1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十二日(水曜日)
午後二時十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 片柳 眞吉君
理事
宮本 邦彦君
森田 豊壽君
白井 勇君
委員
雨森 常夫君
川口爲之助君
佐藤清一郎君
重政 庸徳君
横川 信夫君
上林 忠次君
北 勝太郎君
河野 謙三君
河合 義一君
清澤 俊英君
戸叶 武君
鈴木 一君
鈴木 強平君
衆議院議員
足立 篤郎君
遠藤 三郎君
政府委員
農林省農業改良
局長 塩見友之助君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
農林省農業改良
局総務課長 野田哲五郎君
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本日の会議に付した事件
○農産物価格安定法案(衆議院送付)
○水産委員会に申入れの件
○農業機械化促進法案(衆議院送付)
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001・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 只今から委員会を開会いたします。
最初に農産物価格安定法案を議題といたします。本法案は衆議院議員足立篤郎君ほか二十三名によつて提案せられ、去る七月十八日予備審査のため本院に送付、当委員会に付せられたものであります。先ず提案理由の説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/1
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002・足立篤郎
○衆議院議員(足立篤郎君) 農産物価格安定法案につきまして、提案者を代表いたしましてその提案理由を御説明いたします。
御承知のように農産物の生産は終戦以来逐年増大いたし、今日米麦を除いては農産物の需給は著しく緩和するに至りまして逐次完全な自由市場を回復いたして参つたのであります。これら農産物の価格の推移を見て参りますと、生産者が零細多数の農家であり、且つ、農産物の特性上、出廻期が一時期に集中し、又需要の変化に即応して生産を調節することが困難であること等の事情によりまして、季節により、又年により相当な価格の変動を示して、正常な価格水準からも低落する傾向を示すに至るものも生じているのであります。かかる事態を自然の推移に放置しておきますならば、農業生産を不安定にすると共に、農家経済にも深刻な影響を及ぼすことになり、延いては、これら農産物の需要者及び関連産業に対しても悪影響を与えることを虞れるのであります。従いまして農業生産上も農家経済上も、米麦に次いで重要な農産物につきまして今日価格の安定措置をとることは、極めて緊要なことと考える次第であります。政府においても、かかる対策としてこれまででん粉を買上げる等の臨機応急の措置が講じられておりますが、かかる応急措置を以てしては到底万全の効果を期することはできないと考えられます。従いまして、この際「いも」類のごとき重要な農産物の生産を安定した基盤の上におくと共に、これら生産農家の経済の安定を図るための農産物価格安定制度を確立することが、現下の農業政策上極めて重要なことと思うのであります。
右のような趣旨に基きまして、ここにこの法案を提案することといたした次第であります。以下この法案の内容につきまして概略御説明を申上げたいと存じます。先ず第一に、この法案は、米麦に次いで重要な食糧農産物である「いも」類と国内油脂資源の大宗である「なたね」を対象として、その価格が正常な水準から低落することを防止するため、生産者団体の自主的販売の調整を促進すると共に、他面国も又これら農産物の買入を行い、両々相待つて農産物価格の安定を図ることにいたしております。ただ「いも」類は、管理技術上政府の買上が困難でありますので、この法案ではその加工品であるでん粉、生切干を買上げることといたしております。
第二に、買入の方法でありますが、政府は毎年出廻期に生産者団体の意見を聞きまして、需給事情、時価等の状況を勘案して価格保持のため買上を必要とする数量を定めまして、その数量の範囲内において生産者又は生産者団体の申込に応じて国が買上げることとしておるのであります。ただこの場合政府の買入については、只今申述べましたように、先ず以て価格安定のための生産者団体の自主的販売調整に大いに期待し、これを促進することを建前といたしておりまして、販売調整を行う団体から優先的に買入れると共に、生産者団体に対しては必要に応仁価格の低落を防止するため政府が必要な勧告を行い、又資金の斡旋を行うことといたしております。
第三に、買入価格につきましては、この法案の趣旨から見て、米麦の価格形成の方法とはおのずから事情が異なり、いわゆる支持価格の性格を有するものでありますので、農業パリテイ指数に基いて算定される価格に需給事情の変化を織り込み、これに生産費その他の経済事情を参酌して定めることとし、加工品につきましては、これら加工に要する費用等を加えて定めることとしているのであります。なおこれらの価格を決定するに当つては、農林大臣が生産者団体にはかりその意見を尊重してきめることといたしております。最後に、農産物等の売渡につきましては、この法律の目的から見て時価に悪影響を及ぼさないように行うこととし、特定の場合を除くほかは、原則として政府の買入基準価格を下らないように時価により売り渡すことといたしています。なお、この法案による農産物等の買入は食糧管理特別会計によつて経理することとし、このため附則において同会計法に所要の改正を行うことといたしました。
以上がこの法案の大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上速かに御賛同あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/2
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003・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 本法案の質疑は次回に譲りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/3
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004・白井勇
○白井勇君 この際提案者に資料の提出をお願いしておきます。会期も迫つておりますので、できれば只今これから申上げますような資料を御配付願いたいと思います。本法案におきまして取上げられておりまする農産物の価格安定上必要と思つておられますところの量であります。大体どのくらいのものが食糧対策上或いは又農業政策上から見て必要であるかというものを先ず欲しいと思います。それからもう一つは、現在の米麦なりの価格というものを現行の通りといたしまして想定いたしました場合に、今取上げられまする農産物につきましては、どのくらいの価格を以て安定をしておるという見通しを持つておりますか。それからもう一つの問題は、この法案を運用して参りまする一つの事業計画というものがあろうかと思います。やはりこれは政府が買うという面も出て来るかと思います。その場合の事業計画、それに伴いまする予算的措置、殊にこれを運用して参りまする場合の事務費というようなものにつきましての詳細な一つ資料を要求いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/4
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005・足立篤郎
○衆議院議員(足立篤郎君) 只今資料について御要求がございまして、実は御承知の通りこれは議員提案でございますので、只今御要求のありましたような細かな資料までは、現在食糧庁におきましても果して用意があるかどうか私も関知してない面もございますので、でぎるだけ私どもも提案者といたしまして責任がございますから、用意いたしたいと存じますが、只今の御要求の通り御満足の行く資料が果して極く短時間のうちにまとまるかどうかここでお引受けいたしかねる点もございますが、只今御要求になりました御趣旨からいたしまして、いずれ質疑の際に質疑応答の形を以てお答えも申上げ、御意見も十分拝聴して話合をいたします面も含まれておるように思いますので、本日は誠に残念でございますが、本会議で委員長報告いたします関係上、私時間がございませんので、これで御無礼いたしますが、できるだけ資料を用意いたしますと同時に、いずれ次の機会に質疑応答の形で十分私どもの考えも申述べたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/5
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006・上林忠次
○上林忠次君 これを論議するのには、議員提出の法案であつても、やはり農林省と協力してでも相当の資料を集めてもらいたいので、特に「なたね」の作付反別の変化並びにその価格の今までの変動及びこれと関連性があるところの麦の作付反別の変化、そういうような資料を集めてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/6
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007・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) それからち士つと申上げますが、足立篤郎氏は本会議で何か説明があるそうでございますから、資料の御要求がありますれば、書面で委員長のお手許へお出しを願いますれば、私のほうで提案者なり、或いは政府に至急連絡をいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/7
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008・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 順序が逆になりましたが、昨日の理事会におきまして、当委員会の今後の日程を今お配りしてありまするようなスケジユールに決定いたしましたので、よろしくお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/8
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009・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 次に議題に追加いたしまして、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案の件を議題にいたします。本件につきましては、去る二十日水産委員会と連合審査を行なつたのでありますが、その結果に鑑みまして、当委員会から水産委員会に何らか意思表示してはどうかというお話合もありましたので、一応申入の案を作成して見たのでありまするが、これにつきまして如何いたしましようか、御審議をお願いいたします。ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/9
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010・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。只今の懇談の結果御異議がないようでありまするから、この文によりまして申入をいたします。ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/10
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011・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて。続きまして農業機械化促進法案を議題といたします。本法案については、去る七月十七日提案理由の説明を聞きましたので、本日は直ちに質疑に入りたいと思います。提案者は後刻見えるはずでありまするが、只今農林省農業改良局の総務課長が見えておりまするから、政府当局に御質問がありますれば、先ず政府当局に御質疑を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/11
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012・北勝太郎
○北勝太郎君 今、日本で大分平面的には農業は行き詰りに来ておると思いますが、これを立体的に乗り切つて増産を図らなければならんというような関係、今一つは、最近における気風、特に次代を背負うところの農民の気風が大変こう悪くなつて来ておりまして、どうもうつかりしておつたら自分の農業をやつてくれない子孫ができて来るというような関係になつておりますが、これは主として農業は重労働だというので、そういう結果が生まれて来るんだと思うのであります。勿論利益のないということも当然附いておりますけれども、そこでどうしてもこれは農業の機械化をいやでも応でも図らなければならん時期に来ておると思うのでありますが、大変農業機械化促進法案の出たことは誠に時宜を得たことだと思つております。併しながらどうも考えて見まするに、日本の国内における農業の機械というものは案外に発達しておらん。これはどういう標準で農業の機械化をやらそうとしておられるのであるか、政府当局の考えを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/12
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013・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) 農業の機械化につきましては、只今お話の通り非常に重要な問題であると思つております。御承知のように従来機械化が進みました部面は、脱穀、調製機械の加工的な部面が非常に進んで来ましたけれども、農業の本筋から言いますと、もつと前でありますところの耕転、整地、肥培管理等というような方面に機械化を進めて行く必要があると思つております。それらの問題につきましては、一方民間におきまして非常な研究が進められておりますが、農林省におきましても、農業試験場におきましてそれの試作及び普及を図るように努めておる次第であります。すでに固まりました非常に効率的な機械器具といたしまして、いろいろのものがありますが、例えばハンド・トラクターとか、自動耕転機とか、或いは動力噴霧器というようなものにつきましては、国のほうにおきまして、政府におきましても資金を融通いたしまして、それらの普及を図つておる次第であります。で、今後一方では研究を進めますと共に、一方では奨励施設を拡大いたしまして機械化の促進を図つて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/13
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014・北勝太郎
○北勝太郎君 その機械化の促進を図るにどういう程度の機械化をさせようというのであるか、どうも今まで機械は、日本は土地が狭いという関係、農業が零細であるというような関係から、小さい機械にばかり重きを置かれておる。従つて完全な機械ができておらん。外国の農業等におきましては、随分進んだものができておると思われるが、日本は工業が進んでおるにかかわらず、その力が農具のほうに用いられておらない。誠に残念なことだと思うのでありますが、これは結局貧困な農家で需要が少ないということが関係しているんじやないかと思うのであります。そこでどうしても先ほどから申しますように農業が重労働にならんようにするためにも、又立体的に土地を利用する意味から言いましても、もつと力の強いものに着眼を置かなければならんのではなかろうか。いろいろ自動耕転機等も出ておりますけれども、これは実は力が非常に小さいものだから、動力が足らんものだから結局浅耕しになつてしまう。いわゆる一寸一石の増収というようなことから言いますと機械化したがために却つて収量が減るというようなことになつては困る。そこでもつと大きいものに構想を置き替えなければならんのじやないかと思うのであります。機械が大きければ大きいほど実は完全な機械ができて来る。外国の機械などを見ましても、こんなことは成るほどこれは人間でやるよりももつと上手にできるようになると、こういう工合に思うのであります。そ、れは機械の動力が大きいからできるのです。まあ我々はちよつと今までの日本の農業の機械の関係から見ますと、こんなことができるはずはないのができておる。実際その機械を見て見ますと、全くコロンブスの卵というようなもので、これなら当り前だということになる。そういうようなととをいろいろ考えて見ると、結局は動力が大きいということなんです。動力が大きければ従つてどんな仕事も完全なものができる。それから一貫したものができる。ただ今までのように脱穀機械とか、調製機械とかいうようなことだけでなしに、一年中一箇の機械があれば全部できるというようなものすらできるのでありまして、もつと動力の大きいものに一つ構想を変えて、そうして機械化して行かなければならん、こういう工合に思われるのであります。一つ御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/14
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015・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) この大きい動力に切替える問題でありますが、これは御承知のように我が国の農村の経営規模が非常に小さい。そいつを共同化によりまして、経営規模を或る程度大きな形に持つて行くというようなことをやるべきでありますけれども、なかなか急には参りませんので、現段階に即しました方式で現在臨みますが、将来に向いましては、だんだん能率のいい方向に進むべきだと思つております。なお現在の状態におきましても、大きな動力が入ります地帯、例えば北海道その他におきましては、外国製のトラクター、或いは国内でできます大きなトラクターの需要も多いのでありまして、それらにつきましては試験的に我々のほうでも援助を、融資をし、或いは補助をいたしまして、将来の進むべき途を切り開こうとしておるわけでございます。なおそれらに並行いたしまして、さようなものを日本に持つて来ました場合に、果してどういう効果があるかという問題につきましては、絶えず研究をいたしまして、最も合理的な、且つ大規模のものができれば、それに追随するように努めて参つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/15
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016・北勝太郎
