1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年六月二十二日(月曜日)
午後二時六分開会
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委員の異動
六月十六日委員堀眞琴君辞任につき、
その補欠として大山郁夫君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小酒井義男君
理事
上原 正吉君
長島 銀藏君
竹下 豐次君
委員
井上 知治君
白波瀬米吉君
松本治一郎君
松原 一彦君
政府委員
内閣官房長官 福永 健司君
宮内庁次長 宇佐美 毅君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
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本日の会議に付した事件
○皇室経済法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○皇室経済法施行法の一部を改正する
法律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/0
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは只今から内閣委員会を開きます。
会議に先だつて官房長官にちよつと申上げておきたいのですが、委員会の開かれます際には時間を遅れないように一つ御出席願つて説明を願うように今後御注意を願いたいと思います。
本日は皇室経済法の一部を改正する法律案、次に皇室経済法施行法の一部を改正する法律案の二案、予備審査でございます。先ず官房長官から提案の説明をして頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/1
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002・福永健司
○政府委員(福永健司君) 只今議題となりました皇室経済法の一部を改正する法律案の提案理由を申上げたいと存じます。
改正を要しまする第一点は、第一条の皇室用財産に関する規定でありますが、これは、本法制定後国有財産法等にも同趣旨の規定ができましたため、現在においては存置する必要がないものと認められますので、第一条を削除いたしたいと存じます。
第二は、皇室がなす財産の授受の制限に関するものでありますが、皇室がなす財産の授受のうち、「外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合」及び「公共のためになす遺贈又は遺産の賜与に係る場合」は、その趣旨に副うためには、授受が時期を失しないことが必要であり、且つ、性格も極めて明瞭でありますので、授受の制限から除外いたしたいと存じます。
第三には、年額による皇族費のうち、独立の生計を営まれる親王の妃に対するものであります。この額は、現行法においては、定額の二分の一となつておりますが、夫たる親王が薨去され、妃殿下が独立の生計を営まれるようになつたときは、その妃殿下の社会的地位に鑑み少きに失すると考えられますので、その場合には、独立の生計を営まれることにつき皇室経済会議の認定を経た上、定額相当額を支出するようにいたしたいと存じます。
以上がこの法律案の主な内容とこれを提案いたしました理由であります。
何とぞ慎重御審議の上速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
次に議題になつておりまする皇室経済法施行法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
皇室諸般の費用は、日本国憲法第八十八条及び皇室経済法の規定により、毎年国庫から支出することになつております。皇室経済法施行法第七条及び第八条は、内廷費及び皇族費の定額に関する規定でありますが、現在の定額は、昭和二十七年度当初において決定せられたものでありまして、内廷費は三千万円、皇族費年額の基準額は百四十万円となつており、諸般の関係から、今回これを改訂いたしまして、それぞれ三千八百万円及び百九十万円といたしたいと存じます。
以上がこの法律案の主な内容及びこれを提案いたしました理由であります。
何とぞ慎重御審議の上速やかに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/2
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003・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 次に以上二案について宮内庁の宇佐美次長から補足説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/3
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004・宇佐美毅
○政府委員(宇佐美毅君) 皇室経済法の一部を改正する法律案につきまして補足説明を申上げます。
第一条を削除することにいたしておるのでございますが、第一条の規定は大体皇室用財産に関する事務に関する規定でありますが、これらはいずれも国有財産法等にその後規定されましたので、整理をこの際にいたしたいと考えた次第でございます。第一項でございますが、第一項は皇室用財産に関する事務は、宮内庁でこれを掌るということでございますが、これは宮内庁法等に明らかに規定されておりまして、重複をいたしておる次第でございます。第二項の国有財産を皇室の用に供しようとするときは、皇室経済会議の議を経ることを要する。同じく用途の廃止及び変更をする場合も同様ということでございますが、国有財産法はこの皇室経済法が制定されましたあとの、昭和二十三年六月に新らしい国有財産法ができまして、皇室用財産は国有財産としてその国有財産法の中に規定をせられましたので、同様の趣旨が謳われておるわけでございます。即ち国会の議決を要することになつており、国有財産法のほうが皇室経済法よりも広く規定をされておりますので、この二項も当然それに吸収されるものと考える次第でございます。第三項の「皇室用財産は、収益を目的とするものであつてはならない。」ということも国有財産法の十八条の規定によりまして、当然同様の趣旨が規定されております。従つてこの両項も重複をいたすわけであります。第四項、第五項の「皇室経済会議は、五年を超えない期間ごとに皇室用財産に関し、必要な調査を行い、これを内閣に」報告する。「内閣は、その内容を国会に報告」するという規定は、新らしい国有財産法第三十三条以下の年次報告として国会に提出いたしますものと同様でございまして、むしろ皇室経済法においては五年ということでございますが、国有財産法では毎年ということになりまして、その内容も同様でございますので、それを整理をいたしたいと考えまして、第一条を削除するということにいたした次第でございます。
第二条、皇室の財産授受の制限の除外でございますが、この項につきまして、ここにございまする「外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合」「公共のためになす遺贈又は遺産の賜与に係る場合」、この場合を制限から除外しようということでございます。これは先ほどの提案説明にもございました通りこの二つのことにつきまして、前回の国会においてもそういうふうに改正してはどうかという御質問も出ておりまして、実際問題として時期を失し、この性格自体も明瞭でございますので、新たにこの二項を加えたいと考えるものでございます。外国交際のための儀礼上の贈答と申しますのは、もとより公けの立場にある場合の交際を指すのでありまして、一個人としての外国人との贈答は含まない考えでございます。公共のためになす遺贈、これは申上げるまでもなく、文書による、遺言による遺贈でございます。それからの遺産の賜与、例えば貞明皇后の場合に癩予防協会に下賜されたような場合でございます。いずれにも公共のためになすという制限がございまして、以上の二項目は個人的なものは勿論含まない建前でございます。性格もはつきりいたしておりますので、この際二号を追加を願いたいと考える次第でございます。
