1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年十一月四日(水曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 千葉 三郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 大上 司君
理事 坊 秀男君 理事 内藤 友明君
理事 佐藤觀次郎君 理事 春日 一幸君
理事 山本 勝市君
有田 二郎君 大平 正芳君
黒金 泰美君 小西 寅松君
苫米地英俊君 藤枝 泉介君
宮原幸三郎君 三和 精一君
福田 繁芳君 本名 武君
小川 豊明君 久保田鶴松君
柴田 義男君 井上 良二君
平岡忠次郎君 福田 赳夫君
出席政府委員
大蔵事務次官 河野 一之君
大蔵事務官
(主税局長) 渡邊喜久造君
農林事務官
(農林経済局
長) 小倉 武一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(日本専売公社
監理官) 今泉 兼寛君
大蔵事務官
(主計官) 小熊 孝次君
印 刷 局 長 吉田 晴二君
大蔵事務官
(印刷局業務部
長) 柏原益太郎君
農林事務官
(農林経済局農
業保険課長) 久宗 高君
通商産業事務官
(石炭局長) 佐久 洋君
通商産業事務官
(石炭局鉱害課
長) 阿部 久一君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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十一月四日
委員宇都宮徳馬君辞任につき、その補欠として
三和精一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会申入れに関する件
農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんす
るための財源措置等に関する法律案(内閣提出
第一二号)
昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計
の交付金の支払財源に充てるための資金運用部
からする借入金に関する法律案(内閣提出第一
三号)
金融に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/0
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001・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。
まず閉会中の税制に関する小委員会における審査の経過を報告するため、高小委員長から発言を求められておりますので、この際小委員長の御報告を聴取いたします。大上小委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/1
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002・大上司
○大上委員 休会中に開かれました税制小委員会の審議について、簡単に御報告申し上げます。
開催いたしました日は九月二十八日、二十九日と十月十三日の三日間であります。その間主税局長よりは、内閣に設置されました税制調査会の審議の状況と、また森永主計局長からは、来年度の予算の見通し等の説明を聴取いたしました。小委員会においてさきに計画いたしました民間の意見を聞くことは、十月十二日の本大蔵委員会に譲りました。その内容を簡単に申し上げますと、特に中小法人の法人税について、日本商工会議所専務理事岡松成太郎君、給与所得の源泉徴収については、興国人絹パルプ株式会社経理部長青砥正吉君、鉱業の減耗控除については、日本鉱業協会会長佐藤久喜君、一般税務行政について、日本橋税務署長岩本巖君よりそれぞれ有意義な意見を聴取いたしました。結局来年度の予算の見通しも困難なる現状と、かつ税制調査会もいまだ結論に達し得ないので、小委員会としても早急に結論を出すことは、いま少し各種の資料等に基いて研究の余地があると思われます。
次に、直接納税者の代理として、現行税法の運用について最もその長短を認識していると思われる税理士会の全国役員会が十月二十六日国税庁において開催されたので、特に千葉委員長も出席せられて税制問題及び税理士法の改正等につき意見を交換しましたが、当大蔵委員会における税制に関する調査小委員会の結論は、今後の研究にまつべきものが多いと考えますので“本国会においても、小委員会の設置並びに調査研究を続けていただきたいと思います。
右簡単でございますが報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/2
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003・千葉三郎
○千葉委員長 小委員長の報告に対する御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/3
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004・千葉三郎
○千葉委員長 お諮りいたします。ただいま労働委員会につきまして審査中の公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件八件中、印刷事業に関する件、専売公社に関する件及び造幣事業に関する件の三件につきましては、本委員会の所管にも重要なる関連を有する議案でありますので、労働委員会に連合審査会開会の申入れをいたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/4
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005・井上良二
○井上委員 一応そういうとりきめを願います前に、今申しました印刷事業、専売公社並びに造幣事業の仲裁裁定は、本委員会の審査の上に非常に重要な関係を持つて参りますので、できれば一応本委員会で所管の責任者を招致いたしまして、その間の事情を十分検討いたしました後、さらに必要が起りました場合、ただいま御提案のような処置をとられることが審議の上に必要でないかと思いますので、本委員会で一応その責任者の出席を求めて、裁定についての意見を聞き、その後に連合審査の御決定を願つたらどうか、こう考えておりますが、おとりはからいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/5
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006・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの井上委員の御提案はしごくごもつともと存じますが、いかがとりはからいますか。御異議ないものと認めまして、さようとりはからつてよろしゆうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/6
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007・千葉三郎
○千葉委員長 それではさように決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/7
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008・井上良二
○井上委員 議事進行について。この際私は本国会において問題になつております保全経済会の不始末問題が、法務委員会の方で取上げられまして、その審査の過程においてある委員が、本大蔵委員が保全経済会の饗応を受け、あるいは物品の供与を受けたような発言をされております。これは他の委員会の審議のことでありますから、そのこと自体に私どもとやかくくちばしを入れるべき筋合いではないのでありますが、少くとも本委員会の権威に関する発言がされ、同時に大蔵委員各位の名誉に関する問題が発言されております以上は、当然その速記録を本委員会は調査いたしました上、その発言者及び当該の保全経済会の責任者を本委員会に招致いたしまして、かくのごとき事態があつたかなかつたかということを明確にすることが、本委員会の審査の公正を期し、かつ一般に対する誤解を解く上からも必要でありますので、委員長は即時事務当局をして速記録を調査せしめ、その速記録を本委員会に報告せしめ、その後にもしさような発言をされておることが確認されました以上は、発言された本人並びに相手方であります保全経済会の代表者を本委員会にしかるべき日にちにおいて招致されまして、その真相を明らかにして、公正な立場を明確にせられるようおとりはからいを願いたい。これを動議として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/8
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009・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの井上委員の御提案は、本委員会にとりましてきわめて重大なる発言であります。本委員会の名誉のためにも、十分真相を調査いたしまして、そしてただいまの御提案の通りにとりはからいたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/9
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010・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないようでありますから、さようにとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/10
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011・千葉三郎
○千葉委員長 次に、農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案、昭和三十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案、及び金融に関する件を一括議題として、質疑を行います。
なお本日の出席説明員並びに政府委員は、説明員といたしまして、小熊主計官、並びに農林省関係から、政府委員として農林経済局長の小倉武一君、説明員として、農業保険課長の久宗高君、また通産省政府委員といたしまして、石炭局長の佐久洋君、説明員として、石炭局鉱害課長の阿部久一君の諸君が御出席になつております。
質疑は通告順によつてこれを許します。井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/11
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012・井上良二
○井上委員 私、先般質問を留保いたしておりましたが、この際さらに農業災害の共済保険金問題について伺いたいと思います。私どもの手元に農業保険課から提出されております資料は、これはいつの被害を最終的被害と認め、それの損害査定をいつを限度としてこの数字が出て来たか。なおその内訳といたしまして、関東、東北方面の冷害による被害の査定額、これがおわかりでございましたらお示しを願いたい。と申しますのは、昨日予算委員会において保利農林大臣は、本年度水稲の被害についてきわめて詳細な被害数字を発表し、かつ損害金を発表いたしておるのでありまして、それとこちらの農業災害の損害査定というものとの数字の違いが相当出ておりますから、この際今申します冷害による損害査定、それから風水害、病虫害等による損害査定、それがどういう数字になつておりますか、もう一度ひとつ明確にお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/12
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013・久宗高
○久宗説明員 計数の問題でございますので、便宜私からお答え申し上げます。このお出しいたしました数字の基礎でございますが、御承知の通り、現在正式の損害評価は目下進行中でございます。従いましてここでとりました数字は、一つにはこの保険事業をいたしております各団体から、九月の三十日でございましたか、団体方面におきまして被害を概算いたしました資料をいただいたわけでございます。それに基きまして、さらに十月五日の作報の数字も勘案いたしまして、また作報の数字から直接には個々の被害は出ませんので、私ども農業保険課の方で、各係官が現地に参りました場合の調査に基きます資料、そういうものを全部織り込みまして、全体の見通しを立てたわけでございます。従いまして、単に何月現在の作報数字によつたということはないわけでございます。それからここでは全国的な数字になつておりますが、このうち冷害地帯がどのくらいを占めるかというお話でございますが、先日の委員会で申し上げましたように、今回の支払いは大体二つにわけまして、主として冷害地帯、あるいは早場地帯と申し上げてもよいかと思いますが、そういう方面におきますものと、いわゆる西日本にわけまして、二段の支払いの準備を事務的に進めておるわけであります。そこでいわゆる東日本の方に入ります部面は、岐阜までを含めました二十一県に、さらに静岡県と三重県とを加えまして、これを事務的には正月までにお支払いする分といたしまして、事務を進めたわけであります。その関係の数字を申し上げますと、保険金で百五十二億を予定いたしております。これは水稲関係だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/13
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014・井上良二
○井上委員 そうすると、その西日本の分はまだおわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/14
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015・久宗高
○久宗説明員 西日本の数字は、保険金全体の支払いが、水稲で申し上げますと二百三十六億ということになつております。これから今の分を引きましたものが西日本になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/15
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016・井上良二
○井上委員 西日本は、二百二十六億のうちでどれを引くのですか。百五十二億は引かないのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/16
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017・久宗高
○久宗説明員 水稲について申し上げますと、目下予定しておりますいわゆる東日本の正月までの支払いの分が、保険金で申し上げますと百五十二億でございまして、西日本の方は八十三億になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/17
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018・井上良二
○井上委員 この数字は、九月五日を前後する被害状況に基いておよその損害査定を見込ましたものと思います。しかもそれは大体東日本を中心にしたものであつて、西日本の災害による被害や病虫害の被害等は、まだ固まつた数字があなたの方に入つてないかと思いますが、入つておりますか。入つておればそれをお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/18
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019・久宗高
○久宗説明員 西日本の方の数字につきましては、まだ刈取りの済んでないところもございまして、もちろん最終的な損害評価は出ておらないわけでございますが、御承知の通り西日本につきましては、概算払いの措置を考えましたので、概算払いの際に、当然見込額というものを出して参ります。そういうものが出ておりますので、それとさつき申し上げましたような作報資料なり、私どもの方で直接調べましたものと勘案いたしまして、数字の見通しを立てたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/19
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020・井上良二
○井上委員 私ども専門家でないからどうもよくわかりませんが、今お示しのような事態と実際とは非常に食い違いを生じて来ておるのじやないかと思います。そこへ持つて来て、正月までに本払いといいますか、支払いを終りたいとする東日本の百五十二億を予定し、また西日本の仮払いの八十三億を予定するということでございますが、実際この東日本の本払い百五十二億の財源と、それからそれにプラス八十三億の財源、その結果の予算的措置が完全にできてないというところに来ておりはせぬか、こう思います。大体予想されますのは、この補正第一号で出て参りました百三十億の算出の土台は、保険金支払額が二百六十億、これに麦、蚕繭を加えると三百四十五億となる。このうち急を要する水稲保険の約二百六十億のうち、その一割が単位組合の責任額であつて、残る二百三十五億が連合会及び特別会計の負担となる。これは連合会四十六億、特別会計が百九十億の割当となると考えております。問題はこの百九十億であるが、これに陸稲を加えて計算し、さらに十三号の災害が今後判明する分を考慮すると、東日本だけで約二百億特別会計の支出は見込まれると想定されております。ところが現在特別会計には基金が二十五億、前年度黒字の積立金が五億、再保険料の収入が六十一億、合計九十一億しかないので、百十億前後のものが不足することになつておる。この百十億を、西日本に仮払いを考慮するということで百三十億が算定されたではないかという見通しを私どもは持つておつたのであります。ところがそれが八十五億に削減されたところにも非常な問題があります。さようなことから、現実に政府みずから当初の百三十億はどうしても仮払い、本払いにいるという予定をしておつたものを、どういうわけで一体八十五億に削減することをあなた方おのみになつたか。これは何か四十五億も水増しの見積りをしておつたような印象を与える、非常な予算上の疑惑を生ずる問題であります。御存じの通り農業災害保険法に基いて、当然被保険者である農業者には、災害の度合いに応じて保険金は支払わなければならぬという義務が政府には生じておるわけです。その支払わなければならぬ当然の保険金が予算化されていないということになり、このことは法律を無視したことになつて、政府は農民に対しての債務を負うことになると思いますが、一体どういうわけでこの百三十億を八十五億に値切られて黙つておるのですか。そこのところを、私は次官か大臣を呼んでおるが来ないので、ひとつあなたから御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/20
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021・小倉武一
○小倉政府委員 御指摘のように百三十億の繰入れということは、再保険金の支払いを円滑にするための最小限度の費用であると私は思つております。それがさらに四十五億削減をされるということにつきましては、私どももこの辺の詳細な事情はよく存じません。しかしながら一般会計からこの際四十五億の繰入れが削減されましても、再保険金の支払いに事欠くようなことはもちろんいたさないつもりでございます。八十五億の繰入れということを前提といたしまして、残余の保険金の支払いにつきましての処置をただいま考究いたしております。再保険金の支払い自体につきましては、これは額自体もまだ確定はもちろんいたしておりませんが、一応の推定もございますので、そういう推定を前提といたしました融資等の措置について、ただいま具体的な措置を考究いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/21
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022・井上良二
○井上委員 農林大臣は、一昨日参議院水害対策委員会において、保険金の支払いは東日本は十一月から始める、それから西日本は十二月から始めるということを申しておつて、実際は言うこととすることとは違つておる。ここで課長の御説明を聞くと、東日本は正月までに本払いを終りたい、西日本は何か旧正月くらいまでにぼちぼち本払いを始めるような準備をしたい、こういうことであります。そこで今あなた方から出されておる資料によりましても、資金といいますか、保険金支払いに要する額は不足分が七十億といわれておる。その七十億の不足分についても、一応この融資によつて基金に繰入れるということがいわれておるが、しかしその融資の対象となる資金運用部資金の会計の内容は御存じの通りであります。そこへ持つて来て、この間大蔵省の主計局次長の話を聞くと、まだ第二次補正においても、これをこの席で予算化するということを明確に言えない、こういうことを申しておる。そうなると、あなたが今おつしやつたように、何とか処置を講じて支払いを円滑に済ませたいといつても、実際上できないことになるじやありませんか。どうやつてやろうというのですか。現に資金運用部資金は非常にきゆうくつな状態になつておつて、これが昨日予算委員会においても非常な問題を生んでおるし、現実に法律に規定して、当然もらうべき保険金がもらえないという事態が起つて来ますが、その責任はだれがお負いになりますか。予算的資金的処置がつかないということになりますが、つくという自信がおありになりますか。あれば大蔵省の主計官もお見えになつておるそうでございますが、一応どうやつてやるかについて説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/22
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023・小倉武一
○小倉政府委員 再保険金の支払いにつきましては、これはもちろん御存じの通り一般会計からの繰入れでありますとか、あるいは資金運用部からの借入れでありますとか、その他の処置があると思うのであります。御指摘の通り、一般会計からの繰入金については、ただいまのところ一応決定をいたした数字がございまして、また資金運用部からについても、いろいろ御指摘のように困難な事情があるということも私どもも承知いたしておるのであります。そこでそういう処置がもちろんいろいろ考慮をされなければならぬと思いますが、そういう処置もできないといつた場合も、あるいは想像ができるかと思います。そうした場合には、私どもといたしましては農業共済基金を通じまして一般の金融——一般の金融と申しましても、ただいま農業金融から申しますれば、比較的資金のゆとりがちようどあるときでございますので、農林中金等から融通を受ける、こういつた措置も可能でございますので、そういう意味合いにおきまして、再保険金の支払いについて事欠くことは万々ないということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/23
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024・井上良二
○井上委員 もしさような手続が、一般会計の繰入れが第二次補正において困難な場合、また資金運用部資金の操作が現実に困難な場合、やむなく農林中金からの短期資金を仰ぐという手が残されておる、だから保険金支払いには迷惑をかけない、こういう御説明でございますが、もしさようなことをやるとするならば、一体その利子補給はどういたしますか。利子補給をやるための予算的、法的根拠はどこに持つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/24
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025・小熊孝次
○小熊説明員 ただいま経済局長から話のありましたような方法によりまして利子補給をするというような場合におきまして、このたび増額されました災害対策予備費によりまして利子補給をする、しかも予算の範囲内におきまして契約をいたすことができるわけであります、なお年度内であれば、もちろんその措置によつてできるわけでありますが、さらに年度経過を要するというような場合におきましては、一般会計で持つておりますところの緊急の場合におきまするところの国庫債務負担行為もございますので、そういう措置によりまして利子補給の措置が講じられると考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/25
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026・井上良二
○井上委員 大蔵省は、法律規定をしてあり、かつ政府が責任を持つて再保険金の支払いをしなければならないことになつておる、この事実を認めずに、融資によつて利子補給をして行つたらそれでいいというのですか。その補給をする利子はわれわれの税金ですぞ。そういうことがいいとあなた方は考えておいでになるのか。そういうやり方をせざるを得ないと考えておりますか。それとも第二次補正予算で計上するとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/26
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027・小熊孝次
○小熊説明員 先ほど来お話のありますように、諸般の情勢からこういうような扱いになつておるわけでありまして、やむを得ない措置といたしましては、少くとも国といたしましては保険金を支払わなければならないわけでありますから、それを何らかの措置をもつてやるといたしますれば、ただいま申しましたような方法が考え得る、こういうことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/27
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028・井上良二
○井上委員 これは農林省はよくわかつておるから申しませんが、大蔵省に了解をしてもらわぬといかぬ。と申しますのは、お聞きの通り農林省としては、この十月から十一月まで東日本の再保険料の本払いを始めると言うておる。さらに西日本もそれに続いて、一時仮払いをすることはするが、その後本払いに早くかかりたいということを言うておる。そうすると第二次補正予算でどうしてもこれは計上してもらわなければならぬ必然的な責任が政府にかかつて来ておるのです。だから第二次補正予算で計上できる見通しがあるかないか、ただいまのところないというか、それとも諸般の事情によつてやむを得ないというかということです。なるほどやむにやまれずに金融にたよつて、預金部から利子補給をして行くというが、利子補給をする金があるなら、本払いの措置を講じてもらつた万がいい。利子を出すくらいなら、その金を本払いに充ててもらつた方がいい、そう私は考える。こういう点から、これは現実に払つて、災害地の被害農民を救済する建前でできております保険でありますから、何よりも先にこれは政府が責任を持つて、法的にきめられたる公約を果すということが必要でないかと思う。ひとつあなたにがんばつてもらえますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/28
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029・河野一之
