1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十八年七月十四日(火曜日)
午後一時四十二分開会
—————————————
委員氏名
通商産業委員
委員長 中川 以良君
理事 松本 昇君
理事 加藤 正人君
理事 三輪 貞治君
理事 小松 正雄君
石原幹市郎君
黒川 武雄君
小林 英三君
西川彌平治君
酒井 利雄君
松平 勇雄君
岸 良一君
豊田 雅孝君
西田 隆男君
海野 三朗君
藤田 進君
山口 重彦君
武藤 常介君
團 伊能君
白川 一雄君
経済安定委員
委員長 早川 愼一君
理事 高橋 衛君
理事 八木 幸吉君
岩沢 忠恭君
西岡 ハル君
奥 むめお君
木下 源吾君
永井純一郎君
鮎川 義介君
—————————————
出席者は左の通り。
通商産業委員
委員長 中川 以良君
理事
松本 昇君
加藤 正人君
委員
石原幹市郎君
小林 英三君
西川彌平治君
酒井 利雄君
岸 良一君
豊田 雅孝君
海野 三朗君
藤田 進君
武藤 常介君
白川 一雄君
経済安定委員
委員長 早川 愼一君
理事
高橋 衛君
八木 幸吉君
委員
奥 むめお君
永井純一郎君
衆議院議員
小笠 公韶君
政府委員
通商産業省通商
局次長 松尾泰一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
常任委員会専門
員 桑野 仁君
常任委員会専門
員 内田源兵衞君
説明員
中小企業庁振興
部振興課長 須賀井敏行君
—————————————
本日の会議に付した事件
○特定中小企業の安定に関する臨時措
置法の一部を改正する法律案(衆議
院送付)
○輸出取引法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
—————————————
〔通商産業委員長中川以良君委
員長席に着く〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/0
-
001・中川以良
○委員長(中川以良君) 只今より通商産業委員会と経済安定委員会の連合委員会を開きます。
本日は衆議院の議員提出によりまするところの、特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案と、輸出取引法の一部を改正する法律案、二法案を議題といたします。いずれも予備審査でございます。
先ず最初に特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案者より提案理由を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/1
-
002・小笠公韶
○衆議院議員(小笠公韶君) 簡単に特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申上げます。
先ず最初にお断り申上げておきたいと思うのは、提案の理由書がまだお手許に配付できていないかと思うのでありますが、間もなく来ると思いますので、その点あらかじめお許しを願いたいと思うのであります。
御承知の通りに昨年の夏、即ち第十三国会におきまして中小企業の不況切抜けの策といたしまして、特定中小企業の安定に関する臨時措置法というものが通過制定いたされたのでありまするが、その後施行の状況に顧みまするときに、なお若干改正を要する点がありますので、発見されましたので、去る第十五国会に対しましてこれが改正案が提出されたのであります。ところが御承知のような事情で成立に至らなかつたのでありますので、今回それらの事情を考慮して、特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正することにいたしたらどうかと考えまして、改正法案を提出いたしたのであります。昨年のと申しまするか、十五国会に改正を要する、修正を要する理由として出されました点は、先ず第一にこの中小企業の安定措置を行う主体でありまする調整組合、又は同連合会の事業の範囲が現在生産数量、出荷数量及び生産設備の制限をなし得る、この三つの点に限られておるのでありまするが、なおこれを拡大する必要があるということであつたのであります。即ち販売方法とか原材料の購入方法というふうな面に、更に事業活動の範囲を拡げる必要を痛感したことが修正の第一点であります。
第二点といたしましては、本法施行後の状況に顧みますとき、この調整組合、又は同連合会の活動を機敏に行わせるためには、現在の法律にありまする行政庁の手続が煩雑に過ぎるということが一つであります。この行政庁の手続が煩雑に過ぎるということは、中小企業安定審議会の付議事項その他におきましても同断のことが言えるのでありまして、これらを必要な要点だけは抑えながら、できるだけ簡易迅速にできるようなふうに規定を簡素化する必要があつたということが修正を必要とした第二の点であるのであります。
今回提案いたしました改正法案におきましては、これらの事情を盛り込むと同時に、一方におきましては去る十三国会におきまして本法案が通過するに際しまして、衆議院を通過するに際しまして附帯決議が付されておるのであります。五項目の附帯決議があるうちで一つは調整組合の機能を行なつている事業に対して、いわゆる二十九条の命令、即ち員外者に対しまして政府命令を以て同一内容の制限に従わしめ得ることとなつたのでありますが、この命令が出たとき、即ち生産設備の制限に関する調整事業を行なつておるものに対して政府命令が出ておる間に限つて新規に生産設備を拡張するまで起すということを抑制して欲しいということが載つております。いま一つは調整組合又は同連合会におきましては、企業の合理化を行うためにいわゆる事業たる調整事業のために必要な資金を借入れた場合には、予算の範囲内におきまして、年五分の範囲内において国家が利子補給するの措置を講じようということが、その第二の附帯決議であつたのであります。この二つの附帯決議を今回の改正案に盛り込んだのであります。更に一方におきましては、御承知の通りに、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部改正法律案が国会に提出されておること、御承知の通りであります。これらの改正法律案との均衡を見なければならんこともとよりでありまして、この私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律案の改正案との均衡をとつて行くために、必要な所要の手続改正をいたしたのであります。
その一点といたしましては本法施行後二年に限られておりますのを恒久法といたしたことが一つ。第二には、名前を中小企業安定法に改めるというふうなことにいたしたのであります。更に又刻下の経済情勢下に処しまして、現行法におきましては、対象業種の指定を法定することに相成つておりますが、機敏なる行動をなし得るために、これを行政権に委ねることにいたしたというふうな点が、今回の改正案の中心的な要点であるのであります。
以上のようにいたしまして、非常に多数の、而も比較的弱い経営能力を持つ中小企業をしてよくそこに一定の秩序を保たしめ、中小企業の安定の一助にいたしたいというのが本法案提出の理由であります。
どうか以上のような次第でありますので、慎重御審議の上速かに御協賛賜わらんことを切にお願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/2
-
003・中川以良
○委員長(中川以良君) 引続き内容の説明と資料による御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/3
-
004・小笠公韶
○衆議院議員(小笠公韶君) お手許に資料といたしまして改正法律案の要綱がお配りいたしてあると思うのでありますが、これにつきまして御説明を申上げることにいたしたいと思うのであります。
