1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十八日(土曜日)
午前十時五十分開会
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出席者は左の通り。
委員長 郡 祐一君
理事
加藤 武徳君
亀田 得治君
委員
青木 一男君
小野 義夫君
楠見 義男君
赤松 常子君
棚橋 小虎君
政府委員
法務政務次官 三浦寅之助君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 真道君
説明員
法務省刑事局参
事官 下牧 武君
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本日の会議に付した事件
○刑事訴訟法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
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001・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 本日の会議を開きます。
刑事訴訟法の一部を改正する法律案につき質疑を続行いたします。本日はおおむね刑事訴訟法総則の部分の改正、従つて第六十条乃至第百八十四条の改正条文について御質疑を願いたいと存じます。
私からちよつとお尋ねいたしますが、第六十条の改正で、八十九条の権利保釈の除外事由の拡張に関連しまして、そのままこれを本条の勾留期間更新制限の除外事由といたしておられますが、両者は全く別個の概念に基くものだと考えるのでありまするが、そのまま対応させておられる理論的な根拠について御説明を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/1
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002・下牧武
○説明員(下牧武君) 権利保釈の除外事由の拡張の全部をこの第六十条の勾留更新の制限の緩和のところに持つて参りましたわけではないので、ございましていわゆる御礼廻りの条項はこれを省いております。ただその根本的な考え方といたしまして、両者共身柄を拘束しておくのが適当であるかどうかという点におきまして、権利保釈も勾留の更新の場合にも一脈相通ずる思想があるわけでございます。その意味におきまして、やはり勾留更新の制限を緩和ずるにつきまして、この程度のことはやはり権利保釈と同じ意味において必要であろうと、かように考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/2
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003・郡祐一
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/3
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004・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて下さい。さようにいたしまして八十九条が改正されるとすると、短期一年以上の罪に当る事件が決してすべて複雑な事件とは考えられませんし、審理期間は三箇月あれば十分と考えられるのでありますが、この但書の改正によつて却つて審理遅延の傾向を助長する虞れがありはしないだろうか。法制審議会の答申ももつと縛つてあつたように考えるのでありますが、法制審議会の答申についての法務省の考え方、並びに前段お尋ねした短期一年以上の罪に当る事件についても、審理期間が三箇月では不十分だというようなことが相当あるとお考えになるかどうか。その点をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/4
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005・下牧武
○説明員(下牧武君) 大体の裁判所の審理期間は、一般的に申しまして三箇月以内で終るものが非常に多いのでありまするが、併し三箇月以上超えておるものも相当あるのでございます。而もそのうちで身柄を拘束をしたままで第一審の勾留期間が三箇月以上を超えたという統計をちよつと申上げてみますと、これは昨年の昭和二十七年十二月末の裁判所に係属しておる被告人員、これが七万六百二十四人ございます。そのうち勾留されておる者は一万三千三百十六人でありまするが、その中で第一審係属中の者を挙げてみますと、十五日以内の者が三三%九、それから一月以内の者が二二%七、二月以内の者が二〇%九、三月以内の者が八%二、それから六箇月以内の者が八%五、一年以内の者が四%○、一年を超えた者が一%三、こういう数字になつておりまして、これを逐年の割合と比較いたしましても、まあ大体傾向においては、多少の出入りはございますが、こういう傾向を維持しておるわけでございます。従いまして、裁判所で全部身柄を拘束しないで、三箇月したままで、その三箇月以内に終るということはなかなか困難であり、理想論としましては、成るほど裁判所のほうの審理を促進させるということで進めて参つて、成るべく身柄の拘束を限局して行くと、その方向にあることは勿論その通りでございますけれども、現在の人員とか或いは設備その他の人的、物的制約によりまして、やはり限度というものがございます。その中で、特にこの権利保釈の除外事由とすべきもの、而も短期一年以上のもので強盗とか強姦とかいう、或いは強盗の中にも相当複雑な事件もございますので、そういうもの、或いは営利誘拐、特に営利誘拐なんかになりますると、非常に関係人も多くなつて参りまして事件そのものが複雑化して参りまするが、そういう事件につきまして、これを保釈の、どうしても三箇月経つたら出さなければならんということでは窮屈ではなかろうか。むしろそれは裁判所の裁量に任せておいたほうがいいのではないかと、実はかように考えたわけであります。実はこの点につきましては、法制審議会の答申は直接その点には触れてございません。ございませんけれども、権利保釈の事由としてこの改正に応ずる答申がございました。以上はやはり先ほど申しましたように、一脈相通ずるところがございますので、その点を一つ勾留更新制限の除外の場合にも御考慮願いたいと、かように存じたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/5
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006・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 更に六十条二項の改正に関連しまして、被告人が多衆共同して罪を犯したる者であるときは全面的に勾留期間更新制限の除外事由としようとするのでありますが、却つて被告人多数にかまけまして事件の審理をあと廻しにして訴訟遅延を招く虞れがないかと思うのであります。一方において多衆共同して罪を犯しました場合に、六十条二項の但書のような用音をする必要もありましようけれども、同時に他面訴訟遅延を起さないように何らかの制約を設ける。例えば、通じて何カ月を超えることができないとするとかいうような措置が必要とはお考えにならんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/6
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007・下牧武
