1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月十三日(火曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長代理 理事 青柳 一郎君
理事 松永 佛骨君 理事 中川 俊思君
理事 古屋 菊男君 理事 長谷川 保君
理事 岡 良一君
助川 良平君 高橋 等君
田子 一民君 降旗 徳弥君
安井 大吉君 亘 四郎君
滝井 義高君 杉山元治郎君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 草葉 隆圓君
出席政府委員
厚生事務官
(保険局長) 久下 勝次君
委員外の出席者
総理府事務官
(恩給局次長) 八巻淳之輔君
人事院事務官
(事務総局給与
局次長) 慶徳 庄意君
厚生事務官
(保険局厚生年
金保険課長) 松田 盛進君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
専 門 員 山本 正世君
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本日の会議に付した事件
厚生年金保険法案(内閣提出第一二四号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三一号)
厚生年金保険及び船員保険交渉法案(内閣提出
第一三九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/0
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001・青柳一郎
○青柳委員長代理 これより会議を開きます。
都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職務を勤めます。
まず、厚生年金保険法案、船員保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険及び船員保険交渉法案、以上三法案を議題とし、質疑を続行いたします。岡良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/1
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002・岡良一
○岡委員 ちようど慶徳給与局次長がお見えでございますので、国家公務員退職年金制度に関する意見が昭和二十八年十一月十七日に内閣に提出されておりますことに関連をして、お尋ねをいたしたいと思うのであります。問題は結局私の方の立場からは、今後日本の老人の老後の生活の保障はやはり国の責任において果すべきである。従つて現行の諸年金制度というものはできるだけこれを統一ある体系の中に包括せしめて行くということが、年金制度を推進する根本的な原則でなければならない、こう考えておりまするので、そういう立場から、ただいま御提出になつておりまする厚生年金法の一部改正については、なるほど条文を拝見いたしますると、きわめて精緻に、きわめて精巧をきわめてはおりまするが、しかしこれはそういう高通な理想の上に立つて精巧をきわめているというのではなく、単に技術上あるいは法制技術上、立法技術上の精巧さをきわめておるにすぎないという批判を、率直に申し上げなければならないことを私どもは遺憾とするのであります。民間の産業労働者に対する厚生年金法との関連において、国家公務員に対する退職年金法案の構想が、人事院によつて昨年の暮れ発表されております。これを立案された御趣旨を簡単でけつこうでありますが承りたいということと、そしてまたこの立場からごらんになつて、今度の厚生年金法の一部改正に対するお考えはどういう点であるかという率直なるお考えを承りたいこと、並びに昨年の十二月十二日に社会保障制度審議会が年金制度の整備に関する勧告を発しましたが、この勧告に対する国家公務員退職年金法案を立案された人事院としての立場からの御批判、これは私ども今後修正案等を考える場合における基礎的な一つのデータになりますので、率直簡明でけつこうでありますが、この点を慶徳さんから承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/2
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003・慶徳庄意
○慶徳説明員 お答え申し上げます。御承知の通り国家公務員の恩給制度につきましては、国家公務員法の第百七条及び第百八条におきまして、すでにその根本基準が定められておるわけでございます。簡単にその要点を申し上げてみますと、国家公務員として相当年限忠実に勤務して退職した者には恩給を与えなければならぬこと、さらに公務傷病に基いて退職した者または死亡した者の遺族に対しても恩給を与えることができること、さらにまた恩給制度の目的は、本人及び遺族をして退職または死亡当時の条件に応じて、その後において適当な生活を維持するに必要な所得を与えるものでなければならないこと、さらにもう一つ恩給制度は健全な保険数理を基礎として計画され、かつ人事院によつて運用されるものでなければならないこと、以上申し上げた四点が国家公務員法において定められておる根本基準でございます。ただいま御質問のございましたように、昨年の十一月十七日に人事院から国会及び内閣に対しまして勧告をいたしましたのも、要すれば以上申し上げた国家公務員法に定める根本基準による成果でございます。
そこでこれらに対する基本的な考え方という御質問でございましたが、御承知の通り新憲法におきましては、公務員の性格と申しますか、従来の官吏制度に比べて根本的な改変が行われたのでございます。従来の公務員は天皇の官吏という立場にあつたのでございますが、新憲法におきましては一方において勤労者である、従いまして憲法に認めておりますいわゆる労働基本権、団結権、団体交渉権等の労働基本権というものは憲法的にはこれが公務員につきましても認められておるのでございます。同時にまた勤労者でありますけれども、公務に従事するという観点から、新憲法におきましては公務員の性格が一部の奉仕者ではなくて、国民全体に対する奉仕者であるというふうに定められておるわけでございまして、言葉をかえて申し上げますならば、勤労者であり、かつ全体の奉仕者であるといういわゆる二重人格者的な性格を付与されておるのでございます。従いまして全体の奉仕者というような観点からいたしまして、基本的に認められておりまする勤労者に対する労働基本権につきまして、御承知のごとき相当大幅な制約を受けておるのが公務員の現在の体系でございます。おそらくこのような性格を持つておりますならば、制約を受けます程度なり限度につきましては、いろいろ立法論的に問題があるかと思うのでありますが、いずれの国におきましても程度の差こそあれ、全体の奉仕者というような観点からそれぞれの制約を受けております。ひとりわが国のみでなくして、諸外国の公務員制度でも大体同様なやり方をとつておるように拝聴いたしておるのでございます。かような二重人格者的な公務員でございますので、在職中の給与につきましては御承知のごとく人事院の勧告によつてこれをやる。また退職時の給与等につきましてもこれに相応いたしまするところの特殊性に対応する年金制度の必要性もあるのではなかろうか、かような基本的な観点から先ほど申し上げたところの国家公務員法における根本基準がそれぞれ定められておると私ども考えておる次第でございます。従いまして公務員の年金制度はあくまでも使用者である国という立場に立脚いたしておるのでございます。同時にまた公務員制度の一環としての体系を形づくつておる。これがやはり一つの特色であろうかと存ずるのでございます。厚生年金保険、おそらくこれは実質的には社会保障制度を代行しておるものと私どもは了解しておるのでありますが、ただ内容的に社会保障制度審議会から答申にかかるものと若干相違を来しておるにすぎない。従いまして実質的には社会保障制度と理解しても間違いはないのではなかろうかというような考えをとつておるのでございます。従いまして厚生年金保険即社会保障制度というような観点からお答え申し上げまするならば、これはあくまでも雇用者という前提に立つておりますので、いわば国民全体と申しますか、厚生年金保険におきましては労働者を対象としておるのでありますから、先ほど申し上げました使用主たる国という立場あるいは公務員制度の一環としての立場という観点とは、その基本射な観点において相当違うところがあるのではなかろうか、かように私どもは考えておる次第でございます。ただ最後に御質問のございました社会保障制度審議会から勧告にかかりますところの年金制度全般の統一性の問題、この問題につきまして最後にお答え申し上げてみたいと存じます。
