1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年十月三十一日(土曜日)
午前十時四十八分開会
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委員氏名
委員長 内村 清次君
理事 石村 幸作君
理事 堀 末治君
理事 館 哲二君
伊能 芳雄君
西郷吉之助君
高橋進太郎君
長谷山行毅君
小林 武治君
島村 軍次君
秋山 長造君
若木 勝藏君
松澤 兼人君
苫米地義三君
加瀬 完君
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出席者は左の通り。
委員長 内村 清次君
理事
石村 幸作君
堀 末治君
館 哲二君
委員
伊能 芳雄君
西郷吉之助君
高橋進太郎君
長谷山行毅君
小林 武治君
島村 軍次君
秋山 長造君
若木 勝藏君
苫米地義三君
加瀬 完君
国務大臣
郵 政 大 臣 塚田十一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
常任委員会専門
員 伊藤 清君
説明員
自治庁行政部長 小林与三次君
外務省アジア局
第五課長 鶴見 清彦君
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本日の会議に付した事件
○地方行政の改革に関する調査の件
(報告書に関する件)
○参考人の出頭に関する件
○奄美群島の復帰に伴う法令の適用の
暫定措置等に関する法律案(内閣送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/0
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001・内村清次
○委員長(内村清次君) これより地方行政委員会を開会いたします。
先ず調査報告書に関する件につきましてお諮りいたします。第十六国会閉会中は十一回も委員会を開いて、地方行政の改革に関し調査を行なつて参りましたが、規則第五十五条によりまして、会期の初めに報告書を議長に提出しなければなりませんので、つきましては未了の報告書を提出することにいたしたいと存じます。報告書の作製及びその他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/1
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002・内村清次
○委員長(内村清次君) 御異議ないと認めます。
なお、報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、御署名を願います。
多数意見者署名
館 哲二 伊能 芳雄
西郷吉之助 高橋進太郎
長谷山行毅 小林 武治
島村 軍次 若木 勝藏
加瀬 完
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/2
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003・内村清次
○委員長(内村清次君) 次に奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律案が本委員会に付託されております。先ず提案理由の説明をお聞きいたしまするが、その前に、次回は十一月二日の午後一時でございますが、その際、本法案の審議の参考として奄美大島の実情を聴取するため、参考人の出席を求めたいと存じまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/3
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004・内村清次
○委員長(内村清次君) 御異議ないと認めます。
参考人の人選その他に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/4
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005・内村清次
○委員長(内村清次君) ではそのように決定をいたします。
ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/5
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006・内村清次
○委員長(内村清次君) 速記を始めて。
では只今塚田自治庁長官が出席せられましたから、奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律案につきまして、その提案理由の説明を塚田長官から求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/6
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007・西郷吉之助
○西郷吉之助君 ちよつとその前に、大臣に一点お聞きしておきたいのですが、今お話のありました災害予算が上程されて、極めて短期間ですが、その災害対策費の五百億並びに或いは給与改善費、義務教育費、大島の十億というようなことが、この予算に出ておりますので、そういうものについて、基本の委員会であるこの委員会に政府は予算の内容を説明なさる予定であるのか、その点について伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/7
