1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年十一月二日(月曜日)
午後二時二十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 内村 清次君
理事
石村 幸作君
館 哲二君
委員
伊能 芳雄君
西郷吉之助君
長谷山行毅君
小林 武治君
島村 軍次君
秋山 長造君
若木 勝藏君
苫米地義三君
加瀬 完君
国務大臣
郵 政 大 臣 塚田十一郎君
政府委員
南方連絡事務局
長 石井 通則君
外務政務次官 小滝 彬君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
常任委員会専門
員 伊藤 清君
参考人
鹿児島県総務部
長 三ツ井卯三男君
奄美群島復帰期
成会本部委員長 奥山 八郎君
奄美大島名瀬市
長 泉 芳朗君
奄美大島喜界島
早町村長 岡村 寛義君
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本日の会議に付した事件
○奄美群島の復帰に伴う法令の適用の
暫定措置等に関する法律案(内閣送
付)
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001・内村清次
○委員長(内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律案を議題といたします。
本日は参考人に御出席を願つておりますが、その前に石村委員から外務大臣に質疑があるとの通告を受けております。外務大臣は今衆議院の委員会に出席中でございますから、今外務大臣の出席を要求いたしておりますが、小瀧外務政務次官にでもいいということでございますから、先ず発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/1
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002・石村幸作
○石村幸作君 外務大臣御出席がないのですけれども、小瀧政務次官にお尋ねをいたしますが、先般の委員会におきまして、奄美群島復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律案、これに対する提案理由の説明を聞いたのち、外務省の今日までこの奄美群島の復帰に関する経緯、経過、そういうふうな内容のお話を聞いたのであります。その時に、私この席に終始おりませんでしたが、たしか外務省の第五課長ですかのお話を聞いておりますと、未だその復帰に伴う何といいますか協定が円滑に進んでいない。つまり、いつこれが決定するか、又あたかも難関に逢着したというような気持を当委員会の委員諸君に与えたような感があるのであります。特に或る委員の質問に、即ちこれはアメリカで今池田特使が行なつておるMSA問題等にも関連しておるじやないかというような質問に対しても、これを否定し、又は肯定しておるような答弁があつた。私はどうも自分の考えておること及び今まで聞いておつたことと大分違うんじやないかと、こう考えております。つまり端的に申すと、これは予定より多少遅れておるけれども、事務的の措置、処理、まあそういうふうな点で現地において遅れておつたというように聞いておつたのでありますが、外務当局の先般の話を聞くと、非常にそう楽観を許さないような印象を我々に与えておる。そして、この提案されております法律案、これは内容的に見ますと、事務的の処理、又は当然こういうふうにしなければならんいろいろな暫定措置等が一括して出て来ておるのでありますけれども、この本問題のいわゆる復帰という問題は、日本の国家としてこれは恐しく大きな問題でありまして二十万の人口を擁するこの群島が日本に復帰して来るという、国民の非常な喜びを以て迎える大きな問題の裏付けとしてのこれは暫定措置の法律であります。この法律を審議するに当つて、どうもああいう頗る私どもの遺憾とするといいますか、非常にあやふやな答弁をされたのであります。これは恐らく外務省の事務当局の話であつて、内容をつまびらかに説明するのに、何か遠慮したか、いろいろな関係もあつたんだろうと思うのです。それではこの折角の重大な法案を我々審議するのに真剣味を欠く、こういうふうな点も自然生じて来るので、外務大臣がおりませんので、政務次官から、その間のいきさつ、内容等について、一つ忌憚なくお話を頂いて、我々委員の納得できるように一つお願いいたしたい。そしてこの必要な暫定措置等に関する法律案、これを一日も早く国会を通過してもらうように皆さんに御努力をお願いしたい。そのために私お伺いするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/2
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003・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 一昨日の本委員会におきまして、外務省の課長がそういう印象を皆様にお与えいたしましたとすれば、甚だ遺憾でございます。
この復帰の問題が、如何に日本の政治にとつて国民感情にとつて重要なものであるかは、外務省も十分承知いたしておるのでありまして八月八日の声明がありまして以来、しばしば東京において、或いはワシントンにおいて交渉を重ねて来た次第でありますが、併し、これは何ら難関に引つかかるような性質のものではなくしてその政策上の決定がすでに米国側においてなされておるのでありますからして、これを如何にして実行するかという行政上の、取極に過ぎないわけであります。ただ率直に申しまして、残念なことには、この問題は国務省だけの問題ではなくして、国防省にも関係があり、殊に現地軍の立場もありますので、或いは一応の施設を置かなければならない、或いは特定の取極が必要であるとかというような軍側の考え方もあつたようでありまして、そのために、私ども最初は十一月の一日ということを期して何とかいたしたいと思つたのが、そうした事情の下に遅れまして残念ながら今度は十二月一日を目途としてやろうというような話合いにした次第であります。この十二月の一口というのも、何も我々だけの心構えでやつておるのではなくしてこの委員会は特にこの問題に重大なる関心を持つていらつしやるのでありますかり、率直に申上げますが、在京の米国大使館とも話合いましてまあその日限程度であつたら我々も最善を尽してこの取計らいを進めるから、そうした目途で差支えなかろうというようなところで話を進めて来たものであります。
又先ほどのお話では、池田特使との話合いにも関係があるのではないかという御質問があつたということでございますが、先ほども申しましたように、この問題は政策的にはもう決定した問題でありまするからしてそうして日本の経済問題などにつきまして情報の交換を行なつておりました池田特使との話とは全然関係のないものであります。これまで岡崎外務大臣も又奥村次官も、数次に亘つて東京で米国の大使館側と話合いいたしましたし、現地においても新木大使と武内公使がこの問題を取上げて話合いを進めて来たわけであります。何ら原則的に引つかかりがあるのではなくして事務的な処理について向うの取計らいが遅れたということだけでございまして、これは甚だ遺憾でありますが、幸いにして皆さんの御審議の結果、この法案を御承認頂きまするならば、我々としては、もつと力強く積極的に交渉ができるわけでありまして、是非皆さまの期待に沿うよう、殊に奄美群島の皆さまが一日も早かれと待望しているこの期待に沿うように、最善の努力を尽したいと存じております。
なお付加えて申上げますと、本日も衆議院の地方行政委員会におきまして、大島のほうから電報が来て、その話合いは或いは年を越すかもわからないというようなことを言つて来た、これは甚だ驚くべきことであつて、そういう実情かというお尋ねが、ございました。或いはその話は一昨日の私どものほうの課長の表現が誤解を与えたことに起因するのかも知れませんが、実はこうした声が出るのは、場合によると、琉球にあるアメリカ軍側の考えが反映しているのじやないかということをおつしやつたかたもございます。私は、アメリカ側の内部のことをとやかく批評しようとする意思は毛頭持ちませんが、御承知のようにどこの国でも現地軍というものは成るべく権利を持つていたい、一度渡して又あとで返すことはむずかしいという考え方もあるので、そうした面で、そのようなことが現地の将校ぐらいにあつたかも知れませんが、この問題は政策問題としてアメリカで大きく取上げている問題でありますから、現地のほうで仮にそうしたことを申す者がおりましても、そういうことに煩わされることなく、ワシントンにおいてもつと高い段階においてこれを交渉いたしまして、先ほど申しましたように、一日も早く復帰が実現するように努力いたすつもりでありますので、決して年を越さなければこれが実現しないというような空気は全然ないものと御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/3
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004・石村幸作
○石村幸作君 今の詳しい御説明を聞いて安心いたしましたが、そこで、今の言葉の十二月一日を目途とするという点についての見通しは如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/4
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005・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 先ほど申しましたようなわけで参、十二月一日ということに目途を置いたのでありますからして、私どもとしましては、この法案でもいよいよ御承認を賜われば、日本側の受入態勢は全部出来上つたから早くやつてもらいたいというので、是非とも十二月一日までにこれを実現するよう最善の努力をいたしますということを申上げているのであります。ただそれが果して何日になるかということは、まあ相手もありますので、ちよつと、ここでは確言はできませんが、是非そのように取計らいたいというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/5
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006・石村幸作
○石村幸作君 外務当局も積極的な一つ交渉を進めて、一日も早く妥結に入るように希望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/6
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007・加瀬完
○加瀬完君 外務省にお尋ねいたしますが、石村委員のほうから御質問がありましてお答えがあつたのでありますが、そのお答えによりますと、原則的には政策的な問題で、アメリカが申したことであるから何ら食違いはない。いろいろ事務的なことで手間取つているというお話でありましたが、事務的に手間取つているというのは一体どういう内容で手間取つているのか。その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/7
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008・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 先方の内部の関係になりますので、その点について詳細は我々のほうへは知らされておりませんけれども、これは通貨の処理の問題であるとか、殊に先ほどもちよつと言及いたしましたように、米国側が継続して使用するようなことを希望するような施設の問題とか、こういうような点について、国防省のほうと国務省のほうとで話合いが進められておつて、主として現地米軍の要求というものは成るべく最小限度にとどめさせたいという国務省の希望で、国防省のほうへそうした面を折衝しているというようなのが実情のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/8
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009・加瀬完
○加瀬完君 この地域は当然早晩日本に復帰されるべきものであるはずでありまするから、アメリカの復帰の声明がありましたならば、一日も早く完全に日本に復帰できるような受入れ態勢というものは、これは声明があるなしにかかわらず当然外務省においては準備しておかなければならなかつたことであろうというふうに私は了解するのであります。そこで、ダレス声明があつたわけでありますから、即刻受入れ交渉に入るべきであると思うのでありまするが、この声明を受けてもう三月になるのでありますが、今以てアメリカの出方が国務省と国防省でまだ完全に一致を見ないらしいので、日本のほうでは、向うの出方をはつきりと持たなければ、積極的な交渉が進められないということでは、甚だ腑に落ちないように私は思う。
それからもう一つ重ねてお尋ねいたしますのは、この前も問題になつたのでありますが、池田特使が、首相の個人の特使としての名義でも何でもいい、とにかく向うに行つた。で、この池田特使に対しまして総理大臣は、奄美大島の即刻解決の問題というものを依頼して行かせたのか。或いはこの問題には一つも触れさせておらないのか。この点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/9
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010・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 八月の八日に声明があつたのだからその後、当然積極的に交渉すべきであつたとおつしやいますが、誠にその通りでありまして、当時早速我がほうから謝意を表すると同時に、実際的の取計いをいたしたいということで、再三再四向う側と当つておる次第で、その点は先ほども申上げた通りでございます。殊に九月、日本の調査団が向うに行くようになつたということも、先方が日本の熱望を理解して、この準備的な措置をとらせようとした、その考え方の結果であると私どもは見ておるわけでありまして、決してこれをないがしろにしておつた次第ではございません。又先ほども申しまするように今度承認されましたら、百更に積極的に話を進めて行くというのが私どもの考えであります。
池田特使について、この問題について話さなかつたかというお話でありますが、これは私ども存じません。私の承知しておるところでは、そういう詳細な報告を受けておらないので、この池田特使が向うでこの問題を取り上げたか、取り上げないかは存じませんが、併し先ほども申しましたように、政策的な問題ではないので、原則はもうきまつておるからして、その事務的な取計らいをやつている段階でありまするからして、仮に総理のほうからこの話が出なかつたといたしましても、私は不思議はないのでありまして、現に新木大使に対してはしばしばこの問題の督促方を申しております関係もあまりすから、この現地の大使がこれを促進されると同時に、又東京においてもこの問題を促進するように最善を尽したらよかろうというように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/10
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011・加瀬完
○加瀬完君 大体今の目途といたしましては、外務省は十二月一日というものを一応の目安としておるようでありますが、併し又一方のお話を伺えば、アメリカの国務省なり、国防省なりの話合いというものの線がはつきり出て来なければ、これは十二月一日というものは必ずしも十二月の一日ということには約束ができないということも考えられるわけであります。そこで、くどいようでありますが、ただ国務省と国防省との話合いがつかないらしいということではなくつて、こちらの大使を通じて向うに当つて見た点、或いは外務省が直接アメリカ大使館に当つて見た点で、事務的で一番解決を損ねている問題はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/11
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012・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 先ほどすでに申上げましたように、これは今日結局、軍との関係であるように私ども聞き及んでおります。この法案が通過いたしましたら、勿論、又、大臣のほうからもアリソン大使に対して督促し、先方においてもできるだけ高いレベルで話合いをしてもらうということにして促進したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/12
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013・加瀬完
○加瀬完君 最後に奄美群島の事業別生産高というものを見ますると、必ずしも戦前に比較いたしまして生産量が上つておるということにはなりませんで、非常に輸入輸出の問題を比べましてもアンバランスになつておりまして、これだけの点で見ると島民の生活も相当低下しておるのじやないかという状況に窺われるのであります。で、聞くところによりますと、琉球政府のほうからの金融というものは或る程度閉ざされるというような懸念がありまして、今後の特に農業などに関するところの事業計画というものは、非常に心配だというふうな住民のかたの心配もあるように承つておるんでありまするが、こういう点について外務省のほうではどんなような手を打たれておられるか、この点を最後にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/13
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014・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 沖縄とか或いは小笠原の問題につきましては、我々はできるだけ早く返還してくれるようにということを早く交渉いたしますと同時に、はつきりした復帰とか或いは返還というものが全面的にできないまでも、できるだけ行政上或いは交通上、先方との行き来、或いはいろいろな提携がうまく行くようにということで、これまで申入れをしたことも再三でございます。但し行政面につきましては、かように平和条約の第三条によつて「行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を」アメリカが行使する権利を持つておりますので、行政の内部に立入つての問題は、こうした条約の立場からいたしましてもこれをなし得なかつた次第であります。
ただ日本との交流或いは交渉というような点については、これまでいろいろ向うと折衝して参りましたが、幸いにしていよいよ復帰するということになれば、先ほどお話のように、状態は必ずしもよろしくない。アメリカの施策というものを見れば、そうした面からは進んでいない。軍事的な見地でそこの統治が行われておるということはこれは否定することができない事実でありまして、今度いよいよ復帰するようになりましたらこれは外務省の主管ではございませんが、そういう面について十分の考慮が払われるように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/14
