1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年二月十八日(木曜日)
午前十一時十二分開議
出席委員
委員長 千葉 三郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君
理事 坊 秀男君 理事 山本 勝市君
理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君
理事 井上 良二君
宇都宮徳馬君 小西 寅松君
佐藤虎次郎君 島村 一郎君
助川 良平君 田中 龍夫君
苫米地英俊君 藤枝 泉介君
堀川 恭平君 前尾繁三郎君
笹本 一雄君 福田 繁芳君
足鹿 覺君 柴田 義男君
芳賀 貢君 春日 一幸君
日野 吉夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 植木庚子郎君
大蔵事務官
(主税局長) 渡辺喜久造君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主税局税制第
一課長) 白石 正雄君
大蔵事務官
(主税局税制第
二課長) 塩崎 潤君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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二月十八日
委員有田二郎君、大平正芳君、高橋英吉君、福
田赳夫君、宮原幸三郎君、池田清志君、小川豊
明君、佐々木更三君及び平岡忠次郎君辞任につ
き、その補欠として堀川恭平君、佐藤虎次郎君、
前尾繁三郎君、助川良平君、田中龍夫君、笹本
一雄君、足鹿覺君、芳賀貢君及び日野吉夫君が
議長の指名で委員に選任された。
同日
委員佐藤虎次郎君、助川良平君、田中龍夫君、
堀川恭平君、前尾繁三郎君、笹本一雄君、足鹿
覺君、芳賀貢君及び日野吉夫君辞任につき、そ
の補欠として大平正芳君、福田赳夫君、宮原幸
三郎君、有田二郎君、高橋英吉君、本名武君、
小川豊明君、佐々木更三君及び平岡忠次郎君が
議長の指名で委員に選任された。
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二月十七日
大衆保護のため保全経済会の立法化に関する陳
情書
(第七二二号)
同外九件
(第七二三号)
同
(第七二四号)
同
(第七二五号)
同外一件
(第七二六号)
同外二件
(第七二七号)
同外十五件
(第七二八号)
同外二件
(第七二九
号)
同
(第七三〇号)
同
(第七三一号)
同外一件(
第七三二号)
同
(第七三三号)
同外五件
(第七三四号)
同
(第七三五号)
同
(第七三六号)
同
(第七三七号)
同
(第七三八号)
同
(第七三九号)
同
(第七四〇号)
同
(第七四一号)
同
(第七四二号)
織物消費税復活反対の陳情書
(第七七九号)
同(第七八〇
号)
同(
第七八一号)
同(第七八二
号)
織物消費税復活反対等に関する陳情書
(第七八三号)
麻製品に対する消費税賦課反対の陳情書外一件
(第七八
四号)
同(第
七八五号)
寒冷地課税の免除並びに特別控除に関する陳情
書(
第七八六号)
農協課税減免に関する陳情書
(第七八
七号)
中小金融機関に対する政府指定預金引揚げ延期
に関する陳情書(第七八
八号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
繊維課税反対決議に関する件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一六号)
相続税法の一部を一改正する法律案(内閣提出
第一七号)
酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
八号)
印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一九号)
砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二〇号)
骨牌税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出第二二号)
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二九号)
入場税法案(内閣提出第三〇号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/0
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001・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。
本日の日程に掲げました所得税法の一部を改正する法律案外九税法案を一括議題として、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/1
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002・井上良二
○井上委員 私昨日質問をいたしましたうちで、税の徴収の裏づけとなる国民所得の見通しについて、明確な裏づけ資料の提出を要求しておきしましたが、これは出せますか、出せませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/2
