1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月二十二日(月曜日)
午前十一時二十二分開議
出席委員
委員長 中井 一夫君
理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君
理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君
理事 藤田 義光君 理事 西村 力弥君
理事 門司 亮君
生田 宏一君 尾関 義一君
濱地 文平君 前尾繁三郎君
山本 友一君 鈴木 幹雄君
床次 徳二君 橋本 清吉君
石村 英雄君 北山 愛郎君
伊瀬幸太郎君 大石ヨシエ君
大矢 省三君 中井徳次郎君
松永 東君
出席政府委員
自治庁次長 鈴木 俊一君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
建設委員長 久野 忠治君
議 員 足鹿 覺君
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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三月二十日
市町村自治体警察維持に関する請願(赤松勇君
紹介)(第三六二五号)
同外一件(中澤茂一君紹介)(第三六五四号)
乗合自動車事業税の外形標準課税廃止に関する
請願(大平正芳君紹介)(第三六五五号)
同(中村庸一郎君紹介)(第三六五六号)
同(伊瀬幸太郎君紹介)(第三七一九号)
同(竹谷源太郎君紹介)(第三七二〇号)
同(堤康次郎君紹介)(第三七二一号)
乗合自動車税軽減に関する請願(大平正芳君紹
介)(第三六五七号)
同(中村庸一郎君紹介)(第三六五八号)
同(伊瀬幸太郎君紹介)(第三七一五号)
同(竹谷源太郎君紹介)(第三七一六号)
同(森清君紹介)(第三七一七号)
同(堤康次郎君紹介)(第三七一八号)
同(關谷勝利君紹介)(第三七五〇号)
営業用トラックに対する自動車税軽減に関する
請願(小泉純也君紹介)(第三六五九号)
同(木村俊夫君紹介)(第三七一四号)
遊興飲食税の市町村還元に関する請願(櫻内義
雄君紹介)(第三六六〇号)
すし業者に対する遊興飲食税の免税点設定に関
する請願(小泉純也君紹介)(第三六六一号)
クリーニング業に対する地方税軽減に関する請
願(小林絹治君紹介)(第三七一三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
五六号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/0
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001・中井一夫
○中井委員長 これより会議を開きます。
前会に引続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。固定資産税に対する質疑が前会残つておりますので、これに対する質疑をお進め願います。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/1
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002・北山愛郎
○北山委員 この前固定資産税の土地、家屋等の算定推計単価についての説明があつたわけでありますが、資料をいただきましたので、ひとつこの内容についてもう少し詳しく奥野さんから御説明を願いたいわけです。ことに田について一般の利まわりから還元して行くというような方式について、その中に固定資産税負担一・六というものを含めて資本還元をするというような、こういうふうなものの理論的な根拠、それから固定資産税一般として、土地あるいは建物については、値上りに比例して固定資産税をふやしていいものであるかどうか、私は相当疑問があると思うのですが、これらの点について考え方をなお詳しく御説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/2
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003・奧野誠亮
○奧野政府委員 御承知のように固定資産税の課税標準は適正な時価ということになつております。この適正なる時価というのは売買価格であるか、あるいは再取得価格であるか、いろいろ考え方があろうかと思うのであります。御承知のように、田につきましては自由な売買ということがあり得ませんで、かりに郊外の土地であつても、将来宅地になるかもしれない、そういう将来価格が主になつて売買が行われているような例も多いわけであります。しかしこれを課税標準にいたしますことは、今申し上げましたような事情から穏当ではないと考えております。やはり現在は収益還元価格というものを課税標準の基礎として考えた方かよかろう、こういうような考え方を持つておりますので、田一反当りの収益はどのくらい上るであろうかということを資本還元いたしまして、課税標準となるべき適正な時価を算出するという方式を用いて参つております。そうします場合に、一般の社債等の利まわりを八%に想定しているわけであります。国債の利まわりでありますと六・五%なのでありまして、若干低いわけでありますけれども、それよりは向い。しかもまた固定資産税を負担するわけでありますので、固定資産税の相当分もこれに加算して、それで除することによりまして、資本価格を求める。こういうやり方をとつて参つております結果、御承知のように全国平均いたしますと二万八千円というような数字が得られて参つたわけであります。実際問題として単に売買価格をとりますと、たいてい十万円近くになるりではないだろうかというふうに思つているわけであります。もちろん所によつて非常に違つて参るだろうと思います。
次に宅地だけについても、売買価格かふえて来るから固定資産税の課税標準を引上げるという考え方がいかがなものであるかというような御指摘がごさいました。もちろんこういう考え方も立とうと思うのであります。そういう意味におきましては、いわゆる台帳課税、課税標準たる価格を何年間かすえ置くべきではないか、こういう考え方もあるわけであります。ただ固定資産税につきましては、昭和二十四年までは賃貸価格を基礎に使つて参りましたが二十五年から課税の対象も広げ、課税標準もかわるということにいたして参りましたし、しかもまた、その後宅地価格というものは漸次平準化しつつあるが、現在、価格そのものが安定した価格ではないように思われますので、なお現行制度を踏襲いたしまして、大体売買価格を中心に課税標準を定めて行くという方式をとつて参つて来ておるわけであります。しかし半面かなり宅地価格が上つて参つて来ておりますので、実質的な負担の増加もなるべく押えた方がよかろうというような気持から若干税率を引下げたわけであります。しかし将来におきましては、安定いたしました機会をとらえて、台帳課税の方向に切りかえて行くというふうな方向が望ましいのじやないだろうかというふうに、私案としては考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/3
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004・加藤精三
○加藤(精)委員 ただいまの御説明を承りますと、家屋につきましては、時価であるけれども、田畑につきましては利潤を還元して資本価格を評価するということなんですか。その点をひとつ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/4
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005・奧野誠亮
○奧野政府委員 大体同じような考え方をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/5
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006・加藤精三
○加藤(精)委員 そういたしますと、水田の場合でありますが、早場米奨励金、完遂奨励金、超過供出奨励金が非課税になつております関係で、利潤が非常によいものだと思うのでありますが、そうすると、それがめぐりめぐつて固定資産税の方で増徴される結果になるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/6
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007・奧野誠亮
○奧野政府委員 収益還元により価格を定めますにあたりまして、反当収量を二十八年度におきましては一・九〇四石、政府買上げ価格は八千二百円というような数字を用いておりますので、必ずしも御指摘のようなかつこうにはなつていないのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/7
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008・加藤精三
○加藤(精)委員 農業については事業税をかけないということに対して、自治庁の方では、政治的な圧迫やその他は別として、理論的にはどうお考えになつておられますか、その点念のためにお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/8
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009・奧野誠亮
○奧野政府委員 これはいろいろの考え方ができると思うのでありまして、課税すべきだという理論も立とうし、課税すべきではないという理論も立つのじやないかと思つております。現在課税しない方がよろしいという根拠に立つてこの案を立てておるわけでありますが、その一つの大きな理由は、農業はもつぱら土地を利用して行われる事業であつて、この土地に対しまして全面的に固定資産税がかかつておるのだから、まず固定資産税で事業税相当分も負担しておるというような考え方が立たぬわけでもないのじやないだろうかと思つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/9
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010・加藤精三
○加藤(精)委員 今度の答弁は前の答弁と対照してみますと矛盾しておるようでありますが、その点はどういうふうにお考えになられますか。すなわち固定資産税の中でも田は利潤を還元して資本価格を評価するということになれば、固定資産税という名のもとに事業税もとつておることになるのじやないですか。その点矛盾しておるように思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/10
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011・奧野誠亮
○奧野政府委員 固定資産税の名のもとに事業税もとつておるというほどのことを申し上げておるわけではございませんで、事業税の場合に、何といいますか、資産性の大きいものを中心に事業税を考えて行くというふうな考え方も成り立ち得るわけであります。そういう点から考えて参りますと、事業税のうち、農業関係のものになつて参りますと、主として自家労力が中心になつて来る。しかもその資本とも目されるべきものは土地じやないだろうか、土地については全面的に固定資産税が課されているじやないか、そういうことをあわせ考えて参りますと、事業税全体との均衡から、必ず農業にも事業税を課さなければならないとまで言い切れないじやないだろうか、かよりな考え方を持つておるというふうに申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/11
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012・加藤精三
○加藤(精)委員 了解。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/12
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013・北山愛郎
○北山委員 今の田の場合ですが、ここに書いてある反当収入の一万八千百十八円と、費用の方の一万五千四百三十三円、これはどこの資料からおとりになつたわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/13
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014・奧野誠亮
○奧野政府委員 反当収入あるいは反当費用は、農林省から資料をもらつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/14
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015・北山愛郎
○北山委員 農林省のどの資料であるか、具体的にお示しが願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/15
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016・奧野誠亮
○奧野政府委員 農林省の経済課の資料だそうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/16
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017・北山愛郎
○北山委員 その資料は、農林省の方の公式な資料として出されているものをおとりになつたのか、単に係の人が行つて、向うの意見等を聞いて、こちらの方でそういう資料をおつくりになつたのか、その点をお聞きしたい。それでこの田の収益あるいは費用というようなものを計算する際に、正式に農林省と御相談になつておつくりになつたものであるかどうかということが問題だと思うので、その点をお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/17
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018・奧野誠亮
○奧野政府委員 公式に農林省と相談をいたしまして、農林省から文書で数字をいただいております。しかしその数字は、農林省としては公表されていないものだそうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/18
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019・北山愛郎
○北山委員 その公式にいただいておる数字に基いてこれができておるわけですね。——それから収益還元という問題であります。先ほど加藤委員からもお話がありましたが、御承知のように、現在の食糧の管理方式のもとにおきましては、超過供出の奨励金なり、あるいは早場米の奨励金というような制度から原因いたしまして、政府が大さな農家から買う値段と、五反歩未満というような小農から買入れる値段には、相当の開きが実際上ある。これは何らかの資料で見たのでありますが、北陸のある県の資料によりますと、五反未満の農家の納める米の代金というものは、石当り八千円何がしである。ところが二町歩以上というような中以上の農家になつて参りますと、平均の値段が石当り一万一千円以上になつておる。要するに政府買上げの米の値段を、大きな農家からは高く買い、小さな農家からは安く買うというような、そこに現実の矛盾が出て来ておる。ことにそれが、数量的に言えば、小さい農家は供出数量が非常に少いのでありますから、従つて現金収入は何十倍にも開いておるわけであります。それがいろいろな資料でもつて発表されておるわけでありますが、固定資産税を考える場合、収益を基礎にしてやりますと、そういうような矛盾が出て来るんじやないか。反別の上では二町歩と五反歩でわずかに四分の一である。ところが現金収入の開きは何十倍も違うというような現状を基礎にして、そうして平均の固定資産税の基礎の評価をする場合に、両者を混淆してやると——同じ基礎のもとにやるということになりますならば、それは税の上で非常な不公平になるんじやないか。単に反別の比例によつてやるということになれば、少くとも収益というものを基礎にして考える場合には、現実の農家の収入、生活状況というようなものに比べて、この税が小さい農家には非常に強くかかつて来ておるんじやないか、こういう点について、自治庁はどういうふうにお考えになつたか承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/19
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020・奧野誠亮
○奧野政府委員 収益還元で二万八千円という反当評価額を算出いたしましたのは、日本全国の平均価額でございます。この場合にも米価を行当り八千二百円で計算しているのでありまして、超過供出によりまする報奨金等は算入いたしておらぬわけであります。これは今申し上げましたように全国平均の反当価額でございまして、全国平均すれば大体このような額になるように、各市町村が個々の田を評価していると考えているわけであります。その場合に、個々の田につきまして、原則として、金額ではございませんで、反当収量を基礎にして考えているはずでございます。いずれにしましても田の価格でございますので、この田の持つている性格と申しましようか、これが課税の標準算定の基礎になると思うのであります。その田がたれに帰属するとか、その田の利用の仕方により収益が増減するということは、評価の場合には考えていないのであります。田自体の持つております反当収量といいますか、そういうものを基礎にして評価をするようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/20
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021・北山愛郎
○北山委員 そういうことを考えていないから困るじやないかというわけなんです。それからただいまの米の値段八千二百円とか、あるいは反当の収量とか、そういうようなものは全国平均である、二万八千というのも全国平均の数字であつて、これはところによつて違うのだということはよくわかりますが、しかしそれは先ほど申し上げたような農家の階層別開きを全然無視していることだけは明らかだと思います。そうして農家の階層別の収支の状況が非常に悪いという現実に対して、この固定資産税をどんどん上げて行くということがよいか悪いか、それについて何らかの考慮を払つたかどうか、そういう点をお尋ねしているのであります。全国平均がどうであるかというようなことは、これはところによつて違うのでありますから、その点ではなくして、階層別にそういうような非常な開きがあるということを十分考慮して考えて行けば、もつと別な考え方をしなければならぬじやないか、一つの方法としては、農地に対する固定資産税というものはあまり多くとつてはいけない、一律の基準による場合にはあまり上げてはいけないじやないか。そうすれば、上げれば上げるほど小さな農家の負担が重くなることになるから、それを考慮しなければならぬではないかと思うので、その点の御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/21
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022・奧野誠亮
○奧野政府委員 田の固定資産税につきましては、平均価額が二万八千円でありますと、現行制度で行きますと一・六%でありますから、一反歩当り四百四十八円であります。今回若干これは引下げておるわけであります。総体といたしまして、さほど無理な負担じやないのじやないか。ことに事業税が課されていないという点を考えて参りますと、事業税を課すべきだという意見のあることに比べまして、まずがまんしていただけるのじやないかというふうに思つております。ただ、北山さんのおつしやいましたように、農家の階層別の評価というものを考慮すべきであるという点も、考えるならば考えた方がいいのかもしれません。ただ税務行政の運営から考えて参りますと、物税的なものにつきましていろいろそういう点を配慮して行きますことについては、限度があろうかと思うのであります。ただしかしながらそういう点もございまして、一筆当りの田を評価いたして参りますのに対しまして、一反歩以上の田の価値をかりに一〇といたしますと、一反歩未満七畝以上の場合にはこれを九と評価する。それから七畝未満四畝以上の場合にはこれを七と評価する。四畝未満の場合はこれを五と評価する。こういうような方式を市町村に示しておるわけでありまして、小さい区域の田であります場合には、それの効率的な利用というものが若干減殺されて参りますので、そういう点を評価の際に考慮いたしたい、かような考え方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/22
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023・北山愛郎
○北山委員 今度の制度改正案によりますと、反当四百二十円くらいになりますか、それでこれはあまり高くもないのじやないかという御説明なんですが、なるほど四百二十円の税金だけを納めれば、あとの費用は何もかからぬというようなことならば、それは高くないかもしれぬ。しかし、たとえば水利の費用であるとか、いろいろの費用を負担しているということを考えると、固定資産税は現実に非常に重荷になるのです。ことに今度四百二十円ということになりますと、小作料の引上げ運動が起つて来るのじやないか。また現に起つているのです。固定資産税が上つたのだ、従つて地主はそんな安い公定の小作料ではやつて行けない。六百円ですか、そういうものじややつて行けないから、小作料を上げてくれという要求がおそらく出て来やしないかと思うのです。これらの点につきましては、自治庁はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/23
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024・奧野誠亮
○奧野政府委員 小作料の問題にもいろいろあろうと存じます。ただ田に対しまする固定資産税が特にふえて参つたから、小作料の問題が急激に大きな問題になつて来ているというふうには思つていないわけであります。もちろん昔とは違いまして、自作を建前にしておりますし、反面また逆に言いますと、小作料をとつておりますところについては小作料そのものを押えられているために、かえつて酷だというようなこともあろうかと思いますけれども、小作料というものは、むしろ例外的な問題になつて参つて来ておりますし、この一、二年の間に田に対する固定資産税が急激に増大して来ているというふうには思つていないわけであります。ことに、今回はそういう意味もございまして若干税率も引下げておりますので、別個な点からいろいろ問題になつて来ていることは承知しておりますけれども、固定資産税が直接それらに問題になつて来ているとは聞いていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/24
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025・北山愛郎
○北山委員 その点は私は意見が違うのです。おそらく地主はそれ以外のいろいろな口実を設けて、この公定小作料の値上げ運動をするでありましようが、ことにその中で彼らが有力な口実にするのは、固定資産税も上つたじやないか。四百二十円ということになれば、六百円の公定ではどうしてやつて行けるのだというようなことで、税金というものをたてにとつて小作料を上げようとする。そういう運動が必ず起るし、またその際には税金が上つたということを有力な口実にするということは明らかなんです。従つて、今はそれが影響しないと思うというお話でございますが、それでは自治庁では、この反当四百二十円ぐらいの固定資産税によつて現行の公定小作料を守れるという自信がおありですか。そうでなければそんなことは言えないはずです。ただ思うというだけでは、現実に値上りのいろいろな問題が出て来た場合には、そのときになれば、またしかたがないというようなことになつてしまう。だから、六百円というものを守れるという自信のもとに、この固定資産税の四百二十円というものがつくられたものであるか、それをはつきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/25
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026・奧野誠亮
○奧野政府委員 小作料の問題は、自治庁よりもむしろ農林省に聞いていただいた方がいいのではないかと思つております。ことに小作料の問題は今特に議論が起きている問題でなしに、数年来あの小作料のきめ方がいいか悪いかということが大問題になつているようにわれわれは承知しておるわけであります。従いまして、また二十八年度から二十九年度への固定資産税の移りかわりでこれが問題になり、あるいはこの移りかわりから小作料を自治庁自身が引下げるような努力をせよというような言い方はちよつと無理な御注文ではなかろうかというふうにわれわれとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/26
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027・北山愛郎
○北山委員 無理な注文ではなく、お答えがそうであるから無理な注文をしなければならぬようになるのです。だから、要するに、小作料をきめることは農林省の仕事であつておれの方では関係ないのだ、おれの方はただ適当に固定資産税をきめて行けばいいのだというような、同じ政府部内でそういうことではいけないと思うのであります。やはり固定資産税を上げるということが、小作料を上げるということの原因をつくつて行くのですから、上げる原因をつくつておいて、あとのことは農林省へ聞いてくれというような答弁では私は納得ができない。小作料に対する影響がどのくらいふえて来るかというようなことをあわせ考えた上で、固定資産税の基準をつくるべきである。農民に対する影響がどういうふうに現われて来るかということをよく考えた上でつくらなければならぬ。税の根本をつかさどる人はそのくらいのことは十分考えなければならぬわけです。農林省へ聞いてくれ、そんなばかな答弁はない。もう一ぺんはつきりと、一体こういう農地の評価のきめ方が小作料というものを全然度外視してやつたのであるか、あるいは十分現行のものでやつて行けるという確信のもとにやつたのであるかということをはつきりしてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/27
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028・奧野誠亮
○奧野政府委員 固定資産税の問題だけを考えるならば、御承知のように、反当小作料六百円を一・六%で還元いたしますと三万七千五百円でありますが、われわれが評価の平均として用いているのは二万八千円でありまして、これより下まわつておるのであります。従いまして、固定資産税を小作料だけで払つて行けばいいのだという考えで行けば、現行小作料をすえ置いてもよいのではないか、かような考え方ができるのではないかと思います。しかしながら、小作料の問題は、単に固定資産税の問題だけでなく、いろいろの問題で数年来大きな問題となつているのだろうと思つておるのであります。従いまして、固定資産税のために小作料の引上げの問題に影響を及ぼして行くというふうには考えていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/28
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029・北山愛郎
○北山委員 固定資産税の農民に対する影響というものは、単に農地のみならず、農業用の住宅というようなものでもやはり同じだと思うのです。現在の農民は、それは恵まれた人もあるかもしれぬけれども、一体に、この長い間の収奪の結果、合理的な農業用の家屋というものをつくり得ないで、古いままで、あの古ぼけた家、あるいは草ぶき屋根というような悪い施設の中で、やむを得ず生活をしているわけです。従つて、なるほど雨つゆをしのいでいるのであるから、税金ぐらいはとられてもよいだろうと言われればそれまででありますが、喜んで住んでいるのではなくて、早くあれを改造したい、税金をおさめるどころではなく、むしろ農民は、国家に対して、あの古ぼけた家を新しい合理的な住宅にしてもらうことを要求する権利があるといつてもいいくらいなんです。ところがそういう事実は見ないで、年々少しずつ上るような固定資産税を、そういう住宅にもかけているということは私は非常に不合理だと思うのです。この点についてもおそらく十分な御答弁はいただけないと思いますが、ひとつ委員長にお願いしておきます。これらの問題の農民に対する影響、農業に対する影響は非常に大きいのでありますから、この点について、新しい地方税の改正と、農民あるいは農村に対する影響という点で、農林委員会との合同審査なり、何らかそういうふうな措置をとつていただくようにお願いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/29
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030・中井一夫
○中井委員長 北山君にお答えをいたします。ただいまの御意見につきましては、理事会に諮りまして、これを決定いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/30
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031・加藤精三
○加藤(精)委員 新聞紙等の伝えるところによりますと、資産再評価を第三次強制再評価として実施する、その際に評価増加に対する部分は固定資産税を三年間とらないということでありますが、私たちの考え方によりますと、非常に古い時代からあつた相当大きな工場等は、他の新しくつくられた工場等から比すれば、従来台帳金額が非常に低くきめてあつて、それだけ長い間実力相応の納税をしておらなかつたのでありまして、それを今度町評価の際に、三箇年間は依然として低い評価で納税させるということになりますと、多少不合理のように思うのでございますが、これに対しての自治庁の御見解を念のためにお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/31
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032・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 今回この資産再評価を一定規模以上の企業について強制をするという措置に関連いたしまして、固定資産税の軽減の措置をいたしたいということを政府としては考えており、近くその関係の法案を提出して、御審議を願う予定にいたしておるのでございますが、ただいま御指摘の点は、企業等で再評価を十分いたしていないものは、帳簿価額が実際の資産の価額に対して非常に低くなつておる、従つて固定資産税創設以来さような低い価額で、本来は価額相当のものを負担すべきであるにもかかわらず、低い価額で負担しておるというようなことになつておるではないか、従つてすでに十分軽減の措置が講ぜられておるような結果になつておるのだから、さらにまたやらぬでもいいではないかというような点についてのお尋ねの十うでございます。これは、建前の上では、御承知のごとく、時価ということになつておるわけで、ただ簿価を下ることを得ないというのが基本の原則になつておりますが、実際の問題としては、御指摘のような例も実際あろうかと存じておるのであります。今回は、三十年度から三十二年度までの三年度分について、評価額を、二十八年中に再評価をして、二十九年度の評価額の基礎となつた償却資産については、二十八年度分の評価額を課税標準の基礎とし、また二十九年において再評価をいたしました企業は、二十九年の評価額をすえ置く、こういう考え方をとつておるわけでございます。しかし御指摘のように明らかにかつ著しく他の類似の償却資産に比較して低いと認められる償却資産につきましては、あらかじめ自治庁長官に届出した旧、すなわち第一次、第二次の再評価限度額まで課税標準の基礎となる評価額を引上げることができるということを念のため加えておるのでございまして、すえ置くことの結果、非常に不均衡を生ずるというものについての是正の措置は講じておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/32
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033・北山愛郎
○北山委員 ただいまのことでも先ほど私が申し上げたのが関連するのだろうと思うのです。法人等の持つている企業資産というようなものは、やはりかわらない値段で固定資産税がかかつている。ところが農民のものは年々収益加減ということで値上りしている、値上りというか、評価基準を上げている。だからおかしいのじやないかと思う。それならば、再評価についての固定資産税の特例を設けて、再評価をやつても、固定資産税はストツプするというならば、やはり農民に対しても同じことじやないか。どうも農地なんかについては米の値上りにつれて年々高く見積つて来ている。昨年よりも二割五分高く見積つて来ているというようにしておいて、それ以外の大きな事業の固定資産については再評価の場合でも特例を認めて、前の固定資産税ですえ置くということは、どうもりくつに合わない、不公平だと思う。私の言うことが間違つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/33
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034・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 農地の評価と今の資産再評価の際の軽減措置と比較すると、どうも農地の方に対する配慮が足らぬではないかという御趣旨だと思います。これは日本の経済あるいは企業の近代化と申しますか、日本国民全体を今日あります状態からさらに引上げて行くためには、どうしても各種の設備を近代化し、企業経営の基礎を実態に即したものにすることが必要であるわけでありまして、この点は何と申しましても日本経済の一番大きな問題の一つであると思います。そういうわけで、今度資産再評価をいたすに関連して、これは特別の措置としてかような企業についての措置をいたそうということであります。
