1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十五日(土曜日)
午前十時二十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 左藤 義詮君
理事
島津 忠彦君
久保 等君
委員
津島 壽一君
寺尾 豊君
新谷寅三郎君
小林 武治君
小林 孝平君
山田 節男君
三浦 義男君
国務大臣
郵 政 大 臣 塚田十一郎君
政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
郵政政務次官 飯塚 定輔君
郵政省電気通信
監理官 金光 昭君
郵政省電気通信
監理官 庄司 新治君
事務局側
常任委員会専門
員 後藤 隆吉君
常任委員会専門
員 柏原 栄一君
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本日の会議に付した事件
○公衆電気通信法案(内閣提出、衆議
院送付)
○有線電気通信法案(内閣提出、衆議
院送付)
○有線電気通信法及び公衆電気通信法
施行法案(内閣提出、衆議院送付)
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001・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 只今より委員会を開会いたします。
公衆電気通信法案、有線電気通信法案、有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案を議題といたします。
昨日久保委員の質疑がまだ残つておるわけでありますので、昨日の委員会の決定に基き、一時間以内で久保委員に質疑を行なつて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/1
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002・久保等
○久保等君 公社の総裁もお見えになつておるししますので、或いは監理官のほうからお答え願つても結構ですけれども、公衆電気通信法案の第八条、これはいろいろ委託する場合の一応規定でございまするが、この中にはいろいろ電信電話の料金の収納事務だとか或いは電報の受付、配達或いは電送といつたようなことについても規定されておるわけですけれども、この中で特に電報の配達について委託をやる場合も当然含まれるわけですけれども、普通電報の配達を委託するというような場合は、非常に山間僻地等で公社の従業員で配達するというようなことが却つて経済的に不経済だと思われるような場合について委託をする場合が考えられるのですが、特別に考えられる場合として、私の普通常識的に素人の考え方から行けば、そういつた程度が一番具体的な例だと思うのですが、公社としていろいろ、或いは事業の合理化というか、そういつたような面から電報配達なんかをやはり委託してやらせるというようなことについて何かはかに計画なり或いは具体的に考えておられる点があれば、一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/2
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003・金光昭
○政府委員(金光昭君) 公社の担当の局長が見えておらないようでございますから、私が知つております点で概要だけをお答え申上げたいと思います。只今久保委員のお尋ねの電報の配達の請負でございますが、これは根拠といたしましては、只今お話になりましたように公衆電気通信法案の第八条の三号に書いてあるわけでございまして、主として山間僻地といいますか、田舎の委託局等におきまして定員も十分、一人なり数人の定員を配置するだけの電報通数がないというような所において請負を只今実施しております。又それ以外にも夜間等になりますと、非常に電報通数が少くなるわけでございますので、夜間におきまする電報通数が著しく少いといつた面におきましては、夜間のみについての配達の請負を実施している、かように了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/3
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004・久保等
○久保等君 特にその夜間の電報配達を委託するという問題ですが、それについて何か具体的に最近計画を進めておられるというような計画があれば、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/4
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005・金光昭
○政府委員(金光昭君) 最近におきましては、具体的計画につきましては私も承知しておりませんので、公社の担当の局長が見えましてから、そちらのほうから御返事願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/5
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006・久保等
○久保等君 それではその点は関係のかたが見えられてから御説明を願つて結構だと思います。それでその問題については、一応打切つておきます。
必ずしも今日の段階で御答弁を願わなければならん問題には考えておりませんので、若し今日間に合わなければ後日でも結構でございすから、まあその問題につきましては、従つて更に質問を続けることについては保留をいたしまして、ほかの問題について御質問いたしたいのですが、ほかの委員のかたからの御質問もないようでございまするが、私特に十分にここで御質問をいたして、今日なお非常に理解できなくて不安を持つておりまするのは、実はPBXに対する問題について、どうも明確な御答弁を得ておらないので、この点について非常に……原案によりまして実施をするという場合において、いろいろまあ事務的な面からだけ考えても、非常に準備不足といいますか、非常に具体的な対策というものが説明がないので、まあそういつたような問題について、八月一日からの実施というようなことが言われておるわけですけれども、現実にはまあ八月一日法律が実施された後に、逐次いろいろそういつた方面に対する事務も整理し、或いは規定等も作つて参るんだというような考え方が実は率直な気持じやないかというふうに考えるのです。従つて何もまあ八月一日の午前零時に直ちに試験を行わなければならんのだというような、そういう意味ではなくて、少くとも八月一日から実施することについての準備は非常にまだ整つておらないという状況にあると思うのです。先般御質問いたしましたことにつきまして、いや、とにかくまあそれで何とか間に合せるつもりだという御答弁ではあつたのですけれども、併しどう考えて見ましても、事実そうはできないのじやないかというふうに考えますので、それについての、少くとも一、二カ月程度は相当そういつた方面に対する準備が必要なので、勿論八月一日から完全なそういつた準備をした上でスタートを切るというわけには参らないというようなことが、恐らくまあ率直な御答弁だろうと思うのですが、そこらのあたりをもう少し一つはつきりしたことをお答えを願いたいと実は思うのですが、いろいろ試験規程の内容といたしましても、それぞれ種別をはつきり設けて行うんだということについての結論も未だ出ておらない面もあるようでございますし、そういつたような点をもう少し一つざつくばらんに御答弁を実は願いたいと思つているのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/6
