1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十五日(土曜日)
午前十一時十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小酒井義男君
理事
上原 正吉君
長島 銀藏君
竹下 豐次君
委員
井上 知治君
重宗 雄三君
井野 碩哉君
高瀬荘太郎君
成瀬 幡治君
松永 義雄君
松原 一彦君
野本 品吉君
政府委員
総理府恩給局長 三橋 則雄君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田 正三君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
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本日の会議に付した事件
○恩給法の一部を改正する法律案(内
閣提出・衆議院送付)
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より開会いたします。
恩給法の一部を改正する法律案を議題といたします。三橋恩給局長から昨日の説明の補足をして頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/1
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002・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 昨日恩給法の一部を改正する法律案の修正案の骨子になる点につきましては高瀬衆議院議員から御説明がございましたので、それを関係条文との関係におきましてわかりやすくしましてお手元に恩給法の一部を改正する法律案の衆議院修正案概要を資料としてお配りいたしました。これにつきまして補足的に御説明を加えて参ります。
(一)の「兵たる旧軍人の仮定俸給年額を兵長の仮定俸給年額とする修正」これにつきましては附則別表の第一、これはお手元に配付してありまする法律案、これは修正された法律案でございますが、その六十頁にございます。上等兵、一等兵、二等兵を全部削つてしまいましてそして兵長の長を削りまして兵として六万六百円、こういうふうに修正することになつております。
それから今の附則別表の第一の下に附則別表第二、附則別表第三というのがございます。これは法案の六十頁と六十一頁にございまして六十一頁の附則別表第三は(イ)(ロ)(ハ)と各号ございますが、その各号につきまして黒線で記されておりますことく極く機械的な修正でございます。
それからその次の(二)の「旧軍人、旧準軍人及び旧軍属に対しても第七項症の増加恩給又は傷病年金を給し、これと改正案による傷病賜金との選択を認める修正」、これにつきましては条文としてここに掲げてございますのは附則第八条第一項から附則第三項までこれが一つでございましてこの法案の二十一頁にございます。この原案におきましては標題の所が「文官等の増加恩給及び扶助料の年額の改定」とこうなつておりましたが、今度傷病年金を認められることになりましたので標題に傷病年金を一つ加えますると共に内容が変つて参つたのであります。そしてこの第八条について特に御注意願いますことは、標題に掲げてありますることくに文官の場合の改定のことでありまして、旧軍人に関しまする恩給に関してのことはこの概要の下に書いてあります第二十一条、第二十二条に特に関係しておるのでございます。第二十一条、二十二条といいますと三十五頁のところにございます。そこで先ずこの附則第八条第一項から三項までに関して御説明申上げますと、従来の第二項は改まりましてあとのほうに行つて四項になつております。この第二項が第七項症に係る増加恩給の受給者に関する改定のことでございまするし、第二項は傷病年金を給されておる者についての改定のことを規定いたしておるのでございます。
それから第一項の本文のうちを変えましたのは増加恩給受給者、扶助料受給者の家族加給や扶養家族加給の範囲が今後拡がつて参りますので、そういう関係からいたしましてこの第八条の本文において改定いたしまするこの改定は、基本の額だけを先ず書いておく、こういう考え方に立ちまして若干の修正となつたのであます。と申しまするのは増加恩給受給者につきましては新たに妻について特別の配慮されることになり、それから公務扶助料の受給者につきましては父母、祖父母につきましては特に配慮ある改正が行われることになりましたのでそういう方々を考えますると、家族加給や扶養家族加給の金額を職権を以て受給者の請求を待たずに改定するということは困難でありますから一応そこを外す、こういうことにいたしたのでございます。
それから三十五頁でございますが、二十一条は旧軍人には従前の増加恩給七項症又傷病年金を給せられるような傷病の人々に対しましては、現在は旧勅令第六十八号第六条第一項の規定によりまして傷病賜金を給されているのでございますが、この際は来年の三月三十一日までこれを持続することになつておるのでございます。それが二十一条に関する規定でございます。そして来年の四月一日から増加恩給の七項症と、それから傷病年金を年金として給するような方針をとる、こういうことになつておるのでございます。そのための改正が二十一条、二十二条でございます。
それから金額につきましては一番最後にありまするような附則別表の第四、第五がございまして、第四は、増加恩給の第七項症、第五は傷病年金の年金額でございます。
それからこの選択を許す規定はどこにおいておるかという問題になります。これは二十二条のところでございまして法案の三十六頁の第一項の終りに、「但し、その者の請求により、改正後の恩給法第六十五条の二の規定により計算して得た金額の傷病賜金を給することができるものとする。」こういう規定の通りでございまして、これによつて傷病賜金の選択を認めよう、こういうような考え方であります。
それから申し落しましたが、先ほど附則第八条第一項から第三項までの改正によりまして、文官につきまして増加恩給も傷病年金も第七項症については従来通り認められるということを申上げましたが、この法律施行の際にこういうような恩給を受けている人に対しましては、一時金たる傷病賜金の受給を許す規定はこの第五条にあるわけでございまして、それをそのまま修正を加えられて存続せられるということになつております。
それから高瀬委員の申上げたことでございますが、増加恩給の第七項症と傷病年金に該当するような人々に対しましては、これまでのそういう傷病者に対しましては、この法案によつて年金と傷病賜金とのどちらかの選択ができることになつておるわけでございますが、今後のこういうような傷病者に対しましては本文の本則の規定によりまして傷病賜金だけを給されることになつております。それからその次の(三)でございますが、「退職後婚姻した妻を増加恩給の加給原因とする修正」、これは本則の第六十五条の三項と附則第八条の五項に規定がございますが、本則の第六十五条第三項は八頁の中頃にございます。それから附則第八条第五項と言いますと、二十二頁のところにございます。これは今現に増加恩給を受けている文官なんかの経過的な規定でございます。
それからその次の(四)の「父母及び祖父母は、婚姻しても氏を改めなかつた場合は、扶助料を受ける権利又は資格を失わないこととする修正」についてでございますが、これは本則の第七十六条第三号、第八十条第一項第三号、附則第八条第六項、第九条、第十条第一項第二号に関するのでございまして、本則の第七十六条第三号と申しますのは十頁の三行目のところでございます。それから第八十条第一項第三号と申しますのは同じ十頁の最後のところにございます。この本則第七十六条第三号の改正は、扶助料を受ける資格者に関するものであり、八十条は扶助料を受ける権利を持つている者に関する規定の改正でございます。