もちろん農民の土地、家屋あるいは農地、ことに農地等の関連から考えまして、償却資産についてだけ、かような措置をすることはあるいは不均衡ではないかというお考えもあろうかと思いますけれども、結局、これをすえ置くということにいたしましても、とにかく償却資産は年々減価償却をされて行くわけでありますから、時価と申しますか、いわゆる固定資産の評価額とこのすえ置きの価額というものは逐次接近して参るわけであります。さような点からそうはなはだしい不均衡の結果を生ずることはないのではないか。かたがた先ほど申し上げましたように、明らかにかつ著しく不均衡と思われるようなものについての調整は考慮したいと考えておりますので、今日日本の置かれておりまする段階から考えまして、償却資産についてかような臨時の措置を講ずるということは十分理由のあることであると私は考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/34
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035・北山愛郎
○北山委員 もう一点。鈴木さんは非常に正直なお答えでありますが、要するに、その結論は、鉱工業等の産業については近代化が必要である。これは何も今日に始まつたことではなく、明治以来日本の資本主義の政治というものはそういうふうにやつて来て、そういう鉱工業産業等の近代化についてはあらゆる援助を惜しまなかつた。しかし農業の近代化については一向考えなかつた。その結果が現在の状態なんです。私は今日の国民経済から見ると、この農業の近代化ということに今まで冷淡であつたということが、非常にマイナスになつておるのではないかと思う。ですから私は、過去のことはしばらくおいて、今日そういう鉱工業産業等の近代化が必要であるならば、やはり農業の近代化もやらなければならぬのではないか、公平に同様に考えて行かなければ、日本の経済は立つて行かない。そういう意味でそういうふうなものの償却資産の近代化についての税制上の措置とあわせて、農業の近代化についても、ひとつ考えてもらいたいということを要望して、これ以上は議論になつてしまいますから、一応これで私の質問は終つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/35
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036・石村英雄
○石村委員 今までの現行法なんかをよく知りませんので、はなはだ迂遠なことを聞くかと思いますが、今度の改正によつて、ダムの一部分のある市町村が固定資産税がもらえなくなるというようなことを言つておるのですが、現在どうなつておるのか。それからやはり今度の改正で、直接ダムの一部分がある市町村には、固定資産税が入らなくなるのか、その点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/36
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037・奧野誠亮
○奧野政府委員 ダムの所在しております市町村に対しましては、従来も課税権がございましたし、将来も課税権がございます。ただおつしやつておりますことは、発電施設がありました場合に、所在の市町村の財政規模から見て、その固定資産税の全額を所在地市町村の収入にした場合には多過ぎると思われる、そういう場合には多過ぎると思われるものを周辺の市町村に配分しておりました。これが昭和三十年度からは改正案によるとなくなるわけであります。しかしダムがございませんでも、貯水池が所在しておる場合には、固定資産税の課税権は将来においてもあるものとして扱つて行きたい、かような考え方を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/37
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038・石村英雄
○石村委員 貯水池が二箇村にまたがつてあるというところには、やはり今後もその部分に応じて固定資産税がとれるようになるのですか、それがとれないようなことを盛んに言つて来るのですが、それは誤解なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/38
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039・奧野誠亮
○奧野政府委員 二十八年度まではダムの所在地に、ダムに対する固定資産税の全額の課税権を認めるという扱いをして来たようであります。しかしながらそのことがあまり合理的でもございませんので、二十九年度から貯水池の所在地市町村に、これらの発電施設に対する固定資産税の課税権が、当然あるものとして扱つて行きたい。そこでダムの評価額のうちに三分の二は貯水池の面積に按分する、三分の一はダムの所在地別の評価額に按分する、こういう形において課税権を認めたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/39
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040・石村英雄
○石村委員 ただいまの御答弁で大体わかるのです。最近地方のダムのあるところからいろいろそういう陳情があるのですが、これを誤解と解釈していいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/40
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041・中井一夫
○中井委員長 税務部長に申し上げますが、このことは実は方々の町村から陳情のある問題です。これは委員会としてもどうしても考えねばならぬ問題だということが一致した意見なんですから、その点については、できるだけ詳しく正確に御意見の発表を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/41
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042・奧野誠亮
○奧野政府委員 問題は二つあるのじやないかと思います。ダムをつくりますと、川の水がせきとめられまして、貯水して参ります。これらの貯水池につきましては、従来は課税権はない、ただ固定資産税の価格の配分を受ける際には必ずそういう市町村に配分するという方式をとつて参りました。しかしながらいろいろ検討して参りますと、この措置は穏当ではないのではないか、貯水池があればダムも一体にして効用を発揮しているのであつて、全体についての課税権はダムの所在地だけではなしに、貯水しているところ全体にそれらのものが所在していると考えるべきではないか、そういう意味において水がたまつている区域につきましては、ダムを合せましたそれら一体の発電施設についての課税権があるという考え方を二十九年度からとりたいと考えまして、そのような総理府令を制定いたしているわけであります。これは従来は価格の配分を受けておつたのでありますが、二十九年度からは当然に課税権があるという扱いにしたいのであります。これはいろいろな陳情が現になされておりますが、こういう扱いで解決すると思つております。
もう一つの問題は、川の水がせきとめられて、貯水池はないのだが、ずつと上流までさかのぼりまして、大体川沿いのところに固定資産税の金額が非常に大きい場合には価格の配分をやつておりました。こういうところは三十年度からは価格の配分は受けられませんで、その部分の課税権は府県に移ることになつて参ります。今申し上げましたように、川をせきとめてダムをつくります場合に、水のたまる区域が一部でも市町村の区域に属しております以上は、ダムも含めた発電施設に対する課税権が当然に所在している、こういう扱いにして行きたいのであります。水もたまらない、ただ自分のところを流れて行つて、やがてダムのところでせきとめられるんだ、こういう非常に上流地帯でありますが、こういうところは別に課税権を持つておるとまで言い切れないと思うのであります。従つて従来価格の配分を受けましたところは価格の配分は受けられない、そのかわりに基準財政収入額が少ければ、地方財政平衡交付金が増額される、そういうような措置を受けるにとどまるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/42
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043・石村英雄
○石村委員 今のは三百八十九条の一項の二の関係でそういう扱いになつたということになるのですか。それからいま一つは、貯水池と上流の自然にたまるという点との区別、ここまでは貯水池で、ここまでは自然水が多くなるんだ、その区別はどういうふうにせられることになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/43
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044・奧野誠亮
○奧野政府委員 私が貯水しておると申しましたのは、一般的には湛水区域と呼んでおるのであります。大体湛水区域は計画の際においても予定されておるところでありますので、そう争いはないじやないかと思つております。それから三百八十九条に「毎年一月一日現在における価格による評価を行つた後総理府令の定めるところによつて当該固定資産が所在するものとされる市町村及びその価格を決定し、決定した価格を当該市町村に配分し、毎年二月末日までに当該市町村の長に通知しなければならない。」この条文における固定資産の所在地の地元の市町村の中に湛水区域の属する市町村を含めようと考えておるのであります。そのような総理府令に二十九年度分から改めて参るということにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/44
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045・加藤精三
○加藤(精)委員 ただいまの総理府令の草案を示していただきたいのであります。それからそういうふうな原則的のことはどうも法律に書いた方がはつきりするじやないかという考えでございますが、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/45
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046・奧野誠亮
○奧野政府委員 先ほど申し上げましたようなことで、固定資産税の課税権を認めたいというふうに考えておるわけであります。そのようなことを法律に書いたらいいのではないかというお話でありますが、もちろん書くことをとやかく申し上げるわけじやございません。ただこれらの固定資産は堰堤、取入れ口、導水路、沈砂地、水槽、水圧管路、放水路、いろいろたくさんなものがございまして、それらの課税標準の配分をどのような形において認めて行くかということにつきましては、かなり複雑でもあるし、今後なお毎年毎年検討を加えて行つて合理化をはかつて行つたらいいじやないかということが、現に今の問題についてもあつたような状態でございますので、やはり総理府令で定めて行くことの方が、実態に適合するんじやないだろうかというふうな考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/46
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047・門司亮
○門司委員 これは私あとで聞こうと思つていたのですけれども、今の奥野君の答弁ですが、固定資産税のこういう今度新しくできるようなことについていろいろ陳情のあることは事実であつて、また私は陳情の趣旨の方が正しいと思うのです。課税権云々の問題でありますが、課税権については別段現行法でも不正さえなければ私は大して問題はないと思う。これは課税権とは言つても一応の目安をきめるだけであつて、課税権であると言えば課税権に間違いないのだが、ただあとは配分の方法だけであると思う。だから、私はそういう答弁では困ると思うのだ。やはりダムというものについては、水系別にこれは大きな関連があるのですから、府県が、大きな償却資産の問題であるからといつて府県で取上げるというような物の考え方は、私は間違いじやないかと思う。やはりこれらの問題は水系別に物を考えて行つて、課税権はもちろん当該市町村にあることは間違いない。ただその場合に、その課税の額が償却資産を持つ者と町村当局との間に、普通ではないというものがある場合についての処置は、多少考えなければならぬじやないかという問題がないわけではないと思う。しかしそれがあるからといつて、これをただちにその府県に取上げるという行き方は、公益性の考え方から行けば、公益性というよりもむしろ被害の関係から行けば、当然現在の制度の改正、こんな根本的に大規模な償却資産というものを府県で徴税するというような行き方は、私はあまり感心しないと思う。この点についてはもう少しはつきりわかりやすく説明をしてくれませんか。今の説明では何かごまかされたような説明であつて、半分しか説明しないで、自分たちの都合が悪いような点ははつきり説明しないようですが、水系別にするということはいいのか悪いのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/47
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048・加藤精三
○加藤(精)委員 関連して。今の水系別の場合でございますが、従来水系別に配分する規定があるので、それによつてその三百九十一条は、その前の条からずつと全部今度削除になつて、それで市町村のこの財源を得る大きな権利を失うその善後措置を単なる総理府令でやるというのは、どうしても法律違反じやないかと私は思う。(「それは法律違反にならないのだ」と呼ぶ者あり)法律できめた権利をここで廃止するという手はないだろう。まあ、法律的にはどうかわかりませんけれども、精神的にはちよつと穏当じやないように考えるので、とにかく総理府令の草案を何とか示していただけばありがたいと思います。これは固定資産税なんで、実質的あるいは経済的ないろいろな犠牲を払つているそういう村に、固定資産税をかけさせてやるという問題ですけれども、とにかく固定資産税である以上は物税なんですから、ダムというものをどういうふうに考えるか。その固定資産の一部として、とにかくダム及びその貯水池その他発電施設の機械の一部を見るという考え方はどういう意味で貯水池のある所に固定資産税を課するのか、その池の面積そのものを固定資産と見るのか、どうもその辺がわからないので、その法律構成がわかるように説明していただけたらありがたいと思います。非常に重大な問題なので、考え方もいろいろある問題ですから、もう少し御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/48
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049・北山愛郎
○北山委員 関連して。今の問題ですが、先ほどの奥野さんの答弁ですが、その総理府令というのは現行の三百九十一条に基く総理府令であつて、そうしてそれは二十九年度限り有効である、そうして三十年度からは今の三百九十一条そのものが削除されるということになるわけですから、今のお話の総理府令による措置というのは、たといやつたとしても二十九年度限りのものであつて、三十年度からはそういうふうな配分措置ができなくなるというようなことに思えるのですが、その点をもう少し明らかに御説明願いないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/49
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050・奧野誠亮
○奧野政府委員 私がたびたび上げておりますように、総理府令は三十年度から廃止されます三百九十一条に基く総理府令ではございませんで、三百八十九条に基く総理府令でございます。三百八十九条の第一項の第二号にこう書いてあります。「鉄道若しくは軌通又は発電、送電若しくは配電用施設その他二以上の市町村にわたつて所在する固定資産でその全体を一の固定資産として評価しなければ適正な評価ができないと認められるもののうち自治庁長官が指定するもの」、要するに発電施設というふうなものは、何箇町村にもまたがつて所在しております。これはやはり全体として評価しなければ、水路だけをとつて幾らだというふうにきめることはできないと思うのであります。全体を一として評価しなければなりません。全体を一として評価したが、それではその固定資産をどこに所在するものとするか。どこに所在するかということはわかつておると言えばわかつておるのでありますけれども、今も門司さんが指摘されたような水系論まで出て参りますと、実は非常にむずかしくなつて参るわけであります。どこに所在するかということをまずきめたにいたしましても、それではその所在している市町村の分の価格が幾らであるかということをきめることも、また非常にむずかしい問題でございます。従来はまつたく所在しているものについての価格だけを、その市町村の固定資産税の課税標準として総理府令で認めて参つたわけであります。このこと自体に実は私かなり疑問を持つておるのでありまして、その疑問の一つが、湛水区域だから、その土地の価格しか認めないということは穏当ではないが、やはりダムも一体として評価して、その価格も湛水区域のところの課税権たるべき内容にならなければいけないのじやないだろうか、かような考えを持つておるわけであります。そういう意味において、湛水区域にもダムの評価額の一部を固定資産税の課税標準として認めて場行きたい、そのように総理府令を改めたい、かように考えておるわけでございます。
なお門司さんが三百九十一条を、廃止しなくてもいいじやないかというふうにおつしやつておつたわけでありますが、これはやはり大規模な固定資産、工場だけに限りませず、やはり発電施設についても言えるのではないだろうか、それを所在の市町村だけの収入にしておいては、全体が窮乏しておるときに必ずしも適当でない。そこで配分するということになりますと、どうしても行政裁量になつて参るわけであります。自然また陳情も繰返して参るわけであります。このように行政裁量によつて配分額をきめて行くというふうな措置はでき得る限り避けて行きたいということを考えておりますのが、根本の点でございます。
それともう一つは、それでは偏在を是認してもいいじやないかというような問題になつて参りますと、これはやはり是認すべきではないという議論になろうと思いますし、税制調査会においても償却資産に対する固定資産税は県と市町村で折半しろという決議まで出て参つておるわけであります。しかしながら、県に課税権を認めるということは、問題は、発電施設などになつて参りますと、治山治水の事業というものは、主として府県がやつておるわけでありますので、むしろ大規模なものであります場合には、一部を府県に課税権を与えて行くということも一つの行き方ではないだろうか、こういうような考え方も持つわけでありまして、そういう意味で今度のような政府案をつくつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/50
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051・門司亮
○門司委員 考え方がわれわれとちよつと違うのです。水系別の問題をわれわれが考えますのは、こういう問題について湛水区域がどうであるとかこうであるとかいうことは、一つの施設における影響であつて、課税の対象にはただちにはならぬと思う。またそこに課税権があるというようなことについては、この税金の性質から考えて行くと、そういうものでは私はないと思う。要するに湛水区域あるいはこれによつて影響を持つ上ところは、税の配分の関係については多少関係があるかもしれない、しかし配分の関係があるから課税権があるのだといえば、これは課税権があるかもしれない。そういうりくつは私は一応成り立つと思うのだが、しかし課税についてはやはり私が先ほど申し上げましたように、当該市町村で厳正にこれが評価されて、厳正にこれが課税されれば、そう問題は起らぬじやないか、問題は私は配分の問題から来ておると思う。今度の税法改正もやはり配分の問題が非常に大きく考えられている。このことについてはいろいろな問題がある。たとえばダムだけではありませんで、事業自体を全部考えてみると、福岡県の八幡の製鉄所の水はどこからとつているかといえば、遠賀川からとつておる、そうするとその水をとつておる地点から下流の両岸の町村というものは、水の豊富にある場合はいいが、水が少くなつて来ると勢い灌漑用水に事欠くような事態が出て来る。これはダムというほどのダムでもないが、この八幡の製鉄所があそこから水をとつているわけだ、これは一つの実例であります。そうすると勢いこの場合八幡の製鉄所という一つの大きな施設があることのために、そういう被害町村ができ上つて来ておる。従つてそれらの被害町村がやはり配分の恩恵に浴するということを、私ははつきりしておいた方がいいのではないか、これを厳正にとつてしまつて、そうして県で配分するということになれば、今奥野君は治山治水等にも使われるからというようなことですが、厳正にこれを徴収してしまうと、この法律をそのまま読んでみると、その配分方法というものはどこに行くのだかわからない。われわれはやはりこういう一つのそこから来る影響を持つた自治体が、それぞれ配分の権利というものを確保されなければならないのではないかと考えます。従つて課税権と被害との関係は、先ほども申し上げましたように私は全然ないわけではないと思う。配分を受ける資格があるから課税をする資格があるのだといえば、そういうりくつは一応成り立つと思う。成り立つと思うが、そういうことになつて参りますと、それを県が査定して行くということが簡便な方法ではあるかもしれない、がしかし実態には私は即しないと思う。従つてこういう直し方でなくて、この条文を削除しないで、削除された条文だけを改正して行く、たとえば課税についても関係町村の協議にまつとか、あるいは配分等についても、それらの町村の協議にまつとかいうようなことで、ここで調整すれば今のような陳情その他のような問題は起らなかつたのではないかと考えます。今陳情が起つておる問題は、府県に取上げられてしまうと、それが必ずしも被害町村に還元されないだろうという、私は一つの杞憂だと思う。だからそういう点についての私らの考え方としては、こういうふうに何でもこれを府県に持つて行つて配分するという行き方については、市町村の財源というものをそれだけ脅かす結果になると思う。こういう点についての考え方が多少違つておるようですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/51
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052・奧野誠亮
○奧野政府委員 門司さんのお考えは従来政府としてとつて来た方針であり、それがまた現行地方税法になつているのだと思います。またこのように地方税法を改正いたしました場合には、従来所在地ではなくて固定資産の価格の配分を受けておつた団体は、大体において不利になるだろうと思います。不利になるだろうと思いますけれども、反面税収入が減つて来るだけ地方財政平衡交付金が増額されるわけでございますので、考えているほど不利にはならないということがいえると思います。もし発電施設におきまして川の上流地域にまでさかのぼつて行くということになりますならば、工場施設におきましても従業者の通つて来ているところにやはり配分しなければならない、こういう問題も残ろうかと思うのであります。それだけで済めばよろしいのでありますが、現に冨山県などについて例が起つておりますように、川の上流にさかのぼつて金を配分するだけではなお配分し切れないで、まつたく関係がないとまでいわざるを得ないような町村にまで、配分をいたして参つて来ているようでございます。こういうような形になりまする結果が、かなり裁量的な配分の仕方をせざるを得ないということを表明していると思うのでありまして、実務の面から見て行きました場合にも、やはりどうしても陳情を誘発しておる。固定資産が所在していると必ずしも厳格にいえないところにまで、固定資産税の課税金を認めるような行き方は、税の本質から考えた場合に、あまりにも財政調整的な作用をそこに持ち込み過ぎているのじやないだろうか。財政調整は財政調整として別個の制度一本で行つた方が、穏当じやなかろうかというふうな考え方も持つたわけであります。もちろん考え方は両方あると思うのでありますが、政府といたしましては今申し上げましたような意味合いにおきまして、なるたけ行政裁量はなくしたい、すつきりした形において税制というものを運営できるように持つて行きたいということを考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/52
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053・加藤精三
○加藤(精)委員 たいへん悪いですけれども、私の意見は門司委員と若干違うのでありまして、固定資産の大規模償却資産の偏在是正ということは、私は若干やつてもいいのじやないかと思います。しかしながら極端に、発電施設のある山の中の町村が、公民館を持つているのはぜいたくだというような極端な議論には賛成できない。その中間を行く問題として確かに偶然の事情によつてある特定の町村だけが、特定の莫大なる税収入を得るということは、その町村の自立心をも阻害しておる例があると思います。ある程度府県税にするのはいいのでありますけれども、しかしながら現行の三百九十一条のようなことも、実務的にはその施設というものが、その地方に及ぼす影響の重大性から見まして若干保存すべきじやないかという点から、大規模償却資産の府県税を認めるという考え方と、それから三百九十一条のような考え方と併用したらどうかというふうに考えているのです。しかしいずれにしろ総理府令の草案を拝見しなければ考えようがないのでありまして、そういう意味ではおそらくは三百八十九条の第一項の第二号によつてこの発電施設というものを一体として評価して、課税標準を分配するのだろうと思うのですが、具体的には草案を見ないとどうも判断ができないのでありまして、また三百九十一条によつて今まで得た財政収入の権利を相当多数の市町村が失うのでありますから、堂々と法律で書かないでも違法ではないというお話がありましたけれども、それは違法ではないかもしれないが、同等の誠実さをもつてやはり国会で審議する必要があるのじやないかと思う。それで総理府令の草案をお見せいただくことができないかということをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/53
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054・中井一夫
○中井委員長 今の加藤委員の総理府令の内容を見たいというお話でありますが、これはお出しになることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/54
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055・奧野誠亮
○奧野政府委員 提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/55
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056・中井一夫
○中井委員長 門司さんいかがでしよう、今の御議論につきましてはいろいろ考え方があるのですが一応……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/56
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057・門司亮
○門司委員 あとで、固定資産税の分はまたほかでたくさん聞くところがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/57
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058・中井一夫
○中井委員長 総理府令の用意があるそうですからそれを出してもらつて、それをごらんになつた上さらに論議すべきものは論議する、こういうことでいかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/58
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059・門司亮
○門司委員 今の委員長の発言の通りでよろしゆうございますが、最後に資料の請求として、一体これにひつかかる固定資産税を持つておるものはどのくらいあるか。数がわかつておるとすればその場所と税の額、それを表にして出してもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/59
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060・中井一夫
○中井委員長 税務部長いかがですか、今の門司さんの御要求の資料は出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/60
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061・奧野誠亮
○奧野政府委員 ただいまの加藤さん、門司さん、両方の資料を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/61
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062・石村英雄
○石村委員 奥野さんの説明をよく理解する意味でもう一度聞きたいのです。ただいま門司委員がおつしやつたのは、私の最初聞いたのと別問題ではないか。私が最初聞きましたのは、結局貯水池が具体的に存在しておる町村に課税権を従来認めないで、三百九十一条によつて配分しておつた。この考え方が間違いで課税権を認めることになつたのだという意味で、今まで三百九十一条で処理しておつたのが間違いだというふうに解釈していいのだと思うのです。そして門司委員のおつしやることはやはり三百九十一条を置くか置かぬかという問題になるのではないか、こういうふうに理解してさしつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/62
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063・奧野誠亮
○奧野政府委員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/63
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064・北山愛郎
○北山委員 ちよつと前に返るようですが、三百四十九条の三、例の発電所等の固定資産税についての課税標準を特別に軽減するということ、この中には発電所、変電所、送電施設等については最初の五年度分は価格の三分の一の額、その後の五年度分は価格の三分の二の額ということになる、但し昭和二十九年度は六分の二というようなことになつてあるわけであります。その他地方鉄道、軌道、それから企業合理化促進法による機械設備、それから重要物産の製造、外航船舶あるいは飛行機というふうにずつとありますが、一体この価格の何分の一—二分の一とか三分の一とか六分の一とか、こういうものはどういう計算基礎でこうなつて来たか。特に発電所等については、二十九年度に限つて六分の一というように特別な規定が設けてある。これを見ると、その結果として相当の減収になるわけです。この前奥野さんが説明なさつたように相当の金額でございます。こういうふうな特例による軽減というものは固定資産税に相当の減収を来すわけでありますから、特にこういうふうに何年度分として価格の何分の一というふうになつたのは、おそらくそれぞれの企業についての料金なりあるいはコストの引下げであるとか、そういうふうなそれぞれの計算の基礎があつて、こういうふうになつて来ておると思うのでありますが、ここでこれを詳しく御説明なさることはなかなかめんどうくさいでしようが、大体の考え方をお話願つて、そうしてあとは資料がお手元にあればひとつできるだけ詳しくこれを出していただきたい、こういうことをお願いするわけであります。きようここでは大体の考え方——何分の一というようにしたのにはこういうふうな計算基礎がある、あるいは自治庁としてこう考えたとか、あるいは通産省なら通産省がこういうふうに考えて、こういう資料によつて要求されて来ておるからこういう措置をしてあるという、そういうふうな説明をしていただきたい。そうでないと、去年固定資産について例の外航船舶等はこういうふうな特別なはからいをしたわけであります、ところがその結果が、どうも最近いろいろ世間を騒がしておる事件に見られるように、思わざる効果が出て来ておるというようなことでは困るわけであります。従つてこのような特例をつくることには私どもは慎重を期さなければならぬ、そういう意味で一応の御説明を願つて、なおさらに詳細に資料を御提出願いたい。これをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/64
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065・加藤精三
