1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月六日(土曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 上塚 司君
理事 今村 忠助君 理事 福田 篤泰君
理事 野田 卯一君 理事 穗積 七郎君
理事 戸叶 里子君 大橋 忠一君
北 れい吉君 三浦寅之助君
須磨彌吉郎君 上林與市郎君
福田 昌子君 細迫 兼光君
西尾 末廣君
出席政府委員
外務政務次官 小滝 彬君
外務事務官
(大臣官房長) 松井 明君
外務事務官
(条約局長) 下田 武三君
委員外出席者
専 門 員 佐藤 敏人君
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三月五日
在外未帰還同胞の帰還促進等に関する請願(増
田甲子七君紹介)(第三〇一五号)
の審査を本委員会に付託された。
同月三日
抑留同胞の完全救出及び戦犯者の全面釈放に関
する陳情書(第
一三七号)
北海道十勝郡大津村の駐留軍演習地接収反対に
関する陳情書(第
十三七三号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
国際連合総会の定めた条件を受諾して国際司法
裁判所規程の当事国となることについて承認を
求めるの件(条約第六号)
外務省設置法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第六二号)
外交に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/0
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001・上塚司
○上塚委員長 これより会議を開きます。
国際連合総会の定めた条件を受諾して国際司法裁判所規程の当事同となることについて承認を求めるの件を議題といたします。本件に関する質疑を許します。戸叶里子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/1
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002・戸叶里子
○戸叶委員 二点だけ質問したいと思います。日本が国際司法裁判所規程の当事国となつた場合の分担金が、大体どのくらいかということ、それから日本がここに提訴した場合の費用はどうなるのかということの二点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/2
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003・下田武三
○下田政府委員 裁判所の分担金は、これは普通の国でありましたならば、国連の加盟国は当然裁判所規程の当事国となつておるわけでありまして、国連の一般経費の中から裁判所の経費というものがまかなわれておるわけであります。そこで日本が加入したあかつきにおきましては、国連の加盟国で片ないのでありますから、いずれ国連の方で日本に対して公正な分担を定めまして、それを日本が納めなければならなくなるわけでありますが、ただいままでのところ、日本にどれだけのものを分担させるかということにつきましては、何ら決定いたしておりません。日本が当事国になりましたあかつきに納むべき分担金につきましては、ただいま申し上げましたように、毎年定額を分担することになるわけでありますが、もし当事国でなくて、ある問題だけについて裁判所に提訴するという場合には、一時的の分担額をきめまして、それを分担することになるわけであります。日本は、この件について御承認を得ましたならば、国連事務総長に条件受諾の旨を通報いたすわけであります。そうしますと、個々の案件について裁判所に提訴した場合の分担金を払う必要はなく、毎年ある定額の分損金を納める、そういうことになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/3
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004・上塚司
○上塚委員長 ほかに御質疑はありませんか。——ほかに御質問がなければ、これにて本件に関する質疑を終了することといたします。
これより討論に入ります。討論の通告かあります。順次これを許します。福田篤泰君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/4
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005・福田篤泰
○福田(篤)委員 私は自由党を代表しまして、本件に関し賛成の意思を表明せんとするものであります。
理由は、国際紛争を平和的に解決する道がまずこれによつて開かれる。第二は、総会が決定いたしました条件がきわめて妥当なものであると考えます。
以上述べました二点によつて、わが党は賛成の意思を表明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/5
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006・上塚司
○上塚委員長 須磨彌吉郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/6
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007・須磨彌吉郎
○須磨委員 私は改進党を代表いたしまして、国際連合総会の定めた条件を受諾して国際司法裁判所規程の当事国となることについて、賛成の意を表します。
幾多の国際問題がありまするうちには、どうしてもこの国際司法裁判所に訴えることを必要とする案件がすでに発生いたし、今後も発生することがあり得るのでございますから、これらを平和的に解決する最も必要なる方便である、これを理由として賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/7
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008・上塚司
○上塚委員長 戸叶里子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/8
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009・戸叶里子
○戸叶委員 ただいまの案件に、日本社会党を代表して賛意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/9
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010・上塚司
○上塚委員長 穗積七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/10
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011・穗積七郎
○穗積委員 私は日本社会党を代表して、本件に賛成の意を表します。
最近世界の情勢は、ますます平和的方法によつて国際紛争の解決の方向に進みつつあります。ところが現吉田政府の態度は、ややともいたしますと、力の外交の必要を国民に訴えているような傾きがございますが、この際三裁判所規程の当事国として参加するとによりまして、ますます平和的方法によつて、国際問題を解決する信念を固められまして、ここで道が開かれたわけでありますから、この道を十分に活用される意思をますます強固にしていただきたいという希望を付しまして、賛意を表する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/11
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012・上塚司
○上塚委員長 これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。国際連合総会の定めた条件を受諾して国際司法裁判所規程の当事国となることについて承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/12
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013・上塚司
○上塚委員長 御異議なしと認めます。よつて本件は承認すべきものと決しました。
なお本件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/13
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014・上塚司
○上塚委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/14
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015・上塚司
○上塚委員長 次に外務省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本件に関する質疑を許します。戸叶里子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/15
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016・戸叶里子
○戸叶委員 日本は国際連合に加盟を望んでおりますけれども、まだその加盟が許されず、今回ここに国連に加盟できないでも、日本国の政府代表を置くようになりましたことは、当然必要だと思うのであります。そこでこの特命全権大使として送られる代表者はすでにもうだれかきめられてあるかどうかを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/16
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017・小滝彬
○小滝政府委員 現に沢田廉三大使がニユーヨークに出張駐在いたしまして、日本を代表してオブザーヴアーとして今会合に出席し、また過般も後進国経済技術援助拡大計画の会議には副議長も勤めておるというような関係もございますので、引続き沢田大使を任命する意向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/17
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018・戸叶里子
○戸叶委員 今回の改正にあたつては、スタツフを大体何人くらいお置きになろうとするか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/18
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019・小滝彬
○小滝政府委員 国際連合総会のオブザーヴアーとしての仕事のみならず、いろいろな連絡関係もございますし、また今申しましたような委員会とか、あるいは国際児童基金とか、あるいはパレスチナ調停委員会とか、あるいは韓国復興に関する計画とかいうようなものにも関係しておりますので、大体七名をもつて代表部を構成する予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/19
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020・戸叶里子
○戸叶委員 人選はもうきめられておありになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/20
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021・小滝彬
○小滝政府委員 事実上今そこに出張駐在しておるのが六名ございますので、人選はほとんど確定しておるといつてさしつかえないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/21
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022・戸叶里子
○戸叶委員 七名のうち大体六名きめられておありになるようですが、いろいろ婦人に関する問題もございますけれども、どなたか一人くらい婦人を採用する御意思はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/22
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023・小滝彬
