1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十四日(火曜日)
午前十時三十七分開会
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委員の異動
七月十三日委員谷口弥三郎君辞任につ
き、その補欠として泉山三六君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 川村 松助君
理事
木村 守江君
荒木正三郎君
委員
大谷 贇雄君
剱木 亨弘君
吉田 萬次君
杉山 昌作君
高橋 道男君
相馬 助治君
深川タマヱ君
長谷部ひろ君
須藤 五郎君
政府委員
文部政務次官 福井 勇君
文部省大学学術
局長 稻田 清助君
文部省管理局長 近藤 直人君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
常任委員会専門
員 工樂 英司君
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本日の会議に付した事件
○危険校舎改築促進臨時措置法案(内
閣送付)
○公立学校施設費国庫負担法案(内閣
送付)
○国立学校設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出・衆議院送付)
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001・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今から本日の委員会を開きます。
ちよつとお諮りいたしますが、七月十日の理事会におきまして、本日は先ず最初に七月三日に付託されました危険校舎改築促進臨時措置法案、及び公立学校施設国庫負担法の提案理由の説明を聞きましてから国立学校設置法の一部を改正する法律案及び大日本育英会法の一部を改正する法律案の質疑に入ることになつております。それで御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/1
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002・川村松助
○委員長(川村松助君) それでは危険校舎改築促進臨時措置法案につきまして政府の提案理由の説明を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/2
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003・福井勇
○政府委員(福井勇君) 今回政府から提出いたしました危険校舎改築促進臨時措置法案につきまして、その提案の趣旨と内容の概要を御説明申上げます。
公立の義務制学校で、緊急に改築しなければならないものは今日百数十万坪にも達し、これらの校舎で勉学している児童生徒は約二百万人の多数に上つております。従来義務制学校の建築は、その市町村の自己財源によつて賄われて来たのでありますが、戦後新制中学校の建築等のため、今日の地方財政ではこれらの危険校舎を独力で改築することは極めて困難な実情にあります。以上の事情に鑑み、ここに臨時に国が補助を行うことを法制化し、以て危険校舎の改築を促進して、義務教育の円滑な実施を確保しようといたしたのであります。これがこの法律案を提出する理由であります。
以下法律案の大要を申上げますと、第一に、危険校舎改築の国庫補助の対象は、義務教育諸学校の校舎で、その構造上危険な状態にあるものでありまして、その校舎の危険度その他、国が補助を行うことができる危険校舎の範囲の決定について必要な事項は、政令で定めることになつております。第二は、国の補助率でありますが、予算の範囲内で、三分の一以内ということにいたしております。その他に補助の申請、補助金の交付の取消、停止及び指示監督等所要の規定を設けている次第でございます。
以上申述べましたように、この法律は、地方財政及び公立の義務教育諸学校の危険校舎の現状に鑑み、その改築を促進するため、その改築に要する経費を臨時に、特に国が補助して、義務教育の円滑な実施を確保しようとするものでありまして、予算案にも本年度において取りあえず十二億円を計上いたしている次第であります。何とぞ慎重に御審議の上速かに御可決給わらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/3
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004・近藤直人
○政府委員(近藤直人君) 只今御説明ございました危険校舎改築促進臨時措置法案の提案理由につきまして私から補足説明をいたしたいと思います。
本法案の目的は、第一条に規定する通り、地方財政困窮の実状に鑑み、戦時戦後の国の施策に起因して増大累積した公立の義務教育諸学校の危険校舎の改築を促進するため、その改築費について臨時に国が補助を行い、以て義務教育の円滑な実施を確保しようとするものであります。
第二条は国が補助を行う危険校舎の対象でありますが、これは義務教育の重要性に鑑み、小、中学校及び盲、ろう学校の小学部及び中学部の校舎で老朽或いは若朽によりその構造上危険な状態にあるものとしており、それら校舎の危険度その他国が補助を行うことができる危険校舎の範囲の決定について必要な事項は、政令で定めることになつております。第三条の補助率は、予算の範囲内で三分の一以内となつております。以上は現行の予算の通りであります。第四条は補助の申請でありまして、危険校舎改築の国庫補助金を受けようとする場合は、文部省令で定めるところにより、文部大臣に補助金の交付の申請をすることにいたしております。第五条は補助金の交付の取消、停止等でありますが、文部大臣は、地方方公共団体に対して補助金を交付する場合において、正当な理由がなくて、改築の全部又は一部を行わなかつたとき、又補助金を補助の目的以外に使用したとき、或いは文部大臣の指示に違反したと認められるときは、当該地方公共団体に対して、補助金の全部若しくは一部の交付を取消し、又は停止し、その補助金の全部若しくは一部を返還させることができることになつております。第六条は指示監督でありますが、文部大臣は、補助金の交付の目的を最もよく達成するため、必要があると私めるときは、その目的を達成するのに必要な限度において、補助金の交付を受ける地方公共団体に対して、危険校舎の改築について必要な指示を行い、報告書の提出を命じ、又は部下の職員をして当該補助に係る危険校舎を実地検査させることができることにしております。第七条は政令への委任でありまして、危険校舎改築の事業費の範囲、成功認定及び監督等を政令へ譲つております。
以上がこの法律案の内容の概要であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/4
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005・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に公立学校施設費国庫負担法につきまして、政府の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/5
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006・福井勇
○政府委員(福井勇君) 今回政府から提出いたしました公立学校施設費国庫負担法案につきまして、その提案の趣旨と内容の概要を御説明申上げます。
地方公共団体は、公立学校の施設の災害復旧及び戦災復旧並びに義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の整備即ち新制中学の建設について、年々多額の費用を支出しており、これに対しまして、国も従来から予算措置によつてその一部を負担して参りました。
ところで、災害によつて公立学校の施設は年々平均約二十億円の表害をこうむつており、又戦災復旧も戦後七年余を経過した今日その復旧率はまだ五割にも達しない状態であります。更に新制中学校の整備については生徒一人当り〇・七坪という応急最低基準にも達しなない学校が相当数あり、その総不足坪数は約二十万坪にも上つております。
