1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十九日(水曜日)
午後二時三十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小酒井義男君
理事
上原 正吉君
長島 銀藏君
竹下 豐次君
委員
井上 知治君
重宗 雄三君
成瀬 幡治君
松永 義雄君
松原 一彦君
野本 品吉君
国務大臣
国 務 大 臣 緒方 竹虎君
政府委員
総理府恩給局長 三橋 則雄君
南方連絡事務局
長 石井 通則君
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本日の会議に付した事件
○恩給法の一部を改正する法律案(内
閣提出・衆議院送付)
○昭和二十七年十月三十一日以前に給
与事由の生じた恩給等の年額の改定
に関する法律案(内閣提出・衆議院
送付)
○元南方諸島官公署職員等の身分、恩
給等の特別措置に関する法律案(内
閣提出・衆議院送付)
○総理府設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出・衆議院送付)
○軍人恩給復活に関する請願(第八
号)(第一六一号)(第二三六号)
(第三〇七号)(第三一六号)
(第三九七号)(第三九八号)(第
三九九号)(第四八三号)(第五〇
四号)(第五七一号)(第五七二
号)(第五七三号)(第六一九号)
(第六二五号)(第七二五号)(第
七四七号)(第七四八号)(第七四
九号)(第七五〇号)(第七五一
号)(第七九一号)(第八〇〇号)
(第九一一号)(第九二六号)(第
一〇〇五号)(第一〇〇六号)(第
一〇〇七号)(第一〇〇八号)(第
一一二三号)(第一二四八号)(第
一二五四号)(第一二五五号)(第
一三四三号)(第一三四四号)(第
一三五六号)(第一三五七号)(第
一三六八号)(第一四〇五号)(第
一四〇六号)(第一四〇七号)(第
一四五三号)(第一五四三号)(第
一五四四号)(第一五五五号)(第
一六四二号)(第一六六六号)(第
一六六七号)(第一七六八号)(第
二〇一四号)(第二二四九号)(第
二三六一号)(第二四〇四号)(第
二四三二号)(第二四九三号)(第
二六九五号)(第二八〇二号)(第
二八一〇号)
○軍人恩給に関する請願(第二七八七
号)
○傷い軍人の恩給復活に関する請願
(第二五八四号)(第二九七八号)
○傷い軍人の恩給復活等に関する請願
(第三〇三二号)
○傷い軍人に対する国家補償確立の請
願(第一八四四号)
○沖繩戦殉職員に対する特別賜金支給
等の請願(第五三号)
○元南西諸島特定郵便局長の恩給に関
する請願(第一五五七号)
○元台湾の州、庁有給吏員恩給復活に
関する請願(第二七二号)
○元樺太特定郵便局長の恩給に関する
請願(第一〇〇九号)(第一五五六
号)
○二等症患者の処遇に関する請願(第
二〇八四号)
○結核戦病者の恩給に関する請願(第
二〇八八号)
○公務基因結核患者の恩給に関する詰
願(第二六五九号)
○恩給法中一部改正に関する請願(第
二四三号)
○港湾、通関両行政の一元化に関する
請願(第一二二九号)
○戦犯者の恩給復活に関する陳情(第
二一号)(第一五六号)
○戦犯者の恩給に関する陳情(第一〇
四号)
○軍人恩給復活に関する陳情(第七一
号)(第七三号)(第八一号)(第
八二号)(第一一七号)(第三四一
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/0
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。
恩給法の一部を改正する法律案を議題といたします。前日に引続き御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/1
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002・成瀬幡治
○成瀬幡治君 緒方副総理に伺いますが、今度の改正によりまして、軍人の恩給が復活するわけでございますが、私はそういうことではなくて、恩給全体に対しましてどういうお考えを持つておるのか、恩給に対する私は基本的な理念というものを、一応お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/2
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003・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 国家が、今日で言えば国家公務員でございますが、そういうものに全力を挙げて国家の仕事に奉公させる、その定年、或いは老後の一種の保障というような意味で、安んじてその職責を尽すことができるように、国家において恩給制度を設けて、将来を保障をするということが、恩給の理念であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/3
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004・成瀬幡治
○成瀬幡治君 国家公務員の老後の生活を保障するのだという、従つてこれは恩恵的な意味ではないと思うのですが、当然国家公務員の老後というものは、こうしたものにおいて保障されるのだという、こういうふうに解釈して、いわゆる一つの国家公務員のこれは何と申しますか、権利と言つては少し言い過ぎかも知れませんけれども、大体そうした賃金の後払い、老後の生活を保障する、そういつた意味で私は出されたのだというかうに、今あなたの御答弁を了承して宜しゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/4
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005・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 恩恵という意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/5
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006・成瀬幡治
○成瀬幡治君 次に、今度の改正に対して、軍人恩給が復活するわけですが、その復活するのも恩恵というのではないとするならば、そちらのほうの話を拡大するのはおかしいかも知れませんけれども、何にいたしましても、恩恵という意味では私はないと思います。そうしますと、どういう考えでこの軍人恩給が復活しておるのか。その辺の理由を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/6
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007・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 従来、軍人の恩給法がありましたことは御承知の通りでありますが、それが終戦ののちに司令部の覚書によりまして、廃止又は制限されまして、既決裁の恩給証書までも無効になつたのであります。併しすべての司令部の覚書は、戦争が完了いたしましたと同時に、一応効力を失うわけで、この旧軍人の恩給に対してどう扱うべきか、そのよつて基くところといたしまして、これが既得権であるかどうであるかということになるのでありますが、これは占領中司令部の覚書とは申せ、政令としてその廃止をいたしました以上、厳密な意味での既得権とも申しかねるのではないか。でありまするが、何としても一つの既得権に似た国家に対して地位を持つているということは認めていいように考えまするので、これには恩給法の特例を設ける必要がありはしないかと考えまして、昨年でございますか国会で恩給法特例審議会というものも御賛成を願つてそれによりましていわゆる軍人恩給法が一度中断された、まあ申さば潜在的な位置と申しますか、そういうものに対して国家としてはどういう扱をすべきかということを、いろいろな、旧軍関係もあり、それ以外の良識も集めまして審議をいたしまして、その審議の結果の建議がございましたので、それに基いて、大体においてその建議の構想を変えないで、ただ何としましても国家財政の許す限度がおのずからありまするので、両方を睨み合せまして作つたのが、今回の軍人恩給復活に関する法案の骨子でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/7
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008・成瀬幡治
○成瀬幡治君 恩恵でもない。それから既得権でもない。そうしますと、その解釈というものが非常にむずかしい。既得権の回復というようなことになれば、或いはポ政令によるところの権限を失つて、これ以外にもたくさんあると思うけれども、私はこの既得権の回復であると言うことは非常につらいだろうと思う。それかといつて恩恵であるとは言えないだろう。そこで一つの責任を恩給のほうの特例審議会の建議案に、今の御答弁によると、責任を転嫁されているように私は思うわけですから、もう一度何故復活をしたのかということについて、すつきりした御答弁を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/8
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009・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは私のお答えの仕様が悪かつたかも知れませんが、恩給特例審議会に責任を転嫁するという考えは少しもございません。ただ政府の立場にいないこの事情によく通じた良識の高い人に集つて頂いて、一応構想を練つてもらう必要があつたので、その建議を待つたのでございます。それに基いて作つた旧軍人恩給法案というようなものにつきましては、政府は全幅の責任を持つて参るつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/9
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010・成瀬幡治
○成瀬幡治君 只今の御答弁では、私は次へ進むということは了承したと、こうお考えになると思うけれども、その御答弁によつては、まだわからないんです。実際政府としてもお困りだろうと思うから、それは追及もせないわけでございますが、私はやはりこうした問題は、何故やるかという私は目的は、いつかの機会にはつきりしてもらいたい。巷間伝えられるところの、一つの声が大きかつたから、それを聞くというふうになつても、私はまずいと思いますし、或いはこれが再軍備に繋がるものじやないかというような疑いを持たれてもまずいと思います。私はやはりこういう問題については正確に何故こういうことをするという私は目的をはつきりしてもらわなければならん問題だと考えます。
次にお尋ねしたいのは、軍人恩給の復活をするのには、直接戦争の責任を軍人に負いかぶせるのも酷である。そういうことを言うなら、一つの恩給法改正の提案理由に、私は挙げられると思う。前の方にそういうものが書かれている。そうしますと、今度の戦争に赤紙で行かれた人たち、或いは応召された人たち、それは大変お気の毒だと思う。それと同時に国家総動員法に基いて徴用された人がいるわけです。こういう人たちを、片方は赤紙で来た場合に、拒否すればこれは罰則がついている。片方もやはり青紙の来た人も拒否すればやはり罰則がついている。そうしますと、片方の赤紙の来た人たちに対しましては、曾つて軍人恩給というものがあつたから、これを復活するのだという私は理由にはならないと思う。青紙で来た者にも、何ら差は見られない。赤紙だけを、旧軍人とか、或いは軍属というような恰好でこれが認められた点が、どうも納得が行かないわけです。やはりこういう差をつけられるのは私はおかしいのじやないか。私に言わせれば、今次戦争におけるところの災害というものは、単に軍人や軍属、ここに書いてあるところの恩給の復活を受ける人や、或いは援護法の適用を受ける人たちだけじやない。そういう人たちに対して、ここでは措置を取られなくても、今後どういう対策を持つておられるか。或いはどういうふうに救つて行こうとされるのか。それとも差があるのは、これは止むを得ん。そういうものは国家財政上も見殺しだと、こういう考えなのか。今後政府はこうしたものに対する施策をどうしようと考えておいでになるのか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/10
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011・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) この場合は、旧軍人の恩給を考えてやつているのでありまして、それとバランスが取れない問題は私ないであろうと考えます。今お話になりました国家総動員法に基く徴用者等の遺族と申しますか、そういうものについては、これはこの軍人恩給法とは別に政府としてできるだけの援護をすることが必要であろうと考えますけれども、これは、これとは別問題だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/11
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012・成瀬幡治
○成瀬幡治君 だから別問題だから政府は、今後こういう問題をどうしようとしているのか。例えば人事院が新らしく私は恩給制度に対するところの勧告をしなければならん義務が国家公務員法の百八条においては持たされている。ですから私は人事院において、速く政府は督促さして、そういうものについて新らしい恩給法なら新らしい恩給法というものをやらせるとか、そういうことでなければ救われない。徴用者は、そうするならばそういう軍人と切り離さなければならないと思いますから、旧軍人、軍属関係のものと、或いは国家総動員法に基いて行かれた人たちの一つの立法措置を一つグループを作つて、そういうものを受けられるところの法案を考えるとか、今言う国家公務員並びに地方公務員と一つの新らしいそういつたものを考えて行くというような私は何かの構想が政府に持たれておらなくちやならんのです。対策というものが、基本的なものは考えておらなくちやならんと思うから、そういう点で先ほど私は質問申したのです。何とかしなくちやならんが、別な問題だ。こうおつしやるだけでは私は納得が行かないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/12
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013・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) それは、厚生省関係においていろいろ研究していると思いますが、まだこの軍人恩給と併行して完全なものになつていないと考えます。それについては無論国家としては十分の措置を財政の許す限り考えて行くべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/13
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014・成瀬幡治
○成瀬幡治君 厚生省で考えているというのは、それは私はわかります。一つの社会保障制度の一環として大きくやらなくちやならんということは、十分考えられることはわかるわけてす。併し私は国家公務員法という法律がある。その第百八条にしつかりと、どうこうしなければならないということが書いてある。それは百八条の三項には、「恩給制度は、健全な保険数理を基礎として計画され、人事院によつて運用されるものでなければならない。」第四項には、「人事院は、なるべく速かに、恩給制度に関して研究を行い、その成果を国会及び内閣に提出しなければならない。」こういうふうにきめられているわけです。ですから私は、当然新らしい恩給法というものが生れて来なくちやならん。政府はその人事院なら人事院にやらせる義務と責任がある。そうすれば非常に新らしい今度の国家公務員並びに地方公務員に対するところの、或いは公共企業体に対する恩給制度というものが持たれると思う。そうした場合には私は単に旧軍人や軍属だけでなくて、青紙で行つた人や、或いは在外資産の問題もあれば、いろいろな問題がある。そういうものは別途に立法上一つやるというような方針が、政府の方針として、ただ厚生省で考えているということだけじやいかんと思う。もう少し私は副総理としての責任のあるところを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/14
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015・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 恩給法の根本的の改訂につきましては、かねて人事院で研究いたしているのでございます。最近督促はいたしておりませんけれども、それはやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/15
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016・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ただやつているというだけじやなくて、私が聞きたいのは、副総理の緒方さんにお聞きしたいのは、とにかく今度のこの恩給法の一部改正では、本当にこういう措置によりまして救われる人は非常に僅かしかない。だからそういう他の救われない人たち、そういうものに対しては、どういうふうに対策を講ぜられているか。対策は立てられるのか。それは厚生省でやつているのだ。これじや、私は話にはならんと思うんです。もう少しこういう人に対して、少なくとも立法措置としてどうやつたら、こういう人たちが救われるのかという基本的な考えなり、一つの新らしい法律が生れて来なくちやならん。こういう恩給法の一部改正で軍人も文官もごつちやにしたようなものは不自然である。不自然であるということは、あなたのほうもよくお認めになつていると思う。だからこういつたものをどうするのかということについて、もう少し私はお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/16
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017・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 御意見のあるところはよく伺つて政府の施策を急ぎます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/17