私どもの考えといたしましては、いわゆる国民全体を対象とした社会保障制度は一日もすみやかにこれが実現することを希望いたしておるものでございます。同時にまたこのような社会保障制度ができ上りましたときには、たとい公務員でありましても国民であり、勤労者でありまする以上、この社会保障制度の適用のうち外ではあり得ないと私は考えておるのであります。ただ先ほど申し上げましたように、公務員としての特殊性また公務員制度の一環としての観点、こういう観点からものを考えなければならないというところも、相当重要な点であろうかと考えるのでございます。従いまして問題は両者間の調整をいかにするかという問題に帰するのではなかろうかと思うのでありますが、たとえば社会保障制度の最も進歩しておると称せられるイギリスの例をとりましても、一方におきましては公務員の特殊性に対応する恩給制度があり、他方また国民全体を対象とする社会保障制度がある。両方の制度がありまして、しかも両者間において適当、合理的な調整手段を講じまして、しかも両々相まつて生成発展いたしておるような現況であることを、私ども研究の結果知つておるのでございます。従いまして将来の問題であろうかと思うのでありますが、イギリスのような両方の制度をつくりまして、両者間において合理的な調整方法を講ずるようにいたしたならばいかがであろうかというような考えを持つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/3
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004・岡良一
○岡委員 国家公務員退職年金法案の御趣旨については十分了承いたしたのでありますが、なお聞き漏らしたのかもしれませんが、あの御意見の中には国家公務員のみならず、地方公務員——その中には教育公務員も含まれるし、また希望するならば、公共企業体従業員をもこれに包括し得るものであるという趣旨が述べられてあつたと承知しておるのでありまするが、そういたしますと、国家公務員退職年金法案の立案の趣旨は、やはり中央地方を通じて、また公共企業体従業員をも通じての現在の恩給法なり、地方恩給法なり、共済組合制度なり、あらゆる形における複雑なる年金制度というものを、一本に少くともとりまとめて行こうという御趣旨なり御努力なりがあの中にあるものと承知いたしておるのでありますが、かように考えていいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/4
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005・慶徳庄意
○慶徳説明員 率直に申し上げまして、現在先ほど申し上げました国家公務員法は、国家公務員に対する根本基準でございますし、また現在人事院として与えられておりまする権限関係からいたしまして、遺憾ながら国家公務員についてのみ権限は存するのでありまして、地方公務員、公社職員等にまでは及ばない体系に相なつておるわけでございます。このような権限等の関係がございまして、国家公務員を中心とした勧告というような結果に相なつたのでございますが、たまたまその間における私どもの研究過程におきましては、もちろん地方公務員、公社職員等につきましてもそれぞれ研究は重ねたのでございます。従いまして権限外のことにわたりますることをお許し願いまするならば、簡単にその点につきまして申し上げてみたいと存じます。先ほど申し上げましたところの憲法の条章は、国家公務員についてのみ適用があるのではありませんので、地方公務員につきましても同様の建前、同様の適用を受けておりますることは、いまさら申すまでもないことと存ずるのでございます。従いまして条文の文句その他におきましては若干の相違がありまするけれども、地方公務員法におきましても、先ほど申し上げました国家公務員に対する年金制度の根本基準とやや同じうする条文があるわけでございます。本来からいたしまするならば、国家公務員といい、地方公務員といい、ひとしく憲法上の公務員でありまする以上は、これをすべて打つて一丸とした、しかもその特殊性に合致した年金制度をつくるということも一つの方法ではなかろうかというふうに考えられる点があろうかと存ずるのであります。ただ先ほども触れましたように、新しい年金制度は保険数理を基礎とした長期収支計画を前提といたしております。遺憾ながら人事院の立場といたしましては、地方公務員の給与水準なり給与体系なりあるいはまた職員厚生というような方面に対する具体的なデータを持ち合せておりませんので、このような事務的な観点からいたしましても、早急に成案を得ることは困難だというような、権限等の関係並びに実際の事務的な観点というような意味合いから、先ほど御質問のござしましたような包括加入というような形において勧告をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/5
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006・岡良一
○岡委員 重ねてお伺いいたしたいことは、簡単にお答え願いたいのですが、この勧告の要旨の適用範囲の第二項には、都道府県に所属する地方公務員及び教育公務員である地方公務員は、都道府県ごとに、公共企業体職員は公共企業体ごとに、当該都道府県または公共企業体の希望によつてそれぞれ包括して新年金制度に加入することができる。この場合これに必要な事項は別に法律で定める、こういうふうに適用範囲の拡大を許容しておられるということは、結局国家公務員なり地方公務員なりまた公共企業体従業員に対しても、やはり統一ある年金制度をもつて臨むことが合理的であるというお考えから、こういうふうな方針をうたわれたのであるかどうか、その点をお伺いしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/6
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007・慶徳庄意
○慶徳説明員 率直に申し上げまして、御趣旨の通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/7
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008・岡良一
○岡委員 もしそういたしますると、そこでこれは数字にわたりますが、いろいろな資料があるわけです。標準的な、たとえば平均的なと申してもいいでしよう、いわば国家公務員の平均的な普通恩給は、最も最近の数字は月額幾らであるか、またこの法律によつて支給され得ると思われる国家公務員の年金額は一体幾らであるか、この点数字でお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/8
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009・慶徳庄意
○慶徳説明員 はなはだ申訳ないのでありますが、今実は具体的計数を持つて来ておりませんので、もう少し時間をかしていただきたいと思います。同時にまたその標準のとり方につきましても、いろいろの見方もあろうかと思いまするので、しばし時間をおかし願えればいつでもそういう計数をお答え申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/9
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010・岡良一
○岡委員 私どもの方に入つておりまする資料によりますると、現行の恩給制度における二十七年二月末調べによると、文官の普通恩給は年額が五万三百七十七円になつております、教職員では五万一千というようになり、監獄あるいはその他待遇職員を平均いたしましての普通恩給は四万五千五百九十三円、また扶助料は二万七千九百七十円になつております。そこでそれでは保険局長にお伺いをいたしたいのでありますが、この改正年金法案によつて、ただちに受給権が発生し授給される本年度内の、たとえば坑内夫についての年金の年額平均は一体どれだけになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/10
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011・久下勝次