第一は先ほど申上げましたように、時限立法を恒久法といたしましたことと、題名を簡単に中小企業安定法ということに改めたのであります。率直に申上げますれば、中小企業安定法と言わんよりも、中小企業調整組合法であります。だが従来安定なる文字を使つておりましたので、中小企業安定法ということに簡単に変えたのであります。第二の点は先ほど申上げましたように、法の機動的な運営を図るために、ここに業種の指定を政令に譲つたということであります。第三は、業種を指定する際におきまして、現行法におきましては不況事態が到来して非常に困つておる場合に限つておるのでありますが、その虞れのある場合をも附加して、不況の招来にあらかじめ備え得るの道を開いたのであります。第四は、本改正法案におきまして、最も重要な点でありますが、先ほど申上げましたように、現行法におきましては、調整組合の主たる事業として生産数量の制限、出荷数量の制限及び生産設備の制限をするということに相成つておるのであります。これでは先ほど申上げましたように、非常に多数でいろいろな面から影響を受ける中小企業といたしましては、十分なる対応策がとり得ないので、第四項に掲げておりますように、事業の範囲を拡大いたしたのであります。即ち販売方法及び原材料の購入方法の制限と、一定の条件の下に販売価格及び原材料購入価格の制限を認めたのであります。御承知の通りに、今次私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部改正法律案におきましては、価格の不況カルテルの一つの事業といたしまして、販売価格の協定を認めておるのであります。又合理化カルテルの一態様といたしまして、極く部分的ではありまするが、副産物、屑というふうな言葉を使つて、原料の購入に関する共同行為の認容をいたしておるのであります。それらとの関連から考えて見まするとき、中小企業に対しまして原材料面の購入に関する方法並びに価格の制限を認めるということが、更に弱い中小企業に何らかの一つのよりがかりを与えるものであろうと考えるのでありまして、その意味におきまして、原材料の購入価格又は販売価格に対する共同行為を認めることといたしたのであります。もとより価格協定につきましては、独占禁止法の改正法案におきましても、一定の条件の下に、即ち技術的の理由によつて価格協定以外には不況切抜けの策のない場合、或いは生産数量の制限等と相並んでやるという場合に価格協定を認めておるのでありまするが、中小企業におきましても、この一定の条件の下にそれらを認めて参りたいと考えておるのであります。更に現行法におきましては、検査の制度というものが非常に不完備に出ておるのでありまして、特に生産数量の制限をいたしまする場合、消費者の立場から考えましても、品質の確保という必要があるのでありまして、特にその意味から品質検査を施行するの必要を感ずるのであります。消費者の利益の擁護の確保のほかに、当該事業の遂行を確保するという見地からも必要でありますので、ここに検査制度をはつきりと法文の中にいたしたということが、今回の調整組合に対する活動範囲の拡大した内容であるのであります。
第五の関係におきましては、総合調整計画及び調整規程の認可要件に「関連事業者の利益を不当に害しないこと。」これは私的独占禁止法におきまして、こういうふうな改正の要綱になつておりますので、それに合したのであります。
第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二というふうな所が、これは先ほど申上げましたように、行政官庁の手続を、不必要な認可制限をできるだけ届出主義に改めたり或いは緩和をするような場合には届出に限るというふうに、行政庁におきまする手続をできるだけ簡素化して、そうしてよく経済の動向に対して調整組合を機敏に適応せしめるために簡素化いたしたのであります。
第十三は、現在の現行法におきましては同様の文句があるのであります。これは昔の工業組合法或いは商業組合法、輸出組合法等におきまして、第八条乃至第九条にありましたような員外統制の問題であるのであります。終戦後このかたの日本の現状から申上げますと、昔のような、工業組合法の八条による員外命令ということを出すことはできないと考えるのでありますが、調整組合がみずからの力において調整事業例えば生産数量の制限等を行なつておりましても、員外の者によつてこれが乱されるということは統制の常であるのであります。それが国家的な見地、産業全体の立場から考えまして必要がある場合には、調整組合のやつておりまする調整内容とほぼ等しい命令を通産省令或いは通産大臣命令を以て出し得ることに現行法は相成つておるわけでありまするが、而して現行法におきましては先ず勧告をし、然る後に命令を出すという二段制に相成つておるのであります。そこでこれを勧告又は命令を選択し得るというふうにいたしましたのであります。第十二、第十四がその問題であるのでありますが、第十四の、員外に対する強制力の場合は、現行法と殆んど同じで、字句を若干修正いたしたということと、調整規程に定めておる内容をそつくり通産省令で政府命令にすることは不適当である場合があるのでありまして、一部又は全部、必要最小限において命令を発し得るというふうに直したのであります。この要綱におきましては載つておりませんが、法文におきまして、特にこの関係において附加えましたのは、これまでの解釈におきまして、第二十九条の命令が出ましたときには、調整組合の行なつておりまする調整事業は停止する、ここに国家権力による調整事業のみが行われるという解釈が流布されておつたのでありまするが、今回の改正法律案には、この命令が出た場合におきましても、調整組合は引続きその事業を継続してこの命令に対して協力する、即ち、調整組合の員内はみずからの手によつて調整をできるだけするというふうな内容、言葉を換えれば組合事業の継続性を明らかにした宣言規定を一項設けたのであります。
第十五は、先ほど提案理由で申上げましたように、第十三国会におきまする衆議院の附帯決議を盛り込んだ条項であるのであります。設備の制限に関する二十九条の命令が出ましたときに限りまして、その命令の有効期間に限りまして、設備の新設を抑制することができることにいたしたのであります。
第十六の関係は、先ほど申上げましたように、公正取引委員会におきまする通商産業大臣との関係におきまして、いろいろその協議、同意というふうな内容が多々あるのを、できるだけ両行政庁におきまする関係を簡素化するという趣旨におきまして、ここに書いてありまするような条項を整理して簡素化いたしたのであります。
第十七或いは第十八、第十九というようなものは、行政権の施行に伴いまする内部の規定、即ち都道府県の一部に関するような場合、特定の府県内の調整組合というような場合におきましては、地方通産局長にその権限を委任して機敏な措置を講ずる、いわゆる行政内部におきまするできるだけ機敏な行動を確保するというような意味におきまして、その権限以上の規定を置いたのであります。
第二十は、審議会の構成を簡素化する、これは五十人でありますのを三十五人にいたしますと共に、その選定範囲を成るべく狭めて行くというような趣旨からいたしたのであります。
第二十一も同様でありますが、第二十二が先ほど申上げましたような、調整組合又は同連合会が調整資金を借りた場合に、予算の範囲内におきまして、年五分以内におきまして利子補給をし得るの途を開いた規定であります。
以上申上げましたような点が今回の特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の内容であるのであります。これを、先ほど言及いたしました、目下衆議院で審議中の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に比べますると、相当程度、中小企業の実態に鑑みまして強さを持たしておるのであります。特に二十九条の命令、いわゆる平たく申しますと、強制カルテル的な内容を備えている点、現行法でもそうでありますが、そこらの点の発動をしやすくしたという点が大分違つておるところでございます。
以上簡単に改正法律案の内容を御説明申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/4
