1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月二十九日(月曜日)
午前十一時四十二分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 内海 安吉君 理事 瀬戸山三男君
理事 田中 角榮君 理事 佐藤虎次郎君
理事 中島 茂喜君 理事 志村 茂治君
理事 細野三千雄君
逢澤 寛君 岡村利右衞門君
仲川房次郎君 堀川 恭平君
松崎 朝治君 村瀬 宣親君
安平 鹿一君 三鍋 義三君
出席政府委員
大蔵政務次官 植木庚子郎君
大蔵事務官
(主計局次長) 原 純夫君
建設政務次官 南 好雄君
建設事務官
(大臣官房長) 石破 二朗君
建 設 技 官
(道路局長) 富樫 凱一君
委員外の出席者
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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三月二十九日
委員有田二郎君辞任につき、その補欠として堀
川恭平君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十五日
河川法改正に関する請願(原茂君紹介)(第三
九七七号)
同(萩元たけ子君紹介)(第三九七八号)
同(中澤茂一君紹介)(第四〇三九号)
小山田迫水系改修工事促進に関する請願(小山
倉之助君紹介)(第四〇三八号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十六日
都市計画法及び同施行令改正に関する陳情書
(第二四五九号)
河川法改正に関する陳情書
(第二四六〇号)
同(第二四六
一号)
昭和二十八年水害による復旧事業資金の融資及
びこれに対する利子補給に関する陳情書
(第二四六二号)
過年度災害復旧促進に関する陳情書
(第二四六
三号)
住宅建設資金の融資緩和に関する陳情書
(第二四六四号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出第八六号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。村瀬宣親君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/1
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002・村瀬宣親
○村瀬委員 大蔵政務次官にお尋ねいたしたいのでございますが、問題になつておりまする道路整備費の財源等に関する法律案につきまして、その成立の経過その他、何ゆえにかような特異の法律を議員立法で衆参両院が満場一致可決せねばならなかつたかという理由については、大蔵政務次官においても、十分御承知のことと存ずるのであります。しかるにその道路整備に関する臨時措置法が、何ゆえに実施第一年目にあたりまして、すでに基本線をくずさねばならなかつたかという点につきましても、これまた多くの説明を省略いたします。そこでお伺いいたすのでありますが、この問題については、何といつてもりくつが通りません。いろいろとその間に苦しい御説明もあつたのでありますが、結局において大蔵省、自治庁、建設省の三政務次官の申合せというものがあつたはずでありますが、その申合せの第一点から第六点まで、大蔵政務次官は現在なおこれが生きておる、これに基いて処理されるものであるというお考えであるかどうかを、まずお伺いたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/2
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003・植木庚子郎
○植木政府委員 仰せの通りと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/3
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004・村瀬宣親
○村瀬委員 非常に簡潔な御答弁でありますが、それでけつこうであります。そこで念を押しておきたいと思いますのは、第六点であります。第六点にはこういうふうに植木政務次官もお申し合せになつておる。「揮発油譲与祝を二十九年度限りの税といたしますれば、三十年度以降地方財政に欠陥を生ずるわけでありますから、二十九年度限りの法律とする以上は、三十年度以降の地方財源の補填について、交付税において所得税、法人税、酒税から交付税に入れる率を多くする、そういう方法をとるか、その他何らかの方法において、三十年度以降における地方財政の欠陥を来さないようにすること、こういうような趣旨の申合をいたしたのであります。」と自治庁政務次官が説明をしておるのであります。大蔵政務次官は、これに御異議がないはずでありますが、もう一度御明答を願つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/4
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005・植木庚子郎
○植木政府委員 これまた仰せの通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/5
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006・村瀬宣親
○村瀬委員 そこでいよいよ明らかになつて参りまして、そういう状態ならば、本法律案審議上非常にスムーズに進むのでありますが、もう一度念を押しておきたいと思いますのは、私が先ほど申し上げましたのは「揮発油譲与税を二十九年度限りの税といたしますれば」というまくら言葉があるのであります。これはこういうことでもいいわけでありますが、「いたしますれば」では困るのでありまして、実は二十九年度限りの税であることは、ちやんとこのかしらに二十九年度の揮発油譲与税となつておりますから、いまさら「いたしますれば」というようなことはいらぬ言葉でありまして、当然これは二十九年度限りの揮発油譲与税であるととには、題目から考えても間違いのないところであります。従つて、もう三十年度以降は揮発油譲与税はまつたく考えない。そして考えない場合には、地方財政計画を立てる上にいろいろ財源補填について考慮をせねばならぬから、そのときには交付税において所得税、法人税、酒税から交付税に入れる率を多くするとか、その他の方法日によつて補填することが地方財政の欠陥を来さないようにするのであつて、断じて揮発油譲与税というようなことは、もう三十年度以降は考えない。揮発油税については、地方財政計画は二十九年度限りであつて、三十年度以降はまつたくそれに目をつけることはいたさない、こういうお考えと了承するのでありますが、もう一度御確答を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/6
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007・植木庚子郎
○植木政府委員 その点につきましては、おおむね御趣旨の通りであります。しかしながら、われわれ財務当局こいたしましては、三次官の申し合せましたところは、今日の情勢においてすべてものを判断しております。将来に向つてかりに一年後に、あるいは来年度の予算編成の際にどういう事態が起るか——おおむね今日の状態が続いた場合を前提としておるのであります。従つて特別なる情勢の変化等が起りまして、財政経済に大変革を来さなければならぬとか、特別なかわつた計画をこしらえなければならぬというような場合には、これまたそのときの情勢を勘案して行くということは、これは一般論として御承知おきを願いたいと思います。しかしながら、おおむねわれわれ三次官が当時考えましたところは、今日の情勢下において来年度を予測いたしました場合、ぜひともこの方針で参りたい、こういうところに趣旨があるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/7
