1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年五月十八日(火曜日)
午前十一時二十四分開議
出席委員
委員長 千葉 三郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君
理事 坊 秀男君 理事 山本 勝市君
理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君
理事 井上 良二君
大平 正芳君 島村 一郎君
苫米地英俊君 藤枝 泉介君
福田 繁芳君 小川 豊明君
柴田 義男君 春日 一幸君
平岡忠次郎君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局次長) 原 純夫君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
検 事
(刑事局総務課
長) 津田 実君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
—————————————
五月十八日
委員本名武君、苫米地英俊君及び島村一郎君辞
任につき、その補欠として中野四郎君、大橋忠
一君及び宮原幸三郎君が議長の指名で委員に選
任された。
—————————————
本日の会議に付した事件
国政調査承認要求に関する件
小委員会設置に関する件
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法
律案(内閣提出第一四七号)
企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一六三号)
出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する
法律案(内閣提出第八一号)
証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
第八八号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/0
-
001・千葉三郎
○千葉委員長 これより会議を開きます。
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案、企業再建整備法の一部を改正する法律案、出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案、証券取引法の一部を改正する法律案の四法案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。井上委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/1
-
002・井上良二
○井上委員 大蔵大臣及び政務次官が見えませんし、主計局長も見えません。政治的な問題について、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案について質問をしたいと思いましたけれども、事務当局が見えておりますので、こまかいことについて二、三伺つておきたいと思います。
あなたの方で、補助金その他国庫の方から出します交付金、あるいは利子補給というようなものがいろいろございますが、補助金、負担金、利子補給その他国が交付する金銭をきめます場合に、法律による場合と法令によらない場合とがございます。法律による場合にいたしましても、補助金をきめます場合の事務的な手続というのは、具体的にどういうことになつておりますか。たとえば土木関係なら土木関係で、本年こういう新規事業をいたしたいという要求がありまして、それをその当該管轄省で新規事業の内容なり計画なり設計なりというものを一応検討して、それから大蔵省に、この事業をやるにはこれだけの金がかかる、これが法令によると何ぼの補助金をもらうことができる。だからこれを認めてもらいたいという予算折衝が始まる。そうなります場合、大蔵省としては、その資料に基く紙上の査定だけで補助金額を決定されるのですか、所管省の言うて来たものはそのまま認めることになつておりますか。それとも、あなたの方の財務局がそれぞれ地方にございますが、これら財務局をして、補助金を要求しておる当該府県の新規事業計画を、所管省に提出してあるような正確な資料に基き、その計画に誤りないかどうかということを調べ、また一方あなたの方も事態を正確に把握いたしまして、そこで当該所管省から言うて来たのとあなたの方の認定とが間違いはない、こういうことで補助額をおきめになりますか、その事務的なやり方はどういうふうになつておりますか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/2
-
003・原純夫