それから附則第八条第六項と申しますと二十二頁にございます。これは文官で扶助料を受けている人についての経過的な規定でございまして、第九条と言いますと同じく二十二頁のところにございまして、これも文官の扶助料を受ける権利又は資格の取得に関する今後の新らしい規定として入れたのでございます。
それから旧軍人の問題には特に条文を入れる必要が起つて参りましたので、第十条の第一項第二号、即ち二十四頁の二行目のところにこういうような修正をいたしまして入れたのでございます。
それから(五)の「その他の修正」と申しまするのは本則の第五十八条の三、これはまあ字句の整理をしたとも言うべきものでございまして大頁のところにございます。原案におきましては「傷病ノ程度が別表第一号表ノ三ニ掲グル第一款症乃至第五款症ニ係ル傷病賜金」と書いてあつたのでございますが、今度は「第四十六条ノ二ニ規定スル傷病賜金」とこうはつきり書くことにいたしたのでございます。
その次附則第一条と言いますのは、十六頁に、ございまして但書のところで新らしく規定しました、こうなつております。即ち先ほど御説明いたしました増加恩給の第七項症、傷病年金、こういう年金を旧軍人準軍人、旧軍属で受ける人々に対しましては昭和二十九年四月一日から施行しよう、こういう施行期日に関する修正規定でございます。それから第二十四条は四十一頁から四十二頁、四十三頁に亙つておる条文でございます。これは増加恩給の第七項症が復活せられましたのに伴う字句の修正でございます。
それからその次の二十五条と言いますと、これは四十四頁にございまして、三十二条というのは五十三頁にございます。この二十五条第三項と三十二条と言いますのは、一時金たる恩給を受けた者が年金たる恩給を受けるとき、又受けるような可能性のある再就職についての規定でございます。二十五条「はこの一時恩給を給される者で再就職「をして現に公務員として在職しておるというような者であれば、一般文官が時金たる恩給を受けて再就職した場合と同じような取扱をしようという規定でございます。
それから三十二条は傷病賜金を給された者が、或いは増加恩給或いは傷病年金を給されるような状態になりましたときに、曾つて受けましたところの傷病賜金の一部を返還させるところの規定でございます。
それから三十三条、五十三頁にございますが、これは増加恩給の第七項症、それから傷病年金を給されるような人々につきましては、この原案におきましては傷病賜金を給することになつておりましたが、その傷病賜金を給することを改めまして、来年の四月一日から年金を給されることになつたのであります。この原案におきましては、本年の四月一日から原案のごとき金額の傷病賜金を、八月一日にこの法律が施行された場合におきましても実質上は四月一日に遡つて、施行せられたと同じような結果になるような傷病賜金を給するようなことになつておつたのでありますが、それを今申上げましたように来年の四月一日から年金を給するような建前をとり、傷病賜金の取扱につきましては、現状のままを来年三月三十一日まで継続することになりましたのに伴います修正でございます。そのほかは簡単なる条文の繰下げの修正だけでございます。
それから次にお手元に配付いたしておりまする半ページの紙で「恩給法の一部を改正する法律案の衆議院修正案による所要見込額」というのがございます。で、その(一)は「兵の仮定俸給年額を兵長の仮定俸給年額とする修正による本年度予算増加見込額は、一六七、〇〇〇、〇〇〇円と推定される。」、これが一つでございます。増加恩給の受給者で兵長以下即ち上等兵、一等兵、二等兵はないと思いますがを通じまして大体二万七千人余りいると推計されております。それから公務扶助料受給者、戦死したようなかたでございますが、上等兵以下のかたが四十七万九千人余りあると推計いたしております。合計いたしまして五十万人前後に推計をいたしておるのでございます。
それから旧軍人に対して第七項症の増加恩給及び第一款症から第四款症までの傷病年金を給する修正による年間所要見込額は十四億四千六百万円と推定いたしております。このような傷病者の数につきましては、この前お手元に配付いたしました資料で、旧軍人及びその遺族の恩給受給者推計人員表というのがございます。この人員表によつて御推計願えばわかることでございますが、終戦の際から今日までの、今日と申しましても一昨年度末までの実際人員でございますが、その人員は十一万五千七百五十人と承知いたしております。それから失権したと推定される人員を想定いたしましてそれを除きますと、大体八万八千六百人くらいになるのじやないかと考えております。この十四億四千六百万円という数は今申上げたところの八万八千六百人くらいを推定いたしまして計算したところの金額でございます。
一応これで説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/2
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003・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をとめて下さい。
午後零時一分速記中止
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午後零時二十一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/3
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004・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは速記を始めて下さい。それでは只今より一時三十分まで休憩をいたしまして、一時三十分から恩給法に関する質疑を続行することにいたします。
午後零時二十二分休憩
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午後二時三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/4
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005・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より午前に引続き内閣委員会を開会いたします。
恩給法の一部を改正する法律案について御質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/5
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006・松永義雄
○松永義雄君 恩給法の第三十八条の四の二号は今度の恩給法の改正によつて削除せられたということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/6
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007・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/7
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008・松永義雄