-
005・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは、只今お手許にございまする調整組合及調整規程認可状況表という資料がございます。これについての説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/5
-
006・須賀井敏行
○説明員(須賀井敏行君) お許しを得まして、お手許の資料にございます調整組合の設立状況につきまして簡単に御説明申上げます。
この法律で指定されております業種は只今十四の業種がございますが、そのうち九業種につきまして調整組合が設立せられておるわけでありまして、組合数で申しますと、資料にございますように、認可されて設立されておりますものが八十七、申請中のものが三、こういうふうになつております。この組合において作られました調整規程は、その表の下にございますように、認可せられましたもの六十八でございます。この差は只今準備中、その他時間的ズレがございまして、調整規程のほうは少し数が少くなつております。こういうようなわけでございます。このように組合は設立せられているわけでございますが、この組合が、全事業者のうちどのくらいの数を占めておるか、組合に組織せられたものがどのくらいあるかという点につきまして簡単に御説明申上げますと、先ず上の綿スフ織物の調整組合につきましては、大体六七%が組合に入つておる。これは組合の数のほうでございます。それから設備のほうで申しますと、八五%くらい、従業員で申しますと九七%、これが調整組合の組合員になつておるわけでございます。その他大体そういうふうに六〇%以上、組合によりましては一〇〇%近いところまで組合に組織されているものもあるわけであります。それから調整の方法でございますが、大体各組合とも調整の方法は大同小異でございますが、先ずどの組合も機械の登録をいたしまして、登録の機械以外のものは使用を禁止しますと共に、それ以上に設備が増設せられることを抑制いたしております。それと並行いたしまして、生産制限を実施いたしておるわけでありまして、生産制限の方法としましては、いろいろ、例えば機械を休ませる方法、或いは休日制を設ける方法、方法においては多少の差異がございますが、大体過去の実績を堪案いたしまして、二割或いは三割の生産制限を実施いたしておるわけでございます。又業種によりましては、出荷制限を実施いたしておるものもございまして、生産制限一本の調整方法を用いておる組合と、生産制限に加えて出荷制限の方法を用いている組合、両方あるわけでございます。
組合の設立状況と生産制限方法の概要を御説明申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/6
-
007・中川以良
○委員長(中川以良君) 本法案に対しまする質疑は次回に延ばすことにいたしまして、本日は一応一つ資料の御要求のある向きは一つこの際申入を願いたいと思います。それでは私から中小企業庁のほうに資料を要求いたしますが、只今綿スフ織物の数と設備と従業員の割合をお示しになりましたが、各業種別についてそれを一つお示しを願いたいと思います。それから各この調整組合が認可いたしましたものの中に非常にうまく行つておりまするものと、比較的その目的を達することが未だできないようなものもあると思うのです。その両極端の例をお取上げ頂きまして、それの調整規程、それから総合調整計画並びに実施の状況等につきましての資料をお願いいたします。それから調整方法及び制限率の一覧表。
ほかに御要求ございませんか。それでは質疑は次回に延ばしますことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/7
-
008・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは一応本法律案は本日はこの程度にいたしておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/8
-
009・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは次に輸出取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法律案は、通商産業委員会におきましては、提案理由並びに内容説明を聴取いたしておりまするが、経済安定委員会のかたは本日が初めてでございまするので、重複いたしまするが本日は一応提案理由並びに内容説明、それから配付された資料についての説明を政府側より求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/9
-
010・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 輸出取引法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
現行の輸出取引法は、不公正な輸出取引を防止すると共に、一定の限度において輸出業者の協定と輸出組合の設立を認めることにより、輸出取引の秩序の確立を図ることを目的として昨年八月制定されました。併しながら、その後輸出取引の面におきましては、現行法によつて許容される輸出業者の協定又は輸出組合の活動によつては、輸出取引の秩序を確立するためには不十分な場合が生じて参りました。他方、現行法においては何らの規定もない輸入取引の面におきましても、過度の競争から貴重な外貨を浪費する結果を招き、又は通商協定の遂行上割高な物資等を輸入する必要も生じ、従つて輸入取引の面におきましても、一定の範囲において輸入業者の協定と輸入組合の設立を認めることによりまして、輸入取引の秩序の確立を期することが要請されるに至りました。
この法案は、これらの必要性を満たすために、現行輸出取引法に所要の改正を加え、私的独占禁止法の適用除外の範囲を拡大することを目的とするものでありまして、その内容は、大要次の通りであります。
第一に、法律の題名を「輸出入取引法」に改めました。第二に、現行法において認められている輸出業者間のみの協定では不十分な場合において、輸出業者が輸出貨物の生産業者又は販売業者と協定を締結し得ることとし、又、輸出業者が協定を締結し得る場合として、輸出取引において競争国より不利な条件の存する場合、新市場との輸出取引において過度の競争が行われる場合等を追加すると共に、更に特定の場合において輸出業者のいわゆる輪番輸出を認めるため、協定事項の範囲を拡大いたしました。
第三に、輸出組合につきましては、その財政的基礎を強化するため、出資制採用の途を開くと共に、輸出業者の協定に準じ組合員の遵守すべき事項を定め得る場合を拡張し、且つ、特定の場合における団体協約の締結、一手輸出等を可能にする途を開きました。第四に、輸入取引の競争が過度に行われる場合、通商協定の達成上割高物資でも輸入する必要がある場合等において、輸入業者の協定の締結を認め、更に乱立防止の見地からする厳重な制限の下に、輸入組合の設立とその活動を認めることといたしました。
第五に、輸出取引又は輸入取引における業者の協定又は組合員の遵守すべき事項をもつてしては実効を期しがたい場合には、通商産業省令により、輸出業者又は輸入業者の遵守すべき事項を定め、又は通商産業大臣の承認を受けるべき義務を課し得ることといたしました。
これを要するに、長年の我が国貿易業界の念願の下に成立いたしました輸出取引法につき、我が国貿易の特質と実情に即応するよう、その不備な点を改正しようとするのが本法案でありまして、その成立は、必ずや公正にして且つ秩序ある輸出入取引を促進し、我が国貿易の国際的信用の増進に資すると共に、延いては世界の貿易の拡大に寄与するものであることを確信しております。
法律案の提案理由は以上のごとくでありますが、引続きまして法律案の要綱について御説明を申上げます。