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003・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 五兆九千八巨億という数字を出した根拠は一応ございますから、その見通しの裏づけといいますか、これがどの程度御満足いただけるかどうかは疑問でございますが、五兆九千八百億という見通しはこういう経過によつて出したということは、これは出せると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/3
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004・井上良二
○井上委員 昨日もちよつと申しあげたのですが、政府の今回の税制全体の改正の経過を見ておると、国民の税負担の能力が一体どの程度になつておるかということを具体的に把握をいたしまして、その上に立つて全体の財政規模を考える、こういう考え方ではなしに、本年の歳出予算において、国としてどれだけ必要とする経費があるか、これを裏づけるのには税収その他の収入でどう調整するか、つまり歳入を土台とせずに、歳出を土台にして税収が組まれておる経過をわれわれは見せつけられて来ておりますが、さような立場に立つて本年の税制というものは考えられたのではないのですか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/4
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005・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 予算を組みます場合におきまして、まず出るをはかつて入るを制するか、入るをはかつて出るを制するか、こういつたような問題があり得るわけであります。御承知のように、者から財政学者は、私経済の場合には入るをはかつて出るを制する、公経済の場合には、出るをはかつて入るを制する、こういつたようなことが普通の考え方だということを言つておると思うのでございまして、従いまして政府におきましても、どれだけの経費がいるかということをまず考えまして、同時にそのためにはどれだけの歳入をあげるべきか、こういう考え方でものを考えて行くというのが通常の姿だろうと思つております。ただ現在のような状態でございますと、租税の負担が相当重くなつておりますがために、ただ入り用なものなら全部それを税で収入すべきだといつたような考え方は、これはなかなか許されない。そこにやはり現在の国民の耐え得る負担というものを片方に頭に置きながら、同時に国としてぜひ必要な経費はどの程度であろうかといつたような、両者のにらみ合せにおきまして、ただいま提案しておるような予算案が編成された次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/5
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006・井上良二
○井上委員 現在の国民の負担能力というものが非常に限界に来ておる、特に所得税関係においては非常に低額所得者に重税を課しておるというところから、できるだけこれを軽減をしなければならぬ、こういう一つの線を出しておる事実から考えてみても、わが国のように、たとえば月収二、三万のものを取上げてみますと、所得税全体の課税人員のほとんど九割に近い人員をこれによつて占めておる。いかに少額の者に税が均等的に重課されておるかということが明白でございます。そこでどうしてもこれらの者から免税せなければいかぬ、減税せなければならぬという立場から考えます場合に、当然財政支出の面において相当圧縮を必要とするという線を強力に打出すべきであるにもかかわらず、やはり歳出の面で、これこれのものはどうしても国全体として責任を持たなければならぬという線をまずきめられて、それの裏づけ財源をどうするかというところから、たとえば本年のように、一部低額所得者には減税の処置を講じたけれども、その見返りに間接税を増徴する、あるいは新税を設定する、こういう矛盾きわまるやり方が一方においてとられておる。そういつたやり方というものが、正当な税制のやり方とお考えになりますか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/6
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007・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 先ほど申しましたように、国の予算を編成して行く上におきましては、やはり何と申しましても、一面では国の仕事としましてぜひやらなければならぬ仕事がある。従つてそれに必要な経費の財源である歳入は、やはり国民に負担していただく以外にない。従いまして歳出の面をどの程度圧縮できるか、これはどうしても考えて行くべき事項だと思います。同時にあれもやりたい、これもやりたいといつたような希望は、さらに多々あるのでございますが、一面におきましては、国民の負担というものを考え合せまして、その両者の見合いにおいて、とにかく不要不急の仕事はできるだけこれを延ばす、それによつて国民の税負担をできるだけ軽減する、こういつたような趣旨のもとに予算が組まれて行く、これはそうあつてしかるべきものだと私は思います。