○河野政府委員 保険金の金額が四十五億ほどございますが、これをどういうふうに措置するかという御質問でございますが、御承知のように政府で払うのは再保険金で、まず連合会で払いまして、それに精算をいたしまして国の方に持つて来る、こういうかつこうになるわけであります。その間いろいろ審査に手がかかることもございます。しかしそれに遅れて農民に対する保険金の支払いが事を欠くようなことがあつてはなりませんので、私どもとしては万全の措置をとらねばならないと思います。それでは金が不足するではないかというお話、ごもつともでございますが、今年度の補正予算の状況からいたしますと、なかなかその点は困難な点が実際問題として多かろうと思うのであります。従つて基金におきまして、これは府県において各連合会が出資した基金がございますので、その基金に農林中金その他から資する。できれば預金部から融資いたしまして当座をつなぐというようなことに相なるのじやないかと思います。もちろんそれには、今回、先ほどお話がありました災害対策予備費から利子補給をし、また明年度にその利子補給の契約をするものにつきましては、予算の総則にございます、災害復旧とか緊急な場合における特別の予算外契約をなし得る三十億という道が開かれておりますので、そういう措置をとることになろうと思います。しかしいずれこの金は一般会計から補填することに相なるわけでありまして、これは早ければ早いほどいいわけでございますが、明年度までの間には何らかの措置をとらねばならぬ次第であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/29
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030・井上良二
○井上委員 幸い予算関係に非常に専門家である河野君が見えましたから、直接あなたの所管ではありませんが、大蔵次官として、今度の補正予算のやりくりの結果、どうしても正規な予算的措置のできないものは、たとえば災害復旧において、被害総額一千八百億をまず千五百億余りに押えて、それをさらに三歳協定によつて、政府の予算化しております三百億にさらに百五七億を追加して、その百五十七億は資金的操作によるということがいわれて、これを大蔵省も一応了解をした。さらにまた、ただいま問題になつております、当初百三十億を農業共済に一般会計から繰込むことに予算化しておきながら、冷害対策の重要性から、農業共済の保険金の支払いに充てる部分を、冷害対策という、まつたく抽象的に対策費にこれを充当して、ここに四十五億の穴を明ける。さらに推定すると全体で七十億からの不足金を農業共済においては見込まれる状態にある。その七十億を資金的な裏づけによつて何とかしなければならぬ。それと今の百五十七億を加えますと二百数十億になりますが、しかし資金運用部の計画の改訂案を見ると、翌年度に繰越すものは九十八億しかない。そういう非常な事態に資金運用部はなつております。そうすると一体、災害の百五十七億の資金的な裏づけ、同時に農業共済の資金的な裏づけというものは、この年度中、あなた方で見通しをつけてやる自信がおありになりますか。これは単に大蔵大臣の政治的答弁でなしに、事務次官としての立場からこの点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/30
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031・河野一之
○河野政府委員 百五十七億の問題につきましては、あの三党協定にあります趣旨において政府といたしましては了承いたしまして、極力それに努力をいたすことになつております。工事進行の状況に応じて、その必要性を法的に見て、できるだけの方法で、その範囲内において融資を行うという考え方でございます。資金につきましては、もちろん井上さん御指摘の通り、資金運用部の資金は相当枯渇いたしております。これにつきましては今後、たとえて申しますれば、郵便貯金に対してのある程度の奨励金を出すというようなことにいたしますか、相当資金吸収の道を講じなければならぬとわれわれは考えております。かつまた市中の金融機関につきましても極力勧奨いたしまして、公募債その他の方法によりまして、所要の融資をするようにあつせんをいたしたいと思つております。大体下半期は割合に米の関係その他で金が出るときでありまして、金融機関として年末はちよつと何でありますが、割合に資金の出るときでもございますので、そういつた方面についてできるだけ努力をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/31
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032・井上良二
○井上委員 どうもその点がはつきりいたしませんが、できないものをできるようなことを言うほど、政治的無責任はございません。はつきりできるならできると言えばよいものを、そこを聞くと何とかしますというだけで、さつぱり裏づけがはつきりしません。昨日予算委員会でもこの問題が取上げられて、大臣みずから行き詰まつてしまつて、最後には公募債によるというようなことまで申しておりますが、農業災害の政府出資の分は公募債によつておりません。だから片一方の災害の面の不足額に充てる資金がかりに予定されますならば、それはまず農業共済に先に充てていいじやないかと思う。と申しますのは、すでに政府の方では、被害地の深刻な実情から、政府が行おうとする救農土木事業が緒につきますまでは、この農業共済保険金のもらえのを一日千秋の思いで待つておりますから、すみやかにこれの事務を進捗させて、現金が農民の手に入るような措置を政府としては講じなければならぬ。しかも年末を控え正月を控えております実情から考えて、何としても農業共済保険金の支払いが一日もすみやかに軌道に乗るようにしなければならぬし、またその資金的な裏づけが完全に立てられなければ支払いに支障を来しますから、特に河野次官に私は強く希望を申し上げておきたいのは、この年末までに、第二次補正予算にどうしても財源的に一般会計からの繰入れが困難な実情になりました場合は、当然これに対する資金的な措置を他の面よりも切り離して、いわゆる救農国会という立場からも考えて、この面だけは何とか保険金が支払われるような措置をひとつ責任を持つて講じてもらいたいと思いますが、できますか。この点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/32
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033・河野一之
○河野政府委員 冷害の方を優先し、災害の方をあとにするというふうに区別をつけるわけには参りませんので、三党の協定になつたそれに対して、政府が了承いたしました趣旨につきましては極力努力をして、御迷惑をかけないようにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/33
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034・有田二郎
○有田(二)委員 大蔵次官に保全経済会のことをひとつ。実は昨日ニユースを見に行きましたら、その中で伊藤理事長が、政府が何とか救済の手を延べるだろうというようなことを軽々に話しておる。戦争中の神風が吹くのと同じようなことを投資者に言つておるのを、きのうニユースで見たのです。まことに私は言語道断だと思う。やはりこの問題については、すでに法務委員会でも、また警視庁の方でも、検察庁の方でも活動を開始しておりますが、大蔵省としてもやはりこの問題については、これは疑似金融のような形である、詐欺であるならば詐欺として、はつきりした線を出すべきである。たとえば私は先般選挙区の大阪に帰りましたが、保全経済会の財産として北浜にある土地が、一坪百万円に評価されておる。百万円の値打があるだろうというのであつて、しからばそれを売つたら幾らで売れるかということは、私は大きな問題だろうと思う。従つて保全経済会がこの程度の財産があるという資産は、かなり私は水増しがあるのではないかと思う。これらに対して大蔵次官としてどういう所見を持つておられるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/34
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035・河野一之
○河野政府委員 保全経済会の問題につきまして、いろいろのことがいわれておるのでございますが、大蔵省といたしましては、救済の申込みを受けたこともございませんし、またありましても、これに対して、国民の税金でもつてこれを救済するというような考えは全然持つておりません。これはたびたび申し上げた通りであります。この保全経済会その他これに類似するいろいろなものもあるようでございますが、われわれといたしまして、現在の金融法規の上からこれをいかにするか、現在の段階におきまして、これが銀行法その他の法律に違反しているとも断じがたいのでございます。これはむしろ法務省の問題としていろいろ御検討を願つておるのでございますが、有田さんの御指摘のような点につきまして、いろいろ調査をいたしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/35
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036・有田二郎
○有田(二)委員 銀行法とかあるいは相互銀行とか、その他いろいろの金融関係の法律に違反しないということだけで、この問題は大蔵省に関係がないと言えないと私は思う。従いまして、私はこの問題については、やはり大蔵省も積極的に——これは敗戦後の日本の空白状態に起つた、一つの法の盲点をついた存在であつて、どこに責任があるかということは大きな問題であるけれども、しかし実際の問題として、やはり大蔵省並びに法務省関係が積極的にこの問題の解決に当らなければ、私はだんだん保全経済会と同じような会社が幾つもできると思うし、今日でもできている。先般大蔵委員会として四国へ国政調査に参りましたときにも、高松にも松山にも、相当りつぱな店舗ができているのです。従いまして、この問題をやむを得ずやるというのじやなくして、やはり大蔵省も積極的にこの問題の解決策に乗り出して、そしてこれによつて泣く人たちを、将来一人でも少くするように努力していただきたいと思いますが、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/36
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037・河野一之
○河野政府委員 保全経済会個々の問題として、これの解決に乗り出すということでなしに、有田さんのおつしやるような一般的な問題としてこれをどうするかということは大きな問題でございまして、ただいま法務省その他といろいろ打合せをいたしております。大蔵大臣も御言明になりましたように、この取締りのことを考えねばならぬと思つておりまして、次の通常国会あたりに、でき得ればそのような措置をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/37
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038・有田二郎
○有田(二)委員 お考えはよくわかつたのですが、今までの大蔵省並びに銀行局のあり方というものは、非常にこういう問題には消極的です。しかし消極的であつてはいかぬと思う。たとえば最近の一つの状態として、相互銀行法が生れた、あるいは信用金庫法が議員提出案で出たが、相互銀行と普通銀行との間にどこに線を引くかというようなことも、まだ今日大蔵省としてははつきりした線が出ていないのです。またそれと同じように、今日保全経済会のようなものが非常にたくさんできている。それに対して、何もこれを法的に保護しろとか何とかいうことをわれわれは考えているのじやないのです。いけないものはあくまでもいけないものとして、はつきり政府の方針を立てるべきであつて、君子危うきに近寄らずというような考え方でなしに、ひとつ積極的にこの問題の解決に大蔵省は全面的に乗り出して——どうせこれはある程度の犠牲者は万やむを得ないのであります。この犠牲者を少しでも少くして、そういう曖昧模糊な存在は将来許さない。そうすることがまた今日の銀行とか、相互銀行とか、その他健全なる金融機関の発展にもなるわけで、また日本の金融がそれによつて健全になるわけでありますから、その意味合いにおいて、ひとつ積極的な御尽力をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/38
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039・内藤友明
○内藤委員 次官もお出ましですから、関連してお尋ねしたいと思いますが、たまたま問題が表面化されて、世間がいろいろあわてているようでありますけれども、考えてみますと大蔵委員会は、この問題を取上げまして満二年になります。一昨年の夏の国政調査からこの問題を取り上げまして、しばしばこの委員会で大蔵省に猛省を促しておつたのであります。そのたびごとに大蔵当局のお話では、現在の法律ではどうにもならぬのだ、こういう御答弁一点張りで参りました。ことしの二月の八日でありましたかの、苦心さんたんの結果おつくりになつた大蔵省の勧進帳なるものもその範囲を出ておりません。しかし私どもは、そういうことは日本の金融行政を預かつておる大蔵省の態度ではないということを痛烈に御忠告申し上げて来たのでありますが、私どもは今もなおそういうことを感じておるのであります。先般来この委員会が金融小委員会をしばしば開きまして、この問題に対処するにいろいろな具体案をつくつて大蔵省にお示し申し上げておるのでありますが、それでもなおかつ大蔵省はお動きなさらないというのは、まことに遺憾千万なことでありまして、むしろこの際大蔵省は銀行局などおやめになつて、日本の金融行政はどこかの省にお移しになつた方がいいのではないかということを、私はこのころほんとうに考えておるのであります。
それで次官にお尋ねしたいのは、これから後も今まで通りの御方針でおやりなさるのかどうかということを簡明直截に、よけいなことは一切いりません、その通りだ、いやそうじやない、わかつた、何かひとつやるんだということのこの際御返事を承りたいと思うのであります。私どもは、これは記録をお調べいただきますればわかるのでありますが、いろいろな抵抗がありましたけれども、敢然としてこの問題を取上げて今日までやつて参つたのであります。私どもが取上げました時分はわずか四億の金でありました、今日はその十幾倍の金になつておるやに聞いておるのでありますが、これをほうつておきますとますますこれが大きくなりまして、それだけ日本の正常金融というものがゆがめられることと思うのであります。従いまして、こういうふうな終戦後の妙な行き方のものがはびこるのでありますが、そのたびごとにこれはよく注意をして行きませんと、日本の今後の財政の建直しというものはここからくずれる気がいたしますので、何とかひとつ大蔵省は今までの態度を放棄せられまして、勇猛果敢にこういう問題にメスを入れていただきたい。
そこで具体的に何か法律をおつくりなさるのかどうか。もし御案がなければ、私どもは御案を今でも差上げたいと思うのでありますが、その御決意を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/39
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040・河野一之
○河野政府委員 今までのこの問題に対するいろいろないきさつは、内藤さんの御存じのことでございまして、私がとやかく申し上げる筋合いではございません。御存じのようにこの問題は、非常にむずかしい問題でございまして、法務当局、大蔵当局もいろいろ苦心をしておつた問題でございますが、先ほども有田委員のお尋ねに申し上げました通り、次の国会におきましては、何らかの法規をつくらねばならぬのではないだろうか、それも出資者を保護するとかなんとかいう問題ではなしに、取締りと申しますか、そういう機関を取締るというような方向でこの問題を解決すると申しますか、そういつた措置をとらねばならぬというふうに考えておるわけでありまして目下いろいろ検討している段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/40
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041・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 どうも河野次官の話を聞いていると、この次の議会になんというお話でございますが、すでに保全経済会は火がついておりまして、現在これがためにいろいろな迷惑を受けておることは御承知の通りであります。これはことしの夏以来いろいろ金融のことについて問題がありまして、そのときにも、いろいろ大蔵省の行き方が、いよいよ困れば法務省へ移すというような形になつておりますが、現実はそういうような法務省の問題ではなくて、預金の問題、金融の信用の問題について重大な関心を国民にもたらしておるときに策をやつておられない、現に迷惑を受けておる国民がたくさんあるわけでありますが、その処置をする方法はないか、あるいはそういう決心が何も大蔵省はないかどうか、その点について一点お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/41
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042・河野一之
○河野政府委員 この国会ということにつきましては、短期の国会でございまし、またいろいろ検討を要する点でございますので、いろいろ考え方があると思うのでありますが、目下いろいろ検討いたしておりますので、しばらくお待ち願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/42
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043・春日一幸
○春日委員 河野次官にお伺いをいたしますが、この特別鉱害に関する借入金に対しては法律案が一億二千万円出ております。そこでお伺いをいたしたいことは、この資料によりますと、今回の風水害によつてこれら炭鉱地帯が受けた被害は、流出家屋が一戸、倒壊したものが十二戸、半倒壊したものが二十三戸、こういうようなものを対象といたしまして一億二千万円というもの、総額において一億五千七百万円というものが支出されて、それに対する財源として一億二千万円を借り入れるというきわめて行届いた措置がここに講ぜられているのであります。
そこでお伺いをいたしたいことは、今回の風水害によつて被害を受けたところの中小商工業者に対して、今回の補正予算においては政府は一体何と手を打たれたことがあるであろうか、私は、この石炭関係だと一戸流出だけでもたたちに法律案を上程して、たちまちにして救済おくあたわずというようなぐあいに、万事行届いた措置が講ぜられるが、炭鉱以外の中小商工業者の流出家屋は一戸どころじやない、これは何百戸という流出があるということは統計資料において先刻御承知の通りだと思う。そういうような中小商工業者に対して、今回五百十億の補正を通じて一銭、五厘の予算措置も講じないでおいて、それでもつてあなたは実際公正な措置であるとお考えになつているかどうか、大蔵省の次官として一体これをどう考えておられるか、この点をまずもつてお伺いをいたしたいと思います。
特にこの機会にあなたにお伺いいたしたいことは、たとえば今回の風水害によりまして、すでに中小企業者のために予定されているところの既存の予算が大きく蚕食されている、これは先般来本委員会において強く強調しているところでありますが、たとえば中小企業金融公庫においては二十二億五千万円、国民金融公庫においてはこれはすでに十六億、商工中金においてもこれまた相当のものがこの風水害のために蚕食されている。これはかつて大野国務大臣が、ともかくもこれらの金融機関は資金貸出しのため機動力を持つているから、とりあえずその窓口を活用する、資金も一時借用する、しかしながら最も近い機会において補正するということを本席に来て答弁しております。従いまして、これらの三機関の蚕食されたところの中小金融の既存額は、本補正国会においてこれは当然補填されるものと全国民は期待しております。ところがその石炭関係ではわずか流出したものが二十何戸、たちまちにして救済が行われる、ところが他の中小商工業者に対しては、すでに既存のわくを蚕食しておいて、これに対して何らの措置が講ぜられていない。
さらに先般来大蔵委員長のお話によると、委員長が銀行局長、次官、大臣等を通じて預金部資金から特別に預託をする等の交渉をお願いいたしたそうでありますが、しかしながらその交渉もなお妥結するところに至つていないということであります。ますますもつて私どもは承服いたしかねる。これは片手落ちもはなはだしいものと断ぜざるを得ないが、あなた方は一体どういうわけで石炭事業家だけには、たとえば昭和二十七年の三月には、二十三億円とかの岩鉱住宅の利子を免除してしまう。そうして今度流失したのが一戸で、倒壊したものが十二戸で、半倒壊のものが二十三戸で、これに対する全復旧費の中の九割三分というものを国庫借入れによつて支弁し、そうして十二分の復旧のための救済を行おうとしておるが、このことは他の事業家に対して済まないと思われないか。炭鉱業者のためには十二分の措置を講じて、他の業者に対しては全然何らの救済を行おうとしない。たとえば五百十億というような大きな予算を計上しておいて、中小企業者の災害救済のための資金措置をその中に何ら講じていない。それでもつて国民が納得すると思われるか。これについての見解を承り、同時にこの蚕食された財源にどういう措置を講ぜられるお考えであるか、この機会に承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/43
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044・河野一之
○河野政府委員 特別鉱害は、御承知のように鉱業権者の出すべき補償金と、それから国の公共事業の見地から見た補助金と、両方で復旧をやるわけでございます。すなわち、鉱害地に炭鉱を持つておられる炭鉱主につきましてはトン当り二十円、鉱害地でない分の出炭についてはトン当り十円ということで醵金をされましてこの金と、公共事業の見地に基く災害復旧の金とで合せて仕事をいたしておるわけであります。そういたしまして、この住宅の分につきましては、国が別に税金で補助してやるわけではございません。ただ鉱害を受けました住宅で、今度の大水害で非常にいたんだ、この際早急に復旧しなければならぬという戸数五百数戸を選びまして、これに対して復旧をするための金を貸してやる、こういう趣旨のものでございます。御指摘の一般中小企業者に対しての措置の問題でございますが、これは御承知のように今回法律を提出いたしておりまして、中小企業者について四十五億という金を融資いたしまして、それの利子補給の措置を考えております。それから災害勃発以後、住宅公庫、あるいは国民公庫、あるいは中小企業公庫につきましていろいろ積極的貸出しもやつておりますことは御存じの通りであります。指定預金につきましても、災害地の分は期限が来てもとりあえず三箇月延期をいたしておるわけであります。しかし、今までやりました災害関係の中小企業者の救済についてわくをふやすとか、今まで使つたものをどうするかという御尋ねでございますが、国民公庫等につきましては、今度の措置によりましてある程度考えねばならぬのではないかというふうに考えております。中小企業分庫につきましても、御承知のように四月から発足する予定のものが九月になつたわけでありまして、資金量としては一年分のものを約七箇月で使うようなことになつておるわけでありますが、その資金繰りの状況を見まして、必要とすれば適当な措置をとりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/44
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045・春日一幸
○春日委員 この資料によりますと、鉱害を受けたところの全復旧費というものは、一億五千七百九十一万二千円計上いたしております。すなわちこの一億五千七百万の中の一億二千万円というものを今回融資を行うことによつて、その復旧工事を行われようといたしております。これはあなたは税金でないと言われておるけれども、税金であろうとなかろうと、そういう金が貸し与えられるものならば、同時に他の中小商工業者の被害を受けた人々に対して、同様の融資措置を講ぜられたいというのが私どもの主張であります。そこで、あなたはいずれ考慮しなければならぬ、こういうことでありますけれども、その考慮のことたるや、今日唐突に私どもがここで発言しておるわけではない。すでに国会休会中から開かれておりますこの委員会において、すでに累次にわたつて政府に対して強力な要請を行つて来ておる。それに対しては本日まだ結論に倒達しないで、炭鉱住宅に対しては一億五千万の損害の中で一億二千万円のこの融資によつて完全に復旧しようとしておる。この片手落ち、不公正を私は難詰いたしておるわけであります。ただ単に考慮してくれ、考慮してくれということで、私どもは安閑と日にちを過すわけには参りません。中小商工業者は各地において大会を開いて、ほんとうに金融梗塞で困つておるのであるから、何とか年末の資金対策を考えてもらいたいということを、別途政府に対しても要請しておるわけである。その要請にこたえるのはこの臨時国会ではないか。すなわち他の農林、水産その他いろいろな被害を受けた諸君に対する救済の施策が行われており、しかも炭鉱住宅に対しても行われておるのに、他の業者に対してはただ単にこれを考慮する、この臨時国会もすでに今明日には終ろうとしておるこのとき、そういこう御答弁をもつて満足するわけには参りません。私は、蚕食された資金量だけた当然この機会に何とか補給の道を講じて、長期預託をするなり、何らかの指定預金を行うなり、とにかく当面の問題の解決をされることが、中小企業問題として当臨時国会に課せられたる大きな任務であろうと思う。これに対して重ねて答弁を求めます。考慮の結果はいつごろ決定するのであるか、まるで再軍備に対する吉田総理大臣の政治的答弁のような、ぬらくら答弁のような、そんな答弁のしかたではわれわれは満足することはできません。この臨時国会において結論をわれわれは得なければならない。御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/45
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046・河野一之
○河野政府委員 この住宅は炭鉱住宅ではございませんので、鉱害を受けました一般の住宅でございます。中小企業に対する融資の問題につきましては、先ほど申し上げたのでありますが、国民金融公庫については、その資金の不足が生じた場合におきましては、必要とすれば預金部等においてある程度考えねばならぬかと思つております。それから中小企業公庫につきましては、これは発足が遅れましたので、現在一月十五億でやつておるかと思いますが、それが進捗の状況によつて不足することがありますれば、これはできるだけそういうことがないような措置をとらねばならぬと思つております。その方法につきましてもいろいろ検討いたしておりますが、具体的な数字ということになりますと、これはいろいろ調査いたしてみませんと申し上げかねると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/46
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047・春日一幸
○春日委員 中小企業金融公庫の坂口総裁が、一昨昨日か本委員会に参られました。その答弁によりますと、年末までにおよそ七十七億消費してしまう。九十五億の資金をもつてスタートをしたわけであるから、年度内に残されるものはあと十数億しかあるまい。しかも災害によつてここにすでに予算外、計画外に支出されたものが二十二億あるということになりますと、年度を越えるともう開店休業の状態に陥ることは必至である、こう述べられておりますし、われわれもそのように理解をするものであります。そもそもこの公庫が第十六国会における超党派的な一つの意見として衆参両院を通過いたしましたときは、少くとも三百億程度の資金を準備して中小企業に流すということでございました。ところが、自由党がこれを八十億の現金に圧縮し、さらに三党の補正によつてこれを十五億増して九十五億になりました。当初からこれは少いのであります。従つて、適当な機会を得てこれを増資するというようなことがいろいろ述べられ、政府からもそういう意見が述べられております。ところで、公庫の総裁の見解をもつていたしましても、当然早急にこの中小企業金融公庫の資金をふやさなければならぬ、政府の増資もしなければならぬ、このことに結論は到達いたしております。そこで、どうせ増資をしなければならぬのならば、せつかく機関をつくつてすべり出したばかりで、一、二、三とこれが開店休業の状態は必至であると思われるようなこういう情勢を十分考えますならば、これはすみやかな機会に——聞くところによりますと、第二次補正のための第二次臨時国会を開かれる様子でありますが、そんな機会に中小企業金融公庫の政府出資を増額するような考慮を、この際にひとつ十分めぐらしておいていただきたいと思うのであります。
