1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月三十一日(水曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 久野 忠治君
理事 内海 安吉君 理事 瀬戸山三男君
理事 佐藤虎次郎君 理事 志村 茂治君
理事 細野三千雄君
岡村利右衞門君 高田 弥市君
赤澤 正道君 五十嵐吉藏君
村瀬 宣親君 三鍋 義三君
佐竹 新市君 山下 榮二君
只野直三郎君
出席政府委員
建設政務次官 南 好雄君
建設事務官
(計画局長) 澁江 操一君
委員外の出席者
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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三月三十日
委員堀川恭平君辞任につき、その補欠として有
田二郎君が議長の指名で委員に選任された。
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三月三十日
土地区画整理法案(内閣提出第一二八号)
土地区画整理法施行法案(内閣提出第一二九
号)
同月二十九日
府県道北川内草野線開設の請願(山崎巖君紹
介)(第四一〇六号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
土地区画整理法案(内閣提出第一二八号)
土地区画整理法施行法案(内閣提出第一二九
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/0
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001・久野忠治
○久野委員長 これより会議を開きます。
補助金等の臨時特例等に関する法律案につきまして、当委員会としましては、自利会の決定により、連合審査は行わず、委員外の発言、あるいは特別委員になつておられる岡村君によつて、建設委員会の意見を出すこととしたのでありますが、岡村利右衛門君よりこれについて発言を求められております。よつてこの際岡村君より同案に関する特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/1
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002・久野忠治
○久野委員長 御異議なしと認めます。岡村利右衛門君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/2
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003・岡村利右衞門
○岡村委員 ただいま委員長よりお話になりました補助金等の臨時特例等に関する法律案につきまして、特に建設省関係につきまして御報告申し上げます。
この委員会は、三月十日ごろから毎月連日にわたり委員会を開きました。そして農林省関係には連合審査会をお願いいたしました。その他の関係の委員会におきましては、委員外の発言を求めまして、各委員会の意見を代表して発言していただいたのであります。当委員会からは村瀬委員から詳細に当委員会の意見を述べていただきまして、審議をしたのであります。そうして昨日これが修正可決いたしまして、委員会を通過したのであります。
建設省関係のことについて申し上げますれば、
第六章 建設省関係
(公営住宅法に基く補助等の特例)
第二十三条 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第七条第一項(国の補助)に規定する第一種公営住宅の建設費用についての国の補助率は、政令で定める第一種公営住宅に係るものについては、当分の間、同項の規定にかかわらず、二分の一以内とすることができる。
2 公営住宅法第二十六条第一項(建設大臣及び都道府県知事の指導監督)の規定により都道府県知事が行う指導監督に要する費用については、当分の間、同法第二十七条(指導監督費の交付)の規定によらず、次項に定めるところによる。
3 国は、政令で定めるところにより、公営住宅法第二十六条第一項の規定により都道府県知事が行う指導監督に要する費用の一部を当該都道府県に交付する。
附 則
1 この法律は、昭和二十九年四月一日から施行する。
これが建設省に関係した法案でございます。
これを審議いたしまして修正いたしました。これはこの「当分の間」というのを削除いたしまして、そして「この法律は、第十八条の規定を除くの外、昭和三十年三月三十一日限りその効力を失う。但し、昭和二十九年度分の予算に係る補助金、負担金、委託金については、同日後もなおその効力を有する。」こういうふうに修正したのであります。そうして昨日委員会を通過いたしました。
以上御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/3
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004・久野忠治
○久野委員長 ただいまの岡村君の報告を了承するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/4
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005・久野忠治
○久野委員長 御異議なしと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/5
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006・久野忠治
○久野委員長 土地区画整理法案及び土地区画整理法施行法案の二案を一括して議題といたします。
