1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年十一月二日(月曜日)
午前十一時三十四分開議
出席委員
委員長 井出一太郎君
理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君
理事 平野 三郎君 理事 金子與重郎君
理事 足鹿 覺君 理事 川俣 清音君
理事 安藤 覺君
生田 宏一君 川村善八郎君
小枝 一雄君 佐々木盛雄君
佐藤善一郎君 佐藤洋之助君
助川 良平君 福田 喜東君
松岡 俊三君 松野 頼三君
松山 義雄君 加藤 高藏君
楠美 省吾君 井谷 正吉君
木原津與志君 芳賀 貢岩
中澤 茂一君 日野 吉夫君
中村 英男君
出席国務大臣
農 林 大 臣 保利 茂君
出席政府委員
農林政務次官 篠田 弘作君
農林事務官
(農林経済局
長) 小倉 武一君
農林事務官
(農地局長) 平川 守君
食糧庁長官 前谷 重夫君
委員外の出席者
農林事務官
(大臣官房長) 渡部 伍良君
農林事務官
(農業改良局
長) 塩見友之助君
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
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十一月二日
委員佐々木盛雄君、松野頼三君、松山義雄君、
吉川久衛君、山本幸一君及び大橋忠一君辞任に
つき、その補欠として生田宏一君、助川良平君、
川村善八郎君、楠美省吾君、木原津與志君及び
中村英男君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
昭和二十八年における冷害等による被害農家に
対する米麦の売渡の特例に関する法律案(内閣
提出第一号)
昭和二十八年における冷害による被害農家に対
する資金の融通に関する特別措置法案(内閣提
出第二号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三号)
市町村農業委員会の委員及び都道府県農業委員
会の委員の任期延長に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第六号)
冷害対策に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/0
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001・井出一太郎
○井出委員長 これより会議を開きます。
この際、芳賀君、川俣君、足鹿君より発言を求められております。順次これを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 私はこの機会に、今次の臨時国会の持つ性格というものは、風水害並びに冷害の対策を中心とした、いわゆる救農国会のごときその主体性のもとに開催されておるという事実の上に立つて当農林委員会が去る十月の二十日に、超党派的の委員会としての決議を行いまして、この二十四項目の具体的な実施と、これが予算的な措置は、農林省所管において少くとも百千億を必要とする、さらに所要の融資は二百億を下らないという、この党派を越えた最低の限界の上に立つた農林委員会の議決が、今日の段階において、どのような権威と真実性を持つておるかという問題と、さらにすでに国会の審議は、予算委員会等においてこの問題が論議されておるわけでありますけれども、この国会の全期間を通じてこの農林委員会の持つ超党派的の議決が最大の効果をいまだに持つておるかどうかということについて、いささか質疑を行いたいと思うのであります。
当農林委員会といたしましては、十月の三十日に、農林委員会の決議の名のもとに、農林委員長を通じて政府当局に、冷水害等の諸般の問題を緊急に解決するために救農国会を召集すべきであるという申入れを行つたわけであります。その後当委員会は、ほとんど閉会中における時間を返上したるごとき形におきまして、全国的には二度にわたつて、冷害等の具体的な現地の実情を調査するという意味において委員の派遣を行いまして、最終的には十月の十六日から二十二日にわたる約一週間の委員会において集約されたものが、あの十月二十日における農林委員会の議決の線であるというふうに、私は確信しておるわけであります。その場合における超党派の一つの限界でありますが、もちろん国政全般にわたつて、各党が党派を越えて行動するということは、これは不可能であります。しかしながら緊急を要するというこの限界の上に立つた場合においてしかも今次の稀有の水害あるいは冷害凶作をどういうふうに処理すつるかというこの局限された問題の上に立つた場合においては、事の緊急性の上に立つた場合不可欠であるという一つの限界の上に立つた場合におけいわゆる超党派の性格というものは、決してこれは不可能でないという約束の上にわれわれは立つたのであります。このような一つの了解と全体の責任の上に立つて、あくまでもこの最低の決議の線を実施するという、かかる道義的な拘束を受けて、われわれはこのことを所属する各党に最も速急に参透することに努めると同時に、でき得べくんばこれが政府の原案として、このような根拠のある原案が提出されることに対する最大の努力をするということが、その後に起きたわれわれの行動の上における一つの責任であり、義務であつたわけであります。
具体的には、今度の救農国会に対するわれわれの要求は、この何十年来の風水害あるいは冷害のこの災害を、一日も早く復原する措置を講じなければならぬという問題が一点。その次には、このような農業に与えた異常なる災害が与えた農民に対する犠牲に対して、国が施策を通じて、どのように国家的な立場からこれを補償するかという問題が二点。次には、このように大きな災害に見舞われた、通常においても底の浅い日本農業の脆弱性に与えたこの災害というものは、端的に言えで農業生産力に対する一つの崩壊であります。これをどうするかという問題がその三点であります。かかるわが国の貧弱なる農業の持つ宿命的な性格の上に立つてこれを食糧増産の緊急性と農業生産力の崩壊を防ぐという、この三つの要件の上に立つてわが農林委員会の二十四項目にわたる決議と、これが裏づけとなるところの予算的措置は、各党の最大公約数の上に立つた、しかも統一されたる最低の限界であるということを出ずることはできないとい確認の上に、われわれはいまだ立つておるわけであります。このような決議の上に立つて、当農林委員会を代表して井出委員長は、災害対策本部長であるところの緒方副総理に対して、かかる委員会の決議をもとにした申入れを行つて、もしも政府が原案の中にこのことを表現しない場合においては、われわれは当然国会の審議の中において修正するであろうという決意を、委員長は必ずや表明されたことと私たちは信じておるわけであります。かかる表明が現在の段階まで持続されておる場合においては、われわれは何らここに疑問を持つ必要はないのでありますけれども、しかしながらその後における自由党、あるいは改進党、鳩山自由党の保守三派の諸君の動きというものは、このわれわれが一つの血盟の盟約をしたがごとき、ほんとうに農林委員会においてお互いが農民の立場を認識しておるその良識の上に立つて、命を張つてもやらなければならぬ、獲得しなければならぬという問題に対して、非常に中心を逸脱したような動きがその後展開されたのであります。政府がこれを原案として提出しなかつた場合においては、われわれは当然超党派の形においても、かかる可能なる限界の上に立つた約束に基いて、当然国会の審議の中において、このことの実現に当り得る権限と責任を持つておつたはずであります。しかも一部の党派だけが、この農林委員会の議決の線を、あるいは武器に使つたかもしれませんけれども、まつたく逸脱した形において、今度の国会におきましても、先日の本会議におきましては、政府が出した原案をさらに政府が原案を修正して提出するということについて許諾を与えるようらことになつたのであります。まつたく国会の審議の過程を通じて論争せられなくて、国会の外においてこのような暗い取引が行われたというこの事実に対して、われわれはいまだに釈然とすることができないのであります。そういう場合において、なぜそれ以前にこの権威を持つたところの農林委員会の超党派的の決議の取扱いについて、いかにするかということをまつたく失念したこの動きを、どういうふうに始末をつけるかということは、いまだに残された問題であると思うのであります。しかもそのことは委員長もこれを傍観されておつたように思いますし、われわれ社会党両派もこのことにはまつたく関知しておらないのであります。ゆえに今日こそこの経緯の内容ついて、われわれは熟知するということが当然われわれ国民から選ばれた者としての責任であるというふうにも感じておりますので、このことについてまず私はお伺いしたいのであります。しかも政府が原案を修正して出した実態を検討した場合においても、決してこれはわれわれの満足するものではないのであります。当委員会の要求した農林省所管の必要経費は百十億、これに比べると実に十五億まだ不足しておるわけであります。しかも融資によつてこの危機を切り抜けなければならぬというその二百億の線に対しまして、政府の提出しておる原案は百五十億であります。
もう一つは今度の予算を編成する場合において、政府は経費の節約を行うという意味において、農林省所管の公共事業費、食糧増産費等を中心として、二十七億の節減をしているわけでありますけれども、このような欠くことのできない経費を節減する、このことに対しても、われわれは決して了承を与えておらないのであります。このような取残された問題、しかも重要なる問題をそのまま放置して、保守三派の諸君がこのようなとりきめを行つて、しかも政府原案に対して責任を持たなければならない。この原案を通過するために責任を持つようなことになつたこの内容に対しても、われわれはまつたく解釈に苦しむものであります。井出農林委員長は、あるいは全国の町村長大会においても、あるいは全国の農業団体の代表者の大会に出席された場合においても、当農林委員会を代表する委員長の立場において、われわれ農林委員会においては超党派的にこの決議の線をあくまでも死守して、被害地の自活体、あるいは罹災農民の諸君に対しては、断じて御迷惑をかけるようなことはしないということを、常に繰返して明確に表明されたのであります。このことは当然われわれ委員会全員の責任において、委員長の対外に対する表明を支持し得る一つの具体的裏づけをすることに重大なる責任を持たなければならぬと感じているわけでありますけれども、この点に対してもまつたく責任のあるような行動がとられておらないという事実であります。こういうことになりますと、まつたく当委員会が提唱をして、救農臨時国会を一日も早く緊急性と不可欠性の上に立つて開かなければならないとして召集を要求した、この救農国会の実体というものが、まつたく救農らしくない形に変貌しつつあるのであります。これをわれわれは確認しなければならない。いまだに国会は審議の過程にあるわけであります。両院において政府の原案は通過しておらぬのであります。この重大なる段階の上に立つて、われわれはさらに当農林委員会の決議を再確認して、最初に出発したあの基本的な立場の上に立つて、今国会においてこのことが必ず貫徹できるように、超党派的に活動を開始するという信念の上にもどらなければならないというふうに、われわれは感じているわけでありますけれども、これに対する御所見の表明を願いたいのであります。
残余の問題は一応委員長から発せられるところのお考え、あるいはまたこれに関連して各党の代表の諸君におかれまして、もしも発言する御意思がある場合においては、それを十分に承つて、さらに質疑を進めたいと思うわけあでります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/2
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003・井出一太郎
○井出委員長 芳賀委員に申し上げけすが、委員長の所見は後ほど開陳したいと思います。ただいま保利農林大臣が、予算委員会との関連がございまして、時間が非常に切迫しておりますので、とりあえず政府側の見解をこの際承つておきたいと思いますが、それでよろしゆうございますか。——川俣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/3
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004・川俣清音
○川俣委員 議事進行について。大臣が予算委員会に出席せられるということでありますが、農林委員会は休会中にもかかわらず真に打込んで農業政策を樹立するために努力いたしておることは、大臣お認めのはずであります。もちろん今国会において、予算委員会に出席される義務を国務大臣として負つておられることは当然でありますが、もし農林委員会と協力して、今後保利農政を進めて行かれようとするならば、もう少し農林委員会に対しましてもできるだけ努められる意思がなければ、農林委員会としては今後審議の上に大きな支障が来るということを、十分委員長から御警告になつて、御退席になるならばその警告を受けて御退席になることを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/4
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005・保利茂
○保利国務大臣 だんだんの芳賀さんの御意見ごもつともだと存じます。また川俣委員の御警告も十分了承いたしております。私といたしましては、決して農林委員会をおろそかにするなどという考えは毛頭持ちません。時間の許します限り、率先勉強いたす考えで終始参つておるわけであります。この六、七月の大水害以来、相次ぎまする水書災害に対しましては、各党の超党派的、構成になりました水害対策委員で、長い間御活動いただき、今回の東北からかなり広汎に関東、北陸、東山各地に及びました冷害地に対する対策につきましては、当農林委員会におきまして、休会中にもかかわらず、あるいは当委員会をしばしば開会せられ、あるいはみずから現地の御調査に御出張をいただき、各党あげて冷害対策に御終始をいただきましたことは、私の深く感謝にたえないところでございます。その結果決議をせられました農林委員会の御決議に対しましてはその線は私もまたひとしく憂うる線でございますから、私といたしましても、全力をささげて、この委員会の御趣意に沿うべく努力をいたしたのでございますけれども、微力、十分なる御期待に沿うことができなかつたことはまことに遺憾に存じております。しかしながら、さらに当委員会の強い御要望やあるいは御活動によりまして、政府みずからさらに冷害対策として四十五億の、追加を修正計上いたしたことは御承知の通りでございまして、これをもつてあるいはいまだ御満足に行かないかとも存じますけれども、幸いにこの予算が成立をいたしますならば、御審議中の各法律案の成立をまち、その運営とともに、事務当局を督励し、また各般の処置につきましては、当委員会の御趣意を十分尊重いたしまして、万遺憾なきを期して参りたい。特に前委員会でも申し上げておりますように、今回の凶作がかなり広汎な地域にわたつており、全国の農家経済に及ぼす影響もきわめて私は深刻な様相を持つものと思います。と申しますことは、冷害地に対しては、冷害地と比較的凶作度の薄い地帯との農家経済のでこぼこというものは、相当幅の広いものがあると思うわけであります。凶作係数をもつとどんどんとこう言われる一面において、しからばそれで冷害地の農家が一体助かるかということも、そこに矛盾を感ずるほど私はでこぼこがあるだろうと思う。従いまして、あるいは営農資金あるいは農業共済あるいは今回の冷害対策等、私どもといたしましては、事務当局を督励いたしまして、そういう凶作度の高い地帯に重点的に施策をいたし、そうして当委員会の御趣意に沿うように努力をいたす考えでおるわけでございます。いろいろ御不満の点につきましては、まことに遺憾に存じますけれども、どうかこの上とも今回の深刻なる冷害に対応しますため、すみやかに対処できまするように、さらにひとつ当委員会の御協力を切望してやまない次第であります。一応芳賀さんの御意見に対しまして私の考えを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/5
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006・井出一太郎
○井出委員長 川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/6
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007・川俣清音
○川俣委員 私、農林大臣に対する質問がありますけれども、芳賀委員がまだ続行したい点があるそうですから……。いつも私の大臣に対する質問の場合は、途中で逃げられるのです。途中で逃げられれば何にもなりませんから、十分時間のあるときに質問したいと思います。もうまた時間切れだというようなことで、途中で逃げられるならば、これは何にもなりません。どうぞ時間の十分あるときに留保いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/7