○北勝太郎君 その大きなものと言いましても、そこに程度があるのでありまして、日本の農業に適する程度の大きなものというような私は意味でお伺いしたいのでありますが、外国から言えば小農、日本で言えば中農程度で、まあ共同して使える、そういう程度のものでなければ、先ほど言つたような目的は達せられないんじやないか、例えて言いますと、北海道もぼつぼつ入りましたが、カブ・トラクターが入つたとか、或いはジイプ・トラクターが入つたというような、大分この頃需要が増して来ておるようなわけで、そこでああいう程度のものまで進めて行かれる方針があるのかないのか、あの程度ならば北海道でなくても、どこでも共同の仕方によつては十分使つて行ける、こういうように思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/16
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017・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) カブ・トラクター程度のものが或る程度有効に入りはせんかということは或る程度考えておるわけでありまして、それらの輸入及び試作等につきましては、こちらのほうでも手を打つておるわけであります。ただ今御承知のように自動耕耘機なり、或いはハンド・トラクターなりが急速に進んで参りまして、それが普及の段階にありますので、一足飛びにカブ・トラクター程度まで行けるかどうかということは今後十分調査して行きたいと思います。併し今伸びて来ました芽をつむようなことは決していたしたくないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/17
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018・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) ちよつと今提案者代表として衆議院議員遠藤三郎君が見えましたので申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/18
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019・北勝太郎
○北勝太郎君 結局融資をするとか、補助とかいうが、この金額は大分今の構想では少な過ぎるのじやないか。一台百万円以上もするのもあるのでありまして、対象がそういう小さい金額ではしようがない。それから自動耕耘機等も私は随分長く使つておりますけれども、今そう奨励するような、これは機械屋さんに悪くとられると困るのですが、力を持つておらんように思うのです。どうも壊れやすいというか、非常に破損が多いということ、それから浅耕しになるというような点で、これはまあ初めから奨励するのは果してどうかという工合に一つ考えておる。それから土の反転が完全でないために、実は肥料の分解も余りよくないようにも思われますし、それから雑草の繁茂が非常に多い。いろいろな欠陥がありますので、でき得ればもつと力の大きいものに着想を置くべきじやないか。それから又補助或いは助成の態勢をそういうほうに初めから向わすべきじやないか。自動耕耘機は御承知のように耕耘だけしか使えない、年中遊ばしておく。ところが外国の進んだ機械になりますと年中全部使える。ちよつと附属機械を附けては機械自身がすべての仕事をするようになつて、年中遊ばさないで使えるというような点から言つても、実は共同の仕方によつては非常に経済だという工合に思われるのであります。そういう点まで一つ考え方を進めて農業の機械化を進めてもらうようにすることができないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/19
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020・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) 只今の問題でございますが、汎用性の問題と深耕の問題と、或いは非常に堅牢効率的であるというような問題が現在の農機具において欠けておるのじやないかという御質問でありますが、勿論農機具全般といたしましては、只今の御指摘のようなものがかなり混つております。併し只今御指摘の要件は、これは農機具が持つべき基本的な要件でありまして、すでにさような性質を具えたものもどんどん出て来ておる存であります。私どものほうにおきましては、機械化促進法案によりまして検査の基礎が固まつて参りますので、一方現存します農機具におきまして、最も優秀なものを選抜するように持つて行きますと共に、他方試験研究の強化によりまして、御要望の線を固めて行きたいと思うております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/20
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021・北勝太郎
○北勝太郎君 実はこれは輸入ばかりを尊ぶわけじやないのでありまして、価格が安く付くというような意味から或いは部分品が簡単に手に入るというような意蒙ら、いろいろな点から、実は国内でそういうものは作つてもらえれば大変結構なんです。ところが先ほど申上げましたように需要が非常に少い。そこで国内の工業水準が進んでも、そういう方面には工業家は手を付けようとしないというようなうらみがあつて、ますます日本の農業機械化が進んで行かないというように思われるのであります。これはどうして用国内で作らすためには、もうすでに外国にモデルがあるのだから簡単に私はできると思います。新らしい発明じやないと思うのです。そこでそれには一つ製造方面に対しても、何かそういう基礎的のものを作るのに対する助成か何かの途をやつてもらつて、そして国内でできたほうが補助金などをもらうよりはお互いに助かるんじやないか、こういう工合に考えるのでありますが、何かそういうことについてお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/21
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022・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) この農業機具の改良発達につきましては、国が直接試験研究機関で研究しておりますと共に、応用研究費によりまして、これを民間の団体、会社等に流しまして、そういう研究ができるわけでございます。ただ予算の枠がありますので、必ずしも一度に多額の金が出ないというようなうらみがありますけれども、さような必要性が一応国の試験研究機関なり、或いはその他のところではつきり打ち出して参りますと、漸次そういう道は開けて来ると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/22
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023・北勝太郎
○北勝太郎君 学者或いは研究機関等でやつてもらうのは結構でありますが、私は曾つて北海道の道会議員時代にこれを提唱して、実は研究員の一員として一緒にやつたことさえあるのでありますが、案外に能率が上らない。それよりはむしろ或る一つの課題を与えて工業家に直接頼んだほうが能率が上り、効率が上つて来るんじやないか、こういう工合に思われるのですが、どうも外国の工場等でできておる品物を見ますと、むしろそれは学者や何かが研究したのではなくて、その会社みずからが自分の会社の盛衰に関係があるものとして非常な熱意でやつている結果、ああいうものができて来ると思われるので、むしろ学者や研究機関よりは、そういう方面の力を動員したほうがいいんじやないか、そう思われるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/23
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024・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) これは御承知のように、需要の口が相当大量生産に間に合うように持つて来ませんと、なかなかメーカーとしても出て来ない、乗つて来ないわけであります。従つて現在の段階におきましては、ヘンド・トラクターなり、自動耕耘機なりの段階がまあ支配的でありまして、極く特殊の地域或いは極く進んだ人が少数試験的に輸入して使つておるというような状況でございます。これもかなり輸入が自由になりました数年来のことでありまして、これがだんだんこう拡大して行きまして、どうしても国全体として、そういうものが欲しいという需要のほうが盛り上つて来ますと、只今のお話のような点はスムースに行くかと思います。それがまだ現実に盛り上つて来ないうちはなかなか手が付けかねると思いますので、私どもとしては、そういう時世の一刻も速かに来ることを念願しつつ、まあ試験的に入りましたものの芽を伸ばして行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/24
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025・北勝太郎
○北勝太郎君 暫らくは輸入品に頼るよりほかないという結論になつて来るわけでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/25
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026・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) 時間的な関係ははつきりしませんけれども、それは今入つておりますものについて、農民全体の需要がどう盛り上つて来るかということによると思います。従つてそれが急速に盛り上つて来ますれば、こちらのほうも急速に動き出すと、かように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/26
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027・北勝太郎
○北勝太郎君 そうなれば、部分品の製造等だけでも国内でできないものか、実は輸入するために、たつた一つの機械がいたんでも、それを取り寄せるためにはやはり長い時間がかかる。実に困り抜いておるのでありますが、せめては部分品だけでも国内で作つて、始終壊れやすいような部分等について、そういう方法ができないか。或いは又輸入が極めて困難で、実は飛行機でちよつと運んでいいような小さいものでさえ輸入できない。そういうことに対して輸入が完全に行われるような方法、又は向うで機械を売り付けたとするならば、その機械の修理等については向うは或る程度の責任感があると思う。そこで電報を一つやれば、すぐ次の飛行機で送つてくれるようなところまで行かすような方法を講じてもらえんものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/27
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028・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) これは内地でも需要がありまするような部分品につきましては、これは内地で作ることも簡単でありますが、恐らくはその農機具独特の部分品ということになりますと、やはりその会社に依存せざるを得ないと思います。なかなか部分品が手に入れにくいということを私どもも聞いておりますけれども、やはり購入のときにはつきりとその点を相談いたしまして、十分部分品が供給されるようにすべきではないかと思います。外国の農機具につきましては、こちらのほうに代理店もありますので、そつちのほうと十分折衝して行けば、一方当面の問題は解決するのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/28
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029・北勝太郎
○北勝太郎君 何か輸入の手続きが非常に面倒らしい。小さいものだけれども、ちよつと入れられない。三カ月も五カ月も、或いは半年以上かかつておる、実際なんですが、そういうことは極く簡単に、何か外務省とか、商工省とかでやつてもらうことはできないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/29
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030・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 改良局長が見えておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/30
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031・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 只今までに具体的な話はまだ持ち込まれていないらしいのですが、これは具体的なお話として承われば、私のほうとしましても通産省なり、その他必要な方面へ急速にお話を進めて、そういう本体は入つても部分品のために使えないということは非常に損な話ですから、できるだけ早く解決するように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/31
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032・北勝太郎
○北勝太郎君 提案者に一つ伺いたいのですが、この農業機械化促進法案の狙いは、大体において農業という純粋の農業機械だけにとどまつておるように書類の上で読めるのですが、実は近頃酪農が随分盛んになつて来ましたが、酪農機械等はこの中に含めるようになつておらんのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/32
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033・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 只今のお尋ねでございますが、おつしやる通り農業の機械を主に考えておりまして、酪農機械は今これに考えておらないのであります。それはまあ酪農機械が必要でないという意味ではないのでありまして、御承知のように機械化促進法案を作ろうということで、同好の士が衆参両院で四十人集まつて、去年からこの問題をやつさもつさやつて来たわけでありますけれども、予算でも御承知のように一億にも足らない予算で、資金問題でも漸く四億の資金がとれた程度でありまして、まあいわば本当のスタートをする橋頭堡を作つてこれから拡大して行こう、こういう考え方で、初年度としてはこれはやむを得ないのじやないかということで、不満ながらこういう案でスタートしよう、そうしてだんだん拡充して行こう。こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/33
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034・北勝太郎
○北勝太郎君 日本の農業というものの常識が殖産農業だけになつておるようであります。酪農というと農業でないかのごとく考えておるようですが、大分政府は酪農方面に食糧問題の解決から随分力を入れられておられるので、酪農機械等は一般農具の中に加えるべき時期になつておるんじやないか、こういう工合に思います。例えば牛乳を搾る機械があるが、あれ一つあれば、内地みたいな家のかたまつた農家の集団式にできておるところでは、一つ備え付ければそこで全部牛を連れて行つては搾るような方法で、機械で完全に搾ることができる、こういうように思えるのですが、そいつを一軒一軒皆乳を搾つて、そうして技術が習熟して来る、そうしてその乳を一カ所に集めて来るというようなことは酪農発展の上に大変僕は支障があると思う。それから、そういうことをやらせるために、実は牛を飼うことは大変いいけれども、いわゆる農民としては、労力が今まで相当かかつたところに更にもう一段労力がかかるというようなことで酪農の発達が阻害されやせんか、こういう工合に思われるので、是非一つ酪農機械もこの際入れてもらいたい。例えば遠隔なところでは、牛乳の処理のためにセパレーターを買うという場合には、やはりこの方法で促進してもらいたい。或いはカツターを買わなければならんというようなことまで行けば、ほんの僅かのことで酪農が発達する。そこでこの定義が単なる殖産農業ということでなくて、遠い将来のことにも関係があることですから、初めからやつぱり酪農機械というようなことを一つ謳い込んでもらうことが必要ではないか。この中にすぐ入れて、買わす買わさんとかいうことは第二にして、とにかく項目の中に謳い込んでもらつて置くことが必要ではないかと、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/34
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035・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 只今の御意見でございますが、全く私ども同感でありまして、私も全国酪農連合会の仕事をやつておりまして、その感を以前から深くしておつたのでありますが、併し予算の規模といい、資金の枠といい、今回はこの農業のほうの機械に限定をせざるを得ないようなことに追い込まれておつたわけであります。併し成るべく早い機会に、これを少くも二十九年度においては予算ももう少し皆さんのお力によつてたくさんとつて頂くし、資金等についても所要の資金を確保することにいたしまして、だんだんその時期が来たらばこの法案を拡充をして参つたらどうか。一応法案としては各方面の議論をやりまして、ここで落ち着いて参りましたので、一応スタートとしてはこれで一つ行つて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/35
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036・北勝太郎
○北勝太郎君 来年あたりから追加するというような問題であるならば、いつそこれは法律の中に最初から語つて置く、ただ今年は補助はできないぞというのは、これはしようがないが、来年からやらなければならんようなことでも、これは金ができるまでは法律に入れぬということ、これは法律を作る建前からしてまずくないか、こう思うのでありまして、これは同時に作つてもらうべきものと思うのであります。一つそういう工合に御尽力願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/36
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037・重政庸徳