○久下政府委員 お答えを申し上げますが、実は個々人によりまして年金額が違いますので、ただいまのところまだ新しい受給者についての平均額はとつておりません。従いまして正確に申し上げることはできない段階でございますが、いずれにいたしましても昨年十二月以降受給権の発生いたしました坑内夫は、この法律がもし国会を通過いたし成立をいたしましたとき、そのときを押えまして、その前の標準報酬月額が三千円未満でありました者は全部三千円に上げて計算をいたします。同時にまた現行法は八千円という頭打ちがございまして、坑内夫だけの標準報酬は大体八千円ぐらいになつております。そういうような三千円から八千円という幅の狭い関係がありますることと、標準報酬の低い時代に被保険者であつた期間が数年間ございます。さような関係上非常に高い額にはならないと思つております。予算的には一応年額三万一千円ぐらいになるものと予定いたしております。具体的な数字はただいまのところまだわかつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/11
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012・岡良一
○岡委員 そこで、私どものこれは確かな資料だと思いまするが、この資料によると、こういうふうに現行恩給制度によつて年金をもらう場合は、普通恩給の平均が昭和二十七年度四万五千円、これはベースが上つているからまた上つて来るかもしれない、ところがせつかく改正をしても三万円そこそこである、一体民間の労働者と、そうしてまた国家公務員という立場というものは、これは憲法第二十五条によつても、法の前にすべては平等でなければならぬ、そういう原則から見て著しく不平等な待遇が与えられておる、この不平等は一体何によつて起つておるのであるかという点を給与局次長、保険局長御両者からひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/12
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013・慶徳庄意
○慶徳説明員 国家公務員の場合と民間労働者とのバランスという観点からの御質問でございますが、私どもの了解しかつ研究しているところから申し上げますと、民間におきましては、一方において厚生年金保険の年金給付があるのでありますが、そのほかに事業主の一方的負担によりますところの退職金制度がございます。しかもこの退職金制度も、相当企業内容の大きいところにありましては相当多額のものであると承知いたしておるわけでございます。この比較につきましてはいろいろの見方があろうかと思うのでありますが、私どもの研究によりますると、私どもの方から勧告いたしました新しい年金制度と、さらに民間における厚生年金プラス退職手当、もちろんこれは大体一流どころとの比較でございますが、大体においてそんなに大きな逕庭はないというふうに大まかに考えておるのでございます。同時に、総体の財源の面からいたしまするならば、たとえば公務員の年金制度につきましては大きな目的を前提として定めておりまするので、二十年以上在職した者につきましてはもちろん年金が支給されることになるわけでありますが、二十年未満の者につきましてはきわめて低い、いわゆる一時金を支給する建前をとつております。ところが民間におきましては一時金制度でございますので、二十年以上の者と二十年未満の者とにおいて大きな断層がないというような退職金制度のやり方をとつているように拝聴いたしておるのでございます。従いまして国家公務員の場合におきましては、二十年未満の退職につきましては、民間の厚生年金プラス退職手当に対比いたしますと、公務員の方がどちらかと言えば多少割が悪い。これに反しまして二十年以上になりまして、さらに勤続年数が長くなつて参りますと、報酬比例方式によつて公務員の恩給制度ができております関係からいたしまして、若干公務員の方が有利になつて参る、大まかに申せばこのような結果に相なります。少くとも民間の厚生年金プラス退職金との対比において考えることが妥当するのではなかろうかと、率直に申し上げてかように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/13
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014・久下勝次
○久下政府委員 私からもお答えを申し上げます。慶徳次長からお話のありましたのと同じように考えているものでございます。昭和二十七年の労働省の調査によりましても、三十人以上の事業所二万九千四百十五箇所を調査しておりますが、そのうち二万四千二百二十二箇所、すなわち事業所数にいたしまして八三%、同じくこれを労働者数で申しますと、同じ事業所に働いております五百十二万二千七百四十六人の労働者のうち四百六十七万二十三人、比率にいたしまして九一%の労働者でありますが、これだけの比率の人たちが、昭和二十七年五月の労働省調査によりますと退職金制度をそれぞれ持つているのであります。従いまして国家公務員につきましての退職金といいますか、あるいは現行では恩給と申しますか、これは、民間労働者について申しますれば厚生年金と退職金というものが合さつたものと考えてよろしいのではないかと考えているものであります。そういう意味合いにおきまして、退職金のあるところとないところと全体平等に取扱います厚生年金といたしましては、退職金の問題は別として適当なところに筋を立ててきめて行かなければならないと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/14
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015・岡良一
○岡委員 今お示しの統計なんですが、退職金制度を持つている、しかし一体どれだけの退職金を出しているかという退職金の実体を、もう少し調査する必要があるじやないかと思うのです。私どもの知るところでは、相当な重役であれば別といたしまして、一般の労働者といたしましてはそれほどの退職金じやない。しかし一方官公吏は五万数千円、一方厚生年金が三万一千円である。この差を多年にわたつて穴埋めして行くような退職金などというものは与えられていないじやないかという懸念があるわけなんです。もしかりにそういうものが多少あつたといたしましても、やはり老後の生活は、国が雇用主となつている公務員であろうと、あるいは地方団体の長が雇用主となつている地方公務員であろうと、あるいは民間産業の労働者であろうと、すべて国民の老後の生活を守るという立場から言うと、そういう不確定な、かつ不均衡な退職金があるからということでもつて、この問題を特に民間労働者については取扱いを低くするということは、やはり正しい方法じやないと思うのです。
そこで重ねて、恩給局の次長も来ておられるそうでありますが、私がどうしてもきよう恩給局長に特に御出席を求めておりまするのは、軍人恩給の復活に基く恩給局の裁定が非常に少い。二百六十六万件からあるに対して十六万件かしかしておらないということについて、責任ある御答弁をいただきたいので、恩給局長なり官房長官なりの御出席を求めておるのでありますが、恩給局の次長が来ておられるということでありますから、ひとつこの際お聞きしたい。
一つは要するに民間の場合厚生年金の低いのは、三千円から八千円というようなきわめて作為に満ちた、現実に即さない標準報酬をとつておられるというところにあるのではないかという点を、久下さんから承りたい。それからいま一つは、現行の恩給法によつてかりに平均五万七千円というものが昭和二十七年の二月に支給されておりまするが、その恩給に対する公務員の自己負担はこの中でどれだけなのか、そしてまた国の負担はどれだけなのか、雇用者として国の補助率はどれだけなのであるか、この点も当然おわかりだろうと思うから、この際ひとつはつきり数字でお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/15
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016・久下勝次
○久下政府委員 前段は私に対するお尋ねでございますが、そういうふうに仰せになりますればその通りでございます。問題は標準報酬というものを本来事務的な便宜ということからきめておりまするので、実質賃金に合うように標準報酬はきめて行くべきものであるとわれわれも考えておるわけであります。しかしながら一つの大きな制約は、結局標準報酬のわくのきめ方いかんが労使の負担に直接大きな影響を来して参ります関係がありまするので、その辺の考慮から従来そういう措置がとられて参つてそのままになつておりまするし、また今回の措置も実質賃金に合つた標準報酬のわくのきめ方というところまで一挙に進み得なかつた事情があるわけであります。その結果、給付額におきましてもまたそれを基礎にして計算をされます関係上、低くならざるを得ないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/16