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008・井出一太郎
○井出委員長 では芳賀君、最初の決議の原則的な取扱いから進められるように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/8
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009・芳賀貢
○芳賀委員 大臣が非常にお急ぎのようですから、順序が狂いますけれども、大臣に対する質問を行います。農林当局は、今度の予算の中で、農林漁業公庫の出資をさらに十五億追加した。そうすると合計二十五億ということになるわけです。これはああいう限られた予算の中で、なぜ公庫の出資だけをあのようにふやさなければならぬかという問題が出て来るわけです。最初は大体十億あれば間に合う、しかもこの農業共済保険金の支払いの場合においても、この臨時国会の中においては六十九億何がし約七十億程度あれば一応の切抜けはできる。残余の額は、できるだけその予算的な金額が、
直接に被害地に対して流れるようにしなければならぬ、というような当初の方針であつたというふうに考えられるわけであります。ところが今度その百三十億の農業共済保険関係の分から、四十五億の削減を行つて、冷害対策費の方にまわした。そのうちの三分の一を公庫の出資にしておるわけでありますが、これらの出資は、通例からいいますと、たとえば土地改良等をやつた場合において今度の場合においては、補助率が五割以内のはほとんど五割の限界まで引上げになるわけです。そうすると土地改良事業等に対しては、五割の助成がいる。あとの五割の分に対しては、その八割程度は公庫等を通じての融資が行われるわけであります。そういたしますと、これはこの公共土木関係の事業、それらを中心として不足する経費を地方の団体に流すための財源になると思うのであつて、結局どの程度にその土地改良を初めそういう実際に必要な融資の所要額が出て来るかという、その計算の上に立たないといけないと思うのです。ただ四十五億のうち、一応いずれ公庫の出資というものはふやさなければならぬからして、これをまず先にとる。そしてあとの三十億は災害の予備金にまわすというような、ああいう一夜づけの考えというものは、われわれはまつたく了承に苦しむのであります。農林省においては、第一次案としては大体農林省関係だけの冷害予算を、百億程度のものを試算されたことがあるわけなんです。そういう場合においても、ああいうような公庫の出資というものは出て来ておらぬわけでありますが、問題は、この冷害地に対して一日も早くどういうような手を打つかということと、どうしたならばこの救農の名にふさわしいような施策が講ぜられるかということにあると思います。それで、原案より四十五億ふえるということには別に反対するものではありませんけれども、その使途に対してどうも自信のないように、当てにしない金が預けられたというような、主体性のない形で農林当局はこれの消化に当らなければならぬというようなお気の毒な面が非常にあるのではないかと思うのでありますがこれに関する大臣の御所見を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/9
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010・保利茂
○保利国務大臣 そういう御疑念があつたろうかと思いますが、今芳賀さんもお話のように、とにかくすみやかに手を打たなければいかぬ、各被害地の町村ですみやかに計画を立てて、すみやかに実施ができるようにしなければいかぬじやないか、これが冷害対策の一番かんじんなところだと私は思う。国でそういう補助をしても、地元は一体どうするか、もたもたしておつて、そうして日を延ばして行くようなことでは、今日の実際の急場の被害農民の要請にこたえることはできないと私は思う。従つて、町村ですぐ立ち上つて、客土をやろう、あるいは土地改良をやろうというようなことをすぐやれるようにしますのには、地元負担の関係に対して十分なことを考えておかなければいかぬじやないか。それともう一つ、十五億にいたしておりますのは、これはいろいろ御意見もあろうかと思いますけれども、たとえばこの前の委員会のときもそういう要請が強うございましたのと同じように、たとえば伐調資金の問題を全然考えていないということで、これはもう東北その他の地方の一致した要望であるわけです。また国有林当局としても、これは非常にほしいわけです。少くともその中から三、四億円は伐調資金に融通する、これはまたその面からする大きな冷害対策です。そうしますと、当初提出いたしておりました中で、いわゆる救農土木というものは大体三十億、今回の四十五億追加のうちの十五億はこの公庫出資、残り三十億のうち、私どもとしましては、二十億くらいを救農土木に追加をしたい。そうしますと、五十億で、五十億の救農土木の補助をそこに計上しておるわけですから、そうしますと、町村営のものは——そんなことは芳賀さんに申し上げるまでもなく、地方起債でやつていただく、国体でやつていただく、公庫出資の融資の対象となるものはおよそそのうちの五割なりあるいは四割くらいではないか。五割とすれば、五十億の五割、二十五億に対する八割でございますから、これをもつてしましても、決して公庫融資に余裕があるというわけには参らぬ。それがご承知のように、従来公庫のわくが少ないために、実際はその地元負担の八割を融資するとなつておりますけれども、現実にはそう行かない。そこでやはり事業が停滞して来る。そこでこの冷害地につきましては、額面通りにかくYつて、そうして地元に仕事のしやすいように、起しやすいようにやりたいというのが趣意でございますから、そういうふうに御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/10
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011・芳賀貢
○芳賀委員 私の最初に指摘したい点は、けさの新聞に出ておるのです。四十五億の使い道をどうするかということを、保守三党の代表者の諸君が集まつて、大体その振割りをして、何をどれだけというにうにきめたということが出ておるのです。しかしそれが農林当局の主体的な立場に立つて、大臣が中心になつて、そうなればこうするということがきめられた場合はまだ了承できるわけですが、まつたく大臣の関知されない場所においてそれがきめられて、おそらく予算委員会等にまた大臣は出席して、この金はこういうふうに使いますということを、自信をもうて言われるかもしれませんけれども、すでにもう国民の前には、農林大臣が介在しないで、この使い道はこうするのだということが、政府の原案としてでき上るというこの事実なんです。こういうふうな、まつたく根拠のない、主体性のない立場の上に立つて農業政策が今まで進められて来ておるということは、ここに非常に後進性があり、脆弱性があるわけです。この今度の国における農林予算がまつたく貧弱であるということは、結局農業政策の政府の敗北なんです。自分で担当してやる意思がない。だから、よその方から押しつけられて、それを自分がでつち上げたような顔をして説明しなければならぬという大臣の苦労は、私は察しているのです。あのようなことではたして満足されているかどうか、限られたわずかの金を最も有効適切に使うということも、また消極的であるけれども、大臣のお仕事であるというふうに自分たちは感じているわけです。そういう四十五億の使い道さえも、介入するすきを与えてもらえないというような立場における大臣のお考えを農林委員会を信頼されているということを先ほど言われたので、ひとつお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/11
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012・保利茂
○保利国務大臣 御批判はまあ伺いますけれども、農林当局が、あの三十億の中の使い方四十五億の割振りについて全然関与していない、ただもうすえぜんだというようなものではございません。農林当局の意向も十分聞いていただき、また当農林委員会の御趣意の存するところも十分尊重していただいてこれはきめて行かなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/12
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013・川俣清音
○川俣委員 ちよつと関連して。今の大臣の答弁はどうも私はふに落ちない。というのは、前に閣議に出された救農工事は約五十三億であります。五十三億のときには公庫の出資が十億でよくつて、今度は五十三億より減つて来て、公庫の出資は十五億さらにふやさなければならぬという根拠がわからない。一体それでは前には町村が困つてもかまわないが、今度は町村が困るから、早く執行させなければならぬためにあらためて十五億を足す、こう言われるのですか。それでは前の農林省が計画された五十三億のときには十億でよくつて、そのときには町村の方が仕事が遅れてもかまわないという予算であつたのですか。今の大臣の答弁だと、どうしてもこれだけの所要量の救農工事をやらせるとすると、もう十五億出資しなければ、伐調資金の三億や四億は別にしまして、あと残りの十二億なり十一億を問題にいたしますが、それは前よりも減つて来たのにもかかわらずなお十一億足さなければならぬ、十一億足さなければ町村がすみやかに工事に着手することができない、こういう御説明ですね。これはどうもおかしい。前のときはもつと多かつた。五十三億のときは十億でいい。今度加えられてあるいは五十億未満になるか、五十億内外でしよう。そのように減つて来て、今度はさらに町村にどうしても必要であるから、公庫に十一億足さなければならぬというのは、どうも意味がわからないじやありませんか。前の方がずさんであつて、今度の方が正確である、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/13
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014・保利茂
○保利国務大臣 前のはむろんそれは足りませんよ。足りませんのは、預金部の融資を考えておつたわけです。それは御承知のように、財源関係、預金部の資金関係から、きのうも大蔵大臣がだんだん説明しておりますように、かすも残らぬというような状態になつておりますから、それに期待することはできない。従つてこれをふやし、事業の遂行を妨げないようにいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/14
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015・川俣清音
○川俣委員 それでは何もふやしたことにならない。前はちやんとそれだけ使うことを予定されておつて、内容はそうだつた。今度はふやしたような顔つきをするけれども、それもただ預金部から持つて来ることはできないから、表面づらに出しただけです。そうすると、何もふえたわけじやない。あなたは何か前よりも非常に努力してふえたような顔つきをされるけれども、顔つきだけで内容は前と同じだ、こういうことになるのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/15
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016・保利茂
○保利国務大臣 それでは幾らその預金部資金を使おうという話までにはなつていないわけであります。それは私どもこれから努力することによつて使つて行こう、こういうところは全然それが期待ができない、こういう状態でございますから、この救農土木を円滑にやつて行くためには、これだけのことを確保しなければできない、こういうことになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/16
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017・川俣清音
○川俣委員 それじや前の案は自信がなかつた、実行力を伴わなかつた案を閣議に出された、今度は幾らか実行力のある案にかえた、こういう意味ですか。それならばそれでもよろしいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/17
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018・保利茂
○保利国務大臣 むろんそういう意味ではございません。私どもとしては、当委員会で御心配になつておりますように、冷害対策については全力を傾けて行くつもりであります。むろんそれはそれでございますけれども、一方においては災害予算の方で三百億でありましても、あの極限に融資を利用するということになつておりますから、そつちができないということは当然のことじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/18
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019・川俣清音
○川俣委員 それは違う。私はこれで足りるとか足りないとかいう議論を午後にやるつもりです。ただ大臣の芳賀委員に対する今の御答弁を分析すると、前の方が自信がなくて今度は相当自信ができた案だ、こういうふうに聞きとれるので、その点をお尋ねしているわけです。その点だけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/19
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020・保利茂
○保利国務大臣 今回の予算は、地元で救農土木をやられるにつきまして、地元負担を軽減して行くためには確実に裏づけされている予算である、こういうふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/20
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021・川俣清音
○川俣委員 根本論は午後にまわしますが、そうすると前の案は予備金から借り受けることを予想しておつたけれども、それはできなくなつたので、その案を廃案にしてあらためて計画された、こういうことになるのですか。そうすると、この案も一週間か二週間すると、また自信のないような案になるということもおそれられるのですけれども、その問題については午後にやります。今関連質問ですから、あまり時間をとることは遠慮いはしたいと思いますが、どうも前の案は自信がなかつたんだ、今度は少し自信ができた案だし大した自信じやないけれども、少し自信ができた案だ、こういうふうにより受取れないのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/21
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022・保利茂
○保利国務大臣 この修正いたしましたことによりまして、確実に救農土木事業の裏づけはできます。前のことについては先ほど来申し上げておる通りでございますから、それをいかように御解釈されようと、それは川俣委員の御自由にお願いするよりはかなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/22
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023・芳賀貢
○芳賀委員 先ほどの大臣の御答弁の中で、残された問題があつたと思いますが、農林委員会の決議によつて要請したところの農林省所管だけで百十億は必要である、融資の二百億は必要である、これはもちろん各党の一つの最大公約数のうちから出て来たので、たとえばわが社会党における納得する数字ではないわけです。各党の一つの最大公約数の上に立つて考えた場合においても、これだけは譲つておらぬ線です。それは具体的に予算的に措置した場合においても、決して今の政府に対して致命的な打撃を与えるようなものではない、非常に微温的なものです。しかも五百十億のわく内においてもこれはやりくりができる問題であつてたとえば農林当局は、この緊急を要する予算の範囲内においては、約七十億の共済金の支払いが見込まれれば大体急場は間に合うというお考えの上に当初は立つておられたと思う。そうすると百三十億の政府の予算から見ると、六十億の余裕があるわけです。それを純粋の冷害対策の方へ移せば、大体総額において百三十億という数字は出て来る。今残つておるのは大体八十五億です、だから七十億で間に合うとすれば、もう十五億あれを削つて、そうして四十五億ふえるのをなお六十億に直しても、あの九千九百九十九億のわく内においてこれはやり得るわけです。だからそういうことは一応そこまで押されればできるという一つの見通しのもとに、政府はああいうような案を組まれたというようにわれわれは見ておるわけです。だから農林委員会の議決は、そこを強く押して行けば大体実現性はあるという、その可能性の上に立つてわれわれは今まで考えておつたわけでありますが、この点はおそらく大臣としても、最終段階はそうなることを御希望になつておつたと私は考えておるわけでありますが、その点を端的にお話願いたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/23
