1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年十一月六日(金曜日)
議事日程 第八号
午後一時開議
第一 社会保険審査会委員長及び同委員任命につき事後承認の件
第二 農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案(内閣提出)
第三 昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案(内閣提出)
第四 昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案(内閣提出)
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●本日の会議に付した事件
昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域における公衆衛生の保持に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
日程第一 社会保険審査会委員長及び同委員任命につき事後承認の件
日程第二 農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案(内閣提出)
日程第三 昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案(内閣提出)
日程第四 昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案(内閣提出)
昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案(内閣提出)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
午後四時十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/0
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001・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/1
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002・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) お諮りいたします。参議院から、内閣提出、昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域における公衆衛生の保持に関する特別措置法等の一部を改正する法律案が回付せられました。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/2
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003・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域における公衆衛生の保持に関する特別措置法等の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/3
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004・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/4
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005・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/5
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006・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 日程第一につきお諮りいたします。内閣から、社会保険審査会委員長に川西実二君を、また同委員に藤田宗一君、簗誠君を任命したので、その事後承認を得たいとの申出がありました。右申出のうち、川西実三君の任命につき承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/6
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007・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて承認するに決しました。
次に、藤田宗一君及び簗誠君の任命につき承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/7
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008・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて承認するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/8
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009・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 日程第二、農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案、日程第三・昭和二十八年度にお汁る特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長千葉三郎君。
〔千葉三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/9
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010・千葉三郎
○千葉三郎君 ただいま議題となりました二法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案について申し上げさす。この法律案は、昭和二十八年度において風水害、冷害等が異常に発生したことにより農業共済再保険特別会計の農業勘定に生じました支払い財源の不足を補填するため、一般会計から八十五億円の繰入金をすることができることにするとともに、同勘定の積立全を同年度の歳出の財源に充てるため歳入に組み入れることができることといたしております。
次に、昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案について申し上げます。この法律案は、昭和二十八年六月及び七月における大水害により急速にその復旧を行う必要を生じた特別鉱害にかかる交付金の支払い財源として、資金運用部から一億二千万円の借入金をすることができることといたそうとするものであります。