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018・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そういうふうにおつしやるけれども、これはのれんに腕押しで私も止むを得ないわけですけれども、もう少し今度の戦争に対しましてこの間の公聴会におきましても末高さんも指摘されたように、軍人恩給の復活ということについて、そのことのみを考えることにおいて反対する。もつと広い面で戦争の被害者というようなものを救わなくちやいかんのじやないかという私は御意見のように拝聴しているわけです。
ですから政府としても、そこまで手が廻らないというならわかるけれども、今後こうやつて行くのだという大筋の目標を与えて頂かなければ、ここで青紙でとられた人や、或いは挺身隊で行かれた人や、或いは戦災者や、或いは在外資産、いろいろな人たちの私は不平不満として声が起きて来ると思うのです。ですからそういう人たちに、少くとも明るい見通しのつくようなことをされるのが私は政府の責任だと思うのです。ですから、もう少し私は、御意見のあるところは承わつてよく研究しますなどとおつしやらずに、もうこんなことは研究されて然るべきだと思う。はつきり結論が出ておらなくちやいかんと、こう思いますから、もう一度私は重ねて御答弁をお願いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/18
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019・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 先ほど申上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/19
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020・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それでは、これは本当にのれんに腕押しの問題で、私は次に移りたいと思いますが、これは或いは緒方さんでなくて、三橋さんにお答え願つても差支えないわけですが、旧軍人関係の失格者が大体百四十万出るわけです。これは連続七年以上でなければ、一時賜金も頂けないことになつておりますから、大体百四十万と伺つておるのです。その打切り理由が、財政的に非常に困難であるということと、事務的にこれが困難であるという、この二点に実は理由が挙げられておるわけですが、この間の公聴会におきましてNHKの斎藤さんというかたがおつしやつた意見を加味しつつお聞きするわけですが、大体戦前においては恩給の全体が、国家総予算の七・五%に当つておる。これが今度は六%に相当して来る。これを今度平年度の五百七十七億に膨らみ上つたのを予想すると六%に上つて来る。そうしてそれを一人当りにしますと六百八十円の負担になる。こういうふうに言つておられる。
そこで私は、財政的にこのくらいならば出していい。やはり六百八十円の恩給負担をしても差支えないのだ。こういうふうにめどを抑えられる。そのめどを抑えられるとずるならば、その抑えられた私はその理由をお聞きしたい。国民一人当りの所得から申しまして、このくらいのものは恩給に出しても差支えないではないかという、そういう基本的な、財政面から出せないとおつしやるなら、これ以上出したらやつていけない。ここまでは堪え得るのだと言われるならば、その堪え得るとされた理由をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/20
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021・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは、旧恩給法がそのまま実施されますと千三、四百億になるのではないかと思いますが、又審議会の建議のままでも相当大きくなります。そこで大体今の一人頭六百何円という数字をお挙げになりましたが、これは二十八年度の予算を組むに当りまして財源の点が一番強く原因をなしておるのであります。それ以上に特別の理由はないのでございます。今の最初にお挙げになつた調べが、非常に不可能に近い、困難であつたということと、財源の点であります。四百五十万という数字は、殆んど財源の点から参つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/21
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022・成瀬幡治
○成瀬幡治君 科学的な根拠というものを示さずに、大体腰だめ的な数字が出て来たと思うのです。だから旧軍人軍属関係の中においても、私はいろいろな不平不満というものがあると思う。こういうときに打切るのだ。こういうところで線をぴんとするならば、やはり腰だめ的な数字でなくて、私は一つの科学的な数字を示されるのが、今の政治の不平不満を起させないという、政治の賢明なやり方だと思うのです。私はただ財源がなかつたとか、その財源はどうだと言えば、今度いろいろとやつて見たら行政事務の打切りの費用だけでも百一億という金が出て来ている。それを自由党と改進党とにおいて共同して予算修正などをなされておる財源というようなものは、本当に私は真剣に、こういう人たちを見てやらなければならないという親心があつたならば、財源がないということは、それは一言には言えるかも知れないけれども、私は少し不親切なことだと思う。だからこれは、今後こういつた問題については、もう少し科学的な基礎に立つて、かくかくによつて打切つたのだということを私は説明して頂かなければ、何としても不平不満の声を抑えつけることはできないであろう。
こういうことを申上げまして、次に伺いたい点は、これに絡み合つて事務的に処理が困難だからということは、それは私は敗戦のときにすべての書類を焼いてしまつたので困難だからできないのだ。こういうことは私に言わすならば、これは一つの言訳だと思う。本当にやるならば、私は帰つて来た人なり、或いはその近くに生存者もいるだろうし、私は調査する気があるならば、これは調査できると思う。やる気があるならば私は不可能じやないと思う。そういう点についてどういうふうにお考えになつておるか。本当にできないのか。事務的にできないのか。不可能だと、こうお考えになつておるのか。まあ今度人員を八十名殖やして置いて、これだけの恩給局の員数であるから、仕事はこの位である。こういう大雑把な言い分なのか。そのへんも私は一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/22
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023・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) この法の立て方は、先ほど御質問にもちよつと申上げて置いたのでありますが、法の立て方は、これは科学的でなければなりませんが、私は今日の軍人恩給というものは、これは一種特殊な問題でありまして、それにはこの財政面が相当強く働いてもいいのじやないか。その点は科学的でない、腰だめではないかということでありますが、腰だめでも仕様がないじやないかと考えております。
それから今の事務的にできんというようなこと、やればできるのじやないかと、私が聞いているのでは、殆んど書類がない。その書類のあるものを拾い上げることによつて非常に不公平になるということと、それから先ず陸海軍関係の人の発言をどこまで重んじていいかということも問題かも知れませんが、そういう人のなにも、大体七年でいいというような結論になつておるようですから、それを政府としてとり上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/23
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024・成瀬幡治
○成瀬幡治君 まあ矛盾点を突き上げれば、これは限りのない話だと思いますが、この間の公聴会によりますと、東京新聞の及刀さんなどは一つの過渡的な案としてこれについて賛成するという賛成意見を述べられた。政府もこれは、この法律はこれで満足なものだとは考えておらないわけであります。そこで次期どういうような恰好で改正をするとか、或いは近いうちに改正をする、そういうような準備と申しますか、そういう下心をお持ちになつておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/24
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025・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今の及川という人が、どういう意味で過渡的だと言つたか、それは私にはわかりませんが、政府のこの恩給に対する考えは、これを過渡的なものと考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/25
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026・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは、前にも私は質問しましたことと、あなたのおつしやることとは答弁としては一致していると思いますが、及川さんの言われたのは、基本的には旧武官であるというようなものと一緒にしてはいかん。そういうものは恩給というものが否定されるわけです。ただこういう人たちが非常にお気の毒であるから、生活に困つているから認めてやれ。こういう考え方でありました。あの人の考え方は、農民も一緒につけていいじやないか、そういうような考えのように承わりました。
次に附則第四条によりまして、現行法の三十八条の四ですね。加算というものが全部打切りになつてしまうのです。これは文官関係ですが、打切りになつてしまつているのですが、これについて、いろいろなおかたの御覧などを伺つてみますと、調整号俸などによりまして上げておるところもあるわけです。それかと言つて上げてないところもある。政府としましては、附則第四条によりまして加算の打切りをしてしまつた。これだけでもう十分だ。今まで三十八条の四によりまして、加算の付いておつた人たちをもう考慮する必要はないのだ。こういうふうにお考えになつておるのか。例えば国鉄に対しては、機関車の人たちがお気の毒であるから、これを何とかしなければならない。それには一つ予算総則などにおいて、もうちよつと考慮を払うとか、職階において考慮するという意味において、予算を考慮する、結核或いは喉頭結核或いは癩、そういうようなところにお勤めになる人たちは、どうこうせなくちやならん。こういうようなことについてお考えになつているかどうかという点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/26
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027・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 加算を審議会の構想がどうして取入れなかつたかということについては、あとで恩給局長から答えてもらいたいと思いますが、この恩給法自体が、旧軍人から見て決して私は十分のものではないと思います。その場合にこの恩給法が仮に成立いたしましても、軍人遺家族なんかの生活はなかなか十分救われるものじやないので、相当悲惨なものであろうと考えます。そういうものに比較しまして同じ軍人関係の比較をしまして、加算は特別のもの以外はなくてもいいだろうということなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/27
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028・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は教員の場合に例を取りますが、教員というものは加給が十七年以上の場合、小中学校におきましては百五十分の一加算になつておる。それから高等学校におきましては三百分の一加算になつておる。これは一つの職業病と言つたような結核にかかる率が非常に多い。そこで一つこういつたようなものを付けて置こうじやないか。それに対して今度ベースは一本になつてしまつた、こういうところを、もうこういう官庁に勤めておる人と、そういうところに勤めているものと、同じである。こうなると私は、前は或いは俸給に差があつたのだということになると思いますけれども、私はやはり一つのそういう科学的に調査されるならば、一つの国民病とはいうものの、結核にかかる率の人たちは、どういう職務の人たちに多い、或いは今言つたような結核であるとか、癩であるとか、本当に自分の身をなげうつて献身的にやられようとするところの人に対して、もう十分手当ができているから、それで差支えないのだという意味で私は加算加給の打切りをされるという点は、遺憾だと思います。或いは軍人恩給のほうを切つて来たから、これも打切らなければならんという考え方は私はいかんと思います。若しそういうものとして合せる必要があつて打切つたとするならば、今まで現に調整号俸で二号乃至六号上つておる。それで十分だ。こういうふうに私は素気なくお断りになるのでなくして、そういうふうなところは、やはり若干調整号俸なり何なりにおいてみてやる。こういうふうに出るのが本当だと思いますが、どうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/28
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029・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 大体におきまして、今度の軍人恩給というものは、遺族それから傷病者それから老齢軍人、こういうものの生活を恩給法の復元によつてよくして行こうということなんでありまして、そういう意味から加算の問題は、それに比べればあと廻しにしてもいいじやないかという考え方です。極めて大雑把なものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/29
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030・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ちよつと最後のところがわからなかつたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/30
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031・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) さつき申上げたと同じようなことですが、今度の軍人恩給の建前が、そういう方面をよく見て行こうという考えでありまして、あの加算というものは、私もよくわかりませんけれども、かなり無理のあるものじやないかと思うのですが、それをすることは、遺家族の生活等を見れば、まあバランスはいいのじやないかという気がしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/31
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032・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは副総理も、私は時間をお急ぎだろうと思つておりますから、三橋さんと一緒にお聞きすると、副総理も答弁されるし、いろんなことになつておるわけですが、今のあなたの答弁は、私が聞いておるのと全然別なことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/32
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033・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) どこが違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/33
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034・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今の成瀬委員の御質問は、現に加算をつけられておりまするところの一般公務員につきまして、加算をとるようにした場合においては、在職中の今の俸給を少し割りよくするようなことについて政府は考えているか。こういうようなことについての御質問じやないかと思うのでございます。
ところで俸給の性格につきましては、一般職の職員の給与に関する法律の第四条にはつきり書いてあるところでございます。それでこの第四条の俸給に関しまするところの規定、この規定の趣旨によつて、各職場に働く公務員の俸給というものを私はきめられておると思うのであります。従いましてその職場に働くところの公務員の俸給が、恩給がついておるから特にこれを考慮されて低くなつているとか、或いは又その恩給を考えて高くするとか、恩給の金額が少いから高くするとか、こういうようなことが考えられておるとするならば、その他の勤務条件を考慮して云々ということ、第四条に書いてありますが、その中にも恩給云々ということが入つて来なければいけないと思います。そういうところまでは考えられていないところでございます。
従つて今度加算を廃止しました後におきまして、今まで加算のつけられておつた人の俸給をどういうふうに扱うかということは、一にこの第四条の規定によりまして私は考えられて行くべき問題だろうと思いますので、今私から、或いは又副総理から、この俸給をどういうふうにきめて行くかということをきめるには、直接その衝に当つておりまする人事院当局の意見を聞かねばならない。それも聞かないで即答するということは適当なことじやないと思つておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/34
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035・成瀬幡治
○成瀬幡治君 まあ三橋さんの御答弁は、私ども了承します。併し私は、事務当局としては当然そうあつて然るべきだと思うのです。ところが今言つたように一般職員の俸給の細則乃至或いは規則は完全に施行されておるという前提に立てば、それで私は一つのその問題は今のように発展して来て然るべきだと思うのです。ところが完全に施行されていないとするならば、私はそういう努力をしてもらわなくちやならない。そういう努力を緒方副総理はやられるのかどうか。こういう点を私は御質問しているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/35