なお私はこの機会に大蔵委員長にお伺いをしたいのでありますが、先般来委員長は、委員会のこの論議を尊重されまして、この意見に基いて大蔵当局といろいろと国民金融公庫並びに中小企業金融公庫等の災害融資に対しての補填策について御交渉願つたと伺つており、私どもはその結果を期待しておるわけであります。ところがただいま河野次官の御答弁によりますと、これは考慮するというようなことで、すでに旬日を経ておりますが、一歩も前進をしていない様子であります。こういうことでは、私どもはこの法案の担当委員会として十分職責を尽す形になつていないと思います。従いまして、大蔵次官の言つておるこの考慮というような抽象的な茫漠とした御答弁では、われわれは満足することができませんので、すみやかに委員長は本委員会のこの意見を十分代表されまして、政府と強力な御交渉を願うことによつて、会期中において何らかのめどを立てるように善処されることを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/47
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048・小川豊明
○小川(豊)委員 農業共済保険の問題は、すでに予算が通つてしまつておるのでありますから、これについてとやかく議論をすることははなはだどうもおかしなことでありますけれども、先ほど井上さんから御質問したのにお答えがあるかと思つて待つておつたのですが、ありませんでした。この共済保険の、たとえば東日本において百五十二億、西日本で概算払いで八十二億、こういうような支払いをするということなんですが、この支払いの基礎になる被害の状況を、先ほど井上さんの方から冷害でどのくらい、風水害でどのくらい、あるいは病虫害でどのくらい、十三号台風でどのくらい、こういう質問があつたわけなんですが、これに対して、もちろん病虫害などはこれと関連して出て来るから別個にわけることはできないと思いますけれども、これらに対する被害の状況というものは、あなたの方でどういうふうにとらえておるのか、それを十月五日にわかつておるはずなんですから、十月五日の現在でけつこうですからひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/48
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049・久宗高
○久宗説明員 被害の内訳につきましては、ただいまお話がございましたように、病虫害なり風水害なり冷害、それぞれ競合をいたします場合がございますので、現在の私どもの方で見通しを立てました際の数字の内訳の中には、個別にはわからないわけであります。これは最終的に損害評価がきまりました場合に、詳細な内訳がつくわけでございますが、ただいまの段階では、冷害で幾らというふうに確定的に申し上げるわけには行かないわけでございます。
それから御質問の中に、西日本の方で八十三億ほど概算払いというふうなお話がございましたが、これはちよつと違います。支払う予定になつておりますのが八十三億でございますが、そのうち概算払いをいたしますものは九割、十割に相当する被害でございまして、これは十一月の半ばまでに約十億のものが予定されているわけであります。これは東西合せましてそういう数字になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/49
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050・小川豊明
○小川(豊)委員 先ほどあなたの課長の方から九月三十日の団体の調査、あるいは十月五日の作報の調査、これらを勘案した。さらにまた農業保険課でこれを調整した、こういうことをおつしやつたのでありますけれども、従来から共済組合等で調査する、要するに損害調査評価委員というものがある。その評価委員が調査するものと作報等で調査するものとにおいて非常な食い違いが従来からある。これを調整することは非常に至難な問題であつて、この調整がつかないがゆえに、農家がこの農業保険の制度に対しても、いろいろ負担金の問題、その損害の決定の問題について不平や不満をもつている。あなたが先ほどこれを勘案したと言うが、どういう形で今度の災害に対してこれを勘案したか。さらにこれを農業保険課が調整したと言うが、どういう方法で調整したか。これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/50
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051・久宗高
○久宗説明員 御承知の通り作物報告事務所でつくります被害の、あるいは実収高、あるいは予想収穫高というものは、一筆の調査ではないわけでございます。しかしながら保険の方でいたしますのは、一筆ごとの被害の関係を調査いたしますので、調査の方法その他に食い違いがございます。農林省におきまして被害の内容をいわば査定いたします際に用います方法は、県段階の数字につきまして、客観的な資料から見て、これ以上の被害があるかどうかという見解を示すために調整いたすわけでございます。これは損害評価を最終的にいたします段階でするわけでございますので、現在予想の収穫高その他によりまして、大体被害が保険関係でどのくらい出て来るだろうかという際の見当といたしましては、最終的な損害評価をきめます場合のやり方のような詳細な形はとつておりません。そこで先ほど申し上げますように、団体の方で、これはまだ刈取りも終つていない時期の予想の数字でございますので、そういうものをいただきまして、さらに別途作況指数等から見て県間のアンバランスの調整ということもいたしましたわけでございます。さらに私どもの方で具体的な地方に参つて調べました数字から、この県の数字があるいは過大ではないかといつた考慮も含めまして大体支払いの関係がどの程度になるかというものを推定いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/51
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052・小川豊明
○小川(豊)委員 あなたの方では、支払い関係からこれを調整して行くんじやないか、こういう心配を私どもは一応持つておる。大体災害に対する今回の金額に対して、われわれは非常に少いという不満を持つておる。しかしその議論は別として、共済組合、あるいは作報の被害の報告というものはあつた。作報と共済組合との報告でも相当の食い違いがあつた。こういうことを調整される方法をお聞きしたわけでありますが、この報告の食い違いは面積において、あるいは作柄、要するに被害状況において相当の食い違いが毎年出て来ておる。これは相当大きい隔たりがある。さしつかえないならばどのくらいの隔たりがあるか、これをひとつお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/52
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053・久宗高
○久宗説明員 ただいま申し上げましたように、作物報告事務所の数字を利用いたしまして、共済関係から出て参りました数字が客観的に妥当であるのかどうかといつたことにつきまして、農林省の見解を示す場合のやり方は、詳細な換算方法があるわけでございますが、現在の段階でいたしておりますのは、まだ正確な末端からの一筆の積上げの資料が出ておりませんので、最終的な損害評価の場合にありますような詳細な換算方法はとつておらないわけでございます。ただいま御質問にございました作報資料とどの程度の開きがあるかという問題でございますが、最近二、三年間こういうような方法をとつて参りました経緯にかんがみますと、必ずしも大きな開きにはなつておらないようでございます。これは県段階におきましても、やはり相当な検討を経て数字が出て参りますので、最近の、特に昨年の実績等に徴しますと、県によりましては若干開きが出るところでございますが、全体としては、作物報告事務所の方からの、私どもが客観的にこの程度の被害ではなかろうかという見解を示します数字と、末端から出て参ります数字との間に、必ずしも大きな開きが出て来ていない。だんだんこれは狭まつて行くような傾向になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/53
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054・小川豊明
○小川(豊)委員 どうもこれは少しおかしいと思うのです。だんだん隔たりが大きくなつて来るのじやないか、というのは、被害の状況がだんだん出て来る、あなたの方では金額で押えているから狭めようとなさつておるので、その被害の状況は必ず大きく隔たりが出て来るのではないか。そうしてここで保険金が支払われると、それは農家からいうと、自分の期待したより非常に少いものが出て来る。これは非常にいい制度でありながら、この制度に対する信頼感を失つて来るということを私どもは心配する。従つてあなたとこの点において見解を異にしている。
それからもう一つは、損害評価委員がありますが、この評価委員というものの資格、この評価委員の評価というものをあなたの方がどれだけ尊重なすつておるのか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/54
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055・久宗高
○久宗説明員 ただいまの説明は少し言葉が足りなかつたわけでありますが、末端の農家が申告いたしまして、それを評価委員が見て、組合長がきめ、さらに連合会で調べてきめて、その数字が上つて来ますので、その過程におきまして、一番最初農家の方がお出しになりました自分の損害はこれだけだというものと、一番最後に農林省まで上つて参ります数字になりますまでには、相当そこで調整が行われますので、末端の農家から申しますと、非常に削られたという感じを持たれる場合が多いと思います。ただいま私が比較的差が少くなつて来たと申し上げましたのは、県段階で一応調整した数字を農林省へ持つて参りますので、その県段階で調整し数字と、最終的なわれわれの方できめます数字との間の開きは少くなつて来たと申し上げたわけでございます。そこまで参りますうちに、個個の農家が一番最初にお出しになつたものとの間には、県によつては相当の開きが出て来る場合がございます。
それから評価委員の資格でございますが、損害評価は、末端の組合におきましては組合長がきめることになつております。きめる際に、評価委員の意見を徴してきめることになつております。従つて評価委員の資格は、組合長が命ずるわけでございまして組合に二十五名程度の評価委員がいるわけでございますが、いわば組合長が最終的にきめます場合の諮問機関のような形になつておるわけでございます。評価委員の意見をどの程度尊重するかという問題につきましては、個々の組合によつて実態は若干違つて来るかもしれませんが、野帳を持つて末端の一筆の調査をいたしますのは、評価委員がするわけでございます。その方たちが集まつて来た結果を持ち寄りまして、いろいろ討議なさいましたものを参考にいたしまして、組合長がきめるという形をとつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/55
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056・山本勝市
○山本(勝)委員 関連して——この法案そのものについては、もうすでに昨日予算が本会議で通つてしまつておるのでありますから、質問をいたしませんが、実は春日君が質問されたことに関連して、大蔵次官に私の要望を申し上げておきたいと思います。ひとつよく聞いておいていただきたい。
それはこの前の第十六国会で中小企業金融公庫の予算が出ましたときに、大蔵大臣にも私は申し上げたことですが、実は百億余りの金をもつて中小企業の金融対策として政府がああいうことをやつても、結局何かの縁故を持つた、役職でも持つた者と関連をする人だけが得をするだけで、実際日本の中小企業者のためにならぬということを申し上げた。はたせるかな実際出発してみますと、今日あの公庫法に対して全国の中小企業者が大きな期待を持つておつたにかかわらず、今日は何にもならぬという声が多いのです。そこでこの前の委員会の際に坂口総裁にも私は申し上げた。何ゆえにそういう声が出るか、そういう中小企業者の声が総裁の耳に入つておるかということを聞いたら、入つておると言つておつた。それはどうすればいいのか、なぜそういうことになつておるのかと聞いたところが、やはり金額が少いということが根本の原因だというふうに見ておるということであつたのであります。それも一つの理由だとは思う。それで春日委員のお考えは、その際も申されたのですけれども、また今回も申されたが、資金をふやすという措置をとれというような考えでありましたが、私は少し考えが違う。これは資金を多少ふやして見ても役に立たぬ、それよりも中小企業者の金融対策としては、それだけの減税をしろというのが私の考えです。百億の金を出して見たところで、結局ほんとうに行くところへ行かない、今日のようにすずめの涙ほど全部へわけてしまつたというようなことも一つの理由ですけれども、しかしこれを百億、二百億ふやしてみても、やはり私はほんとうの解決はできぬと思う。それよりも、もしここで百億なら百億ふやすのならば、むしろああいうものはやめてしまつても二百億の減税をすべし、そうすれば全国の中小企業者というものは今日税金で泣いておる。だから、ただ税法上の減税なんというのでなくて、実質的に中小企業者の方の荷が軽くなるように税金を下げてやるということになれば、結局国の予算の関係から申しますと、税金をとり上げて、そうして言葉は少しきつ過ぎるかもしれませんけれども、無理無体にトラブルを起しながら取上げて、そうしてその方はとつておいて、今度は一方中小企業者のためにといつて取上げた金を出す、出したものはどこへ行くかというと、ほんとうに苦しんでおる人のところへ行かないで、従来の受託銀行と関係のある、どちらかといえばあまり苦しんでいないようなところへ行つてしまう。あるいは特別に役職を持つ者と関係を持つた者のところへ行つてしまう、こういうことでは私はいかぬと思う。ですから取上げておいて、そういうところで一般の中小企業者を税金で泣かして、そうして特殊の人だけにそういうものを配るよりも、むしろ配らぬでもよいから税金を安くしろ、そうして税金を安くした上になおかつ余裕があれば、それは配つたに越したことはありません。中小企業者はそれでも税金だけ楽になつたから、苦しいながらもまだよいのですけれども、一方では税金をとつておいて、そうしてその中の少数の者だけに配るという行き方は、私はいかぬと思う。ですからどうか私は、大蔵省で今後あの中小企業金融公庫というものが資金が枯渇した場合にいかにすべきかということを考えるときに、現在までの実績をよく見られて、はたして全国の中小企業者がこれによつて金融的に救われたかどうかということをよく考えて、そうしてあの百億の金でもなるほどと喜ぶような方法がみつかればけつこうですけれども、もしみつからぬということであれば、いたずらに資金をふやすよりもそれだけの減税をせよ、こう言うのであつて、これは予算編成上、あるいは日本の財政の今後の根本的な問題です。中小企業の金融対策としての根本的な大きな問題です。ここをひとつよくお考え願つて、ただ資金が枯渇したから資金をふやすというような安易な、ややもすれば事務的に陥りやすい軌道に進まぬように、つまりあやまちを重ねて行くということをしないで、抜本的に中小企業者の金融面の苦痛を軽減するということを、効果ある方法として考えてもらいたい。これを要望申し上げまして、これで私の話は終りますけれども、これはただ聞き流しでなしに、ひとつ御研究を願いたい。もし必要であれば、何どきでも大蔵省へ行つて御相談に応じるつもりです。ひとつ真剣に聞いておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/56
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057・柴田義男
○柴田委員 冷害による被害で、先ほどの保険課長の御答弁でございますと、東日本において保険対象として百五十二億、これはそう私は聞いたのでございますが、西日本においては八十三億、これは保険の対象としての、しかも水稲の分がこれだけある、こういうことでございますね。そういたしますと、水稲以外の被害というものの保険対象の金額はまずこのほかにある、こういうことだと思います。そういう場合を想定いたしまして伺うのでありますが、この冷害による被害というものを今度は対象といたしまして大蔵省当局に伺いたいことは、昭和二十二年の法律第百七十五号、この法律のいわゆる減税の対象にこの冷害も適用されるのかどうか。この一点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/57
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058・河野一之
○河野政府委員 この法律によりまして、火災、震災、風水害、落雷による災害、その他これに類する災害というふうに、当然これは受けるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/58
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059・柴田義男
○柴田委員 この法律の法文だけを見ますと、非常に疑義がございまするが、実際にその対象になりましようか。これは大蔵省の次官が責任を持つて、それが対象となるかどうかということをお答えできましようか、重ねて同います。——では午後でも、ひとつ御研究の上で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/59
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060・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ちよつと委員長、一言……。実はこの際委員長、並びに河野次官が見えておりますから、お願いしておきますが、今国会は短期間の臨時国会でございますから、やむを得ない点もありますが、大蔵委員会は御承知のように非常に重要な法案をやるので、今回も税法の問題とか、財政金融の問題とか、重要な問題があるにもかかわらず、予算委員会との関連、予算が通ればということで、大蔵大臣とかその他、われわれの質問したいような重要なポストの人がほとんど来ない。今は愛知政務次官が外国に行つておられますから、河野次官が来ておられるのでありますが、そういう点について、いずれ通常国会も近々開かれるわけでありますが、委員長においても、また大蔵当局におきましても、大蔵委員会は、予算委員会を通つた法案のかすをあとで審議するということでなしに、実際に予算と並行的に重要な法案を取扱うのでありますから、もう少しそういう点についての御配慮をお願いしたい。その点委員長からも特に厳重に大蔵省に警告を与えてもらいたい。これは大蔵委員会が非常に重要な委員会であるにかかわらず、常に問題にならず、結局予算が通つたからやむを得ないから認めてくれというような、そういう事後承諾のような形の法案が非常に多い。こういう点について、委員長並びに大蔵当局に、今後のことについて厳重なる警告をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/60
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061・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの佐藤委員の御意見はまことに同感でありますので、その趣旨に従いまして、大蔵当局にひとつ厳重なる警告をいたしたいと思います。従つて午後は必ず河野次官が出席すると思います。
他に質疑の方も多数ございまするが、この程度で休憩いたしまして、午後一時半から再開したいと思います。
午後零時二十六分休憩
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午後二時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/61
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062・千葉三郎
○千葉委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。
農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案と、昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案の両案を一括して質疑を続行いたします。
なお本日は政府委員として河野大蔵次官、小熊主計官、渡邊主税局長、久宗農業保険課長、吉田印刷局長、柏原印刷局業務部長の諸君が出席されております。質疑は通告順によつてこれを許します。柴田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/62
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063・柴田義男
○柴田委員 保険課長にお尋ね申しますが、水稲の被害が甚大であるということはるる御説明もございましたし、私どもの調査によつても明らかでございます、この対象になつておる農家の平均いたしまする保険料がどのくらいになつておりましようか。その平均を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/63
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064・久宗高
○久宗説明員 水稲の料率につきましては、二十七年に改訂がございまして、二十八年度もさらに国庫負担の関係がかわりましたので、本年におきましては、平均反当百四十一円になつております。最高は四百七十円見当でございますが、最低は二十三円七十銭でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/64
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065・柴田義男
○柴田委員 今私の伺つておりますのは、災害農家一戸に対する保険料が平均どのくらいになつておるかを聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/65
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066・久宗高
○久宗説明員 支払いの方から申し上げますと、農家に払われますのは、支払い共済金が払われるわけでございまして、これは三段階にわかれております。二反以上の田につきましては、一番高いのが反当七千六百円でございます。それから率をさらに四段階にわけまして、被害の一番高い村、一番低い村というように四つクラスをわけまして、その中で若干の選択を認めておるわけでございます。基準になつておりますのは、ただいま申しましたように七千六百円でございますが、一石五斗から三石まで——今申しましたのは二石以上の数字でございますが、一石五斗から二石までの数字は、基本のべースが六千円でございます。それから一石五斗未満の田につきましては、四千四百円というのがベースになつております。さつき申し上げました選択の幅でございますが、一番上の七千六百円のクラスに入りますものは、最高が七千六百円、最低が六千四百円でございます。それかれ一石五斗から二石までのものでございますと、最高が反当六千円で、一番低いものが四千八百円になります。それから一番低い、一石五斗米満の田でございますが、最高が四千四百円で、最低は三千二百円という幅になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/66
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067・柴田義男
○柴田委員 御説明で比率はよくわかつたのでありますが、現在のような本年度の米価が相当大幅に改訂をされます場合には、この基本支払い価格の算定に対しまして改善のお考えはございませんでしようか、これを承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/67
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068・久宗高
○久宗説明員 御承知のように保険でございますので、事前に全体の設計を立てる必要がございます。従いまして、すでに引受がきまつておりますので、その際にいかなる支払いをするか、それと関連して掛金をとりますので、被害が起りましてから支払いの内容をいじることは、保険の建前上できないわけであります。従いまして、現在のところこれをかえる予定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/68
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069・柴田義男
○柴田委員 常識的な考え方で、本年度はこれはかえられないと思いますが、来年度の米穀年度におきましては、考慮を払われることを農林省当局はお考えでございましようか、これを承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/69
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070・久宗高
○久宗説明員 来年度の基礎の価格でございますが、もちろん米価と関連できめるわけでございますが、御承知の通り共済の内容を充実しようといたしました場合、当然掛金の方にも響いて参りますので、給付を非常によくしようとしました場合に、国庫負担、農家負担の関係で、ただちに給付だけをふやすというわけに参りませんので、その点は農家の方の負担と、被害を受けた場合の給付の内容から考えまして、研究する必要があると思います。現在のところ来年度の価格との関連におきましてこの関係をかえるかということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/70
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071・柴田義男
○柴田委員 今度は大蔵当局にお尋ねしますが、午前中に伺いました災害に関する昭和二十二年の法律百七十五号が、こういう冷害等には対象にならぬようでございますが、こういう場合で、たとえば東北方面、あるいは北海道にわたりまして非常な大きな冷害が襲うたのでありますが、これらの冷害地だ対しまして、大蔵当局は減税の措置を考慮されておるのかどうかということを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/71