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008・村瀬宣親
○村瀬委員 おおむねその趣旨でということになりますと、またそこに多少の濁りが生じて参るのであります。ガソリン税というものは点昨日や今日始まつたことではないのでありまして、すでに二十五年も六年もあつたわけでありますが、その当時には地方自治庁、大蔵省においてこのガソリン税をどこにまわすということは、何もお考えにならなかつたはずであります。ところが、われわれが苦労をして、そして道路整備を早くやらねばならない、これが産業自立経済の基本であるという観点から、田中委員などの一方ならぬ尽力によりまして、今日これがようやく日の目を見たわけであります。そういたしますと、まず初年度において三分の一を地方にまわす。そこで、これは特殊な一兆円予算の制約に縛られて、そういうことは本年度限りなさるのであるという了解のもとに、今日まで進んで来たのであります。従つて塚田自治庁長官におかれましても、やはり来年度は来年度でまた考えるのだという御答弁に終始しておるのであります。もつとも、青木政務次官はそうではない、建設委員会の意向を十分尊重してやるの、だということを言つておるのであります。そこで、今大蔵政務次官は、おむむねその趣旨で行くが、天変地異でもあつて、いろいろなことが起れば、どうなるかわからないというふうにも解釈できる御答弁でありますが、そこはひとつ、もうそういうもつれを全部払拭いたしまして、来年度地方財政計画はどのようにお立てになりましようとも、それは国全体のその時に応じた方法でけつこうでございますけれども、少くとも今まで問題にしておらなかつた揮発油税を、来年度の地方財政計画にかれこれひもをつけることはしないんだということを、ここではつきり表現していただかねば、われわれはこの法案に対する可否を決定するのに、非常に判断がにぶるわけでありますから、今おおむねというお言葉もありましたけれども、その点はもつとはつきりと、すつきりした形で、来年度地方財政計画の樹立にあたつては、揮発油譲与税のごときものはもちろん、揮発油税自体に対して、絶対に地方財政にこれを勘案することはないという御答弁を要求するものでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/8
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009・植木庚子郎
○植木政府委員 この三次官協定をこしらえましたときの三次官の気持といたしましては、申すまでもなく道路整備の急務を痛感いたしまして、本年度としてはやむを得ず御審議願つておるような方法によりましたけれども、来年度以降としては当初の法律御制定のときのお気持を尊重して、ぜひともそれで参りたいというかたい決意を持つておるのであります。おおむねと言い、あるいは来年度は来年度で考えると、いろいろな表現はございましようが、政府当局といたしましては、でき得る限り来年度は十分法の精神を尊重して参りたい、かような考えでおるのでございますから、その点御了承を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/9
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010・村瀬宣親
○村瀬委員 法案の趣旨にできる限り沿いたいとおつしやるのは当然であります。そういう言い方によりますと、今年度といえども、法案の趣旨を尊重して四十八億というものを別にひもつきにして建設省にまかしたんだ、地方自治庁に金はとつたけれども、四十八億はちやんと建設省にまかしているではないか、法案の趣旨は十分尊重している、こうも言えるわけであります。そこで法案の趣旨を尊重していただくことは非常にありがたいのでありますけれども、われわれは法案の趣旨を尊重するとおつしやるだけでは、どうもまだ安心がなりがたいのでありまして、揮発油税に関しては、地方財政計画の中へ取入れるのは、二十九年度やむを得なかつた一つの特殊な措置であつて、三十年度はガソリン消費税を地方財政へ持つて行くことはない、こういう御答弁をいただくわけには行きませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/10
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011・植木庚子郎
○植木政府委員 私といたしましては、何回申し上げても同じ答弁になるかもしれませんが、この三次官の申合せの第六項につきましては、第六項を文字通り忠実に実行したい方針でおるのであります。第六項をごらん願えば
「以上の措置を実施する結果生ずべき昭和三十年度以降の地方財政の欠陥を是正するため、三十年度以降交付税特別会計に繰入るべき所得税、法人税、酒税の割合につき揮発油譲与税相当額を交付税として計上するものとしてその率を決定する等何らかの措置を講ずるものとすること。」こう申しておるのでありまして、これによつてお考え願うと、われわれの次官同士の申合せといいますか、政府の意図しております来年度以降に対しての措置は、十分御了解願えるんじやないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/11
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012・村瀬宣親
○村瀬委員 今次官がお読み上げになりました第六項は、実は速記に載るのは初めてであります。従つてその通り実施することを大蔵省において責任を持たれるならば、私は一応安心ができるのであります。今お読みになりました第六点は、揮発油譲与税を二十九年度限りの税とするならば、という前書きはついておりません。従つて、するならばという前書きはもうないのであります。しないということで、そうして交付税その他において、所得税、法人税、酒税等からの交付税に入れる率をかえてやるんだということであると了承をいたしまして、一応私は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/12
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013・久野忠治
○久野委員長 瀬戸山三男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/13
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014・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 今、村瀬委員の質問に対してお答えなさつたので、あえて私がさらに質問をするいわれもないことと思いますけれども、この問題は長い間非常に論議され、複雑な今日までの道行きがあつたのであります。もう最後でありますから、くどいようでありますが、念のためにもう一度お尋ねしておきます。と申しますのは、今まで、植木次官も御承知の通り非常ないきさつがある。三省間の政務次官の申合せ事項までつくられた。ところが、たびたびこの委員会で各省の意見を聞いてみると、何となくその間に必ずしも意思が一致しておらないような答弁が、ちよいちよい出て来るのであります。そこで、今村瀬委員がおつしやつた通り、たびたびこの問題を各省お尋ねいたし、今日は次官がわざわざおいでくださつたので、大蔵省の最終の意見として今承つておるのでありますが、今日まで主計局関係の事務当局が見えても、あるいは自治庁関係が見えても、どうもその点が腹に一物あるような答弁をされる。言葉じりをつかむわけではありませんけれども、そういう雰囲気があつた。この前は念のためにその申合せ事項を読み上げて速記録に残すべく要求したのでありますが、その当時、読み上げるのはがまんしてくれというような、何だかそこに非常にわだかまりがあるような状況であつた。第一項には、譲与税の制度は二十九年度限りにする。第六項は、それに対する措置を講ずるようにするというふうにできておるのでありますが、その趣旨だけを説明しましようということで、この前自治庁の青木政務次官がしぶしぶながら説明した。その点について、私は自治庁長官にさらにそれを確認するかということまで質問いたしました。確認すると言われましたけれども、それは説明であるというような言葉をまた前に言われた。そこでこのように複雑になつておるのであります。揮発油譲与税は、先ほど来言われるように、二十九年度の財政措置上万やむを得ず、いわゆる道路整備費の財源等に関する臨時措置法をある程度曲げても、こういうふうにやらざるを得なかつた。従つて、昭和二十九年度限りである。来年度は地方財政計画が本年度と違うようになるから、三十年度においては、いわゆる揮発油譲与税というものは地方財政の方には全然考えないで、穴があくところは今の申合せ事項の御説明の通りに、ほかの方で考えるということに確認してよろしゆうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/14
