1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年二月二十六日(金曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 千葉 三郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君
理事 坊 秀男君 理事 内藤 友明君
理事 久保田鶴松君 理事 井上 良二君
宇都宮徳馬君 大平 正芳君
苫米地英俊君 藤枝 泉介君
堀川 恭平君 三和 精一君
池田 清志君 福田 繁芳君
小川 豊明君 佐々木更三君
柴田 義男君 春日 一幸君
平岡忠次郎君
出席政府委員
大蔵政務次官 植木庚子郎君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
国民金融公庫総
裁 櫛田 光夫君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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二月二十五日
揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三三号)
日本銀行券預入令等を廃止する法律案(内閣提
出第三五号)(予)
当せん金附証票法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三六号)(予)
揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/0
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001・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/1
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002・淺香忠雄
○淺香委員 議事進行。今政務次官も銀行局長もお見えになりましたが、御承知の通り十時の開会で、各委員を待たしますことすでに四十二分。御承知の通り今国会においては政府から提出される法案の予定が約八十、今日まで委員会が毎日のように開かれておりますけれども、まだ法案一つ上つていないような状態であります。従つて私ども与党の方といたしましても、できるだけむだな質問を避けて、そしてこの時間を野党の皆様の方に十分に使つていただいて、できるだけすみやかにこの法案を上げていただきたいことを念願として、非常に気を使つているのであります。しかるに今日のように十時から委員の皆様をお待たせしてすでに四十何分、非常に貴重な時間をこういつたことで浪費いたしますことは、私ども与党といたしましても非常に遺憾に思います。きようは何か事情があつたことだろうと思いますが、その事情を十分に述べていただき、皆様方の御了解を得て、明日からかかることのないように、特に与党側を代表して私はあなた方に警告をいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/2
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003・千葉三郎
○千葉委員長 ただいまの淺香君の御発言でありますが、委員長もきわめて同感でございます。明日から定刻を過ぐること三十分以内に政府委員がお見えにならなかつたならば、流会いたします。これを宣言いたします。
昨二十五日本委員会に付託されました揮発油税法の一部を改正する法律案を議題として、まず政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。植木政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/3
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004・植木庚子郎
○植木政府委員 説明に入ります前に、ただいまの委員長のお言葉並びに淺香委員のお言葉に対しまして、一言おわびを申し上げます。よんどころなき公用のために遅刻をいたしまして、はなはだ申訳ございません。明日から努めて皆様のお言葉に従うようにいたしたいと存じます。
ただいま議題となりました揮発油税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
政府は、昭和二十九年度予算に関連して税制の改正を行うこととし、すでに所得税法の一部を改正する法律案等関係法律案を提出いたして御審議を願つているのでありますが、さらに今次の税制改正の一環をなすものといたしまして、ここに揮発油税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
この法律案の内容について申し上げますと、揮発油税につきましては、最近における乗用自動車の増加等に伴う揮発油の消費の状況及びその税負担の程度等を考慮いたしまして、その一キロリットル当りの税率を現行一万一千円から一万三千円に引上げることとしているのであります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成せられまするよう切望する次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/4
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005・千葉三郎
○千葉委員長 次に、前会に引続いて、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、日本銀行券預入令等を廃止する法律案及び当せん金附証票法の一部を改正する法律案の三法案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。内藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/5
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006・内藤友明
○内藤委員 国民金融公庫のことにつきまして、一、二お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/6
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007・千葉三郎
○千葉委員長 ちよつと発言中ですけれども、櫛田総裁は間もなく見えるそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/7
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008・内藤友明
○内藤委員 櫛田総裁ではだめなんです。銀行局長にお尋ねしたいのです。昨年のいつでありましたか、私は銀行局長に特に申し上げておいたのでありますが、国民金融公庫の資金を需要者に貸しますときに、いろいろな機関を使つておられる、それは非常に危険なことであるがということを申し上げたのですが、そのときに、なるべくそれはやめようというお話でありました。ところがこれば私の郷里にあつたことでありますが、国民金融公庫はその取扱いを商工会議所に今なお継続してやつてもらつております。ところがある商工会議所の係の者が、その集めた金を実は使い込んだのであります。こういう問題が起きて来た。幸いに商工会議所の役員がお互いに出し合つて、それを弁償いたしましたけれども、私はこういう問題が起るものと実は予想しておつたのであります。国民金融公庫は、金融に何の知識もない、どちらかと申しますと政治的に動く、そういう商工会議所を使つて、そういうふうな事態が起るということは、一体これは大蔵省はどうお考えなさつておられるのであるか。金融機関は、その地方地方には銀行もある、相互銀行も信用金庫もある、信用組合もあるのですから、むしろそういうものを使つた方がいいのではないかということを私はお尋ねしておつたので、なるべくそうしようというのであるけれども、そうなつておらないというのでありますが、そういうときに一体どういうことになるのか。ひとつ銀行局長のお心持をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/8
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009・河野通一