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036・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今加算なり或いは加給をつけられておる人々については、今の俸給というのはこの退職後におきまして、そういうような加算なり加給のつくようなことを考えてもなお十分な俸給ではない。こういうような考えに立つての議論も、私は一応の議論だと思います。それから又一面におきましては、従来におきましては、国家公務員、即ち従来で云えば官吏でございますが、そういうような者の俸給というものは、いわばフラツトのみんな一本の俸給制度によつておつたのでありました。このことを考えまするというと、今日におきましては、少し考え直していいのじやないか。こういう意見も又出て来るとこうでございまして、その間をどういうふうに取扱いできめて行くか、こういうことがなかなかむずかしい問題じやないかと思います。
それで政府の事務当局といたしましても、勿論今成瀬委員の仰せられる、ことくにできることでございますならば、加算なり加給なりはそのまま従来通りつけて行くことにしたいと、こう思つておつたところでございますが、いろいろな点について考慮して、結局圧縮するということを考えざるを得ないような国家の現状、こういうことを考えて、恩給制度というものを考えて見まするというと、本当にこういうようなところに勤務されておる人にはお気の毒でございますけれども、一応御辛抱願えるところとしてはこういうところではなかろうかということで、私は指摘したのでございます。
国家の財政その他において許されることでございますれば、勿論こういうことは避けたい。こういう気持で私はおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/36
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037・野本品吉
○野本品吉君 只今まで成瀬委員からいろいろな質問がありましたが、別の角度から私はちよつとお聞きしておきたいんですが、今度の恩給法の一部を改正する法律案で加算廃止という一つの原則を立てられたことに対しましては、事情は或る程度わかるのであります。ただその加算廃止条項を機械的に適用するということの結果が、危険業務或いは不健康業務等に従事する公務員の処遇としては当を失すると思われる節があるということが、この委員会で屡ぐ問題となつておるわけであります。事実だんだん調べて見ますというと、これらの人については、仕事の性質上、在職し得る年限が極めて短かい。又退職後の余命が極めて短かい。こういうような事実がだんだん我々にわかつて来たのでありますが、こういうようなことを考えますときに、この委員会といたしましても、又恩給事務当局といたしましても、慎重に検討の結果、その事実が認められた場合に、これらの人に対する適正な措置を認められたとするならば、これらの人に対する適正な措置をなさろうとするお考えがありますかどうか。これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/37
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038・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 適正な措置をする意思があるかどうかという質問でございますが、それは結局この法案に書いてありますことを取消をして、そうして現行恩給法のようなふうにするということにする意思があるかどうか。こういうことに帰着するのではないかと思うのですが、そうでございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/38
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039・野本品吉
○野本品吉君 私は最初申しましたように、加算廃止の原則をとられたことに対しましては、一応納得することのできるものがある。それの機械的な適用が特殊な職務におるものに対する処遇として非常に不利益であり気の毒だ。こういう事態の存在がこの委員会及び恩給事務当局の研究の結果として認められた場合には、原則は尊重しますけれども、これらのものに対して適当な措置をお考えになろうとする気持がありますかどうか。それをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/39
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040・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) この恩給法といえども、いろいろな御意見があると思います。勿論十分なものではございません。将来軍人恩給につきまして全般的に言いまして甚だしく平衡を失しておるものを見出しました場合には、これは新たな問題として取扱つて無論差支えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/40
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041・野本品吉
○野本品吉君 大体わかりましたが、それではさような事態の存在が確認されました場合には、親切にお考え下さる御意思があるということに了承してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/41
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042・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/42
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043・竹下豐次
○竹下豐次君 先ほど成瀬委員の質問に対しまして緒方さんが、この恩給法を過渡的なものとは政府は考えていないというお答えでございました。実はこの委員会におきまして本案を審議しております過程におきまして私だけでなく、多数の委員の諸君のお考えであると、私は一致した意見であると思つておるのでありますが、それは今度の恩給法案というものは相当に瑕が多い。完全でない。不公平もある。無理もある。理想的なものでないから、普通の場合であつたならば、もう少しゆつくり期間を置いて慎重に審議してきめなければならない案だと、こう思つております。併し何百万、一千万に亙る多数の人が首を長くして待つておられる。そういう人たちの気持を聞きますというと、まあ不十分だけれども、この際とに角その日その日が苦しいのだから、原案のままでも止むを得ないから通してもらいたいというような切ない希望が出ております。私などもお気の毒だと思います。少々瑕があつても、この際は通して法律が一日も早くできるようにしなければならないというふうに考えておるわけであります。いよいよ結論を採決されるときに、どういうことになるかわかりませんが、私だけはそういうふうに考えております。
それにつきましては、私などの希望としては、政府のほうの立場としては、相当に研究もされましてこの案ができておるのでありまするから、急速に又ちよつとの間に改正案を出すというようなことはお苦しい立場もおありであろうとお察しします。併しどう考えても私などは一ときも早くこの改正案を御提出になることが必要だ。こういうふうに思うのであります。副総理はここにたびたびおいででありませんから、直接お聞きでもありませんけれども、恩給局長は、皆の気持はよくおわかりのはずでありまして、恐らく副総理も局長から或る程度お聞きであろうと思います。それで過渡的なものとは思わないという言葉を使われましたが、これも言葉の解釈の仕様の言葉でありまして、まあ非常に欠点だからすぐ改めるということをおつしやるのも、お立場としても工合悪い点もありますけれども、過渡的でないという言葉の中には立派にできているのだから、だから今ちよつと改正案を近いうちに出そうという考えはないのだというふうにもとれる言葉なんです。言葉尻をとらまえて私はかれこれ言うわけじやありませんけれども、その点を私などの気持としては、もう少しはつきり、まあ次の国会で間に合うかどうか、これはわかりませんけれども、できるだけ早く又改正案を出す準備をするとか、足りないところを研究してというようなふうのお答でも得ましたならば、この案に不満を抱いておる多数の人たちも、相当に又満足するのじやないか、又私など委員の立場におりまするものも、そうしてもらいませんと、いい加減と言つては悪いのでございますけれども、不十分であると思いながら、そのままにいつまでもほつちらかされておいては困るということは、国会議員として非常に考えなければならんことだと思つております。その点副総理はどういうふうにお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/43
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044・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 政府が法案を出しておきながら、これは過渡的のものだと言うことはできませんけれども、先ほど野本委員の御質問にも答えましたように、社会の華もいろいろに動いて参りましようし、又新たな社会情勢、客観情勢に照し合せて見た場合に、これは余りにも平衡を失しておるということを知つた場合には、それはこの法律に限らんかも知れませんが、是正すべきであると考えますが、これが何か過渡的のもので、すぐにも改正を予想されておるものとはちよつと申上げかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/44
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045・竹下豐次
○竹下豐次君 重ねてお伺いいたしますが、いろいろ具体的の問題も出て来ておりまして、この委員会でも、局長のほうでも相当にこれほはるほど無理だというふうによくおわかりになつた筋があるのであります。実際は予算四百五十億というので制限されているがために、局長のお立場としては、今更これに手をつけるわけに行かないというふうなお立場があるということを私なども想像ができるので、余り無理なことは実は言つてないわけでありますので、恐らく政府のほうでも、相当に一時も早くしなければならないという点をお気付きじやないかと思うのですけれども、もう少しはつきり御答弁願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/45
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046・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) まだ三橋局長から、三橋局長もそれは非常なでき損いだと言うたというところを十分に承わつておりませんが、国会で御覧になつて、これは非常に不合理であるとか、平衡を失しておるというようなことがあれば、今度の機会には、できるだけ成るべく早く成立させたいのでありますが、将来修正することは当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/46
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047・竹下豐次
○竹下豐次君 局長からも、相当にお話下さつているものだとばかり私思い込んでおりましたので今申しましたが、副総理なかなかお忙しいのですから、お聞きになる暇もなかつたのだろうと思つております。この点はなお三橋さんよくお話下さいまして、一つできるだけ早い機会に改正に着手して頂くように希望を申上げておきたいと思います。
それからもう一つ副総理にお聞きを願つておきたいのでありますが、たびたびの委員会で政府当局の、主として三橋局長でありますが、御答弁を承わつておりまするというと、四百億の予算にぴしやつと制限されておられるのでありまして、私などから見るというと、まあ支給する気に政府がなれば、予算の面から見ても大したことじやないから、支給するような法律にしていいのじやないかというような筋のところがたびたびございます。方々にございます。併しどうもそういう場合には、それをやるとするというと、こつちに工合が悪い。こつちをやろうとすると又こつちに工合が悪いというようなことで、事務的になかなかできない。こういうまあ御答弁を承わつておるのであります。それもまあ私など事務をとつた経験もありますから、そのお気持がわからないわけじやありませんが、例えば陸海軍にしても、いろいろな加算の問題についてもなかなかそう調べが困難である。通算の問題にしても調べが困難である。ところが困難ではありましようけれども、立派な証拠を差出し得る人がたくさんある。陸軍のほうは書類を焼いてしまつたけれども、海軍のほうは書類がすつかり残つておる。陸軍のほうでも、全部が証明ができないのでなくてできる部面が相当にある。まあごく地域を広くするならば、或いはその村の村長とかいうような人が証明し得る場合もあるのだ。そういう場合にでも、とに角それを調べるときになつて、手が非常にかかつてその中にはまあ露骨に言うならば、その申請ができて来ないときまらないというようなものもあるかのように伺うのであります。それは而も調べられる数のほうが、私などの見込では多いので、調べのつかない数のほうが少いと想像します。少い数のために、調べのつく証拠を挙げることのできる多数の人までも葬られるということは、これは非常な不公平なことで気の毒なことじやないか。で、証明のできない人も、実はあの人は証明ができないで可哀そうだ。実際言えばあるのだけれどもなあということを言う場合もありましよう。ちよつと、その人が漏れるというわけで気の毒ですけれども、証明がどうしてもできない場合には、これは止むを得ないというふうに考えなければならないかも知れませんけれども、はつきり証明のできる場合に、それをできない人のお附合いをさせる、而もそれが証明のできない人よりもできる人が多い。多数の者が少数の犠牲になるというような考え方は、少し思いやりがなさ過ぎるのじやないか。私の言うようにすると、政府のほうは手が要る。併しそういうことに手が要るならば、少々手をお殖やしになつて、そこまでやはり手をお尽しになるほうがいいのじやないか。かように私は考えておるわけであります。こういう点は、三橋さんとはたびたび意見の交換もいたしました。ここの席だけで足りませんから、控室などでも長い時間潰して、いろいろ御相談したこともあります。役所の仕事も、事務的にすつかり考えますれば、事務官の立場としてはそのほうが、今政府で考えていらつしやるようにしたほうが便利であろうと思いますけれども、もう少しそこを一奮発して、助けられるものはできるだけ助けて行くのだ。その途があるならば、という考えになつて頂くことができないものか。かように考えておるわけであります。併しそれも、もう明日、明後日までの会期でありますから、今すぐにそれがどうしてもできないとおつしやいますならば、その手続等については、行政的に又お考えになることもできるかも知れませんし、或いはその法律の改正をはつきり、できるだけ急いで、全体の改正まで待たないでも、部分的にでも法律の改正でもされまして、多数の者を潤おし、これは予算の関係もあることでありましようけれども、予算はこの後そう殖えて行くわけでもない。その点をよく御了解願いたいと思つております。何かお考えがございましたら、一つお答を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/47
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048・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 御意見は十分に承わりました。この嘘な要求だという心配は実は持たないのでありますが、何か制度をきめます場合には、平衡を失しないようにすることが一番大切じやないかと思いますので、そういう心配を持つのでございます。併しこれは、先ほども申上げましたように、財政の面と睨み合せて、まあ独立の後に成るべく早く旧軍人遺族のかたがた、傷病者のかたがたというものに恩給を急ぐという何から、今のお話のような点もあろうかと思います。そういうことについては、又更に研究をよくいたしまして、いろいろな角度から見ましてできることはやつて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/48
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049・竹下豐次
○竹下豐次君 不公平の非常にはつきりしたこれは大きな事例、大した数の問題じやありませんけれども、事例を一つ御参考のために申上げます。
或る役所の文官が友達同士が、同じ年数内地で勤続した。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/49
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050・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/50
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051・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/51
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052・竹下豐次
○竹下豐次君 一つの小さい事例でありますけれども、同じ役所に一緒に役所に就職した。そうして二人共十四年間内地で官吏をしておつた。文官をしておつた。それが司政官で南洋に行つた。両方共四年ずつ行つた。そうして一緒に帰つて来た。その場合に、一人はたまたま元の役所に帰つて来た。一人は帰つて来てから民間に行つた。その場合に、政府委員の説明によりまするというと、役所に帰つて来た人はこれは通算して十八年になるから恩給をやるけれども、民間に行つた人はやらない。こういうことになつているというわけでございますが、これは細かい例でありますが、そういう点を細かく考えまするというと、方々に不公平な問題が散在しておるように思われるのであります。今の問題が非常にはつきりした問題です。誰が考えても、これを公平な処置だと、こういうふうに考えるわけには行かないだろうと思うのです。何とか、こういうふうな問題をよく御研究下さいましてできるだけ早く改正に着手して頂きたいと思います。
これは副総理から御答弁を求めているわけでありません。ただ一つの事例を挙げまして一つ御参考のために申上げたわけでございます。私は質問はこれで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/52
