1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年四月十四日(水曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 千葉 三郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君
理事 坊 秀男君 理事 山本 勝市君
理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君
理事 井上 良二君
大上 司君 大平 正芳君
苫米地英俊君 福田 赳夫君
藤枝 泉介君 福田 繁芳君
本名 武君 小川 豊明君
春日 一幸君 平岡忠次郎君
出席政府委員
大蔵政務次官 植木庚子郎君
大蔵事務官
(主計局次長) 正示啓次郎君
大蔵事務官
(主計局総務課
長) 佐藤 一郎君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
国民金融公庫理
事 最上 孝敬君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
—————————————
四月十三日
日本国における国際連合の軍隊の地位に関する
協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関す
る法律案(内閣提出第一四三号)
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法
律案(内閣提出第一四七号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した事件
参考人招致に関する件
経済援助資金特別会計法案(内閣提出第一〇四
号)
財政法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
一二一号)
国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一二二号)
国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律
案(内閣提出第一二三号)
日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助
協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する
法律案(内閣提出第一三三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/0
-
001・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。
議案の審査に入ります前にお諮りいたします。本委員会における国政調査の一環として金融問題、特に最近の中小企業金融の実情につきましてはまことに憂慮にたえないものがありまして、これが実情聴取のために次の四名の方を参考人として招致いたし、本委員会における中小企業金融対策樹立の参考といたしたいと存じます。すなわち商工組合中央金庫理事加藤八郎君、東京相互銀行専務取締役の市川匡君、城南信用金庫専務理事小原鉄五郎君、川崎中小企業信用協同組合渋谷政俊君の四名でありますが、この点異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/1
-
002・千葉三郎
○千葉委員長 異議ないようでありますから、さように決定いたします。なお本問題は緊急を要すると思われますので、至急手配の上で、本日午後の金融小委員会におきまして実情聴取を行いたいと存じますので、さよう御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/2
-
003・千葉三郎
○千葉委員長 次に、経済援助資金特別会計法案、財政法等の一部を改正する法律案、国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案、国民金融公庫か行う恩給担保金融に関する法律案、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案の五法案を一括議題として質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/3
-
004・春日一幸
○春日委員 国民金融公庫にちよつとお伺いいたしたいのでありますが、公庫が、現在金融機関からほとんど見捨てられるにひとしいところの庶民金融の大きな任務を背負つて、そういう方向へ非常に能率的に金の貸出しを行つておられることは、私どもその問題を特に重視いたしておる立場において特に敬意を表し、さらに今後その効果を高められるような方向へ向つて努力を集中されることを強く御期待いたしておるのでありますが、今回さらに恩給等を担保にして新しく融資できるようないろいろな金融制度が設けられようといたしております。これに関連をいたしまして特に要望いたしたい一つのことがございます。それは未亡人がいろいろと子弟を養育して行く立場において、下宿をやりたい、そのために公庫へその金を貸してくれと申し込んで参りますのが現在非常に多い様子でありますが、聞くところによりますと、飲食店とか旅館とか、そういうものは融資の対象となつて、事業方法書の中に大蔵大臣の認可を受けておるのだから、これはやれるのだが、しかし下宿というものは融資の対象になつていないから、従つてこれに必要とする資金は供給しがたいというようなことで、多くの方が拒否されているのが現状だそうでございますが、はたしてその通りであるかどうか、まずこの点をお伺いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/4
-
005・最上孝敬
○最上説明員 私どもの方の資金が非常にお申込みに対しまして少いので、いろいろ御迷惑をおかけしおることは御承知の通りでございますが、その少い資金で多い御需要になるべく応じて行くということのために、お申込みの実情と緊要性というものを各出先でもつて非常に重視しまして、それによつてお貸付して行く見わけをつけるのでございますが、その標準といたしまして、かつて非常に資金の欠乏しておりましたときに各支所にまわしました通牒に、ただいま御指摘のありましたようなしろうと下宿というものを慎重に扱えということを申しております。これはえて普通の消費資金にお使いになろうという方が、しろうと下宿ということを申し立ててお申込みになりますので、その方に重きを置いて行きますとほかの緊要な事業資金に手がまわりかねるので、そういうことをやつておりました。しかし事情に応じまして、実際にそれによつて下宿業を営むということがはつきりいたしますれば、絶対にお貸ししないということではございませんので、一応の選択の目安としてそういうことを心得ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/5
-
006・春日一幸
○春日委員 国民金融公庫は、文字通り国民大衆を対象とするものでございまして、特にその特色とするところは、社会保障政策にも深いつながりを持つものであろうと考えるのであります。そこでこのしろうと下宿の問題でありますが、私がこの機会に特に強調いたしたいことは、主として母子家庭、未亡人が経営している家庭のことについて申し述べたいと思うのでありますが、かつて御主人が在世当時には盛大にやつておつた。従つて家が非常に広い。けれども子供が成長すれば、その家がやはり必要にもなろうし、のみならず主人の残して行つたものを守り抜いて行きたいとその未亡人が考える。しかし子供を養育するためには、何らか収入の道をはからなければならないが、それかといつて外へ出かせぎに行くといつても適当な方法がない。だから家を改造して、ひとつ下宿をやつてみたいという考えを持つのは、これは当然であろうと思うのでありまして、しかもそういうような堅実な方法によつて収入の道をはかつて行くことのために、国の機関が協力を与えて行くということはきわめて適切なことであろうと思うのであります。かつて、なき主人が全盛のころには八畳の間も畳の間も十二畳の部屋もあつたであろうが、こういう部屋を四畳半とか、あるいはさらに適当な部屋にこれを区画し直して、そうして今まで四部屋か五部屋であつたのを八部屋か十部屋にふやして、学生とか、あるいはサラリーマンとか、こういう諸君に貸し与えることによつてしろうと下宿が行える、それによつて相当な収入が得られる、もつて遺児が育成できて行くという、こういう家庭が相当あろうと思うのでありますが、こういうような方面に対して改造資金を供給するということは、私はこの国民金融公庫の融資計画の中において特に重視されていい融資対象の一つであろうと思うわけであります。この機会に私は主管者である河野銀行局長にお伺いしたいが、しろうと下宿の中には、なるほど今理事のおつしやつたようないろいろ疑義のある面もあるでありましようが、少くともこの際、母子家庭がその広い家屋をしろうと下宿のために改造するための必要資金は、これを国民金融公庫の融資対象として取扱つて行くことについて、いいと考えられるか、あるいはこれは悪いと考えられるか、ひとつ御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/6
-
007・河野通一
○河野政府委員 お話の点はまことにごもつともな点であろうと思います。十分に御趣旨の点はくんで、そういうことの必要な方途につきまして、実行に移すように国民金融公庫にもよく申し伝えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/7
-
008・春日一幸
○春日委員 ただいまの御答弁は、近ごろまれに見る名答弁であろうと思います。鬼のような銀行局長にしてそういうやさしい御答弁が得られることは、まことに奇想天外のことでございますが、ただいま国民金融公庫の理事もよくお聞き取りのことでございましようから、ひとつすみやかにこの問題につきまして——地方の国民金融公庫の窓口においては、下宿は融資の対象にならないというので、さきに発せられた通牒に基いてそれらの申込みが全部拒否された形に相なつておるのでございます。従いまして大蔵当局と至急御連絡、御調整をはかられまして、こういうような諸君もひとつ融資を受けて、そうして今遊んでおるところの広い部屋部屋を改造して、しろうと下宿ができて、ちようどこれは新学期でもありましようし、新しいそういう需要も今相当たくさんある折柄でありますので、そういう要望を満たし得るように、もつて母子家庭の生業資金として、国民金融公庫の機能を十分に発揮されることを強く要望いたしまして、この点に対する私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/8
-
009・井上良二
○井上委員 国民金融公庫の恩給担保金融を行うことに関連をいたしまして伺いますが、恩給担保貸付は二十八年十二月末でわずかに十八件、百八十八万円になつておりますが、本法がかりに成立施行いたしました後において、恩給担保の貸付の見込は一体どの程度になつているか、またその資金わくはどうなつているか、この点をまず明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/9
-
010・河野通一