○松永義雄君 なぜこれは削除されたのかその事情、むずかしくいえば改正の趣旨、簡単でよろしうございますけれども御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/8
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009・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今御指摘になりました不健康業務の加算のほかに現行の恩給制度には色々の加算に関する規定がございます。これらの規定は今度の改正案におきましては削除することにいたしたのでございますが、この加算の制度をやめることにいたしましたいきさつにつきましては、先日主要な今度の恩給法の一部改正法案の改正事項につきまして御説明申上げました中におきまして一言触れておりましたごとくに、二つの大きな理由がございます。その一つは旧軍人の方々に対しましては戦地に参りました場合におきましては一月につき三カ月という高率の加算が付けられておつたのでございます。この不健康業務の加算はそういう高率な加算に比較いたしますれば割合に低率な加算でございます。従いまして高率の加算の制度もこの際考え直さなければならなくなつて来たという実情を考えますると、条理上からもこういうような加算を置いておくほうがいいかどうかということが第一に問題になつて来るんじやないかと思います。結局国家財政その他のほうから考えまして、そういうことに第一なつて来るのではなかろうかこう思うのであります。
それから第二点といたしましては、今御指摘になりました蒸気機関車乗員として現業勤務に服している人たちにつきまして加算の制度が設けられましたのはかなり昔のことでございますが、その当時と今日では公務員の給与もかなり変つて来ておるということが考えられるんじやなかろうかと思います。加算の制度が設けられましたときにおきまする公務員の給与ということについて考えてみますると、もちろんそのときにおきましてはこういうような加算制度を存すべき理由があつたかと思われますけれども、今日におきましてはこういうような加算の付けられる職員につきましては、加算の付かない職員に比較いたしまして割合に割のよい給与が行われておるのでございます。従いましてそういう関係上その割のよい俸給を土台として恩給の年額が計算されまするからして、その上になお加算を付けるということになりますれば、非常に割よい給与を恩給制度としては行うということになつて来るのではなかろうかと思うのであります。もちろん国家の財政その他の事情が許すときでございますならともかくといたしまして、今日のごとき状況におきましては給与の均衡公平ということから考えましても、曾て俸給給与というものがそうでなかつた場合と比較いたしましてはよくなつていることからいたしまして、この際こういうような加算につきましては考え直すべきではなかろうか、こういうような結論に到達して来たわけでございます。これを要するに最後に申上げますことは、こういうような加算の付く制度、加算の付くような職員、又その職員につきましては従来よりも割のよい給与が一般的に行われておるのが通例と考えられて然るべきではないか、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/9
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010・松永義雄
○松永義雄君 非常に詳しい御説明があつたんですが、これはまあ意見の相違かと思いますが、旧軍人さんと比較されるということは私としては非常に遺憾であると思うのです。その一つの例を上げると、これは恩給法の一部を改正する法律案の提案説明の中に、或いは解散国会におけるときの提案説明であつたかも知れませんが、そのときの説明に軍人だけに責任を負わせるのは無理だといつたような趣旨の理由が述べられておつたようであります。それを裏から解せば軍人にも責任はあるんだ、こういうことであります。ところが今削除される規定はこれは一つの平和的企業としての従業員に対する待遇の問題でありまして根本的にそこに出発点に相違があるということを考えないのですか。先ず第一にその点を御説明して頂きたい。そういう相違を認められますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/10
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011・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) もう一遍ちよつとはつきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/11
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012・松永義雄
○松永義雄君 今軍人さんのほうがえらく減るのだから、それだからそれに見合つてこちらの蒸気機関車乗員に対してもそれに右へならえをする取扱をしなければなちん。こういうふなことをおつしやつたのですが、併し軍人さんの恩給を減らすということは、只今申上げたように、別に責任があつて減らされるということは決して否定されておらない。だから右へならえということにはならないのじやないですかということを申上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/12
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013・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 私が御説明申上げましたのは、大まかに申上げますと二つの大きな理由になるのじやないかということを申上げまして、その第一といたしましては高率の加算制度さえも廃止されるような状態になつて来たとぎにおきましては、条理上低率の加算制度につきましては検討を加えるのが至当でなかろうか、こういう見地に立つて検討を加えて来て廃止するというようなことを考えて来たのが一つと、もう一つは先ほど申上げましたように、こういうような加算制度が設けられましたときと今日との間におきましては、公務員相互間における給与制度につきまして相当の変革が行われて来ているということも考えなければいけない。こういうようなことを総合いたしました結果、加算制度につきましてこの法案のごとき措置をとることにいたしました。こういうことでございまして決して旧軍人のかたがたとの釣合、そればかりを考えていたしたというのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/13
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014・松永義雄
○松永義雄君 ただ高率とか低率と言えばそういう結論が出ないとも言えないのですが、併し高率な待遇を受けておる人はどういう人であるかということを見て行かなければ本当の結論が出て来ない。そこは意見の相違ですからそれ以上論及して行きませんが、これはこれとして取扱つて行くべきものではないか。機関車乗務員としてはそれはそれとして削除して然るべきかどうかということを取扱つて行くべきごとであつて、他に比較してこれをどうこう言うべき筋合のものではない。こういうことを私は言わんとしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/14