○加藤(精)委員 ただいまの三百四十九条の二の問題ですが、どうも私はこの規定も、市町村の実態から見ますとあまりに過激にすぎるのではないか。大体市町村では、毎年の税収入というものは少くとも三、四年の間は大した変動がないものだと思つて考えておるわけであります。それからその村の構成によつて違うのでありますが、大体その村の公共的な事業は、施設の建設とかその他年度計画というものがありまして、ことしはどこの村に学校をつくり、どこの村に消防ポンプを買い、どこの村に公民館をつくり、どこの部落に診療所をつくるというふうに、ぐるぐる何箇年間ぐらいの計画がどこにもあるのでありまして、それが一ぺんにこういうふうに三分の一になつたり六分の一になつたりしてしまいますと、これは非常に大きな変動になるのであります。しかもそれが、その一部分に今度は県の課税権が介入することになつて来るのでありまして非常な打撃を受けるわけでありますが、市町村自治の振興を計画的に、徐々に運営して行くということを御奨励にならなければならない立場の自治庁が、すなわち行政府としての立場とそれから税務部としての立場に、何か割り切れない不一致があるのではないかという気がいたしますが、次長さんの御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/65
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066・奧野誠亮
○奧野政府委員 御質問の第一点は五年、五年合せて十年間の軽減とし、あるいは三年間の軽減をする、そういう年数をきめた根拠であろうと思うのであります。三年ときめましたのは、重要物産製造業等に対しまする所得税や法人税の免税期間が三年でございますので、これに合せたわけでございます。ただ電気あるいは鉄軌道になつて参りますると、耐用年数が四十年ぐらいにもなつて参つておるわけでございます。そこで最初にそれらの固定資産を取得した当時は、新たに固定資産税を課税し得るようになつたのだから、市町村としても、ある程度本来の収入額より減つてもそれだけ実質的には減額されるのじやなしに、ふえるのがそれだけ少ししかふえないということになるわけだから、がまんができるではないかというような考え方を持つたわけであります。その際どの程度軽減しなければならないか。通産省は〇・二%にしてくれというような意見を当初は申しておりました。またその程度があまり少いと、せつかく政府がたびたび申し上げておりますような考え方が、あまり効果がないということにもなつてしまうわけであります。そうかといつて、それらの軽減措置をやめましたら、とたんにその事業の負担が急激に増加するということも避けなければなりません。そこで五年、五年というふうに期間を切りながら、漸次税率の軽減の度合いは低くして行く。低くして行くけれども反面減価償却が行われて参りますから、固定資産の価格そのものは減価して来るわけでございます。そうして大体切りかわつた年にそれほど大きな負担増にならないように持つて行きたい、こういう考え方から五年、五年で十年たてば、通常の税負担にもどつて行くというふうなきめ方をいたしたわけであります。
第二点は三百四十九条の二を設けたことによつて、市町村に非常な圧迫を来すじやないかというようなことに関連する御意見でありますが、これは今申し上げましたように原則的には新規取得分について、このような軽減措置を設けて行きたい、言いかえれば非常にふえるものがあまりふえない、しかもマイナスの作用をさせるつもりはなかつたわけであります。ところが電気料金のきめ方につきまして、でき得る限りこれを引上げたくないというような大方針が出て参つたりいたしました結果、新規取得分だけじやなしに、過去にさかのぼつて適用するというようなやり方をせざるを得なくなりましたのと、もう一つは、二十九年度に限りましては三分の二を軽減するのでなく、六分の五を軽減する。言いかえれば六分の一で課税をして行く措置をとらざるを得なくなつたわけであります。物価引下げの大方針をとろうとする大きな政策に対しまして、このような面においても協力をせざるを得なくなつたわけでございまして、通産省といたしましては、もつと固定資産税につきましても大幅な軽減を主張しておつたわけでありますが、政府全体としていろいろ誓いました結果、地方財政の立場もございまして、このようなところで政府案をきめるようになつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/66
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067・北山愛郎
○北山委員 この点は、先ほども申し上げたように、個々についての資料をできるだけ出していただいて、小委員会等で十分これを調査したいと思うのです。ただ主として電力の問題に限つて申し上げますと、電力料金の値上げをしないという方針のために、この固定資産税について、特に二十九年度においては六分の一にする措置をとらざるを得なかつたというお話でありますが、しかし私どもの承つているところでは、地方税、固定資産税等につきまして、いかに遠慮をして軽減措置をとつたとしましても、電力料金というものは非常に魔物でございまして、どんどん上つて行くんじやないかというように思われる。私どもの聞いておりますのは、現在の電源開発が進んで行けば行くほど、電気が豊富になればなるほど、豊冨低廉とは反対に、豊富にして高価な電力になるというふうに承知しておるわけです。何でも昭和三十年になりますと水力発電の電力コストというものは相当上るんだ、そうしてその原価の中に含まれる一番大きなものは金利である。建設費の借入金の利子である。それが六割八分も金利が含まれるということを聞いている。そうしますと電力料金の値上げの大きな力というか、大きな推進力の原因になるのは、税金の負担よりも金利の負担である。その金利の方を引下げるという措置をあまり講じないで、税の方を確実にとつて行くというふうに、発電を進めて行きますと、そのしわ寄せが地方税の方へ、あるいは国税の方へ及んで行くというような結果になるのじやないか。だからいかに遠慮をして、コストを上げないために固定資産税を下げるという措置をとつても、電力料金は上つて行くのではないか。これは根源にさかのぼつて今の発電に要する資金のコスト、金利というものに手をつけなければならないのじやないかというふうに考えるわけでありまして、政府ではどういうふうに計数上操作をしておきめになつたか、その間の事情はよくわかりませんが、考え方としては、固定資産税、地方税に対する負担をこのような電力料金の引下げのために使うということには、私は非常に疑問を持つている。そういう面からいたしましても、一般市中銀行から借入れる金利が七分五厘である、そういうふうな高いものを使つて、そうして発電が進められて行く、あるいはまた償却の年限の問題であるとか、電力料金のきめ方に幾多の疑問がある。ほんとうはそういうふうな点を明らかにしなければ、私どもはこの発電施設について、固定資産税を大幅に軽減するというような措置を承認するわけには行かない。そのような疑問がありますので、単に御説明のような趣旨ではどうも納得しかねるのであります。従つて私の考え方が間違つておるかどうか、今後電力料金の引下げを地方税の負担においてしない、むしろ国の方で電源開発の資金コストを下げるというような方向でやるべきものであると思うのですが、これらに対する自治庁としての考え方を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/67
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068・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいまの北山さんの御質疑と、先ほどの加藤さんの御質疑にあわせてお養え申し上げたいと思います。
地方自治という立場から申し、地方税という考え方から申しまして、所在の町村にいかに大きな発電施設が建設されましようとも、それによつて得ますところの税というものは、やはりその所在の町村に還元をするというのが、第一の基本原則でなければならぬわけであります。そういう意味でありますが、ただ地方自治という点あるいは財政調整という点だけを取上げて考えてみましても、その町村の財政需要とあまりに不均衡な大きな税収入がその施設から得られるということでありますならば、これをやはり何らかの、方法によつて価格を配分するとか、財政調整をするということはやむを得ないことではないかと思うのであります。現行法におきましては、関係のある市町村に、あるいは施設が所在すると見られる市町村に、価格を配分するという方式をとつて来たわけでございます。それを今回はさらに一歩を進めまして、さような一定の財政需要をオーバーするようなものについては、その施設の維持その他に比較的関係の多いと考えられますような府県に対して、これを移譲するという考え方をとつたわけであります。しかしあくまでも基本的にはさような発電施設に対する課税権は市町村にある、当該の町村にある、当該の町村にあるのだ、ただ一定の限度を越えるものについて、配分の方式のかわりに今回は府県に移譲する、こういうような考え方をとつたわけでございます。
それから北山さんの仰せになりました電気の料金の引上げと税の関係の問題でございますが、これは私どもも、もちろん電気料金を定めます際に、コストの一部として固定資産税がそれに加算をせられるということはわかるのでございますけれども、電気料金の引上げを、企業の経理計算上出て参りますものを、固定資産税のみによつてカバーをして、料金を引上げないようにするという考え方に対しては、私どもはまつたく反対であります。そういう考え方で、はたして電気料金をいかに定めるのか企業経営上合理的であるということが、税金の前に根本的に考えられなければならないと思うのであります。御指摘のごとく、その場合においては金利の問題が一番大きなウエートを占めて来るということは、実際の計算上もさようになつておりますので先ほど来御指摘の点は私ども同感であります。しかしながら通産省の方面においては、事業税よりも固定資産税は電気料金の中に占める割合が相当高い率であるから、これをひとつある程度考えてくれ、こういうような意味の要望が非常に強かつたわけでございますが、私どもといたしましては、現にある発電施設からとる固定資産税は、価格が配分されておりましようとも、それぞれの関係の配分を受けて、市町村ではそれだけの税収があることは今日期待しておるわけでございますから、それを評価減をするということは、なるべく控えたい、今後新しく施設される発電施設については、ある程度軽減もやむを得ないだろう、こういうような態度を終始とつておつたのでございますが、先ほど税務部長から申し上げましたように、物価引下げというような大きな考え方あるいは緊縮予算というような考え方から、今の二十九年度については、特に今までありますものについても、その価格を六分の一にするというような措置をとらざるを得ない結果に相なつたわけでございます。しかし根本の考え方におきましては、私どもは御指摘のような、まず金利の是正という問題が非常に大きな問題であるということを考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/68
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069・北山愛郎
○北山委員 くどいようですが、ただいまの鈴木さんのお話のようなぐあいに今後電力会社等についても、地方公共団体と電力会社あるいは地方住民と電力会社という関係を、もつとやはり地方自治という立場において自治庁は考えていただきたいのです。これは発電所の問題だけでなくて、送電あるいは配電施設等につきましても、この大きな独占企業の今のやり方というものは、むしろ地方公共団体のやり方よりもつと官僚的なんです。土地の収用とか、あるいは電柱の敷地の占用料というような問題につきましても、市町村役場がやるよりも高飛車な官僚的なやり方で電力会社がやつておる。それから料金の徴収についても、市町村あるいは府県の方は税金を納めなければ徴収督促に、ずいぶん手をかけておりますが、電気会社の方ではぴちつと切つてしまう。電気をとめてしまうので、しかたがないから払わざるを得ないというようなことである。しかも料金についてみましても、せつかくこれだけの犠牲を払つて、あらゆる便宜を電力会社に与えましても、一般の住民の使う電気料金は御承知のように非常に高い。そして大企業の方には安い電気が供給されるというようないろいろな関係を考えてみまして、これらの今回のような問題の場合には、ひとつこういう事情を十分お考えになつて、そして固定資産税のみならず、電力会社が例の電柱の敷地占用等について、あるいは土地収用等について、今までのような官僚的なやり方が起らないように、自治体の方の立場に立つて、これから御考慮を願いたいと思いますので、その点を強く要望しまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/69
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070・西村力弥
○西村(力)委員 一点だけ申し上げますが、この要綱の(2)に「農地法、旧相続税法、相続税法、所得税法の一部を改正する法律」云々とずつとありまして、「によつて国が収納した農地については、その所有権の売渡の相手方に移転」「する日までの間はその使用者に」課税するということがありますが、この使用者に課税すること、すなわち使用者が納税しなければならぬ義務とか、あるいは自治団体がそれに課税する権利というものはどういうわけで生ずるか。何とかして税をとりたいというあせりから、こういうことをやつておるのじやないかと思いますが、これをやられたという根拠をひとつはつきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/70
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071・奧野誠亮
○奧野政府委員 御承知のように、現行法では固定資産課税台帳に登録されたものに固定資産税を課して行くことにいたしております。固定資産課税台帳に登録しますものは、土地台帳に登録されたものを固定資産課税台帳に登録して参るわけであります。ところが国につきましては土地台帳法の適用を受けておりません。そういうような関係もございまして、国が一たび収納いたしますと、土地台帳法の名義を変更いたしまして、実質的には一たび国に所有を移しまして、それから相手方に売り払う。その場合に売払いの義務が完了いたしますまでは、固定資産課税台帳上の名義をかえないわけであります。そういたしますと、すでに御承知のように、収納された人に固定費産税が課税されて参ることになるわけであります。そこで本来国に収納されまして、売渡されますものは大体使用者であります。そこで旧所有者に課税をすることは酷でございますので、現実に所有権移転の事務が完了いたしますまでは、旧所有者に課税いたしませんで、使用者に課税をし、また所有権の関係が確定いたしました場合は、新所有権者に課税をする、こういうような形で、その間の固定資産課税台帳の名義そのものがかわつていませんでも、大体実態に即したような負担関係でやつて行きたい、かような考え方がこの規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/71
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072・西村力弥
○西村(力)委員 今のは便宜的な解釈だけであつて、この所有云々の法律的な解釈は全然なつていないじやないか。これはその間課税されないでほつておくのは惜しいから、いろいろ考えてみた結果、旧所有者にはかけられないとすれば、将来使用者になり得べきものに移すんだ、それは明らかに便宜的な解釈であつて、これは課税さるべきものじやないと私は思うのです。それは法律的にできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/72
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073・奧野誠亮
○奧野政府委員 固定資産税において使用者に課税するか所有者に課税をするか、もちろん税の建前の問題だろうと思います。土地については使用者課税にした方がいいのじやないかというような考え方も、近来非常に強くなつて参りました。現在の固定資産税は所有者課税を貫いておるわけでありますけれども、たまたま国が中に立ちまして農地法等の実施の場合は所有者から土地を収納させる、そうして使用者に所有権を移して行くというような場合におきまして、実質的には収納せられておるのに旧所有者に課税をするということは、これはだれが考えても穏当じやないと思います。そうかといいまして、その土地そのものが何らそれを負担しないということも、それだけのものはどこかに負担がかぶつて行くか、あるいはそれだけ施設が行われないということになつて参りまして、固定資産税の持つております性格には何らかわりないので、やはりある程度の負担をこの固定資産そのものに負つてもらつた方がいいのではないかというふうな考え方を持つておるわけでございます。こういう意味でこういうような取扱いの規定を定めているわけでございます。実はこの考え方は新規に持ち出したわけではございませんで、現行法にすでにあるのでございます。ただ法律がいろいろかわつたりして来ておるわけでございますので、それらの条文の字句を整理して参つて来ているわけであります。現行法で言いますと三百四十三条の第五項、第六項がやはり使用者に課税をするという規定を置いているわけでございます。法律の改正が行われておるものでございますから、それに伴つて整理しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/73
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074・中井一夫
○中井委員長 休憩をいたすに先立つてお諮りいたしたいことがございます。この際お諮りをいたしますが、地方税法改正に関する小委員である大矢省三君より小委員を辞任したいとの申出がございますが、これを許すに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/74
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075・中井一夫
○中井委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。つきましては、その小委員の補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/75
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076・中井一夫
○中井委員長 御異議なしと認め、さように決定し、中井徳次郎君を指名いたします。休憩をいたします。
午後零時九分休憩
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午後二時三十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/76
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077・灘尾弘吉
○灘尾委員長代理 これより再開いたします。
都合により中井委員長が見えませんので、私が委員長の指名によりまして、その職務を代行いたします。
休憩前に引続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。中井徳次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/77
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078・中井徳次郎
○中井(徳)委員 一昨日お尋ねしました問題に関連するわけでありますが、一昨日お尋ねしましたように、今全国の各地方で工場誘致の問題が大きく取上げられておりまして、その条件といたしまして、固定資産税を一年間免除するとか、あるいは三年間免除するとかいうことが、しばしば新聞紙上に出ておるのであります。それに関連して、今度の改正案で、地方鉄道または軌道の営業路線をつくる場合には、最初の五年間は価格の三分の一とか、非常にこまかいことを規定されておるが、この実際の数字は三百万円とか、九百万円ばかりの数字であるが、こういうものはむしろ当該の市町村にまかしたらどうかというようなことをお尋ねしたわけでありますが、その前段の固定資産税を免除するというような場合に、政府はその市町村の基本財政収入額の計算の場合にどうされておるのであるか、それをちよつとお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/78
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079・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方財政平衡交付金の交付額を決定いたします際に基準財政収入額を算定いたします。基準財政収入額を算定いたします場合には、徴収することができる税額を客観的に測定するわけでありまして、かりにお話のように減免をいたしておりましても、その減免相当額は基準財政収入額として算入いたしております。減免しておるから基準財政収入額を低く計算するわけではございませんで、とれるものとして計算いたしております。
〔灘尾委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/79
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080・中井徳次郎
○中井(徳)委員 それでは今のあとの方でありまするが、私は地方鉄道軌道については、こういうふうに今回新しい税制改革をやつて、大いに助成をするというふうな形、このことはけさ他の委員からも御質問があつたように、私も原則的には賛成いたしかねるのでありますが、しかしたとえば外航の船舶とか、あるいは国際路線に就航する航空機とか、そういうものにつきましては、汚職の問題とは別に、一つの国策として客観的に考えられることの方がいいという御答弁がきのうあつたわけでございます。このことにも疑問はあるのですが、百歩を譲りまして、そういうものは国策として考えられるといたしましても、純国内的な問題でありますところの地方鉄道軌道なんかについて、そこまで考える必要があるかどうか。きのうお尋ねの中で、私は全国の私鉄なんかの固定資産税の評価が、非常に甘すぎるということをお尋ねしましたところが、大体評価の六〇%とか七〇%という回答があつたように思うのでありますが、その評価というのは各会社のバランス・シートに載つております固定資産であるのかどうか、その辺もちよつと御答弁いただきたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/80
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081・奧野誠亮
○奧野政府委員 先日申し上げました金額は、現実に固定資産税の課税標準額として決定した価額であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/81
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082・中井徳次郎
○中井(徳)委員 決定した額の何パーーセントというわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/82
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083・奧野誠亮
○奧野政府委員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/83
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084・中井徳次郎
○中井(徳)委員 そういたしますと、大体現在の固定資産税の評価は、たとえば田地にしましても宅地にしましても、あるいは住宅、家屋にしましても、もちろん相当時価よりは安いことは安いのでありますけれども、いわゆる租税の、明治三十何年かにきめられましたあの金額の八百倍とか千三百倍とかいつて、相当な倍数をかけております。そういうものの時価に比較いたしまして、比率ははたしてとれているかどうか、これは私はなはだ疑問だと思うのであります。その点ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/84
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085・奧野誠亮
○奧野政府委員 償却資産の評価額につきましては、新しいものについては問題はないのでありますけれども、古いものでありました場合には、帳簿価格というものが非常に低いわけであります。そこで大体資産評価法の再評価の限度額をきめます場合にとつておりますと同じように、その後の物価倍数を乗じますとともに、経年減価額を控除しておるわけであります。毎年減価償却しているものとすれば残存価格が幾らであるか、こういう計算の仕方をしておるわけでありまして、これを基礎に固定資産税の課税標準たるべき価額を決定しております。ただ償却資産につきましては、陳腐化の度合いをどう見るかという問題がありますので、陳腐化の一つの尺度といたしまして収益率による一つの補正をいたしておるわけであります。収益率の状況が非常に悪い場合には、その収益のぐあいによりまして一側を減額する、あるいは一側五分を減額するというような一定のものさしをきめておりまして、そのものさしを市町村長の手元までお送りしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/85
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086・中井徳次郎
○中井(徳)委員 私この問題について非常にくどくお尋ねするようでありますが、今資産の再評価の問題が非常に問題になつている際でありますし、特に念を押してお尋ねしたいと思うので、お尋ねしておくわけでありますが、たとえば東京都におきまして、三百八十九条の認定は、自治庁長官のやるのは地方鉄道において三十二億、それから都知事がやりますのは八億であります。わずか四十億というふうな数字になります。それに対して一・四をかけるということになると、これだけたくさん私鉄があつて、これの固定資産税が一年わずかに六千万円というふうな数字になると思います。交通事業が公共的なものであるから助成をしなければならぬというのなら、これからあとに出て参りまする自動車税の値上げなんかは、ぼくらには、てんとわからないのであります。もちろん自動車は道路を使用すると思いますけれども、今度の改正案の自動車税なんかは、大体時価にしまして千分の十ないし二十の税金になつている。百五十万円の自動車を使用しておつて、一万五千円という税金になる。道路については一方またガソリン税というふうなものがある。軌道の方は、これを時価に換算いたしますと、千分の一・四ということになつておりますが、時価はほとんどその十倍であるということになりますと、万分の一・四というふうな数字になつて、同じ運輸事業をやつております自動車なんかについては、万分の百とか二百とかいうことで、私はこの間に差があまりあり過ぎるというふうに考えるのであります。そこで固定資産の問題をお尋ねしたわけでありますが、そういう点について政府において、もう少し徹底的に御調査になる必要があるのではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/86
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087・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方鉄軌道の固定資産税の評過が低過ぎるという御意見のようでございます。この点につきましては、私たち今後の運営に対しまして御注意をいただいたものとして、さらに一層精査いたして参りたいと思います。ただ全国の総額を申し上げますと、地方鉄軌道事業では、自治庁長官の評価しておりますのが二百九十三億、都道府県知事が決定しておりますのは百六十億でございます。東京都の場合につきまして、側々の会社別に金額を見ませんと、どういう点に問題があるかよくわからないのでありますけれども、東京都の場合におきましては柳奈川県、千葉県、埼玉県等にも地方鉄軌道がわたつておりますので、価額をそれらの関係府県にも分制しなければならないということも御了承を願つておきたいと思います。今後さらにそれらの実態につきまして注意して、当つて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/87
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088・中井徳次郎
○中井(徳)委員 今の御答弁でありますが、実際最近の地方税法の修正の模様を第三者的立場から拝見しておりますと、どうもまことに力の強い、運動の激しいものには、すぐへたへた参るというふうな傾向があるように考えられるのであります。皆さん、大いにがんばつておられることとは思いますが、ただいまの問題のごときは、おそらく料金の問題と関連を持たして、自治庁といたしましては会社全体を眺めることができない。その間隙を縫つて押しつけられておるというような形だろうと思うのでありますが、どうぞひとつ現実に計算をしてもらいたい。そういうことを言いますと、現在のバス事業なんかも全部料金が統制されております。しかも電車などに比べて、そうべらぼうに高いものではないわけです。全国の自動車業者が、このたびの改正についても非常に反対をいたしておりますその中には、数字的な根拠を私は伺つたことはあまりないのであります。しかしながら軌道の方は、国鉄は税金がないのにおれたちは税金をとられるということを唯一の理由にしてやかましく言いますが、それならばバス事業の方からいたしますとどうであるかということになれば、この間に非常な懸隔があるように見受けられます。そういう意味において、ぜひこの問題は見方をかえて基本的に研究を願わなければならぬ、かように思うのであります。特にこの料金との関係において、これは電気事業と同じであります。固定資産税が上ることによつて料金をかえるというなら、一体幾ら上げればいいか、具体的な計算をしてごらんください。きわめて微々たる数字になると思う。ただ形容詞だけでこういう問題を押切られたのではどうかというのが、私の卒直な気持であります。このことだけをはつきりと申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/88
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089・中井一夫
○中井委員長 ちよつとこの際お諮りをいたします。御承知の通り、地方税の改正案につきましては、建設委員会及び農林委員会から本委員会へ連合審査の申出があつたのでありますが、その日時に余裕がないことになりましたので、本日、本委員会の理事会の申合せに基きまして、私は先ほど久野建設委員長並びに井出農林委員長と協議をいたしました結果、建設委員会からは久野委員長が本委員会に出席をせられて建設委員会の総意を代表して意見を申し述べたいとのことであり、また農林委員会からは農林委員足鹿覺君が農林委員会の総意を代表して本委員会に出席し、委員外の発言をいたしたいとのことでありますので、これを許可するに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/89
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090・中井一夫
○中井委員長 異議なしと認め、さように決定をいたします。
まず久野建設委員長から御意見の御陳述を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/90
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091・久野忠治
○久野建設委員長 当地方行政委員会におかれては、先般私の方の建設委員会からの申出を快く御承諾いただきまして、連合審査の際、当委員会の委員の諸氏から、地方税法の一部を改正する法律案についてお願いを申し上げたのであります。印刷物にしておまわしをいたしましたから、その要綱をごらんをいただきますればおわかりいただけると思うのでございますが、第百十一条の十四には、住宅を新築した場合には不動産取得税を一定の算定標準によつて課するように相なつておるわけでございます。その場合百万円を価格から控除するように相なつております。しかしながら今日住宅難の際に、住宅を購入いたします場合にも当然これが控除をすることがやはり住宅難を緩和する一つの方法ではなかろうかというふうに私たちは考えるわけでございまして、あえて新築の場合のみ価格から控除するということでなくて、住宅を購入した場合においても一定の比率を算定し、一戸について五十万円程度を価格から控除いたしたいというふうに考えておるわけてございまして、この点をぜひひとつ御考慮をお願い申し上げたいと思うのでございます。
それから第百十一条の十四の第三項については、ただいま申し上げました住宅を購入した場合に五十万円という控除を設けますと、五十万円ずつ幾つかに区切りまして購入して脱税をはかる場合が起きて参ります。そういう関係から、「一年以内にその住宅と一構となるべき住宅を購入した場合」こういうふうに但書を設けるために、この第二項の修正が誰かれておるわけでございます。
それから第二の土地の問題でございますが不動産取得税について、「土地を取得した者が当該土地を取得した日から一年以内に当該土地の上に住宅を新築した場合においては、」こういうふうに原案では書かれておるわけでございますが、土地つき住宅を購入した場合におけるその土地の取得に関することが規定されておりませんので、土地つき住宅を購入した場合のことをきめる、こういう意味の修正でございます。
それから第三の、固定資産税の課税標準の特例でございますが、これは「第三百四十九条の三の次に一条を設け、新たに建設された面積の合計が二十坪以下の住宅(共同住宅等にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分の床面積がいずれも二十坪以下のもの)に対して課する固定資産税の課税標準は、当分の間、第三百四十九条の規定にかかわらず、当該固定資産に対して新たに固定資産税が課されることとなつた年度から五年度分の固定資産税については、当該固定資産の価格(賦課期日現在における固定資産課税台帳に登録された価格をいう)の二分の一の額とするようにすること。」こういうふうに修正をお願い申し上げておるような次第てございます。これは条例によつて地方で設けるように相なつておるわけでございますが、実際にはこの条例を制定いたしておりますところがわずかに一八%にすぎないのでございまして、やはり法律の上でこれを明記していただくことが妥当ではなかろうか、さように考えておるわけでございます。