○河野政府委員 お尋ねの問題は、昨年来内藤委員からたびたび御質問を受けた問題でもあり、私どもはその当時から申し上げているのでありますが、商工会議所とか、その地域にあります経済関係の機関というものが、その地域における個々の事業なり、あるいは商社等の事情に相当通じている。しかも割合接触があるために便利が非常によろしい。しかも国民金融公庫の支所等が非常に数多く分布しておりませんというような事情等もありますので、そういうものが公正に扱われて、しかも誤解のないようなことで手助けになるならば、それを使つて行くことは決して悪くないのではないか、むしろ借りておられる方々の側から見れば、便宜となる場合があるのではないかという二つの善意な考え方から、そういうものを使つてやつた方がいい場合には利用して行くこともさしつかえないという考え方に立つておつたのであります。これは、決してさればといつて、信用金庫とか信用組合等が行つておりますような代理機関としての作用を行つておるものではないのであります。単純なる支社と申しますか、経由機関として行うのであり、銀行業務を行うものでないことはもちろんであります。しかしながらただいま内藤委員から御指摘のように、地域によりましてはそういうことがかえつて非常に弊害がある、いわんや職員において使い込みというような事実がもしありましたとするならば、ここに至つてはまさに非常に困つた問題でありまして、むしろこういうものを利用することによつて得る利益よりも、マイナスの方が多いということにも相なるのでありますから、そういつたことがありますものにつきましては、これはやめて行く方向で考えたい、かように私ども申し上げておつたのであります。その後この問題につきましては、櫛田総裁とも十分話し合う機会が実はございませんでしたので、ただいま私が申し上げましたような方針で個々の問題は処理されておるものと実は了解いたしておつたのでありますが、今御指摘の案件については、まだ片づいておらぬようでありますから、至急取調べまして何らかの処置をとりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/9
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010・内藤友明
○内藤委員 局長からお話があつたから、そのことを申しませんけれども、現実には実は商工会議所が金の出し入れをしておる、集めてそれを国民金融公庫の支所に持つて行く、こういうことをやつている、ちようど金融機関と同じような仕事をやつておるのですが、そういうことを黙認しておるということは、私はほんとうにどうかと思うのでありまして、かようなことがあろうかと思つて、昨年あなたにいろいろと弊害の起きない先に、こういうふうなことについて安易なやり方は間違いが起きるからということをしばしば申し上げておつたのでありますが、どうも銀行局長は、私どもの申し上げることに何でもかんでも反対なさるような向きのようでありますが、これはいたし方ございません。
そこで私はこの問題はそのぐらいにしておきますが、実は昨日あなたからお聞きしますと、例の町の金融に対しての法律を二つ近くお出しなさるということであります。この問題でもまさにその通りなんです。私ども昭和二十六年から大蔵委員会におきまして、この問題については何かお考えなさらなければいけませんということは申し上げておつたのでありますが、あなたはいつも、これはわれわれの取締りの対象ではない、取締りの対象でないのならば、取締り法規をつくつたらどうかということもしばしば申し上げておつたのであります。それが昨年の三月四日にあなたの例の勧進帳になつて、政府の態度をおきめになつたのでありますが、そのときも私は、それではいけないのじやないか、今に大きな問題が出て来る、金融行政を扱つておる責任者としてはそれではいかんじやないかということを申し上げておつたのでありますが、依然としてその態度はおかわりにならなかつた、そのうちに問題がこういうふうに深刻化いたしまして、まさに政界その他いろいろな方面に波及しまして、あなた方の先輩もこのためにいろいろな疑惑を受けられることになつて来た、これはひとえにあなたの怠慢であつたのじやないかと私は思う。それが今日になつてようやくみこしを上げられて、それに関する法規をおつくりになつたということは、かなり心境の御変化があつたものと思うのでありますが、私がお尋ねしたいのは、一体この取締りの法規をおつくりなさることになつたのは、今から三年前に私どもが申し上げておつたことがいいかげんなことで、事が起きてあわててやつたということになるのかどうか、今日そういう法律を立案されておる御心境をひとつ忌憚なくお聞かせいただきたいと思うのであります。そうしませんと、私どもがこれからいろいろなことを申し上げまして、またお尋ねいたしましても、もうそれは何にもならぬことじやないか、結局こういうふうな法案の審議というものは必要ないじやないか、こういうことになろうかと思うのでありますので、一応このごろそういう法案をおつくりになつておられる御心境を伺いたい。二年前、三年前にどうしてそれをやれなかつたのか、もし三年前にそれをやつておけば、私は今日こんな問題は起きなかつたと思う。そのときはあなたのところでは、もうそういう法規はないのだから、いたし方がないという一点張りの勧進帳であつたのであります。今日になりましての御心境をひとつお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/10
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011・河野通一
○河野政府委員 お答えいたします前に、先ほどの問題についてつけ加えておきたいのでありますが、私は先ほど申し上げましたように、私の聞いておりますところでは、あるいはこれが認識が足りないとおしかりを受けるかもしれませんが、地域によりましては、この商工会議所等の経済団体を使うことが非常に借り手にとつても便利がいいという事態があることは、どうも私は事実のように思います。しかし、それはお前はよく事情を知らぬのだ、こういうことであればまことにやむを得ませんが、所によつては、非常にこういう経済団体を使つていて、しかも弊害がなくプラスになる面があるという事例が確かにあるように私は聞いておる、そういうものまでも一律に押えて行かなければならぬということはないと私は実は考えております。しかしこの点は、個々の事情についてもう少し私どもも確めた上でないと的確な御答弁を申しかねるので、この点はこの程度にさせていただきたいと思います。
それから近く御提案申し上げたいと考えておりまするいわゆる町の利殖機関等に対する取締りの法案であります。これは昨日申し上げました通り、来週中には御提案申し上げたいと考えておるのでありますが、この問題につきましては、数年前から内藤委員を初めとして、当大蔵委員会からはたびたびこの問題に対する政府の態度のなまぬいと申しますか、はつきりしない点についての御指摘をいただいておる問題でありまして、非常に弁解がましくなつて恐縮でありますが、一応今まで私どもがだどつて参りましたこの問題に対する研究、あるいは措置の経過を概略申し上げておきたいと思います。私どもとして何とかこの問題に対する態度をきめなければならぬということで研究に入りましたのが、二十六年の暮れからであります。その当時だんだんこういうふうな機関がいわゆるインフレーションの波に乗つて相当盛んに行われて来るような事例が見受けられる、これに対して、金融当局なりあるいは法務当局としては一体どういうふうに考えるべきかということでたびたび議論をいたして参りました。そのときまず問題になりましたのは、はたして現行法規の上において、これらの経済行為というものが一体金融法規上違法の行為であるかどうかという点がまず第一に問題になつたのであります。ところがこの問題はたびたび申し上げておりますように、非常に複雑な法律問題、しかも言葉は悪いのでありますが、いわば紙一重と申しますか、どちらにもなかなか判定のつきがたいような事例が多いのであります。私どもは決してなまけておつたわけではありません。累次にわたりまして関係当局とたびたび打合せをいたしたのでありますが、なかなか結論が出なかつたのであります。その間に、大蔵委員会から早くこれらの問題について結論を出さなければ手遅れになるというおしかりをたびたび受けて参りました。実は約一年数箇月もかかつたのでありますが、研究いたしました結果、昨年の三月に、私から当委員会において御答弁申し上げましたような結論が出たのであります。結論を出してしまえばきわめて常識的な結論であつて、何も結論というほどのことじやないという御議論もあるかと思いますが、ここまで参りますためには、私どもはあらゆる観点からこの問題を研究して参りました。そのときは今申し上げましたように、立法論の問題ではなくして、まず現行法の解釈の問題として、一体これが金融法規の禁じておるような金融行為であるかないかの判断、その結論を得るために実はまつたく追われておりまして、その結論が昨年の三月にようやく出たというようなことに相なつておるのであります。その当時は、私どもの承知いたしておりますところでは、立法の問題として強く要望されておりましたのは、むしろこれらの機関に対するいわば取締りよりも、何かこれらを制度化する、あるいは合法化する、それによつてこれらの機関を一つの金融制度の中に正規のものとして取上げるといつたような意味における立法化の御要望が非常に強かつた。私はそれに対して去年の三月、はつきりそういつた意味の法制化、立法化は政府としては絶対反対であるということだけは、その当時申し上げたのでありますが、それ以外に、さらに進んで取締りの意味における法制化、立法化を必要とするかどうかにつきましては、実はまだそこまで手がまわつておらなかつたような次第であります。