○重政庸徳君 この法律をちよつと読むど、法人で共同で使用する場合に法人に低利資金を貸す。これが新らしいもので、あとの問題は大体新らしいことはないので、或いは技能者の養成をする。これはこういう方面から見ると、いま北委員から言われたように、新らしい方面に、米麦だけでなしに、大きい意味の農業という機械を込めた一大飛躍的な方面にとるというようにも考えられる。よく見ますと、結局この法律の重点は低利資金を共同使用するものに貸すということに制約せられるのではないかと私は考えるのであります。提案者にお尋ねいたしますが、この法人というものはどういうものを頭に置いておられるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/37
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038・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 只今のお尋ねでございますが、この法案を作るときの考え方としましては、やはり基本になる問題は三つだと思います。三本建だと思います。その一つは何かと言いますと、これは釈迦に説法だと思いますが、どうしてもいい機械を農村に出さなく、ちやならん。これがいいと称しても、いんちきな機械が廻るようなことになると機械化が非常に阻害される。従つて検査をして間違いのない機械を農村のほうに廻そう、これが一つであります。それから第ニには、農村のほうで機械が欲しいけれども、金がなくて買えないという場合が多いわけでありますから、共同して機械を買いたいという人に資金を融通してやろうじやないか、これが第二点であります。第三の問題としては、機械が農村のほうへ入つて参りましても、故障が起きて使えなかつたとか、或いはその地帯に噴霧器の機械が入つて行くとかいうような、いろいろな問題が出て参りますから、そういう指導面を強化をして行く。この三本建の行き方で行こうということで、そのほかにも重大なものはたくさんありますけれども、大きな柱は三本だ、こういう考え方で参つたわけであります。ただ併し予算面から言いますと、極めてノミナルな予算しかとれないので思うように行かなかつたわけでありますが、考え方としては、その考え方は一貫しておるわけであります。今お尋ねの協同組合はどうかという問題でありますが、協同組合については農業協同組合を考え方の中心におきまして、そうしてその農業協同組合の範囲内における農機具の利用組合のようなものを作つた場合には、その協同組合を通してその利用組合にやらして行く、こういうことにして行つたらどうかというのが原案であります。実は衆議院のほうでいろいろ議論がありまして、それは協同組合だけでなくして、むしろ個人にもそういうチヤンスを与えるようにしたらどうか、こういう意見がありまして、明日の農林委員会で大体あがる見込みでありますけれども、そういう修正案が大体各党で以て共同提案の形で修正案ができて来ると思います。従つて協同組合と個人にも貸せることができるような、そういう案になつてこつちへ廻つて来るようなことになるんじやないか、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/38
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039・重政庸徳
○重政庸徳君 検査の問題が出ておりますが、これは現在でもやはり業者は商業的利益のために農林省の検査を受けて合格したという場合に、その機械に対する信用度、そういう意味で検査を受けておる。この法律が制定せられても、制定せられないでも、その方向はちつとも変らんこう私は思う。今衆議院のほうで法人というやつを個人にもという修正ができそうで、私は非常に賛成で、これを修正せんと農業協同組合というようなものを対象にせられた場合においては、現在でも協同組合は一村に三つあるという、非常にこまい六百戸以下というような協同組合は、これは一つ合併を図られねば協同組合は立つて行かんのではないかというような議論が生じておるのであります。とにかく現状を見ますと、もはや地方ではもう個人で耕耘機というようなものは皆持つておる。なお又或いは三人とか、五人とか、昔の隣組式な、近所が合同して、そして買つておる場合が非常に多いのであります。協同組合等が共同で機械を買つて、これを使用しておるということは、最近まあ噴霧器とか、何とかいう害虫駆除方面にそういうところがほんの一、二あるような状況で、これを法人といつて限つた場合においては、なかなかこれは本当の運営がうまく行かんのではないかと思いますが、この点は非常に時宜に適した修正であろうと私は思うのであります。これで私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/39
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040・北勝太郎
○北勝太郎君 今重政君から言われた即ち共同という問題ですね。実は農具の今まで共同利用ができなかつた大きな原因は、実は鎌や鍬でさえ自分の大切なものは他人に貸したくない。いわゆる昔から言うように農具は兵器と同じた。自分の鉄砲と同じだという工合に可愛がつて使つておるのでありますが、更にそれは少し進んだ機械になりますと、どうしてもこれは共同というと、情ないことには、どうも道具を大事にしない傾きがある。ちよつと油が切れかかつたけれども、もう一時間使えば済むのだから、わざわざ待ちへ行つて油を買つて来るのは厄介だから、ついでに使つてしまえ、それで機械を壊すというような場合が多い。一たび壊されたら、共同して、殊に耕耘その他全部に影響するような一貫した作業に使うような機械は、殊にさつき言つたように外国から入れた機械などでは一年も使えないというような問題が起つて来るのですから、従つてその大事な機械はなかなか人には使わせたくないのです。けれども或る意味から言えば、或る程度共同しなければ日本の農業としてはそういう大きな農具は使えない。そこでどこに結論が行くかというと、せいぜい先ず三、四人ぐらいの程度で使える、外国で言えば小農の部分。それから日本で言えば中農の部分というような機械の範囲になつて行かなければならん。そうなると、協同組合でやるということになると、なかなかむずかしい問題でありまして、一台の機械を買つたが三、四人の人だけに使わすというわけには行かん、全体が権利があるのだ。従つて壊さんでいいものを壊してしまうというような傾きがあるのです。そこで共同の範囲は、勿論資金を借りる元は協同組合が借りてくれるけれども、そこに証書入れて責任を負うのは三人なり四人なりの小さい共同する人達が全体として借りて行かなければならんというようなことになつて参る。従つてこの機械の大きさの選び方は、日本の中農程度のものを選ぶようにさせなければならんのではないか、こう思うのであります。大きければ大きいほど完全なものができるけれども、さつき言うような問題で、そいつはうまく行かないから、まあせいぜい気心の許した人三、四人でやれるような程度で行ける機械を日本ではやらなければならんのではないか、こういう工合に考えます。個人じやなかなかちよつと面倒かも知らんが、三、四人ぐらいな小さい人達が個人の連帯責任で借りるような協同組合の利用の仕方に対して、一つ助成をできるような方法を講じてもらうことが必要でないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/40
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041・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 今の御意見は議院のほうでいろいろ議論しておりましたのですが、全く同じ意見が出ております。先ほど申上げましたような方向で修正案を作ることになつておりますから、御希望の点はこれは盛り込んで行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/41
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042・清澤俊英
○清澤俊英君 塩見局長にちよつとお伺いいたしますが、今農業機械を取扱う専門技術員と言うのですか、機械工業の技術員の配置はどんなふうになつておるか。機械を使つておるものがどんなふうに配置せられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/42
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043・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 只今数字を持つて来ておりませんが、これは専門技術員として各県一名の割合で大体考えておりますけれども、現実にそれだけの力を持ち、県の普及技術員として働こうというふうな人の数が十分なくつて配置してない県が相当数ございます。これは配置したいわけでございまするが、今のところ適任者がいないというふうな形になつております。それでまあこういうふうな仕事を進めて行く問題で支障になつておるような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/43
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044・清澤俊英
○清澤俊英君 中央でそういう技術はどういうふうになつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/44
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045・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 中央で農業試験場のほうにそれぞれ持つております。中心的には関東の農業試験場のほうに相当の数の人間もおりますし、それから研究設備その他も昔からあつたものを利用して進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/45
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046・清澤俊英
○清澤俊英君 これは今お伺いしたような本当の機械専門家の分布状態だと実際問題と大分かけ離れておる。この機械の改良促進というようなものに非常に縁遠いものができやせんかと、こういうふうに思つておる。ということは、私らの地方は相当機械産業の発達しておる地方で相当な人がおる。この人の話がときたま出たのですが、こういうことを言つておるのです。私は今これこれの地方一行つて見ました。そこで耕耘機を見ました。あの耕耘機を私が自動車に乗つてずつと通りしなに見ても、もうベルトとフーレーの関係において非常に損したやり方をやつておる。だから将来の農業においては、もつと機械を使うというのならば、機械専門家をいま少し配置して促進を図らなければ問題になるんじやないか、こういうように言われておりますので、従つて今のような機械専門家の配置状態であつて、而も試験場ぐらいでおるようなことでは、本当の機械化促進はできないと思います。農民と一緒に田へ入つて或いは耕地の中へ入つて、その機械を使うときにやはり指導もやれば、その機械の不適格なものも探し出すだけの内容が先ず整えられることが、この促進の基本にならなければならんと思います。そういうものが一つもないところに、どうも迷惑したような気持がしておりますが、これに対して遠藤さんはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/46
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047・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 今おつしやることは御尤もなことでありまして、私どもも指導員というものの組織を整備をして行くという考え方を持ちまして、そうして二十八年度の予算にもこれを要求しておつたわけなのであります。ところが人件費を節約するという大きな問題にぶつかりまして、指導機構の拡充の問題については、残念であつたけれども、二十八年度には思うように行かなかつたわけであります。併し二十九年度においてはどうしてもこいつを拡充して行きたい、その間は従来の指導員で辻褄を合して頂くというような程度で以て満足をせざるを得ないのではないか、こういうふうに思つておるわけであります。併し二十九年にはどうしてもこれを拡充して行きたい、こういう考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/47
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048・白井勇
○白井勇君 だんだん提案者のお話を聞いておりますと、わかつたようでわからないのでありまするが、農業の機械ということだけなんですか。そうしますと、今の提案者のような考え方で行きますと、殊に又共同団体というようなものも、これは個人まで認めて行く、こういうことになりますというと、結局はそういう金のあるものだけは、これはそういう機械化が促進されて行く。その半面、そういう試験的の恵みもないというようなものは、これはだんだんそういう意味において落ちて行くというような結果になり、農村内部におきましては非常に進歩したものと、そうでないものとの差が付いて来るわけでありましようが、これは併し日本の農産物の生産改良が、そういう面においてだけでも済めばこれでいいんだというようなお考えなのか、もう少し先ほどの北委員からもお話があつたのですが、この機械化というものをどういうことを重点にやつて行くかというような具体的のやり方をちよつと承わらんとわからんかも知れませんが、どういうことをやつていらつしやるのですか、予算的裏付なり、これからやろうとする具体的のことはどういうことをやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/48
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049・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 今のお話ですが、実は金のない人に機械を持たせて、そして機械で以て耕耘をして行くといつたようなことをやらして行こう、こういう考えで例の四億の資金は、金がなくて、自分の力で足りない人に資金融通をして買わせて行こう、こういう考え方をしておる。主として耕耘機なんかの問題を取上げて行くことになつて行くと思うのでありますが、耕耘の能率の増進をやつて参りまして、初めは台数も少いのですけれども、漸次日本の農業全般に亘つて行くような機械化を推進して行こうというような狙いで、少しずつ前進して行く、こういうような考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/49
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050・白井勇
○白井勇君 この予算の裏付はどうなつておるのですか。どういうことをやるのでこういう予算になつておるということをもう少しお話願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/50
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051・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) 現在農機具に関します予算といたしまして、この主管課の目論見に上つておりますのは耕耘機の講習会の経費でございます。そこで耕耘機を積極的に導入するという意図を現わしておるわけであります。それから耕耘機の各普及員の事務所でございます。ここに展示用施設として備えておきまして、農民が必要であればそれを試運転して実習をする。又或る場合にはそれを持ち出して自分の畑をやつて見ると、こういうような実験展示用の耕耘機を整備する経費を持つておるわけであります。それから最後に畜力利用関係でありますが、これは今までは発動機等を主体としてやつておつたのでありますけれども、畜力利用の拡充ということも現段階においては必要でありますので、畜力用農機具を現在まだ手でやつておるような地帯で、而も畜力はあるというようなところに導入いたしますために、動力耕耘機と同様な意味で各普及事務所に展示用として設置すると、こういう予算を持つております。それから他の課におきましては、例えば植物病虫害の防除のために動力噴霧器を国で備えて、国で非常な災害の場合にはそいつを持ち廻りで応援するというような金も持つておりますし、又府県がさような施設をやる場合に府県に助成するというようなやつも持つております。最後になお北海道におきましては、深土耕のためにトラクター等を導入する必要がありますので、それの補助金が相当組まれております。これが大体の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/51
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052・白井勇
○白井勇君 提案者のようなお考え方でありますというと、今の予算的裏付等を承わつておると、非常に何か生ぬるいような感じを私たちは持つのでありますが、耕耘機が今とにかく日本の耕作上から先ずそれが取上げらるべきものだ、こういうことになりまするならば、これは恐らくどこの地帯におきましても耕耘機をこういうふうに入れましたならば、これは農作業上非常に能率が上つて来る、そのために適期の植付もできるし、播種もできるというので非常に能率が上つて来るということは恐らく地域的にわかるのだろうと思う。だから提案者のような考えであるならば、むしろそういうところを積極的に、具体的に進むような恰好に持つて行くことが促進化であつて、ただ今のお話のように、普及所或いは事務所にそういう何と言いますか、樋想的な機械を置いて、皆さん見なさい、よかつたらお使いなさいというような措置というものは非常に生ぬるいように思うのですがね。我々自分の郷里のことを考えて見ても、あの広い庄内平野を春先に、何か一つのそれだけをやりまするような機械に熟練したものが、団体でもあつて、それがずつと荒耕しをやつてくれるというだけのことでも、できるものなら私は非常な改革だと思つておるのですが、むしろ機械化なんということは、取りあえずはそういうことじやないかな。そのほかのことは、これは一般に何と申しまするか、自然に放置しておいても、これはお互いに共同し合つて、いいものは出て来る筋合のものであつて、少くともその機械化というような法案が出るからには、これはちよつとどうもピントが外れているような気がする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/52
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053・鈴木一