以上の諸点はあらためて申し上げるまでもなく、今日終戦以来の住宅難、特に小住宅につきましては一般に非常に困窮をいたしておりますので、この小住宅の、取得者に対しましては、ある程度便宜の方法を設けてやることが、やはり行政の要諦ではなかろうかというような考え方から、建設委員会におきまして数度にわたつて協議をいたしました結果、先般の連合審査会におきましても、委員の各位から以上の諸点をお願い申し上げた次第でございます。当委員会においてこの地方税法がいよいよ最近終結をせられるというお話を伺いましたので、私どもといたしましては、改正の諸要点を御説明しお願い申し上げた次第でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/91
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092・中井一夫
○中井委員長 ただいま建設委員長から御陳述がありましたが、これについて委員の諸君から何か御質疑でもあれば、この際お進めいただきとう存じますが、別に御発言はございませんか。——別に質疑もないそうでありますから、よく承りました。
次に農林委員の足鹿覺君から御発言があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/92
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093・足鹿覺
○足鹿覺君 農林委員会の意向を代表いたしまして、最初に修正点について意見を述べたいと存じます。すなわち地方税法百十一条の四第一項第一号及び三百四十八条第二項第二号に掲げる非課税対象の団体に土地改良区及び土地改良区連合を加えていただきたいということであります。これはすでに当委員会においても、農村の実情にはよく通曉しておられる委員各位でありますので、申し上げるまでもないと思いますが、鉱害復旧事業団に比べまして、何らその公共性の点におきましても、また組合員の強制加入の点におきましても、あるいは組合費の強制徴収、土地収用法の適用を認める等、土地改良区及び土地改良区連合の持つておる性格は、非常に公共的性格を強くしておるのでありまして、特に最近同法の改正をせられまして、町村においてもこれを取扱うことができるというふうにしたこともすでに御存じの通りであります。わが国の食糧の増産の基礎条件を整備し、これを増強して行く上におきまして、土地改良区及び土地改良区連合の持つ意義は、きわめて重かつ大であろうと存ずるのであります。そういう点におきまして、この際ぜひこの点を修正事項にお取上げいただきまして、趣旨を実現していただきたいという点でございます。
第二点といたしましては、すでに農業協同組合の非課税の措置は講じてあるのでありますが、まだ十分とはいいがたい点があるのであります。すなわちその農協の有する固定資産そのもののうち、土地等が非課税の対象から除外をされておるという点におきまして、非常に遺憾に存じまするので、これらも農業共済組合等と同様な取扱いをしていただくことを強く要請いたしたいのであります。農業協同組合に対しましては、その赤字処理の問題、あるいは出資増強の面におきまして、御存じのごとく国が再建整備法を発動し、あるいは整備促進法を制定いたしまして、国の援助のもとに健全なる発達を促しておる現状にかんがみていただきましても、当然この点もお取上げをいただきたい、かように存ずる次第であります。
以上が修正点に対する農林委員会の大体の意向でございますが、この際土地の収益率の問題について関係当局にお尋ねを申し上げたいのであります。すなわち自治庁の税務部が御提出になつております土地及び家屋の単価算定基礎の説明を拝見いたしますると、この基準は昭和二十七年における反当収益率を基礎にされまして昭和二十八年の反当収益率を推定しておられることになつておるのでありますが、さらにこの中から二〇%を災害率として控除しておいでになるようであります。御存じのように昭和二十七年は、最近における日本の米の収穫が一番多かつた年でありまして、そういう点はすでに自治庁当局も御存じのことだろうと思いますが、そういう年を基準におとりになることは、はたして適当であろうかどうか、疑念を抱かざるを得ないのであります。災害率を適用されるならば、過去五箇年間に遡及して豊凶の度合いの著しいものを引き、その残つたものの三箇年を平均をして行くか、あるいは過去十年に遡及して豊凶の差の著しい年度を除外したあとの年度を平均してやられるとか、従来これについては一つの約束があるはずであります。ことさらにこの土地の収益率の基礎になります算定方式に、二十七年という一番最高の収穫を上げた年をおとりになつておるということは、妥当な措置ではないように私考えるのでありますが、その点をまずお尋ねを申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/93
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094・奧野誠亮
○奧野政府委員 前の評価額を算出するにあたりまして、二十八年における生産石数、それから生産費については二十七年における薬剤や種子やその他の主要分量を基礎にいたしまして、二十八年の経費を推定しておるわけであります。二十七年の額をそのまま二十八年の生産費に用いたのではございませんで、従つてまた二十七年における反当生産費は一万三千八百九十一円と見込んだのでありますが、二十八年は一万五千五百三十四円と見込んでおります。たとえて申しますと二十七年の肥料費は三千三十四円でありますが、二十八年は三千三百九十三円、薬剤費は二十七年は百八円でありますが、二十八年は百二十一円、要するに分量等の基礎は二十七年に置いて、二十八年についてはまだそういう調べがございませんので、二十七年の実績を基礎にして、その後の価格変動を織り込んで二十八年における生産費を推定したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/94
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095・足鹿覺
○足鹿覺君 すでに当委員会でいろいろと御論議になつておることと思いますので、あまりくどくは申し上げませんが、そういう算定方式は私は理解することができません。今私が申し上げましたように、米価を決定する際におきましても、あるいはその他の農産物価格を決定する際におきましても、たとえば農産物価格安定法に基いて政府がその買入れ価格を決定する場合、常に一つの基準方式というものはできておるはずであります。ことさらにそういう特殊の算定基準と申しますか、算定方式をおとりになることは、私はその結果のいい悪いということよりも、こういう大きな基礎を出すのには適当ではないのではないか。私が申しますのは過去十年なら十年に遡及いたしまして、米の一番多くとれた豊年と凶作の年を除き、あと八年の反当収量を平均して行くのが大体の一つの方式、いま一つの方式は過去五箇年に遡及いたし、豊凶度合いの著しい年を二年引いて、あとの三年の平均で行くというのが一つの建前であります。このものを無視されまして重大な土地の収益率を出されて行く場合に、そういうかつてな要素を必要に応じて引出して来るということは、その結果がいい悪いということよりも、基準そのものの安定性がないのではないか、こういうふうに考えるのであります。去年の生産費はわからないとおつしやいますが、原単位計算で行けばいくらでもできるのであります。もうすでに去年の原単位計算、生産費計算は、農業団体なりあるいはこれに関心を持つ方面におきましては、ちやんとできております。にもかかわらず、そういうその場に応じた方式をおとりになるということは妥当を欠くのではないか、私はかように申しておるのであります。自治庁としてはそれでいいと思つてお出しになつたのでしようけれども、これはもう少しよく考え直される必要がありはしないか、私ども専門の立場でいろいろやつておりますと、そういうやり方は少し了解ができないように思いますが、いかがなものでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/95
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096・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話のような収益率の計算方式をとることも一つの方法だろうと思つております。ただしかしながら、米価についての強い統制が行われておりますので、過去十年の推移というものが、ちよつと今の点についての収益率等を計算します場合の基礎としては、適当ではないのではないかという考え方を持ちまして、お示ししておりますような計算方式を採用したわけであります。二十七年を基礎にいたしておりますけれども、御指摘になりましたように、原単位の増というものを一・〇六五倍見込み、さらにまた物価増を一・〇五見込みまして、二十八年度の生産費を一万五千円余りという先ほど申し上げましたような数字を算出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/96
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097・足鹿覺
○足鹿覺君 どうもその点では御答弁が十分でないように思いますが、あまりくどくこの点の意見を申し上げても恐縮でありますから、これ以上申し上げませんが、私は妥当な方法ではないと思います。
それからいま一つの基準となります昭和二十八年産の政府買上げ米価を八千二百円という数字を使つておられます。去年は七千七百円でありますが、どうして八千二百円というものを基準に取上げておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/97
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098・奧野誠亮
○奧野政府委員 今おつしやいました数字のほかに、災害による減収を見込んで増額されている面がございまして、そういうものを合せて計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/98
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099・足鹿覺
○足鹿覺君 それは違うのです。過般の衆議院の予算委員会におきましても、また米価審議会においても、昭和二十八年の基準米価は七千七百円であるということは、農林大臣みずからが政府を代表して言つている。私どもも米価審議会に参加をいたしまして、これを基準米価にしろという意見を出したけれども、農林省は遂にしなかつた、七千七百円です。五十五円の第二次追加払い、最初の第一次払いが五百円、五百五十五円が凶作加算として出されておりますが、これはあくまでも凶作加算という一つの特別加算金でありまして、基準米価というものは七千七百円であります。もしあなた方が凶作加算金をこれに織り込まなければならぬとおつしやいますならば、米価審議会なり衆参両院の農林委員会が満場一致で政府に答申をいたしました九百三十二円という凶作加算金を見込まなければ筋が通りません。こういう八千二百円という数字をお出しになつているということは間違いで、もう少し米価問題については御検討になつてしかるべきだと思う。しかもこれが今後長きにわたつて土地の収益率の課税基準の重要なフアクターになるのです。これは大きな誤りであるから、御訂正になつてしかるべきだろうと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/99
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100・奧野誠亮
○奧野政府委員 問題は田につきましてどれだけの農家の手取りがあるか、こういう問題が基礎になつて収益率というものを換算すべきだろうと思います。そういう考え方だけから言いましたならば、超過供出による報奨金も加算すべきだという議論が立とうかと思います。しかしながらこの八千二百円の中には、超過供出に対する報堤金は加算いたしておりません。反面豊凶係数に基きまするものはプラスしておりますかわりに、生産高は平年度よりも相当少い、従つて一・九〇四という玄米による収入量を見込んでおります。相対的な問題じやなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/100
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101・足鹿覺
○足鹿覺君 そういう便宜的な解釈は税務部長おかしいと思うのです。それは今私が申し上げましたように、七千七百円というものがあくまでも二十八年度における基準米価であります。もし八千一三百円を基準米価だと言われるならば、昭和二十九年産米についてもこの八千二百円の基準米価というものが基準にならなければなりませんよ、これは動かないものになりますよ。あなた方が土地の収益率というものを基準にして、これをあくまでも固執されるということになりますと、これは重大な問題が起きて参りますよ。これはむしろわれわれの好むところでありますが、一面米価政策の面においては七千七百円、課税標準の場合には八千二百円、そういう便宜的な取扱いはよろしくない。一つの演説をする場合はけつこうでありますが、いやしくも土地の収益率の基準を、定めて行く場合に、そういう便宜的な解釈をもつて自治庁当局が税法の基礎を固められるということは、これはあくまでもおかしいのです。この点は私ども農林委員会といたしましても譲れません。そういう点はもう少し御検討になつてしかるべきだ、七千七百円が妥当ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/101
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102・加藤精三
○加藤(精)委員 関連して。ただいま農林委員会の代表からるる御陳述がありまして、非常に参考になり、われわれの審議の上に非常な便益を与えられたことを感謝いたしますが、この固定資産税の課税標準の算定を時価収入によるか、それから収益換算で資本評価をするかという問題につきましては、当委員会としては何らまだ結論を出していないところでありまして、これから十分審査するわけでございます。つきましては、農林委員会におかれましては、農林御当局等と十分御連絡をとられまして、政府の方に申出のあることは格別といたしまして、当委員会の方としてはそういう根本問題について十分審議をする時間を得たいのでございますので、この問題についてはこの程度にお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/102
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103・足鹿覺
○足鹿覺君 御注意はよくわかりますが、であればこそ、私ども農林委員会としましては連合審査のお願いをいたしたわけであります。先刻も委員長がわざわざ農林委員会を御訪問くだされまして、余白がないから意見を述べよ、発言の機会を与えるだろうと言われたから、私参つておるのでありますが、当委員会ではまだこの土地の収益率について十分御検討の時間がありますならば、まだまだ私はたくさん申し上げたいことがあるのであります。これをここで発言を御制限になるようなことでなしに、もう少し私どもの意見と自治庁方面の意見の交換をし、質疑をさしていただきたい、私はさように考えますが、いかがなものでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/103
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104・中井一夫
○中井委員長 何分にも税法の実施の時期が四月一日からでありますので、余裕がありません。それゆえ本委員会といたしましてはその審議の促進を心から希望いたしておりますことは事実であります。従いましてただいま加藤委員の御発議もその趣旨においての御発議でありまして、別に他意あるものではございません。しかしながら足鹿君の御発言につきましても、これは農林委員会を代表しての御発議でありますので、私どもとしては農林委員会に対し敬意を表する意味において、特に委員外の御発言をお許ししたような次第であります。従いましてこの際御質疑の趣旨についてきわめて簡明にひとつ進められんことを願つておきます。どうぞ御続行ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/104
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105・足鹿覺
○足鹿覺君 税務部長いかがでございますか。今私の申し上げた点で再考の余地がないとお考えになりますか。その点をはつきりさせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/105
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106・奧野誠亮
○奧野政府委員 二十八年におきまする反当収入をどう見るかという問題につきまして、石当り米価を八千二百円と見込んだのは過大だ、豊凶係数に基く加算額は減額すべきだ、こういう御主張のようでありますが、この点につきましては基準米価やいろいろな問題がございましようけれども、おそらく所得を計算するということになりまする場合には、災害により増額されました部分も当然収入として計算されるのではないかと思うのであります。そのかわり反当収量が少かつたのでありますから、反当収量はやはり二十八年度の反当収量が基礎になるのではないか、この計算の基礎になりましたのは二十八年度の反当収量は過去の平均反当収量の二・〇一六石ではなしに、一・九〇四石を用いております。同時に石当りの金額も八千二百円を用いておるわけであります。もしお話のように災害による増額分は基準米価の中に入つていないのだから、これをとらない、除外して計算するということになりますと、反当収量もまた平年度の反当収量の石数を用いるべきではないかというふうに私は考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/106
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107・足鹿覺
○足鹿覺君 それはつじつまが合わないと思う。だからこそ私は、結果がいい悪いということは別として、こういう重大な土地の収益率を御算出になる場合においては、一つの長い間の法則によつておやりになるということが、妥当ではないかということを冒頭に述べたのであります。一方反当収量においては去年は八三・四%であります。最初は八二%でありまして、一八%の減収でありましたが、後に若干豊凶係数がかわつて八三・四に復活をいたしました。これは自治庁当局は二〇%の減収率と見て八〇%に見る。そこで一つの政治的な、事務的なフアクターを加え、一方において価格は七千七百円が基準であると言外に認めながら、減収率の方で見ておるのだから、八千三百円で見てさしつかえないのではないかという、そういう便宜主義は私には納得ができません。そういうばかな話がどこにありますか。いやしくも一つの政策をきめるとか、何か演説用の原稿を書くという場合なら別ですけれども、国の収益率という基礎をきめて行く場合に、そういうでたらめな態度がありますか。私どもは絶対に承服できない。そういう点についてはもう少しよく御研究になつて、率直に御反省になつてしかるべきじやないですか。私はあえて無理なことを言つておるとは思いません。まだまだいろいろな点があろうと思います。副収入の算出基準は一体何であるか、反当の生産費一万五千五百三十四円を控除したというが、その内容の理論的根拠は何によつておるのであるか。こういう点をわれわれ農林委員会としては連合審査を申し入れまして、十分検討して、土地の収益率の問題については、いろいろと意見を開陳したかつたのでありますが、わからぬことだらけではありませんか。そういう点は私どもとしては了解ができません。なぜ八千二百円の価格を一方においては固執し、一方においては減収率を若干修正する。そうして土地の収益率を出すというその建前が私どもは納得ができない。もつと権威ある筋の通つた算定方式を樹立されて、それに基いてやつて行かれるのが当然ではないかと思います。これ以上申し上げますと、くどくなりますから、この点についたは御反省がないとするならば、あえてこれ以上は申し上げませんが、副収入の二千五百五円及び反当生産費——反当費用とありますが、反当生産費であろうと思いますが、一万五千五百三十四円の算出基準は何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/107
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108・奧野誠亮
○奧野政府委員 いずれも農林省から計数をちようだいいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/108
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109・足鹿覺
○足鹿覺君 農林省からだけではわかりません。農林省にもいろいろな数字があるのです。御存じのように供出割当の面積もありますし、農林統計調査部の出す面積もありますし、いろいろ農林省といつても一口に言いがたいのであります。農林省の何の資料でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/109
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110・奧野誠亮
○奧野政府委員 午前中にもこの問題について質疑があつたのでありますが、農林省の経済課から数字をちようだいいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/110
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111・足鹿覺
○足鹿覺君 これはあくまでも豊凶係数なり、米価算定なり、あるいは農家の経済調査なりに基いて基礎をつくる統計調査部のものをもつて、基準の参考資料とされるのが当然だろうと思う。経済課と言われますが、これは農業経済局の経済課ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/111
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112・奧野誠亮
○奧野政府委員 局名については後ほど調査してお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/112
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113・足鹿覺
○足鹿覺君 いいかげんなことをおつしやつては困ります。ただいま経済課と言明されたじやないですか。私が今黙つて引込めば知らぬ顔をするつもりですか、そんなばかなことはないでしよう。もう少し真剣に御答弁があつてしかるべきでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/113
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114・奧野誠亮
○奧野政府委員 私はいいかげんな答弁をしておりません。文書によりまして返事をもらつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/114
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115・足鹿覺
○足鹿覺君 それであつたならば、そのものを正確にお出しになるのが当然じやないですか。ただいま経済課と言われるから、どこの経済課かと聞けば、どこの経済課かわからぬから、あとで文書で答弁をすると言う。それをはつきりさせれば、こういう議論をしなくて済むと思うのです。
最後に申し上げておきますが、要するにただいまごく短時間、限られた時間でありますから、当委員会の自主性ある御審議を期待いたしておりますが、私が十分か、二十分の間にこの算定基準について質疑をしたことにつきましても、おききのように自治庁当局の御答弁はきわめて一貫性がない、論理性がない。そうして一つの算定方式というものがない。こういうことによつて重大な農地の収益率がきまるということについては、私どもは納得することができません。いわんや現在において米の生産費計算から行きまするならば、現在の日本の農業は企業ではなくて、ただ単なる業者であります。自家労力をただ単に幾らの金にかえるかという点だけであります。そういう点をも十分お考えにならなければ、土地の収益率というようなものは、正式に言つて出ないのではないか、純粋の意味におけるところの生産費、計算、政府のはじき出しますところの米の価格というものも、両者をよく比較対照してみまするならば、おそらく収益率というものは出ない、赤字が出て来ると思う。しかも、もつと零細化しつつあるところの兼業収入に依存をして辛うじて生活を維持する農家が東北方面においては六五%、瀬戸内、近畿方面の基準反別の減じているところに行きましても、三五%を上まわつておりますることは、すでに日本政府の統計によつて明らかであります。そういう事態でありまして、そのような零細農家におきましては、いよいよ生産費が増高いたし、反収は減じて来るのであります。そういつた点を十分お考えになりますならば、こういうずさんきわまるところの基準によつて、当時の収益率をおきめになるということはきわめて不適当である、かように最後に私の意見を申し上げまして私の質疑を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/115
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116・中井一夫
○中井委員長 御意見のほどはよく拝聴いたしました。審議の対象として進めたいと存じます。足鹿君の御陳述は終りました。
よつて委員会は引続き固定資産税関係の問題につき審議を進めます。中井君がおられませんから大石ヨシエ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/116
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117・大石ヨシエ
○大石委員 奥野さんにお尋ねしますが、償却資産税に対する課税は、課税評価が非常に困難であると思います。あなたはこの点どういうふうにお考えでございますか、ちよつと御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/117
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118・奧野誠亮
○奧野政府委員 企業の簿価が安定して参りました場合に、償却資産につきまして原則として原価償却の基礎となりまする価額を採用するがよろしいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/118
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119・大石ヨシエ
○大石委員 そうしますと非常に曖昧模糊であつて、この固定資産税と事業税と重複課税のきらいがあると私は思いますが、あなたはどういうふうにお考でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/119
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120・奧野誠亮
○奧野政府委員 固定資産税と事業税と重複して来るという考え方、これはいろいろ言われている問題であります。しかし事業を行つておりますと、事業の規模におきまして市町がその事業に行つておりまするいろいろな援助といいますか、あるいは施設の費用といいますか、そういうものを固定資産税の形において負担し、府県が行つておりまする施設の費用を事業税の形において負担するのであつて、そういう意味においては重複という問題は特に起きないのじやないかというふうに思つております。もし事業が行われていければならない、事業税も負担しなければならないという意味で重複しているとおつしやるならばその通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/120
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121・大石ヨシエ
○大石委員 万一償却資産税に対する課税の廃止がただちに実現できない場合は、免税点を大幅に引上げるお考えはございませんか。この点を詳細に拝聴したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/121
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122・奧野誠亮
○奧野政府委員 御承知のように償却資産に対する固定資産税の免税点は、現行では三万円であります。それを改正案におきましては五万円に引上げております。将来地方財政が安定して参りますならば、これをさらに引上げる方向に努力して行くべきだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/122
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123・大石ヨシエ
○大石委員 それで私が思いますには、償却資産税に対する課税が当分の間続くとする場合は、改正案のごとく大規模な償却資産に対する都町村の課税権を制限し、都道府県にも市税権を与えることは、同一物件について二重の税務行政を行うこととなると私は思うのでありますが、あなたはどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/123
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124・奧野誠亮
○奧野政府委員 この改正案につきましては、現行制度と改正案との比較において一応お考えいただきたいのであります。現行制度でありますと、大規模な工場に対する固定資産税を、もしその市町村にのみ固定資産税を独占させます場合に、少し巨額に過ぎると思われます場合には、関係市町村に配分しております。従いましてそういう意味では、一つの固定資産に対しまして一の市町村が課税権を持つべきものを、数多の市町村が課税権を行使する姿になつております。これが今回は一定の規模を越えます部分についての課税権を府県に与えるわけでありますから、つまり二以上の団体が課税権を行使するということはないのでありまして、この意味においてはむしろすつきりした形になつて来るのではないかというふうに思います。また一つの償却資産に対しまして二以上の団体が課税するといたしましても、その限界があいまいであれば格別でありますけれども、一定以上の限度の部分を府県が行使、一定限度以下のものを市町村が行使、しかもその固定資産の評価は府県が行うか市町村が行うか、いずれか一つ行つたものをいずれの団体も使用して行くということになつておりまするので、その点も現在よりはかなり明確になつて来るのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/124
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125・大石ヨシエ
○大石委員 そうすると、こういうふうに解釈してよろしいですか。税源の奪い合いを生じて来る。あなたが今おつしやいました御説明によりますと、市町村とそういう方面においてこの償却資産税をお互いが奪い合いします。これをどういうふうにして解決したらよろしいでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/125
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126・奧野誠亮
○奧野政府委員 税源の奪い合いということは起きないのでありまして、一定限度までしか所在の市町村は課税権を行使できないわけでございます。おつしやいますことは、あるいは府県が特に高額な評価をするおそれがあるというふうに、御心配になつていられるのではないだろうかというふうに思うわけですけれども、非常に大きなものでありますると、割合に評価額も安定している——安定していると言うと語弊があるかもしれませんが、たとえば八幡製鉄の償却資産を一々一つ一つの機械について当つてみましたところで、これは能力を越えた問題だろうと思います。やはり資産再評価法に基きました再評価の限度額の計算の方式、もし再評価が強制されました場合には簿価ということになつて参るだろうと思います。そういうようにして参ることになりますので、おのずから客観的な評価がきまつて来るのじやないだろうかというふうに私は思つておるのであります。従いましてまた奪い合うという心配は起きないのじやないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/126
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127・大石ヨシエ
○大石委員 しからば償却資産以外の固定資産については、その課税標準について改正案のごとく特定の産業に対して特例を設け、負担の軽減をはかることは適当であると思いますが、あなたはどういうふうにお考えでございますか。この点私ちよつとわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/127
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128・奧野誠亮
○奧野政府委員 大臣の提案理由の説明書にも述べられておりますように、地方財政だけの立場から考えて参りました場合は、こういう特例はなるたけない方がよろしいと思うのであります。しかしながら現在の国民経済の実態から考えて行きました場合には、こういう程度の調整措置を講ずべきではなかろうかというふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/128