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024・保利茂
○保利国務大臣 私は当初農業共済繰入れは六十九億余でよかろうじやないか、その他に財源のあるものはみな冷水害対策にまわしてくれということを主張しておりました。しかしそうすれば約六十億以上の共済保険の支払いに要する融資はどこからするか、預金部にはこういうわけで金がない、特別会計て借り入れる方途はないそういう無理なことをするその借入れ方途が大きなインフレ要因をなすからということで、閣議で一致して、一応農業共済保険は支払うことに困難でないように一般会計から繰り入れようということが、あの当時出しました予算であつたわけであります。でございますから私どもとしてもまず何といつても農業共済の支払いを確保するということは、これはもういかなる手段を講じてもやらなければならぬ。しかし私どもとして一番安心の行くのは、一般会計から繰り入れてもらう処置が一番安心の行く方途です、従つてそれに対して私ども何も反対する理由はない。しかしだからと申しまして、一旦閣議でそういう諸種の事情を勘案して農業共済に無理な融資をして支払うというような措置はとるべきでないという決定をいたしております以上、私はやはりその意見に従わざるを得ないわけであります。しかし諸般の事情でこの中から四十五億削りとつた、その四十五億については、これはもう無理があつても融資その他の措置をもつて支払いに応じて行かなければならぬ、これは必要やむを得ないことでありますからやるわけであります。だからあとの十五億も削りとつてよいじやないかという御意見にはにわかには賛成いたしがたい、こう申すわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/24
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025・芳賀貢
○芳賀委員 ではこれは保留します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/25
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026・井出一太郎
○井出委員長 先ほど芳賀委員から委員長の所見をただされましためで、この際簡単にお答えをいたしたいと考えます。
当農林委員会において、この休会中といえども連続委員会を開きまして、差迫つた冷害の諸対策に関しまして慎重な御審議をいただき、かつは冷害地全般の視察にあたりまして委員各位の御熱心な御足労を煩わしました点は、私も感激の気持をもつて今日に至つておるのでございます。私自身も、あるいは東北の山野に臥してひえのだんごをいただきながら、現場の実態を見て参つた一人でございます。それが最終的に結集いたしました線が救農国会の要求となり、かつは超党派的にとりまとめのできました予算措置百十億、金融措置二百億、こういう線に集結をいたしたわけでございます。これに至りますまでにも、各党各派それぞれのお立場がございますので、互譲の精神を発揮せられまして、きわめて円満に超党派的なこの決議案ができましたことも、先ほど御指摘の通りであります。これをひつさげて、でき得るものならば、政府が今国会へ提案される予定でありまするところの補正予算の中に、農林委員会の意向を十分にくみとつてもらいたい、こういうために、あるいは大蔵大臣、あるいは農林大臣をそれぞれ鞭撻をして今日に至つたことも、御承知の通りであります。また参議院の農林委員会とも連絡をとりまして、片柳参議院農林委員長と相ともに緒方副総理をおたずねしましたことも、一再ならずございました。そのようなわけで、本委員会の権威にかけて、所期の目的を貫徹いたしたいと、でき得る限りの協力を今日まで払つて参りたつもりでございます。しかしながら、政府の当初提出されました案は、われわれの目的とははるかに遠いものでございまして、まことに不満の情やる方ないものがございました。このままでは相ならないと考えまして、委員会の総意をになつた意味において、さらに政府を鞭撻することに努めて参りましたが、その結果はきわめて残念でございましたが、いわば国会で審議をすべき形がゆがめられたというような線においてただいま芳賀委員の御指摘のような政府再修正ということになつて出て参つたような次第でございます。この点はもう私としてはただただ遺憾であるという以外になく、またこの間に処しまして、委員長まことに微力であつて、委員各位の超党派的な御期待にこたえ得られなかつたということを、平におわびを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/26
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027・芳賀貢
○芳賀委員 委員長のただいまのお言葉がありましたが、なぜ農林委員会が政党政治の原則に立ちながら、超党派的の決議をしているかということは、これは農林委員会においては、少くともこの国会の中において、わが国の農業に対する諸事情にはある程度通じておるという良識の上にこれは立つておると思うわけであります。そういう場合において共通する考え方というものは、非常に今の国政の中における農業の政策、これが非常に遅れておる。遅れておるというよりも、むしろ放置されておるという状態に置かれておる。この的確なる把握の上に立つた場合において、どうしても農林政策をもう少し党派を離れた立場に立つて考えた場合においても、推進しなければならぬということは、これは底流をなす考え方であるというふうに思うのであります。それで今までの農林委員会等におきましても、できるだけお互いが協力し合つて、そうしてしかも政府の内部においても農林省の理力というものは、常に大蔵省当局の権力的な支配に屈して、何ら物事が進んでおらぬという弱体性をバツク・アツプするという意味においても、われわれは鞭撻もして来たいと思うわけであります。そういう意味における農林委員会の当然行うべき任務という上に立つてこそ、この超党派的な一つの公約数が生まれたという原因が一つと、もう一つは、何としても現在の井出委員長の持つておる一つのセンス、人間性の上に立つたみんなの結合というものが、こういうような困難な問題に対しても、一つの統一ある行動に意欲を与えておるということは、否定することができないのであります。しかしそういう場合においてこそ、農林委員会の超党派的な行動というものは、必ずや委員長を通じて統一され、しかも全体の責任のもとにおいてその行動が展開さるべきものであるということは、これは常識から判断してもそれ以外に道はないと思うのであります。それをまつたくこのような道義の上に立つた約束を、一方的に破壊して行くというこのことに対しては、これはこのことだけでなくて、今後の農林委員会の運営の上においても、非常に大きな障害を設けたことになるわけです。これをいかにして除去するかということが問題になつて来ると思うわけでありますが、この点に対して委員長の立場におかれても、もう少し明快なる判断の上に立つてこの障害の除去に当られる必要があるのではないかというように私は考えておるわけであります。
それともう一つは、いまだにこの委員会の議決というものは、われわれに一つの拘束を与えておるわけであります。だからして、まずわれわれはそれぞれの党の主体的な立場の上に立つて、この救農国会に闘おうとする場合には、まずこの拘束から解放されるということが必要になるわけであります。そういう場合においてこの統一ある議決を一方的に破壊された保守三派の諸君は、どのようなお考えでこの拘束からわれわれを解放してくれるかという問題を、まず本日解決していただいて、それからわれわれは審議に入らなければならないというふうに考えておりますので、このことに関する委員長の御意見並びに三派の諸君の代表的な御意見を、ぜひ聞かしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/27
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028・井出一太郎
○井出委員長 ただいま芳賀さんのお言葉は、私として伺つておりましてまことに汗顔の至りで、性怩たるものがあるわけでありますが、結論的に、この現段階の障害をいかに除去して行くか、さらに超党派的な一つの拘束を受けておるのだが、これからの解放をどうして行くかという点につきましては、おそらく芳賀委員も一つの腹案をお持ちではなかろうか、このようにも考える次第でございます。あるいは後ほど懇談等に移すなりいたしまして、御意見等も十分伺つた上に善処して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/28
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029・足鹿覺
○足鹿委員 今芳賀委員からいろいろとお尋ねがありまして、あまり申し上げることはありませんが、私は具体的に承りたいのであります。
それは去る十月二十日の本委員会におきまして、冷害等による凶作対策に関する決議並びに冷害等対策費に関する決議というものが、満場一致で議決され、内外の視聴を浴びて、地方の罹災者の人々を初め関係の人々は、その結末を見守つておつたと思うのであります。しかるにそれが、先ほども芳賀委員から指摘されましたように、当委員会には正式には何らの折衝もなくして、一部の人々によつてこの問題が処理された。しかも政府は、憲法上においても疑義のあるような措置をも講じて、昨日の本会議に修正の承認方を求めて来て、私どもは残念ながら破れたわけでありますが、それはそれとして、農林委員会はこの二つの決議を一体今後どう処理するのか。私はあえてくどく申し上げませんが、おのおの党には党の基本的な主張があつて、おそらくこれの一本への収束ということはできないことだ、そのできないことを私どもはあえて忍んで、罹災地における諸君に、降雪期までに救済の手を早く延べなければならぬという主張から、事実は涙をのむ気持であの案に同調いたしたのであります。従つて、いろいろ非公式には、聞いてはおりますが、しかしこれは事農林委員会の数次にわたる、しかも月余にわたる苦心の結末でありまして、これはただ単なるふだんの場合の決議とはおよを趣のかわつたものであります。今まで非公式のお話合いなり委員長の心境なりにつきましては、私どもわからないのではありません。しかしおのおの公党の立場に立ち、また委員会の公式の立場に立つて、この処理について一体どうするのか。これを天下に明らかにし、農林委員会の立場というものを明確にしなければ、今後農林委員会に寄せられる全国の農民なり関係者の期待というものに、私は沿うことができないのではないかと思う。問題はこれで解決しておらないと思う。第二次補正を要求して闘う手段もあるでしよう。また参議院の農林常任委員会には委員長がいろいろとごあつせんになり、本委員会の議決はそのまま参議院の意思であることを確認をされておる。われわれは国会法の命ずるところによつて先議権をもつて、今同僚予算委員が闘つておりますが、必ずしもこれは参議院においてわれわれの目的貫徹ができないとは断言できないと私は思う。あまりにも今度の保守三派が院外においていろいろと御協議になつて、その間において農林委員会としては何ら正式の意思表示をすることなく今日に至つたということは、私は非常に遺憾に思います。あえて委員長を追究するわけではございませんが、十月二十日の二つの決議については、なおわれわれはとるべき措置があるように思います。まだまだ超党派の線を堅持してまださらに打つべき手は私はあると思う。おそきになつた感はありますが、せめても私どもは最後の最後まで手を尽して行きたいと考えております。あえて過ぎ去つたことについて委員長を追究いたしませんが、今後とるべき措置について、また二つの決議は今宙に迷つております。これを一体どう処理をするのか。そして当委員会の議決に注目しておつた関係者の人々に、今後どういう指針を与え、どういう希望を与えてわれわれは善処していいのか、そういう点について、私はまだこの超党派は破れていないと思う。実質的には破れておりますが、少くとも農林委員会において、あの三派協定なるものをあえて承認しておりません。何らこれに対して正式の報告も受けておりません。従つて私は、まだまだこの問題についてはお互いが真に努力を傾けて行くならば、まだ余地は残されていると思う。そういう希望すら持たなければやりきれない気持になつておるのであります。その点については委員長の御所見を承りたい。なお私はこの問題については、あとで理事会をお聞き願いまして、本委員会のとるべき措置については正式に御相談を申し上げ、午後の委員会の初めに、幸いにして同僚諸君の御了解が得られるならば、われわれの態度を決する案を御相談申し上げたいと思つておりますので、そのようにおとりはからいをお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/29
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030・川俣清音
○川俣委員 この際私委員長にも確かめておきたい点がございます。われわれ農林委員会が二つの決議をいたしましたそのものは、とかく各常任委員会が官僚の手先になつたような誤解のもとに、大蔵省から予算を獲得するような機関にとかく今まで見られがちであつたのであります。ところが当農林委員会のあの決定は、休会中にもかかわらず農林委員が努めまして、いろいろな政策を積み上げた結果生れて来たところのものであつて、従つてこの政策は、今日この冷害対策に対して、または災害対策に対して、絶対に必要だという政策を盛り上げ、その政策の金額を加算すると百十億にたまたまなる。また農林の原案よりもたまたま十億ふえたというだけでありまして、農林省の百億に対してわれわれが十億単に金を足したというものではなかつたと、私はそう信じております。あれほどまでに政策を盛り上げて来て、この政策をどうしても実行しなければ冷害対策としては成立たないんだ、災害対策としてはこれらの政策が絶対必要であるという——私どもは農林委員会の権威を高めまして、この権威に結局大蔵省が屈服して来るのであろう。その政策を是認して、その政策の実現のために予算支出が行われるであろうという考え方をしておつたのであります。大蔵省に農林委員会の一部の者が頭を下げたようなかつこうで、こじきのようなざまをして、大蔵省から予算をとつて来ようなんてそんな不見識なことをこの農林委員会では考えておつたのではないかと思う。われわれが立てた政策に、大蔵省が頭を下げて来るものであるという確信を持つてあの決議をしたものだと、私はそう信じておる。委員長はどういうふうにお考えになつておつたかその点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/30
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031・井出一太郎
○井出委員長 ただいま足鹿、川俣両委員から御質問がございましたが、私ども委員会における超党派的な決議というものは、そのいきさつにかんがみましても、その後の超派的にこれを推進しようという熱意にかんがみましても、まつたくただいま御指摘の通りであろうと考えます。従いまして、あるいは法律的、技術的にはいかような言いまわしができ得ましても、やはり政治的、道義的な今までのつながりに対する責任とでも申しましようか、こういつたものは今日もなお残つておる、こういうふうに考えますので、足鹿委員御提唱の動議等もおありのようでございますから、これは理事会に諮つた上で処理をいたして参りたいと思います。
それから川俣委員のお話でございますが、従来事予算の問題に関しますると、まつたく大蔵官僚の特権的独善の前に屈しておつた、こういうことは御同感でありまして、これに対して国会側が筋をただして、ここに新しいエポツクをつくる、こういう意気込みのもとに御努力をいただいて、積算の基礎を積み上げて百十億というものができたということも、まつたく川俣委員御指摘の通りに考えております。
午前中はこの程度をもちまして暫時休憩いたします。
午後零時四十一分休憩
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午後三時十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/31
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032・井出一太郎
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
足鹿覺君より発言の要求があります。これを許します足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/32
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033・足鹿覺
○足鹿委員 この際冷害対策強化促進に関する件につきまして動議を提出いたしたいと存じます。