それから、なるほど現在の低額所得者の方の負担は軽減したが、同時に片方で新しい税金なり、あるいは古い税金の税率の引上げを行つているが、それでいいのか、こういう御質問のように伺いましたが、今度の直接税における減税の中心をなしておりますのは、所得税、それも低額所得者にその軽減が大きく響きますような、基礎控除、扶養控除の引上げであります。他面増税の方におきましては、主として奢侈的な消費、あるいは高級的な消費——砂糖はどうだという御意見がございましたが、これは国際収支の面から考えまして別の理由も考えられますので、そうしたものを特に選びまして、これは消費の選択も可能でありますから、そういつた意味の負担をふやし、同時に片方で負担過重と思われます低額所得者の負担を軽減して行く、こういう考え方は、私は一つの許され得る考え方であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/7
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008・井上良二
○井上委員 いま一つ、今度政府が国税移管をしようとする入場税の問題、さらに遊興飲食税の問題について、政府は昨日も、いわゆる地方財源が偏在しておるので、できるだけこの偏在を均等化するという建前に立つて国税に移管することが妥当だ、こういう説明をされておるのですが、この遊興飲食税並びに入場税は、今から三、四年以前には、確かに国税としてこれは一応とつておつたのであります。国税としてとるのを徴税技術上、諸般の必要から、当時の政府はこれを地方に移管した。そのときは地方の財源の偏在も何も問題にせずに、今日になつてそれが大きな偏在になつておるという理由のもとに、これを移管して参つたのであるが、一体そういう都合のいいときは地方にまかし、また都合のいいときには政府に取返す、そんなことが税制上妥当なやり方とお考えになりますか、どうお考えになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/8
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009・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 お話のように遊興飲食税、入場税につきましては、二十二年までは遊興飲食税が国税としてあつた。それから二十三年までは入場税が国税としてあつた。当時におきましては交付税の制度がありまして、その半額を地方に人口割とかその他の基準によつて交付していた。こういう姿であつたのでありますが、その当時の地方財政の状況などから見まして、これを地方税に独立税として移したわけであります。ただその後におきまして御承知のようにシヤウプの勧告による地方税制の大きな改革がありました。それまでは、たとえば事業税のほかに所得税の附加税がありますとかいろいろな税がありまして、割合にその偏在の度が打消されるような税制になつていたのでございますが、シヤウプの税制改正によりまして、事業税、入場税、遊興飲食税を府県の財源とし、固定資産税、市町村民税を市町村の財源にするといつたような、はつきりした線が打出され、同時に交付税のかわりに平衡交付金の制度ができた。その後の結果を見て参りますと、どうしてもやはりそうした偏在の度の大きい、税収が大都市に非常に集まるという姿が顕著になつて参りましたので、一応占領の終りました後におきまして、もう一ぺん全体を見直して見ようといつたような観点から見直して見た一つの結論としましては、入場税はやはり一応国で徴収しますが、その九割を人口割で地方に交付する、こうすることが、結局タバコ消費税などを地方財源として地方に新しく与え得る基礎を築くものでありますし、ぜひとも必要である、こういう結論に達したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/9
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010・井上良二
○井上委員 もし地方に特殊な税が偏在をしているからという理由で、これを国税に移管するということになる場合は、当然全体的な財政規模を考えなければならぬことは、昨日申し上げた通りでありますが、特に私どもおかしく思いますのは、この入場税を今度国税に移管したのにかかわらず、これが表面税収入として予算に計上されておらぬ。これを九〇%地方に還元するという名前のもとに、交付税の特別会計の中にこれを繰入れる、こういうことで一般会計へ入つて来る税収を、トンネル会計をつくつて、それから地方へ持つて行こうという行き方をとつている。何ゆえにこれを一般会計へ入れて悪いのです。そしてまたどういうわけでそういう手続をとらなければならぬのです。そうしてあと一〇%を何ゆえに雑収入へ入れなければならぬのです。はつきり税目として予算にあげておくべきであるにもかかわらず、何ゆえに雑収入の中にほうり込まなければならないのか。思うのに、これは全体の予算額が一兆ということだから、一兆以内の予算を組もうという立場に立つて——この百九十何億という入場税が国税として上つて来ます場合には、それだけ歳入の面における金額が増徴になつて参りまして、一兆を越す。そこで一兆以内の歳入歳出のつじつまを合すために、ことさらに特別会計を設けて、全体のつじつまを合す一つの隠し財源としてこれを載せておるのじやないか、こういう疑いさえわれわれは持つのです。一体どういうわけで国税として正式に徴収する税目を、相当多額な国税収入であるにかかわらず、国税の費目の中へ盛らないのですか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/10