○原政府委員 補助金の予算が、大蔵省と要求各省との間で査定されきまつて参る経緯についてのお尋ねでありますが、まず一般的に申しまして、各省からは相当な件数の、そうして一件々々やはり相当の金額の御要求が出て参ります。たしか二十九年度の予算は一兆で最終的におきめ願つたわけでありますが、要求は実に倍の二兆円に上るというくらい大きいものであります。従いましてそのうちの補助金の要求につきましても、いろいろと査定を加えるわけでありますが、単価ないし規格、数量というようなもので査定することはもちろんでありますけれども、それだけをもつてしましては、許される財政の大きさになかなかはまり込まないということになります。そこで件数を重んじて、つまりこの補助もあの補助もいろいろ地方の御要望が強いから、とにかく頭を出してほしい。——これは実際上そういう御要望がかなり強いのであります。それで参りますと、一つの事業に参ります補助が少くなる、従つて二年間でできるものが三年、四年とかかる、現状においては二年でできるものが七、八年はかかるというような状態に、実は残念ながらなつております。われわれといたしましては、やはりそういう際は優先順位を付して、優先するものから集中的にやつて参りたいというふうにしよつちゆう考えておるわけでありますが、特に二十九年度の補助金の予算の査定につきましては、これは非常に強い原則といたしまして、新規事業はもう一切ストツプである、従来やつておりましたものも、あまり件数が多く、総花になつておるものは若干整理して参りたいというような線を出して予算をまとめ上げて、御決定願つたわけであります。つまりそこには総花主義か重点主義かという大きな問題がありまして、重点主義という方向、これは国費を使いますわれわれの責任からいたしましても、そういうふうに重点化いたしますれば、国費の効率はおそらく何十パーセントか上るということはきわめて見えすいたことでありますので、その線を強くとりましてやつておるわけであります。
出先機関である財務局、財務部をそういう際に使うか、どの程度使うかという追つてのお尋ねでございますが、予算全般につきまして一々現地についてチエツクをさせるということは、これはいたしておりません。しかしながら、たとえば災害復旧というような場合になりますと、これは各省も非常に倉卒の間に地方団体等からの要求をそのまま取集めて取次ぐというようなことに、緊急な事態でもあるためにならざるを得ない情勢でありますので、しかもこの災害等におきましては、補助金が非常に水増しの要求がありましたり、二重の要求があつたりする実例が多数出ておりますので、これらを防ぎますために、その査定をいたしますにあたつて、第一線の財務部等を使いまして、現地についてチエツクさせるということをできる限りやつておるわけであります。
〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕
なおそれらをもちましても、非常に急を要しますために十分に行かないというようなことが、今回「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案」をお願いしました大きな理由の一つになつておることは、申すまでもないことでございますが、そういうような趣旨でもお願いしておるわけでありますから、よろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/3
-
004・井上良二
○井上委員 国民の血税でございます国の財政資金が、補助金の形でそれぞれの事業に法令に基いて交付される、その場合不正な申請、使用をできるだけ適正、効率的にやらすということが必要であることは、申すまでもないことであります。どうも私ども現在の官僚の組織といいますか、行政組織というものが、非常に横の連絡がなしに、おのおの思い思いの命令系統で、ばらばらなやり方でやられておるのじやないかと思います。そういうことで、補助金に対しての不正使用というものが会計検査院の摘発するところとなつて、政府みずからが本法律案の説明に申しておりますように、昭和二十七年度の決算報告においても、不当支出千三百余件のうちで、その八割五分、千百余件というものが補助金に関するものであるということがいわれておりますが、これらはいずれも事業費を過大に積算したり、あるいはまた設計通りの工事を行つていない、または二重の申請をやつて補助金の交付を受けておる、こういう実に驚くべきことが行われておるので、この乱脈きわまる補助金の交付を受ける事務的な系統について、もう少し適正な対策がとられなかつたならば、実際上補助金の適正な、効率的な使用はでき得ないことになりはしないかと思います。根本的には補助金の効率的な使用についての国全体としての対策を講じる必要がありますが、それはいずれ大蔵大臣なり、あるいはまた政務次官なり主計局長が見えました場合に、よく検討いたしてみるつもりでございますけれども、具体的に申しますと、たとえば農林関係の補助について伺うところによると、新規事業に対する一応の計画と申しますか、立案といいますか、そういうものを府県の方から当該農地事務局というところに出して来まして、農地事務局が大体その計画その他について査定をいたしまして、そこでこれを政府の方に申請をする、政府がそれを認めました場合は、その事業自体は当該地方団体がその事業の施行の責任監督の立場に立たされます。今度はどこからお金が出るかといえば、お金は農地局長名で農地局から出る、こういうことになつておる。みなばらばらになつておる。こういうやり方をやつておるところに、いろいろな問題が起つて来やせぬかと思う。だからいま少し補助金交付の命令系統と責任系統を明確にする必要がありはせぬかということが一つと、それから今あなたからもお話がございましたように、あまりにも新規要求が、いろいろな政治的な要素もございましようが多いために、ほとんど計画事業が年度内に完成をしない、いずれも継続事業になりまして、そのために当初の計画からさらに大きく実際は補助金を出して行かなかつたら事業全体が完成しない、つまり二年で解決するものが、三年も五年もかかる。そのために物価の上昇や人件費の値上りや、その他のいろいろな悪条件のために、追加しなければ工事が完成しない、こういう事態が至るところに起つておる。こういう点に対して、全体の補助金についてもう少し根本的な検討をする必要がありはせぬか、こういうふうに考えております。