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053・成瀬幡治
○成瀬幡治君 急いで二点についてお尋ねしたいと思います。
先ほど野本委員から、加算加給の打切りについて非常に不合理があつたなら、これについて改めるにやぶさかでない。こういうお話がございました。そこで私は、先ほど加年の加算のことについていろいろなことを伺つたのでありますが、ここには現われて来ないのですね。この準用されるところの地方公務員である教員などは、実際加給加算が飛ぶわけですね。それによつて私は片一方の加年加算というものについては、調整号俸でいろいろなことをやられておる。併し蒸気機関手などについては、いろいろなことをやつてみたつて、まあとれていない。或いはとれておるという人もあるが、我々はとれていないと判断されるわけですが、実際の加給加算が飛ぶところの教職員などについては、何ら手が打たれていないことは事実だと思う。そこでこういう問題については、私は教員のほうは義務教育半額国庫負担法においてそちらのほうでやるのだと、こうおつしやるかも知れませんけれども、そうではなくて、やはり算定基準にこういう問題も十分加味されて私はおやりになると、こう了承して差支えないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/53
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054・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) ちよつと最後のところ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/54
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055・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/55
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056・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をとつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/56
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057・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 先ほど来、成瀬委員からの御意見、野本委員からの御意見、十分に承わりましたので、この問題について、ここで十分御満足の行く御返答はできませんけれども、御意見のあるところは政府で篤と研究いたしまして、できるだけの措置をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/57
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058・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は最後に、社会保障制度と絡み合つてお尋ねしたいと思うのですが、実は同じ軍人であつても、戦死した場合に、例えば大将の戦死された、或いは大佐或いは曹長といつたような人が戦死した場合、階級によつて、或いは勤続年数によつて同じ曹長なら曹長が、同じ曹長であつても、勤続年数によつて違つて来るわけです。戦死してしまつたその遺族が何故に違つた差別を受けなければならないのか。こういうようなことについて、やはり同じようにやつたほうがむしろ遺族としては救われるのじやないかという考え方。もう一つは、同じ足を大腿部から切断した場合は、大将の場合と、大佐の場合と曹長の場合とでは非常に差があるわけなんで、こういうようなものは、これは増加恩給と違わんわけですが、こういうものはせめて私はすべて同じにやるというほうがむしろ妥当ではないか。或いは今度の戦争に絡み合いましても、私はいろいろと犠牲を受けておる人は、単に軍人のみじやないと思う。多くのことを拾つて行かなければならないのじやないか。こういうことが絡み合いますと、いろいろなことがございましようけれども、指さす方向というものは、やはり社会保障制度の確立、そういう社会保障度制の一環としてのこういうものを解決して行くのが私は本道だと、こういうふうに考えるのですが、副総理はどういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/58
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059・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 本道という意味が私にはよくわかりませんが、今の軍人恩給の考え方と社会保障制度の考え方とちよつと違うように思います。将来のことはわかりませんが、社会保障制度を将来だんだんに厚くして行かなければならないのは勿論でありますが、今の恩給制度は制度として存続すべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/59
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060・松原一彦
○松原一彦君 副総理にこの点だけを私は一口たしかめておきたいと思うのですが、この軍人恩給の復活に対しては相当異存があつて、参考人などは随分極端な反討論を述べておられますけれども、私は一民族が国家を作つて行く上に、自分の国を護る忠節さがなくてはならないと思う。そういう意味におきまして、曾つての軍閥専横によつて祖国を誤つた元兇までをも私はこれを称讚しようというような気は毛頭ありませんけれども、忠誠にして勇敢であり、世界的に傑出した日本の旧軍人を日本民族が独立したこの際に、いささかなりともこれに報ゆる贈物をし上うというこの法律が、私は不足なものではあつても、当然過ぎるほど当然のものであるということを考えるものでありますが、副総理の御所見どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/60
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061・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 全然同様な考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/61
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062・松原一彦
○松原一彦君 であるならば、実は加算とか加給とかいう副総理には御了解ができないかも知れませんが、むずかしい明治維新以来の法律があつて、その法律が国家保障として軍人を戦地に送る一つの支えになつておつたのであります。あとは引受けるという、これが民族の約束であつたのであります。これが今回は不幸にして充たされないのであります。老齢の軍人と傷痍軍人と遺族には、とにかく一通りのものが行きますが、それに漏れるところの百数十万があることは、さつき成瀬君が言われる通りであります。これは国力がまだ真に回復しておらないために万やむを得ず落して行くのであつて、誠にお気の毒に堪えない。やがて国力回復の度に従つて、我々は政府と共に考慮しなければならないものだと思いますが、この点に対する御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/62
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063・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 気持としては、只今松原委員からお話のありました通りでありますが、ただ、今度の軍人恩給の復活が、全然前の軍人恩給、それが続けられるのだということを基礎の観念といたしますると、今日の国の財政或いは見通し得る近い将来におきましても、なかなか私は十分なことはできないのじやないかと考えておりますので、こういう案が結論として出て参つたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/63
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064・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ほかにございませんか。
それでは副総理に一点お聞きをしておきたいのですが、当委員会で恩給法を審議しておる過程で、各委員から言われたことに、折角恩給法が施行されるようになつても、非常に生活に困つておる人が高利で金融を受けるために、この恩給の殆んどが利子にとられてしまうというような結果をみるのじやないだろうかということが言われておつたのです。何か政府としてもそういう途を一つ救済する金融の方法が必要だと思うのですが、それをお考えになつて早急に何か対策をお立てになる方針かどうか。この点一点明らかにして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/64
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065・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) それは本案の提案に当りましても政府部内の問題になつたところでありまして、何かできるだけ便宜な方法で、且つ恩給の実質を阻害されないような方法を立てて行きたいということで十分研究するつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/65
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066・竹下豐次
○竹下豐次君 刷に繰返してかれこれ面倒くさいことを言う必要はありませんが、結局さつき申しました事例は、両方とも十八年に通算すればなるのだ。帰つて来た二人が二人共何と申しますか。復員局と申しますか。あすこでちやんと両方とも名簿に載つておるはずです。それがたまたま一人は帰つて役所に入つた。もとの役所に帰つて来た。一人は民間の人になつたということだけで差別待遇をするということは、これはどう見ても理窟が通らないのじやないか。恩給の性質というものは、年限を文官は十七年に限られておる。十七年勤続したか否かということで問題を解決すべきであつて、帰つて来て民間の人になつたか官庁の人になつたかによつて同じ十八年勤続した者の差別待遇をされるということはこれはどうも不合理が過ぎるのじやないか。」こう思うのですが、ほかとの釣合いがあるものまで許すということになると、今までのほうの調べがつかない。こういうようなこともこの前伺つたことがありますけれども、そこまで行けば、一緒に帰つて来た今私の事例を申しましたその人だつて、はつきりした証明はできないということになる。何となれば、その人が陸軍の司政官になつておつた。陸軍の司政官という名前はあつたけれども、やつておるつもりでも、何をしておつたかわからないということになる。そこまで疑うわけに行かないだろうと思う。やはり司政官でおつた間は司政官として働いておつたと見なければならない。而もそれが帰つで来ても十八年たつていたのだ。たまたま民間に行つたら、それにはやらないのだということは、どうも私は不合理じやないかと思うのですが、何かこの際、法律の修正とかいつても容易ではありませんが、行政的の措置でもそのくらいのことはうまく解釈ができるはずのことじやないかと思いますが、どうしてもできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/66
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067・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今の竹下委員の仰せられますることも一応御尤もだと思うのでございますが、今の二つの場合についてお答えいたしますと、終期が、一つの場合の官庁に入られた場合、終期がはつきりしておるわけでございます。それから官庁にお入りにならなかつた、やめられたかたのは、終期がはつきりしておる場合とはつきりしていない場合がとがあるわけでございます。そこではつきりしておる場合だけを救えということも、たしかに私は一つの御見識だと思います。それから又はつきりしておるものとはつきりしていないものと、これを全体として考えまして、一応公平な措置のできるような制度を考えて慎重な取扱いをしなければならないのじやないかということも、当然考えられるのじやないかと思つておるわけであります。私たちは今この後者の考え方をとつて来ておるところであります。
なおお考え願いたいことは、くどくなるようで大変恐縮でありますけれども、一応かかる制度を作る方針をとりましたいきさつを繰返して申上げるようでありますけれども、申上げたいと思います。通算の制度というものは時代によりまして、又は公務員の種類によつて違つております。必ずしも昔から今日まで一貫しておりません。大正十二年九月以前は不通算が原則でありましたが、例外として旧軍人と文官だけが通算されておりましたが。警察官とか教育職員の間には、通算されておりませんでした。それから又昭和八年九月以前、即ち大正十年から昭和八年九月の間でございますが、その間は通算が多うございましたが、教職員と旧軍人の間におきましても、通算はされていなかつたのでございます。終戦の当時におきましては、通算は原則的には認められておりましたけれども、経過的には通算をされていないものもかなり多くあつたのであります。即ち終戦の際の恩給受給者の中におきましては、通算をされないで恩給を給されておつた人もかなりあつたわけであります。過去においてそういう取扱がありましたことは、その時代々々におきまして、いろいろの止むを得ない事情があつて、それで、そういうことになつて来たのだろうと思います。それでございますから、私はできることなら、今竹下委員の仰せられましたごとくに、原則としては通算されるようにしてあげたい。こう思つております。それから今度の法案におきましては、公務員の種類によつては区別しないで、勤務の期間によつて一つの制限を設けたのでございまするが、これを設けるにつきましてはいろいろの観点から、そうせざるを得なかつたのでございますが、先ず第一は、先ほども緒方国務大臣から御説明がございましたように、戦没者遺族、重病者、老齢者というような風に重点的に考えて、恩給の措置をする。こういうような考えで来たわけです。これは国家の財政とか国民の感情をも考え、そういうところから、そうせざるを得なくなつて来たわけでございます。そうしますというと、限られたところの予算の範囲内において、そういうふうな措置をすることになつて来ると、どうしてもこの恩給の経費を軽減するような措置を考えなければなりません。経費の軽減の措置を講ずることになつて来ると、どうしても若年の短期在職者に対して恩給を辛抱してもらうような措置をせざるを得なくなつて来ます。それからまた一面におきましてそういう処置をいたしまする場合において、人事記録の整備の全きを得ていない現状において、公平、正確、迅速に処置のできる範囲のものと、できないものとある場合においては、公平、正確、迅速にできる範囲のものを先に、できないものをあとにして整備されるものから措置をすることも、又止むを得ないのではないかというように考えております。前提はそういうふうなことであります。それから今度は一応軍人は、引続き七年以上在職といたしましても、先般も申上げましたように相当の数になります。引続き七年以上にしませんで、引続き三年以上といたしましただけでも百八十万人からの該当者がある。こういうように言われております。そこで一応七年以上として生存者の在職年を限つたのでありますが、この七年以上と限りました場合、その在職年が文官と軍人だけの場合、文官から軍人になつた場合、軍人から文官になつた場合、いろいろなケースがありますが、それについては一貫した考え方もできるのでありますが、軍人に関する履歴の中には、今竹下委員の仰せられた通り、或る場合にはかかる、或る場合にはかからないというようなものもあるので、この取扱をきめるに当つては、非常に困つたのでありますが、いずれにしても終期と始期とについて、公平な取扱のできるものから先ずこの際は拾つて行こう。こういうようなことを大体の考え方として考えましてそこから整備することを考えて参つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/67
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068・竹下豐次
○竹下豐次君 一般的なお考えは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/68
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069・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) それで竹下委員の仰せられることもよくわかるのでありますが、一に今、竹下委員の仰せられたような措置をするためには、どうしても大変事務的なことを申上げて恐縮ですけれども、先ず何と言つても、軍関係の履歴の整備を私たちは全力を注いで今後やつて行かなければならないと思うわけであります。次には国家の財政的な措置として今申しますように、重病者、老齢者、軍人の遺族を考え、それから若年在職者を考えるようにして行かなければならん。というのは、在職年の短かいものも通算することにして利益を受けるものはどういう人かと申しますと、重病者、老齢者、戦没遺族ではなくて、生きている人です。そういう結果になることも考えつつ、大変生きているかたに申しにくいことでありますけれども、そういうような措置をすることにいたしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/69
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070・竹下豐次