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015・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 蒸気機関車の乗務員たる国鉄の職員について考える場合におきましては、国鉄職員の中で蒸気機関車乗員でない者との給与の比較も考えなければならないのじやないかと思うのであります。そういう人たちとの給与を考えてみますると私の聞いておりまするところにおきましては、蒸気機関車の乗員なるが故に他の一般の国鉄職員のかたよりも割よい俸給が給せられるような取扱に今日なつているということは否み得ない事実ではないかと思うのであります。そういうようなことを考えまして、先ほど申上げるような御説明を加えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/15
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016・松永義雄
○松永義雄君 それなら話はわかるのですよ。ただ旧軍人さんのことを言われたから私は変だと思つたので、そういうものを標準として一つの立法をなさるということは不当である、こういうことを私は申上げたわけです。その点は認められるかどうか、今あとから言い直されたからその点はこの程度にしておきたいと思うのです。
それから今御答弁になりました割のよい給与になつているから、こういうことです。これはもうあなたのほうがよく御承知のことだと思うのですが、給与の職階制とかいうことによつて蒸気機関車乗員の受ける給与というものは第六分類に属するものである。そうしてその中でいろいろの職種あるのですが、その中で最低保障額について一番低くなつておる機関士が八千百円ですか、それから一等機関士が一万二千円、その間たくさんまだ各種の又職種があるようですが細かいことは省きます。それだけ差がある。機関士の給与が一番低い、他の者に比較してどうこうというお話がありましたけれども、とにかくそのように機関士が低くなつているということになつておるのですがその通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/16
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017・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今の松永委員の仰せられますのは、その俸給号俸そのものだけの比較においてのお話でございましようか。それとも現実に同じ条件の人が給与を受ける場合における取扱がそういうふうになつているいうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/17
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018・松永義雄
○松永義雄君 号俸です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/18
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019・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 号俸につきましては、或いはそういうふうになつているかとも思いますが、丁度私今号俸を手元に持つておりませんが、併し同じような条件の人が給与を受ける場合におきましては、乗員なるが故に特によい給与を受けている、こういうように私は承知しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/19
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020・松永義雄
○松永義雄君 機関士としての一人当りの平均給与、それによると一万四千百四十八円五十七銭ということにたつておるのですが、その他の運転係だとか、乗務係だとか、主任とかいう人は遥かに上になつておつて、全体から見て機関運転士に対する待遇は悪くたつている、低くなつている、こういう数字になつておるのですが、そういうことは御承知かどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/20
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021・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) その数字はどういうふうにして出されたのか存じませんが、少くとも私のほうでいろいろと今まで聞きましたところでは、同じ条件のような人の受ける給与は、私が申上げるように、機関車乗員であるが故によくはなつてこそおれ悪くはなつていないと、こういうふうに承知しておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/21
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022・松永義雄
○松永義雄君 条件ということですが、この機関士の仕事が非常に不健康なものであるということは従来の規定もあつたことですから現在でもその事実はお認めになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/22
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023・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) この点につきましては一つ松永委員にも御了解願いたいのですが、私が申上げますことは非常に機微な問題にふれることでございまするから、無条件に私がそのままでいいということを申上げたと言つて又誤解しないで頂きたいのですが、この加算に関する制度ができましたときにおける機関車乗員の勤務の環境というものと、今日におけるその環境というものとを比べますと、今日では私は改善されていると思つております。従つてそういう意味におきましては非常に従来の環境よりよくなつていると思います。併しそれならば相対的に例えば私たちのようなものが勤務する場合と比較いたしまして、機関車乗員の勤務というものが不健康的なものであるかどうかということになつて参りますと、私はそれは比較的不健康的なものであるということについては是認いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/23
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024・松永義雄
○松永義雄君 それは私だつていつまでも機械が現状にとどまつて改善されないとは言わないので、日進月歩であることも軽視すべきではないと思う。ただ結果としまして機関士の方々の現在勤めておる人数は一万六千八百十六人になつておる。ところがその中で年齢別で見ると二十五才から二十九才までの方々が七千三十六人で約半数を占めておる。五十才以上の人は僅かに四百三十九人で、最も元気のいい二十五才から二十九才の人が半数を占めて、年齢の寄るに従つて漸次減つて行く。而もその減る度合が甚だしいということはいかなる理由か。その理由のいかんは別として、この機関士業務に従つておる人が、そういう盛りの人でなければ勤まらん。結果においてそういう数字になつておることはお認めになりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/24