このように公立学校の施設につきましては今後なお整備すべき必要が多々あるのでありますが、これらの経費の国庫負担については現在まで明確な法的根拠がなく、僅かに地方財政法におきまして、その経費の一部又は全部を国が負担すること、そしてその経費の種目、算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合は法律又は政令で定めることと規定されているに過ぎなかつたのであります。
地方財政も窮乏を極めている今日、地方公共団体が毎年公立学校の災害復旧や戦災復旧或いは中学校の整備に多額の費用を支出することは非常に困難な状態にありますので、これらの経費について国庫負担の内容を明確にして、公立学校の施設の整備を促進し、以つて学校教育の円滑な実施を確保することが現下の急務であります。而もこれらの経費は予算額からいたしましても相当の額に上りますし、現在の国家財政の実状をも勘案して、種々慎重検討を加える必要がありますので、法律を以て規定することが適当と認められ、ここに法律案として御審議を煩らわすことになつた次第であります。
以下この法律案の大要を申上げますと、第一に、国の負担率は、災害復旧はすべて二分の一、戦災復旧は小学校及び中学校が二分の一、高等学校及び大学が三分の一、義務教育年限の延長に伴う施設の建設は二分の一といたしております。これは従来の予算措置の通りであります。第二は、これらの経費の算定基準でありますが、災害復旧又は戦災復旧に要する経費は、政令で定める基準に従い、その原形復旧に要する費用を基準とすることになつており、また義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設は、政令で定める児童生徒一人当りの基準坪数及び一坪当りの建築単価を基準として算定することになつております。第三に、経費の種目は、それぞれの事業の本工事費及び附帯工事費並びに事務費といたしております。その他に各事業費の決定、成功認定、負担金の還付及び監督等所要の規定を設けてありますが、これらの事務については大学に関するものを除き、都道府県の教育委員会が行うことにいたしております。
以上申述べましたような理由によりこの法律案を提出いたすことになつたのでありますが、何とぞ本法案につきましても慎重に御審議の上速かに御可決賜らんことを願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/6
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007・近藤直人
○政府委員(近藤直人君) 只今御説明がございました公立学校施設費国庫負担法案の提案理由について補足説明をいたします。
本法律案の目的は、第一条に規定するように公立学校の施設の整備を促進するため、公立学校の施設の災害復旧及び戦災復旧並びに義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設に要する経費について、国の負担する割合等を定め、以て学校教育の円滑な実施を確保することであります。地方財政法第十条の三におきましては公立学校の災害復旧、第三十四条におきましては戦災復旧及び義務教育年限の延長に伴う施設の建設について、それぞれ国がその経費の一部又は全部を負担すること、そしてその経費の種目、算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律又は政令で定めなければならないと規定されております。これらの規定は災害復旧については恒久的であり、戦災復旧と義務教育年限の延長に伴う施設の建設については臨時的なものであつて両者の性格は多少異なるのでありますが、同じく学校の施設に関するものでありますから一本の法律案にまとめたわけでございます。第二条は用語の意義でありまして、この法律において公立学校とは、公立の学校で学校教育法第一条に規定する幼稚園から大学まででございます。災害とは暴風、こう水、地震等の天然災害及び大火となつております。第三条の国庫負担率は、災害復旧は二分の一、戦災復旧は小学校及び中学校が二分の一、高等学校及び大学が三分の一、義務教育年限の延長に伴う施設の建設は二分の一でありまして、これは従来の予算措置の通りであります。なお同条第二項で国庫負担の対象となる施設の範囲は政令で定めることになつておりますが、その政令におきましては、戦災復旧及び義務教育年限の延長に伴う施設の建設については従来通り建物のみとし、災害復旧につきましては建物のほかに校地をも含めたいと考えております。第四条は経費の種目でありますが、それは当該建物の主体の建築費たる本工事費と給水、排水、電灯等の附帯工事費並びに工事施行者の事務費であります。また義務教育年限の延長に伴う施設の建設につきましては、従来買収もありましたので本法案でも買収その他これに準ずる方法による取得も認め、更に今年度の予算案に計上されている義務教育年限の延長のため中学校、盲学校及びろう学校に転用された小学校の建築で同一の設置者に係る場合即ち転用小学校の建築も国庫負担の対象としております。第五条におきましては経費の算定基準として、災害復旧及び戦災復旧は、政令で定める基準により原形復旧を原則とし、原形に復旧することが不可能な場合において当該施設の従前の効用を復旧するための施設をすること及び原形に復旧することが著しく困難であるか又は不適当である場合において当該施設に代るべき必要な施設をすることも認めております。現行の予算では災害復旧は各学校種別ごとの最低基準まで、戦災復旧の小学校は応急最低基準である。七坪まで国庫補助している状況であります。また義務教育年限の延長に伴う施設の建設は、政令で定める児童及び生徒一人当りの坪数及び一坪当りの建築単価を基準として算定することになつております。これも現行の予算では御承知の如く生徒一人当り〇・七坪の応急最低基準までを国庫補助の対象としておりますが、この取扱は当分の暫定的措置であると考えております。第六条から第九条までは事業費の決定、成功認定、負担金の還付及び剰余金の処分等を規定しており、第十条におきまして、これらの事務は大学に関するものを除き、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会が行うことにいたしております。第十一条は監督でありますが、文部大臣は各事業を適正に実施させるため必要な限度において実施検査を行い、報告書を提出させ、また必要な指示をすることができることとし、なお文部大臣は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会をして、当該都道府県内の市町村に対して、その権限を行わせることができることといたしております。第十二条は災害復旧の場合の適用除外の規定でありますが、災害による被害が、建築基準法に基定する建築物の主要構造部が破損した場合の大破の程度に達しないものは国庫負担の対象としないことになつております。
第十三条は政令への委任でありますが、残存物件の算定、災害報告、国庫負担の申請等を政令へ委任しております。なお附則におきましてこの法律は公布の日から施行することといたしておりますが、昭和二十八年度の予算執行から適用いたしたいと考えております。
以上がこの法律案の内容の概要であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/7
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008・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に国立学校設置法の一部を改正する法律案でおりますが、従来法案の質疑は先ず総括質疑を行いまして、次いで逐条審議を行うようになつております。この法案につきましても総括、逐条の順によりましてよろしうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/8
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009・相馬助治