しかるに昨年の五、六月ごろの候に至りまして、やはりその後の状況を見ますると、いたずらにこれを放置することが適当でないという部面がどうも現われて参りそうだということで、当委員会の委員の方々からの私どもに対する御質問もあり、それに対して私はある一つの取締りに対する法制上の構想を、ごく非公式に私見として当委員会でも、たしか六月だつたかと思いますが申し上げたことがあると記憶いたしております。その後これらの問題を——これは私の漏れ聞いたところでありますから、間違つておりましたら御訂正を願いたいと思うのでありますが、当委員会におきましても、これを何らかの議員提案の法案としてこれらの問題についての取扱いをやつて参りたいというような御意見が出て参つておつたやに、私は漏れ聞いておるのであります。そういつたふうな動きもあつたように私ども承知いたしておるのでありますが、そういつた点と、かたがた政府部内におきましては、この問題はたびたび私から申し上げておりますように、金融法規上の問題でない部面が相当にある、従つてこれは法務省とか、そういつた方で研究してもらわなければならぬ問題であるといつたようなことで、これらの観点から当委員会におかれましても、法務省の当局をお呼び出しになりまして、いろいろ見解を聞かれたこともあつたように私は記憶いたしております。そういつたことで、私どももこれらの法制化については研究を続けて参つております。ただこれも時機が熟さなかつたと申しますか、私どもの研究が十分でなかつたと申しますか、成案を得るに至らない間に、昨年の十月に保全経済会が休業するというような事態に実はなつたのであります。その後私どもはそういつた考え方で研究を続けておりましたものを、保全経済会の休業、その他の新しい事態の発生ということにもちろん刺激をされたということはありますが、すみやかに法制化することの必要を痛感いたす事態になつて参りました。大蔵大臣及び法務大臣からも、国会においてこれらの法制化の必要を言明いたしたような次第であります。その考え方に基きまして、私どもは現在法案を作成すべく鋭意努力をいたして参つておるのであります。ただこの法案は、成案を得次第御提出申し上げまして、御審議をいただくのでありますが、ごらんいただきましておわかりのように、なかなかむずかしい法案であります。技術的にも相当いろいろな難点もあるために、だんだん時日も遅れて参つたのでありますが、近く先ほど申し上げましたようなことで、成案を得ることに相なると思いますので、でき次第御提案申し上げて御審議をいただきたいというふうに考えておる次第であります。はなはだどうも弁解のようなことになつて恐縮でありますが、今までこの問題に対し、私どものとつた態度の概略を申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/11
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012・内藤友明
○内藤委員 局長から今承りまして、私は非常に不満な気持を持つのでありますが、それは今お述べになつた中に、大蔵委員会においては、保護するような立法をしたらどうかという意見もあつたように自分は感じた、こういうお話であります。この委員会では、これは過去の速記録をお調べいただきますればわかりますが、おそらく一度もそういう意見が出たことはないと私は思います。昭和二十六年七月の大蔵委員会に初めて取上げたときから、こういう問題はすみやかに何らか取締らなければならぬじやないのかということで一貫して来ていると思います。昨年秋に千葉私案なるものを小委員会においてつくつたのであります。これは局長ごらんになればおわかりと思いますが、これはほとんど禁止法案であります。ところがあなたのところのだれかが、あの千葉私案なるものは保護立法であるということを新聞社にお話になつたということを、新聞社からお聞きしたのであります。それは別にいたしておきますが、この大蔵委員会では、私はずつとまじめに委員会に出ている一人といたしまして、そういうふうな気配は今までなかつたと私は思います。でありますから、そういうふうにお考えなさつたことは、おそらく与党の幹部の方からそういうお声がかりがあつたのじやないかと思うのでありますが、その点は非常に重大な問題でありますから、いま一応局長からはつきりとその点を明らかにしておいていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/12
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013・河野通一
○河野政府委員 私が申し上げましたのは、当委員会でそういう発言があつたかどうかということを申し上げているのではございません。また与党の幹部という方から何かそういうことがあつたかというようなお話でございますが、そういうこともございません。ただあの当時、私が三月に御答弁申し上げました中に、これらの問題に対する法制化の意見が非常に強く出ている、しかしこれに対しては私どもは反対だということをわざわざ言つているゆえんのものは、国会の方でそういう御意見があつたかどうかの問題じやございません。そういう要望が強くあつたことは事実であります。従つてことさらにそういうことに対する法制化の意見があるけれども、そういうことに対しては、政府は反対であるということを、わざわざあの三月に私は申し述べております。従つて当委員会にそういう御要望があつたということを私は申し上げておるのではございませんので、誤解がありましたら訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/13
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014・内藤友明
○内藤委員 この法制化の問題には、内容が二通りあります。一つは保護しよう、一つは禁止しよう、こういうことであります。大蔵委員会におきましては、当初から禁止しなければならぬのではないか、金融行政をあずかつておる大蔵省としては、なまぬるいのじやないかというのが、一貫した大蔵委員会の意見であつたと私は信じております。あなたの法制化というのは、今の御説明によると、それは保護立法するということの法制化はしない、こういうお話のように承つたのですが、それはそれでいいのでありますが、そこでどうも今までの金融行政をあずかつているあなた方の態度としては、やつぱり手ぬるい。そういう手ぬるいところに、ああいう大きい問題が出て来たのである。今日になつてああいう大きな問題が出て来たことに対する責任をいささかもお感じなさらぬかということを、実は当初にお尋ねしたのでありますが、それについていろいろと経過の御説明がございました。これはよく存じております。今度禁止する立法をお出しなさるというのであるが、昭和二十六年にあれは出してもよかつたのじやないか、ようやく今日になつてお出しなさるということは一体どういうことなのか、その御心境を伺いたい、こう申すのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/14
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015・河野通一
○河野政府委員 これはお前たちの見通しが悪いという御議論であれば、私どもはその点についてはおしかりを受けざるを得ないと思いますが、私はこういうふうに考えております。これは弁解でも何でもありませんが、法律というものは必要最小限度にすべきであると私は考えております。従つて、ことにこういつたふうな取締り法規というものは、その事態が非常に害にたえないということの見通しがはつきりつくか、あるいは現にそういう害が相当起つておるというときに、初めて取締り法規というものはつくるべきである。もちろん、ある程度の見通しは立てなければなりませんが、私どもはこういう取締り法規というものは、できればない方がいい、こういう取締り法規を必要としないような事態が一番いいのだと私は考えております。従いまして、二十六年に私どもが研究し出した当時に、その程度のことを見通して、こういう立法をすべきだつた、取締り法規をつくるべきであつたという御議論に対しては、それは私どもの将来に対する見通しの不明であつたということで、おわびをいたさなければなりませんが、その当時といたしましては、そこまでは私どもは考えていなかつた。むしろ先ほど申し上げましたように、現行法で一体あれは預金行為でないかということを精一ぱい議論をして参つたのです。そんなつまらぬことを議論している間に、ほかのことを考えろと言われれば、まさに申訳ない次第でありますけれども、二十六年当時には、こんな事態になるとは私ども考えておらなかつた。従つてこういつた取締り法規の立法をいたすということまでは、私どもとしては遺憾ながら、おしかりを受けても考え及ばなかつたということを申し上げざるを得ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/15
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016・内藤友明