○河野政府委員 詳細は国民金融公庫の当局者から御説明申し上げたいと思いますが、資金のわくは、大体この法が通りましたら、二十九年度といたしまして二十億を考えております。二十億が、年度内に回転をいたしますものが約三億程度あると考えますので、累計といたしましては、大体二十三億程度このための金融の資金として使える、かように考えております。詳細は国民金融公庫の方から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/10
-
011・最上孝敬
○最上説明員 ただいま十二月末の貸付の非常にわずかなことを御指摘いただきましたが、ちようど十二月には、まだ恩給担保貸付をいたしますのに私どもの方でいろいろ交渉せねばならぬ郵便局窓口との連絡がつかないところが多うございましたので、出方が少かつたのでございますが、その後続々出ておりまして、三月末には、これはまだ仮締めでございまして、多少の違いがあるかと思いますが、三千三百万円出ております。件数は大体想定でございますが、七百八十件でございます。三月中に約三千四、五百万の貸付が行われております。この情勢は四月におきましても相かわらず続いております。むしろそれ以上、おそらく四、五千万円ぐらいは出ているのではなかろうかと思います。今後におきましては、ただいま銀行局長からお話がございましたようにいたすわけでございまして、大体第一・四半期は——御審議が進んだその結果によりますが、五月早々でもお申込みを受付けるようになりまして、六月中に私ども予定しておりますのは、大体二億円程度をもつて行くというふうに計画しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/11
-
012・井上良二
○井上委員 そうしますと、これは相当利用率が高いようでございますが、年間資金わくが二十三億だといたしますと、大体その程度でまかなえると考えておりますか、問題はそこなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/12
-
013・最上孝敬
○最上説明員 実際ふたを明けてみませんと、消費資金まで幅を広げました結果、どうなるかは確実なところはわからないのでございますが、ただいまの申込みの状態から見ますと、月一億程度でございます。これがある程度ふえましても、倍になりましても年間二十数億でございますから、三倍ぐらいになりましても、今二十三億ございますれば、普通の貸付の申込みに対する貸付の割合で行きますと、二割、三割ということでございますから、その割合は維持できるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/13
-
014・井上良二
○井上委員 貸付の平均の金額はどのくらいになつていますか、それから申し込んでから貸付までの、いわゆる金が本人に入りますまでの間はどのくらいの期間を要しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/14
-
015・最上孝敬
○最上説明員 ただいまのところ平均が九万四千円ということになつております。今後消費資金が入りますれば、これが大分低下しやしないかと考えております。
それからお申込みになりましてからお貸付できますまでの期間は、まだはつきりした見通しはございませんが、ただいまのところですと一月程度はどうしてもお待ち願わなければならぬという状態になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/15
-
016・井上良二
○井上委員 この貸付は他の信用貸付と違いまして、恩給証書が担保になるのでありますから、従つて調査その他に不必要な時間は要さないと考えております。証書さえ呈示すれば、本人の所有であるかどうかということさえ明らかになりますならば、ただちに貸付を開始してさしつかえない有価担保であります。どういうわけで一月もかかるのですか。そこに私は——総裁が見えておりませんからあなたではどうかと思いますが、国民金融公庫の業務内容が、国会の意思もありまして、大口金融から小口金融へ——特に町の金融機関が非常な混乱をいたしまして、一方政府としてもこのまま放任することができぬということから取締りの法律まで立案し、国会に提案をしておるようなわけで、国民金融公庫への需要は非常に増大して参る。そういう関係から、小品金融が非常に多くなつて参つている。それに対して国民金融公庫の従業員の数は、やはり一定のわくがきめられておつて、非常に過重な勤務を課せられておる実情じやないかと思うのです。ただいま申しましたような、恩給証書を担保にして金融を受けるのにさえ、一月もせなければ金を借れぬという根拠は一体どこにあるか。これは結局人手不足から来ているのではないかと想像するのですが、人手不足ではありませんか。これだけ多くの件数を扱うのに、一体人員の関係はどういうぐあいになつておるのか、現在の人員でおやりになれますか、あるいはこれだけ別に扱う人を各支所においてそれぞれ増員をいたしておりますか、それはどうなつていますか。たとえば税金の方は、新税が設けられますと、これを徴収するのに一定数の職員は増員を確保しております。ところが金融公庫の方は、そういう新しい窓口が設けられるのに、従来の人をもつてやられたのでは、いたずらに事業分量が多くなつてサービスが悪くなり、お客さんに対して御迷惑をかけるということが現実に起つて来ようと思います。そういう新しい窓口を設けた場合、一体人はどうなつているのか。それからこれに関連するのですが、今度五万円以下の小額の貸付をできるだけ早く能率的にやつていただくように、国会としても政府にいろいろ要求をいたしおつて、これがいよいよ具体化することになつておりますが、この場合も、相当たくさん人がかかりませんと——三万や五万の金を借りるのに一月も二月もかかつておつたのでは鳥もからすも飛んで行つてしまつて、何も役に立たぬ金になつてしまう。だからそういう点は一体どうなつておりますか、そこをもう少し具体的に御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/16
-
017・最上孝敬
○最上説明員 ただいまいろいろ御注意いただきましたこと、まことにありがとうございます。私ども店先ででき得る限りの努力をいたしておりますが、なかなか十分な手配ができませんので、いつも御迷惑をおかけしていると思うのでありますが、このたび新しい人員として百三十人ふやしていただくことになつております。そのうち新設支所に若干置きまして、あと残りをもつて従来の店先を補つて行くことになります。ですから、せいぜい一箇所一人ないし多くて二人ということになると思います。ただいま御心配いただきました特別小品貸付、これは手つとり早くお貸し付けすることをモットーとしておりますので、この方につきましては特別な窓口、それから貸付までの特別なコースをつくりまして、現在の人の中から一部そちらへさいてずつと備えるか、あるいは全体の人が朝一時間か二時間、その方に手をさくかいたしまして、その方はお申込みを受けますとすぐ調べにかかる。しかもこれは小口でございますので、実地に調べるということは原則としていたしませんで、その店先へおいで願つてそこでお調べする。われわれ面接調査と称しておりますが、そういう方法でやります。この点でかなり早くなると思います。従来私どもの貸付が非常に長引いて御迷惑をかけておりますのは、お申込みをいただきましたのがたまつておりまして、その調査に着手するまでに相当時日を経過する、そういう点にございますので、これを小品のものについてだけ改めまして、なるべく早くその方の調査に着手することにいたします。しかも面接で済ますという方針でありますので、この方はかなり早くやつて行けると考えております。
それから恩給の方につきまして、これは新しく始める仕事でございますので、はつきりした手順、見通しがまだ完全にはついておりませんが、この方につきましても、今度増員になつたら専任の職員を一、二名置きまして、御要望に沿うように努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/17
-
018・井上良二
○井上委員 私ちよつと大ざつぱに調べたのでありますけれども、昨年例の町の金融機関が動揺いたしまして以来というものは、もちろはこれは年末の関係もありますが、国民金融公庫への金融の申込みが非常な勢いでふえて来ている。従来百人申込みますと大体三〇%くらいがどうにか得られ、あと七〇%の人はどうにもならぬ状態に放任されておつた。これは調査不十分、出した書類が不十分ということもありましよう。ところがその後ものすごく申込みが殺到いたしますのに、さばき切れずして、従来は三割程度までさばいておりましたものを、最近では二割をちよつと上まわるくらいの程度しかさばいておらない。こういうように、小品金融の必要が非常に高まつて来ておるのに、その窓口を受持つ国民金融公庫が、人員不足のため十分サービスができ得ない、ためにあなたが、行員というか、職員を鼓舞激励して、お客さんに迷惑をかけぬようにすみやかに事務を処理してやりたいという親心はようわかりますが、しかし末端の実際の業務に携わつている人は、申込みと調査に追われまして、しかもその調査も電車に乗つて一日二軒か三軒行つたらいいというような状態、なかなか能率的に行われておりません。そういう関係から、人を減すならば調査に便宜な方法、たとえば自動車を使うとかスクーターを使うとか、あるいは電話連に絡よつてもつと確実な保証人をいただくような指示をするとかというような、能率的な調査事務というものが行われてない。だからあなたの方で、そういう能率的な調査事務が行で得ない予算内容であるならば、ここに幸い大蔵省の主計局の方がおいででございますから、定員はもう本年はどうにもならぬというならば、せめてここ当分小口金融が非常に輻湊いたしておる間だけでも、非常勤の職員を雇わしてもらうことを談判したらどうです。それから大蔵省の主計局の方は、この実情をどうお考えになりますか。あなたの方は予算にこだわつて、それは相ならぬと言うか、それをひとつあなたの方からも御答弁願いたい。実際仕事ができるようにしてやらなければ、せつかく政府がつくつた機関が国民から喜ばれることになりませんから、定員をふやすこがとできなければ、非常勤をこの際一部認めるという英断をやつてたいだきたいが、その点はどうですか。国民金融公庫の方は、ふやしてもらいたいにきまつておるが、あなたの方は、いろいろな関係あつてなかなかうんと言わぬにきまつておるのだか、そこを正示さん、責任のある御答弁をして、局長なり偉い人に話してその点はやらなければなるまい、こういうことに話をつけてもらいたいと思うが、どうだろうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/18
-
019・正示啓次郎
○正示政府委員 ただいまのお話まことにごもつともでございます。非常に重要な仕事が新しく量的にふえるわけでございまするが、御承知のように、政府の方におきましては、行政整理というようなこともやつておるのでありますが、この点は公庫一般についてはやつておりません。そかれら公庫は非常に能率的に仕事をやつておられるのでありまして、私どもとしては、それらの点につきましても今後いろいろくふう改善をしていただくということをかねがね考えておるわけであります。ただ今お話のように、事柄の性質上、これは迅速に事を処理しなければならぬのでございますから、今後の実績等も検討いたしまして、お話のように、部内におきましても十分研究をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/19
-
020・井上良二