○相馬助治君 議事進行についてちよつと発言いたします。只今福井政務次官から二法案についての提案理由の説明がございました。これらはいずれも日を切つての、日切りの法案になるものであり、取急ぎ政府が説明したいという意思を持ち、我々も又これを聞くべき義務を持つているものと、かように思いまするので、これについては理事会で決定された線に沿つてやつておるのですから、私は特段異議を申立てるものではございませんが、衆議院において義務教育費国庫負担法の臨時特例法案は、未だ提案理由の説明も聞いていないという状態なのに、本院が予備審査であるにもかかわりませず、この法律案の提案理由の説明を先の委員会で聞いているというこの実情は、院はそれぞれ独立しているとは申しながら、やはりこちらは予備審査の段階なのですから、衆議院の法案の取扱いの動きというようなものをも十分勘案して政府をして私は説明させることのほうが妥当であろうと、かように存じます。従つて、私はここで別に異議を申立てているのではないが、今後のこの種の取扱いに関しましては、当委員会としても相当配慮しなければならないのではないかと、これは私は誰も責めるのではなくて、共同責任の意味でみずからをも責める言葉とし、且つ又委員長にこのことを申上げて取扱いについて今後の御配慮をお願い、しておきたいと思います。法案審議に入るに先立ちまして、一言議事進行の問題として以上のことを申上げて、特段、委員長の今後の御配慮をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/9
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010・川村松助
○委員長(川村松助君) 承知いたしました。ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/10
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011・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/11
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012・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私はこの法律に関係をいたしまして文部省の方針を一つ伺つておきたいと思うのです。従来文部省の方針としては、新たに七十二の国立大学ができて非常に数が殖えたわけです。そこで、その内容が充実しておらない。大学としての内容が整つておらないということで、できるだけ分校などを整理して、そうして内容の充実のために努力したい、こういうまあ方針であるということでしばしば伺つて来ておるわけなんです。今度の法案を見ると、短期大学を新たに設置する、これにも理由があると思うのですが、そうすれば従来まあ限られた予算といいますか、非常に貧弱な予算しか計上されておらなかつたのですが、大学の充実ということがおろそかになつて来るのじやないかというふうに私は懸念しておるわけです。そういう意味で、その従来の方針をどういうふうに考えておられるのか、この際承わつておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/12
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013・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 御指摘のごとく、文部省といたしましては設置いたしました既存の国立大学学部の充実を第一に念願といたしております。この短期大学につきましては、これは従来国立大学設置法が、年々改正案について御審議になります際にも、討論の際しばしば御意向、ご希望を伺いましたように、勤労青年の教育施設として成るべくこの短期大学の創設を配慮するように、こういう御要望もあつたことを記憶するのでありますが、一面各地方々々におきましても随分御要望があるのであります。ただ私どもといたしましてはこの短期大学を設置することによつて学部の運営に支障を来すことはいけないことだと考えまして、これを設置いたします場合には学部の実力の非常に先実いたしました学部を考えまして、地域的の配置、それから学部の学科の種類ということ等も勿論考え合せますと同時に、成るべくそういう際に昼間学部の施設に妨げがないように地元の御寄与も願いまして、そうして設置して参つておるわけでございます。原則は学部の充実にあることはもとよりでございますが、夜間短期大学はそうした特別の趣旨もございますので、折角昼間の施設もあることであるし、その妨げのない限り利用し得る部面にこれを設置して参りたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/13
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014・相馬助治
○相馬助治君 今稻田局長の説明された通り、従来この国立学校設置法の一部を改正する法律案が出るたびにその法律そのものは一部分を改訂する施行案であるから問題はないが、その基本の問題として日本の大学のあり方、それから大学設置審議会において議されて来る諸般の問題のうちで、特にそれが国の財政の上に占める位置、並びに大学の設置に伴つて地方の公共団体並びに大学の後援会めいたものの寄附行為に関する問題、こういうものがいつでも問題になつて来たはずであります。で、政府としてはいずれこの大学の問題については抜本的な態勢を行なつて、大学教育のあり方というものを規定して参りたいと、かような答弁が常にまあ繰返されて来たわけです。で、問題が問題ですから、一朝にしてうまく行こうとは我々も思つていないのですが、そのことを再びここに繰返して重ねて要望いたしておきますと共に、次の一点について私は局長に答弁を求めます。
それはこの国立学校設置法の一部を改正する法律案の提案理由にも明らかでありますが、本年度の定員に見合うために人員を増加するという意味でこれを改正する、この問題はわかりますが、かように人数が殖えることによつて、且つ又学部に分れることによつて施設が狭隘を告げ、今まで一室で間に合つたものが二室或いは三室というふうに拡張されて行くことはこれは当然です。これらの施設に対する財政上の措置は文部省においてどのようにしておるのか、この点を尋ねたいのであります。御承知のように、只今国会で審議されておりまする今年度の当初予算においても、この国立学校関係のこれら設備費に充当する予算というものは非常に少い、そのようなことを知る私としては、今申しました財政上の考慮が本法の改正に伴つてどのように考慮されているかということをお尋ねし、納得の行く御返事を伺わないことには本法案に賛成するわけに参りませんのでお尋ねする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/14
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015・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 国立大学は、設置の当初に意図いたしました方角に年々その充実を意図して参つて来ておるわけでありまして、根本的にその方角を変える意図は逐年持つて参らないのでございます。まあそれに関連いたしまして、第一に建築費の問題であります。これは私直接の所管でございませんけれども、若しこれを理想的に考えるといたしますれば、これはもう五百億くらいの金が概計的に勘定せられるのであります。差当り特に急を要するというようなところから特に理科的な方面はコンクリートにするとか、或いは病院については恒久建物を考えるとか、喫緊の要点からいたしまして、大体二百億余りの計画は文部省は持ち続けております。ただこれにつきまして本年度御審議頂いております予算は昨年よりは殖えておりますが、差当り年々二十億程度の新設費しか用意できないことは大変その計画とは遠いわけでございます。それからその内容につきましては、まあ定員については先に御審議頂きましたように、不完全講座について本年百名の充実をするなり又各大学について多少の専門教育、一般教育の充実をやつて参つたわけでございます。それから設備費につきましても、本年御審議頂きます予算に初めて設備更新費を置きまして、これを基礎といたしまして将来設備の更新をいたして参りたい。それから新制大学設置以来の、何といいますか、特殊施設費としての設備費は年々四億円でございましたか、計上いたしておるわけでございます。更に図書費その他年々充実に向つて来ております。殊に今年の予算において特別に殖やしましたのは学徒の厚生補導費、これは一億九千万円ばかり、それから講座研究費につきましては一割五分増というふうに内容の充実につきましても逐年努力いたして来ているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/15
