1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年六月二十五日(木曜日)
午後一時三十四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大矢半次郎君
理事
西川甚五郎君
小林 政夫君
菊川 孝夫君
松永 義雄君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 真一君
木内 四郎君
藤野 繁雄君
松岡 平市君
土田國太郎君
前田 久吉君
三木與吉郎君
成瀬 幡治君
野溝 勝君
森下 政一君
堀木 鎌三君
委員外議員
林 了君
政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵省理財局長 石田 正君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
厚生省薬務局長 高田 正己君
通商産業省鉱山
局長 川上 為治君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省理財局証
券第一課長 飯田 良一君
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本日の会議に付した事件
○保険業法等の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○造幣局特別会計法の一部を改正する
法律案(内閣送付)
○昭和二十八年度における国債整理基
金に充てるべき資金の繰入の特例に
関する法律案(内閣送付)
○食糧管理特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣送付)
○国民金融公庫法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○閉鎖機関令の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○鉄道債券及び電信電話債券等に係る
債務の保証に関する法律案(内閣送
付)
○昭和二十八年度における特定道路整
備事業特別会計の歳出の財源の特例
に関する法律案(内閣送付)
○漁船再保険特別会計における漁船再
保険事業について生じた損失を補て
んするための一般会計からする繰入
金に関する法律の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○金管理法案(内閣提出)
○証券取引法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○証券投資信託法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/0
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001・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) これより第七回の大蔵委員会を開会いたします。
議事の都合により先ず一、保険業法等の一部を改正する法律案、二、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(予備審査)、三、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案(予備審査)、四、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(予備審査)、五、国民金融公庫法の一部を改正する法律案(予備審査)、六、閉鎖機関令の一部を改正する法律案(予備審査)、七、鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証に関する法律案(予備審査)、八、昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計の歳出の財源の特例に関する法律案(予備審査)、九、漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案(予備審査)、以上九案を一括議題として政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/1
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002・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今議題となりました保険業法等の一部を改正する法律案ほか八法律案につきまして提案の理由を御説明申上げます。
先ず第一に、保険業法等の一部を改正する法律案でございますが、これは前国会に提案いたしました保険業法の一部改正に併せて、外国保険事業者に関する法律の一部改正をも同時に行うこととし、これを一括して御提案申上げたわけでございます。
改正の内容でございますが、第一点は、航空保険事業につきましても、海上保険事業と同じく、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律並びに事業者団体法の適用を除外することとしたことでございます。
航空保険事業は、海上保険事業と同じく、国際性が強く、且つ、引受物件の価額が巨額に上ることが多いので、料率協定、再保険プール協定等の共同行為が必要とされるのであります。このような特殊性に鑑みまして、海上保険事業と同じく私的独占禁止法の適用を除外することといたしたのであります。
次に、保険会社につきましては、その決算の完了に特に日数を要する事情があるのに顧みまして、定時総会の場合に限り、その株主名簿を閉鎖することができる期間を商法の規定にかかわらず、九十日間といたしたのであります。そのほか、保険会社の責任準備金の計算に関して必要な事項を命令で定めることとし、併せて外国損害保険事業者の未経過保険料準備金を責任準備金に改めることとするほか、若干の規定の整備をすることといたしたのであります。
第二は、造幣局特別会計の一部を改正する法律案でございます。
造幣局特別会計におきましては、補助貨幣回収準備資金を置きまして、政府が補助貨幣を発行した場合におきましては、その価額に相当する金額を回収準備資金に編入し、もつて補助貨幣の回収準備に充てて参つたのであります。而して補助貨幣の製造に要する経費並びにこの会計の固定資産の拡張及び改良に要する費用につきましては、一般会計から繰入を行つて来たのでありますが、補助貨幣回収準備資金の状況及び一般会計の財源の必要からみまして、これらの一般会計からの繰入を取り止め、これを回収準備金から賄うこととするものであります。なお右の改正に伴いまして、従来一般会計に納付することとなつておりました同会計の決算上の利益金につきましては、これを回収準備資金に編入することに改めようとするものであります。
なお、以上の措置は昭和三十八年度から適用することといたしたいと存じます。
第三に、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案の提出の理由を御説明申上げます。
国債の元金償還につきましては、従来国債整理基金特別会計法等の規定によりまして、前年度首の国債総額の万分の百十六の三分の一を一般会計又は特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるほか、財政法第六条の規定によりまして、歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一以上を繰り入れることとなつておりますが、最近における国の財政状況並びに国債の償還状況からいたしまして、昭和二十八年度におきましては、一般会計からの繰入は、財政法の規定による繰入のみにとどめることとしようとするものであります。
又、日本国有鉄道及び日本電信電話公社が旧特別会計当時負担していた公債及び借入金は、公社発足の際、一般会計の負担に帰属し、公社は同額の債務を政府に対し負担することになつたのでありますが、公社がその債務の元金及び利子を政府に支払う場合においては、これを国債整理基金特別会計に直接納付することとしようとするものであります。
第四に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
現在小学校における児童への給食の用に供する麦等は、食糧管理法の一部を改正する法律附則第二項の規定により、農林大臣の定める特別の価格をもつて売り渡すこととなつておりますが、これによつて食糧管理特別会計に生ずる損失を補填するため、予算の定める範囲内において、当分の間、一般会計から同特別会計に繰入金をすることができることとする必要があるので、この法律案を提出いたした次第であります。
なお、昭和二十八年度におきましては、前述の繰入金として十五億六千六百余万円を予定いたしております。
第五は、国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提出の理由を説明いたします。
国民金融公庫は、昭和二十四年六月資本金一三億円をもつて発足して以来、国民大衆の旺盛な資金需要に応じて、その後数次に亘つて増資を行うとともに資金運用部資金の導入につとめ、昭和二十七年度末においては、資本金一三〇億円、資金運用部借入金六〇億円の資金量を保有するに至り貸付額累計も約三七〇億円に達したのでありますが、昭和二十八年度におきましても、公庫に対する資金需要は相当多額にのぼることが予想されますので、昭和二十八年度予算において一般会計から四五億円を公庫に出資することとし、これに伴つて公庫法の資本金の規定を改正することにいたしたのであります。これにより昭和二十八年度においては、出資金四十五億円及び資金運用部借入金三十五億円計八十億円の新規資金の外、既往貸付金の回収金等百七十九億円を加えて二百五十九億円の資金のうち、約十一億円を資金運用部に返済して、なお約二百四十八億円の貸付が可能となるわけであります。
公庫の資金量の増大に伴い、公庫の業動を一層円滑に行う必要がありますので、更に次の諸点について公庫法の改正を行うことといたしたのであります。即ち、事務所の設置に関する制限規定を削除するとともに公庫の役職員の身分につきましては、さきに国家公務員法の適用から除外したのでありますが、今回更にその退職手当につきましても国家公務員の例によらないこととすると共に、国家公務員共済組合法の適用を除外し、所要の規定を設けることにいたしたのであります。
第六に、閉鎖機関令の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。
閉鎖機関令に基く閉鎖機関の特殊清算につきましては、昭和二十年九月以来、鋭意その処理を進めて参りまして、戦時中外地で活動していた特殊会社、外地関係の会社、金融機関及び国内における各種の戦時統制機関など、当初総数千八十八に上る閉鎖機関のうち、現在までに約八百五十機関が特殊清算の結了をみるに至りました。先般、特に民法及び商法等いわゆる一般法に基いて清算を行うのが適当と認められる機関につきまして、その指定を解除する措置を講じ、以て閉鎖機関の整理の促進を図つたのでありますが、今回更にその最終的な処理体制を整えるため、在外活動閉鎖機関につきまして、従来禁止されておりました社債の弁済及び残余財産の分配を認めるほか、閉鎖機関の指定を解除し、また、株式会社である閉鎖機関については、会社の継続又は新会社の設立の途を拓くことを目的として、この法律案を提出いたしたい次第であります。
次にこの法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申上げます。
先づ第一に、戦時中主として外地で活動していた閉鎖機関は、現行法上、社債の弁済及び残余財産の処分が禁止され、在外債務の弁済のため、国内債務を弁済した残余の財産は、全額これを留保せしめることとなつているのでありますが、これを改正いたしまして、在外債務の総額が在外資産の総額を越える額及び将来におきまして在外債務の弁済を必要とする機関等にありましては、政令で別に定める金額との合計額を留保せしめて社債の弁済及び残余財産の処分をなし得ることといたしました。又これらの機関につきまして、閉鎖機関の指定の解除もできることとし、この場合におきまして指定を解除された閉鎖機関が外国法人である場合には、清算事務を執行する機関を欠くことになりますので、裁判所に清算人の選任を求めることとし、又指定解除機関が外国に本店を持つていた日本法人である場合には、法令や定款の規定を排除して、国内において株主総会を招集し、清算人を選任して、民法及び商法による通常の清算手続に移ることができるようにしたのであります。
第二に、株式会社である閉鎖機関が指定を解除された場合におきましては、現行法では、民法及び商法の規定によりまして清算を結了するほかなかつたのでありますが、これを改正いたしまして株主総会の決議によりまして会社を復活させることもできることといたしました。
第三に、閉鎖機関の国内残存財産を以て新会社を設立する途を拓くこととしました。即ち、閉鎖機関の株主が新会社の設立を希望する場合におきましては、特殊清算人にその申立をなし、特殊清算人は、その申立の趣旨に従いまして新会社の設立計画案を作成し、株主総会に図りました上、大蔵大臣の認可を受けて新会社を設立することができることといたしたのであります。以上の手続により閉鎖機関の新会社が成立いたしますと、閉鎖機関の特殊清算は終了することとなるのであります。さらに在外債務を有している閉鎖機関につきましても、先に述べましたように、在外債務と在外資産の差額及び政令で定める金額との合計額を留保すれば新会社を設立することができることといたしたのであります。
以上の改正に伴いまして、商法、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、引当財産の管理に関する政令等に所要の調整を加えることといたしたのであります。
第七に、鉄道債券及び電信電話債券等にかかる債務の保証に関する法律案について提出の理由を御説明申し上げます。
別途御審議を願つております昭和二十八年度政府関係予算におきましては、日本国有鉄道及び日本電信電話公社は、それぞれ鉄道債券八十五億円及び電信電話債券七十五億円を公募して、その収入を以て改良工事その他施設工事関係の経費の財源に充当することが予定せられております。
政府といたしましては、これらの債券の募集を円滑ならしめるため、債券の元金及び利子等の支払について保証をすることが適当であると考え、これらの債券にかかる債務の支払について政府保証の規定を設けると共に、これらのものの外貨による長期借入金についても併せて保証する規定を設けようとするものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
第八に、昭和二十八年度における特定通路整備事業特別会計の歳出の財源の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
特定道路整備事業特別会計におきましては、道路整備特別措置法に基き実施せられる国の道路整備事業及び地方公共団体に対する資金の貸付等に関する政府の経理を取扱つておるのでありますが、昭和二十八年度におきましてはその財源に充てるため一般会計より二十五億円を繰入れることができることとしようとするものであります。
第九、最後に漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案」につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
第十五回国会において成立いたしました「漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律」によりまして、漁船損害補償法の規定による拿捕、抑留等の事故を保険事故とする特殊保険につき、昭和二十七年四月一日から同年十一月三十日までの間における漁船再保険特別会計の損失を補填するため、昭和二十八年度において一般会計から五千万円をこの会計の特殊保険勘定に繰入れることができることとなつておりますが、同年十二月以降引続き特殊保険の保険事故が異常に発生し、本年三月までに更に二千八百万日余の損失を生ずるに至りましたので、一般会計からの繰入額五千万円を七千八百万円に改めようとするものであります。
以上九法律案につきまして提案の理由を御説明申上げました次第でございます。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/2
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003・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に保険業法等の一部を改正する法律案について内容の説明を聴取いたします。河野銀行局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/3
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004・河野通一
○政府委員(河野通一君) 只今提案になりました保険業法等の一部を改正する法律案の内容につきまして御説明申上げます。便宜逐条に御説明申上げたほうがいいかと思いますので逐条的に申上げます。
第一番目に第二条第一項中「前条」とあるのを「第一条」に改めるというのは、簡単な条文の整理でありまして、「第一条ノ二」という条文が実は入りましたので、当然この規定を第一条と改めなければならなかつたのを整理漏れのため落ちておりましたのを、この際直したいという単純なる整理であります。
それから、「第十二条ノ三」の改正規定でありますが、これは現在海上保険事業につきましては、その国際性並びにその一件の金額が非常に大きいといつた関係からいろいろ共同付保或いは再保険のプールといつたような共同行為が非常に必要であるために、一般の私的独占に関する禁止法の適用を除外いたしておるのでありますが、最近航空保険事業が次第に盛んになつて参つております。この航空保険事業につきましても、海上保険事業と同じように、その一件の保険金額が非常に大きいとか、或いはそれが国際性を持つておるといつたような関係で、国際競争との関係上、いろいろな協定、共同行為或いは再保険のプールといつたような共同行為が必要になつて参りますので、これらにつきまして海上保険事業と同じような独占禁止法の規定の適用を除外しようとするのであります。
それから第十四条中の改正でありますが、この十四条の中に「前条」とあります規定は、実は十三条の規定を引いておつたのでありますが、その後「第十三条ノ二」という規定が入りましたので、当然その際改正いたさなければならなかつたのでありますが、「整理が漏れておつたために、これを「第十三条」というふうに書き変えるというだけであります。
それから「第十五条ノ二」の規定でありますが、これは一般の会社におきましては商法の「二百二十四条ノ二」の規定によりまして、株主名簿の記載の停止をいたします期間が大体決算期の翌日から六十日ということに相成つておるのでありまするが、保険会社におきましてはその決算期が普通の会社と違いまして一年一期であるという点及び責任準備金の計算が御承知のように非常に複雑多岐に亘つております。殊に損害保険におきましては再保険の関係からこの関係の整理をいたしますのに各保険契約ごとに責任準備金の計算をいたさなければならん、それらのために非常に計算手続上日数を要しますために六百の間ではなかなか整理がつかないというような点もありますので、保険会社に限りまして商法一般原則で六十日というのを九十日まで延ばしたい、こういうわけであります。
それから次の第十九条の改正でありますが、これも実は整理漏れでありまして、第三条の資本金或いは基金の規定が従来十万円でありましたのを三千万円に改めたのでありますが、先年改めましたときに当然十九条の中の十万円という規定も三千万円に改めなければならなかつたのでありますが、これも実は整理が漏れまして、落ちておりましたものを、この際整理いたしたいという規定であります。
それから第八十八条の改正規定でありますが、これは現在では保険会社の責任準備金に関する法律の規定は実はございません。法律の根拠なくして、施行規則によつて責任準備金の詳細なる積立の規定を設けておるのでありますが、この際法律の根拠をこの施行規則に与えたいという意味におきまして、責任準備金の計算に関して必要な事項は命令で定めるということを入れたいと考える次第であります。
それから第二条でありますが、これは外国保険事業等に関する法律の一部を改正いたすのであります。これも内容は極極簡単な事柄でありまして、現在外国保険事業者の、殊に損害保険会社につきましては、責任準備金という言葉を使いませんで、未経過保険料準備金という言葉を使つておりますが、これは実際は責任準備金のことであります。殊更そういう違つた言葉を使う必要もございませんので、この際国内保険会社と同じように責任準備金という言葉で統一をいたしたい、そのための条文整理の規定であります。実体的な意味の規定は航空保険事業について独禁法の規定の適用を排除する点と、株主名簿の閉鎖期間等につきまして、商法の除外規定を設ける、この二点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/4
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005・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 本案の質疑並びに他の法案の内容説明及び質疑は、次回に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/5