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007・庄司新治
○政府委員(庄司新治君) 只今のお尋ねに対して率直なお答えを申上げたいと思います。技術基準を先ず作らなければならないのでありますが、この技術基準は現在すでに成案が出ておりまして、これは今私の手許にありますが、こういうふうにできております。それでこれは八月一日にははつきりした形で固めて出すという予定でございます。
それから工事担任者の資格の種類でございますが、これも私の手許に今やはり出ております。公社の案では四種類になつております。これも八月一日までにははつきりした形で決定いたしたいと思います。
それからあとは試験でございますが、試験は先ず試験をやるんだという通知を、通知をといいますか、周知をしなければならないのであります。周知をいたしまして、そうして応募者があつて試験をするということになりますから、これはやはりどうしても周知して試験をするというのには一月ぐらいはかかるだろう、こういうふうに考えております。それでは試験するのに一月かかる。そうすると試験をしなければ工事担任者がきまらないわけです。工事担任者がきまらないで、そうしてなを且つ施設したいという人があるような場合には、結局工事の資格のない人が工事をするようなことが起きるのじやないかという問題が具体的な問題としてあるのでございます。これに対しましては、一応郵政省令で定める基準というのが法律に書いてありますので、約一月以上、まあ二ケ月、長くとも三ケ月でとどめたいと思いますが、その間を限つて現在でも一応公社としてはPBXの自営を許しておりますが、この自営を担当しておる人があるわけなんです。こういう人たちを……、三ケ月の間に限つてこういう人たちが工事に従事するということを省令できめたいと思つております。省令できめるか、省令に基く公社の認可できめるか、いずれにしましてもその期間だけは、従来工事に従事しておる程度の技術を持つておる人を工事に従事させることを認めたい、こういうふうに考えております。これも併し三ケ月を過ぎれば、これは当然、三ケ月といいますか、一ケ月乃至長くとも三ケ月と考えておりますが、その期間が過ぎればはつきりした試験を通つた人でなければ従事させない、認可しないという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/7
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008・久保等
○久保等君 従来自営の仕事に従事しておる工事担任者については、それに工事従事者を含めた言葉で言われておる人ですが、そういつたようなものについては何かその省令か、そういつたようなものによつて、試験を再び受けなくても、まあ有資格者としての資格を附与するというような措置を行う予定でおるのかどうか。
それからもう一つ、試験は或る程度、まあ全国的に統一というか、例えば本社なら本社がやるというようなことになつて、例えば東京なら東京でやるのか。又東京だけで勿論やらないにしても、何か或る時期をきめておいて、全国年一回やるとか、二回やるとかいうふうな方法でやるというふうに考えておるのか。それから更に、先ず第一回は一体いつ頃やる予定なのか、そういつたようなことについても、ちよつと腹案があるならばお聞きいたしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/8
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009・庄司新治
○政府委員(庄司新治君) これも極めて率直にお答え申上げたいと思います。従来工事を担任しておる人を試験をしないでそのまま資格を認めるかということでございますが、これは現在従事しておる人たちは、一応昔の電話規則に書いてあつた条項で試験したのでございまして、その試験をした基礎になる電話規則の中の条項は現在は死んでおるのでございます。従つて事実上そういう人たちは実力を持つておるということは認められるのでございますが、その資格をそのまま使つて、今度は資格を試験しないで附与するということはちよつと困難があるのじやないか、こう思いましてそういう人たちも一応試験は受けて頂くということにしてございます。併しその人たちは曾つて試験をお受けになつて実力といいますか、力は持つておられるのでありますから、試験科目を或る程度免除するというふうな方法を考えたいと思つております。それでこれも具体的にもう少し申上げますと、この考えておるのがすべてじやございません、その一部分を現わすと思うのですが、例えば有線電気通信法だとか或いは公衆電気通信法だとかいう法律は、現在従事しておられる人たちはそういう法律をまあ勉強をなさつておるかも知れませんが、一応は御存じないという形でありますから、少くとも今度PBXを民間でおやりになるのは、こういう法律の条項に基く技術基準でやつておるので、その技術基準を守らなければいけないのだというふうなことが今度の法律ではつきりされますから、少くとも試験科目の中には、三法といいますか、電気通信関係の法規の概要といいますか、そういうふうなものは試験科目の中に入れたいというふうに考えております。
それから試験の場所はどうだ、方法はどうだということでございますが、試験の方法は全国統一してやる。ですから各通信局で問題を作らないで本社で問題を作つてこれを全国に送つて、試験地としては何も東京だけじやなくて、最小限現在の通信局の所在地十カ所、もう少し増えるかも知れませんが、最小限十カ所で試験したい、こういうふうに考えております。