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015・加瀬完
○加瀬完君 質問の要旨が明瞭を欠いたようでありますから、重ねて伺いたいのでありますが、こういうダレス声明が出ましてから、日本に復帰するだろうというような話になりましてから、この奄美群島に対しまして琉球政府の金融面の関係は余り面倒を見ないという形になつて来ておるように伺つておるのです。日本のほうでも、完全に復帰しないという関係から面倒を見ないということになりますと、十二月一日ということがはつきりわかつておればいいのですけれども、これは時日が延びますると、奄美群島の産業なり経済なりというものの関係では、非常に住民の人はいずれも面倒を見られないという形で困惑をするわけです。こういうことについてどんな程度に考えていらつしやるか。それからこれに対する対策というものを外務省はどんなふうに考えておられるか。この二点に一ついてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/15
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016・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) これの問題が万が一にも長びいたら非常に島民の人に御迷惑をかけるのではないかという御懸念は誠に御尤もでありまして、この点につきましては塚田長官も実は非常に心配しておられまして、まあそういうことになつて行くということになれば、或いは金融とか特殊の関係について考えなければならないが、併し私どもは、それよりもできるだけ早く全面的に向うの行政権をこつちに委譲してもらう、行政権のみならず司法権もこつちへ委譲してもらうということを努力している次第でありまして、その暫定的な措置をとるというようなことは、却つてこの復帰を長びかせる虞れがありはしないかというふうに考えますので、そうした問題は只今のところ考えておらない次第であります。なお対策につきましては地方自治庁のほうからお答えすることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/16
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017・秋山長造
○秋山長造君 次官にお伺いしますが、まあ大体今までの御答弁で多務省のやつて来られたことはよく了解するわけですけれども、事柄の性質上もう少し突込んでお尋ねしてみたい。と申しますのは、八月八日にダレスがやつて来てああいう声明をやつたのですが、あのときの声明の中に、たしかアメリカ政府の決定によつてこの声明をやるというような意味のことがあつたと思う。又当時のいろいろな情勢から考えましても、ただダレス長官がやつて来て行き当りばつたりああいう声明をやられたものでは決してないと思う。やはり出発前に当然、政府の部内で奄美群島を日本に返還しようということについて十分論議が交わされ、意見の調整を図られて、政府としての肚がきまつたものを持つて来られて、東京で声明をなさつたのだろうと思う。従いまして、当然その方針がきまる際に、軍と国務省との意見の調整というものも図られておつたはずだと、まあ想像せざるを得ない。にもかかわらず先ほど来の御説明に上りますと、やはり長びいている一番大きな理由は、国防省と国務省との意見に多少の食い違いがあるというようなところらしいようでありますが、そういたしますと、まあこの奄美群島にアメリカの軍隊がどの程度おつたのか、その点もお尋ねしたいのですが、恐らくまあ大したものがおつたとも聞いていないにもかかわらず、そういうことのために、政府の方針がきまつておつたにもかかわらず、その後、軍との間いろいろ微妙な意見の食い違いができて、長びいているということになりますと、その後三カ月間の奄美群島をめぐる情勢、更には、もつと大きく言えば、いろいろな問題を含めてのアメリカのアジア戦略というようなものについて、返還を決定した当時とは多少変つて来たのじやないか。そういうような点について私どもは少なからざる疑いを持たざるを得ない、そういう点について一つ率直にお話をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/17
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018・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) ダレスが声明しております中に、この必要な取極が日本政府との間に結ばれ次第、日本がこれら諸島に対する権限を回復するようにするというふうに言つておるわけであります。でありまするから、お話の通り、それまでに方針を決定して、そうして適当な一番最高の時間のモメントをつかまえて、一番都合のいい機会にああいう心理的効果も狙つて声明したものだろうと想像いたします。ところがその以後どうも国防省と意見が対立しておるのじやないかというふうにお考えになつておるかに聞きましたが、先ほどから再三申しましたように、事務的な点で話合いが遅れておるわけでありまして、根本的な決定に対してどうこうというのでなしに、個々の取扱についての点で時間が延びたというのが、これは事実のようであります。何といたしましても現地のことでありますから、現地とワシントンと書信なり電報もしなければならない、現地となれば、又先へ行つて情勢が変つたらそのときに取るというのはむずかしい、内灘の問題を見ても何を見ても非常に困難があるから、現地のほうでそうした個々の問題について条件をつけるというようなことのために遅れておるようでありまして、そうした点は私どももワシントンの大使館のほうから情報を受けている次第でございます。一体八月八日以来情勢が変化したのじやないか、アメリカの極東政策に変化を来たすものがあつたのじやなかろうかというお考えは、勿論我々としては常に心にとめておかなければならん問題でありますが、併し現実の情勢を見まするというと、現に朝鮮についての政治会談はどういうふうに行くか知りませんが、一応どちらかと言えば平和的な方向に動いているし、ソ連との関係についてもまだまだ解決しなければならない問題があり、アメリカのほうの政策としては、ただ、すべてを信用して出るということでなしに、相手方が誠意を披瀝して本当に平和を希求するところの態度を明らかにしなかつたならば、簡単には向う側の呼びかけには応じないというようなことは申しておりますけれども、大体の情勢としては、この米ソの関係が非常に悪くなりつつあるというふうには見られない。むしろ小康を得るような状態に来ているというふうにも考えられますので、これまで折角決定したものを変えるというようなことを考えているのではないというふうに見て私は大きな誤まりがないというふうに観測しているものでございます。従いまして、今度の問題も、そうした点で国務省と国防省との間に意見の相違があるのでなしに、再三申しましたように事務的な点で遅れて来た。こういうふうに考えられますからして、わがほうですべての措置を終えたということになればいよいよ以つてこちらから積極的な話合いができるので、この最終的な取極をすることを促進する上にも、今度の法案を一日も早く御承認賜わりますようにお願いしてやまない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/18
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019・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、まあ先ほどからの話を聞いておりますと、やはり国務省と国防省との間に意見の多少食い違いの点があるというふうに聞いたのですけれども、只今の次官の御答弁によりますと、国務省と国防省というようなことではなくして、現地における軍と、こちら側との、この受渡しの関係について、多少事務的な手続の問題で遅延しているというようなお話なんですが、先ほどもお尋ねしたのですが、答弁がありませんでしたが、現地における向うの兵力量というような点についておわかりならお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/19
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020・内村清次
○委員長(内村清次君) その点は今すぐ……、どうせ南方連絡事務局長からそういう点も含めまして参考意見として十分聞きまして、それから又南方事務局長は政府委員でございますから、逐次質問をして頂くと、こういう計画でいるわけなんであります。今聞きますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/20
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021・秋山長造
○秋山長造君 そのときでよろしうございます。その問題はあとからお尋いたします。
前段のほうの軍との手続の問題ということについて、その点もう一度はつきり私お伺いしたいと思うんですけれども、この国防省と国務省との意見の食い違いということなんですか。それとも、そういう点について何も意見の食い違いはない、すでにもうはつきり意見は統一されているんで、ただアメリカ側と日本側との交渉の過程において、一般行政その他のあれが比較的スムースに行つているけれども、軍関係の事務の受渡しというような点について手間取つているという意味ですか。その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/21
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022・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 国務省と国防省と意見の相違があるという意味でなしに、実際的な事務的な面で決定してないような点もあるので長びいたということを申上げたつもりであります。双方の間で必要な取極をするということになると、どういう問題があるか、いろいろございますけれども、現地の通貨の処理であるとか、或いは債権債務の処理、それから国有、公有財産の返還、それからアメリカ側が継続使用を希望するところの施設というようなものについて取極をする必要があるというように私ども了解いたしておりまするので、それらの個々の点について向うでも関係省間で話合いをしなけれげならない。相当詳細なものを作らなければならないので、そのために長びいたというのでありまして、意見が対立しているというような意味では全然ないようでございます。その点はワシントンにあります私どもの大使館からも聞いております。そういう事務的なものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/22
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023・秋山長造
○秋山長造君 まあ次官へのお尋ねはその程度にいたしておきまして、なお後ほど現地の参考人のかたのお話を伺つた上で改めて次官にお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/23
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024・若木勝藏
○若木勝藏君 大臣がまだ見えないので、政務次官に二、三の点を伺いたいと思うのであります。
先ほど来いろいろな質疑がありました通り、ダレスの声明があつてから、三カ月も、四カ月に近い間、これがどういうふうになつているかということが全く空白な状態になつているわけです。従つて、今日は現地のかたも大分見えておりますので、国民に何らそういうことが知らされておらない。我々国会議員もその経緯がわからない。だぶらしていろいろなそこに疑惑が出て来る。先ほどあなたの説明にあつたような疑惑も当然現地のかたには起つて来る。そこで、あなたのさつきからの説明を聞いて見ましても、今の交渉の状態がどういうふうになつているかということに対しては極めて抽象的で、
国防省と国務省とがどうとかこうとか、終いには今度は極く現地の事務的な形、結局何がなんであるか、さつぱり我々にはわからない。それは一つの考え方からは、成るべく今そういうことを発表するところの時期でないからというふうなところに逃がれて、これを秘密に付して置くと、こういうふうに我々は考えられる。元来、奄美大島が日本の国に返還されるということについては、もう我々は八年も前から考えておつたことです。それが奄美大島が分離される場合には極く簡単に行つて、今度返還の場合に八年もかかる。而もダレスの声明があつてそういう何カ月も放りぱなされているというようなことになりますと、どうしても我々にしても考え切れないところがある。先般私は、そういうことが池田・ロバートソンの会談に関係があるのではないかと考えられることも、我々として当然出て来るのじやないか、こういうふうな質疑をしたのもそこにある。どうも先ほども質問があつたように、ダレスがああいう声明をするに至るまでには、国務省も国防省も十分政府の肚として決定したに違いない。それがその後においてああいう会談が行われるようになつたら、さつぱりこれが決定的な線が出ない。その間、先ほどの説明では、どういうふうな折衝をしているものか我々にさつぱり受け取れられない。ここなんです、問題は。若しこれが折衝において十分向うの意向をはつきりさせ、決定線に持つて行けないということになつたら、外務省自体も器の軽重を問われても止むを得ない。私はそう考える。先ずその点につきまして経緯をもつと具体的にここに答弁してもらいたい。先ほどの御答弁では、てんで我々としては明確にならない。どんなふうな折衝が行われてどういうふうな向うの話合いであつたか、新木大使からどういうふうなところの通報が来ているか、そういう点についてもつと詳細に私は御答弁願いたい。若しあなたから十分に聞きとれなければ、更に私はあとで見えるところの大臣に対しても質問しようと思う。その点を先ず一点伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/24
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025・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 別段秘密にしておるという趣旨ではございません。今申しましたように、向うのほうの提案というものも出揃わないので、そうした具体的な話合いが十分進められて来なかつた。こちらのほうからはいろいろ督促したけれども、向うの事務的ないろんな面の方向が出て来ないので、従つてそうした取極を具体的にする段階に行つていないわけでありまして、これは甚だ遺憾でありますが、そういういきさつでありまして、何も交渉の文書を取りかわしたけれどもそれを隠して置くというような事情ではございません。その点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/25
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026・若木勝藏
○若木勝藏君 そうすると、あなたにいろいろ聞いても先ほどの答弁以上には出ないわけですか。もつと具体的な線までは出せない、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/26
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027・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 只今申上げた線以上に詳細なことを申上げる段階に至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/27
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028・若木勝藏
○若木勝藏君 それで、あなたのほうの先ほどの御説明を聞いてみますというと、そういうふうに交渉がはつきりしないから、ここでこういう法律などもさつさと審議して作つてもらいたい、それを促進の一つの手段にする、こういうふうに私は聞いたのでありますが、これは逆でありませんか。こういうふうなものが交渉がめどが付いて初めてこの法令が生きて来る。それが十二月の一日になるものかどうかということがさつぱりめども付かない、そういう事態において我々は一体何を目当にこの法令の審議をやるか。然るにあなたのほうでは交渉を促進させるためにこういう法令を先にやつたほうがいい、そういう手段に用いたほうがいい、こういうふうなあまい考え方を持つてこのアメリカのほうとの交渉を進めておるからして、現在に至つても目鼻がつかん。私はこういうふうな法令をきめることを以つて手段とするよりも、もつと外務省として積極的に向うに折衝して、先ず今の段階においては、法令を出すに、至る段階においては、そのめどをはつきりして、これが提案がなされなければならない、こういうふうに思うのです。御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/28
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029・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) これで以つて促進の手段にするというのでなしに、これができれば、そうした面にも役立つということを申上げたわけであります。これは日本だけではなしに、先方は先方で、先方の国内的な措置を進めて行かなければならん、同時に日本側でもそうした国内的な措置を進めて行きましたならば、この取極ができますときには、早速日本のほうで政令でその日にちを規定して実施することができるわけであります。でありまするからして、これで以つてこの交渉を進めて行こうということでなしに、そうすることが結局促進するゆえんでもある。日本側としては日本側の受入態勢を整える、同時に先方においてもその間において措置を整備して行くところで、初めてこの復帰が促進できるのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/29
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030・若木勝藏
○若木勝藏君 その点はもう幾ら繰返してあなたに聞いてもわからないようです。向うは向うのほうの国務省なり或いは国防省との間の調整が付かなければならないし、こつちとの折衝はその後だというふうなことになれば、何が一体そこに隘路になつておるのか。そういう点が明らかにならなければ、幾ら私が質問してもはつきりしない。その問題はそれで打切りますが、次に予算の点について一つ伺いたいと思う。