○内藤委員 先の見通しが誤つたとお話になられればしかたがないところであります。これは速記録をお読みいただけばわかりますが、昭和二十六年の七月の委員会におきましては、こういう問題はあれよあれよという間にとんでもないことになりますよということが、速記録にちやんと書いてあります。実は私どもは、あの当時四国をまわりまして、いろいろ実情を聞かされまして、匿名組合というものは、はたしてこういうことをやつていいのか悪いのかという議論は別にしておいて、これは当然何らか制肘を加えないとたいへんなことになるということは、あのときよく申し上げておいたのでありますが、その点ははなはだ私ども残念に思うのであります。大よそ政治というのはそんなものではない。これは非常な弊害が起きるということを考えれば、弊害の少いときにさつさと対策を講じて行くということが親切なやり方ではないかと思うのであります。だから私は今日になつてみて考えますると、これはあなた方の先輩がちよいと待て待て、そんなことをやるなよとおつしやつておられたことがあるのじやないかということは、——私は決して悪く考えるのではないが、昭和二十六年に言つておつたことを、ようやく今日おやりなさるという経過から見て、そんなことであつたのでないかということが私は想像できるのでありますが、何もそんなこと御遠慮なさる必要はないのであります。金融行政の責任を持つあなたとしては、見通しをつけて敢然としておやりなさらなければ、日本の国のいろいろな金融行政というものは混乱に陥るのでありますから、将来とも見通しを誤つたからなんという言葉をお使いなさらずに、勇敢にやつていただきたいと思うのであります。今日聞いてみますると、また新手なやみ金融がはやり出して来たというのであります。でありますから、この際抜本的なことをあなた方でお考えなさらなければならぬ。火事を見てから消防ポンプを買い求めに行くようなことでは相ならぬのでありまして、火事の起らない先に消防ポンプをちやんと用意しておかなければならぬのであります。どうもあなた方のやり口は、どろぼうを見つけてから一生懸命なわを買つて来ておつかけるようなやり方なのでありまして、これが今日こういう事態を起しておるということをよくお考えいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/16
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017・河野通一
○河野政府委員 何度お話を申し上げても同じことになると思いますが、私は今お話のように、ある特別な勢力からこれらの問題について私どもの施策を押えつけられたとか、あるいはそれによつて私の考えを曲げられたということは絶対にございませんから、たびたび申し上げますけれども、その点はそういうことで御承知いただきたいと思います。今問題になつておりますのは、二つ問題がある。去年の三月にもそういうこととして取上げられたのでありますが、一つは保全経済会等を含むいわゆる匿名組合方式による利殖機関の問題であります。一つは、株主相互金融等を中心とするいわゆる貸金業者の問題と、二つあるわけであります。私が先ほど来立法化の問題がいろいろ出ているということを申し上げたのは、後者の問題であります。保全経済会等を含む匿名組合方式によるものは、去年の三月に、これらの問題は金融法規上の問題ではないということをはつきり政府として方針をきめて、そのことを申し上げておるのであります。従いまして私どもは、銀行局長として関係がないから、責任をのがれるという意味で申し上げているのではありませんが、少くともこれは金融法規のそとの問題である、金融行政のそとの問題であるという観点から、この問題を取上げておるのであります。近く御提案申し上げる法案も、いろいろな規定が雑多に入つておりますが、その中にも、これは法務省と大蔵省との共同提案ということになつて提出されることになつておりますが、その中で、今お話になつておりますような出資等に対するある程度の制限、この規定は主として法務省の担当ということで、私どもは打合せを済ましておるわけであります。そういつた観点から、非常に狭い、私ども金融行政をあずかつておる者としての立場から申しますと非常に弁解がましくなりますけれども、これは金融上の問題でないという考え方を、三月以来持つておる。この点たびたび申し上げることでありますが、ひとつ御承知置きを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/17
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018・千葉三郎
○千葉委員長 銀行局長に申し上げますが、先ほどのあなたの発言の中で、いわゆる千葉試案というものを議員立法として強行するというような意味のお言葉があつたように思うのですが、あれは私の承知しておる範囲におきましては、参考意見として、政府に御送付申し上げて、それを政府提案としてよろしく善処してもらいたいという意味でありますから、その点誤解のないようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/18
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019・河野通一
○河野政府委員 私が議員提案としてこういう立法が考えられておるように漏れ聞いたと申し上げたのは、いわゆる千葉試案の問題ではないのであります。それよりもつと前に、たしか去年六月ごろではなかつたかと記憶いたしますが、これは私の記憶が間違つておるということであれば——訂正する意味で申し上げるのでありますが、何かそういつた取締り法規を議員提案としてお考えになつておるやに私どもは聞いておるということを申し上げたのでありまして、これは千葉試案の問題とは別であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/19
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020・内藤友明
○内藤委員 今お話が出ましたから、関連してお尋ねいたしますが、先般実は共同通信に流れた記事が出ましたときに、共同通信でお聞きしたのですが、千葉試案なるものは、これは保護立法だということを大蔵当局がお話になつたというのがあつて、あれをそういうふうに扱つた、こういうことなのであります。私どもはそんなことは万万なかろうと思つておりますが、あの法律によつて株主相互金融が幾つぐらい残るかと考えてみますと、私は四つか五つしか残らぬ、あとは全部つぶれるものと考えておつたのであります。そういうふうなことがあなた方の行政担当者の側から話が出るということは、これはまことに残念なことでありまして、この点は私は皆さんに対して遺憾の意を表しておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/20
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021・河野通一
○河野政府委員 私の方は、特に公式にいわゆる千葉試案というものについて批判を申し上げたことはありませんが、ただこれが公式に千葉試案として——半公式でありますか、新聞等に出ますと、そうした場合に、私どもの見解を聞かれることがございます。私はこれに対して、これは率直に申し上げますが、少くとも貸金業を営むものに対してこれを許可制にするということは、私どもはこれは絶対に反対である、こういうことははつきり申しております、従いまして、それか保護立法だというふうにとられて言われたとすれば、これは私がそういう意味で、貸金業を許可制にすることは反対だとはつきり申しておりますから、その点でおしかりを受けるならば、これは私は責任をとらなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/21
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022・春日一幸
○春日委員 関連して……。株主相互金融は、これは金融法規のらち外の問題だ、こういうふうに言つておられる。今そういうふうに言われたのじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/22
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023・河野通一
○河野政府委員 保全経済会の問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/23
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024・春日一幸