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006・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に金管理法案を議題といたしまして、質疑を行います。
この際お諮りいたしますが、委員外議員林君より本案について質疑を行いたいとの申入れがございますが、発言を許可することに御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/6
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007・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。よつてこれを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/7
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008・林了
○委員外議員(林了君) 今度の金管理法案の改正法律案が提出されておりますにつきまして、実は附則の第一条のところに、実施期日が八月の一日というふうに書いてございますが、全日本の歯科医師が今使つております金は大体におきまして四期に分けまして、四月から六月、それから七月から九月、十月から十二月、一月から三月と四期に分けまして、今度は、只今は第二四半期に入つております。我々はこの出題につきまして、この前の四月の一日から実施されるというときには、丁度この切れ目切れ目でありましたので、この問題につきましては私たちは異議がございませんのでありましたが、会度八月の一日に実施されますると、その間におきまして厚生省から大蔵省に対するこのクーポンの配給券をもらいまするが、大体七月になりますると、我々の金が丁度八月の一日に手に入るときには自由販売になつておりまして、確保できるかできないかという八配が非常にあるのであります。勿論これはその時期になつてみませんと、果してどういう形が出て参りますかわかりませんけれども、一応我々といたまましてはこの歯科の医療の問題からききな問題になりますので、是非ともれれを御考慮頂きたいということであります。
その前に一応政府にちよつとお伺いいたしまするが、厚生省からこの問題に対しまして四月の、前のときにはこの連絡がございましたが、今回は何らなかつたのでありまするが、こういうことを厚生省が一体放つておかれていいのかどうかという問題について、薬務局長にその間の事情、或いはこれについてのお考えをちよつと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/8
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009・高田正己
○政府委員(高田正己君) この問題に
つきましては、厚生省の所管いたしておりまする歯科医師の歯科診療に非常な関係のあることでございまするので、厚生省といたしましては重大な関係を有するわけでございます。従いまして、この問題につきまして厚生省が無関心であつてはならないと思うのでございます。御質問の点は、今回の法案の提出につきまして厚生省は何をしておつたかという御質問、或いは大蔵省からどういう相談があつたかという御質問だろうと思います。極極率直に申上げますると、政府の内部のいろいろな事務的な手落ちがございまして、正式な相談なり何なわというものを事前に実は受けなかつたのでございます。これは勿論厚生省といたしましても甚だ遺憾に思つておるところでありまするけれども、単に大蔵省を責めるだけでなく、私どもとしましても十分その点は反省をいたさなければならないと存じてはおりまするけれども、実際の実情はそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/9
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010・林了
○委員外議員(林了君) 只今の薬務局長の御返事は頗る不満でありますが、
一応これについての大蔵省の御意見をちよつと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/10
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011・石田正
○政府委員(石田正君) この金管理法の問題につきましては、前回の国会に提案いたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/11
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012・成瀬幡治
○成瀬幡治君 政務次官に聞いておつてもらつたほうがいいと思いますから、政務次官の来るまでちよつと答弁は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/12
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013・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) どうでしようか、林君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/13
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014・林了
○委員外議員(林了君) ではそのようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/14
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015・菊川孝夫
○菊川孝夫君 議事進行について一つ委員長にお願いしたいのですが、まあこういう法律がたくさん出て参りまして、これの審議も勿論必要でございますが、最近特に問題になつておりまする、まあ新聞でも大分問題にしておりまするし、雑誌その他も大分問題にし出したのですが、例の株主相互金融、それから保全経済会、一体このまま放置していいかということについて、それから実情を大蔵省も調査しておられるらしいので、若し実情をはつきり、全貌を明らかにできないというならば、秘密会でも結構ですから、機会を見てこの問題を一遍……一体商法の規定でどうしても取締れない、あの商法の規定そのまま運用することになると、まるで匿名組合のごときは預けてしまつたら、もうそこの責任者理事長がどんなに使おうと勝手だ。一旦取られてしもうたら、それはもう、極端な例を申しますと如何なる用途に使おうと勝手だというような商法の不備であるならば、これは商法を改正しなければならんと思う。あんな問題で、而も被害者は、今のうちは株式景気が非常によかつたので去年あたりはそういう被害は出なかつたと思いますけれども、これが朝鮮動乱の成行き如何によつては日本の経済もどういうふうに動くか知れません。そういう反動期におきましては、恐らく怪我人がたくさん出るだろうと思う。出てしまつてから騒いでも意味ないので、今のうちにそういう犠牲者が出ないようにしなければならない、出てしまつてから大蔵省は知らなんだ、政府も知らなんだ、国会も知らなんだと、それから騒いでも仕方がないと思いますので、一応この国会中の適当な機会に大蔵大臣並びに銀行局長等を一つ呼んで、この問題について私は実情を聴取し、又場合によつては、今問題になつておると言つては語弊がありますが、代表的なそういう営業をやつておる業者の出席を求めまして、そうして証言を求めるというような機会をお作り願いたいと思います。これを議事進行に一つ適当な機会にお入れ願いたいと思います。その日にちその他はまあ理事会で決定して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/15
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016・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 只今の菊川君の発言された事項は非常に重要な事項でありまして、現下の我が国の経済金融界の非常に大きな問題だと私も思いますので、適当な機会に御趣旨に副うような、大蔵大臣なり、或いは関係局長の御出席を求めて十分質疑応答をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/16
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017・小林政夫
○小林政夫君 今の問題は所得税法の改正に非常に関係して来るのであります。その間に挾んでやられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/17
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018・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 所得税法の改正にも、或いは又金融金庫法の改正等にも関連があります。いずれ適当の機会にこれを審議いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/18
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019・石田正
○政府委員(石田正君) この全管理法案につきましては、前回政府の提案といたしまして、国会に提出いたしまして、参議院におきましては大蔵委員会において御審議を頂きまして、その期間中におきまするところの成立を期しておつたのでありますが、丁度衆議院の解散がありまして、そのために不成立に終つたわけでありますが、今回はその同じ内容のものをこの新らしい国会に提案いたしまして御承認を頂きたいと、こういう意味で提案することに相成つたのでございまして、ただこの目附の点につきましては、従来は四月の一日から施行されるということになつておりましたが、時期的の関係から申しまして、当然その目附を改めなければならん。で、大体この法案につきましては成るべく早く成立することを望むところの声も生産業者のほうにおきましては多かつたのでありますが、衆議院の解散のために遅れましたので、できるだけ早く施行することにいたしたらよいのではないかというように考えまして、大体八月一日くらいに施行するのがいいのではないだろうか、こう思つていたしたわけでございます。この点につきましては、私といたしましては厚生省とも事実上或る程度の連絡をとつておつたものと考えておりましたが、その間に手落ちがありといたしましたならば、これはそういう考え方でおりましたので、別に厚生省の考え方を無視するとか何とかいうふうな意味は全然なかつたということを御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/19
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020・林了
○委員外議員(林了君) 只今の局長の答弁によりますると、生産者のほうで非常に急いでおられるからこれをやつたんだという御意見でありまするが、これは、主務大臣が通産及び厚生或いは大蔵は当然でありまするが、当然この医療に及ぼすところの影響が大きいということは大蔵省もすでにおわかりのことで、それにかかわらず厚生省に実施の期日あたりのことについて、或いはその他のことについても何ら相談なくやられたということに対するお考えはどうか、もう一遍はつきり伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/20
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021・石田正
○政府委員(石田正君) この金の聞賭は非常にむずかしい問題でございまして、生産者といたしましてはできるだけ高い値段で売らなければ困るという車借がございます。他面消費者のほうから申しまするならば、これは成るべく安くしてもらわなければ困るということで、非常にまあむずかしい問題なんでございまするけれども、この法案に盛込まれておりまするような内容で参ることが両者の立場を考えて一番坪当ではないかという意味で、政府として意思決定をいたしまして前国会に糧案いたしましたが、それが流れてしまつたという状況になつておるわけであります。従いまして、今度のこの管理法の内容は、消費者の立場を更に何と申しまするか、悪くしようというような内容は全然盛込まれていないわけでございます。それがまあ第一点。それからしてこの法案が通りました場合には、今までございまするところの法律から見まするならば、消費者のほうが不利になり、生産者のほうが有利にたる、こういう結果を来たすわけでございます。これを四月の一日から行われまするよりも、八月一日から行われるということになりまするならば、生産者のほうが早くやつたほうが有利であつたところのものが遅れた、消費者のほうが早く不利になるのがその時期が遅れた、こういう関係であろうかと思いましたものでございまするので、生あ前の意思決定に基きましたならば、成るべく早く施行するのが適当ではないか、かように実は考えておつたのでございまして、別段他意あるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/21
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022・林了
○委員外議員(林了君) 時間を余り浪費できませんから簡単に伺いますが、只今のお答えでは我々のとにかく主管の官庁である厚生省に、今度のことについては連絡されなかつたということはここでお認め頂けますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/22
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023・石田正
○政府委員(石田正君) 正式な書面で出しまして、これでやりますからよろしうございますかということで、厚生省に書面を出しまして、それから厚生省からよろしいということでやりましたような正式なものはございません。併し事実問題といたしましては、こういうふうにいたしますという連絡は当然あつたわけであります。これは通産省に対、しましても同様でございまして、通産省に対しましても、今度八月一日にいたしますが、如何でございますか、それに対してよろしいと、こういうことではないのでございまして、そういう点はまあ手落ちの点はあつたかと思うのでありまするが、正式にはございませんでしたけれども、事実問題といたしましては施行するものであるということは、私は連絡があつたものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/23
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024・林了
○委員外議員(林了君) 厚生省の御答弁と大蔵省の御答弁はよくわかりました。事務的な連絡の不十分であつたということもまあ認められたようでありまするが、要は我々の立場といたしましては、この口腔衛生に最も大事な金の入手が困難になるという事態が来た時に、一体これをどうするかという問題が最も大きな問題なので、実施の期日が十月の一日にお願いできれば、この前の四月の一日と同じように丁度区切りがよろしいので、或る一定の間の準備期間ができますし、又クーポンを頂きましても、それによつて我々は確保できるという立場なんです。でありますから、若し大蔵省或いは厚生省のほうでいろいろ事務的に行違いがあつたというようなことであるならば、この事態を一つどういうふうに善処して頂けるかということ、要求は三百五十キロずつお願いしてございますから、或いはそれ以上に市中に溢れ出まして自由に手に入るかも知れません。これは先のことはわかりませんが、我々といたしましては、どうしてもこれは確実にそれだけのものを確保して頂きたいということが根本な我々のお願いなんでありますから、その点如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/24
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025・石田正
○政府委員(石田正君) これは何と申しますか、こういう法案が通りまして八月一日に実施をする、丁度第二四半期の途中になる、時期的に工合が悪いのではないかという御趣旨だと思います。この点につきまして、金の入手自体はこれは確実に私は入るものと思うのであります。問題は従来のような安い値段で入るかどうかということが問題の要点かと思うのであります。この点につきましてはひとりこの歯科用の問題のみならず、輸出用のものもございまするし、それから文房具その他の国内の純然たる消費用のものもございます。それらの事情のものも合わせまして、これは行政庁といたしましては何か手を打たなければならんかと思つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/25
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026・林了
○委員外議員(林了君) 今行政上何か手を打たなければならん、かように御回答でありまするが、価格の点ではどうなるかわからんという御回答でございます。その点も私たちのほうの現在の診療は社会保険診療で一定の価格がきまつております。従つて金が若しそこで高いものが入つて来るとなりますると、又機関にかけて単価の問題からしてこれを改正しなければならんという事態になつて参りますので、そこで特に今度の第二四半期の要求額だけは大体そんな値上りもないというふうに私たちも考えておりまするけれども、先ず第一番の問題は、その適正価格で只今以上に要求額を何とか一つ満して頂けるようにお取計らい頂きたい。
第二番目は、歯科の方におきましては医療用に受けるのでありますから、コストの点につきましても自由販売になるというようなことで大きな差ができると、医療の問題に響いて参ります。から、その点は何か一つ善処して頂きたいという私たちのお願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/26
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027・石田正
○政府委員(石田正君) 私厚生関係の歯科の医療用の金の問題につきましては、いろいろとむずかしい問題があると我々も拝承いたしております。他面におきまして消費者側の事情から申しまするならば一成るべく現行法で推移したいという事情もあると思うのであります。従いまして、これは両方の要求が丁度かち合うところでございまして、生産者のほうから言えば、八月一日から施行すると言いながら、すべてのものはこれは十月一日にならなければ実効が上らないんだというのでは困るという事情もあると思うのであります。それからして今のお話のような問題もあると思うのでございます。これらにつきましては我々といたしましては厚生省、通産省両省とよく相談をいたしまして、できるだけ恰好な方法において処理いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/27
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028・林了
○委員外議員(林了君) 併せてこの委員会の先生方にお願いいたしますが、かような状況でありますので、若し政府におきましてそういうような措置が完全にやつて頂けるということであれば私たちは何も申上げないのでありますが、若しできないというような場合には、又この施行期日の点についても御考慮頂きたいということをお願いいたしまして、私の質問はこれで終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/28
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029・小林政夫
○小林政夫君 今の林議員の質問で一厚生省のほうの高田局長にですが、歯科用金の問題については林議員の心配しておられるような点はあなたのほうも同様に心配しておられるのですか。八月一日の施行だつたら準備ができない、こういう見解なのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/29
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030・高田正己
○政府委員(高田正己君) 従来の事務的な運びによりますると、七月一カ月分の切符を切つて、そうしてそれが七月中に現物化されるということには従来の運びではなつておりません。併しながらこれは従来の運びでありまして、法律が改正をされましたならばこれに即応したような事務的な努力をいたさなければならん。従いまして、これは大蔵御当局とも十分御相談をいたしまして、お互いに努力をいたしまして、事務的な運びをいたしたい、かように考えておるわけでございます。ただ果して現実の林委員の御心配になつておりまする点が確保できるかどうか、それから価格の点がどうなるかというようなことにつきましては、これは自由の経済に放任されるわけでありますから、的確なる見通しは私どもは持ち得ないのでございます。従いまして、私どもといたしましては大蔵省と十分御相談をいたしまして確保して、円滑に歯科医師のほうに流れまするような努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/30
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031・小林政夫