動議の趣旨は、今次冷害の異常なる事態にかんがみまして、わが農林委員会は二箇月になんなんとする月日を、超党派で今日までこれが対策に腐心をいたし、去る十月二十日に本委員会において二つの決議案を採択し、またおのおのこれには党を代表して、各党ともこれが目的を達成することを確認して今日に至つておるのであります。しかるに二、三日来の情勢を見まするのに、いわゆる保守三派の妥協が成立いたしまして、昨日は本会議において、政府はこの妥協をいれ、みずから補正予算の再修正を求めて来たのであります。
このような経緯から見まして、政府が保守三派と打合せをいたしましたその案の内容いかんによつては、われわれはあえてこの動議を提出する必要もなかつたのでありますが、昨夜に至つてその内容をつぶさに知ることにより、とうていこれでは十月二十日の本委員会の満場一致の決議を無視したものであることを、お互い確認せざるを得ないのであります。そのような立場から、はなはだ遺憾にたえないのでありますが、ここに動議を提出いたしまして、農林委員会の十月二十日の権威ある決議が、さらに前進をし、全国の冷害によつて塗炭の苦しみを受け、かつ今後もさらに激甚なる被害にあえごうという農民に対し、希望を与え、進んで食糧増産に邁進をせしめて行く光明を与えなければならぬと考えるからであります。
ここにその案文を朗読申し上げたいと思います。
冷害対策強化促進に関する件(案)
一、十月二十日本委員会に於ける「冷害等による凶作対策に関する決議」及び「冷害等対策費に関する決議」を再確認し是が実現を期すること
二、予算委員会に対し右決議の趣旨に基き補正予算の組替えを申入れること
三、参議院農林委員会とも緊密なる連繋の下にこれが趣旨の貫徹を期すること
右決議する
昭和二十八年十一月二日
衆議院農林委員会
これが案文であります。
以下この項目について簡単に御説明を申し上げます。一の「十月二十日本委員会に於ける「冷害等による凶作対策に関する決議」及び「冷害等対策費に関する決議」を再確認し是が実現を期すること」ということについて、先刻も提案の理由を申し上げました際に触れましたごとく、いよいよ最終段階に至つたといわれる昨日の三十億の予備費の内容を見まするのに、わずかに救農土木費に二十億を追加し、温床、折衷各苗しろに五億を追加し、予備費に五億を追加して、この予備費の内容は自作農等維持資金と農薬補助等に振り向けるというお話でありました。しかもその金額は明示されておりません。これとは別に公庫出資を十五億ふやしまして、結局このたびの保守三党と言われる会談の結論は、わずかに四十五億をプラスしたにすぎません。これは全部のトータルとしては百十五億に数字は一応あがつておりますが、この内から建設、労働、厚生関係の二十億を差引きますと九十五億の農林所管の経費にすぎません。しかもこの九十五億も、一応の冷害対策費と関連して見のがすことのできませんことは、われわれがこの補正を一覧いたしますと明らかなごとく、大体において二十九億になんなんとする農林省所管の食糧増産費あるいは土地改良費等のごとき食糧増産の基礎条件を整備し、進んで刻下の食糧不足に対応する重大なる施策を、たとい少額といえども一方において削り、その削つたものを名前をかえて冷害対策と銘打つて出しておるきらいがあるのであります。これは委員も御承知でありましようが、一般会計補正予算の内容につぶさに出ております。こういつた右手で取上げたものを左手で冷害予算と銘打つて出して、いずこに救農国会の面目が立つでありましようか。少くとも本農林委員会が、巧遅よりも拙速を旨とし、超党派の耐え得ざるところを耐えて、よく各派の最大公約数を割つた二つの決議がこれすらもいれられないということにおいて、はたして救農国会の内容があるかどうか。全国の農民並びに関係の人々は、おそらく失望し、よつてもつて将来農林委員会の権威にも及ぼし、いかような決議を農林委員会がいたそうとも、それは結局画に描いたぼたもちであり、農民に対して空想と幻想を与えるにすぎないような事態を、われわれみずからがもし繰返したといたしますならば、私どもはまことに遺憾にたえません。今後の農林委員会の運営につきましては、あとでまた同志からも御議論があろうと思いますが、少くとも今までのよき伝統を守つて、じみに、そうしてほんとうに農民の地についた政策を、今日まで孜々として盛り上げたこの冷害予算が、このような結果になることについては、とうてい忍ぶことができません。従つて第一項につきましては、さらに同僚議員各位の理解ある御認識を深めまして、十月二十日の本委員会の二つの決議を再確認していただきたいのであります。
次の、「予算委員会に対し右決議の趣旨に基き補正予算の組替えを申入れること」についてでありますが、現在、昨日の修正要求が多数をもつて衆議院を通過いたしましたために、予算委員会においては目下これが検討が行われております。伝え聞くところによりますと、まだ数日を要するやに仄聞をいたすのであります。事と次第によつては二、三日程度最小限度の会期の延長すらも伝えられる今日、最も時宜を得たこの機会に、本委員会が決意を新たにいたしまして、この二つの決議をひつさげて、予算委員会に対する正式の申入れはもちろんのこと、——各党においてもいろいろと御努力になつた次第はわかりますが、最終の目的を達成いたしておらないのでありますから、さらに最後の努力によつて目的を達成して行きたい、こういう趣旨でございます。
第三の、「参議院農林委員会とも緊密なる連携の下にこれが趣旨の貫徹を期すること」でございますが、この点については両院の独立性という点から若干の疑義がないではございません。しかしながら、この冷害対策の問題につきましては、あえて唐突にわれわれがこの趣旨を書いたのではございません。十月二十日ないしはそれ以前から、本院の動向と決議はただちに委員長を通じて参議院に伝達をされ両院委員長の資格において内閣にも要請をされ、いろいろとこの点については共同歩調を今日までおとりになつたのでございます。少くとも参議院の農林委員会の諸公は、われわれが十月十二十日に行つた決議についてもまつたく同一の意見を持ち、また表現はかわつておりますが、同一に近い決議をいたしておられるのでありまして、そういう意味において、その内容が相背馳するがごときことについて、参議院に対し本院の委員会が申入れをし、あるいは緊密なる提携を申し入れることにつきましては、あるいは参議院を拘束するというような意見もできるのでございますが、従来の経緯から見て、同一の趣旨、同一の立場に立つて今日まで闘つて来ておりまする関係上、何ら参議院の院議を拘束し、その独立性についてわれわれが差出がましい意見を申し述べたことにはならないと思います。そういう意味から、参議院の農林委員会にさら強く連携を進めまして、最後までこの十月二十日の本委員会の決議の趣旨を貫徹して行きたい、かような次第でございます。どうか各同僚議員におかせられましては、この提案については十分慎重なる御判断をいただきまして、御賛成をいただきたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/33
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034・井出一太郎
○井出委員長 ただいまの足鹿君の提案に対し討論の通告があります。順次これを許します。川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/34
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035・川俣清音
○川俣委員 私は、今同僚足鹿委員より提案されました冷害対策強化促進に関する件につきましては、心からこれに賛意を表し、このように実行されんことを望むものでございます。
何ゆえかと申しますならば、農林委員会は、今度の冷害、災害に対しまして、かつてないまでに身命を惜しまず今日まで健闘して参つて来たのであります。それは第一に、日本の農民に課せられたる任務であるところの食糧増産を通じて、日本経済の独立に寄与しようとする農民の熱意に対して、農林委員会が報いるところがなければならないという基本的態度について、各党が一致してこれを推進しようとしたととろに超党派の決議が生れたと私は信じておるのであります。この建前に立ちまして、かつては休会のひまを惜しまず、あるいは災害地に、あるいは冷害地に飛んで、親しく農民と語り合い、農民を激励して参つたのであります。特に東北班におきましては、加藤高藏改進党委員が団長となられまして農民に誓約されて来たのであります。政府がいかなる態度をとろうとも、この冷害対策については、農林委員会が責任を持つて万遺漏のない処置をとりたい、ということを言明されて来たのであります。また同じ同僚でありますところの佐藤洋之助自由党委員も、政府に、これに対して十分な措置を特に農林委員会が強く要望するであろうということを誓約されて、農民を激励して参られております。こうした建前をとられたのは、単なる自由党の党員あるいは改進党の党員としてではなくして、まつたく農林委員会の責任において言明されて来たものと思うのであります。これらの言明を一朝にして破るようなことになりますならば、今日までとつて参りました農林常任委員の責任は、私は果し得ないと思うのであります。私どもはこれらのことを最も強力に実現するためにいわゆる超党派の決議をいたしたのであります。実行力がないならばあえてこういう決議をすることは必要としなかつた。自由党の委員の諸君も、あるいは改進党の委員諸君も、農林委員会という立場で今日まで奮闘されて来たはずであります。私はそれらの人々に、議員としての信頼と尊敬を払つて今日まで努めて来たつもりであります。しかしながら、幹部のやみ取引が行われますや、今までの言質、特に農民に与えられましたところの言質を裏切られたということについて、私は農民にかわつてまことに遺憾の意を表したいのであります。私どもがあえてお供をいたしましたのも、こういう裏切ることのなからんことを期待しておつたためであります。しかるに今日裏切られたような結果になつておりますけれども、いまだ裏切られたとは思つておりません。まだ反省の余地があると私どもは信じますがゆえに、この決議案に基きまして、もう一度良心をもつて反省をしていただいて、農民に約束されましたことをここに実行いたしたいために、この本案に賛成するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/35
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036・井出一太郎
○井出委員長 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/36
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037・芳賀貢
○芳賀委員 私は同僚足鹿委員から提出されました冷害対策強化促進に関する動議に対して、まつたく賛成の意思を表明せんとするものでございます。
このことの討論の前に申し上げたいことは、当農林委員会全員の意思によつて行われた十月二十日の決議が、当農林委員会全員の意思によつてまた再び確認されなければならぬような事態に当面したことに対して、遺憾の意を表明したいのであります。この骨格をなすものは、当然今次の臨時国会の中において風水害の災害の復旧、それから冷害等の対策を一日も早く確立しなければならぬということが、今度の臨時国会の主要なる支柱であるというふうに考えられるのであります。しかも当委員会が合理的に、厳密に検討を加えた上に確認したところの農林関係の予算においては、百十億が不可欠の数字である。これに合わせる融資二百億は、これもまた不可欠に必要であるというこの確信、農林委員会が全国の冷害地域、北海道、東北、関東、甲信越二十県に及ぶこの冷害地域をくまなく調査した結論が、このような決議の姿になつて表明されておるのであります。ことしの春からの異常なる障害は、米の収穫の面においても、実に前年度の収穫量に比して一千二百万石にも及ぶ減収を示しておるのであります。しかもこの一千二百万石の減収量の八割は、冷害地帯の地域の中において生じた被害であります。しかもこの被害の実態というものは、風水害のごとき災害によつてあるいは公共施設その他のものが破壊されたということではなくて、個々の農民のそれぞれの生産の内面において、経済的に受けた甚大なる被害であります。結局東北、北海道を中心とする、しかも積雪寒冷の単作地帯の中において、このような大きな冷害によるところの減収の被害が、農家の個々に与える経済的の影響というものは、これはとうてい一年や三年で取返すことはできないのであります。このような状態の中において、緊急不可欠なる予算を編成させるというために、事前において当農林委員会の満場の決議において最大の努力をなすということは当然のことであります。このことを現地に出かけてわれわれが誓つた言葉の裏には、これを実行に移すという決意と誠実性が秘められておらなければならぬということは言をまたないのであります。しかもこのことが行われない場合においては、われわれはこの国会の場において、政府の原案が過少であつた場合においては、当然のこととしてこれを修正するという決意を持つて、これに臨んでおるのであります。もちろん保守三党の諸君が、事前に政府原案の中にこのことを最大に盛り込むための努力をされたことを、われわれはまつたく無視するのではありませんけれども、国会の召集された後において、一部の政党がまつたく国会を無視し、国民を目隠しにしたごとき形において、政府の原案を修正して提出させることに、昨日の本会議において許諾を与えたということに対してはこれは国会の権威の上からいつても、これを度外視することはできないと思うのであります。かかる観点に立つて、われわれは、われわれ委員会が全員の意思において決議したこの決議の内容が一方的に、しかもわれわれに何ら諮られることなく破壊されるということに対しては、忍びざるものを感ずるのであります。それでわれわれは、かかる再確認を行うということは、農林委員会自身の権威と威信の上においても実に遺憾ではありますけれども、この段階においてさらに十月二十日の決議の真実性をここに確認することによつて、まだ残されたこの国会の時間の範囲内において、あの決議が、北海道ほか二十県の冷害地帯の農民諸君の一人々々に誓つたわれわれの言葉が真実であるということを表明するために、この動議が委員会全員の意思において再確認されんことを特に私は希望いたしまして、動議に対する賛成の発言にかえるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/37
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038・井出一太郎
○井出委員長 金子與重郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/38
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039・金子與重郎
○金子委員 改進党を代表いたしまして本決議案に対して一言申し上げます。結論は最後に申し上げます。
農林委員会の経過が先ほど来この提案の理由の説明並びに賛成の意見にあつたように、たまたま本年の災害がありまするや、国会終了後の通常の国政調査の第一回の調査をやりましたその当初から、東北班、北海道班におきましては、それがただちに冷害調査のような結果になりまして、それ以来というものは、ほとんど農林委員会の各位が休会もなしに、調査あるいに委員会研究ということで今日までやつて参りましたことは、ただいまお述べになつた通りでありますし、その結果本日の決議の案にありますように、十月二十日に農林予算に関して最小限度百十億を下らないということを決議されたのであります。そこでだんだんと日がたつて参りまして、政府はいよいよ本国会を召集しなければならないところまで追い込まれまして、そして具体案ができました。そのできた具体案を見ると、総予算が冷害関係につきまして七十億、うち純農林関係のものが五十億、しかもその五十億は先ほど足鹿委員が申し上げましたが、その五十億は救農の名において農林予算に組んでいるものの、逆に食糧増産費の中から、その他農林省予算の二十八年度経常費の中から三十億近い金を取上げまして、正味二十億の金で救農国会をうたつたということに対しては、私ども非常に遺憾に思い、同時にそれが農林委員会の決議とあまりに隔たりのはなはだしいととに実は驚いたのであります。そこで政府の立場といたしましては、この農林委員会が衆参とも同じような方向に相当の決意をしておる。しかもその決意たるや、長い間全員の人たちが努力いたしまして、堅実な形で積み上げた決議であるだけに、これを無規して政府原案でもつて行くということは、当然本国会を混乱に陥れるということを考えたことが一つと、もう一つは、改進党あるいは鳩山自由党におきましては、善意、立場から政府にこれを組みかえさせるべきだ、こういうような努力をいたしたのでありますが、それがいつの間にか今度は三派の会談というような結果になりまして、総額において建設、労働、厚生にいうようなものをまぜて合計百十五億の線となつたのであります。この三派の幹部の相談によつて百十五億の線が獲得できたということは、その前に衆参の農林委員が半年にわたつて苦労して積み上げた百十億、二百億を下らないという強い決議があつたからこそ、三派の幹部の間における妥協ができたのでありまして、その裏づけがなかつたならば、とうていあの七十億の予算が百十億に上るということは、思いもよらなかつたと固く信じておるのであります。そういう面から行きますならば、私はこの農林委員会が去る十月二十日に決議いたしましたことは、非常に大きな役割を果しておるということをみずから認めるものであります。