○説明員(下牧武君) 御尤もなお尋ねでございますが、現在この訴訟遅延ということは、多衆犯罪のみに限らず、一般に相当やかましく問題にされておるところでございまして、裁判所におきましても先年来特にその点を取上げまして、集中審理とか、その他いろいろな工夫をいたしておるわけであります。従つて多衆犯罪なるが故にそのまま放置しておくということになりますれば、自然にそこに弁護人もついて偽ることで、ございましようし、社会的の非難も起きて参りますから、そういうことは殊更多衆犯罪なるが故にその審理を避けて日にちを待避するというとはないと存じます。又裁判所の現状といたしまして、御存じと思いますが、非常に裁判官は苦労いたしております。特にここに掲げましたような、目的としておりますような多衆犯罪という事件は、これは非常に御存じのように公判闘争も相当頻繁に行われるような事件で、ございまして、そういう事件について裁判所が理由なく審理を遅延するということは、これは事実上到底なし得ないことであろうと、かように考えるわけでございます。それからその点について或る程度の審理の期間を限つたらどうかということでございますが、公職選挙法などにはそういう規定もございますが、一般法としての刑事訴訟法の中にそういう規定を設けることは、やはりちよつと問題であろうと存じますし、又御存じのように、例えばメーデー事件とか松川事件とかいうような事件になりますと、これはとにかくあれだけの両方の当事者が多数あつて、それがいろいろ攻撃防禦の方法を講じて法廷で闘うのでございますからして、その期間を例えば三箇月或いは六箇月と切りましても、果してそれで賄えるかどうか。恐らく到底賄い得ないのではないかというふうに考えます。といつて、余り長い期間をここに設けるということになりますれば、却つてそれになれてそれをいいことにする……、と言つては語弊がありますが、それまではいいというような安易な気持も出て来ないとも限りません。却つて弊害が出るのじやないか。こういうわけで、これはやはり裁判所の良心と訴訟そのものに対する社会的な批判によつて制約をして行くのが最もいいことじやないか。又検察庁といたしましても、この審理の促進ということにつきましては非常な関心を持つておるのでありまして、特にこういう集団事件につきましては、積極的に裁判所に対して早くやつてもらいたい。そうして実はこういうふうな工夫があるということで、それを持ち出す、それを又裁判所が弁護人団との間において調整をとつてやつておる。こういうような実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/7
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008・赤松常子
○赤松常子君 私大変素人なんでございまして、ちよつとお尋ねしたいのでございますが、多衆共同ということの、その多衆の意味はどういうふうに解釈されるのでございましようか。二人以上も多衆だと思うのですが、どういうふうにここでは解釈されておるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/8
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009・下牧武
○説明員(下牧武君) 私どもが今ここで予想いたしておりまするところは、少くとも二三十人以上のものでなければなるまい、かように存じております。そこでこの多衆という言葉は、これは騒擾罪におきましても使つております。それから暴力行為等取締法という法律がありまして、その中にも、多衆の威力を示すというようなことて、多衆という言葉が使われております。ところがこの騒擾罪における多衆というのは、これは一つの或る地方の静謐といいますか、静穏を脅かすに足る程度の人数を言うということで、相当多数の者が騒いで、そうしてその一地方の平穏さが乱される撹乱されるというところまで達しなければ、そこに言う多衆には当らないという解釈がされておるわけです。それから暴力行為における多衆と申しますのは、これはそのこと自体が一つの威力となるような程度の人数の集まりでなければならない。その意味におきまして例えば街の与太者が数人相談いたしまして、そうしていわゆるタカリと申しますか、恐喝のようなことをいたします。そういう場合に、一人の者がその家へ入つて行きまして、表に二三人変なアロハのシャツでも着たような者がぶらぶらしておりながら、それをちらちらさせながら、その一人が金銭の要求をするというような場合は、暴力行為に言う多衆……、そのことが一つの威力となるような多衆であるというように解釈されて、その場合には二三人であつてもいいという解釈が出ておるわけであります。それで多衆という言葉も、こういうわけでいろいろ法律によつて分けて別々に考えてみなければならぬと思います。私どもがここに書いておきました多衆というのは、やはりお互いに一つの集団的な犯罪が行われて、そうして、それが若しそこで保釈を許す或いは身柄を出すということになればその間に通謀等が行われてどうにも事件のあとの持つて行きようが困るというような場合、非常に高度な場合を予想しておるわけです。少くとも二三十人以上……場合によりましては、そういう趣旨でできておる規定でございますから、本当に或る被告人同士の間に、出ますれば必ず証拠隠滅を図るというようなことが相当に明らかな場合、そういうような場合には、或る程度、二三十人まで行かなくてもいいという場合はあると存じますけれども、といつて、それが十二三人でいいというようなことでは、到底そういう解釈にはなるまい。普通の場合は二三十人以上でなければなるまい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/9
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010・赤松常子
○赤松常子君 その多衆共同ということは、犯罪の性格や犯罪の種類によつて、時には多く、時には少なくなるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/10
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011・下牧武
○説明員(下牧武君) 犯罪の種類と申しますよりも、具体的に起きましたその事件によつて、例えば集団犯罪にいたしましても、メーデーのように六千人も集まつて……、まあこれは概数でございますが、起きた事件で、そのうち検挙されたのが千何ぼというような場合もございましようし、或いはそこの五、六十人のような場合もございましよう。何と申しますか、事件の具体的な態様ということによつて違つて参る、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/11
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012・赤松常子
○赤松常子君 では、それに関係した者は全部除外されることになるのでございますか。そのうちでも主謀者及び巻き添えを食つた者、いろいろ種類があると思うのでございますが、そういうところはどんなことになつておるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/12
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013・下牧武
○説明員(下牧武君) この場合は必ずしも犯罪の現場において共同した者だけには限りません。我々の解釈といたしましては、教唆犯及び従犯と申します、これは含む解釈でございます。この場合は、丁度暴力行為等取締法に「数人共同して」というような言葉を使つております。それから破壊活動防止法にやはり「多衆共同して」という言葉を使つておりますが、この暴力行為等取締法に言う「共同して」という意味は、その現場におけるやはり共同を指しておる。この法律の性質からそういうことになつて来ると思いますが、ここに使つております「共同」というのは、いわゆる共同正犯の場合だけではなくして、教唆犯及び従犯を含むという考え方でございます。併しながらお互いに共同というのでございますから、その各被疑者又は被告人の間に意思の連絡がないと共同ということには申せません。従つて俗に同時犯と申しておりますが、意思の連絡なしに、たまたま偶然に一緒にやつたというのは、ここに言う共同の中には入らない、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/13
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014・赤松常子
○赤松常子君 それでは、限度でご、いますが、例えば同時犯であつて、それで引張られていろいろ調べてみたところ、意思の連絡がなかつたというような軽い人なんかはどんどんその場出されることになるのですか、そうう場合もあるのですか、そうではなのでございましようか。これからそういうことにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/14
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015・下牧武