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008・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 今度の予算につきましては、給与の部分が先へ送られましたので、その部分はまだお答え申上げる段階に至つておりませんのでありますが、災害に関係いたしました部分は、只今も懇談会でお話がありましたように、当然地方負担がございます。又災害に伴ういろいろな減収の面もありますので、その減収の面と地方負担の増加の面を合せて、地方財政計画で今までの計画を直さなければならない面があるわけでありますが、それは大体全部起債で賄うということになりましたので、予算書の表面には出ておりませんのでありますけれども、当然予算と一連のものとして、この国会で御説明申上げて御審議願う、こういうふうになつておりますので、私どももそのつもりで用意をいたしております。別な機会にお答え申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/8
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009・西郷吉之助
○西郷吉之助君 それでは政府の意向もわかりましたが、この臨時国会は非常に日数が限定されて短いので、委員長において理事会等と御相談の上、そういうような日割を一つ御決定願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/9
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010・内村清次
○委員長(内村清次君) 取扱につきましては、理事会に相談いたしまして、そのようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/10
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011・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 只今議題となりました奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律案についてその提案の理由を御説明いたします。
去る八月八日のダレス声明によりまして、待望の奄美群島の復帰が約束されしたことは、御承知の通りであります。復帰の時期は、まだ確定いたしませんが、目下アメリカ合衆国と政府の間に交渉中でありますので、近く実現の運びにいたるものと考えられるのであります。
同地域が復帰いたしました場合におきましては、法制の切換、制度の改編等による混乱をなるべく回避し、円滑にその引継を完了する必要があることは申すまでもないところであります。
従いまして、同地域の復帰に伴いまして法令の上でもいろいろの経過措置、暫定措置を必要とするわけでありますが、何分まだ復帰の時期も確定いたしておりませんし、アメリカ合衆国政府との間の交渉も完了しておりませんので、この際、今後の事態に即応し、機動的に必要な処置をなしうるような態勢を整えておく必要があるのであります。
そこでこの法律案では、さしあたり、奄美群島に施行される法令に関する措置、復帰に伴う暫定的な衆議院議員の定数及びその選挙、奄美群島における市町村の機関及び職員の引継、現地裁判所における民事訴訟の引継の方法等に関し規定し、その地同地域の復帰に伴いまして必要とされる事項は、或る程度政令等に委任することにいたしてあるのであります。
なお、詳しいことは政府委員より御説明を申上げさせますが、何とぞよろしく御審議のほどを御願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/11
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012・内村清次
○委員長(内村清次君) 只今提案理由が済みましたが、今後この法律案の審議は、先ず逐条説明から聞くことにいたしますが。それでよろしうございますか。
〔「結構です」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/12
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013・内村清次
○委員長(内村清次君) 今塚田長官ですね、郵政委員会のほうに出席されるということでございますが、長官に何か聞かれることありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/13
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014・若木勝藏
○若木勝藏君 今日は説明聞くだけにしておいたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/14
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015・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/15
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016・小林与三次
○説明員(小林与三次君) 只今自治庁長官からこの法案の提案理由について説明がありましたが、以下さらにそのくわしい内容を逐条について御説明申し上げたいと存じます。
先ず第一条は、一般の形式に従つてこの法律の趣旨を規定したものであります。なお、今回復帰の行われる地域は、北緯二十九度以南の旧鹿児島県大島郡の地域、即ち奄美群島の地域と予定しております。