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129・大石ヨシエ
○大石委員 私たち婦人でございますから、ガスの問題は家庭と直結しておりますので頭にぴんと来るのですが、改正案に示された産業以外に、ガス供給業などに対しても同様の処置を講ずべきであると私は思います。この点、私たちは婦人として納得が行かぬのです。詳細に説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/129
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130・奧野誠亮
○奧野政府委員 この種の特例につきましては、国民経済上のいろいろな要請を、地方税制の中に持ち込み過ぎるという意見もございます。あるいはまた産業各省が注文しておりまするように、もつと持ち込んでもらいたいという要請もございます。ちようどその中間的なところが、現に政府として立案しているものだろうというふうに考えておるわけでございます。ガスにつきましても同じような要請があるわけでありますけれども、これ以上は持ち込みたくないというようなところで線を引いているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/130
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131・大石ヨシエ
○大石委員 その線を引いておるというところが抽象的なところで私はわからないのですが、もつと詳細にこの問題を教えていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/131
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132・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘になりました問題は、発送変電施設に対する特例、それと地方鉄軌道に対する特例、この二つに類するものとしてガスを取上げたらどうだろうか、こういう御意見だろうと思います。発送変電施設の問題につきましては、今日電源の開発が国の大きな政策として取上げられて参つて来ておるわけであります。しかもまた電気料金はできる限りすえ置こうという政策もとられて参つて来ておるわけであります。かたがたたまたま発送変電施設ができたからといつて、ただちに大きな収入をその団体に与えるということにつきましても、多少がまんしてもらえる筋合いのものじやなかろうかという考え方から、この種の規定を置いたわけであります。地方鉄軌道につきましては、たびたび申し上げておりまするように、主として大都市の交通緩和をねらつて推進されまする地下鉄道の敷設、こういうものを中心に考えているわけであります。それ以外の問題といたしましては、不採算線でありながらも、国全体の立場からあえて地方鉄道整備法までつくつて、助成措置をしながらも開設して行かなければならない、そういうものを考えまして、やはり料金統制の問題もあわせ考慮して、電気に準じた扱いをしたわけであります。ガスの場合につきましては、大体すでにガスの引かれている都市におきまして、これをさらに拡張して行くという性質の問題であろうと思うのであります。こういう問題になつて参りますと、電気や、ただいま申し上げました地方鉄軌道と同一に論ずる必要はないのじやないだろうか。もちろん軽減措置が講ぜられればよろしいのでありますけれども、電気や地方鉄軌道の場合よりは、従前通りの負担でガスではがまんしていただけるのではなかろうか、かような考え方をとつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/132
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133・大石ヨシエ
○大石委員 そうすると、現行の改正案程度の税率の引下げであれば、評価の引上げによつて実効を期待し得ることは私はできないと思う。それで一定期間、たとえて言つたら二年なら二年、三年なら三年間、評価を一定する措置を講ずることが、私は最も適切であると思いますが、あなたはこれをどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/133
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134・奧野誠亮
○奧野政府委員 お説を正しく理解していないかもしれませんが、やはり課税標準は適正な時価によつて行きたいし、償却資産である場合には、年数がたつて参りますれば、それに応じて、減価償却相当分は評価額を引上げて行くべきであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/134
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135・大石ヨシエ
○大石委員 そこで奥野さんにお尋ねしたいのは、地方税法中第四百十四条の規定を廃止して、再評価により固定資産税の増加を絶対に来さざるよう、法的措置を講ずる必要があると私は思うのでございますが、いかがお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/135
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136・奧野誠亮
○奧野政府委員 午前中鈴木次長からお答えいたしましたように、今回別途資産再評価を強制する措置がとられますので、その強制措置に基きます最低限度以上の評価をいたしました簡却資産に対しましては、御指摘の条文は適用いたしませんで、二十九年における評価額を三年間そのまますえ置いて行くという措置をとろうといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/136
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137・大石ヨシエ
○大石委員 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/137
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138・中井一夫
○中井委員長 次は第三節自転車荷車税、これに関連して参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/138
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139・大石ヨシエ
○大石委員 私はここでたびたび申し上げておるのでございますが、勤労無産大衆、ことに農民などは、手足のごとく荷車を汗を流して引いておる。その勤労無産大衆に年額二百円の課税をするということは、私はあまりにかわいそうだと思います。もつとほかにとるべきところは幾らもあります。もつと考えたら脱税しておる人が幾らでもあるんです。これは一つの農民、勤労大衆の手足です。まあ考えてごらんなさい。荷車を引いておる人といつたら、実にあわれなもんです。汗水たらして車を引いておる。その人に税金をかけるということは、あまりにかわいそうである。これは免除すべきであると私は思いますが、あなたのお考えはいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/139
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140・奧野誠亮
○奧野政府委員 たびたび論議されておりますように、他に有力な財源を見つけ次第、こういうものはやめる方向に持つて行つた方がいいと思つております。ただ自転車税と合せまして三十六億円の収入を見込んでおるものでありますだけに、なかなか理想が実現されないでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/140
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141・大石ヨシエ
○大石委員 そうすると、荷車税だけですと、一体幾らぐらいでございましようか、ちよつと知らせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/141
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142・奧野誠亮
○奧野政府委員 十三億三百万円と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/142
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143・大石ヨシエ
○大石委員 十三億三百万円、こういうものはもつとほかのところから何とかかわり財源を見つける。こういう勤労無産大衆の荷車に対して課税をするということは、非常にかわいそうだと思いますので、この点何かよいかわり財源を見つける手があつたらちよつと思案を貸していただきたい、あなたは専門家であるから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/143
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144・奧野誠亮
○奧野政府委員 ただいま規定されております法定各税目の税率の増加に求めるかどうかという問題になつて来るだろうと思います。地方税法にすでに定められております各種の税目の税率を引上げて増収を得る半面、雑税を整理するかどうかという問題が考えられるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/144
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145・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 大石委員が言つておられる荷車だけでなしに、自転車もそうですが、これは農村といわず、町といわず、勤労大衆のほとんど足のごときものであります。ことにこういう荷車は、これは農村の堆肥などを運ぶときはどうしてもなければならぬ。これは食糧増産にも大きく役立つておるものでありますが、財源がないから、かわり財源が見つかるまでなお税金をかける。こういうことは非常に不合理だと思いますが、この点即刻こういうものは廃止するという御意見があるかないか。お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/145
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146・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話のような気持はたとえば地方制度調査会の答申の中において、雑税を整理するということが掲げられております。一方また政府においてもいろいろ苦慮たして参つて来ておるわけでありますけれども、なかなかさき申しましたような税額に上るものでありますので、今回も廃止ができていないわけであります。しかしお気持の点におきましては同じでありますので、将来にわたりましてなお一層よく研究いたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/146
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147・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 将来考えるという話でありますが、どうもいつもそういうようなことで残されることは困るのであります。いろいろ委員会に傍聴に来る方や繊維業者などは、入場税反対とか、何とかいつておりますが、現状の農村の、こういう悪税を撤廃してくれという農民の声はここに反映して来ない。そういうことによつて、いつも考える考えるというようなことでやられることはたいへん困りますので、この際はつきりひとつ今年からか、来年からか、廃止するということをおつしやつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/147
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148・奧野誠亮
○奧野政府委員 御承知のように、地方税の各税目におきましても、ここ数年来毎年々々雑税を整理いたして参つて来ております。従いまして今後残されておる雑税の中の一番大きなものは荷車税と自転車税だろうと思います。この次に整理をする順番に来ておるのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/148
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149・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 そうすると来年あたりは廃止するというふうに、了承してよろしいでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/149
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150・奧野誠亮
○奧野政府委員 私からそういう大方針を言うのもいかがかと思いますし、また来年の財政状況の問題もあろうかと思いますが、政府といたしましてもできる限り整理したいという気持を持つておりますことを重ねて申し上げておきます。
〔委員長退席、加藤(精)委員長代
理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/150
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151・大石ヨシエ
○大石委員 それでは奥野さんにお尋ねいたしますが、荷車税は十三億三百万円、そうしたら自転車税は一体何ぼですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/151
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152・奧野誠亮
○奧野政府委員 二十一億三千八百万円と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/152
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153・大石ヨシエ
○大石委員 そうすると百姓や無産大衆の荷車の方が、比率からいうたら非常な高額な税額ですが、自転車は次の段階に置いても、荷車だけはかわいそうですよ。貧乏な人がみな荷車をひつぱつて歩いているのですが、こんなもの、あなたもここでよく想像してほしいのです。荷車を引いているなんてものは、東京あたりではそういませんです。いなかの百姓が荷車をひいて汗をたらして働いている姿を想像されたら私はわかると思う。荷車税をたかが十三億三千万円とるというのはあまりに私はひどいと思う。あなたは非常に頭がよい人と思う。この頭のよい人が、何とか十三億三千万円くらいのかわり財源を見つけることができないとするならば、あなたの頭は悪いという結論になる。これは何とかして十三億三千万円を免税してほしい。あまりにもかわいそうです。女子供を乗せて荷車をひつぱつて、汗水たらして歩いているあの姿をいなかで私たちは見てたまらなく思う。それで私がこれを声を大にして叫ぶのです。あなたは頭がよいと非常に期待しておるのですが、あなたの頭では何とかできないでしようか。これをひとつ聞かせてちようだい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/153
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154・奧野誠亮
○奧野政府委員 お説をよく拝聴いたしましたので、今後なおお説を検討して参りたいと思います。私も実は自転車がだんだん自動車にかわつて参つている姿から見ておりますと、適当な時期には整理しなければならぬものだというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/154
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155・大石ヨシエ
○大石委員 私は先だつて来執拗に言つているのですが、自転車はさておいて、荷車だけはあんまりかわいそうです。振りかえ財源は、あなたはそれが商売ですから、見てもらつたらどつかに抜け穴があると思うのです。脱税している人は脱税でぜいたくしておるし、貧乏な者はこういう荷車をひいて汗水たらして毎日働いておる。これを思うと私は非常にその人を気の毒に思います。だからこの荷車の税金は、今回の地方税法によつて必ず削除するということを、ここで確約していただきたい。どうですか。これは勤労無産大衆の声を代表して、私があなたにたびたびここで討論しているのです。何とか返事していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/155
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156・加藤精三
○加藤(精)委員長代理 大石委員に申し上げますが、税の振りかえの歳入の減少に対して、振りかえ財源も考えなければならないし、小委員会で十分研究することにしてはどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/156
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157・大石ヨシエ
○大石委員 そうしたら加藤委員長代理にお願いしておきますが、責任が持てますね。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/157
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158・加藤精三
○加藤(精)委員長代理 責任を持つて研究することにいたしましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/158
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159・大石ヨシエ
○大石委員 研究ではだめです。荷車だけはあまりにもかわいそうですよ。荷車に年額二百円をかけるなんて、こんなものは実際かわいそうです。研究だつたら何でも研究しますよ。これは確約してもらわねば何もなりません。確約ができるやいなや、はつきり答弁していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/159
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160・加藤精三
○加藤(精)委員長代理 自転車税について、他に御質疑はございませんか。
〔「進行」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/160
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161・加藤精三
○加藤(精)委員長代理 次にタバコ消費税につきまして御質疑をお願いいたします。——御質疑がないようでございますから、次に五節、電気ガス税につきまして御質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/161
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162・北山愛郎
○北山委員 電気ガス税ですが、非常な大衆課税だと言われておる電気ガス税におきましても、一部の産業保護規定がある。主として電気を動力として運輸事業を行つておる地方軌道業者、そういうものの運送に供する電気、それから非鉄金属の製造に使用する電気に対しては、電気ガス税を課さないという規定があるわけですが、この規定を置いた趣旨につきまして説明をいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/162
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163・奧野誠亮
○奧野政府委員 将来この電気ガス税をどういう性格のものに持つて行くかということから、考え方がきまつて来るのだろうと思います。御承知のように当初国税でありましたものを昭和二十二、三年ごろに地方税として設けたわけであります。国税でありました時代には、工業用の電気には一切課税をしない、家庭用の電気だけに課税しておつたのであります。地方税に移した場合に、特に原価の中に電気の料金が非常に大きくて、しかも価格統制が行われ、国の方から価格差補給金を交付しておるような種類のものだけに限つて課税をしないという方針をとつたのであります。しかしながらその後漸次電気料金が引上げられて参りましたので、今日におきましては、それほど特に電気料金が低く過ぎるというようなことでなくなつてしまつたわけであります。そうしますとやはり国税でありましたように漸次工業用のものは課税しないようなふうな姿にしながら、電気ガス税を消費税として醇化して行く必要があるのではないかというふうに考えたわけであります。しかし何分市町村財政が、それほど余裕のあるものではありませんので、現在非課税として掲げられておる費目に比べて、大体類似のものである、それとの均衡からこれは課税を除外した方がよろしいというようなものに限つたわけでありまして、それともう一つ地方鉄軌道が使つております電気、これは当初からいろいろ議論があつたのですが、その二つを非課税費目の中に追加し、しかも料金の引上げられたときからこれらの改正規定を実施いたしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/163
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164・北山愛郎
○北山委員 われわれが漠然と承知しておる範囲では、一般の産業用の電力料金は非常に安い。大企業になるほど、大口消費者になるほど、非常に安い料金単価であるはずであります。それから一般家庭用は、それの何倍というような料金になつておるはずであります。すでにそういうような電力料金のきめ方において、大口のもの、あるいは産業用のものは優遇されておるのではないか。でありますから、さらにその上にそういうもののうちの一部に対する非課税をやるというようなことは、非常にこのような産業に対する保護が厚過ぎるのではないかという気がするのでありますが、それならばこの電力料金につきまして、需要者別に料金の単価がどうなつておりますか、ひとつわかつておる範囲でお知らせを願いたい。産業用の電力料金がどのくらいになつており、一般家庭はどうなつておるかというようなことを説明願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/164
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165・奧野誠亮
○奧野政府委員 現行制度で電気ガス税を課しておりませんものが、全部の電気料金のうちで三一%くらい占めておるだろうと思います。残りの六九考に課税をいたしておつたわけであります。それにつきまして、今回若干引上げておりますから、三二%の率が若干上つて来るということになります。そのこまかい計数は、参考計数資料としてお出ししている通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/165
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166・北山愛郎
○北山委員 私の聞いているのは、その需要者別の電力料金の単価なんです。家庭用がどのくらいになつておるか、この産業用、これも区別があると思いますが、それをひとつわかる範囲で御説明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/166
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167・奧野誠亮
○奧野政府委員 御承知のように各電力会社で地域的にも違いますし、それから業体によつても違つた料金なんかをきめているようでございますが、現在ここに資料を持つて来ておりませんが、もし必要でございましたら、後刻調べましてお手元へお配りするようにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/167
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168・北山愛郎
○北山委員 私も何かの資料でちよつと拝見したことはありますが、家庭の電力料金というものは、実に産業用の何倍かに当つておるはずであります。十倍くらいにもなつておるかもしれません。それでそのようなことを見ると、さらに従来の非課税の分はもとよりの問題でございますが、さらに電気ガス税において一般家庭用の電力であるとかいうものについてはやはり一〇鬼とつて、ほかのものは非課税にするということは、はなはだしく一般大衆に負担を重くかけている結果になるのではないか、こういうふうに考えて、私どもとしては適切でないと考えるわけでありますが、それは先ほど来問題になつておりました例の三百四十九条の二の各種の固定資産税の軽減措置、それらとも関連して、私どもは地方税の制度の根本に関係する大きな問題であろうかと思うのでございます。従いましてこれに関連しまして、現在の新しい改正法に基いてこの税額について調べてみると、所得あるいは収益の額、いわゆる担税力に比例して、そして累進的な税率を課せられておるような税目、それはわずかに住民税だけであります。住民税の均等割を除く所得割、法人税割というのがややその能力に応じて、累進的な税率をもつてやられておる税目じやないか、あとのものはほとんど能力のあるものも、ないものも同じような税率で行つているのではないか、この前も申し上げた通りに自転車にしても、金持の自転重でも貧乏人の自転車でも同じ税率であるというような税が地方税の大半を占めておるわけであります。これを金額で見ますと、府県税と市町村税を合算いたしまして、約三千四百七十億ばかりあるはずでございますが、そのうち今の累進するような率を適用しておるいわゆる住民税の所得割、法人割というようなものは約八百億であります。四分の一に足らない、二割ちよつとだろうと思いますが、わずかに地方税の四分の一にも足らぬようなものが、その能力に比例して、また累進的な税率をもつてやられておる、あとのものは同じような率でもつてかけておる大衆課税である、このような税の立て方というものははたして妥当であるかどうか。国税でありますれば所得税、法人税が相当額占めて四千何百億になつておりますが、日本の国税でもなお大衆課税的な色彩が濃厚なわけであります。ところが地方税においてはまさにその傾向がひどいものがありまして、今申し上げたような状態である。このようなことははたして近代的な国家の税制としては妥当であるかどうか。外国の例はどうであるか。私どもは近代的な税の理念からいえば、収入がある、収益が多いというものが、なるほど率を上げて税の負担をするというのが、やはり新しい考え方じやないか、進歩的な考え方じやないかと思つておるのです。これは当然の常識だと思うのです。ところが現在の日本の税制というものはまるきりそれに反しておるのではないか。しかもその大衆課税的な税制の中で、今まで問題になりましたように、大産業や独占資本等には非常な恩典が与えられておる。非課税にしたり、税の軽減がはかられておる。要するにそういうような大産業保護の経費を、大衆が負担しておるというような傾向が随所に現われておるのではないかと思うのであります。ですからお尋ねを申し上げるのは、今申し上げたような日本の地方税のとり方、あり方というものが進んだ外国に比べまして、はたして妥当なものであるかどうか。そういうことをお考えになつたことがあるかどうか。これをどういう方に持つて行つたらいいか。そういう点についてひとつお考えを承りたいのです。そうでないと、私どもはやはりこの日本の税制の性格というものは、御承知のように地租をたくさんとつて、そのとつた農民の負担において日本の資本主義を育成した明治初年の税制さながらのような感じがするのです。先ほど問題になつた農地に対する固定資産税を重くかけて、そして大きな産業の固定資産、償却資産に対してはこれを軽減、免除するというようなやり方は、明治初年のころに帰つたようなかつこうである。そういうような感じがするのであります。特に今度のこの税制において感ずるのでございますから、この点についての自治庁の考え方、一体これが正しいかどうか、正しくないとすればどういう方向に将来持つて行くべきであるか、それを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/168
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169・奧野誠亮
○奧野政府委員 第一点は電気ガス税につきまして非課税規定の範囲を拡張して行くことが、固定資産税の場合の三百四十九条の二の規定と若干似通つた思想があるのじやないかというような点でございます。これは地方財政の減収になります点を御心配いただいておりますので、非常にありがたく感ずるのでありますが、まつたく別個の見地に立つておるわけであります。電気ガス税を地方税として設けました際には、電気料金というものを非常に低く押えておる。電気を使うものは一つの特権を得ておるとまで、言えたような時期があると思うわけであります。まき、炭を使うよりはずつと電気が安かつたのであります。一極の消費規正と申しますか、そういう考え方で電気ガス税を設けたわけでございます。今日のように電気料金が平均化して参りますと、今までの観念で電気ガス税を設けて行くわけには行かないだろうと思います。電気ガス税を設けるならば、企業が石炭を使うならば石炭の消費税をとればいい、水を使うなら水の消費税をとればいいじやないか、こういう考え方にもなりかねないのでありまして、そこで電気ガス税というものは悪税ではない、消費税に醇化するならば良税として残して行ける税なんだ、かような考え方を持つておるわけでありまして、そういう意味におきまして、要するに家庭用の電気といいますか、そういうものに漸次幅を狭めて行くべきである、またそういうふうに幅を狭めました場合には、大体所得の高に比例いたしまして電気の消費量というものがふえて行くだろうと考えるのであります。そういう意味において電気ガス税を消費税に醇化して参りたいのでありますが、地方財政の状況がこれを許しませんために、やむを得ずなお徐徐にそのような方向に持つて行きたい、従つて現在の非課税の品目を類似のものに限つて、非課税の範囲に入れて行くようにいたしたいと考えたわけであります。第二の地方税の中には応能的な課税、これは府県民税、市町村民税だけであつて、その税額が少な過ぎるという御指摘でございます。もちろんそういう点も見受けられるわけでありますが、人税につきましては個人個人に所得というものを全部集約するものでございますので、そこで生活費を控除して、残りのものについて累進課税の税率を適用するという方法がとれるわけでありますけれども、それだけではどうしても漏れて行くものがある。やはり入る面だけを考えて課税をするばかりでなしに、出る面も見て課税することによつて、全体として公平な負担を求めて行かなければならない。こういうようなところから収入課税のほかに消費課税の道も設けているわけである。そういう消費課税の一つとして、今問題になつております電気ガス税がありましたり、遊興飲食税がありましたり、入場税があつたりするわけであります。もちろんこれらの税につきましては、そういう見地から設けられているわけでありますけれども、それがまた広い税率である結果は大衆課税の面を持つて来ている点も多いということは、これは御指摘の通りだと思うのであります。しかしこれは漸次是正して行かなければなりませんし、また是正しつつあるというふうに考えているわけであります。それじや一体どういう程度でよろしいかという問題になつて参りますと、昭和二十五年のシヤウプ勧告を基礎にいたしました税制改正では、これは人税であるというわけではございませんが、間接税よりも直接税中心に進歩的な税制をつくろうじやないかということが、シヤウプ勧告の中心ですけれども、またそういう方向において改正をされて参つたと思うのであります。それで一体現在の所得税というものが応能課税にできているかどうかと言いますと、現に所得税そのものが大衆課税に過ぎるじやないかという非難もあるわけであります。また所得税につきましても漸次是正されつつあるわけなんでありまして、従いましてまた直接税だからあるいは人税だから大衆課税にできなくなつているという議論も、ちよつといたしかねるのではないかというふうに思います。ただアメリカに習いまして直接税中心主義に切りかえてやつたのでありますが、ヨーロツパ諸国が間接税中心が非常に多い。日本の現状から考えた場合には、直接税中心の行き方というものを、間接税に相当ウエートを移した方がいいのではないか、こういうような議論も出て参つているわけでありますし、最近またそういう意図に即した改正も漸次行われて来ているのではないかというふうに思います。北山さんの御意見、また各税目について反映させて行かなければならないと思いますが、総体的には今申し上げますような傾向になつていると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/169
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170・門司亮