○春日委員 保全経済会の問題ですか。それはまあそれでもいいでしよう。そこで私があなたに申し上げるのは、大体内藤さんの御意見に多少附加することになると思うのだが、私は何事によらず早期診断ということが必要だろうと思うのです。病根が深くなつてからああだこうだといつて騒いだところで追いつくものではない。そこで今回あなたの方がそういう金融法規を法務省との関連において出して来られるということなのだが、それをもし今から二年ないしは三年前に出しておられたら、今日のような事態が起きたか起きなかつたか、このことについてひとつあなたの御心境を承りたい。そうしてまた今日この法律をお出しになるというゆえんのものは、こういうような事態が起きて、国民大衆にたいへんな迷惑をかけたのだから、今後こういう迷惑をかけないことのためにその法律をお出しになると思うのだが、はたしてそうであるとすれば、結局ずつと第十三国会以来、そういうような金融の基準法規というものを出した方がいい、こういうしばしばの国会の要求にもかかわらず、そのことをあえてしなかつた、その責任は河野さんにあると思うのだが、これについてあなたの御心境をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/24
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025・河野通一
○河野政府委員 金融法規との関係で問題になりますのは、先ほど申し上げましたように、匿名組合式のものと株主相互金融といいますか、大きくわけてそういう二つの問題がある。後者につきましては、これは金融に関係があると思います。前者については、これは金融に関係がないということをはつきり申し上げます。しかしながら関係があるかないかということが非常に実はむずかしい問題であつたという意味においては、消極的には実は関係があつたわけであります。つまりああいうやり方は、一体金融法規が禁じておるような預金行為ではないかどうかということが非常にむずかしい問題で、一年半議論をして参つた、そういう意味では消極的に関係があつたかとも申し得るかと思います。
私は今お尋ねの第一点の、二年前に今考えておるような法案を出して、それが成立しておつたならば、その後起つたような弊害は起らなかつたかどうかという点につきましては、これは私は何とも申し上げるわけに参りません。と申しますのは、法案の内容にもよりますし、その当時においていかに取締り法規といつていろいろな法律をつくりましても、これは一般公衆の方方がこれを受取る場合の受取る態度にもよると思うのです。従つて私どもは、法案をつくるときには、十の弊害を押えるためにあとの九十の人々、つまり何ら弊害のない九十の人を押えてしまつて、百のものを抑えるような法律をつくるべきじやないと考えておりますから、その意味では、この法律は御審議をいただくにあたりまして、場合によつては不徹底だというおしかりを受けるかと思いますけれども、そういう意味において、二年前に今考えておるような法案が出ておつたならば、もうああいう弊害は全部なくなつておつたであろうかどうかということについては、私ははつきりした確信を持つて申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/25
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026・春日一幸
○春日委員 これは非常に責任のがれの御答弁ではないかと思います。大体河野さんが今回そういう庶民金融の基準法規をつくろうというふうにお考えになつておることは、現実にその弊害がある、ほうつておけばさらにその弊害がますます甚大になる、こういうことで、今後に処することのためにその法規が出されようとしておるわけであります。すなわちそういう法律をつくるの必要性をようやく認められるに至つたわけなのです。そのことは現在の保全経済会にしろ、あるいは殖産金庫を中心とするところのあの相互金融にしろ、何十万人という国民に被害を生じてからなのです。私はあなたに申し上げたいことは、汽車が走つておるのだが、このレールが脆弱だ、早いところ直さなければ列車が転覆する、こういうことを十三国会以来口をきわめて大蔵当局に言つておつた。ところがこのレールはまあまあ大丈夫だといつて本日まで来たが、はたしてここの腐蝕場所から列車が転覆して、何十万という人々が死んでしまつたという状態、それで、ここでひとつこのレールを直そうというのでこの法律を出して来た、あたかもそんなものじやないかと私は思うのです。そこで私はあなたに申し上げることは、国会輿論の中で、今までこういうことについて一度も言及していなかつたならば、それでよい。だれもその欠陥を指摘するものがなかつたならば、それでよい。しかし法律に欠陥があるので、近き将来において必ずや大きな弊害をもたらすからと、そのことを指摘して、政府に対してわれわれは国民の輿論を代表して強く主張して来た。ところがあなたは、このことはそんな必要がない、必要がないといつてほうつて来たのだが、はたしてそんな必要がないということをあなたがほんとうに心の底からそう思つたか。あるいは広川弘禅、伊藤斗福、池田勇人、こういうような人々があなたにひそかに影響力を与えて、そういうことを思い込ましておつたのであるか、あるいはそういうことを言いくるめておつたのか、このことは私どもはわからないけれども、いずれにしても、あなた方がとつて来られたところのこの方針が誤りであつたことは疑う余地はないと思う。そこで私は、あなたが責任を負うときは今だと思うわけなのです。現実に、今まで通りでよかつたならば、今までのあなたの方針がよかつたならば、今ことさらに新しい法律をつくる必要はないじやないか。今新しい法律を必要とするに至つたゆえんのものは、今までのやり方ではいけなかつたからです。そこであなたにお伺いしたいことは、すべて法律案というものは閣議で決定しなければ出して来ないでしようけれども、あなたはこれは金融法規のらち外の問題だから、深くは触れなかつたということを今までしばしば言つておられるが、村落の消防ポンプでさえ、隣村で火事が起つたならば、かけつけてその火を消すじやありませんか。これは法務省の所管で、おれは銀行局長だからこれとは関係ないといつてあなたが白い眼でながめておつて、それで今日こういうような大問題になつてしまつた。それで今度は法務省と一緒になつてこの取締り法規をつくるということになれば、少くとも属吏属僚ならいざ知らず、大蔵省の日本の金融機関の総帥者であるところの銀行局長の態度としては、相当国民からいろいろな非難攻撃を受けてもこれはあなたとして答える言葉がないじやないか。今まで平気だ平気だ、こんなことは大丈夫だ。法律上何も触れるところがないから、決してとやかく言う筋合いのものではないといつてほうつておかれたために、多くの人々にたいへんな迷惑をかけた。その責任はあなたがおとりになるか、それをあなたに言つた背後の人々が負うか、いずれにしても国民に対して責任を負う誠意が示されなければならぬ、こう思うのです。だから率直に悪かつたことは悪かつた、よかつたことはよかつた。だから現在こういうような保全経済会の問題にしろ、あるいは株主相互金融の問題にしろ、本日ここにもたらされたところのたいへんな事柄というのは一般の責任ではない、九割九分九厘の責任は大蔵省当局、特に当の銀行局長の責任にあるということを私は強く申し述べ——心境を伺つたところがしかたがないけれども、今度の法律については、十分責任あるところの精査をとげた法律案を出してもらいたい。もとより法は少いほどよい、現在どちらを見ても法律だらけで、まつたく国民生活というものはきゆうくつしごくです。私どもは何でもよいから法律をじやんじやん出せというわけではないけれども、少くともこの金融法規だけはすみやかに出さなければならぬということを、第十三国会以来強く主張して来た立場において、このことをあなたに強く反省を求めるものです。あなたは笑つてかぶりを振つておられるけれども、あなたの良心は私のこの言葉をすなおに聞いておると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/26
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027・河野通一
○河野政府委員 答弁になるかならぬかわかりませんが、一応申し上げます。私は今までのああいう状態は、これは責任のがれとおしかりを受けるかもしれぬが、いまだかつて大丈夫と言つたことはありません。私は去年の三月に、この問題もはつきり私として言える範囲のことは申し上げた。これは預金者でありませんぞ、事業会社の株を持つたのと同じですから、預金者に対する保護は与えられません。従つて言葉は非常に悪いが、ボロ会社の株を持つた場合と同じです。ボロ会社の株を持つたら元も子もなくなる。(「それは議論がある」と呼ぶ者あり)議論のあるなしは別として、私が申し上げたことは、これは皆と打合せた上で申し上げた。それで私はそれ以上に、たとえば具体的に、保全経済会というものが、これは危ういものですということは私には言えません。従つて私は精一ぱい、それは出資者である、それに出資をしておられる方は出資者ですぞ、従つて預金者に対する保護は与えられませんから、そのおつもりで入つていただきたい、実はこういうことは三月に申し上げた。私は、大丈夫ということはいまだかつて申し上げたことはありません。またそんなことは私は申し上げるはずはない。しかし私はこれは危ういとか、そういうところに出資されるとあとで非常に困りますよということは、私としては申し上げられないのです。私としては、そういうことは責任をもつて申し上げるわけに参りません。それが第一点。