○鈴木一君 これに関連したことでありますが、日本の農業で一番遅れているのは収穫以前の作業でありますが、従つてこの法案で行きますと、耕萩整地、肥培、調製加工その他農作業というようなことが書かれてありますけれども、先ず第一に耕耘整地、肥培、管理ということに最重点を置いて、先ほど北委員からも酪農その他のこともお話がありましたけれども、先ずそれはこの次にして、取りあえず、この耕耘整地、肥培管理ということに最重点を置いて、これだけをやつて行くというようなことで進まなければ、限られたる予算或いは又助成金融資ということでは大した効果が上らんのじやないかというような感じを受けるわけであります。それから農業の機械化ということについて最近は非常な熱を農民自身が持つておるわけでありますが、それがなかなか婆ないということは結局農民自身に資本の蓄積がない、機械を導入するだけの資本がないということが私は大きな理由だと思います。又同時に農機具のこういう耕耘機を作つておるメーカーは一部を除きましては中小企業である。これに対して国家は殆んど助成していない、融資をしてない、斡旋をしてない。従つてこの人たちは仕事をするためには銀行から相当な融資を受けるのでなしに、需要者のほうから融資を受けておる。私は長い間銀行におりまして如実にこれを体験しておるわけでありますが、私のほうから前渡金を打つことによつて初めて機械ができて来る。銀行は責任を持つてこれに融資をしない。危険負担はいつも事業者がやらなければならない。こういうところに農民自身にも資本の蓄積はないし、又メーカーにも蓄積がないというところに農業機械化が阻害されておる大きな原因が私はあると思います。こういうことが解決できればおのずと農業協同組合としても、サービス・ステーシヨンを設けるとか、技術方面のことは先ほど清澤さんからお話のあつたようなことはおのずと解決して行くと私は思つておりますから、そういうような案は非常に結構であるから、それを裏付ける金融の面ということは一番大事だと私は思います。そういうことに対する具体的な施策がなければ、ただ法案ができて、それが空文に化するというふうな虞れがあるのじやないかと思います。そういう点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/53
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054・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 只今のお話はもう至極御尤もだと思いますが、実は機械化の推進の議員連盟というものを作つておりまして、衆参両院で四十人ばかりの人が集まつておるのでありますが、その世話役を私はさして頂いておるわけでありますが、二十八年度の予算のときに、資金についても十八億円を実は要求しておるけれども、十八億円がどうしても例の中金の資金等をも考えて、そうしてもう少し大幅にとつて行きたい、お話のようにどうしても行かなければ、これは推進されないと思うのであります。又希くは皆さんの御援助をお願いしたいと、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/54
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055・河野謙三
○河野謙三君 私遅れて来ましたから質問が重複するかも知れませんけれども、この法案の狙うところは機械化の普及並びによりよい機械を更に生み出そう、こういうところにあると思うのでありますが、そこで検査をして優秀なものには合格票を付ける。これで農林省の検査による合格票というものと、特許権の関係というものはどういう関係がありますか。一つそれをお伺いしたいと思います。私の尋ねることは少し言葉が足りなかつたかも知れませんが、こういう機械については特許権というものがあつて、一般の国民が業者に単なる宣伝によつて惑わされないように権威ある特許機関というものがある。その特許を受けたものについては、これは非常なる権威のあるものとして一般の大衆も安んじてこれが使われると、こういうことになつておる。これは消費者保護の特許権というものが一面においてあると思う。ところがそれと同様な意味合において検査の、機械化のこの法案の中に盛られておるより優秀な機械を作らせ、徹底させる、これは同じ趣旨だと思うのであります。そこで同じ趣旨のものにおいて、双方において特許権の問題等の関連は当然関連があると思うのでありますが、これはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/55
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056・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) 現在検査しておりますものの中には随分特許権が入つておるのがあります。私のほうとしましては特許権とは直接関係がなくて、その農機具の性能、それから材質というような問題を考えておるわけでございまして、特許権は特許権として尊重しながら、それが農機具として総合的にどういう効率を持つておるかということを主体に検査しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/56
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057・河野謙三
○河野謙三君 あなたのほうで検査をされて、これが優秀なものであるということで太鼓判を捺せるのなら、これはおのずと特許の道に通じておるものじやなければならんと思う。それを余りあなたのほうで検査をして、検査の安売りをして合格票をペタペタ貼られたら、農民が極端なところまで行けば迷惑する、その点を私は心配するのであつて、これはその間において特許権を得てないものは、あなたのほうの検査に合格しないと、こういうふうな全く特許権というものに縛られたというような窮屈な考え方ではありませんが、そこにおのずと検査の合格については、あなたはあなたの独自の立場でやるのだ、特許のほうは特許のほうで掴自の立場だ、こういう双方がばらばらなものではいけないと思うのでありますが、そこらについて何か一つの、何と申しますか、あなたのほうの検査についての運用上の内規のようなものでも考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/57
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058・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) 御存じのように特許というのはかなり部分的なものでありまして、我々の農機具検査といたしましては、農機具全体と、それからそれを構成する部分と両方見て性能等を見ておるわけです。だから部分的な工夫というものが特許として現われて参りました場合に、それが全体の農機具として非常に効果があれば、これは十分尊重されて行くわけでありますけれども、全体の農機具としての効果が出ないということであれば、これは一部分特許を持つておつても、さして農機具としては尊重すべきものでないと、こういうふうな考え方を持つて進んでおります。従つて端的に言いますならば、農機具検査と特許権との問題は関係はないと、かようにお考え頂きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/58
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059・河野謙三
○河野謙三君 それは非常に危険ですよ。少くとも特許品とあなたのほうの合格品と同じものでなければならんとは私は考えておりませんけれども、少くともあなたのほうで検査されて、これは将来日本の農村に十分推奨する値がある、こういうようなものであるならば、あなたのほうは進んでその農機具について特許を得べく斡旋されるというくらいであつて私はいいと思う。それはなぜそういうことを申上げるかと申しますると、今まで農林省に限りません。農林省若しくは農業団体が、これはいい機械だと推薦したものですよ、その結果たるや実にインチキなものがあつたということは農家がたくさん経験をなめておる。いわゆる農業団体若しくは農林省と農機具屋の合作によるところの商売上のインチキに引つかかつたというやつはたくさんあるのですよ。そういうことは農林省として耳に入つておると思うのであります。でありますから、折角これを法制化されまして権威のある検査をされるならば、その検査を名実共に権威あらしめるために、私は何らかそこに特許権との関連において、一つの私は運用において、何か一つの我々はこの法案に附随して、どういう範囲でこれは運営するのかというものを示されないと私は非常に危険だと思うのであります。余計なことを言いますけれども、又同時にもう一つの危険は、非常にこういうことによつて農家に画一的に農林省若しくは農業団体が農機具として指導するという危険があります。例えば曾つてあつたことでありまするが、農林省は何も強制はしておらないのでありますけれども、末端に行くと副式三本編みの俵、これを編む機械、これは占領中ではありましたけれども、農林省の命令だということで末端の穀物検査員が強制的に押付けております。狙いは副式三本編みに構想を統一しろという狙いであつたのでありましようけれども、その副産物として副式三本編みの機械を強制的に押付けた。或る農家に行くと、その当時おかしな話があつたのでありますが、これはマツカーサー元帥の命令だということだそうで、その副式三本編みの機械を買つたという笑えない事実があるのであります。だからこういうものをやりますと、これによつて又機械屋さんとあなたのほうと、これは悪意の合作じやありませんけれども、合作によつて非常に農家に押付ける、画一化するというようなことを私は恐れる。そういう意味合において、私はこの精神はいいけれども、この扱いについてはよほど権威ある検査、権威ある品物、こういうものを選ぶ意味合において、私は特許の問題と何か関連を持たせることは絶対に必要である。例えば特許はもらえない。併し特許局にも一応見てもらう。これは特許にはできないけれども、特許に準ずるものであるというくらいの私はそこに一つの幅がなければならんと思います。何でもあなたのほうはあなたのほうで機械はおれの所管である。おれのほうで合格だと言えばそれでいいのだというようなことでは非常にその点は危険だと思うのであります。そういうことは過去の経験に徴して、そういうような私の言うような事故はありませんか。遠藤さんどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/59
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060・白井勇
○白井勇君 只今河野先生が言われました検査、これは言葉の上には、或いは法文の土には検査という言葉がありますけれども、提案者のおつしやるように間違いのないものを農家に渡すという検査は実際にはできないのじやないか。これは是認されることはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/60
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061・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) そういう今の検査問題は、やはりこの法案の一つのみそになつておるわけであります。お話のようにインチキなものが出て行つたり、或いは農林省と機械メーカーというものがなれ合いで以て、農村に行つて非常に迷惑になるものが出て行つたりすることを今後はきちつと正して行かなければならない。従つて特別検査で、検査基準等についてもでき得れば国会で監督するくらいにして、これは審議会ができますれば審議会あたりで大いに議論して行くこともいいだろうし、今までのようななれ合いの変なものを出すようなことのないように、間違いのないもの、いいものを出すということに折角しておるわけであります。なお特許の問題については、特許を受けておる機械で以て非常にいいものは勿論その検査に合格して行く。特許も部分的で以て、例えば歯車なら歯車の特許といつたようなものについては、それが全体の機能として非常にいいものでない場合は無視されて行く場合もあると思いますが、機械全体の総合的な能率と言いますか、価値というものを考えて見て、これならば間違いないというものを出して行く、そういうものにはんこを押して行く、そういう考えでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/61
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062・河野謙三
○河野謙三君 こういう場合も起りますよ。特許の申請をした、併しこれは駄目だと言つて却下された、ところが今度はあなたのほうへ行つて検査を受けたところが、これは立派なものだと言つてはんこを押された、こういう場合も起つて参ります。農機具全体から言えば、これは私は特許必ずしも絶対的なものでないと思いますけれども、併し今の国の機関としてあるものでは、こういうものの検査に関する限りは特許と言いますか、特許局で扱つておる。この機関というものは一番権威があると思います。而もこれでこれは駄目だと蹴られたものが、今度はあなたのほうに行けば、これは立派なものだとはんこを押された、こういうことになると、結局国家の行政機構の上から言つてもそれでいいか悪いか私は言えないと思う。そういう点において私は調整が必要と思うのであります。何遍もさつきから申上げるように、特許局の御意見を聞かなければいかんと、こういう意味のものではありません。同一性質のものであるから、やはりその間において何らかの両機関の調節というものが必要であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/62
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063・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) その点については、お話の点よくわかるのであります。農機具の検査をする場合に特許局の専門家をも入れて、そつちとの調整がとれないことがないように歩調が合つて行くようにやつて行こうという考えを持つておるようです。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/63
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064・河野謙三
○河野謙三君 それは審議会の委員でも入れるというのですか。特許局の偉ら方を、審議会の委員に特許局の長官を入れたつて、いずれ特許局の事務官か何かでしようが、こんなものはこれは機械が左を向いているのか、右を向いているのかわかりやしない。そんなものじやなくて、あなたの入れるとおつしやるのは、検査の場合の技術員の中にそれぞれ例えば歯車の場合には歯車の係の者を、特許局の係の者を入れる。電気の関係としては電気の係の者を入れる、こういうふうになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/64
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065・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 今聞いて見ますと、お話のような検査員の中に入れて行く、検査をする専門家の中に入れて行くということが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/65
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066・河野謙三
○河野謙三君 くどいようですが、検査員に入るのはどういう資格で入つておりますか。特許局の技術員として特許局の責任というものを常に背負つて入つて来るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/66
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067・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) それは特許局の職員としての身分を持ちながら検査員となつて行く。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/67
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068・白井勇
○白井勇君 よくわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/68
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069・北勝太郎
○北勝太郎君 その問題と関係があるのですが、先ほどどなたからか、こういうような農業機械の促進の方法では個人的にまで及ぶんでは、これは金持だけがうまく行くかも知れないが、その他の一般の者は利益がないじやないかという意味のお言葉があつたと、こういう工合に思うのでありますが、そこで今の特許局とか、検査という問題にも関係しますが、実は金はないけれども農村で頭の進んだ人間、或いは危険があるかも知れないが、自分がやつて見ようというような人、数人の連合したものに金を貸してやろうというような行き方で行きますと、従つて農村に仮にその機械が危険なものがあるが、時には非常にいいものに当つた。それは附近の人が全部見ればこの機械はいいものだ、この機械なら大丈夫だという、実際農家が使つたところを見て初めて注文するということになつて来る。昔は実は大農の任務というものは、一つはよい機械を、一般の人が買えないようなよい機械をみずから輸入をして来たり、或いは持つて来て、そして農村に普及させるという仕事をやつた。今は大きな農家はない。みんな零細農家になつたから、従つてそういうような機会がなくなつた。そこで頭の進んだ農村の人たち数人が共同して、こういうものを入れて見ようというようなことを助成してやるということは最も必要だ。役人の検査だけで買うのでない。こういうような意味において単なる農業協同組合ならやるけれども、協同組合以外の個人二、三人で買うなんというのは、たとえ協同組合の名前は付いておろうとも、それは公平じやない。こういうような考えを持つことは、これは農業機械化の促進上とるべき方法じやないという工合に考えるのでありまして、必ずしも官庁の承認というよりは、そういうふうに実際農家が使つて見て、これなら大丈夫だというものを推奨する、又我々の仕事にはこれなら大丈夫というものを推奨すべきだ。又推奨するのじやなくて、農家みずからがこういうものを買いたいということになる、こういう工合に思うのでありまして、やはり昔と違つて農家の頭が進んで来ておる。たまに欺されてそういうものを買わされるという人はないことはないけれども、大体においてそういう傾向にあるだろうと、こう思いますが、やはり昔の大農の仕事のように一部の進んだ人の仕事に助成してやるということが農機具検査上極めて大切だと、こういう工合に考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/69
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070・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 只今の点は、先ほど申しましたように個人に及ぶようになつて来る見込みでありますから、御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/70