第二条は、本邦法令の施行に関して定めたものであります。奄美群島が本邦に復帰いたすとともに、本邦の法令は、一応、すべて同地域に施行されることになるわけでありますが、法令によつては、直ちにこれを施行するときは、かえつて現地に混乱を招く虞れのあるものもありますので、第一項各号に掲げましたような法令、その大部分は租税関係の法令でありますが、これだけは別にそれぞれ政令で定める日までは、同地域には施行しないこととしたのであります。第二項では、これらの暫定的に施行を停止された法令は、特別の事情のある場合を除く外、遅くともこの法律施行の日から起算して六月を経過した日までに施行しなければならない旨を定めております。第三項では、これまで奄美群島に適用されていた従前の法令で、第一項によつて施行を停止された本邦の法令に相当する事項を定めているもの及び本邦の法令が全く規定していない事項について定めているもののうち、政令で定めるものは、政令で定める日、これは大体において事項別に第一項によつて施行を停止されている法令が施行される日になると考えられますが、その日までは、奄美群島においては法律としての効力を有するものとし、施行を停止される法令の空白を埋め、法制の急激な切換を避けたわけであります。なお、これらの従前の法令を通商するについては、奄美群島の復帰に伴つて、当然その法令の実施に当る機関等についての読替が必要でありますし、また、事情によつては、これらの法令の内容を実質的に改廃することを必要とすることも考えられますので、これらを政令で措置しうるごととしたのであります。ただ事柄の性質上新たに罰則を設けたり、刑や過料を加重することはできないことを明らかに致しました。これが、第四項の規定であります。
第三条は、衆議院議員の選挙について規定しております。奄美群島の人口は、現在の議員定数配当の基礎数には入つておりませんが、二十万をこえる状況でありまして、人口比例から申しましても同地区から衆議院議員一名を選出する必要があると考えられますが、さしあたり直ちに鹿児島県のみの選挙区なり定数を改めるわけにも参りませんので、この際は、暫定的に、公職選挙法の別表第一がこの法律施行後最初に更正されますまでの間、衆議院議員の定数を一人増加して四百六十七人とし、奄美群島の区域をもつての選挙区とし、この選挙区から一名の衆議院議員を選出させることとしたのであります。なお、その選挙は、復帰後なるべく速やかに同地区において選挙を行う必要があるものと考えられますので、この法律の施行の日から起算して二月をこえない範囲内において政令で指定する期日に行うこととしたのであります。そしてこの場合、選挙された議員の任期は、補欠選挙の場合に準じてその選挙の際現に在職する他の議員の任期によることとしたのであります。
次に、第四条は、復帰後現地において国の行政事務を執行する機関のあり方について定めております。現在のわが国の複雑多岐な行政、組織に基いて国の行政機関を直ちに個々に奄美群島に設けることは、現地の振興行政を強力に行う上からもいかがと考えられるばかりでなく、行政簡素化の趣旨にも合致しませんので、さし当りは、政令で定める特殊なものを除き、国の行政事務は、原則として鹿児島県知事又はその下に設けられることを予感される大島支庁の長等に行わせるものとしたのであります。なお、この場合、主務大臣又はその委任を受けた職員がその所掌事務について、鹿児島県知事又は大島支庁長等の機関を指揮監督することができることを明らかにしております。
第五条は、簡易裁判所の設立について規定したものであります。即ち、当分の間、名瀬市及び徳之島亀津町に簡易裁判所を設けることとしたのであります。
第六条は、奄美群島の地域に設置される裁判所の職員については、予算の範囲内で最高裁判所規則で臨時に定員を定めることができることを定めております。
第七条は、民事訴訟等に関する経過措置を定めたものでありまして、昭和二十上年一月の行政分離後現地裁判所でなされた訴訟行為、裁判、処分その他の手続上の行為は、刑事に関するものを除きまして、本邦の裁判所で本邦の法令の相当規定によつてなされたものとみなすこととして、その効力を認めることといたしました。併し、現地裁判所の確定の裁判でも公序良俗に反するものは、外国裁判所の判決に対する民事訴訟上の取扱に準じ効力を有しないことといたしました。
なお、刑事事件に関しては、現地裁判所のした裁判等の効果は認めないことといたし、又奄美群島に適用されていた従前の法令に対する違反行為にも当然には従前の罰則を適用しないことにいたしましたが、勿論刑法その他の本邦の法令に従つて、改めて訴追できるものについて訴追することを妨げる趣旨ではありません。
第八条は、従前の市町村及びその機関の引継等に関する規定であります。従前の奄美群島の市町村につきましては、現地にも本邦の地方自治法と同様の立法がありまして、大体本邦の市町村と同様の組織になつておりますので、そのまま、これを地方自治法上の市町村として認めることとし、議会の議員、長、助役、収入役その他の職員も、引続いて市町村の議会の議員、長、助役、収入役その他の相当の職員となるものといたしました。ただ、従前の法令の規定によつて任期が定められており、地方自治法の規定によつても任期の定められているものの任期は、地方自治法の規定によることとし、その任期の起算点は、従前の法令の規定によつて選挙され、又は選任された日とすることといたしました。
次に奄美群島におきましては、市町村の区域に教育区という法人が設けられ、区教育委員会が設置され、市町村立中小学校の管理、教職員の人事等の事務を取扱つておつたのでありますが、教育区というような法人組織は、本邦にはありませんので、復帰に伴い当然これを消滅させることといたし、その財産その他の権利義務及び教職賃の引継等については、政令で定めることといたしました。
又、従前の市町村は、条例、規則その他の規程を制定していたのでありますが、本邦の法令なり鹿児島県の条例、規則その他の規程に抵触しない限り、引続いてそれぞれの市町村の条例、規則その他の規程として効力を有することとしたのであります。
次に第九条でありますが、奄美群島地区には、復帰に伴つて強力な振興対策を講ずる必要があるわけでありまして、それがためには、国庫負担、国庫補助等につきまして、他の法律の規定にかかわらず、特例を設ける必要があると考えられますので、政令でそのような特例が定められることといたしたのであります。
最後の第十条は、奄美群島の復帰に伴う必要な経過措置等の政令等への委任規定であります。以上御説明申しました選挙、市町村の基本組織、民事訴訟等の引継等に関する事項のほか、なお、通貨の交換及び債権債務の単位の切替に関する事項、本邦の法令の適用についての経過措置に関する事項、その他同地区の復帰に伴い必要とされる事項は相当広汎多岐に亘るものと予想されますが、現在なお確定し得ない事項がたくさんありますので、今後復帰の日の確定するまでの事態等に即応し、機動的な処理ができるように、これらの事項は、政令で規定できることといたしたのであります。ただ、訴訟手続等憲法第七十七条第一項に規定する事項につきましては、最高裁判所規則で定めることといたしたのであります。