それからたびたび申し上げますが……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/27
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028・千葉三郎
○千葉委員長 答弁中ですから、静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/28
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029・河野通一
○河野政府委員 それから第二点でありますが、これはたびたび内藤委員にも申し上げた通り、何らか私に対して圧迫があつて、私の考えておることと違つた措置を私が曲げてとつたということは、これは何度申し上げても間違いなく、そういうことは絶対にありませんから申し上げておきます。
それから、お前その点に対する見通しが非常に悪かつた、従つて責任をとれということにつきましては、私も見通しが悪かつたことについては、おしかりを受けざるを得ない、これだけは申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/29
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030・井上良二
○井上委員 ただいまいわゆる特殊金融問題に対する政府当局の対策について、是であるか非であるかということが問題になつておりますが、銀行局長としては、わが国の財政経済を正常に安定向上さすためには、不健全な金融に対しては必要な注意を与え、また必要ないろいろな対策及び法的処置を講ずる責任があると思います。あなた自身が、たとえば保全経済会のごとき、あるいは株主相互金融のごときものは、これはボロ会社的なものであるから、こういうものに投資をしたり、あるいは掛金をするがごときはきわめて危険であるということをあなた自身お考えになつておる。そうならば当然正常金融を守るという立場から、不健全な金融に対しては、局長として当然必要な注意は与えるべきである。またそれだけでは力が足らぬとすれば、必要な政策をきめ、法的処置を講ずべきである。それを今までそのまま放任して、そうして多くの無事の預金者のほんとうに命より二番目に大切な汗の結晶を台なしにしてしまつた。一体政府は何でこんな機関をこのまま放任して置いたんだという町の輿論は、ごう然たるものがあるのです。この弊害の多い特殊金融を放任した、そのまま政府が認めて来たということについての非難と攻撃が猛然と起り、また現実にこのために被害を受けた多くの国民の実情を見て、政府はこのままではいかぬということから、特殊金融に対する取締りの法律を出そうとしているじやありませんか。現実は、そういう方向は誤つているというところに基いて法的処置を講じようとしている。だからこれは、何と言うても日本の金融行政を預かる銀行局としては、そういう不健全な金融を数年間にわたつて認めて来たということは、これは政治的には——法的な解釈はいろいろありましよう、ありましようけれども、政治的には大きな責任を負わなければならぬと私は考えている。植木政務次官はそうお考えになりませんか。やむを得なかつたとお考えになりますか。もしかくのごときことが従来放任され、そのままで来ているものならば、不健全なものはつぶれて行くという事態が起つておりますが、別に法的に特殊金融に対する取締りをやらなくてもそのままほうつておいたらいい、あなたの従来の主張ならばそうです。この際特別の法規を設けて取締りをしたり、いろいろの解釈上問題になる、疑義のある法案をこの際特別に出さなければならぬとするのは一体どこに根拠があるか。ここが問題であろうと思う。この点に対する政治的責任をどう考えているか。植木政務次官の御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/30
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031・河野通一
○河野政府委員 私はちよつと誤解があつたらいけませんから、井上さんに申し上げておきたいのでありますが、株主相互金融とか匿名組合でやつているものは、すべて私はボロ会社だと申し上げたことはありません。ただその場合に申し上げたのは、かりにその会社なり組合がつぶれた場合におきまして、その株主なり出資者というものは、たとえばボロ株会社の株を持たれて元も子もなくなつた場合と同じことだ、こういうことを申し上げたのでありまして、私は株主相互金融をボロ会社だということは、申し上げた記憶はないのでありますから、その点誤解のないようにお願いいたしたい。
それからもう一点は、井上さんのお話がありましたが、私どもは、株主相互金融とか匿名組合方式のものが資金を集めている形は、これはたびたび申し上げているように、私どもはこれを出資の形であるというふうに解釈いたしておりますので、これは預金者ではないという解釈を持つているということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/31
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032・植木庚子郎
○植木政府委員 匿名組合式の利殖機関であるところの保全経済会の問題でありますとか、あるいは株主相互金融の問題につきましての取締り法規を今日まで制定することが遅れておつたのは、大蔵当局の責任ではないかという御質問のように承ります。先ほど来河野政府委員が申し上げております通り、一体この問題は金融行政のわく内において取締るべきものであるかどうかという問題についての大蔵省当局の見解が容易に定め得ないほど、この問題が複雑な法律構成にならざるを得ないということのために、今日まで日が遅れたのだろうと私は考えるのであります。それにいたしましても、少しでも早く適切なる法律を制定すべきではなかつたかという御意見に対しましては、なるほどその結論がもつと早く出て、今日のごとく多数の人たちに迷惑が起らないようにでき得たならば、ほんとうにそれこそよかつたなという感想を私自身も持たざるを得ません。しかしこうした機関に対する議会での従来の御論議、その他世論に顧みて、本来ならばこうしたものに加入しておられる方々も、もつと早くお気をつけになるべき問題じやなかつたか、私はこうも考えるのであります。現に私自身も、こうした問題について多数御相談を受けたことがあります。そういう場合に私自身としては、そういうところへは株主になるとか、あるいは出資をするということはよくありません、あぶないですぞということを、これは個人的の問題でございますけれども、数回にわたつて御相談を受けた際にお答えしたことがあるのでございます。
なお法律をもつて云々の問題は、これは政府が率先してそうした結論が早く出て、法律が出せるならばなおよかつたと思いますか、これははなはだ申しにくい、あるいは失礼な言い分かも存じませんが、もしでき得るならば、議員提出の法律でもつて適切な措置を講じ得たならば、これも一つの対策ではなかつたか、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/32
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033・井上良二
○井上委員 銀行局長は、何か保全経済会あるいは株主相互金融の行為が出資行為であつて、預金ではない、だから大蔵省の銀行局の方では預金行為として取締まるわけにはいかないのだというお話でございますが、出資であろうと預金であろうと、問題はそのことによつて多くの国民に迷惑をかけた行為が起つておるわけです。預金ということになれば銀行法にひつかかる、あるいはまたその他金融法規に抵触するというところから、出資という裏道を通つておるわけであります。
〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕
そのことが非常に全体の金融に悪影響を及ぼして来ておるわけです。だから預金であるとか出資であるとかいうことではない、そういう匿名組合方式、株主相互金融方式というものがいわゆる高利回りをえさにして金を集めておる、このことが問題を生んでおるわけです。そういう行為は正常な金融の行為ではありません。正常な金融の行為でないことをわれわれは強く指摘しておるわけであります。だから、そのことに対して政府が必要な対策を講じて国民に注意を促し、またそういう正常な金融行政を脅かそうとする不健全なものに対しては、方針をきめてびしびし取締つて行き、あるいは指導して行くというやり方をとるべきであるということを私は主張して来ておるのであります。国会がそういうことに気づいたら、何とかひとつ国会でも立法したらよかつたじやないか、こういう政務次官のお言葉でございますけれども、それは政府がやるべき行政の一つであつて、国会が一々そこに干渉すべきものではありません。政府のやつておる行政の不手ぎわについて、われわれは注意を喚起することはできますけれども、正常な政府の行政行為に対して、一々われわれが干渉すべきものではありません。その点は誤解のないように願わなければなりません。これは事態が起つてしまつて、お互いに死んだ子の年を数えるような結果になつておりますから、これ以上この問題について深く追究はいたしませんが、要は、何としても金融行政に対する政府の不手ぎわの結果、かくのごとき事態を生んだというこの責任はのがれられません。そこで植木さんは、従来のやり方は不手ぎわであつたということを率直にお認めになりますか、それともこれはやむを得なかつたとお考えになりますか、どうお考えですか。もう一応伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/33