○説明員(下牧武君) この場合は、初めから意思の連絡なしにたまたま行われたということが初めから明らかな場合、この場合にはもう当然それはここへ入つて参りません。それからそういうものであるということが明らかになつた場合も、それから後というものは多衆共同してということにはならないと思います。併し一応それがいわゆる最後まで真実共同正犯であり、或いは教唆犯であり、従犯であるかということは、判決の結果を待たなければわらないので、ございまして少くともうの形においてなされたというふうに認められる限りは、ここに言うやはり多衆共同の中に入る、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/15
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016・棚橋小虎
○棚橋小虎君 この第六十条は第八十九条に関連があるのですが、内容につきましては、第八十九条の場合に質問することにいたしましてそれを保留しまして他日に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/16
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017・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 総則中いろいろ各条に関連いたしておりますからどうぞあとへ戻る場合が起りましても結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/17
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018・赤松常子
○赤松常子君 これの逐条説明の中の今の六十条に関連してでございますが二頁の四行目でございますが、あの審理期間を三箇月を超えるものが簡易裁判所においては一五%、それから地方裁判所で四〇%とございますが、これは犯罪の複雑になつたということなんでしようか、それとも検察陣の陣容が不備だということなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/18
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019・下牧武
○説明員(下牧武君) これはいろいろそういうお尋ねのような要素が湿りまして、こういう結果になつておるわけでございまして、ここに挙げました数字は、実はこれは身柄拘束だけの数字じやございませんので、一般的な審理期間、それで勿論事件が複雑になつて来たのもございますし、それから事件が殖えて参りましたその点も非常に大きな影響をしているわけです。それに応ずるところの裁判官の陣容というものが十分整つていない。そこで裁判所としてやはり簡易裁判所では一五%、地方裁判所は四〇%というものが三箇月以上超えているというわけでございます。身柄を拘束するという問題は、先ほど申上げたような%でそれよりは減つているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/19
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020・赤松常子
○赤松常子君 いつも言われることでございますけれども、非常に検察陣の人が足りないとか、或いは、つまり人数が足りないから一人持ちの事件の数が多くなるというようなことも考えられるわけでございます。併しこれは二、三年前の行政機構改革のときに問題になつたのですが、一番減らされる率の少かつたのは法務省関係だつたと思うのです。私どもがそこに不満を持つたわけなのですが、反対したわけなのですが、ほかの厚生省とか労働省関係はうんと減らされまして、本当に国民にサービスをすべき官庁の職員、公務員というものが非常に減らされて、その率と比較いたしますと、法務の関係は案外少かつた。そういうわけで相当おいでになる、減らされていないはずなのでございますが、まだこういうふうな事態を生じているということは、今言われたように事件が多くなつたというだけでございましようか。足らなければ足らないで相当の考え方なり、或いはそれに対応する処置はとれないものでしようか、如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/20
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021・下牧武
○説明員(下牧武君) 只今のお尋ねは現在のこの法律の今問題になつておりますところは、これは裁判所の問題でございまして、検察庁の問題はむしろあとに出て参ります起訴前の勾留期間、それのほうの問題になるだろうと思うのです。お尋ねの趣旨はどうも検察庁の方面のお尋ねのようでございますが、ついでに申上げますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/21
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022・赤松常子
○赤松常子君 私は法務省全体の問題だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/22
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023・下牧武
○説明員(下牧武君) 裁判所と法務省と全体を引つくるめて、それで行政機構改革でいろいろ吏員の減少は、縮小はございました。その際にいつも裁判官と検察官は別だということで、特別の扱いをして頂きまして、それから事務職員の減員につきましても、非常にその%をもう最小限度でとめて頂いておるので、特に捜査事務、それも裁判所そのものにタッチする職員は減員されていない。こういうような取扱いをして頂きまして非常に感謝しておるところでございます。併しながら事件の増加の趨勢と、それから人員の配置の関係を見て参りますと、現状ではやはり検察庁といたしましても、非常に無理がかかつております。それで今お手許に差上げてございます統計諸表、横書にした統計を集めたこれの二十七枚目、一番最後のところでございます。これを御覧頂きますと、検察官の数、一人当りの担当の事件数、この割合が載つておりますが、この処理件数で比較いたしますると、例えば昭和七年一人当りの処理件数、担当件数、これが三番目の列に載つておりますが、これが千八十二件であります。それが昭和十三年八百九十七件、こういうふうな傾向を辿りましてところが昭和二十三年にはそれが二千五百三十二と殖えております。それから二十四年には件数としましては三千七十一件、二十五年は二千八百四、それから二十六年が三千七十件、それから二十七年度としては二千四百というような数字にずつとなつておりまして、やはり事件数が殖えて参りました。ということは事件全体が殖えて参りますと、%は別といたしまして起訴の数も殖えて参ります。総体といたしましてそうなりますと、やはり裁判所の審理の対象となる事件が殖えて来るという関係にございますので、実はもつと増員をさせて頂きたいのでございますけれども、いつも大臣からも言われておるのですけれども、ほかの職員を整理々々と言つてやつておるときに、特に増員をするということも、非常に困難な状況にあり、又できるだけその方向に向くべきであろうと思うが、一応大勢というものを余り無視するようなことも考え物だからというので、我々としては絶えず増員要求をしておりますのですけれども、思うに委せない、こういう状況にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/23
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024・棚橋小虎
○棚橋小虎君 この但書の中からして、第一号と、それから第六号は規定を除外されておるわけですが、その除外されておる理由を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/24
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025・下牧武
○説明員(下牧武君) 第一号は除外いたしませずに第一号はこの中に入れてございます。第八十九条第一号の短期一年以上というのが入つております。八十九条第六号お礼参りというのが除外してございます。お礼参りは権利保釈としては、これはそういう虞のある者をすぐ保釈で出す、どうしても権利として出さなければならんというのは考え物でありましようと思いますけれども、併し勾留更新というので、そこまで響かせる必要はないのじやなかろうかということで、お礼参りの分だけはここから落した、かような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/25