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011・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 入場税は、昨日来申し上げておりますように、国において徴収いたしますが、これはやはり地方の財源であるという趣旨をはつきり表わす意味におきまして、その受入れる会計を一般会計にしないで特別会計の方に受入れる、こういうことにしたわけでございます。かつて昭和十五年の税制改正当時に、地租、家屋税を地方財源に全部移しましたが、その場合におきまして、やはり課税標準を統一する必要があるという趣旨におきまして、国で全体の地租の四分の一を徴収し、その四分の一と同額の地租附加税を府県税の附加税に徴収し、それからさらに国で徴収した地租の二倍相当額を市町村の地租附加税で徴収した、こういう事例がございますが、その場合において、やはり地租は国で徴収いたしますが、財源としては当然あとでその地租の徴収されました府県に還付した。その意味におきまして、還付税特別会計の方に直接繰入れたという事例がございます。同じような趣旨をもちまして、これは国で徴収はするけれども、財源的には地方財源である。その趣旨をはつきりいたします意味におきまして、一般会計へこれを入れて九割を繰入れるという姿をとりますよりも、特別会計へ直接入れるという姿をとつた方が、その点がはつきりするのじやないかというので、特別会計へ収入するという手段をとつたのであります。今申しましたような関係で一割だけ繰入れますので、税そのものを繰入れるわけでございませんので、一割相当額の繰入れであるという意味において、これは一般会計の方では税収という意味でなしに、雑収入としての繰入れという姿をとつたわけでございますが、何で一割を国でとるか、これはいろいろな考え方があると思いますが、私は主として入場税の徴収という問題になりました場合におきまして、それが全部地方の財源であるがゆえに、国の役所である徴税官庁が非常にルーズなといいますか、よその仕事だというような考え方で仕事をしているというふうな感じになるのもいかがであろうか、やはり一応国とも直接ある程度の結びつきがあるのだということ、あるいは徴税費も多少いるからといつたようなことなどを考えまして、一割は繰入れていただく。しかしその最後の結末は、片方で交付税で所得税、法人税、酒税等の収入の一定の割合を今度地方へ割合をきめまして交付しますが、その出し入れの形におきまして、国へ一割繰入れた分のしりは、所得税、法人税、酒税の割合をそれだけ高めることによつてつじつまがつくようになつておりますので、そのために地方に特別な負担をかけるということはないという措置は講ずるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/11
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012・井上良二
○井上委員 いずれにしましても、政府は最初これを税収又として一般会計に入れておつたのであります。それを途中から特別会計を設けるということに変更されておるのです。これは事実なんです。そこにへんてこなものがうかがわれるわけです。それであなたは九〇%を地方にプラスしてやるようなお考えのように盛んに説明されておるけれども、そのやつた分だけは平衡交付金の方において差引いておるのじやありませんか。そうなつておるのでしよう。現実にはこれだけプラスして行くのじやないのです。交付されたものは、それだけ平衡交付金の方において差引いておるのでしよう。そうしたら、当該配付を受けます県にとつては何もプラスにならないじやないですか。地方財政の確立にならぬじやないですか。差引ゼロです。それなら、そんた複雑な手数をかける必要はない。それだけ余分によけいやるというなら、それだけ地方財政も確立して行くということになるけれども、それでは意味がないじやないか。またなるほど現に東京、大阪その他の大都市には、入場税、遊興飲食税が偏在しておりますが、しかしそれだけ大きな財政をかかえて大きな財政支出を必要としておるのです。人口が八十万や百万の府県と数百万の府県と同じような建前には立てません。これはもう当然のことです。そういう点から考えてみても、まつたくごまかしにすぎぬ。ことさら税制をいじり倒すとしかわれわれには考えられない。特に私が昨日質問をいたしております点について明確な答弁がございませんが、一体入場税に対して他の税率との関係をどうお考えになるか。一体映画、演劇その他をぜいたくなものと考えておるのか。勤労大衆のやむにやまれぬ娯楽、慰安の機関と考えておるか。そこをどうお考えになつておるか。他のものに対しては相当大幅に免税点を引上げて安い課税をしておきながら、入場税には不当に高い課税をするというのは一体どういうことですか。他の税との関係等において均衡がとれていないじやないか。その点に対する明確な答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/12