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034・植木庚子郎
○植木政府委員 今日に至つてようやく対策としての法律制定をお願いしておる。非常な年月を要したということは不手ぎわだつたか、あるいはやむを得なかつたかという御質問でございますが、批評の仕方によつては不手ぎわであるという御批評をこうむることもやむを得ないものと思います。しかし大蔵当局といたしましては、先ほども申し上げますように、今日までこの結論に達し得なかつた、長日月を要したということについては、ほんとうにその問題がむずかしかつただけにやむを得ず今日に至つたもの、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/34
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035・井上良二
○井上委員 昨日も私は申し上げたのでありますが、いわゆる町の特殊金融機関が保全経済会の休業を中心にして全体に経営がむずかしく、庶民金融というものが非常に困難になつておつて、そのはけ口が国民金融公庫の窓口に殺到して来るであろうという点を考える。そこで国民金融公庫の資金源をもつと拡大する必要があると思うのであります。ところが櫛田総裁の方では、現在政府が準備しております一般会計からの二十億と、資金運用部からの七十億、その他全部で三百二十億ぐらいの資金源でまかない得るというお考えをお持ちになつておるようでありますが、ほんとうにそれで正常な庶民金融、零細中小企業の金融がうまく行くとお考えになつておりますか、櫛田総裁に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/35
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036・櫛田光夫
○櫛田説明員 お答え申し上げます。大体お話がございました通り、今回の予算では、政府出資金二十億、資金運用部からの借入れ七十億、合計九十億というものを拝借するわけでありますが、回収金等も合せますと、いろいろな貸付全部を合せまして大体三百二十億見当の貸付をいたせるかと存じております。これは二十八年度の実績——と申しましても推定でありますが、これと大体ほぼ同額に近いものであります。ところが需要の面から申しますと、これも推定でありますが、大体五割近く需要がふえるであろう、お客様がお越しになるであろう、そういう観点からいたしまして、昭和二十八年度におきましては、ともかくもお客さんの需要に対して三割見当貸出しはできたのでありますが、二十九年夏におきましては二割見当にとどまらざるを得ないのではないかと思います。資金の量から申しますれば、できれば多いに越したことはございません。ただ今の国の財政の状況その他等から考えまして、ともかくも前年通りが維持できるというところに目安を置きまして、一生懸命やつてみようということを覚悟いたしておるわけでありまして、それで満足であるとか、十分であるとかいう意味のことではございませんが、与えられたわく内において最善を尽そうという覚悟をきめておりますことを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/36
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037・井上良二
○井上委員 与えられたわくで最善を尽すと申しても、ないそでは振れぬ。わくはこれだけしかないから結局こういうことになるのであつて、その努力の範囲というものはおよそ限定される。すでにあなたは今の御説明のように、昨年の需要に対してわずか三割しかいたしてない。本年は、さらに昨年の実績から推定をすれば五割需要が増加する。そうなると十人のうちわずか二人しか公庫の金を借りることができない実情になるという見通しに立つて、そういう実情の説明を聞いて、公庫の資金源の拡大ということがいかに重要であるかということをわれわれは考えます。これに対して、予算的処置としては一般会計からはすぐふやせなくても、資金部の金をもう少しまわすことについて、あなたの方は、三百二十億で去年どつこいどつこい来たんだから、今年もこれでやろう、お客さんが来ても断るというより方法はないと思います、そういうあきらめを至るところで振りまわしているのでは、とても総裁としての任務は果されませんぞ。与えられた仕事を与えられただけやるなら、だれでもやれるのです。現実に五割も需要が増加し、町の特殊金融機関が一切つぶれてしまつた今日、当然あなたの方にごやつかいをかけなければならぬ人が多くなつて来る。そうなれば、それを見込んだ資金源の拡大に対して、政府にもつと積極的に資金源の獲得について努力すべきじやないか。これでいいとはどういうことですか。そんなにあなたが遠慮する必要はない。あなたみずからの力が足らなければ国会の方にも大いに実情を訴えて、資金源の獲得に協力を求める。何か大蔵省と話をして、これでしようがないというてあきらめてしまわれるのか。それでは総裁としての任務は果されませんが、その辺の点はどうですか、はつきりした決意を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/37
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038・櫛田光夫
○櫛田説明員 お話でございますが、私自身としては、二十九年度資金の需要の状況なりその他については、各方面に対しましてつぶさにいろいろなことを申し上げたつもりでございます。同時にまた国の財政状況も、資金運用部の状況なりについても、ある程度お話も承つたわけであります。今のところ予算の面については、こういうぐあいになつておるということを、私の立場としては了承せざるを得ないわけであります。
なお先ほど言葉が足りなかつたのでありますが、少しつけ加えさせていただきます。申込みに対しまして、二十八年度は大体三割、それが二十九年度には二割になろうと申し上げたのでありますが、それは金額の面についてであります。人数の点につきまして、できますれば私はこういう考えでお客さんの御協力をお願いしようかと思つているのでございます。つまりたとえて申しますと、今まで三十万円お貸出しをしておつた。また従来であれば三十万円お貸出しができるであろう。また御入り用でもあろうと思われるお方に対しまして、一人でも多くの方々に私どもお貸出しを実行いたしたいという考えからいたしまして、一人当りの単価と申しますか、平均金額を下げて行くと申しますか、三十万円お貸出しできた人に対して、できれば二十万円でお仕事ができないかどうかということをよくお客さんと御相談をして、一人でも多くお貸出しのできるようにお客さんの御協力を願いたい。そういつた面をお客さんと一緒になつて考え、この全体の問題を最善を尽して努力したい、そういう考えを持つておりますことも、あわせて御了承願いたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/38
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039・柴田義男
○柴田委員 関連で……。最初に次官にお尋ねいたしたいと思いますが、昨日も日本における中小企業の実際を申し上げて、中小企業に対する対策を伺つたのでありますが、まだ伺つていない分をもう一つ伺いたいと思います。きのうから私どもの申し上げておりますことは、日本の中小企業の実体を詳細お訴え申し上げたのでありますが、これはまた毎年の例でありますけれども、たとえば年末におきまして、手形で何とか年を越した、それが現実には二月の決済もございましようし、三月の決済も迫られておる、ことに三月になりますと、今度は徴税の面で相当吸い上げを受けるのであります。こういうことで、一切をあげて中小企業に金融のしわ寄せが明かに寄つて来ておるのであります。こういう現実を私どもは見ました場合に、中小企業の危機ということは、ただ新聞雑誌の報道のみではない、現実の問題として起きておるのであります。こういうことに対する大蔵省あるいは政府当局の根本的なお考え方を承りたい。たとえばオーバー・ローンの解消という御方針のもとに、日銀は市中銀行に対する貸出しは、おそらく引締めておるのでありましようし、またそうなりますと、市中銀行は大蔵省からの資金の依存はできない結果でございますから、おそらく預金にこれを持つて行つて、預金吸収によつて資金源を求めようとすることは当然でありましよう。そういたしますと、大切な預金者の資金でございますから、これを貸出しに向けます場合には、厳重な方法をもつて貸出しをやる、今うわさされておるような選別融資であるとか、系列融資であるとかいうことで資金の運用がされることは、火を見るよりも明かである。そういたしますと、やはり中小企業の金融の求める先と申しますのは、国民金融公庫であるとか、あるいは中小企業金融公庫というものを利用することになるが、これは当然だと思うのであります。この中小企業に対する対策の一環として、今私どもはこの法案を目の前に提案を受けておるのでありますが、目の前に提案を受けたこの法案に対して、私どもはどうしても資金がこれでは足りないということを切実にお訴えしておるのでありますが、これに対する次官の根本的な御態度を御明示願いたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/39