○小林政夫君 今理財局長からも話があつたように、一応この法案は解散前の国会において当委員会においては全会一致でパスした、本会議においても通過したのであります。参議院の本会議は……。従つて当然四月一日から施行されるような運命にあつた。厚生当局としては四月一日から施行するということで万般の恐らく準備がされておつた。これが今回の提案によつて八月一日まで四カ月延びた。延びたならば今までより以上に準備ができなければならん。それが今まあ連絡がなかつたというようなことで、準備ができ場にくい。そこで施行期日について厚生当局としてやはり二カ月くらい延ばしてほしい、こういうのか、ちよつとその点は筋として呑込めない。これであなたのほうとしては今政府提案の八月一日施行で厚生当局としてやれると思うのか、やれないと思うのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/31
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032・高田正己
○政府委員(高田正己君) 前国会に提案をされました法律案につきましては、今日四半期四半期でやつておりまするので、その切れ目であつたわけです。これは結局問題は移り変りの時のことでございまして、従つて今回の法律案につきましては、これが丁度四半期の半ばになつておる、途中になつておる、この移り変りの円滑を期し得たいというのが私どもの一番の問題なのでございます。これが政府買上げ以外のものが、他のものが自由に取引されるということになりまして、その大きな影響につきましては、これは私どももいろいろ心配ないわけでもございませんけれども、これは他の大きな要請によつて行われることでございまして、厚生省といたしましても止むを得ない措置ではないか、併しながら方針が切換えられる時にその移り変りの時期におきましていろいろと又混乱を来たして、それが大きな影響を歯科診療に及ぼしてはこれは相成らん、こういうのが私どもの考え方でございます。従いまして、今御指摘のようにすでに四月一日から施行されるはずであつたのに八月一日まで延ばして何故工合が悪いかという御質問がございますけれども、要点はそういうふうな移り変りが円滑に行われるかどうかということの点の心配であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/32
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033・小林政夫
○小林政夫君 その移り変りが円滑に行くかどうかということの心配というのは、先ほど林議員が言われた価格が従来通りの価格で数量が確保できるかどうかという点、又値段が上るような場合は、予想される値段に診療費単価の関係をこの施行までにきめておきたい、処置をしておきたい、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/33
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034・高田正己
○政府委員(高田正己君) 自由に放任されました金の動きというのは、これは今予想がつきませんし、又価格につきましても予想がつきません。従いまして、それに対して何らか当局といたしましてあらかじめ対策をきめておくということは、これは不可能だと思います。従いまして私どもが一番心配いたしておりますのは、移り変りの時に勿論そういう将来のわからないことは何ともなりませんけれども、これはその移り変りの時にクーポンの現物化というようなことが円滑に行くかどうかという点を非常に心配をいたしておるわけであります。延いてはさような態勢がとられたのちにおいて今予想がつかない事態に対して、少しでも準備がいたされるかどうか。そういう余裕があるかどうかということを心配しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/34
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035・小林政夫
○小林政夫君 その予測がつかない点は、四月一日施行しても八月一日施行しても同じことです。そういう場合の心構え、或いはこうなつた場合はどうしようというようなことは、四月一日施行ということで……要するにこういう通貨用の金以外のものは全部野放しにするという原則を了承した厚生当局としては、そうなつた場合にはどういう手を打つのだ、こういうふうになつたからこうなるということは、四月一日施行であろうが、八月一日施行であろうと、準備がなくてはならん。ただ私の想像では、今切符を出されたものが、果して統制があつた期間のごとく完全に……厚生当局が発行した切符が有名無実のものになるかならんか、こういうことであつて、統制撤廃後における措置というものは、これが八月一日であろうと四月一日であろうと同じ心構えであり、同じ準備があつたはずだと思う。それの期間のズレによつて違うはずはない。今自由取引になれば値段が幾らになるという予測もできない。高くなつて後に手を打たなければならない。若し高くなれば……、或いは安くなつたらというようなことで……。その移り変りの円滑に行くというのを集約的に簡単にもう一遍言つてみて下さい。どういう点が困るのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/35
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036・高田正己
○政府委員(高田正己君) 一カ月分の切符なら、金の法律がきまりましてから一カ月分の量で態勢を整えるか、或いは三カ月分の量でもつて態勢を整えるか、つき詰めて行けば、そういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/36
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037・小林政夫
○小林政夫君 今の問題について政務次官お聞きのごとく政府部内において完全な事務当局との打合せが済んでおるのかどうか、率直に言えば、大蔵当局には厚生当局の希望は原則は異存はない。施行も四半期の次の切れ目である十月にしてもらいたい、こういうことなんです。その点について部内の連絡不十分によつてそういう意見が出ているが、どうしても大蔵当局では八月一日でなければならぬのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/37
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038・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) これは先ほど来お聞き及びの通りで、それから小林委員からの今の最後の御質疑の通りでありまして、大蔵省としてはほかの法律案についても同様でありますが、大体前国会に提案をしたものと内容の違うものにつきましては、今回は非常に事務的にも手数を省きましたから、或いは八月一日ということについて確たる連絡を正式にしなかつたということは事実だろうと思います。ですからその点は瑕疵があつたといえばあつたかと思いますが、我々としては常識的に、前回御審議を願つたものはそのままの形で、且つできるだけ早く実施をしたほうがよかろう、こう考えただけのことであつて、全然他意はなかつたのであります。
それから八月一日にするということについての可否の論議でありますが、これは通産省側からも政府委員が出ておられますが、大蔵省だけの考え方でなくて、やはり事務的に格別に御連絡はしなかつたにしても、型のごとく次官会議で審議をし、又閣議ではつきりきめたわけでありますから、我々としては八月一日でやつて頂きたい、こう考えております。
それからなおこれは、蛇足でありますが、要するに最後に今薬務局長が言われた点が問題の点なんで、これについては私どもの見解では、少くとも数量については私ども絶対自信を持てると思います。それから価格の点については、なるほどこれはわからないといえる、それが正直なところでありますが、私は大して御心配の点は、率直に申しましてないのじやなかろうかと思いますが、ただ見通しの問題で、はつきりそういうことを申上げられるかどうかということになりますと、余り私どもも自信がございませんが、少くともこの四半期の中途にはなりますけれども、厚生省の御当局や、或いは小林委員の御心配のような点が万々ないと思いますが、なお改めて八月一日実施をすることにして十分その心配が解き得るように、なお一月余りございますから、篤と関係省当局で相談をいたしまして対処して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/38
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039・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、今の歯科用以外の問題については一応政府当局の見解は、これは改めて一応質疑終了後に皆さんの御意見を聞かせて頂きたいと思いますが、一般的にこういう措置をとつた後における金の価格、これがどうなるかということについて、現在における政府当局の見通しを誰か適当なかたから話して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/39
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040・石田正
○政府委員(石田正君) これは御承知の通りに、政府は四百七円で払下げますけれども、実際に金山なら金山が加工業者に売払うときは五百十二円、それから実需者が買いますときは五百十五円、こういうことになつております。その五百十五円ではやつて行けないというのが、これが金の生産業者の申しておるところであり、それから又いわゆる自由販売ということにすれば、もつといい値段がとれるであろうということを言つておるわけでありますから、従いまして五百十五円より上になるであろうということは、これは産金業者としても希望しておるところであろうし、又見通しをつけておるところでもあり、我々も又その点はそのまま見ていいのではなかろうかと思うのであります。併しながらこれは如何に金と申しましても、使用者がどれだけの金が払えるかということにも関連するのでございまして、その両者の間できまるのであつて、今のところではそれは六百円になるであろうとか、或いは六百二十円見当で収まるであろうとかということを申上げまするのは、これはまだ出ないものを予測するのでございまして、従いまして幾らぐらいになるであろうということを申上げることは、ちよつと極めて何と申しますか、臆断でございまして、我々としては自信を持つて言えないという実情であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/40
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041・松永義雄
○松永義雄君 第三条の規定の、「精製して、これを政府に売却しなければならない。」で精製したものは全部政府に売却するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/41
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042・石田正
○政府委員(石田正君) これは「政府に売却しなければならない。」と書いてございますが、その前のところに、「その取得に係る粗金中に含まれる金量のうちで政令で定める金量を得るに必要な粗金を」云々と書いてあるのでございまして、従いましてこれは全部売れというのじやなくて、政令の定めたところに従つた量だけ売ればよろしい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/42
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043・松永義雄
○松永義雄君 そうすると、これは精製した金地金を売らなければならないということでなくて、政令で定める金量を得るに必要な粗金ということについて、政令で定める金星のあるものに限る、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/43
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044・石田正
○政府委員(石田正君) これは技術的な点に亘りまするので、非常に法律の文章としてはややこしくなつておりますが、くだいて申上げますると、先ず第一段階といたしましては、結局政府が粗金の納入を受けますと、政府は精製いたすわけでございますが、何と申しますか、金地金としてどれだけのものというのを我々は狙つておるわけであります。それだけのものになるような蜀だ納入して欲しい、こういうことでございます。これは技術的なことでございます。「政令で定める」と申しまするのは、これは平たく申しますと、現在の状況では、一番初めから申しますると、金を買上げてから戻しておるわけでありますが、その戻しておるところの量いうものがだんだん殖えて来ているわけでありまして、最近では大体買上げた金量のうちの三分の二くらいを還元する、要するに政府の手持になるのは三分の一というくらいな程度でやつております。今度はその三分の一なら三分の一だけ売つて頂いて、あとの三分の二については手をつけない、こういう趣旨の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/44
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045・松永義雄
○松永義雄君 それから第四条の買入価格のことですが、私これは新聞で見たのですが、前回の第三国会で審議した当時の買入価格と称せられる価格が変更されて、値上になつたというような趣旨の記事があつたのですが、そのようなことになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/45
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046・石田正
○政府委員(石田正君) 第四条に関しまする限りは、これは変つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/46
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047・松永義雄
○松永義雄君 第四条に国際通貨基金協定できめた価格の範囲内で主務大臣が定める、とこう書いてあるのですが、それは追つてきめるということですか、すでにきまつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/47
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048・石田正
○政府委員(石田正君) お話の点はこういうことじやないかと思うのでございます。この国際通貨基金協定の第四条の規定に従いまして換算いたしますると、一グラムが四百五円になるわけです。ところが実際問題といたしまして、その前におきましては四百一円というので、少し政府の買上価格にゆとりを持つておつたわけであります。だんだん産金業者の状況も苦しくなつて行くような状況でございますので、買上価格については四百一円を四百五円、それだけにいたしたということがございます。それから又政府が売ります場合には、四百五円でありましても、もとの産金業者が求めるところの値段が四百九円でありましたのを四百七円にした、こういうふうなことで、両者の許す範囲内におきまして、政府の手数料その他のマージンを定め卒して、これは産金業者自体の採算を少しでもよくするということにはいたしましたけれども、基本方針については全然変つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/48
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049・松永義雄
○松永義雄君 まあそれは日本では余り大きく問題にしてないようでございますけれども、金の価格については、相当日本以外の産金国では問題にして、それがアメリカではいろいろ大きな響きがあるので、これを拒否しておるということになつておるらしいのですが、只今まあ僅かだといえば僅かですけれども、そういう変更があることは理論的に言えば何分の一のインフレーシヨンかわかりませんけれども、いわゆるインフレーシヨンが進んで来る。一つこういうことでできるだけ安く買うということが望ましい、それは産金業者の損得は別にしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/49
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050・石田正
○政府委員(石田正君) 値段が少し上りまして、政府の買上げ価格が仮に一グラムについて四円という一%のものにいたしましても、上るということは、インフレ的傾向を助長するのではないかということで、慎重にやつたらどうかという御趣旨の御質問かと思うのであります。この点につきましては、これは為替レートその他につきましてもやはりその一本相場でやるということは必ずしもないのでございまして、為替の平価をきめる場合にいたしましても、やはり或る程度のマージンはあるわけであります。で金利相場につきましてはいろいろのものがございますのと同じような意味合いで、手数料等につきましてもそういうような問題があるわけであります。従いましてこれは何と申しますか、国際通貨基金協定の建前から申しまするならば、平価をきめました場合にぴちつときまつて来るところの価格の例えば一考なら一%の範囲内においては安くしてよろしい、動かしてよろしいというような規定もあるわけでございます。それに従つてやつておつたのを、元へ戻したと言つたほうがむしろ本当かも知れないのでございまして、お話のような点もございまするけれども、この件に関する限り必ずしもそのインフレ的傾向を政府がとつたためにやるとか、そういう気持でやるとかいうふうな考えは毛頭やつておりませんでございます。その点一つ御了承願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/50
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051・松永義雄
○松永義雄君 実際の国内における金の取引価格はどんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/51
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052・石田正
○政府委員(石田正君) これは金につきましては何と申しますか、公的ないわゆる取引市場というものが、自由市場というものがございませんので、従いましてこれを幾らくらいのところが今現在の実際の相場になつているということはなかなか捕促しがたいのでございます。併し実際にはどんなふうになつておるかと言いますると、場所によりましても違うでございましようが、我々のほうといたしましては一応地方の財務局長に依頼いたしまして、どんな傾向になつておるかということをまあそれぞれの地方におきまして調べて見当をつけておるものもございます。その見当をつけておるものでございますが、これは先ほど申上げましたような性質のものでございまするから、正確なことをこれによつてこうだという判断をすることは間違いでございますが、併し御参考までに私たちが去年の暮頃とりましたところの数字を基にいたしてみますると、これは地区によつて非常に違つておるようでございます。例えば去年の十一月におきまして関東地区の管轄であります関東財務局から言つて参りましたのが一番高くて一グラムにつきまして、六百四十六円というような数字を言つて来ております。これに対しまして、一番少いのが南九州でございまして、やはり同じ地区におきまして五百八十四円ということを言つて来ております。そのほか各地区ごとに高低がございますが、大体我々が受けました報告の上と下とはそんなふうになつて来たようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/52
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053・松永義雄
○松永義雄君 第一条ですね、「対外決済の準備に充てるため政府が金を買い上げること」とこういうことを言つております。情勢も非常に違つて来たのですけれども、日本の国際収支ということを非常に最近やかましく言つて来ております。今お話によると、三分の二くらいは残して置いて、三分の一は政府が買上げる、今の情勢からすれば、三分の一を三分の二ぐらいに殖やしても大した量ではない。できるだけ買上げ量を殖やすというのは、今日本の国策として適切じやないかというように考えられるのですが、買上げを殖やす……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/53
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054・石田正