それと実際この補助金額が非常に少いといいますか、いたずらに窓口ばかり広げて、件数ばかり多くして、当該事業に対する補助金額が非常に少い。そのために事業自体をやつて行かなければならぬ地方団体は、それにプラスした予算を持たなかつたらどうしても事業ができないために、実際は非常な無理をしておる実情にあるわけです。全体の事業が認められますと、それに対する補助金額が確定をいたします。そういたしますと、地方団体としましてはできるだけ早く工事を完成する方が有利でございまして、そのために相当の出費をしなければならぬという問題がそこに一つ起つて来るために、地方団体としては非常な問題をそこへ起して来るわけであります。これが一つ。
それからいま一つは、実際補助金額が非常に少くて、ほとんどそれが人件費に消えてしまう。そういうのがたくさんございます。事業自体の成果を見るというよりも、事業自体の成果を見るまでに消える人件費、調査その他計画等のためにすでに補助金の大部分が飛んでしまう。一向成果が上つていないという事態がたくさんあり得るのじやないかと思うのです。そういう点に対して大蔵省としてはどうお考えになりますか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/4
-
005・原純夫
○原政府委員 いろいろ問題の弊害の深いところにつきまして御指摘をいただきましたが、たいへんわれわれも同感する点の多い、常々悩んでおる問題でございます。主として御指摘になりましたのは三点ばかりあると思いますが、まず第一の補助金の交付につきまして、関係各省ないし各省内の各係官というようなものの連絡がよろしいかどうか、ロスが起きておるのじやないかという点につきましては、やはりそういう点がなきにしもあらずということをわれわれは率直に感じております。特に補助金でごく大頭でありますところの治山治水、災害復旧というような面におきましては、農林、建設、運輸と、省が三つにわかれております。
〔内藤委員長代理退席、淺香委員長代理着席〕
そのために、率直に申して、予算の省間の配分におきましても、その間の価値比較といいますか、これが総合的な見地で行われるのが非常にむずかしいというような事情がございます。これは予算編成に関する大きなウエートの置き方の問題でございますが、個々の予算の執行にあたりましても、二重に予算要求が出るというのは、多くの場合農林省の方でも農業用水であるというて要求し、建設省の方においても河川の水はけであるというふうにして要求するというような、省を渡る場合が多いというふうに思いますので、御指摘のような点がいろいろとあると思います。これは、たとえばそういう事案に関しまする行政を、一省のもとに統一するというような問題によつて解決するのが一番抜本的なわけでありますが、これは行政機構の根本にからまるなかなか大きな問題でありますので、現状におきましては、与えられた機構のもとで極力連絡をよくしますように、たとえば先日来治山治水の審議会を中心といたしまして、そういう各省間の連繋、連絡を十分にするような動きを行政の運用として始めておるということを顕著な例として御報告申し上げる次第でございます。第二の工事の施行の責任者と申しますか、金の出し口と、それから管理の責任者とおつしやいましたのは、金が出るのと工事をやるのと、というお話でございますが、要するにそういう金が出る口と、工事をやるのとの違い、また施行の責任者と管理の責任者との違いというふうな、仕事の種類、同じ仕事の段階によつて主体がぴたつとうまく合つていないということのために、いろいろ問題があるというのも事実でございます。
〔淺香委員長代理退席、黒金委員長代理着席〕
たとえば河川の下でどうも湿地帯である、この水を途中から暗渠をつくつて海に流すというような場合に、その暗渠は河川の関連の工事として建設省になるのでありますが、これは実にその湿地帯におけるたんぼの水はけをよくするためであつて、管理の面から言えば農林的な見地で管理しなければならず、現地の農民に意を用いて管理をしてもらうというのが一番いい管理の方法でありますが、どうもその辺がうまく行つてないようなことが率直に申してございます。これは翻つて先ほど申した省の間における問題にもなるわけでありますが、行政機構全般の問題として十分深く研究をし、対策を講じて参りたいというふうに考えております。