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015・植木庚子郎
○植木政府委員 私、実はきよう突然伺いましたので、従来の御質疑応答の経過を十分存じません。そのために、あるいは私がここで読み上げましたのがいけなかつたのかもしれませんが、私といたしましては、この三次官の申合せをいたします際に、その前提として、来年度の財政事情がどうなるかという問題が根本にあることはお互いに了承の上で、こうした申合せをしておるのであります。従つて、先ほど答弁いたしましたときにも、財政全体の都合がおおむね今日の情勢で参ります場合には、ぜひともこれで行きたい、こういう考えを持つております、こう申しておりますので、やはり財政当局といたしましては、財政全体がどういうかつこうになるか、あるいは今後の日本の経済状況がどうなるかということは、これはどうしても一つの大前提に置かざるを得ない。しかし、その大前提のもとに極力われわれは申し合せたところを忠実に実行しよう、こうした方針でおるのであります。道路整備の問題につきましては、それこそ従来のような皆さんの御熱心な御意見等があることは承知しております。極力その御意見に従つて今後とも善処して参りたい、こういう意味で今申しましたような第六項の申合せもできておる次第でございます。それによつて御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/15
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016・田中角榮
○田中(角)委員 最後でありますから、二、三点伺つておきたいのですが、これはこの法律の実施上に起きて来る大きな問題でありますから、見解をただしておかなければ、将来また問題になるし、またこの法律を上げる事務的な面において、非常に大きな支障がありますので、伺つてみたいと思います。
その第一番目は、道路整備費の財源等に関する臨時措置法の第三条を規定しますときに、当該年度の揮発油税収入相当額ということを規定しております。これは当時、私が提案理由の説明を、衆参両院の建設委員会で申し述べている途次においても、この問題は議論になつたの、でありますが、法律上から申しますと、当該年度の税収入額という問題は、二箇年後にならなければ決算が確定しないわけであります。だから、一年ないし二年後に二年前の税収額とするか、もしくは見込額とするか、見込額としない場合はどうなるか、こういう問題が起きて来ておるわけであります。この法律を厳密に適用すれば、当然整理規定が必要であります。この法律には、明らかに当該年度の税収入額と同じ額を計上しなければならない、こう書いてあるのでありますから、決算確定後、二箇年前の確定数字と見込額との差額というものは、何らか処置しなければならないわけであります。その意味において、二十九年度の揮発油譲与税法においては、第七条にこの整理規定があります。ありますが、私は今ここで、この整理規定とうらはらになるような規定を、どうしても設けなければならないというふうにまで、極論をして考えておるわけではありません。なぜならば、この法律を制定いたします当時に、法制局からも、参議院の建設委員会に意見が出されておるのでありますが、この法律は当該年度の税収入額ということを規定しておつても、それは常識の問題であつて、見込額と見る必要はない。当然政府が常識的に二年後三年後、法律違反を起さないという院議尊重という建前をとるならば、この問題は自然に解決せらるべき問題であつて、整理規定を設けるとか、特に前年の収入とか確定数字とかいうふうな厳密な規定を設けなくても、法の精神というものは明らかに立証せられるという、私の提じやないかと思うのです。ただ、大蔵事務当局が言つておるように——法律を曲解しまして、あなたが何と言われようと、法制局が何と言われようと、とにかく当該年度のガソリン税収入額といういわゆる不確定な、実際においてつかめないものをつかめという法律が間違つておるので、大蔵省の組む見込み数字というものを組んでおけば、法律違反は絶対にないというのです。こういう見解では、七条と同じような規定を挿入しなければなりません。私も立法技術者でありますから、その程度のことがわからないで、大蔵省の事務当局が言われるような常識話といいますか、一般論といいますか——私たちはそれを称して俗論と言つておるのでありますが、こういうものに縛られるわけにはいかぬと考えておるのであります。ただ、私は少くとも道路整備の重大性というものは認めておるのです、建設省委員会の方々と同じ考えですという特に植木政務次官のお話でありますので、私もあえてそこまで厳密に規定をしなくても、お互いの良識によつて法は間違いなく運用せられるのだ、こういうように考えておるのでありますが、譲与税に明らかに七条の整理規定がありますので、これを修正をするということになれば、こちらでも修正をしてこれを挿入しなければいかぬわけです。修正をしなくてもその実効が上るという事務当局の俗論を、あなたからここで押えていただけるという確言があればいいのでありますが、これに対してひとつ御所見を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/16
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017・植木庚子郎
○植木政府委員 道路整備費の財源等に関する臨時措置法第三条の規定のうちの「当該年度の税収入額に相当する金額」というものについての御解釈の問題でありますが、この問題につきましては、この法律ができましたときの経緯その他から考えまして、ただ単に、たとえばこの二十九年度の場合を考えますと、二十九年度の歳入に上げてある当該年度の税収入額そのものという言うに、一応は条文の上で読めると思います。ところが、実際問題としましては、今もお話の通り、歳入はあくまでも見積りでございますから、それ以上にとれる場合もございましよう。そうした場合等におきまして、これをどうするかということの問題が、一番のこの際の議論の焦点であると思います。私はこの臨時措置法のできました法の精神から考えまして、もし当該年度の税収入が、実行上それに相当超過してたくさんに収入されて参つたというようなときには、次の機会におきまして適当にそのたくさんにとれた分を、やはり整備費の財源に充てるというのが、最も穏当な解釈だと考えます。しかし、ここでひとつ問題になるかと考えますのは、道路整備の計画が、あくまでも五箇年間の臨時的な計画になつておりますし、従つて税収入額相当額を計上して、第五年目の税収入がそのときの歳入予算に計上したものよりもたくさんとれたという場合に、それを六年目、七年目に行つてどうするかという問題も起きると思いますが、そこはおのずから良識をもつて解釈すべき問題でありまして、道路整備計画がおおむね五箇年をもつて完了すれば、それによつて若干よけいとれても、それは特別にそこに歳入が起つたからどうでもその整備の財源に充てるということはしなくてもいいんじやないか、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/17