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016・相馬助治
○相馬助治君 その間の経緯はわかりましたが、それでは私は福井政務次官にお尋ねしますが、この改正の第一点は国立大学の学部の分離独立と新設に関するものとして、これについてもまあ費用は要しますが、これは暫くおくとして、改正の第二点は、国立短期大学の新設ですね、それから第三は大学附置研究所の新設です、それからいずれも第四、第五、これらは新設ですね、これに見合う政府予算はどういうことに相成つておりますか、なおこれに連関して地元の公共団体或いは民間団体と寄附契約のようなものがある事実がございますか、この二点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/16
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017・福井勇
○政府委員(福井勇君) 短期大学の新設並びに附置研究所、御指摘の第四、第五の施設、地元の公共団体との寄附行為等の詳細につきましては稻田大学局長から一つ詳細に説明させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/17
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018・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 数字の関係でございますから私からの御説明をお許し頂きたいと思うのでございますが、最初に御指摘になりました学部の創設につきましては二千二百三十四万三千円計上いたしております。短期大学の創設に関連いたしましては千二百六十三万三千円計上いたしております。
それから次に御指摘になりました附置研究所の創設につきましては二千五百四十四万六千円を計上いたしております。それから地元の寄附の関係につきましては、富山大学の経済学部新設について、まあ大よそ一億余りの地元寄附の約束がございます。それから又広島大学の医科大学合併につきましては、これはまだ非常に確定はいたしておりませんけれども、やはり大よそ二億余りの地元寄附の約束がございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/18
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019・相馬助治
○相馬助治君 地元としては大学を新設或いは拡張するような場合には、当然寄附を出しますからというので政府当局に運動をする、又政府当局もそれらの意思を参考としてこういう法律の改正にまで事を運ぶということは常識的に考えられるところです。ところで冨山が一億、広島が一億と、こういうことを概算として聞いたのですが、これとしても文部省としてはこれらの地元に証文を出させて、何でもかでもこれは出すんだという一札をとるわけには行政府として参らないところだと、こう思うのです。そこで私は非常に疑問を持ちますことは、そういうふうな、地元の寄附を当てにしてどんどん学部を殖やして行く、それから附置研究所も拡大して行く、一体こういうことでさつき荒木委員も突かれましたように、従前のこの大学教育について種々問題があるところで、店ばかり拡げて内容的にはこれにマッチして行かないという状態がいよいよ深刻になつて来るんじやないかということを恐れるのです。そこで私はこれに連関して稻田局長にお尋ねしたいことがございま正す。神戸商船大学の地元負担は現在どのように進んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/19
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020・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 実は手許に細かい年次割は持つておりませんけれども、神戸商船大学におきましては、国が二億、地方二億、その地方一億のうち一億を県市において、他の一億を県市の責任において他の寄附金をと、こういうことでございまして、初年度につきましては地元が約束通り年次区分を持ちましたので、我々のほうも同額支出しております。それから本年度につきましてはまだ支出済みになつておりませんけれども、それぞれ議決を経て支出の計画がありますので、我々としてもこの予算をお願いしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/20
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021・相馬助治
○相馬助治君 神戸商船大学は非常にむずかしい情勢下において地元負担があるということを見合つて我々としては止むなく賛成したような経緯を持つております。而もこの地元負担の形が、県が半分責任を持つてこれはやる、それからあとは民間の団体から半分、具体的に言えば一億出させよう、こういうことで我々は神戸商船大学設置法案に賛成した経緯を持つております。今局長の説明を聞くと、公共団体としての県のほうはこれを公約通り実施している様子ですが、私の聞きたいのは、他の一億の分の問題です。どうも船主側は、勝手に国会において商船大学を設置し、その折に船主側から一億の寄附を募ることになつているというので、迂闊にも我々もそれを信用して神戸商船大学を作る法律案に賛成し、これを設置せしめた。ところがあとで私の調査によると、船主側ではそんなことは初耳だ、そんな約束をした覚えはさらさらない、かようなことだそうであつて、大学当局もかなり財政的に当初の既定予算通りに行かないで弱つているということを聞いておるわけですが、稻田局長もこれらの事情については恐らく詳しいと思う。一つ卒直に地元負担の問題がどうなつているかということについて、もう一度御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/21
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022・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 最初に申しましたように、最初の年次につきましては既定計画通り行つております。まあ第二年目の年次につきましては年次進行中でございますので、まだ結論が出ておりません。それにつきましてはお話のように、まあこれは民間の景気、不景気に関係をいたすものでありますから、我々としても勿論懸念を持つておる部分もあるわけでございます。ただこれにつきましては県市の理事者及び議会の議長等が、とにかく自分たちが責任を持つて斡旋して集めるからと、こういう話で出発いたしておりまして、又今日においてもそうした態度を持し続けておりまするから、やはり地元の県市に依頼いたしまして、我々といたしましては当初計画通り集めて頂くように期待いたしておるような次第でございます。それから更にこれにつきましては地元に後援会というような団体がございまして、それには船主協会その他の代表者も入つておりまして、それらの会議の模様を承わりますと、いずれも前の計画を覆えしたというような事実はございません。前の約束通り納入することに今後も骨を折るからということをこれらの代表たちも約束しておられますので、我々といたしましてはその結果を期待しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/22