次は第六条第三項の二号に但書をつけるということになります。親王は定額か定められ、親王妃はその二分の一という限度になつているのでございますが、親王妃が夫を失いまして後も独立の生計を営む場合、これを親王の定額相当額の金額まで支出することにいたしたいと考えるのでございます。親王の定額の二分の一が親王妃の定額でございますが、夫を失つた場合には従前の収入の定額の総額の三分の一に激減をいたすわけであります。もとより他の家に入りまして生活をいたす場合におきましては、親王費と同額を要しない場合もございましようが、例えば前回の秩父宮の薨去によりまして、妃殿下がそのまま秩父宮家を継がれ、宮家として御生活になり、内外の交際もなさるということにつきましては相当の経費を要する、この現状におきましては到底その経費を賄い得ざる状況にございますので、こういう場合は皇室経済会議の認定によりまして、独立の生計を営むと認めた場合には親王の定額と同額を出すというふうに改正をいたしたいと考える次第でございます。
以上が皇室経済法の一部を改正する法律でございますが、次に皇室経済法施行法の一部を改正する法律案につきまして御説明を申上げます。
この定額は内廷費と皇族費をそれぞれきめておりまして、現在は内廷費が三千万円、皇族費の親王の定額が百四十万円ということになつておりますのをそれぞれ三千八百万円、百九十万円に改正をいたしたいと考える次第であります。これは附則におきまして本年は七月以降ということに考えておりますので、附則の第二項におきまして、三千八百万円は本年度に限り三千六百万円、百九十万円は百七十七万五千円というふうに変改をいたすことになつておるのでございます。この定額は昭和二十二年当時におきまして、発足当時は内廷費が八百万円、皇族費が定額が十五万円ということでございましたが、その後物価の変動その他の状況によりまして約五回の改正を経まして現在に至つておるわけであります。大体物価の変動若しくは給与ベースの改訂というものを参考にいたしまして今日に至つたのでございます。今回の改正につきましても、講和独立以降内外の御交際もふえる傾向にございまするし、昨秋の国家公務員給与の引上げの現況にも鑑みまして、大体二割六分の値上げに相成つておるのでございます。
以上簡単でございますが御説明申上げまして、なお御質問に応じまして御説明を申上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/4
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005・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは提案説明は二つの案件を同時に説明を受けましたが、質疑は一つずつ切り離して御質問願つた方が適当ではないかと思いますが、最初の皇室経済法の一部を改正する法律案に関する御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/5
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006・松本治一郎
○松本治一郎君 皇室経済法第一条に謳つておる「国有財産を皇室の用に供しようとするとき」とあるが、この「皇室の用に供しようとする」とはどういう意味か。使用権のことか、所有権のことか、それとも両者を含むものであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/6
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007・宇佐美毅
○政府委員(宇佐美毅君) お答え申上げます。国有財産法には、御案内の通りに行政財産と普通財産というものがございまして、皇室用財産は行政財産の一種になつているのでありまして、「国において皇室の用に供するもの」というふうに規定されているのでございます。皇室用財産となりましてももとより国有財産でございます。ただ皇室の使用に供するという意味であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/7
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008・松本治一郎
○松本治一郎君 その次にお尋ねしたいのは、国有財産法の第十三条に謳つております「皇室用財産とする目的で財産を取得」とあるが、この財産の取得とは所有権の設定のことか、使用権は含まれているのかどうか。又皇室財産としようとするときであるが、これはやはり所有権のことであるかどうか。それを尋ねたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/8
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009・宇佐美毅
○政府委員(宇佐美毅君) 新たに財産を取得するという場合には、例えば国費によりまして建物を建つてそれを皇室用財産として皇室の用に供する、これは国有財産でございます。そうして初めから皇室用財産として取得するということを意味するものでございます。それからなお行政財産であつたものを皇室の用に供するという場合があろうかと思います。国有財産法の方はそういつたいわゆる原始取得と種別変更と申しますか、こういうものを洩れなく規定しておりますが、皇室経済法におきましては国有財産を皇室の用に供する場合のみを規定しており、範囲が狭いわけでありまして、皇室用財産につきましてはいずれも国会の議決を要することになつておるわけで、もとより飽くまでも国有財産でございまして、皇室の用に供するというだけの意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/9
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010・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ほかに御質疑ありませんか……。他に御質疑ないようでしたら次に皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について御質疑のある方は質疑を願います……。
お諮りいたしますが本日は予備審査でもありますし、提案説明を終つただけでありますので、質疑は次回に継続することにして、この程度で本日の委員会を散会したらどうかと思いますが如何でしよう。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/10
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011・松本治一郎
○松本治一郎君 この際資料を一つ請求したいと思うのですが、新憲法実施以来、国有財産のうち皇室用財産として使用されているすべての土地建物等の個所、所在地、各建物及び土地等の数量、移動、転換等についての資料。それから二は、高松、秩父、三笠三皇族の動産、不動産の見積高、及び各三皇族の個人財産よりの収益についてのことを知りたい。それについての資料。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/11
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012・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは本日の委員会はこれで散会いたします。
午後二時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X00319530622/12
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