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013・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 まず第一に、当初の案におきましては一般会計へ入れていたじやないか、それを要するに、現在の予算案では特別会計の方に入れているじやないか、それがふに落ちないという御質問でありますが、これを一般会計に受入れて、九割を特別会計の方に繰入れる方法をとるべきか、あるいは特別会計の方へ全体を繰入れまして一般会計へ一割を繰入れるべきか、これは実は当初から相当議論のあつたところでございます。しかし結論的に出ましたところは、とにかく大部分は地方の方へ人口割で配付して行く税金でありますし、九割までも地方に行く税金でありますから、これは、むしろ一般会計へ繰入れてそれからあらためて九割を特別会計へ繰入れるよりも、当初から特別会計へ繰入れる方がいいではないかという結論になりまして、現在のような結果が出たわけであります。
第二点は、結局どちらにしても、入場税が行けばそれだけ平衡交付金なり、あるいはそれにかわる交付税が減るではないか、従つて地方の方には何らプラスはないじやないかという御質問でございますが、その結果は確かにおつしやる通りであります。ただ現在地方が要請しておりますものは、地方財政として必要な金額をたくさん確保したいという要請のほかに、とにかく地方が自分でもつて安心してこれにたより得る、独立した財源をほしい。あるいは、少くとも地方が当初予算を組むときに計算に入れ得る財源をほしいということにあるわけであります。平衡交付金をできるだけたくさんふやしてやるという手段さえとれば、地方には独立税はあまりいらないじやないか、こういつたような議論に対しまして地方団体はそれは地方自治を確立して行くゆえんじやないのだ、地方が要求しているのは、国からいわばあてがい扶持のようにもらう金じやなくて、地方の当然の権利というか権限というか、地方として独立税なり、あるいははつきりした姿においてこれを確保する財源がほしい、こういう要請が、単に地方の方からたくさん金がほしいという要請のほかに、それと並びまして非常に強い要請としてあるわけであります。それがもしないなら、結局地方の独立財源のような問題は、平衡交付金さえふやせばいいじやないかといつたことで問題は片づくと思うのでありますが、いや、そうじやないのだ、平衡交付金のような姿でありますと、地方としてはどうしても中央に支配される傾向が大きくなる、しかも一体平衡交付金を幾らくれるかということが、なかなか時間がかからないとわかりにくい、どうしてもわれわれとしてすぐにたより得る財源をほしい、これが地方の一つの要請であります。従つて今井上委員のおつしやいました総額は同じじやないか、これは確かにそうでありますが、第二の要請であります、地方としてできるだけ信頼できる財源をほしいという要請に対しましては、片方でそうした偏在の度の低いタバコの消費税を与える、同時に入場税のようなものを人口割に与えるということによつてやる方が、平衡交付金のような姿でやる金額をできるだけ小さくする役に立つわけであります。それがやはり地方財政を堅実なものにする一つの道だというふうに思つております。東京のようなところは、それだけに大きな歳出が必要だし、いなかはいなかでもつて、それだけ必要な経費は少い、それはおつしやる通りですが、いわゆる基準財政需要というものとして、標準的な財政需要として掲げられているものは、いろんなフアクターを入れておりますが、大体人口一人当りに必要な経費は、東京といなかとの間に、それほど大きな開きを見せておりません。それに対しまして、たとえば入場税の例をとつてみますと、これは二十七年度の数字でありますが、東京は人口一人当りに対して九百十九円、大阪が六百九十四円という入場税の収入になるのに対しまして、茨城が五十三円、鹿児島が九十八円、こういつたような姿になつておるわけであります。これは人口一人当りの姿がそういうことになつて、そこに偏在度が非常に高い。従つてこういうものを一応特別会計の歳入にあげまして、人口割でわけてやるということが財源偏在を是正するゆえんである、かように考えているわけであります。
それから最後に御質問のありました、入場税を一体どういうふうに考えているか。映画、演劇等を見ることが、これがやはり大衆娯楽として当然許さるべきものだというふうには考えております。ただ現存の税負担の全体を考えて参りますと、なかなかそう簡単な調整ができない。同時に現在の地方税が、従来は五割の免税点もない税率でずつと過ぎて来ている。そういうことを考えて参りますと、全体の調節を考えることはできるだけやりたいとは思いますが、今申しましたように、これは地方の財源であるというところに特殊な性格もありますし、従つて現在の収入を得ている程度において国で徴収する場合において、可能な限りの税率低下をはかる措置をとるので、一応財源としてはその程度にとどめざるを得なかつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/13
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014・福田繁芳
○福田(繁)委員 議事進行……。昨日の午前中の理事会の申合せに基いて、昨日、きよう、あすの三日間に、税制全般に関する質疑応答を繰返すということになつておると承りましたので、どうしても根本的な問題に対して大蔵大臣の御出席を願つて、そこから質疑をやらないことには、枝葉末節にとらわれて、院の内外の諸情勢の関係上、本関係法案を審議することは非常に支障を来すというので、大蔵大臣の出席を本員は促したのでありますが、その後の経過はどうなつたか。一応委員長にそれを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/14