まず政府より提案理由の説明を聴取いたします。南政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/6
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007・南好雄
○南政府委員 ただいま提案になりました土地区画整理法案につきまして、提案の理由とその概要とを御説明申し上げます。
御承知の通り、現在土地区画整理の事業は、都市計画法及び特別都市計画法に基いて運営されているのでありますが、その施行の方法に関する主要事項は、これらの法律において準用する旧耕地整理法の規定によつているのであります。この旧耕地整理法は、明治四十二年に制定され、昭和二十四年に廃止されたものでありまして、その規定は、その後における社会事情の変遷に即応しない部分もあり、また元来農地に対して適用するために制定されたものでありますので、市街地に施行される土地区画整理の事業については、適合しない部分も少くないのであります。また都市計画法及び特別都市計画法の土地区画整理に関する規定には、各種の施行者の行う事業の間に関係権利者の取扱い等について不均衡がありますので、その調整をはかることが必要とされていたのであります。
ここにおきまして、これらの法律の土地区画整理に関する規定を統合整備いたしまして、単独法を制定し、運用の統一を期するとともに、市街地における土地区画整理事業の円滑な施行を促進して、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進をはかり、もつて健全な市街地の造成に寄与するため、本法案を提案した次第であります。
以下本法案の従来の土地区画整理と異なる主要な点について御説明申し上げます。
第一に、土地区画整理組合は、従来は土地所有者によつて組織されることを原則としておりましたが、近時における借地権の地位の重要性にかんがみ、事業を円滑に施行するため、借地権者もその組合の組合員としたのであります。
第二に、地方公共団体は、従来は建設大臣の施行命令によつて土地区画整理の事業を施行することとされていましたが、地方の実情に応じまして自発的に事業を施行することができることとしたのであります。
第三に、国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業につきましては、現在も戦災都市の復興のための土地区画整理について、行政庁が施行に当つておりますが、今後におきましても建設大臣が必要と認める場合には、土地区画整理事業を行政庁に施行させることができるものとし、なお特に必要がある場合には、建設大臣がみずから施行することができることとしたのであります。
第四に、土地区画整理事業の円滑な運営をはかるために、土地の所有者及び借地権者のみならず、その他の関係権利者についても、その意見が反映し得るように必要な措置を講ずることとしたのであります。すなわち事業計画及び換地計画を定める場合におきましては、あらかじめこれらを公衆の縦覧に供し、利害関係者はこれらに関し意見書を提出できるものとしまして、その意見書の処理について必要な規定を設けたのであります。また地方公共団体及び行政庁が施行する土地区画整理事業について置かれる土地区画整理審議会の委員並びに土地区画整理組合の役員及び総代について任期を定め、改選請求または解任請求の制度を設ける等の措置を講じたのであります。
第五に、一定規模以下の過小宅地及び過小借地または関係権利者の同意があつた宅地につきましては、換地にかえて建築物の一部を与え得ることとし、密集市街地等における土地の高度利用をはかることとしたのであります。
以上が土地区画整理法案の提案理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いする次第であります。
次に、土地区画整理法施行法案につきまして、提案の理由とその概要とを御説明申し上げます。
土地区画整理法の施行に伴つて、現行法による土地区画整理について必要な経過規定を設ける必要があり、あわせて関係法令の改廃を行う必要がありますので、本法案を提案した次第であります。すなわち土地区画整理法の施行に伴い、現行法により土地区画整理組合及び地方公共団体が施行する土地区画整理については、土地区画整理法施行の日から五年以内に同法の規定による土地区画整理事業に切りかえることができるものとし、その他の土地区画整理については、土地区画整理法施行の日に同法の規定による土地区画整理事業に切りかえるものとして、必要な経過規定を設けるとともに特別都市計画法を廃止し、登録税法その他の関係法令に所要の改正を加えたのであります。
以上が土地区画整理法施行法案の提案理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/7
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008・久野忠治
○久野委員長 両案につきまして、さらに補足説明を聴取することといたします。澁江政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/8
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009・澁江操一
○澁江政府委員 ただいま提案理由の説明がございました土地区画整理法案並びに土地区画整理法施行法案の両法案につきまして、逐条的な説明を申し上げたいと思います。
まず土地区画整理法案につきまして御説明を申し上げます。
第一章総則の関係につきまして申し上げたいと思います。
第一条は、この法律の目的を掲げたのでございまして、すなわち健全な市街地の造成をはかることを目的とし、終局的には公共の福祉の増進に寄与することを目的としておる旨を定めておるわけでございます。ここに「健全な市街地」という字句を使つてございますが、健全な市街地の意義は、災害の防止あるいは交通の安全、衛生上良好な環境を整備することを目的としました家屋の連権する一定の区域の整備というふうに考えております。