○政府委員(石田正君) これは政府自身が対外決済の準備を充実いたしますために、買上げを行うという点から申しますと、まさに松永委員のおつしやいました通りだろうと思います。併しながらこれは他面におきましては産金業者というものは金を持つておりますから、集中というようなこともできようというものでございますが、今日この産金業者の立場というのは、採算的に申しまして、非常に苦しいというのが実情でございます。従いまして、産金業者の苦しい立場を考え、又政府としてもできるだけ多く買上げたい、こういうふうな気持がうまくミートすることが一番必要なわけであります。只今の実情から申しますと、相当産金業者が苦しいのでありまして、先ほど申しました三分の一、三分の二というのを半分は政府が買上げる、半分は自由価格で流すということをいたしますのは、とても今の産金業界の実清がこれを許さないものと遺憾ながら判断せざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/54
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055・松永義雄
○松永義雄君 そういたしますと、金が自由販売で自由価格が出て来る、そういうふうでいいのですか。そうすると、金だけがまあ野放図に上つても、それは法律の上では止むを得ない、こういうように解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/55
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056・石田正
○政府委員(石田正君) これは政府が買上げまする場合につきましては、先ほどお話がございました第四条がございますから、政府が買上げるにつきましては四百五円を動かすわけには行きませんけれども、その他のものにつきましては御説のように相成ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/56
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057・松永義雄
○松永義雄君 そうするとまあ米の価格には統制がありますが、金のほうは野放図にしておいても、それでいいのですか、大きな理論的な問題ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/57
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058・石田正
○政府委員(石田正君) これはまあ非常にむずかしい御質問でございまして、何とお答え申上げていいのか非常に判断に悩むのでございますが、まあ食糧というものは、これは国民の生活必需品で、実際問題といたしましてそれは生計費等に相当響くものであります。金のほうについては、これは対外決済用の準備として蓄積するという意味におきましては、特殊な性格を持つておりますが、今のような自由販売の過程を離れた一つの産業用としてどういう値段がつくかということに相成ると思うのであります。この産業用の資材の点につきましては、先ほどからお話がありましたような工合に厚生関係の歯科用の問題、これは大きな問題だろうと思いますが、そのほかの問題につきましては輸出用の問題が次に重要な問題だろうと思います。但しその二つを除いたものにつきましては一般産業用と同じだというふうに見られますし、又中におきましては多少資力のある人が買うということもありますので、そういう点から申しまして米の価格を統制するから必らずしも金の価格を統制しなければならん、米の価格の統制がなくなつたから金の価格のほうも統制をしなくてもいいというふうに、必らずしも産業消費の面におきましては行かなくもいい、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/58
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059・松永義雄
○松永義雄君 そうすると歯医者さんには必要だというので、歯医者さんに対してはそれを買入れる何かの便法が講ぜられておるのですか、例えば切符を与えるとか、そういうようなことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/59
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060・石田正
○政府委員(石田正君) これは歯医者さんのほうの問題につきましては、従来も切符を出しておつたわけであります。今度は自由販売になるわけであります。それで先ほどからもお話がありましたが、今切符を出しておるところの量といたしましては、歯科用の金の占めておる量は相当に多いわけであります。これが自由になつたら歯科用に来んじやないかということが御心配の主なる点だろうと思います。併しながらこれは逆に申しますれば歯科用の金が相当重要な対象をなしておりますが、その需要があれば相当の価格は出て来るかも知れませんけれども、併しその需要がなくなれば金の価格は下るであろう、こういう一面もあります。それが非常にかね合いがむずかしいところでございます。私たちといたしましては、この自由販売にいたしましても、量的に申して歯科用の金が入手できなくなるということは、量的に申しましてそういうことは先ずないのじやないか、かように判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/60
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061・松永義雄
○松永義雄君 そうすると、自由販売なんだから、歯科用には行くのだろう、こういうことも考えられるし、見ようによつてば、自由販売になつたので金を確保して行けばこれくらい安全なものはないのだという考え方も、経済の動きによつては出て来ることも否定できないですね。まあインフレーシヨンの問題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/61
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062・石田正
○政府委員(石田正君) お話の点は、私はまあ現在歯科用の金というものは確保できるものと思うのでありますが、御心配になつております点は、金がみな退蔵されてしまつて、もう市中に廻らんということが起りはせんかと、こういうことを御心配ではないかと思うのであります。私たちは、そういうふうにはならないだろうというふうに判断をいたしまして、こういうふうにいたしておるのであります。併しながら、仮に不幸にいたしまして、そういうふうなことが起るということがありますれば、これは政令の定めるところの量を変えて行くというような問題も又起つて来るのではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/62
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063・松永義雄
○松永義雄君 これでお終いにしますが、今の見通しでは退蔵の虞れはない、こういうことですか、今の経済状態では、金の退蔵をされる虞れはない、こういうふうにお考えになつておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/63
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064・石田正
○政府委員(石田正君) 大体そういうふうに思つております。併し間違つてもいけませんので、これは要するに、どういうふうなところへ金を流したかということにつきましては、始終我々としても見ておらなければなりませんので、これは報告を取りまして、どういうふうに流れて行くかということは見て行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/64
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065・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今松永さんのお話もあつたのでありますが、対外決済の準備に充てるために政府が金を買上げるということでありますが、これはどのくらいの分量を買上げるという大体の方針があるのかどうか。さつきからの話によると三分の一を買上げるということであるが、その三分の一は海外決済の準備に充てる政府の金に該当しているのであるか、金額が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/65
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066・石田正
○政府委員(石田正君) これは日本の対外決済というのは、年間二十億ドルを超えるような出入りをいたしておるわけでございます。従いまして、それから又その受取るほうにいたしましても、支払うほうにいたしましても、相当大きく動くということが実際だろうかと思います。それで日本で採れるところの金がどのくらいあるか、年間まあ我々はここに通産省の鉱山局長もお見えになつておりますので、目測が誤つておりましたら御訂正願いたいと旧いますが、大体二十八年度におきましては九トン程度ということを見込ん広おるわけであります。これはドルに出しますると、一トンが百万ドルちよつとでございまするから、まあ大体一千万ドル見当というふうな数字に相成るかと思うのでございます。従いまして、この金を全部毎年買上げるにいたしましても、日本の対外決済に対する準備をこれによつて万全ならしめるというような性質のものではないのでございます。併しながらそういうもの弔ありましても、ぼつぼつでありましても、対外決済の準備をやるという心掛けは必要でございまするので、先ほど来申上げました産金業界の帯しい立場にもかかわらず、まあ三分の一くらい買上げて参りたい、かような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/66
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067・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それならば、現在政府はどのくらいの金を持つておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/67
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068・石田正
○政府委員(石田正君) 大体貴金属特別会計におきまして持つております金量は大体十五トン程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/68
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069・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうすると、政府は金の産額を年々何とか奨励の方法で増加させようという考えでおられるか。若しそういうふうなことであつたならば、どのくらいの金額を目標にしておられるか。産金の奨励方針を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/69
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070・川上為治
○政府委員(川上為治君) 現在、先ほど理財局長から昭和二十八年度大体どれくらいの産金があるかという話がありましたが、理財局長から話がありましたけれども、九トンは少し多いのではないかと思つておりますが、大体八トンを超えるのではないかというようなふうに考えております。曾つてにおきまして日本内地におきまして一番生産されました時は二十五トンくらい生産されております。私どものほうとしましては、二、三年前に金鉱業の復興対策を政府で決定いたしまして、増産の目標を決めましたときは、大体十トンくらいの生産を至急やりたいというような考えでおりました。現在そういうふうな考えで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/70
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071・藤野繁雄
○藤野繁雄君 これは私の聞き違いかわかりませんけれど、今度の法律を実施することによつて需要が増す、需要が増すということだつたならば、従つて値段は上つて来る。併しながら政府が買上げるところの三分の一の金というものは一定価格で買上げられるのであるか、この点私法律をよく存じませんのでありますが、上つたならば上つた値段で買われるのであるか、その点お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/71
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072・石田正
○政府委員(石田正君) これは今のこの法案の第四条に規定がございますが、そのところにおきまして政府が買入れる場合の価格は、国際通貨基金協定第四条の価格の範囲で主務大臣が定めるとございます。これは国際通貨基金協定に規定がございまして、政府で金を買上げまする場合に、日本の場合で申しまするならば一グラム四百五円ということに相成つておるので、それで買上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/72
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073・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうすると、同じ金でありながら、政府が買上げる場合には四百五円、民間で買う場合においてはそれ以上だと、こういうふうなことであれば、産金業者は政府に売ることを好まないようなことになつて来はしないかと思つておりますが、そういうふうなことで、三分の一は必ずしも産金業者は政府に売らない、三分の一政府に売らないというようなことになつたとしたならば、反そういうなことがあり得るのであるかどうか、その点お尋ねしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/73
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074・石田正
○政府委員(石田正君) これは現在まあ初めは二分の一政府が買上げまして、二分の一だけ産業界の需要に廻す、こういうようなことであつたのでありますが、それでは非常に産金業者としては苦しいという立場がございますので、現在のところでは三分の一を政府が買上げ、三分の二を民間の需要のほうに廻すというようなことで配給いたしまして、五百十五円という価格でやるということにいたしておるわけであります。大体新法案が実施されましても、やはりその量というものにつきましては、大体その見当で参りたいというように今のところ考えておるわけであります。なお将来の問題につきまして三分の一の金の買上げを好まない、もう全部売つてしまうというようなことを業界として望むということは、これは可能性の問題としてはあり得るかと思います。ただその点につきましては、これは需要がどれだけ伸びるかという問題とも関連するのでございまして、業界といたしましては三分の二を売るばかりでなく、もう需要が多々益々弁ずであるから全部これは自由価格にして欲しいというように、需要の伸びることが見込まれる場合には、今のお話のようなことになると思います。大体三分の二ぐらいがいいところで、これがもつと殖やすと値が下一るというようなことで、やはり三分の一は続けて欲しい、こういうことに相日成ろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/74
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075・松岡平市
○松岡平市君 先ほどのお話を聞いて、特に最近の見込みが大体年間八トンそこくだ一難として大体産金があつてほしいのは十トンぐらいだ、只今三分の一を政府が買上げて、あと自由価格にすれば産金業者は従来よりも非常に楽になるわけです。従つて放任して置いても、この管理法案だけで十トンは生産するというお見込みですか。それとも何か産金の方法について奨励の方法を講ずるというような考えを持つておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/75
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076・川上為治
○政府委員(川上為治君) 先ほど十トン目標と申上げましたが、これは三年ぐらい前に金の増産対策を政府で決定いたしまして、今まで製錬設備がございませんものでしたものを、これを復興たしまして、いろいろ例えば探鉱奨励金でありますとか、或いは免税措置でありますとか、そういうような措置を講じまして、その際に目標としまして十トンということで進んで参つたのですが、まあそういう探鉱奨励金とか或いは免税措置とか、或いは復旧設備に対する融資の問題とか、そういうようないろいろな講義じまして、漸く先ほど申上げましたように八トン程度の生産まで上つて参つたのですけれども、現在におきましては先ほどもいろいろ御審議がありましたように、金の価格が非常に低いために、だんだんこの増産計画というものが増産ではなくして、むしろ生産が低下するというような状況になつておるわけであります。これは今年の初めであつたと思うのですが、すでに昔から非常に有名な金山でありました佐渡の金山も廃山をいたしましたし、この十日くらい前におきましては九州の山ヶ野の、これも非常に由緒のある金山でありますが、これも七月一日から休山をしなければならないというような状況になつておりまして、今申上げました、本年度におきましては大体八トンくらいを目標としておるということを申上げましたが、恐らくそれまで出ますか、むしろ現在の状態におきましてはだんだん生産は減つて行つて、休山廃山が相次いで行われるのじやないかというふうに私どものほうでは考えておるわけであります。十トン計画と申しましたのは、二、三年前に金の増産対策を政府で決定しました時に十トンというのを目標にしまして、今日まで価格の面だけではなくてほかの面でいろいろ助成をして参りましたのが、これが大体現在におきまして八トン程度まで生産ができるような状況になつたということを申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/76
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077・松岡平市
○松岡平市君 そうすると、私がお尋ねしたいのは、こういうふうに価格を三分の二について自由価格にすれば、現在だんだん減産になつておるのだが、十トンにはそれだけで引戻し得るというお考えか、それとも更に一段産金の奨励について方途を講じなければならん状況であるか、その見解を聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/77
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078・川上為治
○政府委員(川上為治君) 鉱山局長として申上げますというと、現在三分の一を政府の買上価格で買上げまして、そして残りは自由価格にしましたといたしましても、その自由価格というものが、現在闇価格は先ほど理財局長からお話がありましたように、大体五百七、八十円から六百二、三十円のところだと申上げましたが、その程度まで自由価格のほうが上りましても、なお「政府の買上価格のほうが相当低目でありまして、これに対しましては探鉱奨励金として本年度は一億円を出すことになつておりますけれども、なお相当のその点からはマイナスが出ますので、果して十トンというのが近いうちにそれまで出るかどうか、相当私は疑わしいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/78
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079・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 補足して申上げたいと思うのでありますが、今のお尋ねにつきましては、現在この程度のことをやつても到十底十トンというような生産を上げることはできなかろうということは、我々財政当局としても考えております。これは御承知の通り、一つは国際通貨基金制度との関係がありまして、たしか一昨年と記憶いたすのでありますが、国際通貨基金の決議がございまして、その決議によつて各国の政府或いは中央銀、行が、いわゆる通貨の準備とし或いは対外決済用に保有するものについては、通貨基金の決定したところの価格によつて買上げなければならない。それ以外のものについては若干の制約を外してもいい、こういう趣旨の決議が出たのでありますが、その国際通貨基金の関係から申しますと、今度の金管理法案というのは、まあ私どもの見ているところでは、許され得る最大限度の今やり得る措置なんであります。一方今鉱山局長からも税明がありましたが、一面において日本の国内の産金業者からは、政府も一段と躍進的な補助政策をとつて欲しい、然らざれば産金量を挙げることはできないという、非常に窮境を訴えた意見が常に出ておるのでありますが、予算の上でどうなつているかと申しますと、二十七年度におきましては八千万円の金の探鉱の奨励金を出し薫りまして、これは前国会の参議院の通算委員会においても、決議とまでは参りませんでしたが、全会一致の御要請があつて、これをできるだけ殖やしてくれ、それから金管理法を早く作れ、こういうような御趣旨の御要請がありましたので、それに対する二十八年度の予算には二千万円増加いたして一億円にいたしておるのであります。これとても国際通貨基金のほうの関係を考えますと、補助金というような名目は全然使いませんし、又その金額を多くすることも国際的にいろいろの問題を捲起す虞れがありますので、誠に国内だけの立場を考えれば不十分でありますが、探鉱奨励金を二千万円の増額をしたというだけにとどまつておるのでございまして、これだけは私どもも産金の奨励策としては誠に微々たるものだというふうに考えるのでありますが、今後国際的にいろいろの状態の変化がありますれば、それに即応して、できるだけやはり産金の奨励ということについては、常にいろいろの対策を併せて講じて参りたいと思つておるわけであります。現在の闇価格或いは将来自由価格として生ずるであろうところの価格を以てしては、現在の日本国内の産金事業は到底ペイしないのでありまして、ひどいところによりますと、一グラム八百数十円から九百円ぐらいのコストがかかるという調べも出ておる状況でありまして、この点は将来の問題としてなお慎重に対策を考えて参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/79