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071・白井勇
○白井勇君 只今の点ですが、私今実態がわかりませんから、専門家の北さんは非常にお詳しいでしようが、私先ほど申上げた中で共同という意味が非常に意味があると私は考えております。と申しますことは、金がない者が共同して買いまして、個人でこれを利用するということじやなしに、非常に機械方面に堪能な一つの組合みたいなものができて、それが仕事をやつて行く、耕起なら耕起をやつて行くという、そういうようなことまで運用上狙つておるのじやないか。それならば私は非常に共同というのは強い意味を持つておる。これならば今後の機械化に非常に重要なことじやないかと思つておる。ただ共同して買つて個人で利用するということになりますれば考え方が違つて来ると思いますが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/71
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072・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) この原案は御承知のように共同を原案にして進んで来たわけでありますけれども、衆議院のほうでも個人にもこの機会を与えることがよろしいということで、そういう修正案ができて参りまして、共同が中心になるけれども、個人もやれるというような建前で進んで行くことになりますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/72
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073・白井勇
○白井勇君 そうしますと、個人でやれるということになれば、結局これは何らかの恰好で、自分で、自力で農協なり、何なりから金を借りてやれるのでございます。そうするというと、結局これは最近の農林省のあらゆる法案がそうでありますが、大体金融機関を利用さして、それから一部の者に利益を与える、或いは機械業者に利益を与えるというような程度の案になりはせんかということを非常に私は虞れるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/73
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074・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) その点は衆議院のほうの修正案がまとまつてしまわなければ何とも申上げることはできませんが、衆議院のほうでは個人にもこの機会を与えるという考え方で、而も個人も自分の力で以て幾らでも買えるような人には資金はやれない。やりたいけれども金がないという人にやるという結果になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/74
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075・北勝太郎
○北勝太郎君 農業機械化の促進を妨げる問題として、実は市町村でかけるところの償却資産税の問題なんです。百分の二くらい大抵とりますが、仮に百万円の機械を買いますと二万円かかる。これは実に大きなもので、我々機械を買つて見てあとでびつくりしておる、大きな金がかかるなと言つて。そこでこの機械化と同時に償却資産税、農具に対する税金は何とかして免除するような立法上のお考えは何かお持ちないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/75
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076・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) この立案をいたしました当時にもその点は問題として出ておりました。出ておりましたが、いろいろ交渉しておる間にその意見は到頭通らないで、こういう原案ができ上つたわけで、甚だ残念でありますけれども、実情はそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/76
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077・清澤俊英
○清澤俊英君 先ほどこの機械を農業普及員のおるところへ大体一台くらい耕耘機のようなものを据付けて、そこで見たり勉強したり使つてみたりする、こういうお話でしたが、これは末端でブロツクまでにお出しになるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/77
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078・野田哲五郎
○説明員(野田哲五郎君) これは今普及員が五、六カ村を単位に拠点を持つておりまして、普及事務所というものを作つておるわけでございます。そこに備付けておきまして、管轄区域内は持ち廻つていいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/78
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079・清澤俊英
○清澤俊英君 これは私は一つ考えなければならんと思うですね。これは非常なたくさんの数量が要りまして、恐らくは機械としてはおつしやる通り耕耘機一台くらい据付けるのが、予算がないというのですから関の山だと思うのです。而もその耕耘機を選びまするにも、土質の関係その他で以ておのおの別なものがやはり入用じやないかと思うのです。非常なそこに面倒な問題が出て来ると同時に、本当に普及促進をいたして参りまするならば、第三条の「研修会」、それから第六条の第一項にあります「農民に対して農機具の展示及びその利用についての教習を行うために必要な施設の設置及び運営」と、こうなつておりましよう、必要な施設から設置並びに運営までのものを極く僅かの機械で殆んど経験のないような普及員だけがやりますことは、私は先ほども申しまする通り、非常に効果的には損だと思う。先般来各地の農業土木の関係などの視察に一、二回行つて見まして、そのついでに矢吹の県の農業指導所、或いは千葉県のどこでしたかの指導所等に参りますと、非常な貧弱な予算のために困つておる。むしろそういうものを一部に三カ所も五カ所も作るよりも、全県的に相当の数にまとめて、こういうものにどんと一つ予算を与えて、そうして県なら県、農業協同組合なら協同組合の運営によつてもつと権威あるものをしつかり作つたほうがいいのじやないか、こう思われるのです。そこには完全な技術指導員として機械の専門家もいれば、電気の専門家も、先ほども言われる通りいろいろな専門家を揃えて、そこで短期講習のようなものを行いまするならば、これはやる気のものが集まるのでありますから、普及と促進と実際のものを推進して行くためには一番効果的じやないか、三カ村か五カ村に一つくらい耕耘機があつたからといつて、これは私は大した問題にならないと思う。若しそういうものが計画せられまするならば、さつき北さんが言われるような酪農の機械を据付けて、酪農の取扱をも加味して行かれるとか、或いは簡単な油搾りの機械を使うとか、澱粉の機械を使うとかいうような家庭的なものに使うものまでもここで一緒に講習を受けて、そういうものを備付けられることはできると思うが、総合して参りまするならば、分散して変なものを幾つも幾つも方々にたくさんこしらえてしまつておくことは私は非常に損じやないか、こう考えまするので、その点は如何でございますか。私はこれは結局しまするならば、機械屋が造り過ぎたぼろ機械を法律によつて一応買上げて、一年くらいにやるんだからといつてばらばら撒いてしまう、持つて来て見たがこの土地に合いませんと、こんなふうになりやしないかというふうな危険が、先ほどの御説明を伺うとどうも河野さんではないが考えられてかなわない。本気にやるならそれくらいのまじめなものをやりますれば、十八億というのでしよう、相当のものが私は考えられると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/79
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080・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 今の問題でありますが、その展示をしたり、普及或いは指導したりする拠点というものを三カ村で一カ所くらいずつ作るというような行き方がいいか、或いは県を三つくらいに分けて地帯別に作つて行くがいいかというようなことは、この法律のあとの運用の問題になつて来るわけであります。お話のような点も確かに一つの考え方でありますし、この法律が通りましてから、あとでも結構だと思うのですが、私は農林当局にそういう点は十分考えて頂いて最も効果的に一つ運営して頂く。なけなしの予算で本当の雀の涙ほどの予算しかないものですから、いろいろ知恵はありますけれども、なかなか実際実行できないために、こういつたような悩みにぶつかつておるわけであります。お話のような点を農林当局の実際の運用に任せて行くようにしたらどうかと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/80
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081・清澤俊英
○清澤俊英君 総務部長が先ほどおつしやいました五ないし三カ村単位の普及員の線で配給するのだというのは一つの理想案であつて、只今遠藤さんが言われたようなことが、若し効果的であるとするならばこれは変更して行くことにやぶさかでない意思をお持ちになるか、局長からも聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/81
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082・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) それはやぶさかでございません。大体新らしく入りました耕耘機等につきましては、農民が全然知らないし、又普及員も手に持つて扱つて見たことが全然ない。而もいろいろな庁さによれば、その入り得るというふうな見込のある地帯は相当あるわけです。そういうところには、先ず農民が自分達の判断でそういう機械が使つて見たいという意欲が起り、或る程度扱つて見て、これならもうちよつと改良されれば自分等のほうも使えるとか、いろいろな意欲が出る、それから又普及員のほうにも、それにマツチして農民の意向が反映するようなことが普及上も指導上もやれるような力を付けておいてやるというふうな意味で、啓蒙的な意味で入れておく。台数も非常に僅かであります。ですから、それは本当の機械化の端緒を作り、地盤を先ず固めるというだけのことでございまして、まあそういうふうな趣旨から言えば、県のほうでこの地帯ではこういう種類の機械がよかろうというふうなものを選んでそれを補助して置かれる、こういうふうな考え方になつております。もう普及事務所に一つずつ備付けてしまつて、全国どこでも同じようにやるんだという機械的な考えでやつておりませんし、そういう趣旨で運営する、最も効果的になるようにやつて行くのがいいと思いますので、今提案された遠藤さんからのお話のような方向で私は運用して参りたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/82
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083・清澤俊英
○清澤俊英君 それでお伺いしますが、相当普及している地区がありますれば、そういうところにはそんなものはなくてもいいのだ。だが併し、そういう今言うたような恰好で普及員のおるところに一台くらい付けるという予算は、その県へその率で大体分けてもらえるのでしようか。県によりまして、大体個人も持つている、又部落単位くらいに持つているというくらいに、一つの耕地を見ましても数台の耕耘機がたくやつている、岡山県のごとき故人でどんどん買つて方々で使つておるというようなところまで行きましたら、そういうところは要らないというのでやらんということになるのか。それともなお一歩そういうところは研究するために普及員の出張数によつて或る率の予算を県ごとに分けて頂けるのか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/83
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084・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 現在は非常に僅かな額でございまして、各普及事務所に全部備付けるなんということは相当な期間がかかりませんとできないくらいな僅かな額でございます。勿論有効なところにだけ備付けるという形をとつております。県のほうの判断によりまして全然入つていない地帯のほうが先ず大事だと思われれば、そういう地帯にやりますし、一部入つているけれども、本当の一部であつて、五カ町村なり、六カ町村なりを管轄している場合に、ほかのほうにもやはり示してやらないと、伸びやすい地帯なんだけれども伸び得ないというような判断があれば、県の要求によりまして、そういうこともやり得るようにいたします。現在のところは全部の普及事務所に行くというようなことは到底予算額としては許されておりません。非常に啓蒙的な意味で一部出しておるということで、県有とか、それから農民のほうから、先ほど北委員からお話がありましたように、いいものを選んで、それで購入をしたいというふうな場合の金融の措置を、できるだけ多額な経費で円滑にしてやるというふうなことが本当の推進の中心になる。それも補助手段として普及事務所におくというふうなものが考えられて然るべきだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/84
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085・森田豊壽
○森田豊壽君 農業機械化促進法案というものは誰しも異議のない問題であります。要はこの狙いはここに書いてあります通り、初めの検査とか、或いは資金の融資だとかいうような問題は、それに伴つて起るところの問題であつて、ここに書いてあります通り、農業の生産力を増進することであつて、農業経営に寄与するということが結論でなくてはなりません。それには一体局長はどこの土地にはどういう機械が一番いいか、例えば耕耘機で言うならば、庄内地区ではどういう耕耘機が最もいいのであるか一農家がいろいろな面で躊躇しておるが、一日も早く食糧増産を目指しまして生産力を増強して参りまして、一日も早く機械を使わして農民の労働力を節約し、生産力を増強して行くことが必要であるということになるならば、先ずその機械をその地域へ持つて行きまして、それを大いに実際にやつて見せまして、その土地でその効果を挙げてもらうことによりまして、購入意欲を増し、又機械を購入する気持にもなりまするし、従つて農業の機械化も促進すると思うのであります。ただ検査や何かして商人の販売を宣伝させるようなことに関連いたしまして、そこに検査の不正や不純が起きましたり、検査しているうちに又いい機械ができたにもかかわらず、それにこだわつて前の機械を推奨することがありましたら、これは農民のためになるとは言えないと思うのであります。而うして現在は日本の農業には機械が適しないと言つておりまするけれども、そういう適するようないい機械ができておらないということが結論だと思うのでございます。できておつたならば農家は機械化を決して拒んでいるものではなく、是非使いたいが恰好の機械がないから使えないということが農民自体の本当の考え方だと私は考えておるのでございます。物を売るために機械化の宣伝をして見たり、又そういう中小企業メーカーの手先になるようなことがあつたのでは、これは非常に農村の生産意欲を長い目で見て阻害するものでありますから、機械が悪かつた場合には、もう再び買わないという気持になるわけであります。従いまして、そういういい機械があるかないか、今できておるかできていないか。又こういう地方にはこういう機械ならば間違いない。同じ耕耘機をとらえて見ましても、砂地のところにはこういう耕耘機、或いは礫土にはこういう機械というように、そういういい機械がありましたならば、それを直ちに農林省は先ず第一番にこれを宣伝いたしまして、実行に移しまして、ただ文書や何かで宣伝するのではなしにやつて見せまして、それこそそういうところには技術の優秀な人を連れて行きまして、そういう機械を使つて見せるということでなければ、ただ資金を融通するの、やれ何だのと言つたところで、これは直ちに促進されるとは思いません。又このことは非常に重要でありますから、直ちにやらなければならん問題だと思うのでございます。直ちにやるのだとするならば、いい機械があるかないかということを聞かなければ、ただ機械屋の研究心を増すためにこういうことをやるのだという結論にもなるのであります。この点どう考えるかということ。それから逐次御質問申上げたいと思うのでございますが、そういう機械を先ず第一番に農林省自体が見まして、これならば間違いない、又地方で使つているところを見ても間違いないというものがありまして、これを各地に宣伝しよう、土質やいろいろな関係もありましようが、それに適するようなところならば一つやらして見ようというような機械があり、まだそれを使つていないようなところがあるとするならば、先ず第一番にそういう機械があるかどうか、耕耘機に限らず、それは一つの例でありますが、この機械ならば今のところ間違いないという機械がありましたならば、それを先にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/85
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086・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) おつしやるところは非常に大事な部分だと思います。数年前におきましては非常に機械メーカーのほうも農業の知識を十分持合せず、又農家の要求というふうな本のが地帯々々によつて非常に変つて来るというふうなことが十分理解できなかつたために、非常に思いつきで以て割合に優秀で取入れられるというようなものを、それ以外の条件の地帯に売込むというふうな結果もございまして、各土壌、各農業経営の特色に応じて最も適合したような機械というものを、おのおの特色を持つたものを変化した形で作つて行くというふうな方向が弱かつたわけでございますが、ここ数年間においては相当そういう点で機械のメーカー、農民との間の交渉というか、関係が深くなりまして、それで逐次地帯々々に適合したというふうなものができて来ております。それですべての地帯に、この地帯はこれで以て完全だというふうな段階にまでまだ行つているとは申せない点であり、今後改善する余地も相当ございますが、現在の段階では今までの耕転方法を守つているよりも、そういう機械を入れたほうがより農民のためにはいい。又数年後にはよりいい機械ができて来るかもわからないというふうな程度の機械は相当数できております。そういうふうな点の判断等につきましては、どうしてもメーカーのほうと農民のほうとを十分結び付けまして、農民の要求がメーカーのほうに十分反映していい機械ができるようにという方向で機械化が促進されるような機構も必要なわけでございまして、それらの関係を結び付けるというふうな意味で、議会至るとか、いろいろな普及上必要な点に対する助成であるとかいうふうなものを予算としては組んで参つて、その間の結び付きを緊密に進めて行きたい。こういうふうに考えておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/86