第一には、先ほどの提案理由の中で申しましたように、題名を輸出入取引法に改めたことが第一点であります。従来は輸出取引の面だけを規定しておりましたが、今回の改正案によりましては輸入取引の面も規定いたしておりますので、そういう輸出入取引法と、こういうようにいたしたのであります。
それから要綱の第二から第六までは輸出に関する事項でありまして、それから第七から第九までは輸入に関する事項であります。第十、或いは第十一はその他ということに相成るわけであります。
要綱の第三におきましては、現行法では輸出業者間だけの輸出取引に関する協定を認められておるのでありますが、この輸出業者間だけの輸出取引に関する協定で不十分な場合におきまして、輸出業者はこの輸出業者間の協定を締結すると共に、輸出貨物の生産業者又は販売業者との間でその輸出貨物の国内取引に関する協定も締結し得ることとせんとしておるのであります。この点につきましては、別に輸出取引法改正資料というのをお配りしておりますので、そのほうをちよつと御覧願いたいのであります。輸出取引法改正資料の第一に書いておりますのがこの要綱の第二の説明に該当するのでありまして、ちよつと読ませて頂きますると、第一といたしまして輸出業者と生産業者又は販売業者との協定を認める必要性であります。これは本文のほうの第五条第一項の改正に該当するのでありますが、現行法においては輸出業者間のみの協定を認めておるのでありますが、鉄鋼、重機械類等の部門におきましては輸出品の価格の数量等は実体的に生産業者が決定をしておりまして、輸出業者は生産業者の輸出業務の代行者としての機能を果しておる場合が極めて多いのであります。このような場合には輸出業者間のみの協定では効果を期待し得ませんので、生産業者の参加を待つて初めてその実効を挙げることができると考えられるのであります。本改正案におきましては輸出業者と輸出貨物の生産業者又は販売業者との協定を認めたのは以上の必要性によるものであります。現行法制定後いろいろ問題になりました、例えば鉄鋼メーカーによる輸出商社の指定の問題であるとか、或いは硫安の共販会社の設立の問題であります、乃至は綿糸布の買取機関の構想というふうなものは、その適否は別といたしまして、生産業者の参加の必要性を示す事例の現われであろうと考えるのであります。更に今日現在の具体的な事例といたしましては、アルゼンチン向けの鉄鋼輸出について取扱い商社選定の問題があるのであります。そのアルゼンチン向け鉄鋼輸出における取扱い商社選定の問題について少し御説明申しますと、先般締結を見ました日本とアルゼンチンとの間の通商協定におきましては、輸出入それぞれ八千万ドルというふうに大きな通商協定ができたわけでありますが、その中におきまして鋼材の輸出というものはかなりな額に達しておるのであります。約五千万ドル近くにも達しておるのであります。ところが現実の輸出の進め方といたしまして、これ又通商協定の中におきまするアルゼンチンの小麦をかなり多額に買うことになつておるのでありますが、この小麦の輸入と鋼材の輸出の間におきまして。先方はいろいろ為替の各種のレートがありますような関係から、鋼材の我がほうの売値如何によりまして小麦の我がほうの買値が決定されるというような工合になつておるのであります。例えばビレツトならビレツトを、例えば八十何ドルで出すということになると、小麦は現在のアルゼンチンが普通に輸出する価格より何%引をするというふうな、俗に輸出入のコンビネーシヨン・システムと称しておりますが、そういうふうなやり方をアルゼンチン側が希望いたしておるのであります。それに乗つかるほうが、我がほうの輸出入も却つて円滑に行くというふうな場合があるわけであります。現に例えばアルゼンチンの羊毛を輸入するについて、又その羊毛と例えば銑鉄とどういう価格の比率で噛み合わせるかというふうな問題が起きておるのであります。いずれもこのコンビネーシヨン取引の一例なんでございますが、その場合におきましては、業者が競争するということは非常にまずい場合が多いのでありまして、従いまして現在この業者の指定ということは非常に困難であります関係上、主たる鉄鋼メーカーのほうにおきまして輸出取扱商社を選定をしておるというふうな事例があつたわけでありますが、まあそういうふうな場合における輸出業者と生産業者との協定を、今度の改正によりまして、独禁法違反のうちから防ごうというのが趣旨でございます。
それから要綱のほうに帰りまして、要綱の第三といたしまして、輸出業者が協定をし得る場合及び輸出組合が組合員の遵守すべき事項を定め得る場合の範囲を拡大をしたのであります。現在は御存じの通り、いわゆる三原則と称しまして、この業者が協定を締結し得る場合、それから輸出組合が組合員の遵守すべき事項、いわゆる統制的な事柄をやり得る場合としまして、三つの原則がきめられておるのでありますが、その原則を以てしては最近の事態から申しますと、少し範囲が狭過ぎるということで、今回は実質的に三つの場合を追加せんとするものであります。
その先ず第一は、ここに書いてありますように、新たに仕向国に対する輸出数量が著しく多いため当該仕向国の関係事業者の利益を害する場合というのが先ず第一。それから第二といたしまして、輸出取引において競争国より不利な競争条件が存する場合。それから第三番目の場合といたしまして、新市場との輸出取引において過度の競争が行われるため輸出取引の成立が困難となる場合、という実質的には三つの新らしい場合を追加せんとするのでありますが、法文の整理といたしましては、現在ありまする三つの原則の中に一応それぞれ表現を変えて規定をいたしました結果といたしまして、形式的には四原則になるわけでありますが、実質的には今申しましたような三つの場合が従来の場合に附加わるわけであります。
その具体的な事例なり必要について御説明申上げますが、先ほど見て頂きました改正資料のほうの第二を御覧願いたいのであります。第二といたしまして、輸出業者が協定を締結し得る場合又は輸出組合が組合員の遵守すべき事項を定め得る場合の範囲拡大の必要性を説明申上げておるのであります。これは本文の第五条第一項各号の改正になるわけであります。
その一としまして現行法の第一号は、我が国の輸出品の価格が著しく低く、仕向地の関係産業と競合するため発生する相手国の産業保護政策に対抗する必要がある場合でありまして、例えばまぐろのたぐい、或いは冷凍まぐろ、絹スカーフ或いはデイナー・セツト等が、これはいずれも米国向けでございますが、それらがいわゆる該当事例として予想されておつたのでありますが、このうち米国向けの冷凍まぐろの事例で見られますように、輸出価格のほうは必ずしも低くないにもかかわらず、輸出の数量が相当額に達しておりますために、相手国の需給関係に影響を与えるというような結果、関税引上運動を招く場合があるのであります。従いまして従来は価格が著しく低く云々という規定の仕方をいたしておつたのでありますが、それを輸出数量が著しく多いために相手国の関係事業者の利益を害する場合というふうに書直したのであります。
それから第二といたしまして、現行法の第二号は不当廉売その他輸出価格の変動によりまして取引不安を招く場合でありまして、綿糸布、絹織物或いは紡織機、家庭用のミシン、琺瑯鉄器、缶詰等いわゆる現在チエツク・プライス制を政府みずからが実施をいたしております品目についてこの事例の発生が予想されるのでありますが、本改正案につきましては、本号の弾力性ある運用を図るために若干その表現を改正をいたしたのでありまして、これは実質的に大きな差はないのでありますが、例えば「おそれがあること。」というふうな表現を附加えたのであります。従来の規定におきまして、「輸出取引の成立が困難となること。」というような表現をいたしておりましたが、今度はその場合のほかに、「又は困難となるおそれがあること。」というふうな規定をいたしたのであります。
