます災害を助長する。又将来災害の基になるというふうなことで、どうしても取上げないわけには行かないというふうな観点でありますから、よし半年先になつて、そういう箇所はわかつておる。これに該当するものは。但しこれはくれぐれも申す通りに、やたらに工事費をたくさんとる。そういうふうな詰らん考えは持つておりません。根本は災害をなくしよう、起らないようにする、災害を防ごうという意味でありますから、そういう観点で、発見したものはやはりこれに該当するものとして取上げらるべきが当然と思う。それに対してはつきりした御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/30
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031・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) どうも御質問がだんだん微に入り細に亘つて、荷が重たくなつたわけでございますが、大体私どもといたしましては、実は根本的な治山治水策につきまして、当局に対して是非やつてもらいたいと熱望しておる問題が実にたくさんあるわけであります。併しながらいずれをとりましても、相当厖大な費用を食いますために、今日のこの国の財政の状態から、果してこれに堪え得るかどうかということについては、実は根本的な検討を私は加えておるのであります。それで、この災害に対処しますためにも、更に災害が再び起らないように、遅れ勝ちになつております災害の対策、或いは今おつしやるようないろいろな措置を講じますにいたしましても、巨額の金が要るのでございますが、これはまだ詳細に計算したわけじやありませんが、今日、政府の建設関係の要路に、大臣以下要路におられる諸君といろいろ雑談的に話し合つて見ますと、やはり少くとも五千億必要である。この五千億の金を以てして十分な治山治水計画が樹立し得るかどうかということについては私どもの判断の外であります。併しながらそういつた巨額の資金が要るのだ。而も私ども考えますのに、これにつきましては、何もこの三年、五年の間に処理を付ける必要はないのであつて、極端に申せば、本当にこれで治山治水百年の計が立てるというならば、孫子の代まで負担が及んでも差支えないというのが私どもの根本問題でございます。政府でも今日この問題を非常に真剣に考究しておるようでございます。これをいたします上においては、やはり建設公債に頼るしかないだろう。建設公債を仮に五千億という線で発行いたしました場合に、その引受けが一体、消化が一体どういうことになるだろうか。更にそれが経済界全般に及ぼす影響はどうかということについて、政府も相当真剣に考究を進めてあるようであります。又、私どもといたしましても、そういつた問題について、実は何がしかの研究もやりつつあるわけでございます。併し何と申しましても、何をやつても相当巨額の費用がかかりますし、申すまでもなく、やはり根本恒久策としてそういつた問題を取上げて行かなければならんと思うのでございますが、ただこれは一応今回の災害を目途といたしまして、応急的な施策ということで一応立てたのでございまして、仰せになつておりますように、恒久策をも併せ考えまするならば、不十分じやないか。ただ私どももこれを作ります上において、政府に、あれもやらせたい、これもやらせたい。要求すればするほど金額も殖える。実は懐ろ勘定をしながら、どうなることかと、自己判断をしつつ進めるわけでございますが、政府に対しては、私どもといたしましても、更におつしやるような、今回例えば山崩れが人の目に見えなくても、或いは山奥のほうで厖大なる災害が起つておるものをば、これが二年なり、三年先に発見された場合等も実は考えられるわけでございます。併しながら今日のところでは一応そこまで衆議院のほうでは考えが及んでおりませんので、実は考慮されておりませんが、勿論気持といたしましては、そういうものをも悉く含ませたいという立案者並びに衆議院の委員としては気持を持つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/31
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032・赤木正雄
○赤木正雄君 今のお話で一層詳しくなりました。この仕事は、一部は災害の緊急のものになりましようし、一部は治水の根本策、こういうふうに二つになるのであります。治水の根本策を政府は新らしく立てるのだというのは、当然そつちのほうに行くべきものと思います。併しながらこの委員会としても、治水根本策はこの法案から除いても、要するに災害の一環として、布石というような気持でやつて欲しい。と申しますのは、いい例があります。今度の水害につきましては、大分県の別府の町を流れる境川、この境川の水源は昭和二年以来砂防工事をやつております。一番奥に農林省にお願いする仕事が残つておりますが、それが今度の水害で少しも被害がない。水源には八百ミリ以上の雨が降つている。これに反して、裏の日田、今日の報告を聞きましたが、これは渓流の両側に非常に大崩壊しており、これが筑後川大水害の原因になつておりますが、これは政府といたしましても、十分検討願いたい。今の治水の根本策をどうするか、これは別な話でありますが、それで、これは一つは恒久策、一つは差当りのものと、この二つに考えてやつて欲しい。こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/32
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033・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ほかに質疑のかたはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/33
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034・田中一
○田中一君 先ほどお願いしておいた建設大臣は参りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/34
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035・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 田中君から要望がございましたので申入れましたところ、大蔵大臣はちよつと不明でありますが、建設大臣は出席するとの返事が事務局から来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/35
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036・田中一
○田中一君 それでは建設大臣が来てから質疑いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/36
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037・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) それではお諮り申上げます。提案者に対する質疑はまだございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/37
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038・重政庸徳