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072・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 災害減免法の関係でございますが、この災害の中に、一応冷害が入るかという点につきましては、われわれはやはり冷害が入る、こういうふうな解釈で行つていいのじやないだろうか、こういうふうに考えております。ただこの災害減免法の中には二つの規定があるのでございますが、一つは税金を免除する、あるいは軽減するといつた関係の規定でございます。一つは徴収を猶予する、こういつた関係の規定でございます。それで減免関係につきまして、特にこの災害減免法でもつて減免の事項を規定しておりますのは、通常たとえばその年の収入と経費との関係で、赤字になるといつたような場合におきましては、所得税法本来の規定からいいまして、当然課税になりませんので、特別に減免法とかなんとかいう規定は必要ないわけでございますが、一応今度は、たとえばこれは主として風水害のような場合に生ずる事態でございますが、資本的な損といいますか、土地が流れる、あるいは家がこわれる、こういつたものにつきましては、従前はこれは資本的な損でございまして、経費に見ない。従つてそういう場合におきましては、所得税の法律だけでは当然配慮さるべき減免がなされない。こういうことになつておりますので、その場合におきましては、災害減免法というような規定によりまして、一応所得税を免除する。こういうので、実は災害減免法がずつとできて来たのです。現在の所得税法におきましては、雑損控除という規定がございまして、そういう場合におきましても、本来の所得税法の方から、一応そういう損は所得から差引くことになつておりますので、雑損控除の規定だけでもかなり動くのでございますが、ただ雑損控除の方ですと、割合に計算がこまかくなるので、災害減免法の方で、たとえば家財、家具、そういつたものが半分以上流失した場合にはどうかというような、割合に大まかな措置によりまして減免をするというのが、現在の減免法の中に残つております。従いまして、減免関係におきましては、主としてそうした所得と直接の関係のない、どちらかといえば資本的な損失関係が、本来の法律だけでございますと、十分に行き届いておりませんので、減免関係の規定があるわけでございますが、冷害の場合におきましては、多少事態がかわつて来るのではないかと思います。と申しますのは、冷害の場合におきましては、主としてその年における収入の問題、その年における経費の問題が議論になりまして、資本的な損失というものは、冷害の場合にはあまり関係がないじやないか。家には関係がないし、土地にも関係がないしというところから出て来ると思います。従いまして、そういうような意味からいたしますと、所得税の本来の法律の方から、大体所得が非常に少くなり、あるいはなくなつてしまう。従つて現在の控除とかいろいろ関係からしますと、大体の場合において課税は事案として出て来ない。こういうことで、課税の面からいう負担というものはなくなつて来るのじやないか。ただ一応災害減免法の方にはもう一つの規定がございまして、一年以内徴収を猶予するという規定がございます。その場合は、冷害の場合におきまして、これがどういうふうに働くかという点につきましては、実は国税庁の方でいろいろ調査をしておりますが、要するにこれが働く場合は、冷害は相当受けたけれども、なお所得がある、税金がかかる、こういつたような事態があつた場合だけが問題になると思うのでございます。そういう事態がもし出て参りまして、同時に、この際税金を納付してもらうことが相当無理だといつたような事態がはつきりして参りましたらば、この徴収猶予の規定は災害減免法の中にございますが、冷害の場合についても、これを適用してさしつかえないじやないか。かようにわれわれは考えております。ただ、普通常識的に考えますれば、大体税金を納めなくても済んでしまうのじやないかということが考えられますから、税金がかかり、なおかつ徴収猶予をどういうふうに適用したらいいかという点につきましては、具体的な事例をもう少し調査しまして、その結果をまちまして指示したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/72
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073・柴田義男
○柴田委員 もう一つお尋ねいたしますが、昭和二十二年法律百七十五号の第二条にございます、二十五万円以下であつた場合には全部免ずる。それから五十万円以下二十五万一千円以上、これに対しまして十分の五を免除する。それから五十万を越える場合は十分の二・五、こういう比率が明記されておりますが、昭和二十二年と今日との経済状態の変化、あるいは貨幣価値の変化というものが、相当大幅に変化をしておるのでございますが、この二十二年の法律がまだ現存しておるということは、少し矛盾ではないかと思うのでございます。これに対して大蔵当局がどういうふうなお考えをお持ちになつておるのか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/73
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074・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 今すぐここでは、私正確な記憶を持つておりませんので、後刻はつきりお答えしたいと思いますが、法律は二十二年にできておりますが、その後何回か実は改正をしております。おそらく二十二年の場合におきましては、この二十五万とか五十万とかいつた数字は、もつと低かつたというふうに記憶しております。その後におけるいろいろ物価の上昇とか、そういうものを勘案しまして、現在の制度になつております。その経過につきまして、今ここではつきりした記憶を持つておりませんので、これはあるいは後刻御答弁申し上げた方がいいかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/74
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075・柴田義男
○柴田委員 もう一点伺います。地方の農村に参りますと、別個な納税貯蓄というような団体をつくらずに、既存の農協等に金を預けまして、その金と申しますのは、一般的な預金と違つた性質のもので、末端の税務署の人々からのいろいろな奨励等もあつて、農協に預けておつた。そうして暮れであるとか、あるいは納税期になりますと、それを下げて税金に充てている。これを年々繰返しておつた。しかし冷害が非常に深刻でありました東北地方の農村に参りますと、末端にはまつたく破産に瀕しておるという農協が現実に起きておるのであります。こうした場合に、今度は納税時期が来たから一ぺんに預金を下げてくれ、こういう農民の要求に対して、農協が支払いの能力がないというのが現実にあちこちに起きておるのですが、これに対して大蔵省はどういう考えを持つておられるのか。われわれが聞いております範囲では、大蔵省としては、税金は税金なんだ。農協が払えないというならば、それに農協の責任である。こういう表面的なりくつで、方々の税務署と農協、あるいは農民との間にトラブルができておる事実があるが、こういうものの報告が大蔵当局に行つておるのかどうか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/75
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076・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 御承知のように、執行の面は国税庁でやつておるものでありますから、われわれの方もいろいろ話を聞いてはおりますが、今お話のような点につきましては、まだわれわれの耳には具体的には入つておりません。ただ私の先ほど申し上げました点からも、実はそういう問題におのずから触れて来ると思うのでございますが、徴収猶予の規定は災害減免法の方にございます。従いまして、どういう事態に対処してこの規定を適用すべきかという点について、いろいろまだ検討をしていると先ほど申し上げたのですが、今のお話のような関係で、一応納税者としては作柄はその方の分は相当いいとか、あるいは所得としてはある。今いつたような農協にそのために金を預けておいたけれども、農業協同組合の方で金が払えない。従つて納税もできぬといつたような事態にぶつかつた場合でございますね。そういうような場合におきましては、一概にちよつとここで何とも申し上げかねますが、総合的に見まして、この際農協をそうほうつておくわけにも行くまい。従つて同時に納税者にひどい迷惑がかかるというのをどうするか、この辺になりますと、私のただいまの気持としましては、全体的な判断といたしまして、関係の当局ともよく相談しまして、そういう場合にはこの九条に徴収猶予の規定がございますから、こういうような規定をうまく使つて、あまり事態が無理が行かないように措置するということは考慮していいのじやないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/76
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077・柴田義男
○柴田委員 終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/77
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078・千葉三郎
○千葉委員長 小川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/78
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079・小川豊明
○小川(豊)委員 先ほどのに関連してですが、経済局長がおらないので、私質問するのにちよつと困るのですが、農業政策として今まで農林省では豚小屋を建てるまでに補助政策をとつておつた。しかし私どもが考えるには、そういう政策をとるよりも価格の問題、共済の問題、融資の問題、この三つの柱を確立することによつて、農村の農業生産の発展は期し得られるのじやないか、こういうように考えておる。従つてこの農業保険制度というものに対しては、私は非常に重大に考えておる。ところがこの農業保険制度というものに対して、先ほど申し上げたように、掛金の問題、あるいは災害の決定の問題にからんで、今まで農民は非協力的であつた。こういうことは見のがすことができない。今年のような大災害ができて初めて農業保険制度のありがたさというものがはつきりわかつて、これから農民がこの制度に協力して来る、こういう期待を持つておるのでありますが、今年のこの制度のこの金額では、とうてい農民の期待を満足させることができない。災害が日を経るに従つてもつと大きく増大して出て来る。そういうことから、私どもは非常に不満に思つておるのであります。それは別として、そういうことから、この農業保険制度は今年こそは農民の期待に非常に沿い得る、そうして将来の発展に資し得ると思つておつたのでありますが、こういうことでは、再び農業保険制度に対する農民の信頼が失われ、期待が喪失して来る。そうして農業保険制度そのものはくずれて行くような心配がありはしないか、こういうことが心配されるのでありますが、あなたの方ではこれに対してそういう心配があるかないか。もしあるとするならば、それに対してどういう方法をとるか、こういうことを一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/79
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080・久宗高
○久宗説明員 経済局長からお答えすべき筋だと思うのでございますが、担当者といたしまして、ただいま御質問のございました共済制度全般の問題につきましては、御承知の通り先般来国会におきましても共済制度全般の問題が論議になつておりまして、先国会に農林委員会の中に衆参両院とも小委員会ができて、根本的に検討しておられるわけでございます。現在の制度自体の運用面にいろいろ不備がございますので、この問題を一応除きまして、小委員会におきます主たる論議は、やはり補償の内容が乏しいのじやないかという点が一つの大きな問題になつております。ただ農家負担をこれ以上増さないで補償の内容をいかに充実すべきかということで、まだそこに具体的な案はお出しになつておられないようであります。農林省といたしましては、両院で小委員会が基本問題を取上げておられますので、その御結論がだんだん固まつて参るに従いまして、それと関連した制度の基本的な検討をいたさなければならぬと考えておるわけでございますが、当面の問題といたしまして本年度の共済金額、これは非常に莫大なものになりますし、これの評価の適正と迅速な支払いということに一切の事務を集中いたしまして、現在鋭意団体を督励いたしまして、早期支払いの実現を期しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/80
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081・千葉三郎
○千葉委員長 小川君、今会期延長の件について本会議で採決するのだそうです。定足数に足りなくて困つておるから、一時休んで出席してもらいたいという申出があるのですが、いかがですか。ちよつと十分ばかりで済むそうです。
それでは十分間休憩いたします。
午後二時二十六分休憩
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午後二時三十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/81
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082・千葉三郎
○千葉委員長 休憩に引続いて再開いたします。小川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/82
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083・小川豊明
○小川(豊)委員 それでは経済局長が見えられたようですから、今保険課長にはお尋ねしたのですけれども、これは経済局長から特にお聞きしておいた方がいい、こう思つてお聞きするわけです。繰返すことになりますが、今農林省の方でいろいろな助成補助の政策を農業に対してとつておるわけです。そしてあるいは豚小屋を建てるというようなことにまで補助金を出す、これは悪いことだと言つているのではなくて、そういう政策をとつているけれども、そういうことによつて農業生産が発展するのではなくて、むしろ私は価格の問題、それから共済の問題、あるいは金融の問題、こうした三つの柱を確立することによつて、農民が努力すればその生産が保持せられる、こういう形になる、こういうふうに考えておるわけです。従つて私は、との共済制度というものに対して非常に重要に考えておる。ところがこの共済制度は今まで掛金の問題、農民の負担金の関係から、あるいは災害の決定の問題等から、せつかく共済制度というりつぱな制度がありながら、それに対する協力というものが非常に乏しかつた、そしてある地方においては、この組合を解散するという意見さえ相当あつた。こういう状態で、非常にこれは憂えられておつたのであります。ことしのように大きな災害が発生すると、農家の窮状から、この共済制度がその機能を発揮することが特に期待されるわけです。ところが今度のこの補正予算を見ると、これに盛られている額が非常に僅少である。これではとうてい農民の期待に沿い得ないことになるのではないか。そういうことから、この共済制度というものに対する期待とか信頼が乏しくなつて来て、共済制度そのものがくずれるような心配がありはせぬか、こういうことまで心配されるのであります。そこでそういう心配があるかないかということ、さらには、あるとするならば、それに対して今後あなたの方ではどうしてこの共済制度をもつと拡充して行くようにするかということ。保険課長の方では、厖大な金額であると言われておりますが、これは災害が大きいから厖大になつたのであつて、決してこれが厖大だとは言えない。そういうことをまず一点お尋ねして、あとまたお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/83
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084・小倉武一
○小倉政府委員 今回の災害による共済金、従つて再保険金の支払いにつきましては、今回一般会計がら特別会計への繰入れの額は、再保険金の支払いのために必要とする額と比べまして少いという御指摘でございまして、私どももその通りと存ずるのでございますけれども、これは午前中もいろいろお話がございましたときにお答えをいたしましたように、一般会計からの繰入れということと、他の措置とを併用いたしまして、適正な保険金の支払いを迅速にいたしたいと、かように存じております。
それから、この災害補償制度の問題につきましての御指摘、特に他の農業政策との関連におきまする重要性についての御指摘につきましては、私どもも同感であります。災害に対して、特に作物の災害の対策につきましては、あくまで共済を根幹として対処すべきであるというふうに考えております。どころでこの共済制度も御指摘のように、地方農家の方々の要望をそのまま実現しておる、意向にそのままマツチしておるということには、必ずしも相なつておりません点が多々ございます。そういう点につきましては、私どもも現在いろいろ検討を重ねております。また国会におかれましても、農林委員会で、小委員会までおつくりになりまして、検討をされておりますので、近き日に結論が出て来ると思います。私どもは、その結論に従つて改正の措置を講じたい、かように思つております。料率の点、あるいは農民の負担の点、あるいは共済の及ぶ範囲の問題などにつきましては、ただいま十分検討を重ねておるところでございます。なお御注意によりまして、さらに検討を加えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/84
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085・小川豊明
○小川(豊)委員 いま一点。ことしは病虫害が異常な発生をしている。そうして水稲だけでも、六十億、七十億という大きな農薬を使つている、こういうふうに私は聞いている。幾ら使つたということはよくわかりませんが、その程度が出ている。そういうことから、農林省でも農薬に対する助成の政策をとつておられるようです。そこで農薬というものはほかの薬剤と違つて、病害虫の発生が出なければ使われない。さらにそれを製造しておいても、その効力が減退するというようなことから、農薬というものは、病害虫の発生がなければ、あまりつくられていない。こういうことで、ことしのように大発生をすると、非常に農薬が不足すると同時に、その価格が高騰して、農民は困り切つた。それで、逆に言うならば、日本の病害虫は、農薬会社を富ましたというだけのことになつてしまつた。そういうことから、この農薬というものに対しては、ある程度、何年間かの平均をとつて、備蓄制度——備蓄制度はあるようですが、この備蓄制度をもつと拡充する必要があるのじやないか、こういうふうに思われるが、あなたの方では、この備蓄制度をもつと拡充する御意思があるかどうか、これをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/85
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086・小倉武一
○小倉政府委員 農薬につきましては、これは確かに御指摘のように、需要量が必ずしも前もつて予測されないことでございますので、異常な発生が起りますると、品不足が起る、こういう事態が往々にしてございます。そこで、御質問の中にもございましたように、農林省といたしましてはある程度の数量を備蓄いたすような措置を講じております。政府がみずから備蓄するということではございませんが、農業団体に助成をいたしまして、一定の数量の備蓄をさせておるわけでございます。ただ本年のような異常な発生になりますと、やはりそれでは必ずしも十分でない、こういうようなことに相なりまするので、備蓄の拡充という点につきましては、御所見のように今後充実して参りたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/86
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087・小川豊明
○小川(豊)委員 終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/87
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088・千葉三郎
○千葉委員長 石炭局長と石炭局の鉱害課長がお見えになつておりますから、大平君にお許しします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/88
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089・大平正芳
○大平委員 鉱害関係について二、三お尋ねしておきたいと思いますが、特別鉱害復旧の法律は臨時措置法になつております。これは一体いつごろになつたら床状が固定してこういう必要がなくなるのか、この法律をざつと見てみますと、施行の期限が限定してないようでございますが、一体どういうおつもりなのか。たしか昭和二十四年の予算を編成するときだつたと思いますが、この特別鉱害の復旧費の補助につきまして、毎年々々基準の数字がかわつて行く、一応政府がその段階において資料をできるだけ克明にとりまして、これに一応これだけの補助をすれば問題は片づくのだ、戦時中の異常な採掘の損害に対する国庫補助の措置としては一応片づくのだということで、金額を限定しておつたと思うのでございますが、昭和二十五年にこの法律ができて、しかもこの法律には施行の期限がないようでございますが、一体この問題は今後どうするつもりなのかということを第一点に伺つておきたい。
それから第二点、本日いただきました資料を見ますと、復旧を要する家屋が五百九戸となつておりますが、その内訳として、特鉱分復旧費が一億二千万円、水害による増加分三千七百万円、都合一億五千九百万円になつております。この特鉱分復旧費というものは一体どうしてここに出て来たのか水害対策の予算を審議決定しているのがこの国会でございますが、一体特鉱分の復旧費が一億二千万円も出て来るのがおかしいことではないか、これは悪く言えば災害に便乗したというか、欲目に見ますと、あるいは防災的な意味があるのかと思いますが、災害予算で一億二千万円の借入れをやつて、その大部分を特鉱分の復旧費、つまり今回の災害に関係ない方に向けるということは、どういうりようけんなのか、そこが不審に思うのであります。おそらくこれは、従来この特別会計で復旧すべきものが十分に行われていなかつたのではないか。これから臆測いたしますと、この特別会計というのは、過去において十分復旧費を支出することができなかつたので、今度の災害を奇貨といたしまして、これに今までの施行の未済分を一緒にやつてしまおうということではないかともとれるのですが、そのあたりの事情を、ひとつ通産省から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/89
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090・佐久洋
○佐久説明員 第一段の期限の問題でございますが、この特別鉱害復旧臨時措置法と申しますのは、昭和二十五年にできまして、施行期間は五年間でございます。鉱害全体といたしましては、その当時個々の鉱害について認定をいたしまして、金額にいたして七十九億が鉱害ということにすでに認定済みの問題でございます。これを五年間で復旧しようというわけであります。そのうちで特別鉱害というものが食糧増産なり、あるいは民生安定なりという特殊の目的で制定されておりますので、一般の公共事業補助金よりも少し率が高くなつておつて、七十九億のうち国の補加金が四十三億だつたと記憶しております。そういうことで、五年間で復旧しようという建前で参つておるのが現在の特別鉱害でございます。
それからお配りいたしました表の中で特鉱分一億二千万円というものがあるが、これはどういう意味かというお尋ねでございますが、この最初に昭和二十五年に橋梁なら、道路なり、あるいは鉄道、学校というようなものについての鉱害の認定をいたしました。そのときに一般の民家でございますが、それの被害を、戦争中の濫掘による被害であると認定されるのが、戸数にいたしまして一万一千六百七十六戸ございます。それを毎年復旧をして参るのでありますが、二十七年末までにそのうち四千百七十二戸の復旧が完了いたしております。それから二十八年度の上期におきまして五百十七戸の復旧を完了いたし、下期においてさらにそれに加えて二百五十戸の復旧計画というものを現在進めて参つております。ところがこの六月、七月の水害によりまして、今後復旧すべき予定になつておる家屋の六千七百三十七戸というものがございますが、その家屋のうちで、ことに水害のために半倒壊に瀕したものが倒壊してしまつたとか、あるいは来年、再来年復旧する予定にしておりましたのが半倒壊に瀕して非常に危険になつたという家屋がございます。それの繰上げ復旧をするために、現在の特別会計におきましては資金が足りませんので、これを資金運用部から借り入れまして、今後の業者からの納付金で返済をして行く、こういう趣旨のものがここに提案されました法律案でございます。従いまして、今日まで復旧するのに手遅れになつたのを便乗して復旧するというような趣旨は全然含まれておりません。水害によつて今後復旧する予定のものを繰上げて復旧をするという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/90
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091・大平正芳
○大平委員 そうすると七十何億の限度はちやんときまつておつて、それから逸脱していないというわけですね。——そういう点は了承をいたします。
そうしますと繰上げて施工するのだから、これで借りた金、元金とかなんとかは、この特別会計で将来十分計画的に償還ができる。いつまでもほつておくという心配がないですね。心配がなければけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/91
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092・佐久洋
○佐久説明員 それはもちろん今後の業者からの納付金で返済をいたすことになつております。全然心配はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/92
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093・井上良二
○井上委員 それに関連して質問があります。この特別鉱害による家屋の損傷についての復旧費を資金運用部資金から一億二千万円借り出すという法案ですが、その資金的措置は、大蔵次官もおいでになつておりますが、この資金運用部資金の中から住宅公庫に百億の金が出ておりますね。これから借りる手続はどういうわけでとらなかつたのですか。また大蔵省は何がゆえにそういうところから借りろと言わないのですか。住宅金融公庫は、住宅の建設に必要な資金をあつせんするところであつて、どうしても住めないような家屋になつて、新しく今後再建しなければならない住宅の資金を、資金難で困つているこの資金運用部から新しく一億二千万円借り出すよりも、住宅金融公庫の百億がまだあるわけです。しかも他の既定経費はそれぞれ節約を命じて、ものすごいきゆうくつな状態に一般会計の方はやらしておるわけです。そうすると住宅金融公庫の方は、一般会計予算が成立したと一緒に、この予算も資金的な措置がとられている。そうすると、他の一般会計と同じく足並をそろえて事業は進行して行くわけですから、そのうちの一億や二億借れぬはずはない。どういうわけでそのことをせずに、新しく別口で借らなければならぬ理由があるのか。また大蔵省は何ゆえに公庫の金から貸すようにあつせんをしなかつたのですか。そこはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/93
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094・佐久洋
○佐久説明員 一般の住宅の被害回復というのと多少性質が違うように思います。この特別鉱害における家屋の復旧と申しますのは、戦争中の濫掘によつて家が傾いたとか、半倒壊に瀕したとかいう個々の家屋を調べまして、それの復旧は鉱業権者の責任であるということを規定されまして、それの復旧を行うために、国の補助金のほかに、被害を起した炭鉱から一トン当り幾らという納付金をとりまして、その特別会計が復旧をするという建前になつております。従いまして一般の住宅の復旧と多少性質が違う関係で、運用部資金の方から借入れをする、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/94