以上の両法律案につきましては、審議の結果、去る四日質疑を打切り、ただちに討論に入りましたところ、改進党を代表して内藤委員は、二法律案中農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案については、政府は予算的、資金的措置を講じ、保険金支払いの円滑化に善処されたい旨の附帯決議を付して賛成の旨述べられ、社会党を代表して井上委員は、両法案について反対の旨述べられました。
次いで採決に入り、まず農業共済保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案について採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。次に、昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案について採決いたしましたところ、本案も同じく起立多数をもつて可決いたしました。最後に、内藤委員提出の附帯決議について採決いたしましたところ総員起立をもつて決定いたしました。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/10
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011・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 討論の通告があります。これを許します。井上良二君。
〔井上良二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/11
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012・井上良二
○井上良二君 ただいま議題となりましたうち、農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案に関し、私は、日本社会党を代表して附帯決議を除く委員長報告に反対するものであります。
そもそも今次国会は、大風水害と冷害にあえぐ罹災民の救援と災害地の復旧に必要な法的、予算的、資金的対策を講ずるために開かれておることは申すまでもありません。しかるに、今日まで本国会において明らかにされましたことは、この冷水害に対する政府並びに保守三派の予算的、資金的対策がいかに現実を無視したごまかしの対策であるかということが暴露され、寒さと年末を迎えつつある罹災民に大きな失望を与え、救農国会の名をはずかしめておる実情であります。ただいま議題となつております農業共済再保険特別会計への繰入金に関する法律案によつても、具体的にそのことが現われているのであります。
政府及び保守三派は、当初補正予算では、本年に予想される水稲の保険金支払額を約二百六十億円とし、これに麦と蚕繭の保険金を加えると約三百四十五億を見込んだのであります。この三百四十五億のうち、特に急を要する水稲保険金二百六十億の中で、一割は単位組合の責任額でありますから、残る二百三十五億が連合会及び特別会計の負担となり、特別会計の負担分は約百九十億となるのでありますが、この特別会計の負担の百九十億に、陸稲に対する保険金や、台風十三号等の被害による今後判明する分を考慮いたしますと、特別会計の負担額は約二百四十六億が見込まれ、一方、この政府の支払い負担額に対し、現在特別会計の手持金は、再保険料六十一億、基金二十五億、前年度黒字積立て五億、合計九十一億円しかありませんので、差引百五十五億が絶対不足の赤字となるわけであります。そこで、政府は、東日本の冷害による水稲の被害農家への保険金の支払いと、西日本風水害等による被害に対して仮払いに充てるための財源として、一般会計から百三十億を特別会計に繰入れる予算案を本国会に提出したのであります。ところが、その翌々日、政府は、保守三派の冷害対策費の増額要求に対し、新規財源の策定に努力せず、事もあろうに、冷害と大風水害のため収穫皆無の惨状にあえぐ罹災農民が一日千秋の思いで待つております共済保険金の支払いに充てる百三十億円を八十五億円に削り、四十五億を冷害対策費に繰入れ、しかも、さしあたり必要とする七十億円の赤字はそのままの状態に放任した修正を行つたことについて、われわれは、被害農民の利益を代表して、断固この案には反対せなければなりません。(拍手)
今次国会において冷水害対策費の増額がやかましく叫ばれるほど、冷水害地方の農民生活は窮迫し、救農対策の緊急実施の必要がやかましく叫ばれておる今日、何よりもまず法律上農業災害の損害補償の道をすみやかに講じて、収穫皆無の農家に共済保険金の支払いを一日も早く完了すべきであるにかかわらず、その保険金の支払いに充てる予算を削減することによつて特別会計に約七十億の財源不足を与え、しかもその不足金を第二次補正予算に計上する方針さえ今日まだ確立せず、政府は融資によつて一時を糊塗せんとしているのでありますが、それでは、この百億になんなんとする融資を、一体どの資金源によつて求めんとするか。政府及び保守三派は、災害復旧費についても大幅にこれを圧縮し、しかもその補助率を三・五・二に按分して、本年度予算は、三百億だけを予算化し、残余の百五十億は融資によつてまかなわんとしておりますが、この百五十億の資金源もまた一体どこに求めんといたしますか。資金運用部資金は、政府みずから説明する通り、まつたく枯渇し、年度末資金わずかに七十億にすぎない状態であります。かんじんの資金源を確保しないで災害復旧を行おうとしても、一体どうしてやれるというのでありますか。まつたく罹災農民をばかにした、ずさんきわまる予算対策であり災害対策であつて、罹災国民をごまかすもはなはだしきやり方でありまして、われわれは政府並びに保守三派の政治的責任を断固追究しなければなりません。(拍手)特に、農業共済保険金の支払い資金の不足は、この共済保険の運用に致命的な打撃となり、保険金支払いの根拠となる損害評価や保険金支払いの事務は遅延して、早急に救済すべき農民の期待を完全に裏切り、農業共済保険制度に対する不満を引起し、ひいては救農の名のもとに開いた国会に対する不信となり、わけても、保守三派の子供だましのような救農対策に、まじめと正直さを誇る全国四千万の農民の反感は心の底から憤激の声となつて現われて参りましよう。
わが日本社会党は、風水害に次ぐ冷害等によつて窮乏にあえぐ農民に生気と希望を与え、日本経済再建の中核である食糧増産に罹災農民が一日も早く立ち上れる救農対策の一環として、農業共済制度が十分活用されるだけの予算的裏づけのない本法律案に対しては、ここに断固反対の意見を表明するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/12
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013・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。