○重政庸徳君 極めて簡単にお伺いいたします。今問題になつたこの地すべりの第五条の適用は、従来建設省及び農林省関係で従来各々の所管は砂防工事をやつておつたのであります。これは両省に適用になるのですかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/38
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039・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) これにつきましては勿論両省に適用になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/39
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040・石川清一
○石川清一君 この臨時立法を制定するに当つて、特にこの補助率の引上げを行う場合、今度の地域は特に政令で指定をすることになつておりますが、これは町村ごとに指定するようになりますか。それとも府県或いは郡単位にすることになりますか。現在の水害の予想から考えて一応お考えになつておる点を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/40
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041・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) これにつきましては、一番実は重要な問題でございます。むしろ参議院の委員長の矢嶋先生にお尋ね頂いたほうがむしろ結構かもわかりませんけれども、最初先ず両院で以て協議会をいたしまして打合せをいたしました際に、先ずこれが問題になつたわけでございます。併しそのときの参議院の御見解では、まだ現に参議院としても調査団も派遣して調査中である、従つて十分な検討を遂げてから、いわゆる被害地の指定は取りきめたいということでございました。そのときにも、まあ両院で特別委員と建設委員で以て検討してきめたらよろしいじやないか。これを衆議院側も了承いたした次第でございます。ところが、この政令に委ねるということにつきましては、反対がございます。つまりそういたしまする場合においては、かなりの混乱を生ずる。勿論この陳情で相当攻められもいたしますし、これは大変だからもう少しこれを明確に法律で縛つたらどうかということを、政府当局当りにちよくちよく申入れておつたのであります。これもいろいろ議論がございますので、いろいろと実はこの点に関しては政令に委ねるという形で今日まで態度を留保いたしておる次第でございます。ただ寄り寄りこの話が出て参りましたときに論ぜられるのは、やはりこの被害は県によつて非常な軽重がある。百億以上の損害を出しておると一応見られております県が二、三ございます。更に三、四十億の損害と見られる県が二、三ございます。更に大体十億から二十億ぐらいの被害であろうと見られる県も若干ある。なおそのほかに、極めて小部分であるけれども、豪雨の被害を受けたその金額は、公共土木災害であります場合には、三億とか三億五千万円といつたような見当の小さい県もある。これはどうするかということでございます。段階を等級をつけようとかいろいろな論もありましたけれども、少くとも衆議院におきます限りにおきましては、まだこれは結論は得ておりません。今日までのところ、大きな被害があつた県については先ず県単位で一応指定する、それから更に極めて限られた部分的な災害でありまする場合には、小さい行政区域で以て指定をするという考え方に傾きつつあるという程度しか実は御説明申上げられない次第でございます。これを早い機会に参議院とも協議を遂げて、一つの政令に対する要望として申入れをしようということを今日寄り寄り話し合つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/41
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042・石川清一
○石川清一君 特にこの法案では、「昭和二十八年度の標準税収入」というように年度を入れてあるようでございますが、恐らくこの標準税収入は地方財政平衡交付金の法律に基いたものを謳つておると存じておりますが、今度の災害によりまして地方税収入に非常に大きな変化が来ておる県がある。或いは町村では根本的に財政収入を失つたところもあると存じております。従つて、早急に補正予算を組むなり、いわゆる村の財政、或いは市町村、公共団体の財政の実態に備えた補正予算を立てて、災害復旧に実質的に臨む公共団体が出て参ると思いますが、そういうように実態の上に立つた真剣な立ち上る公共団体に対しては、依然として地方財政平衡交付金で定められました災害当時の標準税収入を以てこのそれぞれの額をきめて参るか、それともこれを変更することがあるかどうか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/42
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043・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 標準税収の算定についての御心配のように伺いますが、大体大蔵当局の算定によりますと、標準税収入のこの災害によりますところの変化は、多いところで一割五分乃至三割の間だろうというように一応言つております。見た目で非常に被害が大きいようでございまするけれども、大体、総体としてはそう大きな狂いはありません。これは私にはわかりませんが、一応大蔵当局はそういうことを言つておる次第でございます。一応我々がスライド・システムを認めようということになりましたのも、補助でありますからには、やはり或る程度、災害復旧してもらう府県、市町村も何ほどかの負担をして、更にそれに対してうんと大幅に国庫で補助するのが、これが補助であつて、初めから全額ということではこれは補助という意味にならないではないか、そういうことからいろいろな議論が衆議院では議論が続いたのでございますが、只今申されましたように、地方自治体は赤字財政を続けてやつております。この財政的な基盤が脆弱になつておりますので、できるだけこの基盤を作るという意味合いから、殆んど負担率というものをうんと高めまして、殆んど一〇〇%に近いという線まで実は持つて行つてある次第でございます。そのために現実には県税収入に多少の狂いがありましても、そう大きな変化は全般には来たさないということに私どもは一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/43
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044・石川清一
○石川清一君 提案者にお尋ねする前に、ちよつと建設当局にお伺いしたいのですが、この災害の査定は、特に最近会計検査院が建設省の災害査定に対しては不正が多いような言動或いは事務的なものが現われておるばかりでなく、会計検査院の報告書にも現われておりますが、こういう世論に応えて厳密に今持つておる能力で査定をした場合には一応いつ頃までかかるか、お尋ねしたい。
次には今回の災害以前に受けた災害、いわゆる七、六、五というふうに、災害の復旧のできていない個所と、今回災害を受けた個所が、指定された区域内で明確に区別ができるかどうか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/44
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045・伊藤六三