次に第二条は、この法律を通じまして用いられる特定の用語につきまして定義を掲げたのでございます。第一項は、土地区画整理事業の内容となる条件を、三つにわけて規定をいたしております。すなわちその第一は、土地区画整理事業が行われるべき区域を、都市計画区域に限定しております。すなわち健全な市街地造成という本法の目的に照しまして、またある程度の私権の行使を制約をするという事業の性格からいたしまして、この法律の行う区域を、都市計画法第二条の都市計画区域に限る必要があるというふうに考えたからでございます。第二の条件は、事業の目的を公共施設の整備改善と宅地の利用増進とに置いております。従来の土地区画整理の目的は、宅地としての利用増進をはかるということに置かれておつたのてありますか、今回の法案におきましては、新たに公共施設の整備改善を加えたのでございます。本来宅地の利用増進と公共施設の整備改善とは、たての両面のごときものでありまして、公共施設の整備改善を伴わないで、一定の区域内の宅地の利用増進をはかることは、ほとんど不可能であります。また都市の人口の過度集中、あるいは交通事情の激化、住宅建築物の高層化の傾向からいたしまして、道路あるいは公園等の公共施設の国民生活上に占める地位を考えますと、ますますこの宅地の利用の増進と公共施設の整備改善という問題とは、両者相並列して考えなければならぬ段階になつておりますので、かような点からいたしまして、両者の目的をあわせましてこの土地区画整理事業の目的というふうに規定いたしたわけでございます。第三の条件でございます土地の区画形質の変更と申しますのは、耕地整理法以来用いている用語でございまして、区画の変更と申しますのは、換地処分によりまして土地の区切りを適正にいたすことであります。形質の変更とは、たとえて申しますれば低湿地帯に対する排水工事、あるいは土盛り工事を行うことによりまして、宅地適地を造成することなどを申すのでございます。
第二項は、本来第一項の土地区画整理事業の一環として行われる事業でございまして、すなわち法文に書いてございますように、前項の事業の施行のため必要な工作物その他の物件の設置と申しますのは、あとで御説明いたしますような立体換地という方法、手法を考えておりますが、そういつたような立体換地をいたします際における建築物の建設等を申しております。さらに「その事業の施行に係る土地の利用の促進のため必要な工作物その他の物件の設置」と申しますのは、ガス、水道等の配管工事等をさすのでございます。
第五項におきまして、公共施設を定義づけておりますが、換地処分におきまして減歩の対象とならないで、むしろ増設拡張される施設に重点を置きまして考えておる施設でありまして、ここに掲げてございますように「道路、公園、広場、河川その他政令で定める公共の用に供する施設」というふうに規定いたしたわけでございます。
第六項の宅地の定義は、現行の特別都市計画法の用法にならつたのでありますが、従来宅地外に取扱われておりました、たとえて申しますれば私設の道路等のごときものも、今回の法律におきまして、私権尊重の点からむしろこの宅地の中に包含せしめるように拡大規定をいたしたのでございます。
第三条は、事業の施行者につきまして、その通則を規定したのであります。すなわち第一項は、従来いわれておりました、いわゆる一人ないし数人共同施行という概念に相当するものでありまして、自分の宅地あるいは借宅地を関係権利者等の同意を得て区画整理する場合をいうのであります。
第二項も、従来通りの趣意におきまして設けられたものでありまして、いわゆる組合施行と申すものでございます。
第三項は、地方公共団体の施行でありまして、従前は都市計画法の第十三条によりまして、建設大臣から命ぜられた場合にのみ公共団体が施行し得る建前になつておつたのでございますが、今回の法案におきましては、自発的な施行をいたす道を開いたのであります。すなわち最近におきましては、地方公共団体が市街地の整理問題の解決の手段として、土地区画整理事業を施行せんとする熱意が各所に見られますので、その実情に対応いたしまして、新たに自発的な施行の道を開いたのでおります。ただ、公共団体、すなわち都道府県にいたしましても、市町村にいたしましても、これらの事業を施行する際にあたりましては、それぞれ財政支出を件うものでございますから、計画的に施行することが望ましいと考えまして、都市計画の決定されている事業の施行予定地域に関する土地区画整理事業を行う場合に限定をいたしたのでございます。
第四項は、国の政治経済上重要な地位を占める地域の市街地の建設に必要不可欠な土地区画整理事業でありまして、たとえて申しますと、大火災、大風水害その他の事情によつて急施を要する場合におきましては、建設大臣がこの事業を国の機関としての都道府県知事あるいは市町村長に施行させることができる建前といたしております。すなわち従来いわれておりましたいわゆる行政庁施行の方法であります。現在までにおきましても、たとえて申しますれば、関東大震災、あるいは宇治山田の神宮関係の土地整理、あるいは今次の戦災復興のための土地区画整理事理は、それぞれ行政庁施行の方法によつておるのであります。なお、この要件に適合する土地区画整理事業で、国の直轄河川の改修工事または道路改良工事等とあわせて施行する必要のある場合、あるいは首都の衛星都市の建設、あるいは中央官衙建設計画の実施のように、都道府県知事または市町村長に施行させることがはなはだ困難あるいは不適当と認められるものにおきましては、国の直轄事業として建設大臣がみずから施行し得る建前といたしたのであります。
次に第二章に移ります。
第四条−本条は一人ないし数人共同して施行しようとする者の認可手続について規定したものでありまして、従来の耕地整理法第三条第一項と同趣意であります。
第五条−本条は耕地整理法施行規則第九条と同趣意でありまして、ここに規定してあります「その他の政令で定める事項」と申しますのは、土地の評価方法あるいは地積の確定方法を規定する予定であります。