そこで私は率直に自分の党の内部事情を申し上げますが、最後の段階といたしまして、国会対策委員会においてそこまで政府を持つて行つたということについて、労を多とするし、一応若干の金額の減つたことはやむを得ないが、しかしながら百十五億というけれども、実際上農林委員会の決議の趣旨にするならば、これは九十五億である。よしんば九十五億であるにいたしましても、この九十五億を農林委員会において冷害、災害を対象にして、最高度に有効にどうしたら使われるかということを作業した場合と、大蔵官僚の感覚でこれを配分をした場合とでは、一割ないし二割に及ぶような実質的な効果の相違が出て来る。であるからして、せめて百十五億の線でもよろしいから、長い間農林委員会の諸君が苦労して、ここまで努力して来たのであるから、一度その作業を農林委員会に移して、そうして農林委員会から予算委員会にその案を提示して、予算委員会の審議を経て政府に迫ることが最も妥当ではないかということを要求いたし、しかも私の方の国会対策委員会は、その線に沿つて決議がなされたのであります。でありますから、私どもはその線に沿つてここに二、三日の間最後の努力をいたしたのでありますが、そこは自由とわれわれの見解の相違だというので、自由党といたしましては、百十五億の線がきまつた以上は、あれは当然政府にその線で作業させていいものと了承して作業を進めたというようなことで、とうとう私どもの意見はそこで葬られたのであります。そういう結果をたどつて参つて、はなはだ私どもも遺憾にたえないのであります。もちろん私どもは、農林委員会の決議といえども、それが国会の全体の決議でない限りは、農林委員会の意思というものが必ず通らねばならないといつたような農林委員会オンリーの見解は持つておりません。しかしながら、それならばはたして各党の幹部がどれだけ冷害の問題に精通するだけに勉強なされたか。また予算委員会がどれだけこの冷害問題に対して真剣にとつ組んで勉強されたかという点から行くならば、私は農林委員会がやつたと言えると思うのであります。それを最後の線に行つて、農林委委員会の考え方をまつたく無視して、相談することなしに、ただ妥協的な線に入つたということは非常に遺憾である。もちろん農林委員会の意見が全部通らなくて、かりに百十五億の線が国全体の財政なり、あるいはほかの諸種の事情から勘案して、その線でとどむべきであるという線ができた後におきましても、はなはだ遺憾であるが、しかしながら農林委員会に、この金を最高度に使うにはどうしたらいいか一応考えをまとめてみろというように来るならば、今日こういうふうな決議で、ある程度野党の立場、与党の立場というものを超越して、被害農民に対して大きなアドバルーンを上げるような政治屋的なことはしなくてもよかつたのではないか。そういう点から考えますと、私は実際涙が出るほどくやしいのであります。そこで私は少し余談になりますけれども、こういうふうな形で行くならば、私は政党人としての長い訓練がありませんから、政党の社会の常識はどういうのであるかわかりませんが、たとえ政党であろうと何であろうと、自己のやつたことであつても悪いことは悪い、人のやつたことでも、いいことはいいというように、いわゆる是々非々の立場をいつも鮮明にやつてこそ民主主義は成立つのでありまして、自分の政党のやつたことだつたら、りくつをつけて悪いことを糊塗するというようなことであつてはならない。こういう意味から行きまして、私の発言の当初に諸君は吹き出されましたが、なぜ潔く反対と言わなかつたかということ、そこに精神的なジレンマがあるから威勢よく反対という宣言を打出し得なかつたのであります。
結論として申し上げます。私の党としてはそういうような経路をよつて参る決議の考え方、ここまで来たけれども、超党派の立場で農民のために党利党略を捨てて働こうというその精神については、依然として私は賛成したい、ただ、ここに遺憾ながら予算に対して再修正をするということやあるいは次の事項を具体的に盛り上げますと、現実がすでにここまで進んだ今日、はなはだ私の複雑な気持に対して割切れないものがありますけれどもこれは党の立場としては反対せざるを得ない。非常に苦しい言葉の上に反対するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/39
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040・足立篤郎
○足立委員 私は自由党を代表いたしまして、本決議案に対しまして、まことに遺憾ながら反対の意見を申し上げたいと思います。ただいま金子委員から、事ここに至るいきさつにつきましては、具体的に詳しくお話がございましたので、私は再びこれを繰返して私どもの弁解に資しようとは考えておりません。ただ十月二十日の農林委員会において冷害対策に関する決議をいたしました当時におきましては、私ども自由党としても、また政府といたしましても、今回の冷害並びにその他の凶作に対しまする対策は確立されておりませんでした。私ども農林関係の党員といたしまして、これに対しまして、十分なる調査、研究をすべき段階にございました。委員会におきましても、御承知の通り、十月初めからほとんど連日とも言つていいほど、熱心に視察調査あるいは委員会等を開きまして、研究もいたし、検討もいたして参りました。私ども先ほど来各委員からお話がありました通り、超党派的に農林委員という純粋な立場で農林委員会の決議がなされたのでございます。当時私どもは何ものにも縛られずに、フリーな立場でこの決議をいたし、これをどこまでも尊重して、その目的完遂のために最善の努力を尽そうと、私ども自由党の委員は、おのおの誓い合つた次第であります。その後私どもとしては、党内部におきましても、あるいは与党という立場で政府に対しましても、全力をあげ、最善を尽してこの目的達成のために努力を続けて参つたつもりでございます。しかしながらまことに遺憾なことにには、農林委員会で二十四項目の決議をいたしておりなおその内容として予算の数字につきましても、総額百十億という冷害対策費を決議をいたしておるのでございますが、これが決議の内容通りに実現を見なかつたということにつきましては、過日の理事会以来私は、率直に与党の委員としておわびを申し上げておるのでございます。私どもの力及ばざりしを皆様方に対しておわびを申し上げると同時に、今まで信の一字につながつてこの農林委員会が超党派的に事を運んで参りましたこの空気を破壊することなしに、今後とも全国農民のために、特に凶作にあえぐ農民のために、全力をあげて、協力一致その対策樹立にさらに邁進していただきたいということをお願いを申し上げたのであります。私どもは実は労においても、この三派協定によるところの冷害対策も承認をいたしました。その気持を率直に申し上げますと、私どもが農林委員会で百十億という線を打出しまして、今回は百十五億ということに決定を見ました。ただ数字上から見れば五億ふえておるから問題はないようでありますが、実は建設関係の土木事業費、これはいずれも救済を目的とするものでございますが、これが十億含まれ、なお厚生省、あるいは労働省関係の費用が十億含まれておりますので、表面は百十五億でありましても、実質は農林委員会の決議の内容とは十五億隔たつておるということになるのでございます。しかしながら私どもとして、なぜ党でこれを承認したかと申しますと私どもの究極の目標は、災害にあえぐ農家を救うことが当面の問題でございまして、今申し上げた建設省あるいは厚生省、あるいは労働省におけるそれぞれの対策が、いずれもこの災害地に対して災害農民を救うという目的のために組まれた予算でございますので、これを少し大きな腹で考えますれば、農林委員会の思う通りにはならなかつたけれども、この災害地を救済するための資金的な手当は、相当実現を見たということが言えると思うのでありまして大蔵大臣が本会議におきましてたびたび繰返しておりますように、まことに国家財政の苦しい折から、これだけの予算が修正によつて計上されたということは、私どもとしては不満ではありますが、まず現在における最善の策を達成し得たものと考えまして、やむを得ずこの予算案を党内において了承いたしたような次第でございます。先ほど来与党の議員が、今までの農林委員会の超党派的な円満なる空気に対して、その信にそむいたがごとき御発言もありましたけれども、私どもとしては、かような御批判を受けるととはまことにやむを得ないと思いますが、いかにも残念でありまして、どこまでも誠心誠意農林委員会の決議に従つて、この目的達成のために努力して来た事実だけはお認めをいただき、今後ともこの円満なる空気を持続いたしまして、全国農民のために協力一致いたしたい、かように念願をいたしております。しかしながらすでに矢は弦を離れまして、われわれとしては、公党人としてこの党議に服さざるを得ないのでありまして、この点は何とぞ委員各位も了とされまして、私どもの態度を御了解願いたいと存ずる次第でございます。
以上をもちまして討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/40
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041・井出一太郎
○井出委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。足鹿君の提案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/41
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042・井出一太郎
○井出委員長 起立少数。よつて足鹿君の動議は否決せられました。
暫時休憩いたします。
午後三時五十五分休憩
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午後四時三十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/42
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043・井出一太郎
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案、昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたし審査を進めます。なお念のため申し添えておきますが、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案は、昨日本院におきまして政府の修正を承諾いたしましたので、この修正されたものが本委員会の審査の対象となつておりますので、御承知おき願います。この際まず農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の政府修正について説明を求めます。篠山農林政務次官。
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農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案修正
「百九十億九千三百万円」を「二百五億九千三百万円」に修正する。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/43
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044・篠田弘作
○篠田政府委員 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の一部の修正につき御説明申し上げます。
今次の冷害対策の一つとして行う救農土木事業の地元負担分については、農林漁業公庫において融資するものとし、そのため同公庫の資金わくを十億円増加するため同公庫の資本金を十億円増加することにいたしたのでありますが、さきに御承諾を得ました補正予算案の修正による救農土木事業の拡大に伴いさらに同公庫の融資わくを十五億円増加いたす必要が生じたのでおります。このためさきに提案いたしました同公庫の出資金を百九十億九千三百万円に増加いたす案を修正し、同公庫の出資金を二百五億九千三百万円に増加いたすことにいたしたのであります。
以上が法案修正の理由であります。何とぞ御了承の上御質疑あらんことを切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/44
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045・井出一太郎
○井出委員長 これより質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/45
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046・金子與重郎
○金子委員 大臣が来るまでの間に、ただいま提案になりました公庫の出資の問題と、それから今後出て参りますところの冷害対策としての営農資金の貸付、この二つの法案審議の基礎でありますところの、現在における預金部資金の運用状況の全体と、それからどういう人にどれだけ使われておつて、現在どういう姿になつておるかという範囲でよろしゆうございますが、その資料をひとつ出していただきたい。それからもう一は、これは政府直接ではありませんけれども、政府が調査できることでございますから、農林中金の財政状態、それから協同組合の現在における資金運用状態、これは単位組合と連合会それから中金と、この三段階でやつていただきたい。もう一つ最後に、来年の金融端境期になつたとき、協同組合の系統金融がどういうふうな程度の状態になるかという、平年の過去の実績から来年度の春の端境期を見通して、どのくらいになるだろうかという、一つの予測をつけた数字、それだけをなるべく早い機会に提出していただきたい、こういうことを要求します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/46
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047・川俣清音
○川俣委員 私もこの際資料を要求し出ておきたいと思います。農林漁業公庫のうちで、各事業別どの程度今まで支出されておるか、並びに府県別、それから今度増額の提案をされましたそれが、来年の三月までに使われるであろう予想の事業別、県別の資料。次に市町村農業委員会の委員会法が、この前の国会において通過いたさなかつたために、計画されました予算、予備金がどの程度現在残つておるか。またこの委員会が続行されますることによつて必要になりまする経費、これが延長になることによつて必要なる経費、この資料をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/47
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048・芳賀貢
○芳賀委員 食糧庁関係でございますが、学童給食の現況がよくわかるような資料、これは冷害対策等に関係が出て来ると思うので、その予算の使用状況、学童給食の普及状態、特に都市と農村、そういう関係の対比のわかるようなもの。それから災害地に対する給食に対して計画化されたものがあれば、それをいただきたい。この三つです。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/48
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049・井出一太郎
○井出委員長 先ほどの三案に対する質疑は暫時これを留保し、市町村農業委員会の委員及び都道府県農業委員会の委員の任期延長に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑があればこれを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/49
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050・川俣清音
○川俣委員 私はこの法案について内容的に検討しようということは考えておりません。しかしながら、予算的措置について大臣の出席の上でただしたい点があります。大臣がおいでになるまでこの点留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/50
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051・井出一太郎
○井出委員長 速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/51
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052・井出一太郎
○井出委員長 速記を始めてください。
足鹿覺君より食糧庁長官に対し質疑の通告があります。これを許します。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/52