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087・森田豊壽
○森田豊壽君 私の質問が何だかぼけてしまつたようですが、私は現在におきましては、この地方のこういう土質に対してはこれがいい、又こういう地方にはこれがいいという機械がありましたならば、こういう機械があると言つてただ宣伝や何かするのではなくて、宣伝ということは、現地においていわゆる指導、宣伝をしてもらうということをやつて頂かなければならんと思う、先ず百聞は一見に如かずでありますから、見せてやるということが私の考え方であります。而してこの機械化促進法なるものは機械が優秀なものができることが促進法なのであつて、機械が悪かつたならば如何にやつても促進はできないのであります。農家が機械を作るのではありません。従いまして、その機械の立派なものを作る、最も適合したる機械を拵えてもらうことによりまして促進ができる。ただただお題目ばかり幾ら掲げましても、機械がそこに適しておらなかつたり、又機械が進歩しておらなかつたら促進はできないと私は思うのであります。この点に自信があるか、これをはつきりして頂かないと、下手にこれを指導いたしまして、国会なんかもこの促進法を通してやつて見ましても、悪い機械で使えないというふうな状態になりましたならば国会の恥辱であります。議員といたしましても、そこはよほど自信を持たなければなりません。ただ話だけでいい機械が相当できているよということだけでは、中には成るほど今の機械はよかつたけれども、そう始終使うものではなくて、あの機械を買つておくことは現在の我々としては堪えがたいことで、むしろ自分の農業経営、農家経済の上から言つたらやり切れない。先ほどもいろいろ御意見がありましたように、共同でやるとは言いながら、協同ということなかなかこれは口で言うべくして行われがたいのであります。又機械の保存その他なかなか実施できないのであります。あなたのほうにこの自信ありや。この機械化に対しまして、先ほど第一に申上げましたように、こういう地方はこういう機械ならば間違いない、よつてこの促進法によりまして資金を融資しよう、又このやつには立派な検査保証をして、農家にやらせるならば、こういう機械とこういう機械があるということによつてやりませんと、漫然と農業機械化促進法というふうなお題目を唱えたら誰も不賛成な人は一人もありませんが、やつたらばまずかつた、指導の仕方がまずかつたということになると、それでは農家に対して不経済であり、又生産に影響を及ぼし、生産意欲を阻害することになりますので、それはよく研究しなければならんと思う、その確答をして頂かないと私どもは決心が付かない。その自信があるのか。どういう機械とどういう機械に、どれもこれもやる必要はない。どういう機械とどういう機械は現在においてはこのくらい進歩しているということをはつきりここでおつしやつて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/87
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088・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 農民のほうの案もいろいろな作業に亘りまするし、それから、できるならば先ほどもお話のありましたように、あらゆる作業に使いたいというような要求もございます。それでそういうような関係からして、それに連れてその作業機械等についてもいろいろ工夫を要するところもあるわけでございまして、今現在具体的にこの地帯にはこれがいいというふうなことを断定的に政府できめて、それでそれのみを奨励推進して行くというふうな段階にまで固まつているような状態ではありませんが、併しながら農民が現在やつているものよりも、それを入れたほうがよほど経営が改善され、裏付ができるとか、いろいろないい条件が生れて来るというふうな意味で、これは進めて行つていいと、こういうふうな程度のものはたくさんできているというふうな段階でございます。それでこの検査等におきましても、奨励的な意味で、この会社のこれがいいのだというふうな意味で政府の意思を集中して、或る会社の農機具というふうなものの奨励に向けて行くというふうな形はとつてないわけでありまして、そういうふうな選択とか、判断というものは飽くまでも農民の判断に待つ、併しながら農民が間違つた判断をしなくてもいいように、又できるだけ早くその判断ができるように、政府のほうとしてはそういう機械化が促進するような方向でできるだけ援助をして行くというふうな意味で、検査であるとか、或いは普及であるとかいうような点を考えているような状態でございます。例えば今新潟の粘土の地帯にはこれがいいとか、山形であればこれがいいとかいうふうに、機械を挙げて決定的なお答えをするというふうなやり方をやつておらないものですから、そういうふうな点について今はつきりと機械の名前、会社の名前、その地帯というふうなものを申上げる段階になつておりません。或いはそれば技術官の、今までそういうふうな仕事をずつと続けておりまして、各地を廻つております専門家の判断としては多分これがいいだろうというふうなところは申上げられると思うのでありますが、今政府として公式にそういうふうなことを申上げるというところまでは進んでおらないという状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/88
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089・森田豊壽
○森田豊壽君 余り強く機械の名前から会社の名前まで言わせることはどうかと思いますので、そのくらいでこれは追及しませんが、そういう機械があるという自信だけはおありのような御挨拶でございますので、そういう機械がありましたならば、例えば粘湿土のところであればこういう機械というふうに、耕耘機を一つとらえますれば、そういうふうにしてそれを実際やつて見せて、こういうふうだがどうだというふうに先々でやつて見せまして、そうして農民にそれを見せて買う意欲を増させるようにするのでなければ、ただ資金を貸すから、こういう機械だから買えといつて、結局機械化ということが機械屋の売り込みの先棒だか、後押しだか知りませんが、そういうことになりやしないかということを私は憂えるのであります。どの機械なんと言つていないで、その機械を黙つて持つて行つて、この機械なら大丈夫だがどうだといつても、それでは駄目だ、やつて見なければわからない。私はこの機械化促進法というものは、三年、四年経つたらどうか知りませんが、今の機械の状態では農村の機械化を促進させるという自信を確実に持てない。それは六割や七割は持つておりますが、全部は持てないという恰好であります。又機械化さしたいということに不賛成な人はこの中に決してないと思います。そこに自信がないというと、農民の代表者としてお互いが立つて行く上におきましては非常に困るのであります。私は地方におきましても、機械屋の宣伝に乗りまして、悪い機械を勧めて非常にまずかつた場合もあります。自分が使つたものではないから、これは相談してやつたようなものの、やはり使つ見てるといろいろなところに故障が起きたりしてまずかつた場合があるのであります。従いまして、この問題についてはそういうことをやることが、農家に対してやはり農業機械化を促進させることになるかも知れませんから、それをやる意思があるかどうか。ただ宣伝ばかりでパンフレツトを出したつて駄目なんで、実際にやつて見なければならない。先ほど白井さんがお話したように、ずつと庄内地方なら庄内地方をやつて見て、それでこれならどうだというようにする意思があるか、又そういうことをやつて行くつもりがあるか。それから初めてそこで資金を貸したり、共同で二、三人でどうだという話が持ち上ると私は思う。そういう気持があるかということをはつきり伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/89
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090・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 今のお話は全く現在の段階では大事な部分でありまして、これは農林省においても府県のほうと連絡をとりまして、それで或る地区では耕耘作業をやつて見せる、農民のほうの意識の進んでいるところで判断力のあるようなところに持つて参りまして、それで各メーカーのほうから、それに自信のある機械を持つて来て、何月何日ここで競演会をやつて農民の判断を見て、そこで改良すべきものは改良するし、農民がすでにこれなら使えるという判断なら、或る程度の宣伝にもなるから、県のほうで斡旋してそういうふうな競演会式のものをできるだけ各地でやるようにしております。あちらこちらでやつておりますが、まだ予算その他について十分なものはとれておりませんけれども、今までもかなりやつておりまするし、私も数回そういうものに、まだ一年にしかなりませんが、立会つておりますから、そういうものをできるだけ拡めて、それで農民のほうの要求とメーカーのほうのそれに対する改良の意欲というようなものを、十分意気が合致するような形で進めて行くというふうなことが一番大事なことだと思います。現段階においては一番大事なことだとこれは私も同感でございますし、できれば予算等においても、そういうふうな点が円滑に行くように努力いたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/90
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091・森田豊壽
○森田豊壽君 今のお話で気持はよくわかりました。そうすると、例えば静岡なら静岡でそういう機械を買つて頂きたいという農民のほうからの希望があつた場合、今塩見さんのお話のあちたような農民からやりたいということの申込みがあつたとき、最も適応したものを農林省はそこでやつて見せてくれる、或いは試験場なり、何かありまして、そこと連絡してやつてくれるということになるわけですね。それをやつてくれないじや、幾らこの法案を作つても促進じやないですよ。そういうことをすぐ申請がございましたら、半月か、一月ぐらいの間に時期を失しない間にやつて下さるという御意思があるか、そういうようにするつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/91
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092・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 農林省が直接やるというふうな形式ではなくして、やはり普及その他の仕事は府県のほうでやりますので、府県のほうに申込をし、府県のほうでやりたいという気持があれば、私どものほうに連絡し、我々もやはりそれだけのことはやるし、又紹介もいたしますし、農林省のほうも専門家をやはりそこに派遣しまして、できるだけそういうふうなところで自分たちも勉強するし、農民の状態も地帯々々で異つておりますので、できるだけそういう点で技術官も勉強したほうがいいので、そういう点で斡旋するというような形で進めて参るのが必要であります。又それのための予算的措置というのが十分ないために、各地から要求があつてもそう回数が開かれないなどという欠陥は今度の予算上においてはあると思いますが、これはできるだけそういうふうな部分に許可してとつて、それで農民とメーカーとできるだけ結び付けて、よりよいものができるような形に進めて行きたい。これはもう一つの普及の第一歩でございますから、一番大事な部分ですから、そこには相当力を入れて参らなければならんと思つております。私も二、三年前からその問題で同じことを痛感いたしておりまして、そこには非常に力を入れたいと思つておりますが、現在の予算の状態は少いのでありますから、各村々々で要求された場合に十分にそれに期待できるような、そういう競技会式のものができるような形に行つておりません。その部分はできるだけ努力してやつて参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/92
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093・河野謙三
○河野謙三君 今の森田さんの質問に関連するのですが、そうすると、検査の条件の中にはその機械を単に検査員が書類検査であるとか、現物を見て立会うという検査に終らずして、実際に当該府県の試験場若しくは農民の立会の下に実地にそこで使用して見て、そうして耐久力その他を検査して、そうして初めてそれと書類審査をして符合した場合に適格である、若しくは不適格であるということをきめる、こういうわけでありますか。検査の条件は今お話のように、現地において実物を試験する、同時にその場合には当該府県の試験場若しくは農民の代表者に立会わせる、こういうのが検査の条件になつているのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/93
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094・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) おつしやる通りに、ただ書面とか、その機械を見るだけではなくて、これは農業のあれですから、要求に合致するかどうかがその大事な点で、現物を、ただ機械を見ただけできまるものじやない。はつきりそれは必ずしも計数的に機械を動かしていいか悪いかということが出ないわけですから、これは飽くまで現場で動かして見まして、それで運用の仕方で非常に人間が力がかかつてくたびれる。或いは燃料消費が案外多くてコストが合わないとか、それはすべて現場でやりませんと、本当のそういう価値というものは、今のじやそれを計量する機械、そういう複雑な機械がないわけでございますから、どうしても現場でやらなければならない。この機械はこういう土壌のところでやる必要がある。そういうふうな認定をいたしますれば、その場所へ持つて行つて全部出て来る。それで現場で動かして検査するというような形できめるわけであります。一定の基準以上になればこれは合格させる。それからあと合格したものの中でどれがいいかというようなことは農民の判断に任せる。併しながら非常に燃料消費が多い。使う人間が二時間もやつたらへとへとになるというようなき会であるとか、いろいろな欠陥がありますれば、これは一定の基準から落してそれで合格させない、改良する。こういうような形で、最後の判断は農民のほうの選択に任せるというような形をとつておるような検査方式でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/94
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095・河野謙三
○河野謙三君 そうしますと、すでに今お話のような趣旨でこの運用上の検査規則と申しますか、検査基準と申しますか、こういうようなものはもうできておりますか。若しできておりますれば、この法案審議に非常に関連が深いので、参考資料として見せて頂きたい。こう思うのです。それからこれは関連じやありませんが、一点だけ附加えてお尋ねしたいのですが、仮に耕耘機なら耕耘機が、甲の会社の耕耘機が合格品という場合に、この合格品の製作というものは他のもの、甲以外の乙、丙の会社の製造は認めないのですか。そこらのところはどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/95
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096・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 検査の基準はできております。それは後刻提出をいたします。それから合格した場合にほかの会社が作つていいか悪いかということは、これは先ほどお話のありましたような特許権の問題になりますわけで、特許になつておるものはこれは使えないわけですけれども、そういうふうな性質ではなくて、まあ調子だとか、程度だとかいうほかのものがございます。そういうふうな部分はこれは特許でなければほかの会社も使える、こういうふうな手立てで、この法律で特にそういう方面を独占的にさせるという形にはなつておらないので、飽くまでもそれは特許法の関係にだけに限られておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/96
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097・河野謙三
○河野謙三君 そこで特許の問題ならできないが、そこで特許の問題なら信頼できる会社、而もその会社だけだということになるのですが、そうでない特許品以外のもので合格品が出ますと、他の会社で作つても検査はするでありましようけれども、誰でも作つていいということです。それに対して農林省が局長なり本省で全部やるわけじやない。一体そういうことについて監督ができるかどうか。これはやつぱり機械といつても精密な機械になれば対外信用問題だと思う。そこに特許というものの値打があるわけだ。それをそういうふうに誰でも作つていいのだ、どんな田舎の工場で作つてもいいのだということになると、それに対して私は責任ある指導ができるかどうか疑問に思うのですが、むしろそれは私はこの際進んで特許ではないけれども、この合格品についての製造の指定工場というようなものでも農林省は進んでこの法案の中に盛つて、指定工場として、或る幅できめたらいいじやないか。私は提案者に対してそう思うのですが、この法案について、ただ誰が作つてもいいのだということは危険ですよ。農林省なら農林省の改良局の指定工場ということにされたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/97