○竹下豐次君 先からたびたび申しますように、四百五十億で制限されておるからということが根本になつておるわけですが、私の言つた事例の場合には、両方やらないというならばいいのです。これはたまたま役所に帰つて来た人にはやるけれども、民間に行つた人にやらない。同じ十八年勤務しておるのに、これは勤務先だけできまることではございません。勤務先によつて十八年と言えば、官吏であつた以上は、それから先にどこに勤続しようと恩給の資格に変るはずの性質のものじやない。片ほうにやつて片ほうにやらない。これはおかしいのでありまして、これは予算の関係で何も出せないというならば、文官の今日までの既得権も全部剥奪されても、理窟としては止むを得ないのです。最もいやなことでありますけれども、理窟としては止むを得ないのです。併し今私の言つておることは、明らかに不公平で誰が見ても不公平で、それをほかの事例、わからないのがあるからと言つて、そつちのほうに引込んで、立派に復員局の証明ができるものが十八年勤続しておつた。而も司政官になつて行つた人は、自分で志願して司政官になつて行つた人はどういう人かと言いますと、仕事がなくて何とか助けてもらいたいという人が何人かあつたかもしれない。併し若い人たちはそうでない。大体は、やはりこのおつた役所から、君辛抱していやだろうけれども、命がけで行つてくれといつて、そうして二年とか三年とかで帰してくれるのが普通だつたんですよ。それをどうも残酷な取扱だというふうな感じがするから私はなお質問申上げる。これはできるだけお改めになる考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/70
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071・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 私としましては、それは非常に根本的な問題だと思います。と言いますのは、今のお話のように復員局でわかる、わからないということに立つて議論が進んで参りまするというと、或る軍人につきましては加算をつけられるじやないか。或る軍人には加算をつけられないじやないか。加算をつけられる人については加算をつけて、今まで通りの恩給を給してもらいたいというような要望も、かなり強いのであります。そういうような問題に対する措置も私は考えて行かなければならないじやないか。そう考えて参りますと、やはりこれは恩給全体としての釣合いと言いますか、旧軍人及び遺族に対する恩給の措置として、全般の問題について考えるほかないと思います。今の確かにわかつているんじやないかということについて、御議論になりますと、或る特殊の人については確かにわかつている人もあることは肯定いたします。併し又同じような条件が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/71
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072・竹下豐次
○竹下豐次君 ただ一人のことを言つているのではない。事例として挙げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/72
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073・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) たまたまそういう人も、私はかなりあると思います。今お話のありました復員して帰つて来た人については、復員局があつたのではないかということでありますけれども、たまたま復員して帰つて来たときに、復員局があつたかも知れませんが、その前に帰つた人について考えますと、人事名簿を焼かれでしまつた人については、人事記録は全然ないのであります。従つてたまたま帰つて来ることが遅かつた者が得をして、早く帰つて来た者が損をしたということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/73
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074・竹下豐次
○竹下豐次君 そこまで行くと、七年の勤続とか何とかいうことは、向うにおつた人はすつかりわからない。証明する人は誰もない。陸軍省も海軍省もないんですから、復員局というものは相当に重く見なければなりません。誰が証明しますか。帰つて来た今の私の言つた二つの例で、一人の場合は元の農林省なり通産省に入つたから、その上の大臣の証明があるからいいとおつしやるけれども、陸軍、海軍は証明する人は一人もないんです。全部消滅しておりますので、七年の勤続を必ず削りますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/74
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075・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 七年の問題につきましては在職年の履歴の調査を今から官庁におきまして、厚生省が責任官庁になつておりますので、厚生省が責任を持つて今後調査を始めるわけでございます。その調査はあらゆる方法を以ちまして責任ある調査をするということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/75
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076・竹下豐次
○竹下豐次君 それならば、今の文官の場合においても、新たに調査してわかればいいわけじやありませんか。同じことじやありませんか。今からわからない部分は調査するんだ。何万という人間を調査するとおつしやるのです。今から、文官の司政官になつた場合にはなぜ調査しないのですか、どうも何遍議論したつてわかりませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/76
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077・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 私は発言致します……けれども、委員長がおられますから、いろいろ発言があるようですから、委員長のお指図によつて、次々にお答えいたしますまた、できるだけ先生がたの御意見も伺いまして、そうして教えて頂くことは教えて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/77
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078・井上知治
○井上知治君 成瀬委員の質問に対しまして関連しておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/78
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079・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/79
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080・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/80
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081・竹下豐次
○竹下豐次君 まあ同じようなことを繰返しても、面白くないかも知れませんし、皆様も退屈なさるでありましようが、ただ私は、もうそろそろ打切りまして、何ですが、私は今までの御説明には、どうしても満足することができません。この後、できるだけ早い機会にお考え直しを願いたいという希望を添えまして、私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/81
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082・長島銀藏
○長島銀藏君 今の竹下委員の質問に関連いたしまして、ちよつと伺つてみたいのですが、司政官とか、或いは何とかという名前のついておるのはいいのですが、名前が全然途中でついていない軍の仕事が当時あつたわけです。それはどういうことかというと、スパイ行為をする特務機関の一種でございますね。これなんかは、どういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/82
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083・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 只今、長島委員の御質問になりましたことは、ちよつと私はつきりわからないのでございますが、文官でございますると恩給法上の公務員として恩給法に書いてございます。そういうような恩給法上の公務員たる文官でございますれば、表面は、まあ表立つては名前は出さないで活動されておつたかたにつきましても、恩給法上の公務員として今度の恩給法の改正によりまして恩給が給される中に入るわけでございますが、今長島委員の御質問のありましたかたがたがどういうようなかたであつたか、ちよつとはつきり掴めませんものですから、的確なお答えはできないわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/83
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084・長島銀藏
○長島銀藏君 三橋局長のおわかりにならなかつた点を、もう一遍申上げますと、これは軍人でございます。軍人でありまして、当時の特務機関におりまして、そうしてスパイ行動をとるために一切どこの人かわからん形で、言葉も支那語もできる、それこそ蒙古語もできるというので、姿から何から全部変えて、そうして特務機関に報告する必要な事務を十何年間やつたという人ですが、で、表面はそういうわけでありますから、どこの陸軍に勤めているか、海軍に勤めているか、或いは又民間かというその身分というものは一切消されておる。そういう人の場合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/84
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085・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今のお話でございますが、軍人のかたでございますれば、調査は可能だと思つております。と言いますのは、特務機関として活動されておるようなかたでございますれば、将校のかたではないかと思いますが、将校のかたで言わば本科と言いますか、陸軍士官学校を出られたかたじやないかと思います。そういうかたにつきましては比較的……比較的じやなくて、殆んど大体最後までおられたかどうかということはわかりやすくなつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/85
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086・長島銀藏
○長島銀藏君 これが、仮に士官の資格を持つておらないかたであつた場合には如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/86
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087・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 士官の資格のなかつたかたにつきましても、大体わかるのじやないかと思いますけれども、併し、具体的にどういう機関におられた方で、どういう人がわかり又わからないか。こういうようなことについては知りませんが、兵籍簿に、又戦時名簿に載つておられたかたを調べて、いやしくも兵籍簿、戦時名簿を全部、一切合切明らかにするということができればよいのですが、これには非常な困難があります。こういうようなことで、在職年の通算に関し、特別の措置を致したり何かいたしまして、又いろいろ調査方法を研究し、考えているわけでございます。従つて、軍人の中で士官以下の下士官のかたでありましても、相当長期間勤務されておるかたでございましたならば、大抵わかるのじやないかと思つております。短期間の在職者のかたですと、或いはなかなか調査に骨が折れるのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/87
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088・竹下豐次
○竹下豐次君 ちよつとさつきの、私の聞き違いであつたかも知れませんが、もう一遍念のために……、軍人については、この後又新たに調査をするんだということをおつしやいましたね。わかるものはそうしてやるのだというお話のようですが、その軍人といううちには、今の司政官も含んでおるんだとすれば、私はなぜそつちのほうをお調べになりませんかと申したのは私の言い過ぎであります。それはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/88
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089・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 司政官も全部軍のほうで、軍部の職員として履歴を整理することになつておつたのであります。その履歴の整理は全きを得ておりません。私が軍人、軍属と申しました中には、私の言い方が悪かつたかと思いますが、司政官その他の軍属の全部を一緒に含めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/89
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090・竹下豐次
○竹下豐次君 そうすると、今まで私からくどく申上げておる分を、その後調査なさつて、そうして証明できるものはよくわかる時期が来るかも知れないと、こういうふうに理解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/90
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091・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 私はもとより、そうでございます。現在の段階といたしましては、一つの洪水が起つたような状態、洪水が出たあとの整理をどこからどうしてするかということに苦心しておる状態であります。その洪水後の整理建設をどういうふうにして行くかということで、これにいろいろの条件をつけ、これが大変苛酷な条件を付けておるように言われている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/91
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092・竹下豐次
○竹下豐次君 私は先ほど申しました通り、今度の改正案に今ここでその修正意見を出しても通りもしませんでしようが、又そんなことを今しようとも思いませんし、問題はもうはつきりし過ぎているから、将来できるだけ一つ考慮を払つて頂きたい。これなんです、私の言うところは……。それを今まで聞かなかつたものですから、私の聞き違いだつたかどうか知りませんけれども、どうもこの間からの話の行きがかりから、そう聞えなかつたものですから、そう申上げたのです。それじやこの後、やはりよく調査して頂きまして、その調べがついたならば、やはり恩給を復活をするということに取扱つて頂きたい。こういうふうに希望を申述べまして、一応その点はわかつたら取扱おうという御返事を得たものと了解してよろしうございますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/92
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093・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/93
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094・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/94
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095・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今竹下委員の仰せられましたことにつきましては、遺族、傷病者、或いは老齢軍人その他国家の財政を考え合せまして、そうして御要望に副い得る限りのことは致したい。そういうような考えで善処して行きたい。こういうように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/95
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096・竹下豐次
○竹下豐次君 もう一つ、ついでにお尋ねしたいと思いますが、これも時間の関係で長話は禁物ですから、簡単にいたしますが、昭和二十二年地方自治法施行の際に、公務員であつたものが引続いて都道府県の職員になつた場合、恩給法の附則十条に従前通り勤続するものとみなし恩給法の規定を準用されておるわけですね。ところが二通りあつて、第一に、曾つて公務員であつて二十二年五月一日現在に在職しないで、そうしてその後都道府県などの普通公共団体に勤務したもの、それから第二に、二十二年五月以降に初めて都道府県に公務員として勤務したものには、恩給法の昭和二十二年の改正、附則十条によることができないということになつて、たまたま五月一日に在職していたか否かによつて、非常な不均衡があるわけであります。この問題もこれは余ほど考えなければならない問題だろうと思つておりますが、できるだけ早い機会に又御考慮願いまして、やはり通算のできるように改正してもらいたいという希望を持つております。これは如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/96
