1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年六月二十三日(火曜日)
午前十時二十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 川村 松助君
理事
木村 守江君
高木 正夫君
八木 秀次君
委員
剱木 亨弘君
吉田 萬次君
杉山 昌作君
高橋 道男君
安部キミ子君
深川タマヱ君
長谷部ひろ君
政府委員
文部政務次官 福井 勇君
文部省大学学術
局長 稲田 清助君
文部省管理局長 近藤 直人君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
常任委員会専門
員 工楽 英司君
説明員
文部大臣官房総
務課長 福田 繁君
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本日の会議に付した事件
○国立学校設置法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○教育職員免許法及び教育職員免許法
施行法の一部を改正する法律案(内
閣送付)
○大日本育英会法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○教育、文化及び学術に関する一般調
査の件(今期国会提出予定法律案に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/0
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001・川村松助
○委員長(川村松助君) それでは文部委員会を開会いたします。
先ず国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、福井政務次官の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/1
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002・福井勇
○政府委員(福井勇君) 只今議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申しあげます。
この法律案は、国立大学の学部、附置研究所その他の施設の新設並びに国立短期大学の新設等について所要の規定を設けると共に、国立大学に置かれる職員の定員を昭和二十八年度予算に計上した定員に合致させるため、国立学校設置法の一部を改正するものであります。
次に、内容の概要について申し上げます。
改正の第一点は、国立大学の学部の分離独立と新設に関するものでありまして、北海道大学及び大阪大学の法経学部を法学部と経済学部に、奈良女子大学の理家政学部を理学部と家政学部に、富山大学の文理学部経済学科を経済学部にそれぞれ分離又は独立させ、又広島県立医科大学を国立の広島大学に合併してその医学部といたしております。
改正の第二点は、国立短期大学の新設に関するものでありまして、群馬大学工業短期大学部ほか四つの国立短期大学を新設することといたしております。
改正の第三点は、大学附置研究所の新設でありまして、東京大学に応用微生物研究所を、又、岡山大学に農業生物研究所を新設することといたしております。
改正の第四点は、国立大学の共同利用の研究施設の新設に関するものでありまして、東京大学に宇宙線観測所を、又、京都大学に基礎物理学研究所を新設することといたしております。
改正の第五点は、国立大学の学部附属の教育施設又は研究施設の新設に関するものでありまして、北海道大学外十六の大学に、それぞれ学部の附属として、臨海実験所、農場及び家畜病院等を新設することといたしております。
改正の第六点は、国立大学に置かれる職員の定員を昭和二十八年度本予算に合うように改正しようとするものであります。
改正後の定員は、国立大学合計六万一千二百九十四名となり、本年度当初に比し百五十五名の増加となつております。この増加は主として広島大学医学部及び研究所の設置に伴うものでありますが、このほかに短期大学及び学部附属の研究施設の設置等に伴うものも含まれております。
以上申上げましたのが本法案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上速やかに可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/2
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003・川村松助
○委員長(川村松助君) なお 稲田大学学術局長から補足御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/3
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004・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 国立学校設置法の一部を改正下る法律案の内容につきまして補足して御説明申し上げます。
先の第十五国会に国立学校設置法の一部を改正する法律案を政府から提出して御審議願いましたが、解散の結果不成立となつたため、そのうちで緊急を要する部分は参議院の緊急集会で議決され法律第二十五号として公布されました。只今議題となつております法律案は、この第十五国会に提出したもののうち緊急集会において議決されたものを除いた残余の部分を改めて提出したものであります。従つてこの内容は、前回提出のものと別段の変更はございません。以下逐条的に御説明申上げます。
改正の第一点は、第三条の大学学部の表の改正であります。これは旧制の課程の廃止と学部の新設に関するものでありまして、先ず、東京工業大学附属高等工業教員養成所を削りますのは、これまで旧制の学生が在学しているために新制の東京工業大学に包括されて課程として残つておりましたのが、学年進行により昭和二十七年度限りで最終卒業生が課程を終了いたしましたので、廃止するものであります。
