1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十日(金曜日)
午前十時五十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大矢半次郎君
理事
西川甚五郎君
小林 政夫君
菊川 孝夫君
森下 政一君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 真一君
木内 四郎君
藤野 繁雄君
土田國太郎君
三木與吉郎君
平林 太一君
政府委員
大蔵省理財局次
長 酒井 俊彦君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省理財局証
券第一課長 飯田 良一君
大蔵省理財局証
券第二課長 小林 鎭夫君
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本日の会議に付した事件
○証券取引法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○証券投資信託法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
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001・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) これより第十六回の大蔵委員会を開会いたします。
証券取引法の一部を改正する法律案及び証券投資信託法の一部を改正する法律案を一括議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/1
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002・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これはまあ改正の案のみではございませんけれども、第三条以下非常に届出の問題がやかましく、しつこく何条も規定しておられるのですが、これはどういう目的で届出ということを強く書いておられるのか、この点の一つ目的をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/2
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003・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 証券取引法の中にいろいろ規定してございます届出の制度は、株式その他の有価証券が一般の大衆の間を転々いたします。その場合に一般大衆が各会社の内容の真実を知つた上で取引をするということが必要なことでございますので、この届出制度によりまして有価証券の取引をされる一般のかたがたが、この会社はどういう会社であるかということをはつきりつかめるようなシステムにしたいということを目的にいたしまして規定をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/3
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004・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういたしますと、これで届出をした証券であつて、若しもいろいろの事件が起きるといいますか、事故が起きた場合には、或る程度大蔵省はそれが始末について責任を負うのかどうか、そういう点がちつともないと思うのですが、この点については大蔵省はどういう処理をしようとするのか、その点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/4
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005・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これは各会社の財務の関係がこの通りであるということを各会社に証明をして頂きまして、要するに事実と違つておらんということが確認されれば、大蔵省としては自動的にそれを受理することに相成るのですが、その内容が違つておりました場合には、証明をいたしました会社のほうのかたに責任を負つて頂くように罰則の規定がついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/5
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006・菊川孝夫
○菊川孝夫君 あとのほうへ参りまして、もう一遍その点をお伺いしたいと思いますが、次に第四条第一項の但書ですけれども、今度は、前には一千万円以下の場合は届出を要しないのを、五千万円に上げられた。ここにも簡素化のためということを書いてございますが、実は金額の少いような一千万円とか或いは五百万円とか、そういう小さいものを発行するところこそがむしろ往々にして問題を起す嫌いがあるということが一応言い得ると思うのでありますが、大体大きなところであつたならば、名前も通つているから、そういう有価証券に対してあとで問題の起る点が割合に少い、虚偽の申立をしたりすることはできないことになつて、大きいのならその会社のシステムも整つておるけれども、ところが若干小さいところへ参りますと、悪意にやろうと思えばやれないこともない危険があると思う。例えば二百万円の株式会社で有価証券の取引業者をやれるのですから、そういうところにおきまして現実に私問題を起した会社を見て、その犠牲をこうむつた人たちにもいろいろ会つたのですが、そういうところから考えまして、むしろ額の小さいところが問題を起し易い危険があると思うのですが、これらを届出の圏外に除外された理由を一つお伺いしたい。
〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/6
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007・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これは私どもの考えでは、現在一千万円程度の会社と申しますと、規模としては相当小さな会社になると思います。そこでそういう小さな会社は大体において株主の分布状況が或る範囲に限定されておることが多うございます。例えて申しますならば、地方だけの会社、その地方だけの関係者が集まつて作つておられる会社というものが非常に多うございます。そういうかたがたは一般に会社の内容というものは平素からよく御存じでございます。むしろ届出の制度は、先ほど申上げましたように、広く大衆に株が分布して、それが有価証券市場その他で転々流通するといつた場合こそ一般の大衆を保護する必要があるという意味で、まあ余り小さな会社につきましては、これは手数も非常に煩雑でございますし、経費の点等もございますので、簡素化の意味で今日の実情としては五千万円程度まで上げたい、こういうことを考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/7
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008・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今新聞でもちよいちよい問題になつて議論の対象になつておりまする株主相互金融といいますか、あそこの発行する株式もやはりこれに該当するのだろうと私は思うのですが、有価証券ですからね。そうすると、そういうところで発行するのはこの五千万円以下の小さいやつを皆発行しておるだろうと思うのですが、それらは無届のまま発行されるということになると思うのですが、その点の御見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/8
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009・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 現在でも勿論若し千万円以上であればこれに該当するわけですけれども、併しこれの募集方法は先ず最初に役員だけで受けまして、そうしてあとでぼつぼつ受けるという恰好になりますので、規定の面から募集をしたときすぐにこれに該当するというような状況ではございません。これに対しては別途金融制度の問題としていろいろ問題があろうかと思いますが、相互金融の株それ自体の発行のときにはこの規定に大体において該当しないという場合が多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/9
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010・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、相互金融のような場合には、この法律の第四条の適用は受けないということに解釈して差支えないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/10
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011・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 大体分割してぼつぼつ引受ける、そうしてそれを売出して行く、各個の売出しの金額も一件非常に小さな金額に分れておりますから、従つてこの規定の適用は大体において受けないのが実用でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/11
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012・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうしますと、そこに一つの穴がありましてですね、今ちよいちよい問題になつて、先般来も新聞でも警視庁に引張られたというような記事も載つておりましたけれども、それがいろいろ小さい資金を有利に廻そうとして飛びついた人たちに大分痛手を与えたことに結局なつておると思うのですが、それらは一切のがしておいて、大きいところばかりをやつたが、大きいところは大体筋も通つてちやんとできると思うのですけれども、そういう小さいところをのがして、この法律の圏外におくということになりますると、全然あなたのほうの目が届かんということになるのですが、これらの問題を何らかほかの方法で届出その他をあなたのほうで検討しておられるか、証券取引という角度から検討しておられるか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/12
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013・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 只今の問題でございますが、これはむしろ証券取引法からの問題でなくて、ああいうものをどういうふうに取締つて行くか、もう少し制度的な問題と申しますか、別途の観点も含めまして取締方法を考えるのが適当じやないか、証券取引法をあれに適用してこの面から取締つて行こうということでなしにやつたほうがいいのじやないかと考えております。まあ先ほど申上げましたように、小さな会社では大体関係するところの人々も余り多くございませんし、手続は相当煩雑でございますので、簡素化のために免除したという、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/13