それから三といたしまして、現行法の三号は仕向国に一手買取機構又は輸入業者のカルテル等いわゆる買手独占の存する場合を規定をいたしておるのでありますが、いわゆる相手国の買手独占の場合だけでなしに、競争国である第三国がカルテルを結成したり、或いは補助金を交付するというようなことによつて不当な売込競争を行なつて来る、これがために我が国の関係業者が損失をこうむる場合が存在するのであります。例えば最近においてインド市場に対しまして、インド市場では別段そう買手独占ということでもないのでありますが、イタリーが人絹の非常にダンピング的な輸出をして来るというふうな場合、或いは台湾、朝鮮等の肥料の国際入札におきまして、西独その他西欧諸国のほうが非常に進出をして来るというふうな場合の事例が考えられるのでありまして、この改正案においては、かくのごとき事態に対処するために第三号の拡張をいたしたのであります。先ほど申しました、競争国より不利な競争条件が存する場合というのはこれに該当するのであります。
第四としまして、中近東、中南米等の新市場との取引におきまして、ややもすれば輸出業者相互間に過度の競争が行われまして、これがために輸出取引の成立を困難にすることが予想されるのであります。特に中近東諸国におきましては、我が国商社の信用状態が不明であるために、むしろ我が国からの一手輸出をすることによつて安定した取引関係を維持することを希望しているような実情でもありますので、本改正法案において新たに第四号を追加した。と申しまするのは、先ほど申しました三原則のところへ第四の柱として一つ柱を加えたわけであります。前に申しました二つの場合はそれぞれ現在の一号なり或いは三号の中に合せて記入をいたしたのであります。
それから又法律の要綱のほうに帰つて頂きまして、第三の場合はそういう場合の拡張を規定したのでありますが、第四といたしまして、輸出業者が協定し得る事項及び輸出組合が組合員の遵守すべき事項として定め得る事項の範囲を拡大いたしまして、新市場との輸出取引、それから仕向国に買手独占が存する場合の輸出取引等におきまして、輸出貨物の価格、品質その他の取引条件又は数量以外の輸出にかかわる取引、ここでは以外の輸出にかかわる取引というのは意味があるわけでありまして、この数量以外の輸出にかかわる取引に関する事項について協定を締結し、又は組合員の遵守すべき事項を定めることとしたのであります。この具体的な事例なり必要性につきましては、先ほど申上げました輸出取引法改正資料の第三を御覧願いたいのでありますが、第三は、輸出業者が協定を締結し得る事項及び輸出組合が組合員の遵守すべき事項として定める事項の範囲を拡大する必要性であります。これは本文の第五条の第一項及び第十一条の第二項の改正に当るわけでありますが、最近のアルゼンチン向け鉄鋼輸出におきまして、先ほどもちよつと御説明をいたしておきましたが、輸出業者を輪番的に特定をする必要が生じておるのでありまして、又、先に中近東に派遣せられました使節団の報告によりますと、同地においては安定した取引関係を維持するために我が国からの一手輸出を要望をしておるような状況であります。これらの取引形態は、特定の輸出業者乃至輸出組合のみが輸出取引を実行いたしまして、他の輸出業者又は輸出組合の組合員自体は輸出を行わない旨の輸出業者の協定又は輸出組合の統制業務を認めることによつて可能となるのでありまするが、輸出貨物の価格、品質その他の取引条件又は数量についてのみ協定乃至統制業務を容認する現行法によつては不可能でありますので、本改正法案においてその範囲の拡大を図つたような次第であります。それから又要綱のほうに帰つて頂きまして、第五として、輸出組合につきましては、おおむね現行法のままでありますが、新たに出資制を採用し得ることといたしまして、且つ、組合の事業といたしまして、輸出貨物の生産業者又は販売業者と組合員のためにする団体協約の締結を行い得ることとすることとしておるのであります。従来の輸出組合は無出資制で参つておるのでありますが、今後いろいろ事業を活溌にやりますためには、どうしても出資をする必要が出て参つております。特に税法の関係から申しましても、無出資制の組合におきましては免税を或る程度して頂くということは非常にむずかしいというふうな事情もありまして、この際出資制を採用し得ることとしたい。それから組合の事業といたしまして、この輸出貨物の生産業者なり或いは販売業者と組合員のためにする団体協約の締結を行うようにしたいというわけでありまして、これはこの要綱の第二で申上げましたと同様に、輸出業者がこれは組合のない場合におきまして、輸出業者が輸出貨物の生産者或いは販売業者の間でこの協定を締結し得る場合に該当をするわけであります。
それから次に第六に移りまして、輸出業者の協定が行われている場合又は輸出組合の組合員の遵守すべき事項が定められている場合でありまして、当該協定又は組合員の遵守すべき事項を以てしてはその実効が挙りませず、通商産業大臣が輸出秩序の確立及び輸出貿易の健全な発達のため特に必要と認めたときは、当該貨物の輸出業者に対しまして、輸出貨物の価格、品質、数量等について輸出業者の遵守すべき事項を命じ、更に当該貨物の輸出取引における価格又は数量についてその命令をすることが適切でないと認めるときは、当該価格又は数量について通商産業大臣の承認を受けるべき義務を課することができるものとするというのであります。これは形式的には一般の輸出業者に対するいわば勧告命令であり又は承認を受けるべき義務を課することになるわけでありますが、実質的な狙いはいわゆるアウト・サイダーを取締るというのがこの規定の趣旨でございます。戦前のこれらの組合法におきましては、組合が組合員を登録する場合におきまして、アウト・サイダーも又この組合の統制に従うべしというふうな命令を出すというのが通例のやり方でありましたわけでありますが、戦後の立法のやり方からいたしまして、戦前のやり方に復帰することが非常に困難であつたわけであります。ところが現実に輸出協定を完全にやる場合或いは又輸出組合が円滑に業務を遂行いたします場合には、アウト・サイダーに対する規制がなければ本当の仕事はできないのであります。実はこの本法案につきまして、第十三回国会におきましていろいろ御審議を願いましたときも、この点についていろいろ御指摘なり御意見を承わつたのでありますが、その当時としてはまだ諸般の情勢がまあ若干熟しないという感じがいたしておつたのでありますが、今回の改正におきましては、それらのアウト・サイダーの取締を狙いといたすわけでありますが、法文の形式といたしまして、こういう一応網を全部にかけるというふうな形式をとることによりまして、実質的にはアウト・サイダーの取締をいたしたい、こういうわけでありまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/10
-
011・小林英三
○小林英三君 第六は第何条ですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/11
-
012・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) これは法案の十九条の七でございます。第十九条の七を少しく詳細に申上げますと、先ずこういう第一段の段階として、そういう勧告命令を出し得る場合は、この第十九条の七の第一項で規定をいたしておりますが、ちよつと法文のほうを御覧願えば、その二行目から三行目に亘りまして「当該仕向地に輸出する当該貨物の輸出額がその仕向地に輸出されるその貨物と同種の貨物の総輸出額に対し相当の比率を占めている場合であつて、」と、その相当の比率を占めている場合ということが先ず第一の条件である。それと協定なり組合員の遵守すべき事項を以てしてはその除去せんとする事項を除去することができない場合ということが第二の条件、それから当該事由を除去しなければ輸出取引の秩序の確立を著しく害し、又は輸出貿易の健全な発展に著しい支障を及ぼす虞れがあると認めた場合、その三つの条件を規定しまして、その場合において通商産業省令で一般の輸出業者に対しまして、この輸出価格なり品質その他数量について輸出業者の遵守すべき事項を定める、いわゆる勧告の命令をいたすというのであります。