○井上委員 この公庫は、たしか昨年五億円ほど国に剰余金というか、利益金を納付していますね。この公庫は、そもそもそんなに利益を上げなければならぬ営利的な業務じやないのです。もちろん金を貸すのですから、だれでもかれでもいいというわけには行きますまいが、(「貸倒れをつくれ」と呼ぶ者あり)貸倒れをつくれということを私は勧奨はいたしませんが、かように事務が輻湊して、実際申し込んでから二月も三月もしなければ金が借りられぬというようなこの事態は何とかして改善しなければならぬ。そのためには、人手をふやすとか、それともさきに申しましたような、事務能率を高めるために交通機関をもつと活用するとか、電話その他をもつと大幅に活用するとか、人を使わなければ物で解決して行く、どちらかで能率を高めて行くような予算的措置をあなたの方でも認めてあげて、せつかく政府が、一方町の金融機関に対して規制を加え、一方正規な金融機関の育成をはかろうとする場合には、その点に対する政府の親心をこの際お示し願いたいと考えるのであります。
そこでもう一応この点について確かめておきますのは、この五万円以下の小口貸付について、一箇月以内で貸出しのできる自信がありますか、これを明らかにしてもらいたい。
それからもう一点、この点に関して伺つておきたいのは、恩給担保で金を貸しました場合、私よく恩給法をまだ調べておりませんけれども、万が一貸し付けた相手の人が死亡いたしました場合、一体、貸付金はどういうことになりますか、その点も一応明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/20
-
021・最上孝敬
○最上説明員 ただいまの一箇月以内で貸し付けることができるかという御質問でございますが、これは今後のお申込みの状態によるのであります。普通のお申込みのぐあいでしたら、もちろん一箇月もかからないで、今のような仕組みでやりますと、お貸付ができると思います。ただ非常に殺到して、たとえば公庫の開業当初のごとく、お申込みが非常に多く、どうにも処置のつかないということも超らないとは申し上げかねるのであります。そういう場合には、私どもはどうしても一時お申込みの受付を停止せねばならぬ、非常に残念なことですが、そういうことになるかもしれません。そういたしまして、少くとも一箇月以内、場合によりましてはその半分くらいで御用立てして行きたい、こう考えております。
それからもう一つの、債務者がなくなつた場合どうするかということでございますが、これは一般の従来の貸付と同様でございまして、保証人をいただいておりますので、その保証人の方にお願いしなければならないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/21
-
022・井上良二
○井上委員 もう一点伺いますが、ただいまのお話では、大体現行の機構、組織においてあまり申込みがない場合には、一箇月くらいなら何とかなろうというような印象を私は受けたんです。しかし現在において、すでにさきに申しますように、昨年の夏ころまでは大体三〇%を消化しておつたが、最近になつては二〇%からたかだか二五%くらいしか消化できない、こういう実績が出て来ているようであります。だからどうしてもあなた方の職員を増加して、もつと早く調査して、能率的に貸し出して行くような方法を講じなければならぬと思います。そうなりました場合、まだそこまであなたの方で具体的に、たとえば今二五%のものを三五%なり四〇なり能率的に処理して行く場合の人間なり物なりの関係がどうかわるかということについての具体的な調査をされてないかもしれませんが、せつかく国会の意思によつて小口金融をできるだけ早く貸し付けるということをあなた方におやりを願うために、ぜひ御検討願いたいと考えます。ただいまそのことについて、具体的にどうすればどうなるということをお聞きするのは無理かもわかりませんから、公庫として十分御検討の上で、もし人間がいるならば、臨時職員でも雇うことをやつていただく、また必要な地域に対しては、せめてダットサンの二、三台くらい各支所に置いて、調査にどんどん飛びまわつて行くくらいにせなんだら、能率的に行きません。そういうことを一ぺん計画をして、その上でわれわれがあなた方に文句を言うならば、これは私どもの方が無理でありますけれども、ただ営利の銀行の待遇やその他とにらみ合せての他銀行あるいは金融公庫がこれだけの人でこれだけやつているんだから、こちらもこの程度でと、そういうよその窓口を比較対照せずに、あなた方の負わされた任務というものがいかに庶民、零細大衆に重要な任務を果さなければならぬかということをお考えになれば、他の市中銀行や金融公庫の使命とおのずから使命が違いますから、そこの点を十分御検討くださつて、所要の対策をお立てくださつて、一応その案をわれわれに一ぺんお示しを願いたい、これを私は強く希望しておきます。きよはここで要求するのは無理と思いますからぜひひとつそういうように、一応銀行局なり主計局なり公庫なり、三者一体になつて御検討願いたいということを、私はこの案について申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/22
-
023・久保田鶴松
○久保田(鶴)委員 ちよつと関連しまして。今度の恩給担保の件につきまして、これを公庫の方で取扱うということになりますと、それでなくても公庫 の方では職員の手が足りないで困つております。その困つておりますところへなお今度これを取扱わせる、これはけつこうでございますけれども、手不足のために十分私は間に合わぬことになるのではないか、こう思う。そこでもう一つ私これに関連してお伺いしたいと思いますことは、大体公庫の方で貸し付けられるときに、手が足りないのに、その貸付と同時に、借られる人たちを公証役場において公証をまかすというようなことをやられておるが、大体どのくらいの金額から連帯保証されておるにもかかわらずそういうようなことをやらしておるかということを伺いたいのです。これをひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/23
-
024・最上孝敬
○最上説明員 御契約しますとき、公証役場の方を通します、いわゆる公正契約によりますものを、今のところ別に何万円以上というふうな規定はつくつておりません。ただ個々の窓口において実情に応じてやつておるのですが、大体十万を越えますものは公証券にしておるところが多いように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/24
-
025・久保田鶴松
○久保田(鶴)委員 大体公証役場において連帯保証をやつておりまするが、それ以上に手不足の折に、やはり公庫から職員が公証役場に、一つの問題にしても出て行かなければならない。たくさんな人がこまかい金を借りるのに、職員が一々公証役場に出て行つてこの仕事をしなくちやならぬというようなことは、相当これはここにも手がかかるわけなんです。これはどうしてもやらなければならぬものなんですか。私はこの手不足の折りに、こういうようなものはなくしたほうがいいのじやないかと思う、これをどうお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/25
-
026・最上孝敬
○最上説明員 実際公正証書を使って債権回収を法律相手段に訴えるのは、私ども非常に少と思います。ただそれが借受けられた方々に心理的な強制力、心理的な圧迫というようなものを与えまして、その方から返済を勧める、そういう効果はかなり強いのじやないかということを考えております。それから手料のかかるという点につきましては、これは地方々々取扱いが区区のようでございますが、かなり手数を省く方法を講じておりまして、たとえばお申込みの方みんなが一々おいでになることは少いのでありまして、委任状をいただきまして、私どもの職員なりあるいは第三者の代表の方なり、そういう方に来ていただいて片づくようになつております。時間は、公証役場の非常に混みますところでは一日、二日、あるいはもつとかかることがございますが、お手数の方におきましては、その御心配になるほど手数のかかることはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/26
-
027・久保田鶴松
○久保田(鶴)委員 この間銀行局長に私伺いました折に、そばでがやがややつておりまして、あなたのおつしやつたことが十分聞きとれなかつたのであります。そのときに私がお尋ねしておりました点は、金を借りるときに、税務署の方において納付証がなければ銀行では金を貸せない、国の金を借りるときに、国に税金を納めておらない人には貸さないということは、金融公庫でいつも話されるのであります。小さな商売をやろうというので金を借りよう、こう思うて借りに行かれる、そうしてまだ税金は払う時期に至つていない、こういうことについて私がお伺いしたときに、税金を払うために公庫の方に金を借りに行くのであるというふうに、私がお伺いしたような聞き方をあなたはなさつたらしい。私は税金を払うその金を公庫に借りに行くと言つたのではない。納付証の問題等においてあなたにお伺いしたのであります。あなたは、税金を払うのにその金を公庫に借りに行く、こう聞かれて私に答えられたように私は聞いております。私はそういう聞き方をしておるのではない。その点あなたからもう一ぺん伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/27
-
028・河野通一
○河野政府委員 先般お尋ねのあつたことでありますが、私がお答えいたしましたのは、税金を払うための資金を国民金融公庫から出すということは適当でないということを実は申し上げたのではございません。やはり国の租税その他からできておる資金でありますから、これはもつと有効に、かつ確実に貸し出されるということが必要である。そういうためには、やはり回収が確実にできる、その金が非常に有効に使われるということが、やはり貸し出す場合の一つの基準として重要であろうと思いますが、その場合におきまして、回収が確実にできるということを判断いたします幾つかの材料の一つとして、たとえば税金もちやんと納められておるというようなことが実際問題として非常に大きな基準として考えられるのじやないか。しかしさればといつて、税金を滞納しておる者は絶対に貸さないとか、そういつたこととして貸出しの基準をきめるということは適当でないということをこの前申し上げたのでありまして、その後私がお答え申し上げました範囲においては、今も同じように考えておるわけであります。従いまして税金を滞納しているから貸さないというようなことは、公庫自体としてもやつていないはずでありますが、もしそういうふうな事態がありますならば、これは十分注意して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/28
-
029・久保田鶴松
○久保田(鶴)委員 銀行局長、私は税金のことに触れておるのではない。私の尋ねているのは、たとえば今商売をやろうとする、商売をやりたいから、何か小さい事業をやりたいから公庫に金を借りに行く。すると、その事業をやりかけて、まだ税金を払うまでに至つていない。そういう人たちは、税金の納付証を持つて来いと言われたつて、税金を納めていないから持つて行かれへん。このことを聞いている。私は税金を納める金を貸せということを言うておるのじやない。あなたは誤解して聞かれているが、その点どうなんです。私とあなたのその食い違いですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/29
-
030・河野通一