附則は、この法律の施行期日を定めたものでありまして、政令で定める日から施行することといたしました。政令では、復帰の日が決定いたしますれば、その日を定めることとなるものと考えます。
以上でこの法律案の逐条に亘つての細目説明を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/16
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017・内村清次
○委員長(内村清次君) 次に外務省アジア局第五課長鶴見君から外交交渉の経過につきまして説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/17
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018・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) 外務省アジア局五課長の鶴見であります。外交交渉といいますか、外交折衝の本件に関するアメリカ側との折衝経緯と申しますか、について簡単に御報告申上げます。
政府といたしましては、平和条約発効以来、随時アメリカ側に対しまして、奄美大島を含め沖縄、小笠原という、いわゆる平和条約第三条の地域の早期の返還というものを要望して参つたのでありますが、御承知の通り、奄美大島につきまして、今年の八月八日ダレス国務長官が東京に立ち寄りました際に、必要な取極ができ次第、奄美群島についての平和条約第三条に基く行政、司法、立他の三権を日本のために放棄することを希望するという発表をされたわけであります。外務省といたしましては、早速その発表に謳われている奄美群島というものは、一体何を指すのかということ、或いは具体的にアメリカ側とどういう取極をする必要があるのかということ、更には一体いつごろ返還が実現するのかということを、在京のアメリカ大使館に照会いたして参つた次第であります。
先ず地域に関しましては北緯二十九度以南の旧鹿児島県に属する諸島嶼というものがいわゆる奄美群島のうちに含まれるということが明らかにされて参りました。かたがた現地の実情というものを調査する必要もありましたので、政府が現地調査団を九月中に派遣いたしました。その調査の結果に基きまして、どういう復帰に伴つて具体的な問題があるかということを調査して参つた次第でございます。他方外務省としましては、その調査に基きまして具体的な問題について、在京の米国大使館と非公式に意見を交換して参つた次第でございます。又現地のかたがたの強い要望もありますし、政府といたしましても、できるだけ早い機会に復帰が実現するようにという建前から、随時在京のアメリカ大使館或いはワシントンにありまする日本の大使館から先方の国務省に対して復帰の時期の促進ということを図つて参つた次第でございます。他方アメリカ側といたしましても、この復帰につきまして具体的問題についてどういう方針をとるべきかということで、現地の民政府、極東軍及び在京のアメリカ大使館というものが現地に調査団を派遣したり、或いは東京で会合して種々案を練つておつた次第でございます。その案を練つた上で、アメリカのワシントンの国務省のほうに訓令というものを現在仰いでいる状況でありまして、先刻来、外務省といたしましては、その訓令が早くワシントンから在京大使館に参つて外務省と在京の大使館当局と公式な具体的な取極に関する打合せができるようにということで催促して参つている状況でございます。遺憾ながら今までのところそのワシントンからの訓令というものが在京の大使館に到着していない模様でありまして、従いまして公式な復帰に伴う具体的な取極に関する打合せというものが未だに開始されない状況でございます。併しながら先ほども申上げました通り、非公式には先方と我がほうの意見の交換を図つて、意思の疎通を図つておる次第でございます。外務省といたしましても、この復帰ができるだけ早い機会に実現するようにということで、大いに先方に対して働きかけてもおりますが、現在のところいついつまでには必らず復帰するだろうということは、まだ申上げる段階でもございませんし、はつきり断言はできないわけでございますが、年内には復帰が実現するように積極的に更に働きかけたい、現在までも働きかけて参つたのでありますが、更に働きかけたいと存じております。
以上簡単でございますが、従来までの外交折衝と申しますか、本件に関する外務省の担当する面での折衝状況を御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/18
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019・内村清次
○委員長(内村清次君) 実は衆議院の地方行政委員会のほうから外務省の鶴見第五課長に、出席を要求されておりますが、外務省関係に対しまして、御質疑ありましたならば、一つそのほうから質疑をして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/19
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020・若木勝藏
○若木勝藏君 今の御説明でちよつと伺いたい点が一つあるんですが、今向うのほうでは順令に基いて、そうしてこちらと折衝する、ところがその訓令がまだ来ておらない、そこでまあ交渉が遅々として遅れているというようなお話であつたようでございますが、そこでこちらとして予想される何かそれらの難関でもあるんでしようか、その点を伺いたい。何で一体そういうことが遅れているのか、或いはこの復帰問題について一つの難関の問題でもあるのか、これらに対して外務省としての予想される点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/20