○小滝政府委員 山根という婦人の官補がおりまして、婦人を代表せられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/23
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024・戸叶里子
○戸叶委員 日本が、国連外務に正式加盟国となりましてからの代表者と、それから今回のような形の代表者との国連においての身分上の差異が何かあるかどうかを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/24
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025・小滝彬
○小滝政府委員 外交官の特権につきましては、たしかアメリカのパブリツク・ローというので、普通の外交官並、また国連に加盟している国の代表と同じ取扱いを受けることになつております。
それからスタツフは今後ふえるかどうかという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/25
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026・戸叶里子
○戸叶委員 いや、そうじやないのです。日本が国連の正式加盟国になつたときに、国連に出て行つた日本の代表の方の地位と、それから今のような形においての代表の地位と、何かその間に差異があるかどうかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/26
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027・松井明
○松井(明)政府委員 国連加盟国の場合の特権と非加盟国の場合の特権とはかわりがございます、非加盟国の場合には、ただいま政務次官の言つたアメリカのパブリツク・ローに基いて特権を得ているという形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/27
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028・戸叶里子
○戸叶委員 そうすると、その具体的な内容について教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/28
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029・小滝彬
○小滝政府委員 実際上特権については差異はございません。ただ、国連の代表として出ます場合は、国連の本部と米国政府との間におけるとりきめによつて、その特権が認められているという法律上の差があるだけでありまして、事実上特権そのものには差異はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/29
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030・戸叶里子
○戸叶委員 在外公館の一部設置法のことについて伺つてもよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/30
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031・上塚司
○上塚委員長 けつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/31
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032・戸叶里子
○戸叶委員 今日本の国からいろいろな国に在外公館が設立されておりますが、ヨーロツパ、アメリカあるいは東南アジア地域とそれぞれ国によつて異なるとは思いますが、在外公館で現在最も困難であると思われるようなものはどういうような点があるでしようか。経済上の問題あるいは業務上の問題等でいろいろあると思いますが、東南アジア地域にはこういうふうな問題、あるいはヨーロツパ、アメリカは、こういうふうな問題というふうに、大体わけてお考えになつて、最も困難だと思われるような問題について御指摘願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/32
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033・小滝彬
○小滝政府委員 御質問の趣旨がはつきりわかりませんけれども、在外公館に関しての困難というようにいえば、いろいろ生活条件や何かのことではないかと思いますが、たとえば東南アジアについて在外公館として非常に困つておる点は、宿舎がなくて非常に執務上にも支障を来しておるという例も少くないのであります。従いまして、インドでは昨年大使の公館をつくり、今度も予算をお願いいたしまして事務所を建てるように計画をいたしております、また一例をインドネシアにとりますならば、インドネシアに行つているある官補のごときは、車庫を宿舎にしておるというような状態でありまして、日本政府として何か宿舎の施設を設けなければ生活も非常に愉快でないし、事務の能率にもさしつかえるというような問題がございます。また他の地域につきましても、例をアルゼンチンにとりますれば、宿舎が非常に高くて困る、アパートヘ入るのには相当高額な権利金を払わなければ入れないというような状態でありますが、外務省俸給金では、赴任したときにそう大きな額のものを支給されるわけではなしに、平均に毎月幾らというふうにきまつておりますので、赴任した場合などはたいへん困るという関係がございますし、また婦人でありますならば、日本人はいろいろ服装も異なつておりますし、外交団のいろいろな会合とかなんとかいうような場合に出ましても、日本の生活程度を反映いたしまして、婦人は婦人としてのいろいろ悩みもあるようであります。もう少し具体的な御質問があれば、それに対して御答弁いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/33
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034・戸叶里子
○戸叶委員 今主として在外公館で今日直面しておりますところの困難な問題として経済的な面があげられました。そしてその中でも宿舎の問題があげられ、その中に一点例を引かれまして、インドの大使館の例をお引きになりました。私どもがインドに参りましたときも、ちようど大使館の設置のための土地を約束し、また事務所を設置するというふうなお話でございましたが、インドだけの例をとりましてもお話にありましたように、あちらに勤める方々の宿舎が非常に問題になつていたようでございます。このインドの大使館の事務所を設置した場合に、同時にその予算の中に大使の公舎だけではなく、ほかのそこに勤める人たちの住宅の問題なども考えられたかどうか、この点を承りたいと思います。大使の公舎ももちろん必要でございますけれども、末端に働かれる方々の宿舎というものに対しての考え方が、どこにもあまり見受けられないように思いますが、ただいまインドの例をお引きになりまして、私もインドで働いておる方方からいろいろお聞きしたのですが、今回の予算の中に、インドの大使館のための事務所を設置するその中に、ほかの館員の人たちの住宅のための予算も含まれておるかどうかも承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/34
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035・小滝彬
○小滝政府委員 内部的な折衝をここで率直に申し上げますならば、外務省としては一般館員の宿舎についても、考慮してもらうように大蔵省と折衝したのであります。しかし今日の緊縮予算上やむを得ず一般館員の宿舎というものは、今年度には計上しておりません。しかし何としても国家を代表しておるのは大使でありまして、他の者が階級が下だからほうつておくというのではなしに、代表者として、いろいろ公的な交際もありますので、まず大使の官邸を建築することになつております。今後もああいう非常に暑い所でありますし、また事実非常に宿舎がないので、そうした面は大蔵省ともよく話し合いまして、できるだけのことはいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/35
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036・戸叶里子
○戸叶委員 私は大使の公舎をないがしろにしてもいいというのではございません。大使の公舎はもちろん必要でございますけれども、そこで働く人たちの住宅、ことにああいうふうに気候の悪い所で、インド、あるいはビルマ、インドネシアといつた所には、今後とも御考慮してほしいということを希望する次第でございます。
もう二点伺いたいことは、日本の国内で日本人が名誉領事になつてほしいというふうに依頼された例があるかどうか、また現在なつておりますか、どうですか。それをお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/36
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037・小滝彬
○小滝政府委員 相当数日本で名誉領事をしておる人がございます。タイ国名誉領事は、たとえば乾君が大阪でいたしております。今数を調べさせておりますから、後ほどお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/37
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038・戸叶里子
○戸叶委員 調べておられる間にもう一点伺いたいのですが、名誉領事の外交上の特権が何かあるのでしようか、その点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/38
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039・小滝彬
○小滝政府委員 普通の本任の領事と違いまして、これは実業家などがなる場合が多いために、領事館などに国際慣習として与えられる特権である家屋、事務所の不可侵権というものは認められない。ただ文書、公の通信の不可侵という特権は認められております。また普通の本任の領事でありますならば、非常に重い罪以外の場合におきましては、接受しておる国すなわち駐在しておる国の刑事裁判権からの免除というような特権もございますけれども、名誉領事であればその国の市民でありますから、そうした特権がないということ。もう一つは、所得税とか物品税、市町村民税等の免除特権も、普通の領事でありますならばございますけれども、名誉領事であつたらそういう特権がない、こういうような相違がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/39
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040・戸叶里子
○戸叶委員 先ほどの質問がおわかりになりませんでしたら、あとでお示し願えばけつこうでございます、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/40
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041・小滝彬
○小滝政府委員 現在日本にはボリヴイア、ベルギー、デンマーク、エクアドル、ギリシア、ホンデユラス、オランダ、ノールウエー、スペイン、スウエーデン、スイス、タイ、この十二箇国が二十五名の名誉領事を任命しておりまして、その勤務地は、東京、大阪、神戸、横浜、名古屋、福岡等であります。しかしこのうちどれだけが日本人であるか、はつきりした数字を今持つておりませんので、その点は後刻調べさせてお知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/41
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042・上塚司
○上塚委員長 ほかに御質疑はございませんか。——外務省設置法等の一部を改正する法律案につきましては、御質疑もあまりありませんようですから、次会に討論採決を行うことといたしたいと存じます。さよう御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/42
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043・上塚司