第六条、事業計画−耕地整理法で設計書と称したものを、この法律においては事業計画というふうに規定いたしたのでありまして、その内容は従前と同様に考えております。第二項及び第三項におきましては、事業の目的から来る当然の要請を訓示規定として設けたのであります。すなわち先ほど申しました健全な市街地を造成するその内容となるべきものをここに掲げたのであります。
次に第七条−耕地整理法の施行規則第六条第一項及び第七条第一項と同趣意の規定でありまして、公共施設の用に供しておる国有または地方公共団体有の土地を施行地区に編入する際におきましては、その施設の管理者の承認が必要であるという点を規定したのでございます。
第八条−本条は耕地整理法第三条と同趣意の規定でありまして、たとえば宅地の所有者が施行しようとするときは、その宅地の借地権を初めといたしまして、その他のすべての権利を有する者の同意が必要である旨を規定しております。
第九条−事業計画につきましては、それぞれ都道府県知事の認可を受ける建前にいたしておりますが、この規定の第二項及び第三項は、耕地整理法第三条第四項及び第五項と同趣意であります。第一項は、新たに認可申請者の申請の基準を明示しておくために設けられました認可基準でありまして、この中の第三号に規定しておる「市街地とするのに適当でない地域」と申しますのは、たとえて申しますれば、都市計画法による緑地地域として指定された地域、あるいは農地として保全することを必要とする地域等を考えておるのでございます。
第十条−耕地整理法第三条と同趣意の規定でありまして、施行地区の縮小はおおむね施行者の担保能力に変動を与え、費用の分担に関する事項の変更は、施行者の債務の償還能力に影響を及ぼしますので、それぞれ債権者の不測の被害を防止するとともに、施行者が円滑に借入金をすることができる趣意をもちまして、債権者の同意を得る必要を規定いたしたのであります。
第十一条及び第十二条は、それぞれ耕地整理法の第五条と同趣意の規定でありまして、一旦認可を得て施行された土地の区画整理事業を、所期の目的を達するまでは、できるだけ継続してこれを行わせることを趣意といたした規定でもります。
第十三条−前二条と同様の意味におきまして、一旦認可を得て施行しておる事業の廃止または終了については、都道府県知事の認可を要するとしておるのでありまして、耕地整理法の第三条と同趣意の規定であります。
第十四条は、土地区画整理組合の設立に関する規定でありまして、組合の構成員を七人以上というふうに限定をいたしたのであります。七人の定数は、後ほど申し上げますように、組合の役員その他の定員を充足するために最小限度の定数と考えられますので、七人以上ということに規定をいたしたわけであります。
第十五条は、定款の記載事項を規定いたしたわけであります。
第十六条は、事業計画の内容でありまして、前段申し上げました第六条の規定を準用することにいたした趣意であります。
第十七条につきましても、前段第七条の際に申し上げましたと同趣意でございます。
第十八条は、耕地整理法の第二十五条に規定しておりますように、組合の設立の認可がありますと、施行地区内の宅地の所有者及び借地権者は、すべて強制的に組合員となる規定でありますので、組合の設立手続におきましても、将来組合員となる者の同意が必要と考えられるわけであります。借地権者をも組合員とする建前にいたしましたことは、先ほど提案理由の説明の際申し上げましたように、借地権者を尊重する建前から新しく規定をいたしたのでありまして、組合の設立の必要条件といたしましては、所有権者並びにその区域内の借地権者それぞれ三分の二以上の同意を得なければならないというふうに規定をいたしたのであります。
第十九条は、前条の規定によりまして、借地権者につきましても同意を要することといたしました関係から、その人数並びに個々の借地権者の地積をそれぞれ確定する必要から設けられた手続規定であります。
第二十条は、従来の法律になかつた新しく設けた規定であります。宅地の所有者及び借地権者につきましては、第十八条の規定によつて同意を求めることになつておりますが、所有権及び借地権以外の権利を持つ者につきましても、意見を述べる機会を与える必要がありますので、事業計画を市町村長が公衆の縦覧に供し、その結果意見のある利害関係者は、意見書を認可権者である都道府県知事に、それぞれ提出することができるようにいたしたのであります。
第二十一条は、個人施行者につきまして、第九条に規定しましたと同様のことを規定いたしたのであります。
第二十二条は、組合の法人格につきまして規定をいたしたのであります。
第二十三条は、組合の土地区画整理組合という名称の使用条件に関しまして規定いたしたのであります。
第二十四条、組合の費用の負担関係を規定いたしたのであります。
第二十五条は、先ほど申し上げましたように、土地区画整理組合は地区内の所有権者並びに借地権者をすべて強制加入せしめる建前といたしたのであつて、その点を規定いたしたのであります。
第二十六条は、組合員が組合に対して有する権利義務は、その組合員が施行地区内に有する宅地または借地の全部ないしは一部を承継した者に移転する旨を規定したのであります。
第二十七条——従前の組合におきましては、役員として組合長、組合副長、評議員がそれぞれ置かれておつたのでありますが、元来監査を業とする評議員が業務の分掌をし得る建前をとつておりましたり、多少不備な点もありましたので、土地改良法にならいまして、本条におきましても理事及び監事について規定をいたしたのであります。
第三項におきまして、特別の事情がある場合におきましては、定款の定めによりまして、専門知識を有する者につきまして、組合員以外の者から総会で選任し得る規定を置いたのでありまして、土地区画整理事業の性格からいたしまして、その運営につきまして、経験知識を有する者がその衝に当り得る場合等を考えまして、その便宜のために規定をいたしたのであります。
