1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月四日(火曜日)
午後三時四分開会
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委員の異動
八月三日委員相馬助治君、高田なほ子
君及び山縣勝見君辞任につき、その補
欠として上條愛一君、成瀬幡治君及び
上原正吉君を議長において指名した。
本日委員飯島連次郎君及び上條愛一君
辞任につき、その補欠として高木正夫
君及び相馬助治君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 川村 松助君
理事
木村 守江君
荒木正三郎君
委員
上原 正吉君
大谷 贇雄君
大野木秀次郎君
剱木 亨弘君
谷口弥三郎君
吉田 萬次君
高木 正夫君
高橋 道男君
安部キミ子君
成瀬 幡治君
相馬 助治君
深川タマヱ君
長谷部ひろ君
須藤 五郎君
政府委員
文部省社会教育
局長 寺中 作雄君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した事件
○青年学級振興法案(内閣提出・衆議
院送付)
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001・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。青年学級振興法案を議題といたします。本法律案は、去る七月の三日に提案理由の説明を聞いております。質疑は本日が初めてであります。質疑に入りますに、お諮りいたしたいことが、総括質問で行きますか、質疑を一緒に一括して行きますか。その点について一応お諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/1
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002・剱木亨弘
○剱木亨弘君 総括質問ということにして、逐条質問を含めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/2
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003・川村松助
○委員長(川村松助君) 総括、逐条一括して質問をすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/3
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004・川村松助
○委員長(川村松助君) それではそういうことに決定いたします。
それでは政府委員が見えておりますから、質疑のあるかたは質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/4
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005・相馬助治
○相馬助治君 政府が青年学級振興法案を出した意図は、よく我々にも了解されるのですが、特に日本の現実から推して、学資の乏しいいわゆる勤労青年の教育ということが、一方では青年学級というようなものによつてなされ、又一方においては定時制というような教育の方法をとり、或いは又各般の公民館、図書館等を通じての社会教育の面でこれを補つて行こうということは、もう常識だと思うのです。で、現政府が、特に本年度予算に関しましても、定時制のための費用というものは、最初の文部省の意気込みにもかかわらず、大蔵省その他との交渉の結果、あのようなことに落着いたのであろうと思いますが、如何に日本の財政が窮迫しているとは言え、これら勤労青年に対して特に今はつきり法制化されている定時制教育等についての費用も非常に少いことは、本委員会で問題になつた通りです。そこで私は、この青年学級振興法案というような、極く小部分の単独立法を政府がするのでなくて、これらを含め、定時制等をも含めて、もつと抜本的な立法の措置に譲るべき段階であつたろうと思うのでありますが、にもかかわらず、この青年学級振興法案を出すに到つた文部省の意図並びにこれが経緯について、ここに局長がお見えのようだから、かなり詳細に承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/5
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006・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) お話のように、勤労青年の教育の方法といたしましては、定時制高等学校の方法がありますほかに、実際の現状といたしまして、青年の自主的学習組織としての青年学級が実情として非常に活撥な活躍をしておるのでありますが、それらを含めた法的措置、或いは改正措置を必要とするという御意見でございますが、この定時制高等学校につきましては、現在これは学校教育法に根拠を置くものでございまして、その財政措置といたしましては、これは大体県の事業として行われ、それに対する平衡交付金の形で以て、国がこの教育の援助をしているという形になつておりまして、外面から見ますと、定時制高等学校には、政府として何もやつてないというふうな感じをお持ちかも知れませんが、平衡交付金の面から言いますと、数十億の金がそのほうに行つているのでありますし、又勤労青年教育、定時制による勤労青年教育振興のために、設備費の補助といたしまして、千数百万円の補助金を今度の予算に計上をいたしておるのでございます。そういう意味で定時制に対しましても或る程度の配慮を払つておるのであり、何といたしましても義務教育と違いましてやはり高等学校の教育でありまするから、県の段階においてできるだけ活撥な振興を期するという形でその援助をいたしておるわけであります。一方青年学級のほうは、これは何ら現在のところ法的措置を持つておりませんが、その学習組織に加わる者は、定時制の高等学校にも行けないようなもので、そのような生活的或いは経済的事情にある者に対する施設でありますが、これが現状として相当の実績を挙げておるにもかかわりませず、財政的な関係から非常に仕事が困難であるという実情におきまして、これに対する国庫助成をやる必要があると認め、それに対する法的措置をいたしたいと考えたのがこの青年学級振興法案でございます。そういう意味でこれを一つの法律で、或いは一つの方針でその定時制と青年学級を援助するということも考えられますでしようが、定時制の場合は少くとも法的措置がすでにできておつて、又その財政的な中心は平衡交付金に置かれておるという事情がありますのに比べまして、青年学級は何ら法的措置がない。そうして現在相当奨励する心要を認める段階にありますので、これは平衡交付金でなくして、奨励補助金を交付する必要があるという意味からいたしまして、これは行政的に見て相当性格が違うのであります。そういう意味で、又その仕事の内容といたしましても、定時制高等学校は学校教育の範疇であり、青年学級は社会教育の範疇でありますようなこともございまして、やはりこれは別個に法的体系を立て、又援助の方式も別個の方式でやる必要があるのではなかろうかという意味におきまして、青年学級の法制化を政府で提案いたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/6
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007・相馬助治
○相馬助治君 文部省の本法案の趣旨は説明の限りにおいて了解されますが、私が聞いておりますことは、一方が社会教育の面であり、一方が学校教育の面であるから、当然立法措置としては別個のものをこの段階でとらざるを得なかつたということについては全く同感です。ただ私が問題にしたことは、定時制教育の問題についても、今局長の説明によれば、特に教員給その他設備に連関しての問題は平衡交付金の中に財政需要として見込まれているから、一千何百万かの今度の文部省の一般当初予算に盛つた金額は、少くともかなりこれは考慮が払われているという趣旨ですけれども、これは御承知のように平衡交付金は政治的には今どんどん逐年殖えておりますが、日本の正しい財政の在り方から言えば、平衡交付金というようなものは逐年減らして行くべき筋になつて来ていると思うのです。そこでそういう基本的な立場からこの定時制の教育の問題というものは当然考えられなければならない筋のものであろうと私どもは考えているわけです。ところが私が聞きたいことは、それらの定時制教育の問題については、衆議院の中川君ほか何名かから発案されております。それから青年学級振興法案については、政府当局がこれを立案して本院の審議の対象となつております。法体系の上から二つを一緒にしろということを私は言つておるのではなくて、財政需要の面から見て政府は当然これを一連のものとして考究すべきものであつた、もつと率直に言うならば、定時制教育の振興法案も政府みずからの責任において提出すべき筋じやなかつたか、而もその問題と青年学級振興法案とは法体系の上は別であるが、財政の面からは一連の関連において一つの計画を持つて本院にその審査を委ねるということが至当ではなかつたか、にもかかわらず、一方を、即ち定時制の問題を政府の責任において立案することなく、青年学級振興法案を出して来た理由は何なのだ、こういうことを私は具体的に尋ねているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/7
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008・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 主として定時制高等学校に対する奨励方策として、財政措置の方策として政府が余り努力ができていないということに対するお尋ねと思いますが、この定時制高等学校の経費の主要なる部分は教員給でございますが、これは従来の法律では教員給四割補助ということになつておりまして、それが平衡交付金に切替わるときにすべてその中へ標準需要額を入れまして平衡交付金にいたしたわけでありまして、それを現在の教員給の基準又教員数の基準で以て平衡交付金の中にある定時制高等学校の助成金を計算いたしますと、大体五十八億くらいになるのでありまして、それだけの金が平衡交付金の中に計算をせられておる。即ちそれは国家補助金で国庫負担金として出されておるのでありまするから、この面を平衡交付金から取出して、そうして奨励補助金の形で別個に打立てるということをすることが定時制高等学校の奨励策として必要であるという意見も相当あるのでありまするが、そういうことになりますと、平衡交付金制度全体の非常に重大な、他の行政事務にも影響を及ぼす根本的な財政の問題になるわけで、単にこの定時制の問題だけを契機といたしまして物事を措置するということは、いろいろ影響があつて簡単には参らないという事情にあると思うのであります。定時制高等学校のみならず全日制高等学校の経費も県の標準需要額の中にはあるわけでありまして、それらのものとの睨みからいたしまして、いろいろ財政的な複雑な問題が起つて来るのでありまして、それは地方財政、国家財政全体の、いわゆる大きな財政改革をする機会にこれをやる、定時制高等学校の関係からだけ法的措置をやるということは今時機ではないという意味におきまして、平衡交付金の関係はそのままにいたして、単に設備費の補助の形において定時制高等学校の振興を期そうという政府としての一応態度をとつておるわけであります。それでありまするから、定時制の関係におきましては、その設備補助ということで参りまするし、青年学級の関係はこれは平衡交付金として恒久的な財政措置の中に入れるべき性質のものではなくして、将来の奨励ということをこの際いたすためには、単なる経営費の補助金ということで、今度の予算に数千万円が計上されているわけでありまするので、その面を単独の立法として政府から提出するということにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/8
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009・相馬助治
○相馬助治君 最後のところは何ですか、その数千万円というのは、定時制についての文部省の当初予算の中の一つの費目ですね。それについて単独立法することになつたというのは、誰が立法することになつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/9
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010・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) それは定時制につきましては千八百万円の設備補助が予算として計上されておりまするし、青年学級に関しまして約七千三百万円の青年学級補助金が今度の予算に計上をせられており、それの法的根拠を持たせるために青年学級振興法案を提出する、こういうことにいたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/10
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011・相馬助治
○相馬助治君 だから私は尋ねているのです。一般当初予算の中から七千万円の分については、青年学級振興法という単独の立法を政府がやつたと、この理窟を以てするならば、この際抜本的に定時制の問題については考える必要がなかつたか、その理由としては、平衡交付金の将来予想せられる運命、それから定時制が平衡交付金の中に教育基準財政需要として見込まれておりまするから、御承知のように平衡交付金は紐付でない、そこでです、その府県の知事の意図、或いは府県の議会の意図によつてです、定時制教育というのは局長も御承知のように非常に財政的にうまく行つている県もあれば、てんで問題にならない定時制という看板だけ掲げておいて、その地方の公共団体はまるつきり見向いてもくれんというようなところがあるということを御承知だと思うのです。そこでこれは金額は一千八百万でも、定時制にも一般当初予算で金を持つているほどにこの際なぜこれを文部省として政府の責任において立案しなかつたかということを尋ねているのです。そこでですね、なお委員長はですね、この定時制のことはその次の法案でやつてもらいたいという或いはお考えがあるのかも知れませんが、その次のものは、議員提案なんです。どうしても政府側の答弁はこれと連関して聞かなくちやならないので、私はこのことを尋ねているので、委員長暫く我慢して聞いていてもらいたいと思うのだが、この定時制の教育については中川君外が提案しておりまするが、こういうことになると、時と場合によつては却つてこの立案が邪魔して、定時制教育に財政的に害を与えることもあり得ると局長はお考えですか。さようなことはないと考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/11
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012・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級に関しまして、これを法制化し、補助金の根拠を与えるということによつて定時制高等学校に対する方策に邪魔になるということにならないかというお尋ねでありますが、これは少くとも青年学級と定時制はその対象とする勤労青年の状態が違い、人間が違うわけでありまして、勤労青年の数というものは、これは十五歳から二十五歳までで以て学校へ行つてないものが千三百四十万あるのでありまするから、これは定時制に行つている者以外でありますが、そのうちからなお定時制に就学を奨励する部分も相当あります。併し相当部分が青年学級の学級生としての対象として見られるものが多いのでありまして、青年学級の振興と、定時制の振興とは両々相待つて行く、青年学級に関しまして非常に大きな奨励措置をいたしましても、それによつて定時制に行く者の数が少なくなつて、定時制が萎靡沈滞するというようなことは、これはあり得ないと思うのでありまして、青年学級を大いに奨励する一面に、定時制につきましても設備補助等によりまして、できるだけ地方においてこの定時制高等学校の新設或いは設備の整備ということを奨励いたしますならば、勤労青年はその生活様態によりまして、いずれかの教育組織の中に含まれて、そのおのおのの教育に対する希望を達することができる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/12
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013・相馬助治
○相馬助治君 この本法の基本的な問題について、質問は私は次の一点にとどめます。具体的なことについてはたくさんありますが、この青年学級振興法の内容については、まあ私異論を持つております。併しそれは暫くおくとして、青年学級振興法というものを出して、勤労青年の学び得ない、学校に学び得ない気の毒な青年を救おうという趣旨は了解されます。そうならば当然定時制の分についてなぜ立法措置をしないのだというのが私の質問なんです。即ち定時制の問題について局長が言明している通り、平衡交付金の中に教育基準財政需要として六十億程度が見込まれている。はつきりしているのです、積算の基礎として、その六十億を、今度中川源一郎君らから提案されておりまするが、それにかかわりなく文部省の一般当初予算の中に盛つておる千七百万と、これらのものを含めて定時制教育のために抜本的な立法措置をなぜやらんのだ、即ち定時制教育と青年学級振興と両々相待つて勤労学徒を対象として、その教育に万全を期すと局長が言うておるのだから、その理窟から言うならば、なぜこの定時制のほうの財政の国費負担並びに地方公共団体の負担区分を法制化する立法措置を文部省はやらないのだ、それには理窟がある、理由があるのならば承わりたいものだというのが私の質問の趣旨なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/13
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014・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) わかりました。この定時制高等学校の教員給のための財源といたしまして、平衡交付金の中に約六十億のものが計上されておる、これをまあ法案の中にとり込んで、即ちこれを補助金に切替えて、そうして定時制教育振興のための法案を作るということになりますと、先ほども申しましたように平衡交付金全体の地方財政全体の、非常に大きな問題になつて来ると思うのであります。定時制高等学校も高等学校の一環でありまするから、それでは全日制高等学校の教員給はどうして平衡交付金の中からとり出さないのかというようなことにもなりましようし、若しそれらを一括してとり出すということになりますれば、平衡交付金全体にまあ意義を失うというくらいのところまでなつて参りまして、これをまあ平衡交付金制度をやめるということでありますれば、そういうこともできるかも知れませんが、やめるかやめないかというようなことは、これは地方と国との問題の重要な問題でありまするから、この定時制問題一つで以てその重要な問題の中心を脅かすようなことになるということになれば、これは非常に問題を多く含むと思うのであります。そういう意味で現在は平衡交付金制度を存置するという方針で参つております以上は、この平衡交付金の中にある六十億の定時制のための金を補助金に切替えるということは、現在は少くともその時期ではないというふうに考えられるのであります。そういたしますとこの教員給以外の部分、即ち設備補助の部分に関しましてはこれは金額もそうたくさんではありませんし、このことだけのために法制化するということもこれも一つの方法でありますが、政府といたしましてこれを提案するには多少その内容がまだ少し検討不足の点があるというような意味におきまして、政府から提案することはこの機会は実はやめたのでありますが、議員提出の形で以てこれを法案に組んで、この国会に提出されるというような動きになつた次第でございまして、その意味で定時制に対する設備補助の部分が法制化されて、定時制教育振興に役立つという意味におきましては、政府といたしましても非常に結構なことであるという意味において考えておるのであります。只今申しましたような事情でございまして、政府からその面を提出するには多少時期でない、内容的にまだ少し検討の余地があるという意味におきまして、今回は実は差控えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/14