○上塚委員長 次に外交に関する件について政府当局に質疑を行うことといたします。福田篤泰君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/43
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044・福田篤泰
○福田(篤)委員 当面の外交問題につきまして二、三お尋ね申し上げたいと思います。
まず第一にMSAの問題でありますが、これは御承知の通り、本委員会においてかつて昨年の夏あたりに、外務大臣がMSA調印の時期は九月ごろであると言われた。これは記録にも載つておりますが、それ以来すでに半年も経過しております。こういう重大な外交案件の調印の時期の判断につきまして、日本の外交史上としては珍しいほどの見当違いをしておる。これは見通しが甘いのか、あるいは不測の条件、要件が突発したためになつたのか、過去のことは、くどく申しませんが、少くとも日本の政治経済の性格を決定するところの大きな協定の調印の時期につきましては、外務省はもうはつきりした見通しを今日はすでに持たれておると思いますが、それについて明確な調印の時期をあらためてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/44
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045・小滝彬
○小滝政府委員 仰せの通り、昨年の秋にはMSA協定の調印を了したいというふうに考えておりましたし、米国側もそのように期待しておりましたが、ただ条文だけを出しても、その内容にどういうものが供与されるかということがはうきりしなければ、御審議の都合も悪いであろうし、そうしたやり方をすることが国民に内容を十分知らせるゆえんであるというように考えまして、MSA協定に基いて日本が供与を受ける内容の検討に入りましたため、自然日本の予算とかあるいは日本の独自の防衛計画に即応したものをもらわなければならないという関係で、この審議が長引いて非常に遅れたことは遺憾に存じます。今回いよく最終段階に近づきまして、実は昨日にでもこれを了したい希望のもとに双方で主張いたしまして、大体重要点は全部合意が成立したのでありますけれども、新聞でも報道されております行政費に関するような点で、意見が十分完全に一致しなかつたため、実は今朝もまたそうした話合いをしておる次第でございます。しかしこれは非常に小さな問題でありまして、うまく行けば本日の午後でもと考えておりましたが、またそういう約束をして、それが実際上遅れるということになりますと、外務省としても、いつもから約束をするようにも響きますので、大体今ここで申し上げ得ることは、月曜になれば——八日になれば今度こそ間違いなく調印の運びに至るであろう、突発事件の起らぬ限り、そういうようになるであろうということを期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/45
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046・福田篤泰
○福田(篤)委員 次に先般日本の国内にも相当大きな反響を呼びましたわが国の巡視船「さど」に対する不法射撃事件であります。これは国際慣例からいつても、国際法の法的立場から申しましても、だれが見ても李承晩政権のきわめて不法なる射撃であり、拿捕であります。これは昔から一つの国際間においての重大な紛争の種にもなり、公船に対する不法射撃あるいは拿捕は、過去の歴史におきましても、戦争開始の原因にもなつた実例があるのでありまして、重大な問題であります。日本が占領下であるならばいざ知らず、独立をかち得た今日におきまして、このような他国による重大な侮辱を与えられたことは、われわれとしても、この処置につきまして、政府に対しましてもとうていなまぬるい態度では見ておられないのであります。これについてはたして李承晩政権から正式の陳謝の意を表して来たかどうか、またわが外務省におきまして、正式に文書——これは重大な問題でありますから、おそらく口頭でないと思いますが、文書をもつて在日金公使あるいはその他正当なる機関に、厳重な抗議を申し込まれたかどうか、並びにこれに伴う損害賠償の要求権を留保されたかどうか。ただ返したからそのままほつておくというようなことは、長いものに巻かれろ、結局力の強いやつにはどんな無理をされても泣き寝入りをするというような、きわめて卑屈な国民感情を植えつけてしまいますので、本件は重大な問題であります。李承晩ラインもまだほとんど解決の見込みがつかない今日におきまして、こういう明瞭なる不法行為に対しまして、独立国として日本の外交当局がとられた処置、並びに相手国の、加害国の李承晩政権のそれに対する回答その他の処置につきまして、御回答をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/46
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047・小滝彬
○小滝政府委員 海上保安庁の巡視船が向うへ連れて行かれたという報かありました当日、さつそく午前中奥村次官が金公使を招致いたしまして、厳重な抗議をし、すみやかに船を返還すると同時に、今後こうした事件が再発しないような十分な措置をとるように申しつけ、かつまた損害賠償を請求する権利を留保する旨を申し渡したのであります、その結果、また同時に友好国の方であつせんをした関係もあつたかとも思いますが、韓国側におきましても、即日日本側へ返還するという措置をとつたわけであります。しかしまだ陳謝の意思表示というものはございません。この事件の起りました当日も、衆議院の予算委員会で私から申し上げました通り、外務省といたしましては、ただ口頭で申し述べるのみならず、文書でもつて厳重な抗議をするということを申し述べたのでありますが、船及び乗組員の返還につきましては、即座に先方が当方の申入れを聞き入れたので、このあとに出すところの外務省の抗議は、もう少し捕えられたときの状況及びそのときにおける船舶の位置というものを詳細に調査した上で、その調査の結果に基いてする方がより有効であろうと考えましたので、そうした面を今日までいろいろ調査し、すでに先方に対して陳謝を要求し、またこうした事件が再発することを防止するのに万全の措置を講ずべきこと、及び日本側としては損害賠償要求の権利はまだこれを留保するものであるという趣旨の申入書も作成いたしておるのでありまして、これは近日中に韓国側に手交する手はずになつておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/47
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048・福田篤泰
○福田(篤)委員 一部の新聞報道によりますと、アリソン大使から岡崎外務大臣または吉田総理に対しまして、もしアメリカヘ来られるならば四月が好都合であるという申入れがあつたと伝えられております。これによつて吉田総理の訪米ないしヨーロツパ行きは四月になるのではないかと報ぜられておりますが、これに対する真相を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/48
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049・小滝彬
○小滝政府委員 総理はできるだけ早い機会に、機会か生じたら海外に出かけたいという希望を持つておられるようでありますが、それが四月になるか五月になるか、その点は全然まだ決定していないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/49
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050・福田篤泰
○福田(篤)委員 この前の委員会で御答弁いただきました問題についてもう一言お伺いいたします。それはイランとの問題でありますが、米と石油の問題についてのその後の交渉過程並びに見通しをもう一度伺いない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/50
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051・小滝彬
○小滝政府委員 イラン政府が手持ちしている米を買いつけてもらいない、もしこれを買いつけないならば、日本とイラン間の通商関係というものは、非常に困難な場面に立ち至るであろうというような、非常に厳重な申入れを先方から受けまして、日本側といたしましても、イランとの今後の国交関係を親密にし、またあの市場を確保し、相互の通商関係を増進するために、国内の関係官庁すなわち大蔵省とかあるいは農林省ともいろいろ話合いをいたしましてようやく数日前、約二万三千トンばかりのイラン米を買いつけるということを決定して、先方へ申し入れましなところ、先方はこれに対して満足の意を表しておるようであります。御承知のように黄変米のまじつたものは日本では食用に供せられないというような困難がありますし、向うへ調査員として農林省の係官を派遣した結果によりましても、手持ち三万トンのうち大部分は黄変米で、一万三千トンといたしましても、おそらくそれ全部を配給に供することはできないので、この米は工業用に使用しなければならないというようにも考えております。またでき得れば他の米と入れかえるというような操作も、実は外務省としては今考慮中でございます。こういうように米の問題が一応最低の線で片づいたかつこうになりましたので、先方で、これまで問題になつておつたプラントの建設についても、いよいよ本式に考慮するということになりまして、先方の総理大臣もこれにはま気のようであります。そこで日本といたしましては、この際に、今後アヴエイラブルになるであろうところの石油も、日本の買入れ品目としてこれを考慮に入れて、イランとの間に貿易とりきめをつくろうということを考えまして、この案はもうすでにイランにある公使館の方へ通報いたしてあります。石油も今後でき得れば、イランの処理し得る石油の量のうち、できるだけ多くの量を日本としては買いつけたいという意向も表明いたしております。幸いにして英米のカルテル側とイランとの間にはだんだん話も進んでおるようでありますし、この石油の貿易も近いうちに開始し得るような段階に至るであろうということを私ども期待いたしまして、せつかく交渉を継続しておる次第でございます。
それからついでに戸叶さんのお尋ねの、日本人で外国の名誉領事をいたしておる人数をお答えいたしますならば、それは全部で八名でございます。エクアドル及びタイ、この両国の名誉領事に八人の日本人が任命されておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/51
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052・福田篤泰
○福田(篤)委員 重大なイランとの経済問題について、詳細な御答弁をいただきましたが、問題は、今お話のありましたような国際カルテルのもとに日本が市場を独占的に支配せられる、アウト・サイダーのイランの安い石油を入れるということが、国家的に見てもどうしても必要である。そのお話はまことにけつこうでありまして、同感の意を表しますが、大体今のお話の過程で何トンくらいイラン油の輸入をお見込みになつておりますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/52
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053・小滝彬
○小滝政府委員 現在英米側とイラン側との間に話合いが進んでおりまして、新聞の報ずるところによれば、イランは大体総生産量の五%なり一〇%を自由に販売し得る量として、確保するであろうというように言われておりますが、しかしこの点にはまだはつきりした話合いに至つていないようでありますので、どれだけアヴエイラブルであるかということはわからないわけであります。また日本としてはかりにそれを全部買いましても、決して多過ぎるということはないのでありますから、日本としてはそのフリー・オイルをできるだけ多量に買いたいという希望を持つております。しかしイラン側といたしましても従来の市場関係もございますので、日本へだけ売るということを、はたして引受けてくれるかどうか、ドイツとかイタリアとかいう関係もございますので、その辺ははつきりいたしません。しかし日本としてはできるだけ多く買おう、イラン側がデイスポーズし得る石油については、できるだけ多く買いつけたいという意思を持つている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/53
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054・上塚司