それから試験の回数でございますが、或る程度、試験が数年行われた後には、まあ一年に一回くらいを考えておりますが、初めの二年くらいは試験の回数を殖やしたい。少くとも二回くらいにしたいというふうに考えております。そうして今度の第一回目は、第一回目といいますが、第一年度は、特に只今も申上げましたように、従来工事をやつておられる人たちは一カ月乃至三カ月くらいは、資格がなくても事実上の実力があるということも認めて従事してもらうことにしておりますが、例えば三カ月にきめますと、三カ月後にはそういう人たちが若し試験に落第すればこれは従事できないということになるのでありまして、その試験を例えば三カ月と言いましたが、その三カ月の間に少くとも二回やりたいと思います。というのは、一回だけにしますと、その一回のときに、丁度親戚に不幸があつて試験を受けられなかつたとか、本人が病気だとかということで受けられないということになつては非常に気の毒だといいますか、まあ余り同情的な考え方かも知れませんが、そういう場合も考えられますので、その間に二回やる。そうして二回とも都合の悪い人、或いは二回とも重ねて落第された八こういう人は止むを得ない、しようがないというふうな考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/9
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010・久保等
○久保等君 まあそれでそういつた試験の実施時期だとか、或いは又方法等について、まあ大体のアウト・ラインをお話願つたのですが、一番やはり今度の工事担任者の問題で問題があるのは、やはり実際の工事に従事する人間が、こういつた試験規定なり、或いは又公衆電気通信法案の百五条に基く有資格者でなければ、工事に従事してはならないと公衆電気法案に言つております法の規定に事実相反して無資格者が工事に従事するというようなことで、電気通信事業というもののまあ端末のPBXの運用というものが、一般の公衆電気通信に重大な支障を及ぼすというふうなことがあり得るのじやないかということを一番恐れるわけでありますし、その点に対する対策としては、いわば従事者の資格認定をできるだけ厳正にやるというか、適切にやるといいますか、とにかく非常に権威のある形でこれを行なつて行く。それから又一面実際の仕事にそういつた有資格者が当つておるか、それとも無資格者が当つておるかということについては、検査の面で又十分に遺憾のないようにこれを見て行くという、まあ二つの方法があると思うのですが、少くとも両者十分に関連させて考えて行く必要があろうと思うのです。ところが、得てしてどうしてもやはり実際の工事担任者は、これは申請者と違つた、或いは又全然そういつた資格を持つておらないというような者の従事する危険性が、危険性といいますか、非常に虞れが多分にあるわけでありまして、この方面については、格段の努力をして行く必要があるのじやないかというふうに考えるわけですが、私は少くとも申請があつて、その申請されたときに、そういつたものの実態というものについて何か具体的な基準、或いは方法等によつて、そういつた点について十分にこれを見て行くというふうな方法を考えておるかというまあ御質問をいたしたのですが、それについては、特に制限或いは基準というようなものを考えておらないという答弁だつたのですが、その申請がされた際にも、何らかもう少し突つ込んだ方法を考えておく必要があるのじやないかというように思つておるのです。で、これらの問題について、今直ちに具体的な考え方がないとしても、今後そういつた問題についても、十分に一つ考慮して行くつもりでおられるのかどうか。一つ先般来の質問に対する締めくくり的な意味でお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/10
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011・庄司新治
○政府委員(庄司新治君) 只今のお問いにお答え申上げたいと思います。これは今まで公社と私たちの間で技術基準をどういうふうな形できめるかということを討論いたしましたときの討論の一画をお話申上げれば、或る程度御納得を頂けるかと思いますが、公社で最初きめました技術基準は、先日も申上げましたように、どうしてもこの技術基準に適合しなければ繋げないというふうな絶対的な条件の項目と、それからこういうふうにあつて欲しい、あることが望ましいという意味の条項と二つ混在して、我々のところに話が上つて来たのであります。そうしてそのあつて欲しいという条件の中には、先日来久保委員が私にいろいろ問い質されておりました或る程度の大きさの工事には従事者が何人であるというふうなことが書いてあつたのでございます。従つて公社としては、こういう工事の大きさには何人ぐらいかかるのが一番標準だというふうなことをはつきりつかんでおるわけなんです。併しそのときに私は、技術基準というものは、法律の面で言いましてもこれに適合しなければ繋げないということで、或る一つの千回線のPBXは五人でなければならないということを書きますと、四人でやる場合にはこれはもう法律違反になつてしまうのだ、法律に基く政令違反になつてしまうということで、それは技術基準としてはとるべきではない。併し別途そういう基準を作られて、こういうことでおやりになるのが望ましいのだということをPBXの工事をやる人に示されるのは、それは結構でしようということを申上げまして、今までの話の中には、技術基準の話については、そういう望ましいという条件については一切触れておらなかつたのであります。併し技術基準としてはどうしてもこうでなければならんという条項をはつきりきめたい。それからこういうことであることが望ましいということについては、公社が非常に大部なすでに印刷まで作つておられまして、用意は十分にしておられるわけであります。従つていよいよ工事をされるというときに、こういう条件であることが望ましいのだということを、公社では十分まあ徹底したいというふうに考えておられるようでありまして、この点は久保委員のお話もございましたので、特に公社の関係者にも伝えておきたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/11
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012・久保等