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025・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 機関車乗員の高齢者のかたは非常に少いということは今松永委員のお話のように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/25
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026・松永義雄
○松永義雄君 それからこの機関士のかたで退職せられるかたが無論あるのですが、その中の半数以上はもう皆病気である。六二%までが病気である。その病気が何であるかというと肺浸潤というのが四〇%へその他細かいことは、ここにありますからあとで見て頂けば結構だと思いますがその点は省いておいて、少くとも退職者の六二%は病気であつてその病気の種類は肺浸潤が四割を占めておるといつたような状態なんです。こういう数字は御承知かどうか。今直ちに、御記憶になつておるわけではないでしようから即答をして頂きたいとは申しませんけれども、大体あなたはどういうふうにお考えになつておるか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/26
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027・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 実は私のほうにはそういうような詳しい今六二%というデータは持つておりません。果してそれがどういうふうに調製されたものかは私は存じませんのです。お話を伺つて初めて六二%というパーセントがわかつたところでございます。併し退職者の中には今お話のように病気でやめられるかたもかなりおありだろうということはお察し申上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/27
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028・松永義雄
○松永義雄君 だから元へ戻つてこれはまあ人情の然らしむるところだろうと思うのですが、早く恩給期限が来ればいいということなんですが、今言つたように勤めの盛りの二十五才から三十才が今言つたような数字である。そうして長く勤められないという数字が出ておる。数字が出ておるということになると早く恩給を国がくれたらいいと、こう考えるのは無理もないことだろうと思う。数字そのものが、もう働くときは、本当に一ときであつて年をとれば勤めが非常に困難だ。而も病気になつて退職しなければならないといつたような人には、老後ということよりかおれは仕事をやめなければならんような病気になつた、どうして食つて行くかということを心配するのはこれは無理もないことだ。結局これは感情の議論ではなくて数字を見てどうこうということになるのではないか。その点について甚だ御面倒でしようが、それぞれの場所で統計が取つてあると思いますから、あなたのほうにもそういう調査があろうかと思います。そういう数字を一つ御面倒ですけれども資料として出して頂きたい希望を申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/28
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029・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今のお話の統計資料でございますが、職場における公務員の生存余命のような統計でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/29
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030・松永義雄
○松永義雄君 国鉄の労組の人が持つて来た数字ですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/30
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031・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 実は職場における公務員の生存余命といいますかそういうものを調べなければいけないと思いながら、非常にむずかしい問題でできかねているというのが実情でございます。一年前もそういうようなことを計画したことがあるのでございますが、甚だむずかしい問題で今できておりません。
それから今のお話のことでございますが、いろいろなことを耳にするのでございまして、今の蒸気機関車の乗員のお話は尤もなお話のようにも承わつたのでありますけれども、又一面におきまして、厚生年金保険法なんかにおきましては御承知のように五十五才でないと恩給が給せられない、こういうことになつております。厚生年金保険法の適用を受ける者につきましては、御承知のように工場に勤務しておる、重労働に従事しておる職工のかたもあるわけであります。そういうようなことを比較して考えますると、一概に早く恩給が付くような措置することもなかなかできかねるようなところでございます。それでそういうような点も一つ考えなければいけないことじやないかと、こういうように思つておるところであります。私は一面におきましては、恩給の早く付くようにしてもらいたいという受給者の要望も考えなければなりませんが、又一面におきましては、今申しますようなことも考えなければいけないのじやないかと、こう思つているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/31
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032・成瀬幡治
○成瀬幡治君 その加給問題についてはなぜ飛ばしたかといえば金がないということが一つと、もう一つはそれとバランスをとつている。併しバランスはベースが一本になつているからバランスはとれているのだと、こういうふうに恩給局長は御説明になつた。併し実態で今度調べたのですが、例えば今松永委員の言つておられる鉄道工事における蒸気機関士の問題ですね、実際それではベースはどうなつているかというようなことをあなたも実地にお聞きになつておわかりと思うのですが、私は一つ委員長に是非運転局長か何か実態を知つておられる人、或いは二九ベースに切換えるときに人事院はどうやつてやつたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/32
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033・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 人事院ではありません。国鉄です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/33
