1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十八年七月二十二日(水曜日)
午後二時十二分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 栗山 良夫君
理事
井上 清一君
田村 文吉君
田畑 金光君
委員
伊能 芳雄君
田中 啓一君
吉野 信次君
阿具根 登君
吉田 法晴君
上條 愛一君
堀 眞琴君
市川 房枝君
政府委員
労働省労政局長 中西 実君
事務局側
常任委員会専門
員 磯部 巖君
常任委員会専門
員 高戸義太郎君
—————————————
本日の会議に付した事件
○派遣議員の報告
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X01519530722/0
-
001・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。
本日は議員派遣の結果、現地で御視察を願いました結果について御報告願うことに相成つております。順次御報告をお願い申上げます。
それでは都合によりまして、第三班九州班から御報告を申上げます。高戸専門員から委員長に代りまして代読をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X01519530722/1
-
002・高戸義太郎
○専門員(高戸義太郎君) 第三班福岡班の今回の出張について御報告申上げます。
派遣議員は栗山委員長、田中、寺本、堀の各委員でありました。
先ず現地視察並びに労使等との懇談を日程の順を逐つて申上げますと、十月十八日午後二時頃福岡県庁に赴きまして、杉本知事に面会し、来意を述べて挨拶いたしました後、四時頃九州電力株式会社を訪ね、社長並びに労務相当者に昨冬の電産ストライキの情況などについて質疑を行いましてから、資料の提出を求めると共に同社内にあります中央給電指令所を視察いたしました。次いで同社の名島発電所に赴きまして、発電所の概況と昨冬のストライキの情況などを会社側から聴取した後、発電所を視察し、午後六時半より八時近くまで労働組合と別個に懇談いたしました。
七月十九日には、今回の直接の調査目的ではありませんが、午前十時半上り県庁において労働部、基準局、県地方労働委員会と福岡銀行の争議並びに水害に伴う労働問題とその対策について十二時まで懇談いたしました。午後は一時三十分より、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案につきまして懇談会を副議長室において開催し、出席いたしました労使それぞれ五名、公益側二名より意見を聴取し、四時より五時まで一時間に亙り出席者と委員各位の間に活撥な意見が交換されました。なお傍聴者は十五、六名でありました。それより直ちに大牟田市に向い、途中筑後川の堤防決壊の跡を視察いたしました。
七月二十日午前九時、三井鉱山三池鉱業所に赴き、所長より同鉱業所の概況を聴取し、十時より午後三時まで四山、三川両坑の坑内に入りまして、客施設、作業状況などつぶさに視察し、四時過ぎ労使双方と別々に懇談し、仰いで五時、九州電力会社の港発電所に赴き、同所長より同所の概要、昨冬のストライキの事情などを聴取の後、同発電所を視察し、六時より労使双方)それぞれ別個に懇談いたしました。
七月二十一日には午後一時より二時まで福岡県労働委員と水害対策について懇談し、出張の日程を終了した次第であります。
次に現地視察並びに懇談の内容について御報告申上げます。九州電力会社との懇談会については、会社は社長以下七、八名出席いたし、述べたところは次の通りでございました。今次の水害による同社の被害とその回復情況、昨冬の争議における電源スト、停電スト、検針スト、集金ストなどの状況、水力、火力両発電の調整並びに電力需給の調整、なお次の資料を求めました。昨冬の争議における水力、火力志発電所及び変電所などにおける労務不提供とスイッチ・オフの状況、出力を二〇%又は二五%切つた場合のスト参加人員数、非組合員の職種範囲と職制一覧表による非組合員との区別及び非組合員の全従業員に対する比率など、なお、会社側より七月二十一日に右資料を提出されましたから、詳細はそれを御参照をお願いいたします。
中央給電指令所の視察について。同指令所は同社の三階の一室にあり、指令所の機能並びにテレメーターなどの装置について説明を聴取いたしました。なお同所の従業員は指令係三、四名、記録係三省であり、勤務は午前八時より午後四時までと、午後四時より翌朝八時までの三交替でありました。
九州電力会社名島発電所における会社との懇談と視察について。会社は所長以下四、五名出席し、述べたところは次のごとくでありました。同所従業員三百八十名中長期欠勤者二十名、事務関係五十名、技術関係者三百名で、そのうち汽機汽罐の運転関係は百二名であり、これが三十二名ずつ八時間三交替勤務制をとつていること。石炭荷揚装置は熟練工でなければ運転できないこと、従つて石炭運搬係が残業を拒否すると出力が低下すること、従業員三百六十名中非組合員は八名であること、従つて三百六十名の穴埋めを八名ではできないこと、なお視察は発電所全体に亙りました。
名島発電所における労働組合との懇談について申上げますと、組合は分会長以下約十五各出席し、参議院九州視察労働委員に対する要請文とスト禁止反対抗議大会の抗議文を朗読し、これを提出して、述べたところは次の通りでありました。
普通四十—五十度、時には八十—九十度の高熱作業をすること、従つてカロリーの消費が多いにもかかわらず低賃金であるから栄養が取れなくて、長期欠勤者が多く出ること、現に越盆手当を要求しているが、最近会社の態度が強くなり拒否していること、以前には四百五十省いたが、現在では三百七十一名に減少し、労働強化が行われたこと、ストライキをしないと組合に対し会社は耳をかさないこと、緊急調整制度があるのに更にスト規制法古制定するのは労働権の総引揚げであること。
今次水害の労働者に及ぼした影響とその対策については次の通り報告されました。中小炭鉱の休廃止に伴い失業者が急増し、七月初めの二週間に通常時の二、三カ月分に相当する数が発生し、而もそのうち炭鉱からの者が八%に及んでいること、今次の水害に際し一時の休業者には業者が解雇手当など支払い得ないため、労使納得の上二、三カ月後に再雇用することにし、形は解雇とし、失業保険金を支給されている例のあること、炭鉱の休業に伴う休業手当問題については、大手筋においては、早く鉄道が回復したため、一日休業したが、それを休日に振り替えたので問題は起らなかつたこと、中小炭鉱にては業主が逃げ隠れているため、経営を継続するか廃止するのか不明であり、交渉するにも相手がいなくて労働者が困つていること、臨時の休業者を失業対策事業に吸収するにしても法律的に問題があること。
電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案に関する懇談会における出席者の陳述の要旨は次の通りでありました。なお詳細は要領速記がありますからそれを参照願いたいと存じます。
使用者側。九州電力会社労働部長徳永与一郎君。結論として本法案に対し全面的に賛同する。理由、一、電気事業は独占企業であること。二、電気は貯蔵が許されないこと。三、電源ストにより水力の放水、溢水が起ること。四、停電ストについては会社としてその対策に限界点があること。