まず日程第二につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/13
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014・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
次に日程第三につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/14
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015・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/15
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016・荒舩清十郎
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、日程第四とともに、本日委員会の審査を終了した、内閣提出、昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の二案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/16
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017・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/17
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018・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
日程第四、昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案、昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長井出一太郎君。
〔井出一太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/18
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019・井出一太郎
○井出一太郎君 ただいま議題となりました三法案につきまして、農林委員会におきまする審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
順序を変更いたしまして、まず昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案につきまして申し上げます。
御承知のごとく、本年の冷害は近年まれに見る激烈なものでございまする上に、これに付随して稲熱病、二化螟虫等の病虫害の発生もまた著しく、水稲を初め陸稲その他蔬菜、雑穀類の減収はなはだしく、大正二年の冷害に比肩せられる大被害となつたのであります。ために、農家の現金収入は著しい減少が予想せられ、このまま放任いたしますならば、被害農家の経営の維持はすこぶる困難となり、きわめて憂慮すべき事態に立ち至るであろうことは明白でございます。このため、政府といたしましても、この事態に対処して、種子及び飯米の確保、冷害地帯における公共事業費の増額、炭がまの建設費等の国庫補助を実施いたすこととなつております。それとともに、農業経営の維持に必要な経営資金及び副業資金等を低利かつ円滑に融通する方途を講じ、被害農家の経営の安定をはかる目的をもちまして、ここに本法案の提出となつたのであります。
本法案の内容のおもなる点を申し上げますと、第一に、資金貸付の対象は、平年作に比し三割以上の減収をこうむつた被害農家であること。第二に、貸付経営資金は、種苗、肥料、飼料等の購入資金、副業資金、その他農業経営を維持するに必要な資金とし、一戸当り貸付最高額を内地十五万円、北海道二十万円とすることであります。第三に、償還期間は五箇年以内とし、利率は一般農家六分五厘、開拓農家五分五厘とし、減収の特にはなはだしい市町村または開拓地区では三分五厘とすること。第四、都道府県または市町村が行う利子補給または損失補償に対し、国は予算の範囲内で所定率の補助を行うこと。第五、経営資金の総額を百五十億円とすることの五点にあろうかと思うのであります。
本法案は、去る十月二十九日、本農林委員会付託と相なり、翌三十日、農林政務次官より提案理由の説明を聴取の上審議に入つたのであります。本委員会は、九月上旬すでに冷害の徴候を察知いたしましたので、ただちに本委員会を開会いたし、政府側の説明を求めるとともに、対策に関し種々協議を重ねて参りましたが、十月に入りまして、この冷温寡照の異常天候はその後も引続き、もはや冷害の襲来は歴然といたして参りました。よつて、十月九日より北海道、東北、関東及び中部等の各地帯にわたり一斉に委員派遣を行いまして、つぶさに被害の実情を調査いたしまするとともに、さらに冷害の発生の気象学的原因及び長期気象の観測あるいは冷害の農作物に及ぼす作物生理的影響並びに耐冷性品種改善等に関し学識経験者より参考意見の聴取を行う等、あらゆる努力を払つて、冷害克服の対策、被害農家救済の具体的措置等に関しまして真剣な審議を続けて参つたのであります。その結果、十月二十日、冷害等による凶作対策に関する件並びにこれに伴うところの予算の問題等に関しまして委員会決議を行い、冷害対策のためとるべき方策を明示いたしたのであります。従いまして、本法案が提出せられ、本委員会に付託されまするや、各委員は、かねて検討いたして参りました対策と対照いたし、十月三十日から十一月六日にわたり、連日あらゆる角度から慎重なる検討を加え、保利農林大臣を初め関係政府委員との間に真剣な質疑を行い、さらに建設、厚生、労働各省の冷害対策に関係ある政府委員の出席を求めまして、冷害対策に関する計画、実施の手続等についてもただす等、万遺憾なきを期して参つたのでございます。
かくいたしまして、本日をもちまして質疑を終局いたしました。よつて、これを討論に移しましたるところ、自由党を除く各派から修正案が提出されました。その修正案は次のごとくでございます。
一、薪炭原木購入資金並びに炭がま構築資金の貸付の業務を農協のほかに森林組合にも認めようとすること。
二、営農資金の中に家畜維持資金を含むことを法律上明記いたしたこと。
三、貸付金額について、政府原案おいては「市町村長の認定する冷害よる損失額を基準として政令で定めるところにより算出される額又は十五万円(北海道にあつては二十万円)のいずれか低い額の範囲内」と相なつてもりますが、前段の政令による点を法律上明白にし、損失額から共済金を差引いたものを貸し付けることとし、なお、以上によつて算定される金額にさらに家畜維持資金として三万円を加算し貸し出すことといたしたことであります。