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014・菊川孝夫
○菊川孝夫君 第四条の第二項につきまして、この目論見書に「当該有価証券が同項の規定を適用されない旨を記載しなければならない。」というのは、こういう目論見書に、適用されておらない、すなわち届出をしてないということを記載したことによつて、応募者にこれは届出なしにやつているものであるということを周知さして、お前達自分らでこれをよく考えてやれ、こういう意味でこの第二項を設けられてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/14
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015・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/15
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016・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に第五条ですが、大変現行法よりも第五条におきまして届出をしようとする場合に簡素化してあると思うのでありますが、この表現は大分簡単になつておると思いますが、特に私はこの際にお尋ねしたいのは、現行法の十四号ですな、「当該会社から十万円を超える金額の貸付を受けている役員又は使用人の氏名及び貸付金額」、最近これはまあ経済雑誌やら或いはその他の経済問題を扱う新聞等の記事によつて私も了解しているだけで、現実にどの会社はどうだということを調べる余裕もございませんし、調べたこともございませんが、警視庁あたりに行つてこれらの不正事件等について調べても、或いは裁判で問題になつているようなやつを一、二検討してみますると、会社の役員が自己の責めに帰するような債権も場合によりますると会社になすりつけておる。それから又会社の利益になるような場合にもかかわらず利益が生じたような場合には自己の利益として処理をしているというような事件が最近特に頻々……と言つては語弊があると思いますが、間間起つておることを、これはまああなたのほうもお認めになると思うのでありますが、その際に十四号をやめたということはどういう理由かお伺いしたいと思うのですが、それはなぜ申上げるかと申しますと、この間問題になりました不渡手形の問題ですね、特需会社の不渡手形の問題、これは全然どこを調べてもわからない。ところが実際にはそういう手形が発行してあつた。だからして考課状を見ただけではその会社の内容はわからん。実際には大きな手形を発行してあるというような事件があつたというのですが、そういうようなのを届出の場合には書くようなことになつておらん。必らず報告をしなければならない。あとでばれた場合には責任を負わなければならん。こういう事件に鑑みまして私は必要だと思うのですが、これらの点を省略せられました理由をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/16
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017・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これは実は第五条の改正の趣旨は、法律に一号から二十号まで非常に詳しく書いてありますが、これはもう少し簡素化をするということが適当ではないかと思いますが、その場合にどの程度簡素化するかということを大蔵省令で定め得るようにさして頂きたい、法律でこういうふうに縛つてしまうことになりますと非常に厚い部数になりますので、それを簡素化するために大蔵省令に委せて頂きたい、こういう趣旨の改正でございます。それから届出書自体は、先ほど私の説明が不十分だつたと思いますが、要するにここに並べてありますような項目につきまして、会社側に責任をとらせまして、こちら側としては一応形式審査をいたしまして前後の矛盾はないか、それから明らかに事実と違う点はないかというような審査をいたしまして、一応前後辻褄が合つているというようなことであれば届出を受理しております。従いまして、今お話のありましたような簿外の負債というようなものがあつた場合にどうするかということでありますが、これはやはり会社のほうの責任ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/17
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018・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういたしますと、折角届出でしましたものを、この詳しいいろいろ何条かたくさん設けまして届出を取られましても、大事な点を、これはまあ会社の責任だということになると、単なる届出というような形式主義に流れる慮れがあるのじやないか、そういうふうならもう殆んど、むしろうんと簡素化してしまつて、そんな面倒な届出の条項を設ける必要はないののじやないか、すべて会社の責任だ、なぜそれなら届出を取るのだ、こういうことになると、届出があなたのところへ来てただたくさん書類を積んでおいて自己満足する結果になつて、何ら、何らと言うと語弊がありますが、余り効果がないのじやないか。それでは今までのあなたのほうの実績を一つお聞かせ頂きたいと思います。間違いを犯そうとしたやつを、あなたのほうの届出書を審査することによつて矯正した事例がございましたら、一つ具体的にお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/18
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019・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) この届出書制度は先ほども申上げましたように、大体一般の大衆に非常に株主が分布しておりますような場合に、これを増資の場合或いは売出しの場合とかには、必ず各人に届出書と同じ内容を持つた目論見書を渡すことにしております。そこで一般大衆としてはこれを見て、その上でこれに応募するかどうかということを判断するわけでございまして、若しその記載に不実の記載がございまして、そのために損失を受けた場合は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/19
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020・菊川孝夫
○菊川孝夫君 損害賠償の規定があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/20
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021・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 損害賠償の請求ができることになると思います。そういうことでありますので、単にこれを取つて積んでいるということじやなしに、これと同じ内容のものを目論見書として、目論見書はこれと一致しなければならないわけであります、それを各人にも交付しているということで相当効果を挙げていると思います。
それからなお具体的に違つておつた場合を直したことがあるかどうかというお尋ねでございますが、一応私どもといたしましても、形式的に見まして前後矛盾しているような点その他を聞きまして、そこは違うじやないかというふうに直さした例は若干ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/21
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022・菊川孝夫
○菊川孝夫君 具体的にどういう会社がどういうことをやつて来たけれども、これで不測の、余り芳しくない事件が起るやつを、未然にこの届出制度によつてあなたがたのほうで防いで、大衆に迷惑をかけることを防いだということがあつたらお示し頂きたい。こういうことを言つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/22
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023・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 具体的な会社のことはちよつとここに資料を持つておりませんし、覚えてもおりませんので、そういうことが必要でございましたら、又別の機会に申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/23
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024・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それではその問題はあとで資料その他で、これは公開の席では具合が悪いというのなら速記を止めてでも御説明頂けますか。それではそういうことにして次に移ります。
次に、第十五条の「届出がその効力を生じた有価証券については」云々とあつて、「これを取得させ、又は売付のためにこれを交付してはならない。」こういうのを、今度は改正しまして、「但し、証券業者が他の証券業者に取得させ又は売り付ける場合には、この限りでない。」、これはどういう意味でこの但書を設けてあるか。特にヘタ株事件というやつがありましたが、あれなんかの起る余地がこの条項によつて起り得るのじやないかと僕は思うのですが、現行法では取得させ、又は売付のためにこれを交付してはならないということになつているのだが、今度は但書で、証券業者間のやつはよろしい、こう言つているわけですが、その理由は、一つどういうわけでそういうふうにされたか。僕はヘタ株事件なんかこういうところから往々にして起るのじやないか、こう思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/24
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025・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) この規定は趣旨といたしましては、証券業者は専門家でございますので、大体会社の内容というものはよくわかるわけでございます。それを今では証券業者の間の頻繁な売買にも一々これを付けろということになつております。併し証券業者についてはそういう必要はないのじやなかろうかということで証券業者を除いたのがこの規定の趣旨でございます。なおヘタ株の関係はこれは関係がないのじやないかと思いますが、どういう関係でございましようか、御質問の趣旨をちよつと呑み込めないのでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/25
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026・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これはこの証券業者間の取引にしてしまつて、届出をしなくても証券業者間のやつはいいということでしよう、要するに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/26
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027・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これはそうじやありません。届出はやはり第四条に該当する場合は届出をさせる、ただそれにその内容に合致した目論見書を付けまして、これを一般の応募をする人に交付するのでございます。そういう目論見書を交付しなければ株を売つてはいけないというのがこの規定でございまして、株を売つたり買つたりする場合に、証券業者に一々一般の人と同じように目論見書を付けて売渡しするということは、手数がかかるばかりで意味がないということで改正したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/27