それから最後の総花になつておるために非常にロスが多い、そうして二年かかるのが四年、五年とかかり、それに応じて人件費に消えてしまうというような点も、まさに先ほど来申しました通り、われわれの非常に痛感しておるところでありまして、何割消えておるかということはあまり精細に計算したことはございませんが、一年なり二年であれば比率がはるかに下つて来るということがあると思います。経済的な速度でやれば、人件費に要する額はおそらく半減するというくらいのことはしごく簡単に申し上げられるのではないかと、私はこれは勘でありますが考えます。それ以上に大きいと思いますのは、やはり五年たつてできるならば、四年目と五年目の二年で払えばいい、これは普通の経済人ならば、五年たつてできればいいもの、しかも二年間でできるものを今から金を出すというのはばかの骨頂でありまして、その間は何かに運用して利を生むというようなことにすれば、四年目には利を生んで、元百の金が百二十なり百三十なりになるわけで、工事も二割、三割よけいできるということになりますので、そういうロスは実に大きなものであろうというふうに考えております。これを矯正したいということは先ほど強く申し上げました通りで、今後もその方針でやつて参りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/5
-
006・井上良二
○井上委員 この補助金関係の資料を要求いたしましたところが、この本一冊全部補助金、負担金、交付金等の費目らしいのですが、これほどたくさん各項目ございますが、実際この内容を一々調べおると、はたしてわれわれ国民の血税がわが国の産業経済、国民生活に役立つ方向に効果を上げておるかどうかということになつて来ると、はなはだ私ども疑問の点が多いのであります。そこで、これは国としてもそれぞれ当該所管省の要求に基いて必要な補助を出すことをおきめになつておると思いますけれども、実際金額が小額にして、ただいま申し上げましたように、ほとんど人件費に消えてしまうというような実情から、各省とももう少し真剣に、国民の血税を使つておるという点を自覚をされてやらるべきだと思うが、ほんとうに成果を上げているかどうかということの結果については、一向検討されてないじやないか。あなたの方の大蔵省としては、この際小額の補助金は全部打切つてしまつて、もつと有効適切な重点的なものだけを国がやる、あとは地方財政をもう少し国としても確立いたしまして、地方にどんどんやらす、国としては、どうしてもやらなければならぬ主要な大きなものだけを取上げる、たとえば災害復旧でありますとか、地方としてはどうにもならぬ大きな負担を予定されるものだけについては、国としてもできるだけ短時日のうちに効率的に補助してあげるというようにして、くだらないといつては失礼ですけれども、効果が上つているか上つていないかわからぬような小額の補助は、この際一切整理するということの方がいいではないか、こういうふうに私は考えますが、大蔵当局としてはどういうふうにお考えになつておりますか。依然として従来のものは続けなければいけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/6
-
007・原純夫
○原政府委員 ただいまの御意見に全然賛成でございます。今回の予算編成におきましても、公共事業、食糧増産対策におきましては、大原則の一つとして群小工事を集約整理するために、一箇所百万円以下の補助金は認めないということにいたしております。なお災害復旧におきましても同じような問題がございます。こまかい工事にまで一々国が見て出すというのはいかがか、こまかいのは地方の財源を包括的にあんばいすることによつて、それでやらすというような方向に持つて行くべきであろうというように考えております。御質問というよりも、むしろ非常に力強い御意見であつて、ぜひそういう方向に持つて参りたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/7
-
008・井上良二
○井上委員 私の質問にえらい賛意を表されましたが、あなた自身としては事務当局として当然のことでありましようけれども、自由党内閣としてはなかなかそうは簡単に行きますまい。承るところによると、大蔵事務当局としては、この法案を通すのにもう少し活発な動きをしないと、どうも審議未了にする危険がございますによつて、これは自由党の方も、政治的な考慮からそういう動きがわれわれにはちよつと見受けられますから、もう少し積極的な働きかけをやらぬといけないと思う。この法案の成立を私どもは望むわけでありますが、小額な、小規模災害等の復旧補助も、この際国は全部認めないという方針で行きたいということを申されたですが、そうなりますと、例の災害復旧等の特例に関する法律案が先般国会を通りまして、小規模災害に対して、国はそれぞれ九割までは補助する、こういうことに法律はなつておるのです。ところが今度の予算には、小規模災害に対する一口三万円から十万円くらいのものについての補助は全部打切られております。これはもちろん予算の範囲内ということがありましようが、そうというて、あなたの方でそういう小額の補助は一切打切るというのは——法律は法律として、公付されている法律を中心にした補助は行われなければならぬので、法律できめてあるものを、予算の範囲内という言葉に隠れて小額補助を全部予算から削除するということになると、法律というものはいらぬことになる。そういう方針をおきめになるなら、そういう法案を修正する法律案をあなたの方から出さぬと、法律ではきめてあるわ、予算はくれないわ、補助はないわ、こうなつたら、これは国会としては黙つておれぬことになりますぞ。そこは一体どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/8
-
009・原純夫