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018・田中角榮
○田中(角)委員 ただいまの政務次官の御答弁は、非常に常識的であり、誠意を持つたお答えだと考えております。大蔵当局から聞きましたこの法律案に関する答弁の中では、最上級のものでありました。これは今植木さんが言われましたが、非常に問題なんです。あなたたちが、第七条のような整備規定を入れなくてもいいのではないかというようなことは、あなたのような答弁があればいらない。しかし入れる場合には、二十九年度からの歳入年度における税収入額が多くなつた場合、どうするかという問題を言われますが、そういう問題はもう議論外なんです。これは少しこの法律の成立の過程をごらんになつていただくとわかりますが、いわゆる第一次の五箇年計画は、道路整備が日本の経済復興の具体策として第一順位にあげるべき問題だというのが、院議の確定だと考えておる。そういう意味におきまして、少しでも道路整備の財源をふやして、計画的に道路整備を行いたい、その具体的措置として道路法の改正を行い、有料道路をつくり、その三番目としてこの種の法律をつくつたわけであります。その意味において、この法律をつくるときは、どこの国でもやつておるところのガソリン税収入額と見合う金額ぐらいは、当然道路整備費の一部として入れなければならない、こういうふうになつております。だから、今五箇年計画以外は全然やれないというような予算の組み方でありますが、これはどうもこの法律をつくつた当初の院議とは違う状況にあります。いわゆる緊縮財政をやらなければ、日本の再建ができないという意味のわくの中での話でありますから、二十九年度はこういう状況でもやむを得ないと容認するわけでありますが、この法律をつくつたときには、明らかに言つております。この法律だけで道路の整備を行うのではなく、一般財源から当然道路整備費は八十億ないし百億、百五十億と、要請によつて計上せられておつたものはそのままにしておいて、そのほかに長大橋とか、高度の技術を要するもの、最も大きな費用のかかる隧道等は有料道路にまかそう、その他の完全計画に対しては、ガソリン税収入額に相当する部分を計上しようというのでありますから、ガソリン税収入が百八十六万キロリツトルのときは二百億、それをオーバーするときは三百億計上されるわけですが、三百億計上して院議を尊重したということになる。瀬戸山君が先ほど言つたように、非常に厳密に言いますと、われわれもこのくらいの措置をされて院議が尊重せられたというようなことは、どうも言えません。そういう意味で、これだけで五箇年計画をやろうとするのではないから、五箇年計画の費用の一部に計上しなければならないと明らかに私は言明をしておるのであります。ただ、これが七条のようなものを入れたいというのは、事務の処理規定として入れたらどうか。しかも最終の年度において余つたものはどうかという場合には、当然この五箇年計画が継続しないで流れた場合には、公共事業としての道路費が計上せられるのです。そのときには法律的な制約はありませんから、余つたものをそれ以上に入れてもよいのでありますが、ただ三十一年度末になると二十九年度のが確定しますから、三十二年、三年の間にこの問題をどうするかということが事務的に残つて来るだけです。だから、それは今あなたが言つたように、良識をもつてやられるということであれば、私は異論を申し上げません。だから、最小限度の場合どうかということは、飛び離れた議論であつて、私たちの申し上げるのは、ただこの五箇年計画は第一次五箇年計画であり、これが二次、三次と延長せられるような場合は当然起つて参るのであります。
もう一つ、私はなぜこんなことを言うかというと、大蔵省はこの法律案に対しては初めからあまり御賛成ではなかつたのです。今ではもうやむを得ずと言つておるでしよう。しかし、またもう少したちますと、もう一ぺん反撃してみようかというようなお手並拝見をやられる危険が非常にありますので、こういうことをくどくどと申し上げておるわけです。これはあなた方ではなく、建設委員会として逆の面から考えますと、見込み数字ということであるならば、七条の規定を入れなければなりません。なぜならば、来年度二百三十万から二百五十万キロリツトルになる。二百五十万キロリツトルになれば三百五十億になる。三百五十億になつても、ガソリン税の収入は依然として見込み収入は二百三十億だ、こうやられたのでは話にならない。実際において大蔵省というのは非常にかたいのですから、確定数字でなかつたら見込み数字はつくりません。そうしますと現在百万台になつておるときに、ようやく七十一五万台でもつて見込み数字はつくつておりますから、自然増収額は非常に大きくなる。ただいまのあなたの発言は、議員としての発言でもあり、大蔵政務次官としての発言でもありますので、この責任は当然内閣も議院もまた負うのでありますから、私はこの問題に対しては、この法の精神が生かされることを前提に了承いたします。
第二の問題は、この二十九年度の譲与税は、緊縮予算実施のため、やむを得ない措置であつたという点が、三政務次官の申合せ及び再確認において明らかにされております。なお、これによりまして、大蔵事務当局は、院議を尊重するし、道路整備費の必要性は十分認めるという点も朗らかにいたしております。だから、ただいままでの過程において、あなた方に対してどうもえらい御無礼なことを申し上げたことは、ひとつここで御了承願いたい。私たちも、大蔵省が非常にこういうふうな院議を尊重して、しかも道路の必要性を十分認められておられるにもかかわらず、幾らか猜疑心をもつてお話申し上げた過去の発言は一切取消します。だからその意味において、大蔵省も建設委員と同じ考えでおられますから、この法律に関する限りは問題ないでしよう。だからそういう意味において、でき得る範囲内においてその実証を着々と見せていただきたいと考えておるわけです。その実証の中で、有料道路法というものが今年度だけでもつて終りますが、これは二十九年度の事業費としては、二十億財政投融資から見ていただくことと、公募債の五億を見ておるが、あと五億だけ増していただけば非常にいいという問題があります。特にその五億を増していただくということによつて、政務次官の御出身地である敦賀院武生国道等も整備せられるのであります。そういう重大なることが、県に五億の公募債をちよいとふやすことによつて、これはもう実に道路整備のために大蔵省が金字塔を建てられたことになります。あなたが今まで言つたことが全部、道路整備の重要性を日本再建の第一義に認めておるのであるという実証になるわけであります。あえてその実証を今見せていただきたいというのではありませんが、ただ五億ぐらいを見ていただくことによつて、建設委員会が大蔵当局に対して考えておつたことは、みな思い過しであつた、われわれはこんなに誠意を持つておるのであるという結果になるのでありまして、この法律案を通過せしむるためには、非常にいいおみやげだと私は考えておる。建設委員会と大蔵事務当局が、これから将来長く手を握つて行くためにも、私は実にいいことだと思つております。そういう意味で、特に政務次官は、このことに対しては十分御承知であり、特に党内においては、この問題に関してはひとつ陳情の方にまわろうかというようなお立場でおられるだけに、私たちも大いに希望し、あと押しもいたしますから、ひとつ勇敢に五億ぐらいお出しになつていただくということによつて錦上花を添えていただきたい。