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028・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に第三項の四号でございますが、「証券業者が顧客の委託に基いて当該顧客に取得させ又は売り付ける場合」と、そうして但書に、「その委託が当該証券業者の勧誘に基く場合は、この限りでない。」と、こういうふうにしてありまするのは、これはまあ殆んど当該証券会社というのは顧客に対しては勧誘するのが常例じやないのですか。この委託が勧誘に基く場合ということを但書に入れまするということになりますと、殆んどこの四号は意味を成さんことになるのじやないか。まあ常識的に考えて、普通証券業者の勧誘ということは、これはまあ玄人相手は別ですけれども、殆んど素人相手の場合は勧誘ということがあり得ると、この勧誘という言葉をどの辺まであなたのほうでは解釈して考えておられるのか、新聞の広告宣伝等も勧誘と考えておられるのか、勧誘の事実はどこを限度に考えているのか、そこのところを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/28
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029・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 証券第一課長に説明員として説明させたいと思いますが、御許可頂けますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/29
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030・菊川孝夫
○菊川孝夫君 結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/30
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031・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 実際の証券取引の実情を申しますと、証券業者の店頭にお客が参るわけでございますが、自発的にどういう株を買いたいかを選定して参るものと、それから何かうまい株があるかということで相談に参るのと、二通りあろうかと思うわけでございます。相談された場合、或いは積極的に勧誘した場合がこの但書に当るわけでございますが、今菊川委員のお話ですと、それが大部分ではないかという御意見かと思いますが、必ずしもそうではありません。取引の実情では、むしろお客がみずから銘柄及び指値をいたしまして注文を発するという事例が多いわけであります。お客がみずからそれを承知して銘柄株を選択して委託をする場合においては適用しない。併し、業者が勧める場合は、これは例外で縛らなければいかんというので但書が付いておるわけでありまして、但書の場合とそうでない場合と、これは双方とも相当な事例があると思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/31
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032・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に、十六条と十八条の関係についてお伺いしたいのですが、先ほどもちよつと触れました、この間も現に兜町で起つた事件ですけれども、例の不渡手形が起きた。だからして証券会社はその会社の株を叩いて行つて、そうしてずつと値下りしましたね。これはいろいろの新聞記事だけで、僕ら事実を調査したことはありませんが、あの不渡手形は大抵簿外債務と申しますか、帳簿に載つてない債務だつたということを言われておりますね。そういたしますと、この届出云々と関係があるのではないか、十八条に関係があるのではないか。その届出の際に隠してあつて、増資なんかの際にも目論見書にもそういうことが書いてない、届出をしてなかつた、そういうことによつて有価証券が下つたということになると、これは損害賠償に相当するのですか。そうしてどんどん株の値段が下つたからということでもつて、損害賠償の訴えができることになつているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/32
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033・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 第十八条の届出書の中に、重要な事項について虚偽の記載があつたかどうか、或いは記載すべき重要な事項、誤解を生ぜしめないために必要な重要事項の記載が欠けておる、つまり簿外の債務等を隠しておることがそれに該当するかどうかという認定の問題になろうかと思うのでありますが、具体的にはなかなか判定はむずかしいと思いますが、それが虚偽であるか、或いは記載が欠けておるということになりますれば、十八条が当然働いて来るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/33
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034・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、そういうことによつて、あとにそれがわかりまして、当該有価証券が非常な値下りをしたというような場合には、当然これに該当すると、こういう意味でございますか、この届出書との関係で……。併しそうなりますると、非常に事実の認定、これは一般経済界の変動によつても動く、又虚偽のやつによつて余計動いたということになりますと、それがどつちが主なる原因であるかということは非常にむずかしくなつて来ると思うのでありますが、それらについての解釈はどういうふうに考えておられるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/34
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035・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) おつしやるように、株価の変動その他で、一般的な経済的事情、或いはこういう虚偽の記載とか、或いは欠けておるということのためにどれだけ損失をこうむつたかということの立証というものは、事実問題としてはなかなかむずかしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/35
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036・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それを今度の改正案によりますと、当該有価証券届出書の届出者は当該有価証券を取得した者に対し損害賠償の責に任ずる、届出をした者は責に任ずるということになつているのですが、そうすると、この届出をした者は、大体会長とか社長名で以て届出をしておるだろうと思うのですが、これは取締役とかそういう連名ではないだろうと思うのですが、そうするとこれはすべて個人がそういう責を負うということになるのですか。そうすると個人だけが責を負つてしまうと、あと会社は責を負わないということになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/36
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037・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 届出書は、結局会社が損害賠償の責に任ずるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/37
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038・菊川孝夫
○菊川孝夫君 届出者という意味は、その会社、法人という意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/38
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039・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/39
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040・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、先ほどの話に戻りまして、増資のために株式の売出をやる。そのときに届出書に、十八条の規定のようないろいろ誤解を生ずるとか、或いは先ほど申しました簿外債務なんかを隠匿しておつた。そのことがあとでばれて叩かれたので、この間ちよつと事件が起りましたですな。あれはどうも、不渡手形は出たけれども、実際は帳簿に載つておらない債務だつたということを言われておるのです。僕もそんなものは調査しておらないからわかりませんけれども、あれは本当に帳簿に載らなくて軍役の責任において一時金融のために発行しておつた手形でございますか、それが不渡になつたと、こういうのでございますか、一流会社がひつかかりましたが、それに対してここぞとばかりに証券会社は叩いて行つておるというような記事だつたのですが、あなたのほうはこういう問題に対して当然調査はしておられるだろうと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/40
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041・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 簿外のものがあつたというふうに私も聞いておりますが、直接調査はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/41
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042・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういうものは折角届出書をとつて、あとはもう聞いておらんというわけですが、これはやはりあすこに出張しておる監督官とか何かおりますね。この人たちは勿論そういう事件が起きたら調査することになつているのですか、あとの届出書の処理について……。そういうものは、あとは起つても問題にするのじやなしに、その届出書さえ整つておればそれで済んで、これは届出書のまあ期間といいますかね、増資してからもう三年も五年もたつてから、その五年前の届出書に虚偽の記載があつたというような場合に、これを有効期間というようなことも考える必要があると思うんですが、そんなのは全然考えておらないんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/42