○久保等君 なお、この公衆電気通信法案で、今度第百五条のところでPBXの自営と申しますか、大幅に民営にこれを移して行けるような形に法案がなつておるわけでありますが、運用如何によつては非常に問題を将来に残す。更に又将来問題が起きて来た場合には、これを収拾するというか、うまく実は解決するのにもしにくいような、いいにしろ悪いにしろ既成事実というものができると、これはなかなか一朝にしてこれを取締る、或いは解決するというわけには行かないものです。そういう点で今日一般の民間の業者の実情というようなものについても、私は少くとも安定した形の、いわばこの工事能力を良心的に考えて十分やつてもらえる工事能力を持つた、安定したところのそういう民間に力があるとは、実は残念ながら受取れない節もあるわけです。そこでいろいろ、今後いわばこれらの業者の中において、濫立というか、好ましくないような競争状態もこれは十分に考えられると思うのです。そういつたような場合について、何ら別に工事担任者そのものに対する資格の剥奪というか、そういう方面の取締規程ということは、これは何らないわけです。いわば野放し状態になつているわけでして、工事そのものが特別に悪ければ、これに対する停止を或る程度命ずるとか何とかいうようなことは、仕事の面についてはできるにしても、その業者そのものに対する何らの規律すべき準拠はないわけですから、そういう点からいつて、非常に将来運用を誤ると、電気通信事業そのものに対する影響が、或いは好ましくない結果になつて来たということで、気が付いて見たものの、なかなかどうも一朝にこれを処理するということになると困難を感ずるというような事態になると思うのですが、それだけに、従来においても少くとも最小限度にやつて、止むを得ない部門については、私設というものを許して見たわけですし、最小限度はそういう安全弁も従来もなかつたわけではないわけなんですから、少くとも今度のこの法案によつて相当大幅にその点が、まあ民営でやり得るという形になるわけですから、そういう点から申しますと、少くともこれが仮に実施せられるということになりました際には、先ず最初のうちは非常に運用の面においても私は慎重を期する必要があるのじやないかというように考えておるのですが、そういつたことについては、そう余り心配する必要はないのだというふうにお考えなのか。一つ見通しなり、お考えを念のために承わつておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/12
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013・金光昭
○政府委員(金光昭君) 只今のお尋ねでございますが、PBXのほうの業者自体についてこの法律で取締をするということは、この法律の範囲を多少逸脱したことだというふうに存じまして、業者自体のそういつたような行為、不当な行為と申しますか、そういつたものについては、直接この法律で取扱われていないわけでございますので、この業者自体におきまして、そういつたような不当行為等がありますれば、やはり業者自体は競争の立場にありますし、又今回は公社も、公社がやるようになつておる、会社とそれから業者との並存を認める形になつておるわけでございます。それらの面から見ましても、そういつたような不当行為をなしたような業者というものは、これは当然いわゆる自然淘汰をされるという結果に相成ることと存じているわけでございます。又業者自体のほうにおきましても、漏れ承わるところによりますと、このような業者自体としても或る種の措置と申しますか、そういつたようなものも考えておられるような向きもありまして、業者自体でも、健全なる工事をなすような業者を育成するといつたような方面についての配意もあるようでありまして、これらの点を法律の方面から縛るというようなことにつきましては、職業の自由といつたような面から申しましても、憲法の精神から如何かと存ずる次第でございますので、直接そういつたような法律的な措置というものは考えておりません。いろいろな方面からそういつたような不当業者というものは整理されて行くというふうな結果に相成ることと存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/13
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014・久保等
○久保等君 大体質問も最後のほうに近付いて来ているようですから、この際大臣がお見えになつていますので、大臣の立場で、私少しお答えを願いたいと思うのですが、それはPBXの問題についてですが、勿論細かい二次的なものはさておきまして、少くとも最近の電気通信事業というものの経営の大方針を見ておりますると、どうも筋の通らない法案が出て来る傾向が多分にあるわけでして、先般もちよつと御質問いたしましたように、最近の電気通信事業は、非常に熾烈なる国民からの需要があるのにもかかわらず、なかなか日本の国内における経済事情なり、或いは資金調達の面についても思うように行かない。むしろ計画を相当当初重大な決意で立案しても、とかく途中でいわば困難性をより加重して来るというようなことが普通ありがちの状態なんですが、そういう状態の中にあつて、どうも電気通信事業で、多少でも採算がとれて、経費のよさそうな面は電気通信事業の一貫性或いは有機性、有機的な一体性といいますか、そういう電気通信事業でありながらも、相当無理をして切離して行くことが、今までというよりも、極く最近出て来ているわけです。国際電信電話株式会社が最も顕著な例でありますし、この問題は本年四月から発足したばかりですが、いずれにしても、これも少くとも電気通信事業にとつて負担になつておつた事業というよりは、相当、まあ国内、国際というふうに分けて見た場合には、国内の通信部門が国際の通信部門によつて相当危なくなつておつたわけです。ところがこれも株式会社という形で切離されたのですが、この傾向についても、傾向というか動向ですが、今日の世界の情勢から考えても、電気通信事業というものを、従来政府事業でやつておつたものを一挙に民営に移したという事例は聞いたことがないのです。むしろ従来株式会社でやつておつたものでも、逆に公共企業体程度のそういう方向に経営形態を切り替えて行くというような趨勢にあるくらいですし、従来永い七十年、八十年の電気通信事業というものが政府事業でやられて来ておつたということを、この際一挙に民営という極端な経営形態に切り替えられるということについては、私は何かそこに電気通信事業そのものに対する十分な検討と、電気通信事業の本質というものを十分に見究めた上でとつておる政策というふうには残念ながら実は考えられないのですが、而もそのことが電気通信事業に非常に、国内の電気通信事業につきまして考えて見た場合には、非常な悪影響を受けているわけです。而も又運営の面からいつても少くとも円滑に運営されるとは言えないと思うのですが、国際と切り離すことは、国内通信の面から見ても結局円滑に行くとは考えられない。そういうようなことが今回行われて実施されているのですが、更に今度ですね、まあその比重は勿論国際電信電話株式会社の比重と同じものではありません。併し性格的にやはり私そういつた考え方が今度の問題にも出て来ているのじやないかというように考えるのですが、これも先般もちよつと指摘しましたように、やはり電気通信にとつて煩わしい部門であるわけではない。而もこれがどうしても加入者そのものから、私どもにやらしてもらいたいという、非常にまあ抑えんとして抑えがたいところの加入者そのものからの直接の要望なり、声があつてこういう形になつて来たということなら、これ又或る程度自然の趨勢だと思うのです。まあいい悪いは仮に別問題としても、自然の国民の強い要望だということにもなると思うのですが、ところが直接そういつた人たちじやなくて、むしろ仕事を請負つてやるところの業者、そういつた方面からの熾烈な動きのほうが、これが少くとも客観的に見ておりました場合には、非常に熾烈な動きがこれは前々からあるんです。