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034・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ほかにまだあるのですが、例えばここに出ているのは、例えば結核や咽喉結核、又はらい患者を収容するときにそれではあなたが言うように実際なつているのかどうか。実際的には厚生省の部課長なども呼ばなければできない問題だと思いますが、そういうことも全部やるということもえらいことだから、一つ運転局長、それから人事院の慶徳次長なんか呼び出して、一つその問題について聞くように委員長においてお諮り願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/34
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035・松永義雄
○松永義雄君 私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/35
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036・長島銀藏
○長島銀藏君 それでは私は軍人関係の加給の問題については、一つ資料が出てからお伺いしたいと思いますけれども、文官についても今の問題はさておきまして、今後どういうことになるでしようか。三十九条などでやられた場合、航海、船のほうの関係の人たちも切られてしまうのですね。併し実際この間聞いたところが朝鮮の李ラインなんかで保安庁関係なんかどんなふうな、これは恩給関係はないかも知れませんが、今後ああいうふうな危険事態が起ることが予想されるのじやないかと心配しているのですが、それらについて検討されたことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/36
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037・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今の御質問は私が取違えた答弁をいたしましたら又訂正したいと思いますから御了承願いたいと思います。今の御質問は将来危険な場合たとえば戦闘というものが起つた場合において予想される危険な勤務に従事する者については、昔の戦務加算に準ずるような加算ができるかどうかという……、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/37
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038・成瀬幡治
○成瀬幡治君 危険ですね。強いて言えば魚雷、と言つちやいかんかな、何と言いますか、浮遊機雷、ああいうものが実際日本海にあつた、朝鮮海峡にあつたというようなときは、私はやはり危険だと思いますが、そういうふうな場合にはどういうようにことに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/38
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039・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今のところでは従来の加算制度の運営を認めるような考えは持つておりません。私はそういうような場合におきましては、その勤務に従事する人の俸給、給与の面において考えて行つて然るべきじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/39
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040・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それから教員で十五年以上十七年については百五十分の一と、高等学校三百分の一の加給加算があるのですが、これは今度の法律でどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/40
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041・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今後は廃止することにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/41
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042・成瀬幡治
○成瀬幡治君 今後廃止するということそうすると既得権と申しますか、これが施行される八月一日までは有効なのですね。退職しなくても今後続いてもその人たちは付くわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/42
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043・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) この法律施行後六ヵ月を経過するまでの在職につきましては従前の通りの取扱いをするとこういうわけでありまするからして今成瀬委員の仰せられますように、すでにそういうような資格といいますか、権利といいますか、取得している人につきましてはそのまま認めて行く、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/43
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044・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あの六カ月は特別に余分に加算されるというわけじやないでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/44
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045・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) この法律が施行されましてすぐその日から加給をもう全然付けないということにするのも少しどうかと思いまして、と言いますのは、従来から法律を公布する場合におきましては、施行期日と公布の間に相当の期間を置くのが普通の取扱なのです。今度はいろいろな事情からいたしまして公布すると直ぐ施行されるわけです。そこで私は従来の法律公布の建前から言いましてもこういうふうな相当大きな影響を与える改正につきましては、一定の期間の猶予をつ置くべきじやないか。できるならばこの法律が公布されて相当の期間たつてからつ施行されるということが筋だと思いますので、現に支給されている人が、公布されて直ぐに明日から加給金を取れないというようなことになるのも少しひどいのじやないか、こういうようえなことからいたしまして、六カ月ということの期間を置いたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/45
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046・成瀬幡治