もう一つは、これは私、もつとはつきり端的に申し上げておきます。こういうものに対して、大蔵省が協力的であると言いながら、ある場合において、この法律を建設委員会が立案した当時反撃をなさつたような状態が起らないとは、とても保証できません。あなたのような優秀な方がずつと大蔵大臣でもせられておるならば、これは保証いたしますが、そういう道路費には比較的に財政純技術論だけをやつておつて、道路を整備したつてしようがないんだ、こういうふうなお話をされる方が来られると、こういうものはくずれるのであります。くずれるという最も大きな問題は、ガソリン税を改廃してしまう、減率を行うということで、この問題はここで明らかにしておいてもらいたい。こんないい税はありません。入場税をとつたり繊維税をとつたり、名目だけでもいい、ここまで考えておる人が、黙つて天引きでもつてとれるようなガソリン税をやめるなんということは考えられないのです。ところが主税局長は、ガソリン税が高いという運動もあります。場合によつては、まあやめはせぬけれども名目をかえるという手もある。実は一万一千円では高いから、九千円ぐらいに下げなければならないという状況もあるということを、私に答弁せられておる。私は、そんな答弁をせられると、あとから困りますよ、ガソリン税は改廃はしない、税率は上げこそすれ下げない、私はこういう見通しなんですが、主税局長はそういう答弁をしていいんですかと、私は明らかにそう言つておるのです。ところが今度予算のときには一万三千円に値上げをして来た、私の方が先見の明があつたわけです。そういう意味からいつて、ここでそんなことはすまいと思いますが、少くともこの法律を通させるのには、ガソリン税はいい税率ですから、とにかく税の体系が根本的にみんな違うというときには別でありますが、今の状況においてはガソリン税の廃止及び減率等は行わない、こういうお考えであろうと考えておるのですが、まず前の公募債五億、それからガソリン税の改廃、減率を行わないという二点に対して見解を明らかにしていただきたい。これが私の質問の最後であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/18
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019・植木庚子郎
○植木政府委員 御質問にお答えする前に、ちよつと申し上げたいと思いますが、この道路整備費の財源等に関する臨時措置法の制定当時の状態におきまして、大蔵当局が必ずしも最初から全面的賛成の態度でなかつたというようなことからして、今回の本年度限りの措置について、あるいはあの当時のいきさつから、こうしたまずい点があるんじやないかというお言葉もちよつとございましたが、この点については、私大蔵当局のために、ぜひ一応弁明を申し上げておきたいのであります。
大蔵当局といたしましては、常に財政経済全般の問題について、それこそほんとうに公平に、国を思う気持から努力をいたしております。決して法の制定当時がどうであつたからどうこうというようなことは、考えておりません。今回一兆円予算の編成に際して、それこそ議員立法のものであると内閣提出の法律であるといずれを問わず、財政全般について、補助金その他について、ほんとうに忍びがたきを忍んでいただこう、こうしたほんとうの国を思う気持から処置いたしました。その一つの現われが、このガソリン税についても現われたのでありまして、この点は大蔵当局の国を思う至情というものは、ぜひとも御了解いただきたいと思います。
それから、質問の第一点でございますところの有料道路整備等に関連して、いま少しく一ありのままの言葉を使えば五億円だけ公募債を増額する道は考えないかというお言葉でございますが、これは何も、今御質問の中にお述べになりました、自分の郷里に関係がある道路があるからとかないからということでなしに、私といたしましては、皆様方にこの問題について非常に熱心なる御希望があるということを十二分に体得しておりますから、十分皆様方の御意思のあるところを体して今後進んで参りたいと思いますので、この程度の答弁で御承知願いたいと思います。
第二点の御質問でありますところの揮発油税の将来に対する税率の問題、あるいは廃止するかせぬか等の問題につきましては、これは事務当局としても、あるいは大蔵当局としても、この法律のよつて立つ根拠をどうこうするというようなことについては、よほど慎重に善処すべきものである、むしろ私をして個人的な意見を申さしていただくならば、仰せのごとくこの臨時措置法が将来十分な効果を発揮するように協力するのが当然だと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/19
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020・田中角榮
○田中(角)委員 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/20
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021・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 先ほど田中委員から、念のために収入額の問題を聞かれて、政務次官は田中委員の御説の通りだというふうな御答弁がありました。それでけつこうでありますが、ところが大蔵省の事務当局の間では、この解釈に相当異論があります。そこで私は、政府の見解をはつきりさしてもらいたいと思うために、念を押すわけでありますが、道路整備費の財源等に関する臨時措置法の第三条には「昭和二十九年度以降五箇年間は、毎年度揮発油税法による当該年度の税収入額に相当する金額」と、こうなつております。ところが、この「当該年度の税収入額に相当する金額」というのは、先ほど御議論になりましたように、見込額だ、いわゆる予算計上額だというふうな見解を、今日までしばしば事務当局がされております。そういうことで、整理規定でやれないかという議論が出た、私もそういうふうに考えております。そこで昭和二十九年度の揮発油譲与税に関する法律案、これは政府が提案されたのでありますが、その第一条にも「昭和二十九年度における揮発油譲与税は、揮発油税法の規定による揮発油税の昭和二十九年度における収入額の三分の一に相当する額」と、こういうふうになつておる。これは言いかえると、道路整備費の財源等に関する臨時措置法の第三条の規定と同じ表現であります。そこで政府が提出いたしました譲与税法の第七条には、先ほど議論になりました整理規定がある。政府は収入額ということを、やはり実収額と見られておることが、この法律案にはつきりいたしておる。政府が提出された譲与税法にその思想を盛つておる。これは見込額じやなくて収入全額だということを根底にして立案されておるのです。そこで、さつきの御答弁を伺つて、正確だと田中君は非常に満足の意を表せられたのでありますが、事務当局は今月までそういう意見を吐いておられない。しかし、政府が提案いたしました二十九年度限りの揮発油譲与税法はその点がはつきりしておりますから、これは政府の見解として確認してよろしゆうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/21
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022・植木庚子郎
○植木政府委員 「当該年度の税収入額」という言葉そのものにつきましては、いわゆる形式的な解釈もできましようし、あるいは実質的な解釈もできると、私はこう思うのであります。なるほど第三条が、ある意味からいえば非常にあいまいじやないかというようなことから、おそらく事務当局もいろいろな御議論を申し上げておつたのでありまして、私の申し上げますのは、この臨時措置法の精神から流れ出て条文を解釈して行けば、実際の収入額をこれに充てたいという気持が明瞭に立法の各位のお気持の中にあるのでありますから、そうした立法精神をくんでこの法文解釈して行きたい、かように存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/22