九州石炭鉱業連盟理事小山田昌勝君。石炭鉱業の保安は重要である。経営者と炭労とは労調法と保安法との法解釈について対立している。炭労の解釈で行くと、保安放棄となり重大な結果を生じ職場破壊となる、スト終了後直ちに労働者が職場に復帰できることが必要である。以上により本法案に賛成する。なお、「停廃」を「阻害」とされたい。
福岡県経営者協会常任理事森島岩雄君。本法案に賛成する。理由、争議により争議当事者よりも第三者により打撃を与えてはならないこと。経済闘争を以て職場を荒廃せしめてはならないこと。石炭、電気と同様の特殊性はガス、私鉄、鉄鋼等にあること。
労働者側。電産九州地方本部副委員長平崎広義君。本法案に反対する。理由、一、公共の便宜と公共の福祉とを取り違えて、これを以て基本的人権を制限するのは憲法違反であること。二、条文が漠然として拡張解釈されること。三、電気事業のあり方をすつきりさせるべきであること。四、ストを弾圧すると却つて長期化し、激化すること。
炭労九州地方本部委員長山本經勝君。本法案に反対する。理由、一、労使対等で問題を処理すべきであるのに、この法案によつてこの原則が破れ、労働三法は圧殺されること。二、保安業務の正常な行為の停廃が阻害のように拡張解釈され、ストは一切できなくなること。三、解釈適用に紛争を生じ、労使関係を悪化せしめること。
福岡県総評事務局長力丸要助君。本法案に反対する。理由、一、昨冬の電産炭労のストの責任を組合にのみ負わせていること。二、労使の争議に政府が介入すること。三、憲法、労働三法を改正するように正々堂々とやるべきこと。四、民主的労働組合を破壊すること。
公益代表側。西日本新聞社論説委員大石三郎君。本法案は差し控えるべきである。理由、一方的にストを制限し、他方生活保障対策が欠けていること。争議の制限よりも調整が先決条件であること。公共の福祉を以て一律的にストを規制するには慎重な研究を必要とすること。ストライキ権を取上げると運動を地下へ、政治闘争へ追いやること。判例を積み重ね、慣行、社会規範を整備して合理的な法案を作成する必要があること。現行法を以て対処し、その上で考慮すること。労働組合の健全な発達は国内のみならず国際的に必要であり、民主化した労働関係をこわしては世界が認めないこと。労働組合に行き過ぎがあれば批判、分裂が起り、おのずから是正されること。従つて表面の現象に捉われて、差し迫つた必要もないのに立法するのは差し控えるべきである。
九州大学教授、井上正治君。本法案は今日作成すべきものではない。理由、科学的研究が十分されていないこと。社会に利害の対立のないときには、公共の福祉を法律の対象にできたが、利害の対立が現われると、公共の福祉という抽象論を以て法の世界を律し得られないこと。抽象的観念によつては法律の自由な解釈が行われること。電気事業の独占、貯蔵できないことなどの特殊性を以てスト規制の理由とならないこと。生活権を守るスト権が禁止されると、労働組合がどのような形で発展するか不安があること。保安法、労調法の解釈がまちまちであるというが、すべての法律の解釈はまちまちである。一方的に立法しても、それでは解釈の統一にはならないこと。慣行に法律がついて行くことが通常であること。十分双方が力を尽した上で作るべきこと。あいまいな概念のあることは立法技術としてまずいこと。重要性、特殊性をもつと明白にする必要があること。
以上のように本法案に対し賛成三、反対五でありました。
三井鉱山三池鉱業所の視察について。先ず所長より資料を提示して同鉱業所の炭層、鉱床、炭質、採掘、排水、通気、保安などについて説明あり、次いで衛生課長より珪肺に関する資料を提示して説明ありました。詳細は同資料を参照願いたい。
坑内視察は、先ず四山坑より入坑し、ポンプ座、採炭現場、特に砂岩のある場所は遊離珪酸を含むため珪肺が発生しやすいので、それを防ぐため湿式砕岩機と防塵マスクを使用している状況をニカ所視察し、次いで三川坑内のカツペ採炭現場とポンプ座を視察し、坑内を約二里歩いて、坑内労働者の如何に重労働であるかを認識いたしました。
三池鉱業所における労働組合との懇談について。労働組合は組合長以下十五名が出席し、述べたところは次の通りでありました。昨冬のストライキの根本を考慮願いたいこと、坑内の直接夫の平均賃金は一万二千円にて低いこと、組合の要求に対し経営者の態度はノルマを引上げ、賃金の低下を図つたこと、四十五日間も交渉がない期間があつたのでストライキを行なつたこと、生活の破綻を来たしてまでも会社の施設を守る義務があるのか、それ以上施設を守る気がなくなつたこと、保安職員はストには困難であつたが、非常に苦しかつたので引掛げまでに至つたこと、保安職員は保書法が制定されてから最近は検定、点検を規則通りにやるため労働が強化されたこと、珪肺患者は四山坑には百名おり、毎年十名くらい発生している、人道上の問題であるから特に考慮願いたいこと。なお同組合よりは珪肺特別法に関する請願書とスト禁止法立法阻止要望害を提出されました。
三池鉱業所における会社との懇談について。会社は所長以下十二名出席し、述べたところは次の通りでありました。保安要員の部署とその数についての質問に対し、正確を期するため資料を作成し届けること。ストライキの初めにおける保安要員数とこれを圧縮した後の数との比較についての質問に対し、保安要員は初めは一万五千名の従業員に対し三千名であり二〇%、後には二千四百名であり一五%となり、後には六百名減少し、これが二〇%に相当したこと。スト規制法案に対し意見を求めたことに対し、古い鉱員は、保安を捨てる気分はない、入つて四、五年の者はそうでない者がいる、指令されるとそのまま受取る、これが日本の労働組合の欠点であり、批判しないところがある、仕事場を水浸しにしないように望むこと。なお、二十一日に会社よりスト保安要員と保安要員協定の資料が届けられたので、詳細はこれを参照願いたい。
九州電力会社港発電所の視察について。先ず所長より発電の理論と施設の説明を受けた後、昨冬のストライキの状況、発電関係の汽機と汽罐の従業員数について説明を求めたところ、「労働協約及び基準賃金改訂に関するストライキ経緯」の資料を提出されましたので、詳細はこれを参照願いたい。
次いで港第二発電所を視察いたしました。港発電所における会社との懇談について。会社は所長以下三、四角出席し、述べたところは次の通りでありました。昨冬のあのようなひどいストライキはないほうがよいこと、スト規制法案に関しては、第三者に犠牲を与えるストライキに対しては会社としても世間から非難されたから、今後は電源ストをなくしたい。
港発電所における労働組合との懇談について。労働組合は組合長以下十五、六名出席し、述べたところは次の通りでありました。電源ストをしても会社が遊休前議を利用すれば出力量はそんなに下らないこと、昨冬の電源スト、大口ストにしても年間を通じて見るときは僅かなものであること、従つてこれを甚大としてストライキ権を剥奪する理由にはならないこと。
福岡県会労働委員との水害対策に関する懇談について。県労働委員は、今次水害によつて生じた休廃炭鉱の従業員の救済について国の応急的緊急対策に関する福岡県会議長の要望書を提示し、災害対策特別立法をせられたいと要望を述べたが、これに対し栗山委員長より、参議院労働委員会のこの問題についてとつた措置を説明して、要望に応える旨を明らかにした後、質疑応答あつて終了いたしました。詳細は要望書を参照願いたい。
右報告を終るに当り、今回の出張に際し福岡県当局関係の労使双方及びスト規制法案の懇談会に出席された公益代表の各位に御協力を感謝する次第であります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X01519530722/2
-
003・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 以上で第三班の報告を終ります。