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043・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これは有効期間は別段ありませんので、その発行の時に届出をいたしまして、それ以後は各期の決算期毎に報告書があります、その期にこれは真実であつたということを証明して参ります。従いまして有効期間というよりもその期がこうであつたという届出書でありますから、有効期間の規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/43
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044・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今度の十八条については、私が今申上げましたような疑義が実際問題として相当生じ得ると思うんですが、経済界の変動によつてこの損害が生じたのか、朝鮮休戦会談によつてその有価証券の値下りによつて損害をこうむつた場合に、朝鮮休戦会談というような事件のためにこれは値下りをこうむつたのか、それとも今言つた簿外債務等があつたということが暴露したために叩かれてそれが下つたかというと、どれだけ、百円下つたにしても、この百円のうち何パーセントは届出書記載事項の事実と相違したために信用を失墜した、一般経済界がどんどん上昇過程を辿つております時であつたならば、そんなことぐらいはいや応なしに、その会社も儲かつておれば自然に誰もそんなものは問題にならずにすんでしまう。ところがたまたま経済界が工合の悪い時になつて初めてそういうものが暴露して来ると思うんですがね。そうすると損害賠償の責に任ずるといつてこう書いてあるんだけれども、一体どこまでがその届出書に虚偽の事実を記載したために生じた損害であるか、経済界の変動によつて生じたものであるかという認定は、非常にこれはむずかしい問題になつて来ると私は思うんです。勿論これは後刻法廷において争われることになると思うんですが、立法の趣旨は、そういう案件はあなたのほうではどういうふうにお考えになつておるか、お示し願いたい。この立法の趣旨がはつきりしておらんと、後刻裁判所へ行つて裁判官の一方的な解釈によつて判定されるということになりますので、この点を一つはつきりしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/44
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045・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 今のお話の点は第二十条の二項に関連する問題だと思うのでございますが、大体この賠償責任の問題は勿論民事上の原告の問題でありまして、政府がそれに干与するわけではありませんが、その係争事件におきまして今の二十条の二項でございますが、その届出書に「虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の記載」、つまり十八条の表現と合うわけですが、それが欠けていたことによつて生ずべき値下り以外の事情により生じたことを証明した場合には賠償の責に任じない、つまりその場合被告である届出者が、これはなかなかむずかしいと思いますが、ほかの事実によつて証明すると、それによつて一部免がれるというようなことになるのでありまして、いわば当事者間の問題かと思うわけであります。裁判所はそれによつて判定を下すわけだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/45
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046・菊川孝夫
○菊川孝夫君 現行法によりますると、「左の各号に掲げる者は、当該有価証券を取得した者に対し、連帯して損害賠償の責任に任ずる。」こう書いてあるんですな。これは現行法ですな、それが今度変つて有価証券届出書に署名又は記名捺印した者ということになつているが、これはこの責任を負う人の範囲を一応はつきりしてある。ところが今度「届出者」として、その届出者というのはあなたの解釈は会社だというふうに一概に言つておられるのだが、それはまあ現行法による有価証券届出書に署名又は記名捺印した者と、こういうふうにしているのだが、えらい法文の解釈に大きい開きがあるように私は思うのですが、大改正だと思いますが、今のように漠然とそれはその会社だと、こういうふうな御答弁だつたが、一体十八条で現行法はこういうふうな規定にしておきながら、ただ届出した者として、届出した者というのは誰かと言つたらその法人だ、こういうことはちよつと余りにも理論の飛躍のように、解釈が非常に大きく飛躍しているように思いますが、現行法との関連によつて私はちよつとおかしいような気がするが、その辺についてもう少しなぜそういうふうに改正したのであるか、現行法はなぜこれでどこに不備な点があるのかということをお伺いしたいと思うのです。これによりますると、有価証券届出書に署名又は捺印した者と、こういうことになつております。あとのほうへ行くと、「技術者、鑑定人その他の専門家であつて、」というようなことが書いてあるのだから、えらい大変改正が大きいように思うのだが、どうですかな、その理由はちよつとまだ納得できない。なぜ今現行法をこんなふうにしてあるのか、これは損害賠償問題になつて来ますと、非常にデリケートなことになつて来ると思うのですが、この改正理由をはつきり一つここであなたの立法の趣旨をお伺いしておきたい。あとで又大臣が出席されました際に、政治的な問題についてお伺いすることにいたしたい。立案者としての意図は那辺にあつてこういうふうな改正をしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/46
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047・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 損害賠償責任を非常に完全なものにして、漏れなく拾うという意味から申しますと、現行法は確かにいわば完璧に近いことになると思うのでありまして、菊川委員のお説の通りかと思うわけであります。ただ現行法におきましては、ここに現在列挙しておりますようにいろいろと数多くのものが連帯して責を負うことになる。専門家の鑑定なんかによりました場合、その専門家まで責を負うというふうな工合でございます。至れり尽せりという感じはいたすのでありますが、実際問題としてこれを動かす場合には非常に動かしにくいのであります。又届出者自体はとにかく立派な法人格を持つた立派な法人、これは現在の解釈でもそうであります。別に解釈を変えたわけではないのであります。現行法の一号の「届出者」というのも発行者そのものでありまして、簡素化という大きな趣旨から行きますというと、届出者、発行会社自体の責任を以て一応十分とし得るのではないか、万一の場合を考えて更に連帯賠償の規定をいたしておくこと自体は、それのみでは結構でありますけれども、簡素化という趣旨から申しますと、この際或る程度止むを得ないのじやないかという考え方から、届出者のみに限つたのです。賠償責任を届出者に吸収させたという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/47
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048・菊川孝夫
○菊川孝夫君 重ねてそれなら念を押しておきますが、この届出者とは当該法人を指すものである、こういうふうに解釈してよろしうございますか。この前の十八条によると、この記名捺印した者ということは、これは個人ですな、それでそれが今度法人に変るということになると大改正で、理論上の大改正だと私は思うのですが、こう解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/48
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049・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 現行法の十八条の一号に「有価証券届出書の届出者」とございます。それから御参考までに第四条を御覧頂きたいのですが、誰が届出義務者かということになりますと、有価証券の募集又は売出は発行者が届出る、発行者というのは有価証券の発行者で、明らかにこれはその法人自体だということになります。ただ現行法はそのほかに二号といたしまして、届出書の一つの要件といたしまして、それに会社のほかに代表取締役その他の役員が署名又は記名捺印をしておるというのであつて、従つてその者が届出者即ち会社と連帯して責を負うという恰好になつておるのが現行法なんでございます。届出者は飽くまでも有価証券を発行するその者、即ち会社の場合に法人そのものであるということは、現行法においても又改正法においても同様に解釈されるわけでございます。
〔理事西川甚五郎君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/49
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050・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ちよつと今の、発行者というのは何々会社取締役何の太郎兵衛、そうして社長の印というものを大体押すのですな。そうするとそれは届出者というのは今度届出する場合には、何々株式会社社長何の太郎兵衛、こういつた場合にはこの太郎兵衛ではなくて、あなたの説明によるとその会社で、法人だというお話ですね。ところが現行法にはここに連帯してその責に任ずるとして、ここに記名調印した者としておきながら、これは法人そのものが責任を負うのではなしに、記名調印した者は連帯して責任を負うというふうに個人になつておるわけです、現行法ならば。ところが改正案によりますると、法人が全部責任を負う。こういうふうに解釈してよろしうございますか。現在までは個人に責任を負わしておつたのだが、今度は法人が連帯してということになるとそうなるのだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/50
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051・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 今までは個人は直接ではなくて連帯して責を負う場合に入つておつたわけでございます。ただやはり第一号の届出者とありますように、届出者自身はやはり勿論負つておつたのでありますが、個人も連帯して……、こういう形になつておつたのが現行法であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/51
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052・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると今度は個人は全然連帯責任がなくなる、こういうわけになるのですか。新らしい法案が成立するということになつたら、今までは個人の連帯責任が附加されておつたのだが、今度はその連帯責任がなくなる、免除されるということに解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/52
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053・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/53
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054・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それはどういう理由で連帯責任の免除を考えられたのですか、理由を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/54