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023・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 解釈はけつこうであります。私が念のために聞いたのは、先ほど申し上げましたように、政府が今回提案いたしておる。今問題になつております揮発油譲与税の第一条に、昭和二十九年度の税収の三分の一ということを規定いたしております。その三分の一は、二百三十七億の三分の一ということを予定しておらない。ですから、過不足が出るおそれがあるからということで、三十年度、三十一年度における整理規定を書いておる。これはその精神とかなんとかいうことでなくて、政府自体が、実収額ということを別な法律で出しておるのです。ただ解釈とかなんとかいう問題でなく、政府自体がそういうことで三分の一の七十九億ということを予定しておらないことははつきりしているのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/23
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024・植木庚子郎
○植木政府委員 ただいまの条文の解釈につきましては、仰せの通り私の考えますところも「当該年度の税収入額」という言葉は、すなわち実際上の収入額というものを見て書いておる。ところが実際の予算の措置といたしましては、当該年度の税収入額は歳入の面においては見積りなんで、一方歳出面におきましては、歳出は最高限度を必ず越えてはならぬいわゆる予算の建前でございますから、従つてその分に対し、もし越えた場合に、歳入の方の見積りより実収が越えた場合にどうするかということを念のために七条で書いておるので、法の精神はやはり実際の収入額を意味しておる、こう解釈していいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/24
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025・久野忠治
○久野委員長 志村茂治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/25
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026・志村茂治
○志村委員 最後でありますから、とりまとめて質問しますが、道路整備費の財源等に関する臨時措置法は、われわれが道路整備の一般予算につきまして、従来の経験から見るとあまり期待ができなかつた、思うような予算がもらえなかつた、こういう苦い経験から出発しまして、何らかの方法で交通量に対応するような安定した財源がほしい、こういうふうな考え方で制定されたものと私たちは信じておるのであります。ところが、本年に至りまして、その実施の初年度に一兆円を越えてはならないというような財政事情から、これを地方に譲与されてしまつたのでありますけれども、こういうような一つの財政のわくの中から他に譲与されてしまうということになれば、今までやつておつた一般財源からこの予算をとつた場合と、何ら相違がないではないかというふうに考えられるわけであります。財政の都合によつてはこれを減らすということになれば、一般財源からとつた場合と何ら相違がないというふうに考えられるのであります。そうなりますと、一部の改正法と言つておりますけれども、この法律の根本思想、立法の精神がすでに蹂躪されておると、私たちは解釈しなければならないのであります。こういう意味から行きまして、私たちはこの立法の精神は完全に蹂躪されてしまつておるんだというふうに解釈せざるを得ないのでありますが、大蔵省ではどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/26
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027・植木庚子郎
○植木政府委員 その点は、この法律を尊重して行こうという精神においては、何らかわるところはたいのでありますが、本年度のいわゆる財政経済計画の上におきまして、財政の規模を一般会計において一兆円にして行こう、またその他の公共事業等の施行計画等から考えまして、その財政上の要請の方を特に尊重しなければならないという趣旨から、道路の問題について尊重する精神は何らかわりはないが、この際一箇年度限りがまんをしていただく、こういう建前で予算を組んだのでありまして、決して根本的にこの措置法を無視してかかろうとか、尊重しなくてもいいのだというような安易な気持でおるのではないのでございます。何とかしてできるだけのことはしたいが、しかし今年はひとつ忍んでいただこうという意味と御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/27
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028・志村茂治
○志村委員 先ほどからこの立法精神は尊重するということを言われておりますが、これはむしろ当然なことであります。精神的に法律を守るか守らないかということを論争すること自体が、私はナンセンスだと思います。もう法律がきまつた以上、国民が行政府に対してそういうふうに施行しろということを命じておるのであります。これは精神的にこれを守らないということは、言い得られないのであります。私たちは、本年は守る意思がないから守れなかつたとは解釈しておりません。守る意思は十分あつたが、客観情勢がそうであつたからやむを得ず守らなかつたんだというふうに解釈をすべきですが、そういうような立場で考えてみますときに、何とかして守るというような言葉で言われるよりも、大蔵省の官僚の方たちが財政的な見込みがない、客観的な見込みがないから、はつきりそうは言われませんといつてお答えになつておる態度の方が、私はむしろ正直で責任ある態度だと考えております。それで精神の問題はいまさら論ずる必要はない。問題は、客観的に来年度あるいは再来年度の予算状態、日本の財政状態がどうなるかという見通しのもとに立つてやらなければならないと思います。しかしこれが不可能だ、容易なことではないということであるとするならば、何らか来年度に対して具体的な政策を立てるべきであるというふうに考えておりますが、先ほどの第六損に掲げられておりますいろいろな方法手段をとると言われれば、一応は納得できます。しかし、ただちに問題が出て参りますのは、これだけの方法がとられるのであるならば、本年度はなぜその方法をとらなかつたかということであります。また今年のガソリン税の一部を譲与する場合について、一体どういうふうな措置を今までとられておつたか。なぜとらなかつたかということと、どういうふうな措置を今までとられたかというこの二点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/28
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029・植木庚子郎
○植木政府委員 御質問の趣旨が、私ちよつとよく了解しかねておるのでありますが、本年度の措置として、尊重する、しないは、これは精神の問題であり解釈の問題であつて、何とも言わぬとおつしやられておりますが、私はやはり法律に規定のある以上は、十分尊重をして行く。従つて簡単に法律を踏みにじるようなことをしてはいかぬから、一方別途に法案の改正についてまた十分御審議を願つて、そして両々相まつてこの予算の実行を期して行く、こういうところに趣旨があるのだろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/29
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030・志村茂治
○志村委員 精神的に法律を守るということは、これは当然なことで、これを論争する必要にないことだと私は申し上げておるのであります。それが守れなかつたということは、財政的な客観情勢がそうさせなければならなくなつたから、やつたのだというふうに、私は解釈されると思います。その考え方に基きまして、来年度するかしないかということは、客観的情勢の見通しをした上で御返事願いたい。しかし、それができないということならば、第六項に書いてあるような、いろいろな現在考えられる手段をとるということが考えらるべきであると思います。そうしたならば、これをはつきり立てるということがおきめになれば、来年度はもうガソリン税から他に譲与することはしなくてもよろしいということが、はつきり言えるはずではないかと思います。客観的な情勢がはつきりつかめて来るならば言えるはずだと思います。そこをある程度濁しておるということが、私たちが態度をはつきりきめることができないのであります。それと同時に、第六項に書いているようなことが来年度に実施できるものであるならば、本年度はなぜおやりにならなかつたかということなのであります。その点をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/30