決して最近の話だけではありませんが、これは当然自分の仕事のできる範囲が小さくなり、狭ばめられるということは、これは誰しも好まないところであり、是非自分の仕事のやれるようにして欲しいということは、当然あると思うのです。その業者自体にとつては、私はこれは極めて当然のことだと思うのです。併しそのことはそのこととして、少くとも電気通信事業の経営或いは運営という、大所高所から考えて、果してそういう人にやらせることが電気通信事業として一体好ましいことかどうかということが中心になつて判断せられなければならないと思うのですが、今度の場合についても、私はそういうことで自然の経過を謙虚に眺めました場合に、残念ながらこれもまあ何か特別な言うに言われない考え方から、こういうものを民間に開放して行くというふうな、先ほど申上げた国際電信電話株式会社と同じような、逆コース的な方向の一つとしてこの問題が又取上げられて来ておるのではないかと考えるのです。これは勿論邪推と言つて実は御答弁をされる余地のないほど、私は少くとも最近電気通信事業に対する通信政策という問題としてですね、非常に重大な問題だと思うのですが、こういつたことについて、まあ政府という立場よりも、電気通信そのものに対する円滑な、而も電気通信事業の正常な将来の発展ということを直接まあ責任を以て見て参らなければならない郵政大臣の一体立場として、そういうことが本当に理解せれらるかどうか。或いは又指示できるかどうかという問題ですが、まあ塚田大臣より、今までの紆余曲折を経た細かい経過は別としても、私の只今申上げた程度の範囲内において考えて見ましてもですね、少くとも塚田大臣としても、私最近とられているこういつた方向は、決して通信事業の将来の発展のために、勿論電気通信事業の発展のためにということは、国民の電気通信事業によつて受けるところの公共的な恩恵といいますか、そういつた公共の利益ということを飽くまでも考えて申上げているわけですが、電気通信事業の上からいつて非常に好ましくない傾向じやないかというふうに考えているんです。これについて、まあ郵政大臣としての考え方をはつきり一つ御説明願いたいと存ずるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/14
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015・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 私の考え方は、昨日縷々申上げた通りでありまして、私は今もあの考え方で今度の改正その他今日の電気通信事業のあり方が十分にこれは目的を達し得るものと確信はいたしているわけでございますが、併し又昨日来縷々お述べになつた久保委員の考えもよく承わつて、今後の問題として十分考えておきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/15
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016・久保等
○久保等君 それは今後の実績如何によつては、まあ十分に考え直してもいいという意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/16
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017・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 私としては、今後の実績が必ず立派に挙がると、こういうように考えておりますが、併し実際に実績が挙がらないというときには、郵政大臣として、電気通信事業の本来のあり方を正しく、而も能率的に挙がるように直すことが当然の責任でありますから、そういうことがあるときには、当然善処しなければならない、こういうように御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/17
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018・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) これにて久保委員の質疑は終了いたしました。他に御質疑はございませんか。
三法案に対する御質疑はこれにて終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/18
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019・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 御異議ないものと認めます。よつて三法案に対する質疑はこれに終局したものと認めます。ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/19
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020・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 速記を始めて。これより三法案の討論を行います。順次賛否を明らかにして御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/20
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021・小林孝平
○小林孝平君 只今議題になつております三法案中、公衆電気通信法案及び有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の両法案の一部を修正する動議を提出いたします。この修正案は社会党両派の所属委員の共同提案でありますが、提案者を代表して私から説明いたします。
先ず修正案を朗読いたします。
公衆電気通信法案に対する修正案公衆電気通信法案の一部を次のように修正する。
第百五条第一項各号を次のように改める。
一 構内交換設備及び内線電信電話機並びにこれらの附属設備であつて公社による設置が困難であるもの又は加入者の業務の性質上若しくは設備の構造上特殊の保存を要するもので、公社が定める基準に適合するもの
二 船舶に設置する加入電話の設備であつて、公社が定める基準に適合するもの
三 専用設備の端末機器その他の端末の設備であつて公社による設置が困難である もの又は専用者の業務の性質上若しくは設備の構造上特殊の保存を要するもので、公社が定める基準に適合するもの
第百五条第二項を次のように改める。