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055・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 先ほど申上げましたように、結局その個人と申しますが、この場合の個人は会社の取締役即ち役員であつて、いわば会社そのものの機関としてやつておるわけでありまして、従つて会社そのものの届出、従つて会社そのものの責任ということで十分であるという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/55
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056・菊川孝夫
○菊川孝夫君 よくこれは大きい会社あたりで、株主もうんと分布しておる大会社あたりにおいては、そういうことは私はないと思いますが、又とても面倒と思いますが、よく会社におきましても破産という事実がございますね。そういう場合には直ちに重役の私財提供とかいう義務が生じて来るわけですな。こういう損害賠償の責に任ずる場合に、その会社自体が損害賠償に応じ切れないような、その会社が小さいために生じた場合には、個人の場合に連帯して責任をとる、会社の重役である場合には私財提供というようなことは往々にしてよく言われることでありますが、この現行法によつてはそういう私財提供というようなことまでも含んで考えておられるものか、或いは十八条によると、そういうことは全然今度の改正案によると考えないという新らしい思想の下にこれは立案されたのか、そういう点を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/56
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057・飯田良一
○説明員(飯田良一君) そういう意味におきまして、証取法を待たないでも会社の基礎法規である商法におきまして、第三者に対する責任につきまして、「取締役が其ノ職務ヲ行フニ付悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其ノ取締役ハ第三者ニ対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ス」という規定がございますので、非常にそういうふうな重大な悪意等の場合は、商法の規定に譲つて差支えないものというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/57
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058・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、商法の規定に譲つていいものなら、現行法ではなぜこんなふうに羅列しておつたのか、そのときは商法の規定に譲つてはならんとして現行法を制定されたと思うのです。ところが新らしく考えてみると、やはりこれは商法の規定に譲つておいてもいいということを考えつかれたので、こういう改正をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/58
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059・飯田良一
○説明員(飯田良一君) その点は甚だ申上げにくいところでありますけれども、現行法を制定するに際しまして、アメリカの証券取引法等を非常に参考にせざるを得なかつたというふうないきさつによりまして、大体アメリカ法に準じて書いてございます。日本的な書き方としましてやや何と申しますか、実情に合わないような点も証取引法には多々あるわけでございますが、これなどもその一つかと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/59
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060・菊川孝夫
○菊川孝夫君 大体そこまで説明してもらうとちよつとわかつて来ました。
次に、十八条の二項へ参りまして、「当該有価証券を取得したことを証明しなければ」こういうことになつているのですが、これは「欠けていることを知らないで当該有価証券を取得したことを証明しなければ、前項の規定による賠償を請求することができない。」ということになつている。これは現行法通りでございますが、先ほどの改正要点とも関連して私お尋ねしたいと思うのですが、証明という意味はどの程度のことをあなたのほうでは考えていられるか、まあ大抵欠けていることを知らないでというのは、誰でも損害賠償を請求するという事態は、今まで実際問題としてはなかなか起らないのじやないかと思うのでありますが、起つてこれを又やつてみたところで、個人がこれを長く民事事件に引つかけても、到底これは実際に殆んど実行の不可能な問題だとは私も思います。併しこれは証明しなければならないということになつているのだから、一体この立証の要件について立法者はどういうふうに考えておられるか、立証する場合には非常にこれはむずかしい問題だと思うのです。実際問題として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/60
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061・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) この規定は、一応届出書の手続をして発効しましたあとで約一年くらいたちますと、大体こういう会社は世間に知られて参りますし、又一般に名が通つて、誰でも判断できるような状態になつて、一つの既成事実というものが出て参ります。そこで、それ以後の場合におきましては、その一年以上前のそういう届出書で損を受けたのだということは、一年間という時期が経過しておりますれば、その間に公正な判断もつきますし、永久に会社に賠償責任を負わせるということも、そういう場合には適当ではないと考えまして、そこで、先ほどの場合には会社側に賠償責任がある或る程度時期を経過いたしまして、そういうふうに一般的に知られ、そうして又既成事実ができたというような場合には、逆に損害を受けたといつて請求するほうの責任になる。これは事実上むずかしいと思いますが、裁判上の問題でありますので、まあ時々においていろいろ立証方法は違うと思います。今ここでどういうことを立証したらいいかというお話でありますが、具体的な事件々々によつて違うんじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/61
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062・菊川孝夫
○菊川孝夫君 併しこの記載が欠けていることを知らない、つまり「重要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の記載が欠けていることを知らないで当該有価証券を取得したことを証明しなければ、」ということになつているんだけれども、実際はこれの立証ということが極めて困難極まるものだし、どの程度までの立証を考えてあなたのほうではこれは立案されて実施されておるか、今までのこういう事案は……。それじや今度は逆にお尋ねしますけれども、十八条の規定がございますが、これはこの運用面におきまして、法制定以来これが損害賠償事例が発生したことは何件くらいあるか、それからその損害賠償について、請求者が賠償を受けたというような事例がございますか。これらの点については当然理財局のほうでも法運用の実績をお調べになつていると思いますが、おわかりになつておつたら一つお教え頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/62
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063・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 法制定以来現在まで十八条以下の規定によりましての賠償問題が起つたことは一件もございません。
それからちよつとこの機会に、先ほどのお尋ねに対してちよつと実例を申上げますが、届出書の出て参りましたときの受理でございますが、訂正をこういうような方法でさせており、又訂正させたような会社があるかどうかということでございますが、これは実情を申上げておきますが、現在届出制度を非常に円滑に動かすために届出書という立派な本物を持つて役所へ出て来る前に、下書きといいますか原稿を提出させまして、希望がある場合にはそれによつて下書きをいたしまして、こういう箇所が欠けておる、このバランスはおかしいじやないか、この科目がどういう科目か説明を求めるというふうな工合で、事実上事前にすべて訂正を済ましております。会社側との合意によりまして、従いましてその訂正に応じないでなお会社の案のままの届出書で持つて参りました場合には、或いは訂正命令ということが行われるかも知れませんが、実情は全くそうではありませんので、事前に話合の上で訂正をさせ、欠けておる箇所の説明を求め、いわば完全なものになつてから正式の届出ということの運用方法を取つておりますために、先ほどお尋ねのような訂正させた事実があるかどうかという意味におきましては始んどないといいますか、全く事前の審査で、まあ形式的には完全なものとして届出を行なつておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/63
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064・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今のお話で補足して御説明を承わつたのですが、あとでこれもお聞きしようと思つておつたんですが、届出を成るほど法律の上でやつておりますが、非常に私たち見ましても整備をされておるのですが、いろいろのたくさんの会社がこれを大蔵省に届出をするということになつた場合に、その会社の財産目録なんかについて出すことになつておりますが、一々それは帳簿の書面の上では、成るほどうまく整つて来ると思うのですが、それを評価するような場合にどのくらいの値打があるかどうかというような場合に、事業の今後の推移というようなものを書いて来るんだろうと思うのですが、それをあなたのほうで事実間違いないかどうかという認定を、果して一一おやりになつておるのか、机上監査であるか、現地監査をおやりになつておるか、実地審査といいますか、机上審査、机の上のだけの審査によつてやつておられるのか、それとも実地について一々或る程度まで当つておられるのか、それから今までお当りになつた場合があるかどうか、これも一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/64
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065・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これはお話のように、なかなか実情を十分につかんで受理して行くということはむずかしいのでございますが、従つてそのために証券取引法では原則として公認会計士の監査を経たものを出させるという原則にしまして、公認会計士にその信憑性を判定させるということを狙つております。ただ現状におきまして公認会計士の数その他まだ至らない点もありますし、制度の発足早々でございまして、至らない点もございます。