○上塚委員長 大橋忠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/54
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055・大橋忠一
○大橋(忠)委員 魚の問題でちよつとお尋ねいたしますが、新聞によると、濠州は飛行機をもつて海面を監視いたしまして、そうして日本の漁船が近海でまぐろをとつておるのを、何か国際条約に違反しやせぬかということで、調べておるというニユースが出ているのであります。それがほんとうかどうかはわかりませんが、そういうふうに、どうも濠州との間の交渉が、かみしもを着てあまり形ばかりやつてかど立つて来る。朝鮮の近海でも、このごろ飛行機でもつて李承晩ラインの中を監視して、厳重に取締るということが新聞には出ておる。朝鮮の方はむちやくちやなことを言うから話にならぬかもしれぬけれども、私は濠州の問題なんかでも、何か表向き国際司法裁判所に訴えることはけつこうなことでありますが、同時に向うの業者とこちらの業者を結びつけて、なるたけ協力して利益を分配するというような方向に進んで空気をやわらげる必要がある。しかも日本においてそういうことをやるに適当な人が、外務省関係の中にもおることを私は知つておるのであります。そういう現実的、実際的にこの問題を解決するというような方向に向つて何か手を打つておられるかどうか、そのことをちょつと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/55
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056・小滝彬
○小滝政府委員 まず最初にお話になりました濠州が飛行機を使つて公海における漁業を監視しておるということでありますが、私の承知しておりますところでは、濠州の方は大陸だなに対する濠州の権利を主張しておるのでおりまして、今後真珠貝採取を日本の真珠貝採取業者に暫定的に認めてこれをやらせるにしても、これの監視については、飛行機を使う用意があるということを言つておるような報道を私は見たことがございます。でありますから、ほかのまぐろの問題などにそういう問題があることは存じませんが、しかし最近は漁業に関しましては飛行機が非常に使われますので、南氷洋における捕鯨についても飛行機を非常に利用しようという傾向になつております。しかしこういうように対立的にいがみ合つておつてはおもしろくないのじやないか、それより業者間の協定でもつくつたらいいのじやないかという御趣旨と解釈いたしますが、この点につきましては、実は韓国との間にも業者間で話合いをするという問題はございまして、日本の業者の代表者三人の力が釜山まで行かれまして、李承晩大統領に会われたこともございます。でありますから、こうした面を全然等閑視しておるのではなしに、そうした協力方法もあるのでありますから、これも一方において話合いができて、そうして日本と韓国との間の話合いのもとにやる、両国政府の間にも合意でもつてこれをやるということについては、決してこれか排除するものではないのでありまして、ことにまたアラフラ海の問題にいたしましても、これまで日本人の漁師で濠州側に雇われて来たような者もありますので、そうした話合いの余地が全然ないわけではない。従つて政府もこれを排除するものではございません。しかし現在におきましては、日本としてこういう不当な、国際法に反するような措置を濠州側がとつているのに対しては、あくまでそういう一方的な措置によつて強制されるのではなくしで、双方で話合いをして、そうして日本もある程度まで自制するし、向うも日本の立場を考慮してとりきめをつくるという考えで、相当しんぼう強く話を続けて来たわけであります。しかしどうしても話合いがつかないで、そうして突然一方的にああいう真珠貝採取法を実施するようになり、また大陸だなの宣言をするということになりましたために、司法裁判所に訴えざるを得ないということになつたわけであります。しかし同時にこの問題を解決いたしますならば、また先方で話合いをしようという気持で出て参りますならば、業者間の話合いということは非常にけつこうなことでありまして、これに対しては必要な限り、またでき得る限りの協力をするということは、十分考えなければならないところだろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/56
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057・大橋忠一
○大橋(忠)委員 むろん表面法律的に、外交的に争うということはもう当然のことであり、けつこうなことでありますが、しかしこれと全然別個に、同時に私が今言つた業者が向うに行つて、そうして向うで協力するというよりな共体策を進めて行く。これをやるとかえつて法律的な立場が弱くなるというものではない、法律は法律、実際は実際、二本建で行つた方かよくはないか。かりにそういうような実際上の協定、話合いがついたとても、別にこちらの法律的立場が弱まるわけではない。それは国際裁判所の裁判、その判定に従つて両国ともやつて行けばいい。一方においてはやはりそういう実際的の内面から、裏面からずつと空気をやわらげる。あまりかど立つて来ると、大陸だなだけならいいが、今申しましたようにすでにはるか公海、大陸だなに関係ないところまで出て、そうして日本の船でまぐろの漁業をやつているものまで法律に違反しておるというようなことが、たしかメルボルン、シドニーでもあつたということが実は外務省からいただいた電報の中にあつた。そういうようにかど立つて来ると、どこまでも李承晩ライン式になる、そしてさらに日本の連合艦隊をつくるということに対しても、新聞によると、どういうチヤンネルを通してか知らないが、何か向うから異議を申し立てて来た。そうしてそれがために連合艦隊をやめて、ただ普通の艦隊にしたというようなことが新聞に出ておるのでありますが、どうも新聞などによると、日濠の間の空が非常に尖鋭化して、かど立つて来ている。それは、形の上の争いだけにとどめて、実際的に内面的の緩和手段をあまり講じないことから来ているのではないか。そこで私は実際問題として、法律で争うのとは別に、実際的方面の業者間の連絡をやつたらどうか、こういうふうに思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/57
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058・小滝彬
○小滝政府委員 日濠の関係は非常に重要でありますので、そうした一方の法律問題を離れて、双方の関係をよくして行くように努力して行かなければならないということは、お説の通りでございます。幸いにして今度の係争問題も、お互いに特別合意書をつくつて、それによつて話合いの上で、裁判にかけるということになつておりますし、また裁判が決定する声でには、暫定的な措置でもつて日本の真珠貝採取業も事実上実行できるようにしようというふうに向うも出ておりますし、従いまして、全然話合いをしないで、けんか腰で双方がかかつておるわけでもございませんから、今大橋さんの仰せのような点は、十分考慮いたしまして措置いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/58
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059・上塚司
○上塚委員長 穗積七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/59
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060・穗積七郎
○穗積委員 最初にちよつと委員長にお尋ねいたしますが、このごろ外務大臣がこの委員会に出席が非常に悪い。いろいろな理由に出席されまして出席しないようですが、やがてMSAその他重要な問題がこの委員会で討議されようとするやさきに、こういうような状態では、われわれ誠意を持つて政府提案の諸条約案その他について討議することができないのです。きようとても、この間から私は要求いたしまして、ぜひ出られるということであつたのですが、どういうわけでいまだに出られないのか、委員長において御存じでございますか、ふるいはまた委員部の方から外務大臣に出席方を要求されなかつたのかどうか、ちょつとお尋ねいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/60
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061・上塚司
○上塚委員長 ただいま穗積君からの委員長に対する質問に対しましては、外務大臣の出席を要求いたしておきましたが、きようは午前中宮中に行かれて、それからただちに参議院の方に出席いたしておられるので、こちらの方に出席ができたいということでした。できるだけ御希望の趣旨に沿うように今後外務大臣の出席を促すことにしますから、さよう御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/61
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062・穗積七郎
○穗積委員 きょうはおそらくは皇后の誕生日ということで宮中に行かれたのかと思いますが、必ずしも全部の閣僚が初めからしまいまでおつき合いしたくてもよろしいので、祝意を表せられて、政務多端のゆえをもつて引下られてもけつこうなのでございますから、少し委員会としては、委員長を通じまして、大した理由でないことを理由にされて欠席されることをいたく戒めていただきたいことを希望いたしておきます。政務次官からもよろしくどうぞ大臣にお取次を願いたいと思います。
そこで大臣にかわつて小滝次官にお尋ねいたします。先ほど、MSAの調印はあさつては大体間違いなくやるということですが、これはこの前も私ちよつと意見を申し述べましたが、現吉田内閣は、汚職、涜職事件でもつて国民の心はすでに去つております。おそらくは近く政変すら予想されるようなどろ沼の中に引込まれて行くだろうと思うのですが、そういう内閣か、この国の外交並びに経済、さらに国民生活に決定的な影響のありますMSAの調印をすることは、はなはだ不適当でもあり王すし、政治的な道義上もいささか欠くるところもあろうと存じますので、そこでしばらく政情につきまして静観されて、しかる後に態度をきめられてしかるべきだと思うので、従つてあさつての調印はひとまず延期さるべきだとわれわれは思います。このことはわれわれは党にとらわれているのではなくて、国民的な常識から当然なことだと思いますので、次官からひとつ御所感を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/62
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063・小滝彬
○小滝政府委員 政府の態度につきましては、すでに予算委員会でも再三総理、副総理から申し述べている通りでございます。今新聞紙上では汚職とか涜職というようか問題も出ておりますが、これは今現に検察庁で調べていることであつて、政府としては十分自信を付つているわけでありまして、できるだけ早い機会にMSAの調印を了したい、従つて明後日はぜひこれを実行いたしたいということを考えてておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/63
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064・穗積七郎
○穗積委員 法律上の責任の有無は、もとより、起訴されまして裁判の決定を待たなければならないと思いますが、私の言うのは政治的な責任でございます。われわれの聞き及ぶところでは、すでに国民もすべてそういう判断をいたしておりますが、現在の汚職、疑獄事件というものにつきましては、すでに閣内のみならず、政府の機関の幹部からも出ておるのでありまして、そういう政治的な責任問題を私は言うておるのでありますので、あくまで御一考を煩わしたいと思うのでおります。そのことを外務大臣並びに総理にもお伝えいただきたいと思います。