同じく第三条の表中で、五つの大学について学部の新設をしておりますが、これは、既設の学部の学科の充実に伴い分離独立するものと、公立大学の合併とによるものであります。先ず学科の充実に伴い学部として分離独立するものは、七つの学部でありまして、即ち北海道大学及び大阪大学の法経学部は法学部と経済学部に、奈良女子大学の理家政学部は理学部と家政学部に、富山大学の文理学部経済学科は経済学部にそれぞれ当該学部を構成する学科の充実に伴つて学部として分離独立することといたしました。
次に、公立から国立に移管するものとして、広島県立医科大学を広島大学に合併してその医学部といたしました。
改正の第二点は、第三条の三の国立短期大学の表を改正して次の五つの短期大学の新設について規定したことであります。
即ち、群馬大学工業短期大学部、電気通信大学短期大学部、静岡大学工業短期大学部、滋賀大学経済短期大学部及び山口大学工業短期大学部の五つでありまして、いずれも夜間において授業を行う修業年限三年のものであります。
改正の第三点は大学附置研究所の新設に関するものでありまして、東京大学に応用微生物研究所を、岡山大学に農業生物研究所を新設するため第四条の表の一部を改正いたしました。農業生物研究所はこれまで岡山大学農学部附属の農学研究施設でありましたものを充実して大学附置の研究所としたものであります。
改正の第四点は、第四条に第二項を新たに加え、国立大学の共同利用の研究施設として、東京大学に宇宙線観測所を、京都大学に基礎物理学研究所を新設することとしたことであります。
後者の基礎物理学研究所は、湯川記念館に設置するものであります。なお共同利用の研究施設と申しますのは、特定の大学に附置してその大学の管理下におくものではありますが、その利用関係は当該大学のみならず広く同一学問分野を専攻する者の共同利用にあてようとするものであります。
改正の第五点は、第五条の学部附属の教育施設又は研究施設の新設に関するものでありまして、これを列挙いたしますと次の通りであります。
(1) 牧 場 二
北海道大学農学部
東京大学農学部
(2) 農 場 一
広島大学水畜産学部
(3) 家畜病院 十
北海道大学獣医学部
帯広畜産大学農学部
岩手大学農学部
東京大学農学部
東京農工大学農学部
岐阜大学農学部
鳥取大学農学部
山口大学農学部
宮崎大学農学部
鹿児島大学農学部
(4) 診療エツクス線技師学校 一
東北大学医学部
(5) 脳研究施設 一
東京大学医学部
(6) 農村厚生医学研究施設 一
東京医科歯科大学医学部
(7) 臨海実験所 三
新潟大学理学部
高知大学文理学部
九州大学理学部
(8) 病 院 一
大阪大学歯学部
改正の第六点は、別表第一の改正であります。これは、国立大学に置かれる職員の定員を二十八年度予算に合わせるためのものでありまして、改正後の定員は六万一千二百九十四名で本年度当初に比し、百五十五名の増となつております。百五十五名の内訳は、広島県立医科大学の合併によるもの六十二名、研究所設置によるもの四十九名、その他短期大学、学科及び学部附属の教育研究施設の設置等によるもの四十四名となつております。
最後に、この法律は昭和二十八年八月一日から施行することとしておりますが、これは、この法律の内容がすべて予算に関係がありますので、昭和二十八年度本予算の適用の時期に合わせたものであります。
なお、国立短期大学は学年の途中から発足することになりますので、その修業年限及び学年の進行については、前例に従い学年の当初即ち昭和二十八年四月一日からこの法律の適用があるものとし、学生の履修上支障がないように措置いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/4
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005・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に教育職員免許法及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案につきまして説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/5
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006・福井勇
○政府委員(福井勇君) 只今議題となりました教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を申述べます。
教育職員の資質の保持と向上とを図るために制定されました教育職員免許法及び同法施行法は、制定以来三年有半を経過いたしました。この間において、各都道府県における教職員の旧免許状の新免許状への切替事務も無事終了し、又教職員の現職教育計画も各方面の理解ある協力により、極めて順調に運び、免許法の所期の目的が着着実現されつつありますことは、誠に御同慶の至りであります。
元来、免許法及び同法施行法は、大学における教員養成制度及び現職教育制度を規定し、又教育職員の需給状況とも密接に関連するばかりでなく、教職員個人の利害にも影響するところが大でありますので、政府は、免許法のかかる性格と同法施行後の実情とにかんがみ、これらの法律の規定を現場の事態に即せしめるように常に研究を続け、既に二回にわたり、改正案を提出したのでありますが、その後、各方面の要望並びに教育職員養成審議会の審議の結論等を勘案し、慎重に研究いたしました結果、ここに第三次の改正案を提出することといたした次第であります。
次に、この法案の主要点について簡単に説明いたしたいと存じます。
第一は、養護教諭の職務と、その需給状況とを考慮し、又保健婦、助産婦、看護婦法一部改正に伴い、養護教諭養成機関において看護婦を再教育する従来の養成方式に関する規定の一部を改正するとともに、新たに大学においても直接に養護教諭を養成することができる規定を設けたことであります。