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017・八巻淳之輔
○八巻説明員 年金恩給に対しまする納金がどのくらい含まれておるか、つまり国庫に対する受給者の納金がそのうちにどれくらい含まれておるかという点につきましては、これは全体の予算的に申し上げますと、昭和二十六年度の予算については年金恩給の総額が八十五億ございましたが、これに対しまして収入に立つておりまする納金が三十五億、それから昭和二十七年度におきましては百六億に対しまして三十八億一昭和二十八年度におきましては百十四億に対して四十九億というものが歳入に立つております。各個人について申し上げますと、御承知の通り各毎月俸給の百分の二ずつを納金として納めるということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/17
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018・岡良一
○岡委員 ちよつと私聞き漏らしたのですが、昭和二十八年には百十九億の恩給の支払いがあつたのでございますね。そうして納付額が五十億余あつたのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/18
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019・八巻淳之輔
○八巻説明員 二十八年度におきましては百十四億でございます。これに対しまして歳入の面におきましては四十九億、こうなつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/19
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020・岡良一
○岡委員 その歳入の四十九億というのは国なり組合なり——国が何らか補填しているものでなく、純然たる給与の中からの源泉徴収としての百分の二が積り積つて四十九億となつておるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/20
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021・八巻淳之輔
○八巻説明員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/21
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022・岡良一
○岡委員 そうしますと恩給に対する国の補助率、国の負担というふうなものははつきりときまらないで、ただ漠然と納付金に伴い不足分を国が負担しておる、無制限に負担し得るのであるという取扱いになつておるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/22
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023・八巻淳之輔
○八巻説明員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/23
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024・岡良一
○岡委員 それでは厚生年金の今度の改正では、国の負担が二 と一割ですか、になつておるわけなのですね。こういう点で国の負担ということになれば、これはやはりわれわれの税金が負担をしておるので、これが特に政府職員と民間産業労働者との間に甲乙があるべきではない、理想的にはそうあるべきだと思うのですが、その点今のお話だとすると、かなり食い違いがあるわけです。国が雇用者としての負担分があるといえばあるわけですが、そういう点の食い違いは具体的に数字でどういうふうになつておるのでしようか、久下さんの方でお調べになつておれば承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/24
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025・久下勝次
○久下政府委員 恩給につきましてはただいま質疑応答のありました通りでありますが、一方国家公務員である雇用人の制度につきましては、御案内のように国家公務員共済組合法の適用がございまして、これにつきましては厚生年金の給付に当ります部分について給付費の百分の五十五を国が負担するという建前になつております。すなわち百分の四十五が本人の負担分であり、国が百分の五十五というので、おおむね一割相当額を国が負担をしておるということでございまして、現行の厚生年金保険法とその点は調子が合つておるわけでございます。厚生年金保険法の坑内夫を除いた一般労働者に対する国庫の負担と調子が合つておるわけでございます。ただ今度の改正におきましては、厚生年金保険法だけ特に一万八千円に標準報酬のわくを広げます関係上、労使の負担が増し、あるいは過去の年金給付の額を引上げ、あるいは標準報酬を引上げる等、それらのいろいろな事情を加味いたしまして一割五分の負担というふうにいたしたわけでございます。その辺は今度もしこの法律が国会を通過いたしますると、さしあたりは国家公務員共済組合法との間にも調子がとれなく、こちらの方が有利になる、そういう結果になるわけでございます。
なおたいへん失礼でございますが、先ほどお話がございました退職金制度との関連につきまして誤解があるといけませんので申し上げさせていただきますが、私どもは退職金制度があるということを前提として、この厚生年金保険制度を考えておるものではございません。これはいろいろ検討いたしましたけれども、結局事業主とその事業所に働いておる労働者との関係において、あるいは協約に基きあるいは協約なしにそれぞれの事業所においてきめられておるものでございまして、法律的にはこれはいかんともいたしがたい制度であるということも一つの事情でございますが、私どもとしては退職金の制度の有無にかかわらず、むしろそういう制度のない小さい事業所がまだたくさんございます、そういう人たちのために厚生年金保険制度を合理的なものに組み立てて行くことが必要であるという考え方でやつたものでございまするので、その点、繰返して申し上げますならば、退職金制度があるということを前提にしてこの制度の検討を上、成案を得たものでないということだけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/25
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026・岡良一
○岡委員 私は国の補助の方はそれで大体わかりましたが、それでは恩給局次長さんからお聞きをし、また補足的には久下さんからお聞きをしたいと思いますが、そうしますと国家公務員あるいは共済組合に包括されておる地方公務員なり教育公務員について、それぞれ多少差異があるかもしれませんが、支給開始の年齢は一体何歳であるか、または受給権の発生する勤務年限はどれだけであるかということ、大体その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/26
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027・八巻淳之輔
○八巻説明員 退職いたしまして普通恩給の権利の発生いたします在職年数は、一般の文官につきましては十七年、警察監獄職員につきましては十二年、こういうふうに定められております。その年齢につきましては若年停止の規定がありまして、四十五歳以下は全額を停止される、四十五歳から五十歳までは五〇%を停止される、それから五十歳から五十五歳までは三〇%を停止される、そうして五十五歳以上がフルに支給を受けられる、こういうふうな制度になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/27
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028・岡良一
○岡委員 今われわれが審議しております厚生年金保険法では、現行の五十五歳がさらに引上げられまして六十歳になろうとしておるわけなんであります。そこで公務員等の恩給については四十五歳から支給開始ができるということは、やはり公私を問わず勤労者であるという建前に立つておる公務員なり民間労働者に対する老後の生活の処遇としては、非常に不均衡である、そうお思いになりませんか、その点久下保険局長から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/28