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095・井上良二
○井上委員 結局家を建てるのでしよう。家を建てるということなら、住宅金融公庫はそれでできているのではないですか。その方から借りて悪いということは一向ない。ただ金利の問題が多少かわつて来るかわからないが、もうけている炭鉱であるならば、少々高い金利を使つても、またそのうちに吉田さんは利子補給をすると言うでしよう。それだけの親心をもつている吉田さんですから、住宅公庫の金が借れぬという理由がわからない。
それから現実に四百七十三戸をさしあたりの戸数にいたしておりますが、これは一戸当り幾らかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/95
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096・佐久洋
○佐久説明員 住宅金融公庫から借りる、ということは、もちろん方法としてはないことはないと思いますが、特別鉱害復旧という特殊な事情を考慮いたしまして、運用部資金から借りるということを考えたわけでございます。
それから一戸当りは従来と同じように考えておりますが、平均いたしまして二十四万円程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/96
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097・井上良二
○井上委員 一軒二十四万円というと、坪当り幾らにつきますか。
それからこれは河野次官どうです。あなたは一般会計は圧力だ圧力だ、節減節減だと大幅な経費節約を要求して、それぞれの機関が非常なきゆうくつな思いで仕事をしている。しかも今度補正予算においても、さらに既定経費を公共事業関係、食糧増産関係においてそれぞれ打切つております。その理由は、予算の成立が非常におそくて、これだけの金が全部年度内に使い切れまいから、そこでこれだけ落しても事業施行にはさしつかえないという見通しで仕事をしている。そうすると、公庫の金はそれに当てはめて行けばちやんとりくつが合うわけです。これが少くとも二割も三割も貸してやる、二十億も三十億も貸してやれというのなら話は別ですけれども、わずか一億そこそこの金を特別鉱害という新しい名目に籍口して、この枯渇する資金の中から大蔵省が貸さんけりやならぬという理由は、どういうところに基いておるのですか、それを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/97
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098・河野一之
○河野政府委員 住宅公庫は個人で、あるいは法人でもいいのでありますが、住宅のない人が住宅公庫から借り入れて、そしてこれは全部ではございませんが、みずから住宅を建てるという趣旨でございます。この特別鉱害の方は、鉱業権者が、特別鉱害によつて家がこわれた、それを復旧する場合には、法律上鉱業権者の責任ということになつておるわけでございまして、鉱業権者が当然直してやらなければならない。それをトン当り二十円、つまり鉱害地の出炭についてはトン当り二十円、鉱害地以外の出炭についてはトン当り十円だつたかと思いますが、それを出しまして、つまり補償にかわるものであります。従いまして住宅公庫からの借入れは一般的な人を相手にしているものでありますが、これは特別制度でありますので、特別の制度の方が先に優先すべき筋合いだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/98
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099・春日一幸
○春日委員 ちよつと関連して……。特別会計というのは、資金の準備は全然ないのでございますか。たとえば一億五千七百九十一万三千円という所要復旧費の中の一億二千万円をこの融資によつて弁じようとするものですが、そうすると、トン当りでどれどれということから出しあつて、ずつとその現金が備蓄されて今日に至つておると思うのだが、手持ちの資金というのは全然蓄積されておらぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/99
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100・佐久洋
○佐久説明員 業者の納付金というのは、石炭のトン当り二十円、それから直接鉱害を発生しない、炭鉱を所有している石炭については十円ということで出ておりまして、特別の備蓄余力はないわけであります。それからまた特別鉱害それ自体は——この法律を出しましたのは、借入れをするということが今まではできない規定になつておりましたので、鉱害を復旧するためには、どうしても借入金によつてそれをまかなつて、今後の納付金で弁済するという措置を講ずるために、この法律案を提出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/100
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101・春日一幸
○春日委員 そうすると、こういう特別会計の制度があるけれども、実際に支払う場合については、金が蓄積されていないわけでございますね。そうすると、今日のこういうような事態が再び起きるかもしれないので、そういう場合に絶えずどこからか借り入れて国庫に迷惑をかける、こういうようなことが今回のような場合には考えられるのであります。今後トン当り二十円というのを五十円か百円か相当値上げして、特別独立会計として十分その機能を果し得るようなものに制度をかえて行かなければならぬと思うが、所管官庁としてそういうような指示を与えるか、法的措置を講ずるか、何らかの必要があるのではなかろうか、これに対してどうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/101
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102・佐久洋
○佐久説明員 実は五年間の計画で今日に参つておりますが、その間の資材の値上りや労賃の値上りによりまして、従来予想された通りの計画が進んでおらない事情もありますので、お説のような場合を考慮して、将来は法律の改正ということも考えなくちやならぬ。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/102
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103・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 渡邊主税局長に御質問したいのであります。今度農済保険が非常に問題になりまして、御承知のように、農協の再編成の問題もありますけれども、現在の事情では困つておるのでございます。農済保険収入はこの際税を免除したらどうかと思うのですが、先ほど河野次官にも懇談の席で話しておきましたが、そういう考えがあるかどうか。そういうことについてぜひ特段のお考えをお漏らし願いたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/103
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104・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 われわれの方でも、その点について実はいろいろ検討してみたのでございます。結論だけ申しまして恐縮でございますが、大体農済保険をもらう場合におきまして、所要の経費を差引きます。従いまして現在の制度のように、これを収入金と一応見ることにしても、基礎控除、扶養控除の関係からいたしまして、ほとんど大部分の農家におきましては、どちらかにしても課税という問題はあまり起きて来ないだろうということが実は一点考えられるのであります。
もう一点といたしましては、農業共済の金が保険であるか保険でないかという点については、いろいろ御議論があるようでございまて、われわれも特に検討しておりませんので、一応その方の専門家の御意見を伺つているわけでございますが、保険そのものと言えないにしても、かなり保険に類似した金であります。こういうことになつて参りますと、現在の税一般の建前からいたしまして、たとえば雑損控除の場合におきまして、百万円の家が焼けた、その場合に五十万円の保険金が入つたという場合におきましては、差引き五十万円が雑損であるといつたような制度をとつております関係からして、農済についてその点について特例をつくるということは、税全体の建前からいたしまして、新しい制度がそこへ入つて来る関係から、あとに非常に問題を残すのでなかろうか、こういうような点から、実効的に見まして、それだけではあまり大きな効果も期待できないのではなかろうかという点と、他との権衡という点から、共済を収入金覧ないという御意見はわれわれとしてはちよつと賛成いたしかねる、こういう立場にあることを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/104
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105・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 最近農民に対するいろいろな問題がたくさん出て来まして、いろいろ御要をして申訳ないと思うのでありますが、われわれの同僚議員の内藤友明氏、小川豊明君からもたびたび主税局長にお話しておりましたが、いわゆる供出米、義務供出の免税の問題であります。今年度は非常に不作のために相当な問題が起きて、おそらく供出問題は内閣の命とりになるのではないかという危惧もあるのでございます。そこで恒久的な問題としてはいろいろな議論もありますし、われわれもそれぞれいろいろな問題で考えておりますけれども、特に本年に限つて義務供出の米代は免除するというお考えがあるかどうか、この点について最近のお考えをお漏らし願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/105
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106・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 その点につきまして、われわれも最近の情勢と照し合せまして、さらに検討を続けておるわけでございますが、供米代金につきまして、これを収入の中に入れて見ないという点につきましては、ほかの課税の関係からいたしまして、どうしてもりくつの上からいつてうまく説明ができない。最近におきまして基礎控除、扶養控除等も相当引上げられておりますし、従つて平年作という当初の予想の場合におきましても、一応九十万戸程度が納税人員ではないか、今年のような年になりますと、おそらく納税人員というものははるかに小さな数字になるのではないかとわれわれは思つております。従いまして供米代金を、たとえばお説のように課税の対象としないということにいたしましても、結局それによつて恩恵を受けますのは、そうしなければ課税になるという農家だけの問題ということに集約されるわけでございまして、他の負担の関係から見ますと、今年のような年におきましても、なおかつそういうことについてはわれわれとしてはちよつと賛成しかねる、こういう結論であることを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/106
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107・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 もう一点お尋ねしたいんですが、実は税制問題が非常に世上の問題になりまして、われわれもいろいろヨーロツパの先進国のいろいろな税法を調べて来たのでありますが、いずれそういう問題については、お互いに意見を発表するときもあるかと思います。現在わが国におきましては税制調査会というものがありまして、先ほど河野次官に言つたのだけれども、屋上屋を重ねることであるかのようにも考えられますが、一体今税制調査会の中心題目はどういうもので、また現在どういうふうに進行をしているかということを、参考書類も来ておりますが、簡単に主税局長から承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/107
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108・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 税制調査会は内閣にできておりまして、今せつかく税制関係についての検討をしております。大分仕事もはかどつて参りまして、本月の十一、十二の両日に総会を開きますが、大体その総会くらいでかなり結論がまとまつて来るのじやないかというふうに思つております。税制調査会は、一応われわれのつもりとしては、現行の制度の問題について御意見を伺いたいということで開いたのでございますが、各委員の御議論を伺つて参りますと、いずれもおつしやることは、制度の問題というよりも、むしろ現在の負担が非常に高い、何とかしてこれは安くならぬかという御意見がほとんど全部でございます。議論の中心といたしましては、やはり所得税を中心にしまして、所得税の軽減ということが何とか考えられぬかということで、たびたびこの委員会でも御議論に出ます、たとえば給与所得者ならば月給二万円くらいのところまでは——これは家族の数にもよりますが、子供が三人と夫婦というような場合には、せめて二十四万円くらいまでは税金がかからないようにならぬかというような御意見でございます。それからそれと関連いたしまして、現在の税率が御承知のようにどうも非常に足早に累進しております。これが中クラスの負担を非常に重くしているから、片方で基礎控除、扶養控除をされるということと関連して、この機会にそういう税率のもう少しなだらかな線が引けないものかどうか、こういう御意見が強いようでございます。法人税につきましても、百分の三十五とかいろいろの御意見がございますが、そこまで行かなくても、ある程度減税できないものかどうか、それからもう一つ地方税におきまして、特に事業税でございますが、個人の事業税を中心にして、現行が御承知のように百分の十二になつております、これはどうも非常に高いから、これを何とか考えられぬか、もつと下げられぬか。そのほか地方制度調査会でもつて中央、地方の財源調整の問題が議論になつておりまして、地方制度調査会の方の答申としましては、一応入場税、遊興飲食税を国税に移して、そのかわり人口割でもつてその分を府県に返すとか、いろいろございますが、こういつたような意見でありまして、大体税制調査会も同じような意見を持つておられるようでございます。ただそういうふうに減税して参りますと、相当大きな歳入が減る。従つてそれに対しましては、一部はやはり間接税の増徴でこれを補うべきじやないだろうか、一部は自然増収をそれに充てるべきじやないだろうか、こういう御議論で、間接税については、主として奢侈あるいは消費というものを中心に何か考えられぬかといつたような議論でございます。実は打割つた話になりますが、減税の方になりますと、割合に意見が簡単にまとまるのでございますが、間接税の増徴という方になりますと、各委員それぞれいろいろな御意見がありまして、ほんとうにまとまりかねている、こういつたようなことでございまして、今申しましたように、まだ調査会の経過の時代でございますので、どういう答申にまとまりますかは、私もまだちようと申し上げかねるのでありますけれども、現在における調査会の主としたる御意見をごひろう申し上げますと、今申したような意見が主流じやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/108
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109・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 河野次官にもう一点お尋ねします。河野さんは主計局長のベテランとして非常に予算の何をやつておられましたが、今渡邊主税局長が言われましたように、日本の税金の高いことは問題で、これは外国の例を見るとわかりますが、大体ヨーロツパのどこの国でも、国民の担税力を中心にして予算をとつておるわけであります。日本では予算を先にきめてしまつて、あとで税金をとるということで、昨年も自然増収、今年も自然増収ということで、苛斂誅求に税金をとつてまわす、こういう政治が行われておるわけであります。そこでわれわれは考えるのでありますが、入るをはかつて出るを制すというのが原則であるにもかかわらず、日本の大蔵省のやり方は、出ることを先にして、入ることは考えずにやる。従つてどうしてもその負担が中産階級におつかぶさつて来る危険があるのです。こういうことがいつまでも続けば続くほど、現在の社会不安が大きくなる。御承知のように現在の事情のもとにおいては、俸給生活者の税金が高いという声もあるわけであります。今度の臨時国会は短いから、こういう点でどうこうということは言えませんけれども、少くとも昭和二十九年度におきましては、こういうことのないように、もう少し国民の担税力を考えて予算をとるという方法を考えなければ、私はいつまでたつても問題は解決しない、こういうように考えておるわけであります。そういうことにつきまして、河野さんは最近次官になられたのでありまして、主計局に長くおられたようでありますが、そういう方法を考える御意思があるかどうか、この点をもう一ぺんお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/109
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110・河野一之
○河野政府委員 過去において数年間毎年減税を実施して参りましたが、これは一つには産業の合理化に伴う価格調整補給金を食つて行つたことだと思います。ドツジ氏が言つたいわゆる竹馬の足の一つの価格調整、これは二十四年度の当初予算に二千億があつたのですが、一つはそういうものを食つて行き、また国民経済の回復に伴う国民所得の増に相伴つて、ここ数年、毎年中央、地方を通じて千億程度の減税を実施して参つたのであります。それが最近になりまして、その所得の伸びも前ほどでございませんし、価格調整補会金と申しましても、食糧だけの三百億程度になりまして、その点から今までやり得たような減税は実は相当むずかしくなつて来ておる。ただいま出る方をがつてにして入る方を調達する、こういうお話がございましたが、これはわれわれ予算を編成する者といたしましては、十分両方をかみ合せ、にらみ合わせてやつているような次第でございまして、むしろ出るもはかり、入るもはかるという方針で実はやつているわけであります。今後の日本の財政というものは、こういうふうに災害の跡始末ということもございますし、内外の情勢からもいろいろな問題があることは御承知の通りでありまして、実は明昭和二十九年度の予算の編成は、むしろ財政の転換期といいますか、相当思い切つた考え方をしないといかぬのではないか、また税制調査会におきましてもどういう結論が出て来ますか、この点につきましては、政府としてももちろん尊重して参りたいと思つております。これらの点につきましても、せつかく御協力をいただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/110
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111・千葉三郎
○千葉委員長 黒金君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/111
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112・黒金泰美
○黒金委員 いろいろ災害に関しまして税金の点でお話があつたように存じますが、私はこの災害について、税制の改正といつた制度の問題もさることでありますが、一面におきまして、現行制度の運用が非常に問題になるのではないか、むしろ重点は運用にあるのではないか、かように考えております。水害、風害につきましても同様だと思いますが、特に冷害につきましては、たとえば一つの村の中におきましても、この村の中の平野部と山間部では非常にできが違つております。もとより皆様御承知でありましようが、わせをつくつていらつしやる方、あるいはおくてをつくつておる人、その耕作主がつくつております品種によりましても非常な相違がある。従いまして実際にまわつてみました場合に、隣同士のたんぼでありながら、一方ではかなりの収穫がある。隣の田は完全な青立ちになつておるというような例が非常に多いのであります。こういう点はよく御存じだと思うのでありますが、今までの課税、特に農業所得の課税につきましては、大体において一村当りの平均の収穫をおとりになる。また平均的な経費をごらんになつて、一村を単位に所得を計算する。これを標準にして示されまして実際の課税をしておるのが大体の実情であると思うのであります。またことしのこの課税の方針についても、おそらくはそういうやり方をなさるんじやないか。もしも一つの村の中におきまして、山間部あるいは平野部というふうに幾つかにわけて標準を立てるということは、一段の進歩であるかと思うのでありますが、手間もかかりましようし、そこまではなかなか行きにくいだろうと思います。私どもといたしましては、そういう標準を立ててお示しになること自体が悪いことである、こうは思わないのであります。仕事の便宜上から申しましても、納税者の側からいつても、そういう点はある程度の便宜でやることはいたし方ない。しかしながらふだんの年におきましても、一つの村の中庸をとつた平均率から見ますれば、それよりもうかつている人があります。これは黙つております。これより損をしている人でも、多少の損のときには、お役所に行くのはめんどうくさいというので黙つております。かなりひどい例外的な人だけが陳情に出かけて行く。なかなかお役所の方では、それをお取上げにならないというのが実情であつたように思います。ことしにおきましては、この冷害が非常にはげしい。一つの村の中におきまして、平均的に二割五分の減収であると申しましても、中には一割でとまつているのも相当ありましようし、また五割以下、あるいは三割以下になつている人も多い。こういうように、今度の冷害におきましては、場所なり、つくつております品種なり、あるいは冷害になつてから後にどの程度に手をかけたか、こういう経費の投下その他によりまして非常に収益の率が違つて来ておる。こういう際には、非常に言いにくいことでありますが、今までのようなやり方でなしに、よほど懇切丁寧に、例外的なものを十分に話を聞いてお認めになる、こういうやり方をして参りませんと、結果においてゆゆしい問題が起るのじやないか。来年の税制改革を控えまして、いろいろと御施策になつているところもありましよう。その施策よりも、まず第一に今年の税金を円滑に行つて行くということが、政府に課された仕事であろうと考えますので、今度の特に冷害地におきます農業所得の課程について、どういうやり方をなさいますか、これは国税庁長官に伺う方が穏当かもしれませんが、できるだけ具体的にお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/112
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113・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 その仕事につきましては、御承知のように国税庁の方で直接担当しておりますので、具体的に詳細にという点につきましては、ちよつと黒金委員の御満足の行くような御答弁はできかねるかと思いますが、今黒金委員のお話になりました点は、私、全然同感でございます。従来農業所得につきましては、標準率のようなことで仕事をしておりまして、一応そう大きな弊害もなかつたといつたような考え方でやつて参つたと思うのでございますが、これもやかましく言えば、黒金委員のおつしやつたような幾つかの問題があるのであります。特に本年のような冷害の年におきましては、黒金委員のおつしやるように、場所々々によつて、相当近接しておりましても、かなりそこに開きがあるわけでございます。こういう点につきましては、十分親切に入念に調べて、同時にこういう年においては、課税の面において特に無理の行かないように注意するという点については、執行官庁として十分配意すべき問題じやないが。この点については、黒金委員の御趣旨はよく国税庁長官の方に伝えまして、御満足の行くような結果を得るように努力したいと思つております。
なお先ほど柴田委員の御答弁で、留保しておつたものがありますから申し上げたい。先ほど柴田委員の質問で、現在の災害減免関係で租税を全免する場合の家財家具の損害が二十五万円以下、これは二十二年からきまつている制度じやないかというふうに御質問がありましたが、二十二年のときにおきましては、現在の二十五万円に当る数字は二万五千円でございまして、その後二十三年、二十四年、二十七年、三回にわたつて改正が行われておりまして、二十七年度の機会に従来十五万円であつたのが二十五万円になつた、こういうふうになつておりますので、柴田委員はおりませんが、一応この機会に御答弁さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/113
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114・黒金泰美
○黒金委員 今の主税局長の御答弁を承りまして、やや安心いたしたのでありますが、今度の冷害地の大部分というものは、農村地帯が非常に多いと思うのであります。特に単作地帯に冷害が多く起つております。この点が非常に問題になる点だと思うのでありますが、今回のいわゆる救農国会において農村に対してのいろいろな直接的な援助はある程度行われておる。ところがこの凶作の結果といたしましては、特に単作農村地帯においては、あらゆる商工業に対して影響するところが非常に大きいのであります。農村の購買力を当てにしております地方中小都市の商店、あるいはこれに対する生産を行つております工業、こうした中小零細の商工業がかなり大きな影響を受ける。たとえば東北地方のごときは、豊作でさえあれば全体の景気が潤う、凶作であればあらゆる産業が萎靡沈滞する、これが実情であります。従いまして、ただいま主税局長の言明なさいました農村に対する課税について十分な親心を示し、不平を起さしたくないという点をいま一歩お進めになりまして、こうした地方の商工業についても、たとえば全国一律的に見まして、物価が幾ら上つた、生産量が幾らふえたということについ引きずられがちで、全国画一的になりがちな景気の予想と申しますか、所得の上昇の予想と申しますか、こういうことにあまりとらわれずに、各地方々々の実情に即するような所得の算定にお努めになるようた努力を願いたいと思いますが、これに対する御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/114
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115・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 御趣旨の点につきましては、われわれも全然同感でございます。御趣旨に沿うように執行の面において努力したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/115
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116・千葉三郎
○千葉委員長 鉱害問題について、井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/116
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117・井上良二