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015・相馬助治
○相馬助治君 議論がたくさんありますが、説明としてお聞きしておいて、私の質疑は基本的な問題に限つて一応私はやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/15
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016・長谷部ひろ
○長谷部ひろ君 今いろいろ御説明を伺いまして大体わかつたのですけれどもね、もう一つ私伺いたいことは青年学級振興法案に対するこの文部省の指導方針と申しますかね、その前にもう一つ今までどういうことをしていらつしやつたかということですね、お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/16
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017・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級は終戦後一年ぐらい経つた頃から地方の青年、特に山形県あたりのまじめな青年たちが集まつて自主的に共同学習組織を作つて、おのおの自分たちの教養の向上という形で自然発生的に生れました教育組織でございますが、それがだんだんに発達をいたしまして地方でも即ち市町村、或いは府県からも援助の手を差延べ、いろいろ指導助言の方策もいたしました結果、非常に発展をいたしまして現在は約一万一千学級、約百万人の学級生をみておるというような事情になつて来た次第でありまして、その間文部省といたしましてもその健全なる発達を望み、実情を調査したり或いはその場合に応じていろいろ助言的な示唆をいたしたりして来たような次第でございます。そこでこの青年学級に対する一種の指導の方針と言いますか、これにつきましては文部省でもこれを言わば官制の組織の中に入れ込んで、そうしてこういう勉強をやれ、こういう形でやれというような意味のことは一切いたしませんで、もともと自然発生的な、青年の自主的な向学の熱意から起つたこの組織でございまするので、できるだけそのいいところを存置いたしまして、その又健全な発達が期せられるようにいたしたいという意味で勤労青年の自主性を尊重して、その振興を図るということに一番重点をおいて来ておるのであります。そういう意味で青年学級の学習内容にいたしましても、何ら規制を加えるようなことはいたしません。ただ青年が明日の自分らの生活のために、或いは自分たちの産業のために必要な勉強をしたいという熱意によつて、勉強をし易いようにしてやるということを考えておりまして、一昨年くらいから青年学級に対する補助金というものをこの国家の予算の中に計上いたしましたが、これは非常に僅少なものでありまして、昨年度は僅かに五百万円、これは大体青年学級の中のモデル的な、非常に熱心なまじめな青年が集まつて規則正しい青年学級を開いておるというようなところにもつてこの補助金を流すという方策をとりましたから、その補助の対象となりました青年学級の数は僅かでありまして大体五百学級ぐらいございました。ところが現に只今申しますように、約一万一千の青年学級があるのでありまして、それはその経営、態様等いろいろあります。非常に熱心によくやつておるところもあれば、又間歇的に思い出したようにやるようなところもありまして、玉石を混淆いたしまして一万一千学級以上あるのであります。で、今日の時期におきましてはそれらのものの中で、この法律の十八条に国家の補助をいたします青年学級の条件というものをきめておりますが、これは極くあり来たりの条件でありますが、これらの条件に当嵌まり、一応国からみましてその経営について信頼ができるというようなものについては、これに対する補助金を全面的に支出をして行く必要があると考えまして、その意味でこの法案を提出いたしますと同時に、予算措置といたしましては七千三百万円を計上いたしましてこれを援助するということになつたのでありますが、その方針といたしましては飽くまで青年の自主性を尊重して、その教育内容その他については何らの統制を加えないということにいたして、その適正なる発展を期したいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/17
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018・長谷部ひろ
○長谷部ひろ君 大変詳しくお話を伺いまして有難うございました。そこで私もう一つ伺いたいのですけれどもね、やはり農村に参りますと何とか言いましたが、ホア・エツチ・クラブでしたか、4Hクラブと申しますか、そういうものとの関係はどういうふうになつておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/18
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019・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 農村には4Hクラブによるところの青年のクラブ活動がありまするし、又地域青年団といたしまして自主的に青年団体を結成いたしまして、いろいろ教養、修養のための活動をいたしておるわけでございますが、この青年学級は、これはその開設主体は町村でありまして、実施機関といたしまして学校又は公民館がこれに当るということになるわけであります。そこでその経営主体はそういう公機関でありますけれども、これが実際の運営に当りましては責任者は町村であるが、運営の実際についてはできるだけ学級生の自主性を尊重すると同時に、又青年団、或いはホア・エツチ・クラブの団員というような人の積極的な援助を求め、それらと相協力してその経営に当つているということになることが最も理想であると考えるのであります。青年学級に就学する学級生は十五才以上のまだ若い青年でありまするから、どうしてもいわゆる兄貴分の援助、示唆というようなものが非常に必要でありまするので、そういう意味で青年団或いは4Hクラブの団員というような人がいろいろこの経営の上に援助協力をする、例えばどういう勉強をするかということについての示唆、或いはどういう講師を呼んで来るかということに対する助言もありまするし、又出席が悪くなつたときは出席の督励をするとか、或いは講師の招聘の世話をするとかいうようなこともありまして、責任者は飽くまで町村でありまするが、実際の運営に当るものは、これらの組織と相協力してやるということになつて、即ち青年学級と青年団或いは4Hクラブとはお互いに持ちつ持たれつその経営を援助し合つて行つて、非常に理想的に行くというふうに考えておるのでありまして、青年団が発展するためには青年学級が発展する必要がありまするし、青年学級が発展することによつて青年団の活動も活撥になるというような関係に立つものであろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/19
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020・長谷部ひろ
○長谷部ひろ君 只今のお話伺つておりますと、非常に嬉しいと思うのですけれども、私の知つている面におきましては、ときどき両者の間に摩擦を起して当局が困つておられるという話も聞いたのでございますが、そういうお話はお聞きございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/20
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021・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) たくさんある青年学級のことでありますから、中にはその町村当局と多少うまく行つていないというところもあるかと考えるのでありまして、青年団の側から見ますと、町村の指導者、職員というような人が実権を振うので非常にやりにくい、できるだけ自主的にやらしてもらいたいというようなことから、いろいろフリクシヨンも起ると考えられるのであります。で、そういう意味におきましてこれをまあただ補助金を出すだけで任しておけば、いろいろ経営の上にもまあ乱脈な形になつて来るのでありまして、この法案の第三条に書いておりますように、「青年学級は、勤労青年の自主性を尊重し、且つ、勤労青年の生活の実態及び地方の実情に即応して、開設し、及び運営しなければならない。」ということによりまして、町村当局に対しまして、この法の方針に基いて勤労青年の自主性を尊重するようにやつてもらいたいということをこれによつて保障することができると考えるのでありまして、お話のようなまあ町村当局の無理解から青年学級がうまく行つていないというようなところにつきましては、私どもといたしましてもこの第三条の精神を活かしてやつてもらうように、いろいろ側面からその反省、注意を促すということもできるようにいたしたい。青年学級の運営につきましては、青年学級運営委員会を実際の措置として持つてもらいまして、これは現状といたしまして大概そういうものを持つておるのでありますが、その中に青年代表或いは学級生代表というものも入つてもらつて、実質的にはそういうところでやつてもらう、責任は町村がとる、こういう形でやることが望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/21
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022・深川タマヱ
○深川タマヱ君 この青年学級の原案によりますと、十五人以上の勤労青年が特に生活に必要な職業及び家事に関する知識技能を修得いたしたい目的で青年学級を申請いたしましたときには、その市町村は財政事情に余裕があつたときのみにこれを許すということになつております。従いまして勉学を希望する青年は大勢おりましても、その市町村がたまたま財政に余裕がなかつたならば勉学ができないというような仕組になつております。およそ全国どこの市町村にもこういう希望を持つておる青年男女は少くないだろうと存じます。それをたまたま申請したもののみを相手にし、而も市町村の財政に余裕があるところのみの青年が恵まれた状態におかれるということもどうも不公平でございます。青年はやはり国の青年でございますので、たとえ市町村の財政状態がどうあろうとも、やはり機会均等の原則に則つて国家からやはり支出されてもよいものだと思います。殊に終戦後の日本では不完全なる教育と、それからよくない環境のために非常に青年が、何と申しますか不完全に育つておりますので、どういたしましても徳育、知育共に相当補修教育をする必要が今日はあると思います。終戦後の日本ではたとえ百八十度の転換はしていなくても、少くともこの七年の間には九十度は思想的にも転換しておる実情でございますので、どうしても現在その育ちつつある青年を再教育する必要がございますので、百尺竿頭更に一歩を進めて、全額国庫負担にいたしまして、つまり各市町村には一つずつくらいはもう今日といたしましては青年学級を作らなければならないものだと思います。勿論これは青年の入学を義務付けるものではございません。それから六・三制の学校さえも十分できていないのにこんなむずかしいことができないという意見もあるかと思いますけれども、これは新らしい校舎を作る必要もございませんし、教員の関係などもありまして、そうたくさんな金が要るものでもないと思います。それに第一この頃自衛力増大というお話もございますけれども、今更自衛力を増大いたしましても、青年の精神教育が疎かになつていたのでは、それはちよつと効果を挙げることは困難だろうと存じますので、この段階では自衛力を増大する金を幾らか割きまして、青年学級のほうに当てまして、車の両輪のように自衛力と精神教育と両方進める必要があると思います。で、財源のことでありますけれども、そういうふうに自衛力のほうから節約することもございますし、或いは貸倒れになつております開発銀行の金を取立てるとか、そのほか志さえあれば幾らでもこれくらいの財源の出る余地はあるということを、何回も予算委員を勤めて私も気が付いておりますので、私どもできるだけこういうふうにしてもらいたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/22
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023・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 大変いい御示唆があつたわけでありますが、この青年の教育を国家で全部負担をしてやるというようなお話でありますが、やはりこの青年は国家の青年であると同時に又地方の郷土のために活躍する青年でありまして、そのための教育ということになりますと、義務教育は別といたしまして、やはりこれは国と地方でその財力を分担するというのがむしろ理想であろうと思うのでありまして、社会教育法の精神もそういう形でできておりますので、やはりこれは青年教育のための経費は各地方で負担するのに対しまして国がこれを補助するということにいたすのが最も適当ではないかと考えるのであります。町村の財政が窮乏のときではありまするが、大切な青年のための教育でありまして、そのために、一学級を経営するためにそうたくさんの金がかかるわけではない、大体平均いたしまして六万円くらいの金を一青年学級のために使つておるのでありまして、この法案の第七条には町村の財政事情によつてこれを開設するということになつておりますが、これはまあ財政で賄わなければできないことであるから当然でありまして、ただ町村が、殊に青年のためを考えるならば、そのぐらいの金を無理して出すということは、必ずしも困難ではないというふうに考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/23
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024・深川タマヱ
○深川タマヱ君 どうも只今の政府の政治の仕組が皆こういうふうになつておりますが、元を質せばシヤウプ勧告以来の財政に欠点があるからこうなるんだろうと思いますけれども、例えば最近ここを通過いたしております理科教育の経費でも、図書館を建設いたします場合でも、或いは義務教育費国庫負担の場合においても、或いは危険校舎を修築するときでも、戦災校の復興の場合でも、積雪寒冷地帯でも、皆やつぱり地方が半分ぐらい背負わないと国家が援助しないのであります。ところが元々地方の財政にでこぼこがひどうございますので、幾ら修築しよう、設備しようと思いましても、地方の財政に余裕がないと、国家の補助さえもらえないような状態なんでございまして、やはりこの教育というものは憲法に示されております通り国の義務でございますし、機会均等を考えなくてはいけません。今すぐは困難かも知れませんけれども、近い将来に実現するように一つ文部当局のほうでもよくお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/24
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025・須藤五郎
○須藤五郎君 関連して質問いたします。今深川委員の青年教育について、自衛力漸増の費用を割いてでも、この自衛力の裏付となるところの精神教育をすべきではないかという質問に対しまして、局長は非常に示唆に富んだ質問を頂きまして有難うというお答えであつたと思いますが、そのあなたが有難うという気持を述べた点はどういう点なのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/25
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026・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) この青年の教育につきましては、いろいろの考え方があると思いますが、道徳教育或いはその他精神教育について、国で非常に強い指導力を持つてこれを引張つて行くというような考え方もできるかと思いますが、私はむしろやはりこの青年の内心に潜んでおるところの、一つの国を愛する魂というふうなものが自主的に発散するように漸次仕向けて行く、即ち自主性を尊重することによつて、青年が時局と言いますか、国の事情というようなものに対する認識を深め反省をいたしまして、そうして強い精神力を持つようになる、こういうような奨励方法をとることが最も必要だと思うのでありまして、いろいろ御意見があるかと思いますが、青年学級の指導方針につきましては、そういう行き方でやる必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/26
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027・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは重ねて伺いますが、今日の青年はそういう面に関して欠けていると言うんですか、どういう点が欠けているのか、もう一度伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/27
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028・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 今日の青年がそういう点に欠けておるということは別に思いません。これは全体のまあ認識の問題でありまして、勿論欠けておる人もいるかも知れませんが、十分の人もおりまして、それは見る見方によりましていろいろ違うのでありますが、現在よりもますます精神力を涵養して立派な国民、或いは社会人として育てて行くことが望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/28
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029・須藤五郎