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026・棚橋小虎
○棚橋小虎君 第二号はどうですか。八十九条の第二号です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/26
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027・下牧武
○説明員(下牧武君) 参照条文を御覧頂きますと、参照条文の第三号でございます。第二号とあるのは第三号の誤りです。あとは現行法通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/27
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028・棚橋小虎
○棚橋小虎君 これと違つておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/28
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029・下牧武
○説明員(下牧武君) それとは違つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/29
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030・楠見義男
○楠見義男君 一点だけ、勾留期間の更新の問題と、それから権利保釈の制限強化の問題とは全然別個だという御説明があつたのです。そこで短期一年以上の懲役又は禁錮の関係なんですが、これは御説明によりますると、重要な或いは複雑な犯罪関係で、どうしても勾留期間を更新する必要があると、こういう御説明であつたわけなんですが、ところが重要或いは複雑という問題は、必ずしも短期一年以上の刑にのみ限らずに、そのものの中から極めて単純なといいますか、ものもあれば、それ以外のものについても例えば詐欺とかいろいろな問題で、随分複雑な問題があると思うのです。それをこういうふうに短期一年以上というので含めることは、実は御提案になつておる御趣旨とは違つた結果か生ずるものもありはせんかと思うのですが、これは何かそういう問題についてはつきりすることはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/30
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031・下牧武
○説明員(下牧武君) この権利保釈とそれから勾留更新の問題は、事柄としてはこれは別のことでございますが、最初にも申上げました通り、その身柄を出したら困るという事情のある場合でございますから、その意味においては一脈相通ずるところがあるわけであります。そこで法制審議会の答申は、この権利保釈の除外事由を拡張する点についてのみ答申がございまして勾留更新の点については、実は何も触れてなかつたのであります。ただ立法化いたします場合に、権利保釈の点だけを除外して勾留更新の場合をそのままにして置いて平仄が合うかどうか、それがやはり平仄が合わない点は手当いたさなければならない。それでお礼参りは勾留更新まで認めなくてもいいというので、お礼参りは省きましてその他の除外事由を附加えた、こういう経過になつているわけであります。そこで短期一年以上というのも、これはこれまで説明のございましたように暴行とか強盗とか、或いは人身売買、営利誘拐というようなこういうふうな犯罪者が、とにかくぽかつと出て来て権利保釈の問題は権利としてやらなければならんということで出るのじや大変だというのが、立法の動機でございます。こういう事件の中には、すでに簡単に強盗といつても、いろいろな種類の事件がございまして簡単に済むものなら勾留更新をいたさなくとも済む事件もたくさんございますが、中には済まないやつもあるのであります。それでいろいろ事件が、本人が実際証拠が固まつておつて、この男がやつたのは間違いないというような事件だといたしますれば、これはもう簡単なものでございますけれども、それが本人が否認いたして参りまして、そうして従来の証拠がおかしいというようなことになりますと、裁判所としては検証などもやはりいろいろな細い点調べなければならん場合には、或る鑑定まで命じなければいけない、例えば手袋を一応そこへはめて行つたというので、手袋を没収したといたしましても、本人の自白が、それが麻の手袋だつたという自白をいたします場合に、その押収されているものが果して麻かどうかということになりますると、それが争いになつて参りますれば、それを鑑定して、果してどういうものかというところまで証拠を固めなければならないというような場合もある。そういうわけで、到底三月では片付かない場合もあるのであります。そういう場合には、そう言うなら中途で出させるかということになりますと、そこはちよつとやはりもう少し考える必要があるのじやないか。それは裁判所の裁量によつてその点を考慮する。法律上どうしてもこれ以上勾留できないのだということになるのは如何なものかと、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/31
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032・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 次に他の条文にお移り下さつても結構ですから……。私から七十一条についてちよつと質疑をいたしたいと思います。この管轄区域外の勾引状執行の嘱託で、政府側の説明では勾引状と勾留状とを管轄について区別して考えなければならない理由はないという工合に言つておられますけれども、これはやはり本質的な差異、即ち身柄の引致と留置との差異があるものであり、勾留するには陳述聴取を要件とするのが原則でありまするから、土地管轄については一方地方自治体との関係もありまするし、他管内に踏入るということはできるだけ避くべきではないかと思いますが、その点について如何お考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/32
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033・下牧武
○説明員(下牧武君) この勾留状を直接執行嘱託するというのは現行法も認めている建前であります。それでこれは本来なら勾引状を出して引張つて来るのが主でありまするけれども勾留中に例えば逃亡した者を勾留状で収監する必要がある場合があるわけでありまして、そういうために、稀な例でございまするが、勾留状の執行嘱託というのが認められているわけであります。そういうわけで全然この規定が必要がないということにはなりませんので、その趣旨でお読み頂ければ幸いに存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/33
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034・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 今の点はあなたのほうから配付された説明書でも有力なる学説があるという工合に書いてあります。学者の意見じやないかと思いますが、その点はその点といたしまして、七十一条に関連いたしまして司法巡査の配置状況とその教養の実情についてどういう工合にお考えになりましようか。勾引状又は勾留状というような重要なものの執行を嘱託し得るといたしまして、人権擁護の立場からどのように考えておられましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/34
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035・下牧武