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023・荒木正三郎
○荒木正三郎君 新設の国立大学の内容が充実しておらない、大学の体表を整えておらない、こういう声は非常に強いのであります。で、こういう際に新たに短期大学を設置する。而もその予算を今聞くと一千万円程度であるというふうでありますと、これも又非常に内容の貧弱なことになつて来る。これでは内容の充実を図つて行くという根本方針が実現しないのじやないか、これは先ほど質問した通りでありますが、そういう点について先ほどの答弁はどうも明確でないと思いますが、本年度提出された予算案を見ても、若干は予算の面において増額を見ております。併しこれは到底今の要望に応えるようなものでないと考えます。そういう点でやたらに内容の貧弱な大学、短期大学或いは学部を新設するというふうなことは、従来の譏りをますます大きくする、こういう結果になるのじやないかということを恐れるのですが、そういう点について、もう少し説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/23
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024・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) お話のごとく、今日の国立大学といたしましては充実が主でございまして、拡張は二の次である、この点につきましては我々も常に戒心いたしておるような次第でございます。ここに御審議願つております学部の創設につきましては、これは当初から年次進行的に充実して参りまして、充実すれば学部を二学部に分離するとか、或いは当初一学部の中に一学科を置きまして、これを充実すれば学部として発出するという計画を持つておつたものでございまして、それ以外まあ県立学校の合併というのは別に新らしく起つて参つたのでありますけれども、それ以外の学部の創設学科の新設というようなものは、まあそうした充実計画のうちから出て参つたものと私どもは考えております。それから短期大学につきましては、これ以外随分ほうぼう地元から御要望がございます。又勤労青年の教育という面から見て、私らは相当それらを考慮しなければならないとも思うのでございますけれども、御指摘になりましたように、短期大学を附置することによつて、その母体でありまする昼間学部の教育が疎かになつたり、余りに負担が重過ぎるというような点につきましては、従来計画を見合せて来ております。今日まで御審議願つておりますこの短期大学に附置しております学部は、従来歴史の長かつた高専とか或いは経専とかというものを基礎といたしました法学部、経済学部等でございまして、これらにつきましては短期大学を置いたからといつて昼間学部の教育を危うくするような心配はない、こういう見込を以ていたしておるわけでございまして、只今御注意のような点は、まあ今日今後といえども我々といたしましては十分心を戒めて、徒らに拡張して内容の充実を疎かにするというようなことのないようには考えて参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/24
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025・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私は学部の増設に反対しているわけではないのです。やはり予算的な裏付を必要とする、そういう点で先ほど相馬君の質問に対してかなり地元の寄附が約束されているという問題です。今度の学部の増設につきましては、予算的措置としては二千万円程度考えている、こういうことであります。ところが富山大学のほうでは一億円の寄附を用意しておると考えられている、広島大学のほうでは二億円ということが考えられておる、これを比較いたしますと、この増設に当つては地元負担のほうが圧倒的に多いわけです。国の負担というものがその一割に足らない、こういうような状態で学部が増設されるわけであります。これは私は学部の増設というのは賛成であります。併しこれはやはり国費を以てそれを賄つて行くという予算的裏付が必要であるというふうに考えておるわけであります。そこで私はこの際お尋ねをしたいのは、こういう学部を新設するとか、或いは短期大学を新設するという場合に、地元の負担というとが条件になつているようにとれるのです。まあ、まさかそういうことを条件にしておるとは私は考えない。併し昨年決定した神戸の商船大学にいたしましても、地元の負担が何億円という、そういう積極的な意向が示されておる、だから作るのだということも理由の一つに挙げられておつたわけです。そういたしますと、今度の場合も地元の負担が非常に多い、こういうことになれば、国立大学を設置するのには地元の負担というものが条件になつているように結果的に見れば考えられるわけです。こういうことは私は反対です。地元の負担を非常に大きくして、そうして国立大学の学部を新設するとか大学を設置するとか、こういうことは国立大学である以上、そういうことは僕は反対なんです。地元が大きく負担すればそこへ大学ができる、こういうことになつて、私は国全体の教育政策という立場からいつてそういうことは好ましくない、こういう考えを持つているのです。そういう点で文部省は学部の新設に当つては寄附を条件にしているかどうか、これをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/25
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026・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 勿論その学部の新設或いは短期大学の創設、これは国費を以て賄うのを建前としておるわけであります。現に御審議頂いております学部の増設につきましても、一文も地元の寄附がないもののほうがむしろ多いのであつて、短期大学につきましても、例えば東京電通大学のごときは地元の寄附が少しもなくてこれはやつております。勿論建前は地元の寄附を求めてでないのでございますが、ただ実際我々が計画いたしております順序に従つて行く場合と、地元が寄附を出すから早く増設してくれと、こういう場合と、着手の時の食違いが起つて参るわけでありますが、地元が寄附いたしますれば、そこに新設するという時期が早まる結果に相成ると思います。勿論県立学校の合併とかいうような問題につきましては、これはもともと我々のほうの教育計画にないわけでございます。ただ教育的に見て、同じ地区に国立学校があり、県立学校があれば、それを一緒にするほうが教育的にはプラスである。併し我々としても、今まで既存の大学に対して十分まだ施設費が行渡つていないという場合に、県立学校を引受けることによつて非常に多くの設備費を要するということになることは、我々としてもちよつと計画上齟齬を来たしますので、そういう場合は、地元の寄附があるからということで、その合併が促進されるということになると思います。仮に若し広島大学について地元が寄附をしないということならば、合併ということが教育上有利であつても、恐らく本年度これを計画するというようなことはまだこれは不可能じやないか、そういう意味、結局私のほうから強制して合併したいのだ、それには地元の寄附を持つて来いと、こう申すような性質のものでない。その点は一つ御了解頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/26