○須藤五郎君 これは私は直接聞いたのではございませんから真偽のほどはわかりませんが、吉田総理が衆議院のほうで発言しまして、即刻再軍備すべきだという再軍備論者に対して、こういう意見を述べたと言うんです。即ち、今直ちに徴兵制を布いて再軍備をするならば、その出来上つた軍隊は共産党の軍隊になるだろう、だから先ず再軍備をやる前に青年の精神を叩き直さなければならん、こういう意味のことを吉田さんが発言したということを私は伝え聞いたのですが、この真偽のほどがわかりませんので、若しもそういう点がはつきりすることができるならば、この際にはつきりして頂きたいんですが、そういうことを言つたということを聞きまして、私はこれは非常に危険な考えだと、そういうふうに考えておる、そうして今局長の意見を聞くと、この青年学級の意図する点がどこにあるかということがぼうつと浮いて来たわけですね隠していたのが。つまり衣の袖から鎧がちらついた、これは容易なことではない。私たちはそういう含みがこの法案の中に隠されておるので、これに対して私は反対しておる。あなたの言う愛国心はどういうことか、即ち曾ての帝国主義時代の青年に日本の青年を再び育て上げようとする意味の愛国心なんです。今日の青年の愛国心が私は欠けているとは思わん。立派だ。前の青年よりも民主的に武装されただけもつと立派な青年になつておると思う。その青年を叩き直そうというのがこの青年学級の志だというのか、あなたたちの言う愛国心というのは何か、軍国主義的なものか、帝国主義的な天皇制の下の愛国心なのか、その点をはつきりもう一遍説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/29
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030・深川タマヱ
○深川タマヱ君 私の言つたことを誤解していらつしやるからそういうことを質問しているのじやないかと思うのでありますが、これは一緒に御答弁なすつて頂いたほうがいいと思います。そういう点に関連して。私がさつき申しましたのは軍事費を割きましてその金で以て……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/30
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031・須藤五郎
○須藤五郎君 私は深川さんの質問に対して質問しているのじやない、彼の、局長の答弁に対して私は質問しているのですから、深川君の質問はほかに意図があつてもいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/31
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032・深川タマヱ
○深川タマヱ君 関連して、あなたさんのによく似た質問でありますから……。私が申しましたのは軍事費を割きまして、その軍事費を以て軍備の裏付けになる精神教育をすると言つたのではないのでありまして、これは共産党のみならずほかの政党も同じでありますけれども、徒らに軍備を拡張することよりも国民の生活を安定させるほうが余計急務なわけです。或いは外敵に対する防衛とか、強くなるということも必要であり、私もそう思つております。併しそういう意味もございますので、青年を教育いたしますにも防衛費を幾らか割きまして、例えば農業に従事している青年が農業の増産の方法を研究いたしまして、うんと米でも作りますならば家庭の生活は裕かになります。都会の中小商工業の青年がもつと商売の繁昌の途を研究いたしますならば、それだけ生活が安定いたすことになると思います。そういう意味で申上げたのでありまして、これを附加えまして局長の御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/32
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033・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年の持つている国を愛する魂を発露するというような表現をいたしましたので、愛国心という言葉が直ちに軍国主義に通ずる、或いは国家主義に通ずるというようにおとりになつたと思うのでありますが、国を愛する云々というのはこれは別に軍国主義ということと関係なく、やはり我々は生まれたこの国、国土というものを愛し、これを立派に育てて、そうして立派な国の人間になるという気持を持つており、又持つべきものであることはこれは当然であると思うのでありまして、そういう立派な国ができることによつてその生活も裕かになり文化的になり、立派な人間となることができるのでありまして、みずからを修養し、又立派な国を築き上げる、それに対する力、熱意を持つ、それが即ち愛国心でありまするから、そういう意味におきまして青年を精神的にみずからの自主性によつてこれを正しく育てて行くように、この青年学級が一つの契機になるならば幸いである、そういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/33
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034・須藤五郎
○須藤五郎君 あなたの言う愛国の国というのはどういうふうなのか、民族を愛するということなのか、国土を愛するというのか、その国ということに対してもう一遍説明して頂きたいというのが一点。
それから今日の教育基本法の中には平和を愛するということが言われております。文化を愛し平和を愛するということが、この平和を愛するということと、あなたの言う愛国心とは牴触する面がないのかどうか。そうしてなおもう一度伺いたいのは、今日の青年が戦争前の青年と比較して本当に民主的な立場で平和を愛する上において、文化を愛する上において、戦争前の青年と、戦争中の青年と比較して優つておるのか、劣つておるのか、その点をもう一度はつきり答えられたい。(「そんなことわかるものか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/34
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035・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 愛国心の、国ということは、民族、我が民族という意味も、我が国土という意味も、我々に伝承された習慣という意味も、制度という意味も、すべてを含めました国という観念から、現在我々に近しい関係にあるその環境であります。これが、これを愛し、その中で立派な人間になるということを青年は理想といたしておると思うのでありまして、なお戦前と戦後と比べましてどちらがいいかというお話でありますが、これは人によつていろいろ違うのでありまして、一概には言えないのでありますが、いずれも誰も完全な人間はないのでありまするから、常に修養をして、より高く向上して行こうという熱意を持つておるはずでありまして、そういう意味で今日よりもますます高い立派な人格を修養するように青年は努めておると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/35
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036・須藤五郎
○須藤五郎君 どうも僕の言う質問に対する答弁がぼやけておりますが、(「簡単々々」と呼ぶ者あり)皆さんお急ぎのようですから、余り追及しないでおきますが、今一つ伺わなくちやならん。あなたの今の答弁の中に制度という問題がある、即ちその制度とはどの制度を言うのか、新憲法のいわゆる主権在民の憲法を持つたこの社会の制度を言うのか、前の天皇主権の古い時代の制度をあなたは言つておるのか、どの制度を指して言うのか。(「答弁の必要ない」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/36
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037・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) これはその別にどの制度を指すというつもりはないのでありまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/37
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038・須藤五郎
○須藤五郎君 それははつきりしなければ駄目だよぼやけては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/38
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039・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 制度が、現在の制度が悪ければ改革をして、いい制度を作るということも又愛国心の一つになり得ると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/39
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040・須藤五郎
○須藤五郎君 よろしい。はつきり言つておこう。それではこの制度が悪いと思つて共産主義の制度、社会主義の制度にしようという、それでもいいことをあなたは認めたわけだな。え、そうだろう。よろしい、それでは。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/40
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041・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 共産主義ということは申上げませんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/41
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042・安部キミ子
○安部キミ子君 今日提案されました三つの法案、即ち青年学級振興法案、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案、勤労青年教育振興法案、この三つの法案は一貫性を持つた我が国にとりましては大事な教育施策でございましよう。併しながら今日の日本の教育体系を見てみまして、新憲法で保障され、教育基本法で以つて保障され、更に児童憲章で保障されているはずの小学校、中学校の義務教育のこの実態を我々は責任を以つてつぶさに反省し、観察しなければならない重大な段階に立つておると思うのであります。と申しますのは、今日我々の生活は終戦後幾分よくなつた、昨晩の参議院の本会議でもいろいろそういう言葉が出ましたが、未だに小学校に不就学の児童が一万千……百万……人、中学校におきましては五百万人という多数の児童が、(「冗談じやない」と呼ぶ者あり)日本の中に取り残されておる実情であります。(「そんな多いことはないよ」と呼ぶ者あり)こういうことを未解決にしたままで而も又ここに関連性を持つています中学校、小学校(「数字が違つている」「黙つて聞こうよ」「質問最中に何だ」「よく聞かなければ駄目だよ」「みつともないじやないか」「静かになさい」「委員長、静かにさせなければならん」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/42
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043・川村松助
○委員長(川村松助君) 許可した以外は発言しないで下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/43
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044・安部キミ子
○安部キミ子君 それで不就学の多数の児童生徒が残されておるにもかかわらず、これらの問題が未解決のままで、又青年学級振興法案というふうなものが三つの関連を持つていながら、ばらばらに次々に出されているということは、大変私は日本の教育行政にますます混乱を来たすのではないかと思うのであります。殊に今度のこの法案につきまして、日本の青年団の協議会では本案に反対する決議をしておりますようですが、先ほどあなたがおつしやいましたところの自然発生的に、而も青年学級は望まれて生れたものだという、このはつきりした断言に対しまして、はつきり反対の意思を青年団は表明しております。これらの関連について当局はどのような解決をしようと思つておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/44
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045・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 未就学児童の問題が重要でありますと同時に又未就学の勤労青年の教育も又重要でありまして、いずれが重要であるということは、これは言えないのでありまして、そういうことがある半面に、未就学があるという半面に、やはり千三百万に上る勤労青年の教育は非常に重要であると思うのであります。この日本青年団協議会がこの青年学級の法制化に反対しておるということにつきましては、いろいろこれは心配をいたしておるであろうと思うのでありますが、例えばこの法案によりまして、青年学級の自主性が失なわれるのではないか、或いは青年団運動の自主的発展を阻むことになるのではないか、というような点で問題を持つておるようでありますが、それにつきましてはいろいろ説明申上げましたように、この法案が出ることによつて決してその自主的運営を妨げるものではない、むしろその自主的運営を保障するものであるという意味で、これの適正なる施行を図りたいということを考えておるのであります。
なお日青協が非常に反対をしておるということでございますが、一般の地方の青年の意見というものと日青協の組織によるところの、それから出て来た意見というものとは私は多少違つておると考えるのでありまして、我々のほうでこの青年学級法制化に関する輿論調査をいたしましたところでは、青年の回答といたしまして四千九百四十五の回答数に対して八八・八%に上る四千三百九十三がこれに賛成をいたしておるというような実情でありまするし、又日青協におきまして、岐阜県下においてこの調査をいたしたところでも、青年学級の法制化は賛成であるというものが百三十一ですか、それから反対であるというものが八十三というような調査も出ておるのであります。現在地方に参りまして、青年の懇談会その他青年の意見を聞きますと、大部分がこの青年学級振興法の公布を一日も早いことを鶴首して待つておるというような実情にあるということは、私どもは確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/45
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046・安部キミ子
○安部キミ子君 只今の説明で心配していると、自主性がないものになるであろうということ、この青年の心理につきまして私は青年がそのように心配するのは当然だと思います。と申しますのは、過去の青年学校というものはあのように帝国主義的な軍国主義の教育の前提として、いわば軍事教練を強制的にしたところの戦争への準備の青年学校であつたことは、当局も認めておられるところであろうと思いますが、その点はどうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/46
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047・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級と青年学校とは名称は似ておりますけれども、これは内容的に全然別のものでありまして、この学級と言いますのは学校組織がないのであります。一つの設備施設があつて、これに入学をしたり退学をしたりして行く学校の経営と違いまして、青年学級は一つのグループとして自分らが明日の生活のためにこういう勉強をしたいということで集まつて講師に招聘して自分らの好きな勉強をするという組織でございまして、その教育内容等について何らそれに規制を加えるということをいたしていない以上、青年が熱望するものを与えるという形においてこの青年学級の助成が行われるのでありまして、青年学校に対する疑義がありますれば、これは全く根拠のないものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/47
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048・安部キミ子
○安部キミ子君 今その心配がないと断言なさいましたけれども、今日のこの法案によつての制度によりまして、だんだんそういう方向になつて行く可能性が十分あると思うのであります。第一財政の権利を持つているのは市町村長でありましようし、或いは教育委員会がそれの人事や、或いはそれらの先生に対する助言とか、或いはいろいろな面で左右するような形、或いは牽制するような形、或いは自分の意思に反するような先生を持つてはいけないというような今日の地方の教育委員会なり、或いは町村長の人たちの物の考え方というものは概して封建性の強いのが実情でありますので、私はその点大変不安であります。従いまして青年たちがそのことを大変不安がることにも理由があると思うのでありますが、どういうふうに考えていらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/48
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049・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級が公的機関の責任においてなされるということが不安を起させる原因であるというふうにお考えのようでありますが、教育の制度、或いは組織は大体公的機関がこれを担当しておるのでありまして、学校組織も勿論公的機関がやつておりまして、そのために教育全体が非常に軍国主義に走る不安があるということは言えないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/49
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050・相馬助治
○相馬助治君 学べない勤労青年のために青年学級を設けるという考え方は、私先ほど申上げたようにわからないことじやないのですが、これは本来ならば学校教育に委ねたい、正規の昼間学校教育に学べない者は定時制でこれを救済したい、それも不可能だから青年学級というものでやるという考えなのか、それとも青年学級というものを独自の使命ありとして、これを伸ばして行くという基本的な考えなのかどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/50
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051・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 大体定時制の教育と青年学級の教育と比べますると、定時制の教育のほうが教育として充実をいたしておるということはこれは言えると思うのでありまして、定時制四年間のうちで約三千時間一年間にして七百時間ぐらいの教育をやるのでありまするから、内容的にも相当充実した教育ができると思いますが、併し一年に七百五十時間もの時間を勉強のために持つというだけの暇を持ち得る勤労青年は非常に恵まれたものであると思うのでありまして、そういう意味からやはり時間的に、或いは経済的に定時制に行けない者がみずから相寄つて勉強をするという形でというので青年学級が生れるのでありますが、又青年学級の教育内容そのものが定時制と違つたあれを持つと思うのでありまして、学校教育の学科課程の基準によつて行われます教育と違いまして、やはりその生活或いは実情に即して明日の生活のために勉強する教育目標というものは非常に実際的でございまするから、そういう意味で定時制高等学校に行つている者でも同時に青年学級にも顔を出して勉強をしているというような実例もあるのでありまして、そういう意味では青年学級の教育が多少独自性を持つているということも言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/51