奄美大島と申しますれば相当私は戦時中においても打撃を蒙つておるところだと思う。そういうふうなものが今復帰するというふうな場合においては、相当の費用が要るものだと思われるのであるが、僅か十億の、この十億も全部奄美大島の復帰に使われるものかどうかわからないけれども、雑費として十億組まれて、そういうふうな程度で処理するということは、これは我我にちよつと考えられない点であります。この内容について、或いは方針についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/30
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031・西郷吉之助
○西郷吉之助君 先ずそういう内容に立入る前に、折角本日は本委員会で現地の人を呼んでおるのだから、そういう方々の御意見を拝聴してから、そういうことをやつたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/31
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032・内村清次
○委員長(内村清次君) 実はこの復帰の問題につきましても、それから又予算関係も、当然この法案の審議過程に是非これは政府の方針をはつきり明確に伺わなくちやならない問題です。特に又復帰の時期につきましては、これはまあ日本国民全部が期待を持つておることでございますからして、政府の責任者からはつきりした言明を聞かなければならん。このためには外務大臣も要求いたしております。併し衆議院の予算委員会の関係でまだ御出席がないようでございますが、外務大臣に対しましても各委員からもうすでに質問通告が来ておるわけです。この時期に当委員会といたしましては、はつきりと明確な答弁を要求するということ。
それから又予算の問題につきましては現地のほうでの一応代表者の方々が来ておられまして、今日はその公述の中にそういうような要求面もはつきりありはせんかと存じますが、そういう点一つお聞き頂きまして、あとで各委員のほうで審議して頂く、こういうことで手続をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/32
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033・若木勝藏
○若木勝藏君 それには異議がないのですけれども、およそ予算を組んで、十億なら十億を組んでいる以上は、大体政府の方針というものは現地の意見を聞かなくてもあるはずだ。それを私は伺いたいと思います。その答弁ができないというならば、今の西郷さんの動議のように、現地のほうの意見を先に聞くことは差支えない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/33
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034・内村清次
○委員長(内村清次君) この答弁は、実は外務省関係が、今小瀧次官も他に答弁を求められておるような事情で、外務省関係ではない、自治庁か大蔵省関係……。だから今日まだ責任者も来ておりませんから、参考人から経過を聞くということで進んでよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/34
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035・若木勝藏
○若木勝藏君 異議なし。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/35
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036・内村清次
○委員長(内村清次君) ではそのように取扱います。
先ず石井南方連絡事務局長より政府派遣視察の問題を公述頂きまして、又現地の調査の状況、それから又政府としての方針ですね。この点につきまして公述をお願いいたしますが、その前に本日御出席を頂きました参考人の方方に一言御挨拶を申上げます。
本委員会に付託せられました奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律を審査するに当りましては、先ず現地の事情に詳しい方々からお話を伺うことが何よりも必要でございますので、本日御出席をお願いいたしたような次第でございます。委員一同に代りまして委員長から、お忙しいところをおいで願いまして、特に又御遠方のところをおいで願いましたことに対しましては厚くお礼を申上げておきます。
それでは南方連絡事務局長の石井通則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/36
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037・石井通則
○政府委員(石井通則君) 私は昨年七月から南方連絡事務局長を拝命いたしまして、沖縄、奄美大島に関しまする事務を所掌して参つたのでございますが、先般、関係各省並びに鹿児島県から派遣いたしました調査団の世話役として現地に参りましたので、先ず従来所管しておりました立場からと、先般の調査に基きまして、現地の実情の概略を申述べたいと存じます。
御承知のごとく奄美群島は、昭和二十一年一月二十九日の連合軍最高司令官の覚書によりまして、日本政府から行政の分離が行われ、同地域の各機関が暫らくそのまま米軍管理下に置かれたのでございます。同年の三月十六日に同地域の国の出先行政機関等も大島市庁長に統合せられ、又同年十月一日には大島市庁が廃止せられまして、臨時北部南西諸島政庁というものが設置され、知事、副知事というものが任命されたのであります。その後昭和二十五年十月二十二日に奄美群島知事及び群島議会議員の選挙が行われまして、同年十一月の二十五日に臨時北部南西諸島政庁が廃止され、奄美群島政府の設立が行われたのであります。昨年四月一日に全琉球を統合いたしまして琉球政府が設けられるまで、地域的な機関として直接軍の指揮を受けておつたのでございます。その間、内部的な機構といたしましては、臨時政庁、或いは奄美群島政府の時代に、農林水産行政、郵政行政、貿易行政、警察行政等が、臨時中央政府というものができて、その統轄に入つておつたのでございます。現在の現地の機構を概括的に申上げますと、立法機関は、那覇に琉球政府の立法院が設けられておりまして、議員定数三十一名、奄美大島は二区に分かれておりまして、立法院に議員を八名選出いたしております。司法機関は、那覇に上訴裁判所が設けられておりまして、その下級裁判所として名瀬市に名瀬巡回裁判所、その他、群島内六カ所に治安裁判所が設けられております。行政機関は、一般行政機関として琉球政府の首席官房に属しまする奄美地方庁があり、市町村、行政、財政等の指導監督、商工、農林、水産、貿易、陸海運輸業等の指導、或いは生活保護、社会福祉等の厚生援護に関する事務を行なつております。そのほかに琉球政府の各局の出先機関といたしまして検察庁の奄美支部、或いは警察局の奄美支部、各警察署、そのほか税務署、税関、郵政機関、測候所その他、病院、保健所、各種試験研究検査機関が設けられております。学校は文教局の直轄の高等学校と地区連合教育委員会の高等学校があり、なお市町村地区教育委員会の管理しております小中学校がありまして、大体本土の六三制と同じような制度をとつております。
米国の民政部の機関といたしましては、民政部奄美支部というものが名瀬に置かれておりまするほか、元国有、県有財産を管理いたしておりまする民政部の財産管理課奄美支部が設けられ、大島文化情報会館を別に米側で経営いたしております。
先ほど御質問のありました軍隊の駐留でございますが、沖永良部島におきまして電波探知器関係の部隊がいるのでありまして、その人数は我々詳細に知ることはできませんが、大体聞くところによりますと、常置的に十人、二十人程度の米軍がいる。そのほかに臨時工事その他の人がいるということでありまして昨年聞きましたときには大体五十名程度であるということを聞いているのであります。
今回ダレス声明で復帰を予定されておりまする地域は、北緯二十九度以南の元鹿児島県大島郡の範囲でありまして、大島本島、徳之島、喜界島、沖永良部島、与論島その他大小の島嶼二十有余であるようでございます。人口は約二十万四千程度でありまして、なお昭和二十一年の行政分離の際におきましては、北緯三十度以南の南西諸島が米側の管理になつたのでありますけれども、北緯二十九度以北の島嶼は昭和二十六年十二月五日に日本側に返還されたのでございます。
次に琉球政府、市町村の財政の状況でございますが、琉球政府のとつておりまする租税は若干本土の租税とは変つた点もありますが、最近おおむね本土の租税と殆んど同じような制度になつております。ただ所得税が非常に高いのでありまして、これは正確に資料を持つておりませんけれども、本土の勤労所得税と琉球政府の所得税を比較しますというと数倍になつているのであります。琉球政府は、各種の租税並びに手数料等の収入と軍の補助金によつてその財政を賄つておりますが、会計年度は七月一日から翌年の六月三十日になつております。本年六月に終りました一九五三年度の決算は全琉十四億余B円でございますが、そのうち奄美群島関係は一億八千万余B円になつております。一九五四年度の予算は、七、八、九は暫定予算になつておりまして、その後九月末頃と思つておりますけれども、本予算を組んだところによりまするというと、金合琉計十七億余B円、そのうち奄美群島関係年間にいたしまして二億八千万余B円を予定いたしております。
市町村の財政は本土と相当違つた各種の税を徴収いたして、非常に苦しい中にその税を集めることに努力いたしておるのでありまして、一市四町十五村の合計は、一九五三年度当初予算で四千四百九十万B円の予算でございます。そのうち財政交付金、政府補助金というもので賄われておりまするのは、僅か二〇%でございます。これを昭和十五年の同群島市町村負担以外の分与金、補助金合計が約四〇%に当つておりますのと比較いたしますというと、現在、市町村住民の負担が非常に大であるということがわかるのでございます。
現在の市町村の構成、機能は、本土とほぼ同様でありまするが、行政分離後の同地域住民の経済は非常に困窮いたしておりまするので、政府税及び市町村税とも、その負担率は本土に比較して非常に大であるようでございます。住民の生活が苦しいと共に、特に市町村財政が非常に窮迫いたしておりまして、例えば通信費等にも事欠くというような村も少くないようでございます。
次に同地域の産業経済でございますが、大島紬、黒糖その他同地の基幹産業は、戦災によりまして非常に大きな打撃を受け、且つ行政分離に上る本土との交易の遮断、市場開拓の困難等によりまして、その復興は遅々として進んでおりません。更に年々非常に激しい暴風雨あり、又潮害があり、殊に本年は旱害が相当長く続きまして同群島の産業経済は疲弊いたしておるのでございますが、お手許の資料に差上げておりますように、黒糖は戦前の約三〇%、又戦前大島の輸出総額の六〇%近くを占めておりました大島紬は二〇%程度のものにも達していない。鰹節は三五%という程度で、非常に復興率は低いのでございます。ただ沖縄本島の軍工事等の需要に上りまして、用材が戦前から比較をいたしますと、非常に多数出されております。これは却つて濫伐という傾向を示しておるような状態でございまして、山林資源が荒廃を来たしておる、これがために荒廃を来たしておるというような事情があるのであります。このような基幹産業の低下によりまして、同地域の産業経済は累年大きな輸入超過の悪条件にあり、本島の金詰りを来たし、生産は縮小し、失業者は増大し、又住民の生活水準は低下を来たしておるというような状況でありまして、殊に昨年度から本年度にかけまして、笹月々々人口がまあ千名内外減つております。これは奄美群島の経済の逼迫に伴つて、沖繩その他に出稼ぎに参つておるということを示すのでなかろうかと判断されるのであります。
このような事情にありまする同群島の住民の生活を見ますと、先ず一九五三年一—三月勤労者一世帯当り平均支出額は、日本本土のそれと比較いたしまして、約三分の二の全額になつておるのであります。又、奄美地方庁の推定いたしました計算によりますというと、同群島一人当り所得額は、昭和二十七年度におきまして七千三百六B円。これを昭和十三年度に換算いたしますというと、一万三千三百二十七B円となつておつて、住民所得の回復率は五五%ということに見ております。又同様住民預貯金の推定は昭和十三年の換算に比しまして二〇%程度であるという資料を示しております。殊に最近住民の生活が困難になつて参つておりますので、主食の食糧配給が受取れないというものが相当出て来ておる模様でありまして、本年の三月の資料によりましても、総割当量千二百二十八トンのうち、受配量は六百二十八トン、未受配量は六百トンという状況であるのでありまして、これによつても、生活の逼迫が判断されるのであります。なお琉球政府におきましては極く最近生活保護法を立法化し、実行することになつておりますが、従来これらの法制に基かないで、事実上の生活扶助をやつて来ておるようでございますが、現在奄美大島におけるその琉球政府の生活保護を受けておりまする者が、約八千名おるのでございますが、これも現在までのところ琉球政府の補助額というものは一人当り月七十B円でありまして、本土の生活保護費と比較しますというと、非常に少額になつております。
次に教育の問題でありますが、初、中、高校百八十八、児童数四万八千七十二名という数字が示されておりますが、学校校舎は非常に貧弱であり、小学校におきましては本校舎が約総坪数の六%、まあどうやら教育の実施ができまする仮小屋といいますか、その程度のものが七六%、全く掘立小屋というのが一七%あるというふうに聞いておるのであります。校舎の復旧率は、沖縄におきましては全く殆んど全部が戦争によつて壊滅したということでございまするが、奄美大島も相当戦災を受けております。現在私どもの資料にありまするところによりますと、奄美大島の校舎の復旧率は沖縄本島よりは良好ではありますが、宮古、八重山群島よりはその復旧率が相当下位にあるようでございます。なお学校における教材、実験用機械器具、体育施設、衛生施設というものに至りましては、殆んどその整備状況は皆無と言つていいくらいの状態であるのでありまして、なお児童の体位、健康状況というものは、本土と比較いたしまして低位にあり、相当欠席児童或いは欠食児童が多いように見受けられるのであります。
大体の概略はそうでございますが、この南方連絡事務局が昨年設置せられましてから、沖縄に那覇日本政府南方連絡事務所を設け、奄美群島の名瀬にその出張所を設けておるのでありまして、その出張所におきましては、渡航の問題或いは軍人遺家族の援護の問題、元公務員の恩給給与の問題、戦没者遺骨の送還、教育文化の交流その他本土と当地域の間におきまするあらゆる懸案事項、連絡事項を所管いたして来ておるのでございます。
八月八日のダレス声明がありまして、南方連絡事務局といたしましては、この引継ぎ関係を、関係各省と協力いたしましてできるだけ早く円滑に行いたいという趣旨から、関係各省の関係官を以て組織します奄美群島事務引継連絡協議会を設けまして予算法令等の問題点を検討し、又調査事項につきましても逐次名瀬の南方連絡事務所の出張所に移しまして調査に着手いたしたのでございますが、更に九月になりまして、関係各省、中央から二十二名、鹿児島県から十二名、計三十四名の調査団を組織いたしまして、現地の実情を調査いたし、その結果に基きまして今回予算案及び法律案を御審議願うことといたしたのでございますが、一応政府の一般的な方針といたしましては、できるだけ事務引継に際しまして混乱が起りませんように、殊に金融或いは食糧等につきまして事前の準備を十分整備いたし、又予算に関しましては差当り本年度四カ月分を予定をいたし、本年度におきましては現地におきます琉球政府の諸機構並びに諸事業を引継ぎまするので、生活保護とか失業対策或いは学校の校舎の整備、或いは産業の復興等のうちに、差当り緊急な事業を本年度で着手いたし、明年度以降につきましては関係各省の係官を以て奄美群島復興対策連絡協議会を設けまして、その協議会で年度の計画を立てまして、二十九年度以降本格的な復興計画を実施するというような構想でございます。なお本案につきましては、先に提案理由並びに補足説明で御説明申上げた通りでございます。なお私どもとしては、奄美群島の事務引継が円滑に何らの混乱なく又成るべく速かに行われまして、同地域の民生の安定と経済の復興ができるだけ速かに図られまするように万全の努力をいたして行きたいという決心をいたしております。
最後に申上げたいことは、従来同地域の日本復帰に対する熱望は誠に心を打つものがあつたのでありまして、殊に学童等が断食して復帰を祈願したということもあるのでございます。今回、私ども調査団が同地域に参りましたときは、殊に老人の方々は涙を流して復帰の決定を喜び、又児童生徒たちは晴れて日の丸の旗を掲げて勉学ができまする日の一日も早からんことを熱望いたしておりましたような状況でございまして、これらに関しましては全く心を打たれて帰つたわけでございます。以上概略御説明中土げましたがなお足りない分はいろいろ御質問に答えまして御説明いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/37
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038・内村清次
○委員長(内村清次君) 次に鹿児島県の知事重成君がやむを得ない要務のために本日出席ができませんので、その代理といたしまして、同県の総務部長三ツ井卯三男君から鹿児島県と奄美群島との関係、県としてとつておられる処置、県としての国会及び政府に対する要望等についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/38
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039・三ツ井卯三男
○参考人(三ツ井卯三男君) 本日、重成知事が出席していろいろ御説明、御報告を申上げ、なお且つ現在までの復帰に対する国会における必要な御奮闘御援助に対しまして御礼を申上げるべきであつたのでありますが、御案内を頂きました時間と現地における出張との関係で只今の時間までに問に合いませんので、私、在京中でありますので代つて御報告を申上げろということでありますのでお許しを得たいと思います。
鹿児島県におきましては奄美大島はすでに明治の初年から県の一郡としてこれが行政を続けて参つておつたわけでありますが、それが戦争の結果分離せられまして全く外国と同じ取扱を受けるに至りましたことは、県民としても非常な悲しみであり、又このために我々と同じ県民であつた奄美同胞の皆さんが非常な苦痛をなめて来られたことについては、非常にみな心配をし同情をいたしておつたわけであります。そこでその間におきまして現地からもしばしばこの現状の複雑さを訴えられ、又我々もそれに対していろいろな処置を講じまして、県は知事を初め我我に至るまで、又県議会は一致しましてたびたびの決議案等を作つて国会にもお願いし、又政府にも或いは直接アメリカ当局にもこれについて繰返し切望いたして参つたわけであります。それらの経過につきましては、只今石井局長からも御報告がありましたので重複いたしますから申上げませんが、私より以前昨年の十一月には重成知事が親しく現地に参りまして、現地の実情と現地の人々の切々たる叫びを聞いて帰り、又私も本年の五月復帰決定前に属島に渡りまして、離島を約一週間に亘つて視察をさせて頂きまして、全くこの島民が、只今石井局長からいろいろな方面の実情について数字を挙げて御説明になつたような状態で、一言にして申しますと、日本の国の戦争に負けた責任者として大島が処罰を受けているのではないか。こういうことを言つても過言ではないような実情にあらゆる方面から置かれておつたと私は申したいと思うのであります。その内容は只今もお話がありましたので繰返しませんが、同じ大戦災を受け戦争の犠牲になりました沖縄も誠に気の毒な状態にありますが、復興の度合から申しますと、大島のように八年間全く放置されているものに比べますれば、ややその希望を見出し得る形に伸びて来ているのであります。大島は復帰の問題にも全く見通しがなく、而も又生活の現状は内地と不離一体であつた、主要産業である紬とか黒砂糖、水産加工品の輸出市場を失つて来た。又その原料の市場は失つているということによつて非常な窮乏に達している。又戦災を受けた率が非常に広範囲に亘つておりますために、それを復興するところの資力を全然持つていないということでだんだんとじり貧的になつておつたというのが現状であります。先ほどのお話のあつた学校校舎の復旧が遅れている等のごときも、内地においても六三制の新らしい制度と戦災の復興には国民挙げて苦労をして来たわけでありますが、その挙げて苦労をしようにもする金が全然出て来ない。大島そのものの持つている貧しい資力で復興する以外には、市町村が起債さえも起し得ない現状にあつたというところに如何に隘路が多かつたかということが御推察願えるかと思うのであります。