第二は、現職の教職員が、従来の現職教育のほか、教員検定試験によつても上級の免許状を受けるに必要な単位が得られるようにしたことであります。
第三は、大学における教員養成課程については、その適否が教員の質に関係するところが大でありますので、教育職員養成審議会に諮問して適当と認めた課程において教員養成を行うことにいたしたのであります。
第四は、現職教員の便宜を考慮し、中学校又は高等学校の教諭免許状所有者は、現職教育や教員検定試験によつて修得した単位によつても免許教科を殖やすことができるようにしたことであります。
第五は、僻陬地等における小規模の中学校高等学校等の教員構成の実情を考慮し、教員の便宜を図るため、これらの学校においては授与権者の許可を受け、教諭が免許状を有しない教科の教授をも担任できるようにしたことであります。
以上申述べましたのが教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する法律案の提案理由並びにその要点であります。
何とぞ、慎重審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/6
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007・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 補足して御説明申上げます。最初は免許法の一部改正についてであります。
第六条第三項と別表第四の二を新設いたしましたのは、この規定は、中学校又は高等学校の教諭が、現職教育等によつて新たに免許教科を殖やすことができるようにするために設けたものであります。
附則第十項を改正いたしましたのは、これは保健婦、助産婦、看護婦法の一部改正によつて、看護婦の名称が変つたことに伴うものであります。
附則第二項を新設いたしましたのは、僻陬地における小規模な小学校、高等学校等の教員の便宜を図るため、授与権者の許可を受けた場合には、これらの学校の教諭が免許状を有しない教科の教授をも担任できるようにいたしたものであります。
附則第三項を新設いたしましたのは、小学校における芸能、体育等の優秀教員の不足を補うために、これらの教科の中学校の教諭免許状を有する者がそのまま小学校の教員となることができるようにしたものであります。
別表第一備考第一号本文の改正は、備考第一号は、単位の基準について規定したものでありますが、この法改正に伴い条文を整備したものであります。別表第一備考第一号の二を新設いたしましたのは、大学における教員養成課程については、その適否が教員の質に関係するところが大でありますので、文部大臣が適当と認めた課程において単位を修得させるようにいたしました。そして文部大臣がこれを認めるに当つては、教育職員養成審議会に諮問して、その適正を期する所存であります。
別表第一備考第一号の三を新設いたしましたのは、これは大学院、専攻科等の設置に伴い教職員を養成する大学の課程についての定義を明らかにしたものであります。
別表第三の改正は、養護教諭の職務とその需給状況とを考慮しまして、又保健婦、助産婦、看護婦法の一部改正による看護婦の名称等の変更に伴つて、養護教諭養成機関において看護婦を再教育する従来の養成方式に関する規定の一部を改正すると共に、新たに大学においても直接養護教諭を養成することができる規定を設け、養護教諭の供給を容易ならしめようとするものであります。
別表第四、別表第五、別表第七の一部を改正いたしましたのは、別表第一備考第一号の三を新たに設けて、大学の定義を明らかにしたことに伴う改正であります。
別表第四備考第一号を新設いたしましたのは、別表第四から別表第七までに規定する現職教育等による上級免許状授与の場合に単位を修得すべき大学の課程を定義したものであり、大学の正規の課程、大学院、専攻科のほか、聴講生、研究生等の課程をも含め得るようにしたものであります。
別表第四備考第三号を改正いたしましたのは、僻陬地等に勤務する教職員の実情を考慮し、教職員の資格向上についての機会均等をはかるため、従来の認定講習や通信教育等による現職教育のほかに、文部大臣が大学に依嘱して行なう試験の合格による単位によつても上級免許状の取得ができるようにしたのであります。昔の検定試験に類するものであります。
別表第六の改正は、保健婦、助産婦看護婦法の一部改正により、看護婦の名称が変つたことに伴い行うものであります。
次に免許法施行法の改正の部分でございますが、第二条第一項の一部改正は船舶職員法の改正に伴なつて条文を整理するものであります。
改正法の附則は、この法律の施行期日を明らかにしたものであります。この改正法施行の際現に大学等に在学する者については、直接関係ある改正規定の適用を除外し、改正法の適用を無理のないものにいたしたものであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/7
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008・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に大日本育英会法の一部を改正する法律案の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/8
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009・福井勇
○政府委員(福井勇君) 只今議題になりました大日本育英会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申上げます。