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052・相馬助治
○相馬助治君 青年学級というものは独自性を持つているということは当然なんですが、そこに問題が実はあると思う。いわゆる勤労青年と言われる人たちがですね、学校教育というものに持つ憧れというものは実に大きい。私自身小学校の高等科を終つて、私は三年近く百姓をしていた経験を持つていますが、当時中学校であるとか、或いは高等学校であるとかいうものは勿論のこと、学校と名の付くものに対する憧れというものを今でもはつきり思い浮べると、非常に強かつたように思うのです。そこで私が心配することは勤労青年の持つ当然の学校教育の憧れというものが青年学級という名によつてはぐらかされてしまう、ちよつと我慢すれば定時制に学べる、そうしてちよつと雇主なり何なりの了解を得れば定時制に学べる、ところが青年学級というものがあるからお前は定時制に行かなくとも青年学級というものがあるのだから、そこへ行つて勉強せい、又こういうことになつて、ははあ、そうか、ここで勉強していいのか、ということで、相手は子供ですから青年といつても。文部省の親心にかかわりなく私はそういう危険性を感じ、行く行くは定時制にまで影響を持つのじやないかと思うのですが、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/52
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053・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 確かにそういう気持の青年も相当あると思うのでありますが、ですから、学校教育に憧れて学校教育の課程をどうしてもとりたいといえには、やはりいろいろまあ生活上、或いは時間的に無理でありましても、定時制高等学校に行つてもらうということが本人にとつてはいいことであると思うのでありますが、又学校教育というものに別に憧れるわけではなくして、ただ明日の生活にこれだけのことを知つておけば非常に便利である、非常に自分らも助かるという意味で青年学級で学校教育というものと別に勉強したいという青年も相当あるのでありまして、そういう対象に対しましては青年学級の教育が最も適していると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/53
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054・相馬助治
○相馬助治君 あなたは社会教育局長で、大きく言えば日本の社会教育の総元締としての立場にあります。そこで伺うのだが、その程度のことならばこんな仰々しく青年学級振興法案と言わず、現行法の枠内で八千万ぐらいの国費を公民館に流すとか、或いは何かその種のものに流してやつたほうが、私はそのほうがいいと言つておるのじやないですよ、やつたほうが文部省としては意図するところの画一的な青年教育ができるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/54
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055・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 補助金を公民館に流しまして、公民館における青年学級の奨励をいたすということで勿論結構なんでありますが、その措置といたしましては、やはり国の最高の審議機関であるところの国会においてこの青年教育の重要性を認め、青年学級というものの必要性を認識してもらつた意味の青年学級法を出すということによつて公民館に対する補助が可能になるのであります。ただ漠然と公民館を奨励するということでは、少くとも政府としてそれだけの金を出す理由は或いは根拠に乏しいという認識になるわけでありまして、そういう意味でやはりこの青年学級振興法ということでその中の勤労青年教育に重点を置いた措置を国会として考えてもらつたというところに非常に大きな意義があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/55
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056・相馬助治
○相馬助治君 この法案を見ると、何人も設立者に企画さえあればなれるようになつておりますが、仮にこの法律案を無修正で修正した場合に、局長としてはこの青年学級を設けるように公民館或いは図書館、そういうふうなものに奨励しますか、それともむしろ現行の制度における学校教育の問題として、いわゆる学校の経営者或いは校長、こういうほうに青年学級の設置を奨励して行きますか、どつちの方向をとる考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/56
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057・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 法案の第五条三項によりまして、青年学級はその市町村に設置する公民館又は学校において実施するということになつておりまして、そのいずれに重点を置くかということは、これはその土地の実情によりまして適切な所でやつてもらうということにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/57
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058・相馬助治
○相馬助治君 私の質問を終りますが、最後に資料を文部省に要求いたします。さつき局長のお話では、平衡交付金の積算の基礎として定時制の分として六十億程度のものが入つているということです。正確に言えば五十五、六億じやないかと思うのですが、とにかく五十五、六億程度以上のものが出ているはずです。ところで現行の平衡交付金制度の下における教育基準需要としての定時制が取り得る金額、これは地方自治庁を調べるとすぐわかるわけです。それから第二は、現実に地方の府県が定時制のために支出している金額、これは私は大体この比率を知つておる、当然前者に対して後者は符合し乃至はオーバーすべき筋のものですが、現在はそうきつと行つていないと思う。これについて次回の委員会までに資料を本委員会に提出するよう要求しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/58
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059・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は文部委員会に初めて代つて来たわけで、よくわかりませんですけれども、この文部委員会に付託されておる審議法案を見ただけでも、振興法というやつが三つも掲げてある。この間の国会でも理科教育振興法というのがある。その前に産業教育振興法、何か振興々々という言葉がたくさん付いております。教育は文部当局にこれは伺わなければならないと思うのですが、社会教育局長に一つ答えてもらいたいと思うのですが、全体こういう振興法というものを作らなければ文部省はやつて行けんと思つておるのですか、どういう意味でこういう振興々々という名前が出て来るのですか。文部省が大体仕事をやつていないからこういう法律が出ているので、怠けている証拠ではないかと、こう思つているのです。だから議員立法で尻を叩かれておる。やることをやらんからそういうものが出て来ると思うのですが、この点を先ず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/59
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060・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 或る事業を盛んにするために国が助成の方策をとるという場合に、それが恒久的な施策として年々或る程度の補助金を出す。而もその金額が相当額に上るという場合には、やはりその補助金を出す目的或いは交付の方法、交付するためのいろいろ手続上の問題、そういうことについて一つの或る法的措置を以てこれがなされるということがいわば近代政治の特徴であると思うのでありまして、従来ただ予算措置だけで補助金を出すということもあつたかと思いますが、相当の金額に上る場合には、やはり法制によつてその方法なり目的なりを保障するということが必要である。そういう意味で一種の助成法につきましては振興法というような名前が冠せられる一つの習慣のようになつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/60
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061・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私はそんな習慣とかそんなことを聞いているわけではなく、文部省は振興法を出されて尻をひつぱたかれおる。ぼやぼやしているからこういうことになつておる。一生懸命やつていない証拠ではないか、こういうことを言つておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/61
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062・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) それは一生懸命になりまして補助金を取るためのいろいろ、折衝もいたし、又この法案の立案をいたしまして提出をいたしまして、先生がたの御審議を煩わしておる、こういうことによりまして我々は努力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/62
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063・成瀬幡治
○成瀬幡治君 学校教育法で勤労青年のことを考えなければならないということは私たちも十分わかるが、そのために定時制課程の設置であるとか、大学の夜間部の設置であるとか、高等学校、大学における通信教育制度の確立というようなことを文部省が十分になし終えて、なお足らんと考えてこの今度の提案をされておるのか、或いは両々待たなければできないと、こういうふうに考えておいでになるのか、この点を一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/63
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064・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) これは両々相待つて勤労青年のための教育が適正になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/64
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065・木村守江
○木村守江君 義務教育を終えた青年が教育を受ける機会を得られないために、こういうような法案を作りまして幾分でも教育を受けられる機会を与えるような施策は誠に結構なことだと考えております。併しながら、この法案が通過しましても、予算は大体において七千万円程度というようなことから考えますと、この七千万円をどういうふうな方向に使うか。先ほどの相馬君の質問にも関連しますが、大体において青年学級は、定時制の高等学校も勿論、全日制の高等学校も作り得ない、定時制の学校も作り得ない、定時制の季節分校も作り得ないというような場所に作られる、いわゆる教育の機会を得られないような青年を教育しようというような考え方であるのか、或いはこの法案に示しておるように十五名の申請者があればどこでもやれるのだ、どこでもやれるのだと言つても、金は七千万円だ、七千万円に制限される場合には、重点はどういうような方面に置かれるのか、ちよつと参考までに聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/65
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066・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) これは七千二百万円の補助金は、大体現状の青年学級数或いは青年学級生の数等から割出して、大体その数は特に殖やさないで、現在のままで、従来町村の公費で以て経営しておりましたものに対する助成をいたしまして、その面で幾らか町村の負担を少くするということに役立つであろうという意味で補助をいたすつもりでありますが、そういうことでありまするから、飽くまで現状を基礎にいたしておりまして、特に政府のほうから定時制がないというようなところを指定して作らせるというようなことにはいたさないで、青年のほうに勉学の熱意がある限り、そこに青年学級を設置させて、そうしてそれを補助するということにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/66
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067・木村守江
○木村守江君 ともかくも青年学級がややともすれば定時制と勢力争いをするというような傾向になることは、結局青年学級のある場所、或いは定時制の季節分校のある場所にお互いが食い込んでいろいろなトラブルが起つて来るんじやないかと思うのですが、これは勿論社会教育局長ですから、青年学級によつていわゆる青年の自主的な教育をしたほうがいいのだから、季節分校よりも青年学級のほうがいいのだというお考えを持つていると思うのですが、その点率直に社会教育局長というものに捉われずにお考えをお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/67
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068・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 先刻も申しましたように、青年学級ができることによつて、定時制が非常に邪魔にされるということはないと、実際の実情を私ども資料によつて把握いたしまして考えておるのでございまして、これは青年学級も定時制高等学校も教育におのおのいいところがあり立場も違うのであります。実際の事情から申しますと、定時制高等学校と青年学級が同じ村にあつて、而も両方に通つている青年もあるというような事情もあります。併し定時制のないところに青年学級が盛んであるということも又事実であります。おのおのその村の実情によつていろいろでございます。とにかくこれは両々相待つてこれを発展させる必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/68
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069・成瀬幡治
○成瀬幡治君 定時制課程の設置とか、或いは夜間部、通信教育に対しまして、あなたのほうは相当力を入れていられるはずだと思う。先ほどの御答弁を聞きますと、勤労青年に対して、車の両輪のようなもので両々相待たなければならないと、こういうふうにおつしやつた、そこで私は先ず資料として定時制課程に対して、これは定時制ばかりじやありません、夜間、通信教育等に対して、今までどんなふうにして努力されておられるか、これを一つ予算関係で私は資料を頂きたいと思います。
それからついでに資料の点でございますが、もう一点は、先ほどの御答弁を聞きますと、昭和二十二、三年頃から東北地方においてこの青年学級がぼつぼつと増加されている、こういうような話であります。そこでそういう地方には定時制高校というものがないのかどうか。なぜこういうところに青年学級というものが生まれて来たかということは、私は一つの理由があると思う。木村委員或いは相馬委員が指摘されているように、青年学級というものと、定時制高校というものは私は両立しないものだと思う。そこで定時制高校がそういう場合にはどのくらいあるか、どうなつているか。そういう青年学級のたくさん起きて来たところに対しては定時制高校はどんな分布状況になつているか、資料としてお出しを願いたいと思う。
そこで質問でございますが、定時制高校、或いは夜間部というようなもの、或いは通信教育というものがうんと発展をして来れば、青年学級というようなものは私は要らないじやないか、或いはそういうものは必要はないじやないか、或いは逆に、青年学級というものが一つの学校教育の形態を整えて立派なものであつたならば片一方は必要がなくなつて来るのではないか、こういうふうに私は考えるが、あなたは両々相待たなければならない、こうおつしやる。私は青年学級というものはいわゆる学校教育なのか、社会教育なのか、これは非常にむずかしい。あなたは社会教育だとこうおつしやるかも知れませんが、少くとも青年を教育するという面においてはやはり教育というものが主であるから学校教育関係と同じだと思う。だから私は今申しましたように、定時制高校や夜間部とか、或いは通信教育というものが盛んになるならば青年学級というものはむしろ必要はないのじやないか、こういうように考えるが、当局はどういうふうに考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/69
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070・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 定時制高等学校が非常に普及をいたしまして、私といたしましては大いにこれを援助し、財政的にも大いにやる。それから学生に対しても奨学金を出して授業料も出してやるというような形に非常に努力をいたしましても、やはり青年学級的なものは私は必要であると考えるのでありまして、それは主として勤労青年の生活態様から考えまして、やはり勉強のために割き得る暇ということから考えますると、せいぜい農村青年におきましては農閑期が六十日か七十日くらいでありますから、一日二時間の勉強いたしまして百二十時間か百五十時間であります。この時間を一年間に勉強のために捧げるということにいたしまして、仮に定時制高等学校の勉強をするということになりますと、それだけの課程をやりますためには、大体二十年くらいやらないと高等学校の課程は取れない。二十年やつてもいいわけでありますが、これではもう青年の時期を過ぎるわけであります。そういう意味でやはりこの暇の関係から行きまして定時制に全部を集中するということはこれは生活態様から見て不可能であり、又青年の数が千三百万にも及んでおるということからいたしましても到底これは定時制教育一本で勤労青年を救い得るものではない。こういう意味でやはり青年学級の必要がある、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/70