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021・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) 復帰に関する具体的な取極内容といたしましては、いろいろ例えば通貨の交換問題、債権債務の引継ぎ問題、或いは国有公有財産の引継ぎ問題或いは現在琉球政府というものが使用している財産の引継ぎ問題等がございまして、割にいろいろな多岐な問題に亘つておりますので、ワシントンのほうでも国務省限りではすぐに判断を下すわけに行かず、従いまして各行政官庁と連絡しているんではないかというふうに存じております。そのために何といいますか、国務省の最終訓令というものが遅れているのではないかと予想しておりまして、そのほかの理由で復帰というものが、訓令というものが遅れているとは私どもは予想しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/21
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022・若木勝藏
○若木勝藏君 今のような予想は何か向うのほうの、アメリカに行つている大使のほうからでも情報があつたんですか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/22
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023・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/23
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024・若木勝藏
○若木勝藏君 それから奄美群島がどういうふうないわゆる支配を受けておつたか、そういうふうなことについては、又別のかたから説明がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/24
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025・内村清次
○委員長(内村清次君) この点は自治庁ではわからないでしようね。この点は大体この管理は先ほど申しましたような内閣の官房ですか、南方連絡事務局ですかね、これが直接の連絡に当つておつたわけですから、このほうでよく事情はわかると思いますが、この点につきましては又明後日参考人として石井事務局長に詳しく聞くということに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/25
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026・若木勝藏
○若木勝藏君 今の行政のことですね、どういう行政の下に置かれておつたかということは、今日は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/26
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027・内村清次
○委員長(内村清次君) その石井事務局長は政府委員でございますから、そり後引続いてこの委員会にで席を要求いたしまして、そうして聞くというようなことで、取扱いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/27
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028・加瀬完
○加瀬完君 現地調査に参りましたのは、外務省が行つたのでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/28
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029・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) 現地調査は外務省の係官も出ましたが、南方連絡事務局その他各行政官庁から出まして行かれたわけでございますが、官庁といたしましては南方連絡事務局が主宰、主宰と申しますか、行かれたことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/29
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030・加瀬完
○加瀬完君 調査に行つたという報告はありましたが、調査結果についての御報告はなかつたのでありますが、調査結果についての報告は、他の政府委員から報告するのでございましようか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/30
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031・内村清次
○委員長(内村清次君) その点も先ほど若木委員に申上げましたように、参考人として呼んでおりまして、そこで一切の報告を求めまして、それからということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/31
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032・加瀬完
○加瀬完君 自治庁長官の提案理由の説明にも目下交渉中ということがありましたし、只今の外務省の説明でも交渉中ということがありましたが、今若木さんの質問に対しまして、通貨の問題とか、債権債務の問題、財産の問題いうふうな具体的な条項が上つたのでありますが、もう少し詳しくこういう点で話合がつかないとか、こういう点がこういうふうになつているのだ、現地の要求はこうなんだけれども、アメリカの態度がこうなんだという具体的なことをお話し頂いたほうがよくわかるのですが、そういう点を更に御説明を頂けないものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/32