ついででございますから、もう一点、先ほど福田委員からお話が出ましたから、私所感を申し述べて次官の御意見を伺いたいのですが、吉田総理の外遊問題でございます。これは四月または五月ということが伝えられて、今次官は必ずしも時期は確定いたしておらないというお答えでごさいましたが、外遊については否定をされていたいわけでございます。これは政治情勢が非常にノーマルに進んでおりまして、しかも国会が休会になりました後におきまして、適当な時期を選んで外遊されることは、これは一々われわれがくちばしをさしはさむことではございませんが、先ほども申しましたように、今吉田内閣を取巻きます政治情勢並びに人心は、はなはだ不安定でございます。そういう中で、席をむなしゆうされましてアメリカその他へ行かれて、しかも客観的に見ますならば倒れかかつた吉田内閣に対しまして、アメリカの力その他を借りてバックアツプするような政治的意図すら見られるのでありますが、そういうことはわれわれとしては、はなはだ好ましくないと思うのです。そこであなたにそのことをとりやめるかどうかということをお尋ねすることは、いささか的違いかと思いますので、きようは大臣かおられないのははなはだ遺憾の点を表しまして、同様そのことを大臣並びに総理にもう一ぺん、われわれの意見としてお取次、御忠言がいただきたいと思いますが、次官の御所見はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/64
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065・小滝彬
○小滝政府委員 穗積さんは、もう内閣は倒れかかつているという御所見のようでありますけれども、私どもはそういうことは全然考えていません。また総理は外遊をする希望を持つておるようだと申し上げただけでありまして、それは確定しているとも何とも申し上げません。いつ行かれるかわからないのに、今おつしゃいますような仮定のもとで議論をいたしましても、これは始まらないのでありまして、もつと具体化した際に、穗積さんからもう一度お取上げになつたらけつこうだろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/65
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066・穗積七郎
○穗積委員 それからもう一つお尋ねいたしたいのは、この前私次官に申し上げて、次官は大臣ともよく打合せをして返事をするというお答えをいただきました。それは四月二十六日からジユネーヴで、中共を含む五箇国の会議が開かれるわけでございまして、これにはアジア問題を討議するということで、アジア関係諸国もすでに招請されておるようでございます。そこでこれには正式参加でなくとも、オブザーヴアーでもけつこうでございますが、いやしくもアジアの治安あるいは政治方針等に重要な関係のあります、この会議に対しましては、日本は当然少くともオブザーヴアーとして参加の意思表示をされて、そうしてアジアの平利の確保あるいは経済の発展のために、みずからの方針をあらゆる機会を通じて意思表示すべきだと私は思うのです。そういう趣旨で、この前私の所見を申し述べて政府のお考えを伺つたわけですが、それに対して次官は、一応よく打合せの上であらためて返事をするということでございましたが、争の後お打合せをいただいたかどうか、そうしてどういうふうな御意見であるか、もう一度お尋ねいたします。すでに時期はだんだん迫つて参りまして、あまり日を遷延いたしておることを許さない情勢だと思いますので、この際お伺いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/66
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067・小滝彬
○小滝政府委員 私は打合せてから返事をするというような、見識のないことを申し上げたとは思いませんが、速記録を調べまして、もしそういうことを言つたとすれば、私はそれは取消します。私が申し上げましたのは、また少くとも私が申し上げようとした趣旨は、日本は今招請される立場にもないし、招請する国は四箇国あるし、そこへ出て行くのは、国家として承認されたわけではないのだが中世が出て、大韓民国、北鮮の人民共和国、そういうもの、またあの戦闘に加わつた諸国の中で、参加を希望するものが招かれて行くのである。しかしこの会議は決して日本に関係のないことでもない。一衣帯水の間にある朝鮮のことであるから、われわれは十分これを注視しなければならない。そうして必要な連絡も、日本のこれまで協力して来たところの国連諸国と十分いたしましよう。しかしこれは東亜の経済問題などが論議されるのではなしに、直接の問題は、朝鮮で現実に戦つた跡始末をする会議であつて、撤兵などに関する点が多いのであるから、日本は今すぐこれに参加するという意思は持つていない。しかしかりに将来情勢の変化なり、あるいは計画に変更があつて、極東の問題について重大なる審議が行われるというようになれば、また日本としては考え直す機会もあるかもしれないけれども、現在の段階においては参加することを考えておりませんということを、申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/67
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068・穗積七郎
○穗積委員 私は今のお答えをはなはだ遺憾といたします。いやしくも小滝さんは事務次官ではなくて、政務次竹でございます。大臣にいたしましても政務次官にいたしましても、特に外交の大局に立つて国の外交方針を決定しなければならぬ立場に立つておるわけでありますが、そういう力から今申されましたように、朝鮮問題を中心とするジユネーヴ会談は、撒兵その他の事務的または手続上の問題が主であるというような、まことにあさはかな御意見を伺いまして、私は驚くのでございます。言うまでもなく、前のベルリン会談の持つております重大な意味というものは、英仏の努力によりまして、遂にアメリカが我を折つて、国際会議に正式に中共を招請する。そこで中共の政権を承認しないとは言つておりますが、そんな言葉の上のことはどうでもよろしいので、アジア問題を討議するには、中共政権と話をしなければ解決がつかないというところまで、アメリカは来ておるわけなのです。従つてそのことが、ベルリン会談の最も重要な問題でございました。もう一点は、国連の会議に付託されました軍縮問題でございます。従つてそれに続きますジユネーヴ会談というものは、アジア問題におきまして、中共がここで一段とその国際的な地位を高めることは言うまでもありません。従つて今後アジアの諸問題を討議し、具体的に解決するためには、中共政権の存在を否定してこれを相手にしたいという態度では、とうてい処理できないという事実が、もつとはつきりして来ると思うのです。そのことはすでにアメリカも認めておる。ですから中共の承認問題というのは、もう必至の問題であつて、時間の問題にすぎないというふうにわれわれは判断をいたします。さらにもう一点重要なことは、アジアの朝鮮またはインドシナ問題が、今度のジユネーヴ会談の一回だけでは完全に解決をすることは考えられませんが、しかしながらアジア問題につきましても、おそらくその会議の結果は、話合いのうちにすべて国際紛争は解決して行く曙光を、アジアのすべての人々に与えるのであろう、そういう見通しを立てることができます。従つて特に外交政策の場合におきましては、一つの見通しに立つて、そうして大きな方針をきめて行かなければならないのでありまして、ジユネーヴ会談の持つております国際政治的な意味というものは、単に朝鮮の撤兵手続の事務上の交渉の問題ではございません。そういうふうに私ども考えますならば、おそらくは中共政権を遂にアメリカも承認して、国際社会におきまして、アジアの問題について中共をのけてはもうすでに話合いはできない、アジアの経済を考える場合にも、中共を相手として話をして行かなければならないという段階に至るでございましよう。しかもそれが欧州のみならず、さらにアジアにおきましても、平和的に国際紛争が解決し、しかもあげて軍備を縮小して、国内の平和経済の樹立の方向へ内外の政策をとるようになりますならば、おそらくは日本はこのジユネーヴ会談をきつかけとして、アジア問題に発言をし、または何らかの意思表示をしておきませんと、アメリカにすらすでに立ち遅れてしまいまして、そうしてアジアの孤児どころか、世界の経済の孤児となることをわれわれは憂えるのでございます。そういう観点に立つて、アメリカがお招きがたいから出たいとか、お招きがあれば出て行つてもいいのだが、ないから出ないのだというような、そういう弱い気持でなしに、みずからアジアの問題については自主的な判断をもつて——この際絶好の機会でございます。日本は独立したと言いますけれども、独立した後に日本の外交が最初に明らかにすべきものに、アジアに対する方針であると私は思うのです。ところがその問題に対しては、いまだかつて吉田内閣は、一番大事な、すなわち敗戦後日本の外交方針として、すべての人々が期待しておるアジア問題に対する外交方針が、さらに打出されておりません。このことは日本の外交の致命的な欠陥であると思いますが、たまたま今度のジユネーヴ会談で、今申しましたような見通しにわれわれが立ちますならば、当然日本政府はこの際アジアにおける有数なる独立国として、しかも自主的な外交権を持つておる国でありますならば、アメリカの思惑がどうであろうが、お招きがなかろうが、この際みずからの意思によりまして、少くともオブザーヴアーとしてこれに出席して、意見を述べる。もしそれが四箇国によつて拒否されたといたしますならば、拒否されたらされていいのであつて、されたという事実がわれわれにとつてプラスになります。そうしてそれでありますならば、会議に出席してオブザーヴアーとして意見を申し述べる、あるいはまた方針を発表する、そういう機会を会議においてはうえられなくても、それを機会といたしまして、この際百尺竿頭一歩をでて、アジアに対する方針を政府の声明として発表すベきである、私はそういう観点に立ちますので、事務上がどうだというような、そういうこまかい事務次官のお答えのようなものでなくて、いやしくも政務次官の職責におられるのでございますから、どういう観点に立つてこれに出席しないことの方が、日本のために有利であると判断されておるのか、その積極的な理由を伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/68
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069・小滝彬
○小滝政府委員 今度のゼネヴア会談で、今穗積さんがおつしやるように、いろいろな問題を解決して平和的な空気かだんだん出て来るというようになれば、これはまことにけつこうなことでありまして、そうなることをわれわれも熱望してやまないところであります。しかし先ほど、米国の思惑で日本がこれに参加するとか、あるいはオブザーヴアーを出すことを遠慮しているのではないかというお説でありましたけれども、決してそういうわけではなくして、今度の会議が少くとも内容的にそうした問題を含んだものであるからして、日本としては今ただちにこれに参加する必要はない、日本は国連側の諸国とはすでに緊密なる関係にあるのでありまして、これらの国で特にあそこへ出兵して戦つた国が、国連諸国を代表して話合いをするものであり市して、日本が今入つてただちに何らかの効果を上げるということは期待できないのみならず、過般のヨーロッパ会議において、インド問題というものが非常に紛糾したというような点から見ましても、あるいはむしろ、はたにいてこれを監視して適当に連絡することの方が、かえつてこの会議を早く円満に開かせるゆえんになるかとも考えられます、以上のようか考えでありまして、今ただちにこれに参加するというようなことは、私どもの方では考えておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/69
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070・穗積七郎
○穗積委員 しかしながら朝鮮問題は、今度のMSAに関連をいたしております。おそらくはアメリカの兵隊どもの考えておるのは、朝鮮問題どころか、インドシナ、台湾問題に対しまして、万一局地戦争がまたありといたしますならば、日本の兵隊を出そうという考え方を持つておることは、もう歴然たるものでございまして、そういうふうに日本は、朝鮮問題なり何なり、特に朝鮮問題以来、こういう再軍備問題に対する要請が強くなり、さらにまた日本の方針をそういうふうに持つて行こうとしておられるわけですから、従つてこれは重大なる関連があると思うのです。単に国連軍のおつき合いで、ほんのそこらの飾り物の兵隊をちよつと出したというような各国とは、その利害関係の大きさは問題にならない。従つてこの朝鮮問題がどうなるのか、そのことはやがて中共政権が認められるか、られないか、またはアジアの貿易をどういうふうにするのかということに重大な関連が出て来ます。具体的に議題となつて貿易の問題まで討議されないといたしましても、必ずジユネーヴ会談の結果はそのことに影響すると思う。きようは私はこれ以上問答いたしませんが、次官にもう一点だけお願いいたしたいのは、きようは先ほど言う通り大臣がおられません。ですけれども私はここであきらめないで、もう一ぺん大臣にお尋ねしたい。大臣でわからなければ、総理にも意見を聞いてもらいたいと思いますので、ひとまず次官から大臣にわれわれの要望する趣旨を、お伝えいただきたいと思いますが、お伝えいただけますかどうか、この際お尋ねいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/70