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071・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は定時制へ進学しようとしても、例えば雇傭主がこれを喜ばないという場合が私は大きな障害になると思う。そこで今度の法律を見ましても、第四条に「勤労青年に対しては、できる限り、その機会が与えられなければならない。」と、ただこれだけを謳つておる。やはり青年学級の勤労青年が定時制高校へ行きたいと思つても、雇傭主はいけないと言う。青年学級に行こうとしても駄目だ。こういうことでは意図されたことが実現できないのじやないか、こう思うわけです。あなたは先ほど私の質問に対して定時制高校だけに範囲を限定されておりますが、私は通信教育などという制度があるのですから、これが立派に運営されるならば、私はそういうような点もむしろ青年学級に通うよりもなお効果的ではないか、むしろ目的を達する上に、そのほうが受ける側においては都合がいいのじやないか、こういうように考えておるわけですが、あなたがおつしやるように青年学級というものさえ設ければそれで効果は十分に達せられる、こうお考えになつておるのは私には納得が行かないのですが、もう一度伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/71
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072・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級をやることによつて勤労青年教育の十全を期し得るということではないのでありますが、現在の実情から見まして、財政的に万全の措置をするということも一面国家財政の面から非常に困難であり、又個人経済の面から見ても非常に困難な点もある。又時間的な関係においても非常に無理があるという実情におきましては、勿論通信教育等も大いに活用するのでありますが、やはり青年学級に学ぶに適切な生活態様のものが相当おるのでありまして、そういう必要性から現に百万に及ぶところの勤労青年が青年学級を何ら国の援助にもすがらないでとにかく経営しておるということから見ましても、やはり青年学級の必要性は、これは無視できないものがあると考えております。(「議事進行」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/72
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073・成瀬幡治
○成瀬幡治君 先ほどの安部さんの質問に対しましての関連でございますが、小学校や中学校に対する不就学児童数というものはどのくらいあるか。これに対する文部省が今まで出された施策と申しますか、対策というようなものがあつたら、私は一応言葉ではなく文書でお出しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/73
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074・荒木正三郎
○荒木正三郎君 関連して資料を要求しておきます。現在一万一千学級青年学級があるという説明ですが、その青年学級は、公民館で設置しているのはどれぐらいあるか、それから図書館で設置しているのはどれくらい、それから会社で設置しているのはどれくらいあるか、その資料を提出して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/74
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075・川村松助
○委員長(川村松助君) ちよつと速記をとめて。
午後四時四十二分速記中止
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午後五時六分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/75
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076・川村松助
○委員長(川村松助君) それでは速記をつけて下さい。
二十分間休憩いたします。
午後五時七分休憩
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午後五時四十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/76
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077・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今から委員会を再開いたします。
休憩前に引続きまして、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/77
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078・須藤五郎
○須藤五郎君 私は青年学級振興法案に対しまして、少し逐条的に質問をいたしたいと思います。
第九条の第二項にありまする青年学級主事の採用の資格と申しますか、範囲と申しますか、こういうふうにきめなければならない理由を一つ説明して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/78
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079・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級に対して国から補助をいたします場合に、その規模運営が政府から見まして、相当信頼ができるという形のものに補助するということにいたしておりまして、その一つの条件といたしまして、青年学級主事が或る程度の資格を持つておるということを条件にいたしておるわけでございます。これらは大体現在の青年学級の実情を見まして、実際青年学級主事にあたる仕事をやつております人の資格といたしまして、普通に持つておる条件であつて、この人らに青年学級の運営を任せておけば、一応責任が持てるというところを押えたわけでございます。そういう意味で十九条の一号から七号までの資格が出ておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/79
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080・須藤五郎
○須藤五郎君 私はこの青年学級の主事などというものは、こういう単なる表面的な資格のみならず、やはり人物で選ぶべきものじやないかと思うのでございますが、ここに規定しておる点は、単にその人の持つておる社会的な資格というだけで、人物の点が何ら問題になつていないようです。そして私たちはもつといい人物があるならば、単にこういう資格のみならず、地方的に信頼のある人ならば、この主事に任命していい。一向に差支えないのではないか。むしろその地方々々の青年団の信頼を得ておる人、そういう人たちを主事に任命すべきではないかと、そういうふうに考えますが、それに対しましてどういう意見をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/80
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081・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 御指摘の通り青年学級主事といたしまして、人物として信頼ができるしつかりした人ということになるわけでありますが、それを計る一つのさしといたしまして、現在の社会的に認められておるいろいろの資格、大学卒業とか教員免許状を持つておるとかということで、そういう人にこれをやらせて、そうして補助金によつて青年学級の振興を図りますのでありまするから、この補助金の経理にも、まあいわば関係させるのでありますから、これだけの資格の人であればいいんだろうという見込みの下に、これらの資格を定めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/81
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082・須藤五郎
○須藤五郎君 いやしくも青年学級の主事となる以上は、青年の信頼を得なければ所期の目的は達することはできないであろうと思うのですが、単にこれだけの外形的な条件だけで、青年の信頼を得て行くことができるだろうか、そしてこれだけのことであなたたちの考えておる目的が達することができるかどうか、それよりも私が申しましたように、その地方の青年の信頼を得ておるような人格者を持つて来てこそ、初めてこの青年学級の目的を達することができるのでないじやないだろうか、なぜその途をこの中に書いておかなかつたかと思うのですが、その点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/82
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083・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) ここに仮に該当しない、七号までに該当いたさない人で、非常に立派な人、人格的に立派で頼むに足る人という場合には、講師の資格といたしまして、四号に「青年学級講師となるのに十分な学識経験を有する者である旨の都道府県の教育委員会の認定を受けたこと。」ということによつて教師の資格を与える途がありまして、その講師を通算して五年以上やれば、まあ主事ができるということが十九条の七号にあるわけでありますから、まあ今おつしやるような場合にも、それを活用いたしまして、十分人材をこれに当てることができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/83
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084・須藤五郎
○須藤五郎君 この条項をずつと見ましても、まあ「大学に二年以上在学して六十二単位以上を修得したこと。」又「教育職員の普通免許状又は仮免許状」を持つていることを条件としてある。単にこれだけの条件があれば、青年学級の主事になれるにもかかわらず、その地方で青年の信頼を得て、そうして人格、識見並び優れた人物をなぜこの主事に採用することができないのか。その点を私は伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/84
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085・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) これは只今申上げましたように、二十条の四号によりまして、都道府県の教育委員会で、そういう人は認定を受けることができるわけでありますから、そうして講師になつてもらいます。そうして相当の年数をやつて頂ければ主事になる資格がある。こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/85
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086・須藤五郎
○須藤五郎君 なぜ立派な人であるにかかわらず、これだけの年限を経たなくちや主事になれないかというようなことを考えるのですが、なぜそういう拘束をするのであるか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/86
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087・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) この青年学級主事と言いましても、やはり事務的な面がございまして、行政事務を処理するということに対する一応の経験が必要であると思うのでありまして、そういう意味で七号を置けば、只今のおつしやられるようなかたを救う途は十分にあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/87
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088・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは幾ら人物が立派でも、そういう人は不適任だという意味にお考えになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/88
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089・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) その具体的な人が、ただ立派な人であるということをおつしやるだけでありますが、どういう意味で立派であるかということの、まあその保障を二十条の四号と十九条の七号によつてできる。こう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/89
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090・須藤五郎
○須藤五郎君 例を挙げて申上げます。失礼か知れませんが、ここに自由党の木村守江さんという立派なかたがいらつしやいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/90
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091・木村守江
○木村守江君 冗談言つちやいけないよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/91
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092・須藤五郎
○須藤五郎君 その立派な木村守江さんが、なぜ青年学級の主事になる資格を備えてないでしようか。どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/92
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093・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 木村先生の場合はともかくといたしまして、相当の、その村で、その町で立派なかたであれば、恐らく一号から七号までの資格に該当するだけの立場を持つておられると考えるのでありまして、それでまあ十分と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/93
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094・須藤五郎
○須藤五郎君 恐らく私はこの参議院議員の中にも、この一号から七号までの資格を持つていないかたがあると思うのです。併し私の考えでは、いやしくも参議院議員として議場に席を持つていらつしやるかたならば、青年学級の主事に即刻になつていささかも差支えない人たちばかりだと私はそういうふうに理解するのですが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/94
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095・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 只今申上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/95
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096・須藤五郎
○須藤五郎君 これは話にならんが、これ以上気の毒ですからその次にしましよう。
第十一条、この十一条には非常に理解にむずかしいことがたくさん書き込んであると思うのですが、第一の専ら営利を目的として事業を行うということはどういうことを予測していらつしやるのか。又は特定の営利事業を援助することというこの例を具体的に説明して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/96
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097・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 例えば一つの裁縫塾のような形の青年学級があるといたしまして、そのでき上りました着物を、その縫賃をとつて売るというような場合もあると思うのでありますが、それを営利的にそればかりやるのが目的であつて、この縫物を教えるという仕事が副次的になつているような経営になつているものは面白くない。又特定の営利事業を援助するということにつきましても、例えば或る商品とか、編物とか、竹細工というようなものを売る営業がありますが、それに対する材料を提供する意味で竹細工の仕事を青年学級の形でやらせて、そこへ売込んで捌いてもらうという、いわばその竹細工事業の下請事業をやらせるというような形で青年学級が行われることは面白くない、こういうような場合であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/97
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098・須藤五郎
○須藤五郎君 これはあとで混乱するといけませんから、もう一度尋ねておきますが、田舎の学校などでは裁縫の稽古をするのになかなか田舎では着物を縫う材料を手に入れる、自分のところのものを手に入れるということは困難である場合が多い。だから材料を外から持つて来るということが考えられるが、そういうふうにして、その状態の下で青年学校で裁縫する。ところがそのでき上つたものに対してお礼をもらう、これが営利を目的とした事業というふうに場合によつては解釈されることが起つて来ると思うのですが、それはどういうところでけじめをするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/98
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099・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) その青年学級の運営状況を客観的に見まして、もつぱら営利を目的としている、ただ営利だけを目的としているような形でこの青年学級の縫物の事業をやらしているということであれば、これは面白くないと思うのでありますが、いろいろ個人関係で委託を受けて、そうして実費をもらうということが、ここにありましても、その一つ一つの行為を咎める意味ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/99
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100・須藤五郎
○須藤五郎君 それを認定するのは誰が見るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/100