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097・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) この問題は、なかなか大きな問題だろうと思つております。根本的な問題があると思います。その場合に一言申上げさして頂きたいことは、地方自治制度というものが終戦後におきまして、御承知の通り非常に変りまして、その結果地方には全く従来と変つた、自治制度が布かれることになりましたために、府県に勤めておりました職員も、従来の国家公務員から、地方の、府県の吏員ということになりました。それから又地方自治ということが強く主張されるようになりました結果、地方は地方、国は国という別々の給与制度をとるというようなことが、終戦直後におきまして、昭和二十二年五月一日、地方自治法ができたときの一つの考え方だつたのでございます。併しそういたしますと、制度の切替によりまして、府県に勤めておりました職員が、地方の吏員になりましたのに対していろいろな問題が起つて参りました。そうして総司令部にいろいろ交渉いたしまして、過渡的な措置といたしまして、昭和二十二年五月一日に在職しておりました公務員につきまして、今お話のような特別な措置を講じて今日に至つて来たのであります。相当、その当時から今日まで期間も経過いたしておりますことでございますので、地方の公務員制度、それから国の公務員制度、それから地方の公務員の給与制度、それから国の公務員の給与制度、又国の公務員の退職給与制度、地方の公務員の退職給与制度というような問題につきましては、全般的に検討を加えた上におきまして、何らか適当に措置さるべき問題になつて来はしないか。こう思つておるのでございます。竹下委員の仰せことくに、地方の公務員、国の公務員を通じて一つの制度ができるということは、これは望ましいことかと思つておりますが、併し又必ずしもそれを歓迎しないような所もないのではないと思つております。例えば、或る所におきましては、国家公務員よりも非常によい退職給与制度を持つておる所もあるようです。そういう所に勤めておる者には、国の退職給与制度による場合と比較いたしますと、よりよい退職給与が給されるようでございます。かかるところに勤めておる者は、統一的制度を必ずしも喜ばないということになつて来はしないかと思います。これは国の制度を作る場合考えなければならない問題であり、この外にも問題が少くないのじやないか。こう私は思つておるのでございます。竹下委員のおつしやることもよくわかりますので、今後研究いたしますが、そのときの有力な参考にしてみたいと思いますが、直ちに先生の申されるようにいたしますということについては、これは短時日にはできない事情がございます。今後の研究に待つべきものが少くないと思います。こういうことで一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/97
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098・竹下豐次
○竹下豐次君 この問題は、おつしやるようになかなか複雑な問題でございますが、私として結論を申上げますならば、やはり通算するようにして、それに伴う欠点というよりも、やはり利益のほうが多いのじやないか。かように私は結論を下しておるわけであります。そういう方向でなるべく努力して頂くように希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/98
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099・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/99
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100・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/100
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101・野本品吉
○野本品吉君 ちよつとお伺いします。小さなことかも知れませんが、厚生省で扱つておりました援護事務、この援護事務は、今度の法律が成立、実施された場合に、余ほど減つて来るわけでありますが、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/101
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102・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) かなり減つて来ると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/102
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103・野本品吉
○野本品吉君 厚生省で従来扱つておつたもので、今度こちらに移つて来る仕事というのは、具体的にどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/103
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104・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 旧軍人のかたの遺族のかたに対しましては、遺族年金というのが出ております。その遺族年金を給せられておりましたかたがたで、今度恩給のほうにおきまして扶助料を給せられるかたが出て参ります。そういうようなかたがたにつきましては、厚生省の援護の対象になつておつたものが、恩給法の対象になつて来ます者だけ減ります。それから怪我をされたかたでございます。これらの人々には傷害年金が給されておりますが、この傷害年金の対象になつておつたかたがたの大部分は、今度この恩給法の改正法案が通過いたしますれば、援護法の対象から落ちて来る。こういうふうに思つております。まあ大体そういうところが主なものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/104
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105・野本品吉
○野本品吉君 それだけでよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/105
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106・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは、先ほどの竹下委員の質問と私の質問とちよつと関連するわけですが、私は帰つて来た人が、何と言いますか、外地勤務になつておつた。今で言うと公務員に当る人たちや、或いは何かの人たちが、証明することができなくて、それは打切りになるということになるわけです。そういうことは不合理ではないか。竹下委員がそういう質問をされたのに対して、あなたは予算というものがあるから、それは一つは打切るのだ。こうおつしやるのか。どうやつても、最善の努力をしても、証明することができんから、そういうようなことは、内地ならば万般注意をするけれども、そういう人が出て来るということを予想して、事務的にこういうものが不可能である。こうおつしやるのか。そこのところが、どうも私納得が行かないのです。もう一度申しますと、官吏の人が外地に勤めておつて帰つて来た。私はその長官という者やそういう人が証明すると思つておつたが、ところがそういう機関が、この終戦のためになくなつてしまつた。だからそれを適用、救済の仕様がない。こう言われるなら、私は帰つて来た人たちの中に、多くの人たちがいるから、証人に立つ人があれば、そういう証人を連れて来てやつたらいいじやないかという考えを持つております。私は今の竹下委員の質問もそうだと思う。ところが、そうやつたらいいじやないかという質問に対して、あなたの答弁では、財政ということが一つあると言われる。だからそういうことは、今財政というものが許さんから努力せんということに聞きとれる。それでは私は非常に遺憾だと思いますが、最善の努力をされるかどうかという点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/106
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107・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 成瀬委員の質問にお答えいたしますが、私が予算のことを申上げましたのを一部だけお聞きになつての話かと思いますが、私は前提として申上げましたのは、今度の措置をするに当りましては、何としても今日の脆弱な国家財政の下における措置でございますから、遺族、傷病者、それから老齢軍人のかたがたに対するそれぞれの施策に重点を置いて、それから若年の退職者に思いをめぐらして、措置するということが一般の考え方であり、又それが今度の法的措置の前提になつておることを考えて申上げたのであります。そういうところから考えて参りますというと、遺族のかたがたにつきましても、いろいろの点につきましても、不平不満の点を伺つておりますが、それにしてもこの案でも相当金のかかるわけであります。そういう遺族のかたがたに対しては、この法案でも相当金がかかつてもなお満足が得られないのです。又老齢者のかたの要望も聞かなければならないのです。こういう場合において、この七年以下の僅かな、僅かと言つては語弊がありますが、七年以下の在職につきましてその在職年数の通算によつて利益を受ける人は、一体傷病者なのか、遺族なのか、或いは昔の老齢者のかたか、若い軍人であつたかたか。こういうことを考えますと、この通算によつて利益を受けられるかたがたは、遺族、傷病者というようなかたではないと思います。御承知の通り、遺族のかたがたは、その大部分の方々には在職年数が十二年、十三年以下で亡くなられたかたの遺族が多いのです。傷病者の方もそうです。そういうようなかたは、在職年数の如何にかかわらず、十二年、十三年として取扱つております。そういうことになつておることを考えますると、今のお話のように通算をすることによつて利益を受けられるという方は、短期在職の若年の人ではないかと思います。これは比較的の問題であります。必ずしもそういうかたばかりとは限りませんけれども、比較的にそういうかたが多いのであります。そういうことを考えまして、短期若年在職者のかたがたにつきましては、従来の規定について考え直さなければならないということを先ず考えたのであります。それからその次には、事務をとります場合のことを考えますと、何と申しましても、公平にして正確に迅速に処理される措置について考えて行かなければならないのじやないかと思います。公平、正確、迅速ということか品考えますと、かかることを求めることが比較的困難な場合には、そういう措置は、どうしてもとり得ないことにならざるを得ないと思います。そういう点を考えて見ますと、書類がなくて、そのため事務をとることに困難を感ずるような措置につきましては、これを避けて、そうでない措置について考えざるを得ないと思います。そういう観点に立つております。
これを要するに、この恩給法の措置の根本になつておる考え方、措置の前提になつておる考え方、それから今最後に申上げました考え方、これらを総合いたしました結果が、御指摘になりましたような、短かい在職年のかたがたにつきましては、一応この際恩給を我慢して頂くような結果にならざるを得なくなつたのでございます。ただ単に年数ばかりを考えて、それだけで措置したいというわけではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/107
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108・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうではなくて、私は今言う文官というのですか、今の言葉で言うならば、国家公務員に相当する人が外地から引揚げられた場合に、直属長官と申しますか、証明がもらえない。そういう人たちで恩給が切れておる人があるわけなんです。そういう人は気の毒だと思うのです。そういう人に私は或る機関というものがなくても、引揚げて来た同僚の中において証人が立つと思うのです。だからそういう人には私は漏れなく差上げられたら差上げたい。こう思つておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/108
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109・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 内地の官公庁の職員の中には、外地に行つておつて引揚げて来たものもあります。そういう人々につきましては、全部内地の官公庁においての職員と同じように取扱つておるのであります。今問題になつておりますのは、陸海軍の職員の中で軍人ではなかつたが、軍属であつた、そういう人の問題でございまして、そういうような人々の身分上の取扱いは全部陸海軍省でやつておつたのであります。そういう人々の取扱いでございまして、各省から外地に行つておつて帰つて来た人々につきましては、全部、今成瀬委員の御質問のように処理いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/109
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110・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それから恩給について掛金があるわけですね。軍人恩給の掛金ができたのはいつ頃からでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/110
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111・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) ちよつとはつきりと私は覚えておりませんが、文官につきましてできましたのは遺族扶助料ができた時ですから、勿論大正年間でございますが、そのときには軍人につきましては納金の制度はなかつたと思つております。納金の制度がとられましたのはずつと後になつてからでございますが、何年であつたかということは、ちよつと覚えておりませんが、かなり後でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/111
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112・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私が質問したのは、一応納金制度ができたということについて、何か初めは軍人はなかつたのだが、付いて来たのですね。ですから武官と文官は私は恩給が一緒だという、文官がついておる。軍人も当然付けなければいかんといつたような御意見もあつたと思いますが、初め軍人関係はない。文官関係はある。少し私はやはり物の考え方は違つておつたろうと思います。それが軍人にも出て来たというと、考え方が違つて来たのか、単に財政的に変つて来たのかどうか。そんなようなところが参考として知りたいと思つたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/112
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113・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 財政上の理由からだと私は思つております。と申しますのは、これは私が間違つておりましたら又訂正いたしますが、旧軍人のかたがたに納金の制度ができましたのは、たしか昭和八年じやなかつたかと思うのです。昭和八年には恩給法の改正が行われております。大正十二年に恩給法ができたのでございますが、昭和八年に改正をいたしました、その昭和八年の改正のときは、即ち普通恩給の年限が一般文官等は十五年でございましたが、十七年に延長されました。そういうように片方においでは恩給の金額が殖えることを阻止しますと共に、納金の額を一般の方については倍にいたしますと共に、旧軍人のかたに対しまして新らしく納金を取るようにいたしたと思います。それでできたところの財政の余裕によつて、傷病者、遺族扶助料等の恩給の増額の措置をしたというふうに思つておるのでございまして、特別な考え方もあつたかと思いますけれども、その当時のことを考えて見交すと、財政上の理由から来ていたのじやなかろうかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/113
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114・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記を止めて。
午後四時三十六分速記中止
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午後四時五十六分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/114
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115・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて、ほかに御発言がないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/115
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116・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、修正案文の朗読と修正理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/116
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117・松原一彦
○松原一彦君 私は、各派を代表して修正案を提案いたします。先ず朗読いたします。
恩給法の一部を改正する法律案
に対する修正案
恩給法の一部を改正する法律案の
一部を次のように修正する。
附則第四条、第六条第二項及び第
七条中「六月」を「八月」に改める。
理由を申述べます。
今回の恩給法一部改正案は厖大なる元軍人の諸君の労に報いるために、特に恩給法には軍人という文字はない。改正案の本法案にも、軍人という文字はない。新憲法下に軍人はないのでありますが、それにもかかわらず過去の忠誠な軍人の労に報いるために、特に恩給法を改正し、附則によつて新たに特例的な元軍人の諸君の恩給の一部をば復活するようになつたのであります。この点につきましては、あとで改めて私は討論いたしたいと存じますが、この改正によつて、軍人諸君の加算、加給等が大幅になくなつたことは誠に気の毒でございますが、これにつきまして恒久的に今後在職する現役の公務員及びこれに準ずる諸君の今日まで持つておつた既得権である加算、加給等が影響を受けますので、できますことならば、この人々の加算、加給等も今後の研究に待つて合法的に処理いたしたい。給与の面においてこれを補うか、或いは恩給面においてこれを補うかは後の問題としまするが、いずれ最近に人事院から公務員退職年金法という恩給法の修正の勧告があることになつておりますので、これがやがて通常国会には恐らく具体化して提案せらるるものと思います。非常に遅れているのであります。昭和二十三年以来の問題が今日まで遅れているのでありまして、誠に遺憾千万でありますが、漸くここに曙光を見ようといたしているのでありますから、この促進をかねてこの中に合法的にこの処理を任せたい。そうしまするというと、恐らく新恩給法というものは昭和二十九年四月一日から発足になりはしないかと思う。さような意味におきまして、これに接続するためにこの改正案の一部をば三月三十一日まで延長し、この現行の加算加給等の条件の下に年度末に退職せられる諸君の便宜をも図ることが穏当であろう。かような意味から、修正の提案をいたした次第でございます。御賛成を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/117