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029・久下勝次
○久下政府委員 私は必ずしも不均衡であるとは考えておりません。と申しますのは、もちろんいろいろ議論の余地はあることはあると思いますけれども、少くとも公務員というものにつきましては、国家公務員という一つの狭いわくの中だけでの長い勤続を考えておるわけであります。こういう人たちに対して、それだけの制度の中で年金を支給するという場合には、一つの考え方としてそういう考え方もとれると思うのでございます。しかしながら厚生年金保険法の場合におきましては、現在でも七百五十万を越える被保険者をかかえておりまするし、まだ事業所の数から申しましても、二十三万箇所になんなんなんとしおる事情であります。その間に労働者の移動も盛んに行われるわけでございます。それらの移動のありますものは全部通算をして全体の被保険者期間を考えて行くわけでございますし、また今度御審議をいただいておりまする船員との間の通算も考えて行くということも考慮に入れておりまするし、また近い機会におそらく適用範囲の拡張も行わなければならない情勢になろうと思いまするし、そういうような関連を考えて参りました場合において、一事業所と申しますか、大きいながらともかくも一事業所である国の機関に働いておる公務員と、厚生年金制度のような広い範囲に適用があるものとは、その辺は違つて考えてよろしいのではないかというふうに思つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/29
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030・岡良一
○岡委員 そこで今の久下さんの御答弁の中で、業種がいろいろあるとか数が多いとかいうことは、これはもう問題じやないのです。ただしいてあなたの理由の中で言えば、通算制ができるということなんですね。しかし通算制をすればいいのですよ。問題は通算制をすればいいので、通算制のできないような制度にしておくからこういう不均衡が生れて来るので、不均衡という事実があるということはやはり不均衡なんです。そこで問題は根本的な問題になるわけなんですが、慶徳さんなかなか理論家だから、恩給という概念と厚生年金という概念とは一体どの程度違うのか、そこをひとつはつきり、これは久下さんと慶徳さんのお二人から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/30
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031・慶徳庄意
○慶徳説明員 たいへん基本的な、まことにむずかしい御質問で、実はお答え申し上げますことが当を得ていないというそしりを受けるかもしれないと思うのでありますが、私の私見というようなおつもりでお聞き願えれば幸いと存じます。何回も申し上げますように、公務員の年金制度は国たる事業主の立場における一種の損害賠償というような観点で考えられておりまするので、どうしても社会保障制度理論に立脚いたします厚年年金とは、そのよつて立つところの基盤がどうしても違つて行くのではなかろうかというふうに考えられるのでございます。従いまして問題は、先ほど岡先生から御指摘がございましたように、民間労働者とのバランスということが一つの重点であろうかと存じます。その場合に民間労働者といいましても、御承知のごとくピンからキリまであるわけでありますが、国家公務員のこういう施策を考えます場合に、民間企業のどの程度の企業を対象として論ずべきか、もちろんこれは政策決定上の重要な点であろうかと思うのでありますが、事少くとも退職年金というような問題を考えまするときには、やはり大きな民間企業とのバランスということに重点を置かれてよろしいのではなかろうかというような考え方を私どもはとつておるわけであります。従いまして民間における大きい企業の厚生年金プラス退職金と、先ほどから申し上げますところの公務員の年金制というものを、総体的に総合して比較いたしてみますと、それほど大きな逕庭がないではなかろうかというような研究の結果になつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/31
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032・久下勝次
○久下政府委員 私からもお答え申し上げます。私は今慶徳次長の言われたことと大体同じなんでありますが、少し内容をわけて申し上げたいと思います。私は現在の恩給あるいは人事院が勧告しております公務員の退職年金というものは、二つの要素が入つておるものと考えております。これをかりにA、Bと申しますれば、AプラスBであるというふうに考えておるのでございます。先ほど申し上げましたように、民間労働者につきましては、法律の制度に基く年金、これをかりにAといたしまするが、その上に退職金というプラスBのあるものとない事業所とがあるという結果になると思うのでございます。私どもはこのAをねらつております。しかしながら私はそれだからといつて、社会保障制度審議会が勧告しておりますように低額の、二千円なり二千五百円あるいはせいぜい三千円の程度がAであつて、あとは一切Bであるべきだというような考え方を簡単にとりたくないものでございます。現在私どもが立案をし御提案を申し上げております厚生年金保険の年金給付額というものは、きわめて低いものであるという御批判を受けておるのでございまするが、しかしこれは決して将来、未来永劫正しいものであるという考え方でわれわれは考えておるものではなく、AプラスBというものの中のAの占める割合というものは、日本の経済の進行の状況によりまして漸次かわつて行くべきものであり、増額してしかるべきものである、ただ現段階においては、このAを大きくすることによりまして、結果におきまして労使の負担を非常に増大することになりますので、実行上相当無理があると考えまして、現在御提案申し上げておる程度にとどめておる、こういう考え方をとつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/32
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033・岡良一
○岡委員 別に私は国家公務員の退職年金についてお尋ねしたのではないので、恩給というものの概念と厚生年金というものの概念は違うのか違わないのか、私の理解するところでは、やはりこれは雇用者が国であるか、あるいは民間の事業主であるかということが違うのと、いま一つは国家公務員が全体の奉仕者という立場において、一般勤労者に認められておる諸種の権利が押えられておるということぐらいが、たかだかのものではないか、少くとも老後の生活という立場からその処遇を考えた場合には、できるだけそういう考え方で行つた方が正しいのではないか、そう思うので、そういう点で実はお尋ねしたわけです。そこで今久下さんからお話が出ましたが、すぐあなたは労使の負担が多くなると言われますが、労使の負担を多くしない方法はあるのです。国が補助金さえ出してくれればこんなことは何にも問題にならないので、いつでも現行のこれで行こうということだからそういうことを言われる。
そこでもう一つは、これは年金課長、なかなか精細におつしやられるからお伺いしたいのですが、ILOの勧告と今度の厚生年金改正法案の間に具体的にどの程度の差違がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/33
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034・松田盛進
○松田説明員 実はILOの勧告の中にございまする熟練労働者と未熟練労働者の賃金に比較いたしまして、その四〇%を越えるものでなければならない。老齢年金、退職年金、廃疾年金等につきまして、本人と配偶者一人という場合を考えまして、その標準賃金の四〇%を越えなければならない、それが最低基準であるというふうに示されているわけでございますが、ただ熟練労働者の標準賃金は幾らであるか、未熟練労働者の標準賃金は幾らであるか、それはどういう方法で算定するのであるか、また過去の賃金は最終の賃金であるのか、平均した賃金であるのか、そういう技術的な算定方法がはなはだ不明確でございまして、今労働省と連絡いたしまして、ILOの方に照会をし、調査研究しているところでございますので、精細にどの程度かというところは出て参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/34
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035・岡良一