四、貸出し利率は六分五厘、五分五厘、三分五厘の三種類となつておりますが、最後の低率を適用する場合について、政府原案に示されておるもののほか、市町村またはその耕地面積が十町歩以上である開拓地区で、その区域内の農作物の冷害による減収が平年収穫量の百分の二十を越えるものについても三分五厘の低率を適用することとしたことであります。
五、本法により貸し付けられる経営資金の総額の限度百五十億円を二百二十億円に増額いたした点でございます。(拍手)
この修正案に対し、改進党金子委員から趣旨弁明が行われ、また社会党芳賀委員、同じく社会党日野委員、自由党安藤委員の三委員から賛成意見の開陳がございました。
次いで、この修正案並びに修正部分を除く政府原案について採決いたしましたるところ、全会一致をもつて本法案は政府原案を修正案のごとく修正すべきものと決しました。(拍手)
次いで、社会党是鹿委員から次のごとき附帯決議を付したいとの提案がございました。
昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案に対する
附帯決議
一、本法により被害農家が借入れ資金については、自作農創設維持特別会計が現に行う農地の買入売渡方式による金融制度を速かに再検討し、政府資金による新制度の確立を図りたる後、同制度による資金をもつて借換えを可能とする措置を講ずること。
二、資金の貸付に関する手続については、農業手形に準ずる等によりこれを極力簡素化し、融通の円滑を図ること。
三、冷害等災害対策に要する農協系統内部資金の金融措置については、万一系統資金が逼迫し、又は本来の業務に支障を来たす等の場合においては、速かに政府資金の融通等適切なる措置を講ずること。
四、本法の規定に基く副業資金のうち薪炭原木購入資金及び炭がま構築資金を貸付けるに当つては、被害農家が農業協同組合より貸付を受けざる地区について森林組合がこれに当ること。
この附帯決議について採決の結果は、これまた全会一致をもつて可決いたしました。
なお、篠田農林政務次官から、委員会の修正案並びに附帯決議については趣旨を十分尊重する旨の発言がございましたことを、あわせて御報告申し上げます。(拍手)
次に、昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案について申し上げます。
御承知のごとく、本年六月より九月までの間数次にわたる風水害によりまして、田畑が流失、埋没し、かつ作物の冠水せるものも少くなく、その上また本年稀有の冷害の発生によりまして、米麦または雑穀の収穫量が著しく減収することにより、飯用食糧にもさしつかえる農家が多数生じている現状でございます。よつて、かかる農家に対して政府所有の米穀、麦及び麦製品を特別価格で売り渡して食糧不安をなくしまするとともに、他の救済の施策と租まつて被害農家の窮状を打開し、もつて農業の再生産の確保をはからんとするのが、本法案提出の目的であります。
次に、そのおもなる内容を申し上げますと、第一点は、風水害によつて田畑が冠水、埋没、流失し、または冷害等のため米麦または雑穀の収穫が激減し、飯用食糧が著しく不足した農家を救済の対象としておるのであります。なお、第十六国会において成立した昭和二十八年六月及び七月の大水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律及び今国会に提出された同改正案におきましては、大水害及び風水害によつて米麦を流失、毀損する等の被害を受けた農家を対象としているのでありまして、この点に本案との相違がございます。第二点は、米麦の売渡しを受ける農家は、冷害等により飯用として消費する食糧が著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けることといたしております。第三点は、困窮した被害農家を救済するため、米麦の売渡し価格は生産者価格程度としております。第四点は、売渡しは都道府県及び市町村を通ずることに相なつておるのでございます。
本法案は十月二十九日本委員会に付託され、十月三十日篠田農林政務次官より提案理由の説明を聴取いたしましたる後質疑に入り、爾来連日政府委員との間に真剣な質疑を行い、十分に検討を行いましたる結果。去る四日質疑を終局いたしました。続いて、討論を省略、採決を行いましたるところ、全会一致をもつて政府原案の通り可決いたしました。
次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本年の異常な冷害に対する救済対策といたしまして、政府はこれら冷害地帯に新たに土地改良その他の救農土木事業を起し、これらの事業からの労賃収入によつて被害農家の現金収入の減少を補おうとしているのであります。しかして、これらの事業の事業費の一部を地元が負担する場合におけるその地元負担分については、これを農林漁業金融公庫において融通するものとし、これに充てるため同公庫の資金を増額する必要が生じましたために、ここに同公庫の資本金を十億円増加し、本年度内において十億円の追加出資を同公庫に対して行おうとするものであります。しかるに、その後十月三十一日さらに十五億円を追加し、計二十五億円を追加出資する旨の修正案を政府から提出せられ、翌十一月一日本院の承諾を得、これによりまして同公庫に対する一般会計からの出資金は二百五億九千三百万円となるのであります。
本法案は十月二十九日本委員会に付託せられ、翌三十日篠田農林政務次官より提案理由の説明を聴取の上、さきに御報告申し上げました冷害被害農家に対する資金融通の特別措置法案及び米麦の売渡の特例に関する法案の二法案と一括して審議に入り、爾来連日各委員から政府側との質疑を通じて真剣なる検討が続けられて参りましたが、本日をもつて質疑を終了いたしましたので、討論の後採決いたしましたるところ、これまた全会一致をもつて政府原案の通り可決いたしました。
以上御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/19
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020・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 三案を一括して採決いたします。三案中、昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案の委員長報告は修正でありまして、その他の二案の委員長報告は可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/20
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021・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り決しました。
明七日は定刻より本会議を開きます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101705254X00819531106/21
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