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098・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) それはやはりほかの類似品と同じように、そういう信用のあるメーカーのものは商標等においてそれで販路が広まつて行くわけでありまして、脱穀機であるとか、籾摺機であるとか、そういうふうなものもやはりそういう競争において特許のあるものもあれば、ないものであつてもやつぱりいいものは売れて行く、一時はたしかにおつしやるような意味で農民が十分な判断力を持たないために危険にさらされるということもあるので、我々も十分注意をしなければならないのでございますけれども、余りに役所のほうが本当の農民の使用者のほうの立場に立つて十分の判断ができないのにかかわらず、これがいいとか、悪いとかというような形を最後的にきめてしまいますと、これは農民のほうにとつても、メーカーのほうにとつても改良発達上マイナスになるような危険もございますし、先ほど申上げましたような程度で検査も押えるというふうな形で、あとは何々会社の何々型というふうなものにして、こういうふうな規格なり、検査の証明が附されるわけですから、それはそういうふうなものとしてマークを付けてその会社としては売出すというふうに思われます。それですから特許のある部分は特許権という形で保護されるし、商標のほうではつきりと保護して、自分のほうとして十分な信用のあるものとして、他のメーカーなり会社のもので自分の信用を落されないというふうたことが必要であれば、その会社の商標なら商標というふうなものによつて一般的に保護されるというふうな形態を今考えておりまして、今特殊な制度は現在は考えておらない、こういうふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/98
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099・河野謙三
○河野謙三君 それはあなたのほうで、農林省として一方的にきめることについて躊躇されるならば、審議会に諮つて、そうして或る一定の信用その他設備等に一つの条件を設けて、この条件に当てはまつた工場だけにおいて作らせるというふうなものを作られたほうが、私はあなたのほうが責任を持つにしても非常に気持が楽になるのじやないか、こう思うので、そういうことを躊躇する必要はない。特許の制度と同じものだから、特許に準ずるようなものだから、従つてそれらの合格品から見て更に改善して、次から次へともつといいものを研究させるという意味から、あまり誰が作つてもいいということになれば張合いというものが出て来ない、奨励という意味も含まれて来ないから非常に結果的に私はまずいと思う。そういうことを私は躊躇される必要はないと思います。これは責任者なり、局長なりのほうで十分お考えになる必要があると思う。将来の運営上非常にこれは大きな問題だと思います。どんな町工場でもかまわない、設備がどうであろうが、似たものは誰でも作れます。そこは十分一つお考えになつたほうがいいのじやないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/99
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100・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 私のほうで考えておりますのは、やはり合格証と、そういう商標なり何々会社の何々型というふうな形で奨励して参つて、あとのいろいろ先ほどからお話のありました競争会社でやるとか、試験場でのいろいろな普及上の農民からいろいろ相談があつた場合の返答であるとかというふうな形を十分措置できれば、いいものはやはり伸びて行くような形で進められるのではないか。私もいろいろ機会を見て参りましても、例えば一つの型というふうなものは数会社で競争してやつているというふうな、或る機械に対して三つなら三つのいういろいろなやり方があるという場合に、AならAのやり方のものを三つの会社でやつている。Bは五つの会社で競争が進められているというふうな形のものがたくさんございます。これはやはり競合よつてどんどんいいものができて来るのであります。その大部分というものを独占させますと、いいところ同士から取入れて、よりいいものを作つて行くというふうな場合に障害になるような危険もございますしいたしますので、その点はやはり特許になるようなものはやはり特許として、これは農民が使う場合には、それだけの研究をして、それだけの価値があるのだからその金を払うのだ、成るほどそれはやはりお互いにいいものはまねし合つて競争して行くというふうな形で進めて行つても無論目的は達成できるのじやないか。おつしやるような意味で確かにいささか隔靴掻痒のところがありますが、役所で技術家をずつと集めて、審議会でこれが一番いい、こう確定して猛烈に推進して行くというふうな行き方もありますが、現在の形では農民のほうにも間違つたメーカーのものを買う危険がちよつとある。こういう危険が考えられる。やはりそういうやり方にも一長一短はございますので、やはり改良して行く過程に今あるわけでございますから、できるだけその幅は自由に持たせながら、農民の判断力を養わせるような形で取捨選択して行くような形で進めて参りたいという建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/100
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101・河野謙三
○河野謙三君 これは勿論一長一短はありますけれども、もう一つ、今こういうようなことについて或る生産工場を制限して行きませんと、例えば耕転機の場合にこれが合格品としていいとなつても、一年で五千も一万もできるわけじやないから、そうしますと全部作つても二千台だ。それが十五軒も二十軒も五十軒ものメーカーに分れるということになりますと、これは結局コスト高になりますよ。だから私はこれは独占して一軒でいいとは言いませんが、信用力若くは設備能力のある、規格にはまつた工場を指定して、できるだけその範囲内において集中生産をさせることによつて、農林省の監督の下にコストを下げるということはこれは大事なことだと思います。機械の普及のためにも、幾らいいといつても高くては駄目だ。それじやどうして安くするか。もともと全部合わしても五千も一万もあるわけじやないから、そういうようにして如何にしてコストを下げるかということも機械化普及促進ということが大きな眼目だと思います。その眼目と手段を照し合せて考えると、今私が申上げた手段も躊躇されることなく考えたらいいと思います。局長さんも民主主義で遠慮しておられるのじやないかと思うが、役所が指定工場だやれ制限だということをやると官僚的だというような非難が高まるものでありますから、そういうことを遠慮しておられると思うのでありますが、私はそういうふうにして如何に合理化して安くするか、何如に正しいものを普及するかという観点から一つ枠があつていいと思います。これはここであえて答弁を求める必要はないと思いますが、そういうことについて躊躇なく一つあなたのほうから案を出して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/101
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102・鈴木一
○鈴木一君 先ほどの森田委員の御質問に関連するのでありますが、私は自分で十数年間農機具を扱つている関係から、そういう体験から申上げますと、それは非常に甘いということになるかも知れませんが、私としては、現在のところ耕耘機なんかに例をとつた場合に、殆んど今実用の段階に来ております。即ち取扱いメーカーを選定いたしまして、それは積極的に奨励して扱つているわけでありますが、果してそれが本当によくなつたかどうかということまで丹念に調査してやつているわけでありますが、どこでも大体実用の段階に来ている。ただ惜しむらくは金がないのだ。買うための金がない。もう少し政府のほうの融資とか、助成とか、そういうものがあればもつと普及するというふうなところまで来ていると思うのであります。ただ併し今の品物が完全なものであるということは勿論これは言えないわけでありますが、最初から完全なものはあり得ないし、飛行機にして見たところで、今でこそ汽車より安全だと言つておりますが、ここまで来る間にそれぞれの犠牲もあり、過程もあつたと思いますから、需要をうんと多くして、まあ価格も安くして生産を高くする態勢に持つて行くようにすることが一番大事だと思うので、一番必要と思うので、自由党が政府与党でありますから、森田さん、もう少しそういう予算をたくさんとるような措置を願いたいと思います。これは政府に答弁を求めるみたいなものですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/102
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103・森田豊壽
○森田豊壽君 只今鈴木委員からもお話がありましたが、この農業用の機械ほど私は進歩していないものはないと思う。ほかの機械は終戦後におきまして相当日本の機械は発達いたしたように考えられますが、併しながらこの農業用機械に対しましては売れないからでありますか、それともどういう関係でありますか、ばかにこれが進歩しないということが現状であります。農家自体から行けば何か早くいい機械ができれば、それに飛びつきたいということで待ちに待つているところだと思うのであります。買つてみても誠に適していない。特別に研究的にやる人は別といたしまして、そういう恰好だと今までは考えております。只今鈴木君の長年の経験によりましてのお話のようでありますれば成るほど結構であります。今の段階においては結構だといたしましても、他国の農業に比べて日本農業がこれと競争して行きます上におきましては、やはり小さいのは小さいなりに機械力によつてやつて行かなければならないことは言うまでもないのでありまして、向うの農機具は、或いは農業用機械は非常な発達をしておるにもかかわらず、日本の農業用機械と申しまするか、これが非常に遅れているということであれば、農業そのもの自体が遅れるという恰好になると思います。この点に対しまして、検査とか資金の確保とか、農機具の改良並びに普及に資しとか書いてありますが、これは機械のいいものができるということが前提でなくてはならないと思うのでありまするが、機械がよくなくて機械化を進めているというところにどうしても矛盾があると思うのであります。機械のいいものをこしらえるということに対しまして、日本の農業用のすべての機械が非常に遅れているという感じをお持ちにならんか。又お持ちになつておるとするならば、これをもう少し進歩させるには中小企業としてやつておりまする農機具業者、農業用機械業者に対しまして何とか政府はその措置をとりましてやつて行かなければならん。こういう機械のいいものをこしらえてもらうことは農業者の利益になるのでありまして、そういう機械を助けることは結局農民の利益になると私は思うのであります。そういうことに対して農業者は何らの異議はない。又それが農業生産に寄与することでありますれば、ほかの工業に対して政府は多額な低利資金を投じたりしておりますが、これに対してもそういう場合には指定工場にすることも結構でありますが、そういうことに対してやはり措置することが結局農民のためになると思うが、それに対する考え方はどういうふうに考えておられますか、それに対する措置としてはどういう方法をお持ち合せでございましようか、それを聞かせて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/103
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104・上林忠次
○上林忠次君 ちよつと関連して……。日本の現在の農業で一番遅れているのは農機具、大農機具、こういうような機械の点じやないかと思うのであります。耕種とか、育種とか、そういうものは進んでおる、それに比べて農機具のはうは相当遅れておる。現在の小農を覧ましても一食おのおの昔から使つている伝統的な能率の悪い機具を使つているのであります。これが農業生産の大きな阻害をしておると私は考えておるのであります。今問題になつておりました大農機具或いは中農機具類、これにつきまましても果して日本の土壌或いは日本の地勢、これに適した農機具の改良ということを考えているか、研究しているかということを考えまするに、恐らく農林省でも余りこのほうには金も使つておらないという現状じやないかと思うのであります。先ほどからもお話がありますように、この農業機械化という問題を前に控えまして、日本に適した農業機械の研究、このほうの試験研究に最も金を出さなくちやいかんじやないか、或いはメーカーのほうに少しでも補助を与えて一刻も早く日本に適した機械が創製されなくちやいかんじやないか、その方面に殆んど政府の力が尽されていない。この機械化に対する金融関係、この問題も勿論結構でありますが、もつと国の研究所において、或いはメーカーの面において、この機械化の促進を図るように、又機械の改良を図るような措置がとられなくちやならないのじやないか。先ほどの森田さんの御質問に附加えまして、政府の御意見、どういうふうな将来のお気持を持つておられるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/104
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105・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) 農業用の機械についてはおつしやる通り非常に遅れておると思います。それから各地方地方非常にばらばらなものがあつて、本当はよりよいものに統一できるものがたくさんあると思います。過去においては機械メーカーは一定の技術者、一定の学校を出て相当な科学的な知識や経験、研究の力や実力を持つておるというふうな技術者を持つておる会社というものは、農機具のほうはそういうふうに地方々々でばらばらであるし、余り作つても経済的に引合うというふうな感じを持たなかつたために、どうしても中小メーカーにそれが譲られておる。大きいところで一定の学歴を経、一定の研究或いは機械の改良をやつて行くための実力を持つておるというふうな会社は、どつちかというと化学工業であるとか、繊維工業であるとか、或いは兵器であるとか、そういうふうな部面のほうへ集中してしまつて、農業のほうは余り顧みられない。戦後になつて或る程度いいメーカーが相当こういうほうに着目し出して来たという形で、現在はこういう促進法で狙つておるような機械は、名前のいいか悪いかは別としまして、一流会計が相当進出して来ています。機械については時間がたつに従つてそういうところは改良のスピードもあり、名も売れて来て農民のほうへも浸透して来るというふうな形態になつておるわけでございまして、この傾向はどうしてもそれを育成助長して、その形でいい機械を作らせるという方向に伸ばして行くべきじやないか、こういうふうに考えておるわけでございます。農業のほうでかなりむずかしいのは、どうしても農作業の機械になりますと、農民のいろいろの労働上の要求であるとか、土壌の要求であるとか、殊に水田の場合でありますと、いろいろ水の関係等の要求が加わつて来まして、全国画一的に行かない場合もかなり多くて、場所々々で変つて行く。メーカーのほうもそういうほうで苦労が多いわけですが、こういうふうに機械化の要求が出て参りますと、メーカーのほうでもそれに合うような機械を作る。そういうような農業上の要求というものをメーカーにより早く伝え、そうして先生たちが何をすればいいかということを早く理解できるように、農事試験場なり、普及員というものが間に介在して、いろいろ斡旋してやれば先生たちとしては非常に便宜で促進されるわけで、そういうふうなことを今一番方を入れてもらわなければならん、こう考えておりまするけれども、北委員からもお話がありましたが、やはり農林省あたりの試験場ではどうしても本当の純粋の機械技術者でなくて、どちらかというと農業のほうから出て機械をやつているというような人が中心になつているのであります。新らしい機械を作つたりするのは、やはり本当の機械技術者というものが農業をこなして、そういう人たちとよくタイ・アツプして研究しませんといいものができにくいという点もありまするし、これは実業化、経済的な問題もあつて、やはり生産者が本当にその気になつて来れば一番いいわけであります。それらの点につきましては、生産力の点につきましては農林省だけの問題ではなくて、どうしても通産省とも所管上関係があるわけであります。そういう点につきましても大事な点でありまして、我々のほうも僅かな研究費は持つておりまするが、これは相当使途が限られております。通産省もそういう機械メーカー自体に対する問題を所管している、こういうふうな形になつておりますし、これは提案途中においても、かなりそういうふうな意見も出たのは聞いておりますが、我々のほうも十分通産省等と連繋をとりまして、その点は折角育くまれたそういう大メーカーのいい技術者連中がそういうことに着目している空気というものを伸ばして行つて、できるだけそういうふうな方向で機械が合理化されて促進されるように努力して参りたいと思つておりますが、具体的には十分今後努力して通産省との連繋をとりながらやつて参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/105
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106・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 先ほど来農業機械の試験研究の問題でございますが、もつとすばらしいいい機械をどんどん作らなくちやならんと思うわけです。そこで今度の二十八年度の予算でも二億程度の予算を試験研究に入れて、そしてどんどんこつちのほうの研究を進めて行くようにしたいということで要求しておりましたけれども、結果から言いますと、僅か六、七百万円程度の予算しかとれなかつたのです。けれどもこれはまあ将来の機械化の中心になる問題でありまするから、願わくば参議院の皆さんの御協力を得まして、今度は試験研究をうんと進めるようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/106
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107・上林忠次
○上林忠次君 私現在のこういうような機械化というような、中機械或いは大機械でなく、畜力程度の機械にしましても、本当に日本の農業生産を上げて行くのにふさわしいような機械はまだできておらんので、ああいうような畜力用の機械ですらできておらんじやないか、現在持つておる畜力も有効に使つておらんではないか、これに付ける機械がないのではないかということを痛感しておるのでありますが、理想を言いますならば、農林省の試験場に農機具専門の機械工場を作る、或いは農林省に直属した、自由に農林省で研究できるような民間工場を一つ持つて、これに委託しながら、向うで研究したものを実際に製品に変えて行くという工合にやらないと、日本のような地域では外国の機械をそのまま持つて来ても間に合わないのじやないか、日本独得の機械を作らなくちやいかんのではないかというふうに考えておるのであります。そういうような点についても、一つ政府におかれて十分真剣に考えて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/107