○成瀬幡治君 わかりました。ここにけれども心配することは、十九頁の第七条に、「この法律施行の際現に在職する公務員で」とこうなつているが、教員は地方公務員ですから、これは地方公務員も指すのか国家公務員も指すのか、公務員というのはどういうのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/46
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047・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 恩給法上での公務員の取扱を指しているわけなんです。恩給法におきましては「公務員と称する者」云々とこう書いてあります。教育職員につきましては恩給法の本文の中からはなくなつておりますが、これについては附則の規定で経過的に従来のものは従来通りの取扱をする措置が講ぜられて来ております。それで今の成瀬委員の仰せられるようなことは問題はないのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/47
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048・成瀬幡治
○成瀬幡治君 若干先ほどちよつと話したように、私はMSA援助は受けるが、まあこれは侵略戦争をやらなければ軍隊じやないというふうに方向が変つて来たわけですね。実際あなたは加算加給を取りましたけれども、今のような調子で行くと直ぐ付けるようなふう、に改正せねばならんじやないかと思う、せつかく御努力願つたわけなんだが。そういうときになつて片つ方じや朝令暮改主義で、片つ方で取つてしまつても又そうなるというようなことでは困るので、余り既得権を侵害されんほうがいいと思いますがね。これは意見ですがね。
それから年限を加算されるのは軍人を除きますと文官は、文官と言つちやいけないのですが、今現に年限加算のあるのは何と何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/48
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049・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今の成瀬委員の御質問ですが、この前お配りした表がございますので、若しあれでよろしかつたら又差げ上ますが、一覧表を書いてございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/49
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050・成瀬幡治
○成瀬幡治君 現に何がついているのですか。今年限加算のものは一つもないのですか、今現に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/50
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051・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 先般お手元に配付いたしました恩給加算規定一覧表というのがございます。その一番最後のところに二としまして、従軍加算以外の加算の種類一覧、こういうのがございます。恩給法の条文をずつとここに引つ張つておりましてそうして今問題になつておりまするところの不健康業務加算というのは三十八条にあり、辺陬地業務加算、これもございます。それから三十九条の遠洋航海勤務加算もございます。今度削ろうというのは大体そういうようなところを削ろうということにいたしているところでございます。その不健康業務加算、辺陬地勤務加算というのにつきましては細々しくこの恩給法三十八条以下にずつと詳しく出ているのでございます。もう少し詳しく説明いたしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/51
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052・成瀬幡治
○成瀬幡治君 わかりました。これは社会保障制度審議会でこの恩給のことについて勧告されたものがあるわけですね。これは政府へ勧告することになつているが、あなたのほうへ廻つて来ているわけですね。あれは私は一つの、今度の何というのですか、恩給法特例審議会をお作りになる前に、私は勧告が出ておつたと思うのですよ、第一次か何かの。それから又これの審議の途中が何かに、社会保障制度審議会のほうから恩給のほうについて何か勧告もなされたと、こう思つているわけです。そういうようなものは全然見向きもされず、恩給法特例審議会の建議を棒呑みにされたというのが大体実情なのか、社会保障制度審議会の或いは答申と申しますか、建議と申しますか、ああいうものに対してはどんなふうな取扱をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/52
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053・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今成瀬委員の仰せられました社会保障制度審議会から第一次の勧告があつたことを考えておつたか、こういうふうなことが第一点。その次はこの恩給特例審議会におきまして政府に建議いたしました後に、社会保障制度審議会におきまして昨年の十二月に政府に建策をされました、それについてどう考えるか、こういう二つの御質問かと思います。
第一の社会保障制度審議会から第一次の勧告がありました後におきましては、もちろん私たちはあの勧告を読まして頂きましたが、具体的に恩給制度をどういうふうにするかというようなところまでははつきり書いてございません。これは今後の研究に得たるべきものだろうと思つておるところでございます。御承知の通り講和条約の効力発生後におきまして旧軍人、軍属、及び遺族の方々の恩給に関する善後措置は、恩給法特例審議会を設けてそうしてそこで一応審議する、こういうふうなことが法律によつてきめられましてそうしてその審議会の結論が昨年の十一月二十二日出されまして政府に建議されました。従つて政府といたしましてはそういう機関から建議された以上はその建議の趣旨を尊重して取計らうというのが一応常識上当然なこことではないかと、こういうふうに考えられるわけなんでございます。昨年の十二月に先ほども申上げますることくに社会保障制度審議会から建策のありましたことももちろん考えたのでございまするけれども、この建策に従うへきか、或いは又恩給法特例審議会の建議を尊重してこれによつて処置すべきか、こういう問題になりますると、当然恩給法特例審議会の建議の趣旨を尊重してやるべきことじやなかろうかと、こういうふうになつたわけでございます。もちろんそれかといつて社会保障制度審議会の建策を全然無視しているというわけじや、ございません。それはもちろん考慮はしなければならんことだと、こういうふうに思つているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/53
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054・成瀬幡治