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080・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/80
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081・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記をとめて。
午後三時八分速記中止
午後三時二十分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/81
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082・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記を始めて。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/82
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083・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。金管理法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/83
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084・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/84
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085・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
松永 義雄 小林 政夫
青柳 秀夫 成瀬 幡治
松岡 平市 西川甚五郎
三木與吉郎 木内 四郎土田國太郎 藤野 繁雄前田 久吉 岡崎 眞一菊川 孝夫 堀木 鎌三森下政一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/85
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086・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に証券取引法の一部を改正する法律案及び証券投資信託法の一部を改正する法律案を一括議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/86
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087・菊川孝夫
○菊川孝夫君 証券取引法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。
先ず第一条の九項ですが、この法律において証券業者とは、この法律により証券業を営むことができることとなつた株式会社とあつて、今度は新たに株式会社ということになつておるのでありますが、その理由は、なぜ株式会社に限定したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/87
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088・石田正
○政府委員(石田正君) 今の実情から申しますると、大体現在の証券業者の大部分は会社であります。併し現状から申しまするというと、個人でもいけないということにはなつていないわけでございます。個人がやつたら一体どういう弊害があるかということになるわけですが、それで今の証券業者の実情から申しますると、時々工合の悪い結果が起つて来るということで、誠に遺憾に存じておるのでありますが、そういうふうなものがないことを図りまする上におきまして、一番実効がありまするのは検査を励行することだと思うのであります。検査を励行いたしました場合に、会社が株式会社になつておりますれば、帳簿その他もちやんと整備されておることが多いわけであります。個人になりますると、そういう帳簿関係から申しましても、なかなかうまく行かないであろう、それから又個人といたしましているくなほかのことをやつておりますると、どうも計算関係その他がはつきりしないというような実情もございまするので、やはり株式会社にいたしまして、そしてちやんとやつておいたほうが有効なのじやないか、こういうように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/88
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089・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それは株式会社にしましても、実際今の証券業者の株式会社というものは、一般通念からいう株式会社というよりも同族会社的な、単なる形式的な株式会社に過ぎない、実際問題としてこういうのが多いと思うのです。従つてあなたの言われる監督上云々という点につきましても、何ら大した差異がないのじやないかと思うのですがどうですか、その点は一般の株式会社とは……。併しそれはまあ四大証券なんかになつて来ると、多少は違うと思います。多少といつては語弊がありますけれども、少し違うと思いますが、その他の証券会社におきましては、これはもう個人と……、ただ戦後たくさんできました、池田さんがいつも言つた銀座を歩いてみればもう株式会社ばかりじやないかというような、それと同列のような気がするのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/89
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090・石田正
○政府委員(石田正君) 私たちも今度の改正によつて株式会社にいたしましたならば、それでよくなるとは思つておりません。それから又お話のような点は多々あると思います。で証券業者というものが、本当に世間の信用を十分に集め得まして、何ら心配なくやつて行くということになりますまでには、遺憾ながらまだ相当の時日を要するのではないかというふうに心配いたしておるのでありまして、その内容のほうの問題につきましては、我々も又同様に更に一層力を用いなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/90
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091・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると今度は新らしく改正になつたら、どうしても証券業者というものは株式会社でなければならんということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/91
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092・石田正
○政府委員(石田正君) そういうふうでなければ、我々のほうは登録申請を持つて参りましても、受付けないということにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/92
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093・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると合資会社とかそういうものはもう今はないのですか。合資会社とかその他の法人については一切これを認めないというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/93
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094・石田正
○政府委員(石田正君) 現在合資会社は一つあるわけです。合名会社も一つあるわけです。あとは全部株式会社になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/94
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095・菊川孝夫
○菊川孝夫君 全国に一つですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/95
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096・石田正
○政府委員(石田正君) 全国に一つでございます。それからなお今申し落しましたが、有限会社というのが十五ほどございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/96
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097・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それともう一つここでお尋ねしたいのは、商法の四百何条ですか、匿名組合というのが盛んに証券業者と同じような業務をやつているところもあるというように聞いておるのですが、その点についてはどうですか、匿名組合でも大蔵省はこれは商法上手が付かんと言つておるのだが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/97
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098・石田正
○政府委員(石田正君) これは今のお話のようなものは最近問題になつておるようなものをお指しになつておるのではないだろうかと思うのであります。これらにつきましては相当金を集めまして、そうしてその金を非常な利潤を得るような恰好に運用するという建前で金を集めておるわけでありまして、その間におきまして株の値上り等を利用するために、そういう関係で、そういうものが株を買つておるという事実はあると思います。併しながらこれは実態関係といたしましては相当の株の売買があることは認められますけれども、有価証券の売買を業とするものであるというふうには見てないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/98
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099・菊川孝夫
○菊川孝夫君 重ねてお伺いしますが、あなたの今のお話では、株式会社になると帳簿の検査その他非常に便利になつて、大衆投資者の保護を図る上にも便利だ、こういうお話でございますがどころが実際はなかなか……、地方の証券取引所へ参りまして財務局におきまして検査をやつておられるようでありまするけれども、最近極端なのは名古屋で一つ、某証券会社は名義書換その他で証券を預かつたやつを全部それを着服したらしい、或いは銀行に担保に入れてしまつたらしいという事件があつたのを、名古屋の財務局からあなたもお聞きになつたと思うのですが、そういうふうにして、あとで聞いて見ますると大してこれを検査しても何もわからなかつた、そういふ事実が発生するまでさつぱりわからなかつた、これが株式会社にするとよくわかるのだというお話でございますが、どうも前以てわからんであとで調べるくらいの方法しかないんじやないか、実際問題として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/99
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100・石田正
○政府委員(石田正君) 私は株式会社にいたしましたならば必ずよくなるというふうには思つておりません。それから今の御指摘がありましたような工合に、破産いたしましてから結果がわかつて後の祭というような式のものもあることは私も否定いたしません。併しながら検査をいたしまして、その結果処分をいたしまして、そうしてやつておるというものもあるということを御了承願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/100
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101・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それから将来におきまして株式会社ということになりますると、資本金その他について或る程度の制限と申しますか、これ以上の資本金でなければならんというようなことをあなたのほうで制限をされるか、さもなければ奨励指導されるか、こういう点についてお考えであるかどうか、現にやつておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/101
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102・石田正
○政府委員(石田正君) これはやはりこういうふうな工合に信用を相当重んじますものにつきましては、やはり自己資本の充実ということも相当考えなければならんわけであります。従つて現在政令によりまして東京と大阪におきましては最低資本金一千万円ということにいたしております。それから地方につきましては二百万円ということにいたしておるわけであります。我我といたしましてはこれは証券業者の自己資本というものは現状を以て足れりとすべきではなくして、将来又上げて行くように努力しなければならん、かように思つておる次第でございます。それから又名目的な資本金につきましては変えませんでも、我々は機会あるごとに証券会社に内部留保の充実に努めるように勧奨はいたしておるわけであります。ただそれはこの千万円なり、二百万円というものをすぐ上げるかどうかということにつきましては、これは現在業務を行なつておりまするところの証券業者の実情、それから又一般にそういう株式によるところの増資というものに対するところの金融市場における資金の調達の方策とも考え併せて慎重にいたすべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/102
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103・菊川孝夫
○菊川孝夫君 東京、大阪一千万円でその他二百万円というのは、法律で株式会社であればいいということになつておつて、政令ですか、大蔵省令で一千万円でなければならん、二百万円でなければならんという制限を加えるということは、人権上と申しますか、自由というか、法律では株式会社でさえあればいいということになつておつて、大蔵大臣が勝手にそれを二千万円或いは三千万円といつて限度を設けることはおかしいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/103
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104・石田正
○政府委員(石田正君) これは政令できめておりまするけれども、根拠は法律の中にあるわけでございます。第三十一条におきまして、こういう条件を満さないものは登録を拒否する。三十一条の九号のところに、「会社のうち、その資本の額又は出資の総額が、公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認められる金額で政令で定めるものに満たないもの」というような規定になつておりまして、これは先ほど菊川委員から御質問がありましたような工合に、証券会社というものはやはり或る程度の資本金を持たなければならん、持つということが公益に適するのであるというような意味から、如何なる小さな資本でもやれるものではないぞという意味におきましてこの規定ができておるわけであります。ただ政令で定めるということにつきましては、全体の事情というものもございますし、又地方ごとにもいろいろ考えなければならん点もあるかと思いまして、政令に譲つておるというような形になつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/104
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105・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その点でございますが、最近このように、まあ昨日かも声明書として配られておつたのですが、私はいつもこの委員会で申上げまする官庁に対する運動、或いは国会に対する運動のために多額の運動資金と申しますか、供応接待費が使われて、それが非常な金額に上つておるというような声明書を言つて来ておる人がございましたが、又それは事実だと思います。相当ここで、これなんかも法律できめておけば国会ですから、なかなか運動しようといつたつてむずかしいと思うのですが、ところが官庁へ行つて運動することによつて一千万円が或いは二千万円にすることもでき、又五百万円にするというように、簡単に直し得るということになりますると、そういう弊害が生ずる余地があるのじやないかと思うが、なぜ法律でその時々に五千万円以下或いは三千万円以下というふうにして、そういうふうに制限するものなら法律できめておくべきだと思うのですが、そのほうがはつきりしておつていいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/105
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106・石田正
○政府委員(石田正君) これは法律によりまして動かないようにきめるということも一つの考え方だろうと思います。ただ今御質問の点で、役所が適当に額を上下できるような工合に聞えたのでございますが、これは最低限を幾らに定めるかということは政令できまるのでありまして、それがきまりましたら、それから上に行くものはかまいません。けれども下に行くものは絶対にいけないという趣旨でございます。その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/106
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107・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その点については意見がございますが、後で述べることにしまして、第三条の今度は第七号だけ追加された理由を一つお伺いしたいのであります6第三条で前は第五号までであつたのですが、「第七号に掲げる有価証券については、これを適用しない。」というふうになつたのですが、投資信託の受益証券……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/107
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108・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 第三条の第七号と申す規定は、証券投資信託及び貸付信託の受益証券に関してこれを届出の適用を除外するという趣旨の規定でございます。貸付信託とそれから証券投資信託と共に別に根拠法律がございまして、それによつて十分なる監督ができております。従いましてその受容証券に関する内容その他に関しましても公益上の見地から大蔵省といたしまして十分これを監督しておる。従いまして内容自体非常に投資者保護のために必ずしも届出を適用しなくても差支えがないという情勢にあるということ、又これらの受益証券は御承知のように毎月反復して発行されるというふうなものでございまして、その内容は全く同一でございます。従いまして、それを反復して同じようなものを届出るということも事実上必要ないであろう。両方の意味から今回簡素化の趣旨を以ちまして、外すのが適当であるというのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/108
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109・菊川孝夫