第七項ないし第八項におきまして、先ほど提案理由の際に御説明申し上げましたように、役員すなわち理事、監事の解任請求を、総組合の三分の一以上の連署をもつて、書面をもつて請求をいたし得る規定を置いたわけでありまして、その際におきましては、組合の理事はただちにその請求の要旨を公表しまして、これを組合員の改選投票にそれぞれ付する建前にいたしたのであります。
第二十八条は、役員の職務権限につきまして規定をいたしたのであります。
第二十九条は、説明を省略させていただきます。
第三十条も省略いたします。
第三十一条——総会の議決事項を規定いたしたのであります。
第三十二条——組合の総会の招集は、毎事業年度一回ということに規定をいたしました。
第三十三条——総会の議長の職務権限を規定いたしたのであります。
第三十四条——総会の会議並びに議事手続につきましでの規定をいたしたのであります。
第二項におきまして、重要な決定事項と認められます組合の解散、合併の決定、あるいは政令で定める重要な事項につきましては、組合員の三分の二以上の法定出席座数を必要とし、さらに議決につきましては、三分の二以上の多数決主義によることにいたしております。字句といたしまして「過半数」となつておりますが、誤植になつておりますので、訂正させていただきたいと思います。誤植の訂正いたす箇所はなおほかにもございますが、一応重要な点だけは逐条説明につけ加えて申し上げます。
三十五条——施行地区が工区にわかれている場合におきましては、総会の議決を経まして、工区ごとに総会の部会を設けて、総会の権限をその部会に行わせ得る規定を置いたのであります。
三十六条——総代会の規定でありまして、組合員の数が百人を越える場合におきましては、全組合員の会議を求めることは困難でありますので、かような場合におきましては、総会にかわつてその権限を行わせるための総代会を設け得る規定を置いたのであります。総代会の行う権限につきましては、第三項に掲げてございますように、総会にかわつて総代会が行う権限は、理事及び監事の選挙及び選任、あるいは特別議決事項に関する事項以外のものにつきまして、総会の権限をかわつて行うということを規定いたしたのであります。
第三十七条——総代の選任方法につきまして、まず第一項におきまして規定をいたしたのであります。すなわち総代は組合員の中からそれぞれ選任をする。三項におきましては総代の任期、四項におきましては総代の解任請求あるいは解任の投票につきまして、それぞれ前段申し上げました組合の理事、監事の解任請求並びに解任投票の規定を準用することにいたしたのであります。
第三十八条——組合員並びに総代のそれぞれ議決権並びに選挙権についての規定であります。第二項におきましては、所有権と借地権とを同時に持つておる組合員につきましては、それぞれ借地権者ないし所有権者としての議決によつて選任あるいは議決事項が決定される事項におきましては、所有権、借地権それぞれ一個につきまして、一個の議決権を有する建前を明らかにしております。三項におきましては、組合員の書面による権利の行使あるいは代理人による権利の行使につきまして、それぞれ規定をいたしたのであります。第五項におきましては、代理人による権利の行使につきまして、十人以上の組合員の代理権限の行使を許さない旨を規定いたしまして、いわゆる代理人による権利の不正な行使の行われることを防止する建前にいしたたのであります。
三十九条——これは定款または事業計画を変更しようとする場合の手続を規定いたしたのであります。すなわち変更については、建設省令で定めるところによりまして、府県知事の認可を受けることを必要といたしております。なお第三項におきまして、施行地区の縮小あるいは費用の分担に関する定款の変更あるいは事業計画の変更につきましては、債権者の同意を必要とすることにいたしまして、先ほどこの点につきましても申し上げました通り、債権者の債権の確保と借入金等の道を円滑ならしめる趣意を明らかにいたしたのであります。
第四十条——組合の組合費の徴収権につきまして規定をいたしますとともに、その賦課の基準を第二項に規定いたしまして、さらに過怠金の徴収権を第三項におきまして規定いたしたのであります。
第四十一条は省略いたします。
第四十二条も省略させていただきます。
第四十三条も省略させていただきます。
第四十四条も同様であります。
次に第四十五条——組合の解散に関する規定であります。この規定におきましては、従来の耕地整理法第五十三条と同趣意の規定でありますが、耕地整理法で認められております「組合員一人ト為リタルトキ」とあつた規定を省きましたのは、組合員が二人で組合の存立を認めたものを、一人となつたがゆえにただちに解散させる必要はないというゆえによつたものであります。
四十六条、四十七条、四十八条、いずれも省略させていただきます。
四十九条——組合の清算事務が終つた場合におきましては、都道府県知事の承認を得た後に組合員に報告する——。清算報告書を清算人が確定したものを、都道府県知事の承認を得た後に組合員に報告する建前にいたしまして、これをもつて決算報告を終了することを規定いたしたのであります。
五十条——第二項は、いわゆる新設合併の規定でありまして、第三項は、一方の組合が存続して他の組合を合併する、いわゆる吸収合併の規定でございます。
第五十一条は省略させていただきます。
次は第五十二条以下。五十二条は、都道府県あるいは市町村、いわゆる公共団体が事業施行主体になる場合の規定であります。施行規程、いわゆる組合の定款に相当する施行規程あるいは事業計画につきましては、市町村の場合におきましては都道府県知事の認可を受けなければならない旨を規定をいたしたのであります。
次は五十三条——ただいま申し上げました施行規程は、いわゆる組合の定款に相当するものでありまして、内容といたしまして費用の分担、あるいは後ほど申し上げます土地区画整理審議会の組織を、それぞれ内容として規定する建前でありますが、さような関係をもちまして、それぞれ都道府県あるいはは市町村の条例形式をとることを規定をいたしたのであります。第二項は、右の施行規程に規定すべき内容を掲げたのでございます。