○井上委員 鉱害家屋の復旧に関する問題に関しまして、もう一、二点聞いておきたいと思います。この資料で出ております五百九戸、緊急復旧を要する家屋、これが各県別に集計をされておりますが、これらはいずれもそれぞれの炭鉱業者の責任に属する鉱害であろうと思います。そうしますと、風水害によつてかようなことになつたからという理由も一応は了解ができますが、法の建前からいいますると、これは炭鉱主がその責任の大半を持たねばならぬということになつておると考えますので、炭鉱主がみずから取引いたしております市中銀行その他の銀行から資金的な措置はできないものでございますか。それからいま一つは、一トン当り幾らという補償金を出立て復旧をやつておる現実から、その単価を引上げ、この際臨時的な賦課をいたしまして復旧をする、そういう措置がとられないのでありますか。とられないのはどういう理由でとられないか。もし臨時的賦課ができなければ、次年度のものを繰上げて徴収をしてやつた場合の金額はどのくらいになるか、それをひとつ御説明願いたい。
今申しましたように三つ御質問をいたしました。一つは取引銀行からの融資ができないか。その次は、臨時的な臨課金によつて復旧ができないのか。それが困難とすれば、次年度の分を繰上げてやるという処置がとれないか、この三つについて御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/117
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118・佐久洋
○佐久説明員 この特別鉱害の復旧と申しますのは、復旧全体の資金をその炭鉱の出炭量に応じて出させまして従つて必ずしも被害を与えた炭鉱がその家屋の復旧をするかどうかということはわからないわけでありますが、出す金は出炭に応じた金であります。それで復旧自体は特別会計がやるわけでありますから、かりに資金のあつせんをやりましても、これが一般鉱害のように、鉱害を与えた鉱害権者が復旧をするという建前になつておればその問題は考えられますが、特別鉱害の場合はそれは考えられないと思います。
それから次年度の分を繰上げてというお話がありましたが、これは法の建前が過去の一定期間の出炭一トンについて幾らということになつておりますので、次年度分を繰上げるということも困難であろうと思います。
それから臨時的な金を取立てるというのも、やはり今の法律の建前からいうと困難でありまして、結局考えられる方法としては、ただいま御提案申し上げたような方法が、本年度限りの臨時措置として一番適当であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/118
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119・井上良二
○井上委員 そうしますと、一億二千万円という金は何年計画で返還する予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/119
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120・佐久洋
○佐久説明員 今後の納付金の中から、特別会計の方で三年計画で返済するという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/120
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121・井上良二
○井上委員 三年ぐらいで返されるほどの措置ができるならば、百尺竿頭一歩を進めて、もう少し賦課金をよけいとつたらいいじやないか、どういうわけでやらないのですか。相当もうけておつたように思います。そういうことをするから、この風水害に便乗しておるということを言われる。だからあなたの方がせめて他の住宅並に、今後十年なり十五年なりで分割払いにしてもらわないと採算が合わぬというような話ならわかると思いますが、三年という短期間に一億二十万円が返されるほどの、いわゆる累加した賦課金がとれるなら、もうちよつとよけいとつたらいいと思いますが、どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/121
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122・佐久洋
○佐久説明員 鉱業権者自身が復旧をするという場合であれば、お説の通り市中銀行から借りるということができると思いますが、この法律に書いてありますように、その納付金は一トン当り幾らという計算で出ておりますのでで、この法律自体をさわるよりも、この臨時措置として会計的な特別な措置を講じた方が適当であろうと考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/122
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123・淺香忠雄
○淺香委員 ただいま議題となつております農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案及び昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案の両案につきましては、質疑も大体尽されたと思われますので、この際質疑を打切られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/123
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124・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/124
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125・千葉三郎
○千葉委員長 御異議ないものと認めまして、右両案につきましては、以上をもつて質疑を打切り、これより討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。内藤友明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/125
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126・内藤友明
○内藤委員 農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案につきまして、附帯決議を付しまして賛成いたしたいのであります。附帯決議を読み上げます。
昭和二十八年度における農業災害の深刻化に伴い、農業共済再保険特別会計の資金不足によつて保険金の支払に支障を生ずる憂いがあることにかんがみ、政府は予算的、資金的措置を講じ、罹災農民への保険金支払の円滑化に善処されたい。
右決議する。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/126
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127・千葉三郎
○千葉委員長 次に井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/127
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128・井上良二
○井上委員 ただいま上程されております二法案中、特に農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案については、遺憾ながら賛成できません。
その理由は、御承知の通り政府みずからさしあたりの一般会計から繰込む再保険支払いの財源に充てる不足分として、百三十億を予定して今国会に提出をしておりました。ところがその翌日になつて、これが何と四十五億も水増しであるということになつて、八十五億に切つてしまつた。これほど国会を侮辱し、これほど現実の農業共済の査定に対しておるそかな査定はなかつたと考えます。われわれは本年度の災害が全国的に非常に深刻さをもつて進行して参り、現に本委員会において究明をいたしましたところ、水稲においてはまだ損害査定が最終的にわかつていない状態であります。さしあたり現在の状態においては三百四十五億に達するという厖大なる損害になり、今後の進行を見ますと、少くとも四百億を突破するのではないかということからいたしまして、ただいまいろいろお話を伺いましたところ、その予算措置におきましても、現に農林省がただいまの実況において出しましたところによつても、不足は約七十億に達する。従つて現在予算化されております八十五億は、主として関東、東北の冷害地の被害保険金として支払われるのであつて、西日本全体の病虫害、風水害等による被害にはほとんど充当することはできません。さようなずさんきわまる予算的措置に基く法案を本委員会に出して参りまして、まつたくこの案は真に農業災害保険の実施に伴う性格を逸脱するのみならず、また収穫皆無によつて農業経営上、また生活の上に非常な困難を来しております農家に対する国会としての立場からも、われわれとしては賛成はできません。特に今度の救農国会で、冷害対策、風水害対策等がそれぞれ立てられておりますが、いずれもが、どうもほんとうに当該被害農民を救済し、被害農村を建直すということにほんとうに行き届いた対策というものが、法的には一応立てられておるけれども、その裏づけの資金的、予算的措置というものがまつたく問題にならぬことが指摘されておるのであります。この農業災害保険から四十五億を冷害対策にまわしておりますけれども、冷害対策の内容を検討してみても、そのいずれもが、この冬から来年の春植えつけまでの間に一体何をやろうとするのか、その結果農民に直接どういう利益を与えようとするか。現実に飯米も買うことができない農家がたくさん出ておるにかかわらず、いろいろな救農土木事業を、これから計画して実行しようとしても、それが非常に雪の深い地帯では、はたして真に農民を救済し得る農業土木がどれほど一体徹底するであろうかということを考えたときに、かえつてそれらはその中間にある土木業者や、それを計画する人人のいろいろな運動のために莫大な経費が使われて、実際の農民の手どりの救済金というものはほんのすずめの涙にしか当りはせぬかということがいろいろ問題になつております。そういう点から考えて、現実に農業災害を受けた場合は、当然法律による損害査定によつて必要な保険金を支払うという建前になつておる現実から、この保険金を完全にすみやかに払うてやることが、現実の現金収入に困つております農家をどれほど救済するかわかりません。そういう点に対して、せつかく政府がさしあたり百三十億というものを組んであるものを、四十五億も削つてしまう、それがまた何ら問題にならずに通るというようなことでは、救農国会の大きな看板に偽りがあり、このことはまた一般農民に対して非常な失望を与えるのであります。さような見地からあくまでわれわれは、現在農林省が出しております不足分七十億を加えた案が、さしあたりこの法律案の裏づけとして出さなければならぬと考えております。さような意味から、この法案には賛成はできません。
同時に、ただいま内藤委員から提案をされました附帯決議案には私は賛成をいたします。この決議案がすみやかに具体化されて、実際次の第二次補正予算に計上されることを一日千秋の思いでわれわれは期待をいたしますが、遺憾ながら、それが具体化されるまでは、この法案にはわれわれは賛成するわけには参りません。さような立場に立つて私はこの法案には反対をいたします。
なお、ただいま提案になつております昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案も、ただいままで質疑いたしました通り、どうもわれわれいろいろな角度から考えてみまして、いわゆる他の災害復旧の諸立法に藉口してつくられた法案であり、資金的措置であると考えられる点がきわめて多い。現実に炭鉱の実情がいろいろ問題になつているとき、資金的措置はもつと他の面において十分つくはずであり、特に預金部資金が非常に枯渇しておる現実において、災害全体が融資難に陥り、今申し上げました農業共済の資金的措置においても非常に問題のあるときに、その金額がいかに少額であるといえども、預金部資金からかくのごとき性格のものの資金をあつせんする必要は私は認められぬ。さような見地から、この法案のねらうところは正しくとも、そのやり方が誤つておるという点から、遺憾ながらこれには賛成するわけには参りません。
さように二法案に対する反対意見を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/128
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129・千葉三郎
○千葉委員長 討論は終局いたしました。
これより右両案を一括議題として採決に入ります。まず農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案より採決いたします。
本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/129
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130・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
次に、昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案について採決いたします。
本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/130
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131・千葉三郎
○千葉委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決されました。
次に、農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案に関し、内藤委員より提出されました附帯決議の採決をいたします。
本附帯決議に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/131
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132・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本附帯決議は決定いたしました。
なお、ただいま採決いたしました両案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/132
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133・内藤友明
○内藤委員 ちよつと委員長からお諮りいただきたいと思うのでありますが、農林委員会から、昭和二十八年度における冷害等による被害農家及び被害農協に対する所得税及び法人税の特別措置法につきまして、大蔵委員会に申入れがあるのでありますが、この申入れにつきまして、両委員会におきまして懇談会を開き、この処置をはかりたいということを、皆さんにひとつ委員長から御協議いただきたいと思うものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/133
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134・千葉三郎
○千葉委員長 いかがでしようか、ただいま内藤委員からの御提案でありますが、先ほど佐藤觀次郎委員から、主税局長に対して同内容の御質問がありました。そこで主税局長から先ほどお答えになりました。これにつきまして、明後日ごろ農林委員と連合で懇談会を開き……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/134
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135・大上司
○大上委員 ただいまのお話でございますが、委員会としては、当然重大に扱わなくてはならぬと思います。そこで本委員会の理事と農林委員会の理事諸君でよく話合つてもらう方がいいじやないかと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/135
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136・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの大上君の御提案の通りでよろしゆうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/136
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137・千葉三郎
○千葉委員長 それではさように決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/137
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138・井上良二
○井上委員 この際印刷局の事業並びに専売局、造幣局の仲裁裁定についての政府の態度について、二、三質問を申し上げたいのであります。まず印刷局長及び河野次官に伺うのでありますが、印刷局の特別会計の純益金は、昨年度はどのくらいございましたか。そしてその処置はどうしましたか。それから本年はどういう状況に今日まで進行しておりますか、去年との利益金の比率をお示し願いたい。
〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/138
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139・吉田晴二
○吉田説明員 印刷局特別会計の昭和二十七年度の純益金は、三億百万円でございます。本年度の益金は大体予算上において、五億円程度計上しておるわけでございますが、現在のところ、大体事業は順調に推移しておりますので、この五億円程度の利益は、大体確保できるというような見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/139
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140・井上良二
○井上委員 そうしますと、この上りました純益金の三億円は、一部工場内の生産施設の拡充、また事業員の福利厚生施設等に使われる分もあろうかと存じますが、なおそういうものが一般の経常費で計上されております場合は、これらの益金はそのまま国庫に納付されることになりはせぬかと考えます。また事実仲裁裁定委員会におきましても、かくのごとく三億ないし五億という利益が年間に上つている以上は、他の民間産業との賃金水準において当然仲裁裁定を実施すべき必要があるということを言われておりますが、どういうわけで政府はこの仲裁裁定に対して予算的措置を今度の補正においても、また来るべき補正においてもとろうとしないか。これは非常に重要な問題でありますので、現実に利益が上つてないということならばまた問題でございますが、現に印刷局側から仲裁裁定委員会に提出しました資料によると、印刷局の職員の給与は、民間の同業的な印刷業者の賃金水準に比して相当低いようでございます。これは印刷局が日本銀行の紙幣を印刷しておるが、その紙幣を日本銀行に売り渡す価格が非常に低いではないかということが言われております。といいますのは、御存じの通り日本銀行は独占金融機関である立場もありましようが、非常な利益を上げておつて、しかもこの日本銀行の職員の給与水準というものは、他のいろいろな同業者及び業態に比べても非常に高いのでありまして、そういう実情から考えてみて、この印刷局の職員の給与が非常に安いというのは結局は日本銀行に売り渡す銀行券の売渡し価格が低いということろから来ておろうし、そういう点をもう少し改訂をいたしますならば、さらに仲裁裁定の完全実施が予算的にそう無理でないとわれわれは考えられますが、その間の経緯について、局長並びに次官から御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/140
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141・吉田晴二
○吉田説明員 そこは、私から最初にこの仲裁裁定におきます経過を簡単に申し上げたいと思います。
最初ことしの七月に調停委員会における調停がございましたが、これに対しては組合の方、また官側の方におきましても受諾ができません、結局八月に裁定が始まつております。この仲裁裁定におきましていろいろと議論があつたわけでございますが、御承知の通り印刷局の事業と申しますものは、必ずしも企業的なものではないのでありまして、いわゆるただいまお話のありましたように、日本銀行券でありますとか、あるいは郵政省の関係の仕事でありますとか、あるいは国会とか、あるいは予算書というような政府関係の印刷物を製造しているわけであります。従つてある場合においては非常に無理な作業もしなければならぬし、また仕事の性質上間違いがあつては困るということで、非常に品質の問題を厳重に申します。またこれが検査については非常に手数をかけまして、間違いのないということを非常に重大視するわけであります。その間他の企業のような能率を追求するということはもちろん考えぬわけではありませんが、一方においてはそういう品質、あるいは間違いのないということを非常に重大視してやつているわけであります。その点において、一般の企業とは多少性質を異にするというような点があるわけであります。またこの印刷局に従事しております公務員の方は、公労法の適用を受けております職員が大部分ではありますが、一般公務員法の適用を受けておるものも多少はおるのでありまして、これらとの間に給与の権衡をはからなければならぬという問題もあるわけであります。またこの製品が先ほど申しましたように、すべて政府関係の製品でありますために、結局は損益と申しましても、一般会計並びに他の特別会計、あるいは日本銀行のような特別会計類似のものというような、国家的な機関の間の相互における金の流れも起るわけでありまして、損益と申しましても、非常に広くこれを考えてみますと、結局は一般会計の損益に帰着して来るというような性質を持つておるわけでありますので、印刷局の職員に対する給与についても、いろいろと議論があつたわけでありますが、ただ何と申しましても、現在やつております仕事そのことは、民間の印刷事業の従事員のやつておる仕事とほとんど同一の仕事をやつておるわけであります。われわれといたしましては、この賃金をきめる一つの基準といたしまして、現在の民間の企業の給与をいろいろ調べてみたのでありますが、これはなかなか外部には資料をはつきり出さないわけであります。ある部面においては非常に高い部面もあるようでありますが、またある部面においては相当低賃金のところもあるように見えるのでありまして、必ずしもいいデータとして自信を持つて採用するだけのデータが出なかつた。やむを得ずこのいわゆる毎月の勤労統計、これは労働省で調べておられます一応公的に認められておるものである、それの出版印刷の関係を見まして、それを一つの基準といたしまして、われわれとしてデータを出して、仲裁裁定委員会に一つの基準として意見を申し上げております。しかしわれわれとしましては、実際問題としてこういういろいろな決定をされます場合には、先ほど申し上げましたような事情がございますので、できるだけ人事管理の上から見て、一般公務員との権衡、また財政的見地からのいろいろな考え方というものも、十分お考え願つてきめていただくということが適当ではないだろうかということをわれわれの意見として申し上げたわけであります。ただしかし、すでにここに裁定が出ましたわけでございますが、これに対しては、もちろんわれわれとしては尊重して行かなければならぬというふうに考えておるわけでございます。以上が大体の経過であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/141
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142・井上良二
○井上委員 河野さんから予算化の問題をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/142
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143・河野一之
○河野政府委員 仲裁裁定が出ました以上、これは公労法の精神に従いまして、できるだけ尊重しなければならぬわけであります。しかしいろいろな点において困難な問題がございましていろいろ目下検討しておる段階であります。もちろん各企業体において経理の内容は非常に違います。これを実施すると、国鉄あるいは郵政のごとく、料金の問題が起つて来るところもあります。それから単に利益と申しましても、いろいろな要素が入つているわけでありまして、アルコール専売というようなものにつきましては、大部分が酒税に相当するものが利益として入つて参ります。一般に企業体につきまして、これは特別会計の企業もそうでありますが、国家の資本でいたして、無利子でやつているわけであります。税金も納めているわけでもございません。法人税も固定資産税も納めておるわけではありません。大体利益というものは、そういうものを含めまして一般会計に帰属するというのが、現在の法制上の建前になつております。
第二次補正予算ということが今後問題になるわけでありますが、御承知のような事情で、非常な編成難に陥つておりまして、一文でも財源がほしい段階でございまして、そういうふうな点も多々ございまして、現在提案いたしておりまするように、国会の御議決をお願い申し上げたわけであります。現在の予算では、予算上、資金上不可能というように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/143
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144・井上良二
○井上委員 さきに局長からお話がございました通り、二十七年度に三億一千万円の利益を印刷局であげておる。今年は大体五億予定をしておるということでございます。そういたしますと、これは実質的な材料の暴騰に基く製品高という関係や、またストツクを相当に持つておつて製品高になつたということから利益が上るというものなら別であります。ところがこの間に実際は製造量の増加が行われておるのか行われておらないのか。もし製造量の増加による益金増が予定されておるということでございますと、それは結局従業員にそれだけ大きな労働を加重し、強化することに事実はなつておるわけであります。だからそれは当然一部は自己資本の増加にこれを充当する、一部は仲裁裁定の実施にこれを使つて行くということの方が私は当然のことだと思いますが、どうですか。三億から五億に今年は予定し、しかもそれが順調に予定通り進行しておるということであるならば、それは二十七年度より二十八年度の製造量は増加しておるのではありませんか。その点を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/144
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145・吉田晴二
○吉田説明員 二十七年度の三億の利益と申しますのは、実はこれは二十七年度におきましては、途中におきまして多少作業の変更がございまして、御承知の通り従来千円札をずつと刷つておりましたのですが、昨年の中途から百円の新しい型を刷ることになりました。その関係上いろいろそこで、実はまた新しいインクを使うことを発明いたしまして、これは非常にかわきの早いインクでございますが、そういうものを使用いたします関係とか、またその他作業の改訂によつて、各工場で色を合わすのに非常にたいへんだというような関係から、作業関係が中途でもつて、何と申しますか、ちようど製品をそこで新しく切りかえますために間があいたわけでございます。それに加えまして、昨年度はちようど十一月以降非常に停電が多くて、このために作業上実は非常に困難をきわめた。大体この二つの事情から、昨年は利益がやや少かつたわけでございます。一昨年も一昨々年も、大体五億程度の利益を印刷局としては上げておつたわけであります。昨年がむしろ特に少かつたので、今年は順調にいつて大体五億程度に行くのじやないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/145