2 公社は、前項右号の基準を定めるには、あらかじめ、郵政大臣の認可を受けなければならない。別表第二を次のように改める。
第二 電話使用料(契約の期間が三十日以内の加入電話に係るものを除く。)
有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対する修正案
有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の一部を次のように修正する。
第三十一条中「公衆法の施行の日から六月を経過した後及び加入者が次条第一項の規定により請求をした後は、」を「次条の規定による交付があつた後は、」に改める。
第三十二条の見出しを「(債券の交付)」に改め、同条第一項各号別記以外の部分中「その請求により、」及び「、又はそれぞれ各号に規定する支払に係る設備を無償で譲渡し」を削り、同条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同条第二項を削り、同条第三項を第二項とする。以上であります。
右の法案の内容の趣旨は極めて明瞭でありますので、これを省略いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/21
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022・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私は只今議題になつておりまする公衆電気通信法案、有線電気通信法案及び有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の三案につきまして、衆議院で修正せられました通りの原案に賛成をするものであります。
ただこの際に二、三の希望意見を付したいと存じます。
電気通信設備の技術につきましては、政府の説明は極めて事務的であり且つ不徹底でありまして、必ずしもこれに賛意を表しがたい点もあるのでありますが、郵政大臣もこれに関しては真剣に再検討するとの言明もありましたので、暫らくこれを信頼して、今後の研究問題とすることにいたしたいと存じます。政府はその言明通りに速かにこれに対する再検討を加えて将来の通信政策に遺憾なきよう措置すべきであると存じます。料金の値上げという事実のみを見まするならば、考慮すべき点も多いのでありますが、公社が公社法の精神を体し、独立採算制を堅持しつつ公共企業体として公共の福祉の増進に遇進しようとする態度は適当であり、この際この程度の料金の値上げも又止むを得ないと思うのであります。公社はこの法律案審議の過程を通じまして、各委員から発言のあつた点を十分に考慮せられて、今後万難を排してその企図する電話の拡充計画の完遂に努めると同時に、一面においては冗費の節約、サービスの改善に真剣な努力を払うべきであります。
なお、この法律が衆議院において修正せられました結果、本年度において生ずる歳入の欠陥及び明年度以降の建設資金につきましては郵政、大蔵両当局から必ずこれを確保する旨の答弁があつたのでありますが、私はこの言明を最も重大視いたしまするがゆえに、政府においてはこの言明通りに、その責任において万全の措置を講ずべきであります。
以上の希望意見を付しまして、私は原案に賛成をし、小林委員提出の動議には反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/22
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023・山田節男
○山田節男君 私は日本社会党第二控室並びに第四控室を代表いたしまして討論をいたします。
只今小林委員から上程されました修正案に対して賛成であり、衆議院送付の原案に対しまして反対であります。
以下苦干その理由を説明申上げたいと存じます。
顧みまするのに、日本の電信電話事業は、殊に終戦後甚大なる損害をこうむりまして、その施設の復旧改善を要しますると同時に、電話サービスの改善につきましては、国会におきましても異常な関心を以ちまして、すでに二回に亘る決議文を上提し、これを可決、満場一致を以ちまして可決いたしましたことは御承知の通りであります。で、この国民の切実なる要求に応えんがために、昨年の八月におきまして、従来の国営の電信電話事業を、国内におきまする電信電話事業につきましては公社とし、又外国宛、外国よりの電信電話に関しましてはこれを株式会社にするという両案を国会に成立いたさしめまして、日本における電信電話事業のまさに画期的立法が完成されたわけであります。これによりまして、日本電信電話公社が昨年八月一日発足し、国際電信電話株式会社が本年三月一日を以て発足いたしました。殊に問題となつておりまする日本電信電話の改変につきましては、今回政府は公衆電気通信法案並びに有線電気通信法案及び有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の三案を提出いたしました。顧みまするのに、日本の電信電話を律しまする法律は、昭和二十三年法律第百五号を以て公布せられました電信電話料金法並びに明治二十三年八月七日、法律第五十八号を以て公布されました電信線電話線建設条例明治三十三年三月十三日法律第五十九号を以て公布せられました電信法並びに大正四年六月十九日法律第二十六号を以て公布されました無線電信法によつて律せられておつたのでありますが、従来の国営の電信電話事業が公社並びに株式会社企業となりました結果、今回まさに画期的な根本法の政変が行われたわけでございます。以上申しましたような歴史的なバツク・グラウンドから考えまして、今回政府が提出いたしました三法案を検討いたしますとき、全般に亘りましてその国内電信電話事業、並びに国際電信電話事業に対しまする改善に対します熱意並びに具体的方策において賛意を表したい点は多々あるのでございますけれども、そのうちにおきまして、今度の殊に問題となつておりまする日本電信電話公社の将来を律しまする法律といたしましては、根本的に首肯できない点がたくさんあるのでありまするが、先ず第一といたしましては、PBXの問題であります。この問題は昭和二十三年以来電気通信省、並びに日本電信電話公社がこれを独占的な立場におきまして責任を持ち、設置、保守の責任に任じておつたのでありまするが、本法によりましては、PBXを民間に開放するという点であります。一見いたしまするならば、このPBXを民間に開放するということは、民主的に見えまするけれども、併しながら我々が国会におきましてこれを法律化いたしました日本電信電話公社の根本精神からいたしまするならば、このPBXの維持、管理、設置ということにつきましては、独占公益事業といたしまして、この部面においても更に独占をいたすということは、何ら公社の本質に背かないのみならず、責任の所在を明らかにし、又施設の技術的基準におきましても、高度に維持すべき責任の帰属を明確にする意味におきまして、私どもはこのPBXを民間に開放するという美辞にかかわりませず、その本質におきまして首肯し得ざるものであります。なお、このPBXを民間開放に持つて行くに際しましても、来たるべきこの五カ年計画に要しまする所要の資金並びに資材等におきまして、PBXはむしろ民間に開放いたしまして、その資金と資材、人力を電話の事業の建設拡充に集中すべきだという論もあります。併しながら前申しましたように、日本のまだ民間におきまする技術基準の低いこと、而も非常に技術的差の多い点並びにこの民間開放によつて起きまする幾多の弊害を想像いたしまするときに、どうしてもこのPBXのこの法案に盛られた趣旨に対しましては首肯し得ざる点であります。