○岡委員 しかしたとえば熟練労働者といえば、まず同一業務に従事している年月が相当大きな要素になると思うのです。大体坑内夫が十年以上十五年も勤めておるということならば熟練工と見ていいわけですが、この一箇月の賃金が、私の見た統計で最終には一万八千七百円くらいなんです。標準報酬で平均して行きますからもつと少くなるでしようが、かりに一万五千円といたしましても、やはり十八万円くらいにはなるわけです。その四割とすれば七万円くらいになるが、今久下さんのお話では三万一千円にしかならない。それはILOの方にいろいろ御照会になることもけつこうですが、しかしこんな既成事実をつくられるということは、これは国際条約に日本の代表も出て、そしてちやんと承認をして来ておる、しかも日本の国会が厚生年金法の改正案をつくつたが、ILOの基準から見ても、常識的に見ても、熟練工もその四割の半ばにも満たないものをやるのだというようなことでは、これは国辱だと私は思うのですが、そういう点を一体どう考えていますか。そういう基準と合せて一緒に考えられたことがあるのかしらと思うのですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/35
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036・久下勝次
○久下政府委員 私からお答え申し上げますが、ILOの社会保障の最低基準に関する条約は、私の理解いたしまするところでは、社会保障に関するいろいろな部門をとらえまして、一応わが国もこれに調印をしておるのでございますが、しかしながらその九つの部門全部がこの最低基準に合致するということは、必ずしも条約それ自身が予期していないことがうかがわれるのでございます。九つの部門のうち三つの部門が最低基準に合致しておればこの条約を批准をしてもよろしいというような明文がございまするところから、さように考えられるのでございます。そういう意味合いにおきまして、わが国の現在行われておりまする社会保障制度をこの九部門に該当するものにそれぞれ比較して見ますると、健康保険、失業保険、あるいは厚生保護に関する点、大体この基準に合致しておる給付が現在行われておりますので、そういう意味でこの条約の批准をし得る資格にわが国はあると思うのでございますが、条約それ自身が全部をこの最低基準に合せなければいけないと言つてもおらないことを考え合せまして、私どもとしては、もちろんこれに合せることが理想であり、またそうしなければならないとは思つておりますけれども、いろいろな国内の経済事情も考慮いたしまして、漸次この線に持つて行くというような方針をとらざるを得なかつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/36
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037・岡良一
○岡委員 それは私もよく承知しておるので、労災があり失業保険があり健康保険があり等々、もうすでに日本とすれば権威ある機関が調印をするというのですから、国会が批准する、承認するという手続がとられていいのじやないかと思うのですが、いまだに政府が怠慢でとつておらない。それはそれとして、ただその中にあるこの厚生年金については、国の代表として政府の代表も組合の代表も出かけて行つてオーケーと言つて調印して来ておる以上、やはりその基準に近づけしめて行く努力が必要じやないか。ところが熟練工については最終給与の百分の四十を支給すべきであるというILOのわれわれが認めて来たこの基準から、よほど隔たつたような改正にするということでは、やはり日本の国際的な道義上から見てもあなた方のやり方はいささか欠けるのじやないか、そういう点をどうお考えになるかということを実はお聞きしたわけです。しかしこれもまあ水かけ論になりますからよしましよう。
大臣が来られましたから、この際大臣に伺う前に慶徳さんにちよつとお聞きしたいのですが、実はこの厚生年金法では一万八千円が定額になつているのです。あなたの方はこの方専門なんで、たとえば昨年三月一日付の東京都における壮年男子の一箇月の生計費は六千四百円だ、これを地方にならせば五千三百円だなんていうなかなか緻密な統計をあらゆる資料から出している。そこで厚生年金の定額制一万八千円としうようなものは驚くべき低いものではないか。あなた方が具体的に統計をとつた壮年男子の一箇月の生計費から見て、特にあなた方は政府部内でも専門的に御研究のはずだと思うのですが、一体あなた方の立場から見て——なるほど千分の五なりが報酬比例制によつて加給されます。しかし定額の一番大きなあれが二万八千円というのは、およそこれは低いのじやないかと私どもは思うのです。特に専門的にこういう点を究明しておられる人事院の方の考え方として一体これでいいのかどうか、その点ひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/37
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038・慶徳庄意
○慶徳説明員 たいへんむずかしい問題で、私が答弁しますこと自身が、あるいは当りさわりがあることをおもんばかるのであります。(「大いにあるね」と呼ぶ者あり)率直に申し上げますると、現在の国民の生活の生計費の実態等からいたしまするならば、決してこれで十分であるとは考えられないと申し上げることが、率直なお答えではなかろうかと私思うのであります。ただ私から申し上げるまでもないことでありまするが、たとえば社会保障制度審議会の勧告にかかります案件を拝見いたしましても、一方において理想を追いますると同時に、他面現実の政策といかに調和をはかるべきかというような問題が当然考えられなければならないと思うのでありまして、おそらく厚生当局も理想は理想、現実は現実、この現実との調和という点におきまして、まことに御苦心の結果おつくりになつた案であろうと思いますので、この程度で御了承願えれば幸いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/38
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039・岡良一
○岡委員 慶徳先生の御訓示は十分拝承いたします。そこで恩給局長にぜひひとつ出てもらいたいのですが、おいでになりませんので問題をかえてお尋ねしてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/39
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040・青柳一郎
○青柳委員長代理 どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/40
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041・岡良一
○岡委員 厚生大臣がお見えになりましたので伺いたいのですが、きよう実は私、朝の新聞を見ましたのですが、こういう記事が出ておるのです。これは日本経済ですが「旧軍人軍属の恩給」「見通しつかぬ支給」と書いてあつて、中を読みますと何でも二百六十八万四千六百件について、裁定通知済みが十七万で六・三%にすぎない。もちろんこれは厚生省の直接の責任事項ではないわけですが、しかし一応復員局はこの業務に直接タッチしておられるので、復員局の方でどの程度にすでに裁定というか、通過しておるのかというその数字、何パーセントやつたのか。それから恩給局次長がおられたら——恩給局次長では困るが、恩給局次長も御存じだろうから、恩給局は受取つてなぜこんなに遅れているのかという点。これをひとつお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/41
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042・草葉隆圓