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071・小滝彬
○小滝政府委員 穗積さんの御商説のほどはよく伝えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/71
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072・穗積七郎
○穗積委員 それではちょつと具体的な問題について次官にお尋ねいたします。
それは沢聞いたしますと、ウラジオストツクその他にありますソ連の船舶の老朽したもの、または破損したもの等を、日本のドツクにおいて修理することを最近申し込んでおる事実がございますかどうか。そしてまたある造船会社においてすでにその発注を受けているものがあるかどうか。事情がわかりましたら明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/72
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073・小滝彬
○小滝政府委員 ソ連の船舶修理の問題はいろいろな商社が取上げて、ひつぱりだこのようにこれに関与することを希望している事実はございます。しかし数日前に笠戸で直しました船は出帆したはずでありますが、あの二船以外に新しい契約が確定したものはまだないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/73
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074・穗積七郎
○穗積委員 今まで修理の行われましたのは、トン数はどのくらいの船で、そしてドツクはどこでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/74
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075・小滝彬
○小滝政府委員 参考資料を持つて来ておりませんので、後ほどお答えすることにしますが、笠戸ともう一つは何とかいう島であります。この両箇所でやりましたのは相当のトン数の船であります。今度も十数名乗つて帰つたようでありますが、詳細は後ほどお知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/75
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076・穗積七郎
○穗積委員 そのほかに修理または建造の申入れがございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/76
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077・小滝彬
○小滝政府委員 そういう申入れは外務省へするのではなくて、商売人の人がやるわけでありますし、問題は通産省へ行くわけでありますから、そのように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/77
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078・穗積七郎
○穗積委員 しかしながら相手がソ連でございますので、外務省はもとより造船その他のことにつきましては、直接の所管省ではないとは思いますが、当然外務省におきましても、そのことに関係し、または情報を正確にとらなければならない問題だと思うのですが、それは一体どこでやつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/78
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079・小滝彬
○小滝政府委員 そういう問題は経済局で取扱つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/79
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080・穗積七郎
○穗積委員 経済局のお役人の方はお見えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/80
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081・小滝彬
○小滝政府委員 本日そういう質問が出ようとも思いませんでしたので、来ておりませんが、しかしそういう個々のことは、あらかじめ質問でも出ていないと、資料もなしに不正確なことを申し上げますと、かえつて、誤解を招くような場合もございますから、あらかじめお知らせ願えば資料を持つて参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/81
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082・穗積七郎
○穗積委員 それでは、お尋ねすることすべてがわからなければわからないでけつこうですから、あらためて、この際お願いしておきますが、ようわかるだけお伺いしますと、その二隻の修理に対しまして、見返りは物でやつておるわけですか、どういうふうにやつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/82
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083・小滝彬
○小滝政府委員 樺太炭で、バーターのようになりましたけれども、石炭の質が悪くて、実は買つた方が非常に困り、いろいろこれには技術的に困難な問題を生じたことを、私よく承知いたしております。大体向うから給付されるものは、最近は材木のことを非常にみんなわいわい言つておりますが、この両船に関する限り粘結炭であつたということを私記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/83
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084・穗積七郎
○穗積委員 これはお調べにかつていただくわけですし、今度は通産省と外務省経済局の方に来ていただいてお話を伺おうと思いますが、外務省の方針についてだけちよつと関連してお伺いしておきます。もしこういう発注がありました場合には、外務省としては、もとよりこれを喜んで歓迎されるわけでございましようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/84
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085・小滝彬
○小滝政府委員 外務省は、日ソの間に通商関係がだんだん増進せられるということには、反対のものではございません。但し民主主義国家諸国の間には互いに協力関係がございますので、明らかに戦略物資であるというようなものは、この民主主義国家群の話合いによりまして、出すことを自制するということになつておりますので、戦略物資などでない限りは、双方の貿易を促進するのに異議があるものではなくして、むしろ東西貿易というものが盛んになることが、結局平和をだんだん招来するのに一つの助けになるだろうという見解におきましては、イギリスなども述べておる通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/85
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086・穗積七郎
○穗積委員 その場合貨物船、油送船等の新造または修理の発注に対しましてはどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/86
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087・小滝彬
○小滝政府委員 これはそのトン数とか、いろいろ船の用途というようなことによつて違うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/87
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088・穗積七郎
○穗積委員 それらのこまかい基準につきましては、今度あらためてお尋ねいたします。時間か大分過ぎまして、まだ他に質問者もおありになるようですから、きようはこれで割愛いたします。
最後に一点、もう一ぺんお尋ねいたしますが、旅券法のことでございます。先般私がお尋ねいたしましたら、二月末ごろには出したいというような御意向でございましたので、さつそく提出されるであろうと予測されます外務省の修正案なるものを、おそらく私の見たものはそれに間違いないと思いますが、これ拝見いたしますと、驚くべき鎖国令のような旅券法改悪になつておるのです。実はわれわれとしては、こういうものをお出しいただいても、賛成するわけには行かないわけでございます。のみならず、いろいろ貿易関係に限を開いておられます良識のある議員の方でありますならば、自由党または改進党の保守党に籍を置いておられる方々も、私の知れる範囲では、ほとんどすべて反対をしておられるのみならず、また貿易業界の方々、さらに新聞その他報道関係の方々も、こういうような旅券法の根本精神に反するような、非常な制約をつけたような改正案に対しましては、賛成の意を表しておられないわけでございまして、おそらくはそういう意図は、政府御当局にもすでに何らかの形で多少反映しておると思うのです。そこでお尋ねいたしますが、二月末には出したいという御意向でありましたが、それが延びておる理由、それから第二にお尋ねいたしたいのは、心を入れかえられまして、こういう鎖国令はもう出すのはやめるというつもりで延ばしておられるのか。また心を入れかえないで、すきがあつたら何とか出したいという御所存でございますか、この際あらためてお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/88
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089・小滝彬
○小滝政府委員 二月末ごろには出す手はずになるだろうというふうに期待しておりましたが、いろいろまだ事務的にも整備しなければならない点もございまして、延びております。しかし、かりに出すようになりましても、決して鎖国令に類するようなものを出す意思はございません。穂積さんのおつしやいました点は、私はよく記憶しておりまして、今後善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/89
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090・上塚司
○上塚委員長 戸叶里子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/90
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091・戸叶里子
○戸叶委員 私はMSAのことで一点伺いたいのですが、それに先だちまして、近くジユネーヴで開催されますアジアの平和会議に対する日本の態度について、先ほど政務次官がおつしやいましたことに、まことに不満の意を表するものでございます。と申しますのは、現岡崎外務大臣も幾たびか、アジアの問題に対しては重大な関心を払い、アジアの問題は日本が積極的にいろいろと取組まなければいけないというお考えをお持ちになつており、そうしてまた朝鮮との問題も早く解決しなければならないと言つて、非常にいろいろな問題があるにもかかわらず、それに対して何ら積極的な手を打たれようとしておりません。ことに今回のジユネーヴの平和会議などに出席するということは、そういつた問題の解決にあたつて一大促進をなし得るものであるにもかかわらず、手をこまねいておられるという態度に対しましては、私どもはまことに了解に苦しむものでございます。この前の前の、約二週間ほど前の外務委員会で、私もこの問題について質問いたしましたところが、岡崎外務大臣のお答えは、初めからおしまいまで招かれざる客になることはいやですというお答えでございました。小滝政務次官の方は、もう少し——いくらかそれに興味を持つていられるのかとも思いましたが、私がもしも国会の総意でだれか代表を出すことにきまつたらどうするかと申し上げましたらば、そのときには考えてみましようと、多少の余地を残された御答弁をされております。ところが幸いにいたしまして、この委員会の福田委員、自由党でいらつしやいますけれども、この問題には賛成していらつしゃるように私は了承いたしております。それは福田さんが先ごろの委員会におきましても、積極的に発言するような代表者を出すべきだという意見を出されておりました点から見ましても、そうだと思います。そこで私は自由党の方々も、しかも外交に通じていらつしやる福田さんがそうおつしやるのですから、当然これは日本から代表を出すべきだと思いますので、どうかもう一度岡崎外務大臣とお話合いの上、もう時日も迫つておりますから、一日も早く、その招かれざる客などに固執しないで、積極的にアジアの問題ととつ組む態度をお示しになつていただきたいということをまず要望いたします。