そこで、我々のほうといたしましては、目下のところ非常に多数の件数に亘つて出て参ります報告書につきまして、一々我々大蔵省の役人が出掛けて行つて検査をするということはやつておりませんで、大体において現在は証拠書類その他の書類によつて形式審査ということをやつておつて、数件実地に当つたところもあるように聞いておりますが、要するにそういう面では公認会計士の監査証明ということを活用して行こうというのが証券取引法の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/65
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066・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この公認会計士の制度を活用して、行くということは、これは法の運用の面において、その他今後……これはアメリカのやり方は主としてあの公認会計士制度というものは非常に発達しておるので、アメリカが占領当時これを政府に対して勧告をして、大分採入れかけて逐次整備をしつつあるようでございますが、まだ不備な点がたくさんあると思いますが、それはさて措きまして、この法律の上にどこかに公認会計士の制度を重要視して行くというような意味があるのですか、規定があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/66
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067・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 百九十三条の二に規定がございます。ページ数で申上げますと百三十ページ、新旧対照表の百三十ページに百九十三条の二というのがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/67
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068・菊川孝夫
○菊川孝夫君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/68
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069・小林政夫
○小林政夫君 ちよつと、今のに関連して、今の百九十三条の二で公認会計士の監査を全部取つておるようなふうに了解されるように思われるが、政令で定めるもので資本金の額によつて、一億以下ですか、これは公認会計士の証明を取つていないはずですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/69
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070・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 先ほど次長からお話がありましたように、現在の公認会計士の数、それから監査制度自体の整備状況等に顧みまして、届出制度の適用を受ける全体の会社に対して、一挙にこの監査証明を義務付けるということは困難な実情にございますので、只今小林委員の御指摘通り現在では一億円以上の会社のみがこの監査証明の適用を受けるということになつております。
又もう一点附加えておきますが、監査証明の内容自体につきましても、本当の意味の正規の監査でありますと貸借対照表、損益計算書、財務計算に関する書類全般に亘つて監査を行うことになるのでありますが、何分制度の発足早々でございますので、主として会社の会計制度の整備、運用状況というのを目的とする監査を現在実施しておりまして、と同時にその正規の監査、法律の目的とする監査にまで近付けるという漸進主義をとつて参つております。そのために現在一億以上の会社について成るほど監査証明はついて来ておりますが、その証明の内容というものが先ほど菊川委員のお話のあります程度の精密さというものを揃えるには至つておらない。もう少し時が経つに従つて法律の所期の目的通りの監査になるというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/70
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071・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に第二十四条ですけれども、これが改正されておりますが、毎事業年度経過後三箇月以内に大蔵大臣に提出することになつています。これは第三者に対して公表をされるために提出するものか、或いは閲覧その他の点については、運用面はどういうように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/71
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072・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これは届出をした者が、その後毎事業年度の報告を届出まして、そうして取引所等に備えまして閲覧をさせるということが目的でございます。本店、それから主要な支店にも備え付けまして、一般の参考資料としていつでも閲覧できるということを目的といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/72
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073・菊川孝夫
○菊川孝夫君 場外取引のような場合には、第二十四条の取引所提出はしなくてもいいということになつていますが、そうすると一蔵省と会社の本店だけに備え付けることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/73
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074・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 取引所に上場しておりませんものは、いわゆる場外取引というものは、正式の取引所取引でございませんので、大蔵省に届出て、本店と主要な支店に備え付けるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/74
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075・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に第三十一条……条文ごとにちよつと疑問のあるものだけ伺つて、あとで総括的に……。
三十一条はまあ証券業者の資格要件になるわけですが、これはちよつと大分旧法の改正となつておるわけですが、株式会社でない者はだめだ、証券業者はすべて株式会社にすると、こういうふうになる。これはなぜ株式会社ということを強くこういうふうに規定してしまつたものかどうか。この理由をお伺いしたいのですが、株式会社と申しましても、同族会社もあるし、一般常識的な株式会社と二つあるのですが、株式会社でさえあれば、同族会社であつても差支えないか、これをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/75
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076・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 現行法でございますと、法令の上からは、個人であつても拒否できないようなことになつております。その場合に証券業者につきましては、営業の純資産額がどうであるとか、登録要件及びその後の監督の要件といたしまして、会社と申しますか取引の営業資産内容、それをはつきりする必要があるわけであります。これは個人の場合におきましては、往々にして個人的な資産と、その営業用の資産となかなかはつきりいたしません点が多いのでございまして、そういう意味から計算をはつきりするという意味で株式会社に直したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/76
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077・菊川孝夫
○菊川孝夫君 形式的には、成るほどあなたのおつしやる通りに、株式会社というふうにしたら帳簿を備えなければならないということになつて、わかるのですが、実際今の証券会社の、大きな証券会社は別といたしまして、大抵はこれは株式会社というものはただ形式的な株式会社であつて、実際上はその親父さんの持つておる同族会社よりひどい株式会社だと思うのですが、それであなたのほうで株式会社でなければいけないというふうにきめられた理由は、帳簿を監査したりする場合に便宜であるからという理由で株式会社に指定せられた、これがただ一つの理由でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/77
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078・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 大体そういう資産内容が帳簿がつかめてはつきりわかるというほかに、先ほどもちよつと説明がありましたが、株式会社でありますと、商法の会社の規定を適用されまして、相当やはり整備した組織を持たなければならないというような責任を持つております。そういう意味で株式会社に直したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/78
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079・菊川孝夫
○菊川孝夫君 証券取引業者、あそこにはもう長い間の業界の一つの慣習と申しますか、あそこ独特の思想というものがあるのです。これはもう理財局に私が申上げるよりもあなたがたのほうがよく御存じだと思います。表面はいろいろの証券株式会社になつておりますけれども、その社長或いは有力者が殆んど独裁的で、表面的には会社的な形態をとつておるかも知れませんけれども、個人の店と何ら変るところはないように私は思うのですが、今後あなたのほうで証券業者の指導育成に当りましては、一般的通念で申しまする株式会社のようなものにだんだんと是正して行こうというふうな考え方か、それともああいう古い独特なものをそのまま或る程度認めた上で、ただあなたのほうの監査をするに便宜なようにするために株式会社ということをきめておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/79
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080・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) その点は現在でも証券業者に対しましては相当検査を行なつております。そうして検査の結果、法定帳簿を欠いておるとか、或いは資産の額が足りない、いろいろな事実が発見されました場合には、それ相当のその事情に応じて適当な是正措置をとつて参る。株式会社であれば、昔の同族或いは個人でやつておつたものと同じでもかまわない、ただ帳簿が別になつておるからそれでいいのだという考えではございませんで、やはり経理その他をはつきりさせてきちんとした営業をさせるように検査を通じてやつて行くつもりでおります。現在までその方針で検査をやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/80