○河野政府委員 ちよつと私誤解いたしておりましたが、営業税その他の税を納める状態にまだなつていないような方が新しく仕事を始める、そういつた場合に、税を納めてないから金を貸さないというようなことは、絶対に国民金融公庫としてやつていないはずでございます。ことに生業資金のうちでは着業といいますか、これから業を始めようという場合の資金という必要が相当あるので、まずそういうことを御援助申し上げるのが国民金融公庫の幾つかの使命のうちの大きな使命ではないか、従つて税を納めていないから金を貸さない、また納税の資格がないから金を貸さないというようなことで、国民金融公庫がやつておるといたしますれば、これは非常に間違つた考え方と思いますし、おそらくそういうことはやつてないはずだと思います。
なお国民金融公庫からも理事者が参つておりますから、もう一ぺん私からでなくお確かめ願つておいたら、その方がはつきりするかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/30
-
031・最上孝敬
○最上説明員 ただいま局長からお話がございました通り、私どもとしてそういうことはさせないようにいたしておりますので、もし間違つてやつておるようなケースがございましたら、まことに申訳ないことでありまして、ぜひ改めたいと思つております。こういうことがあるのであります。私もその点につきまして前に話がございましたので、あれこれいろいろな方面問い合せてみましたところが、県や市でもつて生業資金という少額の金を貸し付けております。その場合に一つの条件といたしまして、居住何年以上ということ、それから今の市の税金、県の税金を納めておるということを条件にしております。その方の間違いではないかというようなことも実は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/31
-
032・春日一幸
○春日委員 これはまことに重大な問題であろうと思うので、疑義を一掃しておかなければならぬと思うのでありますが、現在中小商工業者の滞納の状況が、先般来申し上げておりまする通り、八百六十万件、一千四、五十億を越えるというような状況になつておるわけであります。こういうように滞納が激化しておりますことは、やはりいろいろ業界の不振だとか、さらにそれに伴うところの金融梗塞、いろいろな問題が重なつて参つておるのであります。従つて公庫が融資を行う場合、その融資適格者としての条件の中に、税金を完納しておるということが加わつておるということを河野銀行局長もおつしやつておるし、今公庫からもそういうような御見解が表明されたと思うのでありますが、そうなつて参りますと、現実の問題として、この国民金融公庫というものが、コマーシャル・ベースで融資を行つておるのではないのであつて、金融機関、主として商業銀行やその他の機関から対象とされてないような、比較的不健全な内容を持つておる人々をこれによつて救済しておるところにこの公庫の意義と、その特別の権威があろうと思うわけであります。そこで税金を滞納しておるかどうか、このことで適格、不適格をよりわけるというようなことになつて参りますと、これはほとんど市中の一般金融機関と何ら異ならない形になつて参りまして、この国民金融公庫の持つ特殊の使命、性格というものがそこでこんがらがつて参ります。だから私はその人がずぼらであつて、これは極端な例を申し上げれば、税金を一ぺんも納めない。そういうような人は推して他を知るべしで、ことごとにずぼらであつて、貸しても返さないというような人は、当然そういうような人にまで金を貸せということはないわけでありまして、このことは先般も私は局長に申し上げておいたのでありますが、しかし公庫の末端において、税金の滞納状況の調査が適格、不適格の判定の資料になるというような資料が出されておるといたしますると、やはり末端ではそのことに重点を置いて、税金を納めたら領収書をお見せなさい。そういうものがないとか、滞納しておるということになれば、これはだめであるということになつて、多くの人々が結局恨みをのんで窓口から追い返されるという形になることは必然であります。
そこで私はお伺いをいたしたいのは、公庫から御答弁を願いたいが、一体この税金、これは国税たると地方税たるとを問わず、税金の納めつぷりというものは、一体融資の適格、不適格を選びます場合に、どの程度の条件に今供せられておるものか、この点をひとつこの機会に明確に御答弁願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/32
-
033・最上孝敬
○最上説明員 税金の納めぐあいは確かに調査項目の一つの重要なものになつております。全体で幾つございますか、十数項の観点があると思いますが、その一つになつております。しかし御心配になるように、決して税金を納めていないからいけないというのではないのでありまして、納めていないのにもいろいろな御事情がありまして、その御事情によつてごもつともだということになれば、その点は決してさしさわりにはならないのでございます。先ほどお話がございましたように、開業間もなくでまだ税金など納めていない、そういう方にもどんどんお貸付いたしておりますし、それからまた税務署の査定が不適当で、そのために争いになつておる。そうして税はまだ納めていない、こういう場合につきましても、理由ありとわれわれの方で認められますれば、そういう点は問題にせずにお貸付をしております。決して税金を納めないからすぐだめだというのではございません。一つの私どもの、その方の返済意欲あるいは返済の習慣、そういうものを見る重要なポイントにしておるというだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/33
-
034・春日一幸
○春日委員 現在のこの社会情勢におきまして、税金というものがその人物を鑑定する大きな資料としてはたして適切であるかどうかということについて、ひとつこの際十分公庫においても御検討願わなければ相ならぬと思うのでございます。現在滞納件数が八百六十万件に及んでおる。これは実に厖大な数でございまして、このことは、すなわち国民の中の何パーセントに当りましようか、いずれにしても現在の納税者、特にこの公庫の対象となりまする中小企業というようなものを考えますとき、ごく少数の対象の中で、おそらくはその大部分の者が滞納者ではないかと思うわけであります。このことは業況がはなはだしく渋滞をしておるということや、あるいは政府の金融政策によつてもたらすところの欠滞その他いろいろの条件が錯綜してこういう滞納状況になつておる。そういう段階において、この滞納の事柄がやはり融資の条件の一つとして大きく作用をなさしめておるということは、従来はそれでよかつたかもしれませんが、今日この段階においてこれが適切な方法であるかということについては、今や私は再検討の段階にあるのではないかと思うのでございます。すなわち社会的に、納めようと思えば税金が納められるという一般的な情勢のもとにありまして、何人もが納めておる。しかるにその少数の諸君が滞納しておるということであれば、その人格ははなはだけしからぬことであり、その事柄を深く探求して、やむを得なかつたものであるかどうか調べたり、いろいろ検討を必要とするでありましようけれども、この滞納ということが、今やその事業経営のうらの不可避的な一つの現実の問題となつて露呈して参つておるのでございます。この問題を解消しようと思つても、なかなかこれは簡単に解決はできません。そこで公庫が十数項のうちの一つの巨大項目としてこの問題を掲げております以上は、多くの諸君がこのことのためにはねられておるということはいなみがたい事実であります。現在大体件数において申込みの三分の一か四分の一しか応諾はできないといわれておりますが、そのけられた三分の二なり四分の三なりの諸君は、おそらくはこの税金滞納のゆえをもつて不適格になつた諸君が多々あろうと私は思うのであります。従いまして私は、この税金滞納の有無を現実に探求することなくしては、その人物の返済意欲の認定ができないということではないであろうと思うわけでありまして、これにかわるところの適切な幾多の方法はあろうと思うわけであります。あなたの方の事務をさらに煩瑣にするかもしれませんけれども、問題は国民金融公庫の持つておるところの使命、性格というものをひとつ十分お考えを願わなければ相ならぬのでありまして、税金が納め得られないような、こういう不健全な人々をこそ、国民金融公庫が救つて行かなければならない。救つて税金の完納できるような態勢にその事業を強化、補強して行かなければならない。こういう社会保障的な立場においてこの金融を考えます場合、この税金の問題は十数項目にわたるところの適格性単位の認定条件の中から、これはむしろ削除されるべきであると私は思うが、この機会に、河野銀行局長はこの問題をどういうぐあいにお考えになつておるか。
もとより納税は国民の三大義務の一つで、今は一大義務はどうなつたか知りませんが、(笑声)いずれにしても重大な国民の義務であります。従いまして三大義務というものはどうも古典的で、今の実情に沿いませんが、反動内閣によつて復古されようとしておりますので、やがてまたそのようなことになるかもしれませんが、いずれにいたしましても、この納税という義務はあらゆる政策を通じて強調されて行かなければなりませんけれども、少くとも国民金融公庫が、その事業を通じて納税せしめるような行政措置を考えて行くというようなことは、これは明らかに不当な事柄であろうと思うのであります。国民金融公庫としては、その人がほんとうに金を返す人であるかどうか、貸してはたしてこの業態から返し得るかどうか、こういうことを十分認定するためには、十分な措置を講じなければならないが、そのために税金の領収書の提出を求めて、初めてその認定をするということは、きわめて安易に堕するきらいがあり、しかもそのことからもたらすところの弊害は、国民金融公庫の使命と性格をあやまたしめる結果になることを最もおそれるのでございます。従いまして現在その指導要綱の中に、そういう税金の問題が特筆大書されておるとするならば、これは一応削除願つて、単なる一つの参考条項くらいに軽くこれをとりかえて、現在の経済情勢、社会情勢に合致し得るような方法にこれを変更する意思はないかどうか、この点ひとつ河野局長から御見解をお示し願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/34
-
035・河野通一
○河野政府委員 お話の点、ごもつともな点が多々あると思います。ただこれは、御承知のように政府機関たる国民金融公庫等の貸出しの態度というものは、なかなか運営がむずかしいと思うのであります。お話のように、単なる営利機関——営利機関という言葉は悪いのですが、私的な機関である銀行その他と同じ貸出し態度に出るということがいけないことは当然であります。しかしながらこれはあくまで金融である。従つて補助金を出す、あるいは単なる救済、そういつたことであつてはならぬという線がやはり一方にはある。いわんやその金の源が国の租税とか、そういつた大切な金から出ておるという点から見ますならば、やはりその大切な金を貸す場合には、確実に回収されるということが一つの条件になる、かように考えるのであります。従いまして私どもは、確実に返るということをどうしても条件の一つにしなければならぬと考えるのでありまして、それを判断いたします材料のもろもろの条件のうちの一つとして、税が納められておるかどうかということを考えて行くということは、やはり必要ではないかと私は考えております。ただこれにあまりにスティックして、これを非常に強く考えて税を納めなければ貸さぬとか、あるいは税を納めておるものに限つて融資をするとか、そういつたことに非常にウエートを置くということは、今お話のありましたような現在の経済情勢から見て適当でない、かように考えます。従いましてこれを非常に強い条件として考えるかどうかの点は、お話のように十分現在の実情に即したようにして参らなければならぬと思いますけれども、これを全然貸出しをする場合の調査の対象にしない、してはいけないというところまで踏み切ることは、私としてはまだいかがかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/35