○草葉国務大臣 けさの新聞に出ておりました記事並びに従来からこの問題は、実は恩給局及び私どもの方でいろいろと連絡しながら検討いたしておるのでございます。今数はちよつと手元にありませんからいずれまた資料としてお配りさせていただきますが、援護法の実施で一通り——また援護法のひどい該当者は処置を進めておりますが、今度恩給法に切りかわりましたために、従つて恩給法に対するいろいろの書類等の関係から複雑になつて参りますので、これはなるべく事務的に簡単にしながら、この委員会でも御意見等もあり、あるいは強い御希望等も従来からも出ておりましたので、両方で、厚生省が経由官庁になつておりますからそういう意味におきまして連絡いたしおります。最初はなかなかなれもしませんし、いろいろそういう点で十分に行つていない点は確かにあつたと思います。だんだんとこれの準備がついて参りまして、今後は割に従来の一箇月の件数よりも数等能率を上げ得る状態になつて来ると思います。ただ従来の件数から割出しますと何年かかるということになりますが、恩給局の方面でもまた私どもの方の経由いたしおります、取扱いにおきましても、そういう点があるいは不十分な書類の発見の率なり、照会の状態なりというものが最初よりも上手になつて来ると思います。そういう点で今後事務の連絡の簡捷化等をはかりましてなるべく早くいたして参りたいと存じております。これは全国的に強い要望と思われますので、また先ほど申し上げましたように本委員会等でも強く御要望になつておりますので、十分その点を尊重いたして、努力をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/42
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043・八巻淳之輔
○八巻説明員 軍人恩給の裁定事務の進捗につきまして御指摘があつたのでございますが、けさの新聞に出ておりますのは、おそらく行政管理庁の監察部の方の監察の結果が土台になつておると思うのでありますが、当時二月末日現在での数字は非常に悪かつたのでございます。その後だんだんと事務能率も上つて参りまして、四月九日現在の調べによつて申し上げますと、私の方の恩給局で復員局から受付けました件数が軍人関係で約五十万件ございます。五十万件と申しますと、先ほどお話に二百五十何万件という数字がございましたけれども、現実に受給対象となり得るものは年金におきまして約二百万件ございますから、そのうちの二割が恩給局で受付けた、こういうことになると思います。この五十万件のうちどれだけ処理をして発送をいたしたかと申しますと、三十三万件を処理しておりまして、残りの十七万件が現在審査中である、こういうふうな段階でございます。復員局におきましてもおそらく現在相当審査中のものがあると思つておりますが、いずれにいたしましても各府県世話課なり、復員局、恩給局を通じての申達能力というものはだんだん先が詰まつておると申しますか、事務能力において一定の限界がございますので、逐次この滞留件数をさばいて行くということに努力して参りたいと思つております。このさばけないという理由の一つといたしましては、先ほど大臣からも御説明になつたと思いますが、新規の採用職員の事務能力が低下しておる。私の方の例で申し上げますと、非常に厖大な人数を増員したのでございますが、大体正職員、本職員一人に対して臨時職員が八という割合で構成をいたしております。この臨時職員の大多数は学生か、あるいは学校を出たばかりの人というふうな者でありまして、これの習熟にも相当期間を要する、最近ようやく二、三箇月たち、六箇月くらいたつた者はなれて来てスピードが上つて来ておる、こういうふうな現状でございます。また私の方の実情を申し上げますと、去年の九月に小田原の方から農林省の旧庁舎の方に引越して参りまして、現在農林省の旧庁舎、例の農林ビルの方がだんだんと新築拡張いたしまして、そちらに移行できる範囲で逐次人間を伸ばして行くというふうな関係でございまして、現在千百五十人のうち約二百人が正職員でございまして、そのあとの九百五十人が臨時職員というふうなかつこうでやつております。ところが現在の能率から申しますと、大体一日五千件から六千件くらいしかさばけない。これを七千件以上に持つて行くということにいたしませんとなかなか事務がはかどりませんので、これをそういうふうに持つて行きますためにはさらに三、四百人の人員をどうしても増員しなければならない、それがためには庁舎の関係におきましてもだんだんと農林省の方の移動態勢ができて来ませんと人員を増加できない、こういうような関係でそうした人的な面あるいは物的な面でいろいろな制約を受けて思うにまかしておらないのでございますが、だんだんそういう面において解決に努力をいたしましてこのさばき方も漸次増強して参りたい、そうして御希望に沿いたい、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/43
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044・青柳一郎
○青柳委員長代理 ちよつと申し上げますが、大臣は他に御用件があつて十二時に退席したいという希望がありますので、そのつもりで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/44
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045・岡良一
○岡委員 ぼくは非常に勘違いをしておると思うのですが、昨年軍人恩給の復活ということでその前の戦傷病者遺家族等の援護法から切りかえられたときに、前法のあの援護法による裁定済みは、昨年の十六国会の御答弁では八割しておると言つておられる。今二百万としまして、五十万しか恩給局へ行つておらない。八割といえば百六十万くらいしておられるはずだが、一体これはどこで宙に迷つておるのか。厚生省の方で宙に迷つているわけなんだが、迷つているとすれば、どういう理由で迷つているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/45
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046・草葉隆圓
○草葉国務大臣 援護法の方は三月三十一日現在において受付けました件数が百九十六万六千百六十七件であります。このうちで裁定済みが百八十九万九千四百三十二件であります。未裁定が六万六千七百三十五件であります。未裁定がまだ七万近くありますが、この多くは資料等の不十分のために実はいろいろ調査をいたしておるのでございます。なるべく早くこれらも解決しなければならないと存じております。それで恩給関係におきましては、御承知のように厚生省を経由いたすことになつておりますが、この援護法の書類をそのまま恩給法に当てはめると楽であるという問題がありますが、これは本人がどちらを選択するかという——恩給法でも行ける、援護法でも行けるというものもありますし、それから援護法は内縁関係その他実情に合うような御承知のような状態になつておりますが、恩給法へ参りますと、それがいけないという問題もあります。また家族加給が援護法では十八歳だが、恩給法では二十歳というような問題もあります。それでただちに同一というわけには参らないので、従つてそれがおのずからわかれて来る。そういう不便と申しますか、実際上の問題がありますために、新しい書類の提出という問題があります。援護法では今申し上げたような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/46
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047・岡良一
○岡委員 しかしそれにしても一方は百九十万ばかりのものを一応厚生省では裁定しておる、恩給局では五十万しか受付けておらないということでは、これは六十、七十になつたおじいさん、おばあさんでは目の明るいうちにもらえませんよ。そんな不親切なことではいかぬと思うのです。それで援護法によるか恩給法によるかということ、その選択は選択といたしまして、これは厚生省でやつたら恩給局の方でそのまま認めてやるというくらいにしてしまわなければ、これはかわいそうな話だと思うのですが、そういうわけに行かないのですか。何か法律でもつくつてひとつそういうふうにやつてしまつたらどうでしようか。これはほんとうに気の毒だと思うのです。それは厚生大臣ひとつ今度の国会に法律を出してやつてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/47
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048・草葉隆圓
○草葉国務大臣 これは委員会の熱望等もあり、また多くの該当者の熱望がありますので、恩給局と御相談をし、なるべく事務的に簡捷にして行く。ただ厚生省で査定したものそのままということには、法律によつて主務官庁としてはつきり恩給局というものが別にできておりますから、いろいろ困難な点があると存じます。しかし事務的に関与し得べき点は今後もなお一層検討いたしまして、御期待に沿うように努力はいたしたいと存じますが、厚生省自身といたしましては、こちらで査定したものをそのまま出してくれということは、いろいろほかの関係もあつて、簡単には参りかねるのではないかと私どもは存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/48