○菊川孝夫君 あなたの今おつしやるような理由でございましたら、この投資信託、貸付信託法を制定する際にこれを改正しておくべきではなかつたか。今頃改正するということは、そういう必要ないものなら、なぜその際にその法律の附則その他において常に関係のある部分が直されているべきであるのに、これはなぜその際に直さなかつたのでございますか。その理由、今日まで放つておいて一緒にしよう、こういうようなお役所仕事らしいのでございますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/109
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110・石田正
○政府委員(石田正君) この証券取引法というのは、届出に関しましては非常にやかましいことを申しまして、これは社債であろうと、国債であろうと、何であろうと、皆出すというふうなのが現行法なのでございます。そのために随分迷惑をこうむつておるというふうなことでございまするので、我我といたしましては、そういう届出の簡素化を全般的に講じたい、こういうことが先ず趣旨として出て来るわけでございます。社債につきましては、今日におきましては担保付社債という形で出ております。そのほかの社債というものは特別の法令に基くところの社債でございます。これらにつきましては全部もう届出をやめてしまおう、こういうふうに考えておるわけでございます。残るのは何かと申しまするというと、社債の中で申しますると、転換社債とそれからして今の二つに該当しないところの社債だけについてやろうと、こういう趣旨でございます。株式につきましてはこれより別途あれですが、五千万円未満の株式発行につきましては、これも届出をやめよう、かように考えておるわけであります。それらとの関連におきましてこの貸付信託や或いは投資信託につきましても外そうと、こういう意味なのでございまして、要するに全般的にこの届出制度を簡単にしようということの一環といたしまして実施いたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/110
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111・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ほかの委員会が呼びに来ておりますので、急ぎますので、もう一点だけ一番大事な、この法律案の最も骨子と思われる点をお伺いしまして、あとに譲りたいと思います。
第四十九条の五十五を三十に直すというのは、実際はこの法律案の一番骨ではないかと私は思うのです、ずつと見せてもらいましたところ。而も証券業者は大蔵省に対して猛運動をやつた結果、漸くこれは出されたと、我々はこういうふうに見る。そういうふうにどうも見られる節が多々あると思うのでありますが、これによりまして、今そうでなくてさえも今年の二月頃までは、投資は健全なる投資というよりは投機に走つているという若干識者の批判があつたことは、新聞その他で皆さん御承知だと思うのですが、にもかかわらず、この五十五を三十にするということになつたら、ますます以て投機的な色彩が濃厚になると、私はそう思うのでございますが、五十五を三十にせられました理由を一つ明確にお答え願いたいと思うのであります。理財局長の所見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/111
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112・石田正
○政府委員(石田正君) これは率直に申しまして、証券業界の考え方と、それから我々の考え方とはまあいろいろの点において違わざるを得ないような立場になつておりますことを申上げなければならないと思います。それで証券業界その他におきましては、一部におきまして清算取引をやりたいというようなことを言つておりまするけれども、これにつきましては我々は賛成いたしておりません。併しながらこの現物の取引ということを前提といたしまして、そうしてやつておるうちに、そのときどきの情勢に応じまして、信用取引というものを全然認めないのなら別でございまするけれども、信用取引を認めるからには、国におきましてそのときの事情に応じたところの信用供与額を動かすほうが実際に合つておると思うのでございます。そういう意味におきまして、我々はこれをやつたのでございまして、決してわけもなく、業者のほうでこう言つておるから我々のほうはこうやつたと、こういう趣旨のものでないことだけは一つ御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/112
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113・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それから五十五を三十にしたという理論的な根拠、これは二十でもよければ十五でもよい、極端なことを言つたら四十でもいいのですが、なぜ三十にしたか。これはいろいろな計算をして弾き出されたと私は思う。ただ三十でよかろうという勘ではなかろうと私は思うのですが、どういう根拠でこの三十になつたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/113
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114・石田正
○政府委員(石田正君) 実は私は従来の五十五というのが率直に申しまして、これは必ずしも根拠がないと思うのです。信用供与ということをそれでは半分以下でなければいけないか、もつと大きくするかという一つのポイントだと思う。大体七十というところが弾力性があつていいところではないか。これが八割とか九割とかいうようになつてしまつたら、殆んど全部が信用供与ということになつてしまうわけであります。まあ今までの従来の経験で五十五で抑えてやつて来ておりますけれども、それよりは多少弾力性を持たしても差支えないのではないかというように考えるのでありまして、最も理想的なのはやはり情勢を見て、そのときそれの情勢を判断してやるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/114
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115・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういたしますと、これは四十になつても、或いは二十五くらいになつてもやつてみなければわからん。国会においても或る程度そういう点については修正してもいいと、こういう考えですか。三十でなければならんという理窟があるのなら、これでなければならんと、こういうことで三十と弾き出したのなら、我々はそれに対して反駁的資料を調えて修正しなければならん。あなたの言われるように、大体三十ぐらいでよかろう、或いは四十ぐらいでよかろうということで、これに対する根拠はないと、そう解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/115
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116・石田正
○政府委員(石田正君) この信用取引というのは非常にむずかしいものでございまして、どのくらいのところでやらしたらいいかということは、そのときどきの状況によるのだろうと思います。例えば市場がスペキユラテイヴになつて非常に取引が旺盛を極めておる、相当警戒しなければならんというようなときにおきましては、これは信用取引というのはやらんほうがいいという状況もあると思います。それから非常に市況が沈滞しておる、かまうな場合におきましては、やはり信用取引の中を拡げることが必要ではないかと、こう思つております。それから今のお話の点になりますが、我々は行政上からこの範囲においてゆとりを持つということが必要であろうと思います。今の二十五でも四十でもいいということは、ゆとりを持つということになるから、事業に巾を持ち得るということから結構ですが、それが狭いものにしてしまつたら、或るときにはいいが、或るときには非常に困るというのではいかんのではないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/116
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117・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これは実際問題として、あなたは巾を持たせるとおつしやいますけれども、三十ときめればやはり三十になつてしまつて、なかなか、それ以上ということは、これはむずかしいと思う。実際は五十五だつたら五十五になつてしまつて、これよりも更にこの率が殖えるというようなことはなかなかできないと思うのですが、この条文では、「大蔵大臣が百分の三十を下らない範囲において定める率を乗じた額を下らない額の金銭の預託を受けなければならない。」ということになりますと、大蔵大臣がこれ以上のことをやるということができるのですか、実際問題として。百分の三十というやつを百分の四十ということにできるのですか、「下らない範囲」ということになりますと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/117
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118・石田正
○政府委員(石田正君) これは前の規定とあとの規定と逆になつておりまするので、この今度の新しい改正案のほうは、いわゆる信用供与率を逆に言つておるわけです。今までは信用供与率がこのほうから規定されて五十五ということになつておるわけでございます。ですから、それをそのまま裏を返しますならば、これは四十五となるわけでございます、現行法は。それを三十にしようということは、五十五を七十にしよう、こういうことになるわけでございます。やはりそのくらいの余裕というものはとつておいたほうがいいのじやないか。但しこの基準供与率のほうで百分の七十まで供与ができるものを百分の八十にするということは、勿論できないわけでございます。併し大蔵省といたしましては、今の情勢からいつて、百分の七十というのが限度であるけれども、併し百分の五十五が適当であるということを認めれば、大蔵省としては百分の五十五で抑えておくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/118
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119・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうしますと、大蔵大臣と申しますか、大蔵省の御見解によりましては、或る程度株式の動きをこれを動かすことによつて操作ができるという結果になるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/119
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120・石田正
○政府委員(石田正君) お話のような点はあり得ると思います。要するに市場の状況をこれはもう少しチエツクしたほうがいいのじやないかという場合には、供与率を下げまして、それからやはり今の状況がいいということでありますれば五十五にし、又それからもう少しこれは活発にしたほうがいいとなれば、これは一時的の問題になると思いますが、そういう場合には引上げる、かようなことに相成ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/120
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121・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういたしますと、これは非常にデリヶートな問題だと思うのですけれども、今まででも或る程度大蔵大臣の考え方によりまして、それを引締めたり、或いはちよつと緩めたりすることがこれはあつたかも知れませんけれども、あなたがたのような経験に富んだ立派な人がおられるときにはいいけれども、これをちよつと悪用するということになりますと、すぐ株式市場に影響して来るというようなことになつて、そこに非常に弊害の生ずる虞れが将来において起らないだろうか、この点についてお伺いしたいが、それについては国会としては法律上は別にこの範囲においてやられるのですから、何ら容喙することはできない。業者と大蔵省との折衝によつてやつて行かれるということになりますと、一般投資者と言いますか、投資者はそれによつてあやつられて結局損害をこうむるということになりますね、その危険がございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/121
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122・石田正
○政府委員(石田正君) これは信用供与によりますいわゆる信用取引と言いますか、そういうものが一体株式市場においてどのくらいの力を持つておるかということが、相当実際には問題であろうと思います。これはたとえて言うならば、信用取引によつて全部動いておるというようなときにこの率を上げ下げするというようなことは、これは相当に力を及ぼすということになると思います。それからこれが信用取引が動いておるところの全体の内部における量であります、これは最近大体二割ぐらいじやないかと思つておりますが——二割から一割だと思いますが、それくらいの程度でありますならば、それによつて移動する程度というものもおのずから限定せられるわけであります。なお五十五と申しまするのは、率直に申しまして、実は外国さんが、これが外国におけるところの最もいい程度だというので五十五をば作つたのでありまして、初めからこれはおかしな規定じやないかという声も相当強かつたわけであります。そういう点も勘案いたしましてやつたわけでありまして率直に申しまして、政府としてこれがまあ長い目で見て一番いいのだということで五十五をきめましたものをこの際七十にしようという、そういう趣旨ではないということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/122
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123・菊川孝夫
○菊川孝夫君 あなたの今のお話で、信用取引が占める割合というものは大したことはない。仰せの通り額から言つたらそうですが、実際市場の動きを……僕らは実際の経験はない。新聞を見て、或いは経済雑誌を見ての話でありますが、第一番に目につくのは指定銘柄、言い換えれば平和不動産とか、それから何でしようか、東京海上、不動産、あの二つですが、あれは大抵動いているのは信用取引で行つているのですけれども、これが火がついて来ると、ほかの株にもみんな影響して来るという、こういう実情だから、或いはそれを直接操作することによつて一般にも影響して来ることになるのじやないか、一般の状況を見ておりますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/123
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124・石田正
○政府委員(石田正君) 海上とか、平和不動産などをお考えになつてのお話かと思います。あういういわゆる花形株、そういうものをシテ株と言われていますが、あういうものがあういうふうな量において取引が行われることがいいか悪いかということにつきましては、我々も一応の見解を持つております。併し役所といたしましてそういう取引がありましたときに、このくらいの量にしなければいけないとか何とかということを、全体の上からいたしまして申上げるのは如何かと考えております。なお問題の焦点は、海上や或いは平和不動産というものが、全部信用取引で動いているかということは、大部分のものがそうじやないかということでございますが、我々のほうで見ておるところでは、一般のものよりは率が上つておりますけれども、大体三割くらいじやないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/124
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125・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これで一応私保留しまして、逐条的にたくさんお尋ねしなければならん問題もあると思いますが、ほかの委員もおいでになりますから、又次の機会に逐条的にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/125
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126・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの菊川委員の御質問にもあつた第一点の、株式会社にこれを制限するということは、前に第何国会でしたか、この証券法改正のときに、私も質疑の過程においてだめを押した。一体個人を今後ずつと認めて行くのか行かないのか、認めるべきじやないかという発言で、当分個人を除外するという意思はない、こういう答弁であつたと思います。それで株式会社が信用が高くて、個人が信用がない、こういうことじやなかろうと思います。あなたのほうが監督する立場において帳簿を見たり何かするときに、株式会社のほうが便利だということがあるかも知れません。個人にもその所定の漢察して、これこれの様式の記帳をせよ、こう言えば済むことであつて、なぜ株式会社に制限したか、実質的に税法との観点から言つて、法人成りの現象は自然に起つて来ており、放つておいても株式会社化する傾向にあるのであるから、殊更に株式会社でなくてはこの証券業は営んではいけないということは、こういうことは言う必要はない心どこにあるのですか、もう一度御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/126
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127・石田正
○政府委員(石田正君) これは一般論で申しまして、個人と株式会社とどちらが信用があるのか、的確なのか、これは私はむずかしい問題だと思います。なぜそれじや今度証券業者につきまして株式会社という形態をとつたのか。これはひとり証券業者ばかりの問題じやないと思います。大蔵省所管の事項にいたしましても、銀行とか、信託会社か、いろいろなものがございます。そういうものは、大体株式会社ということを基本としてやつておるわけであります。我々のほうといたしましても、証券業者というものは銀行や信託会社と同じような信用のあるものになつているかどうかというと、私率直に申しまして、それまで行つてないと思います。我々証券のことを預かつておるものといたしましては、業者自身これをそれくらいなところに、あらゆる機会をとらえて形式的にも内容的にも持つて行かなければならないということを理想としなければならないと思います。何と申しますか、従来の証券業者は、相場師であるということを以て誇りとしていたような傾きがありましたが、やはりそういうものじやなくて、証券の流通につきまして着実な媒介をして行く、こういうような気持でやつて行くということがいいのではないか。それが一つの理由でございます。
それからもう一点は、先ほど菊川委員から質問がありまして、資本金などにつきまして或る種の限度を設けて行つたらどうかというようなお話もありまして、まあそれがいいか悪いかということは問題がございますが、我々としましては、逐次資本金というものの額をきめまして、あの通りもつて行きたい。そこで個人が証券業者をやつておられますような場合に、一体資本金とは何だということを言つてみますと、実に捕促がむずかしい点がございます。この人は資産があるからいいというような工合に行つてよろしいかどうか。それからいろいろ問題が起りました場合にどうなるだろうということにつきまして、これは頭をひねらざるを得ないという実情もあるわけでございます。
以上先ほど申しましたような点から考えまして、これはやはり銀行ほどではないにしましても、漸次そういう方向に行くということで、株式会社にしてやつたほうがいいのじやなかろうかということを考えまして、提案申上げまして御審議を願つている、かような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/127
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128・小林政夫
○小林政夫君 アメリカの証券市場の実情も、却つて個人のほうが信用の高いデーターもある。そういう点から言つて、今お話のような点もあります。ありますが、これは要は株式会社にしても個人にしても経営者なんです。問題は、株式会社なら役員を替えればいいということになつて来るが、個人は一旦しくじつてこの法令によつて処罰を受けたらもう再起不能だ。こういうことで業に対する責任の痛感というふうな点から考えても、あながちあなたの言われるように個人の信用薄きものとして全然認めないのだというような恰好にすることがいいかどうか。放つておいても法人並みの現象が起つているのだから、故意に殊更こういう株式会社以外は認めないという法制の建前で行くことの可否については、これはこれ以上言うと議論になりますが、アメリカでも個人のほうがむしろ信用を得ているところもあるし、そういうところから考えてこれは相当考えるべき問題だと思うのです。