-
036・春日一幸
○春日委員 私の趣旨が御徹底願えなかつたかと思うのでありますが、私は国民金融公庫の基本的の問題について、貸出しの基本的の問題について申し上げておるのではなくして、本年度、ただいまこの滞納が非常に多い。このことはわが国租税制度始まつて以来の最悪のレコードなのであります。しかもあなたにはしばしば申し上げておる通り、今金融難のためにどんどんつぶれて行つておる。手形不渡りが三月末で昨年同期の大体倍になつておる。滞納もこれと並行して上昇しておるのであります。こういう状況下において、滞納そのことを国民金融公庫の融資対象、選択の大きな条件にこれを見ておるということは、現段階において適切であろうかどうかというこの事柄であります。もとより国民金融公庫の資金源が国民の血税によつてまかなわれておる。従つてこれが貸倒れにならないために、当事者は万全を尽さなければならぬということは、これは当然のことでありますけれども、万全を尽すことによつてこの公庫の使命、性格がゆがめられたり、ぼやかされてしまつて、その使命を十二分に発揮し得ないということがあつては何にもならないのじやありませんか、角をためて牛を殺すということがあるのだから……。これの回収に万全を期するというなら、単なる市中の商業銀行と少しもかわりがない。これが百パーセント国の資金によつてまかなわれておるというこは、多少の危険はあるであろうが、しかしながらなおかつ金を貸して行くべきであろうという国民の総意によつて機関ができておるのでありますから、従いまして多少の危険を含んで、なおかつ貸し出して行くというこの立場におきまして、八百何十万件というような滞納件数が現実にあるとするならば、従つて滞納そのことを貸出しの可否の条件としてこれを考えるような仕方を今はとらないで、他の方針によつてその事業並びにその人物の鑑定を行つて行くということが、今のこの立場においては適切ではないか。こういうことを申し上げておるのであります。やがてはだんだんと景気が挽回されたり、あるいは輸出の振興でつくつた品物が売れて行く。売れば金が入つて来る。税金も納め得る。こういう状況になつて参りまして、滞納件数もだんだん減つて参りましたならば、そういう一般情勢下においてなおかつ滞納するというのは、その本人に格別の理由がある場合になるでしようけれども、こういう段階においてやはり滞納者を排撃するということは、百パーセント応諾されておるのではなく、申込者は三分の一か、四分の一しか応諾されていないとするならば、拒否された三分の二ですか、四分の三ですかの諸君は、やはりその滞納者であるであろうという、こういう見解をわれわれは持つのでありまして、このことはたいへんいけないことである。こういうわれわれは断定をしてはばからぬのであります。従つて私は、本年度においてはこういう立場がいましばらく緩和されるに至るまで、この税金の問題はできるだけこれを重視しないように、もつと他の方法によつてその企業と人物を十分鑑定をして、回収できるかできないかの認定をする。こういうようなぐあいに、すなわち実情に即したような指導をすべきであると思いますが、これに対して局長はどう考えておられるか、重ねて御答弁を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/36
-
037・河野通一
○河野政府委員 実際の貸出し、運用につきましては、御趣旨の点は十分に含んで、そういう方向に向つて指導いたしたいと考えます。私どもといたしましては、調査要綱の中からこれをはずすということは、この際としては適当でない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/37
-
038・春日一幸
○春日委員 調査要綱の中から私ははずせと要求いたしておりますが、今はずすということについてはさらに慎重を期すべき点もあろうという御答弁でありますが、どうか一つ公庫におかれましては、この質疑応答を十分重視されまして、今まで比較的重視されておりましたところのこの税金の滞納という問題を、あまり大きくは評価されないで、他の方法によつてその金融対象をひとつ十分検討していただく、こういうことにお願いいたしたいと思いますが、公庫のお考えはどうでございましようか、この機会にあわせて御答弁を願つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/38
-
039・最上孝敬
○最上説明員 御趣旨の点はよくわかりました。私どもといたしましても、今この納税状態というものの調査を捨てるということはとうていできないと存ずるのでございますが、その使い方につきましては十分慎重にやりまして、納税してないからすぐだめだというふうな機械的な結論を出すことは避けるように注意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/39
-
040・春日一幸
○春日委員 この機会に銀行局長にお伺いをいたしておきたいと思いますが、この金融債の問題であります。二十八年度は三百億の金融債が予算の中に組まれておりまして、本年度はこれが百億円減ぜられておると思うのでございます。そこでこの減ぜられた範囲内における調節において、特に中小企業の資金源の操作のために、相当の政治的な配慮を願いたいということであつたのでありますが、そこでその二百億円の金融債の割当については、特に商工業者等から、この配分において十分政府の深甚なる考慮を願いたいということを陳情して参つておるのでありますが、昨年は長期信用銀行に百十億、興銀に百三十億、農林中金に二十億、商工中金に四十億というような配分がなされておつたと思うのでありますが、本年度においてはこれが総額において、わくが百億円圧縮されております。こういうような比率で、もしこれが按分的に圧縮されて参りますならば、当然中小企業金融関係においても相当の圧縮を見なければならぬと思うのでありますが、この配分の中において、今度中小企業関係にこの金融債を相当額ふやして、足らざるところを補つていただきたいと考えておるのでありますが、この配分はその後どういうふうに進められておりますのか、政府にこういう要望にこたえられる御用意があるかどうか、この機会に一言伺つておきたいとと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/40
-
041・河野通一
○河野政府委員 今度は財政投資を非常に圧縮しました関係から、金融債は昨年に比べて相当減少いたしております。ただ数字は今二百億とおつしやいましたが、百九十億ということになりまして、去年に比べて百十億の減少ということになつておるのであります。商工中金債、農林中金債等、中小企業金融、あるいは農林金融のために必要なる資金源としてのこれらの債券の資金運用部による引受けにつきましては、極力配慮をいたして参つておりますが、まだ最終決定まで至つておりません。しかしながら総額のわくが今申し上げましたように非常に減つて参つております関係から、去年の程度まで、これらの金融機関の債券の引受けを確保するということは、絶対額においてなかなかむずかしい。絶対額においてはどうしても減少いたすと思いますが、この減少の程度をできるだけ緩和するということで配慮いたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/41
-
042・春日一幸
○春日委員 長期信用銀行とか興業銀行とか、こういう金融は主として大企業に向けられる資金であろうと思うわけであります。しかしながらわれわれが申し上げるまでもなく、大企業に対する金融というものは日銀の一般銀行に対する貸出し残高等からも大体推測されまする通り、政府の施策を通じて相当の保護が行われておるのでございます。一方中小企業に対する問題は、昨年同期の政府預託を本年度と比べてみますと、すでに三百数十億円の減少を来しておる。こういうような状況下において、同じような按分率によつて絶対額がこの商工中金債において減じられるというような結果になつて参りまするならば、このことはさらに中小企業金融を圧迫するものでございまして、よつてもたらすところの影響は甚大であろうと思うのでございます。日銀の貸出しを通じ、あるいはこの状況において長期信用銀行あるいは興業銀行の融資対象となるような大企業は、今回税制措置を通じて、特別措置法で総額において七百億円近いところの減税が行われておる。あらゆる施策を通じて大企業にいろいろな援助、保護政策がとられておるのでございますから、しかしてこの金融債のわくの配分の範囲においても、相願わくばこの商工金融債は四十億の昨年度の限度額をぜひとも確保願いたいと思うのであります。そのことは必然的に長銀あるいは興銀等の債券引受の減少をもたらすでありましようけれども、このことは国の全般的施策を通じて、その程度のごしんぼは願い得るのではないかと思う。絶対額に限界がありますから、一方で保護されれば一方が圧縮されることは当然であります。中小企業の金融梗塞の激化に伴いまして、少くとも商工金融債だけは昨年と同額を配分されるということのために、河野銀行局長のせつかくの御努力を強く御期待をいたしまして——今ここに御即答を願うことは困難でありましようが、あなたの誠意に御期待しまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/42
-
043・福田繁芳
○福田(繁)委員 ちようどよい機会ですから、国民金融公庫の理事の方に一点伺いながら、つい最近国民金融公庫に関して私の見聞した点を一、二申し上げて御参考に供して要望いたしたいと思うのです。
まず伺いたいところは先ほど恩給に関する公庫の事務取扱いに関して詳細に御説明あられたので、われわれも了承いたしますか、一般の零細金融と申しますか、中小企業金融の対象と申しますか、あなたの方の窓口へ申し込まれる相手方に対して、どうしてイエスかノーかを決定されるか、またその貸出の順序をこの際御参考に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/43
-
044・最上孝敬
○最上説明員 普通の場合にまず窓口においでになりまして、こういうわけで資金を借りたいのだがどうだろうという御相談がございます。これはごく普通のケースを申し上げるのであります。そのときにあなたさんはどうもそういう御用途ではだめだ、あなたさんはよろしいというそこである程度のお話をしまして、それからいいという方は申込書をちやんと正式に書いていただく、場合によるとすぐ申込書をお出し願う場合もあります。その申込書をいただきまして、今度その順序に従いましてお世話するわけであります。その場合に支所によつて若干の相違がございますが、一番普通にとられておりますのは、時日を指定しまして、そのときおいでを願つていろいろお伺いするわけであります。その際に帳簿類なりあるいは証拠書類を持つて来ていただく。そうしてそのお話合いで大体この方はお貸付できるということになりますと、今度私どもの方の外を調査する者が出かけて参りまして、実地にお仕事の状態を拝見して、その結果を書類にまとめまして、内部の課長なりその上の次長、所長というところに書類をまわして、皆が見て妥当だということになりますとお貸付するということになりますとお貸付することになります。今度その方に手続を御通知をしまして、おいでを願つていろいろな書類を御提出願う、そしてその際お金をお渡しする。こういうのが普通の順序でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/44