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027・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この問題は新設の場合だけに限らず、新制大学が内容が貧弱であるので、どこにも充実したいと考えておるわけであります。ところが充実するといつても、国の予算ではできない。こういうことで、私の聞いておる範囲内でも、各所で地元の寄附ということが先ず先に考えられて、それに乗つて国の補助というような形で、どうもおかしいのですが、そういう形でいわゆる内容の充実の問題にしても行われておるというのが、私は現状であろうと思います。ですから国立大学の増設、学部の増設、これはいいことなんですが、どうしても予算で相当見るようにして、文部省としても考えなければ、非常に地元に負担が過重にかかつて来る。それは地元では学部の新設とか或いは大学の新設ということは希望します。これは当然のことなんです。その弱味につけ込んで、と言うと悪いのですが、とにかく寄附を強要しているというわけではないでしようが、そういうことに事実としてなつて来ておる、こういう点をよほど考えてもらいたいということ。(「同感」と呼ぶ者あり)それからもう一つは、この新設に伴ういわゆる教授陣容の充実の問題です。説明を見ると、今度の措置に対して国立大学の定員を百五十五名増員すると、こういうふうに書いてあります。併しこれだけの学部と新制大学を新設して、百五十五名の増員で賄うということは、私は実際よく知りませんが、ちよつと考えてもこれは無理じやないか。これくらいの増員では到底充実した教授陣容を揃えることはできない、こういうふうに考えるわけであります。これは私どもちよつと考えても、余りにも額が少いというふうに考えるのですが、この点を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/27
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028・相馬助治
○相馬助治君 関連して……、今荒木委員の質問の後段を具体的に私は指摘して、荒木委員に対する答弁のときにそのことを稻田さんから触れてもらいたい。この学部の分離設置で、北海道、富山、大阪、奈良女子大には、分離設置されておるにもかかわらず、定員増が見込まれていない。それから私の調査によると、短大の設置ついては群馬、静岡、滋賀、山口、これらは一名、それから電気通信大学において二名の定員増がなされているに過ぎない、こういうことでは教官の労働過剰になるか、乃至は学部を分離しても、或いは短大を設けても、教育効果は人的な制限から上らないのじやないかというふうに考えるのですが、これは現在の定員を流用といいますか、転用といいますか、効率的に使うことによつて効果は十分上げられるというので、これだけの増員にしているのか、費用の制限上止むを得ずして、荒木委員指摘のような欠点を自認しながらこういうふうな改正案になつたのか、これらの点について一つ具体的に納得の行くような説明をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/28
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029・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 第一に最初の荒木委員の御指摘になりました学部増設に伴う人員が非常に少いのではないかという点、これは御了解頂いていると思いますけれども、これは年次進行で参りますから、当初学年の人員増だけを見ているわけでございます。で、学年進行につきましては、過去の分につきましては、この前も何といいますか、緊急集会の場合に御審議頂きましたように、五百何名増という計上のうちに入つて来ておるわけです。そういう点でございますので、この短期大学その他につきましても、後年度に殖えて参る勘定になつておるわけです。
それから人員の増が十分であるかどうかという御指摘でございます。決して非常に余裕の多いものではないのでございますけれども、とにかく夜間の短期大学については、昼間の教官が夜勤務をするということになりまするので、特別にその専任教官というものを要することが少いのでございます。ここには純増の定員を計上いたしておるような次第でございます。従つて夜間の短期大学に関与すべき教官の頭数というものは、勿論そのそとに相当数勘定される予定になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/29
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030・相馬助治
○相馬助治君 ちよつと速記をとめて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/30
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031・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/31
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032・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/32
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033・相馬助治
○相馬助治君 私はこれは福井政務次官にお尋ねしますが、この法律は十五国会において審議未了になつた法律です。そうですね。こういう施行法案が審議未了となつたために、予定していた大学には大変迷惑をかけたと思うのです。ところがこれにはやはり政府自身が責任があると思う。それは法律を作るのは国会の責任だといえばそれまでだけれども、一体提案した日にち、それらも相当問題だと思う。然るにこの十六国会に、これが六月十三日に参議院には付託されております。一体こういうふうな法律案をこのように生温い形で出して来るということは政府の責任じやないかと思うのですが、これらについてはどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/33
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034・福井勇
○政府委員(福井勇君) 相馬委員の御指摘の通り第十五国会において私たちも当時議員といたしまして相当協議いたしましたのですが、審議未了になつたことは承知しております。非常に残念でございましたが、その後御指摘のような、日取りが、日数が幾日間あつたというようなことにつきましては、今ちよつとはつきりと私の記憶がございませんが、大体四十日を予定してやつたように記憶しておりますが、なおその日数等について齟齬があつたかどうかは調査してみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/34
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035・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 前国会に提案いたしましたのは二月二十三日と考えておりますが、当時予見し得た会期を勘定いたしますと、四十日あつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/35
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036・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私はこの法案に関連をいたしまして四月二十一日に出しておられる文部省令、この点についてちよつとお伺いをしたいと思うのですが、これは国立学校設置法とは直接に関係のない問題でございまするが、この省令の内容は前の国会で提出されて廃案となつた大学管理法の内容と殆んど変らない、国会で賛成を得ることができないで、廃案となつた法案の内容を省令で出しておられるいわゆる国立大学の評議会に関する暫定措置を定める規則、これは私は非常に不都合だと思う。こういう重要な内容の問題は、当然国会の審議に委ねて、然る後に処置すべき問題だとこういう。ところが大学管理法案は全国的な反対に会つて遂に廃案となつた、これは期間とか、そういう関係の問題じやなしに、非常に強い反対があつて、遂に廃案となつた、これと同じような内容を省令で出すということは、これは私はどうも不都合だと思うのですが、この機会に文部省の見解を伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/36