第二項におきまして、その勧告命令をやることが不適当な場合、適切でないと認める場合におきましてはこれ又一般の輸出業者に対しまして、輸出取引における価格又は数量について通商産業大臣の承認を受けなければならないものとすることができると、こういう規定の仕方でありまして、第一段のこの勧告命令の場合は現実の取締は事後承認でチエツクをいたすわけであります。第二段の承認の場合におきましては承認制の運用によりまして事前にチエツクをいたすわけであります。それと、適切であるかないかという場合でありますが、実際問題といたしまして勧告命令ということになりますと、価格或いは品質、数量というようなものをすべて公表をいたすことになろうかと思いますが、ところが実際問題といたしましてチエツク・プライスの実施等につきましては価格を公表することが非常にむずかしい、或いは又数量の統制をいたすような場合におきまして、過去の実績によるという程度なら公表は可能でありますが、実際問題といたしまして、実績では幾らあつた、或いは頭割りでは幾らあつたというような調整をいたします場合には、勧告命令ではなかなかやりにくかろうということで、こういう承認制の運用によりましてそれらの点をいたそうというわけであります。そういうような公表のしにくいような場合を主としてここでこういう勧告命令をすることが適切でないという場合として考えておるのであります。又その点につきましては、組合或いは業者の協定が活溌に活動すればするほど、役所がこういう勧告命令なり或いは承認制を実施するというわずらわしさも起るのでありますが、実際問題といたしましては、こ参の組合員に関する部分につきましては省令の規定の仕方によりまして、できるだけ組合員自身にやらせることといたしまして、アウト・サイダーだけを役所みずからがチエツクするというふうな運用によりまして、今申上げました組合が仕事をやればやるだけ役所が忙しくなるというような弊を避けて行きたい、こういうふうに考えております。現在のところでは、まだ組合も活溌に活動いたしておりませんので、止むを得ず政府みずからが承認制の運用によつてやつておるのであります。その承認制と申しますには、若干体系は別になるわけでありますが、貿易為替管理法に基く輸出貿易管理令というようなものでやつておるのでありますが、本法が制定せられまして、漸次輸出組合がこういう活動をいたすようになりますれば、第一次的には輸出組合の活動となり、それでどうしてもアウト・サイダー等の輸出取締の必要があるという場合には、本法の勧告命令なり或いは承認命令ということで、漸次こちらの法体系のほうに移行したいというふうに考えております。その場合に勿論二重承認を避けるために貿易為替管理法に基くいわゆる輸出貿易管理令の体系によります承認制は撤廃することは勿論でございます。
それから第七から第九までは輸入に関する事柄でありまして、今回新らしく追加挿入せんとするものであります。第七、通商協定の達成その他の理由により割高な貨物等でも輸入する必要がある場合、又は仕入地の輸入取引における競争が実質的に制限され、若しくは輸入取引の競争が過度に行われるため、関係事業者又は消費者の利益を著しく害する場合には、輸入業者は通商産業大臣の認可を受けて、輸入取引に関する事項について協定を締結し、更にこの協定では不十分な場合には、輸入貨物の需要者又は販売業者との間で輸入貨物の国内取引に関する協定を締結し得ることとしたいと、これがこの要旨でございますが、大体の建前といたしましては、輸出の場合と同じように、先ず只今この特定の場合におきまして、輸入業者間の協定を認める。而うして輸入業者間の協定だけで不十分な場合には、この輸入貨物の需要者又は販売業者との間においても協定をし得るという行き方でございまして、輸出の場合で申述べましたのと、行き方としては同じ行き方でございます。この具体的な必要性につきましては、先ほど説明を申上げておきました改正資料のほうの第四を御覧願いたいと思いますが、第四といたしまして、輸入業者の協定又は輸入組合の統制業務を認める必要性でありますが、これは本文の第七条の二及び第十九条の四はこれに該当するのであります。本改正法案におきましては、この一、二、三と三つの場合を規定してございますが、船積地における輸入でございますので、相手地域に売手独占のある場合には、相手方はその独占力を利用して不当に輸入価格を吊上げる虞れがある。それから二としまして、船積地に独占組織の存しない場合におきましても、これは我がほうの輸入業者が過度の買付競争を行います場合、その結果輸入価格が不当に吊上げられることが予想される。それから三としまして、通商に関する政府間の取極によりまして、若干割高な物資でも一定量の輸入をいたさなければならんというふうな事例が考えられるのであります。そういう理由から輸入業者の協定又は輸入組合の統制業務を認めることにしたいと、こういうわけでありまして、今申しました第一の事例といたしましては、タイ米、或いは台湾の砂糖、或いはアルゼンチンの物資のごとく、政府なり或いはこの政府に準ずるような公団等によりまして一手輸出が行われるというような場合、或いはヨーロツパの加里のごとく、相手方が非常に強力なカルテル組織を有する場合が考えられるわけであります。要するに相手方がそういう政府或いは公団で一定してやつておる、或いは強力なカルテルのある場合には、多数の輸入業者が競争するということは非常にまずいことと言えるかとも思うのであります。第二の事例といたしましては、屑鉄の輸入につきまして最近起つたことでありますが、屑鉄につきまして非常に買いあさりをするということで、これは東南アジア市場、どの地域におきましても、日本の輸入業者がやたらに買付競争をいたしました結果、現物がないにかかわらずむちやくちやに輸入許可をとつたり、いろいろなことをして弊害が現われたのでありますが、その結果として価格を非常に吊上げる結果になつたのが、最近の事例でございます。又米国、カナダ等から或いは米、小麦、大麦を輸入するような場合にも考えられるのでありますが、これらの場合におきましても、非常に業者の買付競争の弊害があるのであります。それから三の事例といたしましては、パキスタンの綿花、或いはインドネシアから生ゴムとかコプラを買うという場合も予想されるのでございますが、なおその場合には、その貨物の需要者が、綿花にいたしますれば、紡績業者が割高に物資を引受けてくれるということが、是非とも必要でございまして、輸入業者だけが割高な物資を買うということはできないわけであります。協定の形態といたしましては、大体こういう場合におきましては、当該貨物の需要者がこの輸入業者と一緒に協定をするという場合が多かろうかと考えられるわけでありますが、今申しましたようなこういう三つの場合におきまして、輸入業者の協定を認めんとするものであります。
それからその次の第八でございますが、輸入組合の設立が輸入取引の秩序の確立に寄与すると認められる貨物でありまして、政令で定めるものの輸入業者は、通商産業大臣の認可を受けて、輸入組合を設立し、同組合は通商産業大臣の認可の下に、輸入貨物の価格、品質その他の取引条件又は数量その他輸入にかかわる取引に関する事項について組合員の遵守すべき事項を定め、更にこれを以てしては不十分な場合には、輸入貨物の需要者又は販売業者と組合員のためにする団体協約の締結を行い得ることとする。この表現の仕方等は大体輸出の場合と同様に、先ず輸入組合でやれた事柄、それから輸入組合だけで不十分な場合におきまして、この輸入業者でない需要者なり販売業者と団体協約の締結を行い得る途を開かんとするものでありまして、ただ輸入組合と輸出組合と、ここで規定の仕方として異なつておりますのは、輸入組合の設立の場合をこのように輸入取引の秩序の確立に寄与すると認められる貨物を政令で定めるものというふうな規定をいたしておるのでありまして、輸出組合の場合には、こういうふうな規定をしておらんのでありますが、なぜこういうような規定をいたさんとするかと申しますると、輸出組合の概況につきましては、後刻資料によりまして御説明を申上げますが、とかくこういう組合法的なものができると、やたらに組合ができる、それは多かれ少かれ業者の負担になるというふうな意見が貿易業界からかなりありまして、輸入組合の必要は認められるが、これは又組合屋の策動によつて多数の組合ができるということは困る、輸出と輸入は若干事情も違うのであつて、どうしても必要な場合に限定をする必要があるというのが、一般の貿易業界の強い要望であつたわけであります。従いまして一応表現といたしまして、こういう輸入取引秩序の確立に寄与する場合、そうしてもう一つは、それで政令で一つ具体的に品目をきめて参ろうというふうな進み方をとつたわけでありまして、実際の進め方といたしましては、業界からかなり強い要望があつて、成るほど必要である、全業界が相当その必要を認められるというような場合を政令で以て定めて行こうかというふうに考えておる次第であります。要はこの輸入組合の濫立を防止したいという趣旨からでございます。