○門司委員 私はこの機会にひとつ当局に、奥野君に頼んでおきたいのだが、資料をひとつ出してもらいたい。今度の改正税法を見てみると、一貫してある程度の法人に対する減税が行われているように考えられる。だからこの法人に全部こういう特典を与えないで徴収すると、どのくらいの財源が出て来るのか。この点をひとつ表で出してもらいたい。第一に出してもらうのは市町村民税の中の法人割を、かりに昔の標準税率であつた百分の十八まで引上げれば、一体どのくらいとれるのか。それから固定資産税のここに書いてある三年あるいは五年というように減税が行われているが、これを平年度で取れば一体どのくらい取れるのかということ。それから電気ガス税についても同様に一応減税処置を講じたものについての計数を、一応至急に出してもらいたい。それからその次に聞いておくことは、こういう税金に対して当局が説明される場合には、必ず法人税その他で法人はかなりたくさんとられているからというようなことが、一応答弁の材料になつているようである。シヤープの税制の勧告が、資本蓄積を主とした考え方のもとに現行税法ができている、ということはわれわれも一応考えられる。考えられるが、しかし一応考え方としては国税において税金がかかつているから、地方税でかげんするんだという考え方は、私は地方自治庁の考え方としては間違いだと思うのです。やはり税の均衡というものを考えて来れば、国税でよけいとつたから地方税を少くするというようなことでなくて、この点はやはり政府自体が考えて、そして地方税と国税とを通ずる一貫した体制になされなければならぬと思う。国税で法人の税金をよけいとつているからというので、地方税に対して一般の住民によけい税金をかけて来る、法人を少しゆるめて行くという行き方は、私どもには納得行きかねる。従つて今のような資料を要求すると同時に、この際自治庁の考え方を、ひとつはつきりしておいてもらいたい。自治庁はどういうふうに考えているのか。国税と地方税を通じて今のような行き方でいいと考えているのか、この点をひとつ明確にしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/170
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171・奧野誠亮
○奧野政府委員 市町村税の標準税率につきましては、御指摘のように個人の場合と法人の場合と異なつております。それ以外の面につきましては、法人だから個人だからというようなことでは区分いたしておらない、こういうふうに考えているわけであります。御承知のように市町村民税に対しまして、法人税割を設けるようになりましたのは、たしか二十六年からだと思います。二十五年に現行市町村民税を創設いたしました際には、個人の段階で所得に課税するんだから、法人の段階においては課税しないという建前にいたしておりましたのを、いろいろな関係からあえて法人にも課税するようにしたという経緯になつているわけであります。今後におきましても特に法人税が四二%の課税がなされているために、特に地方税の面において軽減をして行くというふうな考え方は持つていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/171
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172・門司亮
○門司委員 今のような答弁を聞きたくて聞いたのではない。そのくらいのことは私の方ではわかつている。二十五年の今の地方税創設以来、私は関係しておりますのでよくわかつています。大体私の聞きたいところは、国税と地方税を通じて、やはり税の均衡というものが考えられなければならない。従つてあなた方はよく言つているように、国税で法人税その他が相当かかつているから、地方税の法人に対する割合を少くして行くんだというものの考え方、私はこの考え方について聞いているのであつて、もしそういう考え方がなかつたとすれば、たとえば市町村民税においても同額をかけたらいいということになります。これは応益税であります。私は奥野君がそんな答弁をするなら、税の本質から話さなければわからないだろうけれども、当局も知つているように市町村民税というものは応益税になることは間違いない。また応益税的の性格を持つていることは最もはつきりしたものである。そうするなら法人といえども個人といえども、その地方の公共団体から受けているいわゆる行政上の恩恵というもの、これは私は同じだと思う。一つも違いはしないと思う。行政上の恩恵を受けていることは同じだというなら、あるいは保護を受けているということが同じだというなら、税率も同じでいいはずである。そこに区別をしているから私は聞いている。どういうものの考え方かということを聞いている。この点に対してはつきりひとつ答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/172
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173・奧野誠亮
○奧野政府委員 市町村民税について所得割の性質のものを法人と個人に区分しているその根拠はどこか、こういう御質問だつたと思います。これにつきましては法人の所得が個人に配分された場合には、個人の段階におきましてもまた課税されるものでありますが法、人擬制説の立場を貫いて行きました場合には、法人の段階に対しまして所得割類似のものを課税する必要はない。こういう議論も立とうかと思います。これは門司さんも御承知の通りであります。また法人実在説を貫いて行きました場合には、個人も法人も同じような所得割を課税すべきじやないか、かような議論も成り立つわけでございます。またそういうような考え方も若干ないわけではありませんで、二十六年から御承知のように法人税割が課されるようになつたわけであります。従いまして現在の制度が大体その中間を行くような考え方で、沿革的にあの程度の税率が定まつて来た、かように申し上げるよりいたし方がないのではないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/173
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174・門司亮
○門司委員 私はそんなことを聞いているのではない。そんなことはわかり切つたことなんだよ。だからそういう考え方を持つた根本の理由を聞いている。あなたの立つている地方自治庁という立場からものを考えてもらいたい。国全体の立場から考えれば、あるいはそういうことがひよつとすると言えるかもしれない。しかしそれは当らないと思う。行政上の保護であるとか、行政上の恩恵を受けているという点においては、むしろ法人の方がよけい受けているかもしれません。しかしそれは資本蓄積の意味からそういう現行のような法律ができる、現行のようにあなた方がものを考えているとするならば、これは一応一つのものの考え方である。しかしこれは国と地方とを通ずる一つの施策の上のものの考え方であつて、地方自治体の財源、地方自治体の今日の窮状をどうするかということについては、必ずしもそういう一つの国と地方を通じたものの考え方だけではないか。地方の公共団体は地方の公共団体としてものを考えるべきではないかと考えられる。それで私は聞いているのである。何も今の現行法の説明をしてもらわなくても、そのくらいのことはこつちもわかつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/174
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175・奧野誠亮
○奧野政府委員 法人の所得を課税標準とするものにつきましては、やはり国税と地方税とを通じて考えて行くべきだろうと思つております。これはどちらで徴収いたしましても、法人の負担する限度が基礎になつて考えられるべきだと思つております。それ以外の面につきましては、特に法人である個人であるということで区分すべきではない、かような考え方に立つております。ただ国税、地方税を通じて法人の所得に対する課税限度を考えて行きまする場合には、小規模団体であるか、大規模団体であるかということから、かなり安定性を欠いている税でもありますので、そういう点も一緒に考慮をいたさなければならないのではないかと思います。
また御指摘の点が、事業税において法人と個人との間において法人が軽課されている、また法人については法人税が別途にあるではないか、こういう御意見ももし含んでおりまするならば、まつたく同じ扱い方をしようと思えば、支払い給与をも損金に認めない、そういう式の課税方式、言いかえれば付加価値額を課税標準にするか、あるいは総売上金を課税標準にするか、そういう方法をとるよりしかたがないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/175
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176・門司亮
○門司委員 そこまで議論はしないようにしようじやないか。そこまで議論をするなら、こつちも議論しなければならなくなる。今のような答弁をして、付加価値税論まで出て来るなら、これは議論になります。私はこれについても今奥野君の言つているようなことでいけないと言つているのではない。いわゆる流通税的な性格を持つものは国税でなければならぬ、私ははつきり言つておくけれども、流通税というものの性格は国税でなければならぬということなんです。これを地方税にすることは間違いである。従つてそういう税の性格論なんということをぐずぐずここで文句を言つているのではない。私の言つているのは、今の奥野君の答弁で、国と地方を通じて考えるべきであるという議論であるが、国と地方を通じて考えるべきであるということはわれわれわかつている。わかつているのだが、そうだとすれば、それをコントロールするためには、地方村政平衡交付金があるということなんです。従つて私は筋を通した方がいいと考えている。法人に個人と同じような税金をかけるならば、そこにたくさんの財源ができて来ることはわかりきつておる。そういうものはそれでいいのだ。財政がどうしても足りないなれば、結局今の配付税なりあるいは地方財政平衡交付金なりでコントロールされているわけである。従つて国と地方とを通ずる税金を、そんなに自治庁が大蔵省のようなものの考え方で考える必要がないじやないか。足りない分は大蔵省からとつて来ればいいのであつて、何もそういうややこしいことをしないで、法人がいかにも軽いように見受けられるような形でなくて、同じような税率で税金を納めて、それでなお足りない分は配付税なりあるいはその他の方法でいくらでも穴埋めはできるのであるから、私は自治庁のものの考え方を聞いているのである。大臣になつたつもりで答弁すれば別であるけれども、事務的の答弁なら、閣議に出たつもりで答弁しなくてもここではいいのであると私は考える。だから自治庁の立場からひとつこういう法人その他に対して、地方税の面であまり優遇することがいいか悪いかということを、自治庁ははつきりしておきなさいということを言つておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/176
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177・加藤精三
○加藤(精)委員長代理 門司さんに申し上げますが、たいへんむずかしい理論になりましたので、どうもこれは相当長時間を要しますので、小委員会におきまして心行くまで研究することにいたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/177
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178・奧野誠亮
○奧野政府委員 ほんとうは門司さんの御質問の趣旨がよくわかりかねておりまして、御質問に対するお答えになつていなかつたようで恐縮であります。今伺つておりますと、市町村民税について法人と個人との間に、法人税割なり所得割なりについて差を設けている。これを同一にしたらどうかという御意見、それと固定資産税その他において、これは法人に軽課しているではないか、こういう二つでありますが、その第一点について先に申し上げますと、私たちは個人とは違いまして、法人の所得に対する課税は、法人の性格上比例税率を用いております。比例税率を用いておりますので、これは国で課税をしようと市町村で課税をしようと、他の税目配分を通じて市町村の実態に即した収入が得られたらいいのではないか、ことにまた法人の所得を国で何パーセント課税をし、地方で何パーセント課税をしたらいいかということにつきましては、それだけでは正確な結論が得られないのではないかというふうなことを考えております。従いまして所得を課税標準にいたしますものに限りましては、必ずしも個人と法人と同一でなければならぬということは考えておりません。差があつてもよろしいのだ、かように考えております。ことに市町村の場合には、法人の所得を課税標準といたしますようなものが、あまり多い場合には、その団体の財政の安定性を欠くことにもなりますので、かえつて差のあることが好ましい場合も生じて来るのではないかという考え方を自治庁としては持つております。
それから第二に、固定資産税につきまして特に法人を軽くし過ぎておるというようなお考え方のようでございますが、これは結果においてはそうなるかもしれませんが、法人の持つているものだから、個人の持つているものだからということでは、私は区分はいたしていないつもりでございます。ただその償却資産の性質にかんがみて措置をしているわけであります。ただまたそういうようなものになつて参りますと、どうしても多額な資本がなければできませんし、自然また法人形態をとつて来ているということになつて参りますので、結論的には門司さんのおつしやつたようなことになるのかもしれませんが、自治庁の考え方としましては、法人だから個人だからというような考え方はとるべきではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/178
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179・門司亮
○門司委員 そういう処置をとるべきでないということになればそれでいいのであるが、従つてそれに基いてさつきの資料は至急にひとつ出してもらいたい。その上でなお検討したいという気でおります。
それから今問題になつております例の電気ガス税の問題であります。これは今度の修正案にはほとんど見るべきものは私はないと思うのだが、電気ガス税については当局はどう考えておりますか。従来の従量税と従価税の問題だが、これはやはり依然として従価税で行こうというものの考え方ですか。これは改められる意思はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/179
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180・奧野誠亮
○奧野政府委員 先ほど来も申し上げましたように、やはり電気ガス税は将来消費税的に考えて行くべきものだろうと考えております。その限りにおきましては、やはり消費価格というものを課税標準に用いて行きたい、こういう考え方を持つておりまして、やはり従量税よりは従価税でや行つてきたい。ただ工業方面で課税されます場合には、門司さんのような御意見が特に出て来るだろうと思うのでありますが、将来の方向としましては今申し上げましたような方向で考えて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/180
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181・門司亮
○門司委員 それでは話が違うのじやないですか。大体従量税にした方がいいのだが、これは徴収に非常に困難だ。はつきり言えば、電気会社が応じないのだということが原因ではないですか。これはそうと違うのかね、はつきり言つておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/181
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182・奧野誠亮
○奧野政府委員 消費税としてはやはり従価税の方が穏当だ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/182
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183・門司亮
○門司委員 従価税が、穏当だということになりますと、これは低額使用者が非常にたくさん税金を払うように形の上でなる。電気の多量の消費者が割引をされているということは明らかな事実です。それで私はやはり電気ガス税については従量税で行つた方がいいのではないかというようなことが考えられる。そうしないと——ガスは全部ほとんど従量税の計算の方式をとつているので、大体使用者がそういうことになつており、使用料金というものが使用量に応じてとられているが、電気の場合は必ずしもそうではないと思う。従つて農村で一燈か二燈しかつけていないところが従価税でとられると、非常に高い税金を払わなければならぬ。それからこれは少しりくつになり過ぎるのだが、ほんとうの電気料金を算定するということになると、非常にむずかしくなるだろうと思うが、御承知のようにいなかの方の電気は非常に暗いことはわかり切つておる。そうして料金だけはやはり高い料金を払つておる。それに応じた料金を払うのならいいのですが、これは非常な割高になつおる。それだからわれわれとしては、そういうものを加味して電気ガス税を徴収しようとすれば、やはり主体はどこまでも従量税に置くべきではないか、そうして従量税として一燈か二燈でどうしても測定の困難のようなものは、これはあるいは従価税にするというのなら現在のような一律一体の従価税ではなくして、そこには何らかのやはり調整をする面を設けることが必要ではないか、こう考えるのだが、当局はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/183
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184・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話のように電圧が非常に下つて来た場合に、いなかで定額で暗い電気を使つておるにもかかわらず、従価税で課税された場合は酷ではないかというふうな例もあろうかと思います。ただしかしながら一般的に考えまして、御承知のように料金をきめます場合には、政府の認可を受けなければなりませんし、認可を受ける際には社会政策的な考え方も多少織り込まれまして、定額燈などについては特に低い税率を用いるというふうにきめられておるように私は承知しております。また割当てられました電力量を超過いたしまする場合は、さらに高い料率に従つて計算をした料金を納めなければならないような形にもなつておりますので、従価税で行つた方がいい面も相当あるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/184
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185・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 電力料金の問題で農村の誘蛾燈、それから脱穀調製用の動力なんかの使用に対して、当然私は免除すべきだと思うのですが、そういう点に対する自治庁の考え方を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/185
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186・奧野誠亮
○奧野政府委員 法律に基きます政令によりまして、今お話になりましたような電気に対しましては、電気ガス税を課さないことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/186
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187・北山愛郎
○北山委員 委員長、市町村民税でもいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/187
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188・加藤精三
○加藤(精)委員長代理 税目別に今進んでおりますから、税目別の質問が全部終りましてから、あとで、一般質問で願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/188
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189・中井徳次郎
○中井(徳)委員 ちよつと中座をしておりましたので、もう終りの方に行つておるようでありますが自動車税のことで、先ほどお尋ねしたことに関連してお尋ねをいたします。自動車税はまだですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/189
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190・加藤精三
○加藤(精)委員長代理 一応済んでいるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/190
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191・中井徳次郎
○中井(徳)委員 済んでいるのなら一つお尋ねいたしたいのです。全国の地方鉄道、軌道については、交通の面から、われわれの見るところでは固定資産税が非常に安くかかつておる感じがするのです。しかるに自動車税だけは最近ますます高くなつた。私は自家用の自動車についての税金には原案に賛成するものでありますが、営業用のものについてこういうふうに毎年上つておるということは、どういうことを政府はお考えになつてこの案をつくられたのか、ちよつとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/191
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192・奧野誠亮
○奧野政府委員 自動車税の増税につきましては、提案理由の説明に書いてありまするように、全体として五割程度の増収を見込みたい、こういうふうな考え方をとつたわけであります。御指摘のように鉄軌道に対する課税と自動車に対する課税との均衡の問題につきまして、いろいろな論議がなされます。お話になりましたような考え方もございますし、また鉄軌道の所有者側から言いますならば自動車はただの道路を使つておるのではないか、鉄軌道は自分で道路を設け、これを維持修繕しておるではないか、こういう言い方もするわけでありまして、必ずしもどちらがどうとも言い切れないのではないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/192
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193・中井徳次郎
○中井(徳)委員 今の鉄軌道の方の主張は、一応世間をごまかすために非常にいい説明だと思います。しかし実際考えてみますと、保守はやつておると言いますが、実は占用しておるわけであります。今の全国の私鉄は交通としては非常にりつぱなところとか、そういうところをとりまして占用しております。それから現実に、たとえば全国でしばしば問題があるのでありますが、ひとつ踏切りを改善してくれと言うただけでも、市町村が金を出さぬことにはなかなか改善をしない。あるいは踏切りに一人番人をつけてくれということになれば、年額三十万円かかるからどうだとか、五十万円かかるからどうだとかいうことであつて、実際は横暴をきわめておるというのが実情だと私は思うのであります。特に大都市付近の踏切りなんかについては、今交通事故のほとんど大半はそういうものから起されておる。それに対する責任はあげて私鉄にあるにもかかわりませず、ほとんど放擲されており、非常に危険な状態であるわけであります。従つて道路行政の面から言いましても、非常にじやまになるというような形で、私はこの自動車と地方の鉄軌道との関係は、もつと真剣に深く考えてもらいたいと思うのであります。今、日本の貨物輸送の状況は、御存じないかもしれませんが、大体現在におきましてはトラックによる輸送の方が、鉄道その他の輸送よりもうんと多いのであります。しかもこの案を見ますと、観光バスなんかについては特に高くなつております。これはぜいたくだという考え方からであろうと思うのでありますが、地方鉄道というものはほとんど貨物でなくて乗客であります。観光というような意味で重く課するならば、地方鉄道も同じような考え方をされねばならぬと私は思います。こういう意味から言いまして、自家用はともかくといたしまして営業用——現在の日本の趨勢から行きまして、鉄道の新線の建設なんというものはもうやめようじやないか、全部バスにしようじやないか、こういう形のようであります。これは世界各国の傾向でもあるわけであります。そういう点から、そう簡単に上げられては私どもは非常に困る。バスなんというものは、決してぜいたくではありません。現在においては大衆の足になつておるわけでありまして、電車とちつともかわりはないわけであります。この点について、そういう占用であるからどうだというようなことでは納得できないのであります。ただわれわれの見るところでは、この自動車税は府県税であります、それから固定資産税は市町村税という点において、どうも県の財政を助けるために特にこれだけ取上げて、横の連絡は全然実は考えておらなかつたというのが、ほんとうではなかろうかと私は思うのでありますが、大体今度こういうふうに値上げをして、幾らぐらいの増収がありますか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/193
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194・奧野誠亮
○奧野政府委員 自動車税の税率の引上げによる増収は二十一億五百万円でございます。なお鉄軌道と自動車の関係につきまして、私はこういう言葉も言われておるということを申し上げただけのことでありまして、それを特に中井さんの御意見に対する反対論として申し上げたのではございませんので、御了承を願いたいと思います。なお自動車税の課税率引上げにあたりましては、自動車の価格を基礎にいたしまして、それぞれその耐用年数から行きました各年の価格、これに固定資産税が課されるものとすれば、どの程度になるものであろうかというようなこともあわせて検討いたしまして、この程度の増率ならばやむを得ないのではないだろうかというふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/194
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195・中井徳次郎
○中井(徳)委員 今固定資産税との関連をお述べになりましたが、そうなりますると、先ほど申し上げたようにこれはひどいと言わざるを得ないと思うのであります。鉄軌道の方は時価にいたしますると、今千分の一・四という固定資産税でありますが、実際は一万分の一・四ぐらいになつておる。自動車は一万分にこれを直しますと、一万分の百とか三百になつておると私は思う。ですからその点については納得はできないのであります。その点は私どもも修正案を今練つておるわけでありますが、政府におかれても、どうもそう簡単に値上げをなすつては困ります。
それからもう一つ、念のために聞いておきますが、自動車税は去年かおととし一度上つたんじやありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/195
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196・奧野誠亮
○奧野政府委員 昨年も増税が行われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/196
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197・中井徳次郎
○中井(徳)委員 今や日本の道路は世界で一番悪いといわれております。そういう面からいつて、これを上げるについて、府県としても必要であるという議論もあると思いますが、その点の思想的な統一がまだ政府においてなされてないように私は思うのでありまして、ガソリン税ははつきりとした目的税ではありませんけれども、大体それに使うということであり、しかもそれも今度値上げをされておるわけであります。従つてどつちかにひとつ統一してもらいたい。とにかく金さえ入ればいいんだ、道路をよくするんだというようなことではなくて、ガソリン税で行けば行く、そのかわりに、自動車税というものはこういうふうにするからという考え方、両方でとりやすいというようにしなければ、どうも私は納得できないのであります。あなた方の説明にもありましたように、道路運送車両法ですか、これの一部を改正しまして、自動車の検査のときに税金をとつております。従つてこれは百パーセントとれるわけであります。しかも自動車の数は毎年々々激増しておるのであります。私は別に、この問題は単価を上げなくても、数年ならずして倍になるというふうなことを予言申しておきたいと思うのであります。従つて毎年毎年、今の御答弁のように税率を上げるということにつきましては、私どもは何もバス業者のお先棒をかついでおるわけでは決してありませんけれども、バス業者としても料金の決定その他については、鉄軌道と同じような統制を受けておることでありますし、あまりどうもひど過ぎると思いますので、その点を最後に一言申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/197
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198・加藤精三
○加藤(精)委員長代理 ちよつと御相談申し上げたいのでありますが、以下鉱産税、木材引取税、入湯税につきましては、今回改正はございませんので、一括して御質疑いただいてはどうでございましようか。——御異議がないようでございますから、さようにいたします。
鉱産税、木材引取税、入湯税についての御質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/198
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199・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 木材引取税についてちよつとお伺いしたいのですが、大体昨年度はどれくらい徴収されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/199
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200・奧野誠亮
○奧野政府委員 二十八年度の徴収実績は、まだ年度の中途でありますのでわかつておりませんが、二十七年度の決算見込みは十億一千万円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/200
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201・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 私ども材木の生産地におる関係上、いろいろ現状を見ておるのてすが、実除問題としてこれほど脱税されている税金はないと思うのです。これをこんなままにほつておくのであれば、有名無実だと思いますし、いつそのことほうつてしまつたらどうかというような考えを持つているのですが、そういう点に対してどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/201
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202・奧野誠亮
○奧野政府委員 木材引取税について御説のような向きもあろうかと思います。ただ、もし現行制度が正確に実行されるような場合には、伐採について許可を受けなければなりませんし、所在の市町村が課税するわけでありますから、厳格に把握できるといえばできるわけであります。ただうまく行つてないところも若干あろうかと思います。なお漸次そういう点は是正されるんじやないだろうか。現状を重く見て、将来においても運営の困難な税だというふうには考えたくないと思つております。ただ木材を伐採いたしまして搬出します際に、所在市町村の道路や何かがかなりいためつけられるのであります。そういうような意味においては、ある程度林業関係者に税金を負担してもらいたい。かたがた山林に対しまして固定資産税を課税する場合におきましては、立木価額を除外して林地の評価額の中に織り込まないというような方式を採用いたしておりますので、なお木材引取税の形において、このような負担関係の調整をはかつて行きたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/202
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203・門司亮
○門司委員 今の木材の引取税ですが、これはどうですか、税総額は今年の見積りは十三億のような気がいたしますが、税額としては総体的に見てそう大したものでないように思いますが、しかし当該町村にとつては、重要なる財源であるということも一面言えると思いますので、半面には結局これが木材の取引高税である関係から、勢い流動性の性格を持つておるから、ものが上つて来るという形を必然的にとつて来る。そこでこの兼ね合いですが、今日のような木材が非常に払底しておるときに、こういう税金をかけるということは、いたずらに木材取引を困難にするということになるのじやないかと思いますが、それはたとえば購買力の関係であります。こういうふうにデフレの関係で不景気になつて来れば、物にかけられた税金の徴収は困難であり、さらに物価も高くなつて来るということで、今の政府の施策と逆行するような形が出て来やしないかと思いますが、僻村の貴重な財源であるということはわかります。物価体系の上から行けば、おもしろくない税金ということが言えると思いますが、この点については当局はどういうふうにお考えになつておるか、一応御意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/203