○政府委員(伊藤大三君) 今回の災害につきましては、河川局といたしましても至急これを査定するという必要がありましたので、県も督励をいたし、こちらも指導に参り、査定の設計を急速に作らしておつたわけでございます。実はこの六月、七月の災害の月におきまして、特にその被害の激甚でありました九州地方につきまして、並びにその附近の県につきましては、六月の十五、六日を皮切りにいたしまして出まして、多い県につきましては二十日くらい、少い県につきましても十日以上というように厳密に調査をいたしておるわけでございます。併しその査定が全部に亘つてできるかという問題につきましては、実は今回につきましては、厳密な査定をやりたい。こういうことも実は先ほど御指摘になりましたように、会計検査院のいろいろの報告もありますので、そういうような方針で進んで来ているわけでありまするが、全部実査するということは、個所数につきましても相当に数が多いのでございますので、とりあえず今回の査定におきましては四割程度実査して参りたい、こういうような心組で全部出ておるわけでございます。大体八月の中旬から二十日頃までには出た連中は帰つて来ると、こういうわけでございます。併しまだそのほかの九州、中國、四國の一部を除いたそのほかの地方につきましても、又この実査をしなければならないという問題もございますので、この点につきまして相当人を酷使しなければならないかと、こう存じておるわけでございます。
それから次の一点の、すでに災害として査定した個所が、今回の水害で増破した場合にわかるか、このお尋ねでございまするが、私のほうで査定いたしましたものは、実査のもの或いは書面によります机上の査定につきましても、或いは写真、書類によりまして、その災害の数字は、はつきりいたしております。そうして災害の個所の延長とか、いろいろな問題も書類に上つておりますから、それが新たなる今回の災害にかかりました場合には、どれだけ増破いたしたかということは、明確に出て来ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/45
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046・石川清一
○石川清一君 先ほど来の御質問に対するお答えを伺つておりますというと、現在の被害の状況では、地方公共団体の財政に大きな影響は起さない、こういうように承わつているわけなんです。それと先ほどの災害につきましても、古い前年度の災害は大体わかつておつて、今回の災害は明確だ、更にこれを原形復旧にするか、改良にするか、いわゆる根本的に河川その他の対策を立て直して、原形復旧に対する考えを一蹴するお考えも、はつきりいわゆる政治的にもないように承わつております。そうしますというと、このいわゆる地方公共団体に対する災害復旧費の国庫負担というものは、特に平衡交付金の特別の枠の中で、いわゆる現在の法の中で、地方税収入の二倍を越えるに相当する額について一〇〇%以上を、公共団体或いはそういうところに対して特別の措置を講ずればいいように私は考えましたが、そういうような点はお考えになりませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/46
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047・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) どなたに御質問ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/47
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048・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) ちよつと御質問の御趣旨がはつきりわからないのですが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/48
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049・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/49
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050・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/50
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051・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) そういう趣旨でこれは立案してあるつもりでございます。大体例えば四月の融雪のときに災害を起こした。更に今回の大災害があつた。又九月に何か災害があるかもわからない。こういうものを通算いたしまして、年間の県の受けた災害の分量、市町村の受けた災害の分量、これをきめまして、これと県税収入とをスライドさせる。にもかかわらず、中の六月、七月の分に関して特例を設けまして、それよりなお負担を軽んぜしめようと、こういう本旨でこの法案を作つたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/51
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052・石川清一
○石川清一君 そうしますと、前の分は現行法で災害の計算をしている。今度の分も、あとから、今度又起きたとすると、それは前と合してすると、今度の災害だけこう枠外にすると、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/52
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053・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/53
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054・石川清一
○石川清一君 そうしますというと、そこで問題が出て参るのは、二分の一以下というような点になりますと、それを積み重ねて行くほうがいい場合、こういうことになりまして、災害に対する一貫性が私は生まれて来ないと思う。それは二分の一以下の場合にそういうようなことが起きませんか。財政収入の二分の一と言いますと、これが五分の一の場合、十分の一の場合も起きて参りますが、そういうような点は事務的にお考えにならなかつたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/54
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055・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) それにつきましては、さつき提案理由の説明のときに申上げましたように、今回の災害が小さい所はこれを適用しても得にならないですから、そういう県はこの特例の適用をお受けになる必要はないのでございまして、特に災害の大きい県については、これによつて相当県の負担が減るという、あらゆる計数を実は計算いたしてこれを作つたつもりでございます。そのために特に災害が標準税収入、只今おつしやるのは二分の一以下の場合はどうするかと言つたような御質問のように拝承したのでございますが、その場合には、或いは現行法で行つたのが得の場合があり得ることは申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/55
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056・石川清一