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037・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 前回国会に提出いたしました大学管理法案は、これは審議未了になつたわけでありまして、その内容につきましてはいろいろ論議があつたかと考えておりまするけれども、ただ御指摘になりました評議会の部分につきましては、別段反対の御論議も衆参両院に聞かなかつたわけでございます。その部分につきまして、特に国立学校設置法の委任の下に省令にいたしましたのは、まあ形式といたしましては、国立学校設置法がそうした大学の組織に対しましては省令を以て制定し得るように委任しておりますので、法の手続としても適当だと考えました点と、それから又実際問題といたしましては、とにかく国立大学が完成年度を経過いたしまして、各国立大学の学長の選挙その他が行われる時期と相成つたわけでございます。それにつきましては教育公務員特例法も大学の評議会或いは評議員という言葉を予想いたしまして、別に規定を以てこうした評議会に対する一般的の定めのあることを予想しておる、然るに国立大学管理法が審議未了となりましてその後成立してない、その間隙を埋める暫定的な処置として私どもとしては必要だと考えまして、内容も前に一年有余大学管理法起草委員会があらゆる方面の意見を聞いてまとめ、又その意見につきましても大体ほうぼうの意見を網羅して、而も今までの国立総合大学に置かれた協議会の内容とも殆んど同一の内容である、暫定措置としては、ああいう内容を規定するのが適当だと考えまして措置いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/37
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038・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私が言つておるのは、この内容は政府が先の国会に提出した大学管理法の内容と殆んど変らない、これは非常に重要な内容を持つていると思うのです。従つて政府も国会に法案として出して来たのだと私は考える。それが国会において成立しない、これは非常に長期間我々としては審議した問題であります。そうして賛成できないという立場からこの法案は遂に廃案になつたわけであります。その内容を単なる省令で出すということは私は軽卒であると思う。そういう意味でこういう種類のものは非常に慎重にしなければならない、そこで私はお尋ねいたしますが、中央教育審議会に諮問しているかどうかという問題であります。これは前の国会で教育上の重要な問題はここに諮問をしてやつて行きたい、こういう方針で政府提出の法案となつて、これは成立しているわけであります。その結果作られた中央教育審議会ですが、こういう機関に諮つておるかどうか、これを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/38
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039・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 中央教育審議会には国立大学管理法の従来の経過を御説明申上げまして、こうした問題は大学についての一つの重要問題であるから御審議願いたいということで御審議願つております。で、すでに何回かこの問題につきましては御説明申上げたりいたしたような機会もあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/39
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040・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私のお聞きしておるのは、その問題について諮問をして、そうして教育審議会で結論で出ておるのかどうか、その結論と文部省から出しておる省令というものが一致しておるかどうか、少くとも大学管理会が出された場合、殆んど私どもの聞いておる範囲内で全学挙げて反対、こういうふうにも受取れたのです。従つてこういう省令が簡単に私は賛成されるとは思わない。ただ聞いておるというだけでは駄目なんで、教育審議会のほうで適当な措置である、こういうふうな結論が出ておるかどうか聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/40
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041・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 中央教育審議会におきましてはまだ何らの結論が出てないのでございます。国立大学に関しまする管理法案は中央教育審議会の御答申を得ましてから根本的に整理して出したい、この省令はそれが故に暫定省令という銘を打ちまして、それまでの暫定措置として必要な部分だけを措置したわけでございます。更にこの省令につきましては、国立大学協会のほうの要望もありまして成立にとりかかり、のちに国立大学長会議におきまして、御了承を得ておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/41
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042・荒木正三郎
○荒木正三郎君 やはりこういう重要な、而も論議のある問題については、私は急いで省令で出す必要があると思うのです。出さなくても従来やつておつたのでありますから、やつてやれないことはないと思います。而もこういうものを出す場合には、中央教育審議会も設けられたことでありますから、大学管理令の問題についても諮問することは当然です。併し同一な内容を持つておるこういう問題についても、私は何らか諮らるべき性質の問題だと思うのであります。それをそういう機関に諮ることなしに、単なる省令で出すというのはもう戦争前のああいう天降り式などと全然変りないと私は思うのです。そういう文部省の考え方というものに対しては私は疑義を持つのです。そういう点でなぜもつと慎重におやりにならないのか、こういう点をお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/42
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043・福井勇
○政府委員(福井勇君) 御指摘の点については御尤もな点もございまするので、成るべく速かに大学の管理法を作りたいと存じております。それまでの暫定措置というので、一つ御承認を願いたいと、こう思つております。
なお荒木委員の先ほどのお尋ねの中に、ちよつと局長から申し遅れた点があるように感じますので、御答弁申上げます。文部省が各大学を設置する地方の要望に際しまして、文部省側がどうも寄附してもらいたいというような顔をすると、荒木委員はそういうお言葉じやありませんでしたが、そういうような慫慂をするというような態度に出るというようなことがあつたらこれは非常に私はいけないことだと思います。それでこれらの点については公式な委員会の発言ではございませんが、衆議院のほうの委員のほうではその地方々々でうんと寄附があるなら、どんどんとつて充実したらいいじやないかというような意見もあるようであります。併しそれにいたしましても、前提となりまする文部省側が寄附があれば、金があるならば一つ作つてやろうというようなことにとれるような言葉がなくても、態度があつても私はいかんと思います。それらの点につきましては日本の国情がこういうふうに資産のない国でありますので、アメリカの或いはイギリスの大学が殆んど、有力な大学は個人の資産で、寄附されたもので出来上つているというような、そういう形は日本では応用ができない立場にありまするので、よく一つ注意して行きたいと存じます。答弁が漏れましたから附加えさせて頂きました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/43
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044・荒木正三郎