それから今度取引所を免許制にした点ですね。免許制にした理由、それを一応伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/128
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129・石田正
○政府委員(石田正君) 現在の建前から申しますと、御承知の通り取引所は取引さえすればよろしい。登録すればよろしいということになつております。これは併しながら証券業者の場合と多少違うのじやなかろうか。取引所というものができますためには、やはりその地方におきまして相当な証券の取引が行われるということを前提としなければいけないのじやないか。勿論証券取引所がたくさんできまして、そうしてそれがたくさんの取引をやつて行くということが望ましいことであると思いますけれども、そういう実体を備えていない、或いは備える見込のないというところにおきまして、まあ何と申しますか、率直に申しますれば、一つの例から申しますならば、ほかとの権衡上というような形で簡易にできている。有力な業者も余りなければ、取引も少いということのために、取引所ができて却つて変なことが起るというようなことがあつても困るのではないかというふうに考えまして、これは我々が一応審査して、いいというものだけその設置ができるようにするというのがいいのじやないか、かように考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/129
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130・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、将来今ある取引所以外に取引所は認めたくない。成るべく現状のままで今登録している取引所よりも取引所の数を殖やさないという意図を含んでの免許制と考えてもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/130
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131・石田正
○政府委員(石田正君) これは将来の見通しの問題になると思います。将来の見通しといたしましては、私はもうこれから認めないのだということを申しますのも独断かと思います。何故こういうようなことを我々が今あれしているかということは、今でも相当無理なところがあるのじやないだろうか。これから先出て来るということになつて登録するということになると、ますます無理なところが出て来るということは、結果的に言つて余り思わしくないのではないかというふうに思いまして、こういう規定をやつたわけであります。従つて現状のようなまあ証券界の状況というものが続く限りは、やはり免許制で行くべきではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/131
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132・小林政夫
○小林政夫君 余り取引所を地方都市に分散させないで中央集中的にやつて行く、こういうことのようにも思えます。そうなると現在は証券界は停滞している、相当まあ不活溌な動きを示している、将来証券市場は相当活溌になつて来ると思いますが、東京都等において今の取引所以外に性質の異る第二取引所というようなものを考えられるのですね、扱う業者のクラス等についてもそういうような点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/132
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133・石田正
○政府委員(石田正君) 私たちこの地方におきますところの株式、その他の取引所につきましては、財務局その他を通じましていろいろ調べもいたしたりしているわけであります。それから地方と申しましても、有力なる証券会社が、いいか悪いかは別問題としても、相当出ているということでそれらの取引を扱つているものも地方に相当ございます。それを一々東京とか、大阪というところへ持つて来なければならないということを考える必要はないと思います。その地域々々におきまして、どのくらいの取引が現在行われているかということが私は問題の中心になるだろうと思います。従いまして、そういう何と申しますか、非常に活濃になつたのがございます。東京とか大阪とか名古屋とか、大都市だけで清澄になるのではなくて、最も地方におきまして清澄となる、而もそれが相当恒久性を持つて来るということになりますれば、これは又そのときの状況によつて考えなければならないと思います。
それからお尋ねの後段でございますが、現在の取引所につきまして、第二取引所を作るというようなことでございますが、これは先ほど来アメリカの例もございましたが、日本の実情というのは多少違うのではないだろうか。どうもその第二取引所という名前は使いますけれども、第一取引所においてやる取引の制限というものを外して、まあ野放図というと語弊があるかも知れませんが、あるがままにやろうという意図がありまする場合等におきましては、そういう第二取引所というものは認めるべきじやない。飽くまでも現在の第一取引所というか、一つしかない取引所を育成して行くということのほうが本旨ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/133
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134・小林政夫
○小林政夫君 取引所を免許制にしてそういう監督を強化したということなんでずが、先ほどの四十九条の菊川君のお尋ねした信用供与について成るべく弾力性のある巾をもたしてやつて行くという建前から、菊川君の意図とは多少ちがうかも知れませんが、取引所に自主的に、これは往々証券業界というものは変りがあるのですが、一応供与率というものを大蔵省のほうで監督するといいますか、例えば取引所で三〇%をきめた、それがそのときの情勢上少なすぎるというときには、四〇%或いは四五%にするということであなたのほうが訂正命令を出し得る、訂正措置をなし得るということにして、成るべく業界というか、直接タッチしている業界の自主性を尊重する意味において、そういう規定の姿にして行くということは考えていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/134
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135・石田正
○政府委員(石田正君) 今度の改正は弾力性を持たせようという意味でやつたわけであります。で大蔵省が例えば信用供与率を省令によりまして五五%ということをやつておりますが、それがまあ業界の事情で七〇%がいいのだということでありますれば、法律の限度一ぱいまで私は持つて行つていいと思います。本当の気持から申しますると、七〇%ぐらいにやつておつて、あとは自主的にやらせるということもこれは将来の方向としてはそう考えるべきだと思うのであります。つまりまあいろいろ業界畠しまして複雑でございまするので、やはり役所が抑えなければならんという点もまだなきにしもあらずであろう、かように考えまして、今のところではそういう方向で暫く実施いたして行きたい、かように思つております。まあ役所は成るたけ世話をやかないで、実態に最も即したところでやつて頂くのが私はいいと思います。根本問題としては。併しまあ何から何までそういうふうにしていい実態になつてるかどうかということは併せ考えなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/135
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136・野溝勝
○野溝勝君 二、三お伺いしたいと思います。なかなかこれは婆な内容に亘る法律案でございまして、事いやしくも金融にも関係を持つておる法案でございますし、簡単にはそうこの審議ができるものではないと思います。でありますから、今日は私二、三点だけお伺いいたしまして、逐次質問をいたしてみたいと存ずるわけであります。
先ずお伺いいたしますのは、一体この法案を見ますると、公共性のあるということを強くこの提案理由の中に誰つておるのでございますが、併し、この公共性に鑑みましてということになつておるのだが、そうすると、今公共性ということを発見されたのですか、元から公共性ということを認めておられたのですか、こういう点を一つ先ずお伺いしておきたいと思います。というのはですね、石田さん、特にこの法案に三カ所も公共性々々々と託つておるのですよ、その公共性に鑑みてということでこの法案を出されたようですが、今までは公共性でなくて非公共性であつたかどうなのかということをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/136
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137・石田正
○政府委員(石田正君) 今のお話は、主として投資信託法の改正のはうの問題でございましようか、証券取引法のほうの問題でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/137
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138・野溝勝
○野溝勝君 投資信託法もですし、証券取引法の中にもそういう点が謳つてあるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/138
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139・石田正
○政府委員(石田正君) では両方に亘りましてお話申上げます。これはまあ証券業といいますか、というものは、大衆のための有価証券の流通を媒介するものでございます。取引所と申しますのは、その売買の場でございますから、これは公共性は初めからあるわけであります。この公共性が今忽然として生じたという次第ではないと思つております。今までは公共性がなかつたか、今度公共性が出て来たかとお叱りを受けましたのは、これは用語の使い方がまずいのでございまして、その点はお詫びいたさなければならんと思うのでありますが、そういうような気持で我々はおるわけであります。まあ二つの法律がございますが、特に投資信託のほうの問題につきましては、これは更に一層公共性の強いものだと我々は考えておるわけです。証券業者のほうは、お客の依頼に基いて売買の仲だちをするということが大体本来考うべき方向であろうと思うのでございますが、その点につきましては、まあその間にインチキ相談があつてはならないということが特に要請せられることだろうと思うわけであります。投資信託のほうに相成りますと、これは売買の媒介をするのではなくして、お金を扱つて代つて運用をしてやろうというのがこれは主でございますので、これは更に一層公共性が強いものである、かように考えておるわけであります。今度の証券取引法及び投資信託法の改正につきましては、非常に複雑な条文になつておりまするのでございまするが、要約して申しますると、証券取引法のほうにつきましては、業者の欠格条件を少し強くする、それから取引所につきましてその監督を強化する、これがまあ公共的な立場から強く監督をするという面でございまして、それと同時に証券取引法のほうにおきましては、届出の簡素化その他につきまして、民間の手数を省こうということで、これ又大きな狙いになつておる次第でございます。投資信託のほうにつきましては、これは大体一律的に申しまして、受託会社に対するところの取締を強化しようということを狙いといたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/139
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140・野溝勝
○野溝勝君 投資信託法に関しましては暫くおくといたしまして、今の石田さんの御説明によりますというと、なかなか重大な、何といいますか、機関でありますし、且つ又これの影響が大きいのですから、いずれも公共性があるものとして今日までそういう考えで来たと、こうおつしやる。だとすると、この第二の点ですね、提案理由の弱体業者の濫立を防ぐというのですが、先ほど菊川並びに小林委員からも説明になりました第四十九条の内容と思い合して見ますると、一体弱体業者というようなものをなぜ今日まで認めて来たのか。公共性ということを指導機関なり行政機関がそれを承知しながら、さような弱体業者が今日まであつて来たことは、すでに私は承知しておつたと思うのです。してみますれば、ここで弱体業者を認めて来るという……又今日まで公共性ということを感じておつた行政指導機関なら、かようなものをなぜ今までさような扱い方をして来たかという点が一つ。更にお聞きしたいのは、あなたの提案理由でお示しになりました弱体業者とは如何なるものを指すか、その内容、性格について一つお聞きいたしてみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/140
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141・石田正
○政府委員(石田正君) この証券取引法なり投資信託法というもので、今のお話では証券取引法についてのお話なんですが、これは成立ちを率直に申しますと、司令部時代に向うの意向が非常に入つて、そうして自由企業ということを前提といたしましてこういう法律ができたわけでございます。その中におきまして、特に業者につきまして遺憾な問題が起つて来るという理由を尋ねてみますると、皆勝手に誰でも証券業を営み得る、役所に届けさえすればいいのだということが、相当大きな原因となつているのではないだろうかと率直に思うわけであります。それから又、併しそれじや誰でもできるのかというと、そうではなくして、まあ欠格条項と申しますか、受付けない条項もあるわけでありまして、従いまして、そういう点についての配慮が全然ないとは申しませんけれども、どうも今までの実際からみますると、不十分な点があるのではないかということを我我は感じているわけであります。それを直しますところの方法といたしまして、非常に思い切つてしまつて、証券業というものは皆、免許を受けなければできないのだというような行き方で行くか、それとも現在の欠格条項と申しますか、それを補強して行くという方法で行きますか、二つ考えられるわけでありますが、我々としては、今の段階においては先ずこの登録拒否の原因となるべきところの事項を殖やして行くということが第一ではないかと“うふうに考えた次第でございまして、そこで弱体業者と申しますと言葉がどうも穏当でなかつたような気もいたしまするけれども、いろいろ破綻をいたしておりまするところの現れて来た塗を見ますると、結局資産内容が非常に悪くなつてしまつて、そうして要するに支払能力がないというような実態が起つて来るということが一番多いわけであります。そこで今度の点につきましては、まあ途中においていろいろと失敗をいたしまして、そうして内容が悪くなる、こういうふうなものを絶無にするということは、率直に申しまして我々の力の及ばないところでございますが、一番初めに申請をいたして参りました場合に、まあ初めから設立に関する費用等はかかるでありましようけれども、資本金に対しまして、そういう費用を考えてもなお内容が悪くなつているというような状況があるものは、これは拒否したほうがいいのではないか、こういうふうな考え方をとつた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/141
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142・野溝勝
○野溝勝君 そこで石田さん、これはざつくばらんの話でありますが、公共性公共性と謳つておりますが、それほど社会性、公共性を持つておるということでありましたら、今まで非常にこの有価証券の問題は、たびたび国民間に大きな問題を投げかけて来ておつたことをお認めになると思う。というのは、特に先般問題になりました白木屋乗取り事件、乃至は渋沢倉庫の事件、こういう問題なども非常に株式市場と、それから一つは証券取引関係との間に、何とかならんものかということで非常に心配し、本委員会においてもこの問題が取上げられたわけであります。そのときに証券業者のいわゆるあなたの言われる、本法案で言われるところの有力なる会社、弱体会社ではない、逆の有力な会社と言われるお歴々がここに来て、委員の質問があつた。そういう問題について一つ取引所の代表者たる皆さんにおかれては何とか公共性に鑑みて、一つかような社会不安を処置する方法はないか、善処する方法はないかという質問に対して、どうも株の売買をしているところでございますから、多く株を持つた者が株式の代表者になるということまでは何とも言えませんという意見なんです。私はその解釈は、現在の株式乃至は取引所の考えといたしては、これはいたしかたないと思うのです。そういう意味で私の考えは、この公共性というのは、資本主義的公共性であつて、これは一体国民的公共性には当らんのですよ、私の考えでは……。ですからそういう点から、あなたがまともにこの公共性、社会性ということを考えますならば、私は却つてこの取引をするところの国民感情といいましようか、その取引の相手方の不安のないように、運営的措置を織込むような法案を具体的にこの中に入れるべきだと思う。然るにこれを見ますると、公共性の連発は三カ所も四カ所も見られるのですが、特定の取引所の有力者を支援するということに重点が置かれている。一体そういうような一般的な取引の対象となるべき国民との間における問題の処理等につきましては、具体的にここに規定されていない。こういう点は私は意見に亘りますが、誠に遺憾と存じます。そこでこの点を一つお聞きしておきたいのでございますが、この法案の改正の趣旨の中には、さようなことを深く考えておられて、この法案を出されたのですかどうですか、一つこの点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/142
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143・石田正
○政府委員(石田正君) 非常にむずかしい御質問でありまして、どういうふうに答えましたら御質問の趣旨に沿いますか、迷う次第でございますが、この証券取引法と申しまする法律が、これは根本的なものといたしまして、個人なり或いは会社なりが、有価証券の売買をやる業者じやございません。一般に個人が売つたり買つたりする、そういう場合におきましては、それは自己の危険の負担においてやるのだということを建前といたしておるわけであります。要するにこの逆に、これを業者のほうの立場から申しまするならば、業者が自分で以て自分の勘定で売つたり買つたりしたところの損益金は当然自分が負うべきでありますが、お客様の売買を媒介いたしました場合におきまするその負担と申しますか、危険と申しますか、それはお客さんのほうで持つて頂くのだということが根本になつて現在の法律というものができていると私は思うのであります。従いまして、そのお客さんの売つたり買つたりするものにつきまして、お客さんが得をしたり損をしたりいたしました場合の危険まで、証券業者が負うとか、或いは国家がそういう場合の補償をするというようなことは、この法案の全体のあれとしては考えておらないという点がございます。それは御満足いきますかどうか知りませんが、そういう内容になつているということを申上げたいのでございます。
それから第二点に証券業者でございますが、証券業者につきましては、これは我々は証券業者と接触をしておりまするから、証券業者に対しまして、今著いろいろな例を挙げてお話になりましたが、如何かと思われるような取引については、まあ成るたけ自制して欲しいということを要望いたしております。併しながらこの取引について、それを政府が或いはやつぱりこれはやりなさいとか、これはやつてはいけないぞとかいうふうな一般的なことをしようという意図は、この中には盛込まれておらんわけであります。株式のことを我々が見ておりまして、非常にむずかしい点は、取引というものが売手と買手に分れておりまして、大体この売手が得をするか買手が得をするか、どちらが損得かというような形で互いに敵対関係にあるということが実情でございます。従いまして、政府が何かいたしまするということは、結果的に言いまして、売手か買手かどちらかの肩を持つという結果、どちらか得をするということが起りがちなのでございます。従いまして、我々はやはりまあ政府といたしましては、取引の内容に立ち入つてどうこうというふうなことは、一般的には差控えるべきものである、かように考えます。ただ悪質なるところ取引、例えば仮装売買をやるとかいうことでありまするならば、これはいけないということが言われておりますが、実際やつておりますところの取引に対しまして、それがいいとか悪いとかいうことは、一般論といたしまして避くべきじやないか、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/143
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144・野溝勝