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081・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に第二号の「資本の額が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認められる金額で政令で定めるものに満たない会社」ということになつておりますが、公益又は投資者保護のために必要だという金額は政令に委ねられておりますが、この政令案としてはどの程度を考えておられるか、それからこの資本の額というのは、この資本の解釈はどういうふうにされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/81
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082・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 小林証券第二課長を説明員として説明させてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/82
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083・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 小林証券第二課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/83
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084・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 只今の資本の額について政令できめますものは、これはその業務の種類と地域によりまして分けておりまして、業務の種類から申しますと元引受けをする業者につきましては三千万円、引受以外の一般の売買の業務をやります業者につきまして、取引所の会員であるものと会員でないものに分ちまして、取引所の会員である業者につきましては、これを又更に地域によつて分けまして、東京と大阪でありますと一千万円、名古屋が五百万円、その他の取引所、六つございますが、神戸、京都、福岡、廣島、札幌、新潟となつております。これが三百万円、こういうことになつております。それから取引所の会員でない業者でございますが、これは東京、大阪につきましては五百万円、それから名古屋につきましては三百万円、その他の土地につきましては二百万円、こういうふうに業務の性質、地域によりまして分けて決めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/84
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085・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に、資本の額という解釈ですがね、これは払込資本金を言つておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/85
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086・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 資本の額は、これは商法に規定しておりまする資本の額でございまして、払込いたしまして登記いたしました資本額でございます。授権資本の額ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/86
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087・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それで次に、だんだんと証券取引所の取引が大きくなつて、まあ最近はちよつとしぼんでおるようでありますけれども、今年の二月頃までは非常に取引の高も殖えて来ているわけでありますが、この政令制定の場合にはその時々の情勢によつてこの額というものは改正をされて行かれておると思うのでありますが、今までの推移から考えまして、あなたのほうではこれは或る程度殖やして行くというお考えか。今の常識から考えまして、私の考えでは少し小さいのじやないか。三千万円にいたしましても一千万円にしましても、これは昔の貨幣価値でございましたら大したものでありますが、今日の貨幣価値から考えましたら極めて微々たるものだと思うのですが、証券取引業務のだんだんと拡大して行つている趨勢に鑑みて余り少な過ぎるようにも考えられるのでありますが、今後大蔵事務当局としてはこれが限度を引上げるということはお考えになつておるかどうか、これを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/87
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088・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 将来いろいろな情勢の推移によりましてはそういうことも考える必要があると思つておりますが、目下のところ現在程度の資本額でいいのじやなかろうかというふうに我々は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/88
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089・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これは法制定当時から、この政令によつて定めておる場合に殖えて来ておるのでございますか、それとも証券取引法ができてからずつとそのまま据置でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/89
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090・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これは、証券取引法が昭和二十三年に制定されましたその当時にはこういう制限がございませんでした。その後昭和二十五年にこういう資本の額の制限をしまして、それから今日までは別段改正をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/90
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091・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に三号へ参りまして、「負債の合計金額を控除した金額」だというのだが、これは一体「資産の合計金額から負債の合計金額を控除した」云々という条項につきましては、登録をする際には成るほどこの三号に合つておるけれども、翌日からもう変るということは、この負債問題につきましては常に変動が多いと思うのですが、それをどういうふうに運用して行かれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/91
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092・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これは開業のときに適用されますのでございますが、開業いたしましたあとでは営業用の純資産額というほうの限度で、危いことのないように取締つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/92
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093・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ちよつと今の御説明よくわからんですが、開業のときはどこの取引業者にいたしましてもこれは一応形式だけは整えて出発するのは当り前で、初めから危いような商売は誰でもやらんと思うが、その後のことが問題だと思うのですがね。開業するときにこの百分の九十に相当する額に満たないというような厳格な規定を設けて発足しましても、問題はその営業を始めてからのことが大きな問題になつて来ると私は思うのですが、それらはどの程度までこれを制限をして行くことになつておるのですか。その条項をちよつと調べてみたのですが、わからんのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/93
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094・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) この制限を設けましたのは、実情といたしまして開業の時に株主が現物出資等をすることが間々あるのです。その現物出資の評価等が、主として有価証券でありますが、過大評価であつたりすることがありますので、それを厳重に規定いたしまして、そういう水増しの評価をしないでも十分に資産になるところに持つて来て初めて開業させる。従来の経験に鑑みますと、開業の時の相当危い状態が後々に至つて禍根を残すということが往々ございますので、それでこういう規定を設けたわけであります。なぜ百分の九十にしたかと申しますと、会社を設立いたしましてから設立費用その他開業の時までには若干経費がかかります。それらをまあ多少見込んでやる必要があるのじやないかというので百分の九十にいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/94
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095・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に、証券業者はこれによつて登録いたしましたが、さて大蔵省の方針としましては、第二条の八項の「有価証券の売買」、それから「有価証券市場における売買取引の委託の媒介、取次又は代理」について広く解釈をいたしておりますが、場外取引におきましては、非常にまあよく問題を起しがちなことでございますが、証券業者の行う業務のうちで主としてまあ場外取引ばかりをうんとやつておるようなところがあるように置いておるわけでありますが、これらの点については会員であるものは今の資本の額等で制限しておりましてこの程度だと言つているのだが、その会員でないようなところに、実は登録したけれども問題が起るのはそこに多いと思うのですが、会員については、まあ会員についてもこの間名古屋であんな問題を起した会員もございますけれども、会員外に存外問題が起るのだと思うのでございますが、会員については或る程度相互に牽制し合つて自粛し合つておると思いますが、問題の起るのは会員外に多いのだが、その会員外のほうはいくらでも小さい怪しいのを許しておいて、会員についてはこの程度制限、こういうふうに差を設けておるわけですが、起り得るのはその小さいところに私は起り得ると思うのですが、これらについての考えは、あなたのほうはどういうふうに、会員外のものは会員外のもので又別に相互に会を設けるなりなんかしてやつておるか、それから会員外の場合には検査をするにしてもやりにくいと思うのでありますが、今のあなたのほうの指導方針を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/95