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146・井上良二
○井上委員 ただいま局長からいろいろ説明がございましたように、新しい能率的な仕事をやるためにいろいろな発明、くふう、改良を加えて行つて利益を上げることは、工場経営者としては当然の考え方であります。そうなればそうなるほど製造量はふえて来ることになります。だからそれだけ労働が強化されることは明白でございます。そこでいま一度河野さんに伺いますが、何か専売、郵政の方の裁定や、あるいは鉄道の裁定の方に気がねをして、当然やらねばならぬ大蔵関係の各裁定の実施を遅らすというような印象を与えることは、これはどうもけつたいなぐあいで、事実今御説明のように、実際は製造量がそれだけ増加しており、かつこれが政府の非常に大切な印刷を受持つておる、民間にやらされない仕事をやらしておるのでありますから、従つて従業員はそれだけ他の民間印刷従業員とはその人格及び労働の実際において非常な誠意を必要とするのであります。さような観点から考えてみても、私はこの際他のいろいろな産業との関係もありましようけれども、切り離してでもこれは予算的、資金的措置を講ずべきであろうと考えるし、また何か印刷局なら印刷局の裁定を実施するにあたつて、これが他のいろいろなものとのつり合い上、低賃金でもかまわぬということにはなりません。現実に印刷局の御努力によつて日本銀行は莫大な利益を上げ、そこに働く従業員は他のいろいろな機関に比べて最高の給与水準を示しておる。同じ関連事業において、一方は莫大な利益を上げており、一方はその下積みにされておる。こういうことは何としても許されません。そういう点から、私は国鉄の運営についても国鉄みずからがいろいろな問題を起しておりますように、運営に対してもつときびしい対策を考えて、合理化、能率化に努めますならば、それ相応の措置ができるではないかと考えられます。また郵政におきましても、これを電通と切り離して別々の会計にしておるというところに大きな問題がありはせぬか。あなた方一度地方へ行つてごらんなさい。今まで一緒におつた建物が全部別々に、しかも非常にりつぱな建物をどこもかしこも建てておるじやありませんか。一体ああいう金はどこから出て来るのです。それは資金的措置を仰いでやつておると言うかもしれませんけれども、どこの電報局もどこの郵政局も非常にりつぱな大きな建物を建てておる。現にそこの下へでき上つておりますあの電電公社の本部を見てごらんなさい。ものすごいりつぱなものができ上りつつあるじやありませんか。ああいうことを一方においてさしておいて、そして従業員の仲裁裁定は一向実施しない。それはあまりにどうもあなた方予算的措置を講ずる責任者としては、これは納得できないぞ。そのうしろにすわられておる専売局の方にも申し上げるが、ともかくも専売局が常非なよいタバコをどんどん製造され、いろいろな対策を講じられて能率を上げておられることは、われわれ非常に多とするところでありますが、上げられれば上げられるほどやはりその一部は、従業員の待遇改善に充てて行く。せつかく長い間努力をして技術を覚えさせ、局のいろいろなしきたりを覚え込まして、これから能率を上げてやらすということにしなければならぬのに、不平不満を起し赤旗を立ててへたばり込まなんだら実施せぬ、そんなくせをつけたらあきませんよ。初めからやらぬのなら最後までやらぬというならいい。ただわいわい言うて周囲へ来て、夜通しやかまく言われるとしぶしぶやる。やるんなら初めからちやんとやつてやつたらいい。そういう悪いくせをひとつやめて、この際政府としてはどういうりくつがあろうにしても——どうもわれわれの感ずるところは、鉄道、郵政の関係から他のものが犠牲になつておる、ことに印刷の関係にその傾向が非常に強い。これは当該の従業員のためのみならず、国全体の公共企業体の運営の上からも非常に遺憾なことでありますから、解決できる点から順次裁定を実施して、いわば困難なものは、みんなの衆知を集めて、どうしたら一体実施できるような措置が講ぜられるかということの結論を見るようにしたらいいじやないか、私はそう考える。そういう点からこれは河野さん、第二次補正予算において何とかできますか。できないならできないと、——仕事をせいといつても、わいわい言うて日曜ごとに来られたらかなわんぜ。実際どれだけ国が大きな損をするかわかりませんぜ。どうです、やれますか。明確に御答弁をお願いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/146
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147・河野一之
○河野政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、裁定全般の問題として申し上げたわけでありまして、国鉄とか郵政とかいうようなものもある、これは御趣旨のような点もあるかと思いますが、このバランスというものは一つの政治の問題でして、私が申し上げることではございませんが、そういう問題もあることは否定できないと思います。ただ印刷局特別会計の問題はどうかということになるのでございますが、これは先ほど井上さんがおつしやつた企業の従業員の努力によつて利益が上つたという場合、これは前国会におきまして特別会計の法律を改正いたしまして、従業者の努カによつて収入が予算より増加し、あるいは努力によつて経費が予定より少くて済んだというような場合においては、これは大蔵大臣の承認を経てその一部をという規定がございまするし、それから予算総則にもそういつた規定を現在置いておるわけであります。ただこの具体的な裁定の問題になりますと、これはこの法律の問題ではなく、実は法律上は別の問題でございます。現在そういうような利益があるかどうか、これは相当検討を要します。それからまた今後の第二次補正の問題といたしましても、災害関係は今回提出したのでございますが、いろいろな点において非常な編成難の時代で、財源としては一文でもほしいというような現実の事態であります。従つて目下慎重に検討しておるのでありますが、ななか困難な問題であろうと私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/147
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148・平岡忠次郎
○平岡委員 ちよつと関連して……。まず次官に質問いたします。何か一般論的なお話なんですが、そうでなしに、印刷局の仲裁裁定だけに限定しまして、まず特別会計から二十八年度において一般会計の方に繰入れらるべく予定された益金は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/148
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149・吉田晴二
○吉田説明員 二十八年度においては四億九千九百万円というのが一応純益金として予定されております。そのうち大体資本の増加分、つまり施設費増加というようなもの二億一千百万円を差引きまして、納付を予定されております益金が二億八千八百万円ということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/149
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150・平岡忠次郎
○平岡委員 先ほど五億とおつしやつたのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/150
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151・吉田晴二
○吉田説明員 それは、全体の益金として約五億と申しましたのは、正確に申しまして四億九千九百万円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/151
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152・平岡忠次郎
○平岡委員 そうするとまだ二億一千万ほどあるのじやないでしようか。この間の仲裁裁定自身の予算との差額は多分一億三千万ほどあります。そうすると、それで十分カバーできる余地があるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/152
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153・吉田晴二
○吉田説明員 御承知の通りこの予算において納付益金二億八千八百万円というのは、予定されておるわけでありまして、これが一般会計に繰入れられるわけであります。従つてこれをどういうふうにするかということになりますと、これはむしろ一般会計の関係におきまして、広い財政的見地からきめていただかないといけない問題じやないかというふうに、われわれとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/153
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154・平岡忠次郎
○平岡委員 広い財政的見地から、いろいろな支流から金を吸い上げようという河野さんの立場はわかります。しかしあなたは局長自身として、今の印刷局の印刷能力が上つたために、今の仲裁裁定を十分カバーし得るだけのいわば余分の益金という点におきまして、この仲裁裁定の結看をぜひともつけてほしいというようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/154
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155・吉田晴二
○吉田説明員 こういう印刷局という企業体の経営、特に労務の方を担当しております者といたしましては、諸種の事情が許せば実行してやりたい、特に現在印刷局の従業員諸君は、非常に仕事は熱心にやつており、成績も非常に上つておるわけであります。また組合その他の方面においても、非常に協力してやつて来ておるわけです。そういう点においては、他のいろいろな事情が許せば、これはぜひ実行していただきたいというふうな感じはしておるのです。ただ先ほど申し上げましたようないろいろな見地から申しますと、今の状態ではなかなか困難な点があるのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/155
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156・平岡忠次郎
○平岡委員 大いにめんどうを見たい気がしている程度ではなしに、決意を持つてほしいと思う。どうしてかといいますと、この印刷局の予算総則によりまして、努力とか創意くふうによる節減とか、あるいは能率が上つた場合には、それは職員に還元し得るというようにうたつてあると思うのです。その適用はできませんか。それは重箱をほじくるように否定的に考えればできないとしても、その温情をもつてそのことを処置するということはできるはずです。さように思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/156
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157・吉田晴二
○吉田説明員 ただいま御質問の点は、つまりこの予定損益のうちではこれだけの益金が上つておるから、それを例の予算総則の第八条によつて、いわゆる業績賞与というような関係で職員に分配できないか、こういうことがお話のように思います。これは予定損益の分ではなくて、非常に能率が上つて経費が非常に少くて済んで、益金が予定よりもふえたというような決算が済みまして後にそういう問題が起つて来るわけでありまして、ただいまこの段階においてどういうことになりますか、まだその点ははつきりいたしません。その点はまだ何とも申し上げようがないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/157
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158・春日一幸
○春日委員 これは裁定が下されたわけでありまして、これは別に労働組合の諸君たちがそれだけの賃金の値上げをしてくれというわけのものではない。これは法律によつて定められたところの仲裁裁定委員会が、法律に基いてこれだけのものを支払え、しかもこれは労使双方に拘束力を持つということは、もはや討論終結になつておる問題であります。しかもあなたの方は、被らの勤労精勤によつてそれだけの増収がここに見られておる。そうすると裁定は、法律によつて、国の機関によつてこれだけ支払えといつてあなたの方を拘束しておる。しかもあなたの方はその金がある。これが払えないという理由は一体何であるか。これをひとつ河野さんからお伺いをしたい。
それからその前に印刷局長は、これを払いたいと思うから大蔵大臣はこれを承認をしてもらいたい、こういう交渉が当然なさるべきであると思うが、そういうことをなされたかどうか。交渉をされたならば、その交渉の結果大蔵大臣の答弁は何であつたか、これをひとつお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/158
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159・河野一之
○河野政府委員 先ほどの四億九千九百万円という利益は、これは普通の民間と同じような貸借対照表をつくつてやつております帳簿上の利益で、それだけのものが現金であるわけではありません。法律上は、そのうち現金に相当する部分を一般会計に納めておるわけであります。先ほど申し上げた予算総則というのは、この予算で予定した以上に職員の努力によつて収入が上り、経費の節減ができたという場合においては、その一部を大蔵大臣の承認を経て特別の給与をやるために給与総額をふやすことができるという規定になつておるわけであります。現在までの状況では、その規定が発動するまでに至つておりません。
次に裁定の問題でありますが、これは現在の予算ではできません。従つて公労法十六条の二項でしたか、予算上資金上不可能ということで国会の御議決をお願いしたい、その意思の御表明を待つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/159
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160・吉田晴二
○吉田説明員 御質問の点につきましては、この企業体の経営者といたしましては、いろいろな点において問題はあるとは思いましたけれども、ただいまの仲裁裁定についでの実行方については、責任者としていろいろな点を財政当局に申し入れておるわけであります。ただいまのところでは、先ほどから次官の御答弁のように、非常に一般的の問題として困難があるということで検討されておるという状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/160
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161・春日一幸
○春日委員 その一般的な問題ということはあり得ない。他の関連事業とにらみ合せて操作をするということは、公労法十六条は認めておりません。これは最高裁判所の判決と同じように、もはやこのあとには何らの仲裁調停機関というものがない。労使双方を拘束するのだから、局長であるあなたは社長さんと同じだから、あなたを拘束する。あなたは払わねばならぬ。帳簿上の利益であつても、明らかにこれは彼らの精勤による増収である。予算総則に示す増収がそこに現実にあるのだから、あなたはそれを支払う義務がある。法律はあなたにそのことを強要しておる。だからあなたはただちに大蔵大臣の承認を得て、それだけの額を払わねばならぬのであつて、あれは金はこういうふうにあります、だからこれを払つてもらいたい、こういうぐあいに強力に交渉をされる責任があるし、大蔵大臣は、それは予算総則にきめてある額を越えることになるので、予算総則の当初にその給与額として決定した額を越える分については、国会に承認を求めて来られれば、現在のような不承認を求めるような形でなく、ほんとうにすなおにその承認を求めるべき議案としてこれが提出され得ると思うわけなんです。幸いに今これが継続審議になつて、第二次補正においてこの問題が調整される方向へと国会の努力は向いております。すなわち白紙で、あなた方はこういう仲裁裁定が下されたが、しかしながら既決予算の資金上、予算上のわくの範囲においてはこれが支払えないから、適当に処理をしてくれという議案が国会へ提出されて来ますならば、国会はこれに対して、政府に対してその予算の裏づけを要求するか、国会独自の権限においてその予算修正を行うか、二つに一つであろうと思います。従つて今あなたが社長さんという立場において、政府は聞くところによるといろいろ各方面との関係をにらみ合せてやつておるそうだ、こういうようなばかげた、敗北主義的というか、あるいは責任放棄の姿というか、そういう態度を、この問題が提起された冒頭において示されるということはきわめて遺憾しごくに考えます。あなたは当然こういう態度をされるべきであろうと思う。すなわち予算上、資金上困難ではあるが、ただこれは予算総則の給与総額を改正してもらえば、私の経営の手元には支払いの資金力を持つておりますので、ひとつ国会の努力によつて予算総則の給与総額を修正してもらいたい、あるいは政府がみずから修正の補正予算を提出するか、その二つに向つてあなたの努力が傾倒されるべきである。大蔵大臣がああ言つておる、こう言つておるということは、あなたとしては今言うておるべきときではないと思います。
それからもう一つお伺いをしたいが、あなたの方は一万円札を一千万枚刷られたということが書いてあるが、はたしてそういうものを刷られましたかどうか、これをひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/161
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162・吉田晴二
○吉田説明員 一万円札を一千万枚刷つてあるということが書いてあるということでございますが、実はわれわれの方はまだ刷つておりません。ただ原版と申しますか、これは非常に手数のかかるもので、ふだんからこういうものは、問題になるときには準備いたしておりますので、そういう準備はしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/162
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163・春日一幸
○春日委員 他の資料によりますと、一万円札が一千万枚プリントされて、それに対する増加見込額が七千万円、こういうものが見込まれておるが、現実に印刷局の方で一万円札をお刷りになつたようなことは断じてありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/163
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164・吉田晴二
○吉田説明員 一万円札を刷つているようなことは断じてありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/164
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165・春日一幸
○春日委員 それではその問題はそれでよろしい。
そこで大蔵次官にお伺いをしたいのだが、これは後刻福田先輩からも御意見が述べられると思うけれども、あなたは大蔵委員会をはなはだ軽視されておる気配がある。本委員会はすでに休会中、あなたが次官に就任されて以来十数回開かれておるが、一度としてここへ参られたことがない。私はあなたがそこへすわられても、どこの牛の骨がおるかわからないくらいです。そういうようなばかげたことはないと思う。今までわれわれは、国会休会中といえども遠く名古屋の地から夜行に乗つてやつて来る。ところがあなたは東京におつて、開かれた委員会にちつとも出席しない。本日初めてここへのこのこやつて来たということは、委員会軽視のそしりを免れないと思う。この点は十分注意されて、あたかも愛知次官が外地にあつて、吉田さんの個人的な代理なのか、国の代理であるのか、けじめのつかないような交渉をしておられるようだが、留守なら留守なだけあなたの責任はさらに重いと思う。従つて今まで何十回も委員会が開かれておるのにかかわらず、一回も出なかつたことについて深く遺憾の意を表し、今後この罪を償うために、朝から晩まで本委員会に出て来て、十分われわれとともに審議を尽されることを強く要望します。
そこでこの専売の裁定も、いずれあなたの御関係になつて来ると思いますが、特にこの印刷現業は公社関係とはまたおのずから考え方が違うのです。これは単なる現業である。単なる純粋の労働者でしかない。これはほんとうの商社経営、事業経営とちつともかわらないのであつて、ただこれらの諸君が公共的性格を帯びるところの事業に従事しているという立場において、罷業権が奪われている。罷業権にかわるものとして、この公企体関係労働法というものがある。従つてこの法律に基いて下されたところの裁定を、金があるにもかかわらずあなた方がこれを無視するということは、みずから法律蹂躙の形であつて、法治国において政府みずからが法律を破るようなことは、法律否認の姿であつて、まるで共産党みたいである。この点は十分注意をされて、少くともこの仲裁裁定は完全実施する方向に向つて、大蔵省としての努力をされたい。この点を強く要望いたしまして、時間でありますから私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/165
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166・井上良二
○井上委員 本件に関しては、なかなかここで短時間に政府のまとまつた答弁を聞くわけには参りませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/166
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167・福田繁芳
○福田(繁)委員 私は今後はさておき、終戦後今日までの大蔵次官の中において、議会においてほんとうに率直に、真剣に、良心的にお答えくださるという点において一番敬意を表せると思うところの河野次官がきようは御出席でありますからして、大蔵関係に対して数点伺つてみようと思うて実はお待ちしておつたのでありますが、御案内のように、辛うじて今公平な委員長が私に御指名になりました。非常に時間がなくて残念に思います。ただいま春日委員からもお話があられましたように、大蔵次官に御就任されて、ということより、むしろ前々国会から初めてあなたは御出席されたわけなんです。委員会の部屋もおわかりでございましようし、なおまた委員諸君の顔も十分御承知でございましようから、今後御出席があると思いますので、次会に私は譲りたい。ただ午前中の委員会において、山本委員なり内藤委員から御質問されて、あなたがお答えなすつた点に対して、一、二の関連事項を簡単にお伺いいたしてみたいと思うのであります。
まず第一番に伺いたいのは、問題になつておりまする中小企業者の金融対策に対して、山本委員から速記録にありまするように詳細にわたつて御質問いたしましたときに、その都度々々大蔵次官は、このたび中小企業金融公庫が発足いたしているので、それによつて多分にそういう点は償いができるのだというところの、われわれとして非常に意の強い御答弁があつたのでありますが、その後に山本委員もおつしやいましたごとくに、われわれもさように考えておりました。ところが昨日の委員会でたまたまその問題に触れてみましたところが、はからずも委員諸君の質問で総裁の答弁を聞いたところ、われわれとしては事の意外に実は失望せざるを得ない新しい事実を発見いたしたわけなんでございます。それはほかでもありませんが、これも先ほどちよつと話がありましたように、せつかくわれわれがこの行き詰まつておるところの中小商工業者を救済してやる、これを育成強化してこそ日本の産業の再建はできるのだ、こういう意味合において、取残されておるところの中小企業者を助けてやろう、育成強化してやろうと思つてつくつたあの公庫が、意外にもどこに欠点があるのか存じませんが、公庫総裁自身のお耳にも入つておるごとくに、むしろああいうものはつくる必要はなかつた、ああいうものよりも庶民金庫なり、あるいは国民金融公庫なり、住宅金融公庫なり、そういう方面にむしろ資金のわくを拡大さしてやる方が事実上中小商工業者が恩恵に浴することができるのだという意味合いの話があつて、実はわれわれも意外に思つたわけであります。そこにおいて先日来二、三の私たちの身辺におりますところの一般の中小企業者にそのことについて聞いてみますと、やはり異口同音に言われております。むしろそれができて喜ぶのは、中小企業金融公庫の代理店として窓口営業しておるところの、あるいは相互銀行であるとか、あるいは信用金庫であつて、われわれほんとうの零細なる中小企業者は何らの恩恵に浴さない。そして銀行関係をいろいろ調べてみると、この相互銀行にしろ信用金庫にしろ、自分たちが中小企業者に貸し付けてある不良貸付の肩がわりにそれを使つてみたり、あるいは自分たちの取引先、縁故のあるところのみに重点的に流しておる、そして新規の借入れをいたしたいという中小企業者は何らの恩恵に浴さないという思いもよらない怨嗟の声を聞いたわけなんです。そういうところから思い合せてみますと、午前中に大蔵次官殿がおつしやられたような、中小企業金融公庫によつて恩恵に浴しておるという御判断が根本的に違つておるのじやなかろうかということが私は思い浮んだのであります。これはゆゆしき問題でありまして、昨日も総裁にも、今からでもおそくないのだから、表向きは資金が足らぬということを言われるけれども、一皮むくならば、どこかに欠陥があればこそそういう民の声が耳に入るのだから、縦横無尽に再調査したらどうかということを申し上げたのでありますが、これがはたして事実とするならば、もうすでに十一月の五日になんなんとするときであつて、年末中小企業金融政策に重大なる問題が私は残るのではなかろうかということを懸念するのであります。こういつた点に対して大蔵次官としてはどういう御見解をお持ちになり、またこれに対してどういうお考えがあるかということを一応順序としてまず第一番に伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/167
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168・河野一之
○河野政府委員 中小企業の金融というものは、率直に申し上げまして非常にむずかしいのでございまして、農林関係の金融につきましては、昔からいわゆる産業組合系統の一貫した組織のもとにおける金融制度があつたのであります。中小企業関係につきましても商工中金、いわゆる組合を中心とする金融機関で今まで来たわけであります。従つて一般的な金融の道としては一般の商業銀行が扱つておりまして、大銀行あたりでは最近中小企業専門的なものなんかを設けてやつたのでありますが、何にいたしましても、この中小企業の根本的な問題は実は信用の問題にあるわけであります。金貸しの面からいいますと、どうしても信用のないものには貸せないということで、今までのやり方は信用保険制度であるとか、あるいは信用保証の制度とかいうようなことで実はここ数年来やつて参つたわけであります。しかしその点につきましてもある程度限度がありまして、こういつた資金については財政資金である程度出すのが適当である、そういう意味においては社会政策的な面もあるわけであります。そういうことで見返り資金ができまして、中小企業に出します資金は開発銀行でことしの八月までやつておつたわけでありますが、これは国会の御要望もありまして、特別な金融機関をつくつてそれで中小企業の——もちろん商業銀行その他もやるのでありますが、その補完的な、落ちこぼれの面をこういうところで救つて行かなければならぬのじやないか、こういう関係で中小企業金融公庫が発足したと私は思つておるのであります。現在の資金は非常に少いのでありますが、今後相当な金をつぎ込んで育成して参らなければならぬかと思つております。たまたま今発足したにもかかわらず、不良貸しの肩がわり、あるいは縁故貸しが多いというおしかりでございますが、これは中小企業金融公庫がみずからの店舗をあまり持たずに、代理貸しを相互銀行なり、あるいは信用金庫なりにさせてやろうとした結果——これもやむを得なかつた措置と思いますが、その結果おつしやるような、あるいは御指摘のような弊害があるのかもしれぬと思つております。私もまだそのことの事実は具体的に伺つておらぬのでありますが、そういうことがありましては、これは公庫発足の意味にたがうと思うので、そういう点は厳重に取締るつもりであります。またそのうちに公庫として国民金融公庫のように、——これも代理貸しを一部やつておりますが、だんだん発展してみずからの支店もできて参りますと、親切に目が届くというようこなとになるであろうと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/168