続きまして第二班の報告を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X01519530722/3
-
004・井上清一
○井上清一君 今次のスト規制法案に関しまする現地視察の第二班の出張報告を申上げたいと存じます。
第二班は、最初田村委員、梶原委員、上條委員、それと私、四名が参加することに相成つておりましたけれども、上條委員と田村委員は急に御都合が悪くなりまして御参加になりませんで、田畑委員が現地において参加をされました。都合梶原委員と田畑委員並びに私がこの三班として福島県下におきまするところの炭鉱の状況並びに電気産業の状況につきまして調査をいたして参りました。なお、この調査には参議院事務局の長崎君、国会図書館の石塚労働課長並びに労働省労政局の坂本事務官、通産局からは仙台通産局の高橋部長、なお福島県の川崎労働部長が参加されました。なお又朝日新聞社、読売新聞社、東京新聞社及び日本放送協会から各一名ずつ我々と行動を共にされたのであります。
私どもは七月十八日十二時五十分上野を立ちまして、同日飯坂に宿泊をいたしました。その晩は飯坂に到着いたしましたのが七時ちよつと過ぎでございましたが、福島県知事大竹知事初め労働部の各位が旅館に訪ねられまして福島県の一般労働情勢につきましていろいろお話を伺いました。なお次に十九日福島市の労働会館におきまして、労働者側の代表者、使用者側の代表者並びに公益代表としての地労委の会長のお集りを願いまして、スト規制に関しましての現地におきまするいろいろな意見を聴取をいたしたのでございます。その意見を聞きまする会合は十二時半から三時半頃まで、約三時間意見を聞きました。その会沖合におきまする公益側並びに労働者側、使用者側の意見の概要につきまして御報告を申上げたいと存じます。
この会合におきまして最初に私が挨拶をいたしまして、この調査に参りました目的をお話を申上げ、これに対する御協力をお願いいたしました。なお又福島県の労働部長からも、この会合が非常に有益な会合であり、この意見を十分法案の審議の上に反映さしてもらいたいというような趣旨の御挨拶がありました。でその会合においで頂きました方は、公益側は福島県の地方労働委員長であります片岡政雄氏、労働者側は、東北電力労働組合福島県支部長の佐藤神君、それから磐炭労働組合の執行委員長の大河原一次君、常磐炭鉱組合連合会の会長であります武藤武雄君でありました。なお使用者側は東北電力株式会社の労務部長の尾形宗治郎君、東部石炭鉱業連盟専務理事松本栄一君、福島県経営者協会連合会事務局長の山王丸茂君でございました。
一番最初に武藤君から発言がありましたが、同君は炭鉱労働者としてこの法案は制定の必要がないという理由で反対意見を述べられました。その要旨は、政府は本法案を便宜的に考えておる。昨年の炭労、電産のストライキの結果より、特に石炭の場合は保安要員引揚げ指令がなされたことが制定の理由であるけれども、当時政府は、現行法規でもストライキの制限ができる旨発表しておるにもかかわらず、法律によつて抑えるべきであるとすることは便宜主義と言わなければならない。
次に本法案の制定趣旨が、公共の福祉と労働者の職場復帰不可能に対する予防措置であるというのが、明確を欠いておる。本法案は労働者に対する一方的な処置である。過般の民労連の会議において労働次官は、一小炭鉱の場合でも適用することになる旨を言明したが、この場合でも公共の福祉が理由となるかは疑問である。この半面、政府は経済界の不況から来る企業整備には傍観をしておる。使用者に対するところの制限も考えなければならない。次に、炭鉱の実態を考えた場合、この法案がどの点で規制をするのか困難である。炭鉱の職場は飽くまでも労使双方の自主性に上つて守るべきもであると思う。常炭連としては、炭鉱破壊戦術には反対の態度をとつており、保安要員の引揚げは労働者の自主性によるべきであつて、法律によつて規制するごとには問題がある。本法案は無用の摩擦と混乱を来たす虞れがある。炭鉱の実態を十分調査の上本法案の撤回を希望するという意見を述べられました。
次に松本公述人は、炭鉱経営者として本法案に賛成をする。元来労働争議は相手方を経済的に苦しめることによつてその主張を貫徹することが目的であつて、第三者を対象とすべきではない。労働争議においては、労使いずれか勝つても、解決後には手を取り合つて生産増強に邁進することに意義があるのである。労使の争いにはその事業場の存立が先決要件であり、争議行為によつて職場が壊滅するならば、両当事者にとつて何ら得るところがない。炭鉱の場合、排水作業を三時間とめれは切羽は崩れ、一日とめれば全山が破壊することになる。保安要員は特殊な教育を受け、保安について契約上の義務を負つておるのであつて、これを放棄した場合は当然処罰さるべきである。争議行為を理由として免責されることはない。本法案を単に使用者の財産を守るための法律であるという主張は理由にならない。次に、保安要員を引揚げても、使用者側としてその対策はほかにあるという主張もあるけれども、一定の資格ある保安要員は簡単に見付けるわけには行かない。特に山間の炭鉱の場合到底不可能である。次に、争議行為の制限に代るものを労働者側に争えなければ不均衡に失するという主張があるけれども、過去には保安要員引揚げという戦術は一度もとられなかつりだけれども、労働者側に不利だつたという例は聞かない。保安要員引揚げは不作為による破壊行為であり、これを禁止することが労使の均衡であると思う。本法案が万一否決された場合には、保安要員引揚げは合法的であるという労働組合側の宣伝が一般大衆に印象づけることになるであろう。こういうふうに松本公述人は述べられました。
次に大河原氏は、炭鉱労働者は本法案阻止のためストを賭けて反対し、今後も強力なる争いを継続して行きたい。政府はこれを政治ストと断定しておるけれども、労働者の生活擁護のための経済闘争であつて、組合主義的政治行動である。輿論を押切つてまで本法案を制定せんとする政府の意図は、再軍備を前提として労働者を犠牲にせんとする考え方にほかならないのである。曾つての公務員に対すると同じ枠を総評の中心勢力であるところの炭労にはめてその勢力を弱体化しようとする意図に基くものと断定せざるを得ない。労調法がありながら単独法を制定せんとするのは誤りであり、憲法を蹂躙するものである。本法案の制定のきつかけは、昨年の六十三日に及ぶ炭鉱ストの結果、保安要員引揚げ指令を出したことにあるが、これをやらせたのは政府と経営者である。それを労働組合にのみ責任を負わせんとするものだ。この法案制定により、労使間の争議は却つて悪化する虞れが十分あるのだ。昨年のような長期に及ぶストは恐らく今後はあり得ず、本法律は不必要であるというふうに述べられました。次に尾形公述人は、電気は国民生活に一日も欠くべからざるものである。電気のごとく公益性の強いものは、公共の福祉という枠内で運営されるのは当然である。停電スト、電源ストのごときは元来許さるべきものではない。本法案は労働者のみを制約しておるのではなく、経営者側にもロック・アウトを禁止しており、労使の均衡を図つておるものである。電気ストは、労使両当事者には損害なく、第三者に損害を与えるものである。昨年の電源ストは国民経済に甚大なる影響を与えたが、これに参加したのは全労働者の二%に過ぎないのである。このストにより無駄に流された電気は実に莫大なものである。次に労働組合側としては停電スト、電源ストができなくても、ほかに十分争議行為ができるはずである。公共の福祉という点から本法案には賛成するという意見を述べられました。