○説明員(下牧武君) この規定は法制審議会におきまして警察方面から要望がございまして、そうして審議の結果、これを取入れた規定でございます。それで司法巡査の配置状況がどうなつておるか。その点はちよつと資料を持合わせておりませんが、現在は司法警察員に嘱託することになつているわけであります。ところが司法警察員に嘱託いたしましても、実際それを執行いたしますのは司法巡査が大部分執行するのでありまして、司法警察員がいわゆる窓口になつておるのであります。それで勾引状とか勾留状の執行というのは、これはすべて司法警察員がすることになつておりまするが、実際は殆んど司法巡査のほうがこれをいたしておるわけでありまして、そういうわけで勾引状、勾留状の執行について警察方面においてはやはり巡査の一つの重要な教養科目としてやり方をいろいろ教えておるわけであります。ただその場合に、現在のごとく、司法警察員だけに限つておきますと、いわゆる上級の者がおらずに司法巡査だけがおるという場合に、その窓口になつた場合に非常に困るというようなことで、とにかく勾引状、勾留状というものは儼として出ておるので、それを執行しておるその勾引状の執行は、どういうふうにするかということは司法巡査はよくわかつておるのでありますから、この場合は特に司法警察員に絞らないで司法巡査に直接それを嘱託するということにしても、人権擁護上欠けるところがないのじやないかという趣旨におきまして、法制審議会もそれを了承したというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/35
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036・郡祐一
○委員長(郡祐一君) それから第七十二条の、これは現行法についてでありまするけれども、嘱託の実例、むしろ嘱託の実績というのはどういう工合になつておりますでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/36
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037・下牧武
○説明員(下牧武君) これは全国的な統計はございませんのですが、東京の高等検察庁の検事長が裁判所から嘱託を受けた数は、昭和二十七年度において六十四件、それから本年の一月から七月十四日までに五十件という実績が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/37
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038・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 引続いて七十三条についてちよつと伺いますが、「所持しない場合」というのを、これを「示すことができない場合」とされるのでありますが、所持しない場合であれば、これを示すことができない場合であることは当然でありまして、特に法文を改めてどれだけ趣旨が明確になつたという工合に考えて改正をされようとするか、その点を伺いたいのと、又併せて現行法の規定そのままが憲法の令状呈示の原則に反する嫌いがありはしないだろうかという点について御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/38
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039・下牧武
○説明員(下牧武君) この文句を変える点は、お説の通りの解釈で十分でございますが、今度提案いたしました新らしい九十八条の改正でございます。これは保釈の取消なんかをいたしました場合にその者を収監する場合、その保釈の取消決定そういう書面を本人に示した上でなければ収監ができない、こういう規定、これをたまたまその書面を所持しない場合に、実はこの保釈の取消決定が出ておるというとを本人に告げて一応収監しておいて、そうしてそのあとで書面を示すという規定を新設するわけでありますが、この文章に「前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合」という言葉を使つたわけでございます。それでこの規定を新設いたします際に、この文句をただ「所持しない場合」というふうにして、七十三条と同じような文句で最初書いておきましたところが、法制審議会では、念には念を入れよで、とにかく示すことができないということをはつきりさしたらどうかというので、九十八条のほうに「これを示すことができない」という文句を入れたわけでございます。その関係でこの七十三条との釣合いが悪くなりましたので、同じ趣旨でございますが、これに合せまして七十三条のほうに「これを示すことができない」という規定を入れたわけでございます。
それから次にこういう緊急措置を認める規定と憲法との関係でございますが、仰せのごとくこの規定について違憲の疑いなしとせずと首をかしげられるかたは二、三ございますけれども、まあ現在としてそれはもう必要止むを得ない場合であつてすぐ又あとから令状を示すことできなきやもう放すのであるからして、これを違憲と断定されるかたは現在のところ私どもは聞いておりません。一応多少の疑問ありという説はあると思いますけれども、違憲とはならないと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/39
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040・赤松常子
○赤松常子君 ちよつとその点てお聞きしたいのでございますけれども、今あなたのおつしやるその勾引状などを委嘱するものは司法警察職員だとおつしやつたのですね。それは現実には警察にまあ司法のかたがいらつしやいますが、その身分というようなものも巡査でいらつしやるわけですか。そうすると、そう申しちや失礼ですけれども、よく濫用が行われておりますのは、そういうところにいらつしやるかたが、まあ素養といいましようか、教養といいましようか、非常に十分でないかたが多いので濫用されるというようなことがございますのですが、どういう程度のかたにそれが委嘱されるのですか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/40
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041・下牧武
○説明員(下牧武君) 刑事訴訟法の七十条を御覧頂きますと、「勾引状又は勾留状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。」と、こういうことになつております。そこで勾引状又は勾留状の発付ということは一つの裁判でございまして、裁判所がこれをきめるわけでございます。裁判所が勾引状又は勾留状を出しますと、その裁判を今度執行するという面が出て参ります。それは検察官が指揮してやるというのは、勾引状又は勾留状の通常の取扱は、書面の大体右の肩の上にございます、そこに検察官の判を捺す、俗に指揮判と称しております。指揮判をいたしまして、それで執行を命ずるわけです。それを現実に執行するのは、検察事務官又は司法警察職員、司法警察職員といいますのは、これは司法巡査とそれから巡査以上の階級を持つた者、それを二つ併せまして司法警察職員と言います。それで巡査以外のものはこれは俗に司法警察員と申しております。そこで執行を嘱託するのは、七十一条によりまして、検察事務官又は司法警察職員、司法警察職員と言いますと、巡査も含むわけです。ところがその嘱託する相手方は司法警察員というだけで、巡査を含んでいない、こういうわけであります。でございますからこの執行の嘱託は、いわゆる執行の指揮とか何とかいうのじやないので、執行の指揮を受けて現実につかまえて来るというのをどうするかという問題、でその命令を受けた本人がすぐできる場合もございましようし、或いは場合によつては嘱託しなきやならん場合もあります。急速を要することでございますから、必ずしもそこは余り窮屈にいたしておりますと、いろいろ支障を生じます。でございますから、これを司法警察職員、いわゆる司法巡査も含めた司法警察職員にその執行を求めるということにいたしましても、実情としては弊害は出ないじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/41
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042・赤松常子
○赤松常子君 緊急を要する場合にでございますね、緊急を要する場合に、御殿場なら御殿場に事件が起きた。それを勾留したいんだけれども、それは沼津まで行かないとその指揮者のいないという場合は、一々沼津まで行くわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/42
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043・下牧武