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108・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 現在の日本の農業がいわゆる原始産業の域を脱し得ないと、従つて農民の重労働によつて今日の食糧増産がなされておることは隠れもない事実であります。従いまして、農民が共進会や幾多の機械の品評会等には群をなして集まつておる。それだけに又農民は非常な多額な費用を費やして、この機械のために費用を使つておるわけであります。去年買つたやつが今年は別なやつを買おうと、これは親父に相談しなくちやとても高いからやりきれないというようなことで、機械がとても次々と……、農業経営の面から一番農家として費用が出されておりますのは肥料と機械であります。これが非常な負担になつておる。こういう意味におきまして、日本の実際の農業に適するような農機具の出現を希望することは、私は農民として誰よりも希求するところでありますが、遺憾ながらややもすれば機械屋に儲けられてしまう。日進月歩の今日でございますから、忽ちにして別なものが半年経たないうちにできて、このほうがいい、成るほどこれは確かにいいから、このほうにしようというようなことで、先の機械はそのままもう納屋の隅に煤だらけ、錆だらけになつて寝せなければならんというのが今日の実情であります。こういうことは徒らにメーカーに翻弄されておるというような形でありますから、私は優秀なる農機具を奨励するという見地から、融資の方法や助成方法をとることも当然必要でありますが、農林省として特にこの優秀なる農機具のできたものに対しては莫大な奨励費をやると、そうして年々大会を開いて農機具の審査をするというふうなことになりますると、これは研究費や何かが、農林省自体が厖大な予算をとらなくても、僅かな奨励費で「えび」で「たい」を釣るようなことが十分私は目的が達せられると思います。この審査に当りましては、農林省の技術者がこれに関与することは当然でありますが、農民もみずからその品評に当るというような方法をとりましたならば、私は容易に目的が達せられると思うのでありますが、この機械化促進法の内容を見ますると、農林省は要請によつて機械の検査をするというたけであつて、本当に助成をしてやる、勿論これはメーカーを助成することになるのでありまするが、そういう奨励費用を十分盛つておきますると、勢い各メーカーは競つて研究して、そうしていいものを農民の前に提供しておると思うのであります。そういう意味におきまして、この機械化促進法の内容にも、奨励費を農林省が出すように一つ考えて頂きたいと思いますが、それは可能でありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/108
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109・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 奨励費の問題でありますが、お話のような点は、この原案を作るときにいろいろ問題になりまして、二十八年度の予算においても奨励費を出そうじやないかということで、いろいろ大蔵省とも折衝してみたわけでございます。併し直接の奨励費は到頭成立しなかつたのであります。併し二十九年度においては、何とかしてこの奨励費を皆さんのお力添えによつてとりまして、そうしていい機械を而も安いコストで以て作らして行く。それには資金の融通も勿論必要でありますけれども、積極的な奨励の施策を講じて参りまして、そうしていい機械を安く出させるという方向に向つて、私ども関係議員としましては最善を尽したいということを衆議院のほうでも話合つておつたわけでございます。ただ遺憾ながら二十八年度の予算にはそれを盛ることができなかつたということを申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/109
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110・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 来年度には政府におきましても盛ろうというような意向のようでございますから、私はこの点非常な希望を持つておるわけでありますが、更に私が特にこの際農林省のかたがたに切にお願いいたしますのは、水田の種籾を播く機械の問題でありますが、これを改良されて、本当に例えば二寸平方に一粒の種が播けるというような機械ができました場合には、恐らく私は水稲において一割五分ぐらいの増産はできるだろうと思うのであります。それはどういう意味かと言いますと、私ら百姓が常に如何にして健苗を作るか、本当に丈夫な苗を作るかということは、一にその播種法と施肥の要領にかかるわけでありまするが、遺憾ながら計画的に苗数を作るということにつきましても、大面積の苗代を作ることは容易でありませんから、勢い健苗を作るという面からは、非常な違つた面から厚播きを現在しておるわけであります。これはどこの地方におきましても、農民に聞きまするとわかるわけでありますが、心ある農民は何とかしてこれを解決してくれれば、我々什一割やニ割の増産は立ちどころにやつて見せるのだがというような実情であります。従つて本当に精農家は一寸五分四方くらいに一粒ずつくらいの種を播いて、そうして苗代をやつておるわけであります。これは非常な労力が要りますのでなかなかできません。そこで私らはこういうことは百姓が本当に機械屋に話す機会がございませんから、私が特にお願いしておきたいのは、こういうものは精巧機械でなければできませんから、是非一つ力のある日本の有名メーカーに、農林当局からこういう話があつたが、どうであろうという話をしてやつて行くならば、恐らく日本の食糧は当然異常な増産ができるであろうと私は確信いたしますので、特にお願いしておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/110
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111・北勝太郎
○北勝太郎君 実は農具の問題で一番困る問題は、これは日本の鉄の質が悪いということでしよう。随分私は古くから農具狂と言われたほど農具をいじつておる者なんですが、古いのは三十年以上に亘つて使つているけれども、何でもない、日本製は二、三年くらいで駄目になつてしまう、どうして鉄の質が悪いか、これは日本の材料が悪いのか、設備が悪いのか、そういう点を一つ伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/111
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112・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) おつしやる通りに、殊に戦後のものにそういうものが多うございます、これは鋼材を作るときに平炉でやります場合に、やはり屑鉄を入れるとかというような形を取入れないといけないわけであります。その屑鉄の中に戦時中に銅が相当入つております。どうも日本でできる屑鉄というものの中には、そういう有害成分が多いものでありますから、鋼を作るときにほんの少量入つても非常に結晶割が荒くなつて、素材が弱いものができて来るわけであります。これはモーター等におきましても、殊に農機具なんかにおきましても、耕具なんかにおきましても、切つて刃物になるわけでありますから、非常に問題になるわけであります。そういうような点について欠陥があるわけであります。私も就任して半年でございますが、メーカーに会うたびにその点を聞くわけですが、やはり農機具用として特殊に製鋼したものをもらうというような形には到底進んでいないわけであります、兵器等になりますれば、特殊鋼であるとか、或いは平炉で作る場合に、特に材質を注文するといつたような形で、値段は高くなりましようが、或る程度の要求ができるわけなんですけれども、農機具としては、そこまでメーカーのほうも結集しておりませんし、需要と供給の関係でそこまで行つていない、そこで鉄の材質の問題はやはり日本の材料自体が悪い、それから屑鉄自体が悪い。それがずつと子々孫々に伝わつて行くという、こういう形態になつて行くのでございまして、どつかでこれを切替えなければいかんのであります。銑鉄におきましても、どうしてもコークスが必要でありますけれども、石炭の中に灰分が非常に多いものですから、コークスも非常に灰分が多い。その灰の中から銑鉄の中に有害成分が入つて行くというような形で、鉄の材質については通産省のほうで非常にお考えになつておるようですが、この点については私どもも非常に協力しておるようなわけであります。刃物についてだけでも、モーターの非常に大事な部分、材質を問題にするような部分についてだけでも、特殊な精選された材質のものを選べるような形にでもしないと、全般の鉄の材質を上げるということは大変な仕事になるのではないか、こういうような感じを持つておるのでございますが、直接は通産省の所管になるものでございますから、私らのほうもいろいろ向うの意見も伺うわけですけれども、急速にはなかなか簡単に片付きそうもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/112
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113・北勝太郎
○北勝太郎君 鉄の質の悪いのは今お話の通りですが、それは結局中小企業者に農具の製造承任されておるから、そういうことになる。軍需工業等におきましては、兵器等の製造等は相当いい品物ができておるはずだと思う。そこで今後の製造におきましても、そういう兵器工場等の技術や材料を農具の中に導入する必要があるのではないか。例えば北海道で大きなトラクターを入れましたが、これは始終故障だらけなんです。殆んど修繕費に三十万、五十万かかる、三十万、五十万はいいのですが、それがために一年使えない、実に不経済だ。而もその鉄の質が悪いために二倍くらいの大きさのものを動かさなければならない、半分で済むものを二倍くらいの大きな機械を扱わなければならん、非常に困つておるのであります。農具製造については、是非鉄の質を、いいものを使わすように根本的に一つ考えてもらわなければいかんと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/113
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114・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御質疑があるようですが、ちよつと私から……。明日の衆議院の審査に影響があると思いますので、関連して特に御質問をしておきたいのですが、第四条の融資の問題ですが、これはこの案で行くと非営利法人の共同利用施設になつておりますが、先ほど皆さんの御意見の中にも、個人を入れろという御意見もあり、衆議院では個人を入れるという修正が出るということでありますから、第四条の融資はこれは大体農林中金の自己資金という問題もあるかも知れませんが、主として現在の農林漁業資金融通法の、これと裏腹の規定だと思うのでありますが、そうなつて来ると農林漁業資金融通法の建前というものは、我々が審議した限りにおいては、原則としてはこれは農業協同組合、それからもう一つは共同利用施設というふうに限定しておつて、個人的に融資をしないという建前ではないかと思うのであります。従つてこれをこう直しても、肝心の基本法の農林漁業融資の法律がそうなりませんと、ここに如何に書いても、もう何ら効果が発揮せんということになると思うのですが、その辺をどういうふうにお考えになつておりますか、これは重大な事項だと思いますので御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/114
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115・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) その点はお説のように、農林漁業金融公庫の資金は協同組合でなければいけないということになつておるのであります。ただこつちのほうの資金は金融公庫の資金と中金の資金との二本建で参りますから、中金の資金を個人のほうへやつてもいいのじやないかと思います。そういう含みを持つてこの際は修正しておくほうが、来たるべき二十九年度には、大幅に中金の資金と金融公庫の資金と二本建で、大きく筋を通して行こうということでやつておるのであります。現状は殆んど資金が得られないような結果になると思いますけれども、それでも現在でも中央金庫の資金も若干出て来ますから、それでこの際は行こうじやないか、こういう話であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/115
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116・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) そうしますと、重ねて伺いますが、これは個人対入つても、それは農林漁業金融公庫の金に均霑できないと理解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/116
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117・塩見友之助
○政府委員(塩見友之助君) それはそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/117
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118・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) もう一つ、「国は、農業を営む者が農機具を導入し又は農業を営む者が組織する営利を目的としない法人」と書いてありますが、これは実は農業協同組合ですか、農協が九割以上出資をしている会社は、これはたしか融資の対象になつていると思うのです。これは塩見局長とはこの問題で議論をしたことがあるのですがね、そういう会社ということになると、営利機関であるという先入観で、農業者が大部分これを作つているものであつても、会社ということになると、これはもうすべていかんというような、そういうようなことは、先入観と言うと叱られるかも知れませんが、そういつた非常に考え方が強いと思うのでありますが、特に先ほど北委員等の御意見で、例えば酪農なんかが入つて来ますと、場合によつては農民の資本で会社形態というものを、私は過去においてもありましたし、又出て来ると、こう思うのですが、個人を入れて、個人と非営利法人になると、主として農協が作つた会社というものは一応いかんということになるので、むしろ農林漁業資金融通法の対象をここで狭める必要もないのじやないかと、こう思うのですが、そこはどんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/118
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119・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 只今の御質問の点が、実は明日の委員会で衆議院はきまることになつておりますけれども、まだきまつておりませんが、併しその原案はこういうことになつております。第四条の中を「農業を営む者が農機具を購入し、導入し又は」、こういうふうに修正することになつておりますから、そういう会社の問題なんかもここで一応解決して行くということになります。農業を営む非営利法人と言わないで、農業を営む者とこういうふうに修正の一致した意見になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/119
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120・宮本邦彦
○宮本邦彦君 私は提案者に承わりたいのでございますが、農機具というやつは、実はこれは私の郷里なんかでもそうなんですが、破損しやすいのですね。それで第六条のところでこう一、二、三とあるのですが、修繕に対するサービス・ステーシヨンですね。そういうようなことに対して衆議院のほうで御意見が出ておるということでございますが、何か衆議院のほうで修正案か何かお出しになつておりますか、ちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/120
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121・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) 提案者に御質問と言われまして実は恐縮するわけでありますが、宮本さんはむしろ提案者の筆頭委員で、そこで今お尋ねの衆議院のほうの関係ですが、衆議院のほうで第六条に次の一号を加えるということにしまして、四として、「農機具の修理施設の設置及び運営」、これを一号入れよう、こういうことになつております。大体これは各党で一致した修正案であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/121
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122・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 他に御質疑、本日はございませんか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/122
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123・宮本邦彦
○宮本邦彦君 この法案は大分審議も熱心におやりになつたのでございますが、なお農林委員会にはたくさんの重要法案がありますので、できるだけ早く一つ上げるように皆様にお諮り頂きたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/123
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124・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 只今宮本委員からの御意見もありましたが、本法案の予備審査は本日を以て終了いたしまして、追つて衆議院から送付されまして、本付託の上は多少修正が出るようでありますから、なお御質疑があると思いますが、その上において更に御質問がありますれば御質問を頂いて、それから直ちに討論採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」「予定表通り」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/124
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125・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 大体予定表通りくらいになるかと思います。衆議院の審議の工合から……特に御協力を頂きます。それではそういうふうにいたします。本日はこれで散会いたします。
午後五時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02019530722/125
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