それから第九は、輸出貨物の価格等に関する命令に準じまして、輸入貨物につきましても、特定の場合に、通商産業省令で同様の措置を講じ得るものとせんとするのでありまして、これも先ほどの第六の輸出の場合について申述べましたと同様に、実質はこのアウト・サイダーを取締らんとするのが本旨でございますが、形式的には一応当該の全輸入業者を代表といたしまして、先ず第一段階としては、勧告命令、その次には承認の命令というふうな形態で規定をいたさんとするものでありまして、法案の条文を御覧願えればおわかり願えると思いますが、大体輸出の場合と同様な書き方をいたしておるのであります。
次に第十は、「通商産業大臣は、本法の施行に際し、所要の事項について公正取引委員会又は物資の主務大臣の同意を受けるものとすること。」これは現行法におきましてもそれぞれ必要な条文につきましては公取なり或いは農林省或いは運輸省の同意を受けることになつておりますが、今回の輸入の場合も新らしく規定せられますし、又輸出の場合におきましてもかなり条文が追加されまするので、これは当然のことかと思いまするが、同意を得るものとするというふうになつておるのであります。
それから第十一は、「輸出組合及び輸入組合に対する法人税等については、協同組合等と同じ取扱とすること。」現在の輸出組合につきましては税法上の取扱方につきましては何ら規定されるところはなく非常に不都合を来たしておるのでありますが、今回輸出組合及び新らしくできます輸入組合につきまして、大体中小企業協同組合と同様の税法上の取扱をしたいというわけであります。法人税の軽減或いは登録税、印紙税の免税、或いは地方税についても軽減の途がこれによつて開かれるのであります。
大体要綱の趣旨は以上の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/12
-
013・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは引続いて配布されておりまする資料の「輸出取引法の運用状況について」、これについて一つ簡単な説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/13
-
014・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 輸出取引法の運用状況について御説明申上げます。これは大体簡単に書いておりまするので、お読み願えれば結構かと思いますが、朗読をして参りますと、輸出組合の設立状況でございますが、先ほど申しましたように、この輸出取引法は昨年の九月一日から施行に相成つておるのでありますが、従いまして本年の七月の十三日現在におきまして、約一年足らずでございますが、その間の輸出組合の設立状況は創立総会を終つているものが三十四組合であります。その内訳は別紙の通りでありますが、商品別に大別してみますと繊維関係が七組合、機械関係が四組合、鉄鋼、非鉄金属関係が五組合、農水産関係が八組合、雑貨関係が十組合、合計三十四組合となつております。この三十四組合のうちすでに認可をして登記もし成立済のものが三十一、それから目下設立認可を手続中のものが三つであります。それから近く設立をせんとしているものが化学品、医薬品、染料及び船舶等がございます。従いましてこの輸出組合の設立は今後とも当初予定しましたように四十組合以内にとどまるものと考えられておりまして、従つて当初憂慮せられた組合濫立の問題は解消されたというふうに見ております。
それから二の輸出組合の事業概況でございますが、輸出組合の事業活動は設立後なお日も浅い関係から一般的には未だ活溌であるとは言い得ないのでありますが、併し各輸出組合とも組合の設立整備と相待つて着々と事業活動の準備が進められておるような現状でありまして、現在各輸出組合において取扱われている事業の概要は別紙の「輸出組合事業概況」を御覧願えればいいのでありますが、これを要約してみますと大体次の通りでありまして、先ず第一は「組合員の遵守すべき事項」、組合員の遵守すべき事項というのははつきりしにくい表現でございますが、要するに統制事業と見て頂けばいいと思うのでありますが、といたしましては、陶磁器の輸出組合においてすでにアメリカ向け輸出のデイナー・セツトに対して関税引上げに対処するために最低輸出価格及び輸出数量について統制をすることを決定して、目下実施をいたしております。それから木材の輸出組合におきましても、「楢吋材」の最低輸出価格をきめまして、又冷凍食品の輸出組合におきましても例の蛙でございますが、蛙の脚の肉の輸出数量についてそれぞれ統制をすることを決定しておりまして、これは近く現実の実施に移る運びであります。この両組合の協定は共に輸出価格の変動によつて輸出取引の成立が困難となる事態に対処するための措置であります。なお現在ミシン、それから注射筒ガラスでありますが、その他雑貨品等についてそれぞれ関係の組合において統制品目の研究を進めておるような次第であります。それから第二に組合員の共通利益の増進のための施設でございますが、機械輸出組合がプラント類の輸出振興のために重機械技術相談室を目下設置準備をいたしております。これは本年度の計画といたしましてアルゼンチン、ブラジル、インド、パキスタン、タイ、ビルマの六カ所に約一億三千万円の経費を以て設置することを計画いたしております。そのうち政府の予算といたしまして七千万円補助をすることになつておりまして、この二十八年度の予算に計上されておるような次第であります。それから綿糸布の輸出組合におきましては、輸出綿糸布の輸出取引の安定と保険料の低減のため、すでに輸出信用保険の包括契約を実施しておりまして、過日御説明申上げました通りであります。又ガラス製品の輸出組合におきましても、輸出ガラス製品の品質の維持向上を図るために組合員の依頼による輸出品検査業務を実施中でございます。更に米国においては米国の関税引上げが問題となり輸出品中特に絹スカーフ、陶磁器、まぐろ類に対しましてそれぞれ関係の輸出組合において関税引上げに対する阻止運動を展開しておりますが、特に繊維製品の輸出組合におきましては、今回のスカーフの関税引上阻止運動が一応功を奏したのであります。その阻止運動に要します経費につきましては、輸出実績割の醵出方法によつて組合員から一定の金を取つてやつておるような次第であります。なお原産地証明の発行その他共同施設業務を開始しておる組合は相当あるわけであります。第三は、不公正な輸出取引の防止業務につきましては、十二組合で組合機関紙を発行いたしまして、組合員の指導啓蒙に当つております。
それから次に輸出業者の協定でありますが、現在までのところ該当事例はないわけであります。これは業界が挙つて輸出組合を中心にして共同行為をしようとしております。殊に現行法におきましては協定者以外の者に対する措置なり輸出業者と生産業者又は販売業者との間の協定の途が開かれておらんというようなことで、自然消極的にやつておるのじやないかというふうに考えられるのであります。
なお別紙は御覧願えればおわかり願えるかと思います。大体概況を申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/14
-