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118・成瀬幡治
○成瀬幡治君 只今議題となつております衆議院送付の政府原案並びに修正案を含めまして反対いたします。
反対の理由の第一点は、MSA援助を日本が受けるか受けないか、MSA援助によつて日本の国がどうなつて行くかというような、こうしたとき、或いは政府が憲法第九条の解釈におきまして、ジエツト機を保安隊が持つてもそれは戦力でない。或いは保安隊が国連の関係理事会の決定によつて海外出兵しても、それは憲法違反ではないというようなふうに解釈をとつているようなときに、今回の、軍人恩給の復活とは表面には出しておらないけれども、事実復活でございます。こうしたことが、又日本の青年諸君或いはそういう人たちに関連する人たちが、美しいスローガンの下に私は利用されはしないか。政府の意図はそういうところにありはしないか。こういうふうに考えまして反対をするものでございます。
第二点といたしまして、同じ軍人の中におきましても、特に今次戦争に参加した旧軍人の中におきましても、非常に不公平がある。一例を申しますならば、加算の打切りによりまして、失格者が約百四十万あるというふうに聞いているわけでございますが、この百四十万に近い人たちがどういう人たちであるかということを考えてみるならば、こういう人たちは、農民の或いは中小企業或いは労働者の子弟のみであつて而もはがき一本によつて応召された人たちである。こういう人たちには、一時資金も何もなくて振り切つてしまつて顧みないというようなことは、私はこのことによりまして、この法律が施行されることによつて、必ず不平不満というものが起きて来ると思います。政治は私は公平を旨とすべきが最も大事な点だと思います。従つて本法案は非常に不均衡であり、不十分であり、暇だらけな法案である。又まずい法案であると思います。これは反対の第二の理由でございます。
第三点といたしまして、今次戦争の犠牲者は、単に私は旧軍人や旧軍属のみではないと思います。例えば国家総動員法案によつて青紙応召された人たちや、いわゆる戦災死した人たちや、或いは戦災によつて犠牲を受けた人や、それがために病気になつた人であるとか、或いは外地におつて資産を残して来た人たち、いわゆる在外資産の問題、或いは戦時公債の打切りであるとか、或いは農地解放によるところの受けた被害であるとか、或いは補償の打切わであるとかいうように、私は今度の戦争によつて、或いは学徒動員、或いは挺身隊、或いは無給軍属といわれる船員のことを考えればきりのない、そういう人たちのことを後廻しにして、単に旧軍人、軍属関係のみを見るという点は私は非常に遺憾だと思います。この点が反対の第三の理由でございます。
以上申しましたように、どの点から考えましても、こうしたものに対して、我々は反対でございます。併し私たちはこうして単に反対だけを言うわけじやございません。私たちはこういう不幸な人たちを救うには、何と申しましても社会保障制度というものを確立しなければ、こうした人たちの問題は根本的には解決されない。殊にこういう人たちを今よりよくするために、こういう悪法に反対をし、社会保障制度というものの確立を念願する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/118
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119・長島銀藏
○長島銀藏君 本員は、自由党を代表いたして恩給法の一部を改正する法律案に修正箇所を含めて賛成するものであります。
私は現段階においては、本当の気持を端的に表現すれば、むしろ老軍人並びに遺家族に対する恩給法の制定は遅出きに失した憾みがあると思うのでありまして、西ドイツにおいては、当時我が国と同様の占領下にありながら、すでに千九百五十年、即ち今をさる三、四年前において、逸早く恩給法が制定せられたのでありまして、この点から申述ぺますならば、遅きに失した憾みがあると言えるのでございます。併」ながら政府におかれましても困難なる財政下において、よく軍人遺家族の気持を察せられまして、不十分とは申せ多額な予算を定められましたことに対しましては敬意を表するものであります。併しながら決してこれで満足するものではありません。国力が回復した暁と申しましようか、財政面が多少でもよくなりました場合は無論のことでありますが、陳情、請願その他に現われているごとく、国民各位の要望を十分に取入れまして速やかなる改正を要望いたしまして、本法案に賛成をいたすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/119
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120・松永義雄
○松永義雄君 私は、只今提出になりました修正並びに修正部分に賛成し、修正部分を除いたその他の部分について賛成いたすものでございます。政府の原案は、実に遺憾至極なものであるわけなのでありますが、幸いにして極めて不満足でありますが、衆議院において修正せられて当院に持ち込まれて、更に本日ここにこれまた極めて不満足でありますが修正を見た、このことは、私どもとしましては幾分でもその法案の中へ社会保障という気持を織り込んだものであると思うのであります。ただ強く希望申上げておきたいことは、当委員会に修正になつた部分でございますが、この不権衡状態に同情する、それは単にセンチメンタルな感情の点ばかりではなくして、実際勤続年限、恩給権の発生する年限に達するまでに、その業務の性質上勤めることができないほどに体を傷められる、この事実であります。でこの事実は、恩給法を無視するというなら、それはよいですが、恩給法を認めて与えるというならば、与えて上げられるような建前にして行くのが本当ではないか。ただ画に描いたお餅を並べてみたつて何にもならないのでありまして実際にその業務の性質上如何なる人でもその業務に携われば、ただ一般の、具体的に言えば十七年までに達する人は少い。そういつた状態そのものを考慮というか、ここは当然考えなければならんということであるのであります。
それ故に、先ほど副総理の言われた機械的にこれを改めた結果、極めて不合理な恩給の精神に副わないような結果を生ずるので、これができたということは、これは何としたつて否定しがたいのであります。この問題はいつまでも残つて行くのではないかという点を私は力説いたしておきますと同時に、先ほど副総理の言葉もありました。これは一片の言葉として私は耳にしたのではないので、私としては、この点は当委員会においても殆んどのかたは、皆さんにおいても認められておると思います。原案を提出した政府においても我々は責任を負うべきものであるということを考えております。
以上の趣旨を以て、ここに提案になりました修正並びに修正部分に賛成し、修正部分を除いたその他の部分について賛成いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/120
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121・竹下豐次
○竹下豐次君 私は、先ほど提案されました修正案を含む原案に賛成をするものであります。併し私は、その案が本当に完全にできておる。欠点のない法案であるからという理由を以て賛成するのじやありません。かなり条文も多く、むずかしい書き方の法案でありますが、法々いろいろな欠点を見出すことができるのであります。或る部分は不公平である。或る部分は又無理であるというような点が散在しておるように思います。併しながらこの案をお作りになりました政府当局の今日までの御苦心とお骨折も又一面から理解せざるを得ないのであります。
さきに恩給法特例審議会ができまする前のこの委員会におきまして、やがて成立すべきこの審議会にそのうち何人か旧軍人を入れるか入れないかということに対する質問に対して、その当時の官房長官保利さんであつたかと思いますが、はつきりした御答弁ができなかつた。いろいろ考えておりますが、まあできるだけ希望に副うように考えてみたいとは思いますというくらいの、あいまいな答弁であつたのであります。その当時の政府のお答えとして又止むを得ない事情があつたのかと思います。と申しますのは、思想的にこの軍人恩給復活の問題につきましては、社会的に相当広い部面で反対の意見もありましたけれども、当時の政府としては、そうはつきり旧軍人を入れるというお答えはできなかつたのだろうと思います。その後この提案がこの前の国会に出されたのを審議する際におきましても、又この国会におきましても、政府当局の御説明によりますと、四百五十億の予算で制限されておるということを一点張りと言つてもよいくらいに、その点を主張されて、思想的な問題などお触れになつておりませんけれども、これはやはりその点も、相当に気兼ねが政府ではおありになつておるのではないか。若しその気兼ねがなかつたならば、四百五十億より、もうちよつと大きい予算をお組みになつておつたということも私は想像されないではないと思います。いろいろな事情で御苦心になつておることはわかつておりますが、そこに非常な無理があるので、でき上つた法案というものも理想的にはできていない。で普通の場合でありましたならば、私はこの原案をこのまま鵜呑みにして賛成するというふうな気は持ち合せてはおりません。
併しながら関係者数百万、一千万に及ぶくらいの多数の人が、本当に生活に喘いでおられるというような現状を見まするときに、欠点があるからと言つても、それを握り潰すわけには参りません。もとより否決するわけにも参りません。欠点があるということを承知しながらこれに賛成しなければならない我々の立場は実に苦しいのであります。併し私はとにかく不十分ながらも、これでこの際何とかして救済してもらいたいという声を頻りに聞きますので、本案に実は賛成するのであります。不公平だとか、或いは不均衡だとか、無理があるということを申しましたが、それは加算制度廃止の問題にしても、通算制の沿革にしても、そのほか数えればたくさんあると私は確信しております。私はこの際政府が、できるだけ早い機会において、国民多数の旧軍人及びその遺家族というものの立場、その希望、その状態などを御覧になりまして、できるだけ早い機会にこの改正条文を急いで頂きたいということを特に申上げなければならない次第であります。
希望を附しまして、そうして本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/121
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122・松原一彦
○松原一彦君 修正案を除いたる部分の賛成意見であります。私は改進党を代表いたしまして、本案に賛成の意見を述べます。修正案に対する賛成は先刻申上げておきました。
本法案が如何にも不満の点があることは、他の諸君からお述べになつたことと同様であります。併しながら過渡的に見て、日本の現状から万止むを得ないもののあることを承認して、遺憾ながらこの程度において賛成せざるを得ないものであります。参考人の意見、その他反対者の意見の中には、一律平等な社会保障制度の論拠の上に立つての御反対がありますが、私はこれには左和することはできません。それは将来の理想であつて、今日の社会は、平等的社会にはできておらんのであります。この現実の上に立つて、将来の理想に合わないからと言つて、現実を否認する態度を政治家はとることはできないのであります。又軍人のない今日に、現憲法下で以て再軍備の億図を持つようなこの種の立法には賛成しがたいということも一応は聞えますが、私はこれにも賛成することはできません。私は再軍備の反対者であります。又現行憲法下においてはできないということを固く信じておるものであります。併しながらこの祖国というものを持ち、民族国家というものが、その国を危くするといつたような場合における自衛というものは、これはもう当然の行動であつて、ここに祖国を護り、そうして民族国家のために忠誠を尽すという軍隊を持つことは、私は極めて大切なことであり、過去においては、これによつて立つて来たのであります。私は現行憲法の下においては、再軍備を認め得ないものでありますが、自衛のために国民が素手でも立上るという考え方をも否認するものではございません。かような意味におきまして、日本の国を危くした軍閥の専横によつて、国民に不幸を与えた元兇の人々に対しては、これは断じて許すべからざるものを持ちますが、併しながら忠誠な日本の軍人として本分を尽した人々に対し、顧みてこれを侮辱することを私は許さない気持を持つているものであります。共産主義の国における赤軍といえども、共産主義の国を護るためには、忠を一遂に尽すはずのものであると思います。私はさような意味におきまして、日本民族が過去の悪夢に対する手厳しい反省を行なつて作つたこの現行憲法を重んじまするが、併しながらかく申しても、過ぎ去つたあとの責任を出征軍人のみに負わせるということは許されないと思います。軍人が弱くて負けたのでは断じてありません。国力が乏しくて負けたのであります。為政家が誤つたのであります。その為政者の罪を出征した従軍の軍人に負わせて、今こずきまわすような態度に出ることをとらないものでありまする
今回のこの恩給法の一部改正によつて、誠に不満足ではありますが、一応、こういう結果になつていると私は信じます。改進党は、かねて加算、通算等をも強く要求したのでありますが、これは成立いたしませんでした。従つて、百数十万の従軍者の期待を裏切つたことについては遺憾でありまするが、上等兵以下の仮定俸を兵長の線に上げることによつて下に厚くした、こういう若干の希望が実現いたしております。又傷痍軍人に対しましては、七項症以下四款症を年金として活かし、そうしてその範囲を拡充し得た。遺族のかたがたに対しては、期待をもつておられた遺族の扶助料は、全部網羅することができたのであります。更に大きな期待をかけてはおりましたが、普通恩給の受給者に対しましては、老齢者のみが救われて、多数の者がこれに洩れたことは遺憾でありますけれども、老齢者を救い得たということは、私はこの独立し得たる苦しい現在の日本の財政としては、先ず満足せねばなるまいと思います。不備の点は少くないのでありまするから、国力の漸増に従つて、更に報い得る政治をば考えなければならないと思います。
なお当局に希望しますることは、八カ年間の空白によつて、罪なき人々が今日まで困苦のどん底に泣かされて参つたのであります。これを償うためにも、どうか事務を極めて簡素に且つ親切に、そうして急速に推し進めになつて、一日も早くこの制度による救いが実現しまするようにお進めを願いたい。更にこの際、別個の構成による公務員退職年金法を促進して、そうして恩給亡国論などの声の起らないように、これは今度のこれまでの悪夢の清算として一応のピリオドを打ち、新たなる構想の上に退職公務員その他の関係者に、安んじて職務をとつて行けるような制度をば実現することに努められることをば切望いたしまして、私の賛成意見といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/122
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123・野本品吉
○野本品吉君 私は、修正案及び修正を除きました原案に対しまして、賛意を表するものであります。なお若干所見を申述べておきたいと思います。いろいろ議論もあるようでありますが、少し理窟つぽく考えますというと、終戦から二十一年の二月一日の恩給法の特例に関する云々という六八勅令の出るまでは、恩給法は生きておつたと私は考えております。それから昨年の四月の二十八日の独立と同時に、これも又生き返つたと考えられると思います。それを二十七年の六月の二十日に恩給法の特例に関する件の措置ということで、今日まで延ばして来た。かような推移を考えますというと、この間、旧軍人軍属の皆様が、いろいろ要望されました気持も十分理解し得るわけであります。それから再軍備に繋がるというような批判もあるようであります。これは私に言わせますというと、この法律の扱い方の形式が当を得ていなかつたということを私は考えております。一切過去に属しております旧軍人軍属を、将来永久に続く公務員を対象とする恒久立法の中において扱つたところに再軍備に繋がるがごとき印象を与えたという事実上のつたなさがあるように思うわけであります。そこで過去のことは別といたしまして、将来の問題といたしまして、この際申しておきたいと思いますことは、先ほど来いろいろ御意見があつたようでありますが、大正十二年の恩給法の集大成以来、今日までに至ります恩給法の改正、修正は、数十回をもつて数えられると思うのでありますが、この問に自然と、悪く言つえばつぎはぎのような状態になつて参つております。ここにいろいろ解決しなければならない問題があろうと思います。
もう一つは、人事院が国家公務員法の規定するところによつて新らしい年金制度についての勧告をしようとしておる。一方社会保障制度審議会からは、恩給制度に関しまする各種の意見批判が出ておる。かようなことを総合して考えますというと、恩給制度の問題、年金制度の問題は、今や根本的に、全面的に再検討されて、そうして合理的な妥当な年令制度を打立てなければならない段階に達しておると思いますが、この点は、特に考えなければならないと思つております。
第二の点は、これはいささか皮肉のようでありますけれども、私は財政の状態、或いは国民感情というような表現を濫用しないようにお願いしたいのでございます。特にこのことを申しますのは、かような言葉の濫用が、ややもいたしまするというと、権利としての恩給制度に対しまして、不安感を持たせる。この幾百万の公務員が、権利としての恩給制度に頼ることができないという気持になりますというと、これは公務員の勤務成績に非常に大きな影響を及ぼして来るのでありまして、私は国民感情を無視せよというのではありませんけれども、濫用しないようにということをこの際申上げておきます。
それから第三の点は、今度の一部改正の法律の機械的な適用によりまして、不健康業務、或いは危険業務等に携わる者の処遇といたしましては、適当でない部面が現われて来ておりますことは、私どもだけでなしに、すでに参議院の運輸委員会の全員、人事委員会の全員がこれを確認されまして、本委員会に申入れをしておる。このことに関しましては、先ほどの緒方副総理の御答弁の次第もありますので、お互いに十分検討を加えまして、機械的な適用から起る弊害の除去に対しましてできるだけ努力しなければならんと思います。
終りに、前討論の皆さんから申しましたように、大旱の雲霓を待つような気持で待望をいたしております幾百万の該当者に対しまして、一日も早くうしの制度の恩恵と申しますか、恵みに潤うことのできるように事務処理の迅速ということを重ねてお願い申上げておきます。