○原政府委員 申し上げ方が不十分であつたかと思いますが、この法律できめてあります農地三万円までの小額補助はその通りに出すつもりで、そういうふうに予算も運用するつもりでおります。ただいま申し上げましたのは、将来の災害復旧制度についていずれその法律をお願いするというようなときには、そういうようなことも考えてやりたい、なおそれさえもつつぱなしにするというのでなくて、災害があればやはり地方の財源はいる、それは別途めんどうを見て、ただ三万、四万というような小さい復旧費を一々国が査定するという煩は避けて参るようにしたいということを、小額補助の整理ということにからめまして申し上げたわけでありますから、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/9
-
010・井上良二
○井上委員 ちよつと変なことを聞くんですが、そうしますと、昨年度の災害による小規模補助工事は予算上措置をしてありますか。私の承るところによると、建設及び農林関係の災害補助のうち、小額補助は予算的措置がしてない、そこで地元からは、法律をたてにして、何とかやつてもらいたい、こういう強い要望があつて、そこで大蔵当局の方も困つてしまつて、やむを得ないから、国が認めた災害復旧の補助事業のうちで、小額補助に一定の金額を使つてもよろしい。具体的に数字をはつきり覚えておりませんが、たとえば建設省の方では十五、六億ですか、何かそういう数字ですが、それの範囲ならば、大規模の災害復旧事業の補助金のうちからはじき出して、それだけは小額の補助工事に使つてよろしい。そうすると、それは小規模の災害補助ではないわけです。大規模の災害補助のうちから一定の金額をはじき出してやるから、それだけ大規模の災害復旧事業は遅れることになるわけです。また農林関係におきましても、全体で二十四、五億の小規模の補助要求がある。それに対して四億か五億だけは大規模の方の補助事業のうちから一時使つておいてよろしい、こういうことでありまして、あなたの今おつしやるように、小額の補助事業に対しての国の補助を予算的に認めて行くという話ですが、ちよつとそこが違うのですが。どちらがほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/10
-
011・原純夫
○原政府委員 大体おつしやる通りでありますが、認めてないというのではなくて、こういうことなのであります。まず建設関係は、小規模の災害は昨年の特例法でも別段取上げることにいたしておりませんから、農林関係だけでございます。農林関係は、十万円という通常の限度を三万まで下げるということにいたしておりますが、これは予算編成の締切りまでに、実は農林省も現地が非常にたくさんあるものですから、その小規模の災害まで査定がついて来ないという状態になつたのであります。そこでやむを得ないから、それは基礎数字としては入らない。それ以外の十万円以上の数字を基礎にして予算は組もう。十万円以下のは額が非常に少いですから、そしてまた予算も御存じの通り三・五・二と要望されますが、何年かかかつて復旧するということなんで、この総体の中で、こまかいのが出て来たらばやりくりしてやつてほしいというような趣旨でやつたのであります。それが時間がだんだん進みまして、査定がついて参りましたので、そういうふうにして総体のわくの中でやつていただく。そういたしますと、総体のわくが若干ふえるわけでありますから、復旧の割合がそれをのけたもので、たとえば四割なら四割、残事業の四割と思つておつたのが若干落ちることになりますが、その分は後の年度においてだんだん補填して参るということで各省にもお願いしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/11
-
012・井上良二
○井上委員 そうしますと、特例法はどういうことになりますか。あなたの方は、特例法はそういうことをきめてあつても金がないからやれぬ、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/12
-
013・原純夫
○原政府委員 特例法はそのまま尊重して参るということでございます。決して失礼してしまうようなことはございませんから、安心していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/13
-
014・井上良二
○井上委員 なかなかうまく逃げておりますが、さいぜん説明をされましたように、国会で災害復旧の特例法が制定されておる以上は、当然その法律に基く裏づけ予算を考えなければならぬ。ところが全体のわくがきまつておるので、その法律を全然無視するということになると問題を起すから、そこで十万円以上の大きな工事のうちから、つまみだけちよつとこちらへやつておけ、そうすれば一時政治的にはうまく追究をのがれることができる、こういうふうに私は直感をするわけです。率直に申し上げておきますが、あなたの方で、国としてそういう小規模のものまで一々行き届いためんどうは見られぬというのならば、法律を修正するなり、あるいはまたそういうものについては地方の財政をもう少し考えてあげて、地方に委任をさしてやらすというような措置をおとりになるようにお考えを願わなければならぬと思う。といいますのは、ほんとうは日本の農地なり、農業施設というようなものは、御存じの通り三反百姓、五反百姓というように、農地が細分化されまして、その農地が災害を受けました場合、まつたく生活の根拠を失うことになるのです。