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101・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級は地方教育委員会が公民館或いは学校を実施機関としてやらせるのでありまして、地方教育委員会においてやらせている仕事でありまして、その状態が非常によくなくて、十一条の一項に触れるというような形であれば地方教育委員会がこれを停止又は禁止するということが十六条に規定してあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/101
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102・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると地方教育委員会即ち町村にあればその町村の教育委員会が違法でないというふうに認めれば問題にならなくて、認めれば問題になるというふうに理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/102
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103・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 一応客観的な公正な立場から教育委員会がその事態を決定することになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/103
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104・須藤五郎
○須藤五郎君 これは言葉の上ではそういうふうに言い切れますが、実際にその村の青年学校でこういうことをやつておれば、村の教育委員会は果してそれを正当にやつて行くことができるかどうか。それは村中のことですから、話合いでいろいろなことが行われるときが来ると思う。そのときにそれでいいのかどうか。むしろこういう条項のあることは非常に問題を作ることになつて、この条項はないほうがいいのじやないかと私は思うわけであります。それでこの条項がある以上誰が責任を持つてどういうところで公正にそれが運営されて行くのか、私は疑いを持つから質問しているんです。あなたがたはどういう信念ではつきりそれをやられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/104
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105・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学校は一つの教育事業でありまして、公正な立場からこの教育事業が行われるということを保障いたしますためには、これが非常に営利一本槍のものになるとか、非常に政治的色彩に偏したものになるとか、その他宗教的に偏するというようなことは、これはその事実が非常に甚しい場合にはこれを止めさせることを保障することがどうしても必要であると思うのでありまして、そういう意味から十一条を置いた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/105
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106・須藤五郎
○須藤五郎君 もう一つお伺いしておきますが、戦時中ほうぼうの学校で兵隊さんが着る洋服を縫わされたことがあると思います。若しもそういうことが再び起つて青年学校へ持ち込まれた場合、この条項に牴触しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/106
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107・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 戦時中のことは存じませんが、第一号は専ら営利を目的としてやることを禁じている意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/107
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108・須藤五郎
○須藤五郎君 その専ら営利であるかどうかというところの認定が非常にむずかしいと思うのです。人々によつて違うし、場所によつて違うし、教育委員会の委員の頭でそれぞれ判断して行くのですから、隣の村ではそうではない、問題にならずに看過される。そうして隣の村に行くと非常に問題にされる。そういうことが私は起りはしないかという危惧の念を持つわけです。だからむしろ条項はないほうがいいのじやないか、そういうふうに言つているんですが、そういう場合どういうふうに処置しますか。そういう二つの規定で違つた結果が現われる場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/108
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109・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) これは教育委員会の公正なる判断を信頼いたしまして、この教育の公正を保障しようということでございますが、それが第三者的に見まして、客観的に見まして、非常に間違つた措置であるというような場合には、又それに応じて、例えば十二条によりまして文部大臣、或いは都道府県教育委員会がこれに対する助言を与えるというようなこともあり得ると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/109
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110・須藤五郎
○須藤五郎君 次に行きます。第二項の特定の政治的団体に関する利害に関する授業を行いという、この利害に関するというのはどういうことを指しておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/110
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111・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) これも前項の場合と同様でありまして、要するに特定の政党がこの青年学校を使いまして政党の党是を普及する、宣伝する一つの具に供するというような状態が非常に甚だしい場合にはこれを禁止する必要がある、こういう意味におきまして第二項が置かれているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/111
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112・須藤五郎
○須藤五郎君 この認定も教育委員会がするわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/112
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113・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/113
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114・須藤五郎
○須藤五郎君 この点教育の中立性というような問題が起つて参るのでありますが、その教育の中立性の問題を今問題にしますと時間がかかりますから、私はその問題は後日に譲りますが、教育委員というものはやはり或る政党的な立場に立つ人が多いと思うのですね。或る政党的な立場に立つておる、或る場合は政党の代表をして立候補してそして当選している人たちもある。その政党の代表者である教育委員が果して正しくこれを認定して行くことができるかどうかという問題です。大したこともないのに自分の政党と自分の気に入らんことをやる場合はこれを直ちに或る政党の利害に関する行動だと言つてこれを弾圧する、これを処置するようなことが私は起ると思うのです。それに対してどういうふうにあなたたちは考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/114
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115・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 教育委員会の委員の方々は政治的な団体の代表であるというかたもおられるかと思いますが、教育委員会そのものの活動といたしましては会議制によりまして教育の立場からものを判断して下さる立場にあると思うのでありまして、個々の方の意見は別といたしまして、教育委員会としては公正なる判断をすべきものという意味でこの二号は公正な運用を期し得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/115
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116・須藤五郎
○須藤五郎君 すべきものをきめておるのはあなたたちの勝手なきめ方なんです。ところが事実そういうふうに行かないのです世の中は。或る政党を支持している教育委員が認定する場合に、それが果して本当に教育の中立的な判断が下せるかどうか、ちよつとしたことでも難癖をつけてそれを弾圧しようとするにきまつているのです。それが世の中の通性なんです。だから私はこういう条項に対しても一つの懸念を持つているわけです。何らそれをちやんと運営して行く措置がされていないと思うのです。ただ教育委員はこうこうだ、正しくして行くものと信頼できる、そうあるべきものだというふうな、そんな公式的なことでこれが果して正しく運営できるかどうか、私は大きな疑いを持つている。恐らくできないというふうに私は考えているのでありますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/116
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117・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 法律の建前といたしましては、やはり各機関が公正にその法律の目的に従つて動いてもらうということを前提として立案されておるのでありまするから、やはりこれは教育委員会に信頼するという建前でございまして、まあお話のようなうまく行かないことのためにこの第十一条を削除してそうして青年学級が非常に乱脈な運営に陥るということを放置することはできないと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/117
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118・須藤五郎
○須藤五郎君 それじや教育委員会が若しも間違つた決定をした場合は、それはどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/118
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119・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) その非常に間違つておるということがはつきり誰が見てもそう考えられるというような場合には、第十二条等によりましてこれを是正することができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/119
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120・須藤五郎
○須藤五郎君 それは間違つているということがはつきりしたらと言いますが、はつきりさすのは誰がはつきりさして、どういう方法ではつきりさすのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/120
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121・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) その間違つておるか間違つていないかということの判断は、これはいわゆる普遍的な条理というふうなものでもつて客観的にきめられることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/121
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122・須藤五郎
○須藤五郎君 それはあなたたちに都合のいい客観的条理であつて、一般大衆にとつていい条理であるかどうか、客観的の条理であるかどうかわからん。そういう場合にはそこの地区の人民投票できめるとか、どちらが正しいのかというような論議がそこでなされて、そうして一つの地区で投票に問うて、教育委員会の意見が正しいか、青年学級の言つておることのほうが正しいのか、というようなことを決定する機関というものをやはり考えておかないと、非常に間違いを起すのじやないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/122
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123・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) そういう場合に人民投票によるというようなことは考えておりませんが、その土地の習慣もありましようし、いろいろ実際の実情に応じてその個々の町村において適宜に処理されるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/123
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124・須藤五郎
○須藤五郎君 この点は私は大変な不備な点がたくさんあると思うのです。
それから十二条でありますが、「文部大臣及び都道府県の教育委員会は、」というこの条項でありますが、「青年学級の開設及び運営に関し、市町村の教育委員会に対し、専門的、技術的な指導又は助言を与えることができる。」となつておりますが、只今の十一条のことに関しましても、この十二条によつて指導又は助言を与えることができるというふうに今答弁なすつたと思うのでありますが、これは上級機関からの助言であり指導でありますから、下級機関に対しては非常な強制力と拘束力を伴うものだと思うのでありますが、その点に関して御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/124
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125・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) これは必ずしも強制力を伴うものというわけではないのでありまして、文部大臣或いは都道府県教育委員会の立場から指導助言の権限があるということをただ述べただけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/125
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126・須藤五郎
○須藤五郎君 私が先ほど十一条に関して誰がそれを最後に決定するのか、そうして教育委員会が間違つたことをやつているとき誰がそれに対して意見を述べるかと言つたら、十二条にある、こういう上級機関がそれに対して言うというのですが、上級機関がそれに対して意見を述べるということは、下級教育委員会の意思を拘束し又それに対して上級機関の意思を強制することになりはしないか、こういうことを私は質問しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/126
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127・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 文部大臣及び都道府県の教育委員会の指導助言によりましていろいろ示唆を受けると思うのでありますが、その指導助言に拘束されなければならないということは別にないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/127
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128・須藤五郎
○須藤五郎君 十六条にこれは関係すると思うのでありますが、「当該行為の停止又は禁止を命ずることができる。」というふうになつております。これは市町村の教育委員会が停止又は禁止を命ずることができるのでありますが、而もこういう権限を持つた教育委員会に対してなお上層部からこういういろいろな意見が述べられるとなりますと、非常に私運営上いろいろな問題が起つて来やしないか、そういうふうに考えるのですが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/128
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129・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 市町村教育委員会の立場から十一条の条項に触れるような非常に著しい事態があつた場合に、その判断に基いて停止、禁止を命ずるのでありますが、その措置が客観的に見まして非常にまあ偏しておるというような場合に、文部大臣或いは都道府県教育委員会からこれに対する適切な助言を与えるということでありまして、最初から指導、助言を受けるのではない、市町村のほうで判断をしてやつたことに指導、助言を与える場合もあるということを申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/129
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130・須藤五郎
○須藤五郎君 その二項のほうを見てもらつたらよくわかるのですが、「前項の場合においては、都道府県の教育委員会は、市町村の教育委員会に対し、当該行為の停止又は禁止を命ずべき旨を勧告することができる。」と、勧告というようにやさしい言葉で書いておりますが、併しこれはそうじやないと思うのです。やはり都道府県なり上級機関が町村の教育委員会に対してこれは命令を発して来ることだと思うのです。大きな強制力と拘束力を持つた勧告だと私は思うのです。ですから、この十一条にあるもつぱら営利を目的とした事業に対してでも、又「特定の政党その他の政治的団体の利害に関する事業を行い、」というこの条項に対しましても、上は大臣から府県教育委員会、要するにそういう上級機関の意思がここに強く働く危険があるということを私は申上げたいのです。ですから大臣が立派なかたならともかく、如何わしい大臣ができた場合は、反動的な大臣ができた場合はその反動的な大臣の意思によつてこの青年学級というものが運営されて行く。そしてそれに反した場合は上からの勧告というような形でこの青年学級に対して大きな弾圧が来る。そういうふうに私は考えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/130