-
045・福田繁芳
○福田(繁)委員 一応普通の順序はよくわかりまして、われわれも納得できるのであります。そこで伺いたいのでありますが、初め申込みを受けて金の用途を聞かれて、その上で申込書を渡されて、今言つた順序をふむのでありますが、その申込書に対して、これはノーである、これはイエスであるということは、公庫の御本店で決裁されるのか、それとも最近できております支店長の権限で決裁されるものか、これを参考に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/45
-
046・最上孝敬
○最上説明員 私どもの一般の支所と申しますところでは、五十万までの貸付については支所長の権限でできることになつております。それ以上になりますと、本所へまわして決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/46
-
047・福田繁芳
○福田(繁)委員 よくわかりました。そこで私の最近見聞しましたことで、私が非常に判断に苦しんでおる点を二、三御参考に申し上げたいと思います。
今あなたがおつしやいましたごとくに、金のほしい者は窓口に行つて、係官に事情を申し上げて、金の用途、あるいはまた必要なる公正証書、あるいはまた担保物件等を折衝されまして、しからばよろしいからというのでその申込書をくれるわけです。そしてその申込書を見ましたならば——きようあなたがお越しならば参考に持つて参りたかつたのでありますが、その申込書を見ますと、わざわざ片一方のすみの方に赤い判を押されて、この書類は本人が提出することを要する、本人が持つて参つて説明せよという御懇切なことが書いてあるわけなんです。さようでありますから、一日千秋の思いをして、国家の金であるから零細な金といえども早くそれを借りて、まさに行き詰まらんとしておる自分の小さい仕事を切り開いて行きたいとの一念に高ぶつておるものでありますから、忙しい仕事をほつておいてわざわざその書類を持つて支店へ参るわけなんです。そこでその記載してあることを長時間にわたつてつぶさに申し上げて、そして追つてそのうちに調査に参るということになつたものだから、近々御調査に来られるものだと思つて待つていますれば、その通り四、五日たつて調査には事実上来られております。調査に来られたところと、書類を渡されるとき窓口でお聞きなすつたことと一分一厘の違いはないわけです。しかるに調査を済まされて帰つて三、四日たつてから、ガリ版のはがきで、せつかくのお申出であるけれども、現在何さま公庫の手元が不如意なので、御貴志に沿いかねるから、この際お断りするというところの、はがき一本で断られているわけなんです。これは法からいつても実に扱い方が冷淡きわまる。一体幾ら申込みしたのか、五十万円でございますと言う。そんなはずはない、五十万なければ三十万、なければ二十万ということになるはずなんだが、どうもおかしいというので、いろいろ聞いてみますれば、これは八百屋さんでありますが、東京都内にあちらこちらの八百屋の連合会がありますので、あなたの管下の新橋とか新町とかいう支店に借入れを申し込まれたものと私は存じております。これとは同じ資格で、同じ内容で、同じ順序で、同じ金額五十万申し出た。しかるに新橋とか新町の支店の方はいともスムーズに行つて約四十万ほど最近に決裁ができたというわけです。そうすると、同じ性質のものであつて、同じ金融公庫であつても支店が違うからといつて、かようにはがき一本でいとも簡単にやられたならば、これは銀行の性質なり成立ちからいつても非常にぐあいが悪い。もう少し念を入れて、五十万できなければ四十万、四十万できなければ三十万、全然はがき一本、がり版一本で断るなならば、わざわざ本人を呼んでその申込みをさして、その本人のうちを実地に調査して、調査したところが物件がないとか、抵当に入つておるというのならいざ知らず、りつぱなもので申込書に書いた通りであるなら、はがき一本でキャンセルするということは、ちよいと私はどうかと思います。そこでわれわれが申し上げたいことは、先ほどからの同僚諸君からの御意見にありました通り、五十万の融資を百件されるよりかも、二十万ずつでも二百五十件にやつてもらう方が、この法律も生きるわけでありますから、もう五十万がいけなければ四十万、四十万がいけなければ三十万というように、なるほど先ほど銀行局長のおつしやつたように、営利を目的にしておるのではありますまいけれども、相手が相手でありますから、この借入れの申込みをしておる者に対してもう少し人間愛を生かしてもらいたい。そうしてもらわぬことには、国家資金をもつてこの公庫をつくつておきながら、結果は国民から怨嗟の声を聞くということはお互いに莫大な損害でありますから、この点を私は強くあなたに要望いたすのであります。銀行局長なり大蔵政務次官は、最近の金融の推移によつてということをときどき言われるのでありますが、今日くらい中小企業の零細なものが金融の引締めによつて深刻に困つておるときはないのであります。少くともそういう点には十分注意をされて——公庫が成り立つて以来短期間といえども、せつかく国民が非常な希望と感謝の念を持つておるのでありますから、これらの点も考慮されて、細心の御注意を末端にまでされて、そうしていわゆる政府資金をもつて運営しておるところの金融機関として範を示すようにぜひともやつてもらいたい。この点を理事の方に強く要望し、また御参考に供しておきたい、かように思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/47
-
048・山本勝市
○山本(勝)委員 私も一つお尋ねを申し上げます。ただいま福田委員から申されたことは、私も実は申し上げたいと思つておつたのでありますが、うまく申されましたので申し上げません。ただ一つ今度の法案の附則において「国民金融公庫法の一部を次のように改正する。」というところで、国民金融審議会の定員をふやして、その委員に恩給関係の代表者を加えるというお考えのようでありますが、ほんとうにそういう必要があるのか。と申しますのは、行政改革ですでに一般に問題になつておりますように、審議会などというものは、われわれの見たところではほんとうになければならぬほどの働きをやつておるように見えない。それをだんだん整理して行くという方向にあるときには、先ほど春日委員でしたかが申されましたが、手が足らぬければ人をふやしてという点は賛成ですけれども、無用なものは一人でもふやさぬ方がいいのです。国民金融審議会というものが、これまでほんとうに活動しておつたのか、この金融機関の機能を果すためにやつておつたかどうかということに私は実は疑問を持つておる。前々から大蔵委員をやられた方に聞いても、だれが国民金融審議会の委員になつておるのか、そんなことは皆さん御存じないようであります。それをさらに定員をふやして、ことに恩給関係の代表者を加えるといいますけれども、老婆心のようですが、だれが代表になるのか。今度それを入れるということになると、いろいろ付随しためんどうな問題が起るじやないか、どうしてもこれをふやして入れなければならぬという理由があるのなら承りたいと思いますが、それほどでないなら、こういう定員をだんだん減らして行くときにふやして加えるということはどうかと思うのですが、いかがなものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/48
-
049・河野通一
○河野政府委員 国民金融審議会の性格あるいはその必要性につきましては、いろいろ御意見はごもつともな点が多いと思います。審議会自体が一体必要ありやなしやの点は、それは私ども現在の情勢に応じて十分に検討しなければならぬと存じておりますが、現在のところこれを廃止するというところまで結論を出すのは早い、簡単に結論だけを申し上げますとこう考えております。
さてこの審議会をしばらく、少くとも当分の間は存置するといたしました場合に、恩給関係の代表の方を一人加えるということは——これは実は国会方面にも、かねて恩給金庫といつたようなものをつくるべしという御意見もあるわけであります、そういう意見については私どもは反対でありますが、少くとも国民金融公庫がこの仕事をやつて参るという以上は、恩給受給者の立場を十分に反映するような機会を与えられることが必要であるということは、国会方面からも強い御要望が出ております。現にこの審議会の委員には——公庫は現在更生資金と申しますか、例の引揚者を対象にした資金の貸付を行つておりますが、この関係から引揚者の代表といいますか、そういつた方を一人お願いしておるようなわけでありまして、この国民金融公庫の貸出し行いますいろいろな種類の貸出しごとに、その関係についてその立場を主に代表して意見を述べられる方が入られるということが、その本来の目的を達するために決してマイナスではない、やはりプラスになるものだと私は考えております。従いましてこの際としては、審議会自体をどうするかという根本問題はありますけれども、この審議会を存置して行きます限りにおきましては、恩給金融というものについて、十分にその実情を反映し得る方がこの審議会に入られることは適当ではないかと私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/49
-
050・山本勝市
○山本(勝)委員 もう一つだけでけつこうですが、そうすると、その審議会は年に何回ぐらい開いて、恩給関係の代表者というのはどういう方を予想しておるか。地方でも恩給をもらつている連中の団体などありますが、昔学校の校長をして八十ぐらいになつたようなじいさんが、恩給値上げ運動を一生懸命やつておる。地位からいうと、その人がある地方では一番上ということになるのですけれども、この国民金融公庫の金を恩給を担保として借りるという場合には、その恩給関係の代表者というのは、おそらくそういうところとはかけ離れたものではないかと思います。具体的には一体恩給関係のこういう団体があつて、こういう人を予想しておるということがあるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/50
-
051・河野通一
○河野政府委員 審議会は大体四半期ごとに開いております。四半期ごとに事業計画、資金計画を審議をして立てる、こういうことが主たる目的であります。今度一人ふやしました場合に、審議会の委員にだれをするかという点につきましては、まだ私どもは具体的には考えておりません。十分内閣とも相談をいたしたいと考えておりますが、お話のように、この選考がなかなかむずかしいという点は確かにあると思いますけれども、諸種の事情を十分に考えて、慎重に決定いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/51
-
052・井上良二