そこで私といたしましては、この大島が戦前においてもどういうような経済状態にあつたかということを極くかいつまんで申上げたいと思うのであります。で、大島は明治二十一年から昭和十五年までの間、鹿児島県では特別会計としまして全然分離した予算を編成し決算をいたしております。その理由は、第一に、大島は同じ鹿児島県であつてもかなり緯度が南にあつて気候、風土、或いは又その構成している地形等が違うために、内地と同じような行政でなくその重点を変えなければならん。こういう意味と、もう一つは明治二十一年頃から内地が相当道路の拡張を始めておりますために、道路に関係のない奄美大島がその負担を分担させられることは不公平であると、こういうような理由から最初は或る意味においてはいい意味で独立経済を作つてそういう予算の編成をやつて参つたのであります。ところがそのうちにだんだんと内地のほうは振興しましたが、大島は離島であり、恵まれない経済的ないろいろな事情がありますために、だんだんと貧困になりまして、これでは到底大島の住民は救われないということで、昭和八、九年頃から大島を如何にして振興さすかということが非常に大きな問題として国全体で取上げられまして、その結果昭和十一年から十カ年計画を以て当時の金の二千万円、今日の日銀の物価指数に直しますと約六十六億ということになるのでありますが、その六十六億円というものを目標にしまして十カ年計画で大島の住民の生活の安定、経済の向上を図つて内地並みの生活水準を取戻そうと、こういう計画が立てられたわけであります。その十一年最初の年の予算を申上げますと、予算の立て方が大体二つの形になつておりまして、決算からこれを見ますると県の十一年の決算が百十一万余円でありますが、この中には約二八%の住民の税金と国庫支出金が四二%、使用料、手数料等、原地民の負担に属するその他のものを加えまして九三%程度になるのでありますが、そういうような形の予算が特別会計として編成され、決算が出ておるのであります。そのほかに国の予算としまして別に当時の金で七十六万円によつて、主要港湾と航路との整備を内務省で直接やるということになつておりました。それから大島振興事業費というのが別に又県に、国の大部分の補助で計上されておるのでありますが、それが昭和十一年において七十八万円であります。そのうち県から四万円繰入れしましてあと全額国の費用であります。これは主として現地における特産物の奨励のための試験場、分場等の設置、土地改良、それから黒砂糖、大島紬等の亜産増強に関する施設の整備の援助、それから特別国道と称するものが大島にありましたがその整備、そういうものを含めた経費が別途計上されております。それからもう一つは、市町村に対して当時まだ分与税制度もなかつた次第でありますが、国庫下付金としまして年額四十四万円程度のものが下付されておるのであります。これらの大体県の予算である百十一万円を除いたものが、大体年額百五十万円から二百万円程度になるわけでありまして、これが二千万の目標の年度別の実雄であつたわけであります。ところがいろいろな事情もありまして二百万が完全に毎年実施されなかつたばかりでなく、支那事変がだんだん長びくに従いまして国の財政も変つて来たためでありますがだんだんと減少しまして、しまいには僅かにこの振興費等によつて設置されたものが残存するというような状態に終りにはなつたのであります。全体の二千万の計画に対して実施されましたのが、経費の上において約三六%であつたわけであります。こういうふうにすでに戦前においても非常に振興を要するような特殊な事情になつておりましたものが、戦争によつて非常な戦災を受けてこういう施設が壊滅しまして、そのために学校等が校舎を失い、或いは個人は住宅を失い、或いは事業をやる者は生産の施設を失つたという状態で、それから八年間も只今お話のような状態で続いて参つておるわけであります。従つて非常な今日窮乏の状態におかれているわけでありますからして、これに対して府県としましては、以前の振興計画と戦災の復旧というものとを加味した意味におきまして、少くとも大島の生活水準というものを戦前並みに持つて行くことのために計画を一応樹立しておるわけであります。
只今お手許に配付申上げております緊急復興計画案と申しますものは現在まで調査してでき上りました数字でありますが、まだ大島は現在地元におきましてもいろいろな面において技術的な調査が十分にできないような事情におかれておりまして、設計とか計算の基礎というものには相当の変動が今後あるのではないかと考えられますが、一応現在まで現地で作製せられました資料を現在の日本の技術者が机の上でながめて見て、これくらいの程度でできるのじやないかといつてでき上りました計画が、今お手許にある計画でありまして、復興の経費だけが一応百億と見ております。なおその間における行政その他に要する経費が三年間で三十億と見ているわけであります。勿論この三十億の中には通常県なり市町村なりが行わなければならない土木、厚生その他の事業費が当然入つてくるわけでありまして、特別の復興に要する経費が今のところ百億という数字が出ているわけであります。併しこれはコンクリートになつた数字でありませんので、今後現地において港湾その他の技術者が設計をし計算をする場合には相当な変動があるのではないかということを考えているわけであります。その重点としますところは先ず第一に、先ほどのお話のように復帰いたしましたならばでき得る限り生活保護という点をとらないで、失業対策によつて働ける者には仕事を考えるという方針を重点において、それになおできない者には生活保護を適用するという考え方で進みたいと考えております。
教育の施設は特に甚だしく荒廃をいたしておりますので、これについては優先的にしかも重点的に復興をして参りたい。我々の只今考えておりますところでは、現地が非常に亜熱帯的な面も非常に雨の多い、湿度の高い土地であります上に白蟻の害の多い所でありますので、でき得る限り恒久的なブロツクの建物を作つて今後における災害の防除を図つて参ることが、最も国家的に見て又将来を見て経済的なやり方ではないか、こう考えている次第であります。
次に産業の振興を図るための基盤として、どうしても大島における交通の整備ということが重大なる問題になりますので、これは陸上においては道路の幅員が狭く交通量に適応しないものがありますので、これの復旧と各離島間における一島少くとも一港の整備せられた港湾を造るということを目標にして急速に進みたいと考えているわけであります。
それから農作物の点におきましては、戦前の振興計画におきましても現地の食糧自給のため、現地の七万石の米の増産ということを目標にしておつたわけでありますから、今回もその面を進めますと共に、大島紬、黒砂糖、鰹節等の戦前におけるこの島の一番大きな換金作物であつたものの復興のために施設の充実を急速に進めて参りたいと、かように考えております。戦後分離しまして戦前に比べて復興の指数の高かつたものは畜産と木材業、林業であります。これは沖縄に対する関係においてこの面だけが生産高が上つているわけでありますが、その内容は極めてまだ粗放的なものでありますので、畜産の場合における品種の改良、林業の場合における過伐を防いだ造林計画を進めて参りたいと考えているわけであります。その他鉱物資源等におきましても相当未開発資源がありますので、これらの資源の開発を十分図りたい。なお南方の水産基地としての活動が今後相当考えられますので、水産基地としてこの地区を整備して参る。こういうような大体の考え方におきまして、只今のところ計画を進めているわけであります。この計画も戦前のように十カ年計画等の長いやり方では、非常な窮乏のどん底にあるものを復興さすには到底時間がかかり過ぎて能率が上りませんので、我々としては少くとも三カ年計画でこの整備を図りたい。これが非常に私は大事な点だと思うのであります。ややもしますと、その総額については一応その程度だろうということになつても、これが十カ年計画等になりますと中途においてやつたことが又損耗を来すというようなことになりますので、どうしても現地の実情から我々の切望しますことは三カ年程度においてこの復興を一応図つて行きたい、こう考えているわけであります。
それから次に現在復帰前におきまして差当り現地から非常に強い要望のありますものは、旱魃によつてこの十一月半ば以後に播きつけなければならないところの麦の種が皆無になつている。これをどうしても内地から補給してもらいたいという話が出ているのであります。これを一つ補給するにいたしましても、外務省を通じての外交折衝をやらなければ勝手に持込めないというのが現状であります。
それからなお市町村等におきましても復帰が決定しても向うとこちらの税法の間に非常なる相違がありますのと、向うの市町村税というものの負担が極端に重いわけであります。先ほどもお話がありましたが法定外特別税というものが三十一種類もあるという状態でありまして非常な重い税金でありますから、これをそのまま復帰後においても、地方税法の適用はたとえ延ばしたにしましても、徴収するということは困難であろうと考えられますので、そういう点から起つて来る市町村の財政の欠陥というものを補填すると同時に、市町村に少くとも復帰後取りあえずやらなければならない内地並の仕事を十分にやつてもらうためには、市町村に対する財政的援助の方針を早く決定してこれを現地の当局に示しておくことによつて、そうして又その期間を復帰の日からでなくして、或る期間例えば十一月一日なら一日以後のものについての補償ということを、これには正式はできないと思いますが、考慮に入れた予算措置をしておいてもらつて、復帰後において何とかこれを措置するというようなことを、これはいろいろな隘路もあると思いますが研究実施して参れるならば、非常に直接現地の住民にサービスする市町村としては仕事がうまく行くのではないかということを考えているようなわけであります。
以上甚だ簡単でありますが、大体鹿児島県として考えております点を申上げたわけでありますが、今までも非常にお世話になつたわけでありますが、今後なお一層速かに復帰が実現しますことと、只今申上げました計画が円滑に而も急速に進みますように、この上とも一つ御援助をお願いいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/39
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040・内村清次
○委員長(内村清次君) 次に今日まで奄美群島の復帰についてなみなみならん御苦心と御努力を重ねて来られました奄美大島復帰期成会総本部委員長、奥山八郎君から、現地住民の立場から一般的な現地の状況、中央に対する真剣なる御要望につきましてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/40
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041・奥山八郎
○参考人(奥山八郎君) 只今御指名に与りました奥山八郎であります。只今奄美大島復帰期成会の本部というお話がございましたが、我々はすでにもう復帰は確定したものという考えの下に、すでに復興を促進すべき段階に来ていると考えまして、奄美大島の復帰期成会を切換えまして、奄美群島復興促進会というものにしてありまして、私がその総本部の委員長をしておるのであります。奄美大島が日本に帰ります以上、同地の住民が内地の同胞と歩みを共にして行くことは当然であります。従いまして租税等の負担におきましても、でき得わばその復帰の日から同様に負担をして行きたいのでありまするが、又その意思に住民は燃えてるのでありまするが、如何せん実情がそれを許しませんのであります。多分私は現地におりませんので、ここでこの法案に対する現地の実情、先ほど石井局長、又今三ツ井部長がお述べになられた現地の実情、並びにあとで又述べられるであろうところの二人の参考人からの実情から割出しまして、現地住民の持つているこの法案に対する要望を四点ほど述べさせて頂きたいと思うのであります。
それは第一点は第二条の点でありますが、只今申しました通り住民の現在の資力がこの租税を負担するに到底力がありませんので、この法令の施行の期日が六カ月後になりますれば自動的にこれが施行せられるようになつておりまするが、ただこの法案では特別の事情のある場合があればこれも又延期ができるということになつておりますけれども、この法案の通りに行きますると現地の負担が非常に重くなるのであります。と申しまするのは、特別の事情があること訴えるためにわざわざ現地から来てそれぞれ運動をしなければならんという手数がありまするし、又政府におきましても特別の事情であるや否やを調査するために現地に調査員を派遣しなければならんというようなとになりまして、これが実情と合致しなくなりますので第二条の第一項の後段に「それぞれ政令で定める日まで」とあるのを、当分の間というふうに御修正をお願いいたしまして、次に第ニ項におきまして、前項の法律施行の日は事情に応じてそれぞれ政令で定めるとかようにしておいて頂きますれば、実情から見てもう施行してもいいとい認定が得られますればそのときから施行すると、こういうふうな扱い方にして頂きたいという現地の非常な熱心な希望がありますので、これを是非その通りに御修正を願いたいと思います。
なおこの当分の間としますることは、あとの条文との釣合から申しましてもそのほうがいいんじやないか。あとのほうではみんな第四条以下当分の間当分の間となつておりますので、この二条におきましても当分の間施行しないとしておきまして、実情から見て施行してもいいときには順次適用して行くというように御修正を願いたいとお願いするのであります。
そうして又この二十五の法律がここに列挙してありまするが、二十六としてそれはできることではありまするが、現在の実情から見まして、すでに六カ月後に施行のできないことが明らかになつておりまするものが一つありまするので、二十五の次に二十六としまして食糧管理法を加え、二十六号を二十七号に送つて頂きたい、かようにお願いいたします。
次に第三条につきまして、これは修正をお願いするのでありませんが、公職選挙法の別表第一が初めて更正されるときにおきまする現在の奄美大島の取扱でありまするが、これを分離前のごとく鹿児島県の選挙区の第三区といたしまして、定員を四人とすることに今から国会に御配慮を願うようにお願いしてもらいたいということであります。
次に第四条につきましてでありまするが、これは国の行政事務を県の機関を通じないで直接政府から委任をされる機構を作られるもののようでありまするが、これは誠に現地のほうにおきましては是非そういうふうにありたいと念願しておるのであります。而してそう折角なさるのでありまするならば、国から直接現地のほうに行わせるところの委任の事務を成るたけ範囲を拡げて、従いまして、知事及び鹿児島県の機関を通して行う範囲を成るたけ狭めてもらいたいということであります。勿論知事を通じ県の機関を通じなければ行い得ないものは当然ありまするからしてそれはやむを得ませんが、でき得る限り国の行政事務を直接その地に設けられるところの機関に連絡をして実行さして頂きたい、それは復興の促進上極めて必要であるという理由によるのであります。
次にこの第五条、第六条に関してでありまするが、当分の間支部を設置されないようになつておりまするが、これは当分の間じやなくもうすぐこの措置法で支部を設置してもらいたいということ。並びに島が五つありまするがこれらにそれぞれ簡易裁判所を設けてもらう。これは憲法の保障するところの人権の擁護上当然であらねばならんと思いますので、理由を別段申上げることは必要ないと思いますので、予算上の関係もありまするけれどもこれをすぐに実施してもらいたい。この四点について御修正をお願いしたい。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/41
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042・内村清次
○委員長(内村清次君) 次に奄美大島の名瀬市長泉芳朗君から、現地市町村の行政の状況につきまして公述を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/42
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043・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) 只今御指名頂きました泉でございます。奄美大島日本復帰協議会の議長、名瀬市長というような郡民の意思を代表いたしまして、このたび現地から派遣されまして私ども上つたのでございますが、たまたま奄美問題について連日御熱心なる受入れ措置についての御審議をやつております本委員会に私どもをお招き下さいまして、つぶさに現地の声をお聞きとり頂く機会を与えて下さいました点、衷心から一同に代りまして謝意を表する次第であります。
現地のいろいろな事情につきましては、先ほど石井局長、三ツ井県総務部長並びに奥山委員長からそれぞれお話がありましたので、本当に現地の我々の実情をよくも御調査頂いたものと、ただただこの御調査に対して敬意を表し且つ私から重複することは避けまして、取りあえず我々現地が八月八日のダレス朗報以後どういうような気持で復帰の日をお待ちし、更に十一月一日に復帰するというあの望みが立消えになつたような形におかれている現在、どういうような混乱と失望不安の状態におかれているか、こういつた点を二三かいつまんで申上げまして、切に皆様方のこの上ながらの御促進を懇請申上げたいと思う次第でございます。