○野溝勝君 これは石田君、それは別に商法とか取引業法というような関連において私は質問申したのではなくして、この法案だけから考えるというと、それは取引所を中心としておりますが、実際においては国民の福祉経済ですからね、問題はやつぱり国民の福祉経済から出発しているのですよ。ですから、そういう点から見るならば、取引所に対する内容並びに運営等に対して改正法案を出すということも結構だが、同時に私から言えば、やはり有価証券なら有価証券というものはこれはやはり国民が扱うのですから、そういう点については、やはり商法との関連において通産省あたりとも十分相談をして、そうして国民の福祉経済に副うような法案として出さなければならんというのが私の考えなんです。そこでこの取引法を出すときに、そういうような考えを持つて通産省あたりの、なんといいますか、商法との関係においても検討し合つてこれを出されたのですか、そういう点を聞いておきましよう、参考に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/144
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145・石田正
○政府委員(石田正君) 御質問の御趣旨がよく私先ほど申上げたように呑込めませんで、誠に恐縮ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/145
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146・野溝勝
○野溝勝君 いや、わからなければ言いますよ。国民生活との関係の問題で、特に福祉経済に必要な問題ですよ、取引でも何でも経済に関係したことは。大体において株式の問題は商法でやるべきものでしよう。それでそういう有価証券を扱うような問題に対してはそういう関連において問題を考えなければならん場合もあると思うが、そういう点について考えられ、その対象となる商法の問題については通産省あたりとも打合せをされたことがあるかないか、こら言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/146
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147・石田正
○政府委員(石田正君) これは、商社の問題は主として法務府がやつておりますから、商法自体の規定につきましては、これは法務府と勿論我々は打合せをいたしております。それから御趣旨の点は、通産省との関係と申しますというと、先ほども具体的にお述べがございましたけれども、例えば会社乗取り事件というようなものがあるそれは通産省としては好ましいことであるか、好ましくないことであるか、通産省がそれは好ましくないと言うときにはこれをとめるというようなことができるようにこの法案の中に織込んであるかどうか、こういうような御趣旨でありまするならば、そういうふうな規定の趣旨はこのうちに場はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/147
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148・野溝勝
○野溝勝君 別にそれをあるかないかということを私も具体的に聞いたのではないのですが、今そういうことに対してまでの内容をここに規定してないというお話ですから、その問題はそれでわかりました。
次にお聞きしたいことは、株式取引につきましては、従来のような思惑的なことを余りさせないようにして行きたいということを先ほどちよいと聞いたのですが、併し実際においては行政府としてはいろいろ善処されているかもわからんが、そのあなたのおつしやることと、事実株式界における動きというものとはそんななまやさしいものではないので、大きな変化をしているわけですから、そういう点について一体政府の考えているこの取引法によつてこういう大きなる変動なり、大きなうねりを持つている動きに対して、この取引法というものはどういう一体力をこれに持つているものか、又はどういう一つの影響を持つものか、又は影響が全然ないのか、一つこの点を明らかにしておいて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/148
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149・石田正
○政府委員(石田正君) これは今野溝先生から、証券業界の実態というのはそうなまやさしいものではないというお叱りを受けましたが、我々といたしましても、必ずしもその点証券界というものはもう心配のないものだとは毛頭考えておりません。実際の行政の問題につきましては、そういう点をできるだけ早く直して参りたい。かように思つているわけでありまして、過般来いろいろ新聞紙上等を騒がせましたヘタ株の問題にいたしましても、我々といたしましては断固たる処置をとつた。そのために非常に市況を悪化させたという非難を受けましたけれども、悪いものは悪いとしてなくすという方向につきましては務力いたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/149
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150・野溝勝
○野溝勝君 今日はあとで懇談があるそうですから、もうあと一点だけ聞いて、又後日に譲りますが、一体いわば日本における金融業は、まあ矢でも鉄砲でもなかなか動かないというこの金融業者を日本政府の弱体によつて監督するというようなことはこれはできますかな。私は監督するならば監督するらしく、全く法律の上に具体的に本当に規定でも置かなければ、ただ抽象的な、制度をなにするとか、或いは免許制度にするというようなことで、いやしくも何と言いますか、挺子でも動かないようなこの株式取引所の諸君をさようなことができるかどうか。私は実際不安ですよ。一体ここに監督規定を整備しなければならんと書いてありますが、この監督規定の整備と言いますか、この内容を見ると、大したことはないのだが、どの程度一体抑えて行けますか、弱体業者は或る程度抑えられるが、この弱体でないほかのものは、有価証券を余り保管している場合は早く返させるようにすると言うが、実際問題として、失礼でございますが、なかなか手がそこまで届かないと思いますが、そういうようなことに対してどういうような監督を具体的に打ち出すか、この法案だけではわかりませんから、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/150
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151・石田正
○政府委員(石田正君) 非常なお叱りを受けまして、私ども非常に無力であつたと思つておりますし、反省してできるだけのことをいたしたいと思います。具体的に今私から率直に申上げますと、証券業界のほうに関与いたしましてからタッチいたしておりますが、相当間違いもありますし、思い違いもあると思いますが、その点は御了承願いたいと思います。大体まあ今までの間といたしましては、業界から言つて参りますことにつきまして、筋の通らないようなもの、或いは多少一般の社会の感覚とは違うような面というようなものを是正して行くということが私は根本ではないかと思つております。あらゆる接触の機会を通しまして、私率直に申しまして、この仕事をやつて行くのに、私も率直に申して素人でございますが、素人が見てもおかしいことを、これは専門的なことだからやつて行くのだという考え方は或る程度反省をしなければいかんのじやないか、みんなが、余り知らない人でも納得するような考え方に業者自身も変つて行くということが大切ではないかとやはり思つております。
それからこれは接触面を通じての問題でごまますが、それはいろいろな具体的な希望意見の陳述その他の場合に起る例でございますが、もう一つは何と申しましても検査をよくやるということであると思います。検査をよくやりまして、そうして法令に抵触している場合は勿論のこと、一般常識から申しまして如何かというものにつきましては、これは警告を発して漸次そういうことを行わせないようにする、そういうことが必要な面が相当ありはせんか、そういう面においてまあ短い間でございますが、努力をして参りましたし、今後も努力をして参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/151
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152・森下政一
○森下政一君 証券取引法ですが、先刻来大分問題になつているのですが、この法律ができたときの記憶を呼び起して見ると、証券民主化というか、何かそんなようなことで特に政府は非常に提唱して、比較的安易に証券業者などというものは作られる。証券業を営むことができる。当時、だからこの法案を審議したときに、それでいいのかということが大分委員会で問題になつたようなことがあつたように私は思うのです。それを今度は弱体業者の濫立を防がなければならんとか、今野溝さんの指摘するように、公共性を守るためにいろいろ改案するということが提案理由になつているわけですが、思うに過去五カ年の実績に徴して見てやや濫立に陥つたのだ、こういう弊害があつたのだ、こういうふうに当事者に対して迷惑をかけたのだ、というふうな事実があつたのだと私は思うのです。だからそういうことを、実はこういう改正をしなければ、こんな弊害が起つたのですということをざつくばらんにここで説明してもらうと、改正の必要がより一層我々に了解できるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/152
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153・石田正
○政府委員(石田正君) これは何と申しますか、今の実情で申しますと、具体的に数字を以て申上げる段階ではないと思いますが、私がこれをやつて見ましても、例えば去年の暮あたりから今年の初めにかけまして、投資界が非常に景気がよいということでありますると、どんどん会社ができてくる、景気が悪くなると破綻を来たす、こういうふうな問題が切実に感ぜられるわけであります。そこでそういうふうなことがないためにということをまあ役所的に考えますれば、これは免許制にして締つて行くことが一番いいじやないかというような考え方もできるわけであります。併しながらそこまで飛躍するということはいろいろな面でもつと考えなければならないというふうな工合に思つております。
それからまあ現在の数にいたしましても、証券業者というのは全国に亘りまして八百五十近いものがあるわけでございます。これが一体多いのか少ないのかということが常識論としての問題であろうかと思います。ただ、併しこの問題につきましても、やはり証券業者というのが、我々が見まして非常に感じまするのは、我々の大蔵省の中の行政におきまして、銀行とかああいうふうなものと比べて非常に感じまするのは、非常に内容が違つておるということであります。大きなものは純然たる金融機関に匹敵するような実力を一持つものがあると同時に、地方等におきましては、貸金業者にも及ばないというようなものもあるわけでございます。地方なんかの事情によりましても非常に違つておりますので、これらのものを一率にやつて行くということが非常にむずかしいという内容をもつておるわけでありまして、従いましてその点から申しましても、免許とか何とかというふうなところまで行くということはむずかしい事態になつておるというふうに考えるのでありまして、まあ今森下委員からも御指摘がありましたが、やりたいものはやりたいもので何でもやらせて、証券民主化ができるというような考え方については反省をしなければならないのじやないかという考え方を率直にもつておるわけであります。具体的な方法としてどうなるかということになりますと、余り急激なことはすべきじやない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/153
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154・森下政一
○森下政一君 私のお尋ねしているのは、過去五年間の実績から言つて、こういうふうに証券業者がつぶれました、或いはこういうふうにそのために投資家に迷惑をかけた、そういう具体的な事実がたくさん重つているのじやないですか。若しあるならそれをあなたのほうは知つておられるはずなんですから、実情はこうなんだ、だからこれじや困るのだという事実をここにさらけ出されるほうが、成るほど改正の必要がある、この改正の仕方が妥当であるかどうかは、これからの審議のやり方ですけれども、必要の有無ということははつきりするのじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/154
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155・石田正
○政府委員(石田正君) 先ほど八百五十ばかりの業者が今存在すると申しましたが、実際にできました会社は過去五年間におきまして千三百六十あるわけであります。それが今八百五十しか残つていないのでありますから、従いまして五百ぐらいのものが、四割がつぶれたというような計算も出て参るわけでありまして、これはどうしても困るというのが、我々の何とか防止できないかという点は率直に言つてその点からも言えるのじやないかと思います。
それから具体的にどのくらいの損害を起したかという問題になりますと、やめたものの中には恐らく大体工合が悪いからやめたんだと思いますけれども、本当に迷惑をかけてやめたものと、大して迷惑をかけないでやめたものと両方あると思います。それから大蔵省で、こういうものは銀行などと違いまして免許制ではございませんから、悪いものは検査して登録の取消しをしてつぶすということはありますけれども、そうでなくて一般的につぶれて参りまする場合にどういうふうにあとの処理をするかということにはタッチしていないわけであります。従いまして、実害としてどれだけのものが大衆に加わつたか、こういう点につきましては、遺憾ながら正確に申上げる数字がございません。ただ、今申しましたような規模からいつて、相当何といいますか、他に影響を及ぼしたであろうということは推察できるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/155
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156・森下政一
○森下政一君 その四割がつぶれたという中で、顧客に対して、投資家に対しても迷惑をかけずに、みずからやめようと思つてやめたというのはどれくらいの割合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/156
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157・石田正
○政府委員(石田正君) これは今の数字の中でやめたもので一応分けて見ますると、要するにこれはいかんという役所で取消したやつ、これが百七十くらいあるわけです。それから廃業したのが三百五十ぐらいあるのです。そういう実態になつております。だから取消しをしたものについては大体内容が悪いか、それから法令違反等をやつておりますとか、そういうようなことで取消したわけでございます。それから廃業をしたものにつきましては、一応の推測としては業況が悪いからやめたんだと思いますけれども、中には取消しをするかどうするかというきわどいところで廃業をするというようなこともございますけれども、大部分は自発的な廃業が多いのでございますから、それらにつきましては、どれくらいの迷惑をかけたかということにつきましては、捕捉できないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/157
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158・森下政一
○森下政一君 私は一体こういう方面には素人でよく知らんのですけれども、証券業者というものは忠実にお客さんの言うなりのことをやつておれば、手数料が確実に儲かる商売であつて、損のない商売ではないかと私は思うのですが、それがつぶれていかんというのは、自分の思惑でつぶれるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/158
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159・石田正
○政府委員(石田正君) これはまあ要するに手数料の問題が根幹のものです。始終あらゆる面で証券業者の手数料が高過ぎるじやないかという議論があるということは、これは手数料で相当ペイして行くということが根幹になつていると思います。ところが業者と申しましても、今八百五十もありますから、率直に申しますと、ピンからきりまであるわけです。あるものについては、これは手数料だけで余裕綿々たるものがあるわけです。或るものは手数料だけではとてもやれない。小さなものになると、売買専門でなければ初めから採算的に成立たない、こういうこともあるわけです。そこで今申しましたような工合に、つぶれましたものは大部分が小さなものでありますから、従いまして要するに株の売買等においてうまく行かなかつたということだと思います。併しそういうふうなものは手数料だけでやつて行ける種類のものであるかというとそうではないので、むしろ売買で儲けることのほうを相当主眼にしているところではないだろうか、かように考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/159
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160・森下政一
○森下政一君 これは私は素人の議論をしてあなたがたから笑われるかも知れませんが、一体みずから売買して思惑をやつて、先で大いに相場が上るから大いに儲かるというようなことを主眼にしている証券業者なんていうものを大体作ることがよくない。そうではないですか。投資家を本当に保護しよう、証券を民主化しようというならば、本当の手数料だけで商いをして行くのが証券業者である。だから自己の計算で思惑で売買をやる。そうして自分がつぶれてたくさんの投資家に対して迷惑をかけるなんていうものを営業さすことがいかんのである。そういうものを第一できないようにすることにせんと、法の精神であるところの投資家を守るとか、公共性を擁護するとかという目的を達成せぬことになるのじやないですか。そんなことを言うたら笑われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/160
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161・石田正
○政府委員(石田正君) これは我々は大体お話と同趣旨でございまして、これはやはり手数料を以て立つということが、証券業者としての将来向うべき途である、こういうふうに思つて実際は指導いたしております。それから又現在におきましては、二つありまして、手数料だけではやつて行けないところのものと、それから手数料でやつて行けるけれども、そのほかに売買をやるというのとございますが、これは大体あとのものについては、手数料でなるたけ押しているわけであります。ところが困つてしまうのは手数料でやれないところの業者が相当多い、こういう実情であろうかと思います。勿論これは手数料を高くしますれば或る程度やつて行けることになりますが、そう高い手数料を取つたのでは、今度はお客のほうがたまつたものではない、こういうことになる。要するに日本の証券業者というのはこういう法律ができましたが、これはお叱りを受けるかも知れませんが、大体取次をするというよりも自分で売買をする、相場をやるということを主体としてまあ取引所なんかができておつた。それをこれによりまして、急にそういう方向転換をやるというのが新法の趣旨だつたと思いますけれども、実態はそう法案ができたからすぐなるというところまで行つていないというのが実態でありまして、それをどういうふうに処置して行くかということが当面の問題であろう。我々は先生のお話にありましたような方向に持つて行きたいというふうなことを考えておりますし、これから努力して行くつもりでありますけれども、実態は必ずしもそういうふうにはできておらなかつたということに問題があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/161
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162・森下政一
○森下政一君 今日はこれだけで打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/162
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163・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) それでは両法案に対する質疑は本日はこの程度でとどめます。
なお念のために申上げておきますが、明日の委員会には開発銀行の小林総裁と中山理事、輸出入銀行の山際総裁等が出席するはずであります。ちよつと速記をとめで下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/163
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164・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。
本日はこれを以て散会いたします。
午後四時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X00719530625/164
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