○説明員(下牧武君) 本来警察の活動というのは、その警察の管轄区域に縛られておつて、みだりに他管轄を侵すべきものじやない。これはもう原則でございます。ところが勾引状、勾留状というものは、これはもうそういうことを言つておれない場合があるので、七十一条には、「検察事務官又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で勾引状を執行し、」とあつて、それもできる。併し自分でやるよりも、例えばよその管内へその勾引状を持つて参ります。持つて参りますが、さあ家がどことか、或いはあの家へ行つて引いて来るについては、うつかり行くと非常に危険性もあるというような場合も想像されます。そういう場合においては、その土地の最も事情を知つた警察官にそれを嘱託するほうがむしろいい場合があるのでございます。それを今度持つて行つた司法警察職員、或いは巡査の場合もございましようし、或いは司法警察員の場合もありましようが、それがその地の警察に行つて、この人を頼みます、こういう場合に、これはまあ普通の場合は筋を通して行きますから、その監督者のところへ行つて、こういうわけでお願いしますというのが筋であろうと思いますけれども、例えば自分で行つてみた、どうもここはおかしい、うつかり踏み込めないというような場合に、近くの交番に参ります。そうしてどうだろうかと言うと、実はそのところは儂はよく知つておる、それじや一つ頼む、というような必要も生ずる場合があるわけであります。そこの交番なんかには司法警察員というのはおりません。巡査だけおりますから、そういう場合にその巡査にも頼める。少くともこの勾引状を執行しろという検察官の指揮はあるのでございます。それをいわゆるつかまえて来て引つ張つて来るというだけのことをやるのであります。それだけのこととして考えますと、これをどうしても嘱託を巡査じやいけないというのも少し不便かと存じます。かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/43
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044・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 八十四条についてちよつと伺いたいのでありますが、この勾留開示の手続を、刑事局の説明書を拝見いたしますると、書面で出させるか口頭で許すかというようなことを、裁判所の裁量に委ねるということにしておられますがこれは口頭陳述を許さなかつた場合には、権利の濫用でありまするとか、何と申しまするか、そういうことで裁判所が却つて攻撃を受ける、裁判所が窮地に陥るような場合がありはしないでしようか、その点は如何考えられるか。且つ、これは今国会の提案で初めて出て来たもののように考えられるのでありまするが、裁判所側からこういう点を要請されて参つたものでありましようかどうか、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/44
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045・下牧武
○説明員(下牧武君) これは裁判所の非常に熱心な要望に基きまして、私どもといたしましては、この際特に又逆コースになるような規定を追加するのは避けたいと思つておつたのでございますけれどもいろいろ実情を聞いてみますると、まあこの勾留理由開示の手続というものが普通の手続じやございません。これは法制審議会でも録音をかけましてそうして委員の方々にお聞き頂いたのでありますけれども、もうまさに何といいますか、怒号の場でございまして、そういうような実情で運営されているものでございます。これは無理からんことと、ただそのやり方といたしまして意見の陳述というものは、本来はこれを許すべきもので、又現在の現行法の考え方としては考え方自体は私はこうあつて然るべきものであろうというふうに考えるのであります。ところが現実の運営がすべての勾留理由開示がそういうふうに運営されるということになりますと、やはり最小限度に手当をいたさなければ、裁判所としてはたまつたものじやないというふうなわけでございますので、この口頭の陳述を許すという場合は、そういう勾留理由開示制度が濫用される虞れのない場合、これは裁判所としてもこの制度の意義があるということは十分わかつておるのでありまするから、口頭を許すことになるであろう。併し形としては飽くまでそれは勾留理由開示手続の一貫としてするのじやなくて意見の陳述というのは、評しろ書面によつてやらせる、勾留理由の開示というものは、その開示をしたことによつて終る。憲法は又それだけのものを要求しているだろうというわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/45
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046・赤松常子
○赤松常子君 若し書面に書かなかつたらどうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/46
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047・下牧武
○説明員(下牧武君) 書面を出さなければ、意見の陳述を法律的には放棄したということになると思います。それでこういうことになるわけでございます。私はまあ裁判官はやつたことございませんが、検察官の経験といたしまして裁判所というのは何と言いましても、成るほど令状も出しますれば、或いは有罪の宣告などもいたしますけれども、絶えず手続の過程において考えておることは、やはり人権の擁護という面を考えておる。この点ははつきり申上げられる点じやないか、そこはちよつと検察官とは違います。検察官も法律がございますから、捜査の過程においては人権のことも考えておりますけれども、何といたしましても立場といたしまして裁判官と違うわけでございます。ところが裁判官は、やはり常に人権擁護ということを考えておるわけでございます。でありますから、不当な勾留があるという場合にちよつとその気配が見えれば、裁判所というものはそれを突つ込んで聞きたがるという、そういうのが裁判所の本来の我々の承知しておる限りにおいては、大体の傾向はそういう傾向になつております。でございまするから、中には個人的に裁判官の性格といたしまして、そうじやないかたもあると思いますが、全体の傾向を申上げれば、そう申上げることができるのでございまするから、こういう場合でもちよつと……意見の書面でもこういうわけで、若しそういうことが少しでも出ておりますれば、これはもう裁判所は必ずそこを一応何とかみたい。それから意見の陳述を許さないといたしましても、そういう開示に対するところのその理由がわからないという作為といいますか、説明といいますか、質問といいますか、その程度のことはこれは理論的には認められるわけでございます。裁判所が或いは普通の理由を説明しておるにかかわらずそれに食い下るということは、これは答える必要はないと考えます。又非常に簡単な開示をやつてわからないという場合には、質問を許される場合もなければならんと思います。そういう場合少しでも勾留がおかしいという気配が見えれば、そこは裁判所として積極的に考えるというような傾向になると思うのであります。その意味でこれを書面でやるということでも、その本人の意図するところは書面で十分裁判所としてはわかる。それを特にいわゆる最近の事例に見られますように、勾留理由開示においてこの朝鮮戦争のあの経緯、発端から説き起さなければその意見が述べられないという性質のものじやない、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/47
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048・赤松常子
○赤松常子君 本人がそれを書かないと言つたらどうなるのですか。権利を放棄すると認めて、それからどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/48
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049・下牧武