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053・足鹿覺
○足鹿委員 ただいま議題になりました市町村農業委員会並びに都道府県の農業委員の任期延長の法律案についてでありますが、この提案理由を先日承つた際に、その理由の主たるものはこの改選期が供米の割当が末端に下り、それに基いて供出が行われる、その一番最盛期に選挙が行われるので、結局供米に支障があつてはならないということが主たる理由のようであります。政府は自分に都合のいいようなときには冷害、凍霜害あるいは風水害というものをずいぶん御利用になりますが、われわれの言うことについては、ほんとうの農民の声を代表した声には十分耳を傾けておられるのかどうか、非常に私どもは疑わしいのであります。この法案は直接凍霜害、風水害、冷害が原因となつておるようでありますが、現在供米の状態はどういうふうに進行をしておるのか。大体東北、関東方面においては、十二月、一月中旬の選挙にはそうさしつかえないではないかという感じもありますが、九州その他の暖地になりますと相当支障のあることはわかります。が、大体において現在の供米の現状、割当の進行状況等はどういうふうに進行しておりますか。この点も本案と関連が深いようでありますから、少し詳細に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/53
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054・前谷重夫
○前谷政府委員 ただいまの足鹿委員の御質問に対してお答え申します。九月の二十四日から、供出につきまして各県と個別の御協議をいたしておつたわけでございます。現在各県との間におきまして供出の協議が了しましたのは北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、それから関東におきましては、各県と協議をいたしましたが、まだ協議が整つておりませんで、埼玉、茨城、栃木、群馬、千葉はまだ協議が整わない状態であります。これにつきましては、大体今月の五日以降におきまして協議をいたすことになります。東京、神奈川は御協議ができたわけでございます。そのほか北陸四県、それから東海関係はまだ協議に入つておりません。近畿におきましては滋賀、大阪、奈良について協議ができましたし、また中国におきましては鳥取、島根、岡山の三原で、合計二十県が協議が整つたわけでございます。その以後の県におきましては、できるだけ十一月の中旬までの間にさらに御協議を進めて参る。九州、四国につきましては目下協議をいたしておるような次第であります。
現在までにおきまする供出の状況を申し上げますると、十月三十一日現在食糧庁に達しました買入れ数量を集計いたしますると、五百七十九万石になつております。これは去年の十月三十一日に比較いたしますと、昨年度の十月三十一日現在は七百三十九万石で百六十万石程度の減少という形になつておるわけであります。このうち秋田、山形、新潟、石川、富山につきましては、義務供出の分につきましては月末をもつて完了いたした次第でございます。以上供出の状況について申し上げたわけでございますが、かように割当をいたしまして、御承知のように各県におきましては、さらに県内におきまする委員会を開き、さらにそれが郡の委員会にかかりまして、そうしてさらにそれが市町村の委員会にかかり、個別の割当に参るわけでございます。例年の状況から見ましても、この期間におきましては相当の期間を要しておるのが現実の実情でございます。やはりその割当につきまして諮問を受ける農業委員会の選挙の時期ととれが最末端におきましては競合するというふうに考えて、実はこの案につきましての御提案をいたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/54
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055・足鹿覺
○足鹿委員 この際私は、先ほど芳賀委員が冷害対策等について質疑をされましたことに関連をし、なおもう少し明らかにしていただきたい点がございますので、大臣にお尋ねいたしたいのであります。それはしばしば質疑をいたしましたことで、くどいようでありますが、今後の問題もありますので伺うのでありますが、結局農林省所管の既定経費を二十七、八億も節減をされておる、これは大蔵大臣が昨日の本会議で答弁されたことを聞きますと、今までの四月以降七月までの予算がこま切れであつて、事実上において事業が遅延しておる。従つて既定予算を削つても事業には支障はないのであるという趣旨の御答弁であつたようであります。しかし、私は現地なり、その方面の専門の人にいろいろと御調査を願つておるのでありますが、八月以降の土地改良費であるとか、あるいはそれに関連する農業土木事業等については、すでに工事の指示がある。あるいは継続事業の工事に対しましても、予算の支出を中止しておいでになるのではないか、これはいかようなわけでありますか。すでに予算に組み上げたものを、八月以降の予算支出を大蔵省は中止をして、現金を渡しておらない。そして今日までこれが放置されておる実際があるのであります。これを考えてみますと、事実上において削減をすることを前提としておられたかのごとき印象を持つのであります。これは農林省の御意図ではありますまい。おそらく大蔵省がいうインフレ抑制あるいは公共事業費の削減というような点からそういう挙に出ておるのではないかと私は考えますが、そういうふうにして工事予算を地方へ流すことを一時とめておいて、そして今度二十七、八億に及ぶところの既定経費を節減をし、削つたものを冷害対策費あるいは災害対策費と銘打つて若加追干をやられましても、事実上においては既定経費前のものに何らかわらない毛のはえた程度のものに終るのではないか。これは農民に対しておもしろくないやり方であると思う。この点について、なぜ八月以降の予算支出をおとめになつたのか。これは今度の経費節減とどのような関係にあるのか、これは具体的なものでありますから、はつきり御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/55
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056・保利茂
○保利国務大臣 足鹿さん御承知の通り、大体そういうことだと思います。大蔵当局としては、新規は当初みな押えてしまうというような考えもあつたようでありました。それはとんでもないことじやないかというので、それで新規の要求をしておるのであります。ただしかし調査の不十分や、所や何か農林省としても幾分、これはどうだとやられればそれはという所が一、二あつたのだろうと思います。そういう所は、ただいま農林、大蔵両省で協議をしておるところでありますが、協議済みのものは、新規もすべて指令を出してしまつておるわけであります。ただしかしこれだけの節約をしても、食糧増産対策事業には何ら支障はないということは、支障がないものなら、初めから計上するわけがございませんから、それはどうしても何ら支障がないということは、言い得ないと思います。ただ実際問題といたしましてこれを打切るとかどうとかいうことでなしに、予算としては繰延べ措置をするとかというような、かなり無理な処置だと思いますけれども、そういうことで実際問題としては、このくらいやつても何とか行こうじやないか、こういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/56
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057・足鹿覺
○足鹿委員 案外大臣は平気で言つておられますが、これは地方にとつては重大な問題なんであります。大したことはないとお考えになるかもしれませんが、事実継続工事であるとかあるいは冷災害地等において、すでに工事の施行命令があり、そして現実に工事をしておる地帯そのものが災害を受ける、そうすると、いわゆる今度新たなる災害の中から来る施設の復旧ということが一つ来る上に、今までの八月以降のいわゆる空間に対しては、これは国の面から言われると金額は大したことはありませんが、その地方丸々の在住の地方住民が、それから受ける打撃は相当深刻なものがあるのではないか。またその事業施行の表面の責任者である町村長の立場というものは、大臣はそう重要視しておらないようなお説でありますが、そういうようなことが積み重なつて来るというと、国の食糧増産対策等についても相当支障となつて現われると思います。要するにそこに農林省と財務当局との間における食糧増産政策が、日本の農業政策上において占める地位についての基本的な食い違いがあるから、個々の問題については、そうそういろいろな矛盾が出て来るのではないかと思う。従つて問題は小さいようでありますが、いわゆる最近政府の施策を見ておりますと、今年の農業関係の予算の削減を見ましても、支障はおそらくあるとは言わないでしよう。支障は既定経費であるからとうてい本年度中の事業分量は消化しきれないからという理由をもつて、当初予算にあつたものを二十数億を削つておられる。その費用は主として食糧増産の基本的な生産力の基礎条件である土地改良とか、あるいは農林経済の関係の問題であるとか、あるいは治山治水関係であるとか、そういうような、いわゆる基本的なものに削減が加えられておる。しかも同じ削減でありながら、治山治水関係はわずかに二%を切る、それから土地改良の関係は七・〇二%を切る。それから道路であるとか、建設省関係の土木であるとか、港湾というものに対しては一〇%を切つておられるようでありますが、私はそういうように同じ大臣の所管のもとにある事業が、その事業によつていわゆる節減のためのパーセントが違うということは、非常に遺憾に思うのであります。少くとも食糧増産費が七〇・二%を切られ、治山治水経費が二二%にとどまつておるということは、すなわち現在の食糧増産対策に対するいわゆる大臣みずからの認識の中にも少し甘いものがありはしないか。すなわち食糧増産政策を保利農林大臣は、日本の食糧農業政策の上においてどういう地位に置こうとしておるのか。この予算の削減の上にはつきり現われたところを見ますと、少くとも治山治水よりも食糧増産費の方を軽く見ておいでになりはしないかという印象を受けるのであります。なぜ同じ農林省所管のものがこういう大きな隔たりをつけて削減を受けなければならなかつたか、ここに私は大臣の奮起を要望したいし、またこれに対して御所見がありますならば、お考えをこの機会に拝聴しておきたいと思います。どうしてこういう等差がついておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/57
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058・保利茂
○保利国務大臣 この災害予算の編成にあたつて、財政が非常にきゆうくつになつて来ておる。そこでどうしても既定経費の中からある程度節約財源を出すほかはない。それは私どもも認めるわけであります。そうなりますと、すでにいわゆる事務費等におきましては、前国会の予算審議にあたつて、かなり大幅の節約をいたして来ておるあとでございますから、現在の機構、人員のもとにおいては、これはもはやここで手をつける余地は全然ない。そうなればどうしても多額を占める事業費の中から節約するほかはない。事業費と言えば、やはり公共事業費と食糧増産対策費等が一番大きい部分を占めておるわけであります。いろいろあれは何パーセントだ、これは何パーセントだと言えば、ほかの省にはずいぶん苛酷なものが運輸省方面にあるのでございます。私率直に申し上げますれば、財政当局の考え方では、とにかく災害対策の、災害のための予算をつくる、そういうことになれば、やはり治山治水というものが公共事業費の中においても——これはそれを削れば、結局災害予算というものは実質的にうらはらになつて行くわけだから、それには手をつけられぬじやないか。これは私は筋としてはその通りだと実は思うわけであります。ただ印象的にいいまして、こう出してみても足鹿さんにおしかりを受けるようで、食糧増産対策費は、当時一〇%を割当てられるような原案もあつたわけであります。しかしそれは一体食糧増産対策費というものと治山治水というものを、少くとも私どもの内閣においていずれが重し、いずれが軽ろしということは考え得ない。しかし実質から言えば、災害の根本を是正すべき治山治水というものが今日ほどやかましく叫ばれているときはない。それにもかかわらずその中から二%とか、二・二%とかを節約するという結果になつているわけであります。比較軽重、パーセントで言われまして、片方は二%、片方は七%だから、二%の方を重く見て七%の方を軽く見ておる。それで数字で言われれば、これは何も弁解の余地はございませんけれども、そういう上から今度の冷害対策のいろいろな対策予算にしましても、あるいは災害予算にしましても、食糧増産をいう対策ももとよりこれは大事であることは申すまでもないことであります。同時に食糧生産を失つたその手段を確保するということは、さらにまた大事ではないか。そういう中から、ほんとうに政財の苦しいところがここに出て来ているわけで、いずれが重い軽いという考えは、私どもは持たないわけでありますけれども、しかし二%だ、七%だ、それでこつちが重いという判断をせられるのも、これ以上はいたし方なかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/58
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059・足鹿覺
○足鹿委員 私は一つの事例として申し上げたわけであります。いろいろあなたが内部にあつて御苦心なさつていることは想像はいたしますし、ただいまのお話である程度わかりますが、問題は、その時の情勢々々によつて、今年の当初における予算の中には四百五十億の食糧増産対策費というものを組み、食糧増産促進法すら政府は考えておられたのです。それを大蔵省の反撃によつてその促進法の構想すらもあえなくつぶれてしまつた。そうしてようやく大蔵省のその当時における無残な削除を切り抜けて残つた費目の中から、しかもまた七、○二の削減、節約を余儀なくされておる。これは事実なんであります。従つて大臣の御信念を伺いたいことは、一体食糧増産というこの絶対的な至上命令を、日本の農業政策の上に財政的な裏づけをどう盛つて、不動の地位にどうして今後置かれようとするのか、そのことを私は一つの事例を引いてお尋ねをしておるのであります。その点は私はパーセントで、決して表面的に判断を下そうとしているのではないということを、まず御了解願つて御答弁を願いたいのであります。そういう趣旨で私は聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/59
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060・保利茂
○保利国務大臣 同様のことは私も予感的に——つまり食糧増産対策費というものは、今後非常に困難でないかということを、私ども予感的にも非常に危惧しております。と申しますのは、たとえば公共事業費でありますとか、食糧増産対策費というものは、だんだん財政が窮迫して来る。治山治水とか食糧増産ということがいかに重要であるかということは、だれでもよく認識しているわけですけれども、一面において食糧増産というものは、これは農林委員の方々に、もう申し上げる必要はありませんけれども、ただ一部に喧伝せられることについていささか意見があるわけでございます。総じて総花予算である。いかにも食糧増産対策費の使い方にしても、総花的で実効が上らないではないか。むだをやつているのではないか、重点的にもつと食糧増産の実を上げるようにしなければいかぬではないかということが、一番耳にも入りやすく、また財政当局方面にはそういう意見が非常に強いと思うのであります。ところが御承知のように、食糧増産対策費のおもなる事業というものは、終戦後のいろな事情から、主として大規模な計画を取上げているのであります。従つて大きな計画でございますから、それが全国的に取上げてある、また取上げなければ将来の食糧増産計画というものは立たないわけですから、ここに総花主義というものが単なる、言葉として使われてははなはだ迷惑するところがあるように思います。従つて日本全体の食糧増産計画を遂行して参りますためには、その過程においては、どうしても総花的と見えるような形はやむを得ないと思う。それが完成した場合に全体としてどうなるかということなしに、食糧増産計画などが立つものではない。そういう点は今後うんと強調をして——先ほども予算委員会でも申し上げたわけですけれども、そういう点で、少くとも既定の計画で取上げているもの、それをあるところは繰延べをしておいて、あるところに集中的にやれというようなことは、言うべくして行われることではないと思います。全体にやはり進路をきめて、財政とにらみ合せて全体の計画を考え、ある程度の期間中にそれを達成して行くという、やはり従来の行き方をやつて行くことが正しい行き方ではないか。これは大いに御批判をいただきたいところでございます。そういうふうに考えていたして参るつもりでございます。しかしまた一部には、こういう財政状況である。従つて通貨価値を安定せしめるためには公共事業、食糧増産対策等については、むしろ事業モラトリアムでもしけというような意見が、国会内においても強力に出ているときですからこの食糧増産対策予算を相当確保いたしますためには、容易でないというように私ども感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/60