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049・岡良一
○岡委員 そういう規則もてきないことはないと思うし、そういう立法例もあると思いますから、旧軍人の遺族、戦傷病者に対する障害年金や遺族年金等の支給に関する特例法案などというもので、何とかすでに裁定したものについては無条件でやる、あるいは多少は審査するとしても、原則としてはできるだけ無条件でやるようにして、ぜひとも支給の促進をはかつていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/49
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050・長谷川保
○長谷川(保)委員 関連して。先ほどの岡委員の発言の点でありますが、私の党におきましても重大問題視しております。また各地から私どもに対しまして、どうも恩給を給付されるのに五年もかかるだろうというので非常に心配をして参ります。もつともしごくだと思うのです。私どもたとえば地方から申して参りましたのを気の毒だと思いまして、復員局に参りましていろいろお世話願うのですが、市ヶ谷の世話課なんかに参りましても、女の子が四、五人いるだけで、五、六回われわれが通つてもどうにもならないというような状態であります。私は閣僚の一人としてお聞き願いたいのでありますが、どうか責任を持つてこれをすみやかに解決するように十分な御努力を願いたい。もし政府の方でただいま申しましたようなふうで、これが進まないとするならば、私らの党といたしましても議員立法で、先ほど岡委員の申されましたように、恩給局も援護局も同じ政府の機関でありますから、これは便宜一つにしまして進めてもらうという方針をとらなければならない。これは迷惑するのは国民諸君である。五年も待たなければ恩給がもらえないということてはどうにもしようかありません。私は強く要望いたしますから、どうか政府部内において取上げていただきまして、すみやかに解決していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/50
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051・草葉隆圓
○草葉国務大臣 長谷川委員の御趣旨はよく承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/51
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052・岡良一
○岡委員 最後に四、五点予算に関係して参考までにお聞きをいたしておきたいのですが、これは年金課長の方がいろいろ数字の計算をやつておられると思いますので、年金課長でけつこうです。
今度の改正案を五人以下の事業場にも全部適用するということにいたしました場合の事業場の数、これはすでに質問が出ておると思いますが、同時に被保険者の数、またそれに伴う予算は一体どれくらいであるか、推定でけつこうです。それから本年度でなくても、この二、三年の予算でけつこうですが、それから現行法通りに五十五歳で支給するといたしました場合に、予算増はどれくらいになるかというような点。それから定額を三万六千円とした場合には予算増はどれくらいになるかという点。それからもう一つは、国庫が三割の補助を坑内夫にする場合にどれくらいの予算増になるか、推定でけつこうですが、これらの点をお教え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/52
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053・松田盛進
○松田説明員 最初の御質問の五人未満にも及ぼしますと、大体事業所の数としては百三十万箇所程度ふえるというふうに考えております。また被保険者の数にしますと、約三百三十万くらいふえるとわれわれは考えております。従つてこれは御質問にはなかつたかとも存じますが、これを扱う人員を考えてみますと、健康保険、厚生年金の窓口を一本にして扱つております関係上、従事員が五千人程度おるわけでありますが、それを扱うためには、同じ割合の能率をもつて計算いたしますと、二万三千人くらい必要になるかというふうに考えます。
それから第二点は、年齢を現行法通り坑内夫は五十歳、その他の者は五十五歳というふうにいたしますと、計算上は多少かわらなければならぬわけでございますが、最初は受給者の数が三千二百人程度でございますので、予算には大きな響きはないと存じます。ごく大ざつぱな点でございますが、現在の成立予算が五十七億程度の保険給付費になるのに対しまして、三万六千円にして計算いたしますと七十二億程度の保険給付費になると存じます。それから国庫負担を増額した場合には、いろいろ給付内容がかわりますと、それに応じまして全部狂つて参りますので、給付内容をどうするかということを定めた上で計算しないと出て参らぬかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/53
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054・岡良一
○岡委員 いや坑内夫であろうと、何であろうと給付に対する三割負担という原則を立ててしまうのです。そうすると大づかみに言えばその七十何億の三割でいいのですね。それでけつこうなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/54
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055・松田盛進
○松田説明員 岡先生のおつしやるところによれはそれでよろしいわけでございますが、そこで内容が少し狂つて参りますと、それに従いまして金額がまた狂つて来るわけでございます。給付をどうするかという細目を全部きめて、老齢年金はすなわち遺族年金にも響いて参りますし、障害年金にも響いて参りますので、その給付内容を一々こまかくきめませんと正確なものは出て参りませんけれども、大ざつぱに申し上げまして今申しました七十二億の同割といいうふうに考えればそれでよいのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/55
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056・岡良一
○岡委員 他の国の立法例を見ますと、日本のは特例かもしれませんけれども、日本でも外国人がこういう条件に合致した場合には、こういう受給権は発生するものなのでしようね——それからもう一つ、こういうことは年金制度の建前からいえば望ましいことではないのですが、こういうわずかなものでありますと、やはりいろいろと生活資金にも困つた場合、恩給などでは今度の場合はうまく行かなかつたようですが、やはり国民金融公庫のわくの中で多少年金受給権というものが担保物件として金融の道も講じられているわけです。こういうことはやはりあなた方の方でお考えになつたことがあるかどうか、そういう点積立金と一緒に大蔵大臣その他大蔵省関係の人に来てもらつてよくお尋ねする方がいいと思いますが、そういうことをお考えになつた方がいいのではないかと思いますが、そういう点はどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/56
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057・久下勝次
○久下政府委員 お話のような点は私どもは将来の問題としては考えなければならぬと思いますが、ただいまのところ年金を支給しておりますのが廃疾者であり、あるいは遺族というものばかりでありますので、生活の重要なかてでありますから、そこまで現在の段階では考えておりません。将来の問題としてはそういうことも考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/57
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058・青柳一郎
○青柳委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
明日は午前十時より開会いたします。
午後零時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904237X03519540413/58
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