十一月一日に帰る、帰すというような言葉がどういうところから出たのか、とにかくこの問題はいろいろ今日に至つては日米両方の話合のこじれていると想像されている段階においては、いろいろ責任問題もあると思うのでありますが、とにかくこれは去る八月八日のダレス声明があつた直後現地のアメリカ軍は声明を発表いたしまして、一応十月末を以て奄美関係の予算は打切る、こういうことをはつきりと言つております。そこで九月の下旬に琉球政府の予算が成立いたしまして、十月初旬に軍のライセンスが出て実行に移されておるわけでございますが、その後奄美関係の予算は私が出発いたします十月の中旬頃に令達を受けておるのでありますが、それによれば琉球政府の出先である奄美地方庁の人件費、行政費だけでありまして、事業費その他は全部ストツプされているわけでございます。而もこれは四カ月分に関してでありまして、若しも復帰が十二月に延びる場合は十一月を改めて指令すると、こういつたような条件付になつているわけでございます。そのために七月から会計年度が始まりますので、新年度の予算執行はこの人件費だけに最小限度にとどめられている関係で、政府の補助事業がすべて停止になりました関係で、郡内の各町村で予定をしている補助事業が予定通り進行いたしませず、その影響を受けて一般の業界の事業がすべて停頓の状態にありまして、その結果失業者が続出いたしている事情にあります。我々市町村におきましても一応十一月には帰るのだからというわけで七、八、九、十の四カ月分の繋ぎのために一番取り易い、手数のかからない家屋税、土地税のようなもの、復帰してもなお徴収しなければならんような性質の、基本的なものだけを取りあえず課して、そうして十一月の復帰を待つて税法その他内地の諸法と照し合せまして、もう一遍政府予算を組み直そうと言つたようなかまえでまあいるわけでございます。そのために七、八、九、十の運営費に充てるこの土地税、家屋税という唯一の税収入は市町村の予算の大体二〇%から二五%程度しか賄えず、而もまあ漸く中央政府に懇願をいたしまして財政調整交付金と申しておりますが、まあその地方の交付金を三カ月、四カ月分を割当てもらいまして、それが大体三百九万月程度B円を漸く認可を受けまして大島に廻してもらうことになつたのでございますが、これを含めましても大体三五、六%程度しか賄えないと思うのであります。そうなつて来ますとこれはほんの繋ぎ資金でございまして、勿論中央政府の補助事業費がこういうようにストツプになつております関係で、町村でも全く諸事業、土木の事業とか或いは道路の事業とか、河川浚渫、こういつたような施設の復興事業は全然手がつけられないで、ただ人件費、行政運営費を何とかまあ繋いで復帰を待つている、こういつたような状態であります。
而もこの一方一般の金融はどうかと申しますと、琉球銀行の支店が大島の各瀬初め各島々におよそ五つありますが、それらの銀行は口では資金を復帰までは融通すると言つておりますけれども、実質的にはすでに債権の整理を始めているのでございます。この銀行の資金の回収に併行いたしまして、民間のいろいろな金融の機関もございますがこういつたところも殆んど整理をしている。一般個人の貸借が又整理期に入つておりまして郡民の庶民金融というものが極度に収縮し停止していると、こういう関係で特に農村などにおきましては全く金融がなくて庶民の生活が非常な窮乏と混乱といつたような状態にあるわけでございます。なおこういつたような金融の非常な硬直した状態に置かれましている関係で商取引が窮屈になつております。直取引は御承知の通り外国貿易の制度によつております関係でこのLCの信用状を銀行が取扱つてくれない。どうせもう十一月には復帰するのだからその間またがつて銀行がそういつたような信用状を発行するということになれば、いろいろと通貨の切替措置等にぶつかつて非常な混乱を来すということの思惑で銀行側でもこれを信用してくれない。こういつたような事情でありますが年末新年を控えまして島内の生活必需物資は本土からのこの取引の契約が全然行われないで、恐らくこの月の末或いは来月にかけて相当現地では物資不足で困つて来るのじやないか。こういうことが心配されるのでございます。
更に又大島の先ほどからお話に出ております基本産業でございます大島紬その他の産業振興に当りましても、運転資金が全然手持がないのでございます。銀行は先ほど申します通りもうそろそろ復帰だからと整理をしております関係で、到底こういつた業者に多額の運転資金を貸してくれるというような措置はとらない関係で、紬業者も殆んど窒息状態に追込まれておるといつたような関係にありますために、どうしても私どもとしてはこの復帰はいつ一体帰してもらえるか、いつ母国には抱き取つてもらえるのか、この日取りの不鮮明なあやふやな状態に置かれておる点に非常な不安と動揺と生活の混乱、これはもう空白を通り越して真空状態に追込まれている実情でございます。先ほどの皆様方の政府側との真剣な質疑応答によりまして、全く現地の我々が身を以て熱望しておるところの気持をそのままここで御討議なさつておられることを承わつて本当に感激申上げる次第でございますが、とにかく我々が昭和二十一年一月二十九日にマツカーサー指令によつて分離され、二、三日たつて二月二日には完全に分離措置を受けておる。分離される時には非常にスピーデイに行つたのに、今度はいよいよダレスが渡す返すといいながら今日まで荏苒時を過しておるというようなことに現地では非常な失望を抱いているわけでございます。何としてもこの予算の問題とか或いは法律に関するいろいろな温かい措置法などを講じて頂くこと、これ勿論我々にとつてはありがたい極みでございますが、それよりも何よりもその根本であるとにかく早く抱き取つて頂くという祖国政府の温かい措置というものが我々には何よりも望ましい点でございます。皆様方になおこの上ながらの御配慮をお願い申上げてやまないゆえんでございます。
なお先ほど申上げますような実情から、私の名瀬市のごときは大体その七制程度が紬の業者であり、更に日雇労働者を以て成り立つているところの町でございますが、現在では政府事業等が全部停止になつております関係でB円の三十円、日本円の九十円でよろしいから仕事をさしてくれ、こういつて投げ出して労働の叩き売りをやつているのでございますが、今申上げます通りに事業が何もかも窒息状態にあります関係で、彼らをみすみす気の毒ではあるけれども雇つてそれぞれの生活の道を開いてやる手がない。市においても何とかして河川の浚渫とか或いは道路の清掃下水道の浚渫等附帯事業などを市みずからの手でやろうと思うのですけれども金を貸してくれる所がない。これもすべて復帰がぐらついたそこから来る頓挫でございます。ですから十一月を一応の目途として我々は諸準備万端整えて、とにかく帰り仕度をやつているさ中に持つて来て、これが十二月になり更に最近の情報では十二月まだ不安定だ、場合によつては年を越すことになるかも知れないという報道が我々の旅行出発後現地に伝わりまして、現地では非常に心配動揺をいたしまして、我々にも、又当地におられる現地出身の方々にも、或いは政府の各機関や皆様方、議会の各機関へもいろいろな陳情の電報などが参つていること存じますが、とにかく事ほどさように現地では現在いても立つてもたまらないというような焦燥と混乱に非常な憂慮すべき事態を現出しつつあるということを特に御記憶を願いたいのでございます。このことをとにかく先ほどの政府側の御答弁によりましても承わつて、十二月一日以後は延びない、こういうような或る程度の安心は得られましたけれども、併しなお且つ私どもは釈然としない点がございますので、どうぞ皆様方におかれましては政府を極力鞭撻頂き、更にアメリカ筋に向つても国家機関を通して堂々とこの奄美問題の速かなる解決に一層の御検討をお願い申上げる次第でございます。
なおこの臨時国会に対する我々奄美群島二十万、更に本土におる十八万のものは勿論八千万の国民が非常なる関心と期待をかけて注目している一点は、対外的に日本が失つた祖先伝来の領土を受入れるについて、この小さな奄美の問題であつてもどういうような態度を以て臨むか。それが対外的に非常な関心事であると思います。而も国民は、この議会が、失地回復に対する基本的な奄美を一つのモデル・ケースとして将来にどういうような発展方向の態度、決意を示すかということが非常な問題であると思いますので、今回の臨時国会におけるいろいろな報道が、我々が現地にも参りまして方々の水害或いは冷害等、実にこれは広範囲に亘つて切実な深刻な生活からの叫びが議会にも反映していることは極めて至極御尤もなことでありますけれども、これら国内問題よりも以上に我々といたしましては国際的に重要性を持つこの奄美の失地回復の第一歩、滑り出しを今回の議会において堂々と独立日本の態度を表明して頂きたい。これを前の問題と関連してお願い申上げる次第でございます。
それから先ほど県の部長さんからも予算の問題についてちよつとお話がございましたが、私ども現地におきましても差当り大島が故国に復帰するについてはいろいろとあれもこれもお願いしたいことだらけであります。何しろ戦前、戦争中から或いは八年の分離措置の間を含んで殆ど二十年に亘る放置された状態からの起上りでございますから、できる限り何でもかでも一遍にこれを復興して頂きたいのが我々現地の切実な気持であります。
そこでいろいろ我々市町村側におきましても、取りあえず町村内の緊急を要する復興問題などを検討いたしまして現地で大体まとめましたお手盛の予算がB円で百四十億くらいでございます。これは日本円に直しますと大体これの三倍になるわけでございますが、それを一応県に提出いたしまして県当局の審議をしてもらいまして県でしぼられて三十六億、これは日本円でございます。そしてその県から出された資料によつて今回臨時国会に政府が出しておる予算が十億。こういたしますと現地で我々取りあえず十一月から来年の三月までの五カ月予算として、これはお手盛予算ではありますけれども一応お願いしようというような心組でお願いしたのが、今度の国会では十億という額に極度に圧縮されて出されたということになるのであります。先ほど申上げました今回の臨時国会が大島の問題をどういう態度でどういう喜びと愛情を以て抱き取つて下さるか、そして対外的には大島を返してもらつて本当に日本国民としては実に力強く感激を以てこの予算的措置をとつて受入れるのだ、そして今後の沖縄、小笠原、又千島、歯舞、色丹問題にも我々はこの線を以て更に国際的な問題の調整に臨むのだという、そういう気迫と国家の決意を示して頂くためにも十億の予算というのは余りに線が細過ぎると。ですからどうしても我々は県が要望いたしておる二十六億の線で、よし一億でもいい、二億でもいいから引上げて頂きたい、これが私どもの現地の切実なお願いでございます。
それからこの受入措置についてでございますが、先ほどダレス朗報の直後いち早く政府が二十数名の事務官、調査団を派遣して頂いていろいろと現地の実情を御調査願つたのでございますが、これは誠に日本政府が公式に奄美地区に派遣された最初の調査団として、郡民としては非常な感激とそして意義深いものを以てお迎えしていろいろとまあ現地の実情を御調査頂いたわけでございますが、併し我々現地の者といたしましては、これらの事務的な調査をなさる調査団よりも前に主務大臣か、或いは議会の代表といつたような政治的な感覚を持つた人々に来て頂きたい。つまり病人を診断するに医者が先へ行かないで看護婦やその他の薬剤師が先に行つた、こういうような感じがするのでございます。どうしても責任のある国家の政策に関連を持つたところの、もつと高度の立場から全体的に、総合的に見る責任を持たれる方が是非とも国家の名において来て頂きたかつたのであります。これは県に対しても同じような気持を我々は持つのであります。そういつたような意味で、今回の調査団の各専門の各省別の方々が見えたのでございますが、これに遺憾ながら漏れているところもある。特に大島の基本産業の大島紬とか或いは黒糖とかそういつたような生産部面に関係のある、或いは又土木復興等に関係のある官省の調査の方々が見えておらなかつた点も我々としては非常に遺憾とするところでございます。
で、総じて今回の調査団の熱心なる御調査に対しては謝意を表する次第でございますが、それが果してその調査資料の結論となるものがどういう形で国会に反映し、或いは今後の政府の政策に具現されて行くか。我々としてはやはり政治的な責任者がこれを締めくくつてその企画立案の下に細部に亘る調査をなし、これを国家の国策の上に乗せて行くという順序が一応妥当ではないかというような点から考えて非常に遺憾に存ずる次第であり、更に現地我々の態度も成るほど調査団をお迎えするに十分の資料、決定的な資料を作り上げてお待ちできなかつたという非常な行届かない点もありましたけれども、何もかもとにかく現地の我々に責任はあるんでございますが、併し調査をなさる国家の責任、或いは県の責任において公式になされるものとしてはもう少し企画的にやつて頂きたい。群盲象をなでる、大島を一つの象としてこれらの多勢の人々を私は群盲とは申しませんが、そのそしりを招かざるよう我々としては切に善処をお願い申上げる次第であります。
なお今回の議会におきましては、先ほども申上げました通り我々といたしましては非常な関心を持ち、国民としても当然この奄美の失地回復という面から非常な関心を持つておられますので、参議院におかれましても是非とも質問或いはその他の方法によられましてこの問題だけは対外的に大きく反響を持つような御措置を皆様方のお力によつて促進して頂きますよう最後に希望申上げまして、非常に率直な意見でしたけれども、現地のなまなましい声をまあ甘える気持で申上げさせて頂きまして御了承頂きたいと思います。有難うございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/43
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044・内村清次
○委員長(内村清次君) 最後は喜界島早町村長岡村寛義君から、只今泉君の御説明に付加えまして現地の町村の一行政面につきましての公述を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/44
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045・岡村寛義
○参考人(岡村寛義君) 私は本委員会に参上いたしまして奄美大島の村長といたしまして、このたびの復帰に関係する我々の熱願要望いたしておりますところの一端をここに申上げることについて機会を与えて下さつたことを、奄美大島に今残つております二十二万の人民がこのたび新聞でいわゆる救農国会ということで銘を打つて開かれましたこの国会に対して持つております気持を付度しながら、厚く感謝を申上げると共に光栄に存ずる次第でございます。
奄美大島の地方行政とか或いは各種の問題については今までお話頂きました皆さんのお話でおおむね尽きておりますけれども、私が直接農村の村長といたしまして農民に日夕接しておりまして、農民の感じております琉球政府下の政治の実情について少し詳しく申上げたいと思います。
琉球政府下の現在の組織は結局立法院という決議機関を持ち、或いは又祖国の地方自治法という法律を内容といたしまして極く僅かな焼き直しをいたしました地方自治法に類するところの法律がありますので、形式は非常に完璧を期したような政府或いは自治体の地方市町村であるようになつておりますけれども、その実質を実は簡単に申上げますと、市町村の財政を切盛りして下さるところの平衡交付金の問題一つを挙げましても、自治法は置かれているのに平衡交付金に関するところの法律はなくて、漸く昨年の十二月末に法律ができた。そうして而も平衡交付金は簡単に申上げますと、政府の予算のやりくり措置によつて残つた金をこれに当てるというのが琉球政府の実情であります。そういうような関係で、地方市町村は困窮し切つた経済の中から農民や漁民或いはその他の人民の苦しい税金によつてやつて行かなければなりませんので、私たち村長はこの苦しい中から税金を取るということは誠に忍びないので、税金を取る方法について日夜辛苦をいたしております。それで今年のごときも、先ほど泉市長からお話のありました通り、七月以降年度が始まつておりますけれども、まだ交付金もありませんし、それから税金も住民税のごときものも取る見込がありませんので、内地の固定資産税に相当する家屋税と土地税とだけを漸く賦課してこれも五〇%も徴税ができないという実情であります。そういうような実情でありますので、どうか、琉球政府下におけるところの各種の法令に準拠したところの状況によつて琉球を眺めて下さるということが、その通り行かないということを御参考に申上げます。
その次は産業の問題でありますが、奄美大島は農民が八七%も占むるところにありまして、基幹産業の農業といたしましては黒糖であります。黒糖は先ほど石井局長からもお話がありました通り、戦前に比較して三〇%ぐらいの復興しかいたしておりません。なぜ復興しないのかという問題でありますが、簡単な事例を一つ申上げましても、肥料を琉球政府ではガリオアによつて日本から入れ、或いはアメリカから入れております。このガリオアによるところの肥料を農民に渡すときには現金を持つて行かなければ渡しません。それで大島の農民は肥料を買うために現金を持つて行つて買うて、そうしてその肥料を施して砂糖を作りその他の農産物を作るという経済的実力を持つておりませんから、肥料の必要を感じ或いは又大島の農協の連合会或いは各地の農協に肥料があつても、のどから手の出るくらい欲しがつている肥料を使うことができないのが実情であります。
それから大島紬の問題でありますが、これは工場化されたところの織物事業ではありません。大体大島での大島紬は家庭工業でありまして、女の子供が義務教育を終えたならば、嫁入するまでの間家庭で大島紬を織るというのが昔からの習慣であります。そういうのに僅かに戦前に比較して二〇%しか復興しておりませんので、殊に、ここでお恥かしいから申上げたくないのでありますけれども、細民の女の子供は琉球に行つて醜い業に就かなければならないというのがその実情であります。我々村長とか或いは村会議員その他のいわゆる公職の選挙でもありますときに、地方の人民から政治に関与しようという人が責め立てられる問題はこの問題であります。あの醜業婦を処理することの、できない政治家は政治家と認めないといつたようなことを大島の人民は言うております。それから大島紬が振興しないもう一つの理由は、その原料でありますところの絹糸は内地から輸入をいたしております。この内地から輸入いたしておりますところの原料に対しましては、昨年の末から今年の初めになつて後払方式のLCによつて輸入をしたいという希望を以てそういう交渉もいたしましたけれども、結局民政府の不承認というような問題で後払方式のことができなくて、これも細々生きておるところの紬業者が現金を持たなければ原料の糸を内地から入れることができないというのが実情であります。そういう関係にあるのと、一面大島の紬は切り離されて八年間もブランクがありますので、この間に日本の趣向意匠にデザインも遅れておる関係もありますしするので、現在のところ、本場大島というと奄美大島でできる紬であつたのでありますが、これが鹿児島のほうでようやく大島紬の余命をつないだというのが実情でありまして、大島から来るところの大島紬は手形取引で三カ月の延取引をいたしておりますが、実際は五カ月乃至半年かからなければ大島紬の売りさばき処理はできないという実情でありまして、金のない者が現金でその原料を入れて、できた紬は延べ売りで半年もかかるという状況でありますので、あとは御説明申上げるまでもないと思います。それからその次に水産業も同様な状況であります。
それから先ほどもお話がありましたが金融の関係であります。この金融関係は、球球には戦災を復興するいわゆる産業その他すべての復興に充当するためにガリオアによるところの復興金融の道が表面開かれております。これは年利六分でありますので利子も安いようでありますけれども、琉銀が預つておりましてこれを復興のために借入れようとしますと、土地の不動産を抵当にしなければならんという実情であります。不動産抵当に要するところの登記手数料或いはその他の雑費を加えますと、利子はおおむね一割以上、ひどいのになりますと二割の利子がつくのが雑費を合計した実情であります。到底、こういうような復興金融というような銘打つて出てはおりますけれども、細民は利用ができないという実情であります。かような実情でありまして、結局どうしても立ち上ろうとしても立ち上れないというのが今の大島の人民の実情であります。