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169・福田繁芳
○福田(繁)委員 いまさら過ぎ去つたことをどうこう言うのじやありませんが、中小商工業者に対して育成強化をせねばいかぬということは、私も非常に同感でありますが、昨日のお話によりますと、大体七十七億をこの年末までに放出するために、今わくをつくつておるようでございます。そこで今申しましたような巷間批評が耳に入りますので、われわれもその七十七億に対して、中小企業金融公庫自体においてどういうわくをつくつておるか知りたいために、昨日の委員会で資料を要求しましたので、いずれ明日あたりわれわれの手元に入り、その七十七億が、事実上あなたのおつしやる落ちこぼれておる中小企業者に名実ともに入るものかどうかも検討してみたいと思つておりますから、あなたも即刻その資料をとつて一応ごらん願うのが一つと、それから昨日の速記録は、いずれ一両日にできましようが、昨日の坂口総裁との質疑応答は、簡単ではありますけれども相当要点をついておると私は考えますので、これをぜひとも御再読願つて、そうして過ぎ去つたことはしかたがないのでありますから、それをとうとい資料といたして、来年度のこれに対する予算的措置を講ずるときには、再び繰返さないようにやつてもらいたいと思うのであります。今のお話では、中小企業者に対して、政府としてはありとあらゆる方法で資金的の救済の手を広めようとしておるけれども、少からず落ちこぼれがある。落ちこぼれがあるということだけでも御認識くださつておられる点は、私は非常に意を強くする。事実上今日はお話にならぬほど行き詰まつておる。下手をやるならば、今年の十一月の末なり十二月には、中小企業者の連中は倒産者が続出する。それがために社会問題になりはしないかしらということを、私はおそまつでありますけれども、中小企業から出ました議員としていたく感を深くいたしておるのであります。
そこでそれに関連してまた伺つてみたいと思うのでありますが、これも多少見解が違うかもわかりませんが、同僚内藤委員の御質問に対するあなたのお答えがあつたのでありますが、それは例の保全経済会と称するもの及びその類似金融に対する適当な監督的法制化ですか、そういつたことも来国会あたりまでにいたしてみたいから、それまで御猶予してくれというような、あなたのお立場としてごもつともなお話があつたのでありますが、この点にいささか触れでみたいと思うのであります。そこでちよつと伺つてみたいのでありますが、あなたのおつしやつたお言葉の中に、保全経済会及びこれに類似的の金融というお話がございました。そこでちよつと伺つておきたいのですが、よくいわれるところの株主相互というものはこれに入つておりますか。それとも株主相互というものは、保全経済会とは法的にも根本的に違う点があつて、別個になつておるのがということをちよつと伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/169
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170・河野一之
○河野政府委員 現在いろいろ問題になつておりますのは、匿名組合によつて金を集めて、それを不動産であるとか、証券であるとかいうようなものに投資されている形態でございます。それからいわゆる株主相互金融という制度もございます。これは御承知のように金貸業としての届出をしておるものもございますし、そうでない制度のものもあります。大体金貸業は全体で一万一千くらいございますが、そのうち半分くらいが個人、半分くらいが法人であろうと思います。その法人組織のものに株主相互金融というものが数百あるように思つております。御趣旨の点はこれらをどういうふうに考えて行くかということですが、これは法律の立案のときに考えたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/170
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171・福田繁芳
○福田(繁)委員 わかりました。そこで私は意見を申し上げてみたいと思いますが、あなたのお言葉にもありましたように、匿名組合の法規に基くところの保全経済会、それと、株主を対象にしているものは別の法規に基いておるのですか、あるいは貸金業法に基くのですか、匿名組合以外のものと、二つがあるというお話を伺つたのであります。私はこうして政治に携わつておるものの立場において考えてみると、これを同じにして考えるということ、あるいはこれに対する対策を立てるということは非常に行き過ぎるのではないかと思う。ことにだれが何といつても、株主相互金融には多数の零細なる株主というものがあるのです。これを保全経済会並の方法で処置を講ずるということは、私は当を欠くものではなかろうかという考えが非常に強くなつて来ております。なぜかと申しますと、最近、ことしの六月に、御承知のように株主相互金融に対するところのお手入れと申しますか、御監査と申しますか、あの波紋がありましてから非常に動揺いたしておる。私の選挙区なり私の居住いたしておるところの周囲の者にも、この株主というものが枚挙にいとまがないほどあるのであります。それらが非常に動揺を来しておることがあまりにも如実にわかるものでございますから、その実体調査をしてみたいというので、私の方の若い者を動員して、保全経済会までは手が届かなかつたのでありますが、実は調査をしてみたのであります。そうしますと、株主相互の株主になつておる者は、今日では株主でありますけれども、この人たちが株主になるまで、二年なり三年なり、ひどいのは五年くらいで、株主になつておりますが、そうして先ほどお話になつたところの信用金庫なり、あるいは相互銀行なり、市中銀行なりから見離されてしまつてほんとうに落ちぶれておつた者が、零細な資金を手にしてすくすくと立ち上つておるというのが相当広汎にあるのです。昔はそうして相互会社から金を借りて無から有になつたのだが、今日は有が大分大きくなつて、名実ともに株主になつておる。それが保全経済会などと同じにやられてぺちやんこになつてしまうというならば、信用組合も相手にしてくれぬ、銀行も相手にしてくれなくて、こういう機関において恩恵に浴してここまでやつて来て、株主としてせつかく財産を持つておる者がこつぱみじんになる。こういうようなことは根本的に考えなければいかぬというように、穏やかならざる考えがみなぎつておるのです。あなたのお立場とされましても、不幸にして銀行局長が今いらつしやいませんが、銀行局長と御相談されて、こういつた点を縦横無尽にひとつ御検討してもらいたい。私は、今年はさておいて、去年、一昨年、一昨々年あたりにこの株主相互の融資を受けた連中がこれによつて少くとも生計を営み、あるいはその企業の第一階段を上つたということに対して一つの貢献をした、プラスになつた面が確かにあると思う。これを無視してしまつて、今日それをどうだこうだというようなことをやると、今後の金融界なり経済界に非常に悪影響を及ぼすと思う。私は、意見の発表方法があるいはまずいかもわかりませんが、これは一歩外に出るならば、こういう問題はたくさんあるのでございますから、それを十分ひとつ御検討されて、来国会というような気の長いことをおつしやらないで、今日幸い三日間議会が延期になつたのでありますから、この間にひとつ何らかの御方法を立てられて、まさに動揺せんとしている全国多数の株主、言いかえれば銀行から見離されておるところの、せつかく立ち上りつつあるところの者に対して、何らかの救済策を立ててやるお考えがないかということを伺いたいのでございます。
そこで、私は今度は委員長に伺うのですが、先般来前々国会からの、われわれが大蔵委員にならない前の大蔵委員会の速記録を見てみると、相当この問題は検討されて来ておるのです。そして今国会になりましてでも、また今国会になるまでの間の休会中にも、金融小委員会の諸君が真剣にこれは御検討されて、大蔵当局と御相談の上か何か知りませんが、あるまとまつたものができた。これを持つて行くというような話も聞いておつて、私も拝見いたしました。これは実にけつこうなものだ、決して事業者をどうこうするのでなくて、零細な、不特定といえども多数の株主に対してこうしてやる、これはけつこうなものだと思つて一覧させてもらつたのでありますが、あの骨子は、聞くところによると委員長の手から大蔵省の方へ御交付されたということですが、それは事実でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/171
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172・内藤友明
○内藤委員長代理 私からお答えします。それは銀行局長にお示と、なお大蔵大臣に口頭でその旨伝えてもあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/172
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173・福田繁芳
○福田(繁)委員 そこで大蔵次官に伺いますが、あなたはこれをごらんになつたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/173
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174・河野一之
○河野政府委員 私は直接には見ないのでございますが、銀行局長はそういう書類をちようだいしたということは言つておりました。ただいろいろ検討しなければなりませんので——実を申しますと、消極的ななわ張り争いばかりやつて非常に恐縮なのでございますが、いろいろ検討すべき点がございます、株式組織のものもあり、また匿名組合組織のものもあり、いろいろな形態がまじつておりまして、その辺の線をいわゆる取締り法規とした場合にどういうところでやるか、いろいろ検討を要すべき点がありますので、この国会にただちにその法案でというようなふうにはちよつと踏み切りかねておると銀行局長は申しておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/174
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175・福田繁芳
○福田(繁)委員 大蔵次官は、銀行局長から話は聞いたけれども、まだごらんになつていらつしやらないというお話でございましたが、さすれば私が申しました二点と、この一点をつけ加えて、銀行局長に申されて、御一覧願いたいと思うのでございます。そうしてひとつ真剣にこれをやつてもらいたいと思います。ことしの春とか、あるいは夏ごろに、こういつた要するに金融類似会社ができかかつたものならば、今ごろ監督もけつこうでございます。ですけれども、二年も三年も前にできたものを今日まで傍観の態度におつて、そうして今日になつて取調べというか、そういつた一つの監督法規をつくつて臨むということは、大きな意味の政治をやるものとしましては、私はどうかと思うのです。これは事実上、先ほど佐藤同僚からもドイツの話がありましたが、日本においても、同じ敗戦国であるドイツのような金融、経済、財政政策をやつておれば、ああいつたものは出はしなかつたと思うわけです。これは日本の、われわれにも責任はありまするが、ことに大蔵省などにも多少の責任があると思う。もし自由党の議員諸君がおられたら申したいのですが、こういつたものが続出するのは、だれが何といつても、吉田内閣の金融政策が悪かつたからで、そういつた点から考えましても、私はどうしてもひとつ真剣にお考え願いたい。少くともこれを根本的につぶしてしまつた方が、事実上日本の国の今後の金融財政関係によいものかどうか、一切のことを白紙に返して、今からでも遅くないから一般国民の立場になつて、既応のことも勘案されて、ひとつ至急何分の善後処置を講ぜられることが、先ほどあなたが御熱心に言われた中小企業者に対する金融的措置を講ずるということに対して、花が咲くのではないか、こういうように思いますから、真剣にひとつお取上げになつて御検討願いたい、これを強く要望しておいて、あとは次会に譲ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/175
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176・山本勝市
○山本(勝)委員 ただいま福田委員から申された問題について、御参考までに私の考えを簡単に申し上げておきたいと思う。今の保全経済会や株主相互金融その他の問題、これをやみ金融というふうな言葉で表わすことは根本的に間違いだ、これがやみ金融というようなことで伝えられることが、金融界に動揺を来した一つの理由になつている。ですからやみ金融という言葉は将来うつかりしてでも使われないようにされるがいい。問題の起りは、根本的にいうと、従来の銀行とかその他の金融機関で日本の現在の経済状況において金融がまかなえないというところに、必要があつて生れて来た。そこにまたいろいろな不正なことも伴つて来ているということだと思う。そこで、問題の根本的原因は、私はこういうふうに見ている。これは私は経済学の理論を長年やつて来た者として、そう信じているのですが、事の起りは、金利というものは、要するに資本の使用に対する一つの価格であります。労働に対して労賃が払われるようなものであつて、資本の使用価格である。その価格が二銭八厘とが三銭とかいうように統制されているが、実際の一般にいう意味の金融市場における金融の資金に対する需要供給の均衡点を示す金利というものは、日本の場合には、はるかに高いものを、ずつと低いところへ法律的に公定している。ところが一般銀行は、とうてい二銭八厘というような金利で小口の五万や十万の金を貸しておつたのでは、銀行がつぶれてしまう。ですから、どうしても普通銀行は、そういう金利を統制されているところには、大口の金を扱わないとコスト倒れになつてしまう。ですから、小口には貸さない。貸しておつたら、今のような金利ではとうてい銀行は立ち行かない。こういうところに、私は今日の金融機関がほんとうに中小企業者の役に立たぬ原因があると思う。そこへ公定しているが、実際の需要供給の均衡点になる金利というものは、もつと高い。そこで漏れたものが、今度は実際の需要供給の均衡点というものに金利が出て来るのではないか。ちようど物の公定価格を——ひとつ大蔵次官よく聞いておいてもらいたい。聞くだけでいいから——公定価格をあまり安くきめると、やみ相場というものが必ず出て来る。やみ相場という言葉で表わしておりますけれども、実際の需要供給の均衡点よりも低く公定して、これを実行すると、余分のところへは必ず実際の需要供給の均衡点よりは高く出て来る。それが普通の米なんかの場合ですと、やみ相場ということになるのですが、今の場合は貸金業法というものがあつて、五十銭くらいはかまわぬということになつているから、実際にはやみでなくて法律で認められたということになる。つまり米の価格を安く公定したときに、高いやみ相場が出て来る、そのやみ相場を、法律で公認したのと同じ形になる。えらくりくつつぽくなつて、むずかしく響かれるかもしれませんけれども、根本はそこにあるのであつて、それに付随していろいろのことが起つて来ていると思うのです。伊藤斗福という人が書いた書物を読んだ人が私に話しておりましたが、何かあの事件が起る前の日に買うて読んでみたら、最初出発したときには五人の社員を雇つておつたが、その社員の月給が払えなかつた。社員の月給を払わないでおつて、しかも一割の配当をしたということをまず書いておる。そういう社員の月給も払わないで一割の配当をしてお客を引きつけたというところに、まことにおもしろくないことがあると思うのですけれども、しかしそういうことは付随して起つて来ているのである。だから貸金業法そのものもひとつ検討してもらいたい。
〔内藤委員長代理退席、委員長着席〕
貸金業法によつて合法的にやつておるものも、実はほんとうの意味の合法じやない。株主相互金融といつて、たとえば一億円の金を集めた場合には資本金を一億円にしなければならぬ。十億円集めたときには資本金を十億円にしなければならない。十億円にさえしておけば、一応合法的だというような今の取締り方針ですけれども、それ自身が、実際は資本金をそう大きくする必要も何もないのだけれども、貸金業法で非合法にならぬようにするために、株券一枚もいらぬような仕事に、実際は資本金を集めた額だけは資本金を増して行かなければならぬというふうなところも、実情に合わない。そういう意味で貸金業法も検討してもらいたいし、金利の統制についても、あまりに実情に沿わぬ金利をきめると、そこに別の金利価格が出て来る。それはなかなか防げるものではない。こういうような点もひとつ御参考にしていただきたいと思うのです。
ついでに伺つておきたいのは、きよう盛んに料理屋飲食店の連中が陳情に参りました。そうして地方税である遊興飲食税が国税に移管されることに対しても、もう全国的な反対陳情が行われておりますが、これは地方税の問題であれば地方行政委員会にかかるかもしれぬが、しかし国税にもし移管になるというなら、この委員会にもかかるのだろうと思いますが、大蔵省として来年度の予算を今盛んにやつておられることと思いますけれども、その場合に地方税の国税移管というようなことは、一応念頭において予算を組んでおられのですか、あるいはそういうことは全然なしに組んでおられるのですか。その点を伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/176
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177・河野一之
○河野政府委員 山本さんのおつしやる通り、金利論としてはおつしやるような点があるであろうと思います。ただ先ほどやみ金融と申されたのでありますが、これらの機関は、われわれは今まで金融機関でないと考えて来ておるわけでございまして、やみ金融もやみ金融でないもないので、商法で現在の法律では許されておることであり、相互金融でも別に金融法規に違反しているわけではないので、金貸し業については届出制になつておりまして、金貸し業の場合においては、日歩五十銭まで——裁判上は有効じやないかもしれませんが、そのところまではとることができることになつている。われわれはこれに対し検査の権限は持つていますが、これは預金類似の行為をしているかどうかという取締り的な意味でありまして、これを保護、育成するという意味において現在大蔵省が貸金業法の取締り法律を扱つておるわけじやございません。その点を御了承願いたいと思います。
それからもう一つの地方税の問題でございますが、これは地方制度調査会におきまして、入場税を国税に移管して、その九割程度を地方に還元するということで、一応答申になつております。現在の地方財政の状況からいたしまして、地方財源が非常に偏在いたしております。これらの税は大体いわゆる富裕府県に偏在いたしておりますので、税全体をならして貧弱な府県にまわしてやるというような考え方からすれば、国税移管というのは非常に通つた話ではないかというふうに考えております。せつかく地方制度調査会の御答申もありましたので、その方向においてそのことを考えたいと思つておるわけであります。まだ明年度予算の編成にまで立ち至つておりませんので、最終的な決定には至つておらぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/177
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178・山本勝市
○山本(勝)委員 二十九年度の予算の編成の場合に、今の遊興飲食税を国税として扱つて行くか、あるいは地方税として扱つて行くかということを念頭に置いてやらないと、組んで行けないものだろうと思う。そして私は、これを相当重大問題になると思う。ただいろいろ地方によつてへんぱだということを言いますが、これは何もその点だけじやなくて、もう日本全国至るところ、太陽のよく当るところもあれば当らぬところもあるし、冷害の多いところもあれば少いところもあるというわけで、ただそれだけの問題じやない。前には国税としてやつて来て、そこにいろいろな問題が起つて地方税となつた。これはただ利害の打算だけじやない、かなり痛切な陳情となつて出て来ておるのですから、もしこれをもう国税にわかつたと前提して予算を組んで出して来られても、こつちはやかましく言つてもう受けつけませんよ。だからもしそれならばそれでもつと深く研究されないと、国民は承服しないだろうと思う。これは重大なことを聞いたと思つて質問したのですが、時間も委員長も交代までということですから、今日はこれだけにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/178
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179・福田繁芳
○福田(繁)委員 私は千葉委員長にちよつとお教えをいただきたいと思うのです。ほかではありませんが、前国会において、管財局関係で枚方の工場の調査委員に、私外五名の者をあなたが御任命になつたのであります。それで前国会においては、御承知のああいつた予算的の折衝関係その他の関係で煩雑であつたために、ついその後調査報告書をお手元へ出すのが遅れておつたのです。同僚委員からも御注意がありましたので、即刻調査報告書をあなたのお手元に出したいと思うのですが、今からでもおそくないかというのが第一点と、私たち調査委員が調査して参つた報告書をあなたのお手元へ出しますれば、その報告書はどういう経路を通つて上へ行くかということをお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/179
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180・千葉三郎
○千葉委員長 お答えいたします。第一の、報告書を今から出してもおそくはないかという御質問でありますが、これは出していただいた方がけつこうだろうと思います。
それから第二に、手続といたしましては、委員長といたしましては、議長に報告するのが国会の手続上当然であろうと思いますが、その報告書を大蔵大臣なり、あるいは他の行政官庁に特に提出しろという希望があつたならば、またそういうことにはからうのがこれまた当然ではないかと思つております。しかしこれらの点につきましては、私は十分に研究が届いておりませんから、なお十分研究してお答え申し上げたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/180
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181・福田繁芳
○福田(繁)委員 よくわかりました。ありがとうございました。さつそくその当時の調査委員に一両日中にお集まり願いまして、調査書をつくつて、あなたの手元へ出すことにいたします。
そこで参考に伺つておきたいと思うのですが、そんなことはありますまいけれども、今まであなたの手元までに、われわれ調査委員の方から報告書が出たという例がありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/181
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182・千葉三郎
○千葉委員長 お答えいたします。枚方の調査報告書は、委員長の手元に届いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/182
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183・井上良二
○井上委員 実はかねて本委員会で国有財産の一部たる旧陸軍枚方造兵廠の払下げ問題に関連いたしまして、本委員会でいろいろな角度から究明をいたしました。当時本件は、まだ大臣の決裁を得てないところへ、その査定の見積りにおいてもいろいろ意見がございまして、そこでさつそく調査団を派遣をいたしまして、事実に基いて調査をする、そこで調査の結果、一応委員会としての報告を求めて、その報告は委員各位が賛成をされました場合、今委員長からお答えになりましたように、初めてこれが委員長の手元に提出されて、議長へ報告の手続がとられて参ると思います。しかるにその調査団の一員が自己の主観に基いた、また調査に基いた結論を出しまして、それをタイプに打つて、大蔵委員会の調査報告書なるものを作成して、これが署名入りで大蔵大臣の手元に提出されております。これは大蔵省の方では、本委員会がそういう調査報告書の作成をいたし、委員長及び議長の手元まで提出されたものという一つの認定に立つでその写しをもらつておる、こういう写しが大蔵大臣の手元へ来たという説明でございます。この写しの報告書に基きまして、大蔵省では大臣決裁のもとに、枚方造兵廠はすでに小松製作所に払下げ登記が完了をいたしてしまつたのであります。このことは本委員会の審議の権威の上からも、かつまたこの審議の経過において大蔵大臣は、決裁にあたつては慎重な態度で臨まなければならぬとともに、かつ国会の審議の上において、十分納得できる線で決裁をしたいと思う。なお内藤委員の質問に対しまして、国会が得心をする線に結論を出した場合、大蔵大臣は国会の意思を尊重するやいなやという点を質問いたしたとき、大蔵大臣は、国会の意思は、内藤委員発言通り尊重いたしますということまで明確に速記録に載つておるのであります。しかるにただいま申し上げますように、全然調査委員会における調査報告書の作成の手続がとられていないで、一部の委員によつてさようなことが行われたということで、貴重な国有財産がやみからやみに調印をされ、かつ払下げが完了をしたということは、これは国会の審議の上から、また本委員会の権威の上から非常に重大な問題であろうと思いますから、委員長において、しかるべくひとつこの問題を究明されて、十分その前後の事情を明確にされたいと思います。なおこれは御承知の通り、会期があと少ししかございませんので、緊急を要しますから、明日の委員会においてひとつ至急にお取上げを願いたい。なお明後日にその結論が出ますならばよろしい。出ません限りにおいては、私はこの問題を提起した責任者といたしまして、遺憾ながらこれは本会議で、大蔵大臣及びこの案文を作成しました人に対する緊急質問をいたすつもりでおりますが、明後日の本大蔵委員会で、お互いに納得の行く線で結論が出ますならば、委員会の名誉のためにも、私は本会議で問題にする必要はないと考えます。そういう手続が非常に遅れて、今国会もまたこれを見のがすということになつたのでは、いろいろ疑いが起つて参りますし、いろいろ問題を残すことになりますから、ぜひ本会議でこの問題は明確にしたいと考えておりますので、さような意味を十分お含みの上、何とぞ善処をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/183
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184・千葉三郎
○千葉委員長 本件につきましては、きわめて重大でございますので、明後六日中にこの問題を御期待のごとく解決したいと存じます。
本日はこの程度で散会いたしまして、次会は明後六日の午前十時半から開会することにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704629X00319531104/184
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