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061・足鹿覺
○足鹿委員 この問題の中心問題として、食糧増産対策が農業政策の上において確固不動な地位を占めていろいろな難関があつても、たとえばこのたびの節減の問題があつても、それらに災いされないで、厳然として長期一貫、長きにわたつて一つの方向へ出して行くために、大臣は基本的な腹をきめて今後の施策をなさらないと内部におられる大臣みずから非常な難関が来るであろうという予感を持つておると言われるが、われわれ外部から見ておりますと、もう予感ではなくして現実なんです。現実にすでに問題なのであります。私はこの問題について、また別の機会にいろいろ述べたいこともありますし、御所見を伺いたいことがありますが、本日は一応打切つておきます。
最後に農業委員の任期の延長を再びされたことの主たる理由は、供米に支障があつてはならないということのようであります。先ほど前谷長官は、その理由がおもなものである、こういう御答弁で、それを実証する資料の御説明がありましたが、これには、農業団体再編成案なるものが第十六国会で遂に審議未了になつたこの経緯から考えてみて、政府は、この間に農業団体の再編成等についてさらに検討をする余裕を持ちたいという意図があるのか、特に大臣のこの点に対する御構想を承つて、私の質疑は、他の同僚委員も急いておられるようでありますから、打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/61
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062・保利茂
○保利国務大臣 御承知のように、この国会は冷災害対策に限定をして御審議を願うという建前で私どもは来ておるわけでございます。従つてこの農業委員の任期を延長するということが冷災害対策にどういう関係があるかということで、私はいささか遅疑したところもあるわけであります。しかし今日私どもとして最大の努力、苦心を当局に願つておるのは、供出関係を、非常に苦しいながらどう円滑に確保して参るかということについてであります。たまたま供出時期に農業委員の選挙が行われる、供出の重要な部面を担当していただく農業委員がここで選挙に入られることは、いずれにいたしましても、供出にマイナスになつてもプラスになるとは絶対に考えられないわけでありまして、ぜひ任期延長に御賛成をいただいて、そうして来るべき農閑期にこの選挙が行われるようにすることが、実情に即するゆえんじやないか。(「選挙は六月ですよ、農閑期じやないですよ。」と呼ぶ者あり)それは早くからおやりになれば農繁期になりましようし、選挙をほんとにやる通りにやれば七月の下旬になりましようから、まあそこらは農繁期、農閑期——ごく遅れている地帯ではあるいは農繁期にあるところもありましようし、大体は農閑期になつてから行われることになるわけであります。御質問の、その間に農業団体の根本的検討をする余裕を見出そうとするのかということでありますけれども、これは純然とそういう考えで出しておるわけでございまして、供出に少しでも支障のないように延ばしていただきたい、これ以外には何にもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/62
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063・川俣清音
○川俣委員 委員長からの御注意もありまして、私は大臣に対する質問を留保いたしておつたのでありますが、なお予算委員会に出席しなければならないとのことであります。しかし先ほど申し上げた通り、政府が選んだ短期国会ということになると、予算委員会と農林委員会との両方に出なければならぬことは、初めから当然わかつておることです。手品使いでもなければそれがうまく行かぬことはわかつておりながら、なお短期にして大臣がみずから求めてお忙しいことをなすつたのでありますから、お努めにならなければならぬと思うのです。われわれもその意味で十分努めたいと思うのでありますが、今のところ農業委員会の委員並びに都道府県農業委員会の委員の任期の延長に関する部分だけについてお尋ねをいたしまして、他の部分につきましてはあとの機会に譲ることといたしますが、今この委員会の委員の任期延長に関する法案をあげたいとのことであります。そこでお尋ねいたすのでありますが、大臣が上手に御答弁になると早く終りますし、もし苦慮いたしますと結局長くなるかもしれませんから、その点は十分お心得の上で御答弁願いたいと思うのであります。私は決して意地悪くお聞きしているわけではないのです。内容については触れないつもりですが、前の国会に農委員会の改正法案を出されたわけです。ところがこれが否決になりましたので、目下旧法のまま続いておるわけです。おそらく農業団体再編成のねらいは、予算の縮減にあつたでありましようから、旧法通りこの農業委員会を運営するとしますれば、予算不足を来すのではないかと思われます。あるいは予算の不用というふうになつて現われるかもしれませんが、その辺の見当は私どもまだはつきりつかんでおりません。この不用になりました場合または不足した場合においては、いかなる処置をおとりになりつもりでありますか。私どもは、この農業委員会の委員の選挙が供米のまつただ中において行われることの好ましいことでないということはまつたく一致いたしております。また冷害地帯が選挙というようなことに煩わされるというようなことは、農家の実態から言いますと、延べた方がよいということも言えるのであります。またも通りだと思うのであります。実情は確かにその通りでありますが、予算的にこれは不足するのではないかと思うのです。この国会には冷害に関する予算と全部出すのだということで、また来年の春までに使つてもよい予算を計上されて、わくをはつきりいたされておるわけです。ところがこれだけ除かれているのはどういうわけでありますか、そのわけがわからぬので御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/63
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064・保利茂
○保利国務大臣 現行法で農業団体関係の予算が足りるか足りないかということは、私の御答弁ではとても御満足得られまいと思いますから、ひとつ事務当局から御説明申し上げるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/64
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065・小倉武一
○小倉政府委員 農業委員の任期延長に伴いまして、その関係の予算にどういう影響があるかということでございますが、御承知の通り農業委員会といたしまして関連がございますのは、中央の全国農業委員会議所の助成金、それから県の農業委員会に対します調査活動費一県当り十万円、それがおもなものでございます。なお委員の数が、現行法は改正法案とは若干異なつておりますので、この委員の減少の法案が、現行法では現行制度にとどまりますので、委員の増減に伴います予算の増減それから協同組合に関連いたしましては協同組合の中央会に対する補助金、こういうものが問題になつております。なお本年の一月、二月に選挙がある予定でございましたので、選挙に関する費用が自治庁関係の平衡交付金に計上されております。これらにつきましては、任期延長の法案が可決されますならば、それに応じた補正の措置を講じなければならない、かように存じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/65
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066・川俣清音
○川俣委員 今の事務当局の説明によりますと、いずれ補正もしなければならぬということであります。それではこの予算の総わくをやかましく言つておられる今日におきましては、当然これらのものも含めて予算決定をしなければならなかつたのではないかと思うのですけれども、大臣いかがですか。こういうふうに方々に、抜いておいていいものがたくさんあるならば、もつと冷害以外のものでも抜いておいて操作することができないものかということが考えられるのであります。これは例でありますが、私は決して予算が少くてもいいということで申し上げるのではない。予算編成において、予算総わくを九千九百九十九億で押えなければならないということを大蔵大臣がやかましく言つておられるならば、こういうことも含めて考えておかなければならなかつたのではないかと思いますが、大臣この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/66
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067・保利茂
○保利国務大臣 それは補正を要することになれば、第二次補正で補正をすることにいたせばいいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/67
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068・川俣清音
○川俣委員 大臣の答弁はなかなか名答弁です。補正が必要であれば補正することができる。こういうことですね。そうすると、今度新しく四十五億ふえた中から、わざわざ十五億をとつて来て公庫に入れておられるのですが、これなども緊急な冷害対策の方に先に向けて、不足をしたときにまた第二次補正でとつて来てもよかつたのではないですか。これは来年の三月までははつきりしなければならぬ、こつちの方は延ばしてもいいということがなぜできるのですか。できるならできるでいろいろの方法もあるのではないですか。こつちは予算の総わくの中に入れなければならぬ、こつちの方はあとで補正ができるというのですが、これはこの法案に伴う補正だから、当然こういうものは組んでおかなければならぬものだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/68
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069・保利茂
○保利国務大臣 どれだけの予算上の動きが生じますか、生じます部分については、これは当然補正するなり、あるいは残れば剰余金となるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/69
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070・川俣清音
○川俣委員 この法案は当然予算修正を伴う法案です。従つて法案を出されるうらには——私どもは、農林委員会から提出してほしいというのを、予算を伴うから政府が提出するのが当然だということで、政府にお返しして政府提案になつた。従いまして政府は当然予算編成の中に入れておかなければならなかつた。金額はたいしたものではないですけれども、閣議でやかましくきめられた予算編成の上うら、当然入れておかなければならなかつたと思いますが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/70
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071・小倉武一
○小倉政府委員 団体の再編成の問題に関連いたしましては、この法案が提案される場合にも、これは御承知のように予算の補正の措置が必要かと存じます。再編成されてもまた同じような問題が生じまして、先ほどお尋ねのありました公共事業費等の節約というものと相関連いたします。他の一般行政につきましても節約の問題がございまして農林省といたしましての部分の中には、この団体の関係につきましてのものも含まれておるわけでございまして、この中で措置するようになつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/71
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072・川俣清音
○川俣委員 その説明は事務当局の説明としてはごもつともに聞えますけれども、これは国務大臣としての予算編成の上から言うと、法案を出すときに当然予算を伴う場合におきましては、それが入つておらなければならなかつたはずだと思うのです。それを入れておかなかつたのはどういうことかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/72
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073・保利茂
○保利国務大臣 予算が成立しましたら、それは必要により補正の措置はまたとると言つておりますから、第二次補正をやると言つておりますから、必要があれば第二次補正で補正をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/73
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074・川俣清音
○川俣委員 私がお聞きしているのは、法案が出されるときには当然予算の組みかえが行われるわけなんです。法案とともに法案に伴う予算の処置がついて来なければならぬはずだと思う。法案が出なければ別ですよ。しかし法案が出されたからには、金額が少々であろうとも、当然予算の上に現われて来なければならぬはずだと思うのですが、それをあえて出さなかつたのはどういうわけですか。第二次補正ができるというなら、第二次補正のときにこの法案を出されてもいいのじやないかという議論になる。ぜひとも食糧確保の上から選挙を避けて行かなければならないという実情はよくわかる。そのことに反対はいたしておりません。また先ほど申し上げたように、農業委員会が率先して、この作況の悪いときにどうして供出させるかという努力中でありますから、その努力中に選挙し直すことはよくないという実情は、よく理解できる。私はそのことに反対じやないのですよ。この法案をそれだけの意味をもつて出されたからには、当然予算措置があつてしかるべきではなかつたのか、このことをお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/74
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075・保利茂
○保利国務大臣 何度お答えしましてもよろしゆうございますが、この予算が成立いたしましたならば、第二次補正で必要があれば補正をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/75
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076・井出一太郎
○井出委員長 川俣君に申し上げますが、ただいま予算の方から呼ばれております。簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/76
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077・川俣清音
○川俣委員 もう一つ重大なことがあります。私どもはこの選挙を延期するということについては、実情はよくわかります。しかしながら改選の時期が来て、その選挙を延ばすということは、これは大きな国民の権利に対する制限です。これを軽率に法律でたびたび選挙を延期するというようなことは、今の憲法上どうであろうかというような疑問を大臣はお持ちになりませんか。一回なら別として二回延ばすのだす上。実情はよくわかります。しかしながら日本の憲法の建前から申して、私は今ここで憲法論を長々と言う必要はございませんが、これは大きな人権に関することです。選挙権というのは基本の権利です。これを一片の法律でそそうに出して来るということは、大きな違憲問題だと大臣はお考えにならなかつたかどうか。この点に対する見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/77
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078・保利茂
○保利国務大臣 国民の基本的人権でございます選挙権を無用に制限する、あるいは時期を変更するというようなことを軽々に行うべきでないことは、私もよく承知をいたしておるつもりでございます。ただ川俣委員もお認めくださいますように、本年の供出ということが容易ならぬ事態の中にあるという上からいたしまして、また農村の実情からいたしまして、この場合延長する措置をとることは妥当ではなかろうか、こう考えて御提案をいたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/78