○説明員(下牧武君) 結局それまででありまして理由開示手続としては、こういうわけで勾留したのだという理由を付けるわけです。これはよくアメリカ辺でもある例でありますが、官憲かなんかにわけがわからずに、政治的な理由か何かでそれでつかまえられた、本人は何のためにつかまえられたかわからないという場合に、一体どういうわけでやつたかというのを、これを成るほど令状によつて逮捕いたします場合は、これはすぐその場で一応勾留するにいたしましても、被疑事実を告げるということになつておりますけれども、それは捜査官のほうの告げ方なんで、裁判所としてこれをどういう立場で出しておるかということは、本人にはわからない。そういう場合に一体自分はどういうわけで引つ張られておるかということを要求する権利があるわけであります。その権利をただ相対でやらせましては、そこに公明を欠くから、これを公開の法廷において堂々と表明することになる。そこでその理由に不服がある。こういう場合にはこれは理由がないと本人が思う場合には、これは訴訟法にちやんと勾留理由の取消の申請もできることになりますから、そういう場合は別に書面を出して勾留の取消を求めればよいわけであります。文書によつてもできますし、公判廷において口頭によつてもできる。それをその面で救済する。ただそれを申出るにいたしましても、理由がわからなければ本人は文句のつけようがない。その点をはつきりさせようというのが勾留理由開示手続の真意である。昨日の団藤先生のお話はそうではなくて、その意見を述べさせるところまでが憲法の要請だと申しますが、その憲法論も私ども慎重に考えまして、数人の憲法学者につきましてこの点の意見を質してみたのでございますが、団藤先生、それから法制審議会において江家先生もやはり団藤先生と同じようにそれに疑いありという意見を持つております。この両先生を除きましてその他の憲法学者は、皆憲法違反とは言えないという御意見でございます。それに従つたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/49
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050・赤松常子
○赤松常子君 最近のいろいろな公判で、殊にそういう騒擾事件などの場合に、今おつしやるような大変法廷秩序が乱れて、そのために法廷秩序維持法を作られておると思いますが、それでもいけないのですか。それを正しくお使いになつても、法廷の秩序というものはまだ十分守られないのでしようか。その維持法というものの必要性はよくわかりますけれども、どの程度にそれが今なされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/50
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051・下牧武
○説明員(下牧武君) これは何と申しますか、日本の国民性とアメリカなどの国民性と違うところと申しますか、アメリカなどは極度にいわゆる侮辱制裁法を使つておるわけであります、それでちよつとおかしなことを言いますと、すぐがちやんとかけて監置いたします。それで放つておいて又出て来て、それに文句を言うと、又それにかけるというふうにして、いわゆる根気負けして被告が疲れてしまつて、文句が言えなくなるというようなことを裁判所がびしびしやつております。ところが私が見ておりまする裁判所というものは、これは本来の裁判所の考え方自体にもよると思いますけれども、成るべく無理をかけずして審理だけはやりたい。この気持は私は形式的にはそういうことで裁判所へ来て暴れれば侮辱制裁法でぽんとやられるという考え方と、なお暴れることは暴れる。そういう権利はあるけれども、これはよほどの場合でなければ使わない。できれば一つ何とかおさめて裁判というものを何かの形において円滑に行くように努力したいという気持は、これは必ずしもアメリカ流でよいとは私は思いません。やはり尽すべき手を尽して、少くとも裁判というものにかけた以上は、その目的を達するように努力するということは必要だろうと思います。そういうような気持から裁判所といたしましても、この法廷侮辱制裁法を、法廷の秩序維持に関する法律を全面的に使つてそうしてびしびし行くと、個人的に我々考えましてもう少しやつてもいいんじやないかというふうに思われる節もないではございませんが、その考え方自体としてはそういう考え方に立つておるわけでございます。従つてこういう場合はできるだけ公開の法廷で理由を告げろということならば理由だけは告げる。併しながら意見の陳述までということになつて、それが騒がれるということになれば、そこで侮辱制裁法にかけるといたしましても、とにかく意見の陳述を口頭でやれということになれば、何かの形において許さなければならないということになるわけであります。そこで憲法上の最小限度の要請である理由だけは告げておいて、言いたいことは本人に文書で出させれば、言いたいことはわかるじやないか。そうすれば、これはおかしいということになれば、みずから職権で以て勾留の取消しもできます。そういうふうに裁判所として良心に恥じないことができるのではないかという趣旨でこの規定を設けたわけであります。すべて裁判所侮辱の制裁で以てやるということも、少し行き過ぎではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/51
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052・楠見義男
○楠見義男君 今の憲法との関係ですね。ちよつと今お触れになりまして、団藤教授がお話しになつた点なんですが、憲法違反の疑いがあるという点は、あなたに聞くのは少しおかしいので、団藤さんに聞いたほうがいいのですが、併し今団藤さんおられませんから、あなたにお聞きするわけですが、どういう点でそういうことを言つておるのでしようか、その点が一つ。
それからもう一つは、「要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない」と、こういうふうに憲法の三十四条に書いてある。そこで本人は、自分が出席しておるとうしろで理由の開示をしてもらいたいという要求があれば、依然として一方で書面によつて云々ということがありましても、実効は上らないじやないかというような気がするのですが、その点と二点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/52
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053・下牧武
○説明員(下牧武君) 憲法論といたしましては、こういうことになるわけであります。三十四条の後段を読みまして、「要求があれば、その理由は、直ちに、本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。」と、公開の法廷で理由を示すということだけではなくて、これには本人及び弁護人が出席するということを憲法は要求しておるのであります。本人及び弁護人の出席することを要求しておるわけは、黙つて聞かせる趣旨ではないだろうと、少くとも意見は言わせるのでなければこういう規定が出るはずはないじやないか、これが団藤教授の意見とその理由でございます。それから江家先生も、その趣旨でやはり違憲の疑いがあるというふうに、法制審議会ではやはり団藤教授に同調されております。そこで違憲問題になりますと、これは重要な問題でございますから、直ちに水かけ論だけでそういうことは押切れるわけではございませんので、名前を挙げて申上げれば、宮沢先生、それから英米法の高柳賢三先生、それから金子肇先生、一つ橋の田上先生のほかに、法制局長官にも伺いまして、そうして皆さんの御意見を伺つたわけであります。そうしたら、まあ相当考えておられましたけれども、結論といたしましては、憲法としてはやはりそこまで要求したものとは思えない。闇雲にどうして来られたかわからんというようなことでは困るので、その点を堂々本人に知らせるというのが、やはり最小限度の趣旨としては憲法の狙うところはそこである。特に意見の陳述までを要求しているというのは読み過ぎじやないか。ただできるだけ意見は言わしたほうがいいのではないか。それから今度のような特別の事情がない限りにおいては、現行法の考え方はすなおだろうと思う。それが特別の憲法の要請かというと、そうは言えないというのが一致した意見でありました。
それから第二点はどういう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/53
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054・楠見義男