○荒木正三郎君 さつきの省令の問題でございますが、やはり暫定措置にしてもこれは既成事実というものができるわけです。その省令によつて既成事実というものができるわけであります。従つて思わしくないという既成事実ができた場合、私ども今後相当困ると思うのです。そういう意味において、この省令を出すことについてはもつと慎重な配慮が必要であつたと思うのです。そういう点について文部省は大学協会にも意見を徴した、こういうことなんですが、大学協会だけの、有力な学長だけの意見ということだけでは私は不十分だと思うこの問題は。少くともなぜ中央教育審議会に諮問しなかたつかという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/44
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045・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 内容そのものにつきましてはもう一年有余かかりまして、国立大学監理法起草委員会において、まあ各方面から文書で意見を徴し或いは公聴会を全国三カ所で開きまして三回稿を改めて作りました内容であり、国会におきましてもその分については別に御論議もなかつたのであります。又内容それ自体は長い大学の伝統におきまして旧制大学協議会の内容と殆んど相違がないところであります。私どもといたしましては、内容そのものについては争いのないものだと考えましたし、又これを作ります機縁といたしましては国立大学協会、これは各学長が全部入つておられますが、側から強い要望があり、又その処置については御承認がありましたので、我々といたしましては大学のためを考えて、そうした処置を臨時的処置として国立大学管理法ができるまでその穴埋として、そのことが我々の務めであると考えて出した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/45
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046・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私、稻田さんどうかしておられるのじやないかと思うのですが、大学管理法で一番問題になつたのはこの部分で、私どもが最も強く意見を出しておつたのもこの点なんです。大した反対もなかつた、こういうことなんですが、これは私はおかしいと思う。これは非常に問題になつた核心です。(「賛成もあつたよ」と呼ぶ者あり)そういう点を大した問題はなかつた、こう言うことは私はおかしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/46
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047・相馬助治
○相馬助治君 どうですか、これは理事会の決定がどういうことになつておるのかはつきりしませんのですが、十二時ですから、議事進行上委員長において各委員に諮られて、今日この法律案を討論にまで持つて行くというなら別ですが、そうでなかつたらこの辺で本日は散会したらよろしいかと思うので、動議を出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/47
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048・川村松助
○委員長(川村松助君) 相馬君の御意見によりますと、この程度で今日は散会したらどうかという御意見でありますが、散会することに御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/48
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049・高橋道男
○高橋道男君 今相馬委員の御意見ですが、質問は継続するということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/49
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050・川村松助
○委員長(川村松助君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/50
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051・高橋道男
○高橋道男君 それでは異議ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/51
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052・川村松助
○委員長(川村松助君) それでは散会する前に一言御報告申上げておきたいと思いますが、国立学校の設置法の一部を改正する法律案を審議する際に相馬、荒木両君から発言がございましたが、本委員会に只今付託されております法律案が九つあります。その九つの法律案が参議院には全部予備審査になつております。そのうち国立学校設置法の一部を改正する法律案と大日本育英会法の一部を改正する法律案は七月十一日に衆議院から送付になつております。只今本審査の段階に入つておるわけであります。つきましては、先般来の理事会におきましても衆議院から送付された法案から逐次質疑に入つたらどうかということになつておりましたので、次回は引続き国立学校設置法の一部を改正する法律案、大日本育英会法案の審議を七月七日相馬委員から要求のありました文化財保護行政に関する件についての調査の件について文化財保護委員から説明を求めたい、こういうふうに考えておりますが、御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/52
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053・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私はその際若干政府に質問をしたいと思います。大臣か政務次官に御出席をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/53
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054・深川タマヱ
○深川タマヱ君 衆議院から送付されたものを優先的に先にこちらで取扱うとおつしやるのは、この会期中ずつとこの御方針で行くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/54
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055・川村松助
○委員長(川村松助君) 大体そういうふうにしたらどうかというのがこの間の話合いなんです、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/55
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056・深川タマヱ
○深川タマヱ君 今、私がお願い申上げましたように前から不審に思つておつたのですが、理事の出ていない会派があるのですよ、そういうところではほかの会派との交渉がなくて不便を感じますので、ここで成るべく委員長お諮り下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/56
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057・川村松助
○委員長(川村松助君) そういうことにいたします。
それじや本日はこれを以て散会いたします。
午後零時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X00719530714/57
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