次には、今後公社が進んで行くべき根幹ともなるべき料金の問題であります。最初政府提案といたしましては、この料金の値上率を二割五分といたしておるのであります。然るに衆議院におきましてこれを二割に下げた。このことにつきまして私は若干申上げたいと思うのであります。もとよりこの電信電話料金の値上げということは、国民の一様にこれを欲せざるところには相違ありません。又他面電話施設の拡充の、サービス改善の緊急なる点から見まするならば、又今日一般物価の基準の高騰しておる今日からいたしますならば、電信電話の料金の値上げをせざるを得ないという点も、これ又私どもは十分了承し得る点であります。併しながら問題は、今後公社がすでにここに立てております五カ年計画、これを如何に実施せしむるかということと、他面におきましては、とかく従来国営でありましたがために、公社に移行し半年有余を経過いたしましたけれども、経営の内部におきましては、依然として我々国民がより以上の改善を欲する点が多々あるのでございまして、殊に本院におきまする決算委員会におきます昭和二十五年度並びに昭和二十六年度の決算の状況を見ましても、この点を特に私どもは注意せざるを得ないのであります。かような点からいたしまして、この料金問題を見まするときに、政府原案としまして二割五分の案を国会会に出しまして、この二割五分によりまして立てておりまする五カ年計画に基く資金計画並びに収支見積り等を勘案検討いたしまするのに、私は率直に申しますならば、政府原案のほうが、今回衆議院において改正された部面よりも未だ長所が多々あることを発見するのであります。換言いたしまするならば、この衆議院の修正によりまして、むしろ今後公社の将来の経営につきましては、誠に不安なる、暗黒なる将来を招致しておるということを認めざるを得ないのであります。一例を申上げまするけれども、この修正案によりまして五カ年計画の初年度におきまして百億の社債の公募、第二年度におきましては更にそれを倍を超えるところの二百六億、かような公募社債を以て公社の健全な運営ができるかどうか。これはこの見方が場当り的で、又極めて企画性の足りない点において、私は非常に遺憾に存ずるのでございます。かような意味からいたしまして、今回のこの公社法、根本法の改正によりまして、又将来その経営におきまして、自主的経営の立場からいたしますれば、自己資金によると言えば、結局この料金収入によるほかはないのだという日本電信電話公社立法の趣旨に反しておる点が多多あるということを、この修正案について特に申上げたいと存ずるのでございます。
かような点からいたしまして、この三法案は、その根本におきまして、政府がいろいろと意を用いた点は十分了察し得る点でありまするけれども、先ほど申上げましたように、その中に盛られましたる根本の点におきまして、私どもはこの法案の実施によつて、この公社の極めて円滑にして能率的合理的なる経営が進むのではなくして、先ず初年度において大きな挫折をここに迎えるのではないかという危惧を持つておるのであります。かような点からいたしまして、私どもはこの原案に対しまして反対せざるを得ないのであります。
ただここに一言申上げたいことは、この公社が将来の自主的な能率的な合理的な経営をいたすということにつきましては、これは先ほど来委員の賛成討論の中にもございましたように、この国民が寄託しております公社の運営に当りましては、勿論経営委員を主としまする最高首脳部の責任でやりますけれども、この公社の将来の運営の如何は、何と申しましても、これは国民が偉大なる期待を持つということは、政府においてこれ又極めて大なる責任を痛感してもらわなければならんという点であります。今回の原案、更にその修正案によりまして改悪されたということにつきましては、私は政府当局にむしろ公社よりも大きな責任があるということを痛感せざるを得ないのであります。
簡単でありますが、私は以上の理由を以ちまして、本案に反対の意を言明するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/23
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024・島津忠彦
○島津忠彦君 私は只今議題となつておりますこの三法案に賛成をいたすものであります。而して小林委員の提出されました修正案に反対をいたすものであります。
ただ一言申上げたいことは、最初の原案たる二割五分を、衆議院の修正案によりまして三割に減少されましたことについて、いささかその資金計画に不安なきを得ないのでありまして、この点は郵政当局並びに大蔵当局と十分なる密接なる御交渉を頂きまして、この問題の全からんことを切に希望いたしまして、私の賛成討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/24
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025・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/25
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026・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/26
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027・三浦義男
○三浦義男君 私は只今審議されておりますこの三法案につきまして、衆議院から修正されてこちらに参りました三法案に対して賛成の意を表するものであります。又小林委員から御提案がありました修正意見には反対の意見を申上げるのであります。