○成瀬幡治君 この問題については政治的な一つの施策も入ることかと思いますから、恩給局長にどうこうという問題ではなくて、私はその取扱をされたあなたの実務上の処置の仕方というものが実は承わりたかつたのであります。まあ併しそれを余りどうこうというわけにも行かないでしようから。確かにこの提案の理由なぞを説明されるのに、戦争責任というものをひとり旧軍人、軍属或いは遺族だけにしちやいけないということは私は尤もだと思うのです。併し戦争の被害を受けた人は今度これだけで救われたとは私は考えていないのです。或いはそれに対して軍人のほうの援護で解決されているかというとそうでもないと思う。そこで例えば学徒動員で或いは挺身隊で亡くなつた人というようなものについては、何かあなたのほうでこれの対策を立てるというようなことが、政府機関から処理するようなことが一つぐらい示唆されているのか。そういうものがないとすれば、あなたのほうで積極的に進めて解決しようじやないかというようなことをお考えになつておつて現在具体的なものがあるならばこの際一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/54
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055・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今の示唆をしたことがあるかどうかということで
れございますが、私は特に示唆をしているようなことはございません。それから又私が積極的にやるかどうかという問題でございますが、これは私の仕事については所管がきめられておるのでありまして、その所管事項の範囲について考える場合にはどうしてもこれは私たちの所管外の事項である、こういうような気がするのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/55
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056・成瀬幡治
○成瀬幡治君 所管外といつてしまえば……だからこれもやはりあなたではなくて誰か官房長官にでも質さなければならない問題かも知れませんけれども、併し実際軍人、軍属或いは船舶兵などで現地召集されたような方は、やはり私はもちろん軍人、軍属と呼ばれたようにやはり軍属という名前がついておつたと思うのですよ。だからこういう者は無関係だといつて外されるのは……。もう少しあなたのほうから積極的に持ち出されてもいいじやないかと思いましたからお尋ねしたわけですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/56
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057・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 我々同僚の間に奪ましては、いろいろな立場からもちろん今のお話のようなこともしております。今度の援護法におきまして船員の取扱が拡張されておりますが、これにいたしましても私は厚生次官とも数次に亙つて話合をいたしました。併しこれにつきまして私が示唆を与えたとか或いは新しいことを建策したなどということは僭越がましいと思います。ただ同僚といたしまして相互に意見を交換し合いそうして善後措置に力を合わしたと、こういうようなことに過ぎないと思うのです。ですからそういう意味におきましては、私たちは同僚の間においてはいろいろと協力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/57
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058・成瀬幡治
○成瀬幡治君 特項症とか一項症、二項症とまあこう分けてあるのに対して、実はこの前、風祭なんかへ行つて実地に聞きますと、このかたが特項症だ、二項症だとおつしやつてもむしろ逆転しているとは私たちは考えませんけれども、若干この間に当時の検診によつて、人間のことでございますからびしつと行かないことがたくさんあると思うのですけれども、そうした矛盾がないとも私は思えません。ないというわけに行かないと思いますが、これに対して今後このまま一遍ああいうふうに認定されたものはそのままである、こういうのか、この人たちについて何か不服があるというか、何かその点については再審査するという道は開けておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/58
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059・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今恩給証書を交付します場合に、恩給証書の裏に若しもこれについて不服といいますか意に満たないことがありましたならば申出てもらいたいという趣旨のことが、これを具申といいますか申出てもらいたい、具申をしてもらいたいということが書きそえております。そういうふうにいたしまして、若しも意に満たない場合があるならば遠慮なくおつしやつて頂きたいというように恩給証書に書いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/59
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060・成瀬幡治
○成瀬幡治君 書いておるだけじやなくて、書いたらそれは実際問題として自分は三項症だと認定されたけれども二項症に相当するじやないか、そう言う者に対してやはり具申があればもう一度再審査するという用意はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/60
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061・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) もちろんやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/61
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062・成瀬幡治
○成瀬幡治君 もう現にそういうことは今までやつておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/62
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063・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/63
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064・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/64
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065・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて下さい。それでは恩給法の一部改正に関する法律案についての質疑は次回に続行いたすことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02219530725/65
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