○石川清一君 そうしますというと、大体この法案が通れば、いわゆるこの法案に従つて、いわゆる地方公共団体は政府の融資その他が講ぜられた場合は、迅速に復旧に着手できると、こういうようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/56
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057・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) どういうことでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/57
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058・石川清一
○石川清一君 この法律が通りますと、いわゆる税収の豊かなところは指定をしない。いわゆる被害の少いところは指定をしない。被害の多いところは一〇〇%大体行くから、政府のまあ融資その他によつて急速に復旧に落手できると、こういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/58
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059・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 私自身としては意味が実は呑み込めませんが、具体的に県の例を上げますと、標準税収が一番多いのが、群を抜いているのは、福岡県でございます。これは大体六十七億程度の標準税収になつております。ところが小さいところになりますと、佐賀県等が七億幾らであつたと記憶いたします。更に鳥取、島根の両県になりますと、三億とか、四億と、このくらい非常に懸隔があるわけでございます。具体的な計算の資料はここに持つて参りませんでしたが、只今おつしやる質問を承つておりますと、例えば財政の豊かな福岡県等は却つてこの法の適用を受けないほうがいいのであつて、例えば佐賀県、乃至は標準税収が非常に少い所が非常に災害復旧が捗つて恵まれるという御見解でございますか。そうではないのでありまして、実際計算をいたしてみまする場合に、災害が極めて大きいし、更に標準税収も他の府県に比して十倍以上の地位にありまするところの福岡県等は、相当手厚い国庫補助になるという計数が出て参つております。これは詳細に又別の機会にも計数を持つて参りますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/59
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060・石川清一
○石川清一君 建設省にお尋ねしたい。資料があれば欲しいのでございますが、現在地方税の標準の収入と、災害の額と、そのパーセンテージを出した表がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/60
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061・伊藤六三
○政府委員(伊藤大三君) 本年の標準税収入額は私のほうではわかりません。二十七年度になれば、これは自治庁に参りますれば直ぐわかると思います。それと災害額とは、県からの報告もございますので、これはわかりまするが、その比較は今ちよつと手許に持つておりませんが、調べればすぐわかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/61
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062・石川清一
○石川清一君 大体この法案の第二条のイに該当する府県、ロ、ハに該当する府県、これはおおよそおわかりになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/62
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063・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) どなたに答弁を求めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/63
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064・石川清一
○石川清一君 政府でも提案者でもよろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/64
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065・赤澤正道
○衆議院議員(赤澤正道君) 府県と言われるとちよつと全部を記憶しておりませんが、私の手許には大体の数字は、勿論各府県の標準税収は調べておるのでございます。今日は持つて来ておりませんが、これは政府に御要求になれば持つて来ると思います。被害総額につきましても、今建設省でも十分な資料を持つておりませんので、私のほうも正確な資料はございませんが、ただ常識的に、今回大災害を受けた府県は、勿論、被害総額は標準税収を遥かに上廻つておりますから、場所によつてはこういうことでなくして、現行のスライド・シスムで、現行の負担率で参りましても、殆ど九五%或いは九九%に近いようなところも出て来るのではないか。これは厳密に実は計算しておりません。併し町村によつてはそういうことになるというようなこと、これは建設省もそう言つているのであります。私も厳密な資料は持つておりませんが、併しながら福岡県等の例を見ますと、現行法で参りますとやはりこの際のそういつた場合の今日の負担額が、やはり大体国の負担率が七五%前後ではないか。実際問題として或いは八〇%に近付くのかも知れません。併しながらこれで参りますと、大体これが九〇%以上の計数が出て参るように計算面で記憶いたしております。一一府県を全部指定するということは、ちよつと記憶にありませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/65
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066・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) ちよつと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/66
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067・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 速記を起して下さい。お諮りいたします。本案について本連合委員会は今回を以て終了することといたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/67
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068・矢嶋三義
○委員長(矢嶋三義君) 御異議ないと認めます。
それでは連合委員会は散会いたします。
午後六時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614557X00219530804/68
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