もう一つ申上げたいことは、これも琉球政府内の内輪の問題でありますから、できれば遠慮したいのですけれどもこの際申上げなければおわかりになりませんから申上げますが、過去七年前からいろいろな補助といつたような意味でガリオアの恩恵に浴しておりますが、その恩恵の中でも琉球政府の中には奄美大島と沖縄本島と宮古、八重山と四地区に分れております。この四地区を比較いたしまして人口その他の比率からあらゆる角度から見まして、何というても奄美大島に対しては不利益な差別待遇を受けて参りました。それで我々は、少いことは先ずやむを得ないが、ひとしくないということは残念だというて涙を呑んで今日まで来ております。これが奄美大島の産業金融或いは各種の制度に対するところの表面とその内容実体のことなんでありまして、どうか一つ大島はこういう実情でありますから、今度の救農国会には大島は完全に日本に帰り、又将来の復興に対する計画が完全に立つものと二十二万の人民は首を長くして待つておりますので、どうか一つこの大島の人民の希望を遂げさせるように御高配をお願いしたいと思います。終り。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/45
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046・内村清次
○委員長(内村清次君) 以上をもちまして参考人からの公述は終りました。各委員からの御質疑がありましたならば御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/46
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047・秋山長造
○秋山長造君 どなたでも結構なんですが、先ほど政務次官の御答弁では、延びている主たる原因は軍とのいろいろな権利義務の受渡その他についての事務的なやりとりで延びているんだというお話があつたんですが、先ほど承つたところによりますと、沖永良部島に十人か二十人くらいしか軍務関係の人はいないというお話のように承つておりますが、本当のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/47
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048・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/48
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049・秋山長造
○秋山長造君 もうほかにはいないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/49
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050・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) 進駐軍というのはおりません。ただ向うに奄美地区民政府というのがありましてここに民政官と副官、それにCICを合せまして十五人くらいおります。
それから今の沖永良部は電探基地でありまして、電探施設がありますが、この工事をした去年の十一月頃までは大体五十人ばかりの技術者等が来ておるということでございましたが、現在ではおつしやる通り十名から二十名くらいの技術兵が来ておるという程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/50
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051・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、現地の実情からいえば、駐留軍とこちら側との間の権利義務なんかについて云々というような、まあ関係は全然ないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/51
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052・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) その通りでございます。
これは二・二宣言と我々は申しておりますが、つまり奄美地区に当時の軍政府、それか民政府に移つて今日まで、米軍との間の権利義務に関する争いその他個人的な面においても全くそういつたようなトラブルは起つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/52
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053・秋山長造
○秋山長造君 その点わかりました。
それからもう一つお伺いしたいのは、この復帰が非常に延びておるという点についてまあ細かい手続上いろいろ事情があつて延びているんだというさつき次官の答弁だつたんですが、あなた方のほうにまあそういう延びておる事情についていろいろ情報が入ると思う。或いはこの内地のほうからの情報も入るだろうし、又沖縄のほうからの情報も入るであろう、又アメリカ筋からの情報も入るであろうと思うのですが、皆さんのほうはこの延びている事情について大体どういうようにお受取りになつておるか、その点を一つ率直にお聞かせ頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/53
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054・奥山八郎
○参考人(奥山八郎君) 我々は実のところ何にも存じませんです。先般、先月の下旬に外務省に参りまして大臣にお会いした際、運動した者たちの得て来た情報は、十二月一日までには必ず帰るようにするから安心しておれという言質を得て、それで喜んで待つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/54
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055・秋山長造
○秋山長造君 十二月一日……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/55
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056・奥山八郎
○参考人(奥山八郎君) 十二月一日には帰るようにするから、安心して待つておるがいいという趣旨の御説明があつたので、十二月一日は間違いないものという考えで嵩んで待つておるだけでありまして、その間どういうことがあるのか、それは全然我々は情報を持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/56
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057・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) 今のあれにちよつと附加えたいことがあるのです。現地におきましては、先ほど私が申上げました通り、アメリカ軍の声明によつて、十月末で大島関係の予算を打切るというこの声明、大島関係の資金関係の面は銀行の融資関係も一応打切るといつたような声明も含めて、八月の下旬頃に出されましたので、これがまあ何よりも十一月一日説の大きな信じさせる理由でございました。ところがいろいろ受入側の政府のほうでの諸措置が少し手間取るというような関係で、延びるかも知れないといつたような不安が、つまり十一月一日復帰がややぼけて来たのが十月に入つてからでございます。それでいよいよ私どもがこちらに参りまして、二十六日に私どもは鹿児島を出発したのでございますが、その朝の官房長官の談話の中に、どうも十二月一日もあやふやで、場合によつては年を越すかも知れないというようなことが考えられるような、そういう放送であつたらしいのでございます。この言葉は私新聞も見ておらないし、そのラジオ・ニユースを聞いてもおりません関係で、ここではつきり申上げられませんが、とにかく一応十二月復帰もちよつと当てが外れて、来年に持越されるようだという情報が現在奄美の現地に伝つているのはたしかでございます。それでそれを心配して現地では各方面に、いろいろ心配と、この促進の電報或いはその他書類で陳情をして来ている現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/57
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058・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、あなたのほうで、どうせここまで真剣に内地復帰を念願して来ておられる手前からいいましても、十一月一日というのが十二月一日に延び、更に来年になるかも知らんというようなことが、たとえ噂であるにしても、こういうことはもう迅速に全島民に拡がるものだと思うのです。そういうことによつて一層島民が気分的に動揺する、或いは日本の政府のやり方に対する忿懣というようなものも起つて来るのは当然だと思う。それから又いろいろな情報にしても、ただ東京筋の情報だけでなしに、やはりあなたがたが従来その下に立つて管理を受けておられた琉球政府或いはその方面のアメリカ筋からのいろいろな情報というの、或いはいろいろな機関を通して入つて来ているのだろうと思う。東京の外務省なり政府なりの情報というのは、先ほど来皆さんで聞いた通りなんですが、その日本側の情報でなしに、アメリカ側の情報なり或いは琉球政府側の情報というものは入つていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/58
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059・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) 向うでもアメリカ側の別の情報が特別に我々現地に聞えておるということはございません。ただアメリカの現地軍としては、もうすでに実質的に手離しておるのでありまして、大島側から地方庁、琉球政府の出先でございますが、奄美地方庁あたりが大島の復帰までのいろいろな予算措置の陳情に参つても、これは申上げにくい大変失礼なことにもなりますけれども、とにかく大島の関係で陳情或いはその他の面会を申込んでも、気持よく会つてくれない。会えば、お前たちはもう日本に帰るのだから、帰つてからでもいいじやないか琉球政府の主席以下関係者は、帰つて行く奄美のためにせめて晴着の一つでも着せてやりたいという気持は、同情はあるのですけれども、肝心要な予算の令達を軍が握つております関係で、それができない。従つて軍としても琉球政府としても、もう手がつけられない。奄美地方庁としても手がつけられない。我々市町村の行政責任の地位にあるものも何とも処置がつかない。とにかくこの問題が一日延びれば延びるだけ、そこに非常な焦燥、不安、混乱と、こういつたようなのが生ずるので、とにかくはつきりと、事務措置とか法的ないろいろ事務的な面が多少残つていても、一応先に帰すというようなその線を決定してもらいたい、日取を決定して頂きたい。これが現地に息づいている者の今日のこの瞬間の熱望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/59
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060・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、現地の実情としては、もうアメリカ側からとも、それから琉球政府からとも、手が切れておるという状況ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/60
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061・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) 実質的には手離しておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/61
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062・秋山長造
○秋山長造君 この問題は、先ほど外務大臣の代理として小瀧政務次官からいろいろお話を伺つておつたのですけれども、まあ現地のかたの詳しいお話を聞いた上で、もう一度質問をするからということで、質問を留保しておつたけれども、当の小瀧次官も退席しておられますし、外務大臣もまだ見えないのですが、塚田長官は見えておるのですけれども、やはりこの問題は塚田長官の問題であると同時に、さつきのような行きがかり上、やはり外務省の問題でもある。外交関係の責任者の出席を要求して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/62
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063・島村軍次
○島村軍次君 関連して。外務大臣がお出でになることは是非お願いしたいと思うのですが、丁度法律案の提案は、この自治庁の関係だと思いますが、どうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/63
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064・内村清次
○委員長(内村清次君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/64
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065・島村軍次
○島村軍次君 塚田長官は法律案の提案者としての責任上、その復帰の時期についての政府側の御意見は塚田長官から聞かれれば非常に幸いだと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/65
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066・内村清次
○委員長(内村清次君) 只今の外務大臣の出席要求は、これは先ほど申しましたように一昨日からもやつておりますが、先ほど実は外務省に帰られました外務大臣が、要求によつて政府委員室に待つておつたわけです。丁度まだ参考人の御公述がありましたので、その間に衆議院のほうで予算委員会が始つてそこに今出席しておられます。そこで、只今直ちに又事務局のほうで出席要求をいたしたいと思いますが、これは今日やるものか、又あとで皆さんと御相談して、あさつてやるものか、この点一つお諮りして引続いてやるものか、実は苫米地委員からも是非外務大臣から聞きたいといつておられたわけですが、先ほどのような通達が来ましたので、それではあさつて一つ、しよつぱなにやるというようなことで退席されたようなんですが、この点は一つ只今直ちにというようなことになりますれば、今又出席を要求いたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/66
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067・秋山長造
○秋山長造君 ちよつとお尋ねいたしますが、私の気持としては、やはり今の現地のかたと同席して、政府のほうのいろいろやつて来たことを開き、又現地の人に聞くということで、実態が掴めるという気持でおつたわけなんですけれども、現地のかたは今日限りなんでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/67
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068・内村清次
○委員長(内村清次君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/68
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069・若木勝藏
○若木勝藏君 今の問題は、一応出席を要求してみてそれからにしたほうがよいのじやないかと思います。これは確かに現地の人がおいでになるところではつきり聞いたほうがいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/69
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070・石村幸作
○石村幸作君 そこで外務省側の説明が食い違いがあるとか、説明が不徹底であるとか、これはもつと皆さんで出席を求めて聞くのも当然でしようが、今日は参考人を呼んでいろいろ現地の意見を徴したのです。そこで、参考人に対していろいろな質疑があれば質問をして、よく話を詳しく聞く、そういうことで、それで外務省関係は、これは関連は勿論しておりますが、恐らく衆議院のほうで予算関係に出席していると思いますので、参考人のほうの意見を一応聞いたのですけれども、若し質問があればそれを質して、そしてこの外務省関係とこれは別にして頂いたらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/70
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071・島村軍次
○島村軍次君 先に折角塚田長官が発言を求めておられるようですから一応聞いたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/71
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072・若木勝藏
○若木勝藏君 私まだ現地のかたにいろいろ聞きたいと思いますが、その点保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/72
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073・内村清次
○委員長(内村清次君) わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/73