以上申上げまして、私の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/123
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124・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ほかに御発言もないようですから、討論は終つたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/124
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125・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。
それではこれより恩給法の一部を改正する法律案について採決いたします。先ず討論中にありました松原君説明の修正案に賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/125
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126・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 多数でございます。よつて松原君説明の修正案は可決せられました。
次に、只今採決を終りました修正案にかかわる部分を除き、衆議院修正により送付された恩給法の一部を改正する法律案全体を議題といたします。修正部分を除いた原案に賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/126
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127・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 多数でございます。よつて本案は多数を以て修正議決するものと決定をいたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、先例により委員長にお任せ願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/127
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128・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは本案を可とされたかたの御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
長島 銀藏 上原 正吉
松原 一彦 松永 義雄
井上 知治 重宗 雄三
竹下 豐次 野本 品吉発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/128
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129・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/129
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130・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 次に、昭和二十七年十月三十一日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/130
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131・上原正吉
○上原正吉君 昭和二十七年十月三十一日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改正に関する法律案につきましては、質疑及び討論を省略いたしまして、直ちに採決せられんことの動議を提出いたします。
(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/131
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132・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 昭和二十七年十月三十一日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改正に関する法律案については、質疑討論を省略して採決に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/132
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133・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより採決に入ります。昭和二十七年十月三十一日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案について採決をいたします。本法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/133
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134・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 全会一致でございます。よつて本法律案は可決するものと決定をいたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、前例通り委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/134
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135・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。それでは本案を可とされたかたの署名をお願いいたします。
多数意見者署名
竹下 豐次 重宗 雄三
井上 知治 成瀬 幡治
松永 義雄 野本 品吉
松原 一彦 上原 正吉
長島 銀藏発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/135
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136・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れはないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/136
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137・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 次に、元南西諸島官公署職員等の身分、恩給等の特別措置に関する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/137
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138・野本品吉
○野本品吉君 私はこの際、この法律案の採決に先立ちましてこの法律案によりまして救われますと申しますか、望みを遂げられます多数の沖繩の戦線におきます戦死者に対する霊を慰める意味におきまして、当時の亡くなられたかたの数その他について申上げたいと思いますが、お許し頂けますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/138
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139・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/139
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140・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて。
別に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/140
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141・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないものと認めます。
それでは討論に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/141
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142・野本品吉
○野本品吉君 戦争の最終段階におきます祖国防衛の最後の瞬間に、多数の南西諸島の公務員の皆様が、身を以て国に殉じられましたことにつきましては、皆様御承知の通りだと思います。私はこの法律案の可決に先立ちまして、小学校教員として戦死されました五百二十九人、文官待遇の警察官、中学校職員等の身分にありまして戦死されました五百二十人、これらの人の霊に対しまして心から敬意を表してこの案に賛成を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/142
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143・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ほかに御発言がないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/143
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144・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより元南西諸島官公署職員等の身分、恩給等の特別措置に関する法律案について採決をいたします。
本案を、原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/144
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145・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 全会一致と認めます。よつて本案は、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告等は、前例により委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/145
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146・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないものと認めます。
本案を可とされたかたの御署名を願います。
多数意見者署名
竹下 豐次 重宗 雄三
井上 知治 野本 品吉
成瀬 幡治 松永 義雄
松原 一彦 上原 正吉
長島 銀藏発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/146
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147・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御署名漏れはございませんか……、御署名漏れはないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/147
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148・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/148
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149・上原正吉
○上原正吉君 本案につきましては、質疑並びに討論を省略いたしまして、直ちに採決せられんことの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/149
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150・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 総理府設置法の一部を改正する法律案については質疑討論を省略して、採決に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/150
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151・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/151
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152・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 多数でございます。よつて本案は、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、先例により委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/152
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153・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。
それでは本案を可決されたかたの御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
竹下 豐次 重宗 雄三
井上 知治 野本 品吉
上原 正吉 長島 銀藏
松原 一彦 松永 義雄発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/153
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154・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御署名漏れはございませんか……、御罪名漏れはないと認めます。
速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/154
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155・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて。
次に、請願陳情に関する小委員長の報告を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/155
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156・松原一彦
○松原一彦君 私は本日午前中に開かれました小委員会で互選の結果委員長に選任せられましたので、請願陳情に関する小委員長としての報告を申上げたいと思います。
今二十九日午前小委員会の審査の結果、請願九十七件、陳情十七件のうち、採択して内閣に送付すべきものと決定いたしたものは、お手許に配付されております請願、陳情一覧表について申上げますと、請願の一、三、四、十、十三、十五乃至二十一、二十三及び二十五の計七十四件、陳情の一、二、四及び五の計九件、今回内閲委員会に付議されました請願、陳情の大部分は、軍人恩給の復活に関するものでありまして、これらの請願、陳情のうち、恩給法の一部を改正する法律案が成立したのちも、なお懸案として残る問題に関するものは、今後政府においても、なお引続き研究を要するものとして、これを本会議に報告して内閣に送付すべきものと決定したのであります。
なお軍人恩給に関する以外のものとして、港湾行政の一元化を希望する請願一件は、行政機構改革に関する重要問題として、これを採択いたしたのであります。
以上、御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/156
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157・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今の小委員長の報告に対して御質問ありますか。……御質問はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/157
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158・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御意見ありますか。……それでは別に御意見はないものと認めて、只今の小委員長報告を承認することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/158
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159・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは、全会一致を以て承認をされましたが、本会議における委員長報告は御一任を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/159
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160・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは、請願、陳情に関する小委員会の報告は全会一致を以て決定いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614889X02519530729/160
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