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131・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) そういうふうな考えをお持ちになる場合もあるかと思いますが、普通そういう弾圧をする、非常に強烈なる命令を下して、町村教育委員会の意思を無視した措置をするというようなことは法律の面からは別に出ていないわけでありまして、飽くまで公正な運営をすることによつて正しいこの法の目的を達することができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/131
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132・須藤五郎
○須藤五郎君 大達大臣は平和運動は或る特定政党の運動だと言つて、はつきりこの委員会で答弁していらつしやる。それは山口の日教組の日記問題に関しまして私は尋ねたのですが、この日記の中で、内容で問題になつたのは平和の問題なんです。再軍備反対、戦争反対、平和を守ろうというこの三つの運動なんです。ところがこれは特定の政党の運動だというふうに認定しておるわけですから、ですから若しも青年学級で今日の平和を愛好する青年が平和を守ろうという運動をやつたときに、それに対して、今の大達大臣だつたら特定の政治運動だというふうに認定する危険が十分ある。ですから今まで私はくどくどと質問している。あなたはどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/132
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133・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 平和運動という文字の上からは別にそれが必ずしも特定の政党の党是の宣伝運動であるというふうには考えませんが、実際の場合において明らかにこの青年学級を使つて特定政党の党是の宣伝をしておるということが明らかな場合には、これはその具体的事情において判断をするわけでありますが、やはり十一条に従つてこれを禁止するのは当然であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/133
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134・須藤五郎
○須藤五郎君 平和に二色ありますか。平和に二色はないわけです。平和を守ろうということに何の政党色がありますか。あなたがそういうふうに平和を守ろうということを政党色があると考えること自体あなたは反動色を持つておる。あなたの心の中に平和運動に対する対抗的な意識があるからそういう言動が出る。それが私は危険だと言うのです。戦争反対がなぜこれが政党に関係がありますか。平和を守ろうというのは憲法の骨子じやないですか。戦争をしないというのは日本の憲法の大綱ですよ。憲法に則つたこの大きな途を青年が守ることがなぜ一政党の関係したことなんですか。そういうふうに解釈するあなた自体にも問題がある。大達さんはそういうふうに解釈していられる。それは或る特定の政党の政治運動だ、そんな馬鹿なことはない。そんなことを言つたら日本の青年は皆非常に怒りますよ。私たち共産党は戦争反対、再軍備反対、平和運動を提唱していますよ。併し共産党の勢力が今日の日本中の青年の大多数の支持を共産党のみが得ていると私は自惚れていませんよ。だから青年学級の中で平和というものが論議されたときに、それを一政党の行動だとしてあなたたちがそれを禁止し、又それに対して、あとで質問しますが、処罰を以て、罰則を以て臨むというようなことは、これは大変な問題だと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/134
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135・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 平和運動という言葉そのものは別にそういうことはないのでありますけれども、現在再軍備問題ということを巡りまして、各政党がいろいろ政策の問題としてこの問題を論じているわけでありまして、そういう場合に平和運動という言葉を使つた場合に、やはり客観的情勢からみてこれは特定政党の党是の宣伝であるというふううに客観的に断定される場合はあり得ると思うのであります。そういう事態が明瞭な場合には、やはり教育の中立性からみてこれを停禁止する必要はあると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/135
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136・須藤五郎
○須藤五郎君 今日、日本の婦人も青年も是非平和を守ろうという気持を心の中に持つておりますよ。戦争反対は皆考えております。それが現われた場合に、それを一政党の特定政党の宣伝行動というふうに認定するのは、即ちあなたたちじやないですか。文部大臣じやないですか。上級機関じやないですか。そうして上級機関の認定に基いてそれを下部機関にまで勧告とか何とかという言葉で押付けるのじやないですか。これは非常に大きな危険じやありませんか。平和とか、戦争反対、再軍備反対というのは決してこれは政治運動じやない。思想運動ですよ。政治運動じやない、そこにあなたがたの、ものの考え方の間違いが起つて来る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/136
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137・深川タマヱ
○深川タマヱ君 議事進行について。共産党の須藤先生に対しては少々失礼でございますけれども、この法案に対しましては私たちも非常にたくさん質問する資料を持つているのであります。恐らくほかの先生もそうだろうと思いますけれども、もう時間もありません、まだこのほかに通したいと私自身が思つている法案も残つておりますので、相成るべくは委員長におかれまして適当に一つ公平に質問の時間をお与えになるとか、或いはこの質疑はもうこれだけで、ここらあたりで打切つて、次の定時制か何かのほうに進むか、適当に御考慮願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/137
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138・須藤五郎
○須藤五郎君 もう一つ十七条に対して質問いたしたいと思うのでございます。ここに罰則が規定されております。「前条第一項の規定による命令に違反する行為をした者は」、ということなんですが、命令に違反する行為をしたという判定をするのは誰が判定するのですか、又それを告発するのは誰が告発するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/138
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139・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) これは十一条、十六条の関係によりまして特定政党の利害のある授業を行なつた場合これを停禁止しまして、その停禁止を聞き入れなかつた場合に、聞き入れないでなおこのことを強行した場合にそれを処罰するという規定でございますが、それを判定するのはこれは結局は裁判官というような人になると思うのでありますが、事態に応じて告発をする、事情によりまして告発をする、そういう判断をして告発するものが出て来るわけであります。これを告発するのは別に誰というのではございません。誰でもいいのでございます。ただこの条項はいわば禁止規定に対する権威を持たしまして、警告的意味のものでありまするから、そういう事態があつたから直ちにこれを処罰するというようなことでなくして、滅多に使うことはないけれども、とにかく警告的意味を強くする意味でこの十七条がおかれておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/139
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140・須藤五郎
○須藤五郎君 それではこれは判定をし、又告発するのはその地区の教育委員会がやるのではなく、誰でもができる。その青年学級の授業に対して反感を持つている人がどこまでも鵜の目鷹の目で探し歩いて、ちよつとでも欠点があればこれを告発する材料ということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/140
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141・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 只今申しますように、この十一条に触れる行為があつて、それを市町村教育委員会がいけないと認定をして停禁止をする。そうしてそれに従わないでなおこれを続けておつた場合にこれを告発する、という関係になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/141
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142・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは今度は逆に考えて、或る市町村の教育委員会が共産党の教育委員だけで作られている。そこでどんどんと青年学級で共産主義の教育をやる。ところが共産主義を奉持しているところの教育委員はそれを告発しない、違法行為と判定しない。判定しなければその行為は違法として問われないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/142
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143・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 要するに十六条による停止禁止ということの命令が出て、それに従わないという事態がなければ処罰することは起りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/143
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144・須藤五郎
○須藤五郎君 その停止を命ずるのは教育委員会でしよう。ですから教育委員会が停止を命じなければ、あなたたちの言う客観的に見て違法行為があつても、それは処罰の対象とならないということですね。そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/144
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145・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) そうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/145
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146・須藤五郎
○須藤五郎君 公民館及び一般教育機関においてもこういう罰則的な条項があるのでしようか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/146
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147・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) それはございます。公民館に関する法律といたしまして、社会教育法があるわけでありますが、社会教育法にこれと同様の規定があるのでありまして、社会教育法の第四十一条にそのことが規定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/147
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148・須藤五郎
○須藤五郎君 この法案を一々逐条的に審議して参りまするとまだやりたいのですが、時間がないと皆さんおつしやいますので遠慮いたしますが、非常ないろいろな問題がたくさん含まれていると思うのです。十七条の罰則などは、これはどこにでも理窟を付けて、そして人を陥れることもできますし、又平和であるべき地方に対して大きな波瀾を起すこともできる、どうにでも扱える問題だと思いますこれは扱い方によつて。ですから、こんな馬鹿げた地方の平和を破壊するような条項などというものは絶対に除くべきものだと私は思うのです。私がこの法案審議に当りまして十七条又十一条、十二条、十六条、あらゆるこういう点におきまして大きな不満を発見し、又それに対してもつと質疑をいたしたいと思いますが、本日はこれだけにとどめまして、又明日でもゆつくりさして頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/148
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149・成瀬幡治
○成瀬幡治君 今須藤委員の質問にも関連するわけですが、実施機関というのは何を指すわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/149
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150・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 本法による青年学級は市町村が開設主体となるのでありますが、これを実施するための機関といたしまして公民館或いは学校がこれに当る、こういう関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/150
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151・成瀬幡治
○成瀬幡治君 第五条に開設及び実施機関というのがありますが、そこでは今言う学校とか公民館ということが一つも出ていないわけですが、どこかの条文にあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/151
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152・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 第五条第三百項でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/152
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153・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうしますと、今言う罰則に絡むわけですが、この公民館の職員と申しますか、職員乃至学校の職員がここにある第十一条の一、二、三のこういうことをした場合に罰則は付くわけであつて、そこに学んでおるところと申しますか、その青年学級へ通つておる勤労青年がこういうことをしたつてこれは罰則は当然ない、こういうふうに了承して差支えないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/153
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154・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級のこの運営状態全体から見まして十一条一号二号三号に触れるような事情があつた場合に、これを停禁止するわけでありまして、運営状況がそういう特定政党の利害に関する事業を行うというような状態になつている原因が一特定の講師に帰せられるというような場合には、その講師の人が処罰の対象となるということもございますし、特にそういうことがない場合には、この青年学級の責任者であるところの実施機関の長が責任を持つ、こういう関係になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/154
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155・成瀬幡治
○成瀬幡治君 例えば教育基本法においても、政治教育をやらなければならないということが、確か第八条かなんかで規定されていると思う。ですから政治教育という、これはいい意味のですよ、そういうことは行われることですね、これは先生がやつても差支えないし、或いは生徒は当然受けるべきものだということがきめられている。ところでたまさかそういうことが進んで参りまして、特定の候補者を支持若しくは反対することを生徒会自身が、先生というものは全然タツチせず、生徒会自身がそれを議決するとか、或いは特定の授業を支持したほうがよいのではないかということを生徒自身がきめた場合には、この罰則は全然適用されない、こういうふうに了承して差支えないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/155
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156・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) この青年学級に学ぶ者は大体十五歳以上の青年でありまして、若い者が多い、併し中には選挙権者もあるかと思いますが、大体そういう青年学級の制度の上から、その青年学級全体が特定候補者のための授業のような形になるということは、実際の場合としては少いと思うのでありますが、やはりこれを運用する側から仕向けて、その学級が非常に顕著な事態においてこの青年学級が誰それ議員のための選挙運動をやつている学級だ、青年学級をやつているのじやなしに、選挙運動をやつているのだというような、非常にひどい事態になつた場合に、これを禁止しようという趣旨でございまして、お尋ねのような場合も稀れにはあるかと思いますが、普通にはないのじやないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/156