○楠見義男君 第二点は、書面においても陳述を認めておりますけれども、被告人といいますか、本人が、自分たちが出ておる公開の席で理由の開示をしてもらいたいという、要求があれば、それをやらざるを得ないわけですね。本条を設けた趣旨は、法廷秩序維持とかそういうようなことが主でできたとすれば、本人が出頭して、今そういう場合を回避しようとしてお考えになつておる法廷の騒ぎといいますか、その点は依然として回避されないということになりはせんかと言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/54
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055・下牧武
○説明員(下牧武君) この理由開示の法廷の現状を申上げますと、勾留状を出した裁判官が必ずしも理由開示をするわけではございません。それが公判裁判所に移つた際に理由開示を求めますれば、公判裁判所がやる場合もございますし、それから又別の裁判官がする場合もあるわけでございまして、裁判所としては非常におかしなことになるわけであります。検察官が勾留状を求めて、それを公開の法廷で検察官から理由を説明さして、それに文句を言わせましてそうして攻撃、防禦の方法を講じて裁判所が判断するというなら、これは話はわかりまするが、裁判所みずからが、実はこういうわけでこれを勾留した。そうして疏明資料としてはこういう資料があるから勾留した、逃亡の虞れがあり、証拠隠滅の虞れがあるから勾留したと、こういうことを言うわけであります。そうすると現状は、朝鮮戦線の発端から始りまして、これは怪しからんと、こういう意見を述べるわけであります。これは現在一人十分間に制限されておりますけれども、これはとても十分間で抑え切れるものではない、そこで抑えようとしますと、もうとにかく何といいますか、蜂の巣を突ついたように、これは一つ録音をお聞き下さるとよくおわかりになると思いますが、わあつとなつてしまう、裁判官も立往生してしまう。それをまあまあということで我慢して、意見はとにかく一応言わさなければならんということになつておりますので、まあ二十分なり三十分なり、場合によつては一時間というふうに……。そうすると一つの勾留理由を開示するのに、とにかく弁護人が五人ついておりますれば、それが皆やつて行くというようなことで、朝から晩まで吊上げというか、そういうような状態でございます。それでそういう場合には、どういうふうに今度はなるかと言いますと、本人を呼び入れましてそうしてとにかく勾留の理由の開示の何があつたから勾留の理由を告げると、こういうわけで勾留したのだということを告げるわけであります。そうしてこれに対して意見があれば書面で出すようにと、それでちよつと待つたということで、さつきこういうふうに理由をおつしやつたけれども、その意味がわからんと、こういうことであれば、裁判所のほうでは告げますし、意見に亙ることは書面で出させる、意見がなければそのまま引つ込んでしまうと、こういうことになりますから、決して勾留理由開示の目的が達しられないということにはならない。一応裁判所の理由を聞いた上で、その理由に向つてどんどん吊し上げを食つて行く。その裁判所は自分で勾留したならばまだしものこと、ほかの裁判官が勾留したのをその裁判所で理由を告げただけで、その裁判所が表面に立つて吊し上げを食つておると、こういう形になつておる。本来憲法問題といたしまして、憲法三十四条の後段というものはそこまでものを認めたのかどうかというのに、根本的な疑問を持つ向きもあるのであります。と申しますのは、日本で申しますれば人身保護法、それから英米流ではヘビアス・コーパスという制度がございます。これは必ずしも訴訟手続だけではないのでございまして、例えば昔ございました北海道の監獄部屋、ああいうところに連れ込まれてぽんと抛り込まれたということになると、これを救う途はないのであります。本人だけにこれを認めさせようといたしましても、本人はもう監獄部屋へ入れられてしまつて文句の言いようがない、そこでそういうことを知つた人があれば、誰でも彼でも、裁判所に人身保護の令状を求めるわけです。ヘビアス・コーパスというのはその体を持つて来る、こういう意味でありまして、その監獄部屋に入つている者を人身保護の申立がありましたら、その管理を裁判所がとつてしまう、その申立があつたと同時に裁判所の管理に身柄を移す。その上で拘束しておる責任者の理由と、それから反対のほうの理由を聞いてそうして身柄の拘束を認めるか認めないか、こういうわけであります。それで場合によつては精神病の子供を強制的に精神病院に入れられるというようなことで、外国なんかでヘピアス・コーパスの申立をして、それは私のかああい息子です、これを持つて行くのは不当拘束だというようなことで使われる場合もある。そういう意味で、そういうような人身保護の面だけをこれが要求しておるのじやないかという説があるのであります。私どもすなおに読みまして、これが人身保護の制度を狙つたものであることは、これはもう間違いないと思います。その意味で人身保護法を制定しておるのでありますが、それだけではやはり足らないので、少くともここにはその理由を直ちに示さなければいかんと書いてある以上は、この勾留の場合といえども、やはり一応の手続にのせるのが必要じやなかろうかというので、やはりこれを刑事訴訟法に入れるか、或いは人身保護法の中にこういうことを入れるかという政策的な問題はありますけれども、少くとも何かの形においてこういう制度を残さなければ、日本の憲法としてはただ人身保護だけで行くというのは、少しむずかしいのじやないか。言い換えればこの制度と人身保護とを併せて憲法が一本になる、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/55
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056・楠見義男
○楠見義男君 それからもう一つ昨日団藤教授のお話で、違憲問題は今の御説明で大体わかりましたが、少くとも被勾留人の意見陳述は勾留に関する点だけに限つて認めたほうがいいじやないか。こういうような御意見が、ございましたが、こういうふうな勾留理由に関する点だけの意見陳述というだけでも、目的はもう改正しようという趣旨にはそぐわないといいますか、この点については秩序は維持できない。こういうようなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/56
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057・下牧武
○説明員(下牧武君) これは現行法の意見の陳述ということも、これは勾留の理由ありや否や、勾留の理由を告げるのてあります。その勾留の理由ありや否やに対する意見ということはこれは当然のことになつているので、すなおにこれを読みますればそういうことになるのであります。実は私は証拠隠滅ということで勾留されたのですが、こういうわけで証拠隠滅になるのじやありませんというふうに説明されば、それでそれが本来の法律に予定している意味なんです。でございますからその点を団藤先生のおつしやるように絞りまして、なかなか同じことをただ繰返すということで、運用の面においてそれが変つて来る。特に朝鮮戦争の発端から説き起すということ、つまり陳述をそういう形でそれを許すということは、到底できないことになる。理論的には団藤先生のおつしやること御尤だと思います。そうして私どもといたしましても、こういう折角いい規定があるのでございますから、これをよごしたくないのでございますけれども、どうもそういうふうな面も出て参ります。何とかこれを手当して行かなきやならん必要に迫られまして、心ならずもという気持でこの改正をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/57
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058・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 速記をちよつととめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/58
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059・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
本日はこの程度を以て散会いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615206X01619530718/59
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