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096・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) お話にございましたように、会員外の小さな証券業者に往々問題が起つております。従いまして、私どもといたしましても会員外のそういう証券業者につきましても十分検査をいたしまして、そういう事実を発見し次第是正させるように、或いは又違反の場合には相当の処分をするように指導に努めて参つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/96
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097・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に、この条項さえ当てはまれば全部これはまあ拒否することができないことになつておるわけです。登録を受付けなくちやならんことになつておるわけでありますが、さて問題は、前に証券業者であつていろいろと顧客に迷惑をかけておる。あの取引業者ほど新陳代謝の激しいところはないわけでありまして、勿論古い老舗では何十年間続いているところもございますけれども、往々にして業者自身で失敗しますると、名義を換えてそして更生してすぐ又生れ変つて来るという余地があるわけですが、実際上は前に失敗した人が黒幕となつて始んどその会社を動かしておりながら、名義だけを換えて再出発して来るのが多いと思いますが、これらを抑える途がこの条項だけではちよつとないように思うのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/97
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098・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) この三十一条の第九号を御覧頂きますと、新旧対照表の五十七ページでございます。今度は九号で取締役といたしまして「相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、会社に対し取締役と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。」といたしまして、「取締役又は監査役のうちに左のイ乃至ホの一に該当する者のある会社」ということで、一度そういう下手なこと、悪いことをした人は五年間はそういう人が営業に係わつて証券業を開業することができないというふうにいたしたわけでありまして、お話のような点がありまして、現行法はやや狭きに失しておりましたので、取締役といたしまして、その下に相談役その他云々ということで、その規定で今の弊害を除こうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/98
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099・菊川孝夫
○菊川孝夫君 もう一点だけお尋ねいたしまして、午後の時間の関係があるそうですから、一応この程度で打切ることにいたしたいと思いますが、証券業者のうちに、一つの大きな証券業者はいろいろの機関店と俗に言われておりまする小さい証券業者を自分の思うままに動かしておつて、そして取引所に出動する場合に、当該大証券が出動したのではほかの業者の目に立つというので、いろいろの筋を通して俗に機関店と言われておるのがあると思うのですが、これは大蔵省も御存じだと思いますが、これらの他の証券業者を実際に使つて自己の名前を伏せて出動するようなことは、これはまあ許されないことだと思うのです。実際上の問題として、この法律上の解釈からするならば許されないことだと思うのでありますが、大蔵省としてはこれらについての取締りということは考えているのか。この新法律によりましても、現行法律によりましても、そういうことは何ら言われていないのだが、証券を民主化するのだ、或いは投資者の保護をやるのだと盛んに言つておりながら、これらについて余り触れておらないように思うのだが、この登録の場合にあなたのほうでそういう業者の登録があつたり、或いは今後業務運営上そういうことがなされるということは、まあ広義な意味における詐欺とまでは行かないにいたしましても、大衆をごまかし、投資者の目をくらますと言えると思うのですが、これらはお考えになつておるのですか。理財局としてはこれらの取締りについて或る程度の処置をしているのか、指導をしているのかお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/99
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100・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 今のお話のように、実は俗に機関店といいますか、大会社が財政上の援助を与え、人を送つたりいたしまして、営業上の関係のある店というものがございます。それでこういう店におきまして只今お話のような大会社が取引所の中におきまして売買をいたしまする場合に、まあ多額な売買をいたしますると、値の関係その他を考えまして、そういう機関店を分散して防ぐというようなことも或いはある場合があると思います。でございますが、これはそういう取引によりまして故意に相場を操作いたしますとか、不正な価格をつけるとかいうような操作をするようなことがございますれば、当然それは法律違反でございまするので、いけないことでございますけれども、たまたまそういう取引先でありまする店を通じまして取引をいたしますということ自身を、そのままではちよつといけないということも言えないかと思うのであります。で法律におきまして登録をいたします場合も、別にそういう自主的な取引関係等につきましては見てございませんので、別にその登録の際にその取引を審査をしてどうこうするということはいたしておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/100
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101・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それはこの法律をずつと読んで見ますると、証券業者である以上は、飽くまでも何々証券という名前にしなければならんとか、資本はどういうふうにしなければならんとかいつていろいろの制約を設けております。取引所の会員であるならばこれこれの資本がなければいかんと設けてあるにもかかわらず、これをやる場合にはたくさん店を登録さして大証券がうしろからそれらの店の名を出してやらせるということは、これは法律の建前自体から許されることじやない、その取引所が登録したらここでやるのが当り前だと思う。作戦的に使うべきものじやないと思う、法の精神が。昔の大手筋なんか随分そういうことをやつてごまかして相場の操作をやるということがよく言われていたが、未だにその慣習がそのまま残つているようであるが、それらに対して何ら制限規定というものを、ほかのところでは非常にいろいろ制約を設けておりながら、取引業者が取引業者を使つてやらせるというようなことは、これはもう手数料なんかも極く僅かで、量も多いから勉強してやらせるだろうと思いますが、そういうことは正常なる取引業者の業務ではないと私は思いますが、それらについて何ら制約するような規定がこの中にはないわけであります。登録の条項を見ましても、成るほど表現はえらく整つた条文にはなつているけれども、運用面においてそういう穴はあるわけでありますが、その穴について措置しようという意図がちつとも見えていないと私は思います。これらについては大証券みずからそういうことをやるから或る程度圧力がかかつているのか、それともあなたのほうでそこまで気が付かずにおられるのか、私はこういう厖大な条文にして謳つて、公共の利益並びに投資者保護ということを真向からふりかざしている以上は、これらについても優良なる証券業者を大いに育成して行くという考え方からいたしましても、兜町とか、或いは北濱等の古い因習をだんだんに脱却するように指導して行かなければならん、それらの積極的な意欲が私はこの法律の中に余り見えていないように思いますが、形式上は今御説明になるように、どの条文をお尋ねしましても成るほどうまく当嵌つておりますが、いざ運用の面になるとそういう積極的な意図が見られていないというふうに私には汲み取れるのでありますが、これについて若手官吏であつて積極的な意欲をあなたがたはお持ちになつていると思いますが、理財局でこれらの業務に携わつている場合に、そういう矛盾をお感じにならないのか。それらの積極的な意欲がちつとも盛られていないように私は感じますが、どこかにその点について盛つてあるというふうに言われるのだつたら、その点を一つ最後にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/101
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102・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 実は只今のお話、正常な形といたしましても大きな店で相当の株を引受けて、これを地方に捌いて行くというような場合も生じますし、それから証券業者の間の売買を禁じてしまうということも、禁ずるということはなかなかできないかと思うのでありまして、まあ非常に極端な場合は当不当の問題がありますが、これを法律形式の上でそういうことはいけないと申しましても、実際上大量の株を捌くとか、そういうような場合には、どうしても一部おつしやつたような形で他の業者を使つて捌いて行くというような事態が生じて参りまして、なかなか法律の規定としてそれを縛ることはむずかしいのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/102
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103・菊川孝夫
○菊川孝夫君 時間の関係上次回に廻せという委員長からのお話でございますので、私条文のちよつと疑義を持つておる点についてもう少しお尋ねいたしまして、最後に一遍大蔵大臣に御出席を願いましてお話を聞くことと、条文のお尋ねをした上で、実はこれは大蔵省にいろいろこれから逐条的にお尋ねして、その上で総括的に質問をいたしまして、場合によつては証券取引所の業者の大きいところや小さいところ、或いは又取引所当局について参考人として二、三御出席を要求して頂きまして、まあ向うのほうで拒否すれば止むを得ませんが、願くわそういう点について業者あたりの意見も少し聞いて見たいと思いますが、この改正につきましては、今大蔵省のほうで御説明になつたように、占領当時に制定された法律であつて、その占領当時の制定された法律を或る程度日本の実情に合わして改正して行くという意図も含まれておるようでありますし、又今問題になつておりまする一方では反対しておるし一方では賛成しておる清算取引の復活等についても、この前御出席されましたのは日興の遠山さんでしたが、一流の大証券を呼んだけれども、小さい証券業者のほうの意見も聞いて見たいと私は思うのですが、そういうような機会も今後この法案を審議して行きます過程において一応御手配願うことにして、今日はこれで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/103
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104・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 今の菊川君の御希望に対しましては、理事会等にも十分御相談して、成るべく御趣旨に副うようにいたしたいと思います。本日の委員会はこれを以て散会いたします。午後一時から公聴会を開きます。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614629X01619530710/104
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