次に佐藤君は、労働者の団体行動権は憲法で保障されておる。公共の福祉という省の下に労働者の争議権が制約されるのは憲法違反である。本法案は電気事業における一部のスト行為禁止であるというけれども、これまでの経験からすると、労使の均衡を失することになるのだ。東京地方裁判所は、公共の福祉は生活権を否定するものではないという判決を下している。本法案は労働者の生活権にのみ脅威を与え、経営者には何らの義務も課することはない。本法案は労働者の生産意欲を阻害し、企業の繁栄を害うものと思われる。次に政府は本法案の制定により公共の福祉を図るというけれども、昨秋のストライキは国民生活に重大な影響を与えたとは断言できない。本法案はストライキが罪悪であるという考え方に基いているように見受けられる。本法案が他の企業、産業にも及ぼされる危険が多分に存在しているという意見を述べられました。
次に山王丸氏は、本法案が国会に提出されたのは国民一般の強い要望であり、関係労働組合の責任である。昨年の電気ストの損害を調査したところによると、三億キロワット・アワー以上の損害に上り、一般事業場の損害は四十六億円余に達している。特に中小企業においては労働者自体も反対の態度を見せておるのである。電気ストは年中行事のごとく繰返され、一般家庭、事業場では渇水によるのか、ストによるのか判断に苦しむほどで、電気労働組合にとつてもマイナスであると思う。関係当事者の損害は殆んどなく、第三者である工場、一般家庭が損害を受けるということは日本の経済事情からも許されないことである。電気ストが制限されても組合側の実力行使の手段はほかに幾らもあざ。本法案制定によつて労使は初めて均衡が得られる状態におかれるものと思う。昨年の電気ストでは協力を求められた工場、事業場では挙つて拒否しておる。憲法は労働者の団体行動権を保障していると共に国民の財産権も保障している。公共の福祉という立場から一部のストが規制されても憲法違反にはならないと思うという陳述がありました。
最後に片岡氏は、地労委の会長としてではなく、個人として意見を述べたいということを前提として、本法案は労働者の団体行動権と公共の福祉との関連性に基いているようであるが、労働争議は労使の自主的解決が本旨であるが、本法案は公共の福祉に名をかりて争議権を制約するものであると自分は考えるのである。最近の法律は、公共の福祉に名をかり基本的人権を無視する傾向があるが、戦争中の思想の復活する虞れがあるように思う。次に本法案は労働組合に対する弾圧法となる虞れが十分にある。労働争議は短期間に而も自主的に図ることが重要であるけれども、この法律は官権の力によつて争議を解決せんとする意図が十分見られ、法律万能主義の思想の現われである。而もこの法律では争議の解決方法をきめていない。犯罪人製造の法律となる虞れが多分にある。この法律によつて争議はむしろ悪化させられることになるのではないか。次にこの法律によらなくても現行の法規で十分である。緊急調整の制度も活用できるし、又将来これによつて不可能な場合は仲裁制度を設けることによつて解決できる。労使の自主性によつて解決できるという慣習をつけるべきである。なお以上の点から本法案制定に反対するが、なお当地方労働委員会の公益委員は四名あるけれども、四名ともこの法律には反対であるという意見を述べられました。
大体以上のような意見が陳述人から述べられましたが、次に質疑に移りまして、梶原委員から、昨年のストの際山の実態と経験から推して保安要員引揚げの可能性はあつたかどうかというような質問がありました。これに対しまして松本氏から、保安要員引揚げは合法か違法であるか、炭鉱労働者としては不明確であり、上部指令が合法とするならばその可能性はあつたと自分は思う。本法案が流産すれば保安要員引揚げは合法であるという観念を炭鉱労働者に植付けることになるというような答弁がありました。次に井上委員の質問は、保安要員は会社従業員の大体何%以内であるか、なお全国的にいつてどんな割合になつておるかという質問に対しまして、松本公述人から、全体の二〇%程度である。北海道、九州と同じで大体変りがないという答弁がありました。次に田畑委員から、労調法三十七条と緊急調整で炭鉱争議が解決できるかという質問に対し、松本公述人は、本法案は労調法の保安規定を明確にしたものである。保安要員引揚げをやろうとしたことは事実であり、その虞れがあれば事前に取締ることは当然であると思うという答えがありました。次に田畑委員から、電産ストの損害の資料はどこから出されたか、又渇水による損害はどのくらいかという質問に対し、山王丸氏から、事業場を対象として三千キロ・ワット以上四百六十一、三千キロ・ワットから五百キロ・ワットまでが千八百四十八、五百キロ・ワットから五十キロ・ワットまで三千二十、合計五千三百二十九の事業場を対象としてこの数を出したというお答えがありました。次に尾形氏から、渇水による損害ははつきりしないが、昨秋のストの場合、放水がなかつたならば渇水による停電は避けられたという説明がありました。次に梶原委員は、昨年の電気ストの場合、緊急調整は当然発動されるべきものであつたと思うかどうかという質問に対しまして、尾形氏は、それは自分としては判断ができないという答えがあり、佐藤氏から、第三者介入の段階であるという判断は持つておつたという説明がありました。又田畑委員は、電産協会の平井事務局長は緊急調整は発動すべき段階であつたと言つているが、これは現在の法律でも処理できるということではないかという田畑氏の質問に対しまして、尾形氏は、電気料金の決定が政府の認可である現在、これを保障されるなら当事者でも解決できると思うという答えがあり、田畑委員は又、仲裁制度に対する考え方はどうかという質問に対し、松本氏は、適当な仲裁人を得られるかどうかが問題であるという御答弁がありました。懇談会におきまする各参考人の意見並びに質疑応答の概略は只今申上げた通りであります。
次に同日三時三十分福島を出発いたしまして、郡山のすぐ近くにありまする日和田の変電所を調査をいたしました。日和田変電所は東北電力会社の会津を除きます福島県全体の給電を指令いたしておりまするところであります。この変電所において変電所長から福島県下におきまするところの配電状況につきましていろいろ説明を承わると同時に、変電所内におきまするところの業務の運営状況につきまして、詳しく説明を受けました。主としてここで所長からその説明を受けました後、所長との懇談においていろいろと委員から質問が出ましたことは、電気の変電所においてストライキが若し指令があつた場合にできるかどうか、そして又ここでストライキを行われた場合にはどんな影響があるかという点について、いろいろ見学の間に質問を出されました。この間の質疑応答その他につきましては、会議の形で取り行われたものでありませんので、大体質疑の概略だけをここに御報告申上げるにとどめたいと思います。
で当日は日和田を五時半に立ちまして、その日は熱海で宿泊をいたしました。
二十日は熱海を朝九時出発いたしまして、猪苗代湖の東京電力の第一発電所を見学いたしたのであります。第一発電所に参りましたところが、東京電力の堀越常務も見えておりまして、猪苗代を中心といたしまする東京電力の発電所の経営状態について話を承わり、なお又この猪苗代湖におきましての、猪苗代発電所を中心といたしまするところの労働運動の変遷と申しますか、過去のいろいろな発電所を中心といたしまする労働事情につきましても説明を受けました。又猪苗代発電所の所長、それから業務課長から一般的に発電に関しまする一般概念、又猪苗代湖を中心といたしまするところの発電事情というものについて詳細説明を承わり、発電所の中を見学いたしますると共に、更にその発電所を出まして、今から丁度十数年前猪苗代湖の湖面低下によつて取入口を変えたあの有名な工事があります。その取入口を次いで見学を上、それから猪苗代湖を午後一時出発いたしまして、その日は湯本に五時到着をいたしました。