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015・千葉三郎
○千葉委員長 けさほどの理事会でこの点を御報告しておいたのですが、どうしてもきようは出られないということなんです。あした出るかどうかはまだ未定でありますが、先ほどから愛知、小笠原両大臣に対しまして、出席を求めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/15
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016・福田繁芳
○福田(繁)委員 どうしても大蔵大臣に来てもらつて、根本問題から検討を加えないことには——事務当局の御説明に対してはもちろん了承いたしますけれども、根本問題を一応議題に供さないことには、本法案の審議は至つて能率的でないと私は考える。そこでぜひとも大蔵大臣に出てもらいたい。それとあわせて願いたいのは、本員は緒方国務大臣にあらためて御出席を要求いたしますから、この両大臣の御出席があるまでは、大蔵委員会として法案の審議は一応御遠慮申し上げて、待機するという態度を示したいと思います。お諮り願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/16
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017・春日一幸
○春日委員 今のことに関連して……。私もきわめて同感なのです。現在ここに出席できない理由は、予算委員会の審議に云々というような口実で御出席に相なつておりませんが、そもそもわれわれが審議しているこの法案は、これを否決されたならば、予算が通つたところで実施できないのじやないか。根本はこちらにある。予算の裏づけになる法律を審議する場にその責任者が立ち会わないで、どうして予算委員会だけでがたがたやつておるか。私ははなはだもつてけしからぬと思う。さらにただいま井上委員と当局との質疑応答を伺つておりますが、これは国の財政一般に関する問題で、予算の組み方、平衡交付金の問題、そういうような問題を全部渡辺主税局長が答弁しておるが、渡辺主税局長がそういうような問題を政府の代表として答弁したいならば、その資格を持つてここに参りなさい。一主税局長にそういうような答弁をゆだねて——国の一般財政、さらにまた重要な平衡交付金と地方行政財政との関連を一主税局長に答弁をゆだねて、責任者が出て来ないということははなはだもつてけしからぬ。従つて私はただいま福田委員からお話のあつたように、重要議案はそれぞれ大蔵当局の最高責任者か官房長並びに事務次官がそろつてここに御出席になるまで、一応質疑を打切ることに賛成をいたします。しかしながら散会という問題につきましては、これは御承知の通り十二時を期して行わなければならぬ採決もありますので、しばらくその趣旨によつて休憩せられんことを望みます。時間が参りましたら、懸案の決議の採決をいたされたいということを動議として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/17
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018・千葉三郎
○千葉委員長 ただいま春日君から休憩の動議が出ておりますが、これに対して御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/18
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019・千葉三郎
○千葉委員長 それではしばらく休憩いたします。
午前十一時五十一分休憩
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午後零時四十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/19
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020・千葉三郎
○千葉委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。
去る二月三日社会党の春日一幸君より提出されました繊維品課税反対に関する決議を本委員会の決議とし、議長のもとに報告するとともに、関係当局に参考送付すべしとの動議を議題といたします。
本動議に関しましては、去る三日春日委員よりただちに採決すべしとの動議が提出されておりますので、この動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/20
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021・千葉三郎
○千葉委員長 起立少数。よつて本動議は否決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X00919540218/21
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