1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年十月三十日(金曜日)
午後一時五十四分開議
出席委員
委員長 井出一太郎君
理事 足立 篤郎君 理事 平野 三郎君
理事 金子與重郎君 理事 足鹿 覺君
理事 川俣 清音君 理事 安藤 覺君
小枝 一雄君 佐々木盛雄君
佐藤善一郎君 佐藤洋之助君
福田 喜東君 松岡 俊三君
松野 頼三君 吉川 久衛君
井谷 正吉君 芳賀 貢君
原 茂君 中澤 茂一君
日野 吉夫君
出席政府委員
農林政務次官 篠田 弘作君
農林事務官
(農林経済局
長) 小倉 武一君
食糧庁長官 前谷 重夫君
委員外の出席者
農林事務官
(大臣官房長) 渡部 伍良君
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
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十月二十九日
委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として平
野力三君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十日
委員原茂君、平野力三君辞任につき、その補欠
として井谷正吉君、中澤茂一君が議長の指名で
委員に選任された。
同 日
委員山本幸一君辞任につき、その補欠として原
茂君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
昭和二十八年における冷害等による被害農家に
対する米麦の売渡の特例に関する法律案(内閣
提出第一号)
昭和二十八年における冷害による被害農家に対
する資金の融通に関する特別措置法案(内閣提
出第二号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00219531030/0
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001・井出一太郎
○井出委員長 これより会議を開きます。
昨日本委員会に付託になりました内閣提出昭和三十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案、昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上三法案はいずれも冷害対策に関するものでありますので、一括して議題といたし、審査に入ります。
まず三案の趣旨について、順次政府の説明を求めます。篠田農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00219531030/1
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002・篠田弘作
○篠田政府委員 昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。
御承知の通り、本年は六月及び七月における北九州及び奈良、和歌山両県における大水害並びに八月及び九月における風水害によりまして、田畑が流失埋没し、保有していた米麦が流される等甚大な災害を受けた農家が多数生じましたのみならず、本年の異常なる気象により、広い地域にわたつて冷害の発生を見、米麦または雑穫の収穫量が著しく減収したため、飯用食糧にも事欠く農家を多数生じている状態であります。
〔委員長退席、金子委員長代理着席〕
ここにおきまして政府は、かかる農家に対しまして、その食糧の不安をなくするために、政府所有の米穀、麦及び麦製品を特別価格で売り渡し、他の災害対策と相まつて農家を救済し、農業の再生産確保に寄与いたしたいと考えまして、昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案を提案いたした次第であります。
次に本法案の骨子につきまして御説明を申し上げます。
まず第一点といたしましては、冷害を受けた農家または風水害等によつて災害を受けた農家に対しまして、米麦の売渡しを行おうといたしている点であります。昭和二十八年六月及び七月の大水害によつて災害を受けた農家に対する米麦の売渡しはすでに立法化され、八月及び九月の風水害についても、目下その法制化を準備中でありますが、それらの法律及び法律案のねらいは、大水書及び風水害によつて災害当時保有しておりました米麦について流失、毀損等の被害を受けた農家に対し、その不足を補填することにあつたのでありますが、本法案はそれらの災害によつて田畑が流失埋没し、作物が冠水し、または冷害等のため、その生産する米麦または雑穀の生産が著しく減収したことによつて、飯用食糧が著しく不足を来した農家の救済をはかろうとするものであります。
第二点といたしましては、本法案によりまして米麦の売渡しを受ける農家は、その生産する米麦または雑穀が冷害等によつて著しい減収を来し、そのため飯用として消費する食糧が著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けることといたしております。
第三点といたしましては、困窮した被害農家の救済をはかるため、被害農家が米麦を生産者価格程度の価格で購入できるようにはかつておる点であります。