五十四条は省略させていただきます。
五十五条——公共団体施行の区画整理事業の事業計画を定めようとする場合におきましては、これを都道府県知事、市町村長は、それぞれ二週間の期間を定めまして公衆の縦覧に供することといたし、またこの場合におきましては、市町村長はあらかじめ事業計画を都道府県知事に送付いたして、後に規定いたしますような縦覧に供された事業計画の意見をそれぞれ知事に提出する建前になつておりますが、それらの関係から都道府県知事に送付する義務を規定いたしたのであります。二項におきまして、ただいま申し上げましたように、利害関係者は縦覧期間内に、都道府県知事にその意見を提出することができる建前に規定をいたしております。利害関係人の意見提出があつた場合におきます処理方法につきましては、第三項に掲げてございますように、これを当該都道府県の都市計画審議会に付議する建前にいたしております。都市計画審議会に意見書を付議した結果といたしまして、意見書を採択すべきであると議決いたしました場合におきましては、府県が施行主体である場合につきましては、府県知事みずから必要な修正を加え、あるいは市町村が施行主体であります場合には、その市町村に対しまして必要な修正を加えることを、府県知事が命じ得ることを規定いたしたわけであります。意見書が採択すべからずという結果になつた場合におきましては、この意見書をそれぞれ提出いたしました利害関係者に対して通知をするという建前にいたしたのであります。
第五十六は、ただいま申し上げました公共団体の施行する土地区画整理事業につきましては、特に権利者あるいは地区内の一般利害関係者のそれぞれの意見を反映する趣旨からいたしまして、土地区画整理審議会を置くことを規定いたしたわけであります。施行地区を工区ごとにわけた場合におきましては、二項に掲げてございますように、審議会を工区ごとに置く旨を規定いたしております。
審議会の権限といたしましては、換地計画あるいは仮換地の指定、減価補償金の交付あるいは保留地の処分方法に関する事項につきまして、それぞれこの法律で規定いておりますように、あるいは諮問に応じて意見を提出いたし、あるいは公共団体の処分に対しての条件としての同意を与えるというような権限を行使する建前になつておるのであります。
第五十七条——審議会の構成員は、十人から五十人までの範囲内におきまして、政令の定める基準に従つて定数を定める建前にいたしておりますが、その定数は、土地区画整理事業の施行面積を基準として、政令でもつてその基準を定める予定であります。
第五十八条——第一項は、委員の選任方法でありますが、施行地区内の宅地の所有者あるいは宅地に対しての借地権者のうちから、それぞれ各別に委員を選任する建前にいたしております。この場合におきまして、選挙される委員の数は、施行地区内の宅地の所有者の総数ないしは借地権を有する者の総数の割合において、比例して定数の範囲内において按分されるということを要求いたしておるのであります。
第二項は、未登記の借地権につきましては、先ほど申し上げました所有権者、借地権者の比例に応ずる委員の定数を算定する根拠としての借地権者の数には、申告がない限りは算定の基礎とならないという趣意をもちまして、申告のない者につきましては、前項規定の適用については存しないものとみなす、あるいは申告後に移動のあつた者につきましても、その移動の届出のない者につきましては、なかつたものとみなす、こういう規定を置きまして、定数の算定の基礎を確定し得る道を開いたのであります。
第三項は、施行規程によりまして、委員定数の五分の一の範囲内におきまして、土地区画整理事業について学識経験者のうちから中立委員を設け得る旨を規定したのであります。この場合の中立委員の数は、委員の定数の五分の一以内でありますが、もちろん全体の総定数の範囲内にとどめなければならないわけであります。
第四項は、宅地の所有権者のうちから選任されました委員と、借地権者から選任されました委員とを、同一人が兼ねてはならないという旨を規定いたしたのであります。
六項に、委員の任期は三年の範囲内にそれぞれの施行規程で定める建前でありますが、土地改良法等の例を参酌いたしまして、おおむね三年の範囲内という基準を定めたのであります。
七項ないし八項は、先ほど土地区画整理組合の場合についても申し上げましたように、委員の改選請求を借地権者、所有権者それぞれの総数の三分の一以上の連署をもつて請求し得る道を開いたわけであります。いわゆるリコール制を取入れたのであります。リコールの要求があつた場合におきましては、第八項に規定してありますように、都道府県知事あるいは市町村長はその旨を公表いたしまして、施行地区内の宅地の所有権者あるいは借地権者につきまして投票に付するということにいたしたわけであります。
第五十条——審議会の委員につきましては、施行規程で宅地の所有者から選挙される委員あるいは借地権者から選挙される委員それぞれにつきまして、予備委員を置き得る規定を置いたのであります。この予備委員の数は、所有権者から選任された委員の数あるいは借地権者から選任された委員の数の半数を越えてはならないというふうに、第二項によつて規定をいたしております。
第三項は、いわゆる一項の投票を得た委員の当選をむしろ認めない趣意をもちまして、施行規程で定める法定有効投票数を得た者に限つて、予備委員になり得るということを明らかにしたのであります。
六十条は省略いたします。
六十一条——審議会の会長の選任方法並びに会長の権限につきまして、規定をいたしたのであります。
六十二条——審議会の招集は、都道府県知事あるいは市町村長がそれぞれ行う旨規定いたしまして、招集権は知事、市長村長にある旨を明らかにいたした趣意であります。