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033・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) 現在の段階では先ほど御報告申上げました通り、アメリカのほうの意見も最終的に固まつておりませんし、従いまして非公式の段階を出ていないわけでございますので、遺憾ながら、まだその点について具体的には、発表といいますか、御説明申上げる段階ではないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/33
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034・加瀬完
○加瀬完君 ダレスさんの本問題についての声明がありましてから、時日も相当経つていると思います。それで現地の復帰要求というのも、新聞紙などで我々が承知しているところでは、甚だ熾烈なものがあるように考えられるにもかかわらず、公的な交渉が進まないということになりますと、何かダレス声明というものがはつきりしないような懸念を持つのですが、これはアメリカ側の態度が、交渉を進ませないでいるのでございましようか。それとも日本側としても、そう早急に交渉を進められないような理由があるのでございましようか。その点、御説明頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/34
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035・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) その点に関しましては、アメリカ側といたしましても、八月八日にダレス長官の声明があつて、徒らに実際の復帰が遷延するということは面白くないということで、急いでいるように私ども聞いております。又私どもそういうふうに了解しております。他方国内方面では、今度の臨時国会でこういう法案或いは予算という面で御審議頂いて、準備を全部済ませまして、アメリカ側からの公式に話合が始まれば、いつでも復帰ができるという態勢にするということでございまして、従いましてアメリカ側としましても、徒らに遷延する気持はないことを私ども聞いておりますので、遠からず公式に打合せて、具体的な取極に対する公式な打合せというものが始められるものと、又始められるように私ども努力するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/35
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036・若木勝藏
○若木勝藏君 今の問題は、池田特使と向うとの折衝、そういうようなことに絡まつて遷延されているというふうにも考えられないわけでもないが、そういうことはありまんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/36
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037・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) 考え方としてはそういうことも可能性はあるかも知れませんが、私どもの了解する限りでは、アメリカ側としましては、折角ダレス長官が八月八日にあの声明をした以上、ほかの問題でこの問題を遅らせるということは、アメリカとしてもよい結果を生じないということを認識しておるようでありますので、実際問題としては、MSAの問題と、或いは池田特使の問題とを関連せしめているということは考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/37
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038・若木勝藏
○若木勝藏君 それにしては、八月の声明以来余りに時日が経つて、一応ああいう声明を発するということになれば、段取は私はできておると、復帰させる……。それが今日に至つているということになるというと、どうもそういうところに一つの関連があるようにも思うのでありますが、ないとおつしやられれば、それまでの話だが、そういうことは十分我々としては考えられる。このことだけは一つ申上げておきたい発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/38
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039・苫米地義三
○苫米地義三君 今の問題についてもう少し私も質問したいのですが、事が平和条約に根本があると思うのです。でありますから、外務大臣にこの次の機会に一つお出でを願つて、私も御質問申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/39
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040・内村清次
○委員長(内村清次君) 委員長もそのように考えておりまして、この次は本格的に外務大臣、責任者に一つ来て頂いて答弁に当つてもらう、こういうふうな取扱いをして行きたいと思います。
そこでお諮りいたしますが、何かこの法案に対しまして資料の要求がございますなら、それを聞きまして、今日はこの程度にしたいと存じますが、如何いたしますか。よろしうございますか、資料の要求は……。それでは只今専門員室のほうで要求を出しております資料を、ちよつとあなたから言つて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/40