だからほんとうは、三万円から十万円くらいまでの小規模の災害の方が、特に災害の一番起りやすい山間の農村方面においては非常に大きな打撃です。実際は平坦よりも山間地帯の方の災害が多いのです。その場合に、わずかねこのひたいくらいの狭い土地が災害を受けるのでありますが、それを復旧するのに農家の経済自身ではできないのです。また当該町村の財政においてもやり得ないのです。ほんとうはその小規模の災害の方が農家にとつては深刻でございますから、これの復旧に対して財政的な措置を何とか考えてやるということでなかつたら意味をなさぬのです。そういう点に対してどうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/14
-
015・原純夫
○原政府委員 小災害につきまして、府県を間に立ててそれに委任のような形でやらすというアイデアにつきましては、先ほど申し上げたような形で、われわれはそれに類する将来の行き方を有力な案だと思つて考えておるのであります。なお小災害の復旧補助が非常に重要であるというお話、これはその通りでありますが、ただその程度等につきましては、やはり常に農家の負担力というようなものとにらみ合せて、十分慎重に考えなければならないというふうに存じておりまして、歴史的には、かつては融資の利子補給で農地の復旧をやつておつたような時代もございます。だんだん戦後の窮迫の時代、また食糧不足の関係もありまして補助というような形になつて来ておるのでありますが、その辺は社会一般、ないしは農村における負担力及び被害の程度というようなものをにらみ合せて、慎重に研究いたさなければならない問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/15
-
016・井上良二
○井上委員 私実は補助金政策の根本問題について政府当局の意見をただしたいのですが、まだかんじんの政務次官も大臣も見えません。従つてこれ以上質問をしても意義がありませんから、私は今日はこの程度にしておきたいと思いますが、次会のこの法案を審議する場合には、ぜひ大臣または政務次官の責任ある人の出席を要求いたしたいと思います。特にこの際事務当局にお願いをしておきますが、これら補助金、負担金、利子補給等、国がわれわれの税金を出してやつております事業に対して、一体効果が上つておるかどうかということはどこが調べておるか、それが一つ。それから補助金を交付するについての時期が非常にばらばらで、その決定に非常にひまがいる。たとえば予算は四月から執行に入りますが、寒冷地帯のごときは、雪が降り出したら仕事ができない。そういう事態から早く補助金を決定して、事業にかかるところはかからなければならないのに、補助金交付の決定が非常に遅れるために、当該地方団体としては非常に困つておるわけです。そういう決定の遅れるのはどこに原因しておるかということを、ひとつよくお調べを願つて、この次の機会に御答弁ができるようにお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/16
-
017・小川豊明
○小川(豊)委員 井上委員の言う通り、私も次会にはぜひ大臣の出席をいただきたい。同時に会計検査院からの出席を希望して、本日はやめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/17
-
018・黒金泰美
○黒金委員長代理 次に、国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。補助金等にかかる予算の執行の適正化につきまして、当委員会において国政調査をいたしたいと存じますが、議長に対してこの承認方を要求いたすにつきまして、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/18
-
019・黒金泰美
○黒金委員長代理 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。
なお承認要求等の手続につきましては、委員長に御一任を願います。
なお小委員会設置の件につきましてお諮りをいたします。ただいま決定いたしました国政に関する調査が議長において承認され、当委員会において調査をいたすことになりました際には、補助金等に係る予算執行の適正化に関する調査小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/19
-
020・黒金泰美
○黒金委員長代理 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。なお小委員及び小委員長は後刻委員長より御指名いたしたいと思いますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/20
-
021・黒金泰美
○黒金委員長代理 御異議なしと認めます。よつて後刻委員長より御指名いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904629X05619540518/21
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。