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031・植木庚子郎
○植木政府委員 本年度の問題といたしましては、いわゆる地方財政、中央財政両方相通ずる全般的な諸般の計画を立てました場合に、どうしても行政その他から考えましてこの三分の一だけを地方にまわして、しかも、そのうちのある部分はもちろん道路に使つていただきますけれども、一部分は一般財源になろうかとも存じますが、地方財政と中央財政を通じての経済上、どうもこれが完全に実行することが困難だという結論に達したからであります。来年度の問題についてどうだ、今これを尊重し、あるいはそれを実行するような答弁をしておるなら、それはおかしいじやないかと言われますが、これは今年の財政計画を立てます場合の問題であつて、来年度の問題といたしましては、さらにそのときの情勢を十二分に研究して数字的にどうこうということを立案するだけの、まだ経済情勢の推移もわかりませんから、それで今日、経済をはつきりこうするということを申し上げることは困難だと思います。従つて法律もやむを得ず一年限りの法律にして、一年限りの措置にしてやる、こう御了承願うよりほかはないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/31
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032・村瀬宣親
○村瀬委員 私は大蔵政務次官に、七十九億円の揮発油譲与税のうち、四十八億円を特に道路整備五箇年計画の方に使うことになつておりますが、その処理方法について伺つておきたいのであります。地方財政計画は九千六百五十三億四千八百万円というものを御発表になつておるのであります。その後においてこの七十九億円の問題、これから三十一億円を引きました四十八億円の問題というものが生じて参つております。その四十八億円については、十億円だけはちやんと最初九千六百五十三億円の中に用意がしてあるという塚田、長官の御答弁でありました。そういたしますと残り三十八億円というものにつきましては、これはもちろん自治庁長官の方の御所管ではありますけれども、しかしこれをどうやつて処理するかということは、当然大蔵省にかかつて来る問題であります。そこでこの三十八億円は、できる限り重複しておる分とかその他節約のできる分を極力節約をしてやるつもりであると塚田長官はおつしやるのでありますが、しかしとうてい重複分や節約分だけで、全部がまかなえないということは、これまた塚田長官ははつきり言明をいたしておるのであります。そういたしますと、結局起債その他でこの三十八億円のうち二十億円になりますか、二十八億円になりますかは、当然措置をしなければならないことになるのでありますが、これに対し、自治庁と何かお打合せがあつたのでありましようか。あるなしにかかわらず、何らかの措置を大蔵省が考えてやらなければならない事態が来ると考えるので、ありますが、それに対し、政務次官はどのようなお考えを持つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/32
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033・植木庚子郎
○植木政府委員 三十八億円の問題をどういうふうに今後考えて行くかということにつきましては、われわれ当局といたしましては、地方財政におきましても、極力節約もやつてもらわなければなりませんし、また税収の確保ということについても極力やつて行かねばならぬ。あるいはまたその他特別な税収をはかる道、いわゆる法定外の租税でもとる道がないかということも研究いたしまして、いろいろな方法を中央、地方の当局にもお願いをし、また芳われわれ当局といたしましても、どうしても都合のつかぬ部分について、預金部資金その他で何か考える道はないか。その点について善処する道も考えて行かなければならぬ、かように考えておる次第であります。関係の当局が、今後十二分に連絡を密にいたしまして、この辺を善処して行こうと考えておるのであります。簡単に申せば、地方における単独事業等について節約をしてもらわなければならぬことも、必ず私は起ると思います。また一方大蔵省において、資金運用部資金等による善処の方法も考えなければならぬということも起ると思います。その点も関係当局と十二分連絡をいたして、やつて参りたいと思つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/33
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034・村瀬宣親
○村瀬委員 それではお座なりのお答えでございますが、しかし九千六百五十三億四千八百万円というものは、相当しぼりにしぼつてそういう財政計画をおつくりになつたのであります。従つて税収をふやすといつたつて、そうふえるものではありません。また資金運用部資金といえども、相当吟味に吟味を重ねて最高限度がここに現われて来ておるわけであります。そこで二十九年度予算の三党修正にあたりましても、中小企業金融公庫の二十億とその他の二十億で四十億というものは、他の開発銀行その他から支払うものを支払わないでまわすとか、いろいろのやりくりをしてああいうことになつたのでありまして、もし税収とかあるいは資金運用部資金等が、そうあめ細工のように自由自在になるものならば、それほどの苦心はいらなかつたのであります。しかも、これは今研究すべき段階は通り過ぎております。まさに二十九年度の揮発油譲与税に関する法律案は、実施する前日に来ておるのでありまして、これから研究しようという余裕はないわけであります。従つて、もしそこに見通しがないならば、この法律とまつたく唇歯輔車の関係にある道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案というものは、やつてみて非常に不安なのであります。でありますから、第一に、私は、二十九年度限りであるということのはつきりした御答弁を要求することが、この法案を通過さすところの第一の要件でありましたが、その問題に一安心をいたしますならば、次の問題は、はたしてこれを通してこの四十八億が、われわれの最初の意志通りに実施されるかどうかという問題になつて来るのであります。そこでこれは地方税収入がふえるかもしれぬとか、あるいは資金運用部資金の方でやりくりができるかもしれぬとか、または節約ができるかもしれぬというようなことでは、はなはだ不安なのでありまして、何とかして——重複分その他節約する分もあるにはあるでありましようが、三十八億に足らぬことは確実であります。その足らぬ分が二十億になるか二十八億になるか、それは別といたしまして、ともかくも幾らかは足りない、それはどうやるのだという御方針を私は承つておかねばはなはだ不安な情勢のまま、また審議を尽さずしてこの改正案われわれが決定するということは、これは責任上重大な問題でもありますので、お尋ねするのであります。そこで塚田長官は、最後に私がこの点を、質問いたしますと、結局は起債の面でふやす、こういう御答弁があつたのでありますが、大蔵省はそれをお認めになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/34
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035・植木庚子郎