ただここで私附加えて申上げたいことは、この料金の問題であります。料金は、当初におきまして政府から出されました案が二割五分、これを衆議院において二割の値上げに修正されたのでありますが、この点につきましては、賛成意見にも又反対意見にも三割五分がよかつたんではないか、二判九分がいいんだというような意見も出ましたが、私もこの二割五分の値上げのほうが、むしろ今後の電電公社の運営の上において、又国民が非常に希望しております電話事業の拡張の上におきましてむしろこの案がよかつたんではないかというような気持が十分いたすのであります。でありますが、いろいろな社会情勢を考えられて、この二割の値上げの案として衆議院から参りましたのでありますが、この穴埋めといたしまして、財政的の処置が今後大いに講ぜられねばならないということが痛感せられますので、この点につきましては、郵政当局は十分なる一つ決意を持たれて、そしてこの確保につきましては責任を以て処置されんことをお願い申上げたいのであります。
そういうのにつきまして、私はこの委員会といたしまして附帯決議をやりたいと思います。
決 議 案
本院においては電話事業の整備拡充について、再度に亘つて決議をなしその促進を要望したが、国民の電話に対する需要とサービス改善の要求は益々し烈なるものがある。よつて政府は少くとも今回日本電信電話公社の企図する拡充計画の実施に必要な資金の確保につきその責任に於て万全の措置を講ずべきである
右決議する
昭和二十八年七月二十五日
参議院電気通信委員会
以上のような決議を私は付したいということをここで提案したいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/27
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028・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/28
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029・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 討論は終局いたしました。これより採決を行います。
先ず小林委員提出の修正案の採決をいたします。
小林委員提出の公衆電気通信法案の修正案、有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の修正案、以上二つの修正案全部を問題といたします。右の修正案を可決することに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/29
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030・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 挙手少数と認めます。よつて小林委員提出の二つの修正案はそれぞれ否決せられました。
次に、内閣提出、衆議院修正議決送付の公衆電気通信法案、内閣提出、衆議院送付の有線電気通信法案、内閣提出、衆議院送付の有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案、以上三法案全部を問題といたします。右三法案をいずれも衆議院送付案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/30
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031・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 多数と認めます。よつて右三法案は、いずれも衆議院送付案通り可決すべきものと決定せられました。
お諮りいたします。只今の三浦委員の附帯決議に賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/31
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032・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 全員賛成と認めます。よつて三浦委員の発議の附帯決議は可決せられました。よつて三法案に対しては附帯決議を付することに決定せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/32
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033・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 三法案を可決頂きまして、誠に有難く御礼申上げます。
なお、本委員会において、只今決議を付して御賛成頂きましたのでありますが、この決議の趣旨につきましては誠に同感でありますので、政府といたしましては、最大の努力を払つて、決議の趣旨に副うて目的を貫徹したいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/33
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034・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今御決議になりました決議につきましては、大蔵当局といたしましても、必要な資金の確保について万全の措置を講ずる覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/34
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035・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 三法案に対し賛成せられたかたは、順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
島津 忠彦 津島 壽一
三浦 義男 小林 武治
新谷寅三郎 寺尾 豊発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/35
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036・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) なお三法案に対する事後の手続及び本会議における報告等は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/36
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037・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614847X01819530725/37
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