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041・伊藤清
○専門員(伊藤清君) 只今要求をいたしております資料は、奄美大島において現在行政がどういうふうに行われておるかという概況でございます。それから大島の現状を知るに足る、これは経済上、それから人口の点、その他大島の現状を知るに足る書類の要求をいたしております。それから南方連絡事務局の現地の機関がございますので、現地の機関がどういう組織、人員を以て如何に事務を行なつておるか、そういう資料を要求いたしております。
なお、逐条説明その他につきまして、本日すでに資料としてお手許に配つてあります。それから申し落しましたが、この法律は政令に委任をいたしておる事項が非常に多いのでございまして、この法律案の審議につきましては、政令案要綱というようなものがどうしても必要と存じますので、政令案要綱を要求をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/41
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042・内村清次
○委員長(内村清次君) いま一つ委員長から、刷つてある平和条約の条項と行政協定の条項を、これを一応、これは当時配つてありますけれども、委員の方々の便宜のために、それの要求もしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/42
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043・伊能芳雄
○伊能芳雄君 今の伊藤専門員から御説明になつた範囲でありますが、特に租税制度、それから貨幣の制度、円なら円というものが、現在どういう価値のものであるか、それから食糧事情、この点は特にもう、直接その日から必要なんですから、その点は特に詳しくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/43
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044・伊藤清
○専門員(伊藤清君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/44
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045・内村清次
○委員長(内村清次君) ほかにございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/45
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046・秋山長造
○秋山長造君 私はこの委員会の運営について希望を申上げたいのですが、この前の国会中から、今日の委員会にしても、この国会の正式の委員会に対する政府側の出席が非常に悪い、大体我々としては、或いは大臣なり、次官なり、少くとも正式の政府委員などが出て来て、そしていろいろな問題について責任ある問答が交されるのが当然だと思う。にもかかわらず、忙しいのかどうか知りませんが、この我々の委員会に関する限り、政府側の出席なり、又この委員会に対する態度というものが、極めて不十分だと私は思う。その点については、一つ委員長から、厳重に政府に対して警告を発してもらいたい。例えば今日の奄美大島の問題でも、これは当然外務省の最高の責任者が出て来て、責任のある答弁をされ、或いは説明をされるのが当り前のことだと思う。にもかかわらず、そういう答弁が何ら我々として聞かせてもらえない。甚だ遺憾だと思う。厳にこれは警告して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/46
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047・内村清次
○委員長(内村清次君) 各委員のお方方も御同感だろうと存じまして、委員長もそのような気持を持つておりまして、休会中にもこの主管であります自治庁長官の出席が極めて悪かつた。で、忠告も、一回は公式にいたしたことがございます。会期も短いのでございまするから、これはもう率先して関係の各責任大臣は出て頂くという要求を、私のほうでは厳重に通達いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/47
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048・秋山長造
○秋山長造君 若し今後は、言過ぎるかも知れませんが、そういう責任ある人の出席が得られない場合は、もう委員会を開かないということにして頂きたい。(笑声)そうしなければ意義がないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/48
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049・内村清次
○委員長(内村清次君) わかりました。これは一つ委員長からもお願いをしますが、与党の理事の方々は努めてこの空気を関係大臣にも伝えて頂きますようにお願いして置きます。
それでは今日はこれで散会いたしたいと存じますが、よろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/49
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050・内村清次
○委員長(内村清次君) 次回は十一月の二日の午後一時からでございます。
では、これで散会いたします。
午前十一時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00119531031/50
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