六十三条は、委員の選挙権並びに被選挙権についての規定であります。すなわち、第一項におきまして、施行地区内の宅地について所有権あるいは借地権を有する者は、委員の選挙については一個の選挙権、被選挙権を有する旨を明らかに規定いたしております。
第二項におきまして、所有権と借地権をあわせ有する者につきましては、所有権につき、また借地権につき、それぞれ一個の選挙権、被選挙権を有することにいたしております。
三項は、未登記の借地権について、申告のない者につきましては、先ほど審議会の委員の定数の算定基礎の際に申し上げましたと同じ趣意をもちまして、申告によつて借地権の存在が確定しておらない限り、それぞれ選挙権あるいは被選挙権の取扱いにつきましては、ないものという取扱いを明らかにいたしております。四項は被選挙権の欠格条項を明らかにいたしたのであります。
六十四条——先ほど申し上げましたように、審議会の意見あるいは決議事項は、都道府県知事あるいは市町村長の一つの処分に対する条件となつておる場合が、それぞれこの法案において規定されておるわけでありますが、その場合において、正当な理由がなくて審議会を開かない、あるいは意見を提出しないという場合においては、いたずらに処分を遷延させる結果になりますので、それらの点を防止する意味において、正当な理由がなくして会議を開かず、あるいは意見を提出しないときには、再度招集を行いまして、しかもなお会議を開かず、あるいは意見の提出がなかつた場合においては、都道府県知事あるいは市町村長において専決し得ることを規定いたしたのであります。
六十五条は、土地区画整理事業に伴います土地、建築物の評価につきまして、審議会の同意を得て、三人以上の評価員を経験者の中から選任し得る規定を置いたのであります。
六十六条以下の第四節の規定は、建設大臣、都道府県知事、市町村長、すなわち行政庁施行をもつて土地区画整理事業を行う場合の施行者に関する規定であります。
六十大条におきまして、建設大臣、都道府県知事または市町村長は、土地区画整理事業を施行しようとする場合におきましては、施行規程、事業計画をそれぞれ定めなければならない建前になつておりますが、その中において、市町村長については、都道府県知事の認可を要することにいたしております。
六十七条—施行規程については、建設大臣が施行者である場合においては建設省令、都道府県知事ないし市町村長が施行者である場合においては、都道府県あるいは市町村の規則をもつて定める建前にいたしております。
第六十八条は省略いたします。
第六十九条−公共団体の施行する土地区画整理事業の場合と同様の意味におきまして、行政庁施行の場合においても、この施行規程、事業計画については、それぞれ地区内の利害関係者の意見を徴する意味において、二週間の期間を置いて公衆の縦覧に供しなければならないことは規定いたしております。利害関係者が縦覧に供せられた施行規程、事業計画について意見のある場合における取扱いについては、公共団体施行の場合と同様であります。
〔委員長退席、内海委員長代理着席〕
すなわち第三項にありますように、意見書の提出のあつた場合におきましては、当該都道府県の都市計画審議会の審議に付し、第四項におきまして、その採択すべきものにつきましては必要な修正を加え、採択すべからずと議決いたしました場合においては、利害関係者にそれぞれその旨を報告する。その取扱いにつきましては、先ほど申しました公共団体が事業主体である場合と同様であります。建設大臣が土地区画整理事業の事業主体である場合におきましては、特に第十項に規定をいたしておりますが、この六十九条の一項から五項までの規定に準じまして、やはり施行規程あるいは事業計画これを公衆の縦覧に供し、地元都道府県のそれぞれ都市計画審議会の意見書の提出があつた場合におきましては、地元関係都道府県の都市計画審議会の審議に付してその取扱いをきめる、こういう考えであります。これらにつきましては政令をもつて規定をいたすつもりであります。
第七十条−土地区画整理審議会を、行政庁施行の場合におきましても、それぞれ施行主体ごとにその付属機関として置く建前を規定をいたしております。この場合におきましても、二項にありますように、施行地区が二以上の工区にわかれております場合におきましては、工区ごとに置くことに相なつております。
評価員の設置につきましては、先ほど公共団体の施行の場合に申し上げましたと同様の趣意で規定をいたしておるのであります。
次に第三章、土地区画整理事業。
第七十二条は、土地区画整理事業の施行の準備あるいは施行そのもののために、他人の土地に立ち入つて測量もしくは調査をし得る土地収用法の規定に準じまして、土地の立入権を規定いたしたのであります。
七十三条におきましては、土地の立入権を認める反面、これによつて損失を受けた者に対する損失補償の規定を置いたのであります。
第七十四条は、行政庁のそれぞれ施行いたします土地区画整理事業の関係書類につきましては、行政庁施行の土地区画整理事業施行の必要のために、施行地区に関係ある登記所に対しまして、あるいはその他の官公署に対しまして、それぞれ必要な簿書の閲覧あるいは簿書の謄写を無償でなし得る規定を置いたのであります。
七十五条は、個人施行者あるいは組合——組合につきましては、組合を設立して施行しようとする者におきましては、必要に応じましで都道府県知事あるいは市町村長に対しまして、技術援助を求めることができる旨を規定いたしたわけであります。都道府県あるいは都道府県知事の場合におきましては、上級の官庁たる建設大臣に対しまして同様の技術援助を求めることができる旨の規定を置いたのであります。
第七十六条は、土地区画整理事業の最も権利制限の具体的現われであります建築行為等の制限に関する規定をいたしたのであります。すなわち事業計画のそれぞれ公告があつた日以後から、第百三条第四項の公告——この第百三条第四項の公告と申しますのは、換地処分の終了を公告する場合でありますが……。
〔内海委員長代理退席、委員長着席〕