それから二十一日は常磐炭鉱の中の岩崎坑を視察をいたしました。視察に先立ちまして会社側並びに組合側の方々から常磐炭鉱の概況についていろいろお話を承わりました。そのとき委員側からいろいろ質問が出たのでございますが、出ました問題は、主として保安要員というものがどんなものであるか、そして又保安要員の種類は何であるか、又保安要員と一般職員の限界はどこにあるかというような問題についていろいろ委員側から質問が出ました。なお又カツペ採炭について、これが炭鉱の保安とどんな関係があるか、又カツペ採炭とはどんなものであるかというようなことについて委員側から質問が出ました。これに対して炭鉱側から詳しい説明を受けました。その説明会が終りまして、炭鉱の職員に案内をされまして炭坑に入りまして、岩崎坑の切羽まで参りまして、実際に炭鉱労働者諸君が働いておりますところの現場を視察し、又これまでただ話にだけ聞いておりましたカツペ採炭というものについて現実に調査をいたす機会を得たのであります。本視察を通じましていろいろなまあ感想なり、又本法案審議についてのいろいろな何と申しますか、本法案審議に当りましての参考資料を随分我々は短い旅行でありましたけれども得ましたことは誠に有難い仕合せだつたと思つております。なおこの視察を通じましていろいろ委員各位それぞれいろんな感想をお持ちになつたことと思います。併しこれは個人的な主観の問題、いろいろ受け取り方も違うであろうと思うのでありまして、ここにそれを申上げることは、私の個人的見解その他は差し控えたいと思います。
大体あらまし調査をいたしました概略を御報告するにとどめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X01519530722/4
-
005・田畑金光
○田畑金光君 今の報告の中で、ただ一つだけ十九日の懇談会の節、質疑応答の中で、当日の使用者側代表として石炭鉱業連盟の松本専務理事と労働者側の常炭連の会長をしている武藤武雄君、この二人の応答が出ておりますので、その一点だけ補足させて頂きたいと思います。それは松本専務理事は、この法案が出た以上、若し今国会においてこの法律制定ができなかつたとすれば、労働者に保安放棄の闘争も合法であるという印象を与えて、今後の労使関係においてまずい結果を招来する、こういうような趣旨の発言があつたわけであります。で武藤武雄君からは昨年の争議の際における実情の報告がなされましたが、それはこういう報告であります。労働者側が保安放棄の闘争をやるということは考えられない。自分の職場までも失う、争議が済んだならば帰る職場がなくなる。こういうような闘争は概念としては考えられるけれども、実際そういうような保安放棄闘争というものは言うべくしてできないものである。と申すのは、昨年常磐地方において最後まで残りました唯一の労働組合は古河好間炭坑でありますが、昨年の十二月十七日、炭労本部から保安要員引揚げの指令を受取りまして、組合の大会を持ちましたところ、保安要員引揚げ闘争の指令を拒否する、こういう大会の決定をみたわけであります。更に当時の状況といたしましては、北海道におきましても各末端の炭組においては保安要員引揚げ闘争は拒否するというのが組合側の大勢であつた。ただ炭組において本部の指令通り保安要員引揚げを明確に支持したものは九州の三池炭坑であつた。こういう事実を見ても保安放棄闘争ということは言うべくしてできないことである、こういうような報告がなされたわけであります。その後に梶原委員から、鉱業連盟の松本専務理事は実際炭鉱において保安放棄というものができるかどうか、常磐地区においては昨年の闘争のときにおいてそういうような事実があつたかどうか、こういう質問を受けたわけであります。これに対しまして松本専務理事は、常磐においてはそういうことはなかつた。又今後も保安放棄というようなことは我々としては考えられない。このことは北海道においても九州においても昨年の闘争の経過から見ても、労働者が保安放棄するということは簡単には考えられない。こういうことを明確に松本専務理事は答弁として答えたわけであります。更に彼は附加えて、ただ、この期に及んで立法化されなければ、却つて労働者に保安放棄闘争の合法性を印象付けるから、今後の労使関係に芳しくない、こういうふうな趣旨の説明がありましたので、私から、昨年の炭労の闘争というものは六十三日も継続しておる長期の闘争の結果、炭労としては最後の戦術として保安要員の引揚げ指令を出した。労働者の心理からいうならば、或る意味においてこれはもう破れかぶれという気持も起つて来る、こういう最後の段階においての指令であつた。そうするとこの指令が一応実行されるような時期というものは、正にこういう長期闘争の結果がそのような心理的なものを作ると我々は一般に予測されるのであるが、そのような心理状況にあるにかかわらず、なお且つ保安要員引揚げの指令を拒否したということは、炭鉱の労働者にとつて如何に保安要員引揚げ闘争というものが至難であり、言うべくして困難な問題であるかということをみずから立証することになつてはしないか、こういうような趣旨の質問をしたわけでありますが、鉱業連盟の松本専務理事としては、実際問題としては保安闘争というものは言うべくしてなかなかできがたい、こういうことはその質問応答の中において明確になされております。更に松本専務理事の当日述べられた意見につきましてこれは鉱業連盟の専務理事としての意見として拝承してよろしいかと、こう聞きましたら、専務理事としての意見である、個人としての考え方というのではなくして専務理事としての意見である、こういうようなことも答弁の中にあつたわけであります。一応その点だけ附加えて申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X01519530722/5
-
006・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 引続きまして、第一班北海道班の御報告をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X01519530722/6
-
007・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは私から第一班北海道班の御報告をさせて頂きます。報告が未熟でございまして、或いは要領を得ない個所もあるかと存じます。その点はお許しを頂きたいと思います。
北海道に参りました一班は、伊能、市川、阿具根議員のほかに私が参り、七月十八日正午近くに北海道に着いたわけでございますが、昼食の後、二時頃から市内或いは市内近くの豊川流域の発電所を二カ所、それから先ず給電指令所を見ました。北海道電力株式会社の中央給電指令所を調査に参つたのでありますが、これは北海道における八ヵ所の地方給電指令所を統轄して、北海道全体の電力の需給調整をやり、それから指令の地位にあるものであります。給電指令所の指令については私から申上げるまでもないことと思いますが、この給電指令所は北海道の電力関係の中枢でございましてここがとまりますということは、全体がとまるということでございますが、結論から申しますと、昨年のストの際においてもここにおいては操業がとまつたということはない。それから組合からも代表者等も来ておられましたが、特殊な技術を持つております給電司令所の組合員は終始ここにおつたということであります。争議の際には会社側は非組合員或いは停年退職をしました者等を以て補充して作業に当らせることにしておるけれども、この作業は各変電所と特殊な符号を以て連絡をしておるから特殊な技術を要する、こういうことでございまして、いろいろな操作についても説明があり、或いは争議の際に電圧が下るのではないかということで非常に心配をして見ておつたということではございましたけれども、実際問題として給電司令所の組合員がその作業場を離れたことがなかつたということで、あとは技術的説明を聞いたのにとどめたのであります。