第四点といたしましては、政府は、都道府県及び市町村を通じて被害農家に米麦を売り渡すことにしておる点でありまして、これはなるべく被害農家の米家の購入が立法の趣旨に沿つて行われるようにはかつておるのでありまして、政府、都道府県、市町村が一体となつて農家の救済を期しておるのであります。
以上提案理由の概要を申し上げました。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次に、ただいま提案になりました昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案の提案の理由を御説明申し上げます。
本年の農作物の成育期における異常な低温障害並びにこれに起因して発生した病虫害のために、水稲その他の重要農作物の作柄がきわめて悪く、収穀期における農家の現金収入は平年に比し相当下まわることが予想され、冷害を受けた農家の経営の維持の上からきわめて憂慮すべき事態に立ち至つていることは各位の御承知の通りであります。政府はこの事態に対処して、一方において種子及び飯米の確保等に特段の措置を講じますとともに、冷害地帯における公共事業費の増額、炭がまの設置費等に対する国庫補助等により、被害農家の現金収入の不足を補填する措置を講じようとしているのでありますが、さらに被害農家が今後その農業経営を維持するのに必要とする営農資金、副業資金等が円滑にかつ低利で融通せられるための措置を講じ、もつて被害農家の経営の安定をはかる目的をもつてこの法案を提案したのであります。
次に本法案の内容の概略を御説明申し上げます。
まずこの法律案による資金の借入れを受け得る農家は、冷害及びこれに起因する病虫害のため平年作に比し三割以上の農作物の減収をこうむつた農家であります。これに対して貸し付けられる経営資金は、種苗、肥料、飼料等の購入資金のほか、副業資金その他農業経営を維持するため必要な資金を含んでおり、貸付金額は、内地では十五万円、北海道では二十万円の範囲内とし、償還期間は五年以内で政令で定めるものとし、利率は減収の特にはなはだしい町村または開拓地区では三分五厘、その他の地帯では六分五厘でありますが、特に開拓地では五分五厘といたしております。
〔金子委員長代理退席、委員長着席〕
被害農家に対する資金の貸出しは農業協同組合または金融機関から行われ、農業協同組合はさらに都道府県信連または農林中央金庫からの借入れに仰ぐことができます。そこで都道府県または市町村が、これら金融機関に対し利子補給及び損失補償を行う場合に、国がその経費の一部を都道府県に対して、補助しようとするものであります。利子補給の率は、経営資金の貸出し利率に応じて、都道府県または市町村が年五分ないし年八分を補給した場合に、国はそのうち年二分五厘ないし年五分五厘に相当する額を補助し、損失補償については、都道府県または市町村が融資総額の百分の四十までの補償をした場合に国がその二分の一を補助することが定められ、国の補助の対象となる融資の総額は百五十億円を限度としております。
以上がこの法案提出の理由並びに内容の概略であります。
何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
次にただいま提案になりました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。
農業、林業、漁業の生産力を維持増進するために必要な長期かつ低利の資金を融通する機関として農林漁業金融公庫は、本年四月一日に発足して以来、土地改良事業、林道事業、森林の立木の伐採調整、漁港修築事業等の長期資金の貸付を行つており、すでに相当の貸付成績を上げている次第であります。
すなわち本年度における同公庫の貸付に充てられる資金としては、当初予算において、一般会計からの出資金百八十億九千三百万円、資金運用部からの借入金五十億円、償還金十億円、合計二百四十億九千三百万円が計上され、貸付計画に従い順調に貸付を行つているのでありますが、今次の冷害に伴い、ここに新たに貸付資金を増加する必要が生じたのであります。
すなわち本年は異常な冷害のため、農作物の相当の減収が予想され、農家の現金収入の不足を来し、冷害地帯の農家の経営を維持する上においてきわめて憂慮すべき事態となつていることは各位の御承知の通りでありまして、政府はこの事態に対処して諸般の対策を講じようとしておりますが、その一つとして冷害地帯に新たに土地改良その他の救農土木事業を起し、これらの事業からの労賃収入によつて被害農家の現金収入の減少を補おうとしているのであります。しかしてこれらの事業の事業費の一部を地元が負担する場合におけるその地元負担分についてはこれを農林漁業金融公庫において融通するものとし、これに充てるため同公庫の資金を増額する必要が生じたためここに同公庫の資本金を十億円増加し、本年度内において十億円の追加出資を同公庫に対して行おうとするものであります。
以上がこの法案を提出した理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00219531030/2
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003・井出一太郎
○井出委員長 これにて提案理由の説明は終りました。
本会議が開かれておりますので、暫時休憩いたします。
午後二時九分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00219531030/3
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