換地処分の終了の公告のあつた日までの間におきましては、土地区画整理事業のいわゆる進行中でありますので、それらの施行の障害となるおそれのある土地の形質の変更あるいは建築物その他工作物の新築、改築につきましては、直轄施行の場合におきましては建設大臣、その他の者が施行する場合におきましては都道府県知事の許可を、それぞれ受けなければならないという規定をいたしております。都道府県知事の許可に対しましては、施行者の意見を徴することにいたしております。第二項においてそれを規定しておるのでありますが、第三項におきましては、許可の場合において期限あるいは一定の条件を申請者に対して付することができる旨を規定いたしております。但し、これらの条件につきましては、許可を受けた者に対して不当の義務を課することがあつてはならない旨を特に明らかにいたしております。すなわち無条件的な立ちのき命令あるいはその他これに類する不当な条件となるものを条件として許可を与えることをしてはならないということを明らかにしたのであります。
四項、五項におきましては、いわゆる許可を受けないで不当の建築物を建てた場合、あるいは許可条件に反しまして建築行為をした者、これらにおいては、土地区画整理事業の障害となる意味におきまして、これらの建築行為を排除するためのいわゆる原状回復の命令あるいはそれに伴う物件の移転除却の命令、これらをなし得る規定をいたしますと同時に、それに必要な手続を規定いたしたのであります。すなわち第四項におきましては、さような第一項の趣意に反した建築行為の排除のための原状回復の命令あるいは移転除却の命令を出し得ることを規定いたしておりますし、第五項におきましては、さような命令を出す場合におきまして、相手方を確知することができない場合においては、建設大臣あるいは都道府県知事がその直接執行をなし得る規定を置いておるのであります。
第七十七条は、仮換地の指定、あるいは仮換地についてそれぞれ権利の目的となるべき地積部分を指定した場合におきまして、あるいは後ほど申します百条の規定によりまして従前の宅地に相当する収益、附帯しております収益の権利を行使することを停止させた場合におきましては、これらの従前の宅地あるいは公共施設の用に供する土地に存する建築物、あるいは工作物あるいは障害となる竹木土石、これらをそれぞれ移転除却することができ得る規定を置いております。これらの建築物をそれぞれ除却する場合におきましては、一定の期限を必要といたしますし、期限経過後におきましては、移転除却の趣意をそれぞれ建築物の所有者、占有者に通知する義務を命じておるわけであります。
なお第四項におきまして、建築物の所有者を確知することができない場合においては、相当の期間を定めてこれを一定の期限後に除却する旨を公告することにいたしまして、その後におきまして、これらを施行者が直接移転除却し得る規定を第六項において置いておるのであります。この場合におきましては、建築物等の所在する土地を管轄する市町村長の認可を受けなければならないことにいたしております。
次に第七十八条——これはただいま申し上げました建築物の移転除却の結果といたしまして、それぞれ損害を受けた者に対しまして、これの補償——通常生ずべき損失を補償しなければならない旨を規定いたしております。
第二項は、いろいろの条文が引いてございますが、いずれも違反建築物に対する取扱いでございまして、これらの違反建築物の所有者に対しては、移転、除却によつて、第一項で考えられております損失補償は必要がないということを規定いたしておるわけであります。
第五項は、いわゆる建築物に対して、それぞれ債権を持つておる者の保護に関する必要な規定でありまして、さような除却すべき建築物について先取特権、質権または抵当権がある場合におきましては、それに補償金を支払う場合におきまして、補償金を供託するという規定を置いておるのであります。
第七十九条は、建築物に居住するものを一時収容のための必要な規定、ないしは公共施設に関する工事施行のたきに、いわゆる収用権を発動し得る規定を設けたのであります。
八十条は、土地区画整理事業の施行のために必要な工事を行う場合の土地の立入り等の権限を規定いたしたのであります。
八十二条は土地の分筆あるいは合筆につきまして、施行者が土地所有者にかわつて、それぞれ手続をすることを規定したわけであります。
八十三条は省略いたします。
八十四条は、施行者に対しまして、規約、定款、施行規程、事業計画、換地計画に関する図面、その他書類、簿冊を、それぞれ主たる事務所に備えつけなければならないことを命じております。また第二項におきまして、利害関係者からの閲覧の要求があつた場合においては、正当なる事由がない限りこれを拒むことができない旨を規定いたしております。
八十五条——施行地区内の所有権以外の権利で登記のないものを持つている、あるいは未登記の権利を持つことになつた者につきましては、宅地の所有権者等の連署をもちまして、書面をもつてその権利の種類、内容をそれぞれ施行者に申告する義務を命じまして、権利の確認、確定をなし得る道を開いておるのであります。施行者は議決権、選挙権を行う者を確定する必要がある場合におきましては、借地権者につきまして、申告義務の規定にかかわらず、確定する場合におきましては、定款または施行規程で一定期間申告を受付けない、いわゆる名義変更を認めないことによりまして、選挙権あるいは議決権の確定をいたす手段をとり得る道を四項において開いているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/9
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010・久野忠治
○久野委員長 右両案に対する補足説明並びに質疑は次会に譲ることといたしまして。本日はこれにて散会いたします。
午後零時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904149X01619540331/10
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