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204・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話のように、デフレ的の傾向をたどります場合には、木材引取税のようなものは好転する性格を持つのではないだろうかと思います。木材引取税は御指摘になりましたように、所在の市町村におきましては相当の財源でありまして、しかもまた非常に長い沿革を持つておりまして、木材が搬出されます場合は、ある程度何らかの形で応益負担をしてもらう、これは多年行われて参つておりますので、やはり一つの制度として合理的に運営されるような方向に持つて行きたいというふうに思つておるわけであります。
〔加藤(精)委員長代理退席、委員長着席)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/204
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205・門司亮
○門司委員 これは現行法にそういうことが書いてあるのです。第二項におきまして、「立木の伐採後当該市町村の条例で定める時までに素材について引取者がない場合においては、立木の伐採をもつて素材の引取と、立木の所有者をもつて素材の引取者とみなして、前項の規定を適用する。この場合における木材引取税の課税標準とすべき価格は、立木の所有者が素材の引取者とみなされた時におけるその素材の価格とする。」こういうふうに書いてある。こういうことが書いてあるということになりますと、勢いどうしてもこれは素材に含まれざるを得ないという形が出て来ると思うのであります。もう一つ問題の出て来るのは、伐採した立木を持つておる者にかけるということになると、次の植林その他について多少影響が出て来ると思います。現在でも木材引取税、さらに許可等を受けなけれでならないということになつておつて、めんどうなものであるから、所得税の関係から、あまり山は伐採後の植林が行われておらない。植林が非常に困難になつておりまして、かなり農村の大きな問題になつておる。従つてやはり国が補助してまでも植林しなければならないということが考えられておる半面に、こういう木材引取税というものが残つておつて、引取者がいなければ、立木を持つておる者は素材を持つておる者と同じようにみなすというようなことで、半面山持ちにかけられるということになりますと、その間に矛盾が出て来るのではないかと思います。非常に貴重なる僻村の財源であることには間違いがないのだが、税の本質から言つてこの税金は一応やめられたらどうかと考えられるのだが、そういう考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/205
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206・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘になられましたような条文から考えますと、山林の所有者に課税されるのではないかと御心配になるのはごもつともです、ただ多くの売買の例の場合には所有者が伐採をして売るというよりも、やはり買受人があつてこれを伐採をして、さらに製材業者に売るとかいう形をとる場合が多いように私は承知をいたしておるのであります。従いまして実際問題として、相当長い間伐採されたままで寝ているということは、比較的少いじやないだろうかというふうに思つております。もちろん御心配になりますような例があまりあることは望ましくございませんので、そういう場合には市町村といたしましても、徴税の時期を猶予するなり何かいたして参らなければならないだろうと思います。ただ植林の点を御心配になつておりますのは、まことにごもつとものことでありますが、先ほど来たびたび申しますように、山林に対する固定資産税の方面において、立木価格を算入しない、また他面木材が搬出される場合、道路の損傷を考えるとある程度の応益負担を考えたいということから、多年にわたつてこの税が山村の有力なる財源になつて参つておりますので、なお継続して参りたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/206
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207・中井徳次郎
○中井(徳)委員 今の木材引取税でちよつと伺いたいのですが、今は税率が百分の五ですが、それが高過ぎるのだ。日本全国の木材の引取税の合計が昨年の計算では現在大体十何億と言われますが、その程度の金でしたら実際のところ百分の二でも一でも私は十分だと思う。でありますから、そこに問題があるのではないか。一年の国民経済の総額は六兆とかなんとか言つておりますが、少くとも木材の取引高は一年に一千億以上あると見ております。そういう意味から言いまして、この税金は、実際地元に参りますと、ほんとうの売買の価格で厳格にやれば非常な金額になります。しかしそうなるとあの村の山を買いに行くのをやめておこうということになつて参りますので、いいかげんな妥協を各町村において実はやつておる。これがまた不平不満の原因の一つになつておるわけです。ぜひこの点は、残すのならば研究をしてもらいたい。百分の一なら一、二なら二という程度でしたらみんな出します。脱税とかなんとかいうことがなくて、しかも十一億程度の金は幾らでも集ると私は思う。ぜひこれはひとつ研究してもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/207
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208・中井一夫
○中井委員長 次に第八節、入湯税について御質問がありますか。——大石委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/208
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209・大石ヨシエ
○大石委員 この入湯税についてはここでたびたび申し上げておるのですが、一般大衆は一日二十円支払つても、これは業者がごまかして、なかなか入りませんですよ。こういう間接税をどういうふうにお考えになつておるのですか。奥野さんでも鈴木さんでもけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/209
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210・奧野誠亮
○奧野政府委員 ただいまの点にお答え申し上げますが、入湯客といいますか、宿泊者といいますか、これを正確に抑えますることが、入湯税のみならず所得税なり、あるいはまた遊興飲食税なり、あるいは事業税なりの基礎になる問題でございますので、ぜひこれは的確に把握して参らなければならないと思います。従いまして根本的には納税者に正確に申告してもらうことを期待しなければならないのでありますが、徴税する側といたしましては、他の同種の業態のものと権衡をとつて参りまして、申告額が正確であるかどうかということを、ある程度正確に把握できるのではないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/210
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211・大石ヨシエ
○大石委員 そうするとこういう税金はだれも見ておらぬのですから業者がごまかすので、もつと正確にとれるような方法をお考えになつたらいかがですか。こういう間接税でなくて、宿泊料の中でこれを何とかするとか、そういうふうにしておとりになつた方が正確にとれると思う。現在のようなことだつたらこれはごまかします。千人入つても百人と言つて届けたらそれでよろしい。もつと正確に税金がとれるようにしないと、納税の義務を果す国民が何とかして課税されることをごまかそうとする。そういう考え方を何とかかえて行くためには、こういう間接税ではいけないだろう。宿泊料に対して何ぼと、はつきりとつた方がいいと思うが、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/211
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212・奧野誠亮
○奧野政府委員 所在の市町村に対しましてもある程度の税額を与えたいということから、遊興飲食税とは別個に市町村の財源にたいしておるのであります。各旅館における宿泊客は何人あるかということにつきましては、先ほど申し上げましたような理由によりまして、権衡調査なりあるいは納税者の協力なりを得まして、漸次是正して行きたい、また行けるのじやないかということを期待しているわけであります。なおいろいろ御指摘いただきました問題につきましては、将来具体的な問題にできますように研究いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/212
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213・大石ヨシエ
○大石委員 これはほんとに貧しい人も温泉療法に行くことがあるのです。これを府県では間接税として見積りでやつております。つまり何ぼがけとかいうて目分量でとつておりますが、妥当な課税ができない。これでは納税をごまかす精神を国民に植えつける。それで私はこういう間接税はいけないと常に申し上げておるのです。ことに入湯税というようなものはごまかします。ぜひとも将来はこういう間接税はないようにしていただきたいということを特にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/213
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214・門司亮
○門司委員 今これはやめた方がいいという意見ですが、これはやめてもいいと思うのです。こういう税金をかけなければならぬようなところは、それほど町村の財政が苦しくないのじやないか。こういうものをとらなければならないほど町村財政が苦しいとは考えられない。だからこういうものはやめても町村財政には大して影響がないじやないか。こういうかつこうの悪い大衆課税なんか早くやめた方がいいじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/214
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215・奧野誠亮
○奧野政府委員 一概に言えないかもしれませんが、こういう鉱泉浴場所在の市町村にありましては、他の市町村とは違いまして、道路も鋪装しなければならない、あるいは街路照明も必要だ、これを市町村の経費でやらなければならない、そういう施設は特に厖大に上るのでありまして、それはむしろこういうところに財源を求め、それらの収入を施設に還元して行つた方がいいじやないかという考え方も立とうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/215
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216・中井一夫
○中井委員長 次は第九節、市町村法定外普通税、第六百六十九条から第七百一条まで、さらに進みまして第四章、目的税、第七百二条から第七百三十三条までであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/216
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217・門司亮
○門司委員 資料をひとつ出しておいてもらいたい。この前も話があつたが、都道府県税と市町村民税の法定外独立税がどのくらいあるか。税額も書いてありますか——それならそれでいいのです。
そうすると、目的税の分で、どういう関係を持つているかということをこの際ちよつと私は聞いておきたいと思うのです。例のガソリン譲与税の問題ですが、あれが国税としての目的税という形に大体なつておるわけです。これは附帯決議がそういうことにさせてしまつておるのだが、どうも国税の目的税というのはおかしいような気がする。大蔵省でない人と議論をするのはおかしいのだが、目的税の本質というものは、私はああいうものであつてはならないと考えるのですが、その点についてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/217
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218・奧野誠亮
○奧野政府委員 私たちは、やはり目的税と言いまする以上は、その収入を納めているところに直接経費が還元して行く、これが常態だろうと思います。そういう意味においては、門司さんが御指摘になつておりますように、揮発油税を、国の目的税だ、地方税において使つておるのと同じ意味における目的税だと言うのは、多少穏当じやないのではないかと思います。従いましてあの法律は、目的税というような形を表わしませんで、その揮発油税の収入額以上のものを五箇年計画の道路の補助金に充てなければならない、こういうふうな立法をしておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/218
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219・北山愛郎
○北山委員 目的税のうちで国民健康保険税ですが、税目の中では一番終りのところにあるわけで、りくつの上では大した問題のないようなものであります。しかし地方の市町村がこの国民健康保険税を徴収するということにはずいぶんいろいろ問題があるわけなんです。まず第一に、現在国民健康保険税の徴収の状況が一体どんなふうになつておるか、非常に徴収状況が悪いという話を聞いておりますので、それらについての資料が何かありましたならば、お出しいただきたい。
それからもう一つは、この課税の最高が三万円を越えることができないということで、これも多少問題があると思うのですが、これについていろいろな不平なりあるいは最高制限というものを撤廃してもらいたいというような意見がないかどうか。この二点についてお知らせを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/219
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220・奧野誠亮
○奧野政府委員 国民健康保険税の二十七年度の収入済額は四十二億七千百万円であります。現在におきましても、なお国民健康保険税によりませんで、使用料でやつているところもかなりあるようでございます。しかしながら、使用料ではどうしても徴収成績を確保することができないという議論から、税という形にかえて参つたわけであります。
なお最高限度の金額を引上げたらいいじやないかという御意見でございます。これも、引上げた方がいいとか、どの程度にすべきであるとかいうふうな議論はいろいろあろうかと思つております。ただこういうような限度額を設けておりまするのは、一種の受益者負担じやないか、受益者負担について、所得があるからといつて、無制限に負担額を増額することも不穏当じやないか、だから受益者負担ではあるけれども、そこにある程度応能的な負担のきめ方をする、しかしまた半面、応能的な負担についてもある程度の限度を引く、そういうようなところからこのような金額が出て参ると考えておるわけであります。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/220
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221・北山愛郎
○北山委員 何に賛成しているのかわかりませんが、実除にはこういう国民健康保険税というものは非常に問題がある。なぜかと言いますと、市町村民税の附加税のようなかつこうなんです。しかも税については、ただいまお話の通り、応能的性格がなおきついというわけで、下の方には重く、上の方は三万円で切つてあるというような関係で、一般の市町村民の常識と食い違つておつて、そこにいろいろ問題があるということと、市町村民税の所得割なら所得割というものに比例して課税額をきめておりませんで、そこにいろいろなきめ方があつて、始終ごたごたしておるのと、もう一つの大きな原因は、一戸当りの負担額が非常に多い。おそらく二千五百円以上が普通だろうと思う。ですから国民健康保険事業をやつているところならば、住民税プラス国民健康保険税というものが大きくのしかかつて来て、しかもそれが比較的収入の少いところにも相当額かかつておるということで、これは地方の市町村の側から見ると、非常に問題の税であります。従つて国民健康保険をやつている市町村では、市町村民税と両方をにらみ合せて課さなければならない。単純にこれは目的税だから必要なだけかけるといつても、実際にはなかなかそうは行かない。そういう関係で、なるべく国民健康保険税を少くして、一般会計からの繰入れでこれを補うというようないろいろな苦心をいたしているはずであります。
そこでお伺いするんですが、自治庁としてももう少し現在の国民健康保険の実態をよく調べていただきたい。これがいかに住民税に対する圧迫となつているか。さらに今度は、道府県民税が創設されるということになると、住民税的な性格のものが三重にも四重にも五重にもかかつて来るというようなわけで、実際やりきれたものではない。この表の中では一番しりのところにぽかつと来ておりますが、実際は非常に問題のある税であるから、賦課方法とかあるいは国民健康保険事業の維持について、税の財源によつてやる部分は幾らというような、一つの限度を設けるとかという点については、十分お考え願いたいという希望を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/221
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222・中井一夫
○中井委員長 第五章都等及び固定資産税の特例、第一節都等の特例、第二節固定資産税の特例を一括して御質疑をお進めいただきます。中井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/222
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223・中井徳次郎
○中井(徳)委員 固定資産税の特例についてちよつとお尋ねいたしたい。
今、住宅営団等で借金をして建てている庶民住宅に固定資産税がかかるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/223
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224・奧野誠亮
○奧野政府委員 公営のものについては課税されておりません。個人が所有いたしておりまするものについては課税されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/224
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225・中井徳次郎
○中井(徳)委員 最近政府は非常に奨励しておりますが、われわれとしてはまだ金額的に不満であります。個人が住宅営団から借金して建てている家が相当あるのであります。しかしいろいろ手続が煩瑣であつたり何かして、予算通り行つておりません。これについて今の御答弁で、固定資産税が何ら特別の措置もなくして、そのままかかるということは、私はどうも筋が通らないように思います。現在もしそういう状態であれば、少くとも五箇年間とか何とかということで軽減されるのがいい。と申しますのは、結論的に言いますと、これは十年か十五年でおのおの個人のものになります。従つて純理論から言えば、十五年たつてから税金をかけてもいいのではないか。それまでは借金であつて、建物の所有権は自分にあるということでありますが、実質上は必ずしもそうではございません。毎月三千円とか四千円という非常に高額な金利と返還金を出しておるというような状況であります。国も住宅の奨励の趣旨から言いましても、この点はぜひ適当な特別措置を要望したい、かように思いますが、自治庁の御意見をちよつと伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/225
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226・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 住宅政策の推進の見地から住宅金融公庫の融資を受けて個人が住宅を建設いたします場合の問題でございますが、これにつきましては先般も申し上げました通り、現在実際の行政指導におきまして、十五坪未満のいわゆる公庫住宅に対しましては、三年間二分の一税を軽減する、こういう実際上の措置をとつております。そういうふうに御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/226
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227・門司亮
○門司委員 都とそれから区の問題はこの間の委員会でも私は大分聞いたのです。どうもはつきりした答弁がなかつたのだが、自治庁としては今度の税法によつて都と区の間は、この間も話しましたように非常に混乱すると私は思います。だからこれらについて特別の処置か何かお考えになつていますか。これはさつき言いましたけれども、例の市町村民税が今でも問題になつておるのと同じようにこれが府県民税にかわつて行つて都がこれを徴収する権利ができて来るということになると、今の吸い上げ条例との関係で、相当こんがらかつた問題を私はこしらえやしないかと思いますが、これについて何か解決の方法はございますか。国会でこんなものをこしらえたからこんなことになつたといつて叱られる危険性を持つておりますから、ひとつはつきりしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/227
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228・奧野誠亮
○奧野政府委員 府県民税を設けた場合に、都と特別区との関係がどうなるかという御心配はごもつともなことでございまして、この間も申し上げましたように、都としては個人分については府県民税相当の分も特別区にとらしたい、こういう考え方を言つているわけであります。しかしこの府県民税を設ける性質から考えました場合に、そのことがいかがなものだろうかという心配は持つておるわけでありますけれども、なるたけ東京都の意見を重要視して考えて行きたい気持は持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/228
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229・門司亮
○門司委員 そういうことですが個人の場合はいいです。個人の場合は割当だからどつちでもいいが、法人の場合は税率が違つて来る、それの調整はどうなります。これはこのままの税法を適用して来ると、法人の場合は少し今のままで二十三区におけばいいということだけでは言い切れないものが私は出て来はしないかと思うのだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/229
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230・奧野誠亮
○奧野政府委員 市町村民税のうちの法人税は、現在でも都が全部徴収しております。今度均等割が六百円だけ加算されることになりましたので、この分は一法人につきまして二十三区を通じて六百円だけ加算される。それはやはり従来通り都が徴収することになろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/230
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231・中井一夫
○中井委員長 それでは附則に移ります。附則は一括して御質疑をお進めいただきたいと存じます。格別御質疑はありませんか。——それでは本案につきましては、これをもちまして一応質疑は修了したとしてよろしゆうございますか。もし保留の方がありましたら、この機会にお進めをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/231
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232・北山愛郎
○北山委員 ちよつと保留しておきましたから……。例の道府県民税、市町村民税の問題ですが、道府県民税の総括的な最初の質疑のときに問題になつたのは、市町村に徴収させるというような今の方法でやりますと市町村ごとにやり方が違うので、同じ県民でありながら同じ所得その他の条件のもとでも、別々な県民税を納めるような結果が出るということをお認めになつたわけです。それが適当でないということは、この前の公聴会における公述人の井藤教授もその点を指摘されたわけであります。従つてこれは私も初めからそういう意見なんですが、そのようなやり方はどうも税の原則に反するという点で非常に疑問を持つておるわけです。ひとつお伺いしたいのは、そういうように府県が府県民に対して不公平な課税をする、いわゆる均一でない課税をする場合の規定が原則としておそらく第六条がそれだろうと思うのです。均一課税を認められる場合は公益上その他の特別の事由だと書いてあるわけです。ですからそういうような事由がない場合は均一でない課税はできないという趣旨に解釈すべきかと思うのです。そこでもしも今のこの税法によつて課税された納税義務者から、その点をたてにとつて異議の申立てをし、あるいは訴えをするというような場合にどういうことになるか、おそらく法律上は今の均一でないようなことが生ずるような徴収方法、賦課方法をとるという四十一条の規定というものは、単にこれは市町村に対しての徴収、あるいは賦課手続を規定しておるのであつて、その規定によつて県民は拘束をされないのじやないか。だからもしも不均一の課税をする、そういう場合を認めるという場合には、はつきりとその字句をうたわなければこれは対抗できないのじやないかというように考えられる。従つてそのような異議の申立てがあつて、そして裁判になつた場合に、裁判所でもつて、あるいは府県の方が負けるかもしれないというようなことが起り得ないかどうか。その点をまず聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/232
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233・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 道府県民税を課税いたしました場合において、御指摘のように府県から市町村に対しましては、当該市町村の所得税額の合計額を基礎にいたしまして按分をするわけでございますが、それを市町村でどういうふうに徴収をするかということは、それぞれの市町村におけるどの課税方式をとつておるかということによつてとることになりますから、従つて同じ府県の中で、甲の市と乙の市の中に住んでおるものが、負担をする額が違つて来るということは、あくまで御指摘の通りでありますが、これはこの三十三条におきまして配賦の方法を肯定をいたしておるわけでありまして、この三十三条自体がそういうような結果を生ずることを当然のこととして規定をしておるわけであります。現行法の第六条によつて、不均一の賦課をする場合には、さような一般法に根拠なくして、一般法の原則と異なつて、特にこういうような不均一の課税をする場合には、公益上左の事由がなければならぬ、こういうことに規定をしておるわけでありまして、この三十三条はその第六条を排除いたして、むしろ一般的な原則としてこれはかようなことを規定しておるわけでありますから、かりに今仰せになりましたようなことを理由といたしまして、不均一の賦課である、従つて不公平なる賦課であるということを違法の理由として異議の申立てをいたしましても、その異議の申立ては成り立たないと考えるのであります。何となれば、その根拠は法律自体がそういうことを予定をしておるからということになると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/233
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234・北山愛郎
○北山委員 私も一応そういうりくつを考えるのです。一応は成り立つようです。ところが三十三条というものは、はつきりと不均一になるということを書いているんじやないのです。なるかもしれないというおそれがそこに生ずるだけの話であつて、それならば、こういう場合には不均一になるおそれがあるぞ、その場合には第六条の規定にかかわらず不均一になることがあるぞということを明記しなければ、これは対抗できないかと思うのです。三十三条ではただ事務上そういうことが起り得るということを規定しているのにとどまる。納税義務者に対してそういうことは言い訳にならないのです。だからして納税義務者が、第六条によるところの不均一課税のはつきりとした理由なり明記されたものがない限り、おれと同じ条件のなにがしがおれよりも安い府県民税を納めている、あれは不届きだ、第六条の違法であるということで訴えをされた場合には、少くとも私には相当有力な訴えの理由になると思われる。これを裁判した場合に、もしも政府の方が敗けた日にはこれは目も当てられない騒ぎになると思うが、大丈夫自信があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/234
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235・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 その点は今三十三条と申し上げましたが、さらに四十一条の賦課徴収の規定を見ましても「当該市町村の個人の市町村民税の賦課徴収とあわせて行う」とはつきり書いてありますから、しかもその方法としては「当該市町村の個人の市町村民税の賦課徴収の例により、」こう書いてあるわけでありますから、従つて市町村民税賦課徴収の例が第一方式、第二方式あるいは第三方式によることの結果としてそれぞれ違つて来るというこは、四十一条が当然に明らかに法定をしていると言つてもいいのであります。従いまして今のようなことを理由として異議の申立をいたしましても、これはもう全然訴訟として成り立たないものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/235
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236・北山愛郎
○北山委員 そうすると三十三条なり四十一条というものは、第六条の「公益上その他の事由」の中に含れておるのであるか。あるいは第六条の規定にかかわらず、そういうことができるということであるのか、どちらでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/236
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237・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 第六条の規定は、いわば第二章以下の各税におきまして、それぞれの税率を定めて一定の税をとることにしておるわけでございますが、そういうものに対して第六条では、一般的に公益上その他の事由があるならば、不均一の賦課ができるということを言つているわけでありまして、従つてこの道府県民税あるいは市町村民税につきましても第六条の規定は当然適用になつて来る。従つてこれについてさらに当該市町村内で不均一の賦課をするということは、第六条の根拠によつて行くわけであります。しかしながらこの道府県民税が甲の市町村と乙の市町村とで違うということは、三十三条なり四十一条の当然の結果でございまして、第六条とは関係がないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/237
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238・北山愛郎
○北山委員 今度はこの裏の方の市町村民税のことなんですが、この前やはりこれも相当質疑の問題になりました例の市町村民税の所得割決定の際の第二方式ですね。第二方式でやる場合その率が百分の七・五と制限税率が書いてあるわけです。これは二・五というものを府県の方にやるというような建前から百分の十から二・五を引いた百分の七・五、こうなるのだと思うのですが、しかしこの前御指摘を申し上げました通り、これは最高税率というかその制限税率でありますから、それを含めてはたしてその目的を煙し得るものであるか。実質はオプシヨン・ツーをとつた場合に、課税町村ごとの課税総額に対する所得割の税の総額というものは、百分の六であるとかあるいは七であるとか、そういうことになるわけなんです。最高制限税率が百分の十であつた場合に、総体の金額から言えば百分の六とか七とかいうところにとどまるわけなんです。実際ここで目的とするところはその百分の六ないし七というようなものを四分の一その分から府県に渡そう、こういう趣旨なんです。その目的を達するために、この制限税率を二・五下げたならば副作用が起るんじやないか、要するに所得の多い人、今まで百分の十を納めておつた人が二・五下るという結果になつて、上の方の人が不当に利益を得るというか、その税が軽減されるというような副作用を生むのではないかという点を御指摘を申し上げた。これは質疑の間ではございませんでしたが、やはり自治庁でもある程度そういうことは起り得るんじやないかという御意見もあるようでありますから、この点をひとつ確かめておきたいと思うのです。こまかい技術的なことでありますから、また時間もとりますから、もしもあまり時間をとるようでありましたら、小委員会等においてでもいいのでありますが、私の言うことが間違つておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/238