○植木政府委員 その三十八億の問題につきましては、地方におきましての単独事業の調整その他によつてこの財源を見出すとか、あるいは地方におきましての税収の確保をはかつて、そしてそれによつて善処するとか、あるいは法定外の租税の徴収ができ得るものがあれば、こういうものによつても善処していただくとか、あるいは公募債の問題もありましようし、預金部運用資金による引受けの場合も考えられましようし、これらいずれ諸般の方法を講じて関係当局間でぜひ善処しよう。ただ単に大蔵当局が一方的にこういうことを言つておるのではなくして、関係当局十分協調の上で、この三十八億の財源の確保については万遺憾なきを期して行こう、こういう考えでおるのであります。しからば、それを今計画的にはつきりすればいいじやないか。これはおつしやる通りでありますが、ただいまのところでは、それがまだどこから幾ら、どこから節約できる、どこで税収が確保できるという問題は、検討してみましても、どうしても結論が得られませんので、これから年度に入りましてから、実際の予算の実行上、その上で十分に三当局が善処して行こう、こういう建前にいたしておるのであります。従つてこの点はわれわれ関係当局の誠意のあるところをひとつ買つていただくよりほかにないのじやないか、今ここでぜひ計画を示せと言われましても、いまだそれぞれの科目についてのはつきりした数字を申し上げることができないことは、はなはだ申訳ありませんし、遺憾ではありますが、どうぞこの程度で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/35
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036・村瀬宣親
○村瀬委員 御苦心のほどは、確かにわれわれにもよくわかるのであります。しかし、そういうことは今年度だけであります。終戦後の予算の審議にあたりましても、地方財政計画が立たないで、つじつまが合わないままでただ予算を通してしまう、そういうことは、今まで一度もありません。ところが今年度は、当初は九千六百五十三億四千八百万円という額をちやんとお示しになつておつたが、途中でこの三十八億の問題で、結局わからないままで一応予算が通つてしまつたわけであります。予算は通つてしまつたが、今度その予算執行のための道路整備費の予源等に関する臨時措置法の一部改正案がここにかかつて来た。そうしますと、この改正案を可決するためには、やはり一つの地方財政計画がかわつたのでありますから、九千六百五十三億が八十三億になるのでありますか、あるいは九千六百七十億でよいのでありますか。ともかくも財政計画を一応お立てになつて、そうしてこういう方法でやるのだということが明らかにならない以上は、この四十八億、——七十九億はすでに決定しておりますが、残り三十八億は——道路整備五箇年計画にちやんとマツチする方法で建設大臣の指定するところでやるのだとおつしやつても、その金はどこから出て来るか。出て来ないままに通すということは、今までにはなかつた例でありまして、今年だけであります。今年だけでありますから、そこに何らか、それは一応起債で行くのだ、大半は起債で行くのだ、あるいは六割ぐらいは起債で行くのだ、四割ぐらいは節約で行くのだ、重複分を、県単工事を節約するのだとかなんとか、一応の目標を御発表になるということは、私は国家の予予算を審議する上においての常識であると思いますが、その点はまだ全然無計画のまま、ともかくも二十九年度の予算を通し、また予算に関係のある法律を通してくれ、こうおつしやるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/36
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037・植木庚子郎
○植木政府委員 御満足を願うことができないかもしれませんが、再三申し上げます通り、節約の問題あるいは資金運用部資金の引受けの問題、公募債の問題あるいは税収確保の問題、あるいは法定外の税の徴収等の問題、いずれそれぞれのあらゆる道を研究して参りたいと思いますので、従つて、それでは今これがどの程度は資金運用部で引受けられるかという問題につきましては、遺憾ながらただいま確たる数字を持ち合せません。ただここできわめて大ざつぱな見込みで申しますと、できるならば少くとも十億とかあるいは十数億程度のものは、あるいは資金運用部で結局めんどうを見るほかはないのじやないかというくらいのことは、考えられぬでもございませんが、どうもこの数字につきましては、確たる見込みは申し上げかねる状態である、こう申し上げることを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/37
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038・村瀬宣親
○村瀬委員 時間がありませんので、場私はこの問題は一応この程度にしておきまして、最後に二点だけお尋ねをしてきようは質問を終ります。
第一は、先ほど田中委員から、公募債をもう五億円ぐらい当然増額せねば、円満な道路行政は困難であるという御意見並びに御質問がありましたが、これに対する御答弁はないようであります。公募債を五億円ぐらい増額なさる御意思があるかどうかということが第一点。
それから第二点は、先ほど瀬戸山委員からるる御質問があつたのに対して、植木政務次官からやや明快な御答弁がありました。それは揮発油譲与税の場合、た道路整理備費の財源等に関する臨時措置法の第三条に明記されております「当該年度の税収入額に相当する金額」、これは実収額だ、見込額ではないという御答弁があつたのでありまして、それは当然であると私は安心をいたしました。ところが、そういたしますと、その御答弁から帰納いたしまして、三十年度の道路予算の編成にあたつては、三十年度の揮発油収入見込額に二十九年度の実収増加額——これは減つた場合は減じてもよろしゆうございますが、減る気づかいはありません。従つて二十九年度の実収の増加額を加算した金額をもつて三十年度の道路予算額となさる御方針が明らかにされたものと私は受取つたのでございますが、もう一度植木政務次官の昭和三十年度の予算編成の御所信を伺つておきたいのであります。この二点について御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/38
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039・植木庚子郎
○植木政府委員 お答え申し上げます。第一点の五億円の公募債の増加の問題につきましては、これは有料道路整備等のために、ぜひとも必要だという皆様の御熱心なる御意見のあるところを十分体得して、政府当局としては善処して参りたい、かようにお答え申しているのであります。
第二点の問題につきましては、なるほど昭和二十九年度の実際の収入がはつきりわかりますのは、決算してからでありますから、三十一年度にならぬとわかりませんが、三十年度としても、予算編成当時には半分以上年度が終りましようから、その当時においては、おおむねの状況はわかると思います。従つておおむねわかるとすれば、少くとも、二十九年度これぐらいの増収は確実であるということが見込まれる部分については、仰せの通り三十年度の税収見込額と前年度の確実と認められる数字とを加算して計上するのが、当然の事理だと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/39
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040・久野忠治
○久野委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、本案に関しまする質疑は次会に譲ることといたしまして、本日はこの程度にて散会いたします。
午後一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01519540329/40
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