昭和十九年大日本育英会法施行以来、大日本育英会は年々着実なる発展を遂げ、今日まで同会を通じて学資の貸与を受け、その勉学を続けることができた学徒は極めて多数に上り、国家的な育英事業として多大の成果を収めて参りましたが、その後の諸般の事情の変化に伴い、現行法の一部に必要な改正を加えることが適当であると考え、この法律案を提出するものであります。
改正の第二点は、大日本育英会の名称を日本育英会に改めることであります。
改正の第二点は、学徒に対する貸与金の無利子、その返還期限と猶予の方法など学資の貸与の条件を、法律に明記したことであります。
改正の第三点は、義務教育に従事する教員と高度の学術研究者を確保するため、学資の貸与を受けた者が実際にそれらの職に一定年数以上従事した場合に、その貸与金の返還を免除できる規定を新たに設けたことであります。
改正の第四点は、政府が日本育英会に対し、学資の貸与に要する資金を無利子で貸付けることができることを法律に明記したことであります。
改正の第五点は、日本育英会が学資の貸与を受けた者に対して貸与金の返還を免除した金額に相当する額について、政府が日本育英会に対して貸付金の償還を免除できる規定を設けたことであります。
改正の第六点は、日本育英会に対する大蔵省預金部からの借入金の利息及び貸与された者の死亡による日本育英会の損失に対し、政府が補助金を交付することができる規定を削除したことであります。
改正の第七点は、日本育英会の役員に対する罰則について、過料の金額を現在適当であると思われる額にまで引上げたことであります。
以上申上げましたのが、本法案の提案理由及び内容の概要であります。どうか十分御審議の上、速かに御賛同下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/9
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010・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 大日本育英会法の一部を改正する法律案の概要を、私から補足して御説明申上げます。
改正の第一点は、名称の変更でありまして、昭和十九年四月現行法施行後の諸般の情勢の変化に伴いまして、これを改めるほうが適当であると考えられておりましたが、これまでその改正を行う適当な機会がなかつたので、今回これを採り上げて、法律の題名、条文その他関係法令中の「大日本育英会」を「日本育英会」に改めるものであります。
改正の第二点は、学徒に対する貸与金の貸与の条件を法律に明記したことでありまして貸与金に利息を付けないこと、その返還の期限は政令で定めること及び特定の場合にその期限を猶予できることなどを規定したものであります。これら無利子と返還猶予は、従来とも実施されて来たことでありますが、次に申上げます返還免除の規定との関連において、これを法律に明記する必要が生じたわけであります。
改正の第三点は、貸与金の返還免除に関する規定を新たに設けたことであります。死亡などによる免除はこれまでも実施して参りましたが、次の二つは新らしい規定であります。その一つは、旧制師範学校時代の給費制度が、新制大学の設立とともに日本育英会による奨学金貸与制度に切替えられましたが、これらの貸与を受けた者が、修業後一定年数以上継続して義務教育関係の職に実際に従事した場合には、その在職年数に応じて貸与金の全部又は一部を免除する方法を講じ、必要な教員数を確保しようとするものであります。その二は、従来大学院特別研究生として、修業後高度に専門的な学術研究に従事しようとする学生に給費を与える制度がありましたが、昭和二十四年頃からこれも奨学金貸与の制度に切替えられましたので、その一と同様な方法で返還を免除し、必要な研究者を確保しようとするものであります。
改正の第四点は、政府貸付金及びその無利子の規定に関するものでありまして、昭和二十一年に大蔵省預金部からの資金の借入れがなくなつて以来、今日まで実際に行なつている政府の貸付とその条件を、次に述べます償還免除の規定との関連において法律に明記したものであります。
改正の第五点は、先ほど申上げました死亡、不具廃疾者、義務教育従事者及び特別の教育又は研究の従事者に対する返還免除によつて生じる日本育英会の損失を、政府がそれに補助金を与えて補う代りに、それに相当する金額だけ政府に対する償還の義務を免除することによつて補償しようとするものであります。
改正の第六点は、現行法第二十八条第一項及び第二項の削除であります。第一項は、旧大蔵省預金部からの借入金の利息に対し、政府が補助金を交付し得る規定でありまして、現在預金部からの借入金は、殆んどその償還を完了いたしましたので、不必要な規定として削除するものであります。第二項は、学資を貸与された者の死亡によつて生じる日本育英会の損失を、毎年度一定の方式によつて算出した政府の補助金によつて補い得る規定でありましたが、これらに対しては、前の改正の第五点で申述べました通り、政府に対する償還を免除する方法が適用されますので、不必要な規定として削除するものであります。
改正の第七点は、現行法の第六章罰則の条項中、過料の金額が制定当時のままでありますから、最近の類例法規にならい、「千円」を「三万円」に、「五百円」を「一万円」に改めることであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/10
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011・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に今期国会提出予定法律案について福田総務課長から説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/11
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012・福田繁