015・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは本日はこの件に対しまする審議はこの程度にしておきまして、質疑は次回に譲ることにいたしまして、何か資料の御要求がございましたらそれをお申出を頂くことにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/15
-
016・小林英三
○小林英三君 ついでに、今の資料ではありませんが、こういうものを私どもが法案を研究する一つの方便として今御説明になりました要綱、第一はわかつておりますから、第二から最後まで、要綱の第二は法案の第何条、要綱の第三は法案の何条というふうに逐一言つてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/16
-
017・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 要綱の第二は、第五条の第一項であります。それから要綱の第三は第五条の第一項に入つております。それから要綱の第七は法案の第七条の二でございます。それからちよつと飛び飛びになつて恐縮でありますが、要綱の第五の輸出組合の出資制は第十二条の二及び第十六条の二でございます。それから第五の団体協約のほうは十一条の第二項でございます。要綱の第四は第五条第一項の後段になるわけでございます。要綱の第六は第十九条の七でございます。それから第七は今申上げました七条の二でございます。それから要綱の八は第十九条の三とそれから第十九条の四でございます。要綱の第九は第十九条の八でございます。要綱の第十は第二十一条各項にそれぞれ加えております。それから要綱の第十一は本法の附則の二、三、四、五、六というふうになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/17
-
018・小林英三
○小林英三君 ついでに今の第六の、質問じやないんですけれども、第六の次の頁の二行目ですね、「数量についてその命令をすることが適切でないと認めるときは、」これは適切であると認めたときの間違いじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/18
-
019・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 勧告命令を出すというのは第一段の問題になるわけですが、勧告命令を出すことが適切でないと認めるときに、最初から勧告命令を出さずに承認のほうの命令を出す、こういうことであります。先ほども申しましたように、勧告命令となりますと、例えば対米向けのデイナー・セットにつきましては、価格は幾らだとか、こういう数量だとかというようなことになるのですが、どうしても価格とか数量とかいうものは、勧告命令の対象とすることが非常に困難な場合が多いのじやなかろうか、勧告命令ということになりますと、当然公表いたすわけであります。公表することは非常にむずかしいという場合を主として考えておるわけであります。そういう命令をすることが適切でないと認めるときに、その価格と数量について通商産業大臣の承認を受けさせるようにする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/19
-
020・小林英三
○小林英三君 適切でないと認めたときに大臣の承認を受ける義務を課するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/20
-
021・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) そういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/21
-
022・小林英三
○小林英三君 そうすると、その頁のしまいのほう、「輸出貨物の価格、品質、数量等について輸出業者の遵守すべき事項を命じ」とありますが、それもやはり義務なんでしよう、受ける義務ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/22
-
023・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 従いまして、その命ずる場合とそれから承認を受けさせる場合と二つある。で、今申しました価格とか数量等につきましては、勧告命令で行く場合は、実際には少いのじやないかというふうに考えておるわけです。一応あり得る形態といたしまして、勧告命令と承認命令とを並列的に書いて、その後段のほうは前段の勧告命令をすることが適切でない場合にまあ限定をするわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/23
-
024・小林英三
○小林英三君 こういう書き方でいいのですかね。適切でないと認めるときに義務を負う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/24
-
025・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) その勧告命令を出して効果が挙らん場合に、その承認のほうの命令に移るという考え方ではなしに、やり方として三つの場合を予想しておる、こういうことなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/25
-
026・小林英三
○小林英三君 そうすると、業者は、大臣がそういう適切でないと認めるときを想像して義務を負うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/26
-
027・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) これは実際の運用からいたしますと、組合なら組合がこういう輸出業務を営むについては、アウト・サイダーの取締がなかなかうまく行かんければ効果が挙らないのだということを役所側に申出て来るわけでございます。そこでまあ役所側としてはいろいろ事情を考えて、成るほどこの輸出組合の組合員の出している数量がこの海外市場向けの輸出の中に占める割合がかなりあるとか、或いはこの輸出秩序の確立或いは貿易の健全な発達から見て、どうしてもこれはこういう命令を出したほうがいいと、こう判断したときに初めて勧告命令か或いは承認命令を出す、こういう考え方をいたしておるのであります。従いまして実際の手続から言いますと、組合のそういう申出があれば、それからいろいろこのアクシヨンを起すと申しますか、そういう行き方をいたすことを一応考えて見たのでありますが、これは国際的に非常に影響を持ちまするので、そういう組合が政府を動かしてやつたという形式はできるだけ避けたほうがよかろうということで、この点は中小企業の安定法とはちよつと行き方を変えたつもりであります。そのほうが実情に副うのじやないか、実際の運用としては、それは役所がいきなり勧告命令とか或いは承認命令を出すということはないので、業界からのかなり強い要望があつて、それに副うてやる、そういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/27
-
028・中川以良
○委員長(中川以良君) 他に資料の御要求ございませんか。
それでは本日は本法案に対しまする審議はこの程度で打切りまして御異議ござませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/28
-
029・中川以良
○委員長(中川以良君) それではさようにいたします。
では通商産業委員会と経済安定委員会の連合委員会はこれにて散会いたします。
午後三時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614785X00119530714/29
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。