そこでMSA協定の問題でございますが、先ほどの福田委員のご質問に対して小滝政務次官は、なぜ署名が遅れていたかというようなことの理由の一つに、顧問団の行政費の問題を取上げられまして、これは大したことではないとおつしやつてられますけれども、私どもといたしましては、どうもこの行政費の点がはつきりしないのでございます。そこでまず伺いたいことは、アメリカの顧問団一人について大体日本でどの程度の負担をすると見積つて、予算を組んでいられるかを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/91
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092・小滝彬
○小滝政府委員 御承知のように、この顧問団の数は漸減せしめる方針であります。でありますから漸減すればだんだんその費用も減ることになりますが、一人に対して幾らというような計算ではなしに、いろいろ必要な経費を計算いたしまして、総額これだけということに到達したのであります。米国側では一時相当な額を予定いたしておつたようでありますけれども、日本側で日本としての立場を主張いたしました結果、大体三億五千五百万円程度になるであろうと私は期待いたしておりますが、これも条約に明記せられるだろうと考えます。従いましてこれを年通じて平均四百人とすれば、四百で割ればパー・ヘツドの費用が出るということになる、こういうように御了解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/92
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093・戸叶里子
○戸叶委員 そしてこれは防衛分担金の施設費から出るわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/93
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094・小滝彬
○小滝政府委員 これは外務省の主管するところではございませんけれども、私ともの了解するところでは、一部は防衛分損金の方から出してもさしつかえないという大蔵省の見解のようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/94
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095・戸叶里子
○戸叶委員 この三億五千五百万円の中には、日本が提供しようとしております事務所や住宅、そういつたものの費用も含れているわけでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/95
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096・小滝彬
○小滝政府委員 これはこの協定案を提出いたしましたときに御審議願いたいと思いますが、このほかに特定の施設は現物として提供することになるだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/96
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097・戸叶里子
○戸叶委員 そうしますと、結局顧問団の行政費として三億五千五百万円では済まない、もつとほかに日本で分担しなければならないというものがそこに出て来るわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/97
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098・小滝彬
○小滝政府委員 施設の一部で向うの必要とするようなものについては、この金額で見積つたもの以外になりますが、これは大した費用には上らないように私了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/98
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099・戸叶里子
○戸叶委員 たしか電気ガス税なども無税になると思いますが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/99
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100・小滝彬
○小滝政府委員 この顧問団の人は三段階にわかれておりまして、上の方が大体外交官として上位に属するもの、その下の方が下級の外交官並、そしてその残りが大使館の使用人程度のような三段階にわかれることになつておりますが、これらはそれに相当する外交官と同じような特権を享有するということになつておりますので、これらの税の点についても外交官並の待遇を受けることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/100
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101・戸叶里子
○戸叶委員 そうしますと、そういうものが免税になつた場合に、地方税に与える影響というものも大きくなつて参ります。そこで三億五千五百万円を四百人の数で割つただけが、この一人の費用ということは言えないのではないか。施設なりあるいはほかのものでまかなわなければなりませんので、それで割つたものが一人の費用ということは言えないと思いますか、その点をもう一度伺いたい。
それからもう一点、そういうふうに三億五千五百万円以外の予算というものはどこから出されようとしておりますか、その点をもう一度伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/101
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102・小滝彬
○小滝政府委員 お説の通り、厳絡にいえば、三億五千五百万円プラス・アルフアということになるわけであります。今提供します施設などにつきまして、それは防衛分担金だけでなしに、保安庁の方の施設を利用するというような場合がありますので、私の承知いたしますところでは、保安庁の方の施設というようなものが利用せられるという意味において、保安庁費に食い込む部面も出て来るだろうというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/102
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103・戸叶里子
○戸叶委員 それではこの三億五千何がしプラス・アルフアということになつて、保安庁の方から費用が出るというふうに了承いたしました。
次に、この顧問団の人たちと日本側との間に、何か意見の相違が出た場合には、どこで調整をとるのでしようか。たとえば日米行政協定の場合におきましては、日米合同委員会でいろいろな問題が取上げられでおりますが、顧問団の場合にも日米合同委員会で話が取上げられるものかどうか、その点承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/103
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104・小滝彬
○小滝政府委員 私どもは、これが日米合同委員会の議にかけるような性質の問題を起すであろうということは予期いたしておりません。顧問団はあくまで顧問団でありまして、新兵器の使用方法を教えるとか、あるいはそれに関連する訓練を行うとか、あるいは日本の必要とする情報を提供するというような役目を持つているのでありまして、日本の保安隊なり自衛隊というようなものに対する指揮権は日本側にあるわけでありますから、顧問としていろいろ注意を与えるという立場にありますために、そうした意見の相違によつてどこかが対立したものが裁判的な問題を発生せしめるというような場合と全然性質が異なるわけでございます。でありますから、そうした問題は全然ないものであろうというように期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/104
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105・戸叶里子
○戸叶委員 ないと期待をなさいましても、あるいは起きるような場合もあるのではないかと私には考えられます。ことに与えられた武器の使用の過程におきましても、これからいろいろな意見が出て来ると思います。こういうところがまずいからこういうふうにしたらいいとか、いろいろ申しました場合に、どうしても日本の方が従属的な立場に置かれているので、何でも従わなければならないというふうなことに追い込められることを私は非常におそれるものでございます。またその他保安庁法の改正によりまして、アメリカの駐留兵と日本の自衛隊とが共同作戦をした場合等のいろいろな問題につきましても、私は質問をしたいと思いますが、きょうは時間もございませんので、この次大臣がお見えになつたときにいたしたいと思いますから、この点を留保いたしまして、私の質疑を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/105
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106・上塚司
○上塚委員長 細迫兼光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/106
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107・細迫兼光
○細迫委員 お伺いいたしますが、最近新聞紙の伝えるところによりますれば、巡視艇か何か海上保安庁の船が韓国との間のいろいろな問題に刺激せられた結果と思いますが、武装をするという情報が見えるのであります。これは従来の李承晩のやり方から見ますと、ずいぶん理不尽なことをやつて来るだろうと思う。これに対しまして、こちらの船が武装しますれば、必ずやそのうち撃ち合いを始めるような事態が生ずることを私は断言してはばからないと思うのであります。これは単に海上保安庁の問題ではありません。国交に関する。重要な問題になつて参りますが、このことについて、外務省に何か交渉がありましたでしようか、あつたとすれば、どういう武装をするか、その内容についでお知りのことがありましたならば、御説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/107
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108・小滝彬
○小滝政府委員 この巡視船の武装については、日本にそういう火器がございませんので、米国側から譲り受けるということになりまして、もう大体原則的な話合いは了しているはずであります。海上保安庁におきましても、できるだけすみやかに機銃とかあるいは小さな砲というものを備えつけるようにしようというので、その基礎工事はもうすでに終了いたしたようであります。ただ現実にはまだそれが備えつけに至つておらないようでありますけれども、その譲り受けるという関係におきまして、外務省を通じて話合いが行われた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/108
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109・細迫兼光
○細迫委員 その武器の内容はたとえば何ミリの砲であるとか、そういうような内容についでは御存じございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/109
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110・小滝彬