その次に、二番目に藻岩の発電所を見たのでありますが、出力一万二千、小さい調整池を持つた水路式の発電所でありますが、従業員は所長以下二十五名で、四直三交替で、電源ストの行われました場合には、事故がなければ所長一人でも操作はできるのでありますが、事故の発生に備えて非組合員等を補充する建前であるし、それから事実上停止したということは、はね返りストの場合に一回あつたという程度で、あとは発電を停止したことはなかつたということです。
なお同日この藻岩発電所の取入口を見、それから簾舞の発電所を見たのでありますが、簾舞の発電所につきましては、藻岩の発電所と同様でございますが、簾舞発電所のほうが小さいので、簾舞発電所は事実とまつたことはないということであります。
それから七月十九日日曜日、札幌の市民会館で、労働組合側五名、使用者側五名、学識経験者二各、消費者代表二名、計十名の公述人の出頭を求めて、電気事業、及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案に関して現地で公聴会を開いたのです。私が座長、進行係を命ぜられてこれを進行したのでありますが、最初に公述をしてくれましたのは道炭労の組織部長高田正夫君であります。高田君はこの法案については反対であるとして、提案の動機から或いは内容から、この二点から本法案に反対をせられたのであります。
で第一の本案提案の動機上の理由は、これは本法案は昨冬行われた電気事業及び石炭鉱業の両ストライキに対する代償、報復として提案されたものである。併し六十三日間に亙つてストが長期化した理由は、石炭鉱業における劣悪な労働条件向上のために、真に止むを得ず行なつた賃上げ要求に対して却つて賃金を引下げる案を以て応じて来られ、或いは四十数日にして初めて横すべり案が出て来たのであるが、こういう資本家側の労働条件低下の意図がむしろこの争議を長引かしたものである。然るに本法案を提出しようとする政府は、明らかに労働組合を抑圧しようとするものであるというので反対である。それから第二は、法案の内容に関連してでありますが、鉱山保安法は本来鉱山労働者の生命、人命の保護を主たる目的として制定されておるにもかかわらず、本法案によつて労働関係の面に適用される場合には、経営者の私有財産保護を重点として用いられるに至るであろうから、かように鉱山保安法のような労働者の人命保護の法律を、労働者を抑圧するための法律に悪用せんとするこの法案には反対である。本法案は、労使対等の建前を前提にして行われる保安要員の数を、保安管理者が一方的に定めることを可能とし、労使対等の原則を破ることになり、そして労働基本権を剥奪せんとする単独立法である、或いは時限法であるから反対であると言われたのであります。
二番目は、北海道の道鉱連専務理事の能勢荘吉君でありますが、能勢君はこの法案について賛成である。理由として、確かに昨冬のストの最終段階に保安要員の引揚げは実際には行われずに済んだが、併し今後引揚げるという可能性がある限り本法案による規制は必要である。本法案の反対の理由として、緊急調整の発動を以て十分であるとする者があるけれども、緊急調整は大規模、長期ストによる国民経済の危機に瀕した場合発動されるものであつて、それ以前の小さなスト、或いはそれ以前の事態において保安要員の引揚げが行われた場合にはこれを規制する方法がない。そこで本法案に賛成である。本法案が通過した後に実施の面で心配する者があるが、従来の北海道の各炭鉱においては保安の慣行があり、或いは日曜だとか、正月等の休みに保安要員として出動しておる実例等から一つの線ができておる。保安の確保に各をかりて経営者側が採炭を行い、スト破りをさせると考えるのは杞憂に過ぎません。勿論第三条の正当な運営或いは重大な損壊の解釈について労使の間に問題があるのは、規定の仕方があいまいなためであるけれども、労使相互に信頼して、良識を以てこれは措置すべきであろう。
なお一般に坑内外を問わず、病院、配給所、浴場、寄宿舎等についても保安要員を出しておる実情だ、こういう賛成意見が述べられました。
三番目は北海道電産の書記長代理永瀬隆之君でありますが、同君は反対。第一の理由は、立法の動機が不純であり手続が非民主的である。昨年の電産ストの長期化の理由は、労働者の切実な賃上げ要求に対して経営者側が賃金引下げ、労働条件の低下、電産の分裂化、或いは労働組合の御用化を以て応じたためである。この間政府は無為無策でありながら、国民のストライキに対する忌避感を利用して、スト長期化の一切の責任を組合に押付け、本法案を提案して来ておる。第二にこの法案は違憲の法律である。憲法に保障された勤労者の団体交渉権或いはスト権等、労働者の基本権を資本家の利益のために侵害する違憲立法である。第三に、本法案は明かに労使対等の原則を破り、労働者を拘束し抑圧するものである。第四に、公共の福祉に名をかりて一方的に資本家を擁護するものである。会社の一方的経営を認めんとする本法案が通過したならば、電気労働者の生活の向上は望むべくもなくなるであろう。第五に、諸外国にはかかる立法の慣例を見ないこの法は悪法である。本法案ほど争議禁止の細目を規定した法律を知らん。組合運動の育成期にあるにもかかわらず、このような規制をせんとする政府の意図を疑わざるを得ない。第六に、本法案は却つてストを長期化せしめる結果を生ずるだろう。争議の防止及び解決の鍵は資本家の態度是正にこそあるのであつて、争議解決の促進は労使対等の原則の中から生み出さるべきだろう。以上六つの点、要するに本法案は電産、炭労にのみならず、組合全般についてその弱体化及び御用化を図り、資本家を擁護する法案であるから反対するというのであります。
次は、北海道電力総務部長の鈴木幹郎君であります。同君は賛成。その理由の第一は、電源スト、停電ストが利用者に大変迷惑をかけておる。本来争議は労使双方の間で解決すべきものであるにかかわらず、第三者の犠牲において解決するのは間違いであろう。第二に、北海道においては電源スト、停電ストの行われたのは冬期渇水期であつて、火力発電に半分以上依頼している時期に当るので、僅かな組合員のストで北海道全体の停電も可能なわけで、労使対等の原則から見ても余りに不均衡なわけです。第三に、電気事業は独占事業であるから、ストによつて国民が迷惑をこうむつてもほかに代るべきものはない。第四に、北海道における実態から見ると、水力発電所五十三カ所、火力発電所六カ所、変電所二百カ所で、従業員は約六千名、そのうち非組合員は約百七十名、ほかにこれは技術関係者解約五十名であつて、電源スト、停電ストに入つた場合に処置のとりようがない。ましてはね返りストの際には処置の方法がなくて極めて少数の非組合員が数日又は数十日不眠不休で操業に当れば病人も出て、人道上の問題である。旧公共事業令第八十五条によつて電気の正常な供給を拒否できないので、この責任を会社側のみが負うのは労使対等の原則に反するというのであります。第五には、争議予告制度があるけれども、十日前の予告はあつてないようなものであつて、はね返り等の方法が行われ、会社側としては処置の方法がない。第六に、電気事業労働者の争議手段としてはこのほかに事務スト或いは決算スト、或いは株主総会に備えてのスト、集金スト、使用者に大なる打撃を与える方法が幾らでも残つておるから、労働者の基本権を剥奪するものではない、こういう意見であります。