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239・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 今回道府県民税を市町村民税から分割をして設けることの結果といたしまして、第二方式第三方式などで、賦課の制限額の百分の十というのを百分の二・五及び百分の七。五というふうにすることになるわけでございますが、その結果として副作用が起つて来て、今までよりも課税上の自由を市町村が失うことになりはしないかという点を恐れておられるようでございますが、百分の十ということを現在抑えております場合におきましても、その百分の十というのは、たとえば超過累進の税率をとりました場合には個々の税率が百分の十を越えてはいけないということを意味するのか、それとも根つこからその者の所得に対して百分の十を越えないのならばよろしいのかというような議論があつたことは、先般税務部長の申し上げた通りであります。しかし今日の解釈としては個々の税率が百分の十を越えてはいけないという考え方に一応なつておるわけでございますが、これはなお将来の研究問題であるということも先般申し上げた通りであります。ただしかしその問題は、今回百分の十というのを百分の二・五と百分の七・五というふうにわけたから起つて来る問題ではなくて、わけない前からすでにある問題であつて、疑問とし提供せられました点は、まさにわれわれも研究しなければならぬ点と考えておりますが、今回の道府県民税、市町村民税分割の趣旨によつて、特に起つて来た問題というふうには考えないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/239
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240・北山愛郎
○北山委員 それは確かに百分の十の場合でもそれがあつたのです。ところが問題は百分の七・五になるとなおひどくなるということなんです。今まででも市町村で操作上非常に困難をしておる。第二方式をとる場合に、しかも累進なり超過累進がとれないで、単純累進なんかをやつている場合が多いというのは、そこに問題がある。頭打ちになる。頭が百分の十で押えられているものですからどうにもならない。従つて下の方の率が高くなり、下の方にしわ寄せになつて来る。それが頭が七・五になればなおひどくなる。そういうことを私は恐れる。なおそれを二・五に下げますと、副作用として今お話のようなことがさらにひどくなるということを申し上げたので、その点は大体お認めのようでありますから、さらにこれをどうしたらいいかという点については、私小委員会でひとつお互いによく検討したいと思うのであります。
なおこの際少し飛躍しておりますが、自治庁としてはこういう点についてお考えになつておらないか。というのは、この委員会でも問題になつた例の火災保険の問題であります。火災保険会社というのは去年の委員会の際にも、全国から三百六十億の保険料を集めて、そして二割くらいの保険金しか払いもどしをしておらない、経費として五割も使つておるというような実情が明らかにされたわけなんです。しかもこの火災保険のそういうようなボロもうけというか、非常にもうけが出て来るわけなんですが、そのもうけさせておるのは、いわば市町村の消防なんです。極端に言えば、消防が一生懸命になつて働き、そして市町村が莫大な消防費を使つてやつておる。そして被害を少くすればするほど、それは火災にあつた人も、あるいは火災を免れた人も利益を受けるが、同時に火災保険会社が利益を受ける。従つて火災保険会社の利益なるものは不当利得である。近代の普通の常識から言つて、これは不当利得じやないかと思うんです。その不当利得は相当莫大なものらしいんですが、それは政府が認めておる保険料率というものが高過ぎるからである。一つの独占企業なんです。そして最近の話では、もうけたものを、配当率を上げると目立つものだから、増資をして——火災保険会社なんか増資する必要はないんです。それを増資をして、株の無償交付によつてその利益を分配しようとしておる。そんなばかげた話はないんです。そこで結論として、自治庁としてはこのような火災保険と消防費との関係、地方財政との関係というものをにらみ合して、ひとつ火災保険会社からもうけの相当部分を納付金としてとつて、これを地方譲与税として、消防譲与税とかというようなことで配付する御考案はないか。私は非常に名案だと自分で思つているんですが、そういう構想はないか、御検討する考えはないかということを、ひとつお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/240
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241・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 火災保険については、ただいま御指摘のような事実がありますために、御案内のごとく府県なり市なり町村あるいは公営住宅につきまして、それぞれ相互共済の趣旨による火災保険による火災保険の互助組織ができておるわけでございます。従つて府県、市町村自体としては、自己の保有する施設については、おおむねさような相互共済組織によつて、ある程度火災保険会社に保険を付することによつて生ずるより多くの負担を免れておるわけでございます。ただいま御指摘の点はさような公有建物でなく、一般の国民あるいは地方住民の所有しておりまする建物についての保険が、やはり地方の消防との間に非常に大きな関係を持つておるのだから、何かそれにかわるような意味で、納付金制度のようなものを考えたらどうかというお話でございます。その御意見自体には私どもも十分首肯いたす点があると考えるのでございます。ことに地方自治という立場から申しますと、消防によつて直接に利益を受けるもの、要するに一般の国民以上に保険会社というものは、それによつて非常に利益を得るわけでございますから、そういうものに対して特別の負担を課するということは、考えられないことはないと思うのでございますが、何分非常に重大な問題でございまするので、なおよく研究をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/241
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242・門司亮
○門司委員 私はこれが最後であると思いますので、聞いておきたいと思います。それは例の大都市の財政の関係でありますが、御存じのようにまだ地方自治法の改正が十分なされておりません。しかし一応の傾向としては、これは大都市だけでありませんで、普通の市町村にも言えることだと思いますが、地方にかなり事務の配分が行われなければならないということは、地方制度調査会の答申等から見ても、私は当然だと思うし、またその方向に進みつつあると思う。そうなつて参りますと、市町村の財源というものについては、やはり相当考えなければならない段階ではないかと思う。だから私どもといたしましては、でき得るだけ早く、自治法の改正が行われるならば、これをひとつ先に示してもらいたいと思う。そうしませんと、やはり税法の改正等については非常な困難があるのじやないか。ことに地方制度調査会の答申案に基いてわれわれが一応考えて参りますと、大都市の財政というものは、事務配分の関係から相当考えなければならない時代ではないか。これが普通一般の市町村と同じように税財源が与えられておつたのでは、十分でないのではないかという気がするのですが、この点に対して自治庁のお考えはどういうことであるか、一応伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/242
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243・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 地方税法と、今後予想せられる地方自治法の改正によります事務配分との関連の問題でございますが、御指摘のように、地方制度調査会の答申の線に沿つて、地方自治法の改正をいたしたいと考えておるわけでございますが、何分審議立案に手間どつておりまして、また一方地方税法は、年度開始までに、でき得まするならば、関係の地方団体が必要な条例まで制定できるということが、最も理想的なわけでございまして、さような関係で両者の間に若干緩急の度合いを異にいたすものがあるわけであります。もちろん理論的には両者を結びつけて考えるべきだと思うのでございますけれども、遺憾ながらいろいろな手続の上から、そういうことができなくなつて参つておるのであります。しかしながら地方制度調査会の答申の線に沿つて事務配分をいたします結果として、非常に大きく変動いたして参りまするのは、教育公務員の給与負担を府県にするか市町村にするかという点が、最も大きな変動を生ずる点であると思うのであります。警察法の提案の内容におきましては、警察負担が市町村から府県にかわつたということで、市町村の負担に非常に大きな変動を生じたわけでございますが、これと同時に関連がありますのは、今申し上げました教員の負担をどこに持つて行くかということであります。ただいま私どもの考えておりまする案といたしましては、教育公務員の給与負担は、いましばらく現状のままで参りたいというふうに考えております。従つてその他の事務の配分につきましては、やはりある程度の負担の変動は出て参りますけれども、これは地方交付税の操作によつて調節ができる程度のものであると、今のところ考えておるのであります。しかしこれは、最終的に国会で御決定になりました事務の配分が、それによつて調節ができないような程度のものに相なりますならば、地方税法をさらに御改正を願うということに相なろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/243
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244・門司亮
○門司委員 今の説明でございますが、現在の市町村財政の中で、赤字の大部分というものは大都市が持つているような形になつておる。このことはやはり大都市にそれだけの財政需要があるということであつて、今までありました地方財政平衡交付金の測定単位では、これが十分でなかつたということをはつきり物語つておるものではないかというように考えられる。従つて大都市を持つておりまする府県の財政規模というものは一応黒字のようになつておる。ここに非常に大きな大都市を持つておりまする府県と大都市との関係が生れて参るのでありまして、大都市を持つておる府県は、いかにも富裕府県のように考えられておる。そして大都市は大体大きな赤字を背負つておる。これはやはり税の配分の結果がここに現われておるのじやないかと考えられる。従つて大都市に対する税の配分の関係というものは相当考慮すべきじやないか。一つの例をとつてみますと、大都市を含んでおります大府県は大体黒字になつておるということが書かれておる。しかし神奈川県などの場合をとつて考えてみますと、小学校あるいは中学校の二部教授なんというものは、東京に次いで神奈川県が悲惨な状態になつておることは御存じの通りであります。具全体から見ればそういうようなことが一応言える。小学校の二部教授、それから老朽校舎をたくさん持つておるのはどこでも市であつて、横浜市を持つておるから神奈川県はそういうトータルが出て来ておる。東京都も同じであります。東京都の中にはたくさんの二部教授あるいは危険校舎を持つておる。東京都自体というものは全体を考えてみると黒字のような形を示しておる。名古屋においても大体同じようなことが言えるのではないかと思う。そこでどうしても大都市財政と府県財政というものはこの辺で一応考え直して、そうしてそういう実態に即した税制がやはり行われなければならないのではないかというふうに考えられるのであります。従つてこういうことを考えて参りますと、現在の大規模の償却資産等に対して、われわれはもとよりこの問題については別の考え方を持つておりますが、たとえば政府の考え方をそのままここに取入れるといたしましても、大規模の償却資産等の一定の割合のものを県に移譲するというようなことは避けて、大都市における固定資産税というものは、やはり市に配分するということが正しい行き方ではないか。そういたしませんと、実態は富裕府県でないところが富裕府県のように見られ、そうしてなおかつ大都市は大きな赤字を持つておるというような矛盾がそこから出て参つております。ですからどうしても私はそういう形で行つてもらいたいというように考えるのでありますが、この点について当局は何かお考えがあるかどうかということであります。そのことをなお付言して具体的に申し上げて参りますならば、たとえば先ほど申しました大都市の固定資産税は、やはり県に移譲するというようなことではなくして、やはり大都市の方は大都市において市税として置くということ、あるいはタバコ消費税等に対しましても、一般の市町村の割合と別にこの問題が考えられる必要があるのではないかということ、それから遊興飲食税というようなものにつきましても、やはり同じようなことが考えられやしないか。ことに自動車税のごときは、最も多く痛められるのは大都市であつて、しかもやはり府県税になつておるというようなことで、道路の維持管理その他については相当今日問題を起しておる。大都市の道路というものは、御承知のように市道と言いましても、普通の府県道より大きな市道を持たなければならないし、国道と同じような幅と規模を持つた市道が当然こしらえられる。府県道だけではこれは治まらないのであります。そういう点から考えて参りますと、今日の自動車税というものは、やはり大都市には何らか考慮すべきではないかということが一応考えられるのであります。そのほかの税種目についてもいろいろそういうことが考えられますが、要約して申し上げますると、大都市の税制というものは、一般の市町村の税制と異なつた関係を持つということが、府県との間の調整の関係においてもいいのではないかというように考えられるが、この点に対する当局の御意見を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/244
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245・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 大都市の財政の特殊性についての御指摘でございますが、まことにそのような点があると私どもも考えておるのであります。昨年の地方制度調査会等の答申におきまして、そのような意味からただいま御指摘になりましたような自動車税あるいはタバコ消費税というようなものを大都市に移譲をする、こういうような答申が出ておるわけでございますが、ただあの地方制度調査会の答申は、大都市に警察事務を配分し、また教育事務を配分する、こういうような建前であつたものでございますから、警察とか教育というような非常に大きな、いわばこぶになるような給与費を持つた事務が大都市に残るということになりますならば、そのような措置も当然に考えなきやならなかつたかと思うのであります。ただ先ほども申し上げましたように、警察につきましては、大都市も府県に持つて行くという政府の案でございまするし、また教育につきましては、ただいまのところ府県の負担になつておりまするものを大都市におろす。要するに大都市についてだけ給与負担を府県から関係大都市におろすということは考えませんで、やはり将来の問題として検討したいと考えておりますので、従つてむしろ現在の段階におきましては警察費の負担が大都市から府県に移る、こういうことになるのが事務配分の上での大きな変化でございます。そこでその点を取上げて考えますると、やはり今までに比較いたしまするならば、大都市といたしましては、従来警察というものは基準財政需要額を還元した標準的な財政需要よりも、はるかに多い警察費の負担をしておつたわけでございますから、これが市から府県に移りますことの結果といたしまして、大都市としましては、やはりある程度その面では財政上の緩和が行われることになると思うのであります。しかしながら御指摘のように一般の中と違つて大都市では、国道の維持管理をやつておるというようなかわつた点も確かにあるわけであります。そういう点を見ないわけではございませんが、今回といたしましては、そういう警察費の変動に伴う点を相当大きな要素に考えて参りましたので、従つて地方税法の改正案におきましては、特に大都市について他の市町村と違つた取扱いはいたしてないのでございます。従つて御指摘のような大規模の固定資産でございますとか、自動車税等につきましては、特別な扱いをいたさなかつたわけでございますが、しかし将来この事務配分につきまして、さらに大都市の特殊性を考慮して、事務配分が行われるということになりますならば、これは地方税制上も当然に考慮しなければならないと考えるのであります。なお大都市の財政の問題につきましては、やはりひとり地方税財政の問題だけではなくて、起債の問題でございますとか、あるいは地方交付税の基準財政需要の算定の問題でございますとかいうことにつきましても、なお私どもは研究を加えてできるだけ実態に即するようにして参りたいという考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/245
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246・門司亮
○門司委員 なかなか要領のいい算でございますが、実際は警察が移譲されるかされないかは別の問題でございまして、もし移譲されないと今の答弁では困ると思います。移譲されないような事態が出て来たら、一体今のような答弁をされておると非常に困りはせぬかと思う。何も六大都市だけが今度の警察法で府県に取上げられるわけじやございません。他の市も同じように国に移譲されることになれば、その点は五十歩百歩だと思う。
もう一つ考えていただきたいと思いますことは、そういうことから来る住民の負担というものが、やはりそう軽くはならない。これは鈴木さんに言うことではないと思いますが、政府は警察を国に移譲することによつて府県警察のようなものをこしらえることによ
つて住民の負担が九十億くらい軽くなると言うが、この間来た茨城県の友末さんに聞くと、それは違つておる、もう百億くらいよけいもらわなければ県はやつて行けないと言つておつたが、どうも政府の言うことと違うのであります。そういうことは別にして、とにかく大都市財政というものは今日のままでは当然やつて行けない。これは配付税といいますか、交付税その他で勘案すると言われておりますが、交付税の算定の基礎に非常に大きな誤りがあつて、大都市がこれに認められていないというところに大きな間違いがあると思う。だから今日のような事態をこしらえておるのであります。だから単に交付税でこれをカバーするというようなことでは、実際の問題の解決はしない、実際の問題を解決しようとするならば、やはりさつき申しましたように、府県と大都市との間の財政調整というものが十分行われるべきである。それにはやはり税法上の考え方から来る一つの処置が当然とらるべきである。それを考えなければいつまでたつても妙なものができてきて、そうして大都市を持つ府県が黒字であつて、その大都市が赤字に悩んでおるというようなびつこな形が必ず出て来ると思う。今日の六大府県がたくさんの税収入があつて、そうして配付税が出されないとか、あるいは教育の国庫負担をしないとかいうような対象になつておるようでありますが、何度も繰返して申し上げますが、その下にある六大都市は非常に赤字を持つておるが、府県全体の財政の上から考えるならば、決して黒字ではないということははつきり言えると思う。そういうもの自体を解消するためには、今のような将来そういうことが考えられるというようなことでなくして、やはり税制改正を行うというような場合には、そういうものを十分勘案して、そうして地方財政が府原あるいは市町村を通じバランスのとれた税制対策が講じらるべきだと考えるのでありまして、この点についてもう一応鈴木さんからはつきり御答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/246
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247・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 私どもの考え方といたしましては、やはり地方税制というものは地方行政上の、要するに自治行政上の事務の配分と申しますか、それに従つて行くべきものである。事務の配分がふえますならば、要するに府県なり市町村なりあるいは御指摘のような大都市に対する自治行政上の責任がふえて来る。従つて仕事の量がふえて来るのならば、やはりそれに応ずるような地方税制上の税源の配分も考えて行かなければならぬと思うのであります。今回の考え方といたしましては、同じことを申し上げるようでありますが、警察につきましては、あのような政府案になつておるわけでございまして、今までに比較いたしまして、他の市町村に比べて大都市が特により多くの事務の配分を受けているということは、あまり顕著なものがないと思つておるわけでございます。要するに今日の段階におきましては、このような地方税法案を提案いたしたわけでございますが、先ほども申し上げました通り、今後事務の配分におきまして、大都市に対してさらに多くの事務が配分せられ、それがまた単に地方交付税をもつて調整する限度を越えて、税それ自体を大都市に、他の市町村と異なつてより多く配分しなければならないという事態になりますならば、これはそのように改正しなければなるまいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/247
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248・門司亮
○門司委員 私は自治庁の次長としてはきわめて遺憾な答弁だと思うし、非常に奇怪な答弁だと思うのです。大都市に特別の事務配分がなされておらないからと言うが、それは大都市に特別に事務配分をされておるのはそうたくさんはありません。これは政令で指定する市と一般の市とそうかわりはないと思う。法律上これが配分されているものは……。しかし大都市は大都市としての一つの性格を持たなければならないということと、それに伴ういろいろの施設が必要である。たとえば下水のようなものでも、大都市はどうしても持たなければならぬ。今日日本の玄関と言われております横浜と神戸に、下水設備を持つていないでしよう。こういうことは他都市と違うということであります。これはやらなければならぬ仕事である。ところがこういうものも、それじや国が全部起債でやつてくれるかというと、なかなかやつてくれない。だからどうしてもそういう面が出て参ります。あるいは学校教育等におきましても、一般の市町村でありますならば、そこに大きな大学やあるいは高等学校の必要はないかもしれません。少くとも今日大都市と目されておりますものの都市行政の中では、やはり教育行政の中でも高等教育は、どうしても大都市の施設として持たなければならないような要素を備えているときに、神奈川県等はこれは逆である。県は旧制の高等学校を一つも持つておらなかつた、わずかに今日大学を持つているのは、昔の師範学校が大学になつたからということで、大学の名前だけは持つているが、県はそんな教育施設は何もない。そのもとにある赤字で苦しんでいる横浜市は、従来から総合大学を持つていなければならないというので、これは市民の大都市としての一つの切実な要求であります。だからそういうことの事業内容から言えば、当然他都市とかわつた考え方を持たなければならないと考える。むしろ府県より以上に事業内容というものを持たなければ、今日の大都市というものは住民の要望にこたえるわけには行かない。このくらいのことは私は自治庁の次長であればわかつておつたはずだと思う。そのくらいのことがおわかりにならぬとすれば、次長はもう少しそこらを歩いて来て実際を見てもらいたい。従つてそれの基本になりますものは、何といつても税源の配分というものが行われる、そういう制度はやはり認めて行くということである。税金の上では三万の市も二百万の市も同じような形でいいのだという考え方は、これは自治庁の次長としては少し誤つておるのではないかと思う。要するに事業内容について自治庁の次長はどういうふうに考えるか、これは一般都市と同じでいいとお考えになつているのかどうか、こういう点をもう少しはつきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/248
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249・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 だんだんとお話でございますが、大都市が非常に事業の分量が多いということ、大都市に配分せられておる事務としては他の市町村に比べて大差ないとしても、非常に事業分量が多いではないか、それを同じ税制では見れないじやないかというのは、一応の御意見だと思うのでございますが、確かに大都市は戦災復興のために非常に多くの経費を要する。たとえば横浜のごときは、そのような点が他の都市よりなお多いのであります。また戦時中各種の公共施設が放擲されておつたものを、今日に至つて、学校を初めといたしまして、すべてこれを改築しあるいは新築をして行かなければならぬという点がありますことは、これはまさにその通りでございます。従つてかようなものは、一つには地方交付税の基準財政需要の、大都市における見方がまだ不十分ではないかというような御見解とも通ずることであつて、その点にもあるいはさらに研究しなければならぬ点があろうかと考えておりますが、しかしこれの多くは、今もちよつと御指摘になりました、いわゆる起債の問題であろうと思うのであります。今日起債のわくが非常に圧迫せられていることとも関連いたしまして、大都市が最も必要とする公営企業に要する起債、あるいは各種の公共の単独事業に要する起債等が圧迫せられている。それも今の基準財政需要の面から申しまして、超過団体に対してはできるだけ圧縮するというような従来の方針から、若干その辺もきゆうくつであつたかと思うのでございますが、その点も自治庁といたしましてはさらに反省をいたしまして、だんだんその辺を再検討を加えて来ているのであります。そういうような、大都市の執行する事業についての財源、ことに起債財源がさらに円滑になるように、私どもとしては努力して参りたいと考えるのでございますが、そういうような面を税制の面で考えろということにつきましては、私どもはやはり税制という根本的な税源をどこに配分するかということは、やはりそこに与えられる事務との関連も考えて行くべきではないかと思うのであります。税は結局のところ、一般的に申せば大都市、大府県に集中するわけでございまするし、その上にさらにこの大都市に対して税率を高めるということについては、これはよほどそこに具体的な検討がないと、ただちに結論が出ないと思うのであります。やはり大都市の一番必要とする財源のもとといたしましては、私どもは起債と考えておりますので、これらの面について、今後できるだけ御趣旨に沿うように、打開の道を講じて参りたいと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/249
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250・門司亮
○門司委員 ちよつと誤解があるようですが、私は何も税率をふやせと言うのじやない、税の配分の関係をかえていけ、こういうことです。たとえば大規模な固定資産税の償却資産のようなものが、これが一般の町村にあります場合においては百歩譲るとして、自治庁のようなものの考え方があるいはあるかもしれない。それは関係町村の配分の方法をかえて行けばいいと思います。しかし大都市にあります場合は、これをそのまま市に残して置いたらどうかということで、私は税率をどうこうしろと言うのではない。税率は同じであつても、ただその配分関係を、大都市であるからそれを置いておくということで、これを府県に取上げてしまうのが一体どうかということです。さらにタバコその他の消費税の面においても、何も税率をどうしようというのではなくして、税率は同じでもいいが、府県との関係における配分の率をどうするかということであつて、何も大都市だけに税率を高くして、住民から高い税金をとれということを、私は決して申し上げているのじやありません。その点はあまり誤解のないようにしてもらいたい。配分の方法でやれると思います。またそういうふうな配分の方法をすることが、やはり実際に即したところのものの考え方だと思う。基本的なものの考え方をそこに置かないで、ただ何でもいいから、お前のところは金が足りないから、しようがないから借金でやつて行つたらいいだろうということになると、今日借金を背負うことはいいのですが、市町村、大都市でもそうむやみやたらに起債ばかりができるものじやございませんし、起債をやつておれば、将来行き詰まることはわかり切つたことである。やはり利息のつかない住民の負担によつて、特別な事業内容を持つものは特別の取扱いを受けて行くということは、私は当然だと考える。だから今の自治庁次長の答弁のように、税率をよけいにしてもつととれというようなことは、これは考えられないことであつて、先ほどからも何度も申し上げておりますように、私の趣旨としては、こういう特別な配分関係を持つものについては、当然特別の処置がとられて、そうして財政の需要に対して事業内容の多いところには多いような処置をとつて行くことが、実態に即したものの考え方であり、基本的のものの考え方であり、基本的のものの考え方としてはそうあるべきだということを私は開いておるのです。その点に対する次長のもう一応のお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/250
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251・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 だんだんと御意見を承つたのでございますが、自治庁といたしましては先ほど来申し上げましたように税の配分の問題にいたしましても、あるいは大規模の償却資産を府県に持つて行くといつたようなことにつきましても、それら全体を要するに総合いたしまして、今後の自治法改正あるいは事務配分の最後の究極的な結論を見た上で、今後必要な調整を講じて参りたい。その際には十分御見解のようなことも考慮いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/251
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252・佐藤親弘
○佐藤(親)委員 体裁関係で、あとで実際面で質問を受けたときに困るから、一つ質問しておいて記録にとつておいてもらいたいと思います。それは三十一条の第七項、四十九条の第六項、五十九条の第五項、六十五条の第八項、六十八条の第七項、八十七条の第七項、百十条の二十四の第七項、百十一条の十二の第七項、百十一条の二十の第七項、百十一条の三十三の第七項、百十一条の三十六の第七項、百四十四条の第五項、いずれもこの出訴できる時期が初めから終りまで記載してないが、これは時期をかまわないという趣旨で法律の事実をつくられたのか。その点お聞きしておきたい。初めに訴えを起すことができるという規定がある、その訴えを起すことができるという趣旨は、いつからできるというお考えで規定したのか。私はこの期間をを限つていついつかになつたら訴訟は起せないのだという規定を入れた方がいいと考えたのですが、そういう規定は必要なしという趣旨なのかという質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/252
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253・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘になりました各条文の規定しておりますところは、たとえば道府県民税につきまして科料に処せられた。それに対して不服があるという場合に異議の申立てをするわけでございますが、その不服の申立ては、裁判所に出訴することができるということになりますが、その出訴の場合の期間の計算をどうするか、つまりその期間の始期をどういうふうにきめるか、こういうお尋ねのようでございますが、これはやはり今の訴訟制度の建前といたしましては、行政事件訴訟特例法による訴訟ということなるわけでございまして、従つてその処分があつた日から六箇月あるいは一年、それぞれ訴訟特例法等に規定があるわけでありますが、その期間内に出訴するわけでございますけれども、その期間は結局民事訴訟法の原則による期間計算の方式で、計算をするということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/253
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254・中井一夫
○中井委員長 佐藤君よろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/254
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255・佐藤親弘
○佐藤(親)委員 よろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/255
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256・中井一夫
○中井委員長 それでは地方税法の一部を改正する法律案に関する質疑は、一応これをもつて終了したりとしてよろしゆうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/256
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257・中井一夫
○中井委員長 提議なしとしてさように決定をいたします。つきましてはただちに各派の態度を決定せられるために、各委員諸君の特別な御配慮を願いたいと存じます。
明日は午前十時半から本案に関し、すでに定められておりまする小委員会を開催し、これによつてさらに本案の審議を進めて参りたいと思いますから、さように御了承を願います。
本日はこれをもつて散会いたします。
午後六時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X03419540322/257
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