○井上委員 次に、財政法の一部を改正する法律案について二、三伺つておきたいのですが、従来繰越し及び繰越明許費を計上しておりました予算を、国が工事の契約をいたしてその債務負担を行うときに、今度は大蔵大臣の許可さえとれば翌年に支出する分については債務負担をしてもよろしい、こういうことにいたすのと、それから各省庁の大蔵省の認可を受けた分については、その省庁における予算の繰越しについてもやれる、こういう改正のように考えるのでありますが、一体年間予算で現行財政法によつて繰越し及び繰越明許費として計上された予算を、さらに大臣の考え方によつて、国及び各省庁がそれぞれの責任においてやつております工事が、その年度内に終らずに翌年に繰越されるということから繰越しを認めるというぐあいに、予算執行の上に大きな混乱を生じ得るようなことにこの法律によつてなりはせぬか、たとえば、こういうことがかりに認められると、政府の政策のいかんによりましては、工事が一年間で完成せずに三年なり五年なりの継続工事としてこれが行われる、そうなりますと、当初の契約工事金額と、それから二年、三年、五年となりました場合の物価の変動、賃金の上昇に基く予算がかわつて参ります。なるほど物価が上り賃金が上れば、次の年度の予算においてその分だけ計上すればよい、こう言いますけれども、当初の契約は、この工事はこれこれの契約でもつてする、こうなつているわけです。そういうことからいたしまして、一つは年度間の予算が非常に不明確になつて来るということが言われ得るのですが、政府は翌年度に支出する債務負担の契約がこのように法律を改正しなければならぬほど、一体どれだけの工事件数、工事金額について繰越しを認めて行かなければならぬものをお持ちになつておるか、そしてその内容は一体どういうものが現在問題になつておるのですか、これを一応明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/52
-
053・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 この法律案の提案の趣旨があるいはまだ十分御説明できていないのだろうと思いますので、あらためて詳しく申し上げたいと思います。財政法等の一部を改正する法律案の第一条壕おきまして、四十三条の二項を改めておるわけでありますが、今回の改正の趣旨を平たく申し上げますと、御承知のように現在の財政法では、当然会計年度を厳守する建前になつております。四月から三月に終る会計年度がありますが、但しそれにあまりこだわりますと予算の執行上非常に不便を生ずるというので、多少の例外を認めておるわけであります。その例外の重要な一つが現在認められておる繰越しの制度でございます。この繰越しの制度が二つになつておりまして、一つは、あらかじめ予算において繰越明許というものをとりまして、そして大体これはとても一年間ではできそうもないという場合においては次の年度にわたつて契約と実行をすることができる、こういう承認を経る形のものと、それから、一つはそういうあらかじめの承認を経ませんで、年度の末になりましてどうもできないということがわかつた場合に、それが真にやむを得ない理由に基くときには大蔵大臣の承認を得てやるという、われわれが事後繰越しと呼んでおりますものがあるわけであります。それで、この明許繰越しをいたします場合におきまして、契約も翌年度に繰越すことができるわけであります。ところが大蔵大臣の承認だけは、どうしてもこれは一応繰越すかどうかという場合に、たとい明許を得てでありましても、現在のところでは承認を経ることになつております。それで大蔵大臣が承認をいたしますのは、従来におきましては、実際問題といたしましては年度末、三月の三十一日あるいはそれが過ぎて承認をするのであります。どうしてそういうことになるかと申しますと、従来の財政法の条文の書き方に非常に無理がありまして、各省各庁の長は、大蔵大臣の承認を経なければならないということを、財政法の四十三条が書いておるのでありますが、それを受けまして次の項で、その前項の承認があつたときに、初めて予算の配賦があつたと見なす、こういうことになつておるのであります。そこで具体的に申しますと、金額が確定するのは大体三月三十一日でありますからして、その確定した金額を承認しまして、そして初めて何円というこまかい数字の確定した金額の承認が行われた上で、あらためて予算の配賦があつた、こういうふうな観念になつておるのであります。それで結局、三月の三十一日あるいは四月に入つて出納整理期限のうちに承認をするということになりますと、どうしても書類を受付けてそれを承認するために、多少の日数がかかりますから、その間は承認がはつきりなされるまでは、りくつからいいますと工事ができないわけであります。いわゆる空白が生ずるのであります。そういうことではおもしろくない。できることならば二月、三月の初めくらいには一応できるだけ承認をする。そうして工事のおぜん立てをいたしまして、三月三十一日から四月一日に切りかわるときも、スムーズに続いて工事ができるようにすべきである。これは特に寒冷地帯等においては、たださえ工事の円滑が非常に問題になつておる際でありますので、そういう措置をとりたい。それには今の財政法のように、金額がすつかり確定したから承認をするというような解釈が成り立つ書き方は困る。一応承認はわくでもつてやりまして、それで実際の、たとえば五百万円の繰越し承認をする。ところが三月の上旬にそういう承認を得たけれども、三月三十一日になつてみて、四百五十万で足りたということになりますれば、五百万の承認の中で実際必要な四百五十万だけを繰越したものとするというふうにして、四百五十万がすなわち予算の配賦があつたものと見なす、こういう規定に書き改めました。すなわち大蔵大臣の承認をある程度早く行う。それによつて工事の円滑な施行ができるようにする。それからもう一つ、翌年度にわたつて契約をするといいますのは、従来は非常に繰越明許があつて、形の上で便宜のようでございましたが、実際は二本の契約がいるのであります。ただいまのように事前に、たとえば三月の最初に承認をいたしますが、その場合にかりに千万円の工事が残つておる。その千万円のうちで年度内に五百万をやる。四月以降に五百万残るという場合には、その五百万の契約を別々に二本しなければならないのであります。これははなはだ不便なことであるからして、そういう場合には一応千万円の契約を一本でもつてし得るようにするということによつて、これまた円滑をはかりたい。こういう趣旨であります。大蔵大臣の専断によりまして、特に新たに翌年度にわたる契約の道を開いたという趣旨ではないのでありまして、従来から認められておつた制度をさらに円滑にしたい。こういう趣旨でありますから、御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/53
-
054・井上良二
○井上委員 それに該当するような契約というのは、どのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/54
-
055・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 ちよつと私、繰越明許費の総額がただいまどのくらいになつておるか、正確な数字を持つておりませんが、調べればすぐわかりますので、また後ほど差上げてよいと思います。従来から相当に上つておりまして、一割くらいに上つておると思いますが正確な数字はまた調べて差上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/55
-
056・井上良二
○井上委員 ただいまお話になりました寒冷地帯の農業土木等の工事の場合は、私は一応了解いたしますが、そういう時期的なやむにやまれぬ工事の遅延、繰越し等に関連する以外において、たびたび予算委員会等でも問題になりました防衛支出金はこれにひつかかるか、ひつかかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/56
-
057・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 防衛支出金のような問題は、いわゆる明許繰越を予算においてせられるわけでありますが、予算の審議の際に、それが適当でなければこれはいかぬとおつしやつていただいてよいわけであります。また明許繰越をいたしますが、あの場合には、多くの場合に契約自体が繰越されることが多いのでありまして、ここにありますようないわゆる個々のケースについて、翌年度にわたる契約について、便宜を得るというようなものには該当しない場合が多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/57
-
058・井上良二
○井上委員 問題はただいま申しておりますような時期的にどうしても繰越さなければならぬ人間の力でどうすることもできないような自然条件の結果から、やむなく年度を越さなければならぬというものについては、当然改正を必要とすると思いますが、その他のものを、これにかりに便乗しましてやり出しましたならば、年間の会計年度の予算というものの本質が非常にあいまいになつて来やしないか。いずれもがこの法規によつて、大蔵大臣の許可さえとればやられるということになるならば、これは非常にやつかいなことになつて来やせぬかということを私ども憂えておるものでありますが、その面に対してあなた方事務当局として、かりに各省からそういうことを要求して来ても全体の予算の輪廓がくずれるから困るということで、そういうことを明確に、会計年度間の予算を貫くという建前から、少くとも主計局としては私はがんばる必要があろうと思います。そうでないと、年間予算を編成し、審議する上において、繰越明許なり繰越し契約というものがかつてに行われ出したということになりましたら、これは年間予算を審議する上において非常な複雑さを増して来て、とてもやつかいなことになりはせぬかと、こう考えるわけであります。だからこの点あなた方において、そういう場合はこういう形において区分をして扱うことができ得るという自信をお持ちですか。その点をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/58
-
059・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 ただいま御説明いたしましたように、従来より繰越しの範囲を広めたのではございませんので、繰越しについては、従来のように予算の明許を得たものは予算でもつて最初からはつきりしておるわけでありますが、それに基い大蔵大臣が承認をいたせば、それはもう従来とこれでとではその点についてはかわりがない。承認を経たときに二本の契約にするのを一本にするというだけでありまして、承認を経ますと、いずれにしても従来においても、各省の所管において適当な契約を、二本でございますが、結ぶことができる、こういうことでございます。従来よりも繰越しの範囲を広めるという内容のものではございません。井上さんのおつしやいました点は、従つて従来から問題があるわけであります。それについての運用につきましては、実は御心配になつておる点は私どもも同感でありまして、できるだけこういうものは会計年度のいわゆる例外として認められたものであるからして、やかましく取締りたい、こう思つております。その実情を実はどうして今回取上げられるようになつたかと申しますと、積雪寒冷地の問題は非常にやかましくて、大部分の工事が非常に遅れがちである、どうしても事実上すべてが繰越しにかかるような状況である。しかし結局明許繰越をもらつても、手続が煩瑣であつてはなはだ円滑を欠いておる、こういう意向があつたわけであります。そのために積雪寒冷地の予算についてだけは会計年度を、従来の三月三十一日を六月くらいまで延ばせとか、非常に無理な御注文が一部に出まして、それは建前上とてもできない、しかし手続でもつて円滑化し得るものはできるだけやろう、こういうことから出発してこの条文をつくつたわけであります。でありますから、そういう一方の御要求にはこたえるつもりでありますが、これによつてただいま御心配になるような点は——実は大蔵大臣としては、こういう条文は全然ない方が気楽でありまして、こんなものをつくりたいとはちつとも思つておりませんが、しかしそういう要求があるからつくつたわけでありますので、運用においてはもちろん御心配のないようにしたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/59