○説明員(福田繁君) 御説明申上げます。お手許にお配りしました資料で、「第十六国会提出予定法律案件名」というのがございますが、それに五件書いてございます。そのほかに二つばかり追加がございまして、一つは市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案でございます。二番目は義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律案でございます。それらにつきまして御説明申上げたいと思いますが、その中で最初の一枚のほうの二、三、四、即ち国立学校設置法の一部を改正する法律案、教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する法律案、大日本育英会法の一部を改正する法律案、これにつきましては只今政府委員から詳しく御説明がありましたので省略さして頂きたいと思います。この七件の法律案の中で、一から四までは前国会に提案をいたしましたのでございますが、解散により流れた法案でございます。新らしいものといたしましては三件でございます。
最初の、学校教育法等の一部を改正する法律案でございますが、これは現行の学校教育法等におきまして、教科用図書の検定につきましては、教育委員会制度が布かれましてから、建前としては教育委員会において教科用図書の検定を行うようなことになつております。但し、当分の間、この教科用図書の検定につきましては文部大臣が検定を行うということで、実際には文部大臣が教科用図書の検定を行なつて来ておるのでございますが、諸般の情勢から今後当分の間でなしに教科用図書の検定につきましては文部大臣において検定を実施したい。それに関連いたしまして教育委員会法、私立学校法、文部省設置法の一部につきまして改正を加えようとするものでございます。
それから五番目の青年学級振興法案でございますが、これは現在全国に青年学級として開設されておりますのが約一万一千学級くらいあるわけであります。これらの青年学級の振興については、勤労青年教育の振興という立場から非常に重要なものでございますが、これにつきましてこの青年学級の運営なり、或いはいろいろ開設する際の講師の問題だとか、資金の問題というような点につきまして非常に不便が多うございますので、そういつた青年学級の振興の意味からこれに或る程度助成をして行くことが、今後の青年学級の運営を円滑にするゆえんでございますので、そういう点からこの青年学級に対しまして一定のものに補助を与え、そうして今後の運営を円滑にして行きたい、こういうような意味を持ちましてこれに補助その他運営に必要な諸規定を盛込んだ根拠になる法律を制定しようという、こういう趣旨でございます。
それから追加のほうの一番目でございますが、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案でございます。これは現在の法律におきましては、教職員給与の種類の中で年末手当という言葉が現われておりますが、一般の国家公務員の例によりますと、期末手当及び勤勉手当というようになつておるのであります。従つて非常に事務的な改正でございますが、この都道府県が負担する教職員の給与の中で年末手当を期末手当及び勤勉手当というように国家公務員の場合と同様に改正しようというものでございます。
それから追加の第二番目のものでございますが、義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律案、これにつきましては、国及び地方を通じますところの財政状態に鑑みましで必要な財政調整の措置がとられますまでの間臨時的な措置として特例法を制定しようという趣旨でございます。
内容につきましては、地方財政平衡交付金法によるところの基準財政収入額が基準財政需要額を超える都道府県に対して国が負担しますところの義務教育国庫負担金の額を当分の間義務教育国庫負担法の第二条によるところの国庫負担金の額から、その額を限度としまして基準財政収入額が基準財政需要額を超える額を控除しよう、こういう趣旨でございます。これはいわゆる富裕府県の問題でございますが、東京、大阪等につきましてこの八月以降義務教育国庫負担法第二条によるところの国庫負担金を東京、大阪等につきましてこれを財政上の理由からやらないようにしよう、こういう趣旨でございます。
以上簡単に内容を御説明いたしましたが、このほかに文部省としては目下本国会に提案すべく努力をいたしておりますのは、公立学校の施設関係の法律案でございまして、これは災害復旧、戦災復旧それから義務教育年限の延長に伴うところのいわゆる基準の引上げ等の問題でございます。併しながらこれにつきましては、まだ関係省との間に十分話合がついておりませんので、果して間に合うかどうか、その点はわかりませんけれども、一応そういう法案を出したいということで努力をいたしております。なお定時制の高等学校の振興のために、定時制高等学校の振興法といつたようなものを、これはでき得れば出したいということで目下努力をいたしております。併し現在確定いたしておりますのは以上申上げました七件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/12
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013・川村松助
○委員長(川村松助君) 本日はこの程度にいたしまして、委員各位の御質問は次回の委員会にして頂きたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/13
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014・川村松助
○委員長(川村松助君) それでは委員会は一応これで閉会いたします。
午前十一時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00219530623/14
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