次の第五番目は、北海道全道労協事務局長杉渕徳治君であります。同君は反対。先ず条文上からいつて第一条は、公共の福祉を理由として電気事業と石炭鉱業のみを規制しようとしているが、如何なる産業も公共の福祉に若干の関係のないものはない。従つて政府が公共の福祉の理由で二大産業のみを規制する意図は、昨年のストに対する国民の忌避感情を利用して非民主的な本法を提案したものである。第二条に関連して、本来争議は自主的解決を本旨とするもので、労調法の緊急調整についてすら疑義を持つておるのであるが、いわんや本法のごときは争議方法を禁止する悪法てある。元来第三者に影響を及ぼさぬストライキはないが、企業家が組合の申入れに対して配慮があれば、かかる事態は発生しないだろう、労調法で十分間に合うはずである。又「直接に障害を」云々とある、「直接」の解釈について疑義があり、本法の施行令、又は拡張解釈によつて電気労働者は有効な争議手段のすべてをなくする虞れがある。第三条に関連して昨冬のストライキにおける最後の段階で保安要員の引揚げを中止したのは、労働者側の良識によるものであつて、勿論労働者側は引揚げにより全山破壊というがごとき事態の生ずる虞れがないという計算と計画に基いて行なつたものであつて計算に基いて保安要員の引揚げを決定したものである。勿論或る一部の崩壊、溢水、落盤等があるかも知れないけれども、労働者が六十三日間のストライキで生活が困窮に陥つている際、望ましいことではないが、経営に或る程度の損害を与えても人道上の問題ではないと思う。結局は鉱山保安管理者が重大な影響ありと認定した場合に拒否できなくなつて労働者の争議権が資本家側に把握され、資本家はいつでも争議を停止することができるようになるだろう。なお附則の点について、本法案が本当に正しいというならば、かかる三年間の臨時立法とする規定の必要はないはずだ。ここに本法案提案の意図が読み取られるではないか。それから本法案は我が国における二大労働組合である電産、炭労の弱体化を図り、組合の民主化を阻み、産報化を招くものである。本法案により組合を抑圧した場合には、組合は急進化するに過ぎ支い。最近の政府の一連の立法、即ち独禁法の一部改正、警察法の一部改正、軍人恩給法等から見て政府の政策は国民の民主化を抑制し、フアツシヨ化するものと考えられるが、本法案のごときもその一環をなす悪法として反対せざるを得ない。最後に国際的に見ても、かかる悪法は諸外国にその例を員ないのであるから、我々は反対をすると述べられたのであります。
次は、道の経営者協会の副会長筧唐之君でありますが、同君は賛成。現行法は労調法第三十七条に予告制度を、第三十五条第二項以下で緊急調整の制度を規定してはいるが、未だ基幹産業における争議権と公共の福祉との調和がとれておらず、本法案の提案は当然の措置と考える。電気事業は独占事業であつて代替性がない。だからストによる損害は当事者間のみならず、第三者に及ぼすところが甚大で且つ広汎である。又電気事業の特殊性から、使用者側も発電所、変電所等の業務停止を来たすロック・アウト等を行うことができない。だから電源スト、停電ストが認められていることは労使対等の原則に反する。本法案によつて初めて対等の原則が維持される。本法案は従来から本来正当ならざるものと認められ、乃至は昨冬の争議の経験から妥当ならざるものと認められたものを明確化したに過ぎないのである。
最後に、外国では労使双方の良識で解決する慣行が成立しているが、我が国の労働組合の責任を問いたい。要するに法律で規定するのは望ましくないが、第三者の迷惑を考慮するとき、社会的に解決の何らの措置もないとするならば、本法案に賛成せざるを得ないというのであります。
公益代表として、北海道大学教授小林己智次君から公述を頂いたのでありますが、同君は反対。その理由の第一は、私的独占禁止法の一部改正案は、憲法第二十九条による財産権に対する公共の福祉に基く社会的制約の緩和であるが、本法案はこれと対照的に憲法第二十八条に基く労働基本権に対する公共の福祉による制約を強化せんとするものであるから反対である。第二は、争議行為は自主的解決が最も望ましいが、自主性尊重の名の下に、労使双方がストを長期化し、第三者に迷惑を及ぼすことは慎むべきであろう。今日の段階において一片の法律を以て労使双方の紛争を解決するのは時期尚早である。むしろ調停制度の活用を図るべきであり、若し必要であるとするならば現行法を修正すべきであろうというのであります。なお、小林教授は長く地労委の会長をしておられました各関係者についてそれぞれ注意をしながら以上の陳述をされたのであります。
次は主婦の代表として樋口ハナ君から公述を頂いたのでありますが、同君は反対。その理由の第一は、停電は望ましいものではないが、このストの裏に、真剣に働く人々が生活ができずに、自分の生活向上のために最後の手段としてストを行なつておると考えるときに、この種の争議行為を剥奪する本法案には、同じような生活に苦しんでおる私どもとしても反対せざるを得ないというのであります。それから第二は、国会においていわゆる多数決の名の下に、輿論に反する法律がどんどん作られて行つておるのを見ると、戦時中の少数横暴の政治が再現するのではないかという危惧を持つというのであります。第三に、本法案には多くの良識ある人々、殊に学者なども殆んど反対しておるのであるが、併し婦人の中には賛成の声があるということも知つておる。併しそれは婦人が遅れておつて、一部の、或る一部の意見を聞いて、そのまま直ちにその意見に従うということであつて、決してそれは婦人全体の良識の低下と考えるわけには行くまいということでありました。
次は消費者の代表として、商業に従事しておられる梶浦政信君の意見でありますが、同君は賛成されました。第一の理由は、ストライキを行なつている労使双方はいいが、国民は生活の恐怖にさらされておつて、ストと物価の悪循環の中にあり、ストの結果、石炭は硬炭で九千円近い炭さえも買わされておるようなごとが起つて大変苦労をしておる。電気事業及び炭鉱に働く友人の生活は自分たちのそれよりもむしろいいように思う。近くの人で、食えなくなつたら炭鉱に行こうとさえ言つておると言うのであります。第二は、労使双方が今後停電ストを行わないと約束してくれるならば本法案は不必要になるが、約束ができない以上本法案でもまだ規制の度が緩いのではないかとさえ考えるということであります。