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157・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私が非常に心配する点は、夜間部などにおいて適当な方法によつて給食をやつてもらいたいということを生徒が非常に要求するわけです。それでそういうことを実現してくれる一人の政党の人を支持しようじやないかということを、大学の夜間部などに通つている人は相当の年輩の人ですから、あるわけです。私は青年学級はあなたがおつしやるように十五歳以上だとはおつしやるけれども、やはり相当の年齢の人も最後には入つているのじやないかと思う。そういう場合を予想しますと、私は年中選挙運動ということはないと思いますけれども、たまさか衆議院の解散があるというようなときに、生徒会がそういう議決を、自分らの何らかの要求をとり上げて、そういう人を、公約してくれる人を支持するというようなことを仮りに決定したとする、併しそれは私は先生は全然それにタツチしていないというようなことになつた場合に、その青年学級は禁止されるものか、或いはその点は認められるのか、この点を一つはつきりお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/157
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158・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級の生徒が偶然に意思が一致して、青年学級ということと別に、別の機会にその青年学級の生徒全体が今おつしやつたような決議をするというようなことになつても、これは別に問題ではないのでありますけれども、もともとこの青年学級の授業全体が或る特定候補者を支持するためにできておつて、その運営が誰それ先生のための青年学級だというような形になつては困るという顕著な事態を取締る意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/158
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159・成瀬幡治
○成瀬幡治君 第六条と第十八条との関連でお尋ねするわけですが、先ほど深川委員の指摘されたわけですが、十五人以上の勤労青年が、一つこういうものを設けて欲しいと、こう申請するわけです。それに対しまして、三十人以上でなければ青年学級というものは開設されないわけです。十五人以上でこちらのほうが申請できるということになつて、まあ非常に小さな村乃至部落を私は頭に描いてお尋ねするわけですが、何か私はここにどうも納得が行かない矛盾があると思うのです。片方では十五人で申請することができる。併し許可する場合には三十人でなくちやいかん。そうすると、三十人以下のところには全然認めないと、こう言つておるわけだと思うのですが、何か矛盾があるような気がするのですが、矛盾はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/159
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160・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 三十人以下の青年学級を認めないというのではありませんで、国庫補助をする場合の青年学級の条件として三十人以上ということを考えておるのでありますが、この三十人というのは、学級運営として適切な規模であるということと、非常に人数が少くて経費の面で経済的に持たないというようなものであれば、これは少くとも適切なる運営規模でないということで、三十人の基準を持つておるわけであります。それに対して申請する場合には、その半数の十五人が先ず最低の限度になりまして、その者が少くともイニシアテイブをとつて申請をすると、そうして実際の運営においては、いろいろ公示もし、募集もいたしますから、大体どの村でも三十人以上のそういう青年学級の経営を希望する青年はいるものと考えまするので、そこでこういうふうな基準が生まれたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/160
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161・成瀬幡治
○成瀬幡治君 国庫補助の対象として三十人以上であつたほうが適切である、或いは三十人以上として一つのメドを設けなければならないという文部当局のお考えも、私はよくわかるのです。私が心配する点は、実際本当に辺鄙な公民館など、小さな部落のようなところを却つて見てやらなければならない。そこで無理をして三十人以上の人が名前を書き立てて作つて、そうしてここに書いてある開設期間が一年以上であるとか何とか、学習時間数は年間百時間以上であるとか何とかいうような、いろいろなことになつているわけですが、名前だけで一向出席しないというような者も私は出て来ると思うのです。そういう場合には、この補助の取上げる規定や打切りの規定が私は適用されて来ると思うのです。もう少しここらあたりは取扱上、こういう十八条の第一項というものは私は重要な一つの標準になると思うのですが、巾を運営の上において当局は考えておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/161
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162・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 現在の町村の規模におきまして、その町村に住んでおる青年の数というものを大体考えてみますと、その村全体といたしまして、青年学級の教育を受けるに適する青年が三十人以下で経営ができないというようなところは普通ないと思うのでありまして、部落的に、小さな字、或いは小さな部落というもので考えますれば、五人とか三人とかいう場合もありましようが、村として考えた場合には大体三十人はできる。そこで、活動は部落的にやつておるけれども、村としては三十人の青年学級ということで申請するということが、まあ大体どの村でもこれは国庫補助は受け得る条件にあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/162
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163・成瀬幡治
○成瀬幡治君 どうも私の頭に描いておる村や町がいけないのかも知れませんが、私なんか愛知県に例をとりますと、殆んど村に定時制高校があるわけなんですね。定時制高校があつて、そこへ通えない。非常に距離が二里も三里も片道であるというようなところは、私は一つの青年学級を作ろうじやいかなというようなことになると、やはり三十人というのは、単位としては私はこれを固執されると、仮に二十八人だ、二十七人だということで、できなくなつてしまう。そういうところに対して、やはり取扱上三十人とはなつておるけれども、そういうようなところについては実情を考慮してやる意思があるのかないのかと、こういうお尋ねをしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/163
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164・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) そういう点につきましては十分実情に副うた運営をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/164
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165・須藤五郎
○須藤五郎君 私一点だけ質問する点を忘れましたので、補足さして頂きたいと思います。
先ほど局長は十七条の罰則のところで、判定をしなければ罪にならないかという私の質問に対して、ならないというお答えだつたのです。そこで私は、教育委員会が共産党の勢力下にあつて、青年学級で共産党の教育をやつた場合でも教育委員会は問題にしないのかと聞いたら、しないとおつしやつた。これは所を変えて言えば、右翼の人たちが、自由党の教育委員会が自由党の政治教育を青年学級でやつても、それを判定しなければこれは罪にならないということになると思うのです。まあその場合のほうが多いわけです。私たちはその場合のほうをむしろ懸念をするわけですが、そうすると判定をしなければ罪にならないというあなたの言葉と、十一条の「特定の政党その他の政治的団体の利害に関する事業を行い、又は公私の選挙に関し特定の候補者を支持し若しくはこれに反対すること。」というこの禁止条項との矛盾をどういうふうに処理するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/165
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166・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) この十一条の各号は、いずれも判定の問題でありますから、町村委員会がそう判定しなければ停禁止もいたしませんし、停禁止がなければ処罰もないわけであります。そういう意味で只今申上げましたような御答弁をしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/166
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167・須藤五郎
○須藤五郎君 そこでだね。判定をしなければこれは禁止されないというのですね罰則において。そうすると、この十一条の条項とは相反したことが公然と現われるという結果になるのです。そうでしよう。それをあなたたちはどう処置しよるのですか、そこです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/167
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168・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) ですから、十一条のような事態につきまして町村委員会が何も処置をしない場合に、十二条によりまして文部大臣或いは都道府県教育委員会から助言をするという場合もあり得るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/168
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169・須藤五郎
○須藤五郎君 そこで僕は、助言に拘束力や強制が加わりはしないかという質問をしたわけです。ところが、そうではない、単なる助言で、拘束もしなければ強制もしないのだというあなた答弁をした。拘束もしない、強制もしない、大臣が言うたつてこの十一条の内容というものは変化されない、そうでしよう。そうすれば、教育委員会が判定しなければ政治活動は自由なんです。それで、罰則もなければ、十一条もこれは無視されることになるのです。そうして今日の情勢では、僕の心配する、いわゆるあなたの言う愛国心的な帝国主義的、軍国主義的な教育がこの機関を通してなされようとするのです。そうして、それはその地方の教育委員会が判定をしないということで看過されて、右翼的な、自由党的な政治教育は自由になされるというちやんと道が開いてあるのだな、抜け道がちやんと開いてあるのだ。そうして、それは平気で行われる、そういう馬鹿げたことがこの条項に考えてちやんと用意されておるという点を僕は問題にして、先ほどから長いこと追及しておるわけです。どうです、それに対して答弁できますか。(「答弁の必要なし」と呼ぶ者あり)答弁できなければ、しないでもいいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/169
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170・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 要するに、地方教育委員会の公正なる判断に信頼をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/170
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171・須藤五郎
○須藤五郎君 冗談じやない。教育委員会神様じやない、教育委員会は、皆政党的な立場を持つた人たちが多いのです。その人たちが自分の政党に有利な教育をすることをどうして禁止しますか、そういう認定のし方では法案の説明にならないのです。あなたのそれは勝手な説明に過ぎない。一人勝手な説明に過ぎない。(「答弁の必要なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/171
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172・成瀬幡治
○成瀬幡治君 補助の場合ですが、私は一つの基準などというものは政令で定められるのではないかと思うのです。これを実は読んでいないから私はわからないのですが、政令で定められるのですか基準というものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/172
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173・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 只今補助の範囲は政令で定めることにいたしております。補助の対象となる経費の範囲を政令で定めることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/173
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174・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうしますと、公民館など私はやはり対象の一つだと思います。或いは職員数とか。ですから一つの町村が非常に大きなものを作り、大きな職員組織と申しますか、学級になりましても、それの三分の一というものは無条件で大体やつていくつもりで、前々からありました産業教育振興法などでも県が半分負担するなら国は無条件で半分出すというようなことを言つておられる。併し言葉の上においてはやはり予算の範囲内でということが付いておる。それを盾にとつて県が仮に五千万円出すとしても、国はそれに対して五千万円は応ぜなくて三千万円しか出せないというのが私は実情だと思うのです。今回もやはりそういうような心配が私は非常にありはしないかということを憂えておるわけですが、局長は心にそういうことを十分予想して、やはり予算の範囲内でその運営に要する経費の三分の一を補助する、こういうことを謳つておるのが、やはりこういう重大問題であるから、青年学級を置くようなところは本当に恵まれないところの私は山間僻地の農村の子弟が多いと思うのです。従つて村も非常に貧弱な私は村だと思うのです。そういうところが熱意を持つてやろうとする、そうして三分の二をくれる、こう思つて計画を立て、それに対して予算も計上してみた、そうしたら国は三分の二くれなかつたということが多いと思うのです。局長はそういうことを十分予想してこの十八条の条文を書いておるのかどうか、そうじやなくて本当に向うがこれだけ要る、こう言つたものに対して無条件に三分の二を出す用意があるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/174
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175・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 只今のお話は三分の一なんでありますが、ここにもありますように予算の範囲内で運営に要する経費の三分の一以内を補助するとなつておりまして、お話のように実際かかる経費の三分の一は必ず補助するということにいたしたいのでありますが、予算の関係がございますから、必ずしもそうは行かないかと思いますが、できるだけ三分の一に近い額を補助して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/175
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176・成瀬幡治
○成瀬幡治君 振興法というのは私はやはりこういう特に青年学級を設けるとかいうところは、先ほど私が申しましたように、本当に山間僻地のところで貧弱なところなんです。それを十八条には三分の一以内となつておる、而も予算の範囲内だ、だからそういうことに応ぜられないのだというようなことだつたらば私は大変なことになると思うのですが、昭和二十七年度に計上された七月以降三月までの七千三百万円というものは、今現にあるところに対しての大体三分の一を指しておるのか、相当なここに余裕がある、この七千三百万円というのはどうしてなるのかお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/176
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177・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 七千三百万円の積算の基礎といたしましては、一学級の経営費を二万四千円と見ておりまして、その三分の一の八千円ということで一万一千学級分を計上しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/177
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178・木村守江
○木村守江君 今、本会議のベルも鳴りましたし、この程度で法案に対する質疑の打切りをいたしたいと思いますが……。(「それは駄目だよ」「賛成」と呼ぶ者あり)こういう動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/178
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179・深川タマヱ
○深川タマヱ君 今日はこれで止むを得ず打切りますが、これで承知なさらない先生があるようで、局長さんの答弁もなかなか御立派でございますけれども、青年学級というものは日本の文教政策の非常に重要な役割を勤めますので、やはり予算も組んでおりますので、成るべく文部大臣の出席もしてもらいませんと困りますので。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/179
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180・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今の木村君の動議に賛成の声がありまして、まあやかましく言えば動議は成立いたしております。採決してどうこうというのもどうかと思いますが。
ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/180
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181・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。
本日はこれを以つて散会いたします。
午後六時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615115X01819530804/181
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