-
060・井上良二
○井上委員 もう一点伺いますが、国が工事契約による債務負担を行う場合に、大蔵大臣の許可を得て、従来の分割をやめて翌年度に債務負担の契約をすることができるという、国としてはえらい便利なようにできているのだが、地方公共団体の場合はどうするのです。各地方公共団体においてもこれと同じことが起ると思いますが、その場合政府はそういうやり方を認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/60
-
061・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 御質問の御趣旨は、地方公共団体自体の立場からこれと同じようなやり方をするかどうか、こういう点だと思います、これにつきましては、現在地方団体を一貫するいわゆる地方財政法というものがございますが、あの内容は国の財政法との関係のような意味の立法ではございません。従つて会計の取扱いにつきましては、地方団体で適宜にやつておるものがございます。でありますから、一概には申し上げかねますが、地方団体の場合には、国の財政法のような非常に厳重な制度がございませんで、多くは比較的弾力的にやつておるようであります。これは直接には地方団体自体の会計制度には関係しないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/61
-
062・井上良二
○井上委員 この法律は地方団体の会計には直接関係はないと思いますが、国がそういうことをかりにやります場合、繰越し工事についての政府の予算というものは、各地方公共団体において財政計画を立てます場合に、それを認めるか認めないかということがやはり非常に問題になつて来る。たとえて申しますと、あなたの方で地方起債を許可しておりますし、またいろいろな補助を出しておりますが、この起債補助をやります場合に、当該の工事全体の契約を何ぼと認めるか。そこで分割いたしまして起債を許可しておる。ところが本年かりにここに一億円の病院をつくるとして、二千万円の起債しか許可がない、来年は何ぼあるやらさつぱりわからない、国全体の計画によつて来年何ぼくれるかわからない。二千万円の工事だけは契約をさすが、翌年度の工事の契約は全然不可能になつて参ります。国の起債許可が何ぼあるかわからないということになりますが、そうしますとやはり一部分々々請負に出して、全体の工事が最初の計画よりは非常に高いものにつくということをわれわれは聞かされておるのです。だから国が全体の工事に対しての債務負担を考えて請負契約を認める以上は、最初に地方公共団体のそういう事業計画に対しても全体のわくを一応認めて、そうして年度間の何をそれぞれ立ててやるということにすればいいのですが、そういうこととひつかかつて来ると思うのです。だからそういう工事を認めますか、認めませんかという問題が大蔵省としても起つて来ると思う。だから地方は地方で御自由に当該公共団体の財政の規模を考えてやつたらよろしい、国がそこまで干渉する必要はないと言えば言えるのですが、そのしりは全部国に求めて参りますから、その点についてひとつ御検討を願いたいと思います。事実あなたがおつしやいますように、寒冷地帯方面のいろいろな農業土木その他の工事が非常に遅延をいたして、予算関係との間に非常に困難をいたしておる実情を私どもは知つておりますので、そういう面において、実態に即した改正を行うということについては一向異議はありません。ただそういうことによつて、他のいろいろなものがこれを得たり賢しとして悪用されて、こういう規定があるのだからこれで行けるのじやないかということで押しまくられはせぬかと思うから——おそらくそういうことを簡単に考えられるような大蔵省ではありませんけれども、相当さいふのひもを引締めておりますから、簡単に許さないと思いますが、しかし保安庁経費その他いろいろ問題がありまして、この方面の圧力はまた時局の進展とともに相当危険が起つて参りますので、そういう点についてはひとつ十分御注意を願いまして、筋を通していただくようにいたしませんと、年間会計の予算の措置というものは何ら意義がなくなつて参ると思いますから、その点に対して政府当局の注意を喚起いたしまして、私はこの問題に対する質問は打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/62
-
063・平岡忠次郎
○平岡委員 関連して。今の問題ですが、たとえば保安庁経費というものが二十九年度において、数字が正確でありませんが、かりに六百億といたします。そうすると三十年の二月でも三月でもけつこうですが、その時分に未使用分が半分の三百億残つたといたします。今度あらためて三十年度の予算を組むときに、やはり前年通り六百億組むということになりますと、新たな財源として三百億を考えて、前の使い残りと合せて六百億をあらためて組む。従来でしたらこういうことであつたはずです。ところが私これで心配するのは、たとえば二十九年度に六百億の予算を組んで、三十年の二月に三百億を残しておるのだけれども、一応これは契約してしまおう。こういうことで、ほんとうなら使い残しになるべき三百億を、やはり三十年度に使うべき契約をしてしまいます。そうしますと、二十九年度の六百億は一応全部使い果したというかつこうになります。それで三十年の当初予算を組む場合、あらためてそこに六百億を計上することになれば、これは実質的には二箇年にわたつて六百億プラス六百億ですから千二百億になります。そういうふうな点で、やはり保安庁経費とか、そういうものの支出はどうしても絶対量がふえて来るという懸念があろうと思います。これは傾向的な点を指摘したわけですけれども……。
それからもう一つお伺いしたいのは、三十年の当初予算を組むときに、今言つたような経費は、一応あらためて六百億というものを組んだ場合、二十九年の二月に、三十年に使用すべきものとして繰越した三百億というものはどんなふうに解釈されますか。その場合に、これは三十年における六百億のうちに含まれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/63
-
064・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 ちよつと全体として御説明がいると思うのですが、今の仮定の六百億のうちで、従来であるならば三百億使つて三百億は不用になるだろう、こういうお話があつたわけですが、従来とその点少しもかわりはございません。つまりかりに六百億を使い、残りがあつたそのうちでもって、御承知のように明許繰越しの場合には予算権そのものを繰越すことができるのです。すなわち契約を全然しませんで——普通の事故繰返しの場合ですと、契約だけはしておく、しかし事業が進まない、支払いが進まないという場合の繰越しでありますが、明許繰越しを得ておりますときには六百億全部を、もしまだ契約をしておりませんならば、次う三十年度に持ち越して契約することも可能なのであります。従来からそういう道は開かれておるわけであります。ただ大蔵大臣が承認をいたしますときに、六百億みなは必要じやないじやないかといつて承認を与えなければ、それは落ちるわけです、その関係は今回何ら改正を受けてないのであります。すなわち翌年度になつてから契約を結ぶということになつたものについては、この四十三条の三の翌年度にわにる契約ということは、契約自体が翌年度まで持ち越されたわけでありますから、必要はないわけです。この条文に該当いたしますのは、前年度の終りに契約をするというような場合に便宜であるというときに限ります。つまり明許繰越というのは、現在は一会計年度の原則があるわけでありますが、実質上は二年にわたる会計年度が認められておるという制度であります。従いまして三月までに全然契約しないで、四月に入つてからやるということも可能なのであります。ところが大蔵大臣が承認をするかしないかということは、従来のようにできるだけ厳重な方針でやるという点についてかわりはございませんから、その運用の問題は御心配のないように厳重にやつて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/64
-
065・淺香忠雄
○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となつております五法案中、政財法等の一部を改正する法律案、国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律案の両案並びに財政法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきましての質疑は、この程度にて打切り、討論を省略してただちに採決に入られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/65
-
066・千葉三郎
○千葉委員長 淺香君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/66
-
067・千葉三郎
○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつて右両法案及び修正案に対する質疑はこれにて打切り、討論を省略してただちに採決に入ります。
まず財政法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
最初に本案に対する黒金君提出の修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/67
-
068・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/68
-
069・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本案は黒金君提出の修正案のごとく修正議決いたしました。
次に、国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律案について採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/69
-
070・千葉三郎
○千葉委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
この際お諮りいたします。本日議決いたしました両法案に関する委員会報告書の作成、提出等の手続につきましては、委員長に御一任を願つておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/70
-
071・千葉三郎
○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長に御一任をいただくものと決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X04019540414/71
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。