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074・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) いろいろ考え方は、先般衆議院の委員会でも申上げておつたのでありますが、只今ここで現地の方々のいろいろな実情を詳しく伺つて、一層私もその気持を深くしたのでありますけれども、とにかく遅れておることは現地に非常に御迷惑がかかつておるということで、何とかして早く復帰ができますように措置をしたいということは、勿論こういう考え方は今までもそのつもりでおつたのでありまして、又そういう考え方であつたなればこそ、今度の国会が短期間に、而も災害関係のものだけということであつたにもかかわらず、奄美関係のものだけは予算措置も行われ、法律も一緒に出して頂いたというようなことで、今まで恐らく外交面においていろいろな障害があつたのだろうとは思いますけれども、自治庁長官といたしましては、アメリカ側がもういつでも引渡していいという意思を、そういう機運が熟していることを表明したときに、国内においてそういう準備態勢が整つていないために、若しそれが遅れるというようなことがあつてはならないと考えているわけで、従つて今の私の気持としては、この国会において、法律措置・予算措置ができますれば、国内態勢としてはいつでも準備ができた、一日も早く向うから引渡してもらいたいという考え方で、是非又外務省の協力も得て、十一月一日と言つておらんで、できるならば一層早くという考え方で実はやつておるわけであります。併し何にいたしましても、この問題は外交面の折衝によらなければなりませんし、又外務省の今までの説明によりますと、アメリカ側の別な面からも若干困難な面があるようでありますが、多少、今月中ということにはいかんと思いますけれども、私外務大臣からぼんやり聞いたところでは、十二月一日以降になるということは万々あるまいというようなことも聞いておりますので、そういうような面に一層努力をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/74
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075・若木勝藏
○若木勝藏君 今の長官の御答弁は全く復帰の期日がはつきりした答弁にならんと思う。あなたの答弁は、そういうことを予想して態勢を整えるというだけの答弁で、いつその復帰の日が実現するかという現地のかたが聞きたいということには、一向答弁になつておらん。私はそういうことについて閣議で一体相当の見通しがあつて、この準備を整えるところの法案が提案されたものじやないかと思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/75
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076・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) その点は私はそういうふうに了解しておらんのでありまして、私も当初十一月一日というふうに聞いて、それに間に合うように準備ができればと思つておつたのでありますけれども、現地の調査なども遅れ遅れになつて、準備が結局今度の国会ということになつたのでありまして、政府側としては、相手方もあることですから、これだけの日ということをはつきり申上げる段階には今のところないと思いまして、ただ考え方としては、遅れても十二月一日以後にならないように、従つてそれに間に合うように、それには今度の国会にこの法案なり予算が出なければ、今後受入れ態勢が整わないということになつて、又遅れるからという考え方で、今まで措置をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/76
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077・若木勝藏
○若木勝藏君 先ほどの現地のかたの御要望の中に、何か緒方副総理の談話の中に、年を越すのではないかというようなことが考えられるような談話があつたと、それで、そういうことになれば、何か閣議においても、それの裏付けになるような話合もあつたのではないかと私は考える。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/77
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078・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) それは先ほど現地の方々のお話では、官房長官が何かそういうような放送をされたということのようでありますが、私もそういう話は聞いておりませんし、従つて閣議などでも正式にその日取りも、十二月一日よりも延びる危険性があるというような発言は全然どなたからも伺つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/78
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079・加瀬完
○加瀬完君 大臣がおいでになりましたから伺いたいのですけれども、名瀬の市長さんの御説明によりますと、十月の末日を以て奄美群島の予算を打切るという軍命令が出たというお話なんです。ところが先に参りました外務省の小瀧次官のお話では、国務省と国防省との間にまだ事務的な見解の一致が見られないので、十二月一日ということを目途としておるけれども、これは請合い兼ねるという意味の御発言なんです。今大臣のお話によれば、受入態勢を早急に整備しなければ、いつ受入れの期日が示されても困るというので、受入態勢を急いでおるのだ、こういうお話なんです。併し、同じ政府の中でありながら、自治庁が非常に受入態勢を急いでおる、外務省関係は受入態勢の事務的な手続というものは、アメリカの出方を一方的に待つておるというように、非常にそこに遅速の差があると思う。それは若木さんから指摘されたように、少くもこういうことは自治庁の面で働くことも、外務省の働くことも、閣議においての一つの決定というものによつて働かなければおかしなものだと思う。併しこれはどういうような閣議の決定というものがもとになつて、外務省はどういう御態度をとつておられるか、或いは自治庁は大臣が今説明するような方法をとつておられるのか、自治庁の受入態勢のとり方と外務省の受入態勢の事務交渉というものでは、誠にどうも相反するといつていいくらいの遅速の差がある、この点はつきり閣議の決定を御答弁頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/79
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080・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 閣議の決定は、繰返して申上げますように、日についてはないのでありまして、私といたしましては、今申上げたように、いつでも私の立場においては受入れられるという事務的な措置をいたしておるのが今度の法案及び予算の提出であります。併し、外務大臣に対しましては、私も自治庁長官の立場としまして、成るべく早く、今度は予算もでき、法律も通るのだから、早く折衝してもらいたいということは、幾たびかお願いし、外務大臣もそのつもりで折衝して頂いておるように私は承知をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/80
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081・秋山長造
○秋山長造君 ちよつと関連して。今の問題なんですが、非常に延びておるということは我々も非常に不満を持つし、又現地の人はその延びておる事情がわからんだけに余計御不満だろうと思う。折角現地の人がわざわざ見えておるときでもあるし、現地の人としても、ただ現地の事情を述べただけでもつてさようならで帰られるのでは、とても気持が済むまいと思うので、やはりここで政府の責任あるところの、延びておる、なぜ延びておるか、どういう事情だということをやはりお互いに聞きたいと思う。外務大臣に外交折衝をお任せになつておるというあれなんですけれども、併し少なくとも内閣の一員であられる長官のことですから、まあ先ほど次官のお話では、何か軍関係の権利義務の受渡し、その他の極く事務的な理由によつて延びておるのだというお話だつたのです。ところが、今現地の人のお話を聞くと、大体権利も義務も何もない、十人か二十人しか特殊なところにいない。だから権利義務の受渡しも糞もないと思う。だからどういう点がひつかかりになつて延びておるのか、長官のほうで御承知の点があれば、この際承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/81
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082・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) どうも繰返して申上げて、而も余りはつきりした答弁ができないであれですけれども、これも先ほど外務次官が衆議院の委員会に行つて恐らくここでも同じようなことが答弁になつたのじやないかと思うのであります。それ以上については承知をいたしておらんのであります。併し、今南連の局長の話では、通貨関係などの整理の仕方がかなり技術的な問題の検討として残つておるのではないかというような点を申述べておりますので、なお南連の事務局長から補足的に御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/82
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083・石井通則
○政府委員(石井通則君) 十一月一日説につきましては、私どもも特に沖縄、奄美大島方面のニユーズに関しては重大な関心を持つておりまして、絶えず向うの情報の正確な把握をしたいということで努力をして来ておりましたし、又外務省からの情報もいろいろ得ておつて、国内的にも準備をして参つたのでありますが、先ずダレス声明の発せられましてから、大使館におきましても、極東軍司令部等と相談いたしまして、通貨の切換えをどうやつて行くか、或いはガリオア資金その他債権債務の取扱いをどうするかというような、いろいろ諸般の問題を検討して参つたように思われるのであります。その後現地におきまして、十一月一日説というのが出て参りまして、私どもすぐ沖縄の南方連絡事務所に電報を発しまして、その出所等につきまして報告を求めたのでございます。で、十一月一日というのは大体その当時の一応の目標であつて、まだそれによつて決定したものではないということでございまして、そのうちこちらのほうの態勢が遅れますと、これは非常に大変なことだということで準備を進めて参つておる間に、今度まだ十一月一日説が十分消えない間に、外務省から十一月一日説の情報を聞いてみたのでございます。で、これはまあ十一月一日というものを一応目標にしておるけれども、はつきりとはわからない。或いは延びることがあるかも知れんということを聞いたのでございまして、それでまあこちらとしても十一月一日に引継ぎが、法令、予算等の準備ができないが、まあ十二月一日ならできるだろうというような大体の事務上の進行状況を判断いたしまして外務省に通知をいたしますると共に、大使館の情報を探つて頂いたのであります。そのとき十二月一日の復帰を目標として準備することについては異議がないというような内意を承つておるのであります。
このむつかしさということにつきましては、私ども直接の外交関係をやつておりませんのでわかりませんが、例えばB円を回収するのにどちらが一体回収するか、或いは又回収されたB円を如何に処置するか、或いはB円にもらうドルを向うで呉れるものか、或いはそうじやないものか、或いは又ガリオア資金の貸付金に対しましては、日本政府でこれを肩替りしてもらいたいというような、正式ではないかも知れませんが、そういう意向もあつたようでございまして、このガリオア資金をどうして肩替りして行くかというような問題、その他いろいろ債権債務の複雑な問題があつて、これらのことについての検討が、或いはアメリカ側で結論を得ていないのか知らんというような判断もされるわけでございます。これは判断だけでございまして、よくわかりませんが、引継ぎに際しまして、いろいろ私どもが検討した結果によつても、いろいろな諸問題がございます。そういうことで、そのアメリカ側の検討が若干延びておるということではないかと想像いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/83
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084・若木勝藏
○若木勝藏君 今の塚田長官の答弁は非常におかしく思うのですよ。一体十一月一日という一つの考え方が出て、そうして更にそれが十二月の一日とか何とかという線が又出て来ておる。その間に閣議がたびたび開かれておるにかかわらず、一向この問題について取上げられておらないということは、政府は一体この問題に対して熱意があなのかどうか、私はそう考えざるを得ない。いくら所管の事項が外務大臣にあつたとしても、これだけの重大な問題を、屡々開かれるところの閣議において、而も地方行政に関係あるところの自治庁長官が更に関知しないなんということは、政府のいわゆる行政上の積任は私は重大だと思う。そこで今の局長の説明を聞きましたけれども、これはそういう政府のやり方であるとすれば、勢いこれは皆さんに伺つたつて埒のあかんことで、当面の責任者であるところの外務大臣以外には明快な答弁ができない、私はこう考えるのであります。それで私現地の人がたにちよつと聞きたいのですが、この点、名瀬の市長さんに伺いたいのですが、これは駐留軍というか、アメリカ軍の今の施設は奄美群島についてどういうふうになつているか、或いは軍隊がどういうふうに配置されているのか、どういう島にあるのか、そういう点を概略でよろしいですからお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/84
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085・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) 先ほども申しました通り、駐留軍という軍隊はいないのであります。沖永良部島に電波探知機の施設をやつておりますので、そこに大体十名から二十名の技術兵が来ておるという程度であります。そのほかは全然アメリカ軍が軍事的に現在施設を持つているとか、その他使用とかということは、我々現地の者は全く聞いてもおりませんし、見てもおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/85
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086・若木勝藏
○若木勝藏君 そこで今の状態はそのようなんだが、将来どういうふうな施設を奄美群島に要求するかということについては、皆さんのほうでは全くおわかりにならないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/86
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087・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) 海軍が奄美を欲しがつているという噂は聞いております。これは御承知の通り、戦前の日本海軍が基地に使つておりました奄美要塞、大島本島のいわゆる奄美大島という島の南部のほうに要塞を作つておりましたが、そこをアメリカ軍でも何らかの海軍施設にしたいという、まあ病院程度或いは炭水の補給基地程度のよのにしたいと、こういつたような意図を漏したというようなことは聞いておりますけれども、一向それの施設らしいものをしている形跡は今日に至るまでないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/87
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088・若木勝藏
○若木勝藏君 わかりました。もう一つ承わりたいのですが、先ほどの御説の中で、結局今のところではアメリカ軍の人件費くらいのところが組まれておる、こういうふうなことから考えまして、この復帰の期日が遅延した場合に、地方の財政は相当苦しくなつて来ると思うのです。何カ月くらい一体今の状態なら持ち得るかどうかということですね。非常に苦しいような経済状態を私は伺つたんですが、これが十二月が一月になり一月が二月になつたら、私は立つて行かないのじやないかと思うのですが、その点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/88
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089・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) 全くおつしやる通りでございます。政府の出先である奄美地方庁関係或いは学校教職員の俸給は全部琉球政府が持ちます。これは十一月が十二月になつた場合に一カ月、或いは更に来年の二、三月まで延びても、結局今年度の予算が成立しているのですから、来年度六月までこの連中はいいわけですが、町村のいわゆる自治団体更に各事業、産業方面の運転或いは一般の政府事業が打切られま託したために、庶民の金融、そういつたようなものはもう何カ月持つどころじやない、一カ月……一日も持たない、結局窒息状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/89
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090・若木勝藏
○若木勝藏君 石井局長に一つ伺いたい思います。あなたは調査団の一人として現地に行かれたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/90
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091・石井通則
○政府委員(石井通則君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/91
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092・若木勝藏
○若木勝藏君 そこで先ほど名瀬市長んからいろいろ調査団に対するところの感謝の言葉があつたと同時に、どうも遺憾の点も述べられたようでありましたが、そこで現在において現地においては復興計画を立てられておる、国に対しても二十六億を要求している、ところがこれに対して僅かに十億程度である、こういうふうな点から考えまして、あなたは現地復興のために政府の現在におけるところの十億程度の予算が、どういうふうな現地調査の上から考えられるのですか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/92
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093・石井通則