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079・川俣清音
○川俣委員 憲法に存在する基本権を侵すというようなことは軽々にやるべきでないという大臣の信念については、私も同様であります。しかしながら、そういう危険をあえて冒してまで選挙を延ばすということは、目下の日本のこの窮迫しておる食糧事情を緩和するための一助としてやむを得ない犠牲であるという大臣の見解であります。私はそれを了とします。しからば、それほど重大な食糧問題を解決するということに基本的な人権を幾らか侵してまでもあえてやろうとする御意思であるならば、もつとやはり食糧増産のためには努力しなければならぬのじやないか。基本的な人権ま百で侵すようなおそれのあるようなことまであえていたしましても、食糧増産のために、あるいは食糧確保のために努力しなければならぬというそれだけの信念でありますならば、既定計画であるところの食糧増産計画をあえて削るような大胆なことはできなかつたのじやないか、こうお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/79
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080・保利茂
○保利国務大臣 これは私は川俣議員のお言葉とも実は拝承できないのでございます。今回の災害対策の大部分というものは、一体何のために使うんだ。結局あるいは河川を侵され、あるいは農地を侵されしているものの回復をはかる、すなわち帰するところは食糧確保、食糧、生産を確保することにある。いわゆる食糧増産対策の直接の項目にあげられている中からはなるほどそうでございます。しかしまた同時に、直接的にこの冷害対策の中からいたしましても、あるいは災害対策の中からいたしましても、それに数倍するところの直接の項目として用いられて行くわけでございますから、これは川俣委員大局から御判断をいただきたい。決してそのために何か食糧増産費を項目の中に節約をしたから、それで食糧増産をほうつておくというような考えは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/80
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081・川俣清音
○川俣委員 それは非常に重大なことです。小規模土地改良でありますならば、これはちよつとずれて行つても自力でやれます。あるいは何とかがまんしてもやれます。ところが大きな国営開墾は一番高能率的である、経済効果が一番上るのであるからということでやつておられるのです。ところが、この大きな計画が途中で中止することによつて、被害面積もまた大きいのです。小規模であるならば、小規模の中止というものは小規模の範囲でとどまります。たとえば一例をあげてみれば、秋田県の田沢の開墾のごとき、去年経費が節減されたために排水路がないのです。用水路があつて排水路がないために、全部水害でない水をかぶつておる。予算があることによつて排水ができるのを、そのようにわずかの予算の削減によつてできなかつた例もある。またあるいはある所のダムを見ますと、ダムをつくる足場をつくつて、そのためにすつかり水路がふさがれてしまつて、四十何町歩の田の水路が侵されてしまつたというようなことがある。しかも計画が阻止されることによつて、その四十何町歩の田が耕作不能になる。これはどんどん拡張し行つて、その四十何町歩が犠牲になつても、下の方がそのために大きい増産になりますならば、それはやむを得ないダムの構築でありますから、それは認められるでありましようが、途中でやめられてしまいますと、中途半端に終ることによつて、非常に大きな損害が来る。これは農民として忍び得ない点が多々あると思う。私は福島県でその例を見て来た。そのようにせつかく計画されておつても、途中でやめられることによるところの被害が、わずかに二%削つたんだから、二%の被害は少いというような大臣の見方としますれば、今日の国営開墾、あるいは県営開墾にいたしましても、大きな齟齬を来すのではないかと思う。これは大きなことですよ。私はそこを言う。決して食糧増産を阻止するものじやないと言われましても、実際耕地をつくつておる農民にとりましては、それが延期されることによつて——来年できるならば、ことし耕地を手離してもやむを得ないと思つておるでしようが、目の前に置きながら耕地にすることもできなければ、また灌漑水路が通つて、あるいは排水路が完全になつても、来年、再来年の期待も持てないままに残されておるということになりますと、農民の生産意欲に大きな影響を及ぼす。私はそれを心配しておる。大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/81
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082・保利茂
○保利国務大臣 局部的に具体的な箇所においてそういう不都合が生じておるというようなことにつきましては、十分対処をして参りたいと思つております。そういう事態の生じませんように、節約は節約といたしましても、できるだけそういう影響を少からぬように、また御意見も伺つてやるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/82
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083・金子與重郎
○金子委員 私はこの農業委員会の本質問題には、今日上げるという約束でございますから触れませんが、これは小倉さんが大体主管の問題ですから、この運営の問題に対して一言私の意見を申し上げますから、これを将来研究しておいてもらいたい。と申しますのは、供出と農業委員会というものが重要な関連性を持つておることは、私も認めております。それだけに今度の選挙を供出最中にやつてはいかぬが、この農業委員会の最近活動されておる方向と、それから一方統計調査というものの主管がわかれておる。そればかりでなく、とかく団体的な一つの考え方になつてしまつて、そうして農業委員会はむしろ団体というよりかいわゆる民間の立場というものをよく考えると同時に、全体的な立場をも考えるような意味における一つの行政の補助機関としての性格も持つておる。そうであるからこそ、各県に少いながらも若干助成も出しておるわけであります。そこで今度東北地方の調査に行つて、実例を見て考は考えたのでありますが、今の統計調査というものも一つのサンプリングの方法はとつておるけれども、あの人的要素で短時間にこれだけのたくさんのものを的確に上げる調査というものは困難だ。それなら予算が加えられるか、これも困難だ。そうするといつまでも農業統計の調査は、農民から恨まれるという調査以上のものは出て来ない。そうなるとこれは農業委員会の人件費を削るとかなんとかいうことはやめて、むしろその人たちを中心にして、農業委員会をバツクしておる農村の役員を動員して、平時においても、ことにこういう非常時においても、統計調査の確立を期する方法がありはしないかと思う。それじや農業委員会そのものにまかしたのでは、利害関係を持ちますから、統計の数字に利害関係の加わることは統計になりませんので、それはいけませんが、一つの方法として、この間東東北のある町村に行つてみますと、ある部落では、一応農業委員会の末端の役員が出て一つの調査をする。それを村の単位から見るときには全部の筆数を何千筆と見られないから、各部落ごとに一筆ずつ調査したものをサンプリングにくじで抜く、抜いたところを見て部落における辛さ甘さを調整してみる。そういう形が町村と町村の間に行われる。そうしてある段階から上は統計調査の数字としてとつてさしつかえないのではないか。そうでありませんと、今の農業委員会の統計はそれに供出というものが伴うからこうして低く出す、統計の方はこうして辛く出したというので、どこの県へ行つても統計の数字と町村の数字が食い違つて、それが積み上つて、今食糧庁長官は毎日その問題で汗をかいておるのでありますから、農業委員会の予算を削るということに苦労しないで、もつと積極的にほかの機関と強力に結びついて活動できるように研究したらどうか、こういうことを進言しておきますから、これをよく研究しておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/83
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084・井出一太郎
○井出委員長 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/84
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085・芳賀貢
○芳賀委員 私はこの農業委員会の委員の任期の延長に対して、大臣にただしたい点があつたわけですが、小倉さんもおられるので、基本的な問題ですけれどもお答え願いたいと思います。
今年の春任期の延長をやる場合において、これが一月の中旬までの任期であるということになれば、当然供出の終らないうちにこの選挙が行われるということは、あの当時から予想ができたわけであります。ただあの場合においては、農業団体再編成の法律案を出すために若干の日時がいるので、それで一応半年の延長を認めてもらいたいということが主たる理由だつたと思う。本日大臣の御表明によりますと、そういう考えは全然ない。ただ災害のために収穫量が少い。それでそういう困難な中においても一定量の食糧を国内において確保するために、改選等に行うことはそれに支障を来すというようなお言葉でありますけれども、これは当面の責任者であるところの小倉局長においても、このことに関する限り相違はないというふうに考えていいかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/85
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086・小倉武一
○小倉政府委員 そういうことに相違ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/86
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087・芳賀貢
○芳賀委員 供出を順調にやるために、農業委員会の任期の延長だけをすれば、政府が意図しただけの米が集るとすれば、これは非常にけつこうな話であります。問題は農業委員会の改選があるかないかということよりも、災害地の農民諸君に快く米を出してもらえるという態勢が整わななければ、任期の延長だけをした場合においても決して実効は上らないわけです。むしろ基本的には、今一番切実に要求されておる問題は、米価が安過ぎるというこの点であります。農民諸君や農業団体、特に現在任期中にあるところの地方の農業委員会においても、当然現行の米価を一石一万二千円程度に引上げなければならぬという主張をしておるわけであります。だから一定量を確保する場合においては、当然その一番障害になるところの米価の是正をやるということの方が正しいのではないかというふうに、私は考えますけれども、局長は任期の延長だけやればそれは簡単に片づくというようなお考えであるかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/87
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088・小倉武一
○小倉政府委員 任期の延長は供出を積極的に円滑化するという意味では必ずしもございませんで、任期が供出の途中で切れることによりまして、そこで選挙が行われることによりまして、供出に関連しましたいろいろの仕事に支障が起るおそれがある。従つてそれが供出に支障を与えはしないかということをおそれるのでありまして、いわば消極的な施策でございまして、積極的に供出を促進するということでございますれば、こういうことでそれを期待するということは、もちろんお説の通りそこまで考えておるのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/88
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089・芳賀貢
○芳賀委員 この供出問題にからんだ場合でも、たとえば現在の農業委員会にどれだけの権限を国が与えているかということであります。たとえば、この供出の一番基礎的な数字になる場合の町村における収穫量の把握の場合においても、農業委員会は農業委員会の立場に立つていかに的確なる調査を行つた場合においても、これは全然採用になつておらないわけであります。作報事務所の一方的な調査が国の最終の基本数字になつて、それから算出されたものが府県に割当がおりて行くというようなことになると、実収量の把握に対する農業委員会に依存するその度合いというものは非常に少いのであります。非常な不合理な数字が府県を通じて下におろされた場合においても、その場合においてすら、農業委員会はただ町村長の諮問に答えるという以外の力を持つておらないのであります。しかも時期的に見ても、いかに凶作災害があつても、一月中旬と申しますと、これはまだ正月であります。いかに凶作であつても、一年中働いている農民が、正月も返上して救農土木工事に出て行かなければならぬというほど、それほど政府が冷淡であるというふうには考えられないのであります。むしろ大臣が農閑期であると言つた七月の方が、どれほど手間が惜しいかわからぬのであります。そういう場合においては、むしろ正月の時期を選んだ方が気持もおちつくし、米価問題とか、農民に対しては何ら利益を守るような態度をとつておらぬところの国の施策の欠陥等は、正月にのんびり休むようなときにしか頭に響いて来ないのであります。そういう一番的確な判断のできるような時期に改選をやるということは、むしろ日本の農業を発展させる基盤をつくる足がかりにもなる好適の機会であるというふうにわれわれは考えますけれども、局長はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/89
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090・小倉武一
○小倉政府委員 現行の任期によりまして、一月中ごろに選挙をするということが、御承知のように季節といたしましては、農民にとりまして非常に都合のよい季節だと私は思います。ただ本年の特殊の事情から申しまして、延長していただいた方がよくはないか、こういうことであります。ので、一般論として一月ごろが時期としては最適であるというのは、お説の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/90
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091・芳賀貢
○芳賀委員 そうすると、今度の延長の理由というものは、今小倉局長が正直に言われたように、最も消極的な微温的な供出量の確保にすぎぬということで、まつたく積極的な裏づけはないということだけが立証されたということで、私は一応これで質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/91
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092・井出一太郎
○井出委員長 農業委員の任期延長に関する問題につきまして、他に御質疑はありませんか。——他に御質疑がございませんようでありますから、この際お諮りいたします。本案につきましては討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/92
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093・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。
それではこれより採決いたします。市町村農業委員会の委員及び都道府県農業委員会の委員の任期延長に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/93
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094・井出一太郎
○井出委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願たいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/94
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095・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めさよう決しました。
本日はこれにて散会いたします。明日の日程は公報をもつて御通知いたします。
午後五時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101704988X00419531102/95
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