最後に北海道新聞の論説主幹大内基君からでありますが、同君は反対。第一は、法理論士の反対でありますが、憲法に規定されておる基本的人権を侵害することは民主化に反する。私見としては、民主化促進のためにはストにより多少公益に影響を与えるとしても、法を以てそれは抑圧すべきものではあるまい。殊に本法案のごときを単独法の形式で提案した意図が不明である。昨年の炭労ストに対する政府声明は、明かに鉱山保安法違反である旨を述べておるが、若しそうだとするならば、本法案を単独立法する必要がなく、鉱山保安法の運用に待つべきであり、そうでないとするならば、鉱山保安法の適用外とするならば、同法の修正を以て足ることであつて、単独立法制定の理由はない。次は制定の背景がよくないというのであります。その第一は、本法案は日経連、経団連等の基本的労働政策に対する意見を受けて政府が立案したものと考えられ、使用者擁護の法律案と思われる。第二に、昨冬のストライキに対する報復的な措置と考えられる。第三として、我が国の労働運動の歴史の浅い点からいつても、労使問題の争議行為については慣行の成立を待つべきであろう。第四に、昨冬の炭労ストが鉱山保安法違反か否かは、最終的には裁判所の判決によつて定まるものであるが、判決を待たず、再度ストの発生を予想して新たな立法によつて基本的人権を束縛するのは間違いであるというのであります。最後に、公共の福祉を以て争議行為の方法を規制するのは、まだそこまで社会基盤が熟していないから、却つて労使の対立を深めるのみであるというのであります。なお、あとで阿具根委員から、電産ストに際して依然として料金を取つているのはどういう理由によるのか、或いはバランスという点からいえば当を失するのではないか、或いは他にこういう法律がないということであるが、他の外国の例によつてどういう工合に考えておるか、或いは保安要員の範囲について労使双方の意見の食い違いが感ぜられましたので、その点等について委員から質問がございましたけれども、その詳細は省略をいたします。
次の七月二十日は三菱美唄鉱業所と東幌内の二つの炭鉱、大小の炭鉱の代表として見たのでありますが、三菱美唄鉱業所につきましては、坑内夫三千五百九十八名、坑外夫千九百六十九名、計五千五百六十七名の鉱員を持つております。本炭鉱の他鉱と異る点は、メタン・ガスの湧出量が相当多量であると説明をされましたが、六坑平均出炭一トン当り三四・二立方メーター、扇風機九台を設備しておつた。又自然発火防止のために岩粉の撒布は非常に行なつておる。切羽の長さは百メーターから長くて百五十メーターという御説明であります。なお、私どもは坑内に入りまして見ました切羽はカツペ採炭が行われておる採炭であります。なお保安に関係するものとしては扇風機を坑外に見たのでありますが、坑内は、私どもの見ました範囲内では水が少くて排水バツク等を見ることはできませんでした。切羽は相当乾燥しておつてむしろ撒水をベルトの前後でやつておるという実情でございます。その半面炭塵の爆発を防止する意味で岩粉が撒布せられておりましたが、これは非常によく撒布せられておるように見受けたのであります。
東幌内炭鉱を見たのでありますが、この炭鉱は出炭能力月産一万一千トン、鉱員が九百四十二名、職員が百八十名、千余名で、一万トン強を出しておる、いわば中炭鉱であろうと思います。ガスの湧出量が一トン当り排気孔で〇・五、この辺はあとで一つ申上げたい。ガスは排気孔で〇・五、それから湧出量が〇・七立方メートルでございますが、小さい燃焼と申しますか、そういう事例が局部的にあつたことがあるが、併し自然発火の例はないというのであります。それから保安要員の点について、昨年のストの場合の実数を出して頂いたのでありますが、坑内で二十四名から四十二名、それから坑外において三十五名から五十七名、厚生福利関係として六十五名乃至百十名、こういう数字を頂いたのでありますが、その内訳の説明を申しますと、坑内の保安要員はガス、通気の関係、ガスを測定いたしましたり通気の関係の仕事をいたす者が、これは交替制を含めまして十四名、それから機械関係が六名、排水十五名、計三十五名、こういうことになるわけです。それから坑外の保安要員が扇風機四名、厩番が二名、風呂番が三名、それから検針が六名、安全燈十名、変電所六名、それから洗炭場の監視が五名、電話交換手六名、計四十数名、こういう説明であります。それから福利厚生関係というのは診療所の関係が三名、そのほかに職員がおります。それから配給所の関係が十一名、賃金の支払があつたので、その賃金支払関係が九名と、ほかに伝票を居住地に行つて渡す者が四名、浴場が七名、それから寮の関係が五名、水道四名、計四十何名、職員としては診療所二名、配給所二名、賃金支払四名、計八名等々であります。このことは保安要員の中に、坑内においては機械の監視に当る者、坑外においては馬に飼料をやる人間等も保安要員の中に入つておるということがわかつたのであります。東幌内炭坑の坑内には入る時間がなくて、坑外から特に保安関係の視察の確認をやつたような次第でございます。
それから次の七月二十一日、火曜日には、江別の火力発電所を見たのであります。説明によりますと、この火力発電所は尼ヶ崎の第一、第二、鶴見火力発電所に次ぐ我が国の大きな発電所であつて、出力が五万キロ・ワット、全道の発電火力十一万キロ・ワット、それから自流式の発電が、渇水期には八万キロ・ワットくらいに減りますし、それから自家発電の設備が老朽しているために能率が悪いと、この減少を補充、調整する力がないので、火力発電のフル稼働が余儀なくされているというのが実情であります。それから停電ストによる電力供給停止の影響は、個々の発電所或いは変電所について調査して見ても明確な結果を得られないので、全体として調査すべきである。昨冬の電産ストの場合に、この発電所として一日四時間、四回停電を行なつたが、ピーク時を避けたということ、又それから組合側の通告によつて、会社側は自家用発電の稼働を願い、或いは炭労のストも同時に行われたというようなことから当所に関する限り影響が少なかつた。なお組合側も江別全体が停電にならんよう十分配慮しているし、ピーク時を避ける等の努力をしているのであるということであります。昨冬の電産ストの場合の電力不足は、炭労ストによつて、大口需要家である石炭鉱業等の操業停止によつて調整されたとも言えるが、他面炭労ストの影響をこうむるところ大であつた。それは炭労スト解決の前後、当発電所の貯炭が激減して、補充をするのに石炭の炭質が低下したため、正月前後において出力が減少して、一日五十万キロくらいに減少したというのであります。
ちよつとおわかりにくかつたと思うのでありますが、ストの期間中は、炭労が同時にストをやつておつたということ、それからこの発電所として行われたのはピーク時でなかつたということ、そういうことから出力において、その他資料によりますると、ストの影響は、電産ストの影響は、江別発電所においては殆んど見受けられませんでした。併しその後の一月一日前後において炭質の低下による出力の低下、これは百二十前後のものが五十万くらいに下つておりますから、半分近いところまで下つているし、それは石炭の、入手いたしました石炭の品質の低下の結果であると説明されたのであります。
それから最後の苗穂の変電所を見たのでありますが、第一次発電所であつて、第二次発電所に送るほか、苗穂、砂川の両地に送電を行なつている。常時二人の作業員を必要として、四組三交替制であるが、高度の技術を要するので、ストの際には会社側としては補充が困難であるが、組合側も不測の事故の発生しないように、ストをやつても当所に詰めて、事故があつた際には直ちに連絡するように注意している。実際にまだとめたことはないという説明でありました。
以上大変取りまとめの悪い話でありましたけれども、大要を御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X01519530722/7
-
008・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 以上を以ちまして報告は終了いたしました。
御質疑のある方は順次御発言を願います。質疑ございませんか。……質疑ないようでございまするから、報告はこれで打切りまして、本日は散会といたします。
午後四時五分散会
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X01519530722/8
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。