○小滝政府委員 本委員会においてすでに海上保安庁の長官からお答えいたしておりますか、私自身は今全部記憶いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/110
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111・細迫兼光
○細迫委員 これは双方武装することに相なりますと、必ず撃ち合いが始まることが、大きな蓋然性として見通しせられるのであります。この撃ち合いがしかもただ海上の局部で終ればまだいいのでありますが、その武装しましてわが方の漁船を保護するとか、あるいは先方の不法行為を制限し抑制するということの目的を達しようとしますと、必ず奥深く相手方の基地へも攻め込まなくてはならないというような事態になることは、これは軍事方面の常識であります。すなわち攻撃こそは最もよき防御であるということになりまして、その不法を行う相手方の船を出先において少々たたいたつて徹底しない。必ずその基地を殲滅しなくちやならぬということに相なることに火を見るよりも明らかで、これは国交上重大な結果を及ぼして来ることと私は確信いたすのであります。このことにつきまして外務省としまして打合せ交渉を受けられたとしますならば、それに対して外務省は了承を与えあるいは積極的に慫慂せられるというようなことであつたのかどうか。外務省としてはいかなる一点見をこれについて持たれたか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/111
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112・小滝彬
○小滝政府委員 国民の生命財産を保護するということは、これは政府の当然の義務でありまして、その意味において保護措置強化しようということでありますから、こういうことに対して直接外務省は交渉を受けておりません。しかし今おつしやいましたように基地に飛び込むだけの攻撃力なんか持つたものではございません。そういう趣旨のものでもないし、事実今度武装すると申しましても、ほんの巡視船の一部しか武装ができない、これが今の計画でありまして、決してそういう心配はないと存じます。今の話を聞いておりますと、もう日本は何をされても言いなりになれということをお勧めになつたように思いますけれども、とにかく公海に出ている漁船に対しても最小限の保護を与えるということは必要であろうと思います。そうして武器というものは、これは決してそれを使うのが能であるのではなくて、これは警戒のためでありまして、もし、どうしてもそのような武器を使わなければならないという場合がかりにありとすれば、それは正当防衛の場合と緊急避難の場合、やむを得ない場合武器を使わなければなりませんが、その二つの場合以外は、そうした武器というものは使われないであろうというように私は考えたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/112
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113・細迫兼光
○細迫委員 次官は私の意見の中から、何をせられても言いなりになつている方がいいというような意見だとくみとられたようでありますが、私は次官のお言葉の中から、向うの出方によつては敵対打ち合いをする、そしてそこまでやつても保護しなくちやならぬというお考えをくみとらざるを得ないのであります。これがまことに重大なのでありまして、現実のあの漁船拿捕あるいは船員の抑留というような問題にいたしましても、実際の漁民あるいはその家族の要望というものは、早く拿捕された漁船を返してもらいたい、抑留された人たちを早く帰してもらいたいということ、あの海上において平穏なる漁業が継続せられるようにしてもらいたいということ、大体この三つに要約することができると思うのでありますが、今それらの巡視艇の武装、あるいはアメリカから武装した船を借りるというような、ことをいたしまして、これは正当防衛とか緊急避難とか申されますが、とにかく撃ち合いの場面が生ずるということを予期しない限り、必要ではない事柄なのでありまして、必ずそのことを予期せられているものだと思うのでありますが、はたしてこれら具体的次要求を解決するためにそれが何の役に立つか。役に立たないどころではなくして、かえつてその目的達成を阻害するゆえんであると私は思うのであります。すなわち武装した船をもつて拿捕せられた漁船をとりに行くつもりなのか。はたしてそれでとつて帰れるか。あるいは抑留された人たちを、その収容されている監獄まで武装した船をもつてとりに行くつもりなのか。それではたして元気な婆で船員、漁夫たちを連れ、帰ることができるか。とんでもない話である。いわんやあの大砲のたまの撃ち合いせられる、下でもつて安穏な漁業が遂行できるか。とんでもない話である。これはただ観念上向うがむちやをする、こちらに武装がないからそれでやられるんだ、大いに武装をし威嚇をして、あるいはときには保護の名のもとに、正当防衛の名のもとに、緊急避難の名のもとに、撃ち合いをしてでもこれを保護しなければならぬという、単純な非常に原始的な対抗的な精神からの抽象論でありまして、具体的には何らの役に立たないどころではなくして、かえつて事をこんがらかせ、漁民あるいは家族の具体的な要望をかえつて阻害する方法にすぎないのであります。これは非常に重要なことであり、しばしば言葉を繰返しますが、国交上は非常に重要なことに発展して行く危険性があるものであります。これらのことを考慮しまして外務省としては、それらの海上保安庁方面からの打合せその他に対しまして、大きな国交上の立場からして、そういうことははなはだ危険だという御意見が発表せられてしかるべきものだと思うのでありますが、そういうお考えはございませんでしようか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/113
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114・小滝彬
○小滝政府委員 巡視船が武装せられたということは、何も日韓間の問題を根本的に解決する上に役に立てんがために武装するという意味ではございません。もちろん漁船の出漁が非常に危険であるというときには、武装した巡視船をこれにつけて行く場合もありましようし、また密輸の取締まりも必要であり、また日本の水域の警戒というようなものにも、ある程度武装した巡視船が必要であるという見地から、これを武装しようとするものであります。でありますから、これでもつておつかけて行つて、武力でもつて取返そうというようなことを考えているのではなくて、そういう事態が起らないように未然に防ぐための措置であります。もちろんこれはやむを得ざるの措置でありまして、根本的には、双方の話合いによつて、こういう事態が起らないようにしなければなりませんが、現在の韓国側の態度におきましては、今まで交渉したけれども、なかなかうまく行かない。でありますから最小限出たものを保護して、つかまつて行くというようなことがないよう未然に防ごうという趣旨のものでありますから、その点どうぞ誤解のないようにお願いいたします。
それから穗積さんが御質問になりました点、二隻修理を了しましたが、まだあとに修理中のものが二隻あるそうであります。尾道の方にありますアドミラルセニヤーリンとかいうのは四千百二十四トンだそうです。それからセブザプレスとかいうのが三千九百七十四トン、それからまだ修理中のもので、先ほど申しました笠戸にありますのがペトロザボツトスクこれが三千五百トン、それからコルイマというのが二千五百十トンだそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/114
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115・細迫兼光
○細迫委員 次官は、私の質問に対しまして顧みて他を言つておられるのでありますが、しかしお言葉の印からも、大体海上保安庁方面からの判合せあるいはその他の交渉において、外務省はあえてその武装に反対はしなかつた、反対する意思はないという御意思であるとくみとつてさしつかえないかと思うのでありますが、この将来大きな危険性のあることにつきましては、もつと慎重審議なさる必要があると思うのです。非常に軽く扱つておられるように思う。外務省におきましてはただ正当防衛の場合、緊急避難の場合などとおつしやいます。また今のお言葉では、あたかも海賊の跳梁を鎮圧するものだというような意味にもとれるように、事を軽く軽く表現なさろうとしておられると思われるのでありますが、これは言葉の上のごまかしだと、思うのです。実際においては、そういうことを予期はしておられない。現在の韓国とのいろいろないざこざにおきまして、こらえこらえておつたけれども、ちょいとここでどすを一本ぶち込まなくちやというようなお考えに立脚しておるに違いはないのであります。しかるに李承晩があの精神をもつて韓国の政権を握つております間、あの李承晩の生づめが再びはえかわつて来るまでは、必ずや不法なことをやつて来るに違いない、それは繰返される、こういう見通が私は正しいと思う。これは攻撃のために言つておるのでも何んでもありません。やはり政治家は見通しであります。なまぬるい見通しはあやまちでありまして、李承晩の根本的な態度はここにある。必ずや将来いざこざがひんぴんと再現せられると思うのでありまして、志ならずもこの武装したわが方の船が深入りするというようなことが必ず起つて来る。しかし李承晩はそれに負けてはいない。必ず積極的にやつて参ります。大事が起ることを私は断言してはばからないのであります。もう少し慎重に将来の国交、国運に関する大きな問題だということを御認識の上、御対処あらんことを要望いたしまして、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/115
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116・小滝彬
○小滝政府委員 どうも今の御質問で誤解があるのじやないかと思うのです。というのは、もしそういうふうに大いに向うをやろうとする気があるのだつたら、海上警備隊というものがあるのですから、それを使えばいい。だがしかしなぜ海上保安庁の巡視船にある程度の武装をしなければならないかといえば、よその国でもこういう海上警備の武装した船を持つているし、世界がほんとうに理想通り行つていれば、そんなものはいらないし、またそういう密輸をするような者がないというのならいざ知らずそういう保護、警戒の必要があるのでやるのでありまして、今おつしやるような趣旨なら、何もあの海上保安庁のよちよち歩く船を武装する必要はありません。警備隊をまわすということにすればいい。しかしそういう意思がないので、私か申し上げましたような趣旨で、武装されるものだということを、もう一度御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/116
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117・上塚司
○上塚委員長 今村忠助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/117
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118・今村忠助
○今村委員 動議を提出しておきたいのですが、それは外交一般質問の一環でもあります移民の問題を、次会に取上げてもらいたい。これには経済外交と移民外交の調和という点では、外務大臣のほか通産大臣並びに食糧を輸入する責任者として食糧庁長官ですか、その当局の人、それから戦時中に凍結された在外資金のことについては特に大蔵大臣並びに大蔵省の関係者を、ことにブラジルにあります七億とかいう厖大な政府資金、これがいいかげんに扱われておる。これは大問題だと思う。これがどういうように扱われつつあるか、これを明らかにしたいと思う。MSAの問題が提案になる前に、ひとつこれらに対する審議の機会を与えてもらいたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/118
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119・上塚司
○上塚委員長 ただいま今村君の御発言の移民に関する委員会を開いてもらいたいという動議に対しましては、最近のうちに理事会を開催いたしまして、協議の上決定いたしたいと思いますから、さよう御了承を願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十九分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101903968X01319540306/119
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