○政府委員(石井通則君) 現地に参りまして現地のほうで復興三カ年計画を立てられましてそれを琉球政府に要求した、その直後にダレス声明が報ぜられた、そこで復興計画につきましても、まあできるだけ私ども聞いて参りました。ただ遺憾な点は、当方から技術関係の人が行つていなかつたこと、それから又現地の計画が或いはその道路なり学校の復旧といつておりましても、具体化していない点が相当ありまして、その意味でこの現地で立てられておりまする復興計画というものは、もう少し実施する場合におきましては、再検討し具体化しなければならんのではなかろうかというような気持ちを持つて帰つたのでございますが、帰りまして関係各省それぞれ予算要求をやつたのでございます。で、予算の要求、並びに査定は大蔵省で行われたのでございまするが、私も従来から奄美大島を所管しており、又これを各省に引継いでもらう立場といたしまして考えますることは、本年度は四カ月でございまして、琉球政府の諸機構、それから継続事業を引継ぐのにつきまして納品三億円程度四カ月でかかるのでありますが、まあこのほかに俸給、給与のベース・アツプ或いは又生活保護費の増額、或いは又緊急に行うべき興復の事業というものが大体六億円見当計上され運営されるのでありまして、これが二十九年度におきましても、こういう程度の経費でやれば非常に困るのではなかろうか、ただ本年度におきましては、その復興計画をなお具体的に調査して、そうして二十九年度から四カ月遅れますけれども、四カ月遅れてももつと具体的に検討した上で、多額の復興計画の経費を計上するということであるならば差支えはないであろうかと思つておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/93
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094・若木勝藏
○若木勝藏君 本年度だけにしても二十六億の要望に対して十億というのは、私は半分にも達しない、そういうふうに考えられるのですが、一体あなたがたの調査は、まあ先ほどのお話もありましたが、技術者も連れて行かん、あれは遺憾である、そういうとこころから見まして、まあどつちかというと完璧でないところの調査に基いて、私は予算を要求されたのではないかと思う。それらに関しまして、これは再び調査団が向うに行つて、いわゆるあなたの言う具体的なところを検討してみるところの意思があるのかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/94
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095・石井通則
○政府委員(石井通則君) この問題に関しましては、総合的に調査団を派遣して調査するということよりも、むしろ例えば学校建築の問題はどういうふうに具体的に計画を立てるか、或いは道路の問題、航路の問題、港湾の開顕、それぞれの所管の専門家が、或いは中央から或いは鹿児島県のそういう担当の方々が行つてお調べ頂ければ、非常に有難いと思つておるような次第でありまして、一緒に総合的に調査するよりも、個々別々の調査を行なつて行くということが適切でないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/95
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096・若木勝藏
○若木勝藏君 今のあなたの計画は非常に結構だと思う。専門的な立場からいつて調査するいうことについては、そういう計画を進められる御意見を持つておるかどうか、その点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/96
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097・石井通則
○政府委員(石井通則君) 本年度の十億の中には、その調査費を大蔵省は予定しておると思つておりますし、私どももそういう具体的の問題については、大蔵省に是非そういう担当者を派遣されるようにお願いしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/97
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098・若木勝藏
○若木勝藏君 今度の調査は、これだけの島の中にどこの点に重点を置かれて現地調査をするのか、或いは他のほうはみんな文書で調査されたのか、この点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/98
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099・石井通則
○政府委員(石井通則君) 今回参りました調査団は、その大部分、各離島まで廻つて調査するという予定でございましたが、台風のためにその計画が実行できませんで、大島の本島と喜界島と徳之島と三島だけを調査して参つたのでございます。特にその当時十一月一日説というのが確定的なものではないということは、勿論我々承知はしておりますけれども、大使館並びに特に現地の空気として十一月一日に復帰が行われるのじやなかろうかというような予測もございましたので、取りあえず復帰に際して処すべき事項について、重点的に調査いたしまして、その後の復興に関しましては、先ほど申上げましたように、技術的な担当官もおりませんし、又この調査をいたしまするにつきましては、一週間、二週間程度の調査では、到底この具体的計画を作るというわけには参りませんので、復興計画は概要を総体に亘りまして聞きまして、具体的な細部の調査はいたして参つていないような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/99
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100・内村清次
○委員長(内村清次君) ちよつと関連しますが、石井局長にお尋ねいたします。先ほど返還の時期につきまして、あなたの口述のうちに、十一月一日からはもうすでに沖繩政府のほうでは予算措置その他は打切つてしまつておるのだ、だからして内地の受入態勢、そういういろいろの事務上の集約をして受入態勢をするまでに十一月一日頃には完成するのだということは、これはあなたのほうから結局奄美大島関係のほうに放送をしておつたのであつて、そしてただ事務上の完了というものが十一月一日まではできなかつた、だからして外務省のほうに聞いてみたら、外務省のほうでは大体十二月の一日頃までには必ず返還の日が来るであろうからというようなことで、あなたのほうにも通知があつたと、こういうようなことで確認してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/100
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101・石井通則
○政府委員(石井通則君) 十一月一日説が出て参りましたのは、私からの放送とか何かではありませんで、私どものほうは現地のほうで新聞その他の情報から十一月一日説が出ておることを知つたわけであります。そこでその十一月一日説というものがどういうところから出たものか、或いはそれが現地において確定しておるものかということを照会いたしたところが、その回答には十一月一日は確定したものじやないという返事を現地から受取つたのであります。なお、私奄美大島から沖縄に渡りまして、沖縄におきまして、沖縄と大島間の諸問題についていろいろ検討をし、又現地の民政官にも会つたのでございますが、この復帰の問題につきましては、現地のアメリカ側には大使館から何ら指令が来ていない、従つてその復帰の問題については君と何ら話合うことはできないのだ、一切中央に任してあるのだと、こういうようなことを聞いたのでありまして、それによつて判断いたしましても、現地の十一月一日の説というものも、その頃は大使館等におきましても、そういう目標を持つておつたのじやなかろうかというような気がいたすのであります。なお、十二月一日に関しましては、私ども日にちについて確報は得ておりませんが、一応準備の目標として十二月一日を以て目標として諸般の準備をして行くことについては異議がないということの大使館からの内意を外務省から聞いておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/101
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102・若木勝藏
○若木勝藏君 関連質問で一つ残つておりましたから。先ほどの現地調査につきまして大体大島を中心にした二、三の島に区切られたと。併し今度のこの復帰問題については、例えば中国地方の二、三県を調査するのとは違う。こういう島がたくさんあるのですから、これについては相当事情を異にしておるところもあると思うので、この点今後の調査は専門的に行うとしても、相当現地調査を主にして、文書によるところの調査というようなことになつたら復興計画にどうもうまくない点があるのじやないか。現に先ほどの、私の聞き違えであればこれは改めますけれども、今度の復興計画の三カ年の予算は、これは琉球政府の予算を対象に作るというように聞き取つたのですが、そうすると、日本政府を対象にして御計画を立てるとなれば、又対象が変つて来るだろうと思う。あの僅小な枠内に抑えられるところの琉球政府の予算とは変つて来る。そういうように非常に今後の資料なりに十分綿密な考えを以て今後の予算を考えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/102
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103・秋山長造
○秋山長造君 只今までのお話を聞いておりますと、自治庁のほうではもういつでも動きはとれるという受入態勢は整えて待つておられるし、現地のほうでももうすでに琉球政府もアメリカ軍も予算を打切つて突つぱねた恰好になつておる。そうすると、結局奄美美大島の皆さんというものは由ぶらりんの形で生殺しのような形で放つて置かれて、そしてそれが日本に復帰できない理由、時期の延びている理由もわからない。で、その理由を我々は聞いてみれば、外務次官は何とか、軍関係の権利義務がどうだこうだ。現地の人に聞いてみれば現地には軍人なんと一人もいない。これはまるで我々は唖然とせざるを得ない。又先ほど南方局長のお話ではそうではなくて、貨幣の何とか、処理の問題とかいう、そういう問題は我々の常識から考えれば、日本側に復帰した後でも外交交渉でも何でもできることだし、まして軍事基地の問題なんか内地にだつて何百という軍事基地があるのだし、そんなことはあとから十分できる。とにかく一日も速かに内地に復帰させなければいけないのですけれども、その肝心なところが依然としてちつともわからない。我々としては、まあ自治庁長官におかれては、やはり外務省を督励して、一層馬力をかけて復帰の時期を早めるために努力して頂きたいと思います。同時に延びておる事情については、やはり外交の責任者としての外務大臣に御出席願つて、はつきりその点を聞かせて頂かなければならない。先ほど外務大臣の出席を要求したわけなんですが、今日はどうしても駄目なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/103
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104・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今回先般のダレス声明によつて、沖縄の、我々の待望の奄美大島群島の復帰が決定され、そうして今回それに関連するところの法律案が提案されたために、我々は、殊に私などは郷里でありますが、遠い鹿児島並びにその先の島の代表者にも来て頂いて、今日現地の方々から真剣且つ詳細なる御意見を承わつたわけでありまするが、今残されておる問題は、いつそれが復帰が実現するかという問題でありまするが、今政府当局等からも説明がありましたが、これは殊に私なども我が郷里でありますから、又その他の方々においても、一瞬も早く我が国に復帰の実現を待望することは勿論であるけれども、今残されておるところの何日に復帰するかという問題は、現政府も従来まで非常なる努力を払つて、今日これが実現せんとしておるのでありまするが、何分にも外交交渉によるものであり、今日は相手のあることでありますから、現在たとえ総理大臣がここに出ても、ここで何日に復帰するということを確約することは不可能だと思います。併しながら今後も我我は一瞬も早く復帰の実現を熱望するものでありますが、この委員会としては、そういう、この法案に関連して皆様がたにおいでを願つて聞いておるのでありまして、今日はこの段階で、まあそれを政府に迫つても、米国という相手があることですから、今日は確約は不可能であると思いますので、今日はこの程度で皆様がたにお諮りを願つて委員長から……。本日はこの程度にして頂きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/104
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105・秋山長造
○秋山長造君 私はちよつとその前に、今のことについて意見がある。私がさつきから聞いておるのは、決して何日に復帰するということを政府に確約させようということを言つた覚えはないので、又そんなことは常識から考えても聞き出すはずはない。そんなことではなくて、現地の人も我々も関心を持ち、そうして一日も速かに復帰したい、又復帰させたいという気持でおるにもかかわらず、ずるずると延びておる。而もそれがどうもアメリカ側と日本の外務省との外交交渉において、何か事情があるらしい。だからその事情を聞かしてもらいたい。これはもう我々としては当然なことなんです。その事情を聞きたいということから、外務大臣の出席を……。次官に来てもらつても、次官はさつきのようないいかげんな答弁をしてどこかに行つてしまうのですから、やはり外務大臣その人に責任のある事情の説明を求めたい。勿論我々としても、一日も速かに復帰してもらうために、外務省を大いに激励するという誠意においては何も人後に落ちない。ただ遅れている理由を我々は聞いた上で、それに対する我々の意見を述べ、対策を考え、又外務省に対する手引のことも考えなければならない。又折角はるばる現地から来ている人だつて、やはり一番お聞きになりたいところは、その点だろうと思う。その意味で外務大臣の出席を要求しておつたのですけれども、遺憾ながら今までのところ出席がない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/105
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106・内村清次
○委員長(内村清次君) お諮りいたします。それで大体先ほどから外務大臣の出席要求につきましては、各委員の方々から強い要望があつておりまして、委員長といたしましても、極力出席方を要求しておつたわけでございますが、只今衆議院のほうの予算委員会で、委員の質疑に外務大臣の要求がされておりまして、まだ終らず、今事務局での報告によりますと、四十分くらいかかりますというような状況でございます。そこでこの時期につきましては、当然この委員会では聞きたい。只今秋山委員のおつしやるのは、折角現地のお方々が参考人として来ておるところの面前で、或いは参考人のほうからも聞き、それから政府の責任者からも聞いて、できれば安心して帰つて頂く、こういうようなお話でございますから、先ほど申上げましたように、大臣の出席があと四十分ばかりしなければ駄目だ、こういうことになつております。それから又参考人のほうでも、この問題はやはり重大でございますから、やはり今日明日とすぐお帰りというわけには行かないのではないだろうかと存じますが、この点につきましては、委員会といたしましては、法案を引受けておりますので、その審議の過程におきましては、当然そういうようないきさつについての審議がなされると思います。そのときに又別途委員の御要求があれば、或いは参考人として来て頂くか、或いは傍聴して頂くかというようなところで取扱をしたならばどうかと、委員長としては考えておりますが、まあそういうようなことでございますから、委員の方々如何いたしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/106
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107・若木勝藏
○若木勝藏君 次の委員会の冒頭に外務大臣が出るように……。(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/107
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108・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは次の委員会の冒頭に、外務大臣及び塚田長官も是非御出席を願いまして審議をするということに取扱いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/108
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109・泉芳朗
○参考人(泉芳朗君) ちよつと現地の者としてお願い申上げたいことがあります。
只今皆様方の熱心なる御討議によりまして、我々現地の者が切実に考えております点を最も力強くお話合い下さいました点、誠に感激に堪えません。私どももおつしやる通り、この復帰がほぼいつ頃であるかと、もうはつきりした日にちまで責任者から承わつて帰りたい気持でございますけれども、それが先ほどからおつしやる通り、いろいろな事情で相手のあることだから、ここではつきりとした日どりは言う段一階に来ておらなくても、大体いつ頃であるか、そうしてどうしてこんなに延びておるのであるかということを主務大臣のほうから承わつて、そうしていろいろと現地の実情などをお聞き願わないと、これはもう我々も島に帰れないのであります。どうぞそういう意味で、この会におきまして、皆様方と共に主務大臣の言葉を我々も是非共開かして頂けますよう、切にお願い申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/109
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110・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは今日は参考人の方々遠路を御苦労様でございました。皆さん方が代表されましたこの奄美大島の同胞のかたがたは、その復帰の日を本当に一日も早くという気持で待つていらつしやいます、その切切たる状況を参考人として陳述して頂きまして、誠にありがとうございました。各委員の方々もこの復帰の早からんようにということに対しては恐らく一致いたしておることだと存じます。ありがとうございました。厚く御礼を申上げます。
ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/110
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111・内村清次
○委員長(内村清次君) 速記を始めて。
それでは本日の委員会は、これを以て散会をいたします。
午後六時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101714720X00219531102/111
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