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040・植木庚子郎
○植木政府委員 中小企業が、わが国の産業の中で占める地位の非常に重要性を持つておりますことは、御説の通りでありまして、われわれもさように存じております。従いまして政府といたしましては、でき得る限りこうした中小企業者に対する金融の道について努めることを念願しておるのでございますが、昨日来申し上げます通り、財政全体の計画、国家資金全体の計画の上からいろいろ勘案いたしまして、本年度といたしましては、ただいまのところ、どうしてもこの程度よりは資金の繰りまわしができない、こういう結果に相なつておるのであります。なお昨日申し上げました通り、本年度におきまして、これからの将来におきましての経済界の推移等にもかんがみまして、政府といたしましては、十二分にこの点に着目をして善処して参りたい、かように思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/40
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041・柴田義男
○柴田委員 公庫の櫛田総裁がお見えになつておりますので、先ほど来同僚井上委員からもいろいろ御質問がございましたが、私もお伺いしたいと思います。櫛田総裁は岩手に何か最近旅行されたように新聞記事が報じております。この新聞記事を昨日見て驚いたことには、総裁は県庁か何かで向うの記者団と会見の際に、二十九年度の資金わくは、政府支出二十億、資金運用部からの借入れ七十億ないし九十億ときまつたので、貸出額は昨年と同様三百二十億程度になろうという御発表をやつておられる。これを御発表になりましたのは、新聞紙から受けます印象では、二十三日くらいじやないかと想像されるのであります。二十四日の岩手の新聞に報道されております。しかも私どもは、政府からこの案の提案を受けましたのは昨日でございます。櫛田総裁はすでにきまつたということをはつきりと記者団会見で談話を発表しておる。国会を軽視することもはなはだしいと言わざるを得ません。少くもまだその案が提案されていない前に、単に大蔵当局が法案として提示したにすぎないものをもつて、決定したとは何事であるか。しかもわれわれは、全体でもつていろいろな日本の中小企業の実態を政府に訴え、この予算の組みかえを要求しようとして盛んに努力を払つておる現状であります。われわれは国民金融公庫に対しましては、少くも五十億くらいの増額をはかつてもらわなければならぬと切実な訴えをやつておるさ中に、二十億けつこうだ、七十億が資金運用部から出て、九十億であれば去年と同じような貸出しができるというようなことを不用意に発表するとは、いかなる見解をもつて発表されたのであるか。私どもは、櫛田総裁は日本人じやないとすら考えたのであります。日本人であつて、しかも日本の中小企業をほんとうに考える総裁であるならば、こういう不用意な言辞を何によつて吐いたのであるか。その責任を私は伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/41
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042・櫛田光夫
○櫛田説明員 私は今御指摘の通りに、二十三日と記憶いたしますが、岩手県庁において、岩手の県庁詰めの記者団諸君にお目にかかつたことは事実であります。そのとき、私はこういうことを申し上げたのであります。記者団諸君の質問に応じまして、大体来年度はどういうことになるであろうか。それでただいま国会にかかつておる予算案におきましては、かくのごとき案が出ております。政府出資二十億、それから資金運用部からの借入金が七十億、そうなつておる。それでこの案がその通りになりますれば、来年度においては、その前提のもとに——仮定になりますが、そのもとにおいてはこういうことにならざるを得ません。従来三割貸せたものが二割くらいしか貸せないことになりましよう。これは全体から見て非常に切下げではありますが、そのときには先ほど申し上げましたように、その範囲内で全力を尽しまして、一人でも多くの方にわけるという意味で、たとえば三十万円といつたようなことからまた二十万円といつたように、単価をある程度下げて、一人でも多くやろうということをお互いに勉強したいと思つて努力を重ねておる。また足りないということについても、私はお話したのでありまして、別に決定しておる、かくのごとくきまつた、そうなつておるとかいうことを、確定的に申し上げた覚えはございません。すべては現在の国会にかかつておる予算案、法律案というものが通つたとした仮定のもとにおいては、こうなるということをお話しただけであります。その点どうぞ御了承願いたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/42
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043・柴田義男
○柴田委員 私は、櫛田総裁は一介のサラリーマンだとは考えておりません。少くとも中小企業に対する大きな責任を背負つて、日本の中小企業をどうしてやろうか、しかもほんとうに弱小企業を相手にし、あるいはサラリーマンを相手にし、あるいは恩給受給者を相手にして、一般大衆の金融機関の責任者であると考えるから、憤慨せざるを得ないのであります。一介のサラリーマンの言つたことであるならば、何も問題にいたしません。こういう見地から、あなたは今新聞紙の報じておる記事自体が間違いであるというようにおつしやつておりますが、岩手日報というのは岩手県における一流紙であります。決して間違つたような報道をする新聞ではありません。インチキ新聞でも何でもありません。岩手県におけるまつたくの一流新聞の記者、しかもあなたと会つて談話を発表するような新聞記者というのは、やはり経済知識を持つた新聞記者と私は信じておるのであります。こういう記者が発表いたしますからには、あなたが、予算はこういうものが計上されておるがという前置きをしたならば、そのくらいのことは書ける能力を持つておる新聞記者諸君である。私はそう信じます。そうならば、あなたはこの予算というものが足りないということならば、こういう予算の状態であるから、もつとこれに対して大きな予算を組んでもらいたいと考えておるというくらいは、一言半句くらい入れてもよいと、われわれはそう思うのであります。それにもうただ発表したものをもつて、それを金科玉条として御方針を立てるということは、あまりにも粗漏ではないか。これに対しましてもう一度あらためて御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/43
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044・櫛田光夫
○櫛田説明員 先ほど来申し上げました通り、実情から申しまして、現在の予算が、私どもの仕事の面から申しますれば多きに越したことはございません。ふやしてもらいたいのはやまやまであります。またその実情についても、私は各方面にお訴え申し上げておるつもりであります。ただ政府の財政の状況、あるいは資金運用部の実情なりその他の関係から、一応はこういうことになつて、それで予算案を出すということもまた私としては了承せざるを得ないのであります。そういう立場におきましていろいろ申し上げ、またお話をしておる次第であります。その点はあしからず御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/44
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045・内藤友明
○内藤委